○渕上貞雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました
地方交付税法等の一部を改正する
法律案につきまして、反対の討論を行います。以下、反対
理由を簡潔に述べます。
第一に、地方交付税は
全国三千三百
自治体の固有の財源であり、その安定は
自治体の
財政運営に欠くことができません。しかるに、最近の本案に対する国会審議は極めて短時間であり、十分な審議も保障されておりません。この原因が
政府・与党の強引な国会運営にあることは明白であります。十兆円を超える重大な
財政法案がこのように軽々しく扱われる事態が続くなら、交付税制度は近い将来深刻な危機を迎えることとなり、その責任は挙げて
自治省、そして立法府にあります。来年度以降、かかることのなく、法案重要性に見合った慎重審議が十分に行われるよう強く要望いたします。
第二に、本案は消費税の強行導入に伴う初年度の財源補てん
措置を定めておりますが、国民ひとしく反対している公約
違反の消費税は廃止する以外にありません。消費税によって地方
財政は重大な悪
影響を受けており、本案に盛り込まれている
措置も極めて不十分なものであります。
政府・自民党は消費税の
見直し作業に着手するとしておりますが、構造的に欠陥を持っている消費税は手直してはなく、廃止する以外にありません。私は直ちに廃止のための協議を開催するよう要求いたします。
第三に、本案は、国庫補助負担率の特例
措置に係る財源補てん
措置が定められておりますが、この特例の固定化及び延長が重大なる約束
違反であることは論をまちません。地方との約束を破り、次々と新たな
財政転嫁を求める
政府の姿勢では地方自治も
地域振興も発展し得ないことは明白であります。私は国庫補助負担率の完全復元と国庫補助負担制度の拡充を強く要求いたします。
第四に、八九年度地方
財政が表面的には財源超過の現象にありながら、住民福祉向上よりも
財政至上主義を優先させ、福祉、民生
関係の予算は充実していないことは地方自治、地方
財政計画の趣旨を損ねるものにほかなりません。さらに、国の責任によって発生した過去の交付税特別会計の借入金を交付税を使って返済するための基金が盛り込まれていますが、これは交付税制度をゆがめるものであり、今日の税収
状況等を勘案すれば国の責任で財源
措置を行うことを強く求めます。
第五に、
地域振興のためにも
地域金融、
自治体金融制度の拡充が要請される
もとで、地方債の
発行条件について
政府保証債と格差が生じる事態となっておりますが、これは
政府の地方
財政、税制、金融政策の不適切さを如実に物語るものであり早急に改善されるべきであります。
第六に、
政府は既に三年間にわたり二兆円から五兆円に及ぶ租税
収入の過少見積もりを毎年度意図的に行い、またその補正後の使途も極めて不適切であります。このような作為は、
財政の単年度主義を形骸化させ、国会の予算審議権すら侵害するものであり、また基準
財政需要額の適切な
見直しをも阻害するものであります。またそのためもあって、近年の交付税は極めて複雑となっており、
財政民主主義から遠ざかる結果となっております。
以上、本交付税法等改正案が極めて不十分かつ不適切な
内容であることを強調いたしまして、私の反対討論を終わります。