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政府委員(足立
和基君) 先生御指摘のように、過去におきましてかなり金利の高い時期に
発行いたしました
国債は現在でもそのまま残ってございますので、現在元
年度末で百六十二兆になろうとしておりますが、六十三
年度末で利付債の合計額が約百五十二兆ぐらいございます。それの平均利率は六・三%ぐらいになってございます。一番新しい
国債のクーポンは四・九%で
発行してございますから、かなり金利の格差というものはあるわけでございまして、これを低利で、高クーポンの
国債を現在の金利で借りかえることができれば
財政負担もかなり減少する、こういう御指摘はしばしばいただくわけでございます。
そこで、ただ問題は、このような金利が総体的に低い場面におきましては、期限未到来の、過去において高金利で
発行いたしております
国債というものは、今現在流通市場におきまして額面を上回る価格で取引されてございますので、これを一方的に新規の
国債を
発行いたしまして現金を
調達して、それで繰り上げ
償還しようといたしますと、流通市場で百何円というようなものを百円で
償還することになりますので、
国債保有者に対して不測の損害を与えるということになります。これは、先生今シ団とおっしゃいましたが、シ団は確かに
国債の安定
償還、ラストリゾートと申しますか、
最後の引受者といたしまして残額引受責任がございますが、現実には、先ほど来申し上げておりますように、
国債というものは転々流通いたしてございまして、金融法人であるとか、あるいは個人も、先ほど御指摘がございましたように若干最近額が減る傾向にはございますが、いろいろ法人、個人を通じて、要するに
日本国民が広く
国債を保有しておるわけでございます。そういうようなことを考えますと、現実には
国債の繰り上げ
償還というものは法律上あるいは
国債の券面にも繰り上げ
償還がし得ると書いてございますから、制度上可能でございますが、現実に流通市場で価格が高くついておるものを額面で
償還いたすということになりますと、
国債市場というのは実は流通市場はめちゃめちゃになってしまう、これから
国債を
発行するということが非常に難しくなってくる、こういうような事情がございます。
それでは、実際に流通市場においてある程度の高い価格であれば、それで買い入れ償却をしたらどうだ、こういう議論が次にございます。この場合にも、これは
国債整理基金の特会法におきまして
計算上の利益があったら買い入れ償却してもよろしい、こういうことになってございますが、現実に流通市場の価格でもって買い入れ償却をいたしますと、
計算をいろいろいたしてみておるわけでございますが、必ずしも
財政負担の軽減にはつながらない、やはり高い価格で
国債を買い入れ償却するということになりますと、むしろ
財政負担がふえてしまう、こういうような問題を抱えてございまして、残念ながら私
ども繰り上げ
償還あるいは買い入れ償却というようなことができないのではないかと考えておるわけでございます。
最近では先進国におきましても、すべて繰り上げ
償還条項というのは実はつかない、そうでないと市場が育成されないという問題がございます。それからなお、シ団の抜本的
見直しをしたらどうだ、こういう御指摘がございまして、これについても最近、今
年度の四月初めから
国債の中心物でございます十年物につきまして四〇%の一部競争入札制度というのを導入したところでございまして、できるだけ市場実勢を尊重しつつ市場の透明性、公平性というようなものを
確保したいと考えてございますが、これはどこの国でも
国債の安定消化という
最後のラストリゾートみたいなものを持っていない国は実はないわけでございまして、我が国におきましてはそれがシ団制度である、こういうことを考えてございますので、最近におきましては、
国債の
償還について本当に懸念がないような
状況でございますけれ
ども、やはりシ団制度そのものは維持していきたい、このように考えております。