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1989-08-31 第115回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年八月三十一日(木曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員異動  八月二十五日     辞任         補欠選任      星川 保松君     粟森  喬君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         板垣  正君     理 事                 大城 眞順君                 永野 茂門君                 山口 哲夫君                 吉川 春子君     委 員                 大島 友治君                 後藤 正夫君                 田村 秀昭君                 翫  正敏君                 角田 義一君                 野田  哲君                 三石 久江君                 八百板 正君                 中川 嘉美君                 吉岡 吉典君                 粟森  喬君                 田渕 哲也君   国務大臣       国 務 大 臣       (内閣官房長官       )         森山 眞弓君       国 務 大 臣       (総務庁長官)   水野  清君       国 務 大 臣       (防衛庁長官)   松本 十郎君   事務局側       常任委員会専門       員         原   度君   説明員       内閣官房長官   藤本 孝雄君       人事院総裁     内海  倫君       人事院事務総局       管理局長      菅野  雄君       人事院事務総局       任用局長      森園 幸男君       人事院事務総局       給与局長      中島 忠能君       人事院事務総局       職員局長      大城 二郎君       警察庁警備局警       備課長       桜井  勝君       総務政務次官    若林 正俊君       総務庁人事局長   勝又 博明君       防衛政務次官    鈴木 宗男君       防衛庁防衛局長   日吉  章君       防衛庁教育訓練       局長        米山 市郎君       防衛庁経理局長   藤井 一夫君       防衛施設庁施設       部長        大原 重信君       法務省入国管理       局長        股野 景親君       外務省北米局地       位協定課長     森  敏光君       文部省初等中等       教育局高等学校       課長        林田 英樹君       文部省初等中等       教育局小学校課       長         菊川  治君       文部省高等教育       局医学教育課長   小林 敬治君       自治省行政局公       務員部公務員第       二課長       蒲谷 亮一君       自治省行政局公       務員部給与課長   嶋津  昭君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (一般職職員給与及び週休二日制等につい  ての報告並びに給与改定についての勧告に関  する件)  (公務員倫理高揚及び公務運営改善に関す  る件)  (地方公務員給与改善に関する件)  (公務員の婦人の地位向上に関する件)  (育児休業制度改善に関する件)  (米軍太平洋演習」と日米共同訓練に関する  件)  (防衛費に関する件)  (在日米軍訓練に関する件)  (消費税に関する件)  (政治献金に関する件)  (ベトナム難民等に対する政府の対応策に関す  る件)     ―――――――――――――
  2. 板垣正

    委員長板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、星川保松君が委員を辞任され、その補欠として粟森喬君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 板垣正

    委員長板垣正君) この際、国務大臣及び政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。森山内閣官房長官
  4. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) このたび、官房長官を拝命いたしまして、内閣官房及び総理府本府の事務を担当することになりました。  大変微力でございますが、誠心誠意職務の遂行に当たる考えでございますので、委員長初め委員皆様方の格別の御指導と御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
  5. 板垣正

  6. 水野清

    国務大臣水野清君) このたび総務庁長官を拝命いたしました水野清でございます。  私は、社会経済情勢の変化に対応した総合的かつ効率的な行政実現するために総合調整官庁として総務庁が果たすべき役割を十分認識し、各般の課題に誠心誠意取り組んでまいる所存でございます。委員長初め委員各位の御指導をよろしくお願い申し上げます。
  7. 板垣正

  8. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) このたび防衛庁長官を拝命いたしました松木十郎でございます。板垣委員長初め各委員に謹んでごあいさつを申し上げたいと思います。  現下の厳しい内外諸情勢の中にあって、国家存立の根幹をなす国の防衛という大任を担うことになり、その責務の重大さを痛感いたしております。私は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、日本国憲法に従い、国民各位の御理解のもとで、着実な防衛力の整備と日米安全保障体制信頼性維持向上最善を尽くしてまいる所存でございます。  我が国防衛政策を推進し、私に課せられた重責を果たしていくには、この分野に精通しておられる委員長初め委員各位の御支援が不可欠でありますので、今後ともなお一層の御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。  以上、簡単でございますが、就任のごあいさつといたします。
  9. 板垣正

  10. 藤本孝雄

    説明員藤本孝雄君) このたび内閣官房長官を拝命いたしました藤本孝雄でございます。  森山官房長官を補佐いたしまして職務に精励してまいる決意でございますので、委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻をお願いいたします。
  11. 板垣正

  12. 若林正俊

    説明員若林正俊君) このたび再度総務政務次官を拝命いたしました若林正俊でございます。  水野長官を補佐し、引き続き全力を尽くしてまいりたいと思っております。委員長初め皆様方の格段の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
  13. 板垣正

  14. 鈴木宗男

    説明員鈴木宗男君) このたび新内閣の発足に際し防衛政務次官に再任されました鈴木宗男でございます。  松本長官のもとで最善を尽くして責務を全うしてまいる所存でありますので、委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻を伏してお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
  15. 板垣正

    委員長板垣正君) ありがとうございました。  御退席いただいて結構でございます。     ―――――――――――――
  16. 板垣正

    委員長板垣正君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  まず、一般職職員給与及び週休二日制等についての報告並びに給与改定についての勧告に関し、人事院から説明を聴取いたします。内海人事院総裁
  17. 内海倫

    説明員内海倫君) 御報告を申し上げたいと思います。  人事院におきましては、去る八月四日、国会と内閣に対し、公務員給与及び週休二日制等に関する報告並びに給与に関する勧告を提出いたしました。本日、その内容について御説明申し上げる機会が与えられましたことに厚く御礼申し上げます。  以下、その概要を御説明申し上げます。  まず、初めに、勧告内容について御説明いたします。  公務員給与改定に当たっては、人事院は従来から、社会経済情勢動向、各方面の意見等を踏まえながら、民間賃金との均衡を図ることを基本として臨んでまいっております。本年も、民間賃金の精密な調査はもとより、民間企業経営努力についても調査するなどさまざまな角度から検討いたしました。  本年の職員給与を取り巻く諸情勢を見ますと、ほとんどの民間事業所において給与改定が行われており、官民給与の間には相当の較差が生じていることが認められるほか、同じ一般職国家公務員である四現業の職員についても、中央労働委員会により民間賃金動向を重視した仲裁裁定が行われており、これらの諸事情を総合的に勘案した結果、本年も従来どおり職員給与について所要改定を行うことが必要であると認め、勧告いたしました。  本年も四月時点における官民給与を精密に調査し、相互の給与を厳密に比較いたしましたが、その結果、官民給与較差金額で八千七百七十七円、率で三・一一%であることが判明いたしました。  この較差配分につきましては、俸給に七千六百六十八円、手当に六百六十七円、この改善手当へのはね返り四百四十二円といたしております。  まず、俸給表については、民間配分傾向等を考慮して、初任給中心若年層にも配慮しつつ、全俸給表にわたって金額改定を行っております。なお、指定職俸給表については、諸般の事情を考慮し、行政職と同程度改定にとどめていますが、同俸給表につきましては、従来から参考としている民間企業役員給与との間に引き続き差が認められるとともに、公務部内における均衡にも配慮する必要がある点を踏まえ、今後、相応の改善を図るよう引き続き検討を行っていくことといたしております。  次に、手当につきましては、民間における支給状況等を考慮し、通勤手当及び期末勤勉手当について改善を行い、その他医師の初任給調整手当についても改善を行っています。  具体的に申し上げますと、通勤手当について、交通機関等利用者運賃等相当額全額支給限度額を九千円引き上げ、三万円に改定し、あわせて交通用具使用者についても所要改善を行っております。  また、期末勤勉手当については、民間のボーナスの年間支給月分との均衡を図るため、六月期の期末手当及び勤勉手当の額をそれぞれ〇・一月分増額することとしております。  さらに、公務における単身赴任実態民間における単身赴任者に対する措置状況等を考慮し、赴任を契機としてやむを得ず単身で生活することとなった職員等を対象として、新たに単身赴任手当を設けることといたしております。同手当支給月額は、基礎額を二万円とし、距離に応じて月額最高一万八千円を加算することといたしております。  以上が勧告概要でございますが、このほか、かねて問題が指摘されてきた調整手当支給地域について、地域民間賃金、物価及び生計費等実情に応じて適正化を図るよう見直しを行うこととしております。その際、見直しにより支給地域指定を解除する場合等には所要経過措置を設けることとし、また、今後は、定期的に支給地域区分を見直すことを考えております。  実施時期につきましては、本年四月一日からとしております。なお、単身赴任手当の新設及び調整手当支給地域見直しについては、平成二年四月一日からとしております。  今回の報告の中では、公務員完全週休二日制の実現についても言及しております。  民間における労働時間短縮週休二日制の進展状況、土曜閉庁の定着状況等から、公務における完全週休二日制について、国全体の労働時間短縮計画期間内における速やかな実現に向けての検討をさらに積極的に進める必要があることを述べております。  そのため、完全週休二日制を念頭に置いた業務執行体制についての検討が必要であり、特に、交代制等により勤務する職員については、勤務体制等の大幅な見直しが必要となることから、実地に即した問題点の把握と対応策検討のため、週四十時間勤務についての試行をできる限り早期に実施する必要があるとの認識をお示しいたしております。  これにあわせて、長時間の超過勤務について、総実勤務時間の短縮職員の健康・福祉の観点から、これを短縮する必要があるとの認識をお示しし、各関係者改善のための努力を求めております。  ところで、公務員は、その職務のいかんを問わず、また、その勤務場所のいずれかを問わず、全体の奉仕者として中立、公正にその任務を尽くすことが求められていますが、ここ一、二年ごく少数の職員、特に一部の管理、監督の任にある者に非違行為が見られ、国民から厳しい指弾を受けるに至りました。まことに遺憾なことであります。ごく一部の者の犯した不祥事であっても、その結果は公務員全体に対する国民信頼に大きな影響を与えるものであり、今回、報告において公務員倫理高揚必要性について特に指摘し、公務員諸君に対しても注意を喚起することといたしました。  人事院は、今回の勧告に当たっても、公務員勤務条件について、中央地方を通じ広く各界との意見交換を行いました。表明された意見を見ると、業務合理化効率化行政サービス向上に一段と努めるよう指摘する意見が見られる一方、民間給与との均衡により公務員給与を決定する現行の方式については適切なものと評価する意見が多く示されています。また、公務員週休二日制については、国全体の労働時間短縮への流れを促進するためにも、国民理解を得ながら完全週休二日制の実現に向けて積極的に検討を進めるべきであるとの意見が多数を占めています。  以上、給与及び週休二日制等に関する報告並びに給与に関する勧告概要を御説明申し上げました。  人事院勧告は、申し上げるまでもなく、労働基本権制約代償措置として行われるものであり、国家公務員法の定める情勢適応の原則に基づき行うものであります。  人事院といたしましては、職員に対し適正な処遇を確保することは、その士気を高く保持し、職場の労使関係の安定に寄与するとともに、公務に必要な人材を確保し、ひいては将来にわたる国の行政運営の安定に資するものであると考えます。  内閣委員会皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割及び職員行政の各分野において真摯に職務に精励している実情に深い御理解を賜り、何とぞこの勧告のとおりと早急に実施していただくよう衷心よりお願い申し上げます。
  18. 板垣正

    委員長板垣正君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  19. 山口哲夫

    山口哲夫君 まず、防衛庁長官お尋ねをいたします。  太平洋演習参加する米軍との日米共同演習についてであります。  その前に、今世界米ソ二大超大国を中心にいたしまして非常に軍縮方向に向かっていると思うんですが、その軍縮問題について、そういう傾向について長官としてどうお考えでしょうか。
  20. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 最近のゴルバチョフ発言等にありますように、あるいは米ソ間の軍縮の推進にありますように、デタントという傾向軍縮方向というものは感ぜられるわけでございまして、それは大変いいことだと思っております。しかしながら、現実にはまだ軍縮というものがそれほど進んでおらぬわけでございまして、我我は、防衛ということを考える場合には、現実の姿というものを前提として考えなければならない、そういうスタンスでやっておるわけであります。
  21. 山口哲夫

    山口哲夫君 しかし、防衛庁としてこの軍縮方向に対する考え方、それは基本としてあくまでもやっぱり、世界軍縮に進まなければならないし、我が国もそういう方向で進まなければならない、そういう基本的な考え方をお持ちなんでしょうね。
  22. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 考え方としてはそういう方向を評価しながらやるわけでありますが、しかしまた現実の姿というものを頭に置いて具体的なことをやらなければならぬわけでございまして、考え方だけで物事が進まないというのが実際ではないかというふうに考えております。
  23. 山口哲夫

    山口哲夫君 基本的にそういうお考えを持っていれば、具体的な施策についてもできるだけそれに歩調を合わせていくような努力というのは当然していかなければならないと思うんですけれども、いかがですか。
  24. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) もちろんおっしゃる点はよくわかるわけでありますが、しかし防衛実態というものは、あくまでも考え方考え方としてあって、方向というものは一応考えられますが、具体的に一つずつ進めるに当たりましては現実の姿というものをはっきり見きわめた上でやらなければいけない、我々はこういうふうに考えております。
  25. 山口哲夫

    山口哲夫君 基本としてはあくまでも世界方向というのは軍縮方向に向かっているとするならば、我が国としてもできるだけそれに近づけるように、そういう施策をもっともっと助長するように努力するのが我が国役割だと思うんです。  残念ながら、そういうことから申しますと、アメリカ北太平洋、オホーツク海、日本海、インド洋にかけまして、カナダ、フィリピン、インドネシア、それからオーストラリア、日本共同でこの秋にもこれまでにないような大がかりな太平洋演習を行う、こういうふうに言われております。これは米ソ緊張をむしろ高めるようなことになるんではないだろうか。そういうことを考えたときに、日本が本当にこの太平洋地域の平和を望むという考え方があるならば、この演習には日本としては参加するべきではない、そういうふうに考えるんですけれども、どうでしょうか。
  26. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 我が国としましては、日米安保体制維持増進ということが課題でございまして、アメリカ訓練アメリカ訓練であり、我々は日本アメリカとの共同演習ということでやるわけでありますので、その辺のところは立場が若干違うと思います。
  27. 山口哲夫

    山口哲夫君 こういう演習日本参加していくということは、米ソ緊張というものをむしろ高めるような、そういう役割を担うだけだと思うんです。  そういうことから考えれば、我が国が今、世界軍縮方向にできるだけ力をかしていかなければならないときだと思うんですけれども、そういう方向に逆行するようなことになりませんでしょうか。
  28. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 我々は、あくまでも米軍との戦術技量向上を図るための共同演習でありまして、そのことが言われるような米ソ緊張をさらに刺激するというふうな考えは持っておりません。あくまでも日本アメリカとの共同演習にとどまるわけであります。
  29. 山口哲夫

    山口哲夫君 日本アメリカ共同演習だと言うけれども、これはソ連側にとってみますと、ソ連太平洋から完全に締め出されるというふうに受け取ることは間違いないと思うんです。これは相手国があるわけですから、当然そういうふうに受けとめるというふうに思えるんです。そういう一方を刺激するようなやり方というものは、これはやっぱり軍縮方向とは全く逆な立場に立ちませんですか。(「集団自衛権だ」と呼ぶ者あり)
  30. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 我が国はあくまでもアメリカとの間で共同演習をするということにとどまるわけでありまして、いろいろの見方もありましょうが、日本はあくまでそういう立場でやってきているわけです。
  31. 山口哲夫

    山口哲夫君 世界の平和を高めるということからいきますと、国と国との間の信頼感というものをどう醸成していくか、そういうことにやはり私は意を用いるべきだと思うんです。  それならば、百歩譲って、仮にそういう演習が行われる場合に、日本としてそういう国と国との間の信頼関係を醸成するのであれば、当然ソビエトの軍隊をこの演習招待してもいいんではないですか。かつてソビエトの方の演習日米に対する招待状が来ていると思うんですけれども、これは日本は断っているわけですね。当然これは参加をして、信頼関係というものをそこにつくり上げていくというのが軍縮方向に向かう日本としてはあるべき姿だと思うんです。一体何でこの招待を断り、そして今回は招待できないんでしょうか。
  32. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 繰り返すようですが、日米共同訓練は、自衛隊と米軍のそれぞれの戦術技量向上を図り、我が国有事における共同対処行動を円滑に行うためのものでありまして、従来からもソ連を初め第三国の武官等招待したことはありません。現在のところ、今回の訓練につきましても、これまでどおり参加とか招待ということを考えておらぬということでございます。
  33. 山口哲夫

    山口哲夫君 日本アメリカ招待されましたですね。七月十日でしたか、ソビエト演習が行われたのは。それに対して正式に招待状が来ていますね。それはどうして断ったんですか。
  34. 日吉章

    説明員日吉章君) ただいま先生お尋ねのように、先般ソ連日本海におきまして太平洋艦隊の演習をいたしましたときに、我が国を含めまして、たしか十数カ国であったと思いますが、招待をいただきました。参加いたしました国は若干の国でございまして、そのほかの国は、日本と同じようにお断りをしたというふうに理解いたしております。  なぜ日本側がこの招待に応じなかったかということでございますが、これは実は突然の御招待でございまして、そのために、我々としましても出張いたしますにもいろいろ準備がございますので、その点が第一点でございました。  それから、ソ連側の真意が必ずしも十分にははかりかねるところがございました。委員ただいまおっしゃられましたように信頼醸成のためというような考え方もあろうかと思いますが、それにつきましては、ソ連並び日本の間におきましては、信頼醸成のためにはもっと基礎的にいろいろ段階を踏んで相談すべきこともあろうかと思います。  それから、招待をされました訓練内容を私ども見せていただきましたところ、その参加時間といいますか、視察時間といいますか、見学時間が極めて限定されたものでございまして、私どもがせっかく日程等を差し繰って参加いたしましたとしましても、それほど得られるようなことが多いということが期待できない。  こんなことで招待をお断りしたわけでございます。  なお、この訓練内容は、私たち承知する限りにおきましては、例えば我が国におきます展示訓練とかあるいは観艦式とか、そういうようなたぐいに類した内容であろうかと思います。したがいまして、こういうようなものにつきましては、我が国といたしましては一般参加等も認めているわけでございまして、我が国のこの程度訓練につきましては、ソ連も含めまして一般の方々にオープンに開放しているようなものでございます。
  35. 山口哲夫

    山口哲夫君 突然とおっしゃいますけれども、来たのは五月三十日でしょう、七月十日までは一カ月以上あるはずです。そういうことは私は理由にならないと思います。たとえ視察する時間が限られておりましても、本当に両国間の信頼関係をつくろうという気持ちがあるならば、当然私は招待に応じて参加するべきだと思う。我が国のこういった日米共同演習に対しても、そういう信頼関係を高めていくためにも招待をするべきだというふうに考えております。これは私の方の要望として申し上げておきたいと思います。  それで、今、北方領土返還要求をしていますね。これは力でもって返還を求めるのではなくして、あくまでも両国交渉によってこれを実現しようということで、全党挙げて努力しているわけです。そうしますと、これはやっぱり両国緊張状態をできるだけなくしていくことがこういう北方領土交渉を有利に進めることであって、こういった日米共同演習を繰り返していくということは緊張と対立を高めるだけだと私は思うんです。そういう点では、むしろ北方領土のこれからの交渉に非常に悪影響を与える結果になる、そういうふうに私は思うんですけれども、それに対する考えはいかがでしょうか。これは大臣にお聞きしたい。
  36. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 北方領土返還国民挙げての悲願でありまして、我々もこれから精力的にソ連に対して求めていくつもりでございます。ただ、この共同演習と領土返還とを連関させるということについてはいささか、せっかくの委員の御意見ではございますが、我々は考え方を異にしておるということであります。
  37. 山口哲夫

    山口哲夫君 意見がなかなかかみ合わないと思うんですけれども、本当に北方領土返還を真剣に考えるのであれば、両国間の緊張状態というものをできるだけなくするために常に努力していくべきであって、こういった日米共同演習が繰り返し行われる――私は北海道出身ですけれども、しかも北海道ではしょっちゅうやっていますね。こういうことを続けていたらますます私は交渉が非常にやりにくくなるだろうというように思いますので、その辺、今後十分ひとつ考えていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  これは、さっきもちょっとお話がありましたけれども、憲法で禁じている集団的な自衛権に抵触する、私はそういうふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
  38. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 結論から先に申し上げまして、今度の共同演習は集団的自衛権に抵触しないと考えております。そのわけは、今回の日米共同訓練についても、米軍との間に戦術技量向上を図り、我が国有事における共同対処行動を円滑に行うためのものであることに変わりはありませんで、集団的な自衛権の行使を前提としたものではないということでございます。  なお、いわゆる太平洋演習について、米軍太平洋地域で実施している幾つかの演習、これを一まとめにしたのが今度のPACEXあるいは太平洋演習でありまして、今回の日米共同訓練太平洋演習を構成している他の訓練演習とは別個独立のものでありまして、それ自体としては完結したものであり、太平洋演習参加部隊の一部と日米共同訓練を実施する、こういうことでありますので、集団的自衛権には当たらない、抵触しない、こういうふうに考えております。
  39. 山口哲夫

    山口哲夫君 今のような答弁内容だけでは、本当に集団的な自衛権に該当するかしないかはよくわからないですね。  どうですか、これはシナリオができていると思いますけれども、シナリオを示してもらえますか。
  40. 米山市郎

    説明員(米山市郎君) PACEXにつきまして、我が国がその演習自体に深くかかわっているわけではございません。シナリオについても、私どもの知る立場ではございませんので、私どもといたしましては承知いたしておりません。
  41. 山口哲夫

    山口哲夫君 しかし、これは日米共同演習になるわけでしょう、日本側から言わせますと。私たちに言わせれば、さっき申し上げましたカナダとかインドネシアとかそのほか全部含まるので日米だけとは考えられませんけれども、政府の方としては、これは一応は日米だと、こういう解釈なんですね。日本参加するということになると、どういう内容でやるのかどうなのか、それがわからなければ、場合によっては集団的な自衛権に該当するかもしれない、そういう不安だってあるんじゃないですか。そういうことを明らかにするためには、シナリオをきちっと見せてもらう必要があるんじゃないですか。
  42. 米山市郎

    説明員(米山市郎君) PACEXにつきましては、米軍独自の訓練のほかに、各国との共同訓練を含む演習を米側がPACEXということで総称をしている、そういうものでございまして、個々の訓練あるいは演習等はそれぞれ独立したものである、相互に関係はないということになっております。統一的なシナリオに基づいてこの演習が行われるものではないというふうに承知をいたしております。
  43. 山口哲夫

    山口哲夫君 残念ながらこの問題だけにかかわっているわけにいきませんので、これで終わりますけれども、あなたの方は個別の演習だとおっしゃるけれども、米国の方は、太平洋全体の演習の一環としての日米共同演習というふうに私はとらえていると思うんです。そういうことは実際にはシナリオを明らかにしなければわからないことなんです。  だから、集団的自衛権というものは我が国の憲法に抵触するという考え方を政府としても持っているとすれば、集団的自衛権に該当しないかどうかということをきちっと確認するためにも、アメリカ側にそのことについて当然シナリオを見せてくださいというような要求というものはしてしかるべきだと思うんです。ぜひ要求をしてもらいたいということと、そういう集団的自衛権に該当するような今度の日米共同演習には参加をするべきではないということを強く要求しておきたい、こんなふうに思います。  人事院勧告に入る前に、もう二つ三つ、別な問題について質問をいたします。  急な問題なんですけれども、先ほどお昼のニュースをちょっと、全部聞いたわけじゃないんですけれども、奄美大島に着いた難民船が難民を装った実は中国の偽装船であったという報道がされたんです。外務省とかいろいろと聞いたんですけれども、確認できないということなんで、官房長官はたしかニュースに出ていらっしゃったような感じもしたんですけれども、知っている範囲でこの事実問題をちょっと報告していただきたいと思います。
  44. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 今の御指摘の具体的な事例については、報告を受けておりませんので、承知いたしておりません。
  45. 山口哲夫

    山口哲夫君 多分そうだと思って、担当の法務省に来ていただくことになっているんですけれども、いかがでしょうか。
  46. 股野景親

    説明員股野景親君) ただいま委員御指摘の件につきましては、私どももまだ具体的な事実を把握するに至っておりませんので、現在調査中でございます。
  47. 山口哲夫

    山口哲夫君 ニュースでは聞きませんでしたか、難民を装った偽装船であることが確認されたという。私はそういうふうに聞いたんですけれども、そういう確認はしていませんか。
  48. 股野景親

    説明員股野景親君) ただいま先生の御指摘のような情報について、私どもも地方入管当局及び海上保安庁とも連絡をとりつつ今調査しているところでございますが、まだ確認をとるには至っておりません。
  49. 山口哲夫

    山口哲夫君 それじゃ、お願いしておきますけれども、きょう委員会が五時半ころまでありますのでね、直ちに関係する省庁の情報をちょっと収集していただいて、ぜひひとつこの委員会に報告していただきたい、このことをお願いしておきます。委員長にもその点お願いしておきます。
  50. 板垣正

    委員長板垣正君) はい。
  51. 山口哲夫

    山口哲夫君 それから、難民問題ですけれども、これは大変な問題なんで、中国、ベトナム両政府に対してはそれなりに対処していらっしゃるというふうに思うんですけれども、それはそれとして、これからもきちっと申し入れをしていただきたいと思う。  それに対する官房長官のお考えと、もう一つは、こういう難民がこれからも続いていくということは、ベトナムの人たちが非常にやっぱり失業が多いという問題もありますね。そうすると、ベトナムの人たちが難民にならなくても、少しでも国内で働けるような、そういう日本側としての開発援助あるいは経済援助、そういうことをやっぱり考えるべきでないんでしょうか。単なる取り締まり、もちろん取り締まりは断固としてやらなきゃならないけれども、それだけで問題が解決するとは思われないんです。カンボジアとの関係等もあるんでしょうけれども、そういうことについて一度政府の方としてお考えになってはいかがでしょうか。官房長官どうでしょうか。
  52. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 最近非常に急増しております難民の中には、いろいろな種類の人がまじっているようでございますので、それぞれを十分調査いたしまして、難民として認定されるべき者は認定し、そのような措置をとる。難民でないということがはっきりした者については、不法入国ということでそのための措置をとるというふうにきちっとしていきたいというふうに考えます。  また、先生が後半でおっしゃいました、それぞれの国の社会経済の開発のための援助ということにつきましては、我が国の対外経済援助の中で十分考えていかなければならないことだと思っております。
  53. 山口哲夫

    山口哲夫君 難民問題というのを根本的に解決するためには、私が後段で申し上げたような政府の開発援助、経済援助等を真剣に考えるべきだと思うんです。ぜひひとつ内閣として検討していただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  それから、政治倫理の確立に関連いたしまして、官房長官政治献金の問題についてお伺いいたします。  先日、リクルート社にパーティー券を八万円購入してもらっておりますという発表がありました。こういう八万円まで知る体制をちゃんとつくっておられるということに実は感心したんですけれども、その点から申しますと、ほかに、いわゆる百万円以下の政治献金の中に、官房長官としてリクルート社から過去に献金を受けたことはございませんですか。
  54. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 私は、秘書が厳重に調べました結果を報告を受けまして、それを正直に御報告申し上げたということでございますので、そのように御承知いただきたいと存じます。
  55. 山口哲夫

    山口哲夫君 ということは、百万円以下の中には政治献金はないというふうに確認してよろしいですか。
  56. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 私はないと考えております。
  57. 山口哲夫

    山口哲夫君 もちろん、秘書の方々にもそういったことは当然お聞きになっているんでしょうけれども、官房長官御自身のお考えというよりも、官房長官を取り巻く全体の中でそういうことはあり得ないというふうに確認していいですね。
  58. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 私の秘書が非常にきちょうめんに調べました結果でございますので、その報告を信じております。
  59. 山口哲夫

    山口哲夫君 私も今のお答えを信じたいんですが、ただ残念ながら一〇〇%信じるということにならないんです、今の体制から申しますと。  実は官房長官政治献金、官報に載っておりますのをちょっと見させていただきました。昭和六十二年の個人分、団体分の寄附の内訳は七百七十六万九千六百円、これはいずれも百万円以下でございますね。ですから、名前が載っておりません。収入の方を見ましたら、大体同じ七百八十三万八千八百七十二円。九九%が名前がわからないわけです。これは今の政治資金規正法からいけばこれでいいんでしょうけれども、残念ながら私の判断では、この政治献金の透明度というのはわずか一%しかない。九九%は、国民立場では、どこからいただいているか全然わからない。もしかしたらリクルートからもらっているんでないだろうかという疑いを持ってもこれはやむを得ないところだと思うんです。これは森山眞弓社会経済研究会です。  もう一つ中央の方に政治団体をお持ちですね。まゆみ会というんですか、これは本年の収入が、六十二年ですけれども、千八百二十七万一千五百五十三円。これも、はっきりしておるのが新政策研究会から六百万、これはもう国民にはよくわかるわけです。しかし、残念ながらあと倍くらいの千二百七万というのは依然としてどこからいただいているかわからぬ。ここの透明度は三四%しかないわけですね。  こういうことでは、政治倫理の確立をいかにやろうと思いましてもなかなかできないんでないだろうか。やっぱり国民が今一番知りたいのは、どなん政治家がどこから政治献金をどのぐらいいただいているかということだと思う。そういう点からいきますと、政治団体というのは私はやっぱり一つであるべきだと思う。官房長官のように二つというのは少ない方でしょうね、自民党の先生の中では。中には十以上持っている方もいらっしゃるわけですから、少ないと思うんですけれども、それでもやはり国民立場から見れば疑問を持たざるを得ない。そういうことで、私は一つにするべきだと思う。  政治献金も、今、百万円以下の場合には名前を出さなくてもいい。しかし、これは今自民党の方としては六十万円以上というふうに考えているようですけれども、私は少なくとも十万円くらいまでは全部やっぱり公表するような、そういった法改正を行うべきだというふうに思うんですけれども、こういう点について、いわゆる海部内閣の大番頭でいらっしゃる、しかも自民党との窓口にもなる官房長官としてどういうふうにお考えでしょうか。
  60. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 新内閣の最大の使命の一つは、政治改革の断行であるということはまことに御指摘のとおりでございます。勇気を持って政治改革を進めていきたいと考えております。  既に公職選挙法の改正、それから政治資金規正法の改正につきましては、与党の案が国会に提出されておりますので、さらにそれに加えて議員の資産公開法なども用意されているようでございますから、そういうものから御審議をいただきまして、できるだけ早く新しい政治のあり方についての指針がきちっと決まるようにということを願っている次第でございます。  そのほかに、政府におきましては、閣僚等の資産公開の改善強化、あるいは閣僚等の株式取引等の自粛、あるいは保有株式等の信託などにつきましては、前内閣に引き続き、海部内閣におきましても同様の申し合わせをいたしたところでございますので、いろいろな方法を尽くしまして、政治改革の実を上げていきたいと考えております。
  61. 山口哲夫

    山口哲夫君 具体的に今提案をいたしました政治団体は一つにするべきだということ、それからもう一つの献金の額を十万円以上は公表するべきであるということ、これに対してお考えはどうですか。
  62. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 政治団体を一つにするべきというお考えもあり得るかと思いますが、御審議願うつもりでおります自民党の案は、たしかそれぞれの政治団体がどの議員の団体であるかということを一目でわかるようにしようという趣旨であったと思います。もしそういうことができますれば、必ずしも一つにまとめるということもないのではないかというふうに私は考えます。  また、名前を明らかにする額の限度十万円というお考えもわかったわけでございますが、今のところ百万円というのをできるだけ透明度を高めようという趣旨で六十万円という案が出されているというふうに考えますので、多くの国民の皆さん方の、そしてまた政治活動を現にやっておられます議員の先生方の総意によって、よいところを見つけていかなければいけないというふうに考えます。
  63. 山口哲夫

    山口哲夫君 私は、政治資金の明朗化のことを考えたら、そういうことでは進まないと思うんです。ぜひ一度検討してみていただきたいものだなと、そんなふうに思います。  それからもう一つ、アイヌ問題ですけれども、実は私ども北海道選出の社会党国会議員団十一名いるんですけれども、それでこの三年間、ウタリ協会もあわせまして一緒に、アイヌ問題を担当する省庁は一体どこなんですかということを再三にわたって要請してきたんです。各官房長官、副長官はそのたびに、検討する検討するというお話なんですが、検討の結果、どこに決まったか教えてください。
  64. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 御案内のように、ウタリ問題は、教育、文化、生活、産業、就労などさまざまな広い範囲にわたる問題でございます。ですから、関係省庁の緊密な連絡、協力のもとにそれぞれ対応いたしまして、施策の充実を図ってきたところでございます。  御指摘の担当省庁ということにつきましては、この問題が大変広範多岐にわたりますので、事柄に応じて関係省庁間の緊密な連携、協力のもとに対応していくということが当面一番適当ではないかというふうに考えておりまして、今後ともこのような体制でさまざまな施策を力強く進めていきたい、こういうふうに考えております。
  65. 山口哲夫

    山口哲夫君 ちょっと聞き漏らしたかもしれませんけれども、関係する省庁が力を合わせてやっていこうということですか。それの元締めはどこになるんですか。
  66. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 元締めとおっしゃいますとちょっと適当かどうかわかりませんが、ただいま私が御答弁申し上げておりますのでおわかりいただけると思いますが、そういう問題についてのお答えは、私、官房長官がいたすということになっているかと存じます。
  67. 山口哲夫

    山口哲夫君 お答えの中では私は理解できない、わからない。というのは、私どもは、総務庁にしていただいたらどうですかという提案もしたことがあるんです。それで、検討させてくださいと。それが三年間続いているわけです。大変言いにくいけれども、官房長官、副長官検討ということはやらないということなんだなと、私はそういうふうに意地悪くとっちゃうんですが、これは総務庁が総括的な窓口ということにならないんですか。
  68. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 先生の御意見も今伺いして承知いたしまし豪、その御意見事分参考にさせていただきまして、もうしばらく検討させていただきたいと存じます。
  69. 山口哲夫

    山口哲夫君 しつこいようですけれども、今まで、もうちょっともうちょっとという話で三年間続いているんです。しばらくというのはいつまでですか。この次の臨時国会までに結論を出してくれますね。
  70. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) ウタリ関係の福祉対策事業の推進そのものにつきましては、北海道開発庁という役所がございまして、そこが中心となってやってまいります。例えば、昔の法律がそのままであるのでこれを新しいものに変えてという御意見もあるように承っておりますが、その問題についてはまだ決まっておりません。
  71. 山口哲夫

    山口哲夫君 こういう見方があるんです。ウタリ新法というのをつくらなきゃならないという動きがありますね。政府の方としては、そういうことをやらせないためにもきちっとした窓口は決めない方がいいんだ、そういううがった見方が実はあるわけですけれども、そんな考え方はあるんですか。
  72. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) そういう意味ではございませんで、先ほど申し上げましたように、この施策は非常に広範多岐にわたっておりますので、各省それぞれに関係がございます。ですから、それぞれの各省が協力をし、連携をとり合って進めていくというのが最も適切であるというふうに考えているところでございます。
  73. 山口哲夫

    山口哲夫君 それにしても、人権問題とかいろいろ、経済問題とか文化、教育とかあるわけです。そうすると、中心になるところがなければ各省の協力を得るにも得られないと思うんです。その中心になる省庁を決めるというお考えはあるわけですね。
  74. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 今のところどの役所を中心にという案はございませんで、大変恐縮ですが、検討を続けさせていただきたいと存じます。
  75. 山口哲夫

    山口哲夫君 いや、そうではなくて、中核になる省庁は決めなければならないだろうと、どこにするにしても。それはいいんですね。
  76. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 中心になる省庁を決める決めない、また決めるとすればどこということ、すべて全体を対象と考えましてこれから検討させていただきたいと思います。
  77. 山口哲夫

    山口哲夫君 それはおかしいですよ。今までの各長官、副長官すべてが、わかりました、これはどこか決めなきゃなりませんねと、決めるに当たってはいろいろと関係する省庁もありますのでちょっと時間をかしてくださいと。しかも、副長官ですか、石原さんなんかは行政のベテランですよね。そういう方までそうおっしゃっているんです。ということは、時間さえかければ必ずどこかに決めてくれるんだなというふうにみんな思っているんです。そこまで否定されたんじゃ、これはもう話にならないです。どうですか。
  78. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 先ほど来申しておりますように、非常に広範にわたりますので、また省庁の関係するものもたくさんございますので、相談するにも時間がかかります。したがいまして、もうしばらく検討させていただきまして、御趣旨に沿うように考えていきたいと思っております。
  79. 山口哲夫

    山口哲夫君 総務庁の中に交通安全対策室というのがありますね。これは、例えば警察庁、運輸省、建設省、そのほかいろいろと関係するところがたくさんあるわけです、官房長官がおっしゃるように。それから、老人対策室というのがありますね。これは厚生省のほかに農水もあるし、文部省もあるし、自治省だってあるわけですね。地方行政として老人対策をどうするか、広範多岐にわたっているわけです。それと同じように、アイヌ問題についても広範多岐の各省庁が関連しているわけです。そうすると、元締めになるのは、今申し上げたように結局は総務庁の中にそういう対策室というのを旧いていいわけです。  これからいけば、当然ここに置いてもいいんじゃないんですか、どうですか。
  80. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) ウタリ福祉対策事業につきましては、先ほど申し上げましたように北海道開発庁という独立の役所がございまして努力しているところでございますので、多くの部分はこの北海道開発庁の仕事の中に入るのではないかというふうに思いますが、さらに先生の御指摘を十分踏まえまして検討さしていただきたいと思います。
  81. 山口哲夫

    山口哲夫君 今申し上げたように、こういう問題を処理していくためには総括的な省庁というのが当然必要になってくるわけです。今までの官房長官はみんなそれは認めていらっしゃる。恐らく森山官房長官には引き継ぎがなかったからそういうふうなお話をされたと思うんですけれども、そういう経過がありますので、そういうことを含めて、これはぜひ臨時国会までには結論を出してほしいと思うんです。そのための御努力をいただけますでしょうか。
  82. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 十分留思いたしまして努力いたします。
  83. 山口哲夫

    山口哲夫君 ぜひ臨時国会までには結論を出してください。  それでは、人事院勧告の問題に入ります。  人事院総裁にまずお尋ねいたしますけれども、ことしの勧告は、この報告を読みましても、それから総裁の談話を見ましても、早期完全実施に対する人事院の非常に強い姿勢がうかがわれます。これは、毎年十二月でないと差額支給がされない、こういった問題を打開しようではないかということが一つ。それからもう一つは、消費税の導入によって物価が上昇しておりますね。それから、共済掛金も公務員は随分ふえる。そんなようなことを配慮いたしまして、公務員の生活を守っていくためにも、できるだけ早期の人事院勧告の完全実施を政府や国会に対して強く求めていく、そういう意思表示というふうに受けとめたんですけれども、よろしいですか。
  84. 内海倫

    説明員内海倫君) 受けとめていただいておるように、我々としては勧告をいたしますたびに、できるだけ早く、そして私どもが勧告しておるとおりにと。という意味は、要するに完全実施をしていただきたい、これは強く要望いたしております。
  85. 山口哲夫

    山口哲夫君 ここ何年間かは完全実施をしてきたわけですけれども、しかし過去を振り返ってみますと、財政的な問題とかいろいろなことがあって完全実施されていないことが結構あったわけです。労働基本権の代償措置としてつくられたものですね、人事院勧告制度というものは。そういうことから考えますと、これはもっと拘束力を持ったものにしていくというのが私は一つの方法でないかと思うんですが、そういうことも含めまして、完全実施の要請をするだけではなくして、そういったことも含めて具体的な施策ということについてお考えでしょうか。
  86. 内海倫

    説明員内海倫君) 過去におきましても、残念ながら完全、実施が行われなかったときもあるわけでございまして、そういうふうな厳しい試練の上に、私どもとしては勧告の場合も、あるいは私の談話を発表します場合も、先ほど申し上げましたように、早急にかつ完全にこれを実施していただきたいと。幸いにここ数年来、内閣におかれましても、あるいはまた国会におかれましても完全実施をしていただいたわけでございますから、今後もこういうことはぜひ、ぜひというよりも、必ずやっていただかなければならない。  ただ、時期を早くする、あるいは完全実施をしなければどうするというところまで私どもの提言あるいは報告内容に盛り込んでいくということは、余りにも内閣あるいは国会を拘束し過ぎるものであろう、こういうふうにも考えられますので、私どもの人事院の峰限の限度において今後ともに力いっぱいの提案はいたしていきたい、こういうふうに考えております。
  87. 山口哲夫

    山口哲夫君 本来、賃金というのは、労使の交渉で決められるのが原則だと思うんです。しかし、残念ながらそういう労使の交渉で決めないで、公務員労働基本権というものを剥奪した。それにかわるものとして人事院勧告ができたのであれば、人事院勧告したら一〇〇%拘束力を持つのが当然だと思うんです。もし持たないというのであれば、その分だけはそれじゃ交渉で決めなさいというような形にしてもらわなければ、公務員労働者としては困るわけですね。  そうすると、やっぱり法律の改正ぐらい考えてもいいんじゃないですか、拘束力を持つようなものにするように。私が今申し上げた施策というのは、具体的な提言として申し上げたのはそういう意味なんですが、一回考えてみる必要はないものでしょうか。これは人事院としての立場でどうでしょうか、あんまり政府のことを考えないで。
  88. 内海倫

    説明員内海倫君) お話のことにつきましては、私どもも真剣に考える問題ですけれども、先ほど申しましたように、やはりこれは、これを受ける内閣あるいは国会の側においても大事な問題でございますから、今人事院だけの考えで具体的にどう処置していくかということを提案し、あるいはここで私が申し上げるということはやはり適当ではない。  しかし、御説のように、私どもの行う勧告というのは、単なる勧告ではなくて、労働基本権制約に伴う代償措置としての極めて市長な意味を持っておる勧告でございますから、これは内閣におかれても、あるいは国会におかれても、この意義を十分にお酌み取り願って措置をしていただく、これが私どもの願いでございます。
  89. 山口哲夫

    山口哲夫君 今総裁がおっしゃったように、単なる勧告とは違う、労働基本権を剥奪した代償措置としての勧告である以上は、普通の勧告よりももっと重みがあるというふうに受け取ったわけです。諸外国では公務員というものはほとんど労働基本権をみんな持っていますね。日本国家公務員が団体交渉権も争議権もありませんなんて言ったら、外国では笑い物ですよ。そういうことを考えたときに、やはり人事院という立場でもこういったことに対する提言をしても結構ではないだろうか、決しておかしい問題ではない、そんなふうに私は考えておりますので、それもぜひ一度考え検討していただきたいものだなと要望しておきたいと思います。  そこで、官房長官お尋ねいたしますけれども、官房長官も役人生活が結構長かったので、そういう点では人事院勧告は早期完全実施ということについては十分御理解いただけるというふうに思うわけです。  先般、衆議院の内閣委員会を傍聴させていただきました。社会党の田口議員がこんなことを質問しておりました。閣議決定を早く行うこと、それから給与関係閣僚会議を三回も四回もやっているけれども、そんな必要はないんじゃないか、それから三つ目は、早期に完全実施してほしい。この三つが大体中心だったと思うんです。それに対して官房長官は、御指摘の点を踏まえて努力したい、こういうふうにお答えをされました。  ということは、これは具体的に申しますと、九月中にでも閣議の決定をしなければならない、そして臨時国会には給与法改正の関係法案を提出するというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  90. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 本年度の人事院勧告の取り扱いにつきましては、八月四日に人事院勧告を受け取りまして、完全実施に向けて誠意を持って検討を進めているところでございます。  政府といたしましては、引き続き給与関係閣僚会議におきまして国政全般との関連を考慮いたしながら検討する必要がございますので、現段階におきましては、今後のスケジュールについて何とも申し上げられない状態でございます。
  91. 山口哲夫

    山口哲夫君 国政全般との関連で検討しなければならないから今お答えできない、こういうことですけれども、具体的に、九月中に閣議決定するために必要な国政との関連というと何があるんでしょうか。
  92. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 従来も給与関係閣僚会議を数回やっておられるのが通例のようでございます。本年度につきましても、これは非常に国政全般にかかわりの深いことでございますので、慎重に検討していく必要があろうかと思います。
  93. 山口哲夫

    山口哲夫君 官房長官として、閣議で決定するために、具体的に何と何をきちっと詰めればあしたにでも閣議にかけられるのか。国政全般と言いますけれども、具体的に障害があるとすれば何でしょうか。
  94. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 勧告の取り扱いにつきましては、政府は従来から、おっしゃるとおり労働基本権制約代償措置であります人事院勧告、これを最大限に尊重するという基本的姿勢に立ちましてやってまいったところでございます。しかし、国民理解を得まして公務員給与改定を行いますためには、先ほど来申し上げておりますように、国政全般との関連につきまして各方面から検討する必要がございますので、給与関係閣僚会議を何回か重ねて十分議論しなければならない、そういうふうに思います。
  95. 山口哲夫

    山口哲夫君 人事院勧告基本的に尊重するというのが内閣のお考えですね。ということは、勧告を尊重して実際に実行するということは国民理解を得ることができていると思うんです。できているから尊重してやるわけでしょう。実際にやるためには何か障害になる点があるんですか。
  96. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 障害とおっしゃりますとちょっと違うかと存じますが、非常に国政全般にかかわりの深い問題でございますから、それぞれの立場から各省の意見を十分聞いたり、また各方面から検討を進めて、そして決定していかなければならないということは御理解いただけると存じます。
  97. 山口哲夫

    山口哲夫君 ちょっと理解できないですね、私の頭が悪いのか。どうですか、給与担当大臣は総務庁長官だと思うんですけれども、長官のお考えはいかがでしょうか。
  98. 水野清

    国務大臣水野清君) ただいま官房長官のお話がありましたように、八月四日に人事院勧告をいただいております。これは前の内閣でございますが、直ちに七日に給与関係の閣僚会議を開催いたしました。それから検討に入ったわけでございますが、今官房長官のお話もありましたように、国政全般の問題、その中で特に問題になるのは財政上の問題も一つあろうと思います。ただし、ことしは財政的には割合恵まれておりますけれども、これは他省庁との協属も必要でありますので、これから関係閣僚会議を何度かやりまして、仰せのとおり三度も四度もやってなるべく年末まで引っ張るというようなことをしないようにひとつ私どもやりたいと思って覚悟はしているわけでございます。
  99. 山口哲夫

    山口哲夫君 今まで三回も四回もやったというのは、悪く解釈しますと、ほかの法案との駆け引きに使う、そういう政争の具に使われてきたということが盛んに言われているわけですね。そういう疑いを持たれても仕方がなかった経過もあると思うんです。そういうことがないように、総務庁長官としては今度は三回も四回もやらないでなるべく早くに決めて完全実施しよう、こういうお考えなんですけれども、今、たまたまネックになるとすれば財政問題もその一つであろう、こうおっしゃるんです。  特に官房長官にお聞きいただきたいと思うんですけれども、財政問題の心配というのはことしは全くないですね。一九八八年の税収の実績というのは五十兆八千二百六十五億ですよ。ことしの税収の予算は五十一兆百億、約三千億ふえているんですけれども、しかも五十一兆というのは補正の時点を中心に組んだ当初予算、その補正から後に一体どのぐらい増収があったかというと二兆七千億円も実は増収がある。だから、ここでも完全に二兆七千億円というのは増収になるという可能性が多分にあるということですね。  それからもう一つは、この予算を組んだときの政府のGNPの見通しというのは四%です。しかし、各経済関係のいろんな発表を見ますと、ほとんどが約五%という見込みを立てております。大体政府の見込みよりも一%アップしておりますので、そうすると当初の見込みよりも二兆円から三兆円の増収になるだろう。前の二兆七千億と合わせますと、五兆円から六兆円の自然増収というのが入るというのが、これは私だけの計算ではなくして、政府全体としても、大体この程度は見込みがつけられるだろうというのが間違いないところだと思うんです。そうすると、人勧の財源というのは、これから比べると、三千三百九十億ですから、財政的には全然心配ないわけですね。  ですから、漏れ承るところによりますと、大蔵大臣は、この次の給与関係閣僚会議でもう決めてもいいんじゃないのか、そんなようなお話を漏らしておられるというふうにも私たちの耳には入ってきているわけです。そうすると、人事院勧告そのものの精神は尊重していかなければならないので、完全実施の方向で進みたいとおっしゃっているんですから、九月に閣僚会議を開くことについては何にも支障はないはずだ。これをもし延ばすということになると、我々がよく疑っている、ほかの法案との駆け引きにまた使うのかというふうに疑問を持たざるを得ない。海部内閣ではそんなことは恐らくないと思いますので、あえて言えば総理が帰ってくるまではできないというのならわかりますけれども、帰ってきたら直ちに関係閣僚会議でお決めいただいて、九月中には関係法案を提出していただきたい、いかがでしょうか。
  100. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 先生御指摘の財政的な数字につきましては理解できるところでございますが、剰余金の処理につきましては、財政法第六条の規定によりまして、その二分の一を下らない金額を公債の償還財源に充てなければいけないというふうになっております。  六十三年度の剰余金の取り扱いにつきましても、いろいろな点を見きわめまして考えていかなければいけないということで、単年度でお比べいただいて、これだけゆとりがあるからすぐにでも決められるのではないかと仰せられますのは、お気持ちは私もよくわかりますけれども、もう少しみんなでよく相談してみなければならない、そういうことでございます。
  101. 山口哲夫

    山口哲夫君 人事院勧告というのは単年度単年度で決めることなんですね。将来のことを考え人事院勧告をどうするかというのは、全然勧告の精神に沿わないと思うんです。これはちょっと訂正していただかなきゃならないと思うんです。
  102. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 財政的な余裕の問題について今山口先生御指摘でございましたので、その点について申し上げたわけでございまして、人事院勧告を早期完全実施ということは、もうなるべく早くやりたいという気持ちは同じでございます。しかし、実際にそれを決定いたしますのには幾つか手続、段階がございますので、御了承いただきたいということを申しているわけでございます。
  103. 山口哲夫

    山口哲夫君 しつこいようですけれども、お気持ちとしては、できるだけ今私が申し上げたような方向に沿うようにして努力をしたというふうに受け取ってよろしいですね。
  104. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) はい、そのとおりでございます。
  105. 山口哲夫

    山口哲夫君 自治省にお尋ねいたします。  自治体職員給与の引き上げの問題ですけれども、これも労使の交渉によって決められるのが原則だというふうに思うんですけれども、人事院勧告も出たことですから、政府、国家公務員と同じようにこれは早期に確定をして支払われる必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  106. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) 地方公務員給与につきましては、基本的に国家公務員給与に準拠するということになっております。したがいまして、給与改定に当たりましても国家公務員に準拠するというのが基本になろうかと思います。その内容といたしましては、当然給与改定内容なりあるいはその手続につきましても準拠するということになろうかと考えております。  したがいまして、今御答弁がございましたように、現在給与関係閣僚会議で鋭意検討が進められておりまして、自治大臣もここに参画しておるわけでございますが、これらの検討の結果をまちまして、地方団体に対して所要指導を行うことといたしたいと考えております。もちろん、いわゆる人事院なりあるいは人事委員会制度というものの趣旨を踏まえて、その勧告というものについては基本的に誠意を持って対処すべきだというふうに考えておりますので、そのように指導をしてまいりたいと考えております。
  107. 山口哲夫

    山口哲夫君 今お話があった人事委員会のあるところ、これはやっぱり人事院勧告と同じように遅くとも九月中には勧告を出すようにした方が私はいいのではないかというふうに思うんです。その必要性についてお伺いします。
  108. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) 現在、各県あるいは市の人事委員会におきましては鋭意作業をされていることだと思います。  例年で申しますと、大体九月ごろになりますと指定都市の人事委員会の勧告、あるいは十月に入りますと各都道府県の人事委員会の勧告が出ておるわけでございまして、御趣旨にございましたように、早期勧告というのは好ましいことだと考えておりますので、私どもといたしますと、そういうようなための環境整備というようなものについては努力してまいりたいと考えております。
  109. 山口哲夫

    山口哲夫君 今、早期勧告が好ましいというお話もありましたので、できるだけそういう方向で、各都道府県の人事委員会の勧告も九月中に出せるようにぜひ自治省としても御指導いただきたいと思います。  それから、町村職員給与ですけれども、これは非常に低いんです。自治省発表のこれを見ておりますと、町村のラスパイレス指数というのが、国家公務員に比べまして一〇〇以下というのは六九・八%、約七〇%の町村職員国家公務員より低い。しかも一〇%以上も低い九〇未満は一三%もあるんです。  考えてみますと、同じ町村にありながら、例えば郵便局の職員、学校の先生、もとの国鉄の職員、そういう人たちと比べても低いわけですね。国家公務員地方公務員というのはできるだけ同一にしようという考え方があるわけでしょう。自治省は、高いところは低くせいという指導をするんですが、低いところは上げろなんということは一回も言ったことがないんです。これは私はちょっと不公平だと思うんです。やっぱりそういう町村の公務員を見たときに、当然国家公務員に倣って町村の給与というものも上げるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  110. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) 先ほども申し上げましたように、地方公共団体の給与水準は、国家公務員給与水準を基準といたしまして、それ以外に当該団体の組織や規模、地域民間の賃金水準、あるいは物価とか生計費の水準等を反映して決めるべきだ、こういうふうになっているわけでございます。  市町村は三千三百ございます。都道府県から非常に規模の小さい町村まであるわけでございますが、それぞれ当該市町村の規模に応じまして行政組織も大きなところと小さいところ、単純なところ、複雑なところとあるわけでございます。そういうような組織に応じまして、小さな市町村におきましてはできるだけ簡素化された給料表を用いるように指導しているところでございます。  したがいまして、今御指摘がございましたのは、いわゆるラスパイレス指数において、国家公務員が一〇〇といたしますとそれを下回っている市町村の数が多いということを御指摘いただいているのだと思いますけれども、今ほど申しましたような基本で申しますと、小規模な市町村におきましてその市町村の給料表が簡素化されている、あるいは規模が小さい、そういう理由によりまして結果的にラスパイレス指数が一〇〇を下回ることはあり得るわけでございまして、そのこと自体が不適正というふうには私どもは考えておりません。したがいまして、そういうようなことをもちまして、給与水準をより高めに誘導すべきだというふうなことは私どもは考えておらないところでございます。
  111. 山口哲夫

    山口哲夫君 規模が小さかったり、それから給料表を簡素化しているというようなことが一つの原因になっているというお話ですけれども、これは、給料表も国の十一級や八級を使用しないところが非常に多いわけです。こういう自治省の指導そのものを変更しない限り水準は上がっていかないと思うんです。だから、そういう点は当然指導してほしい。  それからもう一つは、小さいところで、民間企業との比較といったって、これは農協とか漁協が中心です。そうすると、農協、漁協はどうしているかというと、役場に見習うと言っています。お互いに足の引っ張り合いをやっているような格好なんで、そういうことからいけば、さっき言ったように、同じ町の中にある郵便局の職員、学校の職員、昔の国鉄の職員、そういったいわゆる同じ公務に従事している人たちを対象にして町村の職員給与というものも考えて、もっと上げるように指導をするべきじゃないですか、極端に低いところは。それでなかったら不公平ですよ、高いところばかり下げて、低いところは一つも上げろなんということを言わないというのは。だから、自治省に対する不信感が町村から出てくると思うんです。そういう点に対してのやっぱり指導をしてもらいたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
  112. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) 基本的な考え方につきましては先ほど申し上げたとおりなわけでございますが、したがいまして給与の運用なり給与制度につきましては国家公務員に準拠する、あるいはそれを基準とするということでございますので、例えば初任給の基準等につきまして、国家公務員の高卒の方なら高卒の方との比較で同じようになるようにというようなことは私ども指導申し上げているわけでございます。  ただ、ラスパイレス指数は、御承知のように、その地方団体の職員の学歴なりあるいは経験年数別にトータルした場合における格差でございますので、そうした場合にはその団体の組織の規模なり職員の数、あるいはそれに応じます職務の複雑さということがございますので、給料表の構造、そういうことによりまして、ラスパイレス指数におきまして国家公務員と比べますとやや低いというところが出てくるわけでございまして、そういう点をつかまえて、それを是正するなりあるいは高目に誘導するというようなことの指導をするという考えは私どもございません。
  113. 山口哲夫

    山口哲夫君 ございますですか。最後のところ、せんと言ったんですか。
  114. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) そういうことはございません。
  115. 山口哲夫

    山口哲夫君 町村の給与はともかく低いんだからそういういろいろな――もう時間がないからやめますけれども、非常に低いですよ。そういう点では理屈からいけば合わないです。国家公務員に倣ってやれといっても、全然合ってないわけです。そういう点から不平等というのがぬぐい去れないと思うんです。そういう不信感があると思うんですね、自治省に対する。ぜひひとつその点を十分考えて、低いところを上げるような指導を強く要求して、終わります。
  116. 角田義一

    ○角田義一君 角田義一でございます。官房長官お尋ねしたいと思うんですけれども、参議院選挙が終わりましての第一回の公の委員会という席上でもございますので、海部内閣が発足をいたしまして、若干海部内閣の政治姿勢にも関係をいたしますので、二、三お尋ねを申し上げたいと思います。  今回人事院勧告が出まして、三・一一%、ちょうど消費税に見合うような勧告でございまして、何か数字的に奇妙だなという感じもするんですけれども、それはそれといたしまして、今度の参議院選挙の結果の分析をする場合に、やはり消費税というような問題、国民の皆さんは消費税はやめてもらいたい、一口に言えばやめてもらいたい、こういう国民の意思が今度の参議院選挙ではっきり出たというふうに私どもは理解をしておるわけであります。  しかし、政府の方では、あるいは自民党の方では、消費税見直しでいくんだ、こういうことをおっしゃっているようでございますけれども、やはり今回の消費税の発端はまず公約違反にある、三年前のダブル選挙のときの公約違反にある。あのとき私は群馬で選挙をやったんですけれども、中曽根さんの言ったことは今でも忘れません。この顔がうそをつく顔に見えるか、こうおっしゃった。しかし、やっぱりこの消費税というのは公約違反である。しかも、国民理解と協力を得ないで非常に強引に推し進められた。納得を得ずして強引に実施された。しかも内容が、食料品からすべてかかってくるということでかなり過酷な内容である。こういうことが今度の参議院選挙でああいう結果を招いた最大の理由ではないかと私どもは思っておるわけです。  まず、官房長官は、消費税、これは公約違反だったというふうにお考えになるのかどうか。それからまた、国民の皆さんの十分の理解を得ないままに強行されたんだなというふうなお感じを持っているのかどうか。やはりこれは見直しというような小手先のことでは解決しない、この際やはりきちっと撤回をする、こういうことの方が日本の民主政治の将来を考えた場合、民主主義の大道からいっても私はその方が正しいというふうに思っておるのでございますけれども、官房長官の所信を承りたいと思います。
  117. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 消費税は、直間比率の是正ということに関する与野党合意の議長裁定というものがございまして、これは売上税関連法案の取り扱いにつきまして、昭和六十二年の四月二十三日に与野党合意で行われた議長裁定でございます。その趣旨を踏まえまして、売上税をめぐるさまざまな御批判や御議論を念頭に置き、衆知を集めて、工夫を凝らしてつくり上げたものでありますことを御理解いただきたいと存じます。  おっしゃるとおり、さきの参議院選挙におきまして確かに消費税の影響もあったということは認めなければなりませんが、消費税に対するそのような批判は、この税が我が国にとってなじみの薄いものでありますこと、毎日買い物をするたびに税金を意識させられるということ、支払うときに小銭をたくさん持っていないといけないというような煩わしさ、そういうものによる面が多いのではないかというふうに思います。  しかしながら、このたびの税制改革は、これまでの我が国の税制のさまざまなゆがみ、ひずみ、あるいはサラリーマン層を中心にする重税感、そういうものを是正いたしまして、あわせて急速に進んでいきます高齢化社会、それに備えまして安定的な財源を確保することを目的として行われたものでございます。ですから、今回の税制改革は国民の長期的なまた全体的な利益にかなうものであるというふうに確信いたしておりまして、その一環といたしまして導入されました消費税を廃止するという考えはございません。政府といたしましては、消費税の創設を含む今次税制改革の意義や必要性につきまして、全力を挙げて根気よく国民各層に訴えかけて御理解を求めるというつもりでございます。  なお、消費税見直しにつきましては、既に税制改革法の中に決められておりますとおり、まずその実施状況を踏まえ、消費税を取り巻くあらゆる事項について議論いたしました上で結論を出していくべきものと考えているところでございます。
  118. 角田義一

    ○角田義一君 長官がおっしゃる程度認識であれば、言っちゃ悪いですけれども、参議院選挙はあれだけ自民党が大敗することはなかったと思うんですよ。きょうは消費税問題が中心ではありませんから余りそのような議論はいたしませんけれども、私はやはりこれはボタンのかけ違いだと思うんです、一言で言えば。やはり一番大事な国民信頼というものが国民にとっては裏切られたという感じが大変強いんです、率直に言って。だから、その信頼を取り戻すためには――私ども社会党も何もすべての間接税に反対しておるわけじゃない。しかし、その手順、あるいはその順序、それから理解の求め方、そういうものを全然無視したとしか言いようがない。したがってあれだけの国民の反撃があったわけですよ。  したがって、今撤回をするつもりはないとおっしゃるんですからそれはそれでいいでしょうけれども、ただ、自民党さんの方は見直し見直しと、こう言っておるんですね。じゃ、具体的に見直しを、どこをどうしてどうやるんだということは、一体いつお出しになるのでございますか。
  119. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 消費税見直しにつきましては、政府の税調におきましても、消費税の実施状況等を把握する場として実施状況フォローアップ小委員会というのを設けられまして、勉強を始められたところでございます。  また、消費税制度は、納税者である事業者と、それから実質的な負担者である消費者、その双方に深く関連するものでございますから、見直し検討するに際しましては、双方の考え方、双方の主張、そういうデータを十分に把握することが必要だと考えます。  いずれにいたしましても、消費税見直しにつきましては、先ほども申し上げましたように、税制改革法の中に定めてございますので、納税者の事務負担とか転嫁の実現状況などを踏まえまして適切に対処していきたいというふうに思います。
  120. 角田義一

    ○角田義一君 時間がありませんので、端的にお尋ねしているんです。  要するに、今長官がおっしゃっておりますけれども、結論的に、では政府なりは一体いつ一はっきり言えば、九月に臨時国会が始まるわけでございますけれども、九月の臨時国会はこの問題が最大の争点になることははっきりしておるわけですね。そうすると、自民党さんの方は、あるいは政府の方は、九月の臨時国会の前に見直しの案を国民の前に出しますということなんでございますかどうかということをお尋ねしたいと思うんです。
  121. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 先ほど申し上げました政府税調の実施状況フォローアップ小委員会というのが、七月二十八日に第一回の会合をしておられます。九月になって引き続きまた勉強を続けていただける予定と聞いております。消費税に関する勉強をどういった形で、またスケジュールで決めていくか、進めていくかということは、その議論の中で税制調査会がお決めになることと思います。  いろいろな問題がたくさんございますので、見直しにつきましては、実施状況を踏まえまして、消費税を取り巻くあらゆる事項について議論した上で結論を出すべきだと思います。
  122. 角田義一

    ○角田義一君 私の質問にまともに正面からぴしゃっと答えてください。  いつごろお出しになるのか、私は時期を聞いておるんです。長官の言っているのは、こういう手順でいろいろやっていって出したいというお答えですね。私が聞いているのは、それが一体いつになるのでございますか、いつお出しになるのでございますかと、こう聞いておるんですから。あるいは希望でもいいですよ、いつごろまでには出したいんだということを答えてください。答えてないじゃないですか。
  123. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 先ほども申しましたように、その検討のためのフォローアップ小委員会が始まったところでございますから、その先生方がどのような内容で、どのようなスピードで、どういう手順でやっていかれるかということは先生方の勉強次第ということでありますので、私の方からいついつということは申し上げられない状況でございます。
  124. 角田義一

    ○角田義一君 これ以上は私申し上げませんけれども、時間がないから。ただ、これだけの大混乱を招いたんですよ、政府・自民党のやり方によって、はっきり申し上げますと。その大混乱を招いた政府・自民党はこれを修正する責任がある、直す、正す責任があると思う。責任はそちらにある。こちらにあるんじゃないんですよ、はっきり申し上げて。そのそちらにある方がそのような答弁ではとても納得できない。そういうことを申し上げておきたい。  それと、最終的には、見直しがいいのか廃止がいいのかというのは、これはもう一遍国民の皆さんに決めてもらう以外ないと思うんです、総選挙で。と思うんですが、きょうはそれだけにしておきます。次に進みます、時間がありませんから。  今度の人勧の中に、特に「公務員倫理高揚」という一節を設けられておるんですよ。これは、リクルート事件に文部、労働の最高責任者である事務次官が連座するという不祥事が発生した。そういうことを契機に、恐らく今度異例のそういう報告がなされておると思うのでございますけれども、今度の参議院選挙でもこれは明らかなように、リクルートの特に未公開株の譲渡というような問題に関連をしたいわば各派閥の領袖と言われる方、こういう方々がけじめというものをつげておられない、これがやはり国民の皆さんに大変な御批判をいただいたというふうに私は思うんです。海部内閣は、政治改革に取り組む、こうおっしゃっておる。その政治改革に取り組む前提として、やはりリクルートに関連をした今私が申し上げたような各派閥の領袖と言われる方々、こういう方々がけじめも何もついてないというようなことで政治改革に果たして取り組めるのかどうかというふうに私は思うのでございます。  はっきり申し上げまして、そういう方々はきちっと議員をおやめになった方がいい。おやめになった方がいい。そのことを海部総理なり官房長官はやっぱり党々と言うべきだ、政治改革をお進めになるなら。そういうことを求めずしてこの報告に従って政府が幹部職員あるいは一般職員に対して倫理の高揚を説いたって、そういう人たちが本当に心服して、総理のおっしゃるとおりだ、官房長官のおっしゃるとおりだというふうにお思いになりますか、いかがでございますか。
  125. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 御指摘の点、けじめにつきましては、一人一人の議員が、多くの国民の方々から御支援をいただいてその地位を得ている議員である、そういう誇りと名誉を持ってそれぞれが対処していくべきことであるというふうに思います。  もちろん、国会議員であっても、公務員であっても、高い倫理性を持つべきであるということは全く同感でございます。
  126. 角田義一

    ○角田義一君 私は思うのでございますけれども、今度のリクルートのいわば未公開株に関係をした方というのは政界だけじゃないんです。財界なりあるいは報道機関の方で関係した方もおられるようですけれども、そうそうたるメンバーでございますね。そういう人たちは皆それなりのけじめというのははっきり、その職を辞すなりしてけじめをつけておられるわけですよ。これはやっぱり日本社会の一つの伝統というか文化というか、そういう一つのけじめのつけ方というものがあるんです。  政界だけが、しかも一番偉い人たちがけじめもつけずに開き直っておる。これが非常に日本の将来、日本の政治、民主主義の将来にとっても私はゆゆしいことだと思っておるんです。いかがですか、長官、その辺どうですか。
  127. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 結果として非常な政治不信を招くということになりましたのは大変残念なことであったと思います。  自由民主党におかれましても、リクルート問題における政治献金等に関する我が党の見解というものを二月一日に決めて発表しておられまして、それぞれの議員の皆さんは、この方針に照らして、御自分自身の判断によって対処しておられるというふうに考えます。
  128. 角田義一

    ○角田義一君 これ以上これで議論してもこれはもういろいろあれなんですけれども、ただ、今ちょっと長官がおっしゃった自民党さんなりのけじめ委員会というのがあるそうですけれども、けじめをつけられたようなことを言っておられますけれども、それで国民が、ああそのとおりだ、それでいいんだ、よくやったというふうには思っていないんです。思っていれば、参議院であんなことにならないと私は思うんです。最後に私はその見解を申し上げておきます。したがって、自民党さん、今官房長官が言っておる程度ではこれはとても国民は、まだまだ自民党はけじめをつげていないや、こういうふうにそれは思わざるを得ぬということだけ申し上げておきたいと思います。  次に、防衛庁長官お尋ねいたしたいのでございますけれども、今度の人事院勧告が完全に実施されますと、いわば防衛費とGNP一%の関係が当然問題になってくると思うのでございます。私どもは、御案内のとおりいろいろ党内でも議論がございましたけれども、防衛関係の職員の皆さん、家族もあるわけでございますから、完全実施していただかなきゃならぬ、そう思っておるのでございます。  それはそれといたしまして、まず数字的に確かめておきたいのでございますが、今度の三・一一%が完全に実施された場合には、八九年度の防衛庁職員給与の増額は六百十五億円になる。そして八九年度の防衛庁職員給与の総額は一兆六千七百五十億円、そして増額後の八九年度の防衛費総領は三兆九千八百十三億円。したがって、当初の八九年のGNPの予測は三百八十九兆七千億円ですね。最初の当初予算のときに既にGNP比は一・〇〇六%、こうなっておるんですが、今回そのままもし実施されますと、八九年度の防衛費の対GNP比は一・〇二二%になる、こういうふうな試算が防衛庁筋から私のいただいた資料ではなっておるんですけれども、まず数字的にこれでよろしいかどうか、公の席で確認しておきたいと思います。
  129. 藤井一夫

    説明員(藤井一夫君) お答えいたします。  今回の人事院勧告の取り扱いにつきましては、まだ政府部内で方針が決まっておりませんし、また部内の作業といたしましても勧告の趣旨に見合います俸給表等がまだできておりませんので、正確な数字を申し上げるということが非常に困難な状況にございます。  ただ、元年度の予算をもとにいたしまして一%が大体どれぐらいになるかということを機械的にはじきまして試算をしてみますると、仮に完全実施の場合、人事院勧告三・一一%及び期末勤勉手当の支給割合の引き上げ、これに伴いますのが先生おっしゃいますように六百十五億という数字がはじけます。これを足しますと人件糧食費の総額は約一兆六千七百五十億円になります。  この増額分を当初予算にのせた場合どうなるかということでございますが、実際にこれが補正予算の段階になりますと、当然部内の節約とかそういう努力が要ると思いますけれども、単純に足しますれば先生おっしゃいますように約三兆九千八百十億円ということになりまして、これをことしの一月に出ましたGNPの当初見積もりと対比をいたしますと一・〇二二になる、こういう試算がございます。
  130. 角田義一

    ○角田義一君 わかりました。  そこで、防衛庁長官お尋ねするわけなんでございますけれども、六十二年一月二十四日のいわゆる「今後の防衛力整備について」の閣議決定というあの大閣議決定がございまして、それによっていわばGNP一%枠というのは突破されたということになっておるんです。私、大変これは遺憾だと思っておるんですが、しかしその閣議決定の中にもやはり、節度ある防衛力の整備を行う精神というのは引き継がなきゃならぬ、こういうこともわざわざ書いてあるわけです、御案内だと思いますが。それがやはり一%枠を守るという三木内閣以来の国民的な合意と私は言ってもいいと思いますよ。そういうものをやっぱり尊重していかにゃいかぬということじゃないかと私は思うんです。  したがって、この一・〇二二というのは額にすると約八百何億になります、超えるのが。大変なものだと私は思っているんです。このままこれを放置しておくのか、それともやはり一%枠の中にこの際きちっととどめた方がいいというふうに思って、そういう立場で、まさにこれはシビリアンコントロールの最たるものだと私は思いますけれども、これは防衛庁長官の一つの見識によってこれを抑え込むということになるのかならないのか、あるいはそういうお気持ちがあるのかないのかということをお尋ねしたい。
  131. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 確かに昭和五十一年、三木内閣時代に一%枠というのを閣議で決めたことは事実でございます。その後十年ほどたつうちに日本の経済が御承知のようにいろいろ石油ショックその他で、GNPの伸びがマイナスであったときもあれば、伸び方も五十一年当時に比べれば伸びない。これはどうも変動する経済というものを前提にしたGNPの一%というものがシーリングとしてどうだろうかということになって、先ほど委員御指摘のとおり、六十二年の一月になって、やはり天井は総額で決めようというふうに変えたわけですね。  ただ、おっしゃるとおり節度ある防衛費の増加ということはこれはもう当然でありますから、整備についてもその精神は継いでまいりますが、ただ一%というものに、もう一応シーリングを変えましたからこだわらないというのが私の立場でございます。  先ほど局長説明いたしましたとおり、人事院勧告を完全に実施するのかどうか、仮にするとしましても、歳出の面で不用というものが慣例的に立ちますが、そういうものがどれぐらいになるのか。さらにまた、当初のGNPはおっしゃるとおり三百何兆でございますが、今の経済の実勢から見てGNPがどうなるのか、もう少し時間がたたないと見えませんので、そういうことも考えてみますと、一%というものの精神はやはり継いでいきますが、ここで幾ら削れというふうなことは毛頭考えていないというのが私の考え方でございます。
  132. 角田義一

    ○角田義一君 八八年は、幸いにしてと言っていいのか、結果的に、成長率が上がったものですから一%以内におさまったということになっておるんですね。ただ、これはおさまったと言うと何か他人ごとのような言いぐさですけれども、私は申し上げたいんです。先ほど長官は精神というものをやっぱり生かしていかなきゃいかぬということであれば、これは私は三木さんの遺言だと思うんです、はっきり言って、一%を守れということは。そう言ってもいいと思うんです。  やはり防衛問題というのは国民理解というものが基礎になきややっていけないでしょう。国民がまだ圧倒的に一%枠を守ってその中に抑え込んだ方がいいんだ、こういうことであれば、やはりそれを尊重してそのために努力する、そういう基本的な姿勢は長官持ってもらわぬと私はいかぬと思うんですが、いかがでございますか、もう一遍聞きます。
  133. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 昭和五十一年当時の三木総理の考え方、それをもとにした閣議決定というものはおっしゃるとおり大事なことでありまして、その精神は守ってまいります。  しかし、先ほど申しましたように、一%というものがその後の経済の動きから見まして完全に合理的なシーリングであるかどうか、いろいろ議論もあるわけであります。やはりこれだけではどうもあれだということで六十二年の一月にああいうふうに変更したわけでありますので、精神はあくまで守ってまいりますが、いつまでも一%という、ややもすれば動きやすいような基準にこだわる気持ちはさらさらございませんということであります。
  134. 角田義一

    ○角田義一君 これは別の機会にまたじっくりやりましょう。きょうは人勧の絡みですからこの程度にしておきますけれども、これははっきり申し上げまして私どもは絶対譲れません、一%枠は。これは恐らく今各野党が連合政権構想をやっておりますけれども、GNP一%枠厳守、これでもって国民皆様理解を得たいということですから、我々はこれについて一歩も引かない、この点についてはっきり自民党さんにも要求していく、そういう基本的な立場であるということだけはっきり申し上げておきたいというふうに思います。  時間がございませんので、人勧について二、三お尋ねします。  完全週休二日制の問題についてお尋ねしたいと思いますが、今回の人勧でもやはり実現の目標年次について明記がない。これは政府の計画期間内ということになれば平成四年度ということでございますね。それを言うならば何もわざわざこういう勧告を出す必要はないのじゃないかと私は思う。やはりもう一歩進めて、例えば勤務時間問題研究会の中間報告によれば、平成二年度を目標にしてやったらどうだというふうに言われておるわけですね。そういうことを考えますと、まず目標年次というものをはっきり人事院から打ち出されたらいかがなものかというふうに思いますが、いかがですか。
  135. 大城二郎

    説明員大城二郎君) 人事院では昨年の週休二日制に関する報告におきまして、職員完全週休二日制については国全体の労働時間短縮計画期間内、平成四年ということでございますが、その期間内における速やかな実現を目標に、そのための施策を計画的に講ずる必要があるという報告をしたわけでございますが、本年の報告では、その後の民間における週休二日制、時短の進展状況等を踏まえさらに積極的にその実現に向けて検討を進める必要がある、そういう考え方を明らかにしたわけでございます。  公務において完全週休二日制を実施するに当たりましては、国民理解を得る必要があります。そのためには、行政サービスに配慮して、公務能率の一層の向上を図りつつ、完全週休二日制を念頭に置いた業務執行体制の整備充実に取り組む必要がある。特に交代制等職員については週四十時間勤務制の試行を実施するということが必要であるというふうに考えております。  本院としては、引き続き民間の時短、週休二日制の普及状況、土曜閉庁の定着状況等を見きわめながら、週四十時間勤務制の試行をできる限り早期に実施できるよう所要の準備を進めることによりまして、計画期間内における完全週休二日制の速やかな実現に向け全力を尽くしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  136. 角田義一

    ○角田義一君 再質問をちょっとしたいんだけれども、ほかのこともしなきゃいけないので。  総務庁長官が見えておりますのでお尋ねしたいんですけれども、完全週休二日制を実現する場合に、交代制勤務のような職場でこれを完全実施する場合に、人員はふやしません、金は出しません、サービスは絶対低下させません、いわば三ない主義というか、三無主義というか、世間で言っておりますけれども、こういうことが果たして、手品じゃありませんので、できるのでございますか。  やはり週休二日制をどうしてもやっていくんだ、交代制勤務のところもやっていくんだということになれば、ほかのところでいろいろ合理化をやったり人員を減らしたりなんかするんですけれども、どうしてもそれはふやさにゃならぬ部門というのが出てくるんじゃないか。そのときも、それは一切ふやさないで押し切るんだ、それでやってしまうんだということでいけるのでございますか。長官とすれば、それはやっぱり無理なんだ、ぎりぎりやっぱり人員をふやさなきゃならぬところはふやさなきゃならぬのだということをやらなければ、完全週休二日制というのはできないと思うんです。いかがでございますか。
  137. 水野清

    国務大臣水野清君) まず週休二日制を推進するに当たりまして基本的な考え方は、予算と定員の増加を行わないで事務処理の改善、要するに公務能率の向上、こういうことを建前に置いてやっていきたい、かように思っております。このことはやはり、行政改革ということも片っ方でお考えいただかなきゃいけませんし、最近は事務のOA化ということも進んでおりますし、必ずしも昔のようにそろばんをはじいて大勢の女子職員がやるとか、そういうケースは非常に減っているわけであります。  現在公務員も場所によっては非常に時間的余裕のある場所もある、御指摘のように。しかし、片っ方では大変忙しい、人員の増加も考えなきゃいかぬところがある。それを私どもの役所としては総合調整してやっていきたい、かように思っておるわけでございまして、三ない主義と、こうおっしゃいますが、お話では三ない主義でございますけれども、必ずしもないないではない。例えば人間にかわる事務機器その他の充足というようなことは非常に進んでおりますし、総合的には定員の増加を行わない、あるいは予算の増加を行わないでも十分やっていける、それほど労働強化にはならないというふうに私は理解をしております。
  138. 角田義一

    ○角田義一君 この問題については三石委員の方からも看護婦さんの問題等についてお尋ねがあると思うんですけれども、やはり今度の人事院勧告を見ても、例えば四十時間試行というのは、これは人事院がどういう意図でもってこういうことをやるのか私わからぬけれども、それは人間をふやさにやどうにもならぬということが試行をやってみてやっぱり出てくる、出したい。出したいと言ったら、ちょっと人事院の人はそこまで深く思っていないかもしれないけれども、そういう試行をあえて人事院が提言をしたというのは、やってみたけれどもどうしてもこれは人間をふやさにゃだめですよということが私はあるんじゃないかという気もするんです。  はっきり申し上げまして、弾力的運用とかいうようなことも提言されておるんですが、幾らOA機器でやったって、人間がやらにゃならぬ部分というのがあるわけです。看護婦さんなんて幾らOA機器でやったってだめですよ、それはできっこありません。そういうときは、あるいはパートを使っても、パートさんに来てもらってもやはりやる。  週休二日制を実現するということになれば、お金がかかるでしょう。そういうお金は一切出さないでやり抜くということでございますか。もう一度お尋ねしておきます。
  139. 勝又博明

    説明員(勝又博明君) 時間短縮を進めるに当たりましては、あくまで国民理解を得ることが肝要でございまして、そのためには、時間短縮実現するために単純に予算をふやすとか定員をふやすとかというようなことは厳に慎まなければならないだろう、厳に避けなければならないだろうと思っているわけでございます。  今回人事院の提言されました交代制勤務職員についての試行につきましても、これはあくまで既存の予算、定員の枠の中でできるかどうか研究をしてみるという趣旨だと私ども理解しております。
  140. 角田義一

    ○角田義一君 では、人事院お尋ねします。  あの方はそう理解している。人事院はどう理解していますか。
  141. 大城二郎

    説明員大城二郎君) 試行の趣旨は、完全週休二日制を実施する場合に実態的にどのような問題点があるか、そういう問題点の把握と、それに対する対応策検討ということがねらいになっております。したがって、そういうことを試行を通じて把握していく。そういう努力の中でさまざまな完全週休二日制に向けての必要な対応策がそれぞれの部門において検討が進められていくということでございますが、それと同時に、先生からお話がありましたような問題、さまざまな問題があろうかと思います。そういうものを政府全体においても十分検討していただきたい、そういう趣旨で弾力的対応等を報告の中でも述べているわけで、私どもとしてはそういう趣旨を考えているつもりでございます。
  142. 角田義一

    ○角田義一君 わかりました。人事院の方が進んでいます。それじゃ政府の方がおくれています。局長、どうですか、あなたの答弁は納得できない。今人事院の方はそういうふうに言っておるんだから、それにやっぱり前向きで受けこたえていくという答弁をしなきゃだめだよ。
  143. 勝又博明

    説明員(勝又博明君) 先ほど申しましたように、公務員の時間短縮を進めるに当たりましては、国民の御納得を得るということが一番大事でございます。そのためには、既存の予算、定員の中で果たして交代制勤務職について四十時間勤務体制がとれるのかどうか、これを研究するのがまず先決であろうというふうに思っております。
  144. 角田義一

    ○角田義一君 とても納得できませんけれども、時間がありませんから、これはまた臨時国会でやりましょう。  最後に、ちょっと文部省にお尋ねしたい。  社会の変化に対応した新しい学校運営等に関する調査研究協力者会議というのがやっとできた。学校五日制の問題について一番文部省がおくれておる、はっきり言えばサボっておるという批判があるわけです。これができてやっと何とかスタートしたわけなんですが、これを見ますと、一九九二年、平成四年春に五日制実施の可否も含めた結論を出すというふうになっている。じゃ実際、実施は一体いつになるのか、こんなテンポで一体学校五日制というものがやれるのかということが一つ。  それから、実験校も八県だけなんです。そうすると、ほかの県は全然実験も何もなくてやる、こういうことになる。いわば実験校なりあるいは実験的ないろいろな試みというものは、何も文部省が指導して八県だけやらせることはないんだ。八県でも、市町村でも、いろいろな創意を工夫してやってみたらどうだというふうにするのが筋ですよ。ただ八県だけやってあとは知らんぷりだ、その八県の実験だけ見て、全然実験も何もやってない県も、お前らもやれ、こういうことで通るんですか。これが一つ。  それからもう一つは、委員のメンバーの選び方です。現場の校長さんとか偉い人はみんな入っているけれども、現場の先生はただ一人、こういうことで本当の現場の悩みがわかるんですか。それからもう一つ、私はっきり言いますけれども、いろいろそれは今までの文部省と日教組の関係もあるかもしれぬけれども、やっぱり職員団体と話し合おうという姿勢がなきゃいかぬですよ。  どうですか、その三点を聞きたい。
  145. 菊川治

    説明員(菊川治君) お答えいたします。  文部省におきましては、学校週五日制の問題につきまして調査研究を行うために、去る八月二十九日に、社会の変化に対応した新しい学校運営等に関する調査研究協力者会議が発足したところでございます。  この学校五日制の問題につきましては、一昨年の十二月に教育課程審議会から答申が出ておりまして、そこで指摘されております教育課程のあり方あるいは教員の勤務形態等学校運営のあり方、さらには土曜日が休みになった場合の受け皿といいましょうか、子供の生活にかかわる学校と家庭、地域社会との連携のあり方といった点を研究していく必要があろうというふうに思っております。  その際に、大きな企業では週休二日制が進んでおるわけでございますけれども、小規模企業あるいは零細企業におきましてはまだ週休二日制が進んでいないという部分がございまして、私どもの推計からしますと、全従業員から見ますと何らかの形で週休二日制をとっておるのはまだ半分にはいってないのではないかというふうに思っておりまして、学校を取り巻く父母の状況は、そのようなことで、半分以上まだ週休二日制がいってないというふうな状況であろうかと思います。  そういったこと、さらには六十一年の七月に世論調査をやっているわけでございますけれども、その際には、そういったことも反映して六〇%強が反対である、それから二〇%程度が賛成というふうな数字も出ておるわけでございます。そういったことでございますので、世論等の動向も十分考えながらやっていく必要があろうと思っております。そういったことで、総合的に判断していく必要があろうと思っておるわけでございます。  そうなってまいりますと、実際に学校で実験的にそれを進めてみるということも必要であろうということで、追って、さっき先生御指摘がありました全国八県、それから都市部と農村部というふうに考えまして全部で十六カ所になるわけでございますけれども、学校数としては予算上は六十四校ございますが、それで実証的な研究をしてみようというふうに思っておるところでございます。  そうなってまいりますと、本格的な研究、またそれの反省をしてみるとかいうふうな時間がかかるわけでございまして、そういったことを考えますと、どうしてもその協力者会議で一応の結論を出すのは平成三年度末になろうというふうに考えておるところでございます。  それから、先生の実験校につきましての八県でいいのかどうかということでございますけれども、実験校の指定に当たりましては、全国の地域ブロックの点につきましても十分配慮してまいりたいと思いますし、先ほども申しましたように都市部とか農村部というふうなところで、学校の環境が違う場合ではどうかというふうなことも十分配慮しながら指定をしていきたいというふうに思っておりまして、いろんな形の学校におきましてどういう問題点があるか、そしてまたその問題点について解決策としてはどういうものがあるかというふうな研究をしていきたいというふうに思っております。  その数が少ないという点につきましては、先ほど申し上げましたように、まだこの問題につきましての世論が大変厳しい状況もある、学校を取り巻く父母の状況もまだ週休二日制が必ずしも進んでないという地域もあるであろうというふうなことで、まずどういった問題点があるかという実験というふうなことで私どもは考えておりますので、そういった問題点を出し、そしてまたそれの解決策を考えるのはこの程度の学校で十分対応できるのではないかというふうに思っております。  それからもう一つ、委員のメンバーの点でございますけれども、御指摘のように子供の生活がどうなるのかというふうなこともございますし、そのほか国民生活全般に影響することでございますので、幅広い方々にメンバーになっていただいておりまして、学校関係者六名、その中に一般教員も含んでおるわけでございます。そして企業の関係者、教育委員会の代表、マスコミの代表、学識経験者等、幅広い立場にて御意見をいただきたいというふうに思っておるわけでございます。その中に教育関係者も入っておりますし、また学校の現場の意見といたしましては、研究協力校では現場の意向を反映しながら進めるわけでございますので、そういった研究協力校での研究成果の中には現場の意向も十分反映したものが出てくるであろう、それを踏まえながら、その協力者会議で御検討いただこうというふうに思っております。
  146. 板垣正

    委員長板垣正君) 角田君、時間です。いいですね。
  147. 角田義一

    ○角田義一君 終わります。
  148. 三石久江

    ○三石久江君 三石久江でございます。  まず、官房長官お尋ねをいたします。  私は、長い間、自由、平等、人権、平和ということをもとに、女性の地位向上に力を入れながら女性運動をいたしてまいりました。あなたと同じうさぎ年生まれです。このたびは官房長官になられまして、同性といたしまして大変喜んでおります。  そこで、あなたは女性だから官房長官になったとは思っていられないと思いますが、今、女性の地位向上に向けてまず何をなさりたいと思っておられますか、お願いします。
  149. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 私も、個人的に婦人の地位向上には長い間関心を持って努力してまいった一人でございまして、三石先生とその意味では同じ立場でございます。  四十年近く前に初めて就職した当時のことを考えますと今日の状況はまことに夢のような気がいたしますが、しかしなお社会、経済、日本の社会のすべての場でもっと女性がその能力を有効に発揮しなければいけないと思って考えますと、なおさまざまな障害が残っていることは事実だと思います。法律や制度上の問題はほとんど片づきかけておりますけれども、実際の問題としては多くの人がたくさんの壁にぶつかって苦労しているところでございまして、これから私どもが力を入れていかなければいけないのは、実際上の差別をなくし、婦人の地位を実際に向上していくことだ、そのように考える次第でございます。
  150. 三石久江

    ○三石久江君 次にお尋ねしたいのは、前官房長官の女性問題です。  公人である方の女性問題を、このような低次元の問題で官房長官をやめることはないとか、周辺の方々は堂々と言っておられました。また、政治に持ち込む問題でもないという風潮がありますけれども、これはこのようなという問題として片づけられる問題なのでしょうか。  またもう一つ、一九八九年八月二十五日、先ほどですけれども、毎日新聞の「もし辞任すれば、次々辞めざるを得なくなる」「女遊びは男の甲斐性。政界の人間ならだれだって身に覚えがあるだろう」という記事を読んで、私は前時代の考え方だなと大変驚きました。私は政治家は聖人君子でなければならないとは思っておりませんけれども、女性の人格を認めないという交際の仕方、考え方、すなわち女性べつ視の考え方を個人の問題として公の場での論議の対象にしないという風潮では、今後も女性差別、女性べつ視の問題は絶えることはないと考えるわけです。厳しく論議すべきだと思っておりますが、いかがでしょうか。
  151. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 前官房長官が、週刊誌にいわゆる女性問題ということが報じられたことに対しまして、それをきっかけに辞任されたということがございました。そのときに、先生おっしゃいますように、ほかにもいろいろな意見があったようでございますが、しかし前官房長官が大局的な立場から、また真剣にこのことを考えられまして辞任の決意をされたということは、非常に大きな決心であったというふうに思います。  また、いわゆる女性問題というものが最近政治との関係で公に議論をされるようになったことにつきましては、私もこれは世の中が変わったんだというふうに思います。以前は、先ほどのお言葉にもありましたように、そういうことはいわゆる男のかい性ということで不問に付するというのが普通であったわけですが、日本の社会の中での世代間の物の考え方のギャップ、また男女の間のこういう問題に対する感じ方の違いというものが次第に際立ってまいりまして、そういう結果が今日のような傾向になってあらわれてきているのではないだろうか。政治家として多くの国民から信頼され、その地位を得ている議員というものは、国民のそのような意識を常に胸に置いて行動しなければいけないのではないかというふうに、私の個人的な感じも交えまして思う次第でございます。
  152. 三石久江

    ○三石久江君 これはもう一つ。  あなたは女性としてハンディキャップを感じたことがないとおっしゃっておられます。まさに男性社会の中で堂々と仕事をなさった、そのことには敬意を表します。今までにもゴルフ場のこと、相撲協会のことなどなどを女性差別の問題として取り上げてこられましたことは存じ上げております。しかし、多くの働く女性、国家公務員地方公務員の中の女性の職場での差別がまだまだ多いということもよく御存じだと思います。いまだに多くの働く女性、国家公務員地方公務員の中の女性差別がある現状です。これは後ほど改めて取り上げますけれども、一般公務員の中での女性差別についてどのようにあなたは考えていらっしゃいますか。
  153. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 私は大変恵まれた条件にありまして、家庭的にもまた職場の御理解も非常に得られた、大変ラッキーな立場であったというふうに思います。したがいまして、先ほどおっしゃったようなことを申したわけでございますけれども、世の中一般には決してそういうわけにはいかないということがたくさんあるのはよく存じております。同じ公務員の中でもさまざまな不満やいら立ちがあるということはよく知っているつもりでございますが、公務員法には平等取り扱いの原則が定められておりまして、合理的な理由なく性によって異なる取り扱いをすることがあってはならないというふうに考えます。各省庁におきましても、この趣旨に沿いまして人事管理がなされていると考えます。  なお、人事管理、運営方針におきましては、成績本位による人事運用の推進について定めておりまして、勤務成績本位の人事運用に努めているところでございます。このことは、婦人問題企画推進本部で策定いたしました「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」の中でも、女子公務員の採用、登用及び職域の拡大等につきまして強力に推進しているところでございます。一層努力をしていきたいと思います。
  154. 三石久江

    ○三石久江君 次に、人事院の方にお尋ねいたします。  我が国は婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に対して批准しております。そこで、各省庁の女子の行政職員の採用、昇進、昇格について質問をいたします。  まず、一般的に女子の行政職については、男子に比べて採用も少なく、また昇進、昇格においては、男子に比べてかなりテンポが遅いと陶いております。昭和六十三年十月七日の朝日新聞の「論壇」、人事院管理局法制課長である中島幸子さんの記事からは、昭和六十一年度Ⅰ種相当在職者一万八千人のうち女子は六百人、三・三%で、本省課長クラス総数八千四百人余りのうち女子は五十六人、〇・七%と極めて少ない数です。省庁によっては女子の本省課長が一人もいないところもあると書かれておりました。はっきりと女子は昇進、昇格がおくれているということになります。  そこで、Ⅱ種、Ⅲ種で公務員になった女性の人数はⅠ種に比べて多いはずですが、多い割に主任、係長になる女性は少ないと聞いております。  平成元年三月二十四日の朝日新聞「女性の進出遅い行政機関」の中で、「行政分野でみると、国家公務員に占める女性の比率は、八六年度の一般行政職で一四・六%。七五年度の一四・一%から微増にとどまった。」と書かれてあります。出先機関を含めての国家公務員の主任以上、四級以上の役職者の男女の割合を示す資料はありませんか。資料で御説明願いたいのです。
  155. 森園幸男

    説明員(森園幸男君) 職務の級別の女子の在職の状況を申し上げます。  六十二年度で申しますと、四級在職者二万八千七百七十五名中、女子が二千八百五十三名。五級、一万一千六百十八名中、女子九百五十九名。六級、一万三千二百五十九名中、六百三十六名。七級、三千八百九十五名中、三十九名。八級、四千二百四十五名中、十六名。九級、六百五十名中、四名。十級、百六十六名中、一名。十一級、四十名中、ゼロ。これはいずれもⅠ種、Ⅲ種、あるいは前の中級試験で採用された者の総数とその中での女子の数でございます。
  156. 三石久江

    ○三石久江君 ありがとうございました。  次に、職場の中で女性の意識が低いという言葉を聞きますが、責任のある仕事をしたいと思っている女性に対しても、採用当時から仕事の割り振りで女性には軽い仕事をさせ、責任のある仕事をさせなかったりして、男女差をつけているのではないでしょうか。これはよく耳にする言葉です。記事のタイトルに「女性よ国家公務員に来れ」とありましたが、三・三%、〇・七%、今のお答えを聞いております状態では、女性が進んで公務員なろうとしないのは当然ではありませんか。採用の門戸は開かれていると言われますが、差別があるので志願者が少ないのではないかと思います。いかがですか。  以上のことは人事院指導の怠慢でもあると思うのですが、現在は女性の意識も高まった今日でもあります。女性に対して責任のある仕事をのお考えはありませんか。具体策があればお示しいただきたいと思います。
  157. 内海倫

    説明員内海倫君) 詳細は主管局長から答弁いたしますが、人事院基本的な婦人職員に対する考え方だけははっきり申し上げておきたいと思います。  先ほども官房長官あるいは主管局長から御答弁申し上げましたように、国家公務員法にはいわゆる昇進その他すべての人事管理において性等の問題でこれを区別してはならないということが明確に書かれておりますし、またその点に沿って各省ともに真剣に努力をいたしておるところでございます。  ただ残念なことは、今も御指摘のように、国家公務員を希望する者が少ない。確かに、毎年の採用状況を見ましても、試験に合格する人が少ないというよりも 応募する人が少なし。応募する人が多くなれば合格する人も多くなる。例えばことしの、きょう発表いたしましたⅠ種の行政の一番は早稲田大学出身の御婦人でございます。だから、大勢の者が国家公務員を志していただけばまた採用も多くなる。採用が多くなればおのずからその力の発揮もできるでしょうから、昇進というふうなことについても、今統計上の数字で示すようなことではなくもっとよくなる。  大変私事を申しますが、私は人事院総裁として、我が人事院において婦人職員がどういうふうな状態であるかは、しばしば婦人職員の諸君と話し合いをして実情を聞いております。まあいろいろそれは意見はあるかもれませんが、私の聞く限りでは非常に公平に行われておる、こういうふうに思います。
  158. 三石久江

    ○三石久江君 次に、文部省の方にお尋ねいたします。  女子に多い医療職日、看護婦について、採用、離職・育児休業などについての質問ですが、看護婦の問題は二十一世紀、高齢化社会に向けてますます必要とされております医療職です。ちなみに、言われております看護婦不足は深刻な問題であると思います。  そこで、国立大学附属病院、公立病院の看護婦の採用、離職、育児休業の現状はどうなっているのかについて質問いたしますが、六十三年度人事院年次報告書資料一の十五、百七十六ページによりますと、看護婦の採用数二千七百七十五、他の俸給表からの異動千三百六。一方、看護婦の離職状況ですが、二十四歳以下から二十九歳代の離職者数二千六百九名、ほかに千四百四十五名、合計四千余りとなっております。  そこで、看護婦の定員枠について、何を基準に定員枠がつくられているのかという質問と、仕事に見合った定員枠なのか、必要絶対数はどれだけかということを質問いたします。
  159. 小林敬治

    説明員(小林敬治君) お答えをいたします。  国立大学の附属病院における看護婦の定員の問題でございますが、まず最初に数字を申し上げますと、昭和六十三年度で定員が一万五千七百六十一人。それから、それに対しましてその年度の七月一日現在で一万五千七百九十人でございます。  それから、離職状況にもお触れになられましたけれども、御指摘のとおり大変離職者が多くて、六十二年度の一年間をとってみますと二千五百九十二名、これはその年度におきます定員の一六一五%に当たるわけでございます。  それで、こういう定員をどういう根拠で設けておるかということは大変難しい御質問でございますけれども、やはり一応私どもといたしまして、看護婦さんの勤務状況が、例えば二・八体制がとれるかとか、看護婦さん一人当たりの病床数がどのくらいになるかというふうなことをめどにいたしまして算定をしてきたわけでございますが、ただ、ここにきまして国立大学の附属病院は、新設医大を、大分長い間かかりましたが、おかげさまでやっと整備をいたしました。その間やはり既設の方がどうしても手薄にならざるを得なかったというようなこともございまして、今後看護婦、看護職の重要性というものも十分踏まえまして、その充実を図ってまいりたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  160. 板垣正

    委員長板垣正君) 三石君、時間です。とめてください。
  161. 三石久江

    ○三石久江君 はい、これでやめさせていただきます。
  162. 吉川春子

    ○吉川春子君 新しく就任されました森山官房長官にまずお伺いいたします。  最初に、先ほど消費税の問題について長官は、直間比率の見直しは与野党合意だとおっしゃいましたけれども、共産党は合意していませんので、一言指摘をしておきたいと思います。  まず、官房長官は同時に政府の婦人問題企画推進本部の副本部長でもありますので、女性の地位向上、社会的進出の取り組みの決意をお伺いいたします。  国際的に見て非常に日本の女性の地位向上がおくれているわけですけれども、具体的には育児休業の問題について伺います。  長官はこれらを手がけてこられたと思うんですけれども、現実は十四年たっても全体の十数%の実施率です。これを大幅に拡大するために、どうしても全女性の職種に拡大する必要があると思います。そのためにも、政府が率先して女性の国家公務員全体に適用を拡大すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  163. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 今やっております育児休業制度は、公務員については、一定の資格を必要とし、かつ業務に習熟しますのに相当の年数を要する女子の教育職員、看護婦等の人材を確保するという観点から設けられたものでございます。女子職員一般に対して育児休業制度となりますと、この趣旨を離れまして一般的な勤務条件の一環ということになりますので、他の勤務条件と同様に、民間との均衡ということを配慮しなければならないかと思います。
  164. 吉川春子

    ○吉川春子君 民間との均衡というふうにおっしゃっていますので一向に適用が拡大しないわけですね。だから、どこかでその突破口を開かなきゃなりませんし、育児休業制度というのはやはり女性進出のための一つの重要な条件ですので、女性の官房長官だからということで申し上げるんじゃないんですけれども、副本部長でもいらっしゃいますので、国家公務員での女性の積極的な登用と含めて、こういう問題にもぜひ全力で取り組んでいただきたいと思いますが、どうですか。
  165. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 先ほども申し上げましたように、婦人の地位を実質的に向上していくということがこれから与えられた課題だと思います。その意味では今御指摘のような育児休業制度も一つの重要な方法だと思いますが、国家公務員から先にというのはいかがなものでございましょうか、民間労働条件とのバランスということは十分考慮しなければならないことだと思いますので。
  166. 吉川春子

    ○吉川春子君 民間が一向に伸びないということで、いろいろ具体的な方向としてぜひ政府も積極的に取り組んでいただきたい。きょうはこのことだけ申し上げておきたいと思います。結構です。  人事院勧告の問題について伺いますが、国家公務員給与は国公法六十二条からいえば職務給ですけれども、六十四条二項の解釈上からは生活給の側面を否定できません。人事院は現に標準生計費を算定しています。私はむしろ生活給を重視すべきではないかと考えております。ことしの人事院勧告にこの標準生計費はどのように反映されているのでしょうか。
  167. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 吉川議員おっしゃいますように、毎年四月時点の家計調査をもとにいたしまして標準生計費というものを算定しております。その標準生計費を算定するとともに、給与につきましては民間給与準拠の原則ということで現在まで勧告を進めてきております。民間給与に準拠するという前提で給与均衡を図り、そして標準生計費というものを見ながら各年齢階層、各等級間の階層の配分を決めておるということでございますが、ことしの標準生計費は四月現在の家計調査に基づいて算定したということでございます。
  168. 吉川春子

    ○吉川春子君 その標準生計費は月別の今回の人勧の俸給表で賄えるんですか。
  169. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 吉川議員には前にも御説明したことがございますけれども、国家公務員給与というのは月例報酬と期末勤勉手当から相なっております。そして、期末勤勉手当も現在生活給の一部というふうに認識されておりますので、それを総計いたしまして各月の手取り金額というものを見た場合には、標準生計費を十分満たしておるというふうに私たちは認識しております。
  170. 吉川春子

    ○吉川春子君 年間給与との比較で言われましたけれども、毎月の俸給表では生計費を賄えないということですね。それで、国公法では俸給表は生計費などを考慮して定めなければならないとしていますけれども、これは月別の俸給を指しているんですね。
  171. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 現在の国家公務員給与体系というのは、俸給表をもとにしてできております。期末勤勉手当も、俸給表というものが基礎にあって期末勤勉手当は算定するような方式になっておりますので、必ずしも先生がおっしゃるようにそこを窮屈に解釈する必要はないというふうに考えております。
  172. 吉川春子

    ○吉川春子君 法律を素直に読めばそういうふうに、私の言ったようになるわけです。  人事院の標準生計費自体、現実に生活していけるかどうか大変疑問な額なんですね。例えば単身世帯の食料費は月額二万八千三百七十円、一日九百三十二円という金額です。この生活費で実際に暮らしてみた大阪の青年がいますけれども、大変惨めな生活になったと、こういうふうに報告しています。体験してみなくてもわかる数字です。この生計費すら下回る人勧の俸給表なんですね。だから、こういうことではまさに生活給としての側面は大変脅かされているというふうに指摘できると思います。  加えて、四月一日から消費税が導入されました。日本生活協同組合連合会が毎月行っている「わたしの支払った消費税額しらべ」、六月分の集計を見ますと、これは北海道から九州まで三百六十五のデータを分析したものですけれども、世帯主の平均年齢は四十七歳、平均家族数が三・七人、平均世帯収入が七十二万五千八百一円。この月はボーナス月なのでボーナス込みです。消費税額は八千二十五円、こうなっているんですね。ボーナス月であっても消費支出は六千円しかふえていないわけです。これは収入別に二十万未満から二百万以上というふうに十段階に分けまして、さらに年金生活者を合わせて十一段階に分けているんですけれども、消費税の消費支出に対する割合というのはどのランクでもほとんど変わらずに二・一%から二・三%、こういうふうになっていて、収入の多寡によっては差がないわけです。こういう消費税の問題が今度の人事院勧告にどのように反映されているんでしょうか。
  173. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 先ほど御説明申し上げましたように、人事院給与勧告民間給与準拠の原則ということで勧告作業を行っておりますけれども、その場合民間賃金というのがことしの春どのようにして決められたか、またどういう要素を考慮して決められたかということは、それぞれの各組合の賃金引き上げ闘争の中でいろいろな議論があっただろうと思います。企業業績が重視されたところもあったでしょうし、あるいは物価、生計費というものが考慮されたところもございましょう。そういうものを含めてことしの春の民間賃金というものが定まったわけでございます。したがいまして、日本における労働者の大半の方がそういう賃金というものでことしの春の賃金引き上げを終わったわけでございますから、私たち公務員もそれに準拠して公務員の賃金を決めていくというのが私は公務員賃金のあり方として国民おおむねの御理解を得る方法だというふうにやはり考えます。
  174. 吉川春子

    ○吉川春子君 民間給与には消費税というのがダイレクトには反映しないわけですよね。当然労使交渉で決めるわけですから、力関係によって賃金が決定されますから、消費税が含まれる場合もあるでしょうし、十分含まれない妥結額になる場合もありますね。そういうことを考えますと、含まれているか含まれてないか、正確に含まれているかもわからない。そういうことで、民間準拠だということで、消費税のことも考慮した人勧だということは言えないんじゃないですか。
  175. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 私は消費税を考慮した人勧とは申し上げておりません。ことしの春の民間の賃金の引き上げ闘争の中では賃金決定要素と言われる物価というものがやはり重要な要素でもございましたでしょうし、企業業績とかあるいは労働需給の状況というものも考慮されたでしょう。そういうようないろいろな要素というものを考慮された上でことしの春の賃金引き上げというものが行われたわけでございます。  その引き上げた後の民間賃金というものを我々は考慮いたしまして官民較差を算出した、そういうことで人事院勧告を行うというのが国民のおおむねの理解を得る道だというふうに考えておるということを御答弁申し上げたわけでございます。
  176. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、消費税の問題については殊さら考えずにことしの人勧は行ったわけですね。
  177. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 民間賃金の引き上げ状況というものを考慮して私たちは作業を進めたということでございます。
  178. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃ、民間賃金消費税が反映してないかもしれないということは認めますか。
  179. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 先ほど御答弁申し上げましたように、民間負金を引き上げるときに、各労働組合がいろいろな議論をして、そして経営者側はそれに対していろいろな立場というものを主張しながら民間賃金というものが決まるというふうに理解しておりますので、それは私がどうこうということをお答えするのは立場として適当でないというふうに思います。
  180. 吉川春子

    ○吉川春子君 国家公務員法によりますと、公務員給与というものは、生計費、それからいろいろな事情を考慮して決めるようにと、こういうふうになっていますね。まさにことしの四月一日の消費税導入ということは、これは大変大きな生活に対する変化であり、マイナスの面ですね。そういうことについて、ただ民間準拠で、民間の労使の話し合いでもって決められたものに反映されているのではないかと。あるいは、いないかもしれないでしょう。そういうことで、消費税のことについて含まれているという前提で人勧をするというのは余りにも無責任じゃないですか。国家公務員の生活実態とか、どれぐらい賃金がなければ生活ができないかとか、そういうことは念頭にないんですね、では。
  181. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 先ほど申し上げましたように、標準生計費というものを算定いたしまして、そして公務員が年間支給を受ける給与というものを各月ごとに配分いたしますと、標準生計費を十分賄っておりますので、私たちは公務員消費税による引き上げによって生活ができないという状態ではないというふうに理解いたします。  それともう一つは、今吉川議員がおっしゃいますように、消費税というものを考慮してないという人事院勧告のあり方は無責任だというお話がございましたけれども、私はそうじゃなくして、民間の賃金というものを考慮して公務員給与を決めるという方がむしろ国民おおむねの合意が得られる、そういう方途だというふうに考えます。
  182. 吉川春子

    ○吉川春子君 国民おおむねというのは、やっぱり公務員以外の人々を指すと思うんですけれども、人勧の対象となっている国家公務員は五十万人として、そのほか三百二十万人の地方公務員あるいはその他の現業の国家公務員、そういう人々と、さらに家族を含めますと二千数百万の人が直接公務員給与によって利害をこうむるわけなんですね。さらに、国家公務員給与というのは、生活保護基準だとか、あるいはもっと細かい問題で言えば、国が支出する保育単価に至るまでこれを基準にして決めるわけですね。だから、民間給与への影響ということを別にしましても、国家公務員給与によって物すごく多くの国民、数千万人の国民が影響を受けるわけですよ。  だから、今局長のおっしゃられたのは、何かいかにも国家公務員給与を引き上げないことが世論の要請であるようなことに聞きとれましたけれども、そういうことじゃないわけです。そういう大きな影響のある国家公務員給与消費税について考えないと。生計費の中にも消費税を含めて考えるということはおっしゃれないんでしょうけれども、そういう世論というようなあいまいな表現で、国家公務員給与改善国民が願っていないかのようなそういう言い方は、本当に世論を悪用するもので許せないと思うんです。そのことを指摘しておきます。  単身赴任についてことしの人勧で新しく制度を設けていますけれども、この問題について人事院はどういう調査をしたんですか。
  183. 菅野雄

    説明員(菅野雄君) お答え申し上げます。  人事院では、単身赴任問題に関しまして、昭和六十年ごろからさまざまな調査をやってきたわけでございます。  特に、昨年の給与勧告以降におきましては、公務部内については各省からのヒアリング、国家公務員給与実態調査単身赴任者全員に対する単身赴任実態調査により単身赴任実態、要望の把握に努めましたとともに、民間企業につきましては、民間給与実態調査によりまして単身赴任者への措置状況等調査してきたところでございます。
  184. 吉川春子

    ○吉川春子君 国公労連が四月二十六日に人事院交渉を行っていますけれども、単身赴任実態は、例えば航空局ではブロックを越えた異動があり、家具購入など附帯経費の支出が平均十五万八千円にもなっている。また、国家公務員の場合は僻地や離島にも行かざるを得ない、民間との比較だけを中心考えるべきでないということですね。それから全気象では、符舎の二重貸与が認められないので、本島から南大東島に行く場合、家族は民間アパートに移らざるを得ない、公務で行くのにこれでは納得できないと。あと、例えば全建設省労組では一万人中、役付職員二千人が単身赴任中だと。四割は体の不調を訴え、六割は今後単身赴任を命じられたら断ると答えているわけですね。  民間調査があります。これは朝日生命保険が発表した「単身赴任の経済学」という。パンフレットですけれども、民間では九割以上は社宅、寮に入居しており自己負担はない。それでもなお四十歳代の課長の場合は、月三万六千四百四十八円の負担があるという。それから別居手当を八割が支給しているし、三分の二は月一回以上の帰省旅費を支出しているわけですね。だから、民間準拠ということをさっき繰り返しおっしゃられましたけれども、単身赴任民間準拠にもなってないじゃないですか、こういうことについてどうですか。少なくとも民間並みの手当を支給すべきじゃないですか。
  185. 菅野雄

    説明員(菅野雄君) 今申し上げました調査からは、公務における単身赴任者赴任後の生計費増は四万七千円程度になっております。それから民間における別居手当につきましては、支給月額が二万円としているところ、あるいは三万円としているところが多くなっているというようなことでございます。  この単身赴任手当の額を決定いたしますにつきましては、今申し上げました民間事業所単身赴任者に対する措置の水準及びその分布状況、あるいは単身赴任者の生計費負担の実態と最低限必要と考えられる経費増等を総合的に勘案いたしまして、さらに帯同赴任者との均衡給与全体としての配分の要素をも考慮いたしました結果、今回の額とすることが適当であると考えたわけでございます。
  186. 吉川春子

    ○吉川春子君 民間水準には達してないということは認めますか。
  187. 菅野雄

    説明員(菅野雄君) 今申し上げましたように、我々としてはこの額が適当であろうかと考えております。
  188. 吉川春子

    ○吉川春子君 民間準拠を金科玉条のように言われるんですから、単身赴任は少なくとも民間並みの手当に早急にするようにということを要求しておきます。  人事院勧告は憲法上の公務員の権利を法律で奪った代償措置というふうに繰り返し言われているんですけれども、人事院現実公務員の生活実態に見合った給与勧告をしていない、私はこのことをまず指摘します。そして、自分たちはスト権も団体交渉権もないわけですから、公務員の生活はだれが守るのか。そういう観点からいって、憲法が認める労働基本権を公務員について制限することは根本的な誤りです。  なお、最高裁ですら次のように言っています。「もし仮りにその代償措置が迅速公平にその本来の機能をはたさず実際上画餅にひとしいとみられる事態が生じた場合には、公務員がこの制度の正常な運用を要求して相当と認められる範囲を逸脱しない手段態様で争議行為にでたとしても、それは、憲法上保障された争議行為である」云々。四十八年四月の多数意見に立った補足意見です。  私たちは、公務員の憲法上の権利を奪うのは誤りだ、争議権、団体交渉権を公務員返還せよということを強く要求いたします。  最後に、総務庁長官、今お聞きのように、今回人事院勧告が行われましたが、この給与決定権というのは政府と国会にあるわけですね。消費税とか単身赴任手当の問題をとってみても、公務員の生活実態に合わないような人事院勧告になっていますので、こういう点を考慮して本当の意味の給与改定を行うことを私は要求したいと思います。とりわけ、人勧は今までいろいろな法律との取引の手段として使われてきました。そして、政府は人勧の取り扱いについていまだに閣僚会議でも結論を出していません。こういうさまざまな問題の取引の材料に使うことなく、早急に公務員給与改善のための結論を出すべきだ、そのことを長官に最後に質嗣いたします。
  189. 水野清

    国務大臣水野清君) 御承知のとおり、人事院勧告が去る八月四日に行われまして、政府としては七日に直ちに給与関係の閣僚会議を開いたばかりでございます。その後、御承知のとおり、内閣がかわりまして新体制になりまして、私が給与担当の閣僚になったわけでございますが、私どもはこの人事院勧告に基づきまして、それをなるべく早く忠実に実施に持ち込むということが当面の仕事でございます。いろいろお話のような御事情もございますが、法制上からもただいま申し上げましたように人事院勧告を尊重いたしまして、先ほど来山口委員からも御指摘がありましたように、なるべく早くこの勧告どおり実施に持ち込みたいと私どもは思っておる最中でございます。
  190. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が来ましたので、これで終わります。
  191. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私はこの機会をかりて、最近起こっている在日米軍基地をめぐる問題について二、三お尋ねします。  まず、沖縄の恩納村にあるキャンプ・ハンセン演習場内での都市型ゲリラ訓練施設、この問題は去年の十二月に住民の反対によって一たん中止になっていました。それが、七月二十四日に突如として米軍の手によって工事が再開された。その際機動隊が出動して、老人から女性、子供まで座り込んでいるのを実力でゴボウ抜きをやりこれを排除するという出来事も起こって、沖縄では大変な騒ぎになっております。村長自身が、私たちは最後まで闘い続けていく、基地縮小はあってもこれ以上の強化は許されない、そういうように語っていることが現地の新聞で報道されております。  私はこの問題を外務委員会等でこれまで何回か取り上げてきましたけれども、その際、政府の答弁によると、米軍は住民の反対を押し切ってこういうことを強行することはない、住民の理解を得てやるという趣旨の答弁があり、そういう説明を別の機会にも受けてきました。それが突如としてこういう機動隊の出動による工事再開ということまで行われたのはどういう状況の変化があったのか、日本側に事前にその点での説明があったのかどうなのか、住民の意思を尊重する、理解を得るという従来の態度をアメリカ側は変えたのかどうなのか、まず答弁を求めます。
  192. 大原重信

    説明員(大原重信君) お答え申し上げさせていただきます。  米軍は安保条約の目的達成のため我が国に駐留いたしまして必要な訓練を実施いたしておりまして、訓練のための施設を施設・区域内に建設することは認められるところでございます。  恩納村地区の施設につきましては、昨年九月中旬から建設に着手いたしまして、昨年十二月中旬に地元住民の方々のうち一部の方の反対がございまして、請負業者の車両が入場を阻止され、工事を一時中断しておったものでございます。その後、米軍は再三にわたりまして恩納村長、それから同村議会の議長等関係者に対しまして、現地に御案内申し上げまして、訓練施設の安全性について十分御説明申し上げるとともに、御理解と御協力を賜れるようお願いしてまいったものでございます。その上で、去る七月二十四日、米軍が直接工事を実施することといたしまして、恩納村長に対し工事再開を通知いたしました後に工事に着手したものでございます。  本訓練施設は、地元住民の方々の安全に十分配慮して建設されるものでございますので、ぜひとも御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。
  193. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 一部の反対というのは何事ですか。村長以下反対している問題ですよ。私もこの春、実地調査に行ってきました。役場にも行って、村長、村当局の方々からも話を聞きました。一部の者が反対しているというふうなのは全く聞き捨てにならない答弁です。その村長自身が今なおこういうふうに言っているわけですから、村民の理解を得ないまま米軍は強行した。かつて日本政府が国会で答弁していたことも正確でなかったということが明らかになりました。  この問題で議論していてもあれですが、機動隊が出動したのはどういう手続によるものですか。その責任はどこが持っているのか、含めてお答えください。
  194. 桜井勝

    説明員(桜井勝君) お答えいたします。  御指摘の事案は、本年七月二十五日及び二十六日、在沖縄米陸軍によるキャンプ・ハンセン内都市型戦闘訓練施設建設工事再開をめぐりまして、住民約二百五十人がゲート三十に通じる道路に座り込み……
  195. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 手続だけで結構です。
  196. 桜井勝

    説明員(桜井勝君) 座り込んだために、道路交通法第七十六条違反として、警察部隊により排除した事案であります。  手続につきまして申し上げますと、米海兵隊基地司令官から沖縄県石川警察署長あて、本年七月十八日付で文書により警備要請が提出されておりましたが、現に交通の妨害となるような方法で座り込んでいたことから、警察の判断で道路交通法第七十六条違反として警告し、排除したものであります。
  197. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 米軍の司令官から文書で石川警察署に出動要請があったということです。私らの調べでもそうなっております。  そこでお尋ねしますけれども、米軍というのは日本の警察の出動を直接各警察署に要請する、そういう権限を持っているんですか。公権力である日本の警察の出動に対して、在日米軍のそういう際の手続というのは地位協定上はどういうふうになっていますか。
  198. 森敏光

    説明員(森敏光君) 先ほど警察庁の方からお答えがございましたとおり、本件につきましては、七月十八日、現地米軍から地元警察に対しまして、取り締まりを含みますところの警備協力の要請が行われていると承知しております。  この住民が座り込みを行っておりましたところはキャンプ・ハンセン施設・区域内でございす。施設・区域の管理につきまして責任を有する米軍の担当者が、その施設・区域の効果的な運用を図るという観点から、関係当局に対してこのような要請を行うことはいわば当然ではなかろうか、かように思います。
  199. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうしますと、今の解釈ですと、米軍は、日本国内にいる外国軍隊が日本国内で警察であれ各種のその他の機関に対して要請する場合に、日本政府と米軍との関係抜きに直接警察署へも要請する、そういうふうな権利を持っている、そういう解釈ですか。
  200. 森敏光

    説明員(森敏光君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、このような施設・区域の管理につきまして責任を有する米軍の担当者が、その施設・区域の効果的な運用を図るという観点から、関係の当局に対してこのような要請を行うこと、このことを地位協定が排除するものではないと考えております。
  201. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そういう解釈は全く主権を放棄した、もう米軍が主人公で住民はどうなってもいいという解釈に立っての解釈だと私は思います。それじゃもう日本は主権国家と言えない。在日米軍が直接日本国内のいろんな機関を動かす、そんなことがあっていいんですか。そんな解釈は絶対納得できません。しかし、私、時間がありませんから、これはまた別の機会に、政府の見解はわかりましたので、改めて論議したいと思います。  もう一つの問題は、三沢基地で最近、八月二十二日に、これは町内会の連合会が集まって米軍の夜間訓練、いわゆるNLPですね、この問題に関して、もう我慢の限界だというので、九月中に集会、デモをやるということを決めております。そして外務省にも申し入れをするということもここでは決めておりますが、これに対してどう対応なさいますか。外務省、お伺いします。
  202. 森敏光

    説明員(森敏光君) 米軍にとりまして、パイロットの技能の維持向上等は日米安保条約の目的達成のために極めて重要であると考えております。したがいまして、御指摘のNLPの問題につきましても、この目的の達成のために重要な訓練であると私ども考えておりまして、政府としましてはこのような飛行の中止を米側に求めるという考えはございません。  他方、米軍が飛行訓練を行うに当たりまして、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであるということはまた当然のことでございます。この点につきましては、政府も米側に対し累次の機会に申し入れを行っているところであります。政府としては、引き続き米側との間でこのような接触を続けてまいりたい、かように考えております。
  203. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今外務省は中止を要請する意思はないとおっしゃった。したがって、三沢のこの町内会連合会の申し入れがあってもこれは受け付けないという態度表明が事前に行われたということだと思います。  今、問題は、この夜間訓練、そのほかF16などのいわゆる超低空訓練、この被害が北海道から東北、その他日本じゅうに広がっており、大問題になっております。そして、最近の新聞報道によると、例えば基地なし県で米機訓練で地元が大変だというのが長野の例で毎日新聞に出ております。今公共の利益は守るとおっしゃいましたけれども、私、長野でも直接聞いたら、伊那谷なんかでは人家よりも低く飛ぶというのですね、谷底で。それでもう初めて用いた爆音で腰が抜けた老人がいる、子供は泣き出す、それから乳牛の乳は出なくなる、こういう騒ぎが起こっておる。それも米軍が適切な訓練をやっているというふうにお考えになるのかどうかです。  問題は、私この毎日新聞の記事を見て、長野の県庁は外務省を通じてこれまで中止を申し入れてきたと、こういうことが書かれていますが、長町県から外務省にそういう中止を米軍に申し入れてくれという要請があったのか、なかったのか、あっても取り次いだのか、取り次がなかったのか、これは事実として明らかにしておいてください。
  204. 森敏光

    説明員(森敏光君) 長野県におきます米軍による低空飛行訓練、この関連で長野県から累次にわたり中止の要請を受けております。先ほど申し上げましたとおり、米軍は全く自由に飛行訓練等を行ってよいというわけではございません。我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきであるということは言うまでもないところでございます。私どもとしては、かかる観点から米側に対して飛行の安全、あるいは環境に対する影響を最小限にとどめるよう申し入れを行っているところでございます。
  205. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 中止は申し入れないが、まあ少し気を配ってくれという申し入ればしたということだろうと思います。  私、時間がありませんからその問題を論議できませんけれども、最大の問題は、私は、地位協定にも取り決められていないところでこういう演習が行われている問題だということだと思います。日本日本の領域については排他的な権限を持っている。その日本の主権の領域内で、地位協定の取り決めもない、提供した施設でも訓練空域でもない、そういうところで米軍がこういう勝手な演習をやる、それが安保条約上自由だと、そういう解釈は一体どこから出てくるんですか。、
  206. 森敏光

    説明員(森敏光君) 米軍は安保条約第六条の規定に基づきまして、我が国の安全に寄与し、並びに極東の国際の平和と安全の維持に寄与するため、我が国において施設・区域を使用することを許されております。米軍がこのような目的で我が国に駐留することをこの条約が認めているということは、事前協議に係る事項のように特段の定めがある場合を除くほか、米軍がこのような目的の達成のため、飛行訓練を含め軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としているものであります。したがいまして、米軍による実弾射撃等を伴わない通常の飛行訓練につきましては、地位協定は施設・区域あるいは訓練空域に限って行うということを予想していないわけでございまして、安保条約、地位協定上このような低空飛行訓練は認められている、かように考えております。
  207. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 もう一問。  これは大変な答弁です。従来の国会でそういう答弁をなさっていますけれども、安保条約に基づいて米軍日本に駐留する、日本が施設・区域を提供する、その日本の主権下の日本の領域で米軍が駐留してどういう権利義務を与えられるか、それは一つ一つの取り決めによって取り決められています。取り決めのないものは勝手に行動できないはずなんですよ。  もし新しい事態が起こった、米軍がどうしても必要だというのなら、日米合同委員会に提起して協議するというようなことがあればまだ手続上理解できますけれども、安保で基地を提供しているんだから彼らは軍隊として当然の訓練をやっているんだという、そんなばかげた解釈ということが許されれば、さっきの問題と一緒で、米軍日本国内じゅう、日本の領域、日本の主権下でどんなことでも勝手気ままにできる、軍隊の属性にかなうことなら何でもやれる、そういう解釈ですよ、今の解釈は。それが主権国家の政府がとるべき解釈ですか。私は断固そういう解釈に抗議して、時間が過ぎましたからこれで終わります。
  208. 板垣正

    委員長板垣正君) 午後四時三十分まで休憩いたします。    午後三時五十八分休憩      ―――――・―――――    午後四時三十分開会
  209. 板垣正

    委員長板垣正君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  法務省股野入国管理局長から発言を求められていますので、この際、これを許します。股野入国管理局長
  210. 股野景親

    説明員股野景親君) 先ほど本委員会で山口委員より御質問のございました奄美大島沖で発見されたボートピープルについての事実関係を、その後調査いたしましたことをとりあえず御報告させていただきます。  本件、奄美大島沖で先般発見されましたボートピープルにつきましては、福岡入国管理局鹿児島出張所において現在上陸審査を実施中でございまして、いまだ審査は続行いたしておりますが、この中には中国人の可能性のある者が相当数含まれていると考えられます。  以上、御報告申し上げます。
  211. 板垣正

    委員長板垣正君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  212. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 先ほど来難民に関する質疑が展開されておりますが、我が党は、先日、八月二十八日に長崎に国会議員を派遣いたしまして、難民実態調査を行ってきたわけであります。その結果、ベトナム漂着難民に対する政府の対応に関する申し入れ書、これを海部総理大臣あてに提出した。戸房長官も御承知かと思いますが、この中で、人道上の配慮もありますので、当面の対策というものが当然出てくるわけで、このことを二、三ちょっと伺ってみたいと思います。  まず、収容施設の増設と要員の確保、この問題ですけれども、大村難民センターは定員の三倍に膨れ上がってしまっている。今後どういうふうな対応をすべきかという大変重要な問題があるわけですけれども、聞くところによりますと、民間のボランティアの機関、これが収容について積極的な受け入れの意向を表明しているようにも聞いておりますが、政府としてこの申し入れに前向きに対応するかどうか。  第二番目が、受け入れ自治体に対する補助の問題。これは御承知のとおり、現状ではすべて関係自治体負担で行われておる、この現状に対してどのように対応するか。  第三番目が、ベトナムに対する難民流出防止の要請。  次に、難民を装う不法入国者のチェック。  今のところはこの四点について政府としてどのように対応されていくのか、海部内閣の行動力を期待したいところでございますが、官房長官いかがですか。まず、この点についてお答えいただきたいと思います。
  213. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 大村の収容所施設その他につきましては、御指摘のように、急激な収容人員の増加に伴いまして大変厳しい状況になっているということでございますが、これは何とかしなければいけないということで、法務省また財政当局とも相談して対処してまいりたいと考えております。
  214. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 質問の中のたった一点についてのみの御答弁でございました。これではあっという間に終わってしまいます。よろしくお願いします。
  215. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 二つ目は何でございましたでしょうか。申しわけございません。
  216. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 それでは申し上げます。  受け入れ自治体に対する補助の問題、それから三番目、ベトナムに対する難民流出防止要請、四番目、難民を装う不法入国者のチェック、こういうことでございます。
  217. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) はい、わかりました。  受け入れ市町村、地方自治体に大変思いがけない御負担をおかけした結果になっているわけでございます。食料品とか、また乗ってきたボート、船を焼かなければいけないというようなことになっておりまして、その経費もかなりかかるようでございます。そのようなことにつきましては国連の難民高等弁務官の方で最終的には負担をしてくれるということが決まりましたので、それを督促するということでやってまいりたいと思います。そのほかにもいろいろな負担があろうかと思いますので、現実事情をよく把握いたしまして適切に対処していかなければいけないと思います。  それから、ベトナムの難民流出について、その源を断たなければいけないということで、ベトナム政府に対しましては外交ルートを通じまして、流出の抑止のための実効的な措置をとりますように繰り返し申し入れているところでございます。今後もそのような方針でやっていかなければいけないと思います。  さらに、最後の不法入国者、難民を装った実は難民でない人たち、不法入国者でございますので、そういう事実がはっきりいたしました際には厳正な処置をとっていかなければいけないと思います。
  218. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 それでは最初のポイントですが、民間のボランティア機関、これが積極的に受け入れるぞという意向を示しているわけで、それに対して果たして前向きに政府として検討を進めていくかどうか、このポイントだけもう一度お答えいただきたい。
  219. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) どういう種類の活動をしていらっしゃるボランティア団体でありますかちょっと承知いたしておりませんが、民間の御協力も非常に大事なことではないかと思いますので、法務省やなんかと相談いたしまして適切な措置考えたいと思います。
  220. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 さらに、長官はきのうの記者会見におきまして、条件を満たせば中国人も難民として受け入れ可能と、こういうような発言をして大変注目されて、むしろ波紋を呼んでいるようでございますが、すなわちこの発言によって中国からの難民をさらにふやしかねないということ。それから二番目には、難民の対象を中国人にまで拡大する可能性を示したものと、このようにも受け取られるわけですけれども、この二点について明確に見解を示していただきたい。
  221. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 私がその言葉を申し上げた真意は、条件に満たない者は難民とは認定できない、そういうことを言いたかったわけでございまして、そういう一般論を申したつもりでございました。誤解を招いたところがあるといたしましたら申しわけなく、私の真意を御理解いただきたいと存じます。
  222. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 この難民問題はここでこの程度で本当は終わりたくないわけで、また別途近い将来新たな機会を設けてぜひこれは伺っていきたい、こんなふうに実は思います。  きょうは人勧の問題もありますので、したがって早速次の方に移ってまいりたいと思います。  言うまでもなく人事院勧告、これは政府として、労働基本権制約代償措置、こういうことで最大限尊重する立場も当然であろうと思いますけれども、そして我が党としてもこれは完全実施すべきものと当然考えておりますが、本勧告についての取り扱い、先ほど来議論がなされておりますけれども、閣議決定を速やかに行って、来るべき国会冒頭で給与法改正案そのものを提出して、一日も早く支給すべきものと思いますけれども、先ほど議論されておりましたが、再度政府の見解をここで確認しておきたいと思います。
  223. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 先ほど来申し上げておりますように、人事院勧告の取り扱いにつきましては、政府としてはこれまでも人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立ちまして対処してきたところでございます。今年度につきましても、国政全般との関連を考慮いたしつつ、勧告の完全実施に向けて最大限の努力を尽くしてまいりたいと思います。
  224. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 今回の三・一一%のベア勧告に関しては、我が党としても、昨今の経済情勢、これを勘案するならばこうした勧告は妥当なものと、このように思っているわけですけれども、昨年の二・三五%を上回る率となった背景、それから来年度以降の見通しは現段階でどのようなものになると認識しておられるか。この点もちょっと伺っておきたいと思います。
  225. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 昨年に比べましてことしの民間賃金の引き上げ状況がやはり若干上向いてきたということが背景にあるのだと思いますが、通常、賃金決定要素と言われます企業経営の状況、企業業績、あるいはまた労働需給の状況、そういうものが、賃金というものを決定するに当たりまして、この春若干賃金決定に有利に動いたというふうに私たちは理解いたしております。  ただ、来年以降どうなるかということにつきましては、現在のところ全く私たち来年の経済情勢が読めませんので、この場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  226. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 それでは、内容について、多少ダブリがあるかもわかりませんが、何点かお尋ねしたいと思います。  単身赴任手当の新設ですが、減少のための努力、この効果が果たしてどこまであらわれているかというのが第一点。まとめて聞いてしまいます。それから単身赴任者への今後の対策プラン、どのように考えておられるか。次に、今後の単身赴任率、これはどうなっているか。単身赴任に関してこの三点を伺っておきたいと思います。
  227. 菅野雄

    説明員(菅野雄君) お答えいたします。  人事院といたしましては、まず単身赴任者を減少させるということが一番であると考えておりまして、昨年報告に触れてから、人事管理官会議や各省ヒアリング、あるいは単身赴任問題連絡会議の機会を通じまして、単身赴任を減少させるための人事上での配慮を求めるとともに、帯同赴任促進のための環境の整備ということで、転入学手続等の改善につきまして文部省の方にも申し入れてございます。そのような努力の結果、単身赴任者は現在給与法適用者三・三%でございまして、一万七千人ほどおりますけれども、六十年以来世の中が、教育問題であるとかあるいは高齢化社会の到来とか、いろんなそういう単身赴任を生み出す要因がますます高まってきておる中にあって横ばいに進行しておるということから見ましても、やはり減少努力というのが効果があったのではないかと考えております。  それから、単身赴任は、経済的な援助措置としての手当だけではなくて、いろんな方策を講じなくちゃならないということは先生御指摘のとおりでございますが、人事院だけでできることでもございませんので、関係省庁とも連絡をとりながら今後進めていきたい、このように考えております。  こういうような関係でいろいろ努力を重ねていって単身赴任を減少させると同時に、やむなく単身赴任を行わざるを得なかった人たちに対するいろいろなバックアップを今後将来にわたりましていろいろと検討してまいりたい、このように思っております。
  228. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 週休二日制についてですが、週休二日制の推進、そして国民への適切な行政サービス、この二つの兼ね合いをいかに効果的に図っていくか、これが第一点。それから、目標としている週四十時間勤務制、これについては実施の時期をいつごろに設定しておられるか。もう一つは超過勤務の縮減、これをどう図っていくおつもりであるか。たくさん聞きたいことがあるんですが、まとめて三点お願いしたいと思います。
  229. 大城二郎

    説明員大城二郎君) 週休二日制の実施に関連いたしましていわゆる行政サービスのあり方が問題になるわけでございますが、これにつきましては、公務能率の向上を図りながら行政サービス維持向上に努めるということが国民理解を得るという観点から重要なことでありますと考えますので、そういう方向に沿って進めていきたい。特に、そのために、行政サービスに直接関連の深い交代制等の部門における週四十時間勤務制の試行ということを通じまして、問題点の把握あるいは対応策検討を進めていきたいと考えております。  試行につきましては、なるべく早い時期にこれを実施したいというふうに考えておりますが、この交代制部門等における試行ということが完全週休二日制へ移行する際の重要な条件整備になると考えておりますので、その試行をなるべく早く実施することによりまして完全週休二日制の速やかな実現に向かって進めるように努力したいというふうに考えております。  それから超過勤務の縮減に関しましては、やはり全体の勤務時間の短縮を進めるということと同時に、職員の福祉、健康という観点から極めて重要な問題であると認識しておりまして、そのためには勤務時間管理を一層的確に行う、あるいは管理者を含め職員全体が超過勤務の縮減に努力するという方向考えていただく、そういうことを各省庁を通じてお願いするということを通じまして、超勤の縮減に私どもとしても積極的に努力してまいりたいというふうに考えております。
  230. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 もう一点週休二日制について伺いたいと思いますが、ことしの一月から第二、第四土曜日ですね、いわゆる土曜閉庁の実施状況を見てきているわけですが、これに対する評価、これはどんなものですか。
  231. 大城二郎

    説明員大城二郎君) この点につきましては、ことしの報告の中でおおむね順調に実施されているというふうに考えておりますが、問題になりますのは、いわゆる行政サービスが果たして十分に確保されているかということでございますが、この点、各省庁によりましてそれぞれ必要な工夫、努力がなされている。したがって、行政サービスのあり方という点についても特段の問題を生ずることなく、おおむね順調に閉庁というのが行われているという理解をしているところでございます。
  232. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 時間が余りありませんので最後に伺いたいと思いますが、今回の勧告の中で、政府が去る四月二十日の事務次官会議、ここで新たに各省庁内に官房長クラスを長とする綱紀点検調査委員会を設置していくと報道されておりますが、その趣旨、内容、何をチェックしてどうしようとするものなのか。  また、このこと自体はまことに結構なことと思うわけですが、私が一番心配している点は、いつも重大事が発生しても、その直後に打ち上げられる反省ですか、それと対応、こういったアドバルーンは結局はうやむやに終わっているというような感じが非常に強いわけで、今度のこの綱紀点検調査委員会、これは心配ありませんね。私は今までの事例を見ておってそのようなことが非常に気がかりでならないわけです。この点を確認しておきたい。総務庁長官、この点まずいかがなものか。  また、これでも違反者等が出た場合、罰則等は考えておられるかどうか、このこともあわせて最後に伺っておきたいと思います。
  233. 勝又博明

    説明員(勝又博明君) 総務庁といたしましては、とりあえず先般関係業者等との接触の多い部署を中心といたしまして、点検、調査の中間的な報告を求めたわけでございまして、その結果を取りまとめ、次官会議、閣議に報告したわけでございます。  その内容でございますが、まず第一番目に綱紀点検調査委員会の設置状況を調べてございますが、これにつきましてはおおむね五月の上旬までに全省庁において設置されております。点検、調査の対象部署といたしましては、予算執行事務であるとか許認可事務であるとか関係業者等との接触のある部署、全省庁約一万部署を選定しておるようでございます。これは本省レベルで申しますと課単位で選定されております。  さらに、点検、調査の実施状況でございますが、先ほど申しましたように関係業者等との接触の多い、接触に係る事項を調べたわけでございまして、会食であるとか遊戯であるとか贈答品の受領等の自粛状況につきましては、調査の結果、各省庁とも文書による通知あるいは会議における指示などによりまして、点検が必要とされる全部者について必要な指導がなされております。  以上のように、各省庁とも官庁網紀の粛正には積極的に取り組んでおるところでございまして、趣旨は十分徹底されていると思うわけでございます。このような仕組みを今後とも永続的に続けていくことによりまして、不祥事件と申しますか、綱紀の素乱を未然に防止しようというものでございます。  それにもかかわらずあえて申せばと先生お尋ねでございますが、それでも綱紀にもとる行為があったらどうかということでございますが、その場合には従来同様厳正に対処してまいるということでございますが、今後そういうことのないような仕組みとして点検、調査というものを設けたところでございます。
  234. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 時間ですので、終わります。
  235. 粟森喬

    粟森喬君 人勧に関して総務庁関係者お尋ねします。  先ほどからの答弁をお聞きしていますと、国政全般であるとか財政問題とかいろいろあるわけでございますが、いわゆる早期に実施してほしいという立場から申し上げまして、純粋に行政事務としてどの程度の期間があれば政府提出の法案としてできるのか、最短の日数についておおむねのところをお聞かせく、ださい。
  236. 勝又博明

    説明員(勝又博明君) 先生御質問の趣旨は、人事院勧告取り扱いの方針が閣議決定されてから政府提出法案としてどの程度の期間があれば提出できるかという御趣旨かと思いますが、これまでの例から見ますと、改正法案の準備、内閣法制局における審査、さらには、細かな話ですが、法案の印刷といったことに時間を要するわけでございまして、おおむね一カ月程度かかるかと思います。
  237. 粟森喬

    粟森喬君 その上で総務庁長官お尋ねしたいんですが、だとすれば、長官として、九月の下旬とか中旬に臨時国会を開催するという話があるわけですから、そこに提出するとかしないということは別にして、一つの可能性として、次の直近の臨時国会に提出することは可能ですね。
  238. 水野清

    国務大臣水野清君) 人事院勧告につきましては、政府はこれは誠意を持って早急に実施したい、かように思っております。  既に、先ほど来諸委員からのお話がございましたように、今月の七日に関係閣僚会議を開きまして、第一回目の閣僚会議でございますが、関係者で一応の打ち合わせをいたしました。ただ、そのときの顔ぶれが、御承知のとおり内閣の総辞職がございましたので、私もそのときは実は自民党の役員として出席をしておりましたが、自分が担当の閣僚になったわけでございます。  そこで、これまでの過去の例を拝見しますと、大体四回とか五回とか非常にたくさん閣僚会議をやりまして、仰せのとおり年末までなかなか決めなかったというような例がございますが、まだそこまで関係閣僚で打ち合わせばしておりませんが、なるべく人事院勧告どおり誠意を持って早急にこの問題は決めていきたい。臨時国会でも、ひとつお諮り申し上げて実施をお願いしたい、かように思っております。
  239. 粟森喬

    粟森喬君 その上で官房長官にちょっとお尋ねをします。  先ほどからの答弁の中で、国政全般との関連も考上思しつつと言われています。二つの意味があると私は思っております。一つは、例えば財源の問題で大蔵省などと折衝して、お金の問題だから大変だという意味です。もう一つは、この法案と関係なく、他の法案との調整といいますか、本来的には調整する性格ではないと思うんですが、ここで言われた国政全般というのは、私の意見は他の法案と絡ませるべきではないという意味からいくと、この表現は必ずしも妥当ではないのではないか、こういうふうに思っていますので、御意見を聞かせていただきたいと思います。
  240. 森山眞弓

    国務大臣森山眞弓君) 国政全般との関連を考慮しつつということを何回か申し上げましたが、国政全般と申しますのは、まず納税者である国民の御理解を得てそして公務員給与改定を行わなければいけないわけでございまして、そのためには税収の動向とか追加財政需要などの財政事情、そして公務を取り巻く状況などについていろいろ検討する必要があると思うわけでございます。ですから、給与関係の閣僚会議におきましてこれらの点を十分議論した上で取り扱い方針を決定する、そういう趣旨でございます。
  241. 粟森喬

    粟森喬君 総務庁長官お尋ねいたします。  いわゆる労働基本権の代償としてつくられた人事院勧告でございますから、早期に実施するという意味は、給与だから早くくれというだけではなく、本来他の法案などから見て、やや優先してこの種の法律は取り扱うべきだという趣旨も若干あるのではないかと思いますが、その意味について総務庁長官としてはどうお考えですか。
  242. 水野清

    国務大臣水野清君) おっしゃるとおり早期に実施すべきだと思っております。  今官房長官が諸般の事情というようなお話をなさいましたが、私は今政府側でございますから、諸般の事情、政府として以外の政党間のいろんなことが過去にあっておっしゃるとおり延びたという例は、客観的に見れば否定できないわけであります。ですから、そういうこともございますが、私どもはそういうことと別にしまして、政府としては誠意を持ってなるべく早く実現したい、そのための国会審議もいずれお願いをしなくちゃいかぬ、かように思って申し上げているわけでございます。
  243. 粟森喬

    粟森喬君 それでは次に、週休二日制の問題について若干お尋ね申し上げます。  週休二日制の実施に当たって土曜閉庁、四週六休制の移行などを平成四年度へ向けていろいろやっているわけですが、どうも官公庁の実施に当たって国民への理解とか民間企業との整合性などが強調されていることによって、何となく官公庁がやることと民間と同一歩調じゃなければならぬというニュアンスが強いわけですが、平成四年度までの達成計画ですらかなり遅いというふうに考えているわけでございますから、官がやや一歩先行するという考え方はないのかどうか、その辺の見解を聞かせていただきたいと思うんです。
  244. 水野清

    国務大臣水野清君) 昨年の五月二十七日に閣議決定いたしました「世界とともに生きる日本経済運営五カ年画計」というのがございます。これは委員の御承知のとおりだと思います。この中でうたってありますことは「国民の合意を形成し、完全週休二日制を実現するよう努める。」、こういうふうに閣議決定をいたしているわけでございますが、社会全体の週休二日制の普及を促進するためにそれに伴って公共部門、いわゆる官公庁が先導的な役割を果たさなきゃいかぬという意見がその中に出ていることも御承知のとおりだと思います。  一歩前進するかどうかというお尋ねなのでございますが、片方で、委員の御承知のとおり、地方に参りますと、中小企業あるいは農林水産業などはまだ土曜日とても休んでいられない。言ってみると、市町村の役場とか県庁だけどんどん先に休んでというようなことになりまして、国民的な合意というのは、地方に行けば行くほどなかなか、何といいますかまとめにくいといいますか、そういう実情も片方であるわけであります。  地方に参りますと、公務員は逆に高給取りだというような実情もありまして、地方に行けば行くほど、過疎県に行けば行くほど公務員の方が高給取りで、農林水産業の方がもっと低所得だというふうな例もございますので、そういうことも勘案しながらですね、中央だけで考えておりますと、官公庁が一歩先んじてやって、それで民間がついてきてもらう。大企業その他が相手ならばそれで十分でございますが、必ずしもそういかないというところで、政府関係としては一歩前進したいところですが、どうもそこまでいっていない、しかしそれに努めていこう、こういうつもりでやっております。
  245. 粟森喬

    粟森喬君 この部分は必ずしも答弁は要りませんが、例えば金融機関、銀行などが民間の中でも先行して実施した。いろいろ御意見もあったようでございますが、確実に定着していることなどを考えて、やはり官公庁の一歩前進というのは今日的に重要ではないかと思います。  関連して自治省にちょっとお尋ねしたいんですが、隔週、四週六休と土曜閉庁を今実施していますが、地方自治体の進行状況です。当初の予定から見て、私、速報もいただいておるわけでございますが、あの状況は順調というふうに見ているのかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
  246. 蒲谷亮一

    説明員(蒲谷亮一君) 地方公共団体における週休二日制の進捗状況におきましては、一番新しいデータで全地方団体の約三三%強、およそ三分の一の団体が既に土曜閉庁を実施している、あるいは実施はしておりませんけれども、議会で閉庁条例を議決しております。これは当初、どれくらいのベースでということを必ずしも予定したわけではございませんけれども、三千三百を超える団体が既に三分の一までめどが立っている、あるいは実施しているということは、それなりに順調に実施できているものと私どもは考えております。
  247. 粟森喬

    粟森喬君 その辺の認識の若干の違いもあるわけでございますが、特に市町村段階では住民サービスがかなりもろに、例えば住民票をとるとか印鑑証明をとるということがありまして、かなり地域における住民サービスとの調和でおくれているような気がいたします。したがって、自治省が順調と言うのと若干事情が違うんではないか。やはり日曜日以外現実に休んでいるときに住民サービスを余り言わないのに、土曜日だけ住民サービスを何となく考えていくというのは、休日の性格からいっても必ずしも適当ではないと思うんで、土曜日についての住民サービスに対しての基本的な考え方を若干お聞かせ願いたいと思います。
  248. 蒲谷亮一

    説明員(蒲谷亮一君) 地方公共団体におきまして土曜日の閉庁を導入する場合に、その閉庁の土曜日における行政サービスのあり方についてでございますが、これは従来から休日になっております日曜日及び祝祭日等と原則としては同じ扱いになるものと私どもは考えておりますし、現にそういう取り扱いがなされてきているところでございます。  いずれにいたしましても、まだ三分の一でございますので、これをなるべく早く条件を整備して土曜閉庁に持っていけるように私どもとしても指導してまいりたい、このように考えております。
  249. 粟森喬

    粟森喬君 次に、公務員の倫理の問題について若干お尋ねします。  報告勧告、総裁談話などに「一部の管理・監督者」に端を発してという、この「一部の管理・監督者」というのは、いわゆるリクルートに関連をする人たちのことを想定して端を発してという表現になったのかどうかお尋ねしたいと思います。
  250. 内海倫

    説明員内海倫君) 今回私どもが公務員の倫理高揚というものに触れましたゆえんは、我々は常に勧告いたします際は、公務員給与をぜひ改善してほしい、これを訴えるわけですから、他方で公務員が倫理を高揚して、国民の要望に沿えるようなまじめな公務員でなきゃいけない。これはまた、今回に限ったことではなくしばしばこの問題には触れております。  ただしかし、今回におきましては、御指摘のように、高級官僚の中からも国民の指弾を受けるような事件も起きた。のみならず、管理、監督の地位にある人たちに、ごく少数ではありますけれどもそういう者がおった。このことはやはり我々は公務員として無視してはいけない、まじめに取り上げなきゃいけない。そういう意味で、「一部」という言葉は、文字どおり一部です。ほんの一部です、これは。大部分の公務員というのはまじめにやっているんです。だから、まじめにやっている公務員を一部の者のことでしかりつけているというふうにお考えになると困るのでございまして、私どもは、そういう人、特に上の人は自分の仕事をまじめにしっかり、倫理をきちっと守ってやってもらわないと、大勢の公務員が非常に影響を受けてくる。そういう意味からもこの公務員倫理高揚というものを、あえて今回は「一部の管理・監督者」というふうなことも入れて書いたわけです。
  251. 粟森喬

    粟森喬君 今の点についてでございますが、私が手元にいただいた資料を見ますと、公務員全体の懲戒並びに処罰の対象になるのは漸減しています。したがって、その部分だけを書いて、全体があたかも綱紀粛正をやっていないような印象を与えるようなことはやっぱりますいのではないか、こういうように思います。  特に、今回の一部管理・監督者に端を発するという問題は、むしろ一般公務員というより、いわゆる高級官僚というんですか、上級職というんですか、権力の集中したところにそんな問題があるわけですから、これは総務庁にもお尋ねしたいんですが、その層に対する特別な指導通達などを今後出す、あるいは教育訓練といいますか、研修の課程にその種のことを入れる考えがあるかどうかについてお尋ねしたいと思います。
  252. 勝又博明

    説明員(勝又博明君) 今般の官庁綱紀の粛正につきましては、先生も御案内のとおり、昨年十二月の閣議決定におきましても、その第一項において、特に「管理・監督の地位にある者は、率先垂範して服務紀律の確保を図る」ように強く求めているわけでございます。  今後、管理・監督者等を含めた格別の研修等を考えているかということでございますが、これは本来的には各省庁においてそれぞれ御検討いただくべきものではございますが、閣議で官庁綱紀の粛正に係る取り決めに当たりましても、研修の強化ということは当然うたっているわけでございまして、各省庁において御努力いただきたいと思っております。
  253. 粟森喬

    粟森喬君 重ねて申し上げますが、全体に減っているときに、率先垂範するところに問題があったんですから、その部分に対して集中して研修なり特別な指示をするというのが本来あるべき姿ではないかと思います。ですから、勧告報告の趣旨からいってもその部分について十分手当てをしていただくことを要望します。  以上で質問を終わります。
  254. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 人事院勧告に関連して若干質問したいと思います。  まず第一に、就職に際して国家公務員を志望する者、具体的には公務員の採用試験の申込者の数で見ているわけですけれども、昭和五十三年がピークで、当時は三十八万七千六百十八名の方が公務員試験の申し込みをしました。それからずっと傾向的には減少の一途をたどりまして、六十三年度ではこれが二十一万名余りに減っておるんです。この傾向についてどのように判断されておるか、まずお伺いしたいと思います。
  255. 森園幸男

    説明員(森園幸男君) できるだけ優秀な人材を公務に誘致するというためには、できるだけ多数の応募者があることが望ましいことは言うまでもございません。御指摘のとおり、ここ二十年ぐらいの公務員の応募状況を見ますと、ちょうど四十四年ごろが底でございまして、それからずっと増勢に転じた後に五十三年をピークに落ち込んでいる、特に去年とことしがやや落ち込みがひどいという状況にございます。  その原因でございますけれども、やはり昨今の落ち込みは、企業の旺盛な採用意欲というものが一番大きな原因であろうというふうに考えております。  そのほかに、私どもが公務員に採用された者、あるいは合格したけれども公務員を辞退した者等につきましていろんな調査をやりましたところ、やはり地元志向でありますとか、あるいは仕事の興味の持ちぐあいの優先度が違うというようなことなどもありますし、それから一般的に公務員試験というのはどうも大変難しい試験であるというようなイメージがあるということなどがございまして、そういう方面について私どもは、公務全体の業務内容の紹介でありますとか、あるいは試験のありようにつきまして基礎的な取っつきやすい問題をできるだけ出すことによって負担感を軽くするというような措置を講じておりますし、これからもそういうことをやっていきたいというふうに考えます。
  256. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今説明されたいろいろの原因があると思いますけれども、公務員給与の面でも、若い人から見たら余り魅力がなくなってきておるということも言えるのではないかと私は思うんです。もっとも、公務員だから給料は民間よりずば抜けて高くあるというのがいいとは思いません。民間準拠というのは妥当な考え方だと思いますけれども、ただこの民間準拠、官民比較が果たして現在のやり方が妥当かどうか、やや疑問があるわけです。長年、企業規模百人以上、事業所規模五十人以上というのをピックアップして調査されておるわけですけれども、この百人以上とか五十人以上というところに線を引いた根拠というのは何ですか。
  257. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 沿革的に申し上げますと、昭和三十九年だったと思いますが、当時三公社五現業の仲裁裁定の作業をしておられました労働委員会の方の話し合いの結果、百人以上、五十人以上という線が引かれたわけでございます。同じ国家公務員だから、一般職につきましてもそういう線でこちらの方も給与比較をやろうじゃないかということで現在やっておるわけでございます。  よくよく考えてみますと、百人以上、五十人以上というところで線を引いて、一体民間企業労働者のどれくらいをとにかく把握し、比較の基準にしておるのかということを計算してみますと、民間企業労働者の中で会社組織に勤めておる常雇労働者の過半数というものを反映することができておるということでございますので、そこらで私たちが官民給与較差を算定し、勧告を申し上げる、その結果については皆さん方に御理解いただいて、そして支持していただけるんじゃないかということを現在考えておるわけでございます。
  258. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 民間の場合は企業規模による賃金の格差が依然として大きいわけでして、本来こういうあり方が好ましいとは言えませんけれども、企業規模による格差がある以上、これの線の引き方によってかなり数値が変わってくると思うんですね。  ただ、一般に就職する側から見たら、公務員になろうというような人は、国の役所に勤めるわけでありますから、やっぱり民間のかなりの規模の企業と比較する人が多いと思うんです。そういう面からすると、やっぱり民間の方はいいというような傾向になりがちなのではないかという気がします。だから、この点についてもう少し社会情勢に合った改正というものも考える必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  259. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 先ほど申し上げましたように、会社組織で働く民間労働者の過半数を代表しておるということで、一応私たちは広く皆さん方の御支持をいただけるんじゃないかというふうに考えておりますが、今田渕委員がおっしゃいますような観点からの検討というのも私たちは必要であると思います。  ただ、この問題につきましてはいろいろな方面の御意見というのがございます。例えて申し上げますと、先般出されました臨調の答申では、もう少し規模の小さいところの賃金も反映させたらどうだというような御意見もございますし、いろいろな御意見もございますので、そういうものをよく眺めながら私たちはこの問題について取り組んでまいりたいというふうに思います。
  260. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それからもう一つは、特別給の考え方です。  民間の場合は、これは生活補給という考え方と同時に業績報賞、利益配分。特に民間というのはほとんどが営利企業でありますから、利益がたくさん出たらボーナスもふえる。公務員の場合はこの利益配分考え方はないわけでありますけれども、公務員の特別給というものの性格についてはどのように考えられているのか、お伺いしたいと思います。
  261. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 民間企業の賞与といいますか、ボーナスに見合うものとして、公務員の場合、期末勤勉手当というのを支給しておるわけでございますが、民間の賞与というものを私たちの方で調査しました結果を申し上げますと、その中には一律支給分というんですか、定額支給分というんですか、そういうものがございます。そういうものに見合うものとして現在、期末手当というのがございますが、今田渕委員がおっしゃいますように、民間の賞与の中には成績率を反映させるという意味において業績分というのもございます。それに対応するものとして、公務員の場合には勤勉手当というのがございまして、それを総合いたしまして期末勤勉手当ということで支給しておるわけでございます。  御指摘のとおり、民間のように業績あるいはまた個人の勤務成積というものが公務員の場合にはそれほど直に反映するということではございませんけれども、勤勉手当の支給に当たりましては、成績を十分評価して支給するように私たちが指導しているところでございます。
  262. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この成績評価という面は、昇給、昇進の場合、それから特別給の中の勤勉手当勤勉手当はそういう勤務成績によってどれぐらいの比率で反映されておるものか。例えば最も成績のいい者と悪い者との差が大体何%ぐらいあるのか、お伺いしたいと思います。
  263. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 私たちが各省に対しまして指導をしておりますのは、勤勉手当の上下の差というのが百分の十五、少なくとも百分の十というものは上下の差がつくようにということで指導しております。おおむね各省の任命権者側は、そういう線に沿って勤勉手当の成績率というものを算定し、支給しておるというふうに認識いたしております。
  264. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 やっぱり公務員の場合の給与の魅力のないものの一つは、賃金そのものが民間の平均というようなことで可もなく不可もなし、それからボーナスも利益配分というような要素もない、景気のいいときにはぼかっとたくさん出るというような要素もない。非常に刺激も少ないと思うんですね。そこへもってきてもう一つの問題は、引き上げ実施時期が常におくれるということ。四月にさかのぼるけれども、実際に実施されるのは年末にならないと実施されない。さかのぼるから同じじゃないかといえばそれまでですけれども、これもやっぱり引き上げるべきときに上げてくれないと、何となく意欲的にはおもしろくないんじゃないかと思うんです。  だから、やっぱり公務員もその努力に応じて特別給なんかもたくさんもらえるというようなシステムをもっと導入したらどうか。各省庁別にそれぞれの目標のようなものがあるわけですから、その到達、達成の喜びというものを何かあらわせるようなことを考えられないかと思いますが、いかがですか。
  265. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 私たちがつくりました制度を運用することによりまして、今田渕委員がおっしゃるような成績というのが、例えて言いますと、勤勉手当あるいは特別昇給というものに十分反映できるような制度になっております。  私的なことでございますが、私つい最近まで自治省という役所におりましたけれども、その役所では、例えて言いますと六月の勤勉手当というのが平均的には百分の五十でございますけれども、私の場合は百分の七十以上もらったこともございます。したがいまして、成績によりましてそういうような配分をしている省は結構ございますので、今田渕委員がおっしゃるように、余り魅力のないような給与行政をやっておるところというのは、それはあるかもわかりませんけれども、おおむねそういう線は私は認識してやっておるんじゃないかというふうに思います。
  266. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、引き上げ実施時期がおくれるというのは、四月の時点で民間給与調査して、その結果を見て勧告を出して、それで閣議決定をして、国会にかけてということであれば、おくれるのは当然なんです。やっぱり民間並みに四月に上げるというような方法は考えられないものですか。  例えば、ある程度そういう予測と推定に基づいてやって、調整は明くる年でやるというようなことにすればどうなんですか。
  267. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) そういう提案というのは時々ございます。ございますが、公務員給与ということで公務員勤務条件の中で最も重要なものの決定でございますので、見込みでやるということについてはいましばらく考えさせていただきたいと思います。
  268. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 民間との較差がないというのは大事ですが、それもとり方をどうするかという問題が一つあるのと、それから一銭一厘まで毎年毎年同じでなきゃならぬということはないわけです。大体傾向的に見て、ある期間見て民間と余り校差がなければいいわけですから、もう少し便宜的にそういうものを検討する余地はあるのではないかと思いますが、お考えいただきたいと思います。  それから、先ほどから単身赴任の問題も出ております。今回単身赴任手当が新設されましたけれども、単身赴任の一番大きな理由は何といっても教育問題だということがアンケートの結果でもあらわれておるようでありますけれども、これはもう既に行政管理庁から五十九年に転入学の問題についての改善意見が出ました。それに基づいて文部省は早速通達、通知を出されたわけであります。そして、明くる年の六十年の行政監察局の結果では、かなり改善されておるという結果も出ております。しかし、この結果が出された六十年以降の推移はどうなっておるのか、これをお伺いしたいと思います。
  269. 林田英樹

    説明員(林田英樹君) お答え申し上げます。  御指摘の点につきましては、私どもも重要な課題といたしまして取り組んでおりまして、御指摘のような経過で、文部省といたしましても、昭和五十九年それから六十年に局長通知を発しまして、転入学の円滑な実施につきまして、各都道府県教育委員会等を指導いたしておるところでございます。  改善内容といたしましては、転入学試験の実施回数をふやすこと、それから特別の転入学のための定員枠を設定すること、さらには受験手続を弾力化すること、それに転入学試験に係る情報の提供について努めることなどの配慮を行うように通知しておるところでございます。これに基づきまして各都道府県教育委員会等も努力いたしておるところでございまして、御指摘のようにかなり改善が見られるところでございまして、私どもも評価をいたしておるところでございます。  昭和五十九年の調査でもかなりの改善が見られるという御指摘がございましたけれども、五十九年と最近、昭和六十三年度の実施の状況を比べてみますと一定の改善が見られるわけでございます。例えば、転入学試験の実施につきまして、四月当初にも実施するように指導している県につきましては、五十九年の調査時点では四十五県でございましたが、現在では四十七県すべてで実施をいたしております。  それから、入学者選抜の受験手続の弾力化措置につきましては、五十九年の調査時点では、三十七県がかなりの措置を講じておるけれども十県がまだ十分でないというような御指摘がございましたけれども、この点につきましては、六十三年度では四十七県で受験手続の弾力化を指導いたしておるわけでございます。  それから、情報提供ということで、転入学の試験の募集時期や定員等につきまして情報収集を行って提供しておる県が、五十九年調査では四十県でございましたが六十三年で四十六県というような形に改善を見ておるわけでございます。  しかしながら、もう少し詳細に見てみますと、例えば転入学のための定員枠の設定というふうなことにつきましてはまだまだ十分でない面がございまして、私どもこの通知以降も都道府県教育委員会等を指導いたしておるところでございますけれども、さらに一層の弾力的な措置のための指導が必要だと考えておるところでございます。
  270. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 このような指導改善の結果、単身赴任の理由が教育問題が理由であるという点については減ってきておる傾向にあるのかどうか、この辺は調べられておりますか。
  271. 菅野雄

    説明員(菅野雄君) 教育問題に限ってどうこうということは我々の調査ではやっておりません。ただ、単身赴任者が一番最大の理由として挙げておりますのが先生御指摘の教育問題でございまして、単身赴任者から、回避の方法としては何が一番かと聞きましたところ、やはり転入学手続の弾力化、これをやってほしい、こういうことでございます。逆に帯同赴任者が一番困ったことは何かといいますと、やはり子弟の転入学手続につきまして一番困ったと。帯同赴任を促進するという面からいいましても、やはり転入学手続の弾力化を図ってもらいたい、こういうことでございます。  したがいまして、文部省におかれましてもいろいろ御努力いただいておることはございますけれども、勧告が終わりまして、私どもの方といたしましては、この辺の実態をよく文部省に申し上げ、さらに御努力いただくようにお願いいたしております。  それから、単身赴任者を全体的に見ますと、六十年国家公務員給与法適用者が五十万、この三・三%が単身赴任者でございまして、一万七千人ぐらいおりますが、今申し上げました教育問題、あるいは高齢化現象の進展化等々いろいろ単身赴任を助長する要因が加わってきておりますけれども、現時点においては大体横ばいということでございます。いろいろ単身赴任減少の努力は実を結んできておるのではないかという評価はできるのではないかと思われます。
  272. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間がなくなりましたので、もう一問だけしたいと思います。  週休二日制の問題ですが、隔週というか、月二回土曜を休むという四週六休制はことしから実施されました。民間の去年の四月の調査では、隔週または月二回以上土曜休みということになっておるところが七〇%です。ところが、完全週休二日のところは民間ではまだ二五%しかない。これは六十三年四月の調査です。したがって、国民理解を得るためにはもう少し民間完全週休二日制が進まなければならぬとお考えかどうかということが一つです。  それから、民間がどれぐらいまでくれば役所としても踏み切れるのかということをお伺いしたいと思います。  それからもう一つは、意見として申し上げたいんですけれども、民間が少なくとも半分以上というようなことにならなければいかぬとすると、果たして計画期間中に間に合うのかどうか、この辺の見通しについてお伺いしたいと思います。  それから最後に、民間でも月に土、日を完全に休んでいるところというのは、製造部門とかそういうところは完全実施できますがサービス部門等はなかなかそれは難しい。そういうところはやはり交代勤務とかを入れて、それで個人にとっては週二回は休めるというような方向をとっているところが多いわけです。役所というのは何でもかんでも画一的にやる傾向が強いんですけれども、民間の人が利用する窓口のようなところはやっぱりそういうような交代勤務のようなものを取り入れて弾力的運用をすれば国民理解というものは得られるのではなかろうかと思いますけれども、以上の点についてまとめてお伺いをしたいと思います。
  273. 大城二郎

    説明員大城二郎君) いわゆる完全週休二日制に進めていくということに当たりまして民間の状況を考慮しなければならないことは当然でございますが、国民全体の理解を求めていくということからいたしますと、公務部門においては、二日制を進めるに当たりまして、公務能率の向上、あるいはサービスの維持向上という点についての配慮を特に重ねていかなければならないと思います。そういうことを通じて、公務部門の完全二日制への移行ということについて国民の各層の理解がどの程度得られるか、民間の普及状況等をあわせて、いわゆる社会一般情勢がどのように完全二日制へ向かって進むかということがやはり公務部門において完全二日制を実施する際の重要な要素になろうと思います。そういう方向に向かって進む努力をしなければならないと思います。  さしあたり、それではいつごろ完全二日制へという見通しはどうかということにつきましては、当委員会においても本日いろいろ御答弁申し上げてきておりますけれども、私どもとしては、公務部門においての条件整備としていわゆる交代制部門等における対応がかなり重要な問題であるということを感じておりますので、それについて、完全二日制を念頭に置きまして、週四十時間勤務制ということの試行を通じてその条件整備を図っていく。そういう公務部門における条件整備が進むとともに、社会一般情勢として完全二日制の導入という機運が熟してくる、そういう状況の中で完全二日制への移行を図るという運び方になるかと考えております。  それから、サービス部門等においていわゆる弾力的な対応というものが必要ではないか、まことに御指摘のとおりだと思います。私どもが今回の報告において交代制部門等における試行というのを打ち出したことも、まさにそういう点の配慮を公務部門においても当然進めていこうという趣旨を込めたものでございます。これについては業務執行体制等に対するいろいろな工夫、配慮が必要になっております。民間部門においてもそういう努力がいろいろなされていることでもございますので、そういう努力をぜひ公務部門においても真剣にいたしたい。そういうことによりまして完全週休二日制へ向かう条件整備が進められていく、そういう理解をいたしております。  以上でございます。
  274. 板垣正

    委員長板垣正君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十四分散会