○岩本政光君
予算委員会派遣第一班の調査について御報告いたします。
第一班は、初村
委員長、野沢、近藤、勝木の各理事及び私、岩本の五名で編成され、三月十三日から十五日までの三日間、長崎、熊本両県を訪問し、九州の産業経済の動向、消費税に対する地方の
状況、長崎、熊本両県の財政の実情を調査するとともに、地域の抱える問題に関し、
関係者からの意見を聴取してまいりました。
まず、産業経済の動向ですが、九州経済も昭和六十年九月のプラザ合意以来、輸出比率の高い造船、鉄鋼を中心に収益が悪化し、景気は足踏みをしましたが、円高メリットを受ける産業もあり、全体としてはうまく対応しました。そして、一昨年春の緊急経済対策や原油価格の低下、金利安、企業の自助努力から急速な景気回復が起こり、地域や業種にばらつきがあるものの、現在は、設備投資、個人消費等内需主導型の経済拡大が見られます。しかし、造船や産炭地を抱えた長崎県では回復のテンポがおくれぎみで、最近、松浦火力発電所や上五島石油備蓄基地の建設、豪華客船の発注などがあり、今後、経済の活発化が
期待されております。
次に、消費税に対する地方の
状況ですが、税務当局は消費税の円滑な定着を図るため、積極的な広報、親切な相談、納税業者への適切な指導を三本柱に導入の準備を進めております。特に福岡管内では、四月までに三百四十回の
説明会を予定し、熊本管内では、納税義務対象者九万一千人に
説明会への参加を促すなどの措置を講じております。
関係者によれば、転嫁及び便乗値上げに対する懸念は一般論として
説明会等で表明されており、また地方自治体の中には、消費税を内部努力で吸収し、公共料金の
引き上げを回避する事例も見受けられるとの
説明もありました。
長崎、熊本両県の財政
状況ですが、いずれも昭和六十二
年度決算は形式及び実質収支とも黒字であります。両県は、景気振興を図るため、投資的
経費をふやす積極的財政運営を行っていますが、地方
税収比率が全国水準をかなり下回るなど、国の財源に依存する割合が高く、財政力指数が低いことでも共通しております。長崎、熊本両県は、固有の特殊事情を抱えつつ、経済の活性化、財政基盤の強化に努めており、その観点からも九州新幹線の早期建設、九州横断道路の建設など、多くの陳情が国に対してなされました。
最後に、長崎県商工
会議所連合会会長中
部長次郎君及び長崎県農業協同組合中央会会長緒方秀隆君より、地域の抱える問題について意見を拝聴いたしましたので申し上げます。
中部
参考人は、景気が回復基調にあるが、基幹産業の造船が低迷しており、経済の活性化が当面の課題である、このためには、経済の波及効果も大きい九州新幹線の建設や長崎空港の整備、都市再開発等のプロジェクトをぜひ実施されたい旨の意見を述べ、また緒方
参考人より、農協も国際化の中での農業の確立を目指し取り組むが、国も米の自由化を阻止するとともに食管制度の根幹を堅持すること、足腰の強い産地づくりのための助成を強化し、農業基盤整備については地域の特性を加味した
事業費の配分を願いたい旨の意見を述べられました。
さらに、長崎県沖合の密漁問題を含め広く現地調査及び視察を行いましたが、その詳細は文書報告に譲らさせていただきます。
なお、
委員長の手元に詳細な派遣報告を
提出いたしましたので、
会議録に掲載していただきますようお願い申し上げます。
以上で口頭報告を終わります。