○本岡昭次君 私は、
日本社会党・
護憲共同を代表し、ただいま
議題となりました
租税特別措置法の一部を
改正する
法律案に対し、
反対の
討論を行います。
本
法律案はさきに自民党単独で強行
成立させた
消費税実施を第一の目的にしているのでありますが、
政府は、現下の政治
状況において、これほど拒否反応の強い
消費税の導入が果たしてうまくいくとでも本気に考えているのでありましょうか。
国民は既に竹下自民党
内閣に不信任を突きつけているのであります。そのことは自民党の皆さんが一番御存じのはずであります。二月の福岡参議院補欠選挙を初め、宮城、千葉の知事選挙など一連の選挙結果で明らかであります。さらに、竹下
内閣の支持率は、各報道機関の世論調査において歴代
内閣の最低記録を更新し続け、遂に一けたになる実態は何よりの証拠であります。国民の合意を全く欠いたまま、公約に違反し、しかもリクルート汚職に汚れた手で
消費税を強行したのが根本的な間違いであります。したがって、竹下
内閣が今選択すべきことは、
消費税の実施でなく、直ちにこれを凍結し、総辞職して国民に信を問うことだけなのであります。
消費税については、竹下
総理も逆進性を初め九つの懸念を挙げ、その欠陥を認めています。
政府の宣伝する大型減税も、低中所得層には
消費税の逆進性が強く影響し、
消費税が過重な負担になるなど、その懸念は何一つ解消されていないのであります。特に、今まで税金を納めていなかった高齢者や母子世帯などの低所得者は、今さらのようにこの税の逆進性を実感し、寡婦控除の引き上げや補正
予算に盛り込まれた福祉一時金、来
年度予算の生活保護基準、年金の引き上げなどのごまかしては火のついた怒りを消すことができないのであります。
中小
事業者の納税事務の簡素化のためにと導入した簡易
課税方式、限界控除、免税
事業者の仕組みは、税の二大
原則である公平、中立に反し、業種間に大きな不公平を生み出しています。自由
経済の根幹を揺るがすカルテルは、大企業を潤すだけで、中小企業はかえって窮地に陥りかねないのであります。その結果として、
消費者の納めた
消費税が四千八百億円も国に納入されず、その税金が大企業の利益として吸い上げられていくことを制度として認めるなど、到底納得できるものではありません。
このように、
消費税は
経済に対して中立てなく、税制の命とも言うべき公平性を欠いた欠陥税制であることが明白となりました。にもかかわらず、
大蔵大臣は、若干の混乱は新税であるゆえの摩擦熱とか、減税とセットで考えてもらえばわかるはずなどと放言し、
政府みずからが認めた欠陥税制の帰結であることを認めようといたしておりません。
一方では、好況を反映して八七年度当初見積もりを上回る租税収入があり、今年度も補正で既に五兆円を上回るほどの好調が続いているのでありまして、
財政上からは
消費税の実施を急ぐ
理由は全くないのであります。
消費税導入の
理由に高齢化社会への対応を挙げながら、自民党
政府にはそれへの具体的展望もありません。逆にうたい文句とは裏腹に、年金支給開始年齢を六十五歳に引き下げたり、あるいはまた八九
年度予算案には防衛費の突出ばかりが目立つなど、社会保障が後退している始末であります。
今、日本列島は
消費税パニックに陥り、国民は津々浦々から
消費税の中止を求めているのであります。
政府は、素直にこの国民の声に耳を傾け、とりあえず
消費税の四月一日実施を凍結し、時間的余裕を持って自後の処理に当たるべきなのであります。
これが
消費税実施を前提とした本法案に
反対する第一の
理由であります。第二に、本法案に盛り込まれている
消費税導入円滑化対策の具体的
内容自体にも問題があることです。
寡婦控除の八万円引き上げ、確定申告
期限の
経過措置、その他業種ごとの配慮がなされておりますが、いかにも場当たり的で、到底
消費税の欠陥を補うものとは言えません。個人
事業者に対する
消費税確定申告
期限を三月にすることが合理的であるならば本法で
措置すべきであり、業種ごとの
特別措置はその効果が不明なばかりか、税制をますます複雑にするものであって、このような
特別措置を講ずるよりも、税制論議を一からやり直すべきことを主張いたします。
第三に、土地税制改革の不十分さについて指摘いたします。
地価の高騰と資産格差の拡大が公平化社会を破壊する要因となっている今日、土地に対する価値観を含む抜本的な土地対策は急務であります。その上に抜本的な土地税制の確立が求められておりますが、その具体的構想もないまま、本法案では、登録免許税の
課税標準の特例廃止や収用等の譲渡所得の特別控除を三千万円から五千万円に、農地の保有
合理化等の場合は五百万円から八百万円に引き上げるなどの
改正を行うこととしています。果たしてそれがどれほどの意味を持つのか。税負担の公平確保のために資産
課税の強化が強く叫ばれているとき、方向感覚のない
改正は逆行的でさえもあります。
我が党はこれまで、租税
特別措置を
原則的に廃止し、
社会政策的に必要のあるものは
歳出をもって充てるよう主張してきました。それは不公平税制是正の中心課題でもありますが、
消費税を取り込んだ税体系が強行されたことによって逆に封じられてしまったことはまことに遺憾であります。それを証明するかのように、本
法律では新たな
特別措置が加えられる始末で、断じて容認できません。
以上が本法案に
反対する
理由でありますが、繰り返し、
消費税の中止、
内閣の総辞職を強く求めて、私の
反対討論を終わります。(
拍手)