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1989-11-15 第116回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成元年九月二十八日)(木曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。    委員長 島村 宜伸君    理事 尾形 智矩君 理事 川崎 二郎君    理事 久間 章生君 理事 武部  勤君    理事 二階 俊博君 理事 新盛 辰雄君    理事 長田 武士君 理事 小渕 正義君       魚住 汎英君    岡島 正之君       加藤 紘一君    加藤 六月君       亀井 静香君    亀井 善之君       鴻池 祥肇君    佐藤 敬夫君       関谷 勝嗣君    高橋 一郎君       増岡 博之君    三塚  博君       緒方 克陽君    左近 正男君       戸田 菊雄君    吉原 米治君       浅井 美幸君    西中  清君       中村 正雄君    中路 雅弘君       村上  弘君 ────────────────────── 平成元年十一月十五日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 尾形 智矩君 理事 川崎 二郎君    理事 久間 章生君 理事 武部  勤君    理事 二階 俊博君 理事 新盛 辰雄君    理事 長田 武士君 理事 小渕 正義君       魚住 汎英君    岡島 正之君       加藤 六月君    亀井 善之君       鴻池 祥肇君    佐藤 敬夫君       高橋 一郎君    三塚  博君       緒方 克陽君    左近 正男君       戸田 菊雄君    吉原 米治君       浅井 美幸君    西中  清君       中路 雅弘君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 江藤 隆美君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         運輸政務次官  森田  一君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省国際運輸         ・観光局長   宮本 春樹君         運輸省地域交通         局長      早川  章君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      松波 正壽君         運輸省貨物流通         局長      寺嶋  潔君         運輸省海上技術         安全局長    石井 和也君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         海上保安庁次長 野尻  豊君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部調         査課長     岩渕 恒彦君         総務庁長官官房         参事官     堀  才大君         環境庁大気保全         局企画課広域大         気管理室長   唐沢 正義君         労働省労働基準         局賃金時間部賃         金課長     鹿毛  明君         労働省労働基準         局賃金時間部企         画室長     石川  透君         労働省職業安定         局雇用政策課長 伊藤 庄平君         建設省道路局企         画課長     藤川 寛之君         参  考  人         (関西国際空港         株式会社代表取         締役社長)   竹内 良夫君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     廣瀬 好宏君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事長)  淺井新一郎君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   星  忠行君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   佐藤本次郎君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理事         長)      杉浦 喬也君         運輸委員会調査         室長      荒尾  正君     ───────────── 委員の異動 十月三十一日  辞任         補欠選任   戸田 菊雄君     早川  勝君 同日  辞任         補欠選任   早川  勝君     戸田 菊雄君     ───────────── 九月二十八日  都市における公共交通環境整備に関する特別措置法案戸田菊雄君外五名提出、第百十二回国会衆法第九号)  海上保安庁留置施設に関する法律案内閣提出、第百八回国会閣法第九九号)  貨物運送取扱事業法案内閣提出、第百十四回国会閣法第七四号)  貨物自動車運送事業法案内閣提出、第百十四回国会閣法第七五号) 十一月七日  牛深海上保安署への大型高速船の配備並びに監視体制等の強化に関する請願(園田博之君紹介)(第二五八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  貨物運送取扱事業法案内閣提出、第百十四回国会閣法第七四号)  貨物自動車運送事業法案内閣提出、第百十四回国会閣法第七五号)  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  海上保安に関する件      ────◇─────
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸行政実情調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため  陸運に関する事項  海運に関する事項  航空に関する事項  港湾に関する事項  海上保安に関する事項  観光に関する事項  気象に関する事項 について、本会期中調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ────◇─────
  4. 島村宜伸

    島村委員長 この際、江藤運輸大臣及び森田運輸政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。江藤運輸大臣
  5. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私は、海部内閣発足に際して運輸大臣を拝命いたしました江藤隆美でございます。  今国会におきまして、運輸委員会の開かれるこの機会一言就任のごあいさつを申し上げたいと存じます。  運輸国民生活と密着しており、豊かで活力ある社会を築き上げていくために期待される役割はまことに大きいものがあります。  私としては、運輸行政基本であります安全の確保に万全を期しつつ、運輸をめぐる多くの課題に積極的に取り組み、問題の解決に最大限の努力をいたす所存でございます。  特に、国鉄改革の大きな課題である国鉄清算事業団職員の再就職対策長期債務処理対策には真剣に取り組んでまいる必要がありますし、新東京国際空港完全空港化も一日も早く実現いたさねばなりません。また、物流に関しては、事業活性化輸送の安全の確保等を図る必要があり、貨物自動車運送事業法案及び貨物運送取扱事業法案提出しておりますので、早期成立をお願いいたします。  いずれにせよ、運輸関係諸問題の解決には、何と申しましても本委員会関係各位の御理解と御支援を賜らねばなりません。重ねてよき御指導と御助言を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の就任のごあいさつといたします。(拍手
  6. 島村宜伸

  7. 森田一

    森田(一)政府委員 海部内閣発足に際しまして運輸政務次官に再任されました森田一でございます。  ただいま大臣からお話がございましたように、運輸行政には多難な問題が山積をいたしておるわけでございます。  私は、大臣を補佐して、これらの問題に真正面から取り組んでまいりたいと考えておりますので、御指導、御叱正のほどを心からよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ────◇─────
  8. 島村宜伸

    島村委員長 陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、航空に関する件について、関西国際空港株式会社代表取締役社長竹内良夫君、また、陸運に関する件について、日本道路公団理事廣瀬好宏君、首都高速道路公団理事長淺井新一郎君、同理事星忠行君、同理事佐藤本次郎君、日本国有鉄道清算事業団理事長杉浦喬也君をそれぞれ参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────
  10. 島村宜伸

    島村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二階俊博君。
  11. 二階俊博

    ○二階委員 国際的にも国内的にも空の玄関口として極めて重要な使命を持っております空港整備に関して、当面問題となっておる点に絞って幾つお尋ねをしたいと思います。  国際化の進展に伴い、我が国に対しさらに乗り入れを希望している国が三十数カ国を数えておりますが、残念ながら羽田、成田大阪の各国際空港も既に満杯の状況であります。諸外国の要望にこたえられないのであります。特に、我が国は二十四時間使用可能な空港がないために、本来当然日本で開催されるはずの国際会議や各種の国際的な催しなどが、日本周辺の二十四時間空港を有する国、例えばシンガポールのチャンギ空港のようなところに次々に奪われている昨今であります。このことは、国際化情報化の時代に経済の面でも文化の面でも国家的にも極めて大きなマイナスを生じていると思われますが、この点をどのように認識されておられるのか、まず国際運輸観光局長お尋ねをいたしたいと思います。
  12. 宮本春樹

    宮本政府委員 お答えいたします。  まず第一に、我が国との間に航空協定を締結して国際定期航空路を開設することを希望している国、これはお話のとおり三十数カ国、正確に申し上げますと現在三十九カ国に達しております。これらの乗り入れ希望国の中には、我が国との間で定期航空路を開設するのに必ずしも十分な需要がないので直ちにこれに応ずる必要がない国もありますが、ある程度の需要が見込まれる国でありましても、お話のとおり成田空港及び大阪空港能力制約があるために新規乗り入れを受け入れることができない、そういう状況にございます。  それから第二点として、我が国空港能力制約があるために、我が国近隣諸国に直接航空路が開設されている例が多々あるのではないかというお話がございました。これにつきましても、お話のとおり我が国空港能力制約等の要因があって近年、特に米国でございますが、米国とソウル、香港等の間に、日本周辺諸国空港との間に直接航空路が開設されているという事例が幾つか見受けられます。これらは、輸送の流れの一部が、日本を経由しないでこれらの地点に直接行くという意味でシフトしているということがあり得ることは、御指摘のとおりでございます。  国際航空輸送におけるアジアの玄関口という日本の重要な地位を維持発展させていくためには、先生のおっしゃるとおり輸送需要に的確に対応した国際空港拡充整備が必要不可欠である、そのように考えております。
  13. 二階俊博

    ○二階委員 外国から日本への乗り入れ希望の国々の期待にこたえるためには、私は、まず成田空港の二期工事早期着工、これにつきましては当委員会においてもかつて現地調査を行い、問題の把握に努め、現場の人々の大変な御苦労のほども承知しておるわけでありますが、成田の二期工事に対する見通し等について航空局長のお考えを承りたいと思います。
  14. 丹羽晟

    丹羽政府委員 お答え申し上げます。  新東京国際空港につきましては、最近の航空需要の伸びによりまして現供用施設処理能力は限界に近づきつつある一方、今国際運輸観光局長の方から御説明申し上げましたように、乗り入れ希望の国が大変な数に上がっておりますので、私どもといたしましては、早期完全空港化ということが急務であると考えております。そのため第五次の空港整備五カ年計画に従いまして、来年度概成を目標に成田BランCラン、その二つの滑走路とエプロン、それから第二旅客ターミナルビルなどの整備を進めておりまして、現在工事可能な地域のほとんどで工事を行っている、こういう現状でございます。  それで、もう先生承知のとおり完全空港化早期に完成するためには、残る未買収地、まだ買い上げておりません土地の取得というのが今最大の課題だと考えておりますが、ここの敷地内の農家が今八戸残っておりますが、こういう農家の方方とも今後話し合い解決ということを基本にいたしまして、関係機関とか県とか、そういったところともよく連絡をとりまして、空港公団、私ども総力を挙げて完全空港化推進してまいりたい、こういうふうに思っております。
  15. 二階俊博

    ○二階委員 次に、関西国際空港についてお尋ねをしたいと思います。  御承知のとおりこの空港は、昭和四十六年に航 空審議会に諮問されて以来二十年近くなるわけでありますが、当初関係府県合意がなければ、つまり一県でも反対があれば着工しないと当時の運輸大臣が三府県知事に文書でもって約束していると記憶しておりますが、この点はいかがでございますか、航港局長答弁をお願いします。
  16. 丹羽晟

    丹羽政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、関西国際空港計画決定に当たりましては地域社会との合意基本的に必要であるという考えのもとに進めておりまして、昭和五十一年当時、関西国際空港計画大阪府、兵庫県及び和歌山県の合意を得て決定する、そういうことを明らかにしております。
  17. 二階俊博

    ○二階委員 しかし、それは着工の際だけのことであるのか。私は、少なくとも三府県合意というのは当然着工から完成まで、さらに今後の運営に至るまで地元協力のもとに推進を図らなければなりませんが、次々に担当者もかわっております。関係府県合意ということの重要性や、あるいはまた衆議院附帯決議等にもありますように地域共存共栄を図るという立場で御推進いただいているものと存じますが、なおこのことを特に念頭に置いて仕事を進めていただきたいと思うわけでございますが、航空局長見解をもう一度伺っておきたいと思います。
  18. 丹羽晟

    丹羽政府委員 私どもといたしましては、先生ただいま御指摘のとおりに、関西国際空港地域社会と調和を図って共存共栄になっていく空港、そういうことが肝要だと考えております。それで、今後の仕事の進め方に関しましても、このような観点から努力してまいりたいと考えております。
  19. 二階俊博

    ○二階委員 特にその点は地元兵庫大阪和歌山期待が高まっておるわけでございますから、特に留意されながら今後の工事等につきましてもお進めいただくようにお願いしておきたいと思います。  次に、私は伊丹空港存廃についてお尋ねをしておきたいと思います。  関西空港が海の中に我が国初海上埋立空港として出発することになったのも、伊丹の騒音公害等空港は出ていってくれということで、やむを得ず引っ越しをするということになったのが実情ではないかと思うわけであります。最近は中間答申においても、また地元のかつての強硬な廃止論者もこのところはすっかり影を潜めて、今度はぜひとも空港に残ってもらいたい、空港周辺地域経済も、空港廃止になると経済の規模も現在の七分の一程度に低下するなどと言われておりますが、十年そして十五年の歳月は、全く我が耳を疑いたくなるような気がしてならないのであります。関西空港関係府県の一つである和歌山県は、さき県議会において伊丹空港廃止を決議し、さらに知事もこのことを正式に表明していることは運輸当局も御承知のとおりであります。  運輸省伊丹空港存廃をめぐるこうした一連の動きに対して、ただ調査の結果を待つというだけでは問題は解決されません。今改めてなぜ廃止論が出てくるのか。これは既に御承知のとおり昭和四十九年八月十三日の答申において、「新しい空港大阪国際空港廃止前提として」と、御丁寧に三回もその答申の中に述べておるわけであります。これについては最近、運輸省当局機会あるごとに現空港廃止のみを前提としたものではないと繰り返しておりますが、あの答申はどこから読んでも「大阪国際空港廃止前提」と明確に書いておるわけで、これについての見解は、むしろ十年、十五年の間に航空事情も大きく変わり、また現空港周辺地方団体や住民の間に空港に対する認識に変化が生じてきているのであって、私は、可能な限り早い機会大阪国際空港存廃について結論が出るよう運輸大臣の御努力をお願いしておきたいと思いますが、運輸大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  20. 江藤隆美

    江藤国務大臣 関西国際空港についてはさまざまな経過がございまして泉南沖に決まり、その間に各地元、各団体との間で御協力も願い、またいろいろな運輸省側見解も述べてきておることは私も承知いたしております。  この伊丹空港の将来については昭和五十八年から必要な調査を進めておるところでございまして、今年度じゅうにはなるべく早い機会にその存廃調査についての結論が出るものと承知をいたしております。時あたかも平成三年度から第六次の空整が始まるわけでありますから、第六次空港整備五カ年計画策定というのは、これは早急に、年が明けますともうかからなきゃならないことでございますから、その調査結果を踏まえ、そして第六次の計画策定の過程の中でなるべく早く結論を出したい、こう考えます。同時に、関係地方団体意見関係者意見等も十分聞いて結論を出したい、こう思っておるところでございます。
  21. 二階俊博

    ○二階委員 外国でも例がたくさんありますが、私は大都市にはむしろ複数の空港が存在すべきだと考えております。しかし、さきに述べたとおり、なぜ和歌山県議会等大阪空港廃止決議等が行われるのか。これは、関西空港建設に県を挙げて協力してきた、紀ノ川の水も埋め立て用土砂採取も積極的に協力してきたが、せっかく期待関西空港運営に際し国内便が十分に確保されるのかどうか憂慮しているのであります。最終結論は開港近くなって決定されるものと思いますが、国際空港としてはもちろんのこと、国内航空輸送基幹空港としてそれにふさわしい数の国内便の就航は極めて当然のことであります。この際、運輸大臣の御方針をお伺いしておきたいのであります。
  22. 江藤隆美

    江藤国務大臣 いずれにしましても、関西国際空港国際航空便国内航空便のいわゆる基幹空港としてつくろうということでそもそも始まったわけでございまして、その間和歌山県側の大きな期待のあることも私は十分受けとめております。したがいまして、先ほど申し上げましたいろいろな調査の結果を踏まえて、今後の伊丹空港のあり方の結論を出していく。同時に、第六次の空整を整える段階で、便数とかあるいはその他の発着等について必要な事項は、当然これは明らかにされなければならないことでありますから、伊丹空港関西国際空港との関係というのはおのずからこれは決まってくる。私どもは、あくまでも国際国内航空基幹空港としてこれはつくっていくんだ、この方針は今後も変わりはないものと考えております。
  23. 二階俊博

    ○二階委員 大臣お話はよくわかるわけでありますが、特に要望しておきたいことは、基幹空港でありますから、当然国内便もそこから発着することは私ども期待をしておるわけでありますから、そういう点について、地方のそれぞれの県に対してもあらかじめ航空需要等調査とあわせて地元意見も十分聴取してやっていただきたい、このことを特にお願いしておきたいと思います。  次に、関西空港の全体構想つまり二期工事についてお尋ねをしておきたいと思います。  全体構想というものを最初につくっておいて、少なくとも空港用地だけは一挙に完成させておいて、そのうちの一期計画はとりあえずどうだというふうに進めていくのが本筋だと私は思うわけでございますが、今のままの滑走路一本だけの空港では、国内はもとより世界各国期待にこたえられないのであります。運輸大臣さき予算委員会においても、さらに関西における一日運輸省においても、極めて明快に全体計画について述べておられますが、平成二年度の予算要求及び先ほどお述べになりました第六次空整等について、大事なところでありますから、いま一度当委員会において運輸大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  24. 江藤隆美

    江藤国務大臣 九月二十三日に、休日でありましたが、関西国際空港を私も視察をいたしまして、現在五百ヘクタールの埋め立てが進んでおるということ、それから、あと七百ヘクタールの第二期工事が残って、まだこの漁業補償も実は済ませていないということを知りまして、これはやはり大変なことだな、こう思っております。  成田空港の一番の問題点滑走路が一本しかな かったというところにあるわけでありまして、私は個人的な見解で言うならば、なるべく早く全体構想は示すべきだと思っておるのです。しかしながら、今後の航空事情ですとかもろもろのその周辺事情を勘案しつつ、また、関空会社の経営の状況等も一応念頭に置くことであろうと思いますし、それらを考えて、六十三年度からの調査も進んでおるわけでありますし、今度は第六次の整備計画策定する段階ですから、できることならば、なるべく早い機会に全体構想を示すことが必要であろう、私はこう考えておるところであります。
  25. 二階俊博

    ○二階委員 関西国際空港の現在の計画では、空港北側に泉佐野市に向かって一本の架橋建設が進められております。しかし二期工事を待つまでもなく、南側にもう一本の架橋が必要なことが周辺市町村調査の結果明らかとなっております。そこで、これについては既に運輸大臣検討するにやぶさかでないと表明されておられますが、今後いかなる検討をされようとするのか、航空局長の御方針を伺っておきたいと思います。
  26. 丹羽晟

    丹羽政府委員 ことしの十月十三日でございますが、予算委員会での先生の御質問に対しまして、大臣から、先生ただいま御指摘のような答弁をしていただいたというところはそのとおりでございまして、その際の大臣答弁の中では、現在建設している連絡橋北側のことでございますけれども、それは将来の予想交通量に対しまして十分対応できるものである、そういう前提でのお答えを申し上げたところでございます。  そういうことではございますが、今先生指摘のように地元でいろいろとその調査をしていただき、その御検討をしていただいているということもございますので、これから検討させていただくことについてはやぶさかではない、こういう御答弁を申し上げたと記憶しております。私どもの方も大臣のこういう答弁を踏まえまして、事務的にその点をフォローしてまいりたいと考えております。
  27. 二階俊博

    ○二階委員 きょうは関西空港竹内社長にお越しを願っておりますが、空港建設の陣頭に立って御努力をいただいていることに敬意を表したいと思います。  さっそくですが一時は日米経済摩擦の象徴として、関西空港アメリカ側から大変過度期待を寄せられて御苦労されてまいりましたが、これも最近は一応落ちついて、いよいよ平成五年の春には待望の一番機が飛び立てると承知をいたしておりますが、改めて関西国際空港責任者として御決意のほどを伺っておきたいと思います。
  28. 竹内良夫

    竹内参考人 関西空港社長竹内でございます。先生方には、平素私ども事業に御協力、御支援をいただきましてありがとうございます。  当社におきましては、昭和五十九年十月、会社が発足して以来、平成四年度末開港を目指しまして全社を挙げて事業推進に努めているところでございまして、現在のところ工事は、おかげをもちまして順調に進んでいるところであります。  空港島につきましては、本年の六月に十一キロメートルの全護岸が、一部穴がありますけれども完成いたしました。現在は埋め立てを進めております。これも非常にスムーズにいっておりまして、十一月十三日現在で約三十七ヘクタールの土地が既に海上に顔を出しております。  連絡橋につきましては、三十一基の橋脚と橋台をつくるわけでございますけれども、この十二日に新たにトラスなども架設いたしまして、橋脚の台数は二十二基据え終わりまして、その上のトラスといいますか上の方の部分でございます上部工につきましては、千二百二十九メートルの術剛トラス橋の架設を終えているところでございます。  また、先ほど御指摘ございましたけれども国際問題にも絡みましたが、旅客ターミナルビルにつきましては国際コンペを行いまして、現在はパリ空港公団基本的なコンセプトをもとにいたしまして、国際設計コンペ、競技によりましてデザインアーキテクトに選定されましたイタリアのレンゾ・ピアノ氏を中心といたしまして、共同企業体に設計を発注いたしました。鋭意設計作業を進めているところでございます。  また、空港連絡鉄道につきましても、その用地取得を大阪府の土地開発公社に委託して進めているわけでございますが、十一月十三日現在では、空港連絡道路用地を含めまして、地権者数で約五四%の契約を終えたと聞いているところでございまして、今後鋭意用地買収を進めまして、何としてでも来年度からの鉄道の本格着工を目指しているところでございます。  このように、仕事自体は現在順調に推進しておりますが、今後の問題といたしましてはやはりいろいろな難問がございます。その難問を一つ一つ克服いたしまして、何としましても平成四年度末、平成五年の春に開港するように、会社一丸となってこれに取り組んでまいりたい、それにはいろいろな工夫をしていかなくてはいけないと思っているところでございます。先生方におかれましても、ぜひこの点御協力、御支援のほどをお願いするところでございます。
  29. 二階俊博

    ○二階委員 関西国際空港の全体構想について、竹内社長はかつて運輸省の港湾局長として技術の専門家でございますから、そんな立場から私はお答えを願いたいと思うわけでございます。  つまり、一期工事が終わってから二期に入るということでは、私はやれないことはないと思いますが、一期工事の部分が開港して、しかも開港しますと二十四時間空港、年間に十六万回発着というのを横目に見て二期工事に入るということは、まるで羽田沖の工事と同じようなことになるのではないかと思うわけであります。一方、政府は、多極分散だ、二眼レフだ、国土の均衡ある発展を図る、うたい文句はいいわけですが、事務的には相も変わらず近畿圏の航空需要の予測や長期収支、そうしたものの採算を分析してからというふうな方向にすっかり気をとられてしまっておるわけです。  そこで、私は、竹内社長に技術者の良心に従って答弁してもらいたいと思うのですが、かつて関西空港において責任ある立場にあられた方が次のようなことを述べております。少なくとも地盤改良事業だけは、これから開港までの最後の二年間でやってしまうのが今与えられた条件の中で一番賢明な方法だ、こういう意味のことを述べておられますが、全体計画について竹内社長の御意見をここで伺っておきたいと思います。
  30. 竹内良夫

    竹内参考人 技術者の良心に従って申し上げなくてはいけないと思います。  技術的な面だけから申し上げますと、確かに先生のおっしゃるように、一期工事を継続しながら仕事を進めた方がメリットがある、そういう点は確かにあるわけであります。例えば、作業システムを解体することなく、あるいは技術者を解散することなく継続していくとか、あるいは船舶、建設機械の遊休化等を避けることができるという点がございますが、しかしながら、技術的な面だけではなく、全体構想につきましては、やはり将来の輸送需要の問題であるとかあるいは収支、採算等も含めて、トータルとして総合的な判断が必要であると思います。  また、例えば現在サンドドレーンという非常に背の高い船を使っている。サンドドレーンという船で地盤を固めていくわけでありますけれども、そうすると、飛行機が飛んでいるときには工事がやれないではないかという御疑問もあるかとも思いますが、それにつきましてはいろいろな工夫が必要でございまして、航空法に定める水平表面に突出する部分につきまして、定期便の運航に支障のない程度の運航制限等を行いながら工事を進めるということは技術的に可能であるというふうに思っております。いずれにいたしましても、全体計画としては総合的な判断が必要であると考えております。
  31. 二階俊博

    ○二階委員 この場では竹内社長の御答弁はこれ以上のことはなかなか申しにくいと思いますので、私どもがそんたくしながらこれから協力をしていかなくてはならないと思っております。  この際、大臣にお願いをしておきたいと思いま すが、諸外国からの航空需要等は今よりもさらに今後増してくるものと思います。国土開発、国際的な経済摩擦等もろもろの政策課題考えるならば、そこには先見性に富んだ大胆な政治的な決断というものが必要だと思います。そういう意味で、実力大臣であられる江藤運輸大臣には速やかな御決断をいただくよう、特にこの際お願いをしておきたいと思います。  時間も参りましたので最後に一問。  昨日運輸省は、当委員会においても長年の懸案でありました心臓病患者等のいわゆる内部障害者に対して、鉄道、飛行機等の運賃の割引について、江藤運輸大臣の英断によって来年二月から実施と決定されたと伺っております。その内容、また必要な予算等について運輸大臣から御説明をお願いしておきたいと思います。
  32. 江藤隆美

    江藤国務大臣 内部障害者の運賃割引につきましては、当委員会でも種々御議論をいただき、御声援をいただきましたことをまずお礼を申し上げたいと存じます。おかげさまで関係先との調整ができましたので、JR、民鉄、それから航空運賃等について、実は今まで行っております外部障害者、いわゆる身体障害者と同様の割引を実施する、こういうことにいたしまして、関係各社からの申請があればもう年内にでも認可をしよう。直ちに実行したいわけでありますが、障害者手帳の書きかえ、あるいは現場の窓口の職員への周知徹底、それらの問題もございますので、二月をめどにこれを実施しようということにいたしました。所要財源はおおよそ十二億円程度かと思います。実は、昨日の閣議でもってこのことを報告いたしまして、さらに残りますのが精神障害者と難病患者で、約五十万近く残るわけであります。  それと同時に、これらの既に割引をした方々に対しても、条件緩和に対する要請がたくさんあるわけでありますから、こうなりますと国の社会福祉政策でやるべきであって、これを民間にゆだねるということはいかがなものか、だから残っておる方々の問題も含めて、ひとつ厚生大臣においては、この国の社会福祉政策として体の不自由な人、病める者、それらに対する運賃割引を御検討願うようにということをきのう申し上げたところでございます。しかしながら、長年にわたって関係者の皆さん方からせっかくの御要望があり、またいろいろと貴重な御意見を賜りましたことを重ねて厚くお礼を申し上げる次第でございます。
  33. 二階俊博

    ○二階委員 時間が参りましたので、これで私の質問を終わります。
  34. 島村宜伸

    島村委員長 武部勤君。
  35. 武部勤

    武部委員 私は、空港整備の問題並びに航空運賃の問題について、若干質議を交わさせていただきたいと思います。  まず最初に、第五次空港整備計画の進捗状況はどのようになっておるか。また、次期空港整備計画、第六次空港整備五カ年計画策定のスケジュールあるいは目標等、基本的な考え方について運輸省のお考えを伺っておきたいと思います。
  36. 丹羽晟

    丹羽政府委員 空港整備五カ年計画の第五次は、昭和六十一年度から平成二年度までの計画期間で行われております。その総額は、調整費千二百億円を入れまして、総事業賢一兆九千二百億円でございます。それで、総事業費に対します六十三年度末までの実績は一兆一千二百八十九億、進捗率というような言い方をいたしますと五八・八%というところでございます。それに現在の今年度予算額、それを含めますと、合わせまして一兆五千六百九十億、進捗率にいたしますと八一・七%、そういう状況でございます。先生の御指摘のように、これは来年度までの五カ年計画でございますので、平成三年度からは新しい五カ年計画、先ほど来出ております第六次の空港整備五カ年計画策定することを考えております。  そのスケジュールといたしましては、今年度末に航空審議会に諮問いたしまして、それで航空審議会の審議を経まして、来年の八月末に、それは平成三年度の概算要求をするときでございますが、そのタイミングに合わせまして、第六次五カ年計画策定自身につきまして、財政当局の方にその要求を行う予定でございます。過去の例からいたしますと、第六次の五カ年計画は、平成三年の後半に最終的に閣議決定されるということになるかと考えております。このため、私ども運輸省といたしましては、現在、航空審議会への諮問に向けまして準備作業を鋭意行っているという状況でございます。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  37. 武部勤

    武部委員 実は、先日十日付の新聞にこういう記事が出ているんですね。「第6次整備計画 運輸省検討」、こういうことで、「地方空港建設を抑制」、こういう三段見出しであります。  これによりますと、「関西空港の三大プロジェクトと、名古屋、福岡、那覇などの幹線空港のターミナル拡張などに重点を置き、地方の新空港建設は原則的に抑制する方向で検討している」ことを運輸省は九日明らかにした、こういう新聞の記事であります。他にも同様の記事が出ているわけでありますけれども、我々地方にある者にありまして、これからさらに地方空港を精力的に整備していただきたい、こういう願いを持っている者にとりましては、この新聞記事は大変ショッキングでございました。この点について、その真偽を明らかにしていただきたいと思います。
  38. 丹羽晟

    丹羽政府委員 先生指摘のとおり、その新聞報道がございました。それで、新聞報道に書いてあること自身は別に正確な話でもございませんが、エアライン各社に、航空需要を多く望めない、そういう地方空港があるならば、そういう地方空港の新設という問題については慎重に対応すべきだという考え方があること自身は承知しております。これはそのエアラインの問題でございまして、私どもといたしましては、国土の均衡ある発展を目指す交通の基盤整備、そういう一環といたしまして、国内航空ネットワークの拡充を図るということは大変大事なことだと思っております。それで、地方空港整備推進するということで、今の国内航空ネットワークの拡充を図るということを考えております。地方空港整備につきましては、我が国の今の国内航空のネットワークの中心であります大都市圏の東京とか大阪とか、そういう空港整備とあわせまして、当該地域におきます航空需要開発計画などに配慮いたしまして計画的に推進いたしたいと考えております。  いずれにいたしましても、先ほど御説明いたしましたように、第六次の空港整備五カ年計画をこれから航空審議会で御検討いただく段階になっておりますので、そこの審議会の場でいろいろと御検討をいただきたいと考えております。
  39. 武部勤

    武部委員 実は江藤大臣は、私が地方議会にいる当時から大変尊敬申し上げておりまして、私どものいわゆるオホーツク圏地域にも足をお運びいただきまして、地方に住む人々がどういう生活を求めているか、江藤先生も宮崎御出身でありますから十二分に御理解いただいている、このように思うわけであります。  私は、空港整備計画策定に当たって、最近ともすると、いわゆる航空需要という問題でありますとかあるいは効率の問題、こういうことがとりわけ大きく取り上げられている嫌いがあるのではないか、そういう効率だとか需要とかということで、国土の発展計画なりあるいは交通通信体系の確立、整備というものを考えるとするならば、今日、私の出身地の北海道は鉄道もなかったはずでありますし、もちろん飛行場もできなかったのではないか、こう思うのです。  やはり四全総でも示しておりますように、これから国土の均衡ある発展、特に今問題になっているのは一極集中ということだろう、こう思うのです。そこで、多極分散型の国土の発展を進めていくんだということと同時に、我々の地域に住む人人の願いは、これから、情報あるいは知識あるいは文化、こういったものも、東京に住んでいる人やあるいは都市に住んでいる人と同様のもの、それを享受したい、そういう願いを持っているわけでありますから、そういった願いや地域の発展の原動力になる空港整備については、これは需要だとか効率だとかということでなしに、やはり大事 なのは、もっと戦略的な、先導的な投資というようなことが一番大事ではないか、こう思うのです。そういうことを、私は、次の第六次空港整備計画検討段階でぜひしっかりお考えをいただいて進めていただきたい、このように思うわけでありますが、この点についてのお考え大臣にお聞かせ願いたいと思うのです。
  40. 江藤隆美

    江藤国務大臣 かつて新産都市の指定というのを鳴り物入りでやって、日本じゅうが大騒ぎをした時代があります。今顧みてみると、それは成功したかというと、成功したところもありますが、必ずしも成功していないところが多い。それは何だといったら、空港がなかったということと、やはり高速道路がなかった、新幹線がなかった、そういうところは全部取り残されておる、私はそういうふうに思っています。  私ごとで恐縮でありますが、私の宮崎空港というのは、九州で一番早くジェット化が進んだのです。ところが、滑走路の延長工事がおくれたために、あれほど全国から集まった観光客の足がどんどん遠のいていきまして、今や閑散とした宮崎観光ということになってしまった。いかに空の玄関口というものが、観光行政を進めていき、その地方の産業界発展に大事かということを私は身をもって味わっておる一人であります。したがいまして、先ほど航空局長が申し上げましたように、エアライン各社においては、地方空港の開設を抑制するという考えは一応採算上考えたらそういうことも出てくるでしょうが、私どもはやはり政治家でありますし、これはまた行政の立場から考えると、四全総に示されておるような国土の均衡ある発展ということを考えたならば、一番大事なのは何といってもやはり空港の開設であると私は思うのです。  それは新幹線をつくるにしてもあるいはまた高速道をつくるにしても、膨大な予算を必要とするし年限を必要とします。それに比べて、用地問題、漁業補償等が片づけば空港というのは早い。ですから地方空港整備ということは、運輸省がこれからしかと念頭において第六次整備五カ年計画の中で考えるべき基本的な戦略であろう、こういうふうに私は考えておるところであります。しかしながら、財政的になかなか私どもの要望も通らないことでありますから、今後第六次整備五カ年計画策定等に当たっては、それぞれ皆さん方からまた御鞭撻やら御支援を賜りますようにお願いをしたいと思います。私どもも、局長が申し上げましたように、年が明けましたならば審議会を開きまして早速取りかかるわけでありますから、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第であります。
  41. 武部勤

    武部委員 大変心強い大臣の御決意を承りまして非常に安心もいたしましたし、深く敬意を表したい、かように思う次第であります。  ここで余り地元の問題を直接的に取り上げて質疑をするのは甚だ僣越に思うわけでありますけれども、たまたま私の出身地が北海道であり、新幹線もまず不可能という地域でもあり、したがって今後空港整備航空交通網にすべてを託しているというところでございますので、あえて質問させていただきたい、こう思うわけであります。  実は、一般には、北海道を知らない人は北海道というと他府県と同じように一つの圏域であって皆同じような生活をしている、こう思っている人が多いのではないかと思うのです。ところが、北海道というのは日本列島全国土の二二%でございます。ちなみに、私の選挙区、北海道第五区は四国の一・五倍、こういうことなのですね。地形的に見ても、我々の先人は石北峠を越えること、あるいは狩勝峠を越えること、この峠を越えるために大変な苦労をしたわけであります。その後鉄道が通り、また港湾ができ、空港整備されて、かなり全国的なレベルに開発も進んでまいりましたけれども、しかし今我々の道東における最大の政治課題は何だといったら、どこへ行っても空港整備、こういうことなのです。  とりわけ紋別空港は、今三種空港でありますけれども、ここは大臣も御承知のとおり名寄線がさき廃止になったところであります。これはこの地方にとりましてはまさに断腸の思いで決断を迫られたわけでありますが、しかし我々政治家の立場で何と言ってみんなを慰めたか、それは紋別空港をジェット化しようじゃないか、そういうことを呼びかけて励ましてきているわけなのです。しかも、名寄線が廃止になってから、それぞれの周辺の自治体は半分の運賃助成をしていまして、昨年と比較いたしますと、運輸省もデータを押さえていると思いますけれども倍の需要になっているわけですね。私は、こういう地方空港のジェット化ということについて、次の計画では特別配慮すべきではないか、このように考えるわけですが、この点について運輸省考えをお聞かせいただけますか。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 丹羽晟

    丹羽政府委員 紋別空港お話につきましては、私どももいろいろと勉強させていただいております。  紋別空港は、先生お話のように第三種空港でございまして、当然北海道庁というのですか、北海道がその設置管理者でございますので、その空港の今後の整備のあり方とか、それからその周辺観光開発とか、そういった地域振興の方向づけ、そういったようなことを北海道庁が中心になって十分御検討いただく必要があるのではないかと思っております。  先生の御指摘があるにもかかわらずあえて需要のことを考えて恐縮なんでございますが、そういうことで、その航空需要の開発というのでしょうか、その増強というのでしょうか、そういう方向の御努力地元でしていただいて、その上で私どもの方としてもできる限りのことをしたい、このように考えております。
  43. 武部勤

    武部委員 まことにハートのある答弁だったと受けとめております。  ちなみに、この紋別空港の問題については、これは大臣に大変御指導をいただいたことでありますけれども、高規格道路の認定をするときに、これは旭川から紋別空港までと飛行場が起点になっているわけですね。このときにどうしてそういう路線の認定になったかという一つの背景に、重要な空港及び港湾、当時建設省の認定基準には空港は入っていなかったのですが、これは飛行機の時代に空港がないのはおかしいではないかというような議論もあり、そういうことになりまして、きょうは建設省来ているかと思うのですけれども、重要な空港を結ぶ路線を高規格道路の認定基準にしたということは、紋別空港が重要な空港、このように考えた上であろうと私は思うのですけれども建設省いかがですか。
  44. 藤川寛之

    ○藤川説明員 今お話がございました高規格幹線道路網でございますけれども、私ども昭和六十二年に、道路審議会の答申に基づきまして、路線選定要件として六項目の要件といたしまして、そのいずれかに該当するものということで選定させていただいたものでございます。今お話がございましたように、その六項目の路線要件の一つといたしまして、「重要な空港・港湾と高規格幹線道路を連絡し、自動車交通網と空路・海路の有機的結合に資するもの」というような一項目を入れさせていただいておりまして、この「重要な空港」というのは、私ども考え方といたしましては、おおむねジェット機が定期的に就航している空港というものを対象とさせていただいたところでございます。
  45. 武部勤

    武部委員 ただいまの御答弁のとおりでありまして、大臣、おおむねジェット機が就航している空港、こうお考えということでございますから、ぜひひとつそのことも深く念頭に置いていただいて、今後の御協力のほどをお願い申し上げたい、かように存じます。
  46. 江藤隆美

    江藤国務大臣 六十一年当時、高規格幹線自動車道路の原案を作成する段階武部議員から、当初予定になかった旭川からの延長について実は熱烈なる、それこそ耳にたこができるほどお話を聞きまして、しかも、この恵まれない地域のいわゆる開発ということについて、そういう壮大な計画 等も聞かせていただきました。お互い発展途上国に生を受けた者でありますから、都会の皆さんと比べると、こうした道路交通網という公共事業、公的部門に頼らなければ生きていけない地域の願望というものはお互い身にしみるほどわかるわけであります。  北海道庁に対するいろいろな運輸省意見もあるようでございまして、今の空港にするのか新しい空港にするのか、それらの問題もまた今後検討すべきことであるかもしれません。しかし、いずれにしましても紋別空港についてはしばしば、それこそ顔を見合わせるたびに必ず話の出ることでありますから、しかと受けとめまして、これから私どもも誠意を持って検討させていただきたいと思います。
  47. 武部勤

    武部委員 まことにありがとうございました。時間の都合もございますので、次の問題に進みたいと思います。  私はきょうは御答弁を求めませんけれども大臣初め釧路へ行こうとした皆さん方が、釧路空港が霧のため欠航というような場面に遭遇したことが何度かあるのではないか、こう思います。四全総の中では、地方空港の機能を高めることによっておよそ十五カ所くらいの空港をいわゆる国際交通体系の整備の一環として進めていきたい、こういうふうにうたっているわけですね。釧路空港の大型化ということなども明記されております。この問題については地元でも相当論議がありますし、中央にありましても今のままでいいのか、ではどうしたらいいのか、新たにつくるのか、あるいはもっと国際的な交通体系の長期構想の中で、北海道に千歳空港だけでなくして道東に一つ国際的な空港整備した方がいいのか、いろいろな要望、意見等もありますので、ぜひ運輸省航空局当局はそういった問題に耳をかしていただいて実情調査していただきたい、かようにお願いを申し上げます。これは要望にとどめておきたいと思います。  次に、航空運賃の問題についてお尋ねしたいと思います。  まず、我が国国内運賃は諸外国に比べて高いという意見がありますね。私は余りその辺の実情、実態は詳しくわからないのですけれども運輸省の御見解はいかがですか。
  48. 丹羽晟

    丹羽政府委員 航空運賃には基本運賃というのと、それから基本運賃をもとにいたしましたいろいろな割引運賃、大ざっぱに言ってその二つの運賃の体系があると思っております。その基本運賃の比較におきましては、我が国航空運賃と、それからアメリカとかイギリスというところの航空運賃とは、比較いたしまして特段我が国の方が高いというようなことではございません。ほぼ同じレベルだと考えております。  しかし、もう一つの割引運賃の方の問題につきましては、我が国航空運賃は団体、包括旅行割引運賃、それから青少年割引運賃といったもので、最大で三五%の割引、一般的には一〇%から二五%くらいという割引であるのに対しまして、欧米では五割を上回る割引もございます。そしてまたその種類も多くございますので、割引運賃を利用する場合に欧米の方が安くなるというところが考えられるわけでございます。
  49. 武部勤

    武部委員 そういったことを国民によくわかってもらえるようなPRも必要でしょうし、あるいは我が国の運賃体系も、季節的なものでありますとかいろいろと多様な、バラエティーに富んだ考え方もあってしかるべきではないかと私は思うのでありまして、今後ぜひ今申し上げましたようなことに留意をいただいて御検討願いたいと思います。  次に、国際航空運賃の方向別格差の是正の問題でありますけれども、これは私はあるところで江藤大臣がこのことについて非常に積極的な発言をされていたことを記憶しているわけでありますが、この問題についてその後どうなっておられるのかお聞かせいただけますでしょうか。
  50. 江藤隆美

    江藤国務大臣 方向別格差の是正については各方向から要望のあったことでありまして、運輸省でも、昨年の九月からこの問題について航空各社との折衝も続けてまいりました。  実は先般来改定をいたしまして、為替変動はありますけれども、ただいま例えばパリと日本の間ですと一〇〇対一〇二、それからシドニ——東京が一〇三、東京—ロスの間が一〇〇に対して一〇四、航空局長が申し上げましたように、基本料金においてはほぼ是正をされてきたと思っております。ただ、割引運賃それからダンピング等については、しばしば報道されましてそれが全部のように聞こえる面がありますけれども、それについてはまた別途のことであります。  もう一つは東南アジア諸国がありますわけで、ここはなかなか難しくて、例えば香港の状況を見ると、十年間で香港ドルが三分の一になっておる。こうなると日本の運賃は三分の一にしないとつり合わぬということもあります。後進地域との運賃の問題でありますので一挙に下げるということもできないものですから、今いいところは一〇〇対九〇、悪いところで一〇〇対七〇、大体一〇〇対七〇から九〇のところまで是正がされてきました、こういう状況であります。
  51. 武部勤

    武部委員 大臣を初め運輸省当局の御努力に深く敬意を表したいと思います。  さて次に、最後の質問になりますけれども国内運賃についていわゆる南北格差という問題があります。これも運輸省においても調整に今努力中だ、こういうことでありますけれども、この点についてはどうなっているのか、いつごろまでにめどをつけていただけるのか、これは特に北海道あたりは今か今かと待ち望んでおりますので、その点のお答えをいただきたいと思います。
  52. 丹羽晟

    丹羽政府委員 いわゆる南北格差でございますけれども、北海道方面の路線の中には、需要の量が全体的に少ないとか季節的波動が大きいとかということで個々の路線ごとに事情があることもございまして、比較的に運賃が割高になっているのもやむを得ないという路線もございますが、一キロ当たりの運賃で比較しますと、他の路線よりも高いのがあることは事実でございます。それで昭和六十二年の十二月に一度、道東四路線というところにつきまして、千円だったと記憶いたしますが若干の是正もいたしました。しかしまだ格差が残っておりますので、私どもの方としては、今各路線の運賃体系を詳しく精査しておるところでございまして、できるだけ早い機会にその是正の方向の結論を出していきたいと考えております。
  53. 武部勤

    武部委員 ここのところはもう少し具体的にお答えできませんか。できるだけ早い機会とはいつごろまでにどのようになるか、お答えいただければありがたいと思います。
  54. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私は就任以来このことを強く事務当局に求めてきたわけでありますが、実は事務当局はそれを受けまして事務次官、航空局長が心配するくらい手を広げて、今徹夜で作業いたしております。したがいまして、私はできることならば年内くらいには一応の取りまとめができないかな、そして年が明けまして、今度はそれをもとにして航空各社との協議をして運賃是正のための申請を得て、そして今年度中くらいには審議会を開いて決定するように運べたらいいな、そういうことを念頭に置きながら今鋭意努力をしておる最中でございます。
  55. 武部勤

    武部委員 本日は運輸大臣に政治家としての極めて大胆な御答弁をいただいた、こう受けとめておりまして、深く敬意を表します。運輸行政は非常に大事なときだ、こう思っておりますし、特に地方の皆さん方から運輸省、とりわけ航空問題というものに大きな期待がある、こう思いますので、一層の御努力をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
  56. 島村宜伸

  57. 吉原米治

    吉原委員 予定をしておりました質問にちょっと先立ちまして、けさ方の朝日新聞を見て実は驚いておるわけでございます。  昨年の七月、横須賀仲の衝突事故について私は質問に立たせていただきまして、自来「なだしお」と釣り船の事故については関心を持っておりまし たけれども、けさの朝日新聞の一面に随分ショッキングな報道がなされておるわけでございます。御案内のように昨年七月、三十人の犠牲を出した海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と大型釣り船第一富士丸との衝突事故直後、当時の山下艦長が航海の公式記録簿である航泊日誌に記されていた衝突時間を二分間おくらせる改ざんを命じた。その上に、原紙を処分させていたことが昨日、十一月十四日の海上自衛隊の内部文書で明らかになった、こういう報道がなされておりますが、海上保安庁、この事実はあったのですかなかったのですか、この点だけをひとつ確認をしておきたいと思います。
  58. 野尻豊

    ○野尻政府委員 ただいま先生の御指摘にありました事件は昨年の七月二十三日に発生したのでありますが、当初海上自衛隊の横須賀地方総監部から横須賀海上保安部にあった連絡では、衝突時間は十五時三十八分ということになっておりました。一方、速力通信受信簿及び航泊日誌の記載時刻では十五時四十分ということになっておりまして、その間二分の違いがあったわけでありまして、私どもこの事実は当初から知っております。そのために当初からこの点について詳細な捜査を行いまして、初期の段階から航泊日誌の修正があったという事実を私ども承知しております。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  59. 吉原米治

    吉原委員 事実を認めていらっしゃるなら、これから海難審判庁でそれに基づいた審議が進められていくだろうと思います。少なくともあの衝突事故の直前の二分間というのは相当な長時間であると思うのです。非常に重要な問題が改ざんをされる。しかも艦長の命令によって改ざんをされたという事実は、私は今お認めになった上で、これから正しい審議が進められていくだろうと思います。中身については申し上げません。その一点だけ確認できたら結構です。
  60. 野尻豊

    ○野尻政府委員 私ども海上保安庁では、この犯罪事実についての衝突時刻につきましては十五時三十九分ごろと認定しております。その認定の根拠となりましたのは、今先生の御指摘のありました航泊日誌の記載だけではなくて、乗組員からの供述あるいはほかの船の乗組員からの事情聴取、また当庁の出先機関であります海上交通センターのレーダー映像の解析結果、あるいはまた第一富士丸の船内時計、こういったいろいろな事実から断定したものであります。したがいまして、航泊日誌等の修正が当庁の捜査に影響を及ぼしたということは考えておりません。
  61. 吉原米治

    吉原委員 それはこれから海難審判庁で正しい、公平な審議が進められると思いますから、この場であなたとそれがどうのこうのという論争をする気はございませんので、どうぞお引き取り願って結構でございます。  私に与えられました時間は五十分でございますから、ひとつ答弁も簡潔に要点をお答え願いたいと思います。  去る十月三十日に公正取引委員会の研究委託機関、政府規制等と競争政策に関する研究会の報告書が公表されました。その中で特に私は、本日は運輸委員会の席でございますから運輸部門、なかんずくバス、タクシー等の自由化を促す問題を中心にしながら、関連する二、三の課題について質問をしたいと存じます。  公取がきょうはお見えになっておるはずでございますが、この報告書を、昨年の七月から十三回も審議を重ねられて受け取られた公取の立場から、まことにしかるべき報告書が提出されたという受けとめ方なのか、いや、これは研究機関の意見であって公取は別の考え方を持っておるのだ、こういう意見なのか、まず、この報告書を受け取ったときの感想を述べていただきたい。
  62. 岩渕恒彦

    ○岩渕説明員 御説明いたします。  ただいま指摘のありました研究会は、政府規制等の見直し及び関連分野におきます競争確保促進政策について幅広く検討するという観点から、公正取引委員会事務局の依頼によりまして設置、開催したものでございます。したがいまして、本報告書は、研究会が競争政策の観点から取りまとめたものでございます。したがいまして、公正取引委員会としての見解ではございませんが、公正取引委員会といたしましては、この報告書の内容を尊重し、今後の競争政策の運営に生かしていきたい、かように考えているところでございます。
  63. 吉原米治

    吉原委員 研究会の意見をまとめたものであって、公取の直接の意見とは違うかのようにちょっと今お答えを聞いておったのですが、少なくとも、公取の委託機関であるはずでございますから、私は公取の意向が一切この報告書に反映されてないという解釈は当たらないのじゃないかと思うのです。ですからこういう報告書を、競争原理を導入する立場でまとめられた意見は即刻公取の意見というふうに受けとめてよろしいかどうか、その点が確認したかったのです。
  64. 岩渕恒彦

    ○岩渕説明員 御説明いたします。  御案内のとおり、政府規制について、今回の報告書はその緩和を提言しているわけでございます。政府規制は、御案内のとおり各省庁におかれまして競争政策の観点も含めました種々の観点から行っているところでございます。したがいまして、その緩和につきましても、関係各省庁において種々の観点から検討していただくべきものであると考えております。  公正取引委員会といたしましても、この報告書を公表すると同時に、関係省庁にも送付しておりまして、各省庁において政府規制の実施や、また鋭意規制の弾力化等を行われているやに承知しておりますけれども、そういうような実施の参考に資していただきたいというのが公正取引委員会の政府規制に関する第一の考え方でございます。  さらに、公正取引委員会としては、今後具体的にどのようにしていくのかという点につきましては、この報告書の内容等を尊重しつつ、行政調整や法令調整といる立場で、公正取引委員会としての、できる限り競争の余地を残した方がいいのではないかという観点から御意見を申し上げてまいりたいと考えているところでございます。
  65. 吉原米治

    吉原委員 関係省庁の施策に参考にしてもらいたい、そうは言いながら、公取としてはこの報告書を尊重したい、一体公政の意向はどこにあるのか。この研究会を隠れみのにしながら、公取の考え方は別にあって、研究会の報告書を前面に出して何かその陰に隠れようという、私はそんな気がしてならぬわけでございます。きょうは農水問題なんか触れませんよ、運輸委員会ですから。運輸行政に、この報告書の中身を施策にどう具体化しようというのか、その手順はどうなるのですか。皆さんの方から運輸省にこれをやりなさいという命令をする立場なのか、どうぞやってください、お願いをしますという立場なのか、どっちのお立場ですか。
  66. 岩渕恒彦

    ○岩渕説明員 先ほど御説明いたしましたように、競争政策の観点も含め、種々の観点から政府規制を行っておられます運輸省におかれまして、今後政府規制の緩和等を実施していくに際して参考に資していただきたい、こういう立場でございます。
  67. 吉原米治

    吉原委員 あくまでも参考にしてほしいということをはっきり言われました。したがって、皆さんの競争原理を導入するということについて、運輸省側がそれは実は迷惑な話だ、こう言ってしまえばそれまでのことになってしまうのですが、そういうこともあり得るというお考えですか、どうですか。
  68. 岩渕恒彦

    ○岩渕説明員 繰り返しになって恐縮でございますが、政府規制は主管官庁において責任を持って規制または規制の緩和を図るべきものであると考えておりますので、そのようなことがあろうかと思われます。
  69. 吉原米治

    吉原委員 そうしますと、具体的な問題についてお尋ねをしたいわけでございます。  まず、この報告書の中身を見てみますと、一般的に言われております経済的規制、それと社会的規制というものを別の次元にとらまえてこの考え方が述べられておるわけでございます。  つまり経済的規制は緩和しても、その矛盾といいますか、緩和することによって例えば交通秩 序の維持の問題、安全性について問題があるとするのなら、社会的規制をより強化して補完をする、こういう論理に立っておるようにこの中身を見ますとなっておるわけでございます。私どもは、経済的規制と社会的規制というのは言ってみれば車の両輪のようなものだ、こういう認識に立っておりますが、この報告書を受け取られた公取の立場は一体どっちの立場ですか。
  70. 岩渕恒彦

    ○岩渕説明員 御説明いたします。  経済的規制と申しますのは、御案内のことかと思いますけれども運輸でありますれば、あくまで運輸における経済の効率性をいかにしたら確保できるかという観点から種々の規制が行われているものを一応指しているわけでございます。それに対しまして社会的規制と申しますのは、環境の保全、安全性の確保、特に運輸の場合には安全性の確保が重要な問題であろうかと思います。それから適正な労働環境の維持等、これは経済的な効率性とは別の角度から、必要最小限、また適正に規制がなされるべきものであるというふうに考えております。その後者を社会的規制というふうに申し上げているわけでございます。  そしてこの報告書におきましては、環境の保全や安全等の確保を目的とした規制、いわゆる社会的規制につきましては、適正かつ十分に行うことが必要であることは言うまでもないとしておりまして、しかしながら、これは競争制限的な方法によってこういうような環境保全や安全性の確保を図っていくということではなく、直接的な環境基準や安全基準というような競争制限的な効果の生じないような規制によるべきであるというのが報告書の見解でございます。  公正取引委員会といたしましても、規制につきましては、それぞれの状況におきまして当然必要があってできているわけでございますが、その中でもできる限り競争が働く余地を残すような方法をとれないだろうかという観点から、特に経済的規制につきましては、できるだけ競争は残すべきではないかという観点から御意見を、法令調整、行政調整等の場においても申し上げてきているところでございます。
  71. 吉原米治

    吉原委員 後で大臣にもお尋ねをしますので、しばらく公取と運輸省側のやりとりをじっと大臣聞いておいていただきたいと思います。  そこで、参入規制を緩和するということでもって運輸部門、なかんずくタクシー部門にどういう影響が出てくるだろうか、こう考えてみるときに、あくまでも経済的規制の緩和は競争条件を激化させる、こういう立場で経済的規制を緩和したい、こうおっしゃっているわけでございますが、参入の規制が緩和されて一定の条件を具備しておればだれでもタクシー事業というのが営めるのか。言ってみれば、もう一つの経済的規制に、報告書の中で触れられておりますように価格の規制というのがある。参入の規制を緩和する、価格の規制も緩和する、これがタクシー部門に持ち込まれた場合に、受け取る運賃も自由だ、参入も一定の条件を具備しておればだれでもやれる。こんなことになってきますと、昔よくありました神風タクシー、効率が悪いから乗車拒否がそこで起こる、こんなことになりかねないと私は思うのです。いとも簡単に運輸部門のこういう規制を緩和するということが、一体運輸行政上なじむものなのかどうなのか。これはちょっとさっきから公取ばかり聞いておりますから、運輸省側見解をただしておきたいと思います。
  72. 早川章

    早川政府委員 ただいま先生、タクシー、ハイャー、特にタクシーのことを中心に御質問でございますので、タクシーを例に挙げながらお答えいたしたいと思うのでございます。  公正取引委員会の依頼を受けた研究会のお立場というのは、タクシーにつきましては、普通の事業者、バスとかあるいはトラックとかあるいは航空であるとか、そういう非常に事業者そのものが表面に出てくる形の事業体としてタクシーをとらえているように理解するわけでございます。  私どもの理解におきましては、タクシーというもののポイントは、結局運転手さんがその周辺の賃金水準であるとか、労働条件とかそういうものの関係で、事業者あるいは車両がふえるとか、そういったもののリスクをすべて運転手がかぶってしまう産業であるという形で理解をいたしております。したがいまして、運転手さんの労働を見ますと、どんどん自由にいろいろな事業者が入ってくる、車両も自由になるということは、結局一日の売り上げが運転手さんそれぞれが減ってくる、こういうことを意味するとか、そういう極めて特異な産業であるというふうに理解をまずいたしております。  そういう意味で、この研究会がタクシーとかバスとかそれぞれ具体的に抱えております問題、あるいはその事業の特性というものを余り御考慮なく競争原理の導入は正しいのだという形で提言されてくること、こういうことについては、具体的にいろいろ問題を申し上げれば今申し上げたような運転手さんの売り上げの低下、あるいはその結果として無謀な運転に走るとか、長時間の労働に走るとか、そういったさまざまな弊害が出てくるというふうに理解をいたしております。  また運賃につきましても、運輸省は、タクシーにつきましては特に同一地域同一運賃ということの方が利用者の便利、あるいはいわゆる単純明快な運賃ということで利用者の利便に資しているものだ、こういう理解をいたしておりまして、その辺が非常に乱れた形でそれぞれの運転手さんとお客との取引で運賃が決まるとか、あるいは遠距離はこのタクシーが安くて近距離はこのタクシーが安いというようないろいろな実態が出てくることは決して好ましいことではない、こういうふうに理解をいたしておりますので、そういう観点で、現在安定的に推移しております各地域のタクシーの、言ってみますとお客さんとの関係、あるいは事業者の安定的な運営、安全の確保、こういったものについて大きな影響なしとしない、こういう理解でございます。
  73. 吉原米治

    吉原委員 お聞きのとおり、公取の岩渕調査課長、今運輸省考え方を聞かれたと思いますが、報告書の趣旨に沿って運輸省側ほしかるべく具体的に運輸行政の中にこの精神を取り入れてやってほしい、こういう要請をされたとしても、今のような見解なのでございます。特に、今価格の問題、運賃の問題について触れられました。この報告書の中を見ますと、大体二年か二年半ごとに運賃の改定、値上げ申請がされる、今度はその値上げ申請を、同一地域内の業者であって値上げ申請をしない業者がおってもそれを容認しよう、言いかえますと、同一地域の中に複数の運賃制を認めていこうという発想がるる述べられておるわけでございます。そうなってまいりますと、利用者の立場から安いにこしたことはないのです。しかし、安い運賃を期待をして複数運賃制というものを考えておるとするなら、一体結果はどうなるのか。  我々が長年運輸省との間でやりとりをしながら、同一地域は同一運賃でいかなければ、同一事業区域の中で二種類の運賃制度というのは利用者の立場からいうと非常に混乱をする。安かろう悪かろうということに結果的にはなってしまうのではないか。運賃が安いということは、当たり前の人件費を払い、当たり前の車を買い、そして当たり前の燃料費を払って運営する限り、そう原価が極端に違うものではない。にもかかわらず、同一地域の中で安いタクシーと高いタクシー、高いタクシーというよりも認可を受けた料金でまじめにやっておる業者との間に大きな混乱が生まれてくる。お客の方は選別する立場ですから安い方を好むでしょう。しかし、安いからといって乗ってみたけれども車の質が悪い、運転手の対応ぶりが悪い、安いものだから速く長く長距離を飛ばなければ効率が悪いというふうなことで、至って気分の悪い乗り方になってしまう。こんなことが容易に考えられるのですが、そういう現場の実情を見ながら一体学者先生方検討されたのかどうなのか、また報告を受けた公取の立場は、自由化だから、競争だから価格でもって競争させることによってタクシー事業活性化するなどというふうな ことを本気で考えていらっしゃるのかどうなのか、公取の方からもう一回お答えを願いたい。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 岩渕恒彦

    ○岩渕説明員 御説明いたします。  まず、最後の点につきましてですが、この報告書をまとめるに当たりまして、学者先生を中心に研究会をつくっているわけでございまして、いろいろな分野につきまして検討している関係から、必ずしも皆さん運輸行政について精通しているわけではございません。しかしながら、運輸関係についてお詳しい先生も含まれております。また、これを取りまとめるに当たりまして、事業者からヒアリングを行うほか、団体からもヒアリングを行っておりますし、事業者百五十社、消費者等に対しましてもアンケート調査等を行いまして取りまとめたものでございます。  それから、先ほど言っております運賃の問題でございますが、研究会での議論及び報告におきましては、現行のような同一地域同一運賃制では消費者にとっていわゆる競争によるメリットが享受できない、逆に事業者にとっても、経営努力や創意工夫を発推して生産性を向上させ業容拡大を図るというようなインセンティブを失わせているという側面があるのではないかという観点から問題にしているものでございまして、長期的には自主的な運賃ということをうたっておりますけれども、当面の改善といたしましては、割引チケットとか閑散期割引等、少しでも競争を導入するような余地はないのかというような指摘も含んでいるものでございます。  さらに、御指摘がございました、競争が行われた場合には安全性に問題が起こるのではないか、乗車拒否等の問題が起こるのではないか等々の懸念があるわけでございますが、先ほど御説明いたしましたように、報告書ではその手段といたしましては、いわゆる経済的な規制、競争をなくすることによってそういうものを確保していくということではなく、労働時間の規制とか、安全性は安全性で競争制限的な効果を持たないような別の現制の方法があるのではないかということを提言しているものでございます。
  75. 吉原米治

    吉原委員 どうもあなたの認識は、私は当初から経済的規制と社会的規制というのはある意味で車の両輪だ、密接不可分だ、あなたの答えを聞いておりますと、この報告書の精神ずばりで別の次元で問題をとらまえていらっしゃる。競争の原理、私も、今の自由社会の体制の中では一〇〇%否定しません。むだなことをやれと私は言っているわけではない。ところが、同一地域同一運賃の精神というのは、それだけで競争の原理が作用できなくなるかといったら、私はそうは思っていない。むしろ同じ料金であっても、あの会社の車は質がいい、運転手もきちっと応対してくれる、気持ちよく乗れる、そういうことで競争の原理が動いてくるのではないか。しかも今のような状況の中でも乗り合いタクシーだとかワゴンタクシー、あるいはナイトタクシー、救急タクシー、福祉タクシー、それぞれ同一地域同一運賃という規制の枠の中で精いっぱい各業者は競争しておるわけだ。わざわざ参入規制を緩和しなければ競争の原理が動いてこないなどという発想がなぜ出てくるのか、私は不可解でございます。  そこで、横道に入りますが、一週間前の十一月六日に、大阪のステーションMKを調査に行ってまいりました。京都に本社がございますMKというタクシー会社、事業区域外で営業するということで、大阪地域では大変社会問題化しました。近畿運輸局長にお会いしましたら、近畿運輸局もそれなりに努力をされておって、当初問題になったほど大がかりなことはほとんどやっていない。そういう意味では運輸局の努力を私は多とするわけでございますが、この大阪のステーションMKに入りますと、入り口に待合所はございますが、待合室といったって、通常のカウンターがありまして、お酒でも飲めるような仕組みになっておる。入りがけに女性が何と言うかというと、お車ですか、車は予約されておりますかと。六日、先週の月曜日ですよ。普通の喫茶店なら何にしましょうかというのが普通なんですが、車の御予約はお済みになりましたかですよ。  これはまるっきりタクシーの受注をする一種の区域外における営業所、こういう印象を強く私は受けたわけでございまして、いすに座ってカウンターにいますと、こういう「タクシーご利用のお客様へ」というメモ書きがカウンターの上に全部置いてある。これはきのう質問通告と同時にコピーして差し上げましたから大臣も今読んでいただきたいわけですが、「当店は、運輸局よりのご指導によりご予約済みのお客様にかぎり待合所としての運営を許可されております。したがいまして、ご予約がお済みでないお客様は、店外の公衆電話等で、ご予約の上、ご入店下さいます様、お願ひ致します。」喫茶店か一杯飲み屋かわかりませんが、少なくとも、運輸局の指導によってこんなことがなされておったのか。  昼間私は運輸局の局長室でいろいろ事情を聞いた。大変御努力をされておって私どもも意を強うしたのですが、それが終わって、夜の十時から現地、大阪駅の裏側になりますけれども、その待合室なるものに行ってみた。そうしたら入りがけにそういう調子でしょう。カウンターに座ったらこういうものが置いてある。運輸局はこんな指導をしておったのかな。昼間の運輸局長の話とちょっと違うな、こういう気がしましたので、確認しょうがないものですから、運輸省側で確認をしてもらったはずですのでお答え願いたい。
  76. 早川章

    早川政府委員 お答えいたします。  先生承知のとおり、今の道路運送法上は、京都から大阪に実車で入ってきた車が、京都の営業所でたまたま運送引き受けをした、大阪から京都へ戻る、こういうお客さんを輸送するということ、そのために待合室みたいなものがあればそこを利用することについては、法的に特段問題はないということでございます。  しかしながら、紛らわしい行為あるいはさらにやや脱法的に、ちょっと店を外へ出て予約をしてから入ってきてほしいというような誘導をするとか、その種のそういった形での指導、そういうことを指導したということでは全くございませんで、そういうこともいろいろ問題があるから、決してそういうことのないようにしてほしいということを指導いたしたというのが実態でございまして、先生の今のお話のとおり、運輸当局からの御指導で、御予約がお済みでないお客様は、店外の公衆電話等で御予約してください、そういうことをするように指導したということは全くの誤りでございますので、その点申し上げさせていただきます。
  77. 吉原米治

    吉原委員 誤りだと言われただけではまずいので、誤りなら誤りで、そういう指導は今後しないように本省の局長名で、あるいは大臣名の方が重みがあって結構でございますが、こういう紛らわしい指導をしてはまずい、以後その間違った指導は改めるべきだという通達などを出していただける決意がございますか。これはちょっと大臣に聞こうかな、いいですか。
  78. 江藤隆美

    江藤国務大臣 誤ったことは正させるのが至極当然のことであると思いますから、直ちに処置させます。
  79. 吉原米治

    吉原委員 そこでもう一つ、私はこの規制緩和の報告書に関連をしてお尋ねしたいことがあるのです。  一昨日北海道の札幌局に行ってまいりました。ところが、北海道ではタクシーの運転手、嘱託、パート、こういう身分のままで雇用しておるケースが非常に多いのです。  札幌のSKグループと言われております二つの会社にも行ってまいりました。おたくの会社は、嘱託とかパートとかいう身分の乗務員を雇用されておるようですが、一体全体の何割ぐらい採用していらっしゃいますか、会社の、専務ではございません業務部長でしたか、尋ねますと、私のところは約三〇%おります、三人に一人はパートとか嘱託とかいった正規の乗務員でない。もう一つの会社へ行ったら、私のところは四十数%になりますかな、こんな話をしておりまして、いささかも 疑問に感じないというのですかな、それが何が悪いんですかと言わんばかりの応対ぶり。  ところで運輸規則二十五条の六、七、「運転者の選任」という条項があるわけでございますが、この運輸規則二十五条の六、七というものは、運輸省は一体何をねらいとして決められた規則なのか、ここら辺をまず尋ねたい。
  80. 早川章

    早川政府委員 ハイタク事業という事業につきましては、良質な資質を持った労働力とお客さんとの対応その他でございますので、その良質な資質を持った労働力を確保するということが事業基本であるというふうに我々認識いたしておりますので、一時的、部分的にこれらを補完するというような場合はパートの対応ということもあると思いますが、基本的には長期的かつ安定的な労働力等の確保が必要だというふうに理解をいたしております。  またその趣旨が、先ほど先生指摘の自動車運送事業運輸規則二十五条の六及び七、運転者の選任に際しまして、パート等で、ある期間限定等をやることのないような形で進めるという趣旨の条文になっているものと理解をいたしております。
  81. 吉原米治

    吉原委員 わざわざ運輸規則二十五条の六、七で運転者の選任条項が設けられたというのは、今地域交通局長がおっしゃった趣旨だろうと思います。つまり、本雇の乗務員を常時採用しておかなければならぬ。しかも、社内教育も徹底をし、安全対策あるいは乗客との接客態度等々それぞれの会社独自で教育をする必要もあるでしょう。ところが、きのうまでトラックなり炭鉱で働いていた人が、突然パートで結構でございます、嘱託で結構でございます、こういう形でどんどん雇用されるようなことになりますと、この二十五条の六、七の運輸規則は空文化してしまう。二カ月更新はけしからぬが、三カ月更新ならいいじゃないか、あるいは半年更新ならいいじゃないか、こういうことに実はエスカレートしていくわけでございます。  北海道という特殊な地域、最近は炭鉱の閉山等等で大変な地域だと私は思っておりますがゆえに、定年退職をして、第二の人生で六十から六十五ぐらいまで運転手ぐらいはできるからタクシーをやりたい、こういう方が嘱託でお勤めになることは私は大賛成です。ところが、二種免許を持った二十代、三十代、四十代の働き盛りの人が、嘱託——パートという名前はさすがに、私どもが現地に行って会社の首脳部に会いましたら、パートはおりません、嘱託は今言いましたような数字で三〇%、四〇%のウエートを占める、そういう乗務員がたくさんおる、こういうことでございますから、言ってみれば非常に不安定。  その上に、労働基準局にきょうは来てもらっていると思いますが、賃金がオール歩合給制だ。売り上げの四〇%、あるいは四五%のところもあるでしょうが、それが本人の収入になる。深夜労働も時間外も休日出勤も何もない。言ってみれば労働基準法で決められておる賃金の計算がどんぶり勘定で本人に支給されておる。現地で労働基準局次長に会いましたら、好ましい賃金体系とは言えません、また運輸局も、刺激的賃金はだめだということで再三にわたって行政指導をしてきた今日までの経過があります。  これは最初に労働省労働基準局の方から、オール歩合給に対する考え方、好ましいことではないけれどもしようがないなという考え方なのかどうなのか、ちょっとお答え願いたい。
  82. 鹿毛明

    ○鹿毛説明員 お答えいたします。  自動車運転手につきましての賃金体系につきましては、業務の態様から歩合給制をとる事業所が非常に多いということは今先生の御指摘のあったとおりでございます。それで、歩合給の関係についての基準局の指導なり考え方がどうなっているのか、こういうことでございますけれども、私どもの方では「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について」という改善通達がございまして、その中で賃金制度の関係についても一定の改善を図るような指導を行う、こういうことにしているわけでございます。その改善基準の中では、歩合給制度がすべてまずいということではなくて、歩合給制度の中にはその形態によっては無理な運転を誘発し交通事故の原因等になる、こういうようなこともございまして、歩合制の中での累進歩合制というものについてはこれを廃止するということでこれまで指導してきている、こういうことでございます。  それから先ほど、法定外の残業の関係あるいは深夜に働く場合の割り増し賃金の関係がどんぶり勘定になっているではないか、このような観点の御指摘がございました。これにつきましては当然ながら、法定労働時間を超えた所定外の労働時間あるいは深夜に労働させた場合には、給与支払いの中でその部分がきちっと法定の二割五分以上を支払われるような体系にシステムとしてなっていなければ法律に違反するわけでございますので、その点につきましては、どのような賃金体系をとっておれきちっと指導をしていくということでやっているところでございます。
  83. 吉原米治

    吉原委員 法違反があれば厳格に処罰をする。現実に現地の労働基準局の次長さんの話によりますと、職員の不足ということもあるでしょうけれどもなかなか監査が徹底されていない。一定の固定給部分、上乗せするところの歩合給、二階建てになっていれば私も問題にしませんけれども、固定給部分が全然ないわけです。売り上げで幾ら、走って幾ら、もうけて幾らという形がオール歩合給、B型賃金と言っておるようでございます。今私が申し上げた事例は、固定給部分を一定程度支払いながらその上に一生懸命に稼いだ者はそれなりの報酬が得られる、こういう制度でないわけです。しかも身分は嘱託だ、半年更新で気に入らぬ者はいつでも退社、退職してもらって結構です、こういう状況の中で、出先の基準局なり監督署はもっと厳しく法の番人という立場から監査を徹底すべきではないか。私はそういう意味で、現地局に、とかくうわさのある企業、会社等については監査を厳重にやるべきだ、こういう通達ぐらいは出してほしいと思いますが、いかがですか。
  84. 鹿毛明

    ○鹿毛説明員 賃金の問題、労働時間の問題も含めまして、ことしの三月一日付で「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準について」という新しい改善基準を作成したところでございます。この基準に基づきまして、自動車運転者あるいは事業所に対する今後の労働時間等の周知徹底ということを現在やっているところでございまして、それぞれの局では関係事業主あるいは団体等を集めてそういった点での周知徹底を現在やっている、こういう状況でございます。今後ともこの基準に基づきまして、さらにそういった点での周知徹底なり指導に努めてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  85. 吉原米治

    吉原委員 私は一週間の間に二カ所現地調査に行ってまいりましたので、それに基づいて質問をいたしました。あるいは、要請すべき点は要請をさせていただきました。  ところで、質問の本題に戻りたいと思います。  公取の方の報告書によりますと、個人タクシーは三十五歳以上と現在年齢制限が加えられておる、これを今度、二種免許という制限があるのに、何もそれにさらに三十五歳以上なんという年齢制限は要らない、これはもう取っ払え、こういう指摘が出されておりますが、これはどういう趣旨に基づいて取っ払えということに論理がなるのか、その理由はわかっていらっしゃると思いますが、お答え願いたい。もう時間が来ましたから簡潔にお願いしたい。
  86. 岩渕恒彦

    ○岩渕説明員 御説明いたします。  報告書におきましては、タクシー業におきます免許基準のうちの需給要件についてはこれを撤廃すべきではないかというのが報告の中身でございますけれども、その一つとして、個人タクシーにつきましても現在三十五歳以上でなければいけない等々の制限が課されている、これも一面では需給調整的な側面を持っているのではないかということから、不合理ではないかという指摘をしているものでございます。
  87. 吉原米治

    吉原委員 公取はああいう見解に立っていらっしゃるようですが、運輸省側はどうですか。
  88. 早川章

    早川政府委員 先ほども別な御質問でお答えいたしましたとおり、タクシー事業につきましては、運転者の資質の確保ということが行政の一つのポイントでございます。そういう意味で、法人タクシーにつきましては、事業者たる法人を指導監督することを通じまして適正な運転者の確保を行っている、大都市、東京及び大阪におきましては近代化センターという別のチェックの仕組みもつくっている、こういうことでございます。  それに対しまして、個人タクシーを免許する際には、その個人、その方がタクシー事業を行うことがストレートに認められる形になりますので、私どもといたしましては、言ってみますと、その個人の方が運転者としてお客さんに対応するのに十分な資質があるということを行政側で担保していく必要がある、こういう見解に立ちまして、二種免許とかタクシー等運転手としての経験年数、さらに三十五歳というような年齢要件ということがある方が、その方がその後、生涯を通じてタクシー運転手として利用者に対面していく資質の担保がとれていくのではないか、こういう観点でやっている行為でございます。
  89. 吉原米治

    吉原委員 公取の岩渕課長の考え方と運輸省側考え方はどうも真反対の考え方に立っていらっしゃるようでございます。  そこで、最後に大臣見解をただしたいと思いますが、参入の規制を緩和する、つまり、一定の条件を具備しておればだれでもやらせる、これはタクシーに限りませんよ、バスだってそうだしトラックだってそうだ。参入の規制を緩和する。運賃は運賃で最高運賃だけ決めておいてあとは野放しでやらせたらいい、価格の規制も緩和する、こういうことが公取の方から運輸省側に、競争の原理をもっと導入したらどうかという、私は命令をするのかお願いをするのかどっちかと言ったけれども、仮に運輸省側として御相談された場合に、これだけ一定の規制を加えて公正な競争をさせる、運転者にも社会的に認められた賃金を払いながら、余分な砂利トラとか神風タクシーとかいう、走って幾ら、物を積んで幾らというような形で競争を激化させていくということが一体運輸行政の中でなじむ考え方なのかな、私はこういう方向については絶対反対の立場でございます。  そこで、この報告書が発表された翌日の記者会見で運輸大臣は「素人が勝手なことをいって人心を惑わしている。迷惑千万だ」こういう報道がされておるのを読みました。「迷惑千万だ」という意味は、一体どういうことを大臣は頭の中に描かれて記者会見で言われたのか、そこら辺をもう一つ聞いておきたいと思いますのでよろしく。
  90. 江藤隆美

    江藤国務大臣 今たまたま個人タクシーのお話がありましたが、あれで私は思い出しますのは、そもそも個人タクシーというのは、昭和三十四年か五年ごろだと思いますが、年をとっていつまでもタクシーの運転手で勤めておるというのはかわいそうじゃないか、無事故、無欠勤で非常に優秀な人で、もう独立して自分で車を持って、無理をしないで収入を確保しながらぼちぼち余生を安全にやっていこうという人にはひとつ個人タクシーの道を開いて、いつまでもタクシーの運転手というそれから独立させてやったらどうかというところから始まったと私は思っておるのです。例えばそういう歴史を踏まえて今日まで三十五歳になっていたというような歴史を公取は御存じないと私は思うのです。  ですから、今回の発表が公取の事務局から来まして、私はそれを見たときに、これは公取の仕事かな、こう思ったのです。公取の使命というのはほかにあるのではないか。公取の業務を行うのに、内部において諸般の勉強をされ、検討をされるということは至極当然のことで、なさなければならないことだと思います。政府全体としては、臨調、行革審に始まってさまざまの規制緩和を行い、合理化を図ろうとしておる。また、この委員会においても物流二法を提案して、皆様の御審議を煩わせようと努力もしておる。そういうことを、たまたま先ほど答弁がありましたが、必ずしも専門家じゃなくて、中には専門家がいらっしゃるというお話でありまして、そういう人たちが原局である運輸省に対して何の意見を求めることもなく、現況の調査をされることなく、バス、トラック、ハイヤー、タクシーから航空に至るまでそういう提言をなさるというのはいかがなものか。これが民間からの提案であるならば、私はそれは一つの提案として受けとめるにやぶさかではないと思うのです。政府部内においてもろもろの改革を進めようというさなかに、関係のないと言っては大変恐縮でありますが、いささか権限を越えるがごとき行為を行われることは、行政全体の立場からして人心を惑わすことになるのではないか、私はこういうことを思いましたから迷惑千万、こう言っておるわけです。  しかも、私は着任以来言っておりますことは、少なくとも運輸行政というのは許認可行政の上に立って進める役所であってはならない、あくまでも陸海空にわたって国民万般の安全と利便を図りながらサービスの万全を期していくのが運輸行政だ、私はこう思っておりますから、いやしくも許認可行政の上にあぐらをかいたと言われるような行政官庁であっては断じてならぬ、あくまでも利用者、事業者のことを考えてこの行政は行わなければならない、こういうふうに私は常がね申し上げてきたところであります。  したがいまして、重ねて申し上げますが、公収が内部においていかなる検討、勉強をされようともそれは御自由であります。しかし、公取は行政官庁ではないはずでありますから、事をされるときには周囲の関係する省庁の意見も十分間き、そして政府全体としての足並みを乱すことなく行動されることが正しいことであろう、こう考えておりましたので、あのような発言を申し上げたという次第でございます。
  91. 吉原米治

    吉原委員 最後に大臣の高邁な御信念を披露していただきまして、大変心強く思っておるわけでございます。どうかひとつその高邁な理論に立って運輸行政に御努力されるように強く御要請申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  92. 島村宜伸

  93. 緒方克陽

    緒方委員 お昼の時間にもなりましたので、できるだけ簡単に済むように、時間をオーバーしないように努力したいと思います。  交通事故死一万人という状況の中で、当運輸委員会でも交通事故防止の問題、いろいろ重要な問題でありますが、その中でも事故後の紛争の処理の問題について対策が立てられなければならないわけであります。その一つの機関として交通事故紛争処理センターというのがあるわけでございます。これは総務庁の方にお尋ねするわけでありますが、これがせっかくできているわけでございますが、全国で高等裁判所が設置されているところにだけセンターがあるということで、距離的な関係あるいは日時的な関係で有効に機能していないという面があるのではないかということで質問をいたします。  そこで、この交通事故紛争処理センターが設置されているわけでありますが、今日の全国的な紛争処理の申し込み、それから処理をされている現状あるいは未解決で裁判に行ったような問題、そういう問題の現状について総務庁にお知らせを願いたいと思います。
  94. 堀才大

    ○堀説明員 お答えいたします。  交通事故紛争処理センターにおける過去五年間の相談の延べ件数でございますが、昭和五十九年度九千七百八十六件、昭和六十年度一万五百四十五件、昭和六十一年度一万一千六百五十三件、昭和六十二年度一万二千百六十四件、昭和六十三年度一万二千四百四十五件と増加傾向にございます。  また、相談を受けたものの処理につきましては、昭和六十三年度で見ますと、示談の成立が千九百三十四件で約四四%でございます。それから審査会申し立てでございますが、二百九件で五%でございます。その他二千二百六十四件、約五一 %となっておる状況でございます。
  95. 緒方克陽

    緒方委員 それで、時間の関係で私の方で数字を言いますからそのことについて間違いないかどうかということで、昭和六十三年度福岡支部、福岡にあるこの処理センターでは、持ち込まれたのが福岡が四十一件で、継続が三百五十三件、熊本が一件、宮崎が一件それから山口が一件でありますが、その他のところは六十三年度ではゼロであるということ、沖縄に至ってはいわゆる継続の部分も一つもないということになっているわけですね。  そういたしますと、この交通事故紛争処理センターの目的で、手続、審理費用や期間の関係に非常にいろいろかかるので、そのために設けましたというふうになっているけれども、遠隔地である鹿児島とか、あるいは沖縄に至っては来るだけで飛行機代も含めて大変な問題がある、実効が果たされていないということがここで出ているわけですね。  したがって、私が申し上げたいのは、今の数字が間違いないかどうかということと、もう一つはそんな状況であればあるだけ、いろいろな予算的な関係もありますが、遠距離のところにつくるとか、あるいは出張してでもやるとか、各県につくるとか、そういったことが検討されなければ、これは結局福岡の人たちだけの紛争処理センターになっているのではないかというふうに思うのですが、その辺についてお答えを願いたいと思います。
  96. 堀才大

    ○堀説明員 お答えいたします。  昭和六十三年度の九州各県の相談件数でございますが、福岡が三百五十三件、佐賀が十五件、大分か十四件、熊本が十六件、宮崎が七件、長崎が三件、鹿児島が二件、山口が四件でございます。過去五年間で見ますと福岡県が九割程度を占めておるというところでございます。  先生指摘の遠隔地への支部の設置につきましては、やはり多数の弁護士及び法律家の協力が必要でございます。そういう点とか、それからセンター運営のための財政的、人的な手当てができるか等多くの問題を検討解決しなければならないものと存じておるところでございます。他方、政府におきましては、昭和四十二年以来被害者救済のために交通事故相談所というものを都道府県と政令指定都市に設けておりまして、こちらの方で交通事故相談活動を鋭意やっておりますので、その辺もよろしくお願いしたいと思う次第でございます。
  97. 緒方克陽

    緒方委員 それで、具体的に各県に交通事故相談所を設けているという話ですが、そこでなかなか解決をしないもので、より難しい問題を解決するためにということで、わざわざこういう処理センターの業務案内までされて、時間と金がかかりません、来てくださいという宣伝をしているわけですね。しかし沖縄などでは飛行機で来るということ、時間などで実際にはそれが活用できないという現実があるのに、それは一切放置するというのはいかがなものか。そういう率直な声についてやはりこたえるべきじゃないかというふうに思うのです。例えば出張してやるということもできないのかどうかということについてお尋ねいたします。
  98. 堀才大

    ○堀説明員 先生指摘のように交通事故紛争処理センターから出張して、これは嘱託弁護士が大体和解のあっせんをやっておるわけでございますが、和解のあっせんで済まない場合には、審査会に嘱託弁護士とそれから審査員が三人入りまして審査をいたしておるという状況でございます。今の段階では沖縄への出張とか、その辺はまだ考えておらないところでございますが、御指摘の点、私ども今後いろいろ検討してまいりたいと存じております。
  99. 緒方克陽

    緒方委員 それでは、御検討いただくということですから次の項目に移ります。  次はCO2、二酸化炭素などによる地球の温暖化と運輸産業のかかわりについてお尋ねをしたいと思います。  フロン問題もいろいろ議論されておりますけれども、地球温暖化が近い将来の問題として非常に議論をされるようになりました。つい先日もオランダにおいて開催された環境大臣会議で、炭酸ガス排出量の規制目標については、多くのいろいろな議論がありましたけれども、先進工業国が二〇〇〇年までに一定の水準に凍結するということで、数字は明確でありませんが、そんな方向で歴史的な会議の幕を閉じたわけであります。世界の中でもアメリカ、ソ連、中国に続いて日本は第四位ということになっておるわけでありますけれども、二〇〇〇年に向けた対応が急がれなければいけないと思うわけでありまして、総論賛成、各論反対ではいけない問題ではないかという意味で、積極的に先取りをして対策検討、研究をすべきじゃないかと思うのです。  そこで環境庁にお尋ねをしたいと思いますが、我が国の各種の経済活動から広く発生をしております二酸化炭素の発生総量と運輸産業の排出量、これは推計ということで出ているようでありますが、どれぐらいの数字になっているかということについてお知らせを願いたいと思います。
  100. 唐沢正義

    ○唐沢説明員 お答え申し上げます。  化石燃料の燃焼に伴います二酸化炭素の排出量の把握の問題でございますが、これにつきましては今後とも精密な分析が必要であるというふうに考えられるわけでございます。私どもが現在入手しております我が国の最新の総合エネルギー統計を用いまして私どもが試算いたしました結果について御紹介いたしますと、昭和六十二年度の二酸化炭素排出量でございますが、全体として約二億五千九百二十万トン、それから運輸部門からの排出でございますが、これが約五千三百六十万トンというふうな推計を私どもいたしておりまして、この運輸部門のウエートでございますが、これは約二一%程度というふうな、これはあくまでもまだ推計の結果でございますが、こういう結果を現時点で得ているところでございます。  なお、今申し上げました数字は、いずれも炭素換算量というふうなことで推計した結果でございます。
  101. 緒方克陽

    緒方委員 二一とか二二とか二三とかいう数字がいろいろあるようでありますが、いずれにしても四分の一に近い数字であります。  そこで、大臣お尋ねしたいわけでありますが、政府は今年の九月に各国の専門家を招いて地球環境保全東京会議というものを開催いたしまして、海部総理みずからが演壇に立たれまして、世界に貢献する日本、地球環境への積極的な取り組みを表明をされております。しかし、その後のいろいろな行動は、今度のノールドベイク宣言における日本政府の発言、動きあるいはワシントン条約などについても、評判ははっきり言って余りよくないというのが現状のように私は認識しております。  日本全体の四分の一まで行かないけれども、それに近い量を排出している運輸産業というのは、まあ確かに日本の産業を支える重要な基盤ではありますけれども、やはり排ガス規制の強化とか、あるいはリゾート開発で自然を守るというようなことについても一定の歯どめをすべきだし、省エネルギーの推進という立場でノールドベイク宣言の先取りをするというようなことも必要ではないか、これはことしの通常会の大臣の所信表明の中にもそういう姿勢が言われているわけでありますけれども、そんな意味で、困難はあろうともやはり積極的に取り組むべきではないかというふうに思うのでありますが、その辺について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  102. 江藤隆美

    江藤国務大臣 環境保全というのは世界的な今日的課題でありまして、仰せのとおり国際会議もございましたし、また閣内においても環境保全にかかわる関係閣僚会議も持たれまして、それぞれの省庁でもって積極的に取り組んでいこうという方針で進んでおるわけでございます。  申し上げるまでもありませんが、日本は排出ガスの規制でもあるいはエネルギー効率の面でも世界最高水準にある、こう言われますけれども、土地が狭隘である、道路の整備はいまだしであるとい うことで渋滞が年々続いていくわけでありますし、特に物流の主体が大型トラックに移行してきたということ等を考えますと、これからもやはりこういう排出ガスの規制ということについてはよほど慎重に取り組んでいきませんと、悪くはなってもよくはなる方向は出てこないと私は思っておるのです。  したがいまして、これから代替エネルギーの開発あるいはまた鉄道による大量輸送というものをもう一度見直したらどうだ。それから、これは自動車産業というのを管轄しておるわけでありますから、やはり排ガスの少ない効率のいいそういう車をつくるための努力をやっていく、あらゆることをして、そして運輸が直面しておりますそういう二〇%以上、四分の一近くのその責任を負わされておるということは大変残念なことでありますから、運輸省の一つの大きな課題としてこれから取り組んでまいりたい、こう考えておるところでございます。
  103. 緒方克陽

    緒方委員 大臣の積極的な発言をお聞きしまして、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。  そこで、いま一つ進めたいと思うのでありますが、そういうことで運輸省としても今年度からですか、「地球温暖化防止等に資する運輸部門のエネルギー対策推進方策の検討調査について」というのを運輸省からいただいたわけですが、今年度、平成元年度が六百万、そして来年度が一千四百万程度の予算で調査をされるということになっておるわけでございます。  これを見ますと、エネルギー対策を省エネルギー対策と代替エネルギー対策ということで、言うなればそこで絞っていくのだということになっておりますし、その中で、(C)の中に「温室効果ガスの負荷の小さい輸送機関への需要転換」ということが言われているわけでありますけれども、省エネ対策ということをやるだけで、一生懸命やっても実際は二酸化炭素の排出量は制限できないというような壁に、それでいく限りではやはり壁を破れないのじゃないか、もっと大きな発想というものが必要じゃないかというふうに思うわけです。  そういう意味で言いますと、この調査の「内燃機関の熱効率改善」などということの中に何かそんなことも入っているのだというような話のようですが、もっと先取りをした調査というものをやるべきではないか。量的規制とか大型車の問題も今いろいろ取り上げられております。みんないい車、すばらしいスピードが出る車がいいのだいいのだということで次々なっているわけですが、それでいいのだろうかということもやはり考えるべきだし、ノールドベイク宣言で総量規制がされれば、もちろんそれに基づいてNOxのように運輸省としてはやられるということのようですけれども、それ以前にいろいろな意味でも検討されるべき課題ではないかということで、調査項目の中に大型車の規制であるとか、大型車がこれでいいのかどうかということとか、二酸化炭素の量的規制の問題などについてももう少し前向きに研究をされるべきではないかというふうに思うのですが、その点についてお尋ねいたします。
  104. 中村徹

    中村(徹)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話のございました地球の温暖化防止等に資する運輸部門のエネルギー対策推進方策の検討調査というのは、平成二年度に私ども要求をいたしておりまして、ぜひ予算を得て調査を実施してまいりたいと思っておりますが、この目的は、省エネルギーあるいは代替エネルギーということに目的を絞って、これ自体は調査してまいりたいと思っておりますので、ちょっと最後に先生おっしゃられましたのはなかなか難しいかなという感じもいたします。しかし、全体に御指摘になられました問題について運輸省としては取り組んでいかなければいけないというふうにただいま大臣から御答弁申し上げましたように考えておるわけでございまして、このCO2の排出を抑制していくという観点での政策をどういうふうに運輸省としてとっていくかこれから十分検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  105. 緒方克陽

    緒方委員 確かに、ここの予算項目というのは、地球温暖化防止に資する運輸部門のエネルギーの対策推進方策ということですから、ちょっともう少し上の次元で考えられるべきで、大臣答弁いただきましたから、そういう点で、例えば運輸省の政策局とかいろいろなところも含めての検討になろうかと思いますので、そこらはそういうことでぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  ガスばかり続いて恐縮でありますが、時間を節約する意味であと二つだけ簡単に質問いたします。  実は、本年の五月二十三日の当委員会で自動車の排気管の位置の問題、細かな問題ですが質問させていただきました。実はこれは高速道路が次々に進みまして、高速道路の料金収受員の健康の問題もあるということで道路公団でもいろいろ対策をされているようですが、やはりそれだけでは不十分だということで、排気管の位置だとかいうものを含めてぜひ検討、研究していただきたいということで運輸省に要請をいたしました。その後検討されたというふうに聞きましたし、私もトラックの発進の際にどういうガスの状況かというビデオも運輸省から見せていただいたのですが、それは荷物を積まない状態でありまして、実際に荷物を十トンでも積むともっと激しい状況で出るのじゃないかと思います。運輸省としては排気管の方向について業界等も含めて検討したいということで言われておりましたので、その検討の結果について、あるいは今後の取り組みについてどういうふうにされているかということについてお尋ねしたいと思います。
  106. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答えいたします。  今先生指摘ございましたトラックの排気管の開口部の向きにつきましては、先般の国会で御指摘がございました。それを受けまして、日本自動車工業会に対しまして調査検討を指示してまいったところでございまして、そこで料金徴収所を模擬しながら、実際の車を使いまして実車試験をしました。その結果を申し上げますと、排気管開口部の右向きの角度が十度とか二十度とかだんだんふえてまいりますと、トラックの右側にございますところの料金徴収に携わる方々への排気ガスの影響が大きくなることが明らかになったのであります。  したがいまして、現在排気管は、一般的には車種の間で部品の共通化を図っているということから、型式ごとに異なったケースで同一構造の方式のものをとっておりますけれども、工業会におきまして、このたびの実車試験結果に基づきまして、今後は各型式ごとにきめ細かに、タイヤだとかあるいはブレーキタンクだとか燃料タンクといった床下の機器などの構造装置への影響を考慮しながら、最適な排気管開口部の向き、角度といいましょうか、これを設定する方向で年内を目途に取りまとめておられるということを伺っております。したがいまして、運輸省といたしましては、本件について日本自動車工業会における排気管の開口部の向きに関する技術検討結果を踏まえまして、トラックの排気ガスが料金徴収に携わる方々へ与える影響を極力軽減するよう、工業会を指導してまいりたいと考えております。
  107. 緒方克陽

    緒方委員 そういうことでぜひ取り組みをお願いします。  それで最後ですが、道路公団お見えになっているでしょうか。——同じ五月二十三日の委員会で、そういうトラックの方からの出る側の規制と同時に、料金徴収所ではいろいろな職場環境保全のために、エアカーテンであるとかあるいはその他のいろいろな設備をされているようです。工業会、運輸省ですか、やられたテストでは、料金をもらう手すりのところに棚をつくりますと随分違うというような結果が、実際ビデオで見てあったわけであります。そんなことで、そういうものも参考にしながらしていただきたいと思うのですけれども運輸省としては機能の強化と設備箇所の拡大を図ってまいりたいということで五月に御答弁いただいておりましたが、まだ半年ぐらいでございますが、その検討結果はどんな状況なのか、 お答えを願いたいと思います。
  108. 廣瀬好宏

    廣瀬参考人 料金所におきます排ガス対策につきましては、先般先生に既に御説明申し上げたのですが、従来から交通量などを勘案しつつ、料金所に換気のための空調設備あるいは排気ガスの室内への侵入を防ぐためのエアカーテン、飛散送風機などを設け、さらに順次これら設備の機能の強化にも努めるなど、所要の対策を進めてきたところでございます。本年度につきましても、新たに十六料金所に空調設備などを設ける予定でありますほか、二十八の料金所におきまして、従来の設備の機能の強化をした新型の設備に更新することといたしております。現在、それらの作業を進めているところでございます。なお、今後ともより一層の職場環境の保全を図ってまいりたい、こう考えている次第でございます。よろしくお願いします。
  109. 緒方克陽

    緒方委員 三十五分になりましたので、時間に協力する意味でこれで終わります。
  110. 島村宜伸

    島村委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ────◇─────     午後一時三十四分開議
  111. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。長田武士君。
  112. 長田武士

    長田委員 まず私は江藤運輸大臣に、鉄道共済年金問題、次に旧国鉄の長期債務の返済問題、加えまして都市交通問題などについてお尋ねをいたしたいと考えております。  まず、国鉄共済年金の問題でございますけれども、御案内のとおり鉄道共済組合は六つの旅客鉄道のほかに新幹線鉄道保有機構等の職員によりまして構成されておりまして、組合員数は昭和六十二年度末で二十二万人と言われておるわけであります。これに対しまして年金受給者数は約四十七万人に達しておりまして、受給者の現役組合員に対します割合は二一七%と、現役一人に対しまして二・一七人の受給者となっておる現状でございます。このため、六十二年度の収支状況は、収入が約八千億円、これに対しまして支払いが八千九百億円と、年間で九百億円の赤字が出ておる、こういう状況でございます。こうした厳しい状況は今後とも加速されまして、平成二年度以降の赤字額は年間約三千億円と予測されておるわけであります。こうした鉄道共済の窮状に対しまして、国鉄改革を進めてこられました江藤運輸大臣、このような状況の救済について基本的にどういうふうなお考えを持っていらっしゃるか、まずお尋ねをいたします。
  113. 江藤隆美

    江藤国務大臣 国鉄年金が行き詰まりまして、第一回の調整をやったときは昭和六十一年だったと思いますが、その当時私は国会対策委員長をやっておりまして、野党各党の中にもいろいろ異論がありまして、あれを取りまとめるのに各関係者の皆さんから随分とお骨折りをいただいたことをきのうのことのように覚えております。それがとうとう自分の責任になったなという受けとめ方を今しております。  その当時から、もう今日になれば財源が不足してくるということはわかり切っておったことでありました。したがいまして、将来の年金統合ということを前提として二つの方法、すなわち、御承知のように自助努力と、それから各種年金の地ならしとしてのいわゆる救済措置、千五百五十億、千四百五十億、合計三千億を来年拠出して、そして当面支払い不能になるようなことは避けようということで全力を挙げておりまして、ただいま国会にもそのお願いをいたしておるわけでございますので、早急に御審議を願うようにお願いをしたいと思っております。  とにかく今日はもう年金生活の時代に入ったわけですから、三千億金が足りなかったから三分の一年金をカットするよということもできません。ましてや、今おっしゃいましたように現役に対して年金受給者が二・一七倍という状況ですから、それなら掛金を三倍にするかということもできないわけでありますから、何としても今回のいわゆる年金法の見直しの中でこれらのことが国会で御審議され、早く成立させていただくことが年金受給者に対して安心感を与えるのではないか、こう思っておるところでございます。
  114. 長田武士

    長田委員 大臣今お答えになりましたけれども、この救済問題について、国の負担と責任がもう一歩明確ではないという指摘もあるわけなんですけれども、その点はどうお考えでしょうか。
  115. 江藤隆美

    江藤国務大臣 実は本会議でも質問がございまして、国が負担すべきではないかという意見がございました。しかしながら、国鉄清算事業団が年間八百億、五年間にわたって四千億負担するわけでありまして、これはとりもなおさず結局は国の将来負担にかかわることでありまして、こういう方法を実は考えたわけであります。といいますのは、国鉄年金だけに特別の国の拠出をするということはバランス上も適当でない。それから、御案内のように、JR各社から二百億ずつ、五年間で約十千億の拠出を願う。JRも今一生懸命民営化をしてやっておるさなかでありますけれども、これをやりますと、恐らくJRのいわゆる年金負担というのは民間団体と比べて格段に高くなるものであろう、こう考えますが、この非常事態でございますから、そうした意味で何らかのことをやろう、それは結局は国の負担にかかわることである、こういうふうに御理解をいただいたらと思っております。
  116. 長田武士

    長田委員 次に、旧国鉄の長期債務の返済問題についてお尋ねをしたいと考えます。  先月、十月二十四日に運輸省は、旧国鉄の分割・民営化二年目、昭和六十三年度の改革実施状況をまとめました。そして国会に報告をしておるわけであります。それによりますと、旧国鉄の長期債務は、分割時点で三十七兆一千億円のうち、二十五兆五千億円を引ぎ継いだ国鉄清算事業団への債務はこの一年間でさらにふえ続けまして、最終的には二十六兆九千億円に赤字が達しておる、こういう報告がなされておるわけであります。これにより新幹線保有機構が引き継いだ債務を含めた長期債務の総額も前年度より二千億円くらいふえまして、三十七兆五千億円という膨大な金額になっておるわけであります。これはすなわら国鉄清算事業団が年間一兆円を超す利払いの負担にあえいでいる、それが主な原因であろうというふうに私は見ております。このままでは清算事業団の債務は明年、九〇年度末には約二十七兆九千億円に膨らんでしまうという最悪の見通しも出されておるわけであります。  こうした旧国鉄の長期債務の状況について、またその大部分を引き継いだ国鉄清算事業団の債務返済につきまして、大臣は率直にこの清算事業団の赤字を解消する方途をどういうふうにお考えでしょうか。
  117. 江藤隆美

    江藤国務大臣 長田委員指摘のように、清算事業団だけでも二十七兆の長期負債が生じて、その利払いだけでも年間一兆五千億実はふえていく。三年たちますと四兆五千億ですから、防衛予算が来年度四兆一千億と考えますと、防衛予算をはるかに上回るものがたった三年間で利払いだけで出てくる、こういう異常な状態にあるということに、私どもは非常な責任を実は感じておるところでございます。  したがいまして、持っております国鉄事業団の用地の売却あるいは用地の利用による収入増、もろもろの工夫をしなければならないわけでありますが、いろいろな規制がかかっておりまして、地価高騰の原因になるなどということもございまして競争入札という原則はなかなか生かされないという状況にある中で、今いろいろな創意工夫をいたしているところでございます。詳細についてはお尋ねがあればまた総括審議官から御説明させていただきますけれども、そういう土地の売却、それからJRの株式の処分ということが大きな二本の柱であろう、こういうことを考えまして、もうすぐ年が明けるわけでありますから、そういう国鉄用地の処分等についても大まかなところどうし たいということぐらいは年内にまとめることができないかなということで、今鋭意作業も進めておるという状況でございます。
  118. 長田武士

    長田委員 清算事業杉浦理事長、おいでですね。——事業団としてはどうでしょうか。
  119. 杉浦喬也

    杉浦参考人 ただいま運輸大臣からお話しのとおり、私ども、最大の使命でございます長期債務の償還に向けまして一生懸命やっておるわけでございますが、諸般の事情によりまして、特に自主財源である土地の売却がなかなか予算の金額どおりに進んでおりません。その結果といたしまして債務がふえておるという状況、このまま推移いたしますとゆゆしい事態になるという認識を私どもは持っております。なかなか事業団だけでできない、政府にお助け願わなければならぬ点もたくさんございます。今運輸大臣がおっしゃいましたように、先日も各関係の閣僚会議によりまして本問題を御検討いただいたというふうに聞いておるところでございますが、何らかの方向を近々お出しいただきまして、私どもは懸命な努力を続け、その償還に邁進してまいりたいというふうに思っておるところでございます。  また、当面の最大のネックでございます公開競争入札、特に監視区域における公開競争入札ができませんので、これを何とか打開したいと思うのでございますが、それにかわるべき方法、一つは前から要望がございます地方公共団体への随意契約、それからもう一つはいわゆる地価を表にあらわさない方法、例えば土地信託制度の活用等々、そうした創意工夫を凝らしまして事態の打開を図りつつ自主財源の確保に今後とも最大限努めてまいりたいというふうに考えております。
  120. 長田武士

    長田委員 大臣も御答弁されましたけれども、いろいろな制約があったりいろいろな規制がある、そういう点は私十分理解するのでありますけれども、実際、財政事情というのは大変厳しい状況に置かれておるということはだれが見ても明らかであります。そういう点、杉浦理事長、長期的な計画を持たれまして、何年度くらいにはこの債務は完済するとか、そういうめどは立っていらっしゃるのでしょうか。
  121. 杉浦喬也

    杉浦参考人 お答えいたします。  長期債務の償還計画につきましては、法律上、政府の方でまずその償還のための基本方針が定まっております。この基本方針では、いわゆる自主財源でございます土地、JR株式等の適切かつ効率的な処分を進めるということで、最終的にはなお残る債務について国民負担がかかってくるわけでありますが、これをできるだけ軽減せいというようなことが言われておるわけでございます。  そこで、それの具体的な長期債務償還計画というものが立てられなければなりませんが、この償還計画のための支出及び収入の両面にわたりまして長期に策定をするいわば材料がある程度固まりませんとこれはできない。その材料につきまして、これもただいま申し上げました政府の方の基本方針の中にうたわれておりますように、私どもがやっております雇用対策あるいは用地売却等の状況の見通しがある程度固まってきた段階で、政府側も財源を含めこれを検討、決定するものとするというふうに決められております。雇用対策につきましては、来年の三月、三カ年間の期限が参ります。したがって、現時点である程度の見通しを立てることができるわけでございますが、用地処分につきましてはなかなか見通しが難しい。  もう一つは、JRの株式の売却につきましてもやや見通しが出てまいりましたが、なお現時点におきましてはいつからというふうになかなか断定ができない状態でございます。したがって、時間がもうちょっとかかると思いますけれども、そうした時期に政府の方で、あるいは我々と御一緒にこの長期ビジョンにつきまして策定が可能になってくるというふうに思うわけでございまして、現時点で何年くらい、いつごろをめどにしてどういう金額をどうするというふうにはまだちょっと申し上げることができない状況でございます。  しかしながら、そうも言っておられません。ある程度の見通しもつけつつ邁進をしなければなりませんので、これは先ほど運輸大臣お話しのとおり、来年度の予算案を決めるような時期、本年中にある程度の見通しを立てるべく今政府で御検討願っているというふうに聞いておるところでございまして、そうした過程の中で中期的な展望と言っていいかと思いますが、その辺が明らかにされてくるものであるというふうに私ども期待をしておるところでございます。
  122. 長田武士

    長田委員 これだけ膨大な債務があるのですから、もうちょっと具体的に国民の前に、事業団としてはこのような計画を持っておるということを早急に明確にする必要があるであろう、私はこのように考えておりますから、いろいろな制約があって大変だろうと思いますけれども、ぜひひとつ早急にやっていただきたいと思っております。  それから、私たちが町を歩いていますと、旧国鉄の跡地が清算事業団に移管されておりますけれども、草ぼうぼうになってさくで囲われているというようなことで、国民の目から見ると随分遊休させた土地が旧国鉄にあるのではないか、何とか利用する方法はないのかという声も実は聞くわけですね。例えば駐車場にあれを提供したら月どのくらい出るだろうかとか、素朴な疑問が出ております。そういう観点から清算事業団としても、膨大な旧国鉄の土地があるわけですから、利用方法というものを、収入の道を具体的に考えられたらどうなのでしょうか。例えば汐留の貨物跡地なんかは今何に使っていらっしゃいますか。
  123. 杉浦喬也

    杉浦参考人 用地の活用に当たりましても、実はそこの用地には大部分線路が敷かれておったり、あるいは上屋がついておったりして、そういうものを撤去いたしませんと処分ができません。したがって、今まで撤去できるものは大いにいわゆる基盤整備を行ってまいりました。汐留、新宿等におきましてその辺の全貌があらわれまして、非常に平たんな用地が貴重な財産として皆さんの目にとまるように相なってまいりました。私どもそうした用地をできるだけ処分の方向に向けて早く計画を練り、処分に持っていきたいわけではございますが、その間若干の時間がございますので、この処分をする前にも貴重な財産を利用、活用するという方針で臨んでおるところでございます。  例えば、今お話しの汐留におきまして各種のイベントを実施し、その実施主体から利用料をちゃんといただく、あるいは駐車場にそれを提供するというようなことで、土地売却に比べて非常に少ない金額ではございますけれども、できるだけ利活用による収入を上げまして、絶対に自主財源の一助にしなければいけませんので、そういう面で努力をしつつあるところでございます。  なお、まだかなり空き地が目立つという点もございますので、私どもはそれらをこれから十分に活用していきたいというふうに思っておるところでございます。
  124. 長田武士

    長田委員 今理事長おっしゃいましたけれども、汐留なんかは今サーカスをやっているのではないですか。そうでしょう。私この間ちょっと見に参りましたらサーカスをやっている。あそこは二十一・六ヘクタールくらいあるのですね。非常に広大な土地でありますから、例えば民間の皆さん方が非常に駐車場に困っていらっしゃる、そういう現状を踏まえまして駐車場に提供するとか、あるいはテニスコートがないとか、あるいは野球をやる広場がないとか、そういういろいろな問題等ありますから、できれば野球場とかテニスコートとかあるいは駐車場とか、そういうことに清算事業団が積極的に乗り出すことが、確かに一生懸命赤字を埋めるために、債務を返済するためにやっておるということがどうも国民の前に映らないのですね。何となく親方日の丸的な運営の仕方ということがどうも国民の目に映るということでうまくないのではないか。最終的には国民の税金によって負担なするような結果になりやすいのでありますから、そういう点は理事長、もうちょっと積極的にやられたらどうでしょうか。民間だったら遊ばせておきませんよ。何とか収入の手だてを考えますよ。そういう点が甘いんだよ。その点ど うでしょうか。
  125. 杉浦喬也

    杉浦参考人 なかなかどうも役所体質が抜けない点も御指摘のとおりございます。一つの方法といたしまして、私どもじかにこれを管理するということでなしに、汐留企画株式会社というものを私どもの出資によりましてつくりまして、その会社が今御指摘のようにサーカスあるいはイリュージョンの催し物、現在行っております住宅展示場の催し物、こういうような催し物を誘致いたしましてこれを積極的に活用する、そういう業務を含む会社を先日つくりました。その会社に関係の人が集合いたしまして、今何とか稼ぎ出そうということで努力を始めているところでございます。これから一生懸命御趣旨のとおりやっていきたいと思っております。
  126. 長田武士

    長田委員 次に、JRの各社は、特に本州三社の業績は好調でございまして、株の上場については不安はないというふうに私は聞いておるのでありますけれども、特にJR東日本、東海の株はいつごろ上場される予定なのか。新聞報道によりますと、一九九一年度には上場できるのではないか、このような報道がされておりますが、だれがどこで決められたのでしょうか。
  127. 江藤隆美

    江藤国務大臣 昭和六十三年度の決算時点ではまだ上場の条件が整っておりませんでした。私は、一刻も早く上場して売却することが必要だ、こう思っておりますから、一番準備の整う東日本それからJR東海、この二社については、何とかして平成三年度には上場して株式の売却ができないかということで今準備を実は急がせておるわけでございます。その他のものについては、順次準備が整い次第、やはり株式の売却を進めて長期債務の返済に充てたい、こういう方針でおるところでございます。
  128. 長田武士

    長田委員 長期債務の返済問題について何点かお尋ねをいたしました。現状ではなかなか厳しいという状況ではございますけれども、どうかひとつ努力をしていただきたいと考えております。JRが一日も早く民間会社並みの経営感覚を身につけられて立派な会社になってほしい、そういう願いを込めて私は今申し上げたわけであります。  そこで、例えば一つの構想といたしまして、JRの鉄道用地の高度利用といたしまして、鉄道用地の上に住宅や公共施設あるいは商業施設をつくったらどうかという考えを持っております。この問題については、昭和六十二年五月に参議院の予算委員会で我が党の広中議員が取り上げております。今後十分に検討しなければなりませんが、新しい土地利用のあり方といたしまして着目に値するのではないか、私はこのように考えております。  すなわち、旧国鉄の跡地ばかりをねらうのではなくて、全く新しい鉄道用地の上に建物を建てるという考え方でございます。これは、首都圏では住宅に悩むサラリーマンのためにも非常に有効でございますし、過熱する土地問題、住宅問題にも一石を投ずるのではないか、私はこのように考えております。実現の場合にはJR各社の収益が上がりまして、今お話がありましたJR株の評価も高くなるのではないか。それはすなわち長期債務の返済にも大きく寄与できる、私はこのように考えております。こうした提案につきまして、江藤運輸大臣、お考えがございましたらお答えをいただきたいと思います。
  129. 江藤隆美

    江藤国務大臣 ちょうど昭和六十一年に住宅整備五カ年計画を私が建設大臣のときに実は立てたわけでありますが、そのとき一番難儀をしたのは実は土地の問題であります。農地の宅地並み課税ということもよく言われますし、都内の規制緩和ということもいろいろとウォーターフロントの開発とともに議論されてきたわけですが、御意向のような鉄道線路の上に何とかならぬかということで、実は試みに上野から西日暮里までの上に人工地盤をつくって、二十五階建ての高層マンションを何棟かずっと建てていく。それから、上野駅はJR東日本本社が計画しておることですから、それはそこにお任せをすることにして、じゃそれをやってみたらどうだろう。そのとき問題になりますのが、道路のアクセスが必要になりますからどうしても上野の公園の下に道路を抜かねばいかぬ、不忍池の下に大型の駐車場をつくる必要がある、それらの計画を一応実は立ててみたわけでありますが、なかなか機会がありませんで日の目を見るに至らなかったわけです。  今度はちょうど運輸省に御厄介になることになったものですから、先般来JRの社長にその話をいたしまして、どうだろう、上野駅の上に六十何階のビルを建てたらまるで鉛筆ビルが建ったみたいに、そこでひとり立ちののっぽビルが建つ、それじゃ身もふたもない話だから西日暮里までどうですか、JRの上に人工地盤をつくって二十五層の高層マンションを建てれば上野公園が一望にして借景になるわけですからと言いましたら、それはもうかりますからJRとしても大いに関心を持ってひとつ取り組んでみましょう、こういうことでございました。  ただ、道路をつくる、下水道をつくる、それだけの住宅をつくりますと、やはりその他いろいろな附帯施設が必要になってきますから、どうしても東京都の御理解と御協力が必要である。台東区は大変熱心でありまして、やはり台東区の発展のためにはどうしてもそういう計画が欲しい。マンションはずっと歩道でつないでいくということになると、あそこにお客も人も集まって新しい都市になる。それから遠くから、例えば農地の宅地並み課税をやって、八王子だ、いや三多摩だというところから通勤客を運ぶということになれば鉄道も要れば道路も要るということですから、それよりはもっと手っ取り早い住宅政策として成り立つのではないか。同時に、JRを利用する人たちももっと多くなって、マンションによる収入等もあれば、いささかなりとも経営は資することではなかろうか、こう思っておりますので、引き続いて相談を続けていきたいと思っております。
  130. 長田武士

    長田委員 江藤大臣、大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。確かに国鉄は、駅のそばですからそのところを利用するのが一番いいわけでございまして、土地問題、住宅問題には大変大きなインパクトを与えるであろう、私はこのように考えております。  ただ、考え方としまして、二十三区、特に周辺の部分については非常に人口が集中しております。そういう人たちを優先してそういうマンション等に入居をしていただく、そうすると町に非常に空間ができる。本来の二十三区内の空間ができた町並みといいますか、防災都市にふさわしい、二十一世紀にふさわしい都市の構築ができるのじゃないか、このように考えております。西日暮里まででなくて、駒込までずっと掘り割りでできておりますから、その点は非常に容易に計画できるんじゃないか。日照権の問題もありますけれども、私はこれはクリアしていただけるんじゃないか、このように考えております。  さらにこの問題については、私よくこの問題を提案いたしますと、空中権の問題云々ということが常に出てまいります。法制局きょう見えておりますか——この点どうでしょうか。
  131. 大森政輔

    ○大森政府委員 お尋ねの問題につきましては、具体的な構想を示して所管省庁から相談があったというわけでございませんので、まだ十分な研究はいたしておりません。したがいまして、今後相談がございましたら本当に真剣に検討したいと思いますが、そのような次第で、現在お答えするとすれば一般的なことにとどまると思いますが、御容赦いただきたいと思います。  そこで考えますに、鉄道事業会社の所有地である線路敷地というふうに限定しまして、その上に他人が住宅等の建築物を設けるという場合にまず必要なことは、会社との間で契約を締結しまして、建築物を所有するための土地に対する権原を取得しなければならない、そういうことが必要でございます。そのための一つの手段としましては、地上権を設定するという方法がございます。しかも地上権につきましては、地上空間に上下を定めましてそれを地上権の目的とすることも民法は明文の規定で認めております。これを講学上、 区分地上権とか空中権とか、このように称しているわけでございます。  ただ空中権だけでは事は解決いたしません。すなわち現実には空中楼閣というわけにはいきませんので、建物は地上にその基礎を持つ必要があります。したがいまして、建築物の基礎を置く土地につきましては、建築物を所有しようとする者はその土地について通常の地上権とか所有権とか賃借り権というものを取得する必要がある。現行法制で考えた場合には大体このようなことになろうかと思うわけでございます。
  132. 長田武士

    長田委員 今後また研究をしていただきたいと思っております。  大臣、今後の問題といたしまして前向きな御答弁をいただきましたけれども、大蔵、運輸建設、自治、今東京都というお話がありましたが、東京都あるいはその関係する区を含めまして、各関係省庁が集まりまして、例えば山手線住宅建設構想検討委員会、こういうような委員会をつくりまして構想を徹底的に練ったらどうなんでしょうか、その点大臣、音頭をとっていただいて。
  133. 江藤隆美

    江藤国務大臣 鉄道となりますと私どもの所管ですが、住宅政策万般といいますと建設省になりますし、全体的な総合調整計画となれば国土庁になりますから、建設大臣、国土庁長官、自治大臣関係省庁ともよく相談をしてみたいと思います。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  134. 長田武士

    長田委員 それでは理事長、お引き取りいただいて結構でございます。ありがとうございました。  次に、都市交通問題についてお尋ねをいたします。  首都圏におきまして周辺部の人口が急増する、いわゆるドーナツ現象が起こっておりまして、通勤地獄に象徴されます車内の混雑、さらにはモータリゼーションの進展と道路の容量の不足が相まちまして、道路混雑、交通渋滞が深刻化をいたしておりますことは御承知のとおりでございます。首都圏の慢性的な交通渋滞の現状を建設省はどのように把握をされておるのか、簡単で結構ですからお答えをいただきたいと思っております。
  135. 藤川寛之

    ○藤川説明員 今お話しの首都圏の交通状況でございますけれども、最近景気が非常にいいというようなことがかなり影響しているのだろうと思いますけれども、全体的に交通量が伸びておりまして、昭和五十年代の後半につきましては大体一%台の交通量の伸びでございましたが、最近では四%を上回るような交通量の伸びということで、交通量が非常に伸びてきておるような状況になっております。  それから首都高速道路について見ましても、現在一日に大体百万台ぐらいの交通量に達しておりまして、御承知のとおり環状線の整備が非常におくれておりますので、都心環状線に交通が集中するというようなことがございまして、日常的な渋滞が生じているという状況でございます。
  136. 長田武士

    長田委員 今後こういう渋滞の解消のために建設省としてはどういう考え方を持っていらっしゃいますか。
  137. 藤川寛之

    ○藤川説明員 この渋滞を解消するためには、一つは中長期的には、先ほどもお話いたしましたが、環状線、環状方向の道路の整備が不十分だというふうに考えておりまして、私どもとしては、その環状方向の道路の整備を進めまして、都心に入っている交通を分散導入する、あるいは通過させるというようなことをやっていかなければいけないというふうに考えておりまして、現在具体的には、例えば首都圏中央連絡道路とかあるいは外郭環状道路でございますとか、あるいは首都高速では中央環状線というような道路の整備を進めているところでございます。  それから、そういう道路の整備というのはかなり時間がかかるものですから、短期的な施策といたしましては、実は私ども昨年の十二月に渋滞対策緊急実行計画、アクションプログラムというのを策定いたしまして、例えば交差点の改良でありますとか、あるいは交通情報の適切な提供でありますとか、あるいは首都高速道路につきましては、出口の増設あるいは非常に混雑している区間の拡幅、例えば羽田トンネル付近の拡幅でありますとか、それから首都高速道路公団ではリアルタイムで道路利用者に交通情報を適切に提供するというようなことをやっていきたいというふうに考えております。
  138. 長田武士

    長田委員 その程度ではとてもじゃないけれども、今の交通渋滞というのは解消しませんですね。  そこで、特に首都圏の高速道路の問題でありますけれども地方の高速道路と首都圏、いわゆる都心の高速道路との関係、特に収益、この点についてはどのくらいの差があるのですか。
  139. 藤川寛之

    ○藤川説明員 今、先生の御質問でございますが、公団の料金収入というふうに考えてよろしいのでございましょうか。——これは昭和六十二年度の決算でございますけれども、料金収入についてお答えいたしますと、日本道路公団につきましては、これは高速自動車国道とそれから一般有料道路でございますけれども、合わせまして一兆五十五億円の収入になっております。それから、首都高速道路公団でございますが、千七百七十七億円でございます。それから阪神高速道路公団でございますけれども、千三十億円というようなことになっております。これは六十二年度の決算でございます。
  140. 長田武士

    長田委員 当然、首都高速道路のいわゆる延長距離からいきまして、収益は相当上がっているわけですね。そういうのは当然だと私は考えておりますが、しかし収益が上がっているにもかかわらず渋滞はますます激しくなる。私も毎朝高速道路に乗っておりますけれども、本当に動かないのですよ。いらいらして歩いた方が早いのじゃないかなと時々思います。そういうような状況のいわゆる高速道路、ドライバーの皆さん方は、料金はだんだん上がってしまう、だけれども渋滞はかえって激しくなる、一体どういうふうな考え方なのだ、もう本当に首都高速道路については相当ドライバーは反発をいたしております。  こういう問題を通しまして、料金を一方で上げるということ、この点むしろ料金を下げるという方が経済原則にかなっているのじゃないかと私は思いますけれども、相当収益が上がっているわけでありますから、料金を下げる可能性というのはあるのでしょうか。
  141. 星忠行

    ○星参考人 お答えいたします。  首都高速道路の料金は道路整備特別措置法という法律で定められておりまして、御承知のようにかなり長期、例えば三十年くらいの長期間の間に道路の建設に要しました費用と、それから道路の維持管理の費用、それを償還するように、また公正妥当に定めるようにということが法律で定められております。現在、普通車は六百円、大型車は千二百円というふうに決められましたけれども、これは六十二年の九月に葛飾川口線という二十七キロにもわたるような道路を供用した際に定められたものでございまして、これはどうしても利用者に道路のコストを償還していただくという見地から定められたものでございますので、現在の料金は妥当なものと考えております。
  142. 長田武士

    長田委員 妥当ではないのだよ、あなた。ごまかさないでくれよ。要するに料金というのは、三十年間償還できちっと元利合計を償還すべく全部計算しているのです。そうした料金を上げるというのは、利用者としては納得いきませんよ。本来的な償還が終わればあれはただにするというのが原則ではありませんか。そうでしょう。しかし、包括的に道路事情というのを考えて、ただにするわけにはいかないという法律を変えてそして現在徴収しているのでしょう。だから、値上げするということは妥当なのだというのはどういうことで出てくるのですか。
  143. 星忠行

    ○星参考人 六十二年九月に決めましたときは、新しく供用した路線も含めまして、首都高速が開業以来かかりました総事業費一兆五千二百億円を償還していく、あるいはその上にかかります管理費、金利を償還するということから計算されたも のでございます。  それで、六百円が高いかどうかということでございますけれども、例えば私ども利用者から、投書箱といいますか、グリーンポストという投書箱を設けておりまして、これの圧倒的な苦情、不満が渋滞に関することでございます。料金につきましては、渋滞するのになぜ高いというおっしゃり方は、六百円自体がどうかというのではないのですけれども、渋滞との比較において利用者が割高感を持っておられるということでございますので、何よりも渋滞の解消のための工事を進め、あるいは混雑状況が直ちにわかるような道路情報にかかわる諸装置を、案内を進める、情報提供を進めるといったような点に最大の努力を注いでいきたいと考えております。
  144. 長田武士

    長田委員 今おっしゃったとおり、確かに料金の問題についてはみんな高いと言っているのですよ。そして、走らないでもっと高いということを実は言っているのですよ。公団としてはもっとスムーズに走れる環境を整備するのが当たり前ではありませんか。では、具体的にどうするのですか。毎朝毎朝、毎夕毎夕あのような渋滞を惹起しております。私は、道路そのもののいわゆる構造的な欠陥だと思っているのです。初めからわかっているのです、ああいう渋滞をするのは。それをなおかつ、いわゆる交通情報で処理するとか、そんな程度で解決する問題ではないのです。公団は真剣に考えてもらいたい。料金が高いと言っているゆえんは、走らない、動けない、それにも増して値上げをするということで皆さん怒っているのですから、それに対してどうすべきかという施策を持っていないのではないですか。この点、どうですか。
  145. 佐藤本次郎

    佐藤参考人 御質問の渋滞解消施策につきましてお答えいたします。  まず、渋滞の状況を申し上げますと、首都高速道路の交通量は一日約百万台でございまして、特に都心環状線及びこれに接続する各放射路線の上り車線におきまして、交通渋滞が都心環状線の流入部を頭にして顕著でございます。この渋滞の原因は、自然渋滞と事故、故障等によるものでございますけれども、このうち自然渋滞の原因につきましては、約四十六万台の交通量が都心環状線に集中しているということでございまして、その四十六万台の交通のうちの約二分の一が直接この都心環状線に用のないいわゆる通過交通でございます。  したがいまして、その渋滞の抜本的な対策といたしましては、私どもはまずネットワークの整備が必要と思っております。そのために、中央環状線、それから高速一号羽横線と並行して走ります湾岸線、それから湾岸線と高速一号線を連絡する十二号線等の早期完成に今努めているところでございます。しかし、これもまだ時間がかかりますので、当面の緊急的な施策といたしましては、第一に混雑区間の部分的な改良だとか拡幅がございます。例えて申しますと、一号線の上り、羽田付近につきましては平成二年度を目標に整備を進めてございますし、また都心環状線の外回りの中央区宝町付近においては、既に事業に着手しまして拡幅工事を進めてございます。  また第二に、放射路線の上り方向におきまして、特に都心環状線の流入部分の手前におきましてオフランプをつくることも一つの渋滞対策になるということで、そういった意味で四号新宿線、それから五号池袋線並びに七号の小松川線でそういった箇所につきましての事業早期着手することにしております。  また、ことしの十二月には、渋滞の激しい箱崎地区を通過する交通の一部を迂回させるために、品川区の八潮地区におきまして湾岸線と一号線の上り方向を結ぶ八潮連結路を供用いたす予定にしてございます。  以上でございます。
  146. 長田武士

    長田委員 そのような対応では、とてもじゃないけれども今の渋滞の解消のタイムリーな施策ではないと私は思っております。  そこで、私は一つ提案したいのでありますけれども、高速道路を二階建てにしたらどうかと考えております。そして二階建ての問題等で、一部ではこの間のサンフランシスコ地震、ああいう場合の危険度はどうなんだとかいう問題はありますけれども日本の技術は優秀でありますから、マグニチュード一〇ぐらいまでは耐えられるような二階建ての高速道路をつくるべきだと私は思っております。そして二階建て道路は、都市部の慢性渋滞の七五%、車の平均時速は十五・八キロ程度と言われているこの現状を少なくともいい方向に向けるのではないか。そういう意味で二階建てにして、どちらをどういうふうにするかはランプの問題等もありますから別にして、高速道路の二階建ての方については、今都心に関係ない車を全面的に通すというような方法もありますし、いろいろな施策があると私は思うのです。  新しい高速道路を別なところにつくるというのはとてもじゃないけれども十年や十五年ではできません。もう五十年、六十年かかりますよ。土地を買収して日照権を確保して環境整備をする、あるいはアセスメントをやる、そういうことになりますと、とてもじゃないけれどもそう簡単な解決方法ではありません。したがって、土地買収が比較的になく、橋脚とかそういう部分だけ買収すれば十分耐えられるこの二階建て高速道路というものもそろそろ準備すべきだ、このように私は主張するのですけれども江藤大臣建設大臣もやられて大臣はその点については非常に見識を持っていらっしゃる方ですから、ひとつ御答弁いただければ……。
  147. 江藤隆美

    江藤国務大臣 実は私もそういうことを考えてきたわけです。  ボストンに行きましたらビルの真ん中にインターチェンジがありまして、それから昨年の暮れにモントリオールにガットの中間レビューに行きましたら会場の真下を十車線の道路が突き抜けておって、道路上には物をつくってはいかぬという物の考え方を私ども持っておりましたけれどもそうじゃない、道路の上にビルを建ててもいいのだな、現にそういうことをやっている、インターチェンジまでやっておる。  実は私もそういうことを考えまして、用地買収をやる、例えば圏央道をやろうとすれば、今一メーター一億円ではできないのじゃないか、こう言われております。ですから千メーターやるのに一千億かかるといったらこれは大変なことでありまして、今長田委員が言われるように、長距離のトラックというものはますますふえるわけですから、二階建てにして、これが首都圏を通らずに、東京都内を通らずに真っすぐ抜ける方法はないのかということを実は私も考えます。  ただ、技術的な問題が伴うわけで、そこのところは皆目見当がつきませんので、技術的に可能なのかどうか、そこの点は専門家の方にお尋ねいただくとありがたいと思います。御趣旨は私は大賛成です。
  148. 長田武士

    長田委員 それでは首都高速道路公団の淺井理事長おいででございますけれども、お考えをひとつお述べいただければと思います。
  149. 淺井新一郎

    ○淺井参考人 お答えいたします。  先生から料金問題、渋滞問題についていろいろ御指摘をいただいたわけでございますが、最後の御質問に先にお答えすることになりますが、二階建ての問題です。そういう意見がいろいろ一般の方々からしょっちゅう出ておるのを私ども聞いております。これは大臣からもお話しありましたように、今の構造そのものが一階の構造に見合うような姿で橋脚等できておりますので、構造力学的に、はっきり言って今の形に継ぎ足すのは無理でございます。  それから橋脚部を別に設けて二層化するという考え方もあるわけですが、そうしますと、その橋脚は全部下の平面街路の車線をつぶすことになりまして、これはまた大変なことになる。下の街路の交通がめちゃめちゃになるというようなことも考えられますので、その辺非常に難しい問題があります。いろいろ声もありますので、部分的にできるところがあるいはあるかというようなことは 検討いたしておりますが、非常に困難ではないかというふうに考えておるわけでございます。     〔久間委員長代理退席、川崎(二)委員長代理着席〕  それから料金問題、渋滞問題、御指摘のようなことは、利用者の皆様の率直なお気持ちだと思います。ただいま料金の水準の考え方については担当理事から御説明いたしましたし、渋滞問題の細かい対策についてまたいろいろ御説明をいたしましたが、私どもとしましては、何といっても、こういう渋滞の中でも高い料金を払って利用せざるを得ないという利用者の皆様の気持ちを考えますと、何としても渋滞問題を積極的に解決するような方向で努力しなければいけないと考えております。  それには、先ほどの説明にありましたように、今の首都高速道路二百十キロございます。これがネットワークとして極めて十分な形になっていないといいますか中途半端な形になっておりまして、大事なところの網が切れているというような状況でございます。それは何かといいますと、本来必要な外郭環状線とあわせて、東京の基幹交通を維持するためには絶対必要な中央環状線というものがない。この前の供用で約四四%は、北の方はできましたけれどもまだ六〇%ぐらいのものができないでいる。これが放射線と全部つながって、網のような形になって初めて首都高速道路は本来の機能を果たせるような姿になるわけでございまして、おっしゃるように、この建設につきましては一生懸命私ども取り組んでおりますが、なかなか難しい問題がございます。だけれども、最近では従来の高架方式に切りかえて地下で通すということに大体原則的に考え方を改めました。地下でトンネルの高速道路というのは非常に難しい問題も伴うわけでございますが、これならば用地問題については若干楽になるということと、別の意味の換気だとか防災問題とかいろいろな問題が起きますが、こういうものは今後逐一解決できる問題ではないかということで、真剣にその方向で、中央環状線の整備を何とか実現するような方向で今努力をいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、首都高速道路は首都圏におきます基幹的な交通網を形成し、首都の機能の維持向上を図るという極めて重大な使命を持っているわけでございますので、こういう立場を十分認識しまして、ネットワークの充実、それからまた利用者のサービスに今後とも力いっぱい取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  どうぞよろしくお願いいたします。
  150. 長田武士

    長田委員 淺井理事長、二階建ての方もひとつ研究してみてください。無理だ無理だなんて言わないで、初めからその前提をつくっちゃうとうまくいきませんよ。私は、抜本的な対策としてはそれしかないであろうということを提案したわけでありますから、よろしくお願いします。  次に、首都圏における深夜交通問題についてお尋ねをいたします。  近年社会産業構造の変化に伴いまして、国民のライフスタイルは大きく変化をいたしました。とりわけ都市におきます活動時間の深夜化が顕著となってきておりまして、昭和六十二年度に発表された四全総の中にも「公共交通機関の運行時間の延長などを進め、効率的な移動手段を確保する」等深夜交通網の重要性指摘されておるわけであります。こうした観点から何点かお尋ねしたいと思います。  まず深夜バスについてでありますが、本年七月、東京急行電鉄による深夜急行バス、ミッドナイトアローというのでありますけれども、運行の開始がなされたわけであります。そして、深夜バスの存在が一躍脚光を浴びたわけであります。聞くところによりますと積み残しの客が出るほどの人気でございまして、これは先ほど申し上げた都市の二十四時間化を如実に示した現象であると考えております。積み残しとかいろいろございまして、図らずも深夜交通機関の絶対量の不足を証明しておる、そういう現状でございます。  そこで、昨年十二月、運輸省で大都市における深夜輸送確保のための調査を行ったわけでありますけれども調査結果を簡単に御説明いただきましょうか。
  151. 早川章

    早川政府委員 先生指摘運輸省調査でございますが、これは先ほど先生御引用になりました四全総の都市活動の二十四時間化というための対応の必要性を受けまして、四全総推進調査費による調査として運輸省で行ったものでございます。  その結果でございますが、終電後に東京都心から郊外に向かう深夜帰宅輸送ニーズのためにどのような効果的な輸送手段が考えられるかということでございますが、鉄道代替的な深夜バスの運行はどうだろうか、こういうことでございまして、ケーススタディーとして都心から郊外の七路線をとりまして関係バス事業者も参画して需要予測を行いました結果、採算ラインを満たす需要が見込まれる、こういう結果になっております。
  152. 長田武士

    長田委員 調査結果を伺いますと、深夜タクシー利用者または団地世帯の皆さんの六割から七割は深夜バスの運行に対する強い希望を出されておる、こういうことのようであります。  そこで、今後の運行計画を伺いますと、合計で十五系統の増加が見込めるようでありますけれども、これは私は積極的に進めてほしいと考えております。深夜急行バスについて運行時間は大体午前一時台が非常に多いようですね。ただ、都心のターミナルを出発しますと、次に停車しますのが一部を除きまして他県になる、こういう点で皆さん方はちょっと利用しにくいという面があるようであります。そういう改善をすべき点は改善をした方がいいのではないかという感じがいたしておりますけれども運輸省はどうでしょう。
  153. 早川章

    早川政府委員 お答えいたします。  現在、深夜急行バスは渋谷から青葉台ということでございますが、本日付でさらに五路線の許可を行い、さらに現在申請中のものが一つあるという状態になっております。いずれも御指摘のように東京都心部をスタートいたしまして池県に入るまではとまらない、こういう形のものが出てきているわけでございます。しかしながら、いろんな各地の事業者におきましては、需要動向等をいろいろ検討いたしまして連行ルートの検討を行い、さらに加えてどのような路線を申請しようかと今いろいろ検討を進めている段階だと理解いたしております。  私どもは、現在までのところは御指摘のような形でございますが、今後はさまざまなタイプの輸送形態が出てくるのではないかと理解いたしておりまして、その系統の拡充につきまして事業者の指導に努めますとともに、弾力的な運賃設定を認める等によりまして制度運用面につきましてもバックアップを行って、先生の御要望のような形の便利な深夜急行バスができるよう努力してまいりたいと考えております。
  154. 長田武士

    長田委員 深夜バスについて現在の運行系統を見てまいりますと、他の鉄道路線の駅と駅とを結ぶ、あるいは駅と団地を結ぶ、これも私は非常に大事だろうと思っております。ここでより重要な課題といたしましては、終電後の鉄道の補完をいかにバスで行えるか、そういう点をやはり重視しなければいけないと思っております。その意味で私は提案したいのでありますけれども、例えば私鉄の沿線を、通常バスではなくてマイクロバスでもよいと思いますけれども、各駅に停車するタイプのバスの運行を運輸省からも事業者に対しまして強く要請をしていただきたいと思いますが、運輸大臣どうでしょうか。
  155. 江藤隆美

    江藤国務大臣 最近は夜間労働人口が非常にふえてきたわけですから、昼間の輸送と同時に夜間労働人口、夜間通勤者の利便を図るというのは私は当然だと思います。その点は賛成でありまして、一つの御提案でありますから各事業会社とこれから積極的に協議してまいりたいと思っております。
  156. 長田武士

    長田委員 以上、終わります。
  157. 川崎二郎

    川崎(二)委員長代理 小渕正義君。
  158. 小渕正義

    小渕(正)委員 まず最初に、最近の造船産業の状況についてお尋ねしたいと思います。  二度にわたる構造不況の中で深刻な操業度不足に遭い、設備処理等二回にわたって措置してきました造船産業も、最近非常に好調な受注の中でかなり高い操業度が維持されているような話であります。現在のところ大体九一年までは手持ち工事量がいっぱいだというような状況ではないかというように聞いておるわけでありますが、こうした最近の受注操業度に対して運輸省としてはこれらをどのように受けとめておられるのか。本当に節度ある受注操業体制という視点から見て、現状は問題ないのかどうか、ここらあたりについての運輸当局のお考えをお聞きしたいと思います。
  159. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 お答え申し上げます。  最近の我が国の造船業の新造船受注の状況を見ますと、世界的な景気の拡大を背景といたしまして、船腹需要の改善等によりまして昨年から受注量、船価ともに回復してきております。これに伴いまして、造船各社の操業量も増加の傾向にございます。この結果、一年ないし二年程度の仕事量を確保することになって、ようやく将来の経営に展望を持てるような状況に至ったものと考えております。このような状況にかんがみまして本年の九月をもって不況カルテルは廃止されましたけれども我が国の造船業は世界最大の造船国としての造船及び海運の安定に大きな国際的責任を有しておりまして、今後とも需要環境を踏まえた節度ある操業を続けていくことが必要であると考えております。  現在の受注量につきましては、平成元年前半でかなりの受注量がございますが、これはここ二年ぐらいにわたりまして手持ち工事量が非常に減少したということでございまして、それを埋めるという効果を持っております。受注量につきましては、長い目で見て操業量にも限度がございますので、それに基づきまして調整をされていくものと考えております。
  160. 小渕正義

    小渕(正)委員 数次にわたる合理化等の関係もありまして、現在こういう好調な受注の中で人手不足という非常に深刻な問題が発生しておるわけでありまして、そういう関係から、国の政策として労働時間短縮という方向で政策が推進されている中に逆行するような形で、ばらつきはいろいろありましょうが、月平均でも三十時間以上過勤するとか、非常に時間短縮に逆行する方向で現在操業度が維持されているような感じがいたします。そういう点で、現状のそれぞれの持っている能力からいって少し無理した受注で操業をされているのではないかという感じもするわけでありますが、こういう点について、特に人手不足、労働時間の増大というような状況については、運輸省としては何か指導的な方策をお持ちでやられておるのか、その点はいかがでしょうか。
  161. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 最近の業況の好転によりまして、一部の造船所では残業時間がかなり増大するというような状況も見られるというふうに聞いております。御指摘の労働時間の短縮を初めといたします労働条件の改善は、我が国の造船業が活力ある健全な産業として成り立っていく上においては避けて通れる問題ではございません。運輸省といたしましては、引き続き造船業の経営の安定に努めるとともに、自動化、省力化等による生産性の向上などによりまして、労働条件の改善を図り得る環境が整備されるように努めてまいる所存でございます。
  162. 小渕正義

    小渕(正)委員 過去二回にわたって不況カルテルを運輸省指導で行われたわけですね。それから一応抜け出したということは好ましいことでしょうけれども、現状のそれぞれ持てる設備その他の能力からいって、こういった適正な操業体制をいかに維持させるかということがひとつこれからの課題ではないかと私は思います。そういう意味で、運輸省も二回にわたって不況カルテル等での指導をされたわけでありますから、今後の造船産業の安定化という角度から見て、需要に対する適正なる受注、そういった点をぜひこれは維持されなければならないと思います。  そういう点で、将来的にこれからの造船産業の安定という意味で、しかも適正なる操業度を維持していくということで、無理のない形で今後操業が維持されるという方向から見て、大体どうなんですか、今の需要予測で見ると、九二年以降もVLCCの新しい需要とかなんとか、世界的に海運界が需要は非常に旺盛になってくるのじゃないかという予想もされているわけでありますが、そういう点での需要予測ほどの程度にお持ちですか、もしあられたらその点をお尋ねしたいと思うのです。
  163. 石井和也

    ○石井(和)政府委員 お答え申し上げます。  今後の新造船の需要につきましては、中長期的に見ますと増加傾向にあるというふうに考えております。しかしながら、短期的には船舶の解撤の停滞とか今後の景気の動向などの不安定な要素も存在しております。また、我が国が世界最大の造船国としての世界の造船、海運の安定に大きな責任を負う立場にあることなどから、造船事業者においては、今後とも市場の動向に留意しながら慎重な経営姿勢を維持していくことが必要であるというふうに考えております。このような状況を踏まえまして、運輸省といたしましても、造船事業者の経営の目安となる需要の情報等につきまして造船業に提供することなどによりまして、今後とも造船業の安定に努めてまいる所存でございます。  VLCCの代替につきましても、使用期間の延長、延命工事というような要素もございます。したがいまして、今後いつそういうものが来るかということについてはまだはっきり予想が立てられない状況にございます。しかしながら、需要は徐徐にふえていくという状況になっております。そういう需要見通しというものをはっきり立てまして、これを業界に示すことによって業界の自覚を促してまいりたいというように考えております。
  164. 小渕正義

    小渕(正)委員 造船産業は、一回の不況カルテルの後かなり需要があって、それをまたそれぞれがかなり腹いっぱいというよりも取り込んで、その結果がまた逆に次の不況カルテルを実施せざるを得ないような、そういう過去の苦い経験がありますから、業界もそれなりの適正な操業度をという点ではある程度それぞれ努力されると思いますが、運輸省を中心に現在の状況の中で節度ある受注と適正なる操業、この点を特に念頭に置かれて、ぜひ過去の苦いそういったものをまた繰り返すことがないように、特に運輸省としては建造許可というような形の中での指導がいろいろできるわけですから、世界の造船の供給力の半分は我が国がやはりそういう役割を果たさなければいかぬわけですから、そこらあたりな十分基礎に置きながら、適正に節度ある受注という形での強力な指導をこれからもぜひお願いしておきたいと思います。  次に、新聞をよくにぎわせておりますが、プルトニウムの輸送問題です。  ある報道によりますと、海上保安庁が担当してやるのだ、そのために必要な新しい船を建造する、そのための予算措置として二百億要るので、本年度の補正予算の中にそれを入れて何とかしようとかいうような報道もされているわけであります。また、ある報道を見ますと、政府部内でまだそういう方針がはっきりしておらぬ、海上自衛隊がやるのか、海上保安庁が担当するのかさえまだはっきりしていないというような報道もされておるわけであります。この点は大体現在のところ新聞報道によりますと、海上保安庁が担当してやるのだ、だから予算もつけるのだということを大臣は言明されたような報道もあったようでありますが、この点はいかがなんでしょうか。
  165. 江藤隆美

    江藤国務大臣 去る二月十七日に当時の宇野外務大臣の、もし輸送機による輸送を断念して海上輸送をするということになれば、海上保安庁でこの任に当たらせることが敵当であると思います、こういう国会答弁に対しまして竹下総理から、外務大臣の申し上げたとおりでございますということでことしのところは始まったわけでございます。私どもとしては、これは海上保安庁の当然の 責務でございますから、もし海上保安庁がこの任に当たれということになれば、万難を排してこれに対応するだけの準備は整えておく必要がございますから、それは決定があろうとなかろうと、職務の性格上、その努力を今いたしておるところでございます。  さて、それならば政府部内で決まったのかということでありますが、まだ正式に決まったわけではありません。しかしながら、御案内のように年末にはもう明年度の予算編成でございますから、一体船の建造をどこがやるのか。言われたように科技庁で予算を取って船の建造に当たるのか。それから、そのときには当然この運航、それから輸送についてはどこが責任を負うのかということはおのずから決まってくると思っております。私どもは、申し上げましたように、今はいつ命が出ましてもそれを受けて立つだけの準備はしておこうということでいたしております。時期は大体予算編成のときには、一体補正予算でやるのか本予算でやるのか、どこで建造するのか、そしてどこが担当するかということはおおむね決まってくるのではないか、こう思っておるところでございます。
  166. 小渕正義

    小渕(正)委員 このプルトニウムの輸送が、九二年後半ですか、九三年度から始まると思いますので、そうゆっくりいろいろする時間的な余裕がないと思いますが、今のお話でいきますと、少なくとも本年度じゅうの予算編成の中である程度きちっといずれにしてもはっきりするだろうということでありますので、ぜひひとつこの点は、どちらでどうするかという私はそこまで言及しませんが、やはりこういう大事な問題、しかとしかるべきところではっきり決めていただいて推進されるように、特にこの点はお願いしておきたいと思います。  それでは次に移りますが、あさってからトラック運送関係では法案審議に入ります。それに間接的には関係があるのでありますが、二、三点この業界について御質問したいと思います。  このトラック業界の長時間労働というのは、もうまさに世界に類を見ないワーストワンの状況だと思います。そういう中で、特に最近は人手不足等も相まってますます長時間労働が深刻に、より増大しておるのではないかという感じがするわけでありますが、それは、労働省が言う九二年までに年間千八百時間にするということはもうとてもじゃないが考えられないような現状の実態であります。  そういう点からいくと、やはり労働省は労働省なりの労働時間短縮のいろいろな施策の推進がされるでしょうけれども、このトラック業界の自動車運転者のこういった長時間労働の適正化対策推進というのは、やはり監督官庁である運輸省がしっかりして、いろいろなものを出しながら、そして労働省と相まってやらなければ実効が上がらないと私は思うのですが、現在、自動車運転者の長時間労働に対する適正化対策としては、運輸省としては一体どういうような形で取り組んでおられるのか、その実情をひとつお示しいただきたいと思います。
  167. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 お答えいたします。  トラック事業におきます長時間労働の実態は、残念ながらただいま先生指摘のとおりの状況でございまして、このような事態を改善することは、安全で良質な輸送サービスを提供するという見地から重要であるばかりでなく、今や国内貨物輸送の基幹的な役割を担っておりますトラック産業の今後の健全な発展に必要不可欠な優秀な人材を確保するという観点からも重要であり、トラック業界を挙げて、万難を排して取り組むべき課題であると考えております。  そこで、運輸省といたしましても昨年の四月、全日本トラック協会に対しまして、所定労働時間の短縮について業界を挙げて取り組むように重ねて強く要請する通達を出したところでございます。また、過労運転の防止につきましては、従来よりいわゆる労働省の二九告示等を遵守させるために、運送事業者に対しまして勤務割り、乗務割りの見直し等を指導するとともに計画的な監査を実施してきておりまして、特に六十三年度からは最重点監査項目として取り上げ、徹底を図っているところでございます。  さらに、自動車事故対策センターでございますが、これを通じまして運行管理者に対する研修等を実施するとともに、運転者の休憩、仮眠等のための総合的な施設でありますいわゆるトラックステーションというものの整備を促進しておりまして、現在までに全国で二十八カ所の供用が開始されており、さらに今後全国で八カ所の整備計画されております。  さらに加えまして、運輸省と労働省との間では相互通報制度というものがありまして、それぞれの監査で見つかった案件を相互に通報し合うという制度がございます。これの活用でございますとか、運輸、労働両省間の連絡会議の活用、これは年五、六回開いておりますが、これを通じまして指導の一層の徹底を図ってまいりたいと思っております。  さらに、ただいま先生から言及がございました今国会提出させていただいております貨物自動車運送事業法案は、御指摘の過労運転防止などの社会的規制の徹底を期するための制度を盛り込んだものでございますので、施策の大幅な前進が期待されるところでございます。したがいまして、同法案の早期成立をぜひお願いしたいと思っております。
  168. 小渕正義

    小渕(正)委員 この長時間労働の適正化対策の中で関係するのがILO第百五十三号条約の早期批准の問題だと思いますが、これは残念ながらいまだに我が国では全然手つかずの状況に置かれておるわけであります。これを我が国としても批准するためのいろいろな準備といいますか、ならさなきゃならないような問題がいろいろとあろうかと思いますが、そういう条件整備という方向では現在どういうふうに取り組まれておるのか。批准するための問題点がどういうところにあるのか、ここらあたりについて、これは当然運輸省の主導で行われるべきでしょうけれども、労働省と一体となって、どういう状況か、その点含めて状況を御報告いただきたいと思います。
  169. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 ただいま御指摘のILO百五十三号条約でございますが、昭和五十四年の労働省の二七通達、現在では先ほど申し上げました平成元年二月九日のいわゆる二九告示となっておりますが、内容は同じものでございます。これに基づきまして、自動車の運転者の労働条件につきましてILO百五十三号条約の趣旨に沿った保護が図られておりまして、内容的にはおおむね同条約を満足し得るに近いところまでいっております。しかしながら、この条約の批准につきましては適用対象に若干差異がある。すなわち、二九告示では雇用労働者だけが対象になっておりますが、ILO条約の方では車の個人所有者あるいは雇用されない家族も適用対象になっておるというような点、その他若干の点で差異がございますので、直ちにはまだ批准できないという状況でございます。  ILOは労働省が御所管でありますので、運輸省としましても、その批准につきまして今後引き続き労働省と緊密に提携して検討してまいりたいと思っております。
  170. 石川透

    ○石川説明員 ILO百五十三号条約につきましては、我が国の自動車運転者の労働時間の短縮、労働条件の確保のために重要な指針になるものというふうに考えております。その批准に当たりましての問題点につきましては、今運輸省から御答弁申しましたとおりでございます。  労働省といたしましては、批准に向けまして、その条件整備といたしまして現在二九告示、自動車運転者の労働時間等の改善のための告示に基づきまして監督指導に努めているところでございます。
  171. 小渕正義

    小渕(正)委員 特に自動車運送事業の問題であと一つ、労働力の確保対策という点について若干お尋ねいたしますが、今の我が国の産業形態の中でこの自動車運送事業は、産業の血液といいます か、これがすべての我が国経済活動を支えておる一つの大きな柱ではないかとさえ、そういう重要な位置づけにあると私は思いますが、残念ながら現在は非常に人手不足が深刻で、少なくとも貨物、旅客合わせて約九千人の人たちが不足しておるというような一つのデータもあります。こういう我が国経済活動と国民生活に重大な影響を及ぼすようなこの種産業で、結果的に人手不足のために倒産する、または名義貸しその他の不正で何とかやりくりしようとか、いろいろそういう問題も発生しておるようでありますが、長期的な視野の中でこの自動車運送産業に対しての労働力確保のための環境整備といいますか、そういうものはやはり労働省と運輸省が中心になって一体的に取り組まれなければならない問題ではないかというふうに思うわけであります。この点については現在どのような取り組みが行われておるか、状況を御説明いただきたいと思います。
  172. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 御指摘のとおり、近年国民の価値観とかライフスタイルというものが変わってまいりまして、若年労働力が売り手市場になってきております。そういう状況下で、トラック業界におきましては、長時間労働を初めとしまして労働条件が他業界に比べて厳しい現場作業部門を有しておりますことから、労働力の確保困難の問題が深刻になっているところでございます。  今後の物流ニーズの一層の高度化、労働力の高齢化等も考えました場合に、このまま本問題を放置いたしますと、先生指摘のとおり、円滑で安定した産業活動あるいは国民生活に必要な物流サービスが、労働力問題がネックとなって確保できないというおそれも出てこようかと思います。したがいまして、運輸省としましても、トラック事業も含めまして、物流業全体におきます労働力確保問題を、二十一世紀に向けての九〇年代の基本課題というテーマで近く運輸政策審議会の物流部会へ諮問いたしまして、その物流部会での検討を含めまして、中長期的な視点から物流業界と協力しながら労働力確保のための総合対策を積極的に推進していく必要があると思っております。  また、このような取り組みを待っておるわけにもいかない状況にありますので、最近の極めて切迫しております状況にかんがみまして、この問題について当面必要とされる緊急対策につきましても早急に実施することが必要と考えております。そのために、ただいま運輸省としまして、魅力ある職場づくりのための施策とか、トラック事業にかかわります広報活動の積極的な展開あるいは効率的な作業形態の開発、その他労働力確保につきましての緊急対策につきまして、トラック業界に対して積極的に取り組むように指導するとともに、これを運輸省としても支援していくという政策を取りまとめることを考えております。
  173. 小渕正義

    小渕(正)委員 労働省の方、来られていますね。——最初の長時間労働の適正化のときにも労働省の見解をお聞きする予定でしたが、今まとめてお聞きします。  要するに時間短縮を労働省としては一つの目標を持って現在推進されておるわけですね。そうすると、この労働時間短縮と労働力確保というのは、これはもう車の両輪だと思うのですが、そういう点で、労働省としては現在この二つをどういうふうな形で推進されておるのか、もし自動車運送業に限ってあればお聞きしたいし、なければ一般論として現在どういう形で取り組んでいるのか、その点をお尋ねいたします。
  174. 伊藤庄平

    ○伊藤説明員 先生指摘のように人手不足感が各企業の間に急速に広まりつつございまして、自動車運送業もその例外ではございませんで、現場の運転手等を中心にかなりの人手不足感が出てきているというふうに私ども受けとめております。  ただ、こういった人手不足の背景、事情といいますか、そういうものには種々ございまして、産業や職業によってかなり違います。自動車運送業の場合、とりわけ今までお話ございましたような労働時間が非常に長いこと、そういったことから雇用機会としての魅力に乏しいことや産業としてのイメージの問題、あるいはこれは事業の内容からやむを得ない面もございますが、労働市場の構造が変わっている中で企業の方に依然として若年者志向が強い、そういうことがいろいろ重なりまして、なかなか採用が難しいそういった事情を生んでいるかと思います。  したがいまして、私どもこういった自動車運送業の労働力の確保対策といたしましては、まず労働時間を初めとする労働条件の改善、そういったことを通じて魅力ある雇用機会にしていくこと、あるいは企業のイメージなりあるいは中高年齢者の活用といった方法をいろいろ検討してもらう、そういった事業主の方々の雇用、労務面の改善の努力、これをやっていただきまして、私どもそういった面につきましていろいろノーハウの提供なりあるいは助成制度等を活用して応援をしていきたい、そういうふうに思っております。  同時に、こういった事業主の方々の努力と相まって、私ども持っております需給調整機能、求人求職の情報、窓口のオンライン化等によりまして非常に豊富になっておりますので、そういった面を駆使いたしまして何とか充足率を高めていきたい、そういった努力を重ねていきたいというふうに思っておりまして、今もやっておりますが、業界の方々からいろいろヒアリング等を通じまして、実情をきめ細かく把握しながらそういった対策をひとつ効果的に動かしていきたい、このように考えております。
  175. 小渕正義

    小渕(正)委員 次に移りますが、最近問題になっているのが航空運賃の内外価格差の問題であります。これはいろいろとり方はありますが、これらの是正は国民世論的にも一つの大きな課題になっておると思います。この航空運賃の内外価格差是正については現状どのように取り組まれているのか、その点をお聞きしたいと思います。
  176. 丹羽晟

    丹羽政府委員 航空運賃の価格差の問題は、今先生お尋ねなのは多分国際航空運賃の方向別格差、東京から外国へ行くのと、外国から東京へ来るのとの運賃の違いを御指摘になったのではないかと思いまして、それにつきましてお答え申し上げます。  先ほど来大臣からも御答弁申し上げましたが、方向別格差につきましては、日本発運賃の値下げということに主眼を置きまして昨年来から強力にその是正を進めてまいりまして、遅くとも本年度中には、目標といたしまして米国それから欧州それからオセアニア、そういったところの路線につきましては普通往復運賃にかかわる格差を解消する、そういうことを考えております。それから東南アジア線、そういったような他の路線につきましても、ここは今申し上げたほかの路線よりも、日本の円対現地の通貨等の関係が相当開いておりますものですから大幅な格差是正を図ることになりますので、これは一対一の関係にまで近づけるのはなかなか難しいのでございますが、それでもできるだけ近づけるようなことを目標といたしまして関係航空会社を指導いたしております。  その結果、現在までのところは日本発の運賃レベルを一〇〇ということで考えた場合の相手国発運賃のレベルは、アメリカは、ロサンゼルスをとりますとロサンゼルスが一〇四、それからヨーロッパは、パリをとりますとパリが一〇二、それからオセアニアでは、シドニーをとりますとシドニーが一〇三、日本発の運賃の方がこれは安いという意味でございますけれども、そのようにかなり改善されてきたと考えております。東南アジアの方はまだそこまでいっておりませんが、できるだけこれも七〇から九〇ぐらいまでのレベルのところまで持っていきたいと考えております。  なお、ただいま申し上げたようなことで航空会社を一層指導してまいりたい、このように考えております。
  177. 小渕正義

    小渕(正)委員 次に、ヘリポート及びコミューター空港整備の問題を一つだけお尋ねします。  最近は社用とかまたは節税目的等でヘリコプターの登録機数が現在一千機を超すに至ったというふうな状況だと聞いておりますが、やはりこれは環境や騒音問題または有視界飛行等の問題、航空法の関係から利用率が非常に低いということが指 摘されておるわけであります。これらの改善策として、地価の値上がりや環境問題の深刻化とか内需拡大の問題等をいろいろ考えるならば、ヘリポート、コミューター空港について、こういったものを少し海を利用して活用するという方法が考えられるわけでありますが、ここらあたりについてはどのようなお考えをお持ちか、その点をお尋ねします。
  178. 丹羽晟

    丹羽政府委員 ヘリポートの問題でございますけれども、その海を活用してという御指摘関係で申し上げますと、用地確保が容易であることとか騒音問題の関係とかそういう関係を考慮いたしますと、海上部に空港建設した例というのは過去にもございますし、それからヘリポートとかコミューター空港につきまして、海上に建設するということも十分考えられることでございます。それで、海上に施設を建設する場合は、最初に申し上げたような利点だけではなくて、今度は逆に、経済性とか海上環境に与える影響とか海上交通に与える影響とか、海上固有の問題も出てまいるわけでございます。したがいまして、それは、具体的な事例についてそれぞれいいとか悪いとかということを判断して進めていくべき問題ではないかと考えております。
  179. 小渕正義

    小渕(正)委員 時間がもう来ましたので、問題を先に一、二点申し上げますが、成田二期工事関係についてちょっとお尋ねします。  現在成田二期工事の進捗状況は大体どうなっているのか。平成二年度完成という非常に大きな方針、目標は現在のところ可能なのかどうか、変更する必要はないのかどうか、そこらあたりの状況お尋ねいたします。
  180. 江藤隆美

    江藤国務大臣 成田国際空港については、最近では国際問題化しつつありまして、先日も通産大臣が、日本は市場開放して輸入の拡大を図ると言った途端に、ベーカー国務長官から、そんなことを言ったって成田は一向に入れないではないか、こういう反論があった。その前にサッチャー首相が見えたときもこういう意味のお話が実はございました。  御案内のように、今三十七カ国四十八社が乗り入れているわけですが、これらの中でも便数をふやせという要求があります。新たな乗り入れ希望が実は三十九カ国あるわけでありまして、外国の首相あるいはまた運輸大臣が来ますと、運輸省に寄ってなかなか粘りまして、事情を説明しても退却しない、何が何でも実をとって帰りたいということで、今や経済大国日本世界各国から航空機の乗り入れというものを強く求められておる。しかしながら御承知のような状態でありまして、まだ団結小屋が三十六建っております。それから、一坪地主と称するものが実は千三百人実在しておるわけでありまして、容易なことではありません。しかしながら、滑走路が一本でありますから、B、C滑走路、エプロンの整備空港ターミナル、これは何としても平成二年度には完成させたい、こういうことで取り組んでおりまして、その方針はいささかも変わってない、こういうことでございます。
  181. 小渕正義

    小渕(正)委員 方針は変わらぬでも、現実に反対農家が居座って頑張っておるという状況だと思いますが、そういう関係から過日、非常な社会的問題を起こしました。千葉県の収用委員会委員が全部やめてしまった。脅迫というか恐喝、ついに生命の不安を覚えてやめられたという報道もされておりましたが、こういう状況の中で果たして可能なのかな、私どもはそういう疑問を持つわけです。したがって千葉県の収用委員会がまだ正式に新しくスタートしてないような話も聞いておるのですが、そういう場合は、国としての収用という方向で法的にも何らかの措置を講ずることも必要になってくるのではないかという気もするのですが、そのあたりはいかがですか。
  182. 江藤隆美

    江藤国務大臣 御承知のように千葉県の収用委員会委員長がある日襲われまして、先般承りましたら、左手だけが残って、両足も片手も全部粉々に打ち砕かれた。まだ若い方でありまして、まことにお気の毒でありますが、そういう事件が起こって千葉収用委員会が全員辞職をする、こういうことになって、今空白状態になっております。したがいまして千葉県としても、空港だけではなくてその他道路、公共施設の土地収用に対して大変困惑をいたしておるわけです。そこで、それならば特別立法をやるかといいましても、なかなかそういうわけにもまいらないと思います。もう時日も間に合いませんし、そういうふうにもいかない。それならば収用委員会の立て直しをどうするかということもありますが、それは千葉県だけではなくて私どもも一緒になってこれから慎重に取り組んでいくべきことである、こういうふうに考えておるところです。  さて、そういう中で先日、十一月九日に千葉県知事が常磐新線のこと、北総鉄道のこと、あるいはその他県政上の諸問題を持って運輸省を訪れました機会に、実は私はお願いを申し上げたのです。御承知のようにあと八戸の農家の皆さんが、二一・三ヘクタール未買収の土地が実は残っておるわけでありますが、私も純粋農村の血が指の先、足の先まで流れておるわけでありますから、私が直接会いたい。私が直接会って、そして今までいろいろ至らざる点があれば、それはきちんと結末をつけねばならぬし、それから、これから子や孫の代に伝わるこの国でありますから、そういう国家目的に対してぜひ御協力を賜りたいということを私から直接お願いをしたい。ついては、いかなる困難な場所でも出向いてまいりますから、どうぞそういう機会を早急につくっていただくように、こういうことをお願い申し上げて、その返答を待っておるところであります。
  183. 小渕正義

    小渕(正)委員 大臣のかたい御決意のほどを聞いて安心しましたが、ぜひひとつ大臣在任中に、これもまた次の運輸大臣に先送りということのないように、非常に困難な問題でありましょうが、ひとつ勇気を持って取り組んでいただくことを期待申し上げまして、私の質問を終わります。
  184. 川崎二郎

    川崎(二)委員長代理 中路雅弘君。     〔川崎(二)委員長代理退席、委員長着席〕
  185. 中路雅弘

    中路委員 質問の最初に、委員長に一つお願いをしておきたいと思いますけれども、きょうの新聞各紙に、御存じのように「なだしお」側が航泊日誌の衝突時間の書き直しをやったということが大きく報道されております。この問題は、事故が起きた直後に、七月二十八日でしたか、運輸を初めとした四つの委員会が連合審査を行っているわけです。当時、私の質問に竹下総理は、私はそのつかさつかさというものは法律、規則に基づいて正確に行われていると確信していますという答弁が行われていますけれども、航泊日誌の問題は事故の核心にかかわる物証でありますし、この書きかえということになると大変重要な問題だと思うのです。航泊日誌の書き直しについては、事故直後、海上保安庁の捜査でも、口裏合わせをして航泊日誌も書き直している可能性が強いということも指摘されていた問題でありますから、私はこの問題で改めて当時の高原潜水艦隊司令や「なだしお」の山下前艦長等を呼んで、改めて関係委員会を含めて集中的な審議ができるようにひとつ取り計らっていただきたい。最初に委員長にお願いをしておきたいと思います。
  186. 島村宜伸

    島村委員長 この問題は理事会で協議をさせていただきます。
  187. 中路雅弘

    中路委員 もう一つ、最初にこれは運輸大臣にお聞きしたいのですが、新聞報道で、昨日の閣議及びその後の記者会見で大臣が、長い間の懸案でありました内部障害者の運賃割引について、来年二月にも実施するということを明言されているわけですけれども、簡潔に適用の拡大の範囲や実施時期についてここでひとつ御説明いただきたいと思います。
  188. 江藤隆美

    江藤国務大臣 国鉄、それから民鉄、航空各社については、外部障害者についての割引制度はあったわけですが、その他の分が取り残されておりましたので、本委員会としても委員各位から長年にわたって私どもに対し御要望のあったところであります。  今回、事務当局も大変頑張りまして、各社と協 議をいたしました結果、約二十九万人に当たります心臓並びに腎臓患者についてこの適用をしよう、同等の割引をしよう、こういうことに決定をさせていただいたわけでございます。したがいまして、腎臓患者並びに心臓患者約二十九万人がこの適用を受ける、こういうことに相なったわけでありまして、なるべく早く各関係会社から申請をしていただくならば、私どもは年内にでもこれを認可したいと考えております。そして、現場の取り扱いをする方々にも周知徹底をする必要があるのと、身体障害者手帳の書きかえ等の事務がありますので、来年二月をめどにこれが実施できるようにしたい、こういうことで実はきのう閣議で報告をいたしたところであります。その間において、国会の各皆さん方から長年にわたって御指導、御支援をいただきましたことをこの機会に厚くお礼を申し上げたいと思います。  同時に、せっかくの機会ですから、私、申し上げておりましたのは、今まで適用された方々の中でも、例えば鉄道のキロ数、あるいはその他もっと条件を緩和してくれという意見もたくさんあります。それから、精神障害者と実は難病患者が約五十万残るわけであります。ですから、これらの者に拡大いたしますと、割引料金というのは膨大な額に上ります。したがいまして、本来これらの施策というものは、十一兆円を使う実は社会福祉の事業でありますから、公的な支出によって将来はもっと幅広く充実したものになるように厚生省において十分御検討賜りたい、こういうことを私はきのう申し上げたところであります。
  189. 中路雅弘

    中路委員 お話しのように、この問題は衆参でたしか三度にわたって請願が委員会でも採択されていた問題ですし、全国の都道府県の議長会でも毎年要望が強く出されておりました。二十数年の関係者の悲願が実現したわけで関係者は大変喜んでおられると思いますけれども、今大臣お話しのように、まだ残された問題があるわけですね。今お話がありましたように三つあると思うのです。精神障害者、薄弱者、難病者などへの適用拡大をどうするか。障害者の最も利用度の高いのは百キロ以内ですから、この割引の問題をどうするかという問題、距離制限の問題があります。それから特急料金や寝台料金の割引の問題等が残されていると思うのです。今お話しのように、厚生省と話し合って今後検討していきたいということのようですので、ぜひ実現できるようにひとつ努力をしていただきたいという要望を述べておきたいと思います。  次も簡単に、一、二問ですが、清算事業団の雇用問題なんです。  報道によりますと、国鉄職員の雇用対策本部が十一月二十一日にも再開されるということを聞いておりますけれども、今、清算事業団におられてまだ就職が決まっていない未決定者、北海道、九州が中心ですけれども、ごく最近で何名おられるのか。あと残された期間は四カ月です。国会でも当時の中曽根総理以下、一人も路頭に迷わせないということは繰り返し委員会でもおっしゃっていたことですけれども、今度期限が来て残されたということになれば二度首切りということになるわけです。この問題について、あと四カ月ですから、どのように政府の責任で解決をされようとしているのか、一言お聞きしたい。
  190. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 先生御案内のように、再就職対策は来年四月一日に期限が切れますので、今、最終的段階を迎えております。私ども政府としましても、この再就職対策の措置について一層の努力をしなければならないと、現在検討中でございます。
  191. 中路雅弘

    中路委員 概算要求でも組まれていないですね、次の問題は。この四カ月間どうされるか、今具体的な対処の方針がなければこのまま過ぎてしまうわけですよ。もう少し具体的にどのようなお考えですか。
  192. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 現在残っております再就職未定者、特に九二%ぐらいは北海道、九州の二地域に集中しておりますが、これらの地域におきましても、現在、清算事業団の方では、求人数は残っている未定者の五倍以上を確保しているところでございます。今後は、このような求人、さらには一層の努力を重ねて再就職先を確保し、これを提示して、きめ細かく再就職の指導をしていきたいと考えております。
  193. 中路雅弘

    中路委員 私、少し調べてみたんですが、例えばこれからJR北海道、JR九州の退職予定者がありますね。九〇年、九一年、九二年、九三年と、時間が限られていますから、それぞれの数字を抜きにして合計で見ますと、例えばJR北海道では向こう三年、四年で千九百三十一名になるのですね。JR九州でも約一千名になりますから、定員枠で見ても北海道、九州の清算事業団全員を採用しても、単純に数字で言いますと枠があるということにもなるわけですね。JRは、北海道、九州の清算事業団職員については、本州への広域採用等は行われましたけれども、本州、四国はまだ一度も採用手続はやっておりません。一つはJR、もとの職場のJRへ戻してほしいというのが一番希望ですから、こうした定員枠から見ても、この後三千人近い退職予定者もあるわけですから、こうした点は考慮をされるのですか。
  194. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 JR北海道、JR九州につきましては、これも先生御案内のように、当初相当な余剰人員を抱えて発足したこともあり、また、現在の両社の経営状況を見ましても、いわゆる三島基金をもとにようやく利益を上げている状況でございます。しかも、ことしから来年にかけて北海道、九州とも高速道路が整備されていき、鉄道事業は正念場を迎えるように苦しい状況に立ち至ってまいりますので、私どもとしては、現在、JR北海道、JR九州にはこれから再就職未定者を地元採用する余力はない、採用することは適当でないと考えております。
  195. 中路雅弘

    中路委員 きょう労使問題について直接お尋ねするつもりはないのですけれども、御存じのように、各地の労働委員会が仲裁命令を出しています。不当労働行為ということですね。私、全部合計しましたら、この仲裁命令が出ているのだけで二千八百十名に上るわけです。これは前回の委員会でもお話ししたのですけれども、中央労働委員会に再審査を申し立てているから、当事者間の係争中なんでこの推移を見守るというのが一貫して政府の考えです。労働組合法を見ましても、「十五日以内に中央労働委員会に再審査の申立をすることができる。」とありますけれども、ただし、この申し立ては当該命令の効力を停止しない、その命令は、中央労働委員会が二十五条の規定によって再審査の結果、これを変更したようなとき、その限り効力を失うとあるわけですから、労働委員会に申し立てをしていても今の救済命令というのは効力は続いているわけですよ。いつまでもこうした形で救済命令が出てもそれが放置されるということになれば、労働組合法のこうした精神そのものが骨抜きにされてしまうという状況になりますし、その数が既に二千八百十名に上っている。  こうした点は国会の決議でも、採用に当たって所属組合によっての差別がないように特段の留意という決議も行われているわけですし、こうしたことが踏みにじられたところに今日のこの問題があって、それで救済命令が出ているわけですから、この趣旨からも、もとの職場へ戻すという中でも今の問題は相当解決できるというふうに思うのですが、これは政治的な問題でもありますので、大臣、いかがですか、今の問題を今のままで放置するわけですか。
  196. 江藤隆美

    江藤国務大臣 その前に、先ほどお尋ねがありました二千有余人の残余の問題について私の考え方を申し上げておきたいと思います。  当初七千六百人実は民営化されたときにおりまして、我が海上保安庁にも若い人たちをたくさんいただきました。皆優秀な職員でありまして、保安庁としても大変喜んでおるわけであります。だんだんに三年間にわたって職業訓練をやり、職業のあっせんをしていきましたけれども、二千百有余人というのが今日まで残った。しかしながら、私就任して内容をよく検討してみたのですが、その間に職業訓練を受けて十幾つの資格を取った人 たちもおります。全く講習を受けなかった人もおるようであります。中には、調理師の免許などというのは一人百万以上かかるといいますが、そういうものも取った人たちもおる。だから、熱心な人もおったということです。ですから、JR各社が雇うか雇わぬかということは、民営化されたわけですから、私は雇用主にかかわることであると思っています。  同時に、三年間にわたってそれらの雇用対策、職業訓練に要した予算というのは、三年間の給与のほかにおよそ三千億であると私は考えています。それに要した人員は、お世話させていた人員は千人を超えます。ですから、先ほど平成二年の予算には予算要求してないではないか、こういうお尋ねでありますが、今まで七千六百人の中で既にいろいろ自分の心に染まないところでも就職先を求め、そしてそれぞれに職場を求めていった人たちとのバランスも考える必要もあるということから考えると、四月一日以降の処置については全く考えておりません。そのことは、これは残っておる諸君も厳しく受けとめておく必要が私はあると思うのです。  今は日本は人手不足でありまして、先ほど来もトラックの運転手その他についての、あるいはタクシーの運転手等についても御意見がたくさんありました。金がなくて倒産したんじゃなくて、人手が足りなくて倒産するという会社が出ておるというのが今日の日本状況であります。総括審議官が申し上げたように、一人当たり五カ所くらいの就職口は既に準備をしておるわけでありますから、再就職は民営化に伴う政府の大きな責任であったと同時に、お互いがそれぞれの生活を家族を抱えて営むわけでありますから、個人がやる気がなかったならば、幾ら政府がやろう、事業団がやろうといってもそれはかなわぬことであると私は考えています。  それから、ただいまの不服審査の申し立て等につきましては、ただいま係争中でありますから、私どもが、行政がそれに介入することは過当でないと思いますのでしばらく推移を見守りたい、こう考えておるところであります。
  197. 中路雅弘

    中路委員 この雇用問題は、いずれにしても政府の責任で解決をしなければならない問題なんですね、分割・民営化の経過からいっても。だからこの点では、四カ月しかないわけですから、雇用の解決のために、多くの家族を抱えて今将来の展望について不安を持っているわけですから、ひとつ責任を持ってやっていただきたい、このことを改めて強く要請をしておきたいと思います。  次に入りますけれども、これは午前中御質問があった問題ですから、ダブる実例については簡潔にしますが、最近の一連の貨物輸送の規制緩和に続いてタクシーの規制緩和問題が新しくいろいろ提起されています。経済企画庁にある規制緩和の経済理論研究会が四月二十日に、国内航空、バス、トラック、タクシーの運輸業と電気通信事業、大規模小売店等についての参入規制は原則として撤廃すべきだという報告もまとめておられます。午前中問題になりました公正取引委員会の研究会、私も読ませていただきましたけれども運輸業の自由化を促す報告をまとめています。さらに、行革審の公的規制の在り方に関する小委員会が十一月二日に物流分野の規制緩和の促進、旅客運送業にも踏み込んだ規制緩和を提言しているわけです。  物流二法は本委員会に出されて十七日から審議されますから、その問題はその機会に譲るとして、公正取引委員会の報告の運輸業、中でもタクシーの自由化が促された問題について、免許基準の需給要件の撤廃とか自主的な運賃設定を認めるとかいうことが提言されていますが、参入規制だとか同一運賃の問題とか、これはまさに根幹の問題です。だから、この問題について、自由化されるということになればこれは大きな問題になってきますので、最初にこの問題について、例えばこれが実施されるとすれば、消費者、利用者を含めてタクシー労働者にどういう影響があるのか、簡潔にお尋ねしたいと思います。
  198. 江藤隆美

    江藤国務大臣 中路委員にちょっとお答えしておきますが、さっき三千億と申し上げましたのは人件費を含むでありますので、訂正をしておきます。  それから、ただいまの公正取引委員会の提言でありますが、私が考えておりますのは、例えば東京の法人によるタクシーの運転者の一年間の水揚げはおおよそ七百五十万ぐらいであります。それから、個人タクシーになると下がりまして五百七十万ぐらいになります。大阪になるともっとずっと下がっていきます。京都になるともっと下がる。全国平均で大体タクシー運転手の個人当たりの売り上げというのは、間違っておりましたら後で事務局に直させますが、四百五十万ぐらいじゃないかと私は思います。個人タクシーになるともっと下がりまして、地方では三百五十万ぐらいになるはずであります。それから車の償却をし、燃費を払い、税金を払うとなると、なかなか見かけどおりにはそうもうかるものでもない。特にタクシーというのは、御承知のように八割が人件費だと言われておるところですから。  それを完全に参入も自由にする、大きな会社だろうとだれだろうと、車持ってきてどんどんタクシーやりなさいよ。今白タクあるいは代行がはびこってきていろいろ問題を投げかけておりますが、そういうのを大っぴらにやりなさいよ、料金も自由にしなさいよ、こういうことになったならば、夜にどこかへ行こうと思ったら、今度はその都度料金を相談しなければいかぬ。年寄りやら御婦人やら、大雨が降ったときなんかはなかなか車がとれない。普通の二倍も三倍も払わぬと行ってやりませんよ、こういうことは起こらないのか、それから、過当競争のために運転者に対する過重労働というのは起こらないのか、それらのことを考えますと、やはりこれらのものは同一地域同一運賃というのが私は原則であろうと思います。同時に、そのことについては運輸省としては、適正なる運賃の設定、それからまた、過重な労働にならないようにもろもろのことを配慮しながら、人を輸送するということは安全であるということと安心であるということを鉄則にしてこれからも行政を進めていくことが適当である、こう思っておるところであります。
  199. 中路雅弘

    中路委員 今おっしゃったように、タクシーのコストは大体八割が人件費なんですね。しかも、社会的には中小業者が圧倒的に多くを占め、また、ここで働いているタクシーの労働者というのは、他の産業に比べても長時間で劣悪な状況にあります。こういうことを考えますと、もし自由化すれば、競争の激化によってそのツケがそこのタクシー労働者に回ってくる、さらなる長時間労働あるいは交通事故の問題の要因にもなるわけですから、さっきもおっしゃったように、安全輸送上の問題からも非常に重要な問題だと思います。  先ほどもお話しになりましたけれども、この問題が、公正取引委員会の報告書が出たときに新聞等で大臣は批判の談話を出されていますが、公正取引委員会がこうした見解を出すということについて、運輸大臣としての見解を改めて一言聞いておきたい。私は権限を越える問題だと思うのです。
  200. 江藤隆美

    江藤国務大臣 公正取引委員会が、その職務を遂行する上で内部的にもろもろの検討をされるということは、私は決して否定するものではありません。しかしながら、政府においても、行革審その他もろもろの場所でこうした規制緩和あるいは改善等については全体として既に取り組んできておることでありまして、自分の職責を越えるような、行政官庁にわたることを公取がやることはいかがなものかと私は考えております。その名のとおり、公正を著しく損なうものについて公正取引委員会というのは活動すべきものであって、他省庁の、私は縄張り意識を持つわけじゃありませんが、運輸省見解を聞くこともなく、それから本日朝も言っておりましたが、皆専門家だけとは言えません、中には専門家がおりますということですが、そういう方々でもってそういう無責任な発表をされるということはいささか迷惑である、こ ういうふうに私は申し上げておるわけです。  ただし、省内においては、いやしくも運輸省が許認可行政の上にあぐらをかいておるなどという批判を受けるようなことはゆめあってはならない、私どももその姿勢を厳しく正しながらこれらの問題に取り組んでいこう、こう考えているところです。
  201. 中路雅弘

    中路委員 一言だけ確認しておきますけれども、この参入規制とか地域の同一運賃とかは根幹の問題です。こうした問題について、これは堅持していかなければいけないと思うのですが、いかがですか。
  202. 江藤隆美

    江藤国務大臣 皆さんの御理解を得て、そのように取り組んでいきたいと思っております。
  203. 中路雅弘

    中路委員 これは午前中に同僚議員がお尋ねになったことですけれども、私も全国いろいろ話を聞きますと、その先駆けとも言うべき事態がいろいろ出ているのです。吉原議員がお尋ねになった京都の業者であるMKタクシーの問題もその一つなんです。午前中の答弁を聞いておりまして、事態はそんなに生易しくないということを非常に痛感しました。  私どもも現地へ行ってみましたら、北新地内にステーションMKなる待合所をオープンしておりますけれども、一階がスナック風の待合所につくって、二階は京都の和服の展示場にして偽装しながらいわゆる客寄せをして京都へ運んでいるわけです。これは明らかに道路運送法の四条及び十九条に違反する行為ですから、こうした問題については事態をよく調査の上運輸省としても厳正な処置をとっていただきたいと改めて要請したいと思いますが、いかがですか。
  204. 早川章

    早川政府委員 先生指摘のMKタクシーが大阪に設置しましたMKステーションについてでございますけれども、私どもはその当初からMKステーションの運営方法が道路運送法等の関係法令に違背することのないように指導を行ってきたところでございます。また、その設置後の実態調査もいたしまして、不適切であると認められた行為に対しましては、文書をもって勧告等も行ってきております。今後とも継続的な実態調査によりまして、関係法令を逸脱した運営方法がなされないよう監視いたしますとともに、いやしくも法令等に違背するような事実が認められた場合にはもちろんのことでございますが、厳正に対処していく所存でございます。
  205. 中路雅弘

    中路委員 せっかく委員会でも取り上げられた問題ですから実態をもう一度よく調査して、運輸省としても厳正な対処をされるように要請しておきたいと思います。  もう一つ、自由化と関連するのですが、タクシーというのは公共輸送機関ですから国民生活を守る上でもまた非常に重要なんですけれども、いわゆる悪質業者によって道路運送秩序が守られないという事態があちこちで起きておるわけです。  私は一例だけ挙げますが、大阪の古知資本が経営する北港タクシーです。大阪だけでも六百五十台を有する新興大手になっておりまして、群馬や静岡、千葉、和歌山にも出てきておるわけです。これは大阪運輸局も既に御承知と思いますが、道路運送車両法によって車には有効な車検証を備えつけることを義務づけておるわけですけれども、ここではコピーの車検証で運行しておるという事実が明らかになっております。この意図はよくわかりませんが、恐らくタクシー二台に使っておるとかいうようないろいろな疑いもあるわけですけれども、こうした車検証を変造することによって何かの利益を得ようというのは、特にこのコピーの車検証を使っておるというのは明らかに法違反だと思うのです。そういう点で、こうした法違反の明確な企業について厳格な対処が必要だと思いますが、いかがですか。
  206. 早川章

    早川政府委員 御指摘のとおり、北港タクシーという会社でございますが、なぜかコピーの車検証を持っておるということでございまして、その運行は既に確認しておりますので、現在、是正方を強力に指導しておるところでございます。  具体的なそういうことに限りませんで、運輸省といたしましては、それぞれいろいろな形で法令違反等がございました場合には、関係法令に基づきまして厳正に対処いたしておりますし、また、今後ともそうしてまいりたいと考えております。
  207. 中路雅弘

    中路委員 この会社は、近代社会とか法治国家とは全く縁遠いような不当労働行為をやっておるのです。きょう私は労使問題についてここで論議はしませんが、一例だけ挙げますと、ことしの八月、組合事務所にクレーン車を持ってきて組合事務所をぶち壊すとか、ちょっと考えられないようなひどいことが起きておるのです。  賃金の問題で一つお尋ねいたしますが、賃金の支払いの形態ですけれども、例えば五十万円の水揚げがあったとすると、本給は十一万円です。水揚げの六〇%、三十万円は労働者に支払われるという場合に、本給が十一万円で、残りの十九万円は全部貸付金という形で支払っておるわけです。だから、これは社会保険料等の本来事業者が支払わなければならないものをごまかすために行っておる脱法行為です。これがもし事実とすれば、これは労働問題以前の問題ですし、特にタクシー労働者にとっては後の年金との関係でも非常に大きな問題を起こすわけです。こういう点で、保険料や税金をごまかす、あるいは車検証も変造する、これでは道路運送法に規定する公正な競争は当然確保されないわけですし、安全運行も保たれないということなので、私は、この問題については厳格な指導をして、明確な法違反については直ちにやめさせるように指導を徹底させていただきたいと強く要請したいと思います。
  208. 早川章

    早川政府委員 タクシーの行政を推進してまいる上で適切な労働者、労働力を確保していくことは最も基本になることであるというふうに考えておりまして、私どもといたしましても、事業者に対しまして運転手さんの教育とか指導の徹底、あるいは固定給部分を厚くした賃金の推奨、あるいは増車についても労働者、運転手さんへの影響を見る、こういう形で常に対応してきておるところでございます。我々は個々の事業者の給与の仕組みということまで具体的に立ち入るという形ではございませんけれども、それぞれの給与の支払い方法等について問題があれば、個々の問題はそれぞれ労働省その他の対応になっていくかと思いますが、私どもとしても十分遺憾のないよう心してまいりたいと考えております。
  209. 中路雅弘

    中路委員 今私が実例で挙げたのは、現地の運輸局も恐らく訴えもあって御存じだと思いますけれども、今これはどういうように対処されているのですか。
  210. 早川章

    早川政府委員 私どもの方に運輸局の方から具体的な対応まで現在のところ情報は入っておりません。しかしながら、事業監督一般としての対応と、それからそれぞれの所管のところの官庁の指導というものは別途にあるかと思いますが、私どもといたしましては事業監督の上で十分遺憾のないように指導していきたい、こういうことでございます。
  211. 中路雅弘

    中路委員 このような明白な違法行為については、関係の省庁とも連絡していただいて、ひとつ厳正な処置をしてほしい、重ねて要請をしておきたいと思います。  時間がもう余りありませんから、もう一点。  これは、最近毎年出ていますけれども、十月二十九日ですか、運輸省の労働組合、全運輸労働組合が発表した管制官の問題ですが、ニアミス体験についての報告が出されています。航空管制官の四人に一人が空中衝突のおそれがある異常接近の体験をしているということが報道されているわけですが、これは十年来同様のアンケート結果になっているわけです。深刻な問題だと思いますし、特に航空の問題というのは多くの人命を預かる大変重要な問題ですから、航空管制官の問題について一言お尋ねしたいのです。  交通量は非常に飛躍的に拡大しているわけですけれども航空管制官の増員はそれに見合ってはほとんどふえていないという状況ですから、私も現場に行ってお聞きしましたら、極端なことを言うと一人の管制官で最高二十機見なければならな いということもあった。大体普通七機か八機を見なければならないのです。そうしますと、そこでどんな問題が出るかというのですが、何かアクシデントがあった場合には、その一機について神経を集中しますからほかの航空機の実態が十分見れないということでミスが起きるという問題も起きるわけです。  これはだれでも予想がつくわけですが、ダブルチェックができないという問題です。管制にバックアップ体制がどうしても必要だと思うのですが、例えば管制官が病気で休んだときは、今度は逆に二台のレーダーを一人で見なければならない。人間の能力に限界があるわけですから抜本的に考えなければならない。多くの人命を一瞬にして失うという航空機事故の問題であるだけに、せめて一台のレーダーに複数の管制官を配置するとか、そういう改善について私は早急に行う必要があると思いますが、いかがですか。
  212. 丹羽晟

    丹羽政府委員 先生のただいまの御指摘は、いわゆるダブルウオッチのお話だと思います。それで、管制官の人員配置の問題につきましては、私どもも、航空交通量の増大に対しまして個々の管制官がこれに十分対応できるように、従来からセクターを分割するとか管制席の増席など必要な措置を講じてきているわけでございます。ニアミス防止などの対策といたしましては、繁忙管制機関におきましては副主任の方を配置するとか、そういうやり方で業務の助言とか応援を適宜行う体制をとっております。それで私どもの方としては十分安全体制を確保していると考えております。
  213. 中路雅弘

    中路委員 副主任を置くという話ですけれども、これも三人に一人ぐらいじゃないですか。だから関係者の皆さんが、管制官が要求しているのは少なくともダブルチェックといいますか、できたら一台のレーダーに二人ぐらいの管制官を配置してほしいという要望がありますから、これは待遇の問題と関係しますけれども、ぜひ実現できるようにお願いをしておきたいと思います。  時間ですから、最後にもう一問。  今、運輸省のパイロットは調整額が三ですね。管制官が二なんですけれども運輸省は概算要求で管制官も三ということで要求をされているということを聞いていますが、ぜひ改善が必要だと思うのです。手当について私がこの委員会でも取り上げましたけれども、その後、特殊勤務手当は二五%上がっていますが、さらにこうした問題の改善、あるいは休憩時間の制度化とか幾つか管制官から要望もいただきました。全体として非常に大事な、人命を預かる仕事をしている管制官の問題ですから、人員増の問題やこうした待遇の問題、この改善にぜひひとつ取り組んでいただきたい。最後に大臣にもお願いしておきたいのですが、いかがですか。
  214. 江藤隆美

    江藤国務大臣 特殊な勤務に当たる人たちでありまして、私も現場を見て、暗いところでああいう計器に向かっておるわけですから、その責任と御苦労というのを大変痛感をいたしまして、聞きましたら毎年要求するけれどもなかなか通りません、こういうことでありまして、運輸省としては何としてもこれを実現したいという意欲に燃えておるわけであります。  ところが、御承知のように、各省庁にわたりまして特殊勤務にかかわる職場というのはたくさんありまして、おれもおれもというと、私も幾つか抱えておるわけですが、マイナスシーリングの中でなかなか実現ができなかったということであります。全体的なそういうこともありましょうけれども、私どもは私どもなりにまた努力をしたいと思っております。
  215. 中路雅弘

    中路委員 もう一問通告はしてあったのですが、時間を守ってきょうは終わります。      ────◇─────
  216. 島村宜伸

    島村委員長 第百十四回国会内閣提出貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の両案を一括して議題といたします。  順次、趣旨の説明を聴取いたします。江藤運輸大臣。     ─────────────  貨物運送取扱事業法案  貨物自動車運送事業法案     〔本号(その二)に掲載〕     ─────────────
  217. 江藤隆美

    江藤国務大臣 ただいま議題となりました貨物運送取扱事業法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  経済構造の転換、国民生活の向上を背景として、貨物の運送に対する需要は多様化、高度化の傾向を強めており、貨物運送取扱事業は、利用者の需要を各種の運送サービスに的確に結びつける機能を果たすものとして、一層重要な役割を担うものと考えられます。  本法律案は、このような貨物運送取扱事業の円滑な機能の発揮と事業の適正かつ合理的な運営確保するため、現在、通運事業法等各運送機関ごとの個別の法律において規定されている貨物運送取扱事業の規制制度について、その内容を見直し、それぞれの機能に応じた横断的、総合的な制度を整備しようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、貨物運送取扱事業が果たす機能及び利用者に対する契約上の責任の内容に応じて、貨物運送取扱事業を、運送事業者の行う運送を利用して貨物の運送を行う利用運送事業と自己の名をもってする貨物の運送の取り次ぎ等を行う運送取次事業とに区分することとしております。  なお、利用運送事業のうち、航空または鉄道運送に係る利用運送と自動車による集配の運送を一貫して行う事業を第二種利用運送事業とし、その他の利用運送事業を第一種利用運送事業とすることとしております。  第二に、利用運送事業について、その開始を許可制とするとともに、事業計画の変更、利用運送約款、事業の休止及び廃止等について、それぞれ所要の規定を設けることとしております。  第三に、運送取次事業について、その開始を登録制とするとともに、利用運送事業に準じて、変更登録、運送取次約款等について、所要の規定を設けることとしております。  第四に、貨物運送取扱事業に係る運賃及び料金については、あらかじめ運輸大臣に届け出ることとし、運輸大臣は、一定の事由に該当するときはこれを変更すべきことを命ずることができることとしております。  第五に、外国人等の行う国際貨物運送に係る利用運送事業及び運送取次事業について所要の規定を設けることとしております。  第六に、附則において、通運事業法を廃止するほか、現在貨物運送取扱事業に関して規定している関係法律について、所要の改正を行うこととしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いする次第でございます。  続いて、貨物自動車運送事業法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  貨物自動車運送事業は、産業基盤資材から生活必需物資まで経済活動や国民生活に必要不可欠な物資輸送を担っており、国内貨物輸送において基幹的役割を担っているところでありますが、一方において、経済構造の転換や国民生活の向上を背景とした輸送ニーズの多様化、高度化への対応、過労運転等輸送の安全を阻害する行為の防止という課題への取り組みの必要性が高まっているところであります。  本法律案は、こうした社会経済情勢の変化に対応して、貨物自動車運送事業者の創意工夫を生かした事業活動が迅速かつ的確に行えるよう、事業規制を抜本的に見直すとともに、貨物自動車運送に関する秩序の確立に資する民間団体等の自主的な活動を促進する措置を講じ、もって貨物自動車 運送事業の健全な発達を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、貨物自動車運送事業事業区分を、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業及び貨物軽自動車運送事業の三種類に整理し、その簡素化を図ることとしております。  第二に、一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の開始については、許可制とし、貨物軽自動車運送事業の開始については、届け出制とするとともに、事業計画の変更、事業の休止及び廃止等の事業規制についても、現行道路運送法と比較して大幅な規制の緩和、手続の簡素化を図った上で、所要の規定を設けることとしております。  第三に、一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業については、特定の地域で供給輸送力が輸送需要量に対し著しく過剰となり、当該地域における事業者の相当部分について事業の継続が困難になると認められる場合等には、期間を定めて新規参入の停止の措置等の緊急調整措置を講じることができることとしております。  第四に、一般貨物自動車運送事業に係る運賃及び料金については、あらかじめ運輸大臣に届け出ることとし、運輸大臣は、一定の事由に該当するときはこれを変更すべきことを命ずることができることとしております。  また、経済事情の変動により一般貨物自動車運送事業に係る運賃及び料金が著しく高騰し、または下落するおそれがある場合であって、特に必要があると認められるときは、標準運賃及び標準料金を設定することができることとしております。  第五に、輸送の安全に係る事業者の遵守義務として過労運転及び過積載の防止に関する規定を新たに設けるとともに、運輸大臣が行う試験に合格する等一定の要件を備える運行管理者の選任を義務づけることとしております。  第六に、輸送の安全を阻害する行為の防止その他貨物自動車運送に関する秩序の確立に資する事業推進するため、この事業を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人を地方貨物自動車運送適正化事業実施機関及び全国貨物自動車運送適正化事業実施機関として指定することができることとするとともに、これら実施機関について所要の規定を設けることとしております。  第七に、運輸大臣が行う運行管理者試験の実施に関する事務を、指定試験機関に行わせることができることとするとともに、この指定試験機関について所要の規定を設けることとしております。  第八に、運輸大臣は、一般貨物自動車運送事業者または特定貨物自動車運送事業者に対し一定の命令または処分をする場合において、当該事業者に違反行為を指示した荷主に対しても、当該違反行為の再発の防止を図るため適当な措置をとるべきことを勧告することができることとしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  218. 島村宜伸

    島村委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  219. 島村宜伸

    島村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の両案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  なお、参考人の出頭日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、来る十七日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時九分散会