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江藤国務大臣 ただいま議題となりました
貨物運送取扱事業法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
経済構造の転換、
国民生活の向上を背景として、貨物の運送に対する
需要は多様化、高度化の傾向を強めており、貨物運送取扱
事業は、利用者の
需要を各種の運送サービスに的確に結びつける機能を果たすものとして、一層重要な役割を担うものと
考えられます。
本
法律案は、このような貨物運送取扱
事業の円滑な機能の発揮と
事業の適正かつ合理的な
運営を
確保するため、現在、通運
事業法等各運送機関ごとの個別の法律において規定されている貨物運送取扱
事業の規制制度について、その内容を見直し、それぞれの機能に応じた横断的、総合的な制度を
整備しようとするものであります。
次に、この
法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、貨物運送取扱
事業が果たす機能及び利用者に対する契約上の責任の内容に応じて、貨物運送取扱
事業を、運送
事業者の行う運送を利用して貨物の運送を行う利用運送
事業と自己の名をもってする貨物の運送の取り次ぎ等を行う運送取次
事業とに区分することとしております。
なお、利用運送
事業のうち、
航空または鉄道運送に係る利用運送と自動車による集配の運送を一貫して行う
事業を第二種利用運送
事業とし、その他の利用運送
事業を第一種利用運送
事業とすることとしております。
第二に、利用運送
事業について、その開始を許可制とするとともに、
事業計画の変更、利用運送約款、
事業の休止及び
廃止等について、それぞれ所要の規定を設けることとしております。
第三に、運送取次
事業について、その開始を登録制とするとともに、利用運送
事業に準じて、変更登録、運送取次約款等について、所要の規定を設けることとしております。
第四に、貨物運送取扱
事業に係る運賃及び料金については、あらかじめ
運輸大臣に届け出ることとし、
運輸大臣は、一定の事由に該当するときはこれを変更すべきことを命ずることができることとしております。
第五に、
外国人等の行う
国際貨物運送に係る利用運送
事業及び運送取次
事業について所要の規定を設けることとしております。
第六に、附則において、通運
事業法を
廃止するほか、現在貨物運送取扱
事業に関して規定している
関係法律について、所要の改正を行うこととしております。
以上が、この
法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いする次第でございます。
続いて、
貨物自動車運送事業法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
貨物自動車運送
事業は、産業基盤資材から生活必需物資まで
経済活動や
国民生活に必要不可欠な物資
輸送を担っており、
国内貨物
輸送において基幹的役割を担っているところでありますが、一方において、
経済構造の転換や
国民生活の向上を背景とした
輸送ニーズの多様化、高度化への対応、過労運転等
輸送の安全を阻害する行為の防止という
課題への取り組みの必要性が高まっているところであります。
本
法律案は、こうした
社会経済情勢の変化に対応して、貨物自動車運送
事業者の創意工夫を生かした
事業活動が迅速かつ的確に行えるよう、
事業規制を抜本的に見直すとともに、貨物自動車運送に関する秩序の確立に資する民間
団体等の自主的な活動を促進する措置を講じ、もって貨物自動車
運送
事業の健全な発達を図ろうとするものであります。
次に、この
法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、貨物自動車運送
事業の
事業区分を、一般貨物自動車運送
事業、特定貨物自動車運送
事業及び貨物軽自動車運送
事業の三種類に整理し、その簡素化を図ることとしております。
第二に、一般貨物自動車運送
事業及び特定貨物自動車運送
事業の開始については、許可制とし、貨物軽自動車運送
事業の開始については、届け出制とするとともに、
事業計画の変更、
事業の休止及び
廃止等の
事業規制についても、現行道路運送法と比較して大幅な規制の緩和、手続の簡素化を図った上で、所要の規定を設けることとしております。
第三に、一般貨物自動車運送
事業及び特定貨物自動車運送
事業については、特定の
地域で供給
輸送力が
輸送需要量に対し著しく過剰となり、当該
地域における
事業者の相当部分について
事業の継続が困難になると認められる場合等には、期間を定めて新規参入の停止の措置等の緊急調整措置を講じることができることとしております。
第四に、一般貨物自動車運送
事業に係る運賃及び料金については、あらかじめ
運輸大臣に届け出ることとし、
運輸大臣は、一定の事由に該当するときはこれを変更すべきことを命ずることができることとしております。
また、
経済事情の変動により一般貨物自動車運送
事業に係る運賃及び料金が著しく高騰し、または下落するおそれがある場合であって、特に必要があると認められるときは、標準運賃及び標準料金を設定することができることとしております。
第五に、
輸送の安全に係る
事業者の遵守義務として過労運転及び過積載の防止に関する規定を新たに設けるとともに、
運輸大臣が行う試験に合格する等一定の要件を備える運行管理者の選任を義務づけることとしております。
第六に、
輸送の安全を阻害する行為の防止その他貨物自動車運送に関する秩序の確立に資する
事業を
推進するため、この
事業を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人を
地方貨物自動車運送適正化
事業実施機関及び全国貨物自動車運送適正化
事業実施機関として指定することができることとするとともに、これら実施機関について所要の規定を設けることとしております。
第七に、
運輸大臣が行う運行管理者試験の実施に関する事務を、指定試験機関に行わせることができることとするとともに、この指定試験機関について所要の規定を設けることとしております。
第八に、
運輸大臣は、一般貨物自動車運送
事業者または特定貨物自動車運送
事業者に対し一定の命令または処分をする場合において、当該
事業者に違反行為を指示した荷主に対しても、当該違反行為の再発の防止を図るため適当な措置をとるべきことを勧告することができることとしております。
以上が、この
法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。