○渕上貞雄君
日本社会党の渕上貞雄でございます。
私は、
日本社会党・
護憲共同を代表して、ただいま
議題となりました国の
補助金等の
整理及び
合理化並びに臨時
特例等に関する
法律案について、
総理並びに
関係閣僚に
質問をいたします。
まず、
竹下総理及び
政府閣僚の皆さんに強調し、申し上げたいことは、私がこの参議院に議席を得ました最大の原因の
一つは、皆さん方が
国民との約束を破られ、
国民がその公約違反に対して鋭い
批判の意思を表明した事実があるということであります。みずからは
リクルート株で大もうけしたのではないかと疑惑を持たれ、
国民から強い
政治不信が表明されているにもかかわらず、
国民には公約違反の
消費税を押しつけるとは何事ぞ、絶対に許せない、こうした声は我が福岡県だけでなく、宮城県、千葉県を初め全国に巻き起こっております。私は、
竹下総理の反省を促し、過ちを悔い改めることは今からでも遅くないことを強調しておきたいと思います。
さて、地方
財政は地方税、交付税、国庫支出金、そして地方債を主たる歳入としており、当然
消費税問題は地方
財政対策問題として、補助金問題とも切り離して
議論できない問題であります。自治省等は、昨年来再三にわたり全国の自治体に
消費税転嫁に関する通達等を出し、
価格転嫁は自治体の責任としておりますが、全国の自治体において、相次いで一部または全部の
転嫁見送りが決定され、
消費税の
廃止、延期の決議、
意見書が続々と採択されております。自治体ばかりではありません。高速道路のように
政府関係特殊法人においてすら、
転嫁の一部見送りを決めております。
政府及び
与党は、法案
修正までして
価格転嫁が
消費税の前提であると強調してきましたが、少なくとも四月からの
転嫁ができないことがはっきりいたしました。
竹下総理が表明されている九つの
懸念も何
一つ解消されておりません。昨年の
税制改革においては、地方
財政は交付税、譲与税を含めても差し引き八千八百億円の減収となっており、
消費税の混乱には耐えられません。少なくとも
消費税の四月
実施を凍結ないし延期すべきと
考えますが、
総理の
見解を問います。
また、自治体が
価格転嫁できないのは、その成立の経過と
消費税自体の構造的欠陥に原因があり、自治体に責任があるのではなく、
政府に責任の全部があります。東京都の場合は、
与党の政調会長が
転嫁見送りに関与すらしています。
政府内においては、
転嫁しないのは自治体が裕福であるからだとか、交付
税率の変更を示唆し恫喝するような言動が見受けられますが、言語道断であります。自治大臣は、地方自治を擁護する立場にありながら、国の無理を地方に押しつけ、ペナルティーの
議論まで黙認するのでしょうか。明快な御
答弁をお願いいたします。
政府の約束違反は、
消費税だけではなく、このいわゆる補助金カット法案もそうであります。当初は一九八五
年度限りとされ、
政府は
地方公共団体とかたく約束したはずであります。それが八六
年度からは三年間限りと
延長され、八七
年度にはさらにカットが拡大し、ようやく三年間が終わったら、国の負担金の多くはカットが恒久化され、負担金と補助金の一部は再び暫定
措置として
延長されるということは、明確な約束違反ではありませんか。
竹下総理は
消費税導入による逆進性の中和は福祉などにかかわる歳出の充実で行うと明名されてきましたが、生活保護を初めとする福祉や文教
関係の国の負担金のカットの恒久化はその約束にも逆行するものではないですか。この点についても
総理の明快な
答弁を求めます。
さらに、補助負担金のカット法案が
国会に提出されるたびに、
政府に対して立法府である
国会は明確な要請を行い、
政府も
努力すると約束をしているはずであります。それは、第一には、一括法案という常任委員会
制度を無視した
法案提出のやり方を改めること、第二に、
国会の審議権、とりわけ参議院の審議権を保障することであります。
こうした過去の立法府との経緯に対して全く口をぬぐい、一括法案として提出し、わずか二日間の審議しかできないような仕掛けをつくるというのは極めて遺憾であります。このようなやり方は、
国会の権威を形骸化し、立法そのものの権威をも低めるものにほかなりません。
総理並びに
大蔵大臣は、このような立法府軽視に対して、どう謝罪し、今後どうするおつもりなのか、明快に
お答えをいただきたいと存じます。
次に、私は国と地方の
財政関係について伺います。
まず、なぜ補助負担金をカットしなければならないのか、不思議でたまりません。一九八五
年度以来、税の自然増収の伸びは順調に続き、
政府はその都度当初
予算で
予定されていた赤字公債の発行を縮減しております。つまり、国の
財政再建は順調に進んでいるのであります。ところが、地方に対しては平然と
財政負担の
転嫁を行っております。一九七五
年度以来の地方
財政の財源不足額は、その大半を財源対策債など地方の借金で手当てをされ、さらにこの五年間における補助負担金のカットによって地方
財政においては一般会計だけでも約五兆円の
影響が出ております。
国は借金を順調に減らし、地方には借金を強要することをどのように説明するのでしょうか。大蔵省は金が現実にないからと言いますが、地方にもないのです。なぜ、国の借金を減らし、地方がいわれもない借金をしなければならないのか、
大蔵大臣、自治大臣の明快な
見解を求めます。
また、
竹下内閣の内政の柱の
一つとしてふるさと創生が提案されており、一市町村当たり一律一億円の臨時交付を行うとされていますが、五年間で五兆円、八九
年度はさらに一兆三千八百億円余の補助金カットを行うことはふるさと創生、
地域振興と明らかに矛盾いたします。一億円は、言葉は悪いですが、自治体への慰謝料なのでしょうか。
竹下総理御自身に御説明を願いたいと存じます。
さらに、具体的な問題についてお伺いをいたします。
第一には、生活保護については、八四
年度負担率八〇%であったものが八五
年度から八八
年度にあっては七〇%とされていましたが、八九
年度からは七五%で恒久化されることとなりました。その財源
措置として国のたばこ税の一部が地方交付税の対象税目に算入されたことは承知しておりますが、補助金というものと国庫負担金というものの性格が混同されているのではないでしょうか。どのように
整理されて七五%という数字が出てきたのか、はっきりお示しを願いたいと存じます。
第二に、児童福祉、老人福祉、身体障害者福祉、精神薄弱者福祉等の負担率については、八九
年度以降は五〇%で恒久化されることとなりました。機関委任事務の
整理合理化によって団体事務となったから復元は難しいという説明がなされております。もしそうであるなら、機関委任事務と団体委任事務、そして団体事務の確固たる定義、性格の違い、国と地方の普遍的な負担
関係について自治大臣からお示しをいただきたいと存じます。
第三に、義務教育費の負担率について、共済長期負担金は八七
年度から三分の一とされていたものが、八九
年度は八分の三、九〇
年度以降は二分の一に復元されることとなりました。また、恩給は一般財源化されることになりました。恩給もそうですが、共済費用は給与費の重要な構成要素です。明確に義務教育費は国庫負担の対象でもあるものを、なぜ区別し、重大な国と地方間の負担変更を行うのか、
大蔵大臣、自治大臣に明快な
答弁を求めます。
第四に、投資的経費については今後二年間の暫定
措置として補助負担率カットが
延長されることとなり、今後、
関係省庁間で
検討会を設置することとされました。ただし、八七
年度の補助負担率の引き下げ分については九一
年度から復元するとしております。また約束が破られるのではないかという心配は当然であります。本当に二年間でカットが中止されるのでしょうか。また、農業
関係の基盤整備も随分とカットされています。農業の構造改善事業の
推進のためにも自由化対策、基盤整備に対する補助を拡大すべきと
考えますが、農林水産大臣の
所見を問います。
さらに、国と地方間の事務事業の
見直しと権限移譲問題もそのまま残存しており、新行革審、国と地方の
関係に関する小委員会で審議中と聞いております。自治体への権限移譲は、総務庁が行ったアンケート調査でも強い要求があります。今回の
措置がこれまでの暫定
措置の固定化を意味することを
考えれば、少なくとも国と地方間の事務事業の
見直しと権限移譲が同時に提案されるべきでありますが、
竹下総理の決意と
見解を求めます。
最後に、最近の
内閣支持率の急落を見ましても、
国民の
竹下内閣に対する
批判はもはや
不信任と言ってよく、
国民は
総理にただひたすら忍耐することではなく、
政治的決断を求めております。日本の宰相として賢明な進退を選択されることを求めて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣竹下登君
登壇、
拍手〕