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政府委員(
津田正君)
地方制度調査会の答申は、元生が今お述べになったとおりでございますが、その場合におきましても、かねてからの
地方制度調査会の
基本的スタンスは、前回の答申におきましてもその後に続いて書いておるわけでございますが、「
国庫補助負担率のあり方については、当
調査会がかねてから述べてきた原則に立ちかえって、各事業の性格、国と
地方の役割分担等国庫補助負担
制度本来の意義に即して
措置すべきである。」と、こういうような
基本的スタンスを持っておるわけでございます。
そして私どもといたしましては、経済
情勢の
変化あるいは国の財政事情の
変化というようなことでございますし、
地方団体の要望等も含めまして単純
復元ということがわかりやすいわけでございますが、正直申しまして、国庫当局がまだ特例公債を脱却するに至っていない、まだ来年を残しておるというような
状況におきまして、従来のいわゆるシーリングによります予算編成
方針というものを変える段階ではない、ここいらから議論が国庫当局、私ども、また関係各省等間でも難航したわけでございます。
そこで私どもといたしましては、いわゆる簡単明瞭な
復元というような段階からさらに議論を詰めてまいります際の観点を申しますと、いわゆる経常経費系統、
生活保護であるとか
社会福祉等でございますが、ここいらはまさしく
生活保護の
措置をしなければならない人がいる、あるいは保育に欠ける児童がいるということになります。
地方団体としては待ったなしで
措置をしなきゃならぬわけです。ところが、その裏にございます
国庫補助負担率が何年間かの暫定
措置というようなことでふらふらしておるのでは、そういうような福祉行政を
中心といたします経常経費、安定した行政運営もできませんし、
財政関係におきましても安定ができないわけでございます。
それから、
先生方からも御指摘いただきましたように、経常経費系統の暫定
措置に係ります
財源措置につきまして、残念ながら
地方債の増発も入れておかなければならなかった、経常経費に赤字
地方債的なものを入れるのはおかしいじゃないかという厳しい御批判も受けておったわけでございますので、何としても経常経費系統は問題をこの際片づけたい、かように考えたわけでございます。そういうことで、
生活保護費、これは国の責任が一番重いものでございますから、七〇%と切り下げられたものを七五に戻す、しかし八〇まではいかない。これの考え方は、国庫当局の
基本的スタンスは、
国庫補助負担金は二分の一が原則、国の責任が重いものは三分の二、
地方の責任が重いものは三分の一、こういう単純な見解でございますが、私どもは、やっぱり
生活保護というのは三分の二の話ではない、もう一段上ということで実は四分の三という数字、これは何も八〇%と七五%を単純に足して二で割ったわけではございませんで、むしろ大蔵側の主張の三分の二ということではなくてもう一段上の四分の三、こういうようなところまで引き上げる
努力をし、また八〇%の差額につきましては交付団体にすべて
財源が行き渡りますよう、
たばこ税の交付税化につきましては、全額交付団体もカウントするという
措置をとったわけでございます。
それから、保育所等の関係につきましては、これは六十年に設けられました補助金問題検討会におきまして、もっと
権限移譲をしろ、こういう答申がなされておりました。そして、それに基づきまして、行革関連の
権限移譲一括法、六十一年十二月に成立した法律でございますが、
権限移譲させたわけでございます。
権限移譲させた方は暫定
措置じゃなくて永久
措置としてさせた。今回、この保育所等の関係を補助率を戻す、それじゃ
権限もせっかく
地方に渡したものを国にまた戻すかと。これは
地方自治の本旨からすれば、やはりまず
権限移譲というものは定着させる。そして今後、福祉関係につきましてはコミュニティーケアというような観点の方向に進むのだと思います。さらに
地方団体への
権限移譲を進めていく必要がある。そういうような
基本的観点におきまして、補助率としては二分の一ということでのんだわけでございますが、これにつきましても一定限度の
財源措置を講じたわけでございます。
義務教育につきましては、三つに分けてそれぞれ
対策をとったわけでございます。
それから公共事業につきましては、これはうちの大臣が一番強硬なわけですが、直轄事業みたいに、国がナショナルプロジェクトで責任を持つべきものは国の責任がもっと強くあってしかるべきだ、こういうようなことで臨みました。ところが補助事業につきましては、まさしく端的に言えば、補助率が下がって嫌ならばやらなきゃいいわけでございます。ところが直轄事業はそうはいかないわけで、国がやるといった場合に、
地方で幾ら持て、こういうふうに決まってしまうものでございますから、補助事業については私ども弾力的に、そして事業量の
確保という点もございまして、二年間の暫定
措置。ただし、六十二
年度の引き下げ
措置というものは、これはもう景気がいよいよ悪いので何とかしてくれということでやったものですから、それはもうだめと。
ただ六十一
年度は、若干補助金問題検討会等で議論したという経緯もあるものですから、これはどうするか今後の
課題。しかし六十二
年度は、少なくとも
平成三
年度にもう一度
見直しのときにはこれは戻す、こういうような約束をさせ、かつ直轄事業につきましては、交付団体一〇〇%元利償還金について国が責任を持て、このような
解決策をとったわけでございます。
地方制度調査会の
基本的なスタンスという国庫補助
制度本来のあり方、国と
地方との役割分担、こういうものを念頭に置きつつ
解決に
努力したわけでございます。
地方団体の要望した、あるいは
地方制度調査会が端的に答申いたしました結果とは若干異なった結果でございますが、
基本的なスタンスとしては間違ってない
措置ができたのではないか。しかし、まだ公共事業の問題を抱えておりまして、これについても今後適切な検討を進めていかなければならないと考えております。