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1989-09-26 第115回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年九月二十六日(火曜日)    午後一時三十分開会     ―――――――――――――    委員異動  八月十一日     辞任         補欠選任      田辺 哲夫君     井上  裕君      森山 眞弓君     井上  孝君  八月十四日     辞任         補欠選任      井上  裕君     田辺 哲夫君  九月十二日     辞任         補欠選任      井上  孝君     大木  浩君  九月二十五日     辞任         補欠選任      古川太三郎君     笹野 貞子君  九月二十六日     辞任         補欠選任      西岡瑠璃子君     堀  利和君      笹野 貞子君     古川太三郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     会 長         小山 一平君     理 事                 大木  浩君                 中曽根弘文君                 及川 一夫君                 白浜 一良君                 高崎 裕子君                 足立 良平君     委 員                 川原新次郎君                 田辺 哲夫君                 永田 良雄君                 藤井 孝男君                 向山 一人君                 本村 和喜君                 対馬 孝且君                 角田 義一君                 西野 康雄君                 堀  利和君                 神谷信之助君                 笹野 貞子君                 横溝 克己君    国務大臣        通商産業大臣   松永  光君        労 働 大 臣  福島 譲二君    事務局側        第三特別調査室        長        大平 芳弘君    説明員         通商産業省立地        公害局長     岡松壯三郎君        資源エネルギー        庁長官      山本 雅司君        資源エネルギー        庁石炭部長    長田 英機君        中小企業庁計画        部長       高島  章君        労働大臣官房審        議官       石岡慎太郎君        労働大臣官房審        議官       伊藤 欣士君        労働省職業安定        局高齢障害者        対策部長     七瀬 時雄君        建設省建設経済        局事業調整官   中岡 智信君        自治省財政局調        整室長      澤井 安勇君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○産業資源エネルギーに関する調査  (石炭問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 小山一平

    会長小山一平君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八月十一日、森山眞弓君が委員辞任され、その補欠として井上孝君が選任されました。  また、九月十二日、井上孝君が委員辞任され、その補欠として大木浩君が選任されました。  昨二十五日、古川太三郎君が委員辞任され、その補欠として笹野貞子君が選任されました。  また、本日、西岡瑠璃子君が委員辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 小山一平

    会長小山一平君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事に欠員が生じておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小山一平

    会長小山一平君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事大木浩君及び中曽根弘文君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 小山一平

    会長小山一平君) 産業資源エネルギーに関する調査のうち、石炭問題に関する件を議題といたします。  まず、政府の報告を求めます。長田石炭部長
  6. 長田英機

    説明員長田英機君) お手元にお配りしてあります参考資料集に沿いまして、石炭政策現状課題について御報告申し上げます。  まず、図の一ページごらんになっていただきますと、上の表でございますが、一次エネルギーの総供給に占めます石炭割合は、最近は一八%ぐらいで安定的に推移しております。下の表をごらんになっていただきますと、海外炭国内炭割合が図示してあるわけでございますが、海外炭割合が下に書いてございますように、六十三年度で八九%ということになっておりまして、国内炭のシェアがだんだん減っているという意味で、非常に国内石炭鉱業には厳しい現状にあります。  続きまして、二ページごらんになっていただきますと、ここに国内炭鉱位置図が書いてございます。北海道には六つの炭鉱がございます。九州には二つございます。合計八つ現在あるわけでございますが、九州におきまして高島炭鉱が、ここに書いてありますように六十一年十一月に閉山をいたしました。また、北海道では三井砂川鉱が六十二年七月、真谷地鉱が六十二年の十月に閉山をいたしました。さらに北海道にございます幌内炭鉱、この炭鉱が八月三十日の日に閉山提案を行ったわけでございます。  次のページに参りまして、三ページでございますが、石炭鉱業現状といたしまして、1は、大手炭鉱数、今申し上げましたように現在八つでございます。それから、2の国内炭供給量は六十一年度は千七百十一万トンでございましたが、これが六十三年度に千二百七十六万トンまで減少しております。従業員数は六出二年度末で一万二千四百九十四名、六十一年度末の二万六百二十五名に比べますと約四割の減少を見ているわけでございます。  それから、なおる炭各社合理化の動きは、六十三年度につきましても、ここに書いてあります三社についていろいろ人員削減が行われております。本年に入りましても、三井三池炭鉱におきま して約七百名の直轄労働者削減という合理化提案が行われ、現在希望退職者五百七十名が出ておりまして、具体的には労使間で相談をしております。  下の表の中に年度貯炭という欄がございまして、うち過剰貯炭、六十三年度実績三百三十七万トンということでございまして、国内供給量が減ってきておりますが、貯炭は若干減りつつございますが、なお相当量貯炭を抱えている状況にございます。  次のページの四ページでございますが、このような石炭政策基本になりますのは、ここにございます第八次石炭政策でございます。第八次石炭政策は、昭和六十三年度から平成年度までの五年間をカバーするものでございまして、昭和六十一年の十一月に石炭鉱業審議会答申を得て現在実施しているものでございます。  これの基本的な考え方といたしましては、そこに書いてありますように、国内炭生産規模段階的縮小、具体的には平成年度にはおおむね一千万トンの供給規模とする。ただし、このような供給規模減少は非常に大きな影響が懸念されるものでございますので、集中閉山の回避、これを基本といたしまして、地域雇用面への影響を緩和していく、こういうことでございます。  2に書いてありますのは、このために親企業関連グループを含めました石炭企業自己努力が求められまして、さらに政府も適切な支援をいたしますが、これらによりまして需要業界のぎりぎりの協力を求めていくという考え方になっております。ちなみに、(注)で書いてございますが、供給規模一千万トンのうち、電力業界需要は八百五十万トン、鉄鋼業界はゼロになる、こういうような話し合いになっております。  次のページでございますが、このような八次の石炭政策を具体的に書いたものでございます。上から申しますと合理化安定対策、これは過剰貯炭に対する対策あるいは閉山規模縮小、そういうものが行われます場合の対策などでございまして、合理化安全対策でございます。  次は合理化が行われました後、産炭地域振興対策が非常に重要でございますので、産炭地域振興対策として企業誘致、あるいは公団による工業団地造成などによるインフラの整備などをやることにしております。  三番目といたしまして、非常に重要な対策でございますが炭鉱離職者対策、さらに、かつての炭鉱の操業によりますところに発生する鉱害、これに対する対策がございます。  以上のような対策を現在実施しているわけでございまして、財源としましては、石炭石油特別会計のうちの石炭勘定、ここからの資金をもって対策を講じているわけでございまして、ちなみに平成元年度の予算額は千二百五十三億円、平成年度要求額は千百二十五億円でございます。  以上でございます。
  7. 小山一平

  8. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 石炭鉱業保安の問題について御説明申し上げます。  石炭鉱業におきましては、保安確保事業活動の大前提でございまして、石炭鉱業審議会の第八次石炭政策答申においても、保安確保が過去炭鉱対策の大きな柱としてうたわれているところでございます。従来から、政府として鉱業権者による自主保安体制の確立を基本といたしまして、石炭鉱業に対する監督指導の実施、石炭鉱業が行う保安確保事業に対する支援保安技術研究開発の促進、保安教育充実等に努めてきておるところでございます。  お手元にお配りしてございます資料の六ページに折り込みの表がございます。ちょっとごらんいただきたいと思うのでございますが、過去の石炭鉱山における災害推移を示しております。昨年の石炭鉱山災害状況を見ますと、死亡者は六名、一番右の枠の中の数字、二番目の数字でございますが、六名でございまして、これはごらんいただきますように、過去最少のものでございます。また、重大災害は過去四年間に一件発生したにとどまっております。稼働延べ百万人当たりの災害率で見ますと、これはこのグラフ破線、一点破線の表でございますが、この災害率で見ますと、年を追って着実に低下してきておりまして、昭和五十八年に一〇〇を切りまして、昭和六十三年には三八と、大幅に低減しております。また、このグラフには示してございませんが、本年の一月-七月の統計によりますと、これは三八の後二四という数字にまで落ち込んできております。  しかしながら、残念なことに去る九月十四日、北海道三菱石炭鉱業株式会社南大夕張炭鉱におきまして落盤災害が発生し、二名の採炭員が亡くなられました。本件災害につきましては、当省は北海道鉱山保安監督局及び夕張鉱山保安監督署から現地に八名の職員を派遣いたしまして、災害状況の把握、原因の究明等を行ったところでございます。これらの結果を踏まえまして、再発防止のため、万全の対策を講ずる所要の監督指導を行うことといたしております。今後とも第八次石炭政策に支障を来すことのないよう、保安確保に万全を期してまいる所存でございます。
  9. 小山一平

    会長小山一平君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 対馬孝且

    対馬孝且君 私は、本日は、北海道幌内炭鉱が、千三百人の規模炭鉱でございますが、既に報道などされておりますけれども、本来ならば、きのう会社側閉山提案が予定されておりました。しかし、極めて労使の交渉が、労働条件退職条件を含まる解決が非常に膠着状態でありまして、また雇用問題も極めて深刻でございます。したがって、本来この問題について集中的な質問を申し上げたいと思うのでありますが、その前に二、三、ちょっと政府考え方をこの機会にただしておきたいと思います。  まず第一点は、私はしばしば当調査会でも申し上げてまいりましたが、第八次石炭政策が、今もございましたが、六十一年十一月に答申をされて以来、残念なことには既に一昨年、土砂川炭鉱、これは約八百人の規模であります。真谷地炭坑も約千百人の規模であります。今度は千三百人という、下請を含めて大型の閉山ということ、結果としては三つの炭鉱が八次政策以来、今閉山をされようといたしているわけでございます。そういうことで本道に働く残された石炭労働者はもちろんでありますが、産炭地に暮らしている住民の不安と恐怖は一層強まっておる、こう言わなければなりません。  したがって、私は第一の問題として、第八次石炭政策を出したときに、当時の田村通産大臣に私は当調査会でも申し上げているのでありますが、まず基本認識として大事なことは、これはあくまでもエネルギーの中における石炭政策というのは、我々の主張としましては三点ある。一つは、言うまでもなく、つまり食糧、エネルギーというのはセキュリティーの見地に立つべきである、つまり安全保障見地に立つべきである。第二は国内資源を、みずからの資源は有効に活力することである。第三は、地域社会を守り、雇用安定を守ることを基本とすべきである。  通称これを三本柱と、こう私は言ってまいりましたが、この考え方には基本的に了承することができると。特に中でも今日の置かれている状況を判断いたしますと、いかに雪崩閉山を食いとめるかということが第八次政策一つ流れである。言うならば、直下型地震ではありませんけれども直下型閉山というのは極力避けなければならない。そのためには、やはり雪崩閉山を食いとめるためにどう措置をしていくかということの基本に立ちながら、山を守り、地域社会を守り、雇用を守る、この方針を堅持すべきであるという主張に対しまして、時の田村通産大臣は、全く八次政策基本認識には変わりはない、したがって、この方針踏襲をいたしてまいりたい、こういうふうに私の質問にお答えを願っているわけでありますが、松永大臣として、この八次政策基本認識基本的考え方について、まずお伺いをしておきたいと思います。
  11. 松永光

    国務大臣松永光君) お答えいたします。  今、先生指摘のように、第八次石炭政策基本は、いわゆる雪崩閉山集中閉山を回避しつつ、地域経済雇用に及ぼす影響をできるだけ緩和しながら生産体制集約化を円滑に進めるということであると認識いたしておりまして、前田村通産大臣とその認識においては全く変わってはおりません。
  12. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、松永大臣から基本認識は変わりはないという答弁がございました。  そこで、私は当面対策ということに絞ってまいりましょう、きょうは幌内対策が重点でありますから。  第一の問題は、このまま推移をいたしますと、やはりこれからの後半の段階でも雪崩閉山は避けられないという問題がございます。一番懸念しておる問題は、一つ需要拡大である。これは今も石炭部長からございましたが、第八次の出口と  いうのは一般炭八百五十万トン、鉄鋼ゼロであります。しかし、そこへ行く段階での急激な変化ということはこのままでは避けられないのではないか。  きょうはその点、私は貯炭過剰の問題にひとつ絞ってまいりたいと思うのでありますが、どうしても当面問題は、需要拡大も私はもう一回見直してもらいたいという意味は、先ほどもございましたが、今日一億一千万トンです、海外炭はもう既に。どこの諸外国を見渡しても、資本主義陣営を見渡しても自国の石炭がある、資源がある、これは一割を割っているところはございません。  これは私も随分西ドイツ炭鉱、フランスの炭鉱も、ドイツのドンバス炭田も坑内に入っておりますけれども現状はかなり海外石炭事情は厳しい。厳しいが、現実の問題として海外炭が一億  一千万トン入って、しかも国内炭が一千万トン程度、しかもそれを割る。こういう国際的な一番端的な例が私は西ドイツルール炭田だと思います。これはもちろん日本と違って、一社体制だと思うのです。しかし、基本は何かといったら、時のシュミット首相が打ち立てましたように、みずからの資源はみずからが開発をする、この考え方踏襲をされて、西ドイツの今日的体制がとられているわけであります。しばしば私申し上げるのでありますが、したがって、そういうことを考えあわせますと、これは第八次政策のスタートの時点で既に貯炭が、これは石炭部長長田部長に何回も申し上げているのでありますが、正確に言うと、これは二百七十万トンの貯炭があったわけであります。  我々はこの第八次政策答申には賛成しておりませんから、我が党反対でありますから、そういうことは別にして、その二百七十万トン、平常過剰貯炭というのは、二百万トンベースに考えた場合に、この二百万トンというものをその時点で解消していなければ、これは雪崩閉山になるんですよ。当時の考えだと、第七次政策から八次政策のタッチの段階で既に二百七十万トンの貯炭があった。ところが、この二百七十万トンのうち過剰貯炭と考えられる二百万トンは、八次政策で国が買い上げるか、あるいは何らかの政策を連ねて、これはゼロにしていかなければならない。ゼロにしてスタートして、一千万トンいって六十六年に八百五十万トンと、これなら私はわかるんです。  そうでないでしょう。現実はもう既にスタートラインで二百七十万トンという過剰貯炭があったわけですから、そこからスタートしていっているわけですから、おのずからそれは好むと好まざるとにかかわらず――何も私は今の大臣とか今の部長が悪いと言っているんじゃないですよ、そういう流れでスタートしてきたんだと。だから、今当面問題として幾つか、需要の問題もありますが、時間もありませんから絞りますけれども、せめて二百万トンという過剰貯炭は、これは何らかの措置政策手だてをするか、あるいは現在ある貯炭買い上げ機構、これは既に三百十七万トン、もう新共同石炭が買っているわけですから、だからそれらを含めてどうするかは別にして、その対策をとらなければ結果的に残された山のいわゆる出炭を削るか、そうでしょう、削るか閉山させるか以外にないんです、これ。どなたが政策をやったって。それをしばしば私申し上げているわけです。  だから、せめてこの二百万トンの過剰貯炭に対する解消という問題を政府は考えない限り、結果的にはこのまま推移をすると雪崩閉山につながる、この点をこれからの当面対策としてぜひやるべきであるというのが私の考え方であります。
  13. 山本雅司

    説明員山本雅司君) ただいま対馬先生から御指摘過剰貯炭問題につきましては、確かに先生おっしゃったとおりの数字になっております。六十一年度末の私どもの計算によりますと、二百七十四万トンの過剰貯炭がございました。その後努力してまいりまして、対前年同月比では少し減ってきてはおりますけれども、なおこの八月末現在で三百六十万トンの過剰貯炭がございます。したがいまして、これが現在の石炭政策を進める上で大変な重荷になっているということも事実でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、今御指摘の新共同石炭を活用いたしまして、現在は三百十六万トンの過剰貯炭の買い取りをいたしておりますが、今後これが第八次策の終わりの年度あと二年半ほどございますけれども、その二年半ほどの間でどのような形でこれを解消するか、実はこれが現在の最大の問題でございます。したがいまして、御指摘の趣旨をよく踏まえまして、基本的には生産需要業界の最大限の努力が必要ではございますけれども、私どもといたしましても、側面からこの問題を何とか解決できないかということでこれから鋭意検討してまいりたいと考えております。
  14. 対馬孝且

    対馬孝且君 今長官から、私の申し上げた点はそのとおりであるという認識ですから。ただ、今長官の言葉の中に、側面からというのがありましたが、主管官庁ですからね。長官が当面の最高の責任者ですから、そこは側面からじゃなくて、みずからの解決でと、こうならなければ、これは答弁になりませんよ。  なぜそう私が申し上げるかと申しますと、今も言ったように、これは八月末現在の貯炭量は四百五十六万四千トン、今いみじくも長官がおっしゃったように、三百十六万トン新共同石炭貯炭買い上げになっているわけですから、結果的にこれが現在では三百十六万トンというのは過剰貯炭である、こういう位置づけは間違いないと思いますが、その点はいかがですか。
  15. 山本雅司

    説明員山本雅司君) 今おっしゃったとおり、新共同石炭の持っている量は三百十六万トンでございまして、これが過剰貯炭という形になっております。
  16. 対馬孝且

    対馬孝且君 したがって私は、きょうの主要議題が幌内ですから、今後の課題として、今長官からもあらゆる面からの検討をいたしてまいりたいという答えですから、それで当面あれですけれども、私は率直に申し上げまして、これが解決しない限り第二、第三の幌内が出てくる、こういうことですよ、私が言いたいのは。だから、対策をとる方法は二つよりありません。政策的手だてをとるか、あるいは結果的に縮小、あるいは閉山に追い込んでいくか、このどちらかよりないんだ、絶対量決まっているんだから。そこらあたりをもう一歩踏み込んで検討してもらいたい。  私は責めるだけじゃなくて、確かに長田部長中心にして現在ある雑炭を解消したという点では評価しているんですよ。第八次のスタートライン雑炭が百七十万トンあったんですから、これを今五十万トンまで一応精査をしていただいているということは、これは一つの前進の点である。もう一歩突っ込んでいただいて、やはり政策的な手だてを含めて検討してもらいたいということを申し上げます。いかがでしょう、長官
  17. 山本雅司

    説明員山本雅司君) この問題につきましては、今も御指摘のような雑炭の問題、大変努力して、関係者努力でここまできておりますが、今後ともそれは努力したいと考えております。  あと、その他の対策といたしまして、政策的な手だてという御指摘でございますが、現在はその 新共同石炭買い上げをしておりますし、今後何らかのいい形があるかどうか、これは鋭意検討はしてまいりたいと思いますが、新しい政策手段としていいものが出るかどうかは八次策の途中でもございますし、なかなか難しさはあるのではないかということを前提といたしまして、さらに検討を重ねたいと考えております。
  18. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、長官から答えがございましたが、もう一歩突っ込んだ政策的な対応がなければ、結果的には雪崩閉山につながるということになりますので、その点を率直にひとつ検討してもらいたいということを強く要求しておきます。  それでは、幌内炭鉱の問題に入りたいと思います。  幌内炭鉱は、もう申すまでもなく新聞その他報道でも随分出ておりますけれども、これは明治十二年、北海道で最も古い炭鉱でございまして、開坑以来百十年を数えているわけであります。この炭鉱現状というのは、残念なんでありますが、私はむしろ閉山を回避する道はあるということをしばしば当調査会で申し上げてまいりました。結果は需要量減少したということでありまして、これは深部に行っていることは間違いございませんけれども、磐の沢区を中心開発をしていくべきだということを当調査会でもしばしば私は申し上げてまいりました。結果は、この段階では炭労並びに現地状態を含めまして閉山はやむなしの状況にありますから、これはやむを得ないとしましても、そういう意味で、むしろ国政治石炭政策がやっぱり見直されるべきではないか、経済合理主義で山をつぶされ、労働者が窮乏するということは、これは政治不在であるということを私、かつて代表質問中曽根総理大臣に申し上げたことがございます。  その感を深くするわけでありますが、いずれにしましても、今日の段階労使交渉が退職条件、労務債をめぐって今深刻な状態に立ち至っております。御案内のとおり、あすは炭労は、もし解決ができなければ、これは幌内炭坑だけではなくて、炭労全体の残された山、七山が第二波の全山ストライキを決意して既に体制を固めている。一方、今なお労使交渉の中で解決が見えないということの怒りを込めて、現地ではきのう午前七時から組合の労働部長を先頭にして、三名のハンガーストライキに実は今現在入っているわけでございます。今、北海道では社会的人道上の問題だというふうになっているわけであります。  そこで、問題は何かといいますと、幌内炭鉱というのは昭和五十年大災害がございまして、時の河本通産大臣も私も一緒に現地に行っておるのでありますけれども、非常に深刻な事態でございました。しかし、組合員、家族の努力労使努力もありましたけれども、それ以来ほとんど賃金、労働条件というのは、ほかの山から比べると全く低い条件で抑えられてきている。これはもう率直に申し上げまして、一例を言うと、平均賃金を見てもすぐわかるんですよ。三井、三菱、太平洋という他社は、これは炭鉱労働者の一人当たりの平均賃金ですが、一日当たり千四百八十三円です。ところが、住友が千二百八十九円、今の幌内炭鉱というのは千二十円ですよ。こういう状況で、しかもこれだって、私は知っておりますけれども、あるときは三割カット、多いときでは四割カットまでして虐げられてきた。この極めて悪条件の中で何とか山を残したいという一念に燃えて組合員、家族が相当な犠牲を強いられてきた、こういう客観的な事実が今あるわけでありまして、せめて閉山に当たって、かつて一昨年閉山になりました真谷地炭鉱ぐらいの解決はすべきである。これは私は、労働条件の最低のナショナルミニマムに等しい今日の閉山的な条件の解決である、こう私は思っているわけであります。  今のポイントは、もう細かいことは申し上げませんけれども、結果的には特別加給金、一律加給金、あるいは今申し上げました平均賃金の差額補償というのがポイントになっておりますが、ここらあたりトータルでいいますと二億五千二百万、組合の要求からいきましてね。仮に満額にしたとしてだよ、この平均は。しかし、今会社から出ているのは一億強でございまして、約一億数千万の差がある。これを何とか、もちろん労使の関係ではありますけれども、問題は先ほど言ったように、これだけの低い労働条件、せめて閉山時にはやはり人たるに値するものという、この組合員の要求なり労働者の声というものを私は尊重してもらいたい。  そういう意味で、通産も石炭部長中心に行政指導をしていただいておりますけれども、この解決なしには閉山に同意することはできない。閉山に組合が同意しない限り閉山交付金は出ませんかち。これは法律によって、石炭合理化臨時措置法で定めておりますので。したがって、会社は二十九日に閉山したいと思ったって、これが解決しなければ解決にならぬわけですから。そういう意味では今晩からあしたにかけて、しかも炭労全体が二十四時間、七山が二十四時間ストライキを張りつきりにしている、ハンガーストライキに入っているという現状を踏まえて、ひとつ積極的な退職条件、新旧の労務債の完済を含めて積極的な行政指導をとってもらいたい、この点について政府考え方をお伺いしたいと思います。
  19. 長田英機

    説明員長田英機君) この退職条件につきましては、現在労使間で交渉中でございますが、この幌内炭鉱昭和五十年の坑内火災以降、他の炭鉱に比べまして賃金水準が低く据え置かれてきたということは事実そのようなことだと思います。しかしながら、片やこの幌内炭鉱は非常に経営状況が厳しい状況にございまして、私自身も金融機関にお願いしているんですが、返済の猶予というようなことを債権者等にお願いしているという状況にございまして、そこのバランスをどうとるか、どういうふうにその難しい問題を解決していくかということが問題なわけでございます。そういう意味で、非常に難しい問題なんでございますが、現在労使間で話し合いがだんだん詰まってきておりますので、私どもとしましては、経営者に対しましては、とにかくこの話し合いを円満に、円滑につけるようにしろと、こういうような指導を行っておりますし、また終局面も近うございますけれども、こういう形で何とか話し合いをつけるように指導していきたい、こう考えております。
  20. 対馬孝且

    対馬孝且君 話し合いでひとつ解決を、円満に収拾することに努力するという答弁ですから、それなりのことはわかりますけれども、問題解決の根幹は何かといえば、この炭鉱は御案内のとおり、多くを申し上げることはございませんので、やっぱり金融債を含める問題などかなり入っているわけですね、御案内のとおり。それだけに私はあえて申し上げることは、具体的なことは避けますけれども、やはりかなり現行制度の弾力的運用という、こういう対応を含めてひとつ解決を図ってもらいたい、このことを強く要望しておきます。よろしゅうございますか。
  21. 長田英機

    説明員長田英機君) 現在話し合いがかなり進んできておりますので、これを見守りつつ、いずれにせようまく話し合いがつくように我々も指導してまいりたいと思います。
  22. 対馬孝且

    対馬孝且君 ひとつ積極的な解決がとられることを強く要請しておきます。  第二は、雇用対策でありますが、今日まで労使交渉を積み重ねまして、きのうは徹夜交渉みたいになったそうでありますが、きのうの経過を聞きましたら、トータル人員では千二百八名、一応今出されておりますのは。それから三笠の現地が四百五十一名、道内百十八名などを含めまして千二百八名、これもちろんずっと調べてみますと、職業紹介所のあっせんどか、そういうものも入っているようで、質的にいうとかなり問題がある。私は口悪い方だけれども、かなりてんぷら的要素があるんじゃないかと私、会社にも申し上げてきたのでありますが、それは別にしまして、現地採用というのが四百五十一名、現地、地元、これ一年じゃなくて三年のことを言っているんですからね。三年の間でこういう対応をとるという、ほど遠い話を今しゃべっているわけで、それは別にして、労使交渉ですから……しかし、私は、ここで 申し上げたいのは三つの点、これをひとつ政府側にぜひとってもらいたい。  それは一つは、やっぱり現地雇用というものを拡大をする必要がある。なぜかというと、住宅はもうローン制度でもって、住宅を買って払っていかなければならない。大体平均年齢は御案内のとおり四十六歳ですからね。そうすると、かなり年齢が高年齢になっている。そうすると、高校に行く子供を抱えている人が非常に多い、人員構成を見ますと。なかなか学校の転換が思うようにいかない。こういう人道上などの問題もこれありまして、したがって、私はあえて第一点で申し上げたいのは、三笠市なり道ですね、現地、道を含めて。道も言っておりますけれども、それなりの対応をとるということを言っております。  それから、政府みずから雇用対策ということをぜひひとつ考えてもらいたいということを申し上げたいと思うのであります。もちろん後ほど労働省に対して三、四点質問申し上げたいと思いますけれども、とりあえず通産段階として、我々も現地段階でそれなりに道並びに各自治体の、例えば清掃業務に携わる方々だとか、それから土木現業所の現場関係とか、こういう方々はそれなりの対応をしてよろしいという動きが出ています。ただ問題は、国のレベルの段階で、そういう方々に対する国の出先機関であるとか、あるいはざっくばらんに申しまして、今申し上げました、札幌市は札幌市の自治体として炭鉱離職者の重点対策というものを今までにやってきておりますけれども、さらにやりたいと、こう思っても、やっぱり国の方針がそこらにいかないと、これなかなか現地段階では対応がスムーズにいかないという懸念がある。  したがって、あえて申し上げるのでありますが、私は国の出先機関、あるいは自治体の現場関係、有力企業を含めまして、積極的な雇用開発に全力をひとつ挙げてもらいたい、こういうように考えますので、この点まず通産段階でお伺いしたいと思います。
  23. 長田英機

    説明員長田英機君) 会社が持っております再雇用計画につきましては、私ども逐次聞いておりますが、その過程におきましても、私どもといたしましては、その再雇用計画を充実するように、具体的には先生指摘現地において雇用がふえるようにしたらどうか、あるいは雇用者数全体をもっとふやしたらどうか、こういうような点について今まで会社を指導してきておりまして、大体会社もそれに沿いましていろいろの対応を現在行ってきているというふうになっていると理解しております。  それから、政府みずからの出先機関、あるいは地方公共団体の現場におきますところの炭鉱離職者の雇用、この問題につきましては、私どもとしましては、産炭地域の各省の連絡協議会がございますので、そのような場を通じまして各省と相談しながら検討していきたい、こういうふうに考えております。
  24. 対馬孝且

    対馬孝且君 今長田部長から雇用対策問題につきまして、産炭地の各省連絡会議を踏まえて努力をいたしてまいりたいというふうな答えですけれども、そこで問題は、何といっても通産段階というと、やっぱり企業立地なんですね、これ。企業立地が雇用拡大につながるのであって、これは最前私は、一昨年の土砂川炭鉱の場合、非常に通産も努力していただいて、例えば例のガラス工場であるとか、あるいは本州からの出版の出先のあれだとか、製作所とか、こういう問題だとか、無重力実験、これは世界一の無重力実験の今調査段階でありますけれども、これができれば附帯工事は広がっていくと、こういうことになるわけでありまして、通産の役目というか任務というのは、むしろこれは大臣に強く申し上げておきたいのでありますが、むしろそういう企業誘致なり企業立地なり、あるいは第三セクター、後で申し上げますけれども、第三セクター的な企業を立地して、そこで三十人なり五十人でも、やっぱりこれが十回できれば三百人になるわけですから、初めは三十人でも。何も私はどんと三百人、五百人と言っているわけじゃない。そういう小さい規模でもいいから、現に二十人でも三十人でもそういうものはずっとふやしていけば、結果的に現地定着の雇用はできると。それがむしろ通産の役目ではないかという考え方を持っておりますので、これ大臣に積極的な取り組みをひとつお願いしたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  25. 松永光

    国務大臣松永光君) 閉山提案が出された幌内炭鉱の所在する三笠市、その周辺あるいはその地域に工場を誘致して、そして雇用の場を拡大していく。これはもう雇用対策としては大変重要な施策だというふうに私も思っております。三笠市においては特にその点に熱意を持っていただいておるようでございまして、三笠工業団地の拡張をぜひやりたいと、こういうふうに要望があることを私承知いたしております。  そこで、通産省といたしましては、企業立地をするためにはその受け皿としての工業団地、これが前提になるわけでありますから、その工業団地の造成、これは極めて重要な課題であると考えておるわけでございまして、可能な限りの支援をするべく現在、三笠市そして北海道などとも協議をしているところでございます。  なお、通産省としては、この工場立地を推進するために工業団地をさらにひとつ拡大したいという考え方から、平成年度の概算要求において、産炭地域への企業誘致の促進を図るべく、地域振興整備公団の出融資機能の拡充を予算要求しているところでございまして、幌内の閉山がなされた場合においても、これはここに適用できる、そういう予算の項目でありますので、ぜひひとつこの予算が確保できるように最大限の努力をしていきたい、こう考えているところでございます。
  26. 対馬孝且

    対馬孝且君 今大臣から力強い表明としまして、三笠市の第二工業団地の造成を決意して、むしろ新たな制度でありますけれども、市中金融融資制度などを含めて対処したいと、こういうことですから、ぜひ予算獲得を含めて実現をしてもらいたい。  なお、きのうですね、これ現地の新聞でございますけれども、きのう炭労初め全道労協団体含め、また市民会議等も含めて、現地北海道の横路知事も、この工業団地については道としても出資をして対応してまいりたいと、こういう新聞報道も出ておるわけです。いずれにしましても、今大臣からございましたので、これをひとつぜひ実現方に全力を挙げてもらいたいということを強く申し上げておきます。  そこで、地域振興対策の関係なんですが、これはぜひひとつ考えてもらいたいというのは、今も工業団地はこれは一定の雇用対策になります、率直に申し上げて。何人になるかは別にして前進だと思いますが、そこで私は、次の地域雇用振興対策の一環としまして、これは当面対策と中長期があると思うのですが、当面何としてもやっぱり雇用を増大する道は何だといえば、これは言うまでもなく公共事業であります。公共事業の拡大強化を図らなければならない。  幸い私も微力でありますけれども、今参議院の建設常任委員長という立場でございますので、先般十二日以来三日間、北海道の実態調査委員派遣で、各党で超党派で行ってまいりました。三笠も入っておるのでありますが、もう全く見て正直、皆さん方も賛同されていますが、一つは、これは率直に申し上げますが、今三笠の現状の公共事業対策は一体何だということを私ども調査に行きまして現地からも聞きましたが、これは端的に申しまして、幾春別川総合開発事業というのがございまして、この中に現在既にやっております桂沢ダム、これはもちろんかさ上げで、これは問題が一つございます。  新規に既に出しておるのでありますが、いわゆる奔別ダムという、これをやれば相当数の雇用が見込まれるというのが実際出ています。それと同時に、もう一つの問題は、この幾春別川河川の改良拡大事業、それからまつわる道路関係の一連の事業、こういうものを総合的にやっていただければ一定の重要な雇用対策につながる、こういうふ うに考えておるわけであります。後からも大臣にも申し上げますけれども、とりあえず建設省からきょうおいでになっていただいておりますので、建設省からひとつこの問題についての促進方についてお願いしたいと思います。
  27. 中岡智信

    説明員(中岡智信君) 御説明申し上げます。  建設省といたしましては、所管しております公共事業の推進による地域振興、地域活性化のための基盤づくりが非常に重要な課題認識しております。これを全省的に進めるとともに、地域の個性を生かしました地域づくりの支援に努めているところでございます。  ただいま先生お触れになりました幾春別川総合開発事業、新桂沢ダムと奔別ダムでございますが、この総合開発事業は洪水調節、流水の正常な機能の維持、都市用水等を目的といたします多目的ダム事業といたしまして、昭和六十年より実施計画調査を進めているところでございます。今後はこの地域の治水、利水の重要性にかんがみまして、事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
  28. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは大臣に次のことでまた要請をしておきたいのでありますが、今度の閉山に伴う、大型閉山ですからプロジェクトの一環としまして、国際古生物・化石博物館構想というのを実は地元で持っているわけであります。もちろんこれは所管は文部省並びに環境庁になりますけれども、あえて今ここで申し上げたいのは、過般建設省に対しても地元から――あさってもまた地元市長が要請する予定になっておりますけれども、むしろこの大型閉山に伴う地域の活性化と雇用対策、むしろ雇用です、はっきり申し上げて。そういう地域、町づくりを含めて、ぜひ大臣並びに産炭地連絡会議等もございますので、ひとつ建設大臣に建設関係、建設省を主としたそういう関係にぜひひとつ働きかけをしていただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  29. 長田英機

    説明員長田英機君) 先生指摘のとおり、幾春別川総合開発事業、あるいは化石博物館の建設、これは三笠市にとっても非常に大きな意義のあるものだと私ども理解しておりまして、まあ私どもは関係各省から構成する、今先生指摘ございました各省庁との連絡会議の場、こういう場などを通じまして、本件について関係省庁に一生懸命にお願いをしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  30. 対馬孝且

    対馬孝且君 ぜひひとつそういう積極的な促進をしていただきたいと思います。  そこで、労働省が来ておりますので、労働省の関係で、これに関連しまして二、三お伺いしたいと思います。  先ほど新旧労務債と退職条件の完済問題については、これは基準局の立場もございますけれども、あえて労働省の立場で完済の積極的な指導に当たってもらいたい、これ一括して答弁してもらって結構ですから。  それから第二は、幌内炭鉱雇用対策の問題にまつわりまして、いわゆる技能開発センターが、今聞いておると、かなりアンケート、まだ公式にはやっていませんけれども現地のいろいろな意見を聞きますと、やはり技能を身につけるということが一番各種の職業訓練、今技能開発センター、こう言っておるわけでありますが、この技能開発現地の希望者が、これはもちろんアンケート調査、その他所管の指導もございますけれども、これに応じた者は全員技能センターで技能習得ができると、こういう体制をぜひひとつ堅持をしてもらいたい、これが第二でございます。  それから第三は、私も地域雇用促進法に参加をして質問をいたしておりますけれども、一昨年制定をされましたいわゆる地域雇用促進法、これは非常に不況地域とか産炭地に役立っておりまして、つまり、企業がそこに誘致をして一定の期間、中小であれば三分の二、大手であれば二分の一と、もちろん下がっていきますけれども、結果は三年間、これが労働省の法律によって保護される。これは非常に町づくり、また雇用対策になっておるわけであります。ただ、ここでお願いしておきたいのは、法律上きちっと当てはめられるところは当てはめるのが当然でありますけれども、運用としては弾力的に運用していかないと、せっかく制度をつくっても生かされない。これ労働大臣にあえて私、もちろん担当者がお答え願って、さらに労働大臣にお答えを願いたいのですが、私も社労を長くやっていますからわかりますが、大変いい制度であるけれども、これはやっぱり弾力的に運用して初めて効果が出るということになりますので、この点をひとつ積極的に考えてもらいたい、そういうふうに考えますので、以上三点お伺いします。
  31. 石岡慎太郎

    説明員石岡慎太郎君) 北炭幌内炭鉱における旧労務債につきましては、これまで本省、現地の労働基準局及び監督署におきまして、会社側に対しまして、あらゆる努力を尽くして速やかに支払うよう強力な指導を行ってきたところであります。その結果、昭和六十一年十二月末現在の退職手当の未払い状況は五十九億円余にも上っておりましたが、本年の九月期の支払いが予定どおりなされるといたしましたら二十三億円余になる見込みでございます。  さらに北炭幌内炭鉱が仮に閉山されれば、新たに相当額の退職金等の労務債が発生することが予想されますが、労働省といたしましては、従来からの退職金債務及び新規発生の労務債が早期に完済されますよう、通産省その他関係行政機関とも緊密な連携を図りまして、北炭本社及び北炭幌内社に対しまして、確実な精算原資を踏まえた新たな支払い計画を作成させまして、その支払い計画に基づく支払い状況の定期的な報告を求めるほか、必要に応じて本省に北炭本社をも呼び出し、直接指導を行うなど、引き続き強力な指導を行ってまいりたいと考えている次第でございます。
  32. 伊藤欣士

    説明員(伊藤欣士君) 第二点の職業訓練についてお答え申し上げたいと思います。  炭鉱離職者の職業訓練につきましては、先生指摘のとおり、非常に重要かつ緊急な課題でございます。ということで、従来から炭鉱離職者の方々の職業訓練につきましては、事態の推移に応じまして、近隣の職業訓練施設等におきまして実施ができますよう、訓練枠の確保など体制の整備に努めておるところでございます。  今回のケースにつきましても、公共職業安定所と公共職業訓練施設が密接に連携をとりまして、離職者の方々の訓練ニーズの的確な把握に努めまして、施設内訓練であるとか、各種の専修学校あるいは事業主団体への委託訓練等を行いまして、希望のある方々につきましてはすべて訓練が行えるよう、そういう形で準備を進めてまいりたいと思います。
  33. 七瀬時雄

    説明員(七瀬時雄君) 第三点についてお答えいたします。  石炭に依存いたしました地域におきまして閉山という問題が起こってまいりますと、先生指摘のように、企業誘致など地元における雇用機会の開発というのが極めて重要な問題であろうかと思っております。  労働省といたしましては、先ほどお話がございましたように、地域雇用開発等促進法に基づきまして、雇用機会が不足している地域を雇用開発促進地域に指定いたしまして、雇用開発中心とした総合的な地域雇用対策を推進しているところでございますが、その中で特に厳しい状況に置かれている産炭地域等につきましては、特定雇用開発促進地域に指定いたしまして、地域雇用開発助成金の支給を手厚くするような措置も講じているところでございます。  この制度の運用につきましては、助成金でございますので、支給要件その他の問題は当然にございますけれども、地元あるいは市町村、道と密接に連絡をとりまして、真に優良な地域の開発に役立つような雇用機会が開発できますように運用してまいりたい、かように考えております。
  34. 福島譲二

    国務大臣(福島譲二君) 先生の御指摘でございました弾力的運用の点について一言申し上げたいと思います。  私も役所出身でございますが、とかく役所とい うのは誤りないように、かたくかたくと申しますか、しゃくし定規にあるいはなりがちな場合もないではないかと思います。しかし、法の精神に反しない限り実情に即した運営をするというのが、これはまたむしろ法の精神を生かすゆえんでもございますので、御指摘のお気持ちを体して立派に行政を進めるように指導してまいりたいと思っております。
  35. 対馬孝且

    対馬孝且君 今大臣並びに関係者答えがございましたが、私なぜそれを言うかといいますと、不況地域対策、世に言われる構造的産業不況対策ということで、これつくったわけですよ。だから長々と検討して対応するなんという割と時間的余裕が余りない。だからやっぱり不況にぴたっと、構造不況に遭ってすぐ対策をとるという、ここに重要な地域雇用促進法の意義があるわけでございまして、私も当社会労働委員会でも強く申し上げましたけれども、制度をつくったけれども、さっぱり適用にならぬということでは、つくったって意味がないんで、むしろ制度をつくったからにはやっぱり拡大して、国民の生活にあるいは雇用対策にということにならなきゃならぬわけでして、大臣からお答えございましたけれども、より積極的なひとつ拡大運用をしてもらいたい。  同時に、あわせまして、答弁要りませんが、先ほど通産省側にも申しましたけれども、やっぱり今日の雇用対策というのは官民挙げて取り組んでもらいたい、取り組むべきであるという私も考え方を持っておりますので、先ほど申しました国の出先機関なり、あるいは自治体の雇用対策というものをより一層ひとつ検討努力をしてもらいたい。これは答弁要りません。要望だけ申し上げておきます。  そこで、次の問題でありますが、中小企業関係商工業者並びに下請関係について、若干お伺いをいたしますように対応してもらいたいと思います。  これは、今度大型閉山になるわけでありますが、閉山の場合必ず問題が出てきますのは不用、つまり不用財産の買い上げ問題、それから閉山地区の中小業者の融資制度の弾力的運用、これが非常に問題になりまして、山がつぶれたら商店街、雑貨店を含めてどうしたらいいかという、我々も現に相談を受けているわけでありますが、行くところがないと。あるいは他に転職する、転換をする場合、それは一体どういうふうになるんだ。それから、地元でこれから細々とやっていくにしても、とても今の国民金融公庫あるいは中小金融公庫、それなりの役割を果たしていますけれども、こういう面の特別対策というのをとってもらいたい、これがこの前私調査団で現地へ行きましたときに商工業者、下請業者の皆さんから強い要望がございましたので、この機会にひとつぜひそういう対応をしてもらいたいと思います。
  36. 高島章

    説明員高島章君) 閉山で大変お困りの中小企業の皆様方に対しましては、先生既に御高承かと思いますけれども、特定地域中小企業対策臨時措置法に基づきまして、いろいろな低利融資制度を設ける等いたしまして各種の施策を講じているところでございます。  特に、今回非常にお困りの方々に関しまして政府系の中小企業三機関、これからの融資に関しまして、既にお借りになっているもの、既往の貸付金の償還を猶予すること、さらにはこれから何か金が、資金が必要であるけれども、その担保について十分でないといった場合には、その担保の徴収につきまして弾力化を図るといったような特段の配慮を行いたいと今思っておりまして、三機関に対しまして、そういう指示ができますように現在検討しておるところでございます。  それから、冒頭におっしゃいました不用財産の買い上げでございますが、これは御要望が非常に強いことは我々十二分に存じておりますけれども、他のいろいろな地域、いろいろ円高等で困っておられる地域と横並びの問題等もございまして、現在のところなかなか困難であろうかと思うわけでございます。
  37. 対馬孝且

    対馬孝且君 一応政府系三機関の国民金融公庫、中小金融公庫、商工中金という、私も経験しておりますけれども、今お答えございましたが、より積極的にひとつ実際の運用に対して生かされるような現実指導を強めてもらいたい。  それから、不用資産の問題、これはやっぱり炭鉱地帯ではどうしようもないんですよ。これは何とか、どういう方法があるかは別にして、ひとつ具体的な検討をぜひこの機会にしてもらいたいということを強く要望しておきます。  最後になりましたが、時間も迫っておりますので、南大夕張炭鉱の関係について二、三、ひとつお伺いしたいと思います。  まず第一点でありますが、南大夕張炭鉱につきまして、実はこの間、九月六日付朝日新聞報道によりますと、大槻相談役が来年の三月ころ三菱大夕張炭鉱閉山せざるを得ないと。これまた既にあらしが吹きまくるような予言をされているわけであります。このことに対して非常に組合員、家族が心配しておりまして、また不安と恐怖をあおるような発言を、これまた今や日本の最高の、行政審議会の会長である方が今こういう発言をしてどうなるのかという、何か国民の不安をあおるために物を言っていいんだというのでは困るので、このあたり現地では非常に心配をしております。  後から申し上げますけれども、先ほど御報告ございました落盤災害が起きておりますし、とうとい我々の同士も失っているわけでありますが、そういう意味で、むしろそのことも関連して非常にやはり不安も高まってきているという現状にございます。これらについて組合の委員長からも申し入れをし、それから三菱セメントの社長から回答をいただき、三菱石炭の社長からも回答をいただいて私なりに承知しておりますけれども政府として、通産としてこの問題についてどういう見解と、またどういう対応をとっていただいたかということ、そしてまた、考え方をこの機会に明確にお聞かせ願いたいと思います。
  38. 長田英機

    説明員長田英機君) この三菱南大夕張炭鉱閉山に関します記事につきましては、先生おっしゃいましたように、地元で大変不安に思っているということでございまして、実は私も記事を見て非常にびっくりいたしまして、すぐに会社の責任者を呼んで問いただしたわけでございます。その結果は、早期に閉山をするというような意思を固めたわけではないということが会社としての考えだということでございまして、また御発言の方も問いただして調べましたところ、どうも真意とは違うと、こういうようなことを私に回答いたしました。なお、その後会社といたしましては、炭鉱の労組に対しまして、今回の災害閉山の引き金になるというようなことはないということで回答をしたということでございます。  私どもとしては、会社がそもそも閉山するかどうかということは会社の経営者の判断であると思っておりますけれども、三菱大夕張につきましても、そういう点から会社が今後企業の将来のあり方というものを検討していく、こういうふうに理解しております。
  39. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、石炭部長からお答えがございましたけれども、率直に私のところにも三菱の社長が来まして、全くこれは一般論的に触れたような嫌いはあるけれども、やっぱり一日も生き長らえるために、断固山を守るために頑張り抜くということを文書で組合にも回答しておりますけれどもね。私のところにも小泉社長から送ってきました。しかし、政府としては一応不安を除去するために、山を今労使は体をかけて、しかも組合員は命を的に頑張っているわけですから、その点はひとつ政府としても行政指導の立場でしっかり指導してもらいたいということを申し上げます。よろしゅうございますか。
  40. 長田英機

    説明員長田英機君) 御指摘のとおり、一生懸命この本件については対応していきたいと思います。
  41. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは先ほどの災害問題につきまして、九月十四日に我々の仲間でございます長尾啓一さん、丹羽均さんの二名が落盤事故で殉職されました。極めて遺憾だと思います。直ちに社 会党調査団が現地入りしまして、私を責任者にして中沢衆議院議員と現地へ行ってまいりました。そのとき会社側に抗議をすると同時に、次の三点を私は申し入れをいたしました。  第一点は、今次災害の原因を明確にしろ。今も石炭部長からお答えがございましたが、この災害を理由にした閉山は絶対許されない、これが第二であります。第三は、現場を一時休止をして、保安の一斉点検を行ってから保安監督局の指示を得るまで作業は開始をするな、十分一斉点検を行えという三点を私責任者として申し入れをいたしまして、会社側も今回の災害が発生した責任は極めて重大であり、極めて遺憾である、全く今言われたとおりでございまして、今の三点をきちっと約束を守って頑張ってまいりたいということでございました。  いずれにしましても、今の災害現況報告がございましたけれども災害の原因ですね。これははっきり申し上げて、立地公害局長、一部の新聞を見ると、初圧の段階でこれが起きたというようなことが出ているわけですよ。後から札幌保安監督局は訂正をするということを約束したようですが、訂正されていません。私も元炭鉱マンですから、よくわかっていますから、初圧でもしこの事故があったとしたら許されないですよ、私ははっきり言って。概して落盤事故、今までの日本の重大災害というのは、一つは私も経験がありますけれども、山はねという事故、あるいはガス突出現象、これが世に言われる不可抗力的な要素。一般的に言うと、落盤というのは、むしろ人災の傾向があるのではないか。もちろん原因によりますけれども、そういう傾向が指摘をされているわけであります。  そこで申し上げたいのは、初圧の段階でもし会社がその対策をとられてなかったとしたら、この場で直ちに三菱の保安監督の最高責任者の責任を私は追及しなきゃなりませんし、また法律上の手続をとらなきゃいかぬ、こう思いますので、初圧の段階でそういう対応がなされてなかったのかどうか、これが第一点であります。  私もすぐ札幌保安監督局の咲山保安監督局長にお会いしまして、私の経験で言うならば、この炭鉱の今の現状を聞きますと、昭和二十七年に私の山でも落盤事故がございまして六名犠牲を出しています。この犠牲の原因は、いわゆるサンドストーンという層が頁岩との間にございまして、これが水に浸ってくると一定の圧力が加わって、そして豆腐を切ったようにすぽっと剥離して落盤事故になったという、そういう経験もございます。  そこで、私があえて言いたいのは、初圧の傾向があったにもかかわらず会社が手をつけなかったというのは、これは保安規則上の問題ですから、その点をひとつはっきりしてもらいたいということです。
  42. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 本件災害につきましては、冒頭、報告のところで申し上げましたように、現地に八名の職員を派遣いたしまして、災害の把握、原因の究明等を行ったわけでございますが、その結果、次のような事実が認められました。  すなわち、崩落部の天盤は直天が比較的脆弱な頁岩のため間漏れを誘発しやすく、また、直天上部の砂岩層は比較的強固で水分を含んでいたことから、剥離を助長しやすい状況にあったという点が一つ。もう一つは、崩落箇所を含む払い肩部の払い跡はつり天状態となっていたことから、炭壁側に荷がかかりやすい状況にあったというのが第二点でございます。  本件災害において、以上の要因が複合した状態で直天の頁岩がその上部の砂岩から剥離するとともに亀裂が進行し、死荷重状態となったために払い跡側と深側の方向に偏心荷重が働きまして倒枠を惹起し崩落に至ったものというふうに推定されるわけでございます。  なお、偏心荷重は、払い跡側及び深側の方向にかかったのは、払いが深追い込みの状態で稼働していたことが要因の一つと考えられます。  先生質問の初圧対策の件でございますが、今次災害が発生した切り羽は、まだ採炭を開始したばかりでございます。九月四日に採炭を開始したばかりでございまして、肩部で十メートル、深部で六メートル進行という状態でございまして、一般に初圧がかかってくるとされている距離、四十メートル前後と言われておりますが、そこまでまだ進行していなかったわけでございますし、補強立柱を施す等初圧に備えて同鉱の規格に応じた所要の対策を実施していたということが確認されておりますので、初圧対策によるものではないというふうに考えているところでございます。
  43. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは私は、十六日の日に札幌鉱山保安監督局長に私の問題点というのを三点指摘しました。跡山処理が十分であったかという問題。それから初圧の前兆に対する対応が十分であったか。第三は、私の山が昭和二十七年九月十三日、落盤事故で六名犠牲を出しているのでありますが、このときは先ほど申しました、いわゆるサンドストーンという層と頁岩との関係が、重圧で極度に剥離をして落盤につながっていったという、こういう状況はすべてではありませんけれども、これは文書でいただきました。私が心配しているのは、当時の跡山処理が完全であったかどうかということは、一応初圧の段階では切り羽が百十メーターで、これに対して大体百四十本の鉄柱カッペで対応しておる、立柱しておった、これを三サイクルでやっておったということも私聞きました。それはそうだとしたとしても、やはりその場合の比重のかかり方ですね、かかった場合に跡山の方の対応におくれがあったのではないかという懸念がちょっとするのでありますが、この点を確認して私の質問を終わりたいと思います。
  44. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 跡山処理の問題でございますが、当該払いの対策といたしまして、跡山のばれ状況に応じてその都度天盤せん孔発破を実施することといたしておりました。監督局の調査の結果、跡山のばれ状況は、当時の切り羽の進行に対して通常生ずる程度の規模でございまして、積極的に天盤せん孔発破を施すような状況ではなかったというふうに見ておるところでございます。
  45. 対馬孝且

    対馬孝且君 これで最後です。  したがって、保安対策にはより一層の、立地公害局長として、きちんともちろんやっていますけれどもね、一斉点検というものを各山別にこれから積極的に、行政庁として保安の万全対策のために一斉点検、それからもちろん保安監督局入っておりますけれども、ここらあたりを、重大な点検指導というものをむしろ強化をしてもらいたい、このことを強く申し上げまして、私の質問を終わります。
  46. 向山一人

    ○向山一人君 労働大臣がおいででございますから、まず第八次の石炭政策中心とした現在の石炭政策に伴い、最小限の炭鉱合理化は今日のエネルギー推移から考えて避けられないものと思います。これに伴う炭鉱離職者の雇用の安定の問題、先ほどもお話がございましたが、これは今後のエネルギー対策を考える上で重要な課題であります。この炭鉱離職者の雇用問題に対する労働大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  47. 福島譲二

    国務大臣(福島譲二君) 先生指摘のとおり、第八次石炭政策の推進によりまして、現在もかなり大規模合理化、あるいは閉山に伴う離職者が発生をいたしつつあります。いわば石炭政策のために大変な犠牲をこうむられる方々でありまして、しかも平均年齢もかなり高い、いわば家族の大黒柱になっておられる方々が多数離職されるということは、御本人あるいは御家族にとっても、また地域にとってもこれは大変な大きな問題でございまして、その再就職等につきましては私どもも従来とも力を尽くしておりますが、なおさらに一層の努力をいたしてまいりたいと思っております。幸いに全体として雇用情勢は改善をいたしておりますけれども、離職者の皆様方には現実に地元志向が大変強いということもございまして、やはり就職環境は依然として大変厳しいと言わざるを得ないかと思います。  しかし、これらの離職者の皆様方ができるだけ早くに就職が確保できるということは何よりも大 切なこととして、労働省といたしましても再就職の援助の施策の実施、あるいは職業訓練の活用、さらに先ほど申し上げましたような地元志向が大変強い折からではございますけれども、場合によっては広域的に職場を見出していただくという立場で、広域職業紹介も大いに今力を尽くしておるところでございまして、あらゆる努力を尽くして離職者の皆様方の対策については今後とも尽力をしてまいりたいと考えております。
  48. 向山一人

    ○向山一人君 国内炭石炭エネルギーが石油エネルギーその他、他のエネルギーにかえられないという、いわゆる石炭エネルギーの方が何か価格的かあるいは使用上か、その他の事情で石炭エネルギーの方が他のエネルギーよりまさっている点があるのかどうなのか、その点をお伺いいたします。
  49. 山本雅司

    説明員山本雅司君) 石炭エネルギーと石油エネルギーに関しましては、戦後の歴史でございますが、まず石炭が大変な主力のエネルギーでございましたが、その後石油価格の低落というのがございまして、炭主油従から油主炭従ということに変わってきまして、大変な国内石炭産業の苦境の時期になったわけでございます。  現在におきましては、石炭エネルギーでなければやれないという非常に石炭のすぐれた点は、一番はっきりしておりますのは鉄鋼生産の場合の原料炭使用でございまして、これは現在のところはほかの方策ではできない状況になっております。その他の一般炭につきましては、現在はやはり石油と競合する状況になっておりますが、第一次石油危機以降、石炭の方が比較的安かったということもございまして、しかも資源の埋蔵量も海外には多いということで、石炭火力発電所が急速にふえてきている、あるいは石油を燃やす火力発電所というのは抑制するという国際的な合意と申しますか約束もございまして、石油を抑えて石炭をふやしていく、こういうような状況になっております。
  50. 向山一人

    ○向山一人君 先ほどの政府のこの第八次石炭政策基本的な考え方の説明の中で、(注)に、平成年度における供給規模一千万トンのうち、電力業界による需要が八百五十万トン、鉄鋼業界による需要はゼロということになっております。これはもうエネルギー推移から考えて、一般的に石炭エネルギーがほかのエネルギーにかえられるのは時代の推移であろうと、私どもこう考えておりますが、六十一年十一月の石炭鉱業審議会答申がございますけれども、これは政府の方では、従来国内炭鉱会社があって、当然石炭を掘っているわけですから、そういうものを中心にして守るために重点を置いておるのか、あるいはそこに働く、雇用の問題を重点に考えているのか、あるいは地域の関係を重点に考えているのか、平成年度にはもう八百五十万トンに減ってしまう運命にあるものを一千万トンなり一千百万トンに維持していこうという、この基本的な考え方、その辺の考え方について簡単にお答えを願いたいと思います。
  51. 長田英機

    説明員長田英機君) この八次石炭政策考え方は、昭和六十一年十一月の審議会の答申に基づくものでございますが、この当時を振り返ってみますと、内外炭格差、いわゆる国内炭が他のエネルギーに比べて非常に価格が高いわけでございます。こういう高い状況下に片やあるということ。しかしながら国内炭は、エネルギー政策において、セキュリティー等の面ですぐれた面もある。片や地域雇用問題の点から重要な意味を持っている。しかし、非常に他のエネルギーに比べて高い。ここの間の調整をどういうふうにするかということが議論になったわけでございまして、そして関係者の間で議論をしました結果、その当時では、昭和六十一年度では石炭供給規模は約千七百万トンでございました。  この供給規模を一千万トンに下げていくということはやむを得ないということで、これを先ほど来議論ございました雪崩閉山にならないように供給規模を下げていこう、こういうことでございまして、先生の御質問の、これは石炭を維持するためなのか、あるいは石炭規模を減らしていくためなのかと申しますと、私どもとしては、おおむね一千万トンの供給規模平成年度につきましては何とかしてこれを維持しなければいけない。ただ、八次策の考えとしては、約一千七百万トン実際ありました供給規模が一千万トンに減っていく、こういうことが各界のコンセンサスであったということでございます。その一環といたしまして、平成年度需要業界の引き取り量がどれくらいになるかということの話し合いが行われまして、電力については八百五十万トン、鉄につきましては最終的にはゼロというような結論が関係者間で決まったわけでございます。
  52. 向山一人

    ○向山一人君 かつて国内炭生産は二千万トンは絶対確保するという時代があったわけでございまして、二千万トンは割らないというようなことから、これはもうエネルギー推移上、当然石炭エネルギーから石油、ガスのエネルギー、あるいはさらには原子力エネルギーに変わり、またこれが自然エネルギーに変わっていくという運命にあるだろうと私どもは考えております。  そこで、今回北炭の閉山がございまして、新聞で見た程度では大変な負債を抱えて倒産に追い込まれております。炭鉱で事故があるたびに非常に関心を持っていろいろ見ますけれども、日本の今の石炭のように、あの地下千メートルも深いところに掘っていって、そして石炭をとらなければならぬという、非常に私ども考えれば、もうそれを考えるだけでもぞっとするような状況の中で炭鉱労働者が働いているわけなんで、そういう関係から、石炭エネルギーというものが既に他のエネルギーに置きかえられていることを考えれば、政府の方で、炭鉱があるから石炭を守らなきゃならぬというふうなもし考えがあるとするならば、私は今のうちに思い切って、この石炭政策の体系の中で挙げている産炭地域の振興対策、この関係ももっと、まあ簡単に企業誘致、インフラ整備、企業財政援助というふうなことが挙がっていますが、政府がもっと思い切って産炭地域については、炭鉱エネルギー推移から見て非常に無理をしてまで、こういう危険な状態を冒してまで――先ほど中小企業庁で説明がありましたが、災害が減っていることは非常に結構ですけれども、恐らく今の炭鉱合理化のロボットによって採炭しているわけじゃありませんし、今の炭鉱の産炭の状況から、これだけ努力して災害を減らしているということは炭鉱の相当コスト高になって、コスト高の上に立ってこういう安全対策を講じているんじゃないか、だから今やっている炭鉱も非常に苦しい状況の中に追い込まれているんじゃないかということが私ども推測できるわけなんです。そうなれば、引き続いて他の炭鉱についても同じような閉山に追い込まれる可能性があると思います。  政府はこれを思い切って、炭鉱が負債の場合に救済をする方法がとられるのかどうなのか。今の時期において私は、産炭地域の産炭振興政策を、国においてもっと大幅に思い切った措置を講じるというようなことができないものかと考えますが、いかがお考えですか。
  53. 長田英機

    説明員長田英機君) 先生指摘のとおり、国内炭のコストが非常に高いわけでございますが、それだけに、今八次策ということで規模を円滑に縮小していくと、こういう議論があると理解しておりますが、ただ、炭鉱におきましてはたくさんの労働者の方、それから地域における重要な役割、こういう面があるわけでございます。  そこで、この炭鉱がある地域につきまして、今後のその地域の開発、できましたらほかの産業を誘致するなり、いろいろな地域の振興をいたしまして雇用の機会を確保し、そして炭鉱の人が希望すれば、そちらでも働けるというような産炭地域の対策を一生懸命やらなきゃいけない、これはもう私どもも当然のことだと考えております。  そういう意味で、昭和三十六年から産炭地域振興臨時措置法という法律がございまして、今日に至るまで何回かの延長を経まして、今日もこの法律に基づいて産炭地対策をやっているわけでございます。この結果、かなりの成果を上げてきたと言えるとは思いますが、まだなおいろいろ問題 の地域も非常に多いわけでございます。そこで、私どもとしても引き続きいろいろな地域の活性化のための知恵を出しながら、その地域に人口が定着し、地域として生き生きとした地域が形成されるように努力しなければいけない。そういう形で、まさに先生おっしゃるとおり、産炭地対策については一生懸命取り組んでいるところでございます。
  54. 向山一人

    ○向山一人君 時間もありませんので最後に、国の政策も一極集中型から多極分散型に転換をする時期に来ておりますし、本当に政府がやろうと思うならば、政府の機関を産炭地へ持っていくこともできるでしょう。あるいは民間の財界に協力を依頼して、産炭地に優先的にやる事業も必ずあると私は考えております。従来の考え以上にもっと深刻に、この石炭エネルギーを日本でこれだけの深度のあるところからとらなきゃならぬという現実を考え、また、こうしたコスト高の石炭でなければならぬものならこれはやむを得ない。そうでないとするならば、石炭エネルギーはだんだんだんだん減少の一途をたどるであろうということは十分予測されますので、その産炭地域に対しての対策を思い切ってひとつ政府でやっていただきたい。特に通産大臣おいでですから、通産大臣のお考えをお聞きして質問を終わります。
  55. 松永光

    国務大臣松永光君) 今、向山先生からいろんな御指摘がございました。地下五百メートル、千メートルという大変なところで掘るということから、輸入炭に比べて大変コストが高い、ならばもう輸入炭に頼ってしまってはどうかという御指摘もありました。しかし、実際のところ国内に賦存する石炭でありますので、エネルギーセキュリティーという点もありますし、それにまた日本の採炭技術は、私は諸外国に比べて最も進んでいる採炭技術じゃないかなと。外国に賦存する石炭資源を我が国が入手する場合においても、その国との技術協力等を通じて石炭を入手するという、そういうふうな状況になってきておりますので、やはり日本のすぐれた採炭技術、これは残していかなきゃならぬという面もあろうかと思います。  しかし、一方、先ほど御指摘のように、海外炭に比べて三倍近い割高、そういったいろいろな要因を考えて、最も望ましい政策はどうあるべきかということで第八次石炭政策、こういうふうになったものだと私は理解をいたしております。したがって、現時点における私ども考え方は、その第八次石炭政策を着実に推進していくことである、平成年度で一千万トン供給体制、そういう状況に持っていくことであるというふうに私は考えておるわけであります。  ただ、閉山等が行われた地域、あるいはまた、前に行われた地域等も含めて、産炭地域は概して経済の活性化という点からいえば、それほど活性化していない地域でありますので、そこに東京圏等にある産業を持っていってはどうかという話もございましたが、これは産業等については企業が自主的に判断してすることでありまして、我々の側ではそれに対する応援措置をするわけでありますけれども産炭地域が企業の側から見て立地するのに望ましい条件があれば企業はその気になるでしょう。  その場合においては補助金の交付とか、あるいは税制上の措置とか、そういった支援体制、これは平成年度では特に力を入れていきたい、こう考えておるわけでありますが、政府機関等については既に大体決まったわけでありまして、どうも産炭地域に行く分は余りないようでありますけれども、さようなわけでありまして、先ほど対馬先生の話にもありましたけれども集中閉山はぜひとも回避したい。そうした中で地域経済、それから閉山に伴う地域の経済の沈下、こういったものに対して十分な対応をしながら、地域の発展を図りつつ、今申したような八次石炭策を着実に推進していくというのが現在ただいまにおける私の務めだと、こう思っている次第でございます。  以上でございます。
  56. 向山一人

    ○向山一人君 終わります。
  57. 白浜一良

    ○白浜一良君 私は、さきの七月の選挙におきまして初当選いたしまして、本参議院に初めて席を設けたわけでございますが、もちろん当調査会における発言も私初めてでございまして、本日テーマになっております石炭問題に関しましては、御列席の諸先輩の皆様と比べまして甚だ浅学の身でございますが、若干基本的な問題につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  当調査会も既にレポートが出ておりまして、私も拝見させていただきました。それを読みましたら、石炭政策というのがいかに極めて重大な問題であるか、政府にとりましても非常に存在意義を問われる問題である、そのように私は理解をしたわけでございます。  実際問題、過去の例を見ましたら、八次にわたる石炭政策が行われたわけでございますが、昭和三十五年と昭和六十二年の資料を比べましたら、稼働している炭鉱の数が六百二十二から二十三、二十七分の一になっております。生産量におきましても五千二百六十万トンから千二百五十七万トン、約五分の一になっておりますし、実働稼働者数におきましても二十六分の一になっているわけでございます。戦後の荒廃した日本が今日非常な発展をしたわけでございますが、実際この発展を支えてこられました石炭産業関係者の皆様の御苦労を思いましたら、本当にどのようにこれを考えたらいいのかということを実感するわけでございます。  そこで、八次政策が行われているわけでございますが、それ以後せめてこの年間一千万トンという体制、何があっても守り通すという、そういう政府の姿勢があるのかどうかということ、またぜひともそういう表明を承りたいというふうに思うわけでございます。そうでなければ最終的にはどのようにお考えになっているのか、そのことをお伺いしたいと思います。大臣並びにエネルギー庁長官の御所見を伺いたいと思うわけでございます。
  58. 長田英機

    説明員長田英機君) 先生質問のおおむね一千万トンの依制、これは八次策の終わりの平成年度でございますので、平成年度までにおおむね一千万トンの供給規模体制を実現するように今一生懸命頑張っているということでございます。  なお、御質問意味が第八次策以降につきましても一千万トンの供給規模を維持すべきかどうかという点であるといたしますと、私ども現在まだ八次策の途上にございまして、この九次策-九次策というのはちょっとおかしいかもしれませんが、八次策以降の対策をどういうような対策にするかという点につきましては、またこの八次策の実施状況をよく見、さらに内外の石炭状況ということを踏まえまして、今後石炭鉱業審議会、そういうような場で検討がなされていく性格のものでございまして、現段階におきましては、第八次政策の後の政策はどのようになるか、一千万トンが維持できるのかどうかということについては何とも申し上げられないということでございます。
  59. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういうことはわかっているわけでございますが、このままいきましたら、コスト面におきましてもいわゆる国内炭がどんどん減少する、閉山に追い込まれるという、そういう流れができるわけでございまして、そういう意味でお考えを質問したわけでございます。  一方で国内炭生産量は減少しているわけでございますが、逆に海外炭の輸入が昨年度でも一億トンを超えているという、需要そのものがふえているということでございまして、政府の見通しにおきましても平成十七年、十六年後には一億五千万トン石炭が必要である、そういう予測をされているわけでございますが、実際問題日本の戦後の高度成長というのは、いわゆる石炭エネルギー源として発展してきたわけでございますし、今後このような大事な資源でございました石炭、特に国内資源をどのように政府として位置づけていらっしゃるのか、お考えを伺いたいと思います。
  60. 山本雅司

    説明員山本雅司君) 石炭の重要性につきましては、御指摘のとおり、現在までの石油中心対策から第一次石油危機、第二次石油危機を経まし て、何としてでも石油への依存を今後少しでも下げていきたい。そのための一番有力な方策として、原子力と並びまして石炭を何とかふやしていこうという形で今政策を進めているわけでございます。したがいまして、現在たしかエネルギー供給の約一八%ぐらいを石炭が占めておりますが、将来ともこの比率を維持し、さらには多少でも上げていきたいというのが基本でございます。  したがいまして、そういう形で石炭に対する期待は将来とも大きいわけでございますが、問題は、今御指摘海外炭国内炭の問題でございます。国内炭の問題は、先ほど来いろいろ御質疑に対して答えておりますように、一定のセキュリティーの問題とか、さらには地域対策、何よりもまた雇用対策といろいろ重要な要請がございます。しかし、現在、エネルギー供給というのは基本的には私企業で行われておりまして、やはり価格ないしはコストという問題が非常に重要なファクターになっておりまして、現在のところ国内石炭と輸入の石炭を比べますと大体価格で約三対一の割合海外炭の方が三分の一ぐらいの値段になっております。したがいまして、こういう状態が続く限り、なかなか国内炭の問題というのは難しい問題をはらんでおると思いますが、将来とも先ほど来の議論にありましたように、国内石炭政策、さらにはそれを総合的なエネルギー政策の中でどう位置づけるか、エネルギー問題、再び将来の方向を出そうということで現在、総合エネルギー調査会でも御審議いただいておりますが、そういうようないろいろの要素を勘案しながら慎重に将来の位置づけというものもしてまいりたいと考えておる段階でございます。
  61. 白浜一良

    ○白浜一良君 そういうことで、三倍以上のコストがかかるから自然と閉山に追い込まれる流れが、産業ですからできるわけでございまして、そこで石炭需要がふえるという流れの中で、いわゆる海外炭国内炭の関係についてお伺いしたいと思いますが、国内炭が圧迫されているということ、これは事実でございまして、そういった面で今後もやはり両者の調整を図らなければ国内炭をいわゆる維持できないという、そういうことになるわけでございまして、そういう面ではIQ制度の活用などによりまして、海外炭を輸入する場合に一定の割合国内炭の取引が義務づけられているわけでございますが、当然この弾力的な運用を図らなきゃならない、当然でございますが、この国内炭需要確保するこの重要性、それに対してどのような対策を推進されようとしているのか、この点をお伺いしたいと思います。  もう一つ、いわゆる国内炭を守るという面で、これはヨーロッパにおいてもそれぞれ国の助成措置がされているわけでございます。私が見ましたデータによりますと、イギリスでも一トン当たり四千二百五十六円、西ドイツでは四千九百十四円、フランスでは九千八百六十一円、これだけトン当たり政府が助成措置をしているという。それに対しまして日本は二千四百八円しかしていないという、こういう統計のデータを私ども見たわけでございますが、この強化を図るべきだと考えるわけでございますが、お答えをいただきたい、このように思っておるところでございます。
  62. 長田英機

    説明員長田英機君) 第一点目のIQに関する御質問でございますが、八次策におきましては、八次策の策定当初に需要業界との間に今後五年間でどういうふうに石炭国内炭を引き取っていくかという基本合意をいたしまして、具体的には毎年毎年話し合って決めることになっております。したがいまして、そこで話し合いが行われますので、その話し合いが円滑に実行されるようにIQというものがあるということでございます。したがいまして、IQを弾力的にすることによって、国内炭がどんどんどんどん需要業界に入れられるように強引にやっていけるのかという御質問であるとすれば、なかなかそういうことは難しいわけでございまして、基本的に話し合いを守る、実行するためにIQがあると、そういうことでございます。  それから、もう一点目の国内炭に対する助成面の問題でございます。石炭政策は石油関係諸税からの税収、これを石炭勘定に入れまして特別会計で管理し、それを石炭対策の歳出に回しているわけでございますが、石炭鉱山に対します助成措置といたしましては、八次策が始まりますときに、規模縮小したりする場合に対応するためのいろいろな交付金を創設いたしましたり、あるいは先ほど来議論がございました過剰貯炭対策として過剰貯炭買い上げるような措置を新たに講じましたり、制度の強化を図ったわけでございまして、その後毎年それぞれ制度についてある程度の改善を加えつつ今日に来ているわけでございます。したがいまして、私どもとしては、これからも改善の余地があるものについてはその改善を図りながら石炭対策を講じていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  63. 白浜一良

    ○白浜一良君 いずれにいたしましても、国内炭を守るためには、やっぱりIQ制度の弾力的運用、政府の財政措置、助成措置というものがなければ守れないわけでございまして、どうか善処をお願い申し上げたいと思うわけでございます。  次に、炭鉱の罹災者に関しまして若干御質問させていただきたいと思います。  先ほどいただきましたデータによりましたら、確かに罹災者数は減少しているわけでございますが、データにも書いてはございますが、六十二年、六十三年、八次政策におきましても十四人のとうとい方が亡くなられているという事実がございます。確かに過去のデータと比べまして少なくなっているという事実は当然でございますが、今炭鉱従事者にとりまして一番大事なことは、やはり生命の不安がある、またそういう閉山に伴う、そういう生活に対する不安というものに直面しているわけでございまして、私もこの九月に北海道調査に行ってまいりましたが、非常に炭鉱地帯が閉塞しております。  そういう事実もあるわけでございますし、また我が党も実は三池炭鉱調査に行きまして、いかに困窮されているかという事実を目の当たりにしたわけでございますが、そのレポートを見ましたら、現地の方がおっしゃっておりますのは、ただ一つ言えるのは、合理化をしたならば道が開けるということは全く不透明である、しなければ将来につながらないということだけが明確である、働く者の雇用と生活を守ることを目的とする労働組合という立場から、どのような気持ちで苦しみ、悩んで連続した合理化に取り組んできたか、また今後取り組まなければならないのか、こういう悲痛な声が寄せられたわけでございますが、今日の日本の経済を支えてきたこの石炭産業、今合理化が進められているわけでございますが、このような従事者に対しまして政府はどのようにお考えになっておるのか。あわせまして、減少しているとはいえ、さまざまなそういう保安の問題があるわけでございまして、保安確保についての対策もお伺いをさせていただきたいと思います。
  64. 長田英機

    説明員長田英機君) 今先生から、合理化によりまして従業員、労働者に生活不安がもたらされるのではないかということでございまして、まさにそれは生活基盤を失うわけでございますから、その当事者にとりましては大変な問題だろうと思います。  私どもといたしましては、合理化に伴いまして退職金などがちゃんと払われるように、いろいろ石炭企業に対しまして閉山交付金を交付するとか、あるいは規模縮小の場合には規模縮小交付金を交付するというようなことをやっております。また離職者の再就職につきましても、私ども企業に対して適切な計画をつくってやるように指導しております。そういうようなことを通じまして、従業員、労働者の方がなるべく不安を持たないように対応をしていきたいと考えているわけでございます。
  65. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 過去の災害のトレンドにつきましては、冒頭、報告のときにお配りいたしました資料にありますように、減少はしてきておるわけでございますが、依然として災害が発生しているではないかという、先生の御指摘のとお りでございます。  保安確保生産の大前提でございまして、国内炭鉱を取り巻く厳しい情勢の中で、保安対策に多少とも緩みがあってはならないということで、保安の万全を期する必要があるというふうに考えております。  当省といたしましては、鉱業権者による自主保安体制の確立ということを基本といたしておるわけでございまして、石炭企業に対する監督指導の実施、適切な支援等の所要の措置を講じておりますが、具体的には例えば鉱務監督官による指導監督を実施いたしますとともに、石炭企業が行います保安確保事業に対する助成措置、あるいは石炭鉱山保安技術に関する研究開発の委託事業、また鉱山保安センターが行う保安教育訓練に対する補助等を行っておるところでございます。
  66. 白浜一良

    ○白浜一良君 本当にほかの産業と比べましたら、二年間で十四人も死ななきゃならないという、そういう産業は実際ないわけでございまして、いろいろ難しい問題であると思いますが、善処をお願い申し上げたいと思います。  次に、労働省にお尋ねいたしますが、先ほどからるる述べられておりますが、いわゆる離職者の雇用対策でございます。それをお示し願いたいわけでございますが、参考のために、近年閉山、解散となりました北炭夕張炭鉱、また三菱の高島炭鉱がございますが、その離職者らに対する対策はどのように進められたのか、御報告をお願いしたいと思います。
  67. 七瀬時雄

    説明員(七瀬時雄君) 炭鉱離職者をめぐる就職状況でございますけれども、いろいろ努力しておりますが、地元に雇用機会が少ないこと、また求職者の方々に何と申しましても地元志向が強いこと、あるいはまた労働条件、特に賃金面でうまく折り合いがつかないというようなことがございまして、全国的には求人状況が非常に改善している中で、炭鉱離職者をめぐる就職状況というのはまことに厳しいものがございます。  こういった中で、労働省といたしましては、従来から地域雇用開発促進法等を活用して、地元に雇用機会をつくることについていろいろと地元市町村等と相談しながら助成する制度でございますとか、あるいは離職者の方々に対して炭鉱離職者求職手帳を発給するとか、あるいはきめ細かな職業相談、さらには機動的な職業訓練制度の活用、そういった面で努力しておる次第でございますし、また求職者の方々の御希望と、あるいは理解を得ながら広域的な職業紹介というようなことにも手を尽くしているところでございます。
  68. 白浜一良

    ○白浜一良君 実際、三菱高島でも就職率は六二・四%でございまして、さまざま難しい問題もあると思いますが、善処をお願い申し上げたいと思います。  時間もございませんので、最後に自治省の方にお伺いしますが、まず炭鉱閉山合理化によりまして、その所在地の自治体は実際存亡の危機に立っているわけでございますが、北海道におきましては人口一万人を切った市もあるわけでございまして、政府の施策でこのような自治体が生じることを基本的にどのように認識されているのか、伺いたいと思います。  次に、今問題になっております幌内炭鉱でございますが、地元三笠市からもいろいろ緊急の要請事項が出ておりますが、自治省として各省庁にどのように調整して推進されるのか。  三つ目に、特別地方交付税の交付をさらに充実させるお考えはあるのかどうか。地域振興対策に必要な財源を拡充配分する考えがあるのかどうか。  以上、三点のお答えをお願いしたいと思います。
  69. 澤井安勇

    説明員(澤井安勇君) 産炭地域におきまして炭鉱閉山が行われた場合には、炭鉱依存度の高い地元の地方公共団体の財政運営等の面でさまざまな厳しい問題が生じることについて十分認識いたしております。このような閉山の事態が生じる場合には、関係省庁の連絡会等を通じまして、閉山に伴う諸問題に係る対策等について検討することといたしておりますので、自治省といたしましても、地元市町村の財政運営等に支障が生じないように適切に対処してまいる考えでございます。  次に、三笠市の緊急要請事項についてでございますが、これにつきましては、その詳細な内容が今後北海道庁を通じまして産炭地域振興関係各省庁等連絡会に提出される予定と聞いております。要請内容がかなり広範にわたっておりますことから、今後、同連絡会等を通じまして検討してまいりたいと考えております。  最後に、産炭地域を有する地方公共団体につきましては、その円滑な財政運営を図りますよう、従来から地方債、地方交付税の配分等について特別の配慮をいたしてきているところでございまして、地方交付税におきまして、例えば昭和六十二年度から炭鉱閉山等の事由によりまして、人口が急減した地域の市町村について特別の財政措置ども講じております。  お尋ねの特別交付税につきましては、鉱害の復旧、産炭地生活保護に要する経費等について措置しておりますほか、閉山等の事情のある団体については、閉山炭鉱の水道施設など閉山施設の処理に係る経費、また炭鉱離職者に係る緊急就労対策事業や職業訓練に要する経費等について現在措置いたしております。  今回のケースにつきましても、北海道を通じましてよく地域の実情を把握いたしまして、また当該三笠市の財政事情、またいろいろな個別の特殊事情もあるやに聞いておりますので、そういった諸事情を勘案し、今後の財政運営に重大な支障が生ずることのないよう適切に対処してまいる考えでございます。
  70. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 私も初質問になりますので、よろしくお願いいたします。  早速ですが、今年度は既に指摘されておりますとおり、第八次政策の三年目の中間点に当たります。二年目の昭和六十三年度生産量は大手合計で一千五十八万トン、これは雑炭を除いての合計ですが、これに今年度計画のうち、わかっているだけでも三池で六十二万トン、芦別で十三万トン、そして今問題になっております幌内が閉山で百十五万トンとすると、合計で百九十万トン減となるわけです。つまり、生産量では現在わかっているだけでも一千五十八万トンから百九十万トンを引いた八百六十八万トンということになるわけです。これは六十三年度で既に第八次政策の最終年度平成年度の一千万トン体制ベースになっていることを意味するわけです。したがって、なだらか閉山ではなくて、急激な閉山あるいは縮小と言わざるを得ません。これが現状ですから、現時点であえて幌内炭鉱閉山をする必要はないものと言えるのではないでしょうか。  そこで、お尋ねしたいのですが、生産影響を与える過剰貯炭約三百四十万トンですが、これを今の生産とは離して特別な手だて対策を講じるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。ここは時間の関係もありますので、恐縮ですけれども結論だけお願いしたいと思います。
  71. 山本雅司

    説明員山本雅司君) それでは簡潔に結論だけ申し上げますと、現在約三百六十万トンの過剰貯炭がございます。しかしながら、この供給需要の問題は、やはり基本的には生産者と需要者の話し合いと申しますか、もっと端的に申し上げますと、商談の結果決まる問題でございます。したがいまして、八次政策におきましては、この過剰貯炭を何とか解消するという形をとりたいということで計画がまとまっておりますから、今後とも鋭意需要業界、生産業界の話し合いでそれを達成するように期待しております。  ただ、私どもといたしましても、この問題は非常に重要な問題だと考えておりますものですから、その話し合いの状況を注意深く見守り、必要があれば側面から対策をとっていきたい、援助をしたい、こういうように考えております。
  72. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 特別な手だて対策を含めて検討をしていただけるというふうに伺ってよろしいわけですね。
  73. 山本雅司

    説明員山本雅司君) 特別な対策というのは、その内容が何かでございますが、先ほどもちょっ と触れましたように、現在八次策の三年目でございまして、制度的に新しいことをやるというのは大変に困難かと存じます。したがいまして、現在ある枠組みの中で、今申し上げましたような需給業界の話し合いを基本にいたしまして、私どもとしてできるだけのことは側面からやっていきたい、こういうことでございます。
  74. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 今後の需給動向を勘案しながら検討していただけるということで、対策を特別に講じていただく希望を述べて、次の質問に移りたいと思います。  私は、二年前の北炭真谷地炭鉱閉山通告のときから、炭鉱労働者の皆さんの闘いに深くかかわってまいりました。閉山通告を受けた炭鉱労働者の、石炭ばっかり掘ってきたこのおれにこれから一体何をしろというのか教えてほしい、血を吐くようなこの言葉を私は今でも忘れることはできません。  ここに、ことし幌内中学校で、生徒が閉山のうわさがある中で「幌内 わたしたちの町」と題した文集をまとめました。これは全部読み上げたいところですけれども、幌内の町、山を思う子供たちの気持ちがあふれておりますが、一つ有田睦美さんという方の作文を紹介したいと思います。   炭鉱の町の子として、やっぱり、閉山はしてほしくないと言いたい。   私達炭鉱の町に住んでいる人々は、閉山すると、どれだけつらい思いをするか知ってほしい。親は新しい職を探さなきゃならない。子供は転校しなきゃならない。職が決まったら、その土地へ引越さなきゃならない。炭鉱の町に住んでいる人の中で、ほとんどの人が引越すと思う。友達とも別れなきゃならないし、とてもつらい、と言う事を政治家の人達に言いたい。  これはすべての生徒たちの共通の思いです。  さて、炭鉱一筋に誇りと生きがいを持ってきた炭鉱労働者と家族の人生を百八十度転換させる閉山提案は、だからこそ、とりわけ退職の条件、雇用対策について納得のできる責任あるものでなければならないと思います。会社の提案の退職者の条件を見ると、労働者と家族の憤りはどんなに大きいか、改めて感ずるものです。  私は、会社提案と国が支出する労働者の退職金見合い分である閉山交付金とを比較してみました。退職者への手当などは、提案でも交付金でも大きく四つの柱から成っております。一つは退職手当、二つは特別加給金、あるいは加算金と呼ばれているものです。三つ目は期末手当、四つ目は解雇予告手当です。単純に比較しますと、会社の提案も交付金も退職手当では同じ、これはただし、交付金は六百万を限度としておりますが、そして期末手当も一人当たり十万円ということで、これも同じです。  そこで、問題は特別加給金です。お手元にお配りした表をごらんください。提案では解雇予告手当を含め三十五日から百日となっており、これはちなみに当初の提案では三十日から七十日、三年未満の人は解雇予告手当のみで、加給金がゼロという大変ひどい内容の提案でありました。交付金では、解雇予告手当は別途算定し、三十日分を見ているのは御承知のとおりです。これを含めると五十三日から百二十九日となるわけです。提案では、すべての人が交付金よりしたがって三日ないし五十四日分下回っております。ちなみに、当初の提案では十三日から七十九日分ということになりますが、これでは交付金を値切り、労働者に渡さないことになります。これは許されないことではないかと思うわけです。ちなみに、このお手元にお配りした表にも参考として記載いたしましたが、三井土砂川の場合でも加給金は百二十日から二百七十日ということで、幌内はこれと比較いたしましても、わずか約四分の一という大変ひどい内容となっております。  幌内鉱は、先ほども指摘されましたけれども昭和五十年のガス爆発以来、期末手当は半額に抑えられ、春闘でも賃上げ率は大手会社の三分の二と、一貫して低く抑えられてきました。同じ北炭の真谷地鉱と比較しても、現地労働者から直接実情も伺ってまいりましたが、賃金格差では一日千十八円となっているということです。労働者も、しかし山を守るためと、この一点で我慢し、犠牲も押しつけられてきたという特別の歴史を持っているのがこの幌内炭鉱でもありました。同じ北炭真谷地鉱との賃金格差の問題を考えるのであればなおさら、交付金すら値切る、こんなことで閉山になったら私は大変だと思います。もちろん、私も交付金だけを当てにしているということではなく、会社みずからに支払う努力をさせる、このことも当然指摘をしておかなければならないところですが、ここで強調しておきたいのは、この北炭の企業の体質、経営姿勢こそ問題だという点です。この点厳しく指導していただかないと労働者は救済されないと思いますが、この点での決意をお伺いいたしたいと思います。特に、大臣にもこの点お伺いしたいところでございます。
  75. 長田英機

    説明員長田英機君) 現在、労使間におきまして退職条件について話し合いが行われております。大分話が煮詰まってきているように聞いておりますが、いずれにせよ、私どもとしては話し合いが円滑につくように指導をしていきたいというふうに考えております。  なお、北炭の幌内炭鉱は非常に経営状況が悪うございまして、金融機関にも債務の返済猶予をお願いしておるというような状況でございます。しかしながら、従来他の炭鉱に比べて賃金水準が非常に低かったと、そういうような事情もございますので、そういう点をよく勘案して話を円滑につけるようにという指導をしているわけでございます。  それから、先生今お配りされましたこの閉山交付金の計算につきましてでございますが、今詳しい説明は省略させていただきますけれども、結論だけ申しますと、この数字で交付金の額が五十三日で、会社の提案が三十日あるいは三十五日と、こうなっておりまして、どうもその差額が会社の懐に入ってしまって外へ出てこないじゃないかというような御指摘でございますが、実は閉山交付金は、ここに書いてお配りしました以外に退職金分というようなものもございまして、全体として計算してその金額を交付するということで、一部とりますとこういうような数字の問題が出てくる局面もあるのでございますけれども、全体として計算して交付するために、交付した金が会社の中にとどまるということは一切ございませんので、その点を申し上げておきたいと思います。
  76. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 最後の点については私もよく承知しているところで、トータルとしては交付金とイコールか、あるいはそれを上回るというケースが多いこともよく知っておりますが、少なくとも会社の姿勢として、閉山交付金の基準を下回っている回答であるという点での厳しい指導を強くお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。  雇用対策についてお尋ねいたしますが、これも一言で言うなら、極めてずさんなものと言わざるを得ません。一つ一つ本来なら取り上げる必要もあるところですが、時間の都合上、一、二点取り上げてみたいと思います。  これも会社提案では、目玉として、誘致企業中心とする雇用対策に最大限の努力を傾注するとなっております。雇用対策の目玉であるこの誘致企業で、会社数二十七社、それから勤務人員二百十五人となっております。  ところで、この点につきまして、私ども直接現地に参りまして調査をしてまいりましたが、三笠市では、北炭から誘致企業がどれくらいあり、どのくらい募集しているのかとの問い合わせがあったので、その数字を市が明らかにしたそのものをただ載せたにすぎないということがわかりました。つまりこのことは、幌内炭鉱閉山で退職を余儀なくされる労働者のために努力をしているということでは全くないことを意味します。だから、当然ながらその企業が現時点雇用するという意思表示を何らしていないという現状にあります。しかも、その誘致企業の実態については、ほとんどが賃金あるいは年齢等についての詳細については面談で決めるということで、その状況がわから ないという中で判明しているだけでも、例えば賃金についてですが、十二万から十三万、あるいは十一万から十三万というものがあり、黒手帳以下のものになっているという点を指摘したいと思います。そして、年齢でも求人は四十五歳以下が全体の六割になっております。ところが、実際の退職者の年齢は、逆に四十五歳以上の方が六割以上というのが現状になっております。そして、それに加えて、会社みずからの努力に属する北炭関係の中で、特に空知炭鉱は何人になっておりますでしょうか。
  77. 長田英機

    説明員長田英機君) 北炭幌内関係のうち、空知炭鉱では五十四名を雇用するというふうに聞いています。
  78. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 五十四名ということですが、ところで、本年度の空知炭鉱合理化計画では、既にこの四月下請労働者を二十五名削減していると聞いていますが、これは事実ですね。
  79. 長田英機

    説明員長田英機君) 御指摘のとおり、二十五名削減しております。
  80. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 空知炭鉱が厳しい経営の中で五十四人採用するということは、これを実行していただければ大変結構なことなのですが、しかし、これも私ども調査では、空知炭鉱は人員の増加はしないということです。つまり、減員分しか補充しないという考え方ですから、五十四人採用するためには五十四人を解雇しなければできないということになるわけです。下請労働者二十五人を切っていながら新たに五十四人採用するということは全く信じられない話ではないでしょうか。五十四人採用のために二十五人の首が切られたのではないかとも言えると思います。現に真谷地鉱閉山のときにも同じように空知炭鉱では七十三人雇用計画が出されましたが、現在二十七人しか決まっておりません。まだ四十六人も残っているという状況にあります。誘致企業の件でも、そして北炭関係部門でも大変雇用計画はずさんだということで、こんないいかげんな雇用計画を内容にした閉山提案だということで、これは認めるわけにはいかないと思うのですが、ここで特に厳格な指導を強く求めたいと思います。その点、両大臣いかがでございましょうか。
  81. 長田英機

    説明員長田英機君) 幌内社の雇用計画につきましては私ども逐次会社から内容を聞いておりまして、その都度この雇用計画の内容を強化し改善するようにいろいろと指導して今日に至っているわけでございます。その間、この雇用の内容につきましても、今御指摘の三笠市における雇用あるいはその周辺における雇用ということで、会社としても市とも相談していると思いますが、充実を図ってきていると、こういうふうに理解しているわけでございます。  それからなお、今先生指摘の空知炭鉱で下請労働者を解雇して、そしてまた、この幌内から下請労働者を雇うというのは何かおかしいのじゃないかと、こういう御質問がございましたが、これは職種によっても、その作業内容によってもいろいろ違うことでございまして、会社は現にその生産のいろいろなやり方を考えて、ある労働者はやめてもらい、そして新たな労働者を雇うということはあるわけでございます。私どもそのように理解しております。
  82. 七瀬時雄

    説明員(七瀬時雄君) 閉山という事態になりました場合には、労働省といたしましても雇用対策に万全を尽くす所存でございますが、御指摘会社側雇用計画の提案については、現在労使間で交渉がなされているとも聞いておりますが、私どもは私どもの立場といたしまして、個々の求人内容について十分精査いたしまして必要な指導をしてまいりたいと考えております。
  83. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 新たな合理化に結びつかないような、とりわけ強い厳しい指導をお願いしまして、最後の質問に移ります。  下請離職者退職支援金制度が本年度からつくられました。私も当時の田村通産大臣と直接山元の労働者と何度もお会いをしてもまいりましたが、おれたちだつて人間なんだ、人間らしく扱ってほしいと粘り強い闘いを重ねてきた下請労働者の皆さんは、殊のほか大変この制度の発足について喜んでおられます。  そこで、せっかく制度をつくっていただいたわけですから、この制度を実効性あるものとするためにも、多くの下請労働者がその対象となることこそ制度をつくった趣旨にもかなうかと思います。そこで、適用に当たり実効あるように弾力的にきめ細かく運用していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  84. 長田英機

    説明員長田英機君) この下請離職者の退職金の支援制度でございますけれども、国会でもいろいろ議論がございまして、そして今年度より新しい制度として発足した、こういうことでございますが、まだその制度の詳細については詰めの段階でございますが、今お話しございましたように、その運用に当たりましては、できるだけきめ細かな運用を図っていくというようなことで制度の実効を上げていきたい、そういうふうに考えています。
  85. 笹野貞子

    笹野貞子君 失礼をいたします。  私ども連合参議院は、今回の参議院選挙で初めての会派であり、会そのものがぴっかびかの一年生で、しかも私もまさにぴっかびかの一年生です。今後ともどうぞいろいろな面でよろしくお願いいたしますことをまず最初にごあいさつ申し上げます。  私たちの会派の質問者が予定で決まっておったわけですけれども、急に一昨日御病気になりまして、特に地元で倒れてしまいましたので、私はきょうはピンチヒッターとして参りました。こういう急遽ピンチヒッターのときには原則論を学ぶのが一番いいのではないかと思いまして、私は第八次策を読んでみました。そして非常に素朴な疑問をきょうはお尋ねすることにいたしました。  第八次策を読みますと、非常にこれは大変合理的、しかも資本の原則に基づいた答申になっております。しかも私は、この非常に合理的という言葉は、ともしますと何か非常に冷たい、経済の原則だけが優先してこの答申がなされているような、そういう感じでこれを読ませていただきました。  特に三のところを見ますと、この三項のところには、これからの石炭産業というのは、つくるだけじゃなくて、需要に合わしていくのがこれが非常に合理的だというふうに書かれております。確かに資本の原理からするならば、まさにそのとおりだというふうに思いますが、しかし、こういう基幹産業というか、非常に重大なエネルギーという問題は、ただコストが高いからコストの安いものを買えばいいんだという、そういう考え方で通していっていいんだろうかという私の素朴な疑問です。しかも、この第八次策によって一万人にも及ぶ離職者が出たわけです。そして今三年たったこの中間点を見ますと、再就職できた人は半分にも満たないのが現状です。しかも、この再就職ばかりではなく町の活性化、あるいはいろいろなところに波及して、私の素朴な意見からしますと、いいところ一つもないんではないか、非常に冷たく、悲劇な部分だけが非常にクローズアップされていっているというふうに感じました。  そこで、私はよく調べてみますと、再就職されている方々も全く意にそぐわない再就職、あるいは町自体寂れて活性化もなくなってしまうという、そういう現状を踏まえましてお尋ねしたいのは、先ほどから一千万トンを維持するんだという、この維持する方に一生懸命力点が置かれているように私は聞きました。それで、私は発想を全く転換をいたしまして、この八次策によって何か悲劇が次々と起きた。そして、この間私が新聞で見ますと、日本は紙の原料、パルプを国外の方が安いからといって、日本の木材を使わずに安いところの木材をどんどん買っていった、それが今、資源をむだにした日本は補償しなさいという国際的におしかりを受けている。石炭というのは、これは資源でありますから有限であります。そうすると、安いからほかの国の石炭をどんどん買う、石油を買うという、資源をただコストだけで買いまくるならば、必ずやいっか木材と同じような現実が、 ツケが回ってくるのではないか。そうしたら、そのツケを払うぐらいだったら、国内需要をきちっと守っている方が私は非常に有益ではないかという、そういう素朴な疑問が起きました。  そこで御質問いたしたいのですけれども、この八次策というのは一千万トンを守るんだ、そして努力をするんだ、そして石炭も自分たちで努力をして供給先を見つけるんだというふうに言ってますけれども、八次策そのものを見直して、もっと石炭を使うように国自体がいろいろな政策、施策を講ずる、そして会社側努力する、そしてそういう需要先を見つけるという、そういう発想を転換し、すなわち八次策を見直し、補強し、補充するという、そういう政策はないのでしょうか。
  86. 長田英機

    説明員長田英機君) 八次策をつくりましたときにはいろいろな議論がございましたが、基本的にはやはり国内炭の競争力が非常に弱くて、他のエネルギーに比較してなかなかその競争の基本的条件が変更されない、難しいというようなことが背景にございまして、需要業界の方では国内炭の引き取りというものに極めて消極的であったわけなんでございます。ただ、片や先生指摘のとおり、石炭国内炭という問題は経済原則、そういうコストだけの問題ではないと思います。エネルギー政策全体として考えなければいけませんし、セキュリティーの面から見れば、一番国内炭はセキュリティーに対応できるものだという考え方も当然あろうかと思います。ただ、セキュリティーの問題もこれは石炭だけで考えるのではなくて、例えばその後の状況を見ても石油依存度は下がっております、オイルショックのころに比べれば。さらに石油の備蓄ということもやるようになりました。いろいろな点で、エネルギーのセキュリティー確保という点についても施策が展開されてまいりました。そういう状況下で国内炭のセキュリティーという問題もやはり考えなきゃいけない。いずれにせよ、エネルギー政策としての位置づけというのは、もちろん十分に議論したわけでございます。  さらに、申すまでもなくその地域、雇用、こういう面における重要さ、これは否定すべくもない状況でございます。このような相反すると申しますか、いろいろなファクター、また、この議論する過程におきましては、過去に石炭が非常に日本の経済のために役に立ってきたというようなことももちろん頭に入れて、いろいろな見地を総合化してできたのがこの八次策でございます。そういう意味で、私ども政府としては、この八次策が皆様方のコンセンサスでございますから、これを何とか円滑に実施していきたいということで、一生懸命これに取り組んでいる状況でございまして、ちょうど今年度が真ん中の年に当たるわけでございまして、なおこの八次策をしたがいまして変更しようというような考え方は今のところはないわけでございまして、これに一生懸命取り組んでいると、そういうことでございます。
  87. 笹野貞子

    笹野貞子君 今のお話の中で、これを六十一年につくったときはコンセンサスだというお話がありましたけれども、ちょっと私は異論がありまして、三年もたちまして、当時は連合参議院などというのは全然影も形もなかったわけですが、三年たちますと私どもがここで発言するという、やっぱり世の中は変わっておりますので、今コンセンサスをとるならば、私はまた違ったものが出てくるのではないかというふうに思っております。  さて、時間がありませんので最後の質問をさしていただきますけれども、この八次策によって大変な離職者が出る、一万人に及ぶ離職者が出るということなんですが、今日本のいろいろな物の考え方の中できめ細かく、先ほどもお話がありましたけれども、きめ細かく、そして私たちは生活を豊かにするという、そういう政策を望んでいるわけですが、そのきめ細かくとか豊かな政策というのは人間一人ではなくて、つまり人間関係の家族関係、夫婦、親子、家族という問題を非常に大切にするという、その豊かさというのが今問われているわけです。  この今の時代に一万人の離職者の再就職に当たって、これは必ず再就職をせざるを得ません。そのまま失業状態でほうっておくわけにいきませんから。何らかの政府はそこに、この八次策の五項目を見ますとそのことが、必ず一生懸命万全を期すというふうに書かれておりますけれども、その万全の中に、必ず再就職する場合に、家族がばらばらの離散家族というのをいかに防ぐか、また子供の学校という問題について、どのような手だてをしながら親と子供とを引き離さないという、こういう非常にきめ細かい政策として、どのように他の官庁とタイアップしながらこの政策をつくったのか、お答えいただきたいと思います。
  88. 長田英機

    説明員長田英機君) 炭鉱閉山になりました場合には大量の離職者が出まして、先生御心配のようなことが非常に懸念されるわけでございますが、基本はその地域になるべく企業を誘致して、雇用の機会を確保するということが非常に重要なことじゃないかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、その地区に企業を誘致するために通産省としても一生懸命取り組んでいるわけでございまして、究極的にはその地域の活性化を図る、その地域をどういうふうに将来発展させていくかということで、長期的にはそういう問題も非常に重要だと思うわけでございまして、いろいろなアイデアを募り、事業を興すためのいろいろな助成、そういうことを通産省はやっているわけでございます。  それからなお、先生指摘閉山があった場合に子供たちの教育の問題とか、教育以外でもいろいろな問題が生じてくると思いますが、そういう意味で、私たちは各省の連絡会を設けまして、仮に閉山がありました場合、各省協力してあらゆる問題点をそこに持ち上げてきまして、総合的に連絡をとり合いながら対応できるようにしていこうというふうにやって、そういういろいろ生ずる問題の解決を図ろうという努力をしているわけでございます。
  89. 笹野貞子

    笹野貞子君 総論としては非常によくわかりましたけれども、具体的な問題としまして、公立高校の子供というのは転校が非常に難しいわけです。そういう点、特別の難しい問題に対して具体的に配慮はどのようになさったのでしょうか。
  90. 長田英機

    説明員長田英機君) 従来の高校生の転入学の問題でございますが、これは今私が申し上げましたような各省の連絡会の場を通じて関係の省庁に要請をいたしまして、そしてその関係省庁からまたさらに都道府県、県庁の方にその指導が行われまして、それによってこの転校問題について対応している、そういうことでございます。
  91. 足立良平

    ○足立良平君 私も実は質問が初めてでございますが、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  基本的な考え方をまず申し述べておきたいと思いますけれども、第八次石炭政策の中に盛り込まれております残存炭鉱対策の問題あるいは雇用対策、あるいは地域活性化対策等の問題につきましては、政府として積極的に遂行していくべきことが責務である、このように実は考えているところでございます。特に、先ほど来議論が出ているわけでございますけれども雇用対策に関しましては、離職者の再雇用の道が都市部にはあるが、地元にないという地域的ミスマッチという問題があるわけでございますので、そういう面で、きめの細かい配慮と血の通った対応を政府の責任において図るように強くまず要請をしておきたいと、このように思うわけでございます。その上で、今後の我が国の石炭需給のあり方に関しまして二、三、質問をしておきたい、このように思うわけでございます。  まず第一点目でございますが、我が国のこのエネルギー安全保障確保のために、エネルギーの多様化と、そして海外依存度の引き下げを図る必要があるのではないか、このように考えているわけであります。一方、今日におきましては、石油あるいはまた石炭、あるいはLNGも含めてでございますけれども、この化石エネルギーの過度の利用に関しまして、地球規模での環境問題というものが論議をされようといたしているわけでござい まして、そうした問題を踏まえまして、この一次エネルギーの中における石油あるいは石炭、あるいは原子力、あるいは水力、あるいはLNGなどの将来の位置づけに関しまして、エネルギーのベストミックスという観点から、エネルギー庁としては一体どのようにお考えになっているのか、所見をお伺いいたしたいと思います。
  92. 山本雅司

    説明員山本雅司君) エネルギー問題につきましては、何よりもその安定供給を図らなければならないことは仰せのとおりでございます。我が国の場合、現在におきましても石油への依存度が先進諸国、ほかの国に比べまして高くて、六十三年度数字は、つい二、三日前に最終集計ができましたが、五七・三%になっております。したがいまして、将来を見越しまして何とかこれを引き下げなければならないというのが基本的な第一の要請でございます。  ただ、これにかわるエネルギーといたしましては、今御指摘のような石炭につきましては、現在徐々に輸入炭がふえておりまして、一億トンを超しておりますけれども、現在一次エネルギー供給の約一八%、一八・一か二ぐらいの数字でございます。それからあとはLNG、原子力、これがほぼ九%をちょっと超したところの数字になっております。それから、国産の有効なエネルギーと言われております水力につきましても、これはやはり国内の水力資源、なかなか大幅の増加が難しいというような状況に至っております。  したがいまして、こういう現在の姿を将来どう持っていくかというのは大変難しい問題でございまして、将来、例えば二〇〇〇年、あるいは現在ではもうエネルギー問題というのは非常に長期を要しますから、二〇一〇年を念頭に置きまして、どのようなエネルギーのベストミックスをつくるかというのが最大の課題になっております。その場合に、今御指摘のように、国際的なエネルギー供給の安定性、さらには最近非常に国際的に問題になっております地球規模での環境、あるいは温暖化に対する対策、さらには国内的には原子力に対する国民の皆様方の後不安というような問題もいろいろございます。したがいまして、それぞれのエネルギーについてのいわゆるメリット、デメリットというのも総合的に勘案いたしまして、何とか国民のコンセンサスを得て、将来のエネルギーのベストミックスを見出したいということで、現在鋭意検討をしている段階でございます。
  93. 足立良平

    ○足立良平君 エネルギー問題というのはそういう面で、今長官からも答弁ありましたけれども、極めて国際的に見ると戦略的に、しかも冷静に議論をしていかなきゃならない、そういう課題を持っているというふうに思いますので、それ以上は本日の課題から外れますので、ちょっと省略をして次に回したいと、こう思います。  さて、その上に立ちまして、先ほど来これも出ているわけでございますが、この国内炭、いわゆる国内のセキュリティーの面からでございますけれども国内炭が既に当初報告がございましたように、十分の一程度しかないわけでございまして、これでもっていわゆるセキュリティーというものが達成することができているのかと、こういうふうに実は疑問を持つわけであります。当然石炭問題というのは雇用の問題、あるいはまた地域の問題、あるいは松永大臣もちょっと触れられておりましたけれども、採炭技術の保持の問題とか、いろいろな問題があろうと思いますけれども、この国内エネルギー安全保障という面から考えまして、この十分の一の程度で本当に賄っていくことができるのかどうなのか、この点についてお考えをお聞きいたしたいと思います。
  94. 山本雅司

    説明員山本雅司君) 確かに国内石炭問題は、やはりエネルギー供給の安定性、セキュリティーという問題も一つの重要な考慮要素でございます。  ただ、先ほど来御議論がございましたように、現在、国内石炭の価格が輸入炭に比べまして約三倍の水準になっております。この石炭需要家というのは基本的には私企業でございまして、やはり私企業としては、最大限合理的な原料入手をしなければならないということで、需要業界、生産業界の血のにじむような話し合いの結果、現在の第八次石炭政策ができておりまして、それが現在進行中でございまして、結果的には、今御指摘のような石炭全体の供給の中に占める国内炭割合が一割強の状況になっております。したがいまして、今後これをどう持っていくかというのは、先ほどもございましたように、現在は八次政策を何としてでも円滑に遂行したい。これ自体関係者の大変な努力を要することだと思いますが、それを懸命になって今遂行しているちょうど中間の段階でございます。したがいまして、今後さらに将来のことを考えます場合には、今のエネルギーの安定供給、さらには石炭全体の中に占める国内石炭の果たすべき役割等、いろいろ総合的に勘案して今後とも慎重に検討しなければならない課題であるというように承知しております。
  95. 足立良平

    ○足立良平君 それでは、さらにちょっともう少し議論を進めてみたいと思うのでありますけれども、それぞれの各炭鉱が今だんだん閉山に追い込まれようといたしているわけでありますけれども、問題は需要の側をどのように喚起をしていくかという問題も一方で考えてみなきゃいかぬだろう、このように思うわけであります。  そういう観点からいたしますと、既に第八次で触れられておりますが、この一千万トン体制の中で電力業界が八百五十万トンを引き取っていくということは明確になっているわけであります。その他の各産業におきましては、ほとんどゼロに近い状況に相なっている。こういうことでありまして、今までのそれぞれの各委員の皆さん方の質問の中からも出ておるわけでございますが、ちょうど六十一年にこの第八次答申が、政策が決定をいたしましたときのその各業界におけるコンセンサスとして、一千万トンなりあるいはまたそれぞれの需要先というものが決定したと、このように報告を受けました。  ちょうど六十一年、三年前を振り返ってみますと、いわゆる円高による産業構造というものが急激に変化をしている。そして各業界におきましても大変な状態であったわけでありまして、したがって、今日の産業のそれぞれの好況の状況と、三年前における各産業が、例えば国内炭を引き受けるに当たって若干いろんな問題はありましょうけれども、引き受けていこうというのと相当状況的には私はやっぱりこの三年間で大きな変化をしてきているんじゃないか、このように思うわけであります。  したがって、そういう面からいたしまして、この各業界の負担の公平化のために、電力だけでなしに他の産業分野におきましても需要確保対策というものを講ずることについて、通産として一体どのようにお考えになっているのか、ひとつお聞かせを願いたい、このように思います。
  96. 山本雅司

    説明員山本雅司君) 確かに今御指摘のとおり、三年前の状況と現在とは三年間の違いがございますし、それぞれの企業経営の内容も違っている点は確かでございます。  ただ、今御指摘のように、第八次策の最終年度で電力が八百五十万トン、その他の産業で約百二十万トンを期待しているということで、需要業界供給業界で一応コンセンサスができております。そこで、現在それではどういう問題があるかと申しますと、やはり先ほど申しましたような内外炭の価格差というのは依然三対一のような割合でございますし、それから需要業界といたしましてもさらなる合理化と申しますか、国際競争はますます激化しているというような客観情勢もございます。したがいまして、現在の八次策の最終年度における八百五十万トンなり百二十万トンの需要確保、これを確保することは大変な関係者の協力を得なければならないという状況でございます。  さらに、先ほど対馬先生からも強く御指摘がございましたような過剰貯炭問題というのも抱えておるわけでございます。したがいまして、現在のところは何としてでもこの八次策を円滑に遂行したいということで手いっぱいの状態だというのが 正直なところでございます。したがいまして、今後これが本当に実現でき、さらに将来どうするかというのは、またこれからの国際状況国内状況、その他総合的に勘案して、さらなる検討をする必要があるかと思いますが、現在は、何としてでもこの円滑な遂行に全力を挙げたいというのが現在の基本姿勢でございます。
  97. 足立良平

    ○足立良平君 時間も迫っておりますので、最後に質問申し上げたいと思います。  私の本日質問させていただきました一番基本的な考え方は、エネルギーというのはベストミックスの状態で、いろんなエネルギー源を確保しながら、そして我が国の経済、国民生活の安定を図っていかなければならない、この視点は揺るがしてはならない、こういうふうに思っているわけであります。  したがって、そういう観点でもう一点だけ最後にお聞きをいたしておきたいというふうに思うのでありますけれども、このセキュリティーを確保するという面におきましては、石炭の利用を拡大していく、いわゆるこれは単に石炭としてだけでなしに、石炭液化とかその他のいろんな技術開発に伴って石炭需要というものをさらに伸ばしていくことが可能ではないか、あるいはまたその他の石油の問題とか、いろんな国際的な関係の中でエネルギー安全保障ということを確保していくことができるんではないか、このように思っているわけでございます。そういう観点で、石炭液化その他の技術開発が私は大変重要であるというふうに思っているわけでございまして、それの現状と、そして今後の方向性につきましてお考えをひとつ述べていただきたい、こう思います。
  98. 長田英機

    説明員長田英機君) 石炭の利用を拡大するための技術開発につきましては、私ども先生の御指摘のとおりだと考えておりまして、石炭は石油代替エネルギーの重要な地位を占めているわけでございますから、これからもその石炭利用を円滑に推進していくという意味で、いろいろな分野の技術開発をしていかなきゃならないと思っております。こういう点から、従来からコール・ウォーター・ミクスチャーと、こう言っておりますが、CWM、あるいはコールカートリッジシステム、CCSと言っておりますが、このように石炭を非常に使いやすい形態にしていくというやり方、あるいは流動床燃焼技術等の技術開発ということで、非常に多方面にわたった技術開発現実にやっております。  さらに長期的な話になりますが、先生指摘石炭の気体、または液体として使う、石炭のガス化、液化、こういう問題にもまた取り組んでおります。そういうことで、石炭につきまして国内炭なかなか厳しい状況にあるのでございますが、石炭自体として考えれば、なおまだ利用の促進をしていかなきゃいけない、その利用をしやすいようにいろいろ多方面の技術開発をやっていきたい、このための予算も確保していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  99. 足立良平

    ○足立良平君 終わります。
  100. 横溝克己

    ○横溝克己君 私も初めての経験でございますので、よろしくお願いいたします。  既にたくさんの質問が出てまいりましたけれども、例えば第八次の石炭政策基本的な考え方といいますか、こういうのを見ますと、大体毎年百五十万トンぐらいずつ生産量が落ちていくということでございます。そうしますと、数年足らずでゼロになってしまう。それから、平均年齢が四十五歳を超えている人たちでございますので、年金等を考えますと、あと十年ぐらいが非常に問題だろうと。それから、輸入炭が三分の一である。それから定年退職者が多い。こういうことを考えますと、やはり石炭産業の維持という点では先細りであるということが一つございます。  それでもう一つ、八次の石炭政策基本的考え方の第二項にございますように、石炭産業自己努力が必要であるということでございます。石炭産業は一番最後になって閉山だとかいうことになって、大変な費用がかかるわけでございますけれども、もう既にこういう先ほどうなるかということは労使ともにわかっていることではないか。あるいは行政の面でも九次とか十次というような石炭政策はないと言われておりますけれども、見通しはつくわけでございます。  現在、もっと問題になっているのは、やはり石炭がどうなるかということも同時なんですけれども、従業員の就労問題をどうするか。石炭産業がもし閉山したときの地域産業はどうするか、地域の振興をどうするかというようなことが問題になっているんだろう。こういうことはもうわかっているわけですから、企業中心にしてあらかじめ地域振興を図っていくという、これ閉山というのが目的じゃないんですけれども、そういうことが必要なんだろう。例えば鉄鋼とか電機産業なんかでは、定年退職者に定年に向けて四十五歳とか五十歳ぐらいになったら新しい技術を覚えさせる、これ現在の仕事と関係ないんですね。定年後に職につけるように、あるいは国家資格を取らせる、こういうことを既に学校までつくってやっているわけです。  そういう対策をもう既に事前にやっておりますので、そういうシルバー計画といいますか、そういうことを考えながら、また地域産業、子会社をつくっていろんなことをやるとか、大変盛んにやっております。鉄鋼なんかは三十ぐらい子会社をつくって、そのうちの約十くらいがいわゆるソフトウエア関係、あと二十ぐらいがサービス産業、こういうようなことで、三十ぐらいで半分ぐらいに減らした人間を吸収しようということをやっているわけでございますから、観点をそちらの方にむしろ向けてやるべきではないか。第八次石炭政策では、「親会社、関連グループ」と書いてありますけれども、むしろそういうところは、今石炭関係ではないんじゃないかということがございますので、そういうところを含めた地域振興も考えてよろしいだろう。こういうことでひとつ、一番費用を使います通産関係の方の御見解がいただけたらありがたいと思います。
  101. 長田英機

    説明員長田英機君) 先生指摘のとおりでございまして、ふだんから企業がいろいろと他の分野についても事業展開をして、いざというときのために、そちらに雇用を吸収できるようにというようなことは私どもも考えておりまして、企業ともいろいろ話をしたりしているのでございまして、石炭企業でも親会社がいろいろな他分野に進出しているものも相当ございます。また、一例で申しますと、北海道の住友石炭でございますが、これは花の分野とか家畜の分野とか、いろいろそういう分野に進出しましたり、また九州でいえば、三井鉱山がいろいろな子会社をつくって事業展開をしているというようなこともございます。ただ、石炭企業は力が弱いものでございますから、必ずしもほかの企業と同じように十分にできるかどうかわかりませんけれども、そういう面の努力を私たちもやるようにいろいろと指導しているわけでございます。
  102. 横溝克己

    ○横溝克己君 次は、坑内の保安の問題について御質問したいと思います。  実は私も何年か前に一回、全国八カ所ぐらい測定のために潜ったことがございますけれども、今後、残存の鉱山といいますか、そういったところでは、やはり予定によりますと、どんどん採炭量が減ってくるということがございます。そうしますと、そういう炭価の中に占める固定費的といいますか、現在では半分くらいが労務費だそうでございますが、しかし運搬の搬出だとか、それから坑内の保全だとか、それから保安費というのはそう下がることはございませんので、ますますそういう点では炭価の中に占める割合が多くなってくる。そうなりますと、保安の点で多少問題も出てきます。万一事故なんかありますと、大変な人的あるいは価格的な損害を受けるわけでございますが、事情を知っている現地の人は、やはりなかなかいざとなるときついことも言えなくなるという点もあるんではないかと思いますが、これはまた別問題でございますので、その点でひとつ保安に対しては十分に質を落とさないようにということをお願いしたいのですが、いかがでございますか。
  103. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 保安確保生産の大前提でございまして、生産規模のいかんにかかわらず、保安対策に揺るぎが生ずることのないように、保安確保に万全を期す必要があるというのは御指摘のとおりでございます。このために、合理化等に際しましても、炭鉱労使一体となった保安確保の主体的な努力が要請されますとともに、政府といたしましても、石炭企業に対する支援の拡充あるいは監督指導の強化等の所要の措置を講じているところでございます。  具体的には、生産規模縮小に際しまして保安対策に問題が生ずることのないよう、石炭企業が行います保安確保事業に対する補助の拡充強化を進めるとともに、生産体制の強化に対応した適切な保安計画を策定させまして、また、保安要員の適正配置による保安管理体制の整備等についてもきめ細かい監督指導を行っていくようにしているところでございます。
  104. 横溝克己

    ○横溝克己君 今、保安問題が出ました。特に高齢者がだんだん多くなりますので、マンベルトに乗って現場まで行くとか、これはなかなか大変なことでございますので、そういう安全対策についてもひとつ御考慮願いたいと思います。  それからもう一つ、時間がなくなりましたので最後に伺いますが、閉山しましてからの再就職者、こういった人たちのひとつ訓練の問題についてでございますが、皆さん中高年齢者以上の人たち、四十五歳前後から上だろうと思いますのですが、こういった人たちの訓練というのは、私の経験上ですと、若い人の二、三倍はかかるわけでございます。特に根気と期間と費用が余計かかります。こういう訓練は往々にしていろんな計画が若い人の例でいくのがございまして、そうしますと、途中でもうそういうのはだめになってしまう、結局中途半端になりまして、大変費用もむだ遣いになるということがございますので、こういう点で特に高齢者の問題についてひとつ配慮をお願いしたいと思います。  それから、非常に職種が変わりますと、かつての国鉄ないしは鉄鋼の例で見られるように、四十四、五歳というと、もう技術的に非常に安定している、家庭の方の生活も安定している。そういう人たちが急に変わりまして、若い人たちと競争すると、全然競争にならないくらい能力が落ちている。そういうことで、極端な例は家庭崩壊までいく例がございます。そういうこともございますので、そういう特質を考慮して、しかもできたら地元で似たような企業に就職できることが一番の理想でございますが、そういう点を配慮してひとつ訓練をしていただきたいと思います。
  105. 伊藤欣士

    説明員(伊藤欣士君) 先生指摘のように、現在職業生活に入った形で、生涯職業訓練という形で若いときから退職の後にかけてまで能力を開発するということは、我が国社会にとっても必要な事業であるということで、職業訓練の体系も、学校を出てすぐというような形の養成訓練、それから在職中にいろいろ技能を向上するという意味の向上訓練、それから離職したとか転職したという場合の能力再開発訓練という形で、いろいろ体系づけているわけでございます。そういう中で、種々生涯教育訓練の立場から事業主に対する助成であるとか、労働者個人個人に対する自己開発の給付金というような形で、あらゆるステージで訓練ができますように配慮しておるところでございます。  先生指摘のように、炭鉱離職者の場合につきましては非常に中高年齢者の方が多いということで、特に現在問題になっておりますような集中的に離職者が出てくる場合につきましては、能力再開発訓練という形で、特に当該北海道地域におきましては、専ら能力再開発訓練をやります技能開発センターというところで中高年を主体とした訓練を各種やっております。また、訓練の実施に当たりましては、ニーズのあります科目を設定いたしまして、その必要な期間を設定する、受講する科目に応じまして六カ月とか一年とかというような形で工夫をしているわけでございます。また、地域のニーズに応ずる、訓練施設だけでは必ずしもすべての訓練科目ができないということもございまして、地域の事業主の方、それから事業主の団体に訓練を委託いたしまして、それぞれの場で訓練を行うというような形で中高年齢離職者の方の能力再開発に資するとともに、その訓練が早期の再就職に結びつくよう機動的、効果的に現在やっておる、そういう方向で努力しておるところでございますし、今後もそのように努力してまいりたいと思います。
  106. 横溝克己

    ○横溝克己君 質問を終わります。
  107. 小山一平

    会長小山一平君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  なお、本日、政府側から提出いただきました参考資料のうち、発言内容把握のため必要と思われるものにつきましては、本日の会議録の末尾に掲載させていただきたいと存じますので、御了承をいただきたいと存じます。     ―――――――――――――
  108. 小山一平

    会長小山一平君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、笹野貞子君が委員辞任され、その補欠として古川太三郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  109. 小山一平

    会長小山一平君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 小山一平

    会長小山一平君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事古川太三郎君を指名いたします。     ―――――――――――――
  111. 小山一平

    会長小山一平君) 本日、自民党席の空席が目立ちます。理事におかれては、次回よりその改善に御努力されるよう御要請を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十八分散会      ―――――・―――――