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国務大臣(村山達雄君) 消費税が適用されましてから約一カ月になるわけでございます。その間、
一つは転嫁の問題がどうなっておるのか、それから第二番目には、売り場における精算事務が具体的にどうなっておるのか、それから消費者物価にどういう影響を与えているのか、そういう点に今中心を置いて検討しているわけでございます。
一つは、転嫁の問題につきましては、おおむねやはり消費税法あるいは税革法が予期したような転嫁が行われつつある、こういうふうに
認識いたしております。
それから、精算事務につきましても、現場に行きましたり、いろいろの推進本部の報告を聞きましても、おおむねいっているようでございます。ただ、つり銭なんかの問題で多少問題がある。
それから、第一点のその転嫁の問題については、まだ値
決めを
決めかねている人が若干おる、こういうふうに判断しております。
それから、消費者物価につきましては、東京都区部の物価が出ております。それからまた、個別的に調べました通産省の調査あるいは企画庁の調査、こういうものを見ておりますと、転嫁の方は、企画庁それから通産省の調べましたのは、大体転嫁のやり方でございますが、これはおおむねスムーズにいっておる、こういう答えが出ております。
それから、物価の方でございますが、東京都区部の物価が対前月総合で一・四%値上がりになった。つまり、それがもし消費税の作用であるとすれば、一・四%前月に比べて上がっておるわけでございます。ただ、これは生鮮食料品を含んでおりますので、生鮮食料品を除いた季節調整済みの上昇率で言いますとちょうど一・二%となる、これは企画庁の方の報告でございます。で、企画庁の方でどれぐらい値上がりになるであろうかという予測をいたしましたが、これがちょうど一・二%でございまして、ちょうど一致しているということでございます。これはたまたまでございましょう。まだまだ、この一カ月限りではまだわかりません。
それから、前年同月比で二・六%上がっている。しかし、東京都区部の上がり方は、全国に比べますと大分上がり方がきついということは、三月の前年同月比をそれぞれ見てみますと、全国では一・一、それから東京都区部では一・七でございますから、ちょうど〇・六差があるわけでございます。全国の分は今月の末にしか出ませんが、仮に〇・六というものを引いてみますと、これは引くことがいいかどうか別にしまして、引きますと、ちょうど二%になるわけでございます。これまた経済企画庁が予測いたしました今
年度の消費者物価上昇率は、この消費税の影響を含めて二%と、こういうので、これもくしくも一致している、こういうことでございます。
しかし、これは物価でございまして、まだ全部の人が値
決めを
決めたわけではございませんし、季節がありますから、今後やはり五月分を見ていく、それからずっと見ていきませんと、本当にたまたま合ったというだけでございまして、我々はこれで大丈夫だということを、この物価の上昇率の計数からは直ちには論断できないと思います。
むしろ、通産省なりあるいは企画庁が調べました値上げの問題ですね、これが物品税等と関係のないものにつきましては、これは通産省でございますけれども、おおむね三%以内におさまっておる。それから、物品税と関係のあるものについては、ずっとみんな下げておる、こういう答えが出ております。物品税と関係のないもので三%を上回っているというものがたった
一つあったそうでございますが、それを見ておりますと、これはバーゲンセールをその前の三月はやったと、そういうものだけが上がっておる、こういう答えになっております。したがいまして、値上げその他はまずまず予定したところに行っておる。それから、消費者物価に与える影響も、最終的にはなお今後慎重に検討する必要がありますが、まずまずいいところに行っておると思っております。
ただ、ここはそこまでの話でございますが、奥さん方になかなか不満が多いということはよく承知しております。よく聞いてみますと、やはりこの税制改革全体の意味、あるいは所得税、住民税で非常に安くなっているということがなかなか御理解していただけない。御案内のように、もう平均いたしまして、サラリーマンの全体の平均をとりますと五万一千円安くなるという、計算上出ておるわけでございますが、そういうことがなかなかおわかりにならない。むしろ、ごく簡単に申しますと、奥さん方は、だんなさんがもらったものは税引きでもらうわけでございますから、これは手取りがふえたのは税制改正のおかげだとはなかなか受け取らぬかもしれぬ。だんなさんがよく働いてくれたと、こう思っておるかもしれませんが、しかし今度は、消費税になりますと、これは内税でございますと物価が上がったということになりますが、適正転嫁のために外税にしておりますから、今度は奥さん方は、まるで直接税を取られたような感覚が当然出てくるだろうと思うんです。
ですから、奥さん方の心理で言うと、全貌がわからないと、手取りが余計になったのはだんなさんの働きのせいだとか、あるいは外税になっておりますと、払うのはこれは消費税のせいだと、こういう感覚を持つのはある意味で当然かもしれぬ。そう思いますので、我々はこれから
全力を挙げまして税制改正の意義、それから消費税の本当の持っている意味をPRしてまいりたいと思います。
それから、見直し等の問題でございますが、これはもう今度のやつは事務負担を少なくするためにやったのでございまして、ぎりぎり公平という問題も
考えましたけれども、そこに簡素という問題で事務負担を少なくしようということでございまして、これは最初からの政策判断の問題でございました。ただ、野党との
お話で見直し規定が入っておりますので、それは率直に検討してまいりまして、直すべきものであれば直すことにやぶさかではございませんけれども、これも慎重に見てまいりたい、このように思っております。