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政府委員(
松山光治君) お尋ねの土地
税制との
関係につきましては、なかなか経過のある話でもございますので、若干お時間をいただきたいというふうに思うわけでございますけれ
ども、まず相続税の納税猶予
制度との
関係でございます。
御案内のように、被相続人の
農業の用に供されておりました
農地等につきまして、相続人が引き続き
農業経営を行うというふうに
農業委員会が認めました場合には、
農業投資
価格を超えます部分の相続税の納税が猶予される。さらに二十年間営農を継続いたしました場合等、
一定の要件を満たした場合にはこれが免除されるというのが相続税の納税猶予
制度の中身でございます。この
制度は、御案内のように自作地が主体の我が国の
農業経営におきまして、相続時における
経営の細分化を防止するための
特例措置ということで、みずから
農地を所有し、
農業経営を営んでおる
農地についてだけ認められるということであるわけでございまして、そういう
意味では
特定農地貸し
付けに供してみずから
耕作しないということになります場合には、この納税猶予
制度の適用がないということになるわけでございます。
そこで、私
どもとしましても、貸し
付け型の市民農園にすきまして、この問題をどういうふうに
考えていくかといろいろと実は検討してきたところでございますけれ
ども、その適用対象を貸し
付け農地にまで拡大するということは、今申しましたようなことでできておる
制度でございますので、納税猶予
制度の根幹に実はかかわる問題だという問題が
一つあるわけでございます。さらに、
農業以外の中小零細
企業との
関係からすると、均衡を失するじゃないかといったような
税制上の御議論もございまして、そもそも
農地を
農業者に
農業目的で貸し
付けるという場合にも、この納税猶予
制度の継続が認められておらない実は
実情にあるわけでございまして、そういう
意味からいたしますと、貸し
付け型の市民農園の適用というのは実現の
見通しの立っておらない、極めて難しい問題だと申し上げざるを得ないわけでございます。
ただ、この際申し上げておきたい点は、今般の相続税の
税制改正によりまして、相続税の基礎控除が二倍に引き上げられることになりました。そういう
意味で、
農業地域におきますほとんどの
農地を初めといたしまして、相当程度の
農地がこの
特例措置の適用を必ずしも必要としない、こういう
状況になったのではなかろうかというふうに思っているわけでございますけれ
ども、かなりの程度の市街化区域内
農地については、必ずしもそう言いにくい
実情にあることはそのとおりでございます。
市街化区域内
農地の
税制全体の話は、総合土地
対策要綱にもございますように、これから市街化区域内
農地の問題全体としてひとつ見直し、検討していくということになるわけでございますが、今申し上げましたようなことを勘案いたしますと、地価の著しく高い都市
地域で市民農園を開設するに当たりましては、相続税との
関係では、
農地所有者がみずから開設いたします、これまでやっておりましたいわゆる入園契約方式で実施するように指導していくというのが現実的ではなかろうか、実はこのように
考えておるわけでございます。
そのほかに、お尋ねの長期営農継続
農地制度の点の
関係の話もあるわけでございます。御案内のように現在の長期営農継続
農地制度、昭和五十七年に
制度化されたものでございまして、現に
耕作の用に供されてかつ十年以上営農を継続することが適当であるということで、市長の認定を受けましたものにつきましては、
農地課税相当額を超える部分の徴収を猶予いたしまして、設定後五年ごとに引き続きちゃんとした
農地として保全されておるという場合には納税義務が免除される、こういうような仕組みに相なっておるわけでございます。
特定農地貸し
付けの用に供される
農地につきましては、これは一般の
農地と同じように
耕作の用に供されるには違いないわけでございますが、非
農業者であります都市住民が営利を目的としない形で使うということに相なりますれば、営農に供されると言えるかという実は議論がございまして、やっぱり長期営農継続
農地として設定されました
農地が、地方公共団体等に貸し
付けられるといったような場合には、この徴収猶予が取り消されることになるという、そういう扱いになるように承知をいたしておるわけであります。
ただ、これから申し上げますような場合には、宅地並み課税に対する実は
特例扱いがございます。
一つは、
生産緑地法の
生産緑地として指定された場合、これは
農地として利用されておれば
農地課税が行われる。また、公共あるいは公用に供するために
市町村等に無償で貸し
付けた場合、これも非課税になるわけでございまして、現に
市町村が今入園契約で開設しておるものの中には非課税扱いになっているものも幾つかあるというふうに承知をいたしておるわけでございます。
したがいまして、当面は今申し上げましたような扱いの話になっていくわけでございますが、これもまた御案内のとおり市街化区域内の
農地の
税制面の扱い、これから総合土地
対策要綱に基づいて宅地化するものと保全するものの区分けをはっきりさしていくという、
基本的な
考え方のもとに必要な見直しをやっていく、こういう
政府としての扱いになっているわけでございます。私
ども、いろいろと経緯のある話でございますし、なかなか扱いの難しい問題でございますが、今申し上げましたような経緯も踏まえながら、幅広い
観点から、これから慎重に検討していきたいと、こういうふうに
考えておる次第でございます。