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1989-06-22 第114回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年六月二十二日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  六月二十日     辞任         補欠選任      千葉 景子君     梶原 敬義君  六月二十一日     辞任         補欠選任      伏見 康治君    広中 和歌子君  六月二十二日     辞任         補欠選任     広中 和歌子君     伏見 康治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮澤  弘君     理 事                 中曽根弘文君                 前田 勲男君                 市川 正一君     委 員                 岩本 政光君                 大木  浩君                 下条進一郎君                 平井 卓志君                 降矢 敬義君                 松浦 孝治君                 梶原 敬義君                 高杉 廸忠君                 広中和歌子君                 伏見 康治君                 矢原 秀男君                 井上  計君                 木本平八郎君    国務大臣        通商産業大臣   梶山 静六君        通商産業大臣官        房長       山本 幸助君        通商産業大臣官        房総務審議官   内藤 正久君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        高橋 達直君        通商産業大臣官        房審議官     横田 捷宏君        通商産業省通商        政策局長     鈴木 直道君        通商産業省通商        政策局次長    南学 政明君        通商産業省貿易        局長       熊野 英昭君        通商産業省産業        政策局長     児玉 幸治君        通商産業省立地        公害局長     高木 俊毅君        通商産業省機械        情報産業局長   棚橋 祐治君        工業技術院長   飯塚 幸三君        中小企業庁長官  松尾 邦彦君        中小企業庁次長  三上 義忠君        中小企業庁計画        部長       高島  章君        中小企業庁小規        模企業部長    関野 弘幹君        労働省職業能力        開発局長     甘粕 啓介君    事務局側        常任委員会専門  野村 静二君        員    説明員        外務省アジア局        中国課長     阿南 惟茂君        大蔵省証券局流        通市場課長    松川 隆志君        文部省初等中等        教育局中学校課  辻村 哲夫君        長        文部省高等教育        局専門教育課長  草原 克豪君        労働省労働基準        局賃金時間部労        働時間課長    諏訪  佳君        自治省財政局指        導課長      二橋 正弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置  法案内閣提出衆議院送付) ○小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     —————————————
  2. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十日、千葉景子君が、また昨二十一日、伏見康治君が委員辞任され、その補欠として梶原敬義君及び広中和歌子君が選任されました。     —————————————
  3. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法案小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案中小企業事業団法の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括して議題といたします。  四案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 梶原敬義

    梶原敬義君 昨日の新聞を見ますと、中国への「帰任急ぐ商社マン」、それから「戒厳令下中国へ「百億円環境計画」狙う」、「受注合戦「乗り遅れるな」」、このような形で日本人商社マン中国帰任ラッシュの写真が新聞にも報道されておりますし、そして中国向け政府開発援助受注合戦に急いでいる姿が報じられております。また、きょうの新聞を持っておりますが、「上海の「列車焼き打ち事件」で「中国 三被告を銃殺処刑」、このような記事が出ております。これらの一連の流れに対しまして、十六日には参議院の外務委員会三塚外相が、経済団体産業界北京での企業活動再開自粛要請をする意向を明らかにされておりますし、さらに二十日の本院の外務委員会でも、国際世論を考えれば好ましくないと、引き続き自粛要請をされております。  これらの動きと、一方、中国のこの処刑現状等を見て、一体通産大臣としては、これらの企業に対してどのような指導をされておるのか、するつもりなのか、また、外務省に対しても同じことをお聞きしたいと思います。
  5. 鈴木直道

    政府委員鈴木直道君) 今先生の御指摘になりましたような新聞記事等があることは承知しておるわけでございます。ただ、私どもといたしましては、基本的にはそれぞれの民間企業みずからの責任において行動なさるというふうに考えておるわけでございまして、それぞれの企業が、世界におきます日本経済の実情等々を当然基礎にしながら、十分な自覚を持って具体的な行動をなさっていると、慎重に対応なさっているものと、かように考えているわけでございます。
  6. 阿南惟茂

    説明員阿南惟茂君) ただいまの件に関しましては、今鈴木局長お答えになりましたお考えと 外務省も全く同じでございます。
  7. 梶原敬義

    梶原敬義君 ODAに群がるあさましい商社あるいは日本企業の姿に対して、通産大臣の所見を伺いたいと思います。
  8. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) まず、背景でございますけれども、私たびたびここの質問でもお答えをいたしておりますように、かつて四十数年前の忌まわしい思い出はあるものの、近くてまた親しい間柄でなければならない中国であります。日本という国は、何百年何千年、お隣の朝鮮半島やあるいは中国大陸あるいは南の島々を通じて、あるいはさらにインド、中近東、ヨーロッパ、それぞれの文明、文化産業技術等が東進をして、長い世代にわたるその集積日本混合文化を築き上げたものでございます。  そういうことを考えますと、一時期忌まわしい思い出があったとはいうものの、我々はその恩恵を受けて今日の日本があるという認識に立つならば、これから長い先をかけてそれにお報いをし、さらにお互いに相ともに力を合わせて発展をしていかなければならない関係を樹立すべきである。それが私はやはりかつての日中共同声明に発せられた根幹ではないかという気がいたしますし、それ以来、中国開放政策をとられて、しかも明るい、安定をしたいわば貿易相手国だという認識で昨今まで来たことは御案内のとおりであります。  残念ながら、天安門事件、そしてごく最近起きた、見せしめのためと新聞には出ておりますが、銃殺刑、まさにそれは許すべからざる人道上の問題でもありますし、政体が異なるせいもございましょうけれども、こういうことは大変遺憾なことでございます。ですから、在留の邦人、特に産業活動に携わっている方々もひっくるめて、退去の勧告をした状態は今でも続いているわけでございます。  しかし、企業が冷静な判断のもとに活動を続けることは、これは当然のことでございまして、いやしくも火事場泥棒的な発想でなされることは厳に戒めなければなりませんけれども最小限度企業活動のための維持をしていくことは当然でございますので、私は必ずしも正確な数値を記憶をいたしておりませんが、また把握をしておりませんけれども、いわば維持要員としての産業界方々が現地に約半数程度おられるというふうに聞いております。ですから、これをもって火事場泥棒的なこの際のということには全く当たらない。むしろ最小限度の機構の維持というものを考えながら活動を続けているのではないかという気がいたします。  いずれにいたしましても、中国という国は、私たちが想像以上に情報を把握しづらい国家でもございます。あの天安門広場に集まった学生、民衆、その当時の新聞論調は、やはり民主化を求めた運動だと。あるいは戒厳令をしかれたときも、学生と軍隊の交歓の様子が報道をされましたし、いわば一種のデモンストレーションというか、そういうことでなされたのかなと思いますと、一挙に銃口が向けられて学生労働者が射殺をされた。こういうことに転化をしたわけであります。表に向けては開放政策、引き続き諸外国との門戸は開放するという声明を出されておりますけれども現実にこの事件処理をめぐって銃殺刑が行われている現実というのを考えますと、我々の得ている情報が余りにも少ないという気がいたします。  ですから、ここは冷静に、我々は古くからの近い国でございますから、冷静にこの情報の確認をしながら、事態がどういうふうに推移するのかを見定めながら、今後の対応を決めてまいらなければならないというふうに考えております。
  9. 梶原敬義

    梶原敬義君 外務省もおられますから申し上げたいんですが、お互いに人権はとことん尊重し合おうじゃないか、このぐらいのことは率直に伝えるだけのやっぱり勇気があってもいいんじゃないか。日本中国がこれから大事な関係を保っていくためには、そのぐらいの伝える勇気があってもいいんじゃないかと、このように強く思います。答弁要りません。  次に、きょうは中小企業関係法案審議ですから、その点に関して申し上げますと、企業中国進出が非常に活発でございますが、なかんずく中小企業の中の製造業、昭和六十三年には中国投資件数は五十九件で、前年のほぼ倍となっております。したがって、今回の問題でこの中小企業に与える影響というのはある程度出ているんではないか、このような気がいたしますが、現状を把握しておられますか、いかがですか。
  10. 鈴木直道

    政府委員鈴木直道君) 大臣が申し上げましたとおり、なかなか情報入手難ではございますけれども、私どもいろんなところへ御連絡をしながら調査をいたしました状況によりますと、例の事件以後、北京とかあるいは上海周辺におきましては、確かに相当の影響が出たように聞いております。従業員の出勤ができなかったり、あるいはまた原材料の入手難があったりということだったと存じますけれども、それ以後の動向をさらに調査をいたしますと、平常に徐々に戻りつつあると、かように聞いております。  問題はこれからでございまして、恐らく日本企業家方々、これからにつきましては、やはり中国に対するイメージというものにつきましては、従来よりは、何といいますか、イメージが損なわれ、中長期的には消極的にならざるを得ないという面があるかとも思っております。  先生御指摘なさいましたように、中小企業中心とした投資の盛り上がりというのは確かにございました。昨年、投資保護協定ができまして、かつまた、いろんな企業進出もあり、特に中小企業進出というのが私ども非常に歓迎すべき方向だと思っていたわけでございますけれども、今後の問題につきましては確かに心配がございますので、十分情報を得ながら、我々として手の打つことがあれば手を打ってまいりたい、かように考えているわけでございます。
  11. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移ります。  消費税に関してでございますが、政府及び産業界は、この消費税について、国民の中にソフトランディングしつつあるとの認識を有しているようでございますが、私も最近ずっといろんな有権者に接しながら肌で感じておりますが、世論は決してそういうものではない、このように判断をしております。  きょうの毎日新聞世論調査を見ますと、見出しが「消費税 「廃止」「見直し」九割も 主婦層に強い不満」と、このようになっておりまして、少し読んでみますと、「国民消費税に対する不満は頂点に達し、消費税廃止あるいは見直しを求める意見は九割を超えていることが毎日新聞世論調査で明らかになった。」、このようになって、いろいろと分析をされております。  まさに国民の圧倒的多数が廃止を求めておる姿というものは通産大臣も御承知おきだと思いますが、もうこの際、見直してはなくて廃止方向でひとつ積極的に通産大臣も動いていただきたい。この点についてお伺いをします。
  12. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 確かに、私も地元なんかへ戻りまして、消費税いいか悪いかと言いますと、消費税はやめてほしいというのが人間の素朴な感情ではないかと思いますし、私ごとを言っては失礼ですが、家内に言っても、そういうことを言われることはたびたびございます。  ただ、税体系全般としてどうかという話を必ず私は会う人に申し上げます。それは税の理論はそれぞれ私はあろうかと思うんです。それぞれのよって立つ立場あるいは自分の利益、そういうものを考え合わせますと、税にはそれぞれの理論があることを私は否定をいたしません。ただ、一つ考えられますことは、日本という国は、特にこれ商工行政に携わりますと感じますんですが、これだけ日本外国との自由貿易の中で今日の成長発展を遂げたわけでございますから、外国関係を抜きにして我々の産業生活を考えるわけにはまいりません。そういうことを考えますと、国際間でおおむねバランスのとれたというか、近傍類似的な税制をとることは私は大切なことだと思うんです。  ですから、例えば企業税制一つを見てみましても、かつて日本法人課税が四十数%だったものが、これから減税の原資に充てるとかあるいはいろんな政策経費に充てるということで、法人税が年々高まってまいったことは皆さん方案内のとおりであります。ここ十年近く法人税は上がる一方で、既に地方税ともひっくるめて五二%、超過税率を加えますと五三%程度にまで上がったわけでございます。  それに引きかえて欧米各国はどうかといいますと、もともと五〇%台の法人税率を持っていたんですが、日本にまねしたかどうかは別として、企業活動を活発にし、産業を旺盛にし、そういうことで、民生を高めていこうという目的のもとに企業税制減税をどんどん断行されて、アメリカは既に四〇%、イギリスに至っては三五%程度法人税になったわけでございますから、その法人税一つを考えてみましても、日本の今の法人税体系がいいかどうかということになりますと、やはり水は高きょり低きに流れるということもございます。これだけ国際化が進んでまいりますと、やはり企業海外にどんどん進出をする。これは貿易摩擦の解消のためには喜ばしいことでございますが、行った企業は、確かに法人税が安い、内部留保ができる、再投資ができるということで、税率の低いことは好ましい方向であります。  そういうことを考えますと、これは企業海外活動が活発になるという現実は、これは覆うべくもないわけでありますから、せめて適正な競争条件を整えるためには、私は日本法人税もそれほど欧米先進国と大差のない税率に下げていかなきゃならない、これが一つであります。  それから所得税に至っても、所得税は、かつてシャウプ税制がしかれたころはまさに禁止的な累進税率でありますが、現実にその高い税率にさわる人たち所得がなかったわけでございますが、現実にこれだけ経済が伸びてまいりますと、この累進税率世界の中で一番高いものになったわけでございます。  そういうのを考えますと、余りにも高い累進税率というのは、人間勤労意欲所得意欲、そういうものを封殺をいたしますし、場合によっては所得の分割という手だてをいろいろ考えるようになるわけでございますから、私はやはりこれまた諸外国とそれほど大きく違いのない税制をとることが望ましい。そういうことを考え合わせてみますと、直接税に関しては少なくとも私は大幅な減税をしなければやっていけないいわば国際環境日本が置かれてしまった。  それから、それじゃ租税負担率日本は高いのか低いのかというのを考えてみますと、これは幸いなことに低いわけでございます。そういうのを考えますと、低いところをさらに低めていかなければならないんですから、そのある部分は補てんをいたさなきゃならないということになりますと、外国税制はどうかというのを考えれば、アメリカは直接税だといいますが、それは連邦税でありまして、州税に至ってはほとんど間接税大半採用をされております。そういうのを考えてみますと、やはり間接税に移行せざるを得ない現実があるのではないか。  そういうことでございますので、私自身は直間比率見直しは当然あってしかるべし、そういう判断のもとにおったわけでございますから、今回この消費税を出すことは、税制全般の中から見ますと私は当然であってしかるべし、そういう思いがいたすわけでございますので、ぜひそれは税制全般の議論として見ていただくように私も説得をしますけれども、なかなか人間というのは、もう減税されたものはそのままでいいんだと、何か消費税だけ取られるのは嫌だという直感的な話になりがちでございますけれども、やはり置かれている立場を考えますと、税収入が少なくなれば、それだけ行政サービスを低下させていいのかどうなのか、あるいはほかに財源を求めることが、税源を求めることが可能なのかどうなのか、そういうことをあわせ考えなければなりませんので、税はなるたけ取られたくないという人間の本能がございます。しかし、さは言うものの納めていただかなければ、やはり最低限度行政サービス国民に享受してもらうわけにはまいらない。そういうことを考えますと、消費税導入というのは、税制全般の形の中では当を得たものだと、そういう確信のもとに政府としてはこの定着に全力を挙げてまいる所存であります。
  13. 梶原敬義

    梶原敬義君 法人税の内外のバランスの問題と、それから所得税累進税率が高いという問題、よく理解できます。ただ、今度導入された三%の消費税というのは、政府・自民党の宣伝の中身というのは、要するに企業法人税率が高いから、あるいは累進税率が高いから、高額所得者の税金が高いから消費税三%を導入するというような言い方ではなくて、これからよって来る高齢化社会への対応のために消費税三%を導入し、その三%は高齢化社会の福祉や年金や医療に使うんだ、このような宣伝が非常に巧みにされているんですね。その点は今の大臣のお話と外で宣伝されている内容というのは非常に矛盾しておるし、国民に対してこれこそまた偽りの表現ではないかと私は思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  14. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 私の立場が今ここに座っているのは通商産業大臣という立場でございますので、いわば通商産業政策の中から私の許された範囲内での御答弁を申し上げているつもりでございますが、税体系の中で、確かに国際化高齢化社会対応するという言葉が言われているわけであります。その国際化という問題が通商産業行政の中では一番大きな問題でございますし、日本産業活力維持し、雇用の場を確実に確保し、将来ともに競争条件が整うような社会をつくるためにはどうしてもやっていかなければならないという通商産業大臣としての立場を私は申し上げたわけでございますし、私政治家としてはやはり所得消費、資産のバランスのとれたものでやっていきたい。ただ、初めてのいわば普遍的な間接税消費税導入でございますから、今とまどいがあることも当然かとも思います。特に私たちがここで言えることは、転嫁を確実にする、第二法人税にするな、それから下請いじめになるな、それからもう一つ便乗値上げをさせない、この三つがいわば商工行政の中の中心税制に取り組む姿勢であったわけであります。そういうものに向けておおむねその方向が確実に履行されてきつつある、そういうふうな理解をいたしております。
  15. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移ります。  新工業配置計画についてでございますが、人、物、金、情報文化、大学等々、依然として東京を中心とする首都圏への一極集中が進んでおりますが、その逆に地方の過疎については歯どめがかかっておりません。非常に寂しい農山村の姿というのが本当に目についてきております。このような状況の中で、通産省は三月二十七日、二〇〇〇年を目標にした新工業配置計画をまとめられたようでございますが、私は心からこれを歓迎したいと思います。その概要と計画実現に向けての決意を簡単に要点をまとめてお伺いしたいと思います。
  16. 高木俊毅

    政府委員高木俊毅君) ただいまの梶原先生からのお尋ねの新工業配置計画はどんなものだと、こういう御質問でございますけれども、これはいわゆる工業配置促進法に基づきまして策定いたします法定計画でございます。いわゆる工業の再配置に関する国あるいは地方公共団体あるいは企業等に対する長期的な指針を与えるものでございます。  それで、本年三月に告示をいたしました新工業配置計画でございますけれども、これは平成十二年を目指しておりまして、一極集中円高定着が進む中で、地域経済発展と快適でゆとりのある国民生活実現のために、工業地方分散を従来にも増して推進していこうということで定めたものでございます。  それで、本計画におきましては、いわゆる内容でございますけれども平成十二年度までに行われる工場の新増設の四分の三程度をいわゆる工業集積の低い地方集積をしてまいりたい、こういうふうに今考えているところでございます。同時に、大都市圏における過密地域でございますところの、移転促進地域と私ども呼んでおりますが、ここの工場敷地面積を二割程度減少させたい、こういうことを目標といたしておる次第でございます。  それから、本計画におきましては、いわゆる従来の計画が、第一次計画があったわけでございますが、この計画を定めたとき、いわゆる旧計画を定めたとき以降にいろんな環境変化があったわけでございまして、これらの環境変化に伴ってのいろいろな内容も盛り込んでおりまして、産業頭脳部分だとか、そういうものを地方集積していく分野、あるいは技術情報あるいは人材等のソフトの分野でも整備を図っていきたい、こういう方向を盛り込んでおる次第でございます。  いずれにいたしましても、私ども関係省庁多数ございますので、あるいは地方公共団体等々あるいは民間とも協力しながら本計画実現に向けて邁進してまいりたいというふうに考えております。
  17. 梶原敬義

    梶原敬義君 特に臨海工業地帯関係というのは、土地は造成されたが、草が生えてそのままになっている広大な面積も各地にありますし、また内陸部の町村が工場誘致のために造成をした土地もあちこちに本当に今余っておりますから、やっぱりそういう状況もありますので、本当にきめの細かい行政指導対応を本当にやる気でやっていただきたいと思うんですが、要望をしておきます。特に若い人が学校を出て地方で就職をしてそこで働く場というのがなかなかないんです。そういう状況ですから、どんどんまた中央に人が集まってくるわけですから、その点もやっぱり総合的に考えて対応していただきたいと思います。  次に、中小企業問題でございますが、労働時間の関係ですが、政府が昨年決定いたしました新しい経済計画世界とともに生きる日本 経済運営五カ年計画」で、年間総労働時間千八百時間を一九九二年までに実現するという目標を掲げました。しかし、人手不足やあるいは好況によってなかなかそのような状況実現というのは難しい。むしろ残業とか休日出勤等で労働時間は増加傾向にあるんではないかと思います。中小企業の経営基盤がまた非常に弱くて、労働時間の短縮、週休二日制というのは非常にやりづらいと、このようなことを強く訴えられるんです。そういう状況がありますが、この点について、労働省はどのようにこれを現実的なものにするか、計画を達成するか、その点についてお伺いをします。
  18. 諏訪佳

    説明員(諏訪佳君) 先生御指摘のように、六十三年の年間総実労働時間を見ますと、所定外労働時間はやや伸びております。ただ、改正労働基準法の施行等ございまして、所定内労働時間は着実に進んでおるというふうな見方をしております。  ただ、中小零細企業につきまして経営基盤の問題等ございます。そういうことを前提に労働省としては中小企業集団、その集団指導という形の中で自主的な取り組みを促進するという援助、指導を行っております。そういう指導、援助を今後とも充実しまして対応してまいりたい。特に進めていく場合にいろんな問題が訴えられておりますので、それらの問題に対応した形での施策を充実してさらに一層時短に努めたいというふうに考えております。
  19. 梶原敬義

    梶原敬義君 昭和六十三年度の製造業における賃金調査によりますと、大企業の賃金を一〇〇とした場合、中企業が八六、小企業が八一となっております。さらにまた、高年齢になっていくほど格差が広がるような状況でございます。さらにまた、厚生面あるいは退職金、年金、これらで中小企業というのは大変ハンディを負っていると思うんですね。このような状況に対して、労働省はどのような認識をされているのか、指導する手段はあるのか、お考えをお聞きします。
  20. 諏訪佳

    説明員(諏訪佳君) 賃金の規模間格差は、御指摘のように、近年付加価値生産性あるいは労働者構成の変化、例えばそれは平均年齢とか勤続年数も影響しておると思いますが、いずれにしましても拡大傾向にある。賃金を初めとした労働条件の規模間格差というのは、労働省としても最も重要な課題の一つであるというふうに認識しております。そういう点から、基本的には中小企業の生産性の向上あるいは経営体質の強化ということで事業所管官庁とも連携をとりつつやっておりますが、労働省といたしましては、中小企業の労務管理の改善あるいは賃金相談室を設けるなどいたしまして賃金制度の改善等を講じてきておるところですが、今後ともさらにそれを充実してまいりたいというふうに考えております。
  21. 梶原敬義

    梶原敬義君 通産大臣ね、労務管理を改善したとかなんとか言ったって、中小企業が大企業から事業分野をどんどん侵されますね。そして、特に流通段階なんかは、もう御承知のように、スーパーとかあるいはデパートなんかどんどん来ますから、絶えずもう駆逐されていきますね。そういう厳しい状況で、経営基盤も弱い中で、労働時間を短縮したり週休二日制を入れたり、あるいは賃金の格差是正というのはなかなか難しいと思うんですよ、口では言えるけれども。だから、一体それをどのようにやっていくのか。難しいけれども、それを放置はできないと思うんですね。その点について、大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。
  22. 三上義忠

    政府委員(三上義忠君) ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、中小企業の実態を考えますと、週休二日制を含めました労働時間の短縮問題というのは、現下の最大の問題であるというふうに認識をいたしております。しかしながら、これからの日本世界で生きていくためにも、あるいは国民生活の向上を図る上でも、やはり労働時間の短縮という問題は避けて通れない問題でございます。私どももそれに伴いまして、特に中小企業の場合には非常に多くの問題があるということを承知をしております。また、多くの中小企業者の方々が本問題についてかなり認識が進んできております。しかし、実際問題として取引先の関係でありますとか、あるいは結果として人件費のアップでありますとか、こういう問題が出てくるのも事実でございます。  私どもとしましては、昭和三十八年の中小企業基本法の制定以来、こうした賃金格差あるいは労働生産性の格差というのを何とか大企業に近づけたいということで、終始一貫中小企業政策をとってきたわけでありますが、これからも引き続き今のことを十分念頭に置きながら中小企業対策の充実に努めてまいりまして、少しでも摩擦のない形で労働時間の短縮という問題への取り組みが行われるように全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  23. 梶原敬義

    梶原敬義君 直接関係ないことですが、要望しておきたいんですが、大企業に対する部品の納入とか、あるいは資材、副資材等の納入とか、そういう業者は三%の消費税の価格転嫁は具体的に帳面上はできるというのですね。相手に請求書を書く。しかし、元の価格を合理化せい、下げてくれと。結局そこをたたかれる、元を。だから、実質上はやっぱり消費税の価格転嫁というのはなかなかできない。それははっきりと公取や通産省にもちゃんと言ったらどうか。それを言えば取引停止になる。それは自分で首を絞めるのと同じだと。これはもう一つや二つじゃないんです。こういうことがもう日常まかり通っているんです。だから、その点については何回も皆さんは検討されたと思うんだが、それをはっきり公取なら公取に言えなんということは、これはできるものじゃないんです。その辺の指導をどのようにされるつもりか、お尋ねします。
  24. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 御指摘のように、消費税導入に当たりまして、中小企業にとりましては事務負担の軽減と並んで転嫁をいかに円滑に行うかということが一番大きな問題点だったと存じますけれども、その面におきまして、特に転嫁が小売商業と並んで下請企業の場合には、御指摘のように、取引上の地位が親企業が優位な立場にあるということにかんがみまして、下請がしわ寄せを受ける懸念があることは御指摘のとおりでございます。そこで、私ども特にこの点につきましては、今御指摘もございましたけれども、下請代金法等によります法律の厳正な運用あるいは転嫁が円滑に進むような財政金融面からの措置等、幅広くきめ細かな措置を講じてまいっているところでございます。そして、特に下請取引に関しましては、ただいま私どもも細心の注意を持ってその動向を見守っております。御指摘のように、一部で値引き要請のような苦情とかトラブルも生じてはおりますけれども、総体として見れば、現在おおむね適正な転嫁が図られているようでございますけれども、何分にも事業者間の取引というものは、五月下旬以降の代金の支払いをきちんと見ませんと、適正な転嫁が実現されたか否かの判断もにわかには結論を引き出しにくいところもございます。そういう意味で、私どもは親企業、下請企業に緊急調査を行いまして最近の実情を把握しておりますけれども、さらに大規模な特別調査を公正取引委員会とも相談をしながら進めております。その際、御指摘のように、下請企業から親企業のことをこういう目に遭ったといって言うのは、後で取引上不利な立場になるんではないかと言って恐れる方々もいらっしゃいますが、私どもその点については下請企業方々に、御迷惑がかからないようなことだから、ぜひ率直に申してくださるようにということで御指導さしていただきまして、既に緊急調査の段階でも私どもとしては親企業に厳しく指導をすべき企業として百五十社余りの企業を把握しております。したがいまして、これらの企業につきまして個別の実情を十分把握いたしまして、下請代金法等に基づきます厳正な措置を講じてまいりますし、さらに今後結果が出てまいります特別調査におきましても、厳しくその点を監視いたしまして、大臣が申されました三つの消費税に対する大事なポイントの中の一つとして、御指摘の点を遺憾のないように注意してまいりたいと考えております。
  25. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひお願いします。  次に、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法について質問に入ります。  本法案を提案するに至りました背景とその主な経緯について、最初にお尋ねします。
  26. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 二十一世紀に向けましてソフトウエア需給が大変逼迫をいたすわけでございまして、私どもの見通しでは、二〇〇〇年を展望いたしますと、約九十七万人の情報処理関係技術者、特にシステムエンジニアの大幅不足が問題になるわけでございます。これは情報化を通じた産業構造の高度化にとりまして大変大きな阻害要因となると考えておりますし、また、雇用構造の上でも極めて大きな問題を生ずるわけでございます。今回の対策は、以上のような背景、見通しにかんがみまして、通産省と労働省が協力をいたしまして潜在的な能力のある地域のソフトウエア供給力の開発を助成し、いわゆるソフトウエアクライシスを解消して我が国の高度情報社会を円滑に築き上げていきたいと、こういう目的で本法案を提案いたしているわけでございます。
  27. 梶原敬義

    梶原敬義君 いろいろ通産省の資料やなんかを見てみますと、情報サービス企業で働いている、そういうソフト関係やプログラマーの皆さんでしょうが、その人たちの年間の売り上げが東京周辺では千百万円、そして三大都市圏以外では七百万円と、こう開いている、このように言われておりますが、その格差の原因は何ですか。
  28. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) まず売上高で見ますと、三大都市圏に八五%、二兆三千億円のうちの八五%が集中をいたしておりますし、従業員の推移を見ましても、全国で二十四万人強のうちの七八%が三大都市圏、わけても関東圏に集中をいたしておるわけでございます。事業所につきましては、三大都市圏に六七%集中をいたしておりますが、この売上高、事業所数あるいは人材等いろいろ総合的に見まして、特に関東を中心とする三大都市圏以外の地域におきます事業所規模は相当零細でありまして、そういう点がただいまのソフトウエアの開発に従事する人たちの処遇に相当ハンディキャップを地方において負わせておるというふうに理解をいたしております。
  29. 梶原敬義

    梶原敬義君 そこで、本法律案については我が党としても地方経済振興を図るものとして賛成でありますが、経済の中枢管理等の高次元機能の東京周辺一極集中傾向を抜本的に是正する施策を講じない限り、本法の十分な目的と十分な成果を期待できないのではないか、このように思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  30. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 御指摘のように、ただいままた申し上げましたように、三大都市圏にソフトウエア供給の九割が集中をいたしておりまして、人材面、事業所面も大都市圏、特に関東圏に偏在をしております。一方、地方においてはソフトウエア開発に関する高度な知識、技術に触れる機会が非常に少ない、システムエンジニアなど高度な技術を持った技術者が不足をしておる、こういう問題があるわけでございます。第四次全国総合開発計画の中でも一極集中の問題が取り上げられておりますが、ソフトウエア分野においてもこの傾向が極めて顕著でありまして、国全体として四全総を中心として一極集中是正のための対策をいろいろ講じていこうとしておるわけでございます。  ソフトウェアにつきましては、シグマシステムの最近の普及等により、需要地と開発地の分離がありましても、シグマの技術あるいはネットワーク化の進展によりましてスムーズに需給のマッチが行われるようになってきておりまして、今回の対策によりまして人材育成、技術基盤の確立、さらには事業のあっせん等により大都市圏の需要に地域がこたえられるような体制が整備され、全国的に一極集中傾向を大いにソフトウエアの分野でも緩和できるものと期待をいたしております。
  31. 梶原敬義

    梶原敬義君 要するに距離的なハンディですね、あるいは中央と地方情報が離れておるところであっても、十分な人材あるいは技術力が得られれば、将来そういうハンディの克服というのは十分可能であると、このように考えておられるわけですね。どうして可能なのかその点について伺います。
  32. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) まず大都市圏、特に関東圏におきましては、立地コストの高騰というような制約要因がかなりございますし、今申し上げましたように、シグマシステムが順調に今最終段階で構築に成功しつつありますことと、それからネットワーク化の進展等、こういうものを活用いたしまして、需要地はおっしゃるようにこれからもやはり三大都市圏、特に関東圏中心であることが多いと思いますが、地方遠隔地においてソフトウェアを開発する場合でも、それがシグマの活用、ネットワーク化によってその開発をしたものが関東圏等主たる需要地に十分供給が可能であると、こういうふうに考えております。  それから、地方においては専修学校を中心とする人材育成機関が相当充実しつつありますし、地方公共団体地方業界、企業等もソフトウエアの供給力開発には大変に強い熱意を示しておられるわけでございまして、そういう意味で、地域におきますソフトウエア供給力の強化は、潜在的な能力がある場合には十分これからそれが発展をしていくものと考えております。  こうした条件を前提といたしまして、今回の対策によりまして高度な人材、技術力といった点に関する各地域のボトルネックを解消すれば、地域の供給力が上昇し、それから供給の伝達能力も技術的にも相当発達をいたしますので、需要地に十分円滑に供給できるということで、供給と需要の円滑なマッチが確保されるものと期待いたしております。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 東京周辺というのはもう既に対応できているんだ、あとは地方だという考え方のようですけれども地方のそういうソフトウェアなんかやっている企業等へ行ってみますと、ある程度期待できる人材というのは、恐らくこれから先は中央ではむしろ集まりにくいんではないか。労働力というのは、そういうソフトウエアの供給力というのは、地方地方で養成していった方が将来の不足に対して対応できるんじゃないか。要するに中央がよければ中央で全部やってしまえばいい んだろう。しかし地方にやっぱり持ってくるというのは、労働力の面、供給力の面からもあるんではないですか、人材の。その点はいかがでしょうか。
  34. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 先生御指摘のとおりと考えまして、地方には、適切な支援体制を組めば、システムエンジニア等、ソフトウエアの高度な技術を習得し、そこでソフトウエアの開発力を増大する潜在的な余地は人材面でも十分にあると考えますので、かねてから専修学校等の教育によって人材の育成に努めてきたところでございますが、今回この御提案しておる法律によって一段と人材の教育、あるいは実践教育を通じての支援体制の強化、場合によってはプログラムの開発のあっせん等を通じて人材の育成を十二分に確保できるものと期待いたしております。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 昭和六十一年特定サービス産業実態調査統計によりますと、国産業の売上高は全国の六八%が東京とその周辺、すなわち千葉、埼玉、神奈川に集中し、三大都市圏以外は一五%程度であるというような報告がなされております。また、事業所数、従業員数もそのような傾向であるようでございますが、このような集中化傾向の原因というのは、要するにそこに仕事があるから、あるいは情報があるから優秀な技術者がいるからと、このようになるんでしょう。  ですから、問題は、そういう仕事の受注面等も、これからやっぱり地方の遠隔地におっても中央の仕事を受注し、向こうでやって、またその仕事の成果を中央に戻す、このような形の指導というのが果たして通産省でできるものかどうなのか、その点をお尋ねします。
  36. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 御指摘のように、確かに事業所数、これは今先生がおっしゃいました特定サービス産業実態調査で見ておるわけでございますが、売上高で六十二年で二兆三千億円のうちの八四%、従業員数では二十四万人のうちの七八%、事業所数では約三千七百のうちの六七%等々、三大都市圏、特に関東圏に圧倒的に集中しておりますのは、おっしゃったように、やはり需要が三大都市圏、特に関東圏に集中しておる。ソフトウエア技術者の偏在も、今おっしゃいましたように、三大都市圏、関東圏に圧倒的に高いというような供給、需要の両面に大きな原因があったわけでございます。  私どもは、このソフトウエアの技術者育成対策に限りませんけれども、先ほどの四全総の基本的な精神に基づきまして、国全体として一極集中是正のための各種の政策を展開しておるわけでございますが、今回、私どもは三点、一つは、中心になりますのはもちろんシグマシステム等の最近の技術進歩を利用しての人材教育、またこの需要を供給地に円滑に供給するためのいろいろのネットワーク化の進展によって、需要地と開発地の分離があっても、十分に地方から優秀なソフトウエアが、技術者が育てば供給できるというような観点で人材育成、あるいはソフトウエア開発事業の基盤強化というようなことを中心に考えておりまして、さらにこれを実践的に進めていくために、高度なソフトウエアにつきまして当初モデル的に事業のあっせん等も行っていって、大都市圏の需要に地方がこたえられるような環境をつくっていきたいと考えております。こうしたことが進捗していきますれば、おのずから地域にも需要が広がっていくというようなことも期待できるものと考えておる次第でございます。
  37. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、情報通信産業の売上高が二〇〇〇年には約百四十四兆円になる、このように通産省は予測をしておりますね。経済企画庁は百四十一兆円ですか。この予測というのは当たらずとも遠からずというようなものなのか、ただ単なる予測なのか、この辺はちょっと尋ねておきたいんですが、いかがでしょうか。
  38. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) この予測は、昭和六十二年六月に、通産省の産業構造審議情報産業部会の中期予測分科会におきまして各界の権威者等にお集まりいただきましてシミュレーション分析その他を、一定の前提を置いてではありますが、いたしたものでございます。  例えばGNPにつきましては五%程度の名目成長率、現状でいきますとやや低目でございますが、それを前提といたしまして、そのほかいろいろの前提を置いておりますけれども、二〇〇〇年におきまして、情報産業、これは通信産業を含めて、ハード、ソフト全部含めまして約百四十四兆五千億円、これはちなみにこの想定をいたしました時点は昭和五十九年の統計をべースにいたしておりますが、その当時は全体合わせて十九兆六千四百億円程度であったわけでございますが、それがこのような膨大な予測になっております。GNPに占める比率も二〇・七二%、つまりGNPの五分の一を広い意味での情報産業が占めるという、文字どおりのリーディングインダストリーになると考えておりまして、私どもは現時点においてこの予測は十分に信頼に足る予測と考えております。
  39. 梶原敬義

    梶原敬義君 同じくそのソフトウエアの関係の売上高が二〇〇〇年では三十四兆三千億円、このように試算をされております。これも大変な金額になるんですが、かつて通産省の皆さんが半導体産業が大変大きな金額になるんだという、要するに六年前から五年前の当初はそういうお話が随分あったんです、委員会あたりで。私はどうもおかしいんではないか、そんなになるのかと、こう疑問を持っておりました。途中で半導体の価格がぐっと下がりまして、通産省が言っていた金額が、どこかへ消えてしまったことがあるんですがね。今度のこの三十四兆円だって、今やっているシグマ計画やなんかが本当にうまくいって非常に低コストでできるようになれば、これは売上額三十四兆三千億というのは相当狂ってくるんではないか。この辺は間違いないですか。
  40. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 私、先ほど申し上げました百四十四兆円程度、この中に私どもの生産の見通しでは、情報サービス分野、これは単純な計算から、それから今この法律案中心になっておりますソフトウエアの開発等、全部を含めての広い意味での情報サービスですが、生産額の見通しといたしましては十五兆八千億円強、昭和五十九年に約一兆二千四百億、現時点では約二兆三千億と推定しておりますが、二〇〇〇年には十五兆八千億円強になります。今先生がおっしゃいました三十数兆円という情報サービス分野の数字は、需要サイドで恐らくユーザーの中のいろんな需要全部を総計してのことでございまして、私どもは生産ベースでとらえて約十五兆八千億円強と、このように計算し、これが百四十五兆円の内訳になっているわけでございます。ちなみに電子工業、これはハードの分野ですが百十兆円、それから電気通信の分野、これもハードが中心ですが、約十八兆五千億円強、合わせまして約百四十五兆円弱と、こういうことになるわけでございます。
  41. 梶原敬義

    梶原敬義君 このように書いてあるんですがね。調査室から出た資料なんですが、「二〇〇〇年の見通し一通産省「二〇〇〇年のソフトウエア人材」の予測)では、三十四兆三千億円のソフトウエア需要をまかなうには、二百十五万人の技術者が必要とされるが、供給される技術者数は百十八万人であり、九十七万人の技術者の需給ギャップが生じることが予想される。」云々の中で、三十四兆三千億というのが出てくるんですが、それは……。
  42. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 先ほど申し上げましたのはソフトウエアの供給額といいますか、生産額の面で見たわけでございまして、これは後ほどまた出てくるかと思いますが、ソフトウエア分野は、私たちの見通しでは相当の輸入超過産業にならざるを得ないと、このように見ております。この三十数兆円というような需要は、企業内のいろんなユーズを全部合わせますと、そういう数字も一つの試算として出ております。  そういう前提でいきました場合に、それを解決するためのソフトウエア技術者の需給バランスを考えた場合に、今先生御指摘の九十七万人の不足が二〇〇〇年に人材の面では危惧されると、こういうような数字に結びついているのではないかと考えております。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 先ほど本法律案の主な目的について最初にお話がありました。繰り返すことはないと思うんですが、要するにシステムエンジニアが三十万人強不足するということと、それから地域振興への寄与ということ、これがもう最大の目的だということになるわけですね。
  44. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) まず第一は、先生御指摘のように、全国的にソフトウエアクライシスと言われておりますが、その典型が人材の不足、今申し上げました九十七万人、特にシステムエンジニアが四十二万人不足をするという試算がございます。そういうことで、全国的に需給のバランスが大きく失しますので、システムエンジニアを中心に人材の大幅ギャップを何とかこの法律によって埋めていきたいという点が大目的でありますが、それを地域において行うことによって地域の活性化にも大いに資するであろうと、こういう考え方であるわけでございます。
  45. 梶原敬義

    梶原敬義君 今田舎を回っていますと、女性の人なんかは、メーカーとかそういうところよりも、何か華やかなデパートとか第三次産業の方にあこがれる傾向があるんですね。若者もこういういわば新規な仕事になるんですか、こういうソフトウエアの開発の仕事というのは、これはこれから将来ずっとそれを、しかも三十代後半ぐらいになりますと、これはまた先が使い古されるような傾向だってあるんじゃないかと思うんですが、若い人たちがこの職業にこれからもずっと好んでどんどん集まる傾向というものが考えられるのか、なかなか難しいのか、その辺のさわりの部分をひとつ聞かしていただきたいんです。
  46. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) おっしゃるように、ソフトウエアの開発、特にシステムエンジニアにおきましては、若年といいますか、壮年まで、特に二十代、三十代の人たち中心になっているということは事実でございます。若い人たちの間にはこのシステムエンジニアを希望する人たちが大変多うございまして、今各種の専修学校等はこのシステムエンジニアを目指して勉強しようという方が大変ふえてきておるわけでございます。プログラマーにつきましても、特に上級プログラマーの分野におきましてやはりそのように大変意欲的な若者がどんどんふえておりまして、情報処理技術者試験などは共通一次並みの膨大な受験者数になっておるわけでございます。
  47. 梶原敬義

    梶原敬義君 情報サービス産業というのは、他産業に比べまして所定内労働時間に対する残業時間とかあるいは休日出勤とか、それに対する代休がとれないとか、こういうのがやっぱり出ているんですね。この点について問題点はないのかどうなのか。
  48. 諏訪佳

    説明員(諏訪佳君) ソフトウエア業につきましては、残業時間が長いということが指摘されております。労働省では、このことを踏まえまして、六十二年度におきまして業界団体の協力を得て、ソフトウェア業の労働時間短縮をどう進めるかという調査研究を実施したところでございます。  その結果によりますと、やはり顧客からの仕様変更が多いとか、ソフトウエア業の企業の見積もり受注管理能力、あるいは十分な能力を有するソフト開発要員が不足している、こういうことから残業時間が多くなっているというふうに調査結果はまとまっております。その中で、やはり顧客との間の商慣習あるいは受注管理能力、ソフトウエア企業の受注管理能力でございますが、そういったところを高める、あるいは人材の育成と活用を図るということによって残業を減らそうという形で提言がされたものでございます。  労働省といたしましては、こういった提言を業界が自主的に進めていくというのを側面から啓発指導、援助していくという形で取り組んでいるところでございます。
  49. 梶原敬義

    梶原敬義君 今若者がそういうソフトの関係にどんどん集まるというのは、そういう傾向はよくわかるんですが、ずっと将来果たしてそんなどんどん集まるような状況が続くかどうかというのは、もうそれは一つは賃金あるいは労働条件、こういうものに私は最終的には大きく左右されると思うんですね。それから中年以降の人生のあり方というのがだんだん見えてくると、どうも先がよくないぞということになると、それはなかなか集まらない。その辺の問題がやっぱりあるだろうと思うんです。  話はまるっきり別ですが、私二年前にアメリカのシリコンバレーに行きまして、日本人が経営しているエクサーという会社、そこで難しいソフトの開発をやっている。その中を見学いたしましたけれども日本人に似たような人がいっぱいいるから、一体日本人は何人この工場に来ているのかと聞いたら、日本人は社長の私とこの何人と、四、五人しかいないんですね。あと現場でやっているのはほとんど韓国系の人とかあるいは台湾、中国系の人、それにアメリカ人たちなんです。  それで、話をよく聞いてみたら、日本人というのは余り向かないんだそうですね。ああいう開発をする場合には、やり出したらずっと続けてやるか、あるいはまた非常に情緒の要る仕事で、日本人というのは教わって習うところまではうまいんだそうです。そこから先何か新しいものを考えつくのには、どうも教育方針が悪いのかどうかわからぬけれども、新しいものを次々に開発していくというのには向いていないというんです、日本人は。だから、やっぱりそこは問題があるんだという話をされておりました。  だから、そういう意味では、私は地方には非常に情緒のある人たちもたくさんいると思うんです。だから、労働条件もよくしてあげて、そして仕事もどんどん中央からとれるようなことをすれば、そういうソフトウエアクライシスというようなことは解消できるんではないか。その意味で非常に賛成ですが、いかがでしょうか、ひとつ大臣のお考えは。
  50. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 確かに開拓精神というのか、冒険心というのか、そういう意味で新しいものに取りかかる気組みというか、そういうものが他民族に比べて少ないんではないかという御指摘もございますけれども、確かにそういう国民性が長い間培われてきたことは一昨日の議論でも出たわけでございますが、しかしこの四十数年間一気かせいに日本が成長する、その中で可能性の追求というものを大変やってまいりましたので、その意味では私は国際化が進んで、昔の、中に中にという、そういう体制ではなくなってまいったと思います。なおかつ、地方にはそういう情緒もございますから、こういうものと、今政府委員から答弁をしたように、大都会は既に今人手不足というか、あるいは立地困難、そういうものともろもろかみ合わせながら、地方にそういうものが誘導をされ、花開くことを期待するわけであります。
  51. 梶原敬義

    梶原敬義君 それから、シグマ計画については、開発費二百五十億円を投入して情報処理振興事業協会が中心になってやっておられるようでございますが、その見通し、成果、その辺はもう出ていると思うんですが、いかがでしょうか。
  52. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 御指摘のように、シグマ計画は今最終段階に入っておりまして、昭和六十年度から五カ年計画として始めてまいりまして、これは民間企業、ここには外資系企業も当然入っておりますが、百九十三社の参加を得まして、総額約二百五十億円を投じて進められてきたものでございます。  このシグマシステムというものの概念は、今まで手作業により行われてきました我が国のソフトウエアの開発は七割ないし八割が手作業的なものであると言われておりますが、アメリカにおいては逆に七、八割が自動化、機械化されておる。こういうことで、我が国においても先ほど来申し上げました大幅な人材不足を特にプログラマーの段階において解消する有力な手段としてこれを始めたわけでございまして、言うなれば必要なワークステーション、このワークステーションといいますのは極めて高機能の小型コンピューター、最近の小型コンピューターは十年前の大型コンピューターに十分匹敵しますが、そのワークステーションと、それからその上で作動するソフトウエアをつくる生産用のソフトウエア、これをソフトウエア開発用ツールと言っております。さらにワークステーションをつなぐネットワークあるいはデータベースの構築、こういうようなものを内容としてシグマ計画と称しておりますが、その成果は、私どもの見るところ非常に順調に推移しておるものと見ております。  一例を挙げますと、各種のソフトウエアを開発する支援ツール、これが約五十本既に完成をいたしておりまして、これを搭載するワークステーションは、ハードウエア技術の進展も当然ありまして、従前のものに比べますと格段にコストが安くなります。従来一台三千万円程度でありましたワークステーションが今や二百万円程度、十分の一以下にコストが下がってきておりまして、比較的零細なソフトウエア開発業者も、いろんな中小企業関係の助成策もありますが、容易にそれを手に入れられるようなコストにまで下がってきておりますし、ネットワーク及びデータベースの構築もほぼ完了いたしております。現在、晴海に中央支援センターを設けまして、今年度はモニターテストを今行っている段階でございまして、ユーザーの方々にこれを提供いたしまして、これの長所、欠点等、今実験的にモニターをしていただいております。ここでいただきました御意見をもとに、さらに改良をして、来年度からの本格的な事業展開に持っていきたい、このように考えている状況でございます。
  53. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移ります。  地域センターというのがいただいた説明図の中にございますが、これは一体どういうことなのか。第三セクター、株式会社とかあるいは公益法人のことを言っていると思いますが、条文のところでちょっと何か見当たらないんですが、その点はいかがでしょうか。
  54. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 私たちの考えておりますシグマセンターには二種類あることは御指摘のとおりでございます。法律の細かい条文で恐縮でございますが、第二条第三項第一号のイとロの事業を行いますセンターは株式会社形態のものでございまして、情報処理振興事業協会からの出資、これは雇用促進事業団からも応援をいただくわけでございますが、産投と雇用促進事業団から二年間にわたって四億円いただいてつくります、平均的には出資規模で大体十二億円ぐらいの株式会社、これは当然地方自治体とか地方企業も拠出をされるわけでございますが、そこにおきましては当然人材育成が第一の目的で、これが法律の条文でいきますと第二条第三項の一号のイの業務、人材育成事業でございます。  さらにもう一つこの株式会社、センターには重要な業務がございまして、ここにおいては実践的に高度なプログラムの開発を行うという事業もここにございます。それを支援するいろいろの体制がここに取り込まれているわけでございます。これがいわゆる株式会社形態で我々が平成元年度で一は六カ所全国に展開をしたいと考えておるセンターでございます。  もう一つ先生御指摘のセンターには公益法人、財団の場合が多いと思いますが、その形態をとるものもございます。これは法律の条文でいきますと、二条の三項の第二号、ここにございますいろいろの展示あるいは情報の提供等によってシグマシステムを通じて人材育成を支援しようという公益法人スタイルのものもあろうかと思います。これは特に箇所数を予算上は特定をしておりませんので、地域において今三十数カ所既に立候補といいますか、御要望が寄せられておりますが、そのうちの相当の部分は、むしろ当初は公益法人スタイルでPRと情報の提供とか普及を図っていきたい、こういうものもございます。
  55. 梶原敬義

    梶原敬義君 今の答弁の最初にシグマ計画なんとかいうのがあったね、ちょっとわかりにくかったので……。
  56. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) ちょっと説明が不十分で申しわけございません、補足をいたします。  第三セクターの地域センターのうちで株式会社形態をとりますものは、先ほど申し上げましたシグマを有力なツールといたしまして、システムエンジニアの教育を実践的に行うわけでございます。その意味で、シグマの今回の成果がそこで大いに生かされる。これによって実践的なプログラムの開発が行われる、こういう意味でございます。
  57. 梶原敬義

    梶原敬義君 地域センターは初年度、本年度は六カ所を予定していると。これは全部株式会社方式ですね、今言われたね。その候補地は大体もうめどはあるんですか。大分のソフトパークはどうですかね。
  58. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) この法律案を成立さしていただいた後、早急に地域の選定に取りかかるわけでございますが、現在のところ、具体的対象地域は全く白紙の状態でございます。今後法律が成立しますと、政令において一定の要件を備えておる地域、つまりもう十分現在ソフトウエアの開発能力が集積されており、今後もそれが継続されるというような地域は政令で対象除外地域にいたしまして、その地域以外の地域につきまして、この法律に基づきます基本指針を整えた上で、地方から事業計画の提出をお願いをいたしまして、通産省と労働省で慎重に検討した上で選定をすることとなっております。御指摘のように、これが予算上では今六カ所計上されているわけでございます。  先生の地元の大分県は、つとにソフトウエアの技術者養成に大変に熱心に取り組んでおられまして、このソフトパークの成果はかなり高水準にあるものと考えておりますが、今後この大分県のソフトパークが御希望であれば、他の企業、他の御希望の地域と一緒に慎重に検討の対象にさしていただくつもりでございます。
  59. 梶原敬義

    梶原敬義君 今過疎県の全国ナンバーワンが鹿児島ですね、ナンバーツーが大分ですし、ナンバースリーが北海道、四が島根、五が宮崎、六が熊本、こうなっているんですよ。だから、そういう地域で頑張っておりますから、これは大分の方は、通産大臣、よろしくお願いします。  最後に、このソフトウェアの関係で最後ですが、本法律案に対する予算の措置でありますが、簡単にもう一度関連予算もひっくるめまして明らかにしていただきたい。
  60. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 中心になりますのは、この地域ソフトウエア供給力開発事業を行う者に対する支援でございまして、その中で一番大きいのが、中心になりますのが出資でございます。これは情報処理振興事業協会(IPA)から一カ所当たり二億円を二カ年にわたって合計四億円出資をする計画になっております。先ほど申し上げましたが、平均的な想定ではこの株式会社形式の地域センターは大体十二億円程度の出資を予想されておりますので、その三分の一という相当大きなシェアの国からの支援でございます。このIPAからの出資の原資は、産投と雇用促進事業団の両方から同額ずつ予算的な手当てをいたしております。  それからもう一つ、この地域センターにはNTTの無利子融資制度、いわゆるCタイプでございますが、これは全体で平成元年度約百億円計上してあると我々は期待しておりますけれども、各地域に無利子融資制度が行われます。  それから、労働省からは雇用促進事業団から直接この地域センターに人材育成事業への助成制度、雇用奨励金等が行われる予定でございます。  それから、情報処理振興事業協会の中にございます中央支援センターからいろいろのこの地域への指導等が行われるわけでございますが、その指導等に関する経費への助成が一般会計から平成元年度一億七千万円、さらに地域が行います人材育成用教材、これの開発事業に対する支援が産投からこの協会に四億円計上されておりまして、出資機能あるいは無利子融資その他の予算措置としては相当手厚い対策が盛り込まれておると思っております。
  61. 梶原敬義

    梶原敬義君 ありがとうございました。  次に、中小企業関係の三法案についての質問に移ります。  この中小企業法案は、中小企業の構造調整のための基盤強化三法案として位置づけられており、非常に強力な中小企業対策のイメージが私は最初いたしました。基盤強化、こういうことですからね、いたしましたが、中身は、この三つともそんなにもう基盤強化で何か中小企業が一気によみがえるような中身ではない、このように思いますが、この点いかがでしょうか。
  62. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先生案内のように、国際化を初めとします内外の厳しい経済環境の変化の中で、中小企業も構造調整の真つただ中にあり、厳しい試練にさらされているわけでございます。そのような中で、御案内のように、六十一年には新事業転換法、そしてまた企業城下町法の緊急立法を成立さしていただきましたし、昨年には融合化法という新しい、従来にない画期的な中小企業の構造調整のための手だてを講じていただいたわけでございますけれども、考えてみますと、この構造調整は二十一世紀を目指した息の長い道のりであろうかと存じます。そのような意味におきまして、私どもはこの中小企業の構造調整政策を今後一段と骨太に進めていく必要があると存じているわけでございます。  そのような大きな流れの中で私ども今回の三法案をお願い申し上げているわけでございまして、いずれにいたしましても、この三法案内容はいずれまたいろいろ御審議の過程で先生から御指摘があろうかと思いますけれども、先に一言で申してしまいますと、このような中小企業にとりましての焦眉の課題であります構造調整を円滑に進めていくための基盤をいろいろな角度から整備してまいる、拡充してまいると、こういうものでございまして、構造調整を骨太に進めるために欠かせない基本的な政策手段であると私どもは自負いたしているわけでございます。  一言だけ申させていただきますと、事業団法の改正につきましては、産地とか城下町とか、あるいは各地の商店街等におきます地域の中小企業の活性化、構造調整を個々の企業ではなかなか進めにくい。これを地域ぐるみで進めてまいろう。そのために、地方自治体あるいは地元の産業界が一致団結して具体的な意欲的なプロジェクトを多々今打ち上げておられるわけでございます。これらを私どもとして積極的に支援してまいりたいとの考えに基づくものでございます。  投資育成会社法の改正につきましては、構造調整を進める際には、何と申しましても、新規事業の展開を一方において進めていく必要があるわけでございます。新規事業の展開には新たな企業を起こして、つまり創業という形を通じまして進める場合が少なくないわけでございますけれども、その際にはなかなか創業段階では資本力に欠けるところが多いわけでございます。これを今回新たに支援いたそうというものでございます。  また、小規模企業共済法の改正法につきまして申せば、御案内のように、この共済制度は、小規模企業の経営上の不安を解消し、環境変化への適応力を高める機能を従来から果たしてまいっておりますけれども、最近のような資金規模の増大ですとか、あるいは円滑な産業調整を推進する上からの小規模企業者の引退後の生活の安定の確保、このような観点からぜひとも制度の拡充をいたしまして、基盤的な意味におきまして構造調整が円滑に進むような土台を整備してまいりたい、かようなことでございます。  これらの三つの法律は、先ほど申し上げましたようなかねてからの立法措置、あるいはその他のもろもろのきめ細かな中小企業施策と相まちまして骨太に産業構造の調整、経済構造の調整の大きな役割を果たしていくことができるものと考えている次第でございます。
  63. 梶原敬義

    梶原敬義君 今圧倒的に第三次産業に労働力も移っておりますし、企業数も非常に多くなっておりますが、流通業界は特に地方では格差がどんどんどんどん拡大しておるんです。その点に対して、具体的な法案の中身に入る前に、通産省の認識を問いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  64. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 何と申しましても、流通業は日本経済の豊かさを国民生活に還元する一番の担い手でもありますし、また、製品輸入の拡大という国是を力強く推進する際の大きな担い手でもある。そのような意味におきまして、私どもは流通産業の今後の構造調整、発展に大きな期待をいたしているところでございまして、先生御高承のように、先般九〇年代の流通ビジョンを審議会において策定していただきましたけれども、その中におきましても、流通業が国民経済的に果たす重要な役割にかんがみまして、その経営基盤を強化する、あるいは人づくりを進める、それからまた、個別店舗あるいは商店街ぐるみの活性化のために、政策手段を総動員して流通産業の近代化、構造改善を進めてまいろうと、このような提言をいただいているところでございまして、私どもといたしましても、そのような観点から、ぜひともこの流通産業に対する政策を一段と力強く進めてまいることにいたしたいと考えているところでございます。
  65. 梶原敬義

    梶原敬義君 具体的に中小企業事業団法の一部を改正する法律案についてお尋ねしますが、私これ読んでみて、どんなことをイメージしておられるのか、なかなかつかみどころがないんですね。これについて少しわかりやすく説明していただけませんか。
  66. 高島章

    政府委員(高島章君) これまでの中小企業施策の大きな柱の一つは、やはり建物とか機械とかといった具体的なハードに対しましていろいろな支援措置、援助措置を講じることによりまして、中小企業構造の高度化を図るというところにあったわけでございます。また、実際にそういう事業を行う中小企業みずからが組合をつくって新しい環境に対処していくというところに、政府支援を行うというところに重要なポイントがあったわけでございます。  今回の事業団法の改正は、そういった従来のハードだけに目をとらわれることなく、むしろ研究開発とか商品開発とかあるいは販路の開拓といったようなソフトな資源をもっと中小企業の皆さんにつけていただくように支援をしたい。また、実際にそういう支援を行う人たちは、実施主体は単に中小企業だけでなくて、地域の地元の自治体あるいはいろいろな地元の垣根を越えた産業界人たちのグループ、そういう人たち一つになりましてそういった支援事業を行う際に新たな政府の支援を行いたいということでございます。
  67. 梶原敬義

    梶原敬義君 ここでも第三セクターが出てくるわけですが、この第三セクターというのは、さっき言われましたように、株式会社方式でいくのか、それに対する国の出資あるいは県、地方自治体はどのような対応をさせようとしているのか、この点はいかがでしょうか。
  68. 高島章

    政府委員(高島章君) 第三セクターと申しますのは、もう御案内だと存じますが、企業とかその団体とともに地方公共団体が出資または出指をし、実際に運営に参画いたします法人のことでございます。具体的には株式会社のものもございますし、さらには公益法人のものがございます。先ほど申し上げましたように、中小企業構造の高度化を支援する事業を実際に行います主体というのは、今申し上げました公益法人とか会社というものを予定しておりまして、そういう意味では第三セクターの形態で行われるものが多いだろうと思います。これも繰り返しになりますけれども、各地域におきましては、自治体とか産業界中心になりまして地域ぐるみでそのような事業を行おうとしておりまして、これに対する出融資を我々としては行ってまいりたいと思っておりまして、その主体は第三セクターの形態をとるものが多いであろうと思うわけでございます。
  69. 梶原敬義

    梶原敬義君 具体的にそういうような一つ要請というんですか、今こういうことをやりたいんだと、地方自治体あたりから幾つか、こういう法律ができる以上は、今上がっていると思うんですね。それを一、二少し説明をしていただけませんか。
  70. 高島章

    政府委員(高島章君) 我々も各地でいろいろと情報交換をさしていただきまして、今御指摘ございましたように、具体的なニーズがどういうところにあるのかというのを日本じゅう把握をしているところでございます。一、二具体的な例を申し上げたいと思います。  一つは、近畿地方の地域におきまして、先端技術産業を育成するためにインキュベーターセンターを設置いたしまして、従来の鉄鋼産業分野から成長性、確信性の高いメカトロニクスとか精密加工、新素材の分野へと中小企業を育成、導入しようといった事業を行おうとする動きがございます。地域の中小企業企業化センターと申し上げてよろしいかと思います。  その次は、九州のある地域でございますが、精密加工センターを設置いたしまして、造船関連の下請の中小企業技術力の向上を図りまして、県内に誘致しましたハイテク企業が使用する部品、資材の一部も円滑に供給できるようにしようという動きがございます。地域の新技術を開発するセンター事業と申し上げていいかと思います。
  71. 梶原敬義

    梶原敬義君 今までの高度化事業に対する助成の実績の数字をずっと見ましたけれども、少し伸び悩んでいるような傾向がうかがえますが、その原因、それから今後の対応、これをお伺いいたします。
  72. 高島章

    政府委員(高島章君) 御指摘のとおりでございまして、五十七年以降、高度化融資の貸付額は横ばいないし若干低下をしてきております。これはいろんな原因があろうかと存じますが、一つは、小規模な参加者がふえてきたこととか、あるいは地価が高騰しましたこと、それから最近まで続きました中小企業の景気停滞があったこと、またそれにも増して重要な点は、最近の経済環境が非常に変化をいたしまして、高度化事業に対する新しいニーズが生じていますけれども、これまでの制度では必ずしも十分これに対応できなかったといったこともあろうかと思うわけでございます。今後の見通しといたしまして景気も回復に向かっておりますし、設備投資も増加するであろうと思われますから、貸付額は伸びると予想されます。また、今お願いをしております事業団法の改正によりまして、新しいニーズに対応できるように高度化事業の拡充が可能になろうかと存ずる次第でございます。
  73. 梶原敬義

    梶原敬義君 中小企業の高度化資金、これは大変大きな金額が投入されておりますね、九千億を超しておりますが、これで高度化がうまくいっている場合と、資金は投入されたが、それがもうむだになっている場合、不成功に終わった例、これはたくさんあると思いますが、私は一、二承知をしておりますが、その点について、通産省としては十分把握をされているのかどうなのか。
  74. 高島章

    政府委員(高島章君) 最初にちょっと数字を申し上げさしていただきますと、件数で六十二年末までに一万七千五百件、それから事業団負担の累計が貸付金額で一兆七千億円、それから事業団ベースの貸付残高は約九千四百億円に上っているわけでございます。  中小企業庁といたしまして高度化事業は、事業の共同化、それから工場、店舗等の集団化といった中小企業構造の高度化を促進することによりまして、我が国中小企業の振興に大きく寄与してきたものだと確信をしておりますし、我々も各地へ参りましていろいろ地元の皆様方の御要望も聞き、いろいろな問題点の指摘も受けておりますけれども、やはり我が国のこれまでの中小企業の振興に力があったと思うわけであります。ただ、先ほど来申しておりますように、新たなニーズも生じてきておりますので、そういう事業に適切に対応できるように制度の拡充、さらに適正な運営に努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
  75. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、自信を持っておられるのはいいですが、うまくいっていない例も実際問題としてはあるでしょう。この点についてはどのように把握をされているかということです。
  76. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 何分にも高度化融資の案件もたくさんありますから、御指摘がありました工場団地、卸団地その他たくさんの案件を取り上げておる中で、場合によりますと、経営上の困難に直面するものなどがないわけではございません。しかし、これは一般の金融機関においても種々そのようなケースが生ずる場合がございますけれども、それらと比較いたしてみますと、比率においては、特に高度化融資の貸付額の中において他の金融機関に比して延滞あるいは貸し倒れ等が多いということではないわけでございます。  しかしながら、そのまま一般金融機関と比較することの意味の問題もまた一方にあると存じます。政策実施機関として中小企業の最も基本的な政策でございます高度化事業を推進する立場からいたしまして、私どもといたしましては、事業を開始する以前の段階から、それから事業の実施中の段階、それからそれをその後どのように運営していくかという各段階にわたりまして、よく自治体とも連携をしながら、事業が適正に行われるよう一つ一つきめ細かく改善のためのあるいは適正化のための努力をいたしてまいってきているところでございまして、今後もそのような意味で引き続き努力してまいりたいと考えております。
  77. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、それはうまくいってない例というのは言えないでしょうけれども、例えば私の地元で周りの印刷業界を全部集めて大きな印刷センターをつくった。しかし、みんな集まってやったものだから、みんな経営者はおるし、従業員もふえてもう一気に倒産状態になって、またもとのばらばらになった。それは一つの例ですが、その辺のことはやっぱり十分反省をしてもらわなければ、これから簡単にはいかないと思うんですよ。  次に、第三セクター方式による事業方式というのは、地方自治体にとりましてはなかなか問題があるんですね。県が出資し、地方自治体にもそれに応じて出資を要請する、こういうようなケースというのがもうこれからどんどん出てくると思うんですよ。自治省といたしましては、地方財政の健全性といった観点から、こういう今第三セクター方式というのがどんどん出てくる。これは資金が寝る。なかなかそれは償還できるようにはならぬでしょうね、配当もなかなか難しいでしょう、きっと。この点については、自治省としてはどのようにこの問題を把握をされているのか、お尋ねします。
  78. 二橋正弘

    説明員(二橋正弘君) お話にもございましたように、最近、地方公共団体が出資をいたしますいわゆる第三セクターは各分野でふえる傾向にあるわけでございます。この第三セクターは、官と民とのメリットがうまく組み合わされますと魅力のある方式になるわけでございますが、他方で、事業執行に伴いますリスクも当然予想されるわけでございますし、地方公共団体が安易に損失補償等をして財政運営に支障が生ずるというふうな事態も考えられるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、地方公共団体が第三セクターに出資とかあるいは融資を行います場合に、その第三セクターの行う事業の性格でありますとかあるいは採算の見通し等について十分検討して、慎重に対応してほしいということをかねてから指導いたしておるところでございます。今後とも状況の把握に努めながら、そういう指導方針のもとに対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  79. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、地方自治体の財政が硬直化しておりますが、そういう状況の中で、資金を固定化させるようなそういう出資とかあるいは助成というものが地方自治体の財政に対して圧迫をしているんではないか、その点はいかがでしょうか。
  80. 二橋正弘

    説明員(二橋正弘君) 確かに各地方公共団体の財政状況はいろいろ厳しいものがございまして、その中で第三セクターに参加をしていくということになりますと、当然それぞれの財政事情を十分考慮してやっていく必要があろうと思います。  お話がございましたように、第三セクターについて私どもが承知をしているところでは、単に出資をするということだけではなくて、貸し付けをいたしますとか、あるいは出資以外に補助をいたしますとか、あるいは土地等の無償あるいは低額の貸し付けをするとかといったようなことで、さまざまな財政的なかかわりを持っている例が多いわけでございます。  したがいまして、それぞれの第三セクターの事業の見込みあるいは地方公共団体が行います財政的な支援の将来見通しといいますか、お話にございましたような資金の寝方でありますとか、その辺のことについて十分考慮して対応していく必要があろう。私どももその辺について留意していただくように指導していきたいと思っておるところでございます。
  81. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移ります。  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案、これの主な中身というのは、設立段階における株式の引き受けをやれるようにしたいんだと、こういうことのようでございますが、そのような必要性がまたあったからその法律をつくったんでしょうが、なかなかぴんとこないんですがね、こういうことは。どういうことでしょうか。
  82. 高島章

    政府委員(高島章君) 現在、中小企業分野でいろいろな新しい事業の展開が見られるわけでございますが、そのときの形態というのは、いわゆる起業家、さらには既存の企業が新しい会社を設立するという形で行われるものが多うございます。そういった創業というものこそ我が国の中小企業の活性化、さらには産業の構造調整の促進に非常に大きな役割を果たすものだと存じます。ただ、その創業段階の企業というのは、これも申すまでもなく担保力が非常に不足をしておりまして、なかなか借り入れが十分でございません。経営者みずからとかあるいはその援護者等からの出資能力にも限界があるわけでございまして、総じて資金調達は困難でございます。  他方、従来資金面での創業支援措置はほとんど講じられておりませんで、創業支援段階では講じられておりませんので、このたびの改正によりまして、投資育成会社の出資による創業支援を新たに行うことによりまして、担保を要しない出資による支援もできるようにいたしまして、担保力不足等に悩む創業企業にとって有効な支援策を確立したいと思うものでございます。そのこと自身が創業の活性化を通じまして企業家精神を太く大きくして、企業間の競争の促進、さらには我が国経済の活性化に役立つものだと考える次第でございます。
  83. 梶原敬義

    梶原敬義君 新しい会社に最初から投資育成会社が投資をするというようなケースというのは、大企業中小企業をつくる場合とか、あるいはどこか有力な経営者の皆さんが集まって新しい会社をつくるような場合、こういう場合にしか、これどこの何かわからぬ者が会社をつくるときに出資する、投資するというようなことはあり得ぬと思うんです、相当見通しが立たないと。だから、そうしますと、やっぱりいいところと悪いところの差がまた開いてくるような意味もあると思うんですが、その点について間違っておれば説明をしていただきたいし、次に移りたいと思います。  自己資金調達の面で一番いいのは、株式の店頭市場の活用が当面一番早いと思うんですが、中小企業が店頭登録をなかなか利用しにくいような状況日本の場合あるのではないか。設立後十年間に店頭登録を行った企業は我が国では〇・七%、アメリカでは四〇%、このようになっております。株主保護の面から見ますと、なかなか一長一短があると思うんですが、大蔵省、この点いかがでしょうか。
  84. 松川隆志

    説明員(松川隆志君) 我が国におきましては、株式の取引というのは基本的には証券取引所で取引されているわけでございますが、店頭市場につきましても中堅の企業の株式の流通の場として整備すべきであるということで、五十八年に大蔵省の証券取引審議会の答申に従いまして一連の整備を行ったわけでございます。これを契機に新規の店頭登録会社の数も、最初は十社程度だったわけでございますが、次第にふえてきておりまして、六十三年には五十三社、またことしは多分七、八十社ぐらい新規に公開されるというような状況になってきているわけでございます。  この店頭市場につきましては、御承知のとおり、新規公開に際して最近問題になりまして、店頭市場の新規公開に際してこれをいわば公正化ということを図ったわけでございます。それとともに市場の活性化も図るべきだろうということで、日本証券業協会を中心に検討いたしておりまして、例えば店頭登録時の公募増資枠の撤廃等、できるだけ店頭市場を使いやすいようにしようというふうに考えております。  ただし、先生既に御指摘のように、投資者保護という問題がございまして、やはり財務基盤が十分確立していない企業につきまして倒産あるいは経営不振というおそれもあるわけでございますので、その点につきましては、投資者保護とバランスをとりながらこの規制の緩和を進めていきたいというふうに考えております。
  85. 梶原敬義

    梶原敬義君 最後に、小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案についてですが、全く賛成でございますが、その主な内容と、さらに掛金五万円を七万円というんだから、これは簡単にいくのかどうなのか、その点についても触れていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  86. 関野弘幹

    政府委員(関野弘幹君) 今回の小規模企業共済制度の改正の概要でございますが、この共済制度は、法律上経済情勢の変化等に対応すべく定期的な検討を義務づけられているわけでございます。今回の改正に当たりましては、昨年十一月に中小企業政策審議会共済制度小委員会の報告を受けまして、三点にわたって改正をお願いしているわけでございます。  第一点は、高齢化の進展あるいは産業構造の調整の進展等を踏まえました転廃業資金の確保という観点から、掛金限度額の引き上げを行うという点でございます。二点目は、小規模企業共済制度の共済金が従来一時金として支給されていたわけでございますが、分割支給のニーズが強いということから、新たに共済金を分割して支給できる、そういう制度を導入したいという点が二点目でございます。三点目は、最近の金利水準の低下傾向を踏まえまして、将来の共済金の確保という観点から共済資金の安全かつ効率的な運用方法を早急に図る必要があるということで、余裕金の運用について政令で定める方法でできることにしたい、この三点でございます。  御質問の共済掛金限度額を五万円から七万円に引き上げるということにいたしましたのは、最近の転廃業に要する資金が非常にふえている。これは一つには事務所の賃借料でありますとか工場の建設費用というものが上昇していることを反映しているわけでございます。それから、加入者の掛金限度額の引き上げの要望も非常に強くなっておりまして、最高限度額五万円を掛けておられる方が全加入者の二四%にも達しているということでございます。それから、小規模事業者の所得水準もかなり上昇しておりまして、掛金限度額を五万円から七万円に引き上げたといたしましても、小規模事業者の所得面からこのような掛金の引き上げは十分対応可能な範囲ではないかというふうに考えまして、今回、月五万円から月七万円の掛金引き上げが適当であると判断して法律の改正をお願いしている次第でございます。
  87. 梶原敬義

    梶原敬義君 終わります。
  88. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  89. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法案小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案中小企業事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  90. 広中和歌子

    広中和歌子君 商工委員として初めて質問させていただきますので、懸案となっております法律案審議いたします前に、対外経済関係について一般的な質問通産大臣にお伺いしたいと思います。  日米経済関係というものの見方は人によりさまざまだろうと思いますけれども、少なくとも日本のマスコミを見る限りかなり厳しいものもございますし、一方アメリカのマスコミの方でも、例えばジム・ファローズの日本封じ込め論などが出ておりまして、そういうものでアメリカ政治家たちは勢い込んで日本を攻撃してきている、そういう傾向が見られるような気がいたします。アメリカは言い募り、そして日本は少しずつ少しずつ譲歩していく、そういうような現状もあるわけでして、日本国民の側からいたしますと、大変にフラストレーティングなことでございます。特に最近のアメリカ日本への問題点の指摘の中に、知的所有権とか日本の商習慣、なかんずく流通機構だとか系列だとか談合体制とか、体質というんでしょうか、そういうものに目が向けられてきているわけでございますけれども、そういうことを含めまして、通産大臣、どういうふうな対応をこれからなさっていこうとしているのか。また、現状についても通産大臣としていろいろ幅広くアメリカの事情を御存じなわけでございますので、お答えいただきたいと思います。
  91. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 確かにアメリカ側の、理不尽という言葉がいいかどうかは言葉を選ばなきゃならないのでありますが、このスーパー三〇一条の認定というか、そういうものに見られるごとき問題に対して、我々国民側も大変こういうものに対して危機感というか、あるいはアメリカの不合理な言い分に対して憤りを持っている方が多いわけであります。さは言うものの、私はいつも大切なものは冷静に、経済問題でございますから、日本にとってアメリカは大切な貿易相手国というか、世界経済を二分するそれぞれのパートナーとしての役割を果たしていかなければならないわけでありますから、友好裏にそれぞれの問題が解決されることが望ましいわけであります。確かに対外不均衡、特に日本の五百億ドルを超える対米インバランスアメリカのいら立ちの一番大きな原因ではないかという気がいたします。こういう世界経済に不安定をもたらすような要因があるわけでありますかち、これの是正をすることは急務でもあります。その際、各国の構造改革が重要であるというトロント・サミットの経済宣言にも盛り込まれている点でありますから、日米間でも話し合いを進めていくことは、これはいきたいなという考えをいたしております。  ただ、今先生が御指摘になったように、この構造問題に関して社会的、歴史的な背景に根差したものが多いわけでございますので、貿易問題として議論をすることが妥当でないようなものもあろうかと思います。しかしながら、日本という国もこれだけ国際化をしたわけでございますから、しかも世界の中の経済に占めるウエートが大変大きくなったわけでありますから、全く日本の過去の習慣、歴史、伝統だけでいいんだというわけにもまいらないという気がいたしますので、具体的に日米両国間でどの分野を取り上げるか、それは決して日本だけではなく、アメリカの財政赤字の問題もあれば、あるいは設備投資の問題もありますし、あるいは過剰消費という問題もありましょうし、そういうもろもろの問題とペアになってお互いに取り上げながら、両国間の良好な関係をつくるためのいわばそういういい土俵になれば幸いだという気がいたします。ですから、バランスのとれた議論をお互いにしていきたいと考えております。  その意味で、両国間の問題を適切に取り上げていくことが大事でございますし、今言ったように、米国の財政赤字あるいはマクロ面での問題の取り上げ、そういうものをいたしまして、構造問題は結果を志向したものではなくて、交渉という形でやるのではなくて、やはり話し合いといいますか、お互いに理解を深めるためのそういう協議の場をつくり上げることが一番よろしいかと思いますので、具体的な話し合いの持ち方についてこれから検討を進めて、両国間の良好な環境形成のために努力を払ってまいりたいと考えております。
  92. 広中和歌子

    広中和歌子君 日米経済摩擦の一番大きな原因、アメリカのいら立ちの一番大きな原因というのはやはり貿易不均衡だろうと思うのでございますけれども、そのためには、やはり日本の方がアメリカからの輸入をもっとふやす、特に製品輸入ということにもっと力点を置いてほしいというところがアメリカの要求だろうと思いますけれども日本の方としては具体的に何か施策をとっていらっしゃいますでしょうか。
  93. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 先生御指摘のように、最近日米貿易不均衡の改善のスピードがやや鈍化をいたしております。そういうものを背景にして日本に対するアメリカのいら立ちが一層高まっていることは事実でございます。我が国の輸入は着実かつ大幅に増加をしており、輸入大国への道を着実に歩み続けているのでありますが、日米貿易不均衡問題に対処するために、今後とも特に対米の輸入拡大に全力を傾けていかなければならないという認識をいたしております。  今後は、内需主導型の経済運営、適切な為替レート調整及び経済構造調整等を引き続き推進することにより、輸入拡大策についてもよりきめの細かい対応をしてまいりたいと考えております。  具体的には、外国企業からのクレーム処理のための対日輸出ホットラインの設置、我が国商社のノーハウを活用した輸出支援窓口の設置のほかに、昨日も私自身が我が国の主要企業に対しまして輸入拡大の要請を行いましたし、本日も経団連の幹部に特に私の主観も交えまして、日本の今日の発展の基礎になったのは、やはり自由貿易体制と平和という、その大きな二つの柱の上に我々はその利益を受けて今日を得ているわけでございますから、これを維持拡大するためのコストとして、日米あるいは世界各国多国間の貿易の不均衡をなるたけ是正する努力を払うことが私たちの国の利益にもつながることだということを考えますので、彼らを保護貿易主義的なあるいは管理貿易主義的な方向に追い込まないためにも、懸命な努力を払っていかなければならないという気がいたします。  なお、輸入の拡大には、輸出国側の輸出産品の開発、売り込みの努力、さらにはマクロ経済政策も必要不可欠でございますので、この点についても折に触れて主張をしてまいりたいと思います。よろしく御判断のほどをお願いいたします。
  94. 広中和歌子

    広中和歌子君 もうあと一点伺わせていただきます。  アメリカが指摘しているものの中に、日本の古くからの商習慣によるもの、伝統によるものというふうなことを大臣がおっしゃいましたけれども、必ずしもそうとばかりは言い切れないものもあったりして、例えばメーカー自身が総代理店になっているために、輸入価格というのが日本でつくるものと競合関係にならないような値段のつけ方をしているとか、一方、消費者の立場に立ちますと、日本ではやはり物価高であると。また、日本で生産されますものが海外で安く売ちれ、そして日本ではむしろ高いということなどもわざわざ外人から指摘されていて、日本消費者は日本人のメーカーにばかにされているんではないかといったような言い方でわざわざ指摘してくれるわけでございますけれども、そういうようなことを含めまして、本当に具体的にどういうふうに日本のこれまでの商習慣とか、例えば返品制度、それから大店法ですか、流通機構に切り込んでいかれるのか、もっと具体的な案をお示しいただければありがたいと思います。
  95. 高橋達直

    政府委員(高橋達直君) ただいま広中委員から御指摘ございましたように、内外の小売価格の問題につきましては、例えば昨年の企画庁の物価レポートなどによりましても、日本の方が相当程度高くなっているという結果が出ております。ただ、これにはいろんな原因がございまして、一概に流通だけの問題と言うのはなかなかまいらないかと思うわけでございまして、例えば急激かつ大幅に為替レートが変動することも、結果的に表示的には日本のものが高くなる。と申しますのも、昭和六十年の物価レポートでは、大体アメリカと同じような水準というふうに出ているわけでございますが、昨年の場合には相当高かったと、こういう結果が出ているわけでございます。また、地価が高いとかいろいろあるわけでございますが、流通の方にもいろいろこれから考えなければいけないという問題もあるように思っております。  ちょうど六月九日に「九〇年代流通ビジョン」というのを産業構造審議会、それから中小企業政策審議会のそれぞれの場で合同会議で御検討をいただきました結果を答申で出していただいたわけでございますが、その中でも、一つにはやはり競争環境を整備していくということでございまして、情報化であるとか、あるいは各産業の業際化と申しますか、いろいろな産業が流通に入ってきて競争をしていく、あるいは今委員から御指摘がございました商慣習の見直し、あるいは流通関連の規制の見直し、そういったものをこれからも進めまして競争環境を整備していく。同時に、中小企業、これが日本の流通構造の特質でございますので、この中小企業につきまして、特に意欲ある中小企業を育てていくというような対策を講じつつ、流通の合理化、効率化に向けた総合的な対策を進めていく所存でございまして、先ごろ出ました流通ビジョンに従いまして、当省としてもこれから鋭意流通対策を進めていく、かように考えているところでございます。
  96. 広中和歌子

    広中和歌子君 今ちょうど話題になりましたので中小企業問題に入りたいと思うんですけれども、最近、日本経済というのは非常に好況が続いているというふうにうかがっておりますけれども中小企業の場合いろいろばらつきがあるんではないか。特にこうやって経済のソフト化と言われる中で構造転換というものが求められているわけですけれども、今どういう方向中小企業の構造転換を図っていこうとされているのか。何か流通機構の方にどんどん転換していく場合が多いようなそういうような印象を持つわけですが、どういうような政策を持って構造転換を行政指導していらっしゃるのか、お伺いいたします。
  97. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 最初に景況のことでございますけれども、御指摘のように、内需主導による景気の拡大局面にありますことからみれば、総体的には中小企業の景況も堅調かと思います。  それで、前回の景気回復局面ですと輸出主導型でございまして、なかなか中小企業は景気回復の波に乗れなかったのと比べますと、今回は内需主導型ということでございますので、中小企業の事業分野も比較的堅調な伸びをしたということを反映いたしまして、大企業にさして遜色のないというか、比肩し得べき景気の回復、上昇を遂げてきたということは一般的には申せるわけでございますけれども、さりながら、特に六十年秋以降の急激な円高影響中小企業分野において特に強く受けております。  それはつまり、輸出は中小企業がつくっている製品の輸出の落ち込みの方が大きゅうございましたし、逆に製品輸入の方は、中小企業がつくっております製品の輸入の伸びの方が大企業がつくっております製品の輸入の伸びに比べても高いということで、受ける影響も大きかったわけでございます。  そのようなわけで、輸出型の産地ですとか、いわゆる企業城下町の中小企業、あるいは輸入製品と競合する商品をつくっております中小企業、これらの地域あるいは業種では大変厳しい対応を迫られているのが現実でございます。  しかしながら、これらの中小企業中小企業の持ち味を大変発揮いたしまして、技術開発なり商品開発なりファッション開発なり、デザイン開発なり、いろいろな形で知恵を働かし、みずからの活路を切り開いてきているのが実情でございます。それぞれの業種業態によりまして力の発揮の仕方はさまざまでございますけれども、一言で申しますとすれば、技術とか情報とかをできるだけ充実いたしまして、個性のある品物をつくり、需要の多様化、個性化に対応して中小企業らしい持ち味を生かして対応をしているというのが現実でございまして、おっしゃいましたように、経済全体がサービス経済化している中で、製造業分野から非製造業分野に転換しているものも少なくございませんけれども製造業の中で業種の区分で申せば同じ業種に属しておりましても、つくっているものはどんどん高付加価値な、ファッション性の高い、あるいは新しい技術開発要素を加えたものをつくるというようなことで、統計面にはあらわれないものも含めて考えますと、極めて機動的に中小企業の適応が着実に進んでおり、その方向製造業の中においても、また業種をまたがってもいろいろな動きがあるということで、私どもはそのような中小企業の構造転換に向けての努力をきめ細かく力強く支援してまいりたいと考えている次第でございます。
  98. 広中和歌子

    広中和歌子君 ついでに中小企業投資育成株式会社法改正関連の質問をさせていただきますけれども、これまでの中小企業対策といいますと、むしろ構造転換を助けるとか、既存の中小企業に対する政策が中心であったと思いますけれども、なぜ投資育成会社法を改正して創業支援対策を実施しようとなさっているのか、その必要性についてお伺いいたします。
  99. 高島章

    政府委員(高島章君) 中小企業の新規事業分野への進出は、起業家さらには既存の企業が新しい会社を設立するという形で行われることが非常に多うございまして、そういった創業が我が国の中小企業の活性化、さらには産業構造の高度化のために大変大きな役割を果たしているわけでございます。また、そういった創業が活性化いたしますと、企業家精神も非常に旺盛になりまして、そのこと自身が企業間の競争も促進いたしますし、経済の活性化に寄与するわけでございます。  ただ、もう既に御案内のとおり、創業段階の企業というのは担保力が著しく不足をしておりまして、資金を調達することがなかなか困難でございます。出資能力に限界がございますので、そういった資金調達の困難な問題を乗り越えるべく、今回この法律改正で創業支援という形で設立段階の企業にも出資ができるようにしたいということでございます。
  100. 広中和歌子

    広中和歌子君 時間の都合で、ソフトウエアの関連の法案について質問いたします。  西暦二〇〇〇年に向けて九十七万人のソフトウエア技術者が不足するであろう、なかんずくシステムエンジニアの大幅不足ということで今度の法案をつくられたわけですけれども、具体的な形として人材育成、情報大学校構想というものをつくられておりますね。それをもう少し具体的に御説明いただけませんでしょうか。これは文部省所管ではないわけですね。
  101. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 二〇〇〇年を展望しての技術者の供給不足につきましては、大体九十七万人不足で、そのうちでシステムエンジニアが四十二万人、プログラマーが五十五万人不足するという想定が一応幾つかの前提を置いてなされております。  今先生お尋ねの専修学校でございますが、現時点で百二十九校指定をいたしておりまして、これは地方にございます専修学校でプログラマーの養成についてインストラクターその他教材の整備、要するに教育陣が相当程度の水準にあるという専修学校を中央の私どもの人材育成センター、これは情報処理開発協会、JIPDECの一部門でありますが、そこと結びつけまして、そこから人材育成その他のさらにレベルアップしたいろんなインストラクターの教育とか教材を支給するとか、そういうことを支援する目的で一定の資格のあるところを指定しておりまして、現在百二十九校でございます。これによりまして、ここはプログラマーの育成を中心といたしておりまして、初期の段階からかなり高度の段階までございますが、この専修学校においてプログラマー中心に人材育成が相当進捗しておると考えております。
  102. 広中和歌子

    広中和歌子君 その次の段階なんでしょうか、情報大学校構想というのは。
  103. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) その専修学校を私たちはいわゆる情報大学校と呼んでおりまして、専修学校の資格のある者が情報大学校と。これは学校法による大学じゃなくて、私どもが俗に情報大学校という認定をいたしましていろんな助成をしておる、こういうものでございます。
  104. 広中和歌子

    広中和歌子君 地域への広がり、地域性というのはどういうふうになりますでしょうか。東京にお集めになるのか、それとも各地方にそういう学校をばらまくのでしょうか。
  105. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) この情報大学校は地方にかなり広範に分布しておりまして、また我々も認定を、地方におけるそういうプログラマーの育成をやはり主眼にしておりますので、地方の専修学校をできるだけ育てていこうと、こういうふうに考えております。
  106. 広中和歌子

    広中和歌子君 人材の需給見通しのことでございますけれども、コンピューターのソフトを含めまして技術の発達というのは予想できないほどさまざまな可能性というんでしょうか、そういうものを含んでいるんじゃないかと思いますけれども、聞いた話ですが、ニューロコンピューターなどというものの開発も考えられていると、そういうふうにうかがいます。そうすると、それ自身が、何というんですか、自分自身でソフトをつくる能力があるようなコンピューターである。そんなような新しい機械などができますと、その人材の必要性というんでしょうか、その需要の見込みも大分違ってくるんではないか、そういうような気もいたしますけれども、そういうところまで見込んでいらっしゃるんでしょうか。
  107. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 今先生がおっしゃったニューロコンピューター、これは私ども平成元年度から基礎調査に取りかかろうとしておるものでございます。その前に、今最新型のコンピューターといたしましては第五世代のコンピューターというコンピューターの開発が今最終三カ年計画の初年度になっておりまして、もうプロトタイプの試作品ができ上がっておりましてデモンストレーション等行っておりますが、三年後にこれができれば、千台の大型コンピューターを並列して相当高度の推理等を行う画期的なコンピューターになるものと思います。私ども今その第五世代コンピューターの最終段階と並行してこれからニューロコンピューターを開発しようと思っておりますが、このニューロコンピューターといいますのは、このニューロンというのは神経細胞というようなことの意味でございますが、いわゆるあいまいさを備えたコンピューターということで、従来のコンピューターは、どちらかというと、インプットされたものについていかに早くたくさんのものを計算するかというものの上に成り立ったコンピューターでありますが、このコンピューターは自分で思索し、考え、ある意味では立ちどまっていろいろやると、こういうような画期的なコンピューター、人間の脳は神秘なものですから、もちろん遠く及ばないものではありますが、域としてはそういう域に入ることを期待されておるコンピューターでございます。ただ、このニューロコンピューターの開発は恐らく十年あるいはそれ以上かかるものと考えられておりまして、まず恐らく私どもは第五世代が一九九〇年代活躍をし、うまくいけば一九九〇年代の終わりごろからニューロコンピューターが市場に出てくるのではないかと、こう考えております。  なるほど、おっしゃるように、ニューロコンピューターが、その意味ではもうコンピューターそのものがソフトを自動的に開発するような、あるいはソフトに代替するような能力を持っておるというようなことも言われておりますが、まだその辺は未知数でございまして、私ども技術革新が信じられないくらいのテンポで進むわけでございますから、あるいはそういう時代も来るかもしれませんけれども、現時点では、先ほど来申し上げておりますように、プログラマー、SEを含めてやはり九十数万人、百万人近い技術者の不足が危惧されておる、そういうふうに考えているわけでございます。
  108. 広中和歌子

    広中和歌子君 この人材育成構想でも大変結構なことだと思いますけれども、同時に、こういう人材育成というのは小さいときから同時進行でなされていっていいんじゃないかと思いますので、文部省の方においでいただいていると思いますのでお伺いさせていただきます。  小学校、中学校、高等学校のレベルにおきますところのパソコンの普及度についてまずお伺いいたします。
  109. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) 全国で小中高等学校あるいは特殊教育諸学校合わせまして公立の学校が四万三百校ほどございますが、六十三年三月末現在でございますけれども、全体で十万一千五百台くらいがこれらの学校に入っております。学校段階によって差がございますけれども、小学校の場合ですと普及率が一三・五%、それから中学校が三五・五%、高等学校が九三・七%、それから特殊教育諸学校が四九・九%、こういう数字になっております。
  110. 広中和歌子

    広中和歌子君 この参考資料よりもさらに、六十三年三月ですから、進んだ数字をいただいて大変ありがたいんですが、小学校が一三・五%ですね。アメリカはその四年前の数字で八四・八%、イギリスに至りますと九九%というふうに、非常に日本のおくれが目立つのでございますが、今後の構想についてお伺いさせていただきます。  それから、四万校あるうち十万台とおっしゃいましたから、一校につき二・五台ですか。
  111. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) 平均しますと、そうでございます。
  112. 広中和歌子

    広中和歌子君 そういうことになりますよね。そういうことも含めまして、つまり数と普及率ですね、普及率というのは一台でも入っているのを含むわけですね。
  113. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) はい、そうです。
  114. 広中和歌子

    広中和歌子君 今後の予想をお伺いいたします。
  115. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) 現在の初等中等教育段階のコンピューター教育の現状でございますけれども、高等学校も職業高校——商業高校とか工業高校とかいうところにおきましては、昭和四十年代のころからコンピューター教育というのは内容として入っております。ただ、高等学校でも普通科の高等学校あるいは小学校とか中学校ということになりますと、コンピューターについて教育をするというカリキュラムにはなっておりませんで、コンピューターについては、コンピューターを使ってシミュレーションを見せる、あるいはドリル的な学習をさせて子供の興味、関心を学習面に向けるというような、学習方法の充実という形で使われているのが一般的でございます。そういう意味で、初等中等教育といいましても、これまでは商業、工業中心のコンピューター教育であったということが現状でございます。  今後の社会の変化を見通しますと、それではいけないということで、今度の新しい学習指導要領におきましては、高等学校の普通科高校においてもコンピューターについての教育を取り入れる、それから中学校におきましても、技術・家庭というような教科の中で、これは選択ですけれども、コンピューターについて初歩的な教育を施すというようなふうに内容を改善してございます。それから、もちろん小学校、中学校、高等学校を含めましてコンピューターを使って学習指導を充実していくという面での対応というのは、これからももっと進めていかなければなりませんし、また学校での事務処理の合理化という形でコンピューターを使うという面での整備促進ということについてもこれから努力をしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  116. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 今文部省からお答えになられたようなことでございますけれども、私どもといたしましては、今先生御指摘のように、あるいは文部省からお答えがあったように、十万台強でございますが、四万校を超える小中学校ですから二、三台しかないというようなことでございますが、通産省といたしましては、やはり情報リテラシーを急速に進めていくということで文部省に強くお願いをしておりまして、予算の制約がございますけれども、できれば、かつて我々が物理学教室とかあるいは化学教室のようなところで、 四十人学級ぐらいのところで一人一台、特別な教室で、文字どおり、デモンストレーションじゃなくて自分でコンピューターを動かして習得できるというような教育の方法で、なるべく急速に、欧米まで一挙にはいきませんけれども、余りにも格差が大きいので、ぜひそれを進めていただきたいということで文部省にもお願いをいたしておりまして、文部省もいろいろ予算の制約等はございますが、極めて前向きにお考えいただいておるやに伺っております。  なお、教育用のコンピューターにつきましては、現場でいろんな要請がハード、ソフトともにございまして、現在、文部省と緊密な連携をとりまして、教官のコンピューター教育開発センターという財団をつくりまして、そこで教育用のコンピューターとしてどういうコンピューターが一番いいのか、いろんな形での技術開発等今進めているところでございます。
  117. 広中和歌子

    広中和歌子君 私、実を言うと、自分自身がコンピューターとかパソコンをいじれない人間で、口幅つたい言い方で大変恐縮なんですけれども、先ほど小学校、中学校への導入の中で、いわゆる指導するというようなお言葉をお使いになったんですが、何か子供の世界を見ておりますと、むしろ自分でいじりながら、先ほど通産省の局長さんのお言葉にもございましたが、自分でいじりながら自分でソフトをつくっていくといったような種類の教育がこれから望まれるんじゃないか。つまり、先ほど人材の中でシステムエンジニアというのはむしろそういった面のかなり創造性の部分なので、そういうところの教育を文部省の今までの教育の中へどういうふうに入れていくか、むしろ落ちこぼれを生かすような教育がコンピューターの導入で可能なんじゃないかなというふうに思うんでございます。  それで、大体アメリカなんかのコンピューターソフト会社なんというのは、ガレージサイエンティストなんと申しまして、学校をドロップアウトしたような人が自分で考えて何かソフトをつくって、それで会社を起こすなんというような、そういう例もございますので、これからの教育というのは、もし産業をにらみながら教育ということをある程度考えるのであれば、やはりそういった意味の対応が非常に望まれるんじゃないかと思うんでございますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  118. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) ちょっと説明が十分でなかったかもわかりませんが、私が指導と申しましたのは、つまり授業の中に教科として取り入れて、そして子供たちに一斉に教えていくという形ででも取り組むということをこれからいたしますという意味でございます。  それで、指導方法と申しましたのは、むしろ子供たちの側から言えば、学習を興味を持ってやる、そういう形にコンピューターを使っている。それはこれまでもやられてきたことでございますし、それはカリキュラムの問題ではございませんので、これからももっと普及をしていったらいいなというふうに考えております。その意味では、今広中先生御指摘のとおりのコンピューターの活用についても、これからもっと我々も研究して、各学校でそれを生かしていくような取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
  119. 広中和歌子

    広中和歌子君 それから、せっかくですのでちょっと提案させていただきたいんですが、工業高校とか商業高校、そこを中心にコンピューターなど導入していらっしゃるというふうにおっしゃいましたけれども、それをますます進めていただきたいということと、やはりこういうふうに高度技術導入するということはお金のかかることでございますので、高等学校の生徒さんだけに使わすというのでは余りにももったいない。高度化する以上やはりマルチに使っていただきたい。社会人にも開放し、または小学生の中で非常に優秀な——優秀というのはそういう面で優秀なお子さんなんかも放課後遊びに行けるような、そういったような地域に開かれた、何というんでしょうか、工業高校というんでしょうか、そういうものを発想していただけないかというふうに思うんでございますけれども、いかがでございましょうか。
  120. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) 学校の施設、設備をいわば目的外と申しましょうか、学校の教育以外に使わすということでございます。それはもちろん、まずその施設、設備は学校教育のために購入されたものでございますから、そこに支障があるということでは困るわけでございますけれども、それがない限りにおいて、それが各地域で有効に活用されるということは大いに結構なことだろうと思います。それぞれの地域地域の置かれた学校の実情等がございますから、そういう実情等を踏まえながら各学校において対応していく課題であろうというふうに考えております。
  121. 広中和歌子

    広中和歌子君 特に夜間の利用など地域の人に開いていただきたいなと思うんでございます。  それから高等教育についてでございますが、理科系と文科系の割合でございますね、それが現状のままでいいとお思いになっているかどうか。もっとこれから理科系をふやしていく必要があると思っていらっしゃるかどうか、お伺いいたします。
  122. 草原克豪

    説明員(草原克豪君) 大学における情報処理教育についてのお尋ねでありますけれども、大学においては、文部省としては、情報関連の高度な技術者や研究者を養成する、そのことを目的とした関係の学部、学科の拡充に努める一方、情報関係以外の学部、学科の学生に対しても、それぞれの専攻分野の必要に応じて情報処理教育を実施できるように必要な施設、設備の整備等を推進しているところでございます。したがって、情報関係学科といいましても、特にソフトあるいはハードにかかわるようなところは理工系が多うございますし、また、情報システムにかかわるような分野になりますと、理工系のみならず、文科系の学科もかかわってくると思います。
  123. 広中和歌子

    広中和歌子君 そういう意味で、小学校、中学校のレベルで何となく機械になれ親しむといったようなこと、そしてその方たちが将来文科系に進むにしても、そうした文科系の分野で、または経済、政治、さまざまな分野で今度システムエンジニアとしてソフトを開発していく上にも、やはり基礎教育として機械に対する、何というのでしょうか、恐怖心がないということは非常にこれからの教育ですばらしいことだと私のような古い世代の人間は思うわけでございまして、そういう意味で、時代をにらみつつ初等中等教育、そして高等学校教育を含めましてぜひ対応していただきたいと思うわけでございます。  それから、一方、専修学校についても大いに期待しているわけでございますが、国際化の中で頭脳流入といったようなことを積極的にこれからお考えになるおつもりはございますでしょうか。
  124. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) このソフトウエアの分野は、私ども人材の不足についてはこのように懸命な対策を講じますけれども、恐らく一九九〇年代の半ばあるいは二〇〇〇年までを展望しますと、なおやはりソフトウェアの開発について時間的、コスト的にかなり海外に依存するという可能性が相当あるのではないか。その意味では、大臣も申し上げました輸入拡大といいますか、輸入超過型産業という意味でも、将来国際協調の面で期待ができる分野であろうかと思います。  先ほど、中国とか韓国とか、そういう国の方々が大変な適性を持っておられるのではないかというような御指摘がございましたが、両国に限らず、東南アジアの方々も含めまして、専門家に言わせますと、確かにこのプログラムの開発、ソフトウェアの開発について非常にすぐれた能力のある方々中国、韓国、東南アジア等には相当潜在的にいらっしゃるのではないかということでございます。我々としましては、従来から、ASEAN諸国も含めて、技術者の研修等いろいろのことをやっておりますが、今後、特にそういうASEAN、NIESの各国の優秀な能力のある方々技術を伝播し、またソフトウエアの開発等についていろいろ協力をしていただく、そういう意味での頭脳による国際協力ということは大いに、先生御 指摘のように、可能性があるものと考えております。
  125. 広中和歌子

    広中和歌子君 アメリカで大学院の理科系の卒業者の五〇%がアジア系であるというふうにうかがっておりまして、大変に興味深く思ったわけでございますが、国際化の世の中で日本もさまざまな分野国際化していくと思いますけれども、特にこういうソフトの分野などでもそういう方向にぜひ進まれますことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  126. 市川正一

    ○市川正一君 今国会もいよいよ本日が最終日に相なりました。通産大臣、体調がおすぐれでないとのことでありますけれども、最後の機会でもありますので、大臣にお伺いいたしたいと思います。  まず、中国問題なんですが、中国では民主化を求める学生や市民を戦車と銃弾で弾圧し、最近では民主化運動の指導者や活動家が逮捕され、処刑が強行されております。これに対して各国とも厳しい批判を表明しておるんですが、宇野内閣はまことに及び腰と言わざるを得ません。そういう政府の姿勢のもとで、中国進出している企業のビジネスマンが、天安門での中国当局による弾圧が終わるや、すぐに続々中国に戻って仕事をしておるために、火事場泥棒的ビジネスということで各国から批判の声が上がっております。また、こうした日系企業の行動が、中国当局に国内が平穏であることの証拠として利用もされております。通産大臣は、こうした我が国の大企業や大商社、あるいは進出企業の行動を肯定的に見ていらっしゃるのか、それとも望ましくないということで自粛指導をなされるのか、まずお伺いしたいと思います。
  127. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 冒頭の労働者処刑された問題でございますが、公的に申し上げれば、基本的には中国の司法の枠組みの中で行われたものでありますので、この個々の問題に対してコメントをすることはこの場では差し控えたいと考えておりますが、取り締まりの強化、あるいは過般来中国政府の一連の措置により、国際社会の中における中国イメージが大きく傷つけられたことは否定できない事実でもあるわけであります。我が国といたしましても、まことに残念のきわみと言うほかございません。ですから、六月四日以降の事態について、我が国もひっくるめまして世界各国がそれぞれの立場からあるいは憂慮をし、あるいは心配をしているところでございます。中国がこのような国際的な声に耳を傾けることを大きく期待をするわけでございます。  次に、商社やその他の問題でございますが、言葉汚くというより、私も先ほど申し上げたんですが、火事場泥棒的という表現がございましたけれども、私も役所を通じましていろいろ調べた結果、いやしくも火事場泥棒的な、この機会をかりて商売の拡大を図ろうなどということは毛頭考えにないという今の商社や進出企業の意向でありますので、この機会をかりまして御認識をいただきたいと思います。  ただ、最小限度企業活動に必要なというか、維持するに必要な人員が多少帰っているという現実もございます。日本政府としては既に一回退避をする指令を出して勧告をしているわけで、その後その撤回をまだいたしてない段階でもございます。しかし、大きな意味で長く考えますと、結局日本中国の間の産業貿易上の障害というものがやがて中国の民衆の上に大きな障害とならないような配慮も、これから先はしていかなければならないという気持ちも持っております。  以上です。
  128. 市川正一

    ○市川正一君 中国のあの事態についての評価そのものをここで議論するつもりはありません。通産行政とかかわっての問題に限定しているわけですが、しかし、おっしゃったので私一言だけ申したいのは、あの中国の問題というのは、単に内政問題ということじゃなしに、人権問題としてやっぱり国際問題でもあるということを私は指摘いたしておきたいと思うんです。  そこで、私は現に日本企業が行っている事態というものは、これはやっぱり国際的な問題にもなってきている。昨日、外務省の首脳は、経済優先の姿勢は国際世論の批判を浴びる、こういう厳しい見解を表明しているわけです。ところが、今、通産大臣の御答弁は経済行動としていわば当然のことをやっていると言わんばかりのお話なんですが、通産省と外務省の見解は食い違っていると言わざるを得ぬのですが、私はその点を明確にしていただきたいと思います。
  129. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 冒頭申し上げましたとおり、私ども人道人権上の問題は看過し得ない問題だという理解はいたしております。それから、どこでどういう誤解をされているのか、あるいは針小棒大なのか知りませんけれども経済優先というそういう姿勢がとられているということは、私は残念ながら聞いておりません。少なくとも事務所の保持や必要最小限度人間の復任にとどまっているということでございまして、経済活動を活発に展開をしているということとは全く異なるわけでございます。そういうことでございますから、新聞やその他のことに余り事実をお調べにもならないで断定的に批判をされることは、むしろ日本立場を誤解をさせるもとにもなろうかと思います。外務省外務省的な立場においてそういう見解を出されることは当然なことでございますし、我々はむしろ商社や産業界の方たちにまず人命に危険がないように、そういう経済的な権益は守ってあげるように、そういう立場でこれからも臨んでまいらなければならないと思いますので、経済優先であるとか火事場泥棒的な商売の展開をいたしているということは全く調査の結果にもありませんので、御理解を願いたいど思います。
  130. 市川正一

    ○市川正一君 私が言ってるんじゃないんですよ。宇野内閣の外務省が言ってるんですよ。いいですか。こう言ってますよ。経済活動云々というそれ以前の問題である。外務省首脳は、二十一日、各国に先駆けて日本企業北京駐在員が相次いで帰任している問題で、企業の代表取締役の判断はおかしい。経済利益優先の姿勢は国際世論の非難を浴びることになると不快感を表明したと。私は、これはいわば当然の良識やと思います。通産大臣の方がむしろ非常識と言わざるを得ぬのでありますが、これは閣内不統一というほど大げさに言うつもりはないのですけれども、これはやっぱりきっちりしたけじめを通産省としては、いいですか、各国に先駆けて日本企業北京駐在員が相次いで帰任している問題で言っているんですから、この問題はひとつ監督官庁として、担当大臣としてはっきりしていただきたい。  大臣とはしばらくごぶさたすることになりますので、このついでにスーパー三〇一条問題で、今同僚委員もお触れになったんですが、私も違う視点を明確にした上でお伺いしたいんです。  アメリカのブッシュ政権が我が国をスーパー三〇一条の発動対象とする決定を行ったというのは、これはアメリカの国内法である包括通商法に基づいて、本来その効力が及ばない外国である日本に適用するということによって、これは明らかに経済政策に干渉するものである、主権侵害とも言うべきものであると考えるのでありますが、通産大臣もそのようにお考えだと思いますが、基本的認識をまずお伺いしたいと思います。
  131. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) まず冒頭中国問題でございますが、日本企業も、先ほど言ったように、経済優先、採算優先ということではなくて、国際性、企業倫理を十分にわきまえた方々だというふうに理解をいたしておりますし、北京最小限度の要員を例えば帰さした場合であっても、これは経済行為の必要最小限度許される範囲だということで、そういう問題について外務省関係方面に通知を行ったことは当然なことであり、我々もそれを否定しているわけではございません。そういうふうに御理解を願いたいと思います。  それからスーパー三〇一条については、たびたび私から申し上げておりますとおり、こういう対日適用が行われたことは極めて遺憾千万だと、その点に尽きるわけであります。制裁措置を背景にして交渉を行うというスーパー三〇一条の枠組みは、ガットの精神にも反し、ウルグアイ・ラウンドにおける各国の努力にも悪影響を及ぼすものという考え方をとっておりまして、この枠組みのもとでは交渉に応じられず、ガット等の場で討論をすべき問題だというふうに考えておりまして、過般のODAの閣僚会議や四極貿易大臣会議においてもその主張をし、諸外国の共感も得ているところでございます。しかしながら、我が国としては経済大国としての認識のもとに、今後とも輸入拡大のために全力を挙げ、いやしくも日米間が感情的に対立するようなことは避けていくべきだということは、広中委員質問にもお答えをしたとおりでございまして、それが日本の利益を守るゆえんにつながる、かように考えている次第であります。
  132. 市川正一

    ○市川正一君 それでは主権侵害という性格の問題と認識されますか。
  133. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) アメリカ自身が行ったわけでございまして、私どもがこれに応ずる用意がないということになれば平行線でもございますので、この問題に対してアメリカはそれ以上コミットをしておりません。実は下田の次官会議でも具体的な問題には触れていないという現実を考えてみましても、これからの交渉がこの枠組みの中で行われるかどうかということは全く考える必要がないのではないかという感じがいたすわけであります。
  134. 市川正一

    ○市川正一君 これは感情論ではなしに、やはり国と国との関係においてどういう性質の問題なのかということをやっぱりきっちり押さえる必要があるというふうに思います。  そこで進めますが、今回のこの主要なねらいの一つは、人工衛星、それからスーパーコンピューター、こういうアメリカが優位に立っているハイテク分野日本を押さえ込んで、今後もその立場維持しようとするものであり、知的所有権制度に対する攻撃もそうした意図から出たものであることは明白であります。  そこで伺いたいんですが、スパコンの例をとりますと、前の通産審議官でありました黒田真氏、私もよくここで承知しております、あの黒田氏がこのアメリカの態度について、同盟国に対する接し方を知らないものというふうに断定され、そして、米国の公共機関は日本製のスーパーコンピューターを一台も買っていないというふうに指摘しておりますが、この黒田氏の指摘は間違いございませんか。
  135. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 今、アメリカ日本製のスーパーコンピューターは我々の見るところでは四台入っておりまして、アメリカ全体でスーパーコンピューターのマーケットが約三百九十台、四百台近くあるものと推定いたしておりますが、その一%ぐらいしか入っておりません。
  136. 市川正一

    ○市川正一君 私がお伺いしたのは、その四台ということをお聞きしたんじゃなしに、公共機関に入っているかというんですよ。今の四台は、民間が三台なんですよ、それで第三セクターみたいなところに一台。政府機関、公共機関にはゼロなんですよ。それを黒田さんが言っているのは間違いないか、あんたらの先輩やないか、それを聞いているんです。それで、そのとおりだというお答えがそうです。  また、不公正な商慣行としてアカデミックディスカウント、大学や研究機関には大幅値引きをするというんですが、それをアメリカ側は問題にしております。しかし、もともとこのアカデミックディスカウントは、日本市場に持ち込んできたのはほかならぬ外資系のメーカーであるということは、これは日本のエレクトロニクスの業界がちゃんと指摘しております。ここに私、山本電子工業振興協会会長を初めとする一連の証言を持っております。一方アメリカは、NECのスパコンを導入しようとしたMITやあるいは日本導入を検討していたユタ州のブリガムヤング大学、こういうところがアメリカの商務省の警告で断念せざるを得なくなりました。アメリカの方がよほど不公正です。さっき大臣は冷静に議論をするとおっしゃいましたけれども、もう向こうの方がこういうふうに感情むき出しです。  これらをもって今回のアメリカのねらいがハイテク分野日本を押さえ込もうとすることは明白でありますが、大臣もそのように認識なさいますか、なさいませんですか。
  137. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) スーパーコンピューターの分野とか、半導体の分野とか、工作機械の分野とか、工作機械もコンピューターと連結する非常に高度のNC旋盤等については、確かにアメリカは最近大変危機感を持っておることは事実でございます。特に自動車のような耐久消費財については、そのときどきフリクションはもちろんございますけれども、それなりにいいものが安くアメリカに入るということについては、かなり寛容であったわけでございますが、例えば今御指摘のスーパーコンピューターは非常に高度な宇宙その他各般に使われる分野でありますし、半導体についても、これから二十一世紀を展望してすべての先端技術の基盤である、米であるとか原油であるとか、こういうことを言われておりますが、そういう分野においてアメリカが最近、研究所ではいいものができるけれども、実際の大量に生産する段階ではワークマンシップの質の問題もあって大変劣るというところで、アメリカが大変な危機感を持っていることは事実でございます。
  138. 市川正一

    ○市川正一君 法案審議も進めなければなりませんので、大臣とのやりとりは残念ながら次の機会にまた譲らざるを得ませんけれども、私は結論的に申しまして、ブッシュ大統領すらが、スーパー三〇一条の発動をするときは、米国自身をその対象に加えるか、さもなければ、米国の輸入規制緩和を同時に発表しなければならないのではないかと、こういうふうに述べざるを得ない事態です。ところが、日本政府は譲歩に譲歩をずっと重ねてきて、そしてアメリカの理不尽な要求を受け入れてまいりました。その結果、例えばスパコンの例をとって申しましても、東工大が二十七億円で買い入れたアメリカのスパコン、御承知のように、これはCDC社のものですが、これは全く使い物にならぬのです。そして莫大なむだ遣いとして物笑いの種になっていることは天下周知のところであります。私は、こういう事態の背景にあるもの、それはあの日米安保条約の第二条の後段の規定、これによる拘束がやはりそこにある。したがって、今こそこの面からも日米安保条約を廃棄すべきであることを私は重ねて主張申し上げ、そして法案質問に入らせていただきます。  まず、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法案でありますが、この法案で定める事業がどこの地域でどのようなソフトウエア技術者を養成するのかというのが問題だと思うんです。現在、ソフトウエア技術者の大多数は、これは大企業に雇用されており、そして専業情報サービス業もメーカーやユーザーの支配下、系列下に置かれているのが実態であります。また、ユーザー企業も金融、証券、鉄鋼、電力会社等々大企業中心であります。とすれば、今回の法律で養成される高度なソフトウエア技術者、SEを大量に必要としているのはこういう大企業であり、そういう大企業が本来企業自身の責任で実施すべきものではないんでしょうか。いかがでしょうか。
  139. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 確かに情報化の進展は大企業中心で進んでおることは事実でございます。しかしながら、中堅企業中小企業分野においても、昨今は我が国独特の技術の基盤を支える中小企業がたくさんございまして、そういう分野においていろいろのソフトウエアの開発に大変熱心であることも事実でございます。それは主としてユーザーの面からの問題であります。  それから、全国に今非常に零細な企業まで含めますと約五千と推定されますいわゆるソフトハウス、ソフトウエアをつくる本当に零細な企業、数人程度の規模の企業も多いわけです。その中で我々がいわゆる企業としてとらえていろいろ指導しておりますのが千五百から二千ぐらいでございます。そういう点で、こういういわゆるソフトウエア供給業の中には極めて零細な企業がたくさんある。供給面でもそういう人たちに対する対策が重要であるということは当然言えると思います。
  140. 市川正一

    ○市川正一君 違うと思うんですね。  労働省がお見えになっておると思うんでお伺いしますが、今回、地域センターで実施される研修は三カ月間、そして費用についても、労働省の人材育成事業費助成が費用の三分の一ですね。そして十五万円の助成と奨励金が出ることになっています。こういうふうに、元来企業で実施すべきことまでも肩がわりしようとするのはどうしてなんですか。
  141. 甘粕啓介

    政府委員(甘粕啓介君) 私ども労働省といたしましては、産業構造あるいは職業構造の変化、こういうものに対応いたしまして、労働者が適切な能力を身につけ職業の地位の向上を図るということは非常に重要なことだというふうに思っているところでございます。  今回のこの法案につきましては、特に今後職種的に非常に不足が予想される、そういう意味では需給の不均衡が非常に拡大するというSEクラスということが一つでございますが、それと同時に、これを通じまして地域の振興に非常に大きな効果がある、そういう意味では、また地域的な雇用の需給の不均衡、そういう面でも非常に効果があるということを考えましてこういうふうな助成措置を講じようということで考えているところでございます。
  142. 市川正一

    ○市川正一君 今、地域にこれが利益をもたらすと、こうおっしゃったんですが、また法案も、地域におけるソフトウエア産業の振興、地域の活性化を挙げているんです。しかし、果たしてそうなのかという問題が残るんです。実際にソフトウエア産業の農村地域の展開可能性について、去年の二月ですが、産業立地の調査をいたしました。そして、地方に所在するソフトウエア産業の事業所新設先としてどこが適切か。そうしますと、東京、大阪等の大都市とするというものが六〇%を占めている。また、東京インフォマート24推進会議、その構想によりますと、全国に散在するところの二百前後の情報サービス企業が東京を拠点として入居できるインテリジェントビルをつくることになっているんです。これが実際の状況です。  こうして見ると、地方あるいは地域というよりも、大都市へ集中することが実際には不可避になってきていると思うんですが、どう見ていらっしゃいますか。これは通産省で結構です。
  143. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 私どもは、全体的に九十七万人と言われるソフトウエア人材を地域において育成し、ソフトウエアクライシスを解消したいというのが本法律の最大の目的でありますが、本事業の効果は、先ほど申し上げましたように、地域のソフトウエア産業において大きな比率を占める中小企業にも幅広く及ぶ、かつ地域の活性化につながると、こういうのが我々の法律の目的でございます。
  144. 市川正一

    ○市川正一君 もう一問お聞きしておきますが、地域センターの設置は、プログラム業務従業員が多数おり、SEになりたいという要求があること、これが前提になると思うんですね。しかも、システムエンジニアを養成、研修できるだけの能力が要求されてまいります。となりますと、中心になるコア企業、これはシグマシステム開発本部構成メンバー三十三社、シグマシステム開発に参加している百九十三社に限定されざるを得ない。その結果、メーカー系列のシステムが中心になるおそれがあり、自社製品の販売促進など経営戦略に使われる心配があるんですが、これに対してどういうふうに対処なさるおつもりですか。
  145. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 私どもが考えておりますのは、おっしゃるように、過疎地域ではそれは確かに育成できませんので、その地域においてある程度の基盤がある。つまりその基盤といいますのは、ソフトウエアの開発をする企業がある程度あり、かつまたそのユーザーもあると。そのユーザーの中で、プログラマー等でさらに高度のシステムエンジニアの素質を持った人をその地域センターで集中訓練を行いまして、そのSEに育て上げた方が当該ユーザー等に戻って、自分の本拠地に戻って、その人たちが今度はインストラクターとなって当該企業においてSEの教育を波及的に進めていくと、こういうことによって十年間で三十万人近いギャップを埋めようというのが我々の目的でありまして、先生がおっしゃるように、どこかの企業一つの優越性がその教育に反映されたり利用されたりすることはほとんどないものと考えております。
  146. 市川正一

    ○市川正一君 そのほかにもいろいろ指摘しなければならない問題がありますが、時間もきょうは限られておりますので、結局、大企業に対して至れり尽くせりの優遇措置を図るものであるということを重ねて指摘しておきます。  労働省、お引き取り願って私は結構でございます。  次に、中小企業三法でありますが、我が党はこの三法に基本的に賛成でありますことを表明した上で、なお中小企業の切実な要求にこたえて充実を図るという立場から若干の質問をさせていただきます。  まず、基本的認識なんでありますが、本年の中小企業白書は構造転換について、「変化こそ発展のチャンス」あるいは「中小企業がその旺盛な企業家精神を発揮し、自助努力を続けていくことが基本となる」というふうに述べられております。ところが、実際にはその言葉は中小企業を切り捨てていく施策の推進と実態としては結びついている。端的に言えば、毎年中小企業の予算が減額に減額を続けているという問題であります。そしてそのことは、今回改正の三法の対象を見ましても、投資育成株式会社を利用している企業は、六百万と言われる中小企業のうちでわずかに千七百十七社です。中小企業間の高度化融資の貸付件数も制度設立以来約六千二百件です。当初は毎年七百ないし九百件ございましたが、現在は四百件台に半減しております。御承知のとおりです。また、小規模共済法も、構造調整による小規模事業者の円滑な撤退策の受け皿として考えられています。  こうなりますと、「変化こそ発展のチャンス」と申されても、これらの制度を本当に利用できる中小企業は一部の優良企業であって、圧倒的多数の中小企業、零細企業中小企業対策からも取り残されていくことにならざるを得ぬと思うんですが、こうした問題について認識をお伺いしたいと思います。
  147. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 確かに中小企業は内外の激しい経済環境の中で厳しい構造調整の試練の中にあるわけでございますけれども先生も御承知のように、この十数年間を振り返ってみますと、大変激しい構造変化の時代が続いておりますけれども、そんな中にありまして中小企業は持ち前の適応力を発揮いたしまして、日本経済全体の。パフォーマンスが非常によろしいというふうに国際的に評価されましたその大きな原動力として今日までその活力を発揮してまいってきていると思いますし、これからも二十一世紀に向けての構造調整を一生懸命進めてまいらなければならないわけではございますけれども、私どもはこの中小企業の機動力、適応力をできるだけ政策的に支援をして二十一世紀を目指した新しい時代にふさわしい中小企業へと構造転換を進めていくことを期待しているわけでございまして、そういう過程において、大企業に比べまして制約の大きい経営資源をできるだけ補完してまいる。そして、自助努力を結実させるようにするというのが私どもの政策の基本スタンスでございまして、予算面におきましても、マイナスシーリングのもとではございますけれども、できるだけ中小企業の血となり肉となるような政策予算は拡充をいたしてまいってきているところでございますし、今般制定さしていただくべく御提案申し上げている三法案につきましても、骨太に構造調整を進めていくための基盤を整備するという趣旨に出たものであるわけでございます。  具体的に一言申しますと、事業団法の改正につきましては、産地とか城下町あるいは商店街などにおきます地域中小企業の活性化を図る助成措置を拡充させようとするものでございますけれども、仮に一人一人の中小企業者が技術開発をする、あるいはデザイン開発をする、あるいは商店を整備すると申しましても、おのずと経営資源に限りがあり、自助努力にも制約がございます。一人一人で難しいところを産地ぐるみ、企業城下町ぐるみあるいは商店街ぐるみで地域ぐるみの産業活性化を図ろうというのがこの法案を御提案申し上げている趣旨でございますし、投資育成株式会社につきましても、これまでに投資をしてまいった企業は必ずしも多くないかもしれませんけれども、資本金三千万円未満の企業に対しましても、全体の投資の三割を投入いたしているわけでございます。今般の法改正によりまして一段とその支援の幅を広げることができることになると存じておりますし、小規模企業共済法につきましても、中小企業の大半を占めます小規模企業の経営上の不安を解消し、厳しい環境変化への適応力をできるだけ整備してまいりたいという趣旨に出ているものでございまして、いささかも中小企業の切り捨てとかというようなことは考えているわけではございませんで、むしろ中小企業環境変化への積極的な取り組みに対しできる限り政策的な支援を拡充してまいりたいという趣旨に出たものでございます。
  148. 市川正一

    ○市川正一君 中小企業切り捨て政策をやっているというようなことをよもやお答えにはそれはなりまへんやろ。ただ、私が指摘しているのは、客観的な数字や事実や、そしてまた動きがそういうことに相なっているということを申し上げて、それとおっしゃっていることが食い違うているのやおまへんかと、こう言ってるわけです。  さらにもうちょっと時間が迫ってまいりました。あと二間だけお聞きしたいんですが、中小企業事業団法の改正の問題なんです。  今回の改正で地域産業創造基盤整備、地域中小企業情報化推進事業、地域中小小売商業振興事業、これを事業団からの出資、高度化融資を投入して第三セクター方式で実施するということになっているわけですね。ところが、これは本来国がやるべきものじゃないのかというふうに私は思います。事業団の高度化融資希望枠は二千百九十四億円、去年と一緒ですね。ふえてないんです。ところが、そこに新規事業が追加されることによって、既存の融資が圧迫されることにはならないのか、そしてまた新たな出資などの業務の追加による事業団の体制が確立されているのかどうかという懸念を持つんでありますが、この二点についてどうお考えでしょうか。
  149. 高島章

    政府委員(高島章君) 第一点でございます。  今各地域で、先生も御高承のように、いろいろな新しい動きが出てまいりまして、地域ぐるみで地元の自治体とか、さらに産業界がいろいろな垣根を越えまして一緒になって中小企業の新しい発展のために支援をしようという動きが出ているわけでございます。今回の法律改正の中心でございます中小企業構造の高度化を支援する事業というのはまさにそれでございまして、こういう人たちに、こういう動きに対して国が、中小企業事業団が積極的にお手伝いをしていくという趣旨のものでございます。ただ、地元におきましていろいろな動きがございまして、必ずしも日本国じゅう一つではございません。地域の実情に応じまして非常に柔軟な態度で行っていくことが必要であろうかと思います。  それから第二の点でございますが、体制でございます。  現在も中小企業事業団はそもそもの計画の構想段階からいろんな指導、相談を行っておりますし、さらには運営の段階でも非常にきめ細かな診断、指導等を行っているわけでございまして、実施体制につきまして、その事業目的が円滑に適正に行われるように十二分に体制をつくり上げているわけでございますが、今回のこの出資対象事業につきましても、目的が十分達成されますように万全の実施体制をとってまいる所存でございます。  特に新規業務でございます関係上新たに課を設けまして、地域産業支援課と現在称しておりますが、この新しい課をつくりまして課長以下非常に詳しい専門のスタッフを導入いたしまして、新しい仕事が円滑に行われるようにやってまいる所存でございます。
  150. 市川正一

    ○市川正一君 時間が参りましたので、最後に大臣に決意をお伺いいたしたいのでありますが、それは休業補償制度の創設の問題でございます。  これは小規模企業共済法の改正においてこれが含まれてしかるべきであると私は考えるのであります。と申しますのは、八七年三月の中間答申でもこの問題が取り上げられております。そしてまた、八〇年の中小企業ビジョン、また前回の改正のときもこの問題が論議されました。一体いつになったらこれが実施されるのか、明確にすべきときだと思います。高度化融資は無利子で実施しているんですから、無利子貸付制度を活用するとか、あるいは傷病などで特定できるものからまず実施していくとか、いろいろやり方は私あると思うんです。ぜひ大臣在任中にこれをめどをつけていただきたい、そういう強い期待と要望を込めて、大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。
  151. 関野弘幹

    政府委員(関野弘幹君) 休業時の所得補償につきましては、先生御指摘のように、今まで中小企業政策審議会共済制度小委員会の報告等いろいろな場でも御指摘いただいておりまして、私どももその導入の可能性につきましてこれまで検討を続けてきたところでございます。  ただ、休業という事態になりますと、これは業種あるいは年齢あるいは地域別にどういう状態で休業が生ずるかということにつきまして実態を把握し、複雑な数理設計を必要とするわけでございます。それからまた、休業というのは、一たん休業してある一定時期たちますと事業が再開されるということでございますから、どういう状態で休業され、かつどういう状態で再開されたかという事業の認定ということも非常に難しい問題になってこようかと思っております。したがいまして、制度の運用あるいは共済数理という両方の観点から見まして依然として問題が大きい、多数残されているというのが私ども昨年十一月に中小企業政策審議会共済制度小委員会からいただきました御報告でございました。したがいまして、私ども、休業時の所得補償制度の導入につきましては、いましばらく時間をかけましてさらに検討を続けてまいりたいと思っております。  ただ、御指摘のように、病気、災害等によりまして一時的に休業せざるを得なくなり、一時的に金が必要だと、資金が必要であるというニーズが存在するわけでございますから、これに対しましては私ども傷病災害時貸付制度という制度を今つくっております。この制度をさらに貸付金利を引き下げ、かつ貸付手続を簡素化するといった制度の見直しを早急に行いまして、こういうニーズに当面対応していきたいというふうに考えている次第でございます。
  152. 市川正一

    ○市川正一君 大臣がなければ、まことに残念でありますが、今回はこれで終わります。     —————————————
  153. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、広中和歌子君が委員辞任され、その補欠として伏見康治君が選任されました。     —————————————
  154. 井上計

    ○井上計君 大分出尽くしておりますから、要点のみ幾つかお伺いをいたします。  最初に、地域ソフトウエアの法案についてでありますが、十年前にはこのような情報社会、もちろん来るとは思っておりましたが、ここまで急速に情報社会になるとは私どもとしても予期しなかった。恐らく通産省としてもそれほど急ピッチでこのような状態になるとはお考えになっていなかったと思うんです。ということは、これから十年先どのようなさらに情報社会に進展するのかというのも予測しがたい面があると思うんです。しかし、だからといって、余計にこういうふうな法案の改正が必要だということは私も認識しておりますが、ただ、午前の質問に出ておりましたが、十年後どのような情報社会になるのか、それについて具体的にどういうものかというふうなビジョンを想定しておられれば、簡単で結構ですから概略承りたい、こう思います。
  155. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 私ども二十一世紀を展望いたしまして、先ほど来百四十五兆円という膨大な情報産業になると申し上げました。GNPでいきますと二〇%を超える、つまり全体のGNPの五分の一を情報産業が占める時代になるものと思っております。  これを支える半導体の分野は今一メガが最盛期でございますが、もう今年から数年間は四メガの時代になり、それがさらに十六メガ、六十四メガというような予想を超える進展になっていくでありましょうし、そうしますと、今のシリコンベースの半導体でいいのかどうか、その辺の半導体の分野でも大変に革新的なものが出てくるのではないかと考えております。産業面におきましては、こうしたコンピュータリゼーションの進行は、先ほど御質問のあったニューロコンピューターの出現が恐らく二十一世紀には現実のものとなりましょうから、そういうものが出現しますと、今の生産工程等もさらにコンピューターと機械との結びつきが我々が考える以上に大きなものになって、例えばオフィスオートメーションあるいは無人工場というような、そういうような方向に今進みつつありますけれども、生産工程その他も全く変わったものになってくるのではないかと考えております。また民生面では、今非常に話題になつておりますHDTV、これなども一九九〇年代の後半から衛星の打ち上げによる本格的な放送が行われることになりましょうし、そうしますと、民生用としても画期的な画面で放送が楽しめることになりましょうし、単にこれはそういう民生面の消費財だけではなくて、例えば医療面においても、大変難しい技術にモニターとしてHDTVを使った医療システムが大変発達するであろうと見られておりますし、あるいはまた文化、福祉面では、美術館における静止画等に原画あるいは原画以上に鮮明な画像を供給するというようなことも、一つの例としてHDTVを取り上げれば、そういう時代になってくるのではないかと思います。  ただ、常々うちの大臣もおっしゃっていますけれども、物質文明の極致が我々の人間性にどうはね返っていくか。その機械文明の砂漠的な味気なさが我々の日本における非常によき伝統その他を破壊するようことになってはいけませんので、我々は常にそのそら恐ろしいほどの技術革新をある意味では期待しながら、かつこれが本当に産業面でも国民生活面でも情緒ある人間と機械との結びつきという点で、マン・ツー・マシーンの結びつきをうまく構成していくというようなことも考えていかなければいけない、こういうふうに大ざっぱに申し上げますと二十一世紀を展望しているわけでございます。
  156. 井上計

    ○井上計君 今、棚橋局長お答えの最後の方に、物質文明、科学文明がさらに進むことによって人間の、何とおっしゃいましたか、要するにそれが欠如するようなことがあってはならぬ、こういうふうな意味、これは大変重要だなといつも私も感じますし、また改めて感じますので、それらの点を御留意いただきながら、今後情報社会への対応をさらにお進めをいただきたい。  ただ、この法案が臨時措置法でありますから当然でありますけれども、「十年以内に廃止するものとする。」、こうなっていますけれども、果たして十年以内に廃止することがいいのか、できるのかなという疑念が私は常にあるんですね。もちろんこれは延長できますし、さらに必要の都度改正すればいいわけですけれども、恐らくこういうふうな法案の必要性というか、考え方というのはこれから未来永劫続いていくんではないかな、こんな感じも私はしております。これは別に質問ではありませんが、そんなふうな感じがしておるということを、私の感じを申し上げておきます。  それから、労働省せっかくお越しいただいたのでちょっとお尋ねするんですが、要するに問題は人材だと思うんですね、対応していくための。特に今お話しのような、それを想定する場合に、ますます人がなければどうにもならぬというふうなことであります。それについての具体的な対策を労働省は当然お考えで、先ほどもちょっと御答弁、がありましたが、果たしてそれで十分かなという感じがちょっとするわけですね。  それからいま一つ、失礼でありますが、従来労働省の人材育成というのは、産業政策、通産省の政策とは無縁と言うと言い方は失礼ですけれども、ほとんど関係なく進めておられましたね。特に技能検定制度なんていうのは通産省と全く無縁の形で今までずっと進んできた。私も苦い経験があるわけですよ。だから、それらを考えて今回通産省と一緒になってこの人材育成に乗り出された、乗り出すことになった経緯といいますか、あるいは理由といいますか、何かありましたらひとつあわせてお聞きをいたします。
  157. 甘粕啓介

    政府委員(甘粕啓介君) 先生からお話ありましたように、私ども人材育成ということは非常にこれからの、今までも重要でしたけれども、こういうふうに産業構造が日本経済の上では大きく転換をしようとしている時期になればなるほど人材の育成というのは非常に重要なテーマではないかというふうに思っているところでございます。  先生の方から今まで産業政策と無縁にやっていたんじゃないかというお話ございましたけれども、私ども弁解じみますけれども産業構造あるいは就業構造の変化に対応しましてどういうふうに能力開発を展開していったらいいのかということにつきましては絶えず苦心をしておるところでございまして、国あるいは都道府県で公共職業訓練所を設置し、これを行っておるところでございますが、これにつきましても絶えず需要動向を勘案しながら、科目の再編あるいは新しい形の短期大学というふうなものの設置、こういうことを通じまして、情報社会、あるいは不足している、これから伸びる必要な科目につきまして懸命な努力を続けているところでございます。  特に今回審議をお願いしておりますソフトウェア関係、これにつきましては、公共職業訓練における科目の再編、あるいは短期大学におきます。そういうものの充実、あるいは特に民間におきますこういうものの訓練につきましてコンピューターカレッジみたいな言い方をしてございますけれども、第三セクターにそういうものの運営を委託するとか、新しい手法でいろいろ従来講じてきたところでございます。  今回これを通産省と一体にやることになりました基本的な背景は、先生御指摘のとおり、産業政策と私ども労働政策がより一体になる方が基本的じゃないかということが基本路線でございます。それからもう一つ、具体的にはやはりこういうSEクラスというさらに上級の職種、こういうものにつきましては需給の不均衡が非常に大きいということと、先ほど申し上げましたけれども、この法案が結果的に需給ギャップの中でも特に私ども大きな課題と思っております地域的な雇用需給の不均衡、これにも非常に貢献するんじゃないかということがありまして、これをより効率的、効果的に行うためには、私ども労働省の持っておりますノーハウ、施策、それと通産省の持っておられますノーハウ、施策、こういうものを一体化する方がより効果的ではないかというふうに考えまして、今回審議をお願いしているところでございます。
  158. 井上計

    ○井上計君 労働省もう結構です。  要するにどんないい法律ができ、また、それについての適切な指導をしようとしても、問題は具体的に多くの人が参加できる、多くの人が利用できる、多くの人が就学できるようなきめの細かい運用が必要だと思います。その点については、労働省にも通産省にも特にまた十分の配慮をしていただきたい。これは要望しておきます。  それで、このソフト問題については、もう一つ棚橋局長、地域で開発事業について既にいろんなものが進んでいるところがありますね。そういうふうな現状はどのように把握をしておられますか。  それから、これは今年度具体的に地域決定をされるわけですね。だから、それはどうなのか、最終的にこの地域の指定は今のところ大体何カ所ぐらいされる計画であるのか、これを承ります。
  159. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) まず、現在各地域でどのような人材育成が行われておるかということですが、これにつきましては、もちろん企業内でSEプログラマーをそれぞれの企業が一生懸命養成しようとしておられることが各地域において当然行われているわけでございます。ただ、その地域の企業内における研修については、水準の高いインストラクターあるいは教材の確保等が必ずしも十分じゃない、そういう面がございます。  それから私どもの施策としましては、先ほど来申し上げます情報大学校と称しております専修学校を認定しておりまして、これが百二十九校、これは地域に広く展開をいたしておりまして、ここにおいてはプログラマーの初期の段階からかなりの程度の水準までのプログラマーの育成が広範に行われているわけでございます。  そのほかに、情報処理振興事業協会がいろいろこのプログラムの普及について従来から努力をされておりまして、そういう面でも人材育成に相当の効果があるものと思いますが、しかしながら、抜本的にはどうしてもSEを中心に二〇〇〇年には大量の不足が予測されるということで今回の対策になったわけでございます。  今、先生御指摘の本年この法律が成立をした暁に何カ所の承認を予定しておるのかということでございますが、一応先般成立いたしました予算では六カ所、これは法律に基づきます第二条第三項第一号のイ及びロの業務を行う。先ほど申し上げました株式会社形態で人材の育成と、それからシグマサブセンターの機能を利用して高度の実践教育を行う支援体制と、この二つがコンビになってやるわけでございます。広い意味での人材教育でございますが、これを行う地域が六カ所指定されておりまして、私ども財政当局とは内々に我々の強い希望としては五年間に毎年六カ所、合計三十カ所を少なくとも各地域に展開をいたしまして、これによって四万五千人ぐらいのSEを当該三十カ所で十年間育成をいたしまして、その四万五千人のSEがそれぞれ親元の企業に戻られまして、そこで自分が今度はインストラクターとなって企業内の素質のある方を教育をする。大体五人ぐらいずつ養成をしていただければ、それで二十数万人の波及効果があるわけでございまして、オリジナルの四万五千人と二十数万人の波及効果による養成によって三十万人程度は何とか十年間でSEを育成することになるんではないか、こういう構想で進めていこうと考えているわけでございます。
  160. 井上計

    ○井上計君 わかりました。大いに期待をしております。  それじゃ次に、時間がありませんから、中小企業三法について一点ずつお伺いをいたします。事業団法の改正についてでありますけれども、出資対象となる第三セクター事業については、地方公共団体中心になって積極的に進めていかないと、第三セクターをつくるにしても、他のいわば民間団体あるいは企業等の出資がなかなか得られないと思うんですね。だから、言い方は悪いですけれども、ちょっぴり乗っかっていけばできるんだというふうな、そういうふうな、それでもよろしくないんですが、何としても中心地方公共団体中心になってもらわなくちゃいけない、こう思うんですが、それについて地方公共団体が今回のこの事業団法の改正によっての第三セクターの設立についてどのような取り組みを既にしておるんでしょうか、またしようとしておるんでしょうか。
  161. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 今般の事業団法の改正によりまして第三セクター事業に出資を行いたいと考えておりますいわれは、各地域におきまして地域経済の中核を担うのは中小企業である。その中小企業経済構造調整の波を克服して二十一世紀に向けた新たな発展の道を切り開いてほしいという期待が地域地域において大変高まってきておるわけでございまして、そのような大きな高まりの中で地方自治体あるいは地域中小企業産業界挙げて具体的な、意欲的な、地域の実情に合いました構想が次々に出てまいってきておるわけでございます。もう内容については一々申し上げるまでもなく御承知のとおりでございますけれども、このような地域の特性を踏まえた地域の自主的な構想を積極的に私どもとして支援してまいりたいというのが趣旨でございます。既に私ども本年度の対象といたしましては三十三カ所ほど出資を希望しているプロジェクトが出てまいっておりますけれども、それらを見ますと、いずれも地域の自治体が非常に中核的な役割を担って具体的な構想を練り、地域の産業界に呼びかけて計画を練っているわけでございます。  私どもといたしましては、お説のように、地方自治体が大変強い熱意を持っております趣旨にも照らしまして、事業団といたしましては、出資比率は地方自治体よりも下回る程度にとどめる方針ではございますけれども、おっしゃったような趣旨が十分生きますよう事業の運営に当たりまして診断、指導を通ずる協力等を心がけて、自主的な運営が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。
  162. 井上計

    ○井上計君 長官ね、大変結構なんです。大いに期待するんです。ただ、これ地方議員の人たちはこういうことについてはほとんど関心が少ないんです。だから、各地方自治体がそれぞれ提案しても、地方議員は直接的な関心がないものですから、案外進みにくい地方自治体があるような、どことは言いませんが、若干そういう私懸念をするわけです。だから、地方議員に対してこういうふうな啓蒙といいますか、宣伝も何かお考えをいただければと、これは希望しておきます。  次に、投資育成会社法の改正でありますが、大いに結構であります。ただ、私なんかが今いろんな相談等々を受ける中で、これは投資育成会社ということじゃありませんが、よくあるんでありますけれども、申請をする手続書面が非常に厄介だから、希望してもなかなか申請しない、従来そういうケースもあります。それから信用保証協会等々の場合は、何年か前に一回ちょっと返済が遅滞したことがある、そういうふうなのが非常に問題になってなかなか簡単に認可されないというか、許可にならぬという、そういうふうな審査の問題が非常にあるわけなんです。五年前に失敗したから、現在も必ず失敗するということは違うわけですから、そういう面について審査、手続等々についてできるだけ親切にあるいは簡便にこれはもうぜひお願いをしたい、こう思うんですが、新しい制度であるだけになかなか審査の基準が難しいと思いますけれども、そういう面についての配慮をぜひしていただきたい、こう思いますが、これについては何かお考えありますか。
  163. 高島章

    政府委員(高島章君) 御指摘ございましたように、投資育成会社のみならず、信用保証協会等々中小企業政策のための諸機関というのは、やはり弱い人、小さな人たちに温かい手を差し伸べるというのがもう基本でございます。したがいまして、過去に不都合があった、例えば他の金融機関への支払いがおくれたというようなことだけで、その理由のみをもって今回の投資育成会社の新しい制度の対象にしないというようなことはすべきでないと思います。あくまでその時点での成長性、あるいは表にはっきり出ていないけれども、その中に秘めているノーハウとか技術というものを投資育成会社のこれまでの長い経験に基づいてよく見抜いてこれに援助をしていくということであろうかと思います。現在の投資育成会社は、御案内のように、既に存在している企業に対する支援でございますから、その企業の成長性がどうあるかとか、あるいは収益状況がどうなっているか、さらには資本調達の必要性がどうかといったことから審査をするわけでございますが、御指摘のように、創業段階での支援ということになりますと事業実績がございませんので、先ほど申し上げましたように、技術ノーハウといったものを十二分に見きわめるということから審査を行っていくということであろうかと思います。
  164. 井上計

    ○井上計君 時間がありませんから、私も簡単にお尋ねします。あと一、二あるんです。  共済制度の改正の問題でありますが、これは私個人も今から大分前になりますが、中小企業団体中央会の役員をしていたころ盛んに運動し、盛んにお願いをしてこういうのができた。大変喜んでおります。ただ、残念ながら、現在加入率からいうと、百二十万人ぐらいになっておるようでありますが、該当する企業から見るとまだ四分の一以下、あるいは五分の一程度ということでありますから、まだPRが十分行き届いていないという面が一つ、それからもう一つは、実際にどのようなというか、案外このメリットを知らないんですね。ちょっと試算をいただきますと、こんなにメリットがあるのかなと私自身が改めてびつくりするほど節税効果といいますか、メリットがあるわけですから、これらのことをもっとPRをしていただきたい。  それからもう一つ、掛金が今度七万円に上がりますけれども、七万円掛ける。ところが、中小企業、特に零細企業は将来不安定でありますから、七万円掛けられなくなったときに減額をしたい。体裁悪いけれども、簡単にできるのかどうか、こういう懸念も起きてくると思うんです。従来でも五万円の人がそういうことがあったわけです。そういうふうな面等についての指導というか、運用について十分配慮していただかなくちゃいけない、こう思います。いずれにしろもっともっといろんな各関係団体を通じてそういうふうなメリットを大いに知らすようなPR、加入促進をぜひお考えをいただきたい。これについてお考えはどうかということ。  それからいま一つ、これは意見でありますけれども、現在の基本法からして、小規模企業に該当するのは商業、サービス業は従業員が五人以下、それから製造業は二十人以下ということになっていますが、それをちょっと超えたクラスのところにこれに入りたいという人が相当あるわけですね。事業団の森口理事長笑っておられますけれども、そうだと思うんです。だから、これは基本法との問題がありますから、簡単にお答えをうんということは求めませんけれども、これについては基本法の改正を私なんかも何年も前から時々言っておるんですが、この際、何かその辺を実情に合った小規模企業ラインというものを考えていくこともこれと同時に必要ではないか、こういう感じがいたします。この基本法の問題については、今そう端的に大臣も長官もお答えにくいでありましょうから結構でありますけれども、希望を交えて、今申し上げたようなことについてひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  165. 関野弘幹

    政府委員(関野弘幹君) 小規模企業共済制度というこの制度は、退職金制度というようなものがございません小規模事業者にとりまして、それぞれが掛金を長期的に掛けまして事業の転廃業資金をみずから積み立てる、こういう制度でございまして、私ども中小企業の構造転換のために非常に役に立つ制度だと考えておりまして、加入促進をぜひ計画的に進めていきたいと考えている次第でございます。  現在、昭和六十二年度から平成三年度までの第五次長期加入促進計画をつくっております。その期間中でございまして、現在七十万件というのをこの五年間の加入の目標にしております。特に都市部におきまして加入がおくれているという状況もございますので、特に都市部の加入促進強化、それからニューサービスといった新しい業種にこの制度の普及を図ること、さらに商工会議所、商工会といった業務委託団体、あるいは金融機関というものの御協力も得まして、御指摘のように、鋭意加入促進に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  それから、掛金を今度七万円に引き上げましたときの減額ということにつきましては、これは小規模企業共済法第八条第二項の規定で、特別の事情が生じた場合には可能であるということになっております。特別な事情と申しますのは、例えば事業経営の悪化でありますとか危急の費用の支出というような場合で、掛金の納付が著しく困難になった場合、こういう条件がございますので、こういう条件に合った方につきましては、掛金の減額をしても継続してこの制度に加入していただくということを私ども今後も努めたいと考えております。  それから最後に、小規模企業者の範囲の問題でございますが、小規模企業につきましては、最近縮小してきたとはいえ、付加価値生産性が落ちる、あるいは賃金レベルあるいは勤労福祉面あるいは退職金といった面でも、大企業と比べれば当然でありますが、中企業と比べてもなお格差があるわけでございます。また経営の実態を見ましても、生業的な企業が多いわけでございますから、収益力も弱いために資本蓄積が低いというようなことから経営環境の悪化に対する抵抗力が少ないということで、私どもは小規模企業共済制度というような制度につきましては、掛金について全額所得控除、それから共済金につきまして一時金で受け取った場合には退職所得方式、分割支給で受け取った場合には公的年金控除の対象という、先生御指摘のように、かなり恵まれた税制上の恩典措置が講ぜられているところでございます。  したがいまして、こういう税制上の恩典措置とのバランスを考えますと、小規模企業者の範囲というものを直ちに改正していくというのは非常に難しいことではないかと考えますが、御指摘の点を踏まえて、今後長期的に検討していくべき問題だというふうに考えております。  なお、私ども今の先生のような御指摘を踏まえまして、制度の運用に当たりましては、加入した際に小規模事業者であれば、その後にその企業が成長しまして小規模事業者でなくなっても、加入者が御希望であれば、継続してこの制度に加入していただけるという運用をいたしているところでございます。
  166. 井上計

    ○井上計君 時間になりましたから、あと要望と意見だけ言っておきます。  先ほど市川委員が変化のときこそ中小企業発展のチャンスと白書にあるけれども、実際は中小企業の多くは淘汰されるのではないか、こういう御質問、御意見がありました。これは視点の違いで、私は必ずしもそうは思っておりませんが、松尾長官が自助努力を進める施策をうんとこれから進めるんだと、こういう積極的な御発言、全くそのとおりであろうと思いますが、ただ我が国は、欧米先進国と比べると、中小企業関係の法律、施策がまことに充実しているんですね。恐らく日本ぐらい中小企業関係の施策、法律の多い国は欧米先進国の中になかろうと、私はこう承知しております。ところが、実際にそれが中小企業者に知られていないんですね。だから、余りにも多くあり過ぎて、親切過ぎて知られていないという面もあろうと思うんです。  ですから、今後この運用についてはひとつきめ細かい運用、特に出先機関ですね、各県等々の商工部あるいは出先通産局のそういうような窓口がもっと積極的にひとつ親切に運用していただく、指導していただかなければ、せっかくのいろんな施策、法律も用をなさぬ。あるいは先ほど市川委員が言われるような中小企業の淘汰策につながるんじゃなかろうかという意見が出ることも無理からぬことだと考えますので、特にこの点を要望して、もう時間がありませんからお答え結構でありますが、要望して終わります。
  167. 木本平八郎

    木本平八郎君 いよいよ最後になりまして、これが私の国会における最後の発言になるかもしれませんので、元商社マンとしての立場から、まずもっていろいろ御理解いただきたいという点を説明したいと思います。  それで、けさほどから天安門の問題をきっかけにして、いわゆる警戒警報が解除されていないのにどんどん商社マンだとか駐在員が現地復帰しているじゃないかというふうな話があったわけです。これについてぜひ御理解いただきたいのは、これは三菱商事なんかの場合でも、現地におりますと、本社の言ってくることがもう非常にとんちんかんでいらいらさせられることが幾らでもあるわけです。現地におると全然危険を感じてないわけですね。ところが、本社は現地のことを知らずに、帰れとか危ないとかなんとか言ってくるわけですね。そういうことはもう現地に任せてくれというのが商社の駐在員の一番言いたいことなんですよ。私も何回も経験がありますけれども、バグダッドもそうですし、それからサイゴンの場合もそうですし、そういうふうな現地の人間というのはやはり嗅覚が発達しておりますから、危険というのは一番感じるわけですね。したがって、危なければ現地の人間は自分で逃げるわけですよ。決して特攻隊みたいな、あるいは神風みたいなそんな気持ちは全然ないわけですね。したがって、皆さんにぜひ、新聞記者自身も、外電だけを見ていいとこよりして記事を書いていますから、現地のことを肌で感じていないわけですから、そういう情報によって迷わされちゃ困るということです。何かがありましたら必ず現地に聞いていただきたいと思うわけなんです。  これは、棚橋さん外国におられたと思いますけれども、そういう危険があったかどうか知りませんけれども、その辺の私の申し上げている感覚をどういうふうに受け取られますか、ちょっと所感で結構ですから。
  168. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 私がおりましたのは先進国のドイツでございまして、政情不安な国にいた経験は不幸にしてございませんが、私も通産省でいろいろ通商関係の仕事など見ておりまして、確かに、今木本先生がおっしゃるように、現地の情勢の把握が我々の対応策の要であるということは全く同感でございます。
  169. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、むしろ怖いのは、先日ありました山口代議士の三男の方が自動車事故で亡くなられたとか、あるいは豊島愛さんですか、何か十六歳の少女が流れ弾に撃たれて死んだとか、ああいうことの方が怖いわけですね。予期してないことの方が怖いんであって、こういう事件になりますと、ちゃんと現地でやっていますからそんなに、危ないことは危ないでしょうけれども、皆さんが御心配になるほどのことはないということをぜひ御理解いただきたいと思うんです。  それから二番目に、先ほどありました流通の問題ですけれども、例えばカメラを日本で買うよりもニューヨークで、あるいはニューヨークから逆輸入されてきたものの方が安いじゃないかということなんです。これは私は商社マン立場としては二つの原因があると思うんですね。一つ土地代の問題です。地価が日本は高いということですね。これが権利金から家賃からもうすべてのものにかかってきていますから、それが高いということが一つ。それから二番目は、人件費が高いということです。人件費がなぜ高いかといいますと、日本はマネジメントが下手なんです。失礼ですけれども、皆さんこの中に女中をお使いになった経験のある方というのはほとんどないんじゃないですか。皆さんいろいろ部下を使っておられますけれども、これは組織や会社が使っているのであって、皆さんが自分の力で使っているんじゃない。これがアメリカ外国とえらい差のあるところなんですよ。したがって、日本はみんな国民が能力がよくてどんどん働きますから、それで生産性が上がるわけです。それで組織では生産性が上がっているわけですけれども、個々の人を使うとか、能力のない人をうまくおだてて使っていくという能力は日本のマネジメントにはないんです。したがって、人件費が非常に高くなっているんですね。したがって、例えばカメラならカメラが工場から出るときは、これ長野かどこかの地価の非常に安いところで出て、それで余り日本を通らずにさっとアメリカへ行っちゃうでしょう。それで物すごく安いわけですね、その段階では。それからアメリカから帰ってくる段階も安いんですよ。ところが、日本の中で工場から出て東京やなんかをうろうろしているとどんどん値段が高くなっちゃうわけですね。だから、この流通問題をやるときにぜひ根本的にやらなきゃいけないのは、地価問題をどうするかということと、生産以降の、何というんですか、マネジメントだとか人件費をどういうふうにやっていくかということが非常に大事だと思うんです。  これは質問じゃございません。  それから次に、これはいよいよこの法案の問題なんですけれども、ソフトの開発の問題ですね。労働省にもぜひこれお聞きいただきたいと思うんですけれども、私は、結論的に言いますと、この情報大学校というのは日本につくるんじゃなくて外国に、フィリピンだとかタイだとかマレーシアだとか、そういう特に近隣諸国ですね、インドぐらいまで、こういうところにつくるべきじゃないかと思うんですよ。それで、ここでプログラマーを養成して、それで日本の方はプログラマーを今度SEに再教育するということに力を入れた方がいいと思うんですけれどもね。こういう外国人のプログラマーをどんどん養成してやる。それで、例えば三百人要るんなら、向こうに大学を日本でつくってやって、それで日本から先生を送って、そして千人ぐらいの卒業生をつくって、その中で三百人ぐらいは日本で使うと言ったらおかしいですけれども、希望があれば千人でもいいんですよ、日本によこすというふうなことをやっていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですよ。  それで、これは労働省に申し上げたいのですけれども、今みたいに日本の人件費が高いと、これはもうどんなに頑張ったって必ず外国労働者は入ってきますよ、不法入国であろうが何であろうが。こういう状況でノーノーと言っていても、これはもう抗し切れないんですね。必ず不法入国したやつは、今はいいですけれども、そのうち犯罪の方に向かう可能性だって十分にあるわけですよ。それを考えると、オーダリーに秩序正しく受け入れていくということを考える必要がある。そためには、こういうSEとかプログラマーとかというのは私は非常に日本としても入れやすい良質の労働力じゃないかと思うんですね。したがって、その辺をやっぱり考えていただいて、両々相まってこのソフトの問題を解決する、あるいは外人労働者の問題を同時に解決するというふうなことで考えていただきたいと思うんですがね。質問通告していませんけれども、労働省いかがですか。
  170. 甘粕啓介

    政府委員(甘粕啓介君) ただいま先生からお話ありましたように、外国人労働力の問題、これは余りルーズなやり方でやりますと社会的コストの問題になるということで、私どもこの受け入れの問題につきましては、基本的に非常に慎重な考え方でいかなければいけないんではないかというふうに思っているところでございます。また、それとあわせまして、今後私ども、現在は不足感の広がりということが非常に言われておりますけれども、高齢者の雇用問題にどういうふうに対応していくのか、あるいは農産物の自由化という中でのそういう人たちの転職の機会をどうやっていくかという需給関係を非常に慎重に見きわめなければいけないんではないかというふうに考えているところでございます。それでは、具体的にこういうソフトウェア関係の養成という問題につきまして、東南アジアを中心といたしましたそういうところで養成をして、そういう人たち日本で受け入れたらどうかというふうな話でございますけれども海外に対しましてODAという格好で私ども外務省と一緒になりまして技術、技能の移転ということにつきましていろいろやっているところでございますが、これの基本的な考え方は、それぞれの国におきましてどういうふうな産業発展なり経済計画を立てているか、そういう中でどのような人材が必要かということを基本的態度といたしまして、それに基づきましてそういう国にやはりこういうふうな技術、技能を移転することが非常に重要であるというふうになりましたときに、そういう科目につきまして私ども御協力をしていくというふうな態度に立っているところでございます。  そういう意味では、先生の御提案は、そのうちの一部をというふうなお話も含めて、すべて受け入れるという話ではございませんけれども、私ども基本的な態度といたしましては、我が国の不足に対応するための技術、技能に対する協力ということではなくて、開発途上国の発展に資するという観点からそういう面に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  171. 棚橋祐治

    政府委員(棚橋祐治君) 労働省のお考えと違うわけではございませんが、通産省の場合にも、外人労働者の受け入れ問題については、単純労働者と、それから今おっしゃった技能労働者といいますか、知的な面での労働者の受け入れの問題とか、いろいろ観点が違いましょうが、これは非常に議論のあるところでございまして、当省の中でも議論百出で、率直に言って、まだ方向がなかなか収れんしないわけでございます。今おっしゃったように、社会的な問題等どういう問題が生ずるか、法務省、労働省あるいは外務省といろいろ今後検討していかなければいけない問題であろうかと思います。  ただ、今木本先生おっしゃいましたように、アジア諸国、欧米もそうですが、その面での、特にソフトの面での交流というのは非常に重要でございまして、我々は将来ASEAN、NIES等とのこの面での協力を想定いたしまして、従来既に幾つかのプロジェクトを進めております。  例えば近隣諸国間の機械翻訳プロジェクト、つまりコンピュータリゼーション等情報化が一番進んでおる日本技術をシンガポールとかタイとかに伝播するためにも、言葉の障害がこの分野では非常に大きいものですから、例えば日本語を自動的にタイ語やフィリピン語に翻訳をするようなシステムについて技術開発を今強力に進めておりまして、相当程度の進捗をいたしておりまして、こういう分野でまた特にASEAN等どの連携が深まっていくものと思っております。それから、アジア諸国等の情報処理技術者のレベルアップの試験について私どもは大変な蓄積がありますので、レベルアップの試験について大いに協力をいたしております。それから、何はともあれ人材育成を図っていこうということで、海外研修センターの設置と、それから研修生の受け入れを行っておりまして、三年間に実績として東南アジアから約七百名の研修生を受け入れるなどいたしております。それから、ASEAN諸国等から非常に強い要望がありますので、情報処理技術者育成用知的CAIシステム、コンピューター・エーデッド・インストラクションという一種の教育関係の機器の開発等、これを一緒になって研究協力をいたすなど、そういう点できめの細かい協力関係をしいておりますので、今後確かにソフトウェアの分野はいろいろの対策を講じてもASEAN等との連携が十分可能であり、必要である、こういう観点で具体的施策を進めてまいる所存でおります。
  172. 木本平八郎

    木本平八郎君 今後やっぱりODAのあり方というのも考え直して、それで、こういう分野でその国をデベロップさせていくというふうな観点から、ただ単に日本のニーズを満たすというだけじゃなくて、現地の技術を上げてあげるというふうな観点で対処する必要があると思うんですね。そこで、これはまたぜひ皆さん方にお願いしたいんですけれども、例えばこういうコンピューター関係のソフト開発の大学校をつくるとしますね。そのときに、私は具体的には日本のNECだとか、富士通だとか、日立だとか、三菱だとか、そういったものが各国分担してそれをやらせればいいという、私はそういう考えなんです。そういうことを言うと、皆さん、それは大企業がもうけるためにやるんだとおっしゃるに決まっているんです。ところが、大企業性悪説というのはぜひやめてもらいたいわけですよ。我々は、最後ですから声を大にして申し上げるんですけれども、商社にしても企業にしてもプライドを持っているんですよ。現地へ行って、あのやろうなんて思われたくないから、みんな現地の信用を得ようと思って必死になってやっているわけですよ。今はそんなそろばん勘定でもうけようと思ってやってもうかるような仕組みじゃないんですよ、世界の貿易というのは。もう完全に信用が第一ですから。そういう信用を得るために、例えば三菱商事でもハーバードに日本講座というのを百万ドル寄附してやっているわけでしょう。そういうことをみんな一生懸命地道にやっているわけですから、もう日本企業を信用していただきたいんです。それをやっていただいた方が私は成功すると思います。これは少し我田引水かもしれませんけれどもね。  それから、次の問題ですけれども、ひとつ松尾長官にお伺いしたいんですが、これも何回も言っているんですけれども、私は、日本中小企業というのはむしろ零細企業中小企業というのに分けなきゃいかぬ。日本中小企業は既に大企業と同じだと、体質的にはね。少し資本金の差だとか、それからターンオーバーの問題とかいろいろありますけれども、しかし、大企業でも必ずしも売上高が多いからいい企業と言えなくなっているわけですね、もう日本の場合には。質の問題が非常にあるわけですね。  そこで、日本中小企業、いわゆる中小、その辺は世界的に見たら、大企業並みに互していけるところまできているんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがですか。
  173. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 先ほど来いろいろ御議論がございましたように、中小企業はこの十数年来の経済環境の激変の中ですぐれた適応力を発揮してまいり、日本経済全体が大変国際的にもすぐれたパフォーマンスを発揮しているという評価を得ているのにあずかって大きなものがあったと思いますし、これからの経済構造調整の中でも従来の実績を踏まえて大きな役割を果たしていくことは私は間違いないことだと信じているところでございます。  今御指摘の中小企業国際的な地位ということになりますと、世界各国、若干中小企業の定義も違っておりますけれども、大ざっぱに申しますれば、欧米先進国におきましても我が国と大差のない定義のもとに中小企業というのをとらまえておりますし、私どもと同様に、やはり大企業に比べれば経営資源に制約が大きいだけに、みずから活路を切り開いて進もうとする努力に対して、その成果が出ますように経営資源の補完を行うという姿勢もまた欧米先進諸国におきましても共通のところだと存じます。  ただ、御指摘がございましたように、中小企業と申しましても全国に六百万からしてあるわけでございます。そのような中に小規模企業というの  は約五百万ということで、規模におきましても、それからまた業種におきましても、存立しております地域におきましても多種多様でございます。私どもは、その中小企業の多種多様な存在を前提といたしまして、適切な自助努力を踏まえて、私どもが経営資源の補完をすればみずからの活路を切り開いていける、そういうような中小企業に着目いたしまして政策助成を行っているところでございまして、私どもといたしましては、この中小企業政策はコストパフォーマンスという点において極めて効率の高いものであると自負いたしているところでございます。
  174. 木本平八郎

    木本平八郎君 五百万の零細企業は、これはちょっと別ですけれども、百万の中小企業というものを今後どういうふうに持っていくかです。  そこでもう一つお聞きしたいのは、日本の中における中小企業の段階から、もう世界の中における中小企業になりつつあると思うんです。例えば部品なら部品は、日産自動車なんかに納入しているだけじゃなくて、ベンツにもGMにもというふうな、そういうところに成長しつつあると思うんですよ。それで私は、こういうふうな世界的な地位になってきているんで、とかく、私なんかはまだ多少残っているかもしれませんけれども中小企業というとすぐ親会社の下請企業だと、それで親会社に振り回されているというふうな感覚があると思うんです。これはもう相当脱皮してきているんじゃないかと思うんですが、実態はどうなんでしょう。
  175. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) 御指摘のように、確かに製造業をとりますと、六割強が下請企業という範疇に属するかと存じます。親企業と下請企業関係も近年急速に変化してまいってきております。本年の中小企業白書においても詳細な分析をいたしているところでございますけれども、親企業から見ますと、中小企業も単に単一の部品を発注する相手ではなくて、場合によりましたらユニット発注あるいは完成品発注というところまで発注内容も変わってきておりますし、下請企業の持つ専門技術を重視して研究開発のパートナーとして位置づけたいというような親の評価にもなつてきているわけでございます。し、これらの親企業の期待にこたえるべく、下請中小企業の場合におきましても製品の多角化あるいは自社製品の開発、あるいは取引先の多角化ということに取り組んで着実な成果を上げてきており、そのような成果を上げている中小企業こそますます仕事の量もふえてくる、発展の可能性もふえているというのが実情でございまして、そういう意味で、下請企業も非常に最近の経済環境の変化にうまく適応してきている企業がふえてきているということだと存じます。  いずれにいたしましても、私ども、下請企業に限らず中小企業は、内外のニーズの動向に的確に対応いたしまして、中小企業ならではの持ち味、個性を生かして国際経済社会に通用するような企業になってもらわなければならない。そのためには、先ほど来申し上げておりますけれども、零細企業に限らず、中小企業はどうしても相対的には大企業に比べて経営資源に限りがある。したがって、自助努力が結実しますよう所要の支援を進めてまいるというのが私どものとってまいっております中小企業施策の考え方でございます。
  176. 木本平八郎

    木本平八郎君 今、日本中小企業は、タイ国を初め東南アジアにどんどん企業進出していますね。それで、外国人が見たらもうびつくりしているわけです。海外への企業進出なんていうのはもう大企業だというのが欧米の常識なんですね。中小企業が、まあそういう言い方をしては悪いかもしれませんけれども、ろくすっぽ英語もしゃべれないのがどんどん行っているというので、それこそカミカゼだというふうに恐れられているわけです。私はしかし、それは中小企業ということで言っているからおかしいのであって、日本中小企業はもうその思考パターンだとか体質からいけば大企業並みですからね、世界でいえば。だから当然なんです。その辺、中小企業という名前をつけるものだから、そういう誤解を与えていると思うわけです。  そこで、一つぜひお願いがあるんですけれども中小企業事業団の方なんかでも、今皆さんどんどん進出されているんですよ。ところが、私の聞いている範囲では、必ずしもうまくいかないんですね。大企業でも海外への企業進出というのは大変なんですよ。特に日本人というのは、先ほど申し上げましたように、人を使った経験がありませんからね、そういうことで非常に四苦八苦されていることが多いわけです。せっかく進出しているわけですから、なるべくこれは成功させてやりたいということでもって、私はコンサルタントというのも、口先だけのコンサルタントじゃしようがないんですけれども、本当に海外で苦労したという人がもういっぱいおりまして、どんどん今OBでやめていっているわけです。リタイアしているわけです。定退を迎えているわけですね。こういうようなのを再教育して、そして事業団の費用で派遣してやる、そして中小企業に協力してやるというふうなことを考えていただけないものかと思うんですが、いかがでしょうか。
  177. 松尾邦彦

    政府委員(松尾邦彦君) おっしゃるように、中小企業海外進出は最近盛んでございますけれども、これはどちらかと申しますと、産業のすそ野を広げ、雇用の機会を拡大し、技術の移転を着実にもたらすということで、進出先の各国企業からは基本的には大変歓迎されているものと私どもは理解しております。ただ、歓迎されておりますけれども企業経営としての難しさは今御指摘のとおりでございます。そのような意味で、今先生がおっしゃったとおりなんでございますけれども海外投資海外事業活動の経験の豊富な方々中小企業事業団におきまして海外投資アドバイザーとしてたくさんの方に委嘱をいたしております。必要があれば、現地にも進出を希望する中小企業と一緒に行っていただきますし、あるいは国内でもいろいろ進出先の選択、パートナーの選択、事業の進め方についてきめ細かな指導を今進めてまいっておりますので、この制度を引き続き一層拡充し、中小企業方々に十分利用していただけるようにしてまいりたいと考えます。
  178. 木本平八郎

    木本平八郎君 あと余り時間がないものですから、それでは先ほどのベンチャーキャピタル、中小企業投資育成株式会社ですか、この問題でちょっと考え方を一つひねっていただきたいのは、要するにベンチャーキャピタルというのがあるんですね、ベンチャービジネスに対してベンチャーキャピタルというのがあるんですけれども、問題はここに発生するリスクの問題なんです。したがって、輸出保険的に通産省なり第三セクターでもいいんですけれども、保険を引き受けていただくということでもってスムーズにいく点があるんじゃないか。こういう育成会社で出資あるいは融資というのもいいんですけれども、八割なら八割保険を引き受けていただく、そうすると相当スムーズに進む点があるんじゃないかということが一つ。それから、ベンチャービジネスが、これ一割か二割かですけれども、成功すると、これは大変なキャピタルゲインがあるわけですね。このキャピタルゲインでもってロスの方をカバーするというふうなことが考えられるんじゃないかということで、少し民間活力を生かせるような方法でやっていただけたらと思うわけなんです。  もう一つ、最後に年金制度の問題ですけれども、ぜひこれはサラリーマンの厚生年金だって国民年金だって全部そうなんですけれども、こういう考え方を基本的にぜひとっていただきたいのは、要するに将来不安をなくするということが必要なんですよ。年金なんというものは、もらわずに済めばこんな結構なことないわけですから、いわゆる保障だと、保険というふうな考え方をしていただいて、これも六十歳からだったらもう支給するんだとかなんとかじゃなくて、要らない人はずっとそれを遠慮していただく。そのかわり、私が何回も言っているんですけれども、例えば一年間辞退したら一割アップだと、十年間辞退したら倍になるというふうなことでやっていくとか、だから、保険とか保障とかいうふうな点に重点を置いていただきたいわけですよ、ただ五万円掛けたら幾らやるとか、そういうことじゃなくて。そういう不安がなくなれば、中小企業を自分でやっておられる方々ですから、相当これはもうしっかりした方々ですから、十分に自分で解決していただける面もたくさんあるんじゃないかと思うんですね。その辺の御感想を伺いまして、私の質問を終わります。
  179. 高島章

    政府委員(高島章君) 御指摘の第一点と第二点についてお答えを申し上げたいと思います。  最初のベンチャービジネスと保険の問題でございますが、現在、これは機械情報産業局の所管でございますけれども、研究開発型企業育成センターというのがございまして、ここがまだ卵の段階でありますけれども、いい企業の芽をよく審査いたしまして、これに保障をする制度が既にでき上がっております。  それから第二点のキャピタルゲインについてでございます。  御案内のように、現在、投資育成会社というのは、投資企業が資本調達が可能になった段階で株式処分を行うのが原則になっております。こういう株式処分による利益、すなわちキャピタルゲインというのは投資育成会社の貴重な原資でございまして、これがまた投資先の中小企業の振興に大いに役立っているわけでございます。今回の創業支援の段階での新しい事業というのは、御案内のように、非常にリスクが伴うものでございますが、こういうリスクをカバーできるというのも、とりもなおさず、これまでのキャピタルゲインによりまして投資育成会社の財政基盤が非常に強固になってきたということでございまして、今後ともこのキャピタルゲインというものが中小企業振興にうまくリンクいたしまして、いい循環に入っていくことを期待しているわけでございます。
  180. 関野弘幹

    政府委員(関野弘幹君) 先生の御質問の最後の点でございます小規模事業者も、一般のサラリーマンと同様、将来の不安というものを持っているわけだから、それに対する保障あるいは保険という考え方を持って制度を運営されるべきではないか、こういう点でございます。  私どもの小規模企業共済制度というのは、これは厚生年金、国民年金といった公的年金制度とは非常に性質が異なっておりまして、と申しますのは、これは小規模事業者の事業の廃業等の場合についての共済制度という考え方でございますから、加入は全く任意でございまして、千円から七万円までの任意の金額を毎月掛けていただく。そして事業をやめたときに一時金または分割共済金という形で受け取る、こういう制度であるわけでございます。  先生の御指摘の保険、保障という考え方になりますと、これはむしろ国民年金等の公的年金の世界になるんではないかという感じがいたしておりまして、この場合には確かにある一定年齢以上になった場合には、健全な国民生活維持という意味で一定の生活レベルというものを保障するという考え方が入ってくるわけでございますが、ただ、この考え方となりますと、例えば加入につきましては任意加入ではなくて強制加入、あるいは給付につきましても生活水準を勘案した給付ということになりますから、例えば物価スライド制というようなものも考慮せざるを得ない、あるいは給付の期間も終身給付というような考え方になろうかと思います。確かに小規模事業者が一般のサラリーマンと同様、将来の不安を持っているという点については私どもも同感でございますが、先生御指摘のような意味での保険、保障という制度とは、私どものこの小規模企業共済制度の目的、趣旨がかなり違うのではないかという感じがしておるわけでございます。
  181. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 他に御発言もないようですから、四案の質疑は終局したものと認めます。  これより四案を一括して討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  182. 市川正一

    ○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法案に対し、反対の討論を行います。  反対する第一の理由は、本法案が、独占資本の戦略的重要な部分であるソフトウエア分野を育成するため、情報関連大企業中心に支援するものであるからであります。  本法案で養成しようとしている高度なソフトウエア技術者、システムエンジニアを大量に必要としているのは、プログラム業務従事者を大量に抱えているコンピューターメーカーや鉄鋼、電力、金融などのユーザーを含めた大企業であります。本来ならば、企業内研修で実施すべきものであります。  我が国の情報産業、電子工業には、一九六二年以来今日まで、富士通、日本電気、日立などの大企業に対しコンピューター、半導体、ソフトウエア開発で二千四百二十億円もの補助金、委託費を投じて支援してまいりました。これら特定の大企業中心の事業に出資、NTT無利子融資、受講奨励金、助成などさらなる支援は容認することができません。  その第二は、これが一般のソフトウエア技術者、中小零細企業にはほとんど役に立たず、地域経済の活性化にもつながらないからであります。  大規模化、高度化するソフトウエアの開発は、ユーザーの業務にも精通した大企業にしかできなくなっている状況のもとで、中小零細企業、一般の技術者が利用することはできません。また、本法案は、東京二十三区以外の全国主要都市がすべての対象となる予定であり、東京一極集中の是正や地域経済の活性化に役立つものとは考えられないからであります。  第三は、雇用促進事業団の助成策を織り込み、労働省との共管の法律でありながら、ソフトウエア労働者にとって最大の問題である長時間過密労働など劣悪な労働条件への解消策が何ら盛り込まれていないことであります。  我が党は、もちろんソフトウエア技術者の養成の必要性については、これを認めるものでありますが、本法案に対しては、以上申し述べた理由で反対することを表明して、討論を終わります。
  183. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  184. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  185. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  186. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、中小企業事業団法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  187. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、四案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  189. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  192. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  194. 宮澤弘

    委員長宮澤弘君) 委員会を終了するに当たりまして一言申し上げます。  本委員会は、今期国会に付託された案件のすべてについて、滞りなくその審査を尽くすことができました。これはひとえに委員各位の御熱意と御協力のたまものでございます。殊に会期末におきましては、多くの議案について審査を煩わすことになりましたが、各会派理事の御理解と御高配によりまして円満な委員会運営を行うことができました。心からお礼を申し上げます。  改めて申し上げるまでもなく、本年は参議院議員の改選が行われる年であり、本委員会におきましては十三名の方が改選期を迎えられます。選挙に臨まれる方には御健闘をお祈り申し上げ、また、これを機に勇退なさる方には健康に留意され、今後とも御指導を賜りますようお願い申し上げます。今日までの御協力に改めて感謝申し上げましてお礼の言葉といたします。ありがとうございました。(拍手)  これにて散会いたします。    午後三時三十四分散会