○佐々木満君 去る二月一日から三日までの三日間、前島
委員長、宮崎理事、山本理事、沓脱
委員と私の五名は、老人・障害者の福祉並びに
地域雇用及び高齢者・障害者の
雇用等の
実情調査のため、愛媛、高知の両県に行ってまいりました。
まず、初めに両県における老人・障害者の福祉の概要について申し上げます。
愛媛県の高齢化は、
全国水準よりも十年ほど先行し、高齢化率は一二・九%で
全国十五位の長寿県となっております。このため、長寿社会
対策推進懇談会を設置し、高齢者の社会活動の促進と生きがいの向上に努めております。また痴呆性老人
対策委員会を設置し、痴呆性老人
対策の検討を行っております。その他、デイ
サービス、ショートステイの拡充、移動入浴車の購入等、
サービス調整体制の整備を進めております。
心身障害者
対策としては、特別障害者手当の支給、日常生活用具の給付などの重度障害者
対策等を行っております。また、県単独事業としては、小規模作業所の運営費の助成、重度障害者の医療費の助成を行っております。
なお、同県は地方腎移植センターの
設置等、腎移植に強力に取り組んでおります。
高知県は、高齢化率が一五・四%で
全国第二番目であり、高齢化
対策は、県政の中でも重要な
課題となっております。県単独事業としては、移動入浴車
派遣事業、老人ホーム
地域開放促進事業などに取り組んでおります。すなわち、老人ホームの持つ技術、設備を活用し、給食、入浴
サービスを
地域にも提供するなど開かれた老人ホームの運営に努めております。
老人医療費につきましては、一人当たり六十八万七千百五十四円、対
全国比一二九・七%で、
全国で二番目に高い数値となっております。
心身障害者
対策としては、重度心身障害児・者の保健医療事業、在宅障害者の
地域福祉事業、心身障害者の通所援護事業等を積極的に
実施しております。また、県単独で小規模作業所に助成し、その育成を図っております。
次に、両県の
雇用問題の概要について申し上げます。
愛媛県においては、
昭和六十年後半から、中小造船業について大規模な
合理化が行われ、延べ三千四百人に上る離職者が発生しましたが、その後、内航船受注が増加するなど、有効
求人倍率が十八カ月連続して前年実績を上回り、
雇用情勢は回復の傾向にあります。
高齢者
雇用につきましては、六十歳以上の定年制をとる企業が四四・三%となっていますが、なお、
全国平均に達しておりません。このため、六十五歳程度までの同一企業グループ内での継続
雇用制度の普及推進に努めております。
障害者
雇用の
状況は、県、市町村
関係では法定
雇用率を上回っておりますが、民間企業は一・五六%と法定
雇用率の一・六%を下回っております。
職業紹介、
職業相談、手話協力員の
配置などきめ細かい
対策を講じ、障害者の
雇用促進に積極的に努めております。
次に、高知県は、昨年開通した本四架橋瀬戸大橋の効果や、内需拡大策の波及効果により、有効
求人倍率も〇・五四倍と
昭和五十年以降最高の率となりましたが、この数値は、
全国平均の約二分の一程度であり、依然として
雇用環境
状況は厳しいとのことでありました。
高齢者
雇用については、五十五歳以上の有効
求人倍率は〇・一二倍と極めて低く、大きな
課題となっております。このため、定年延長、継続
雇用の推進等に努めております。
障害者
雇用率は一・三八%であり、法定
雇用率未達成企業が五〇%となっており、企業への指導強化と企業の積極的な
対応が求められております。
次に、訪問先及び視察先の概要について
報告いたします。
まず、第一日目は、愛媛県総合福祉センターを視察いたしました。ここには八つの福祉施設が集中しており、そのうち、身体障害者福祉センター、障害者更生センター、精神薄弱者更生訓練校、老人児童福祉センター高齢者総合
相談センターの五カ所を視察いたしました。この総合福祉センターは、松山市内の住宅街の中にあり、交通の便もよく、合理的、機能的に、心配りのきいた施設であると認められました。
第二日目は、まず、株式会社梅野精陶所を視察いたしました。砥部焼の製造販売業を行っている会社であります。昨年、愛媛県知事より、高年齢者
雇用優良企業として表彰を受けております。全従業員百五名のうち五十五歳以上は五十三名で全従業員に対し五〇・五%であります。そのうち六十歳以上は三十七名であります。一応、六十歳定年制を
実施しておりますが、希望すればだれでも定年後の再
雇用を認めており、その後は、終期の定めはないとのことでありました。その
地域の伝統工芸産業で、高齢者が豊富な知識と長い経験を存分に生かし、行きがいを持って働いていることがうかがわれました。
続いて、高知県佐川町において同町老人クラブ連合会役員と懇談いたしました。同クラブ連合会長から人生八十年時代の到来により、老人みずからが築き上げる社会福祉を目指し、健康と生きがいを増進するため、体育、教育の両面にわたって多彩な活動を行っている。また、
地域との触れ合い、子供との交流にも積極的に努めていると、活動
状況の説明がありました。同会長から、自立できる、元気で気の合った老人同士がお金を出し合って、建物を確保し共回生活をしたい。例えば、グループホームのようなものをつくりたい。そしてその場合、運営費等について国や県から何らかの助成をしてもらいたいという要望がありました。
第三日目はへ初めに特別養護老人ホームやすらぎの家を視察いたしました。入所
状況は定員いっぱいの五十名、その構成は、六十四歳以下一人、九十歳以上六人で、全体の平均年齢は八十・五歳であります。特に、入所者の家族とは絶えず連絡がとれるように心がけているとのことであります。
続いて、高知中高年齢
労働者福祉センター、サンライフ高知を視察いたしました。運営は社団法人高知市シルバー人材センターが高知市より委託を受けて行っており、職業講習室、研修室、
職業相談室等を設けて、利用者の便に供しております。
最後に、身体障害者通所授産施設すずめ共同作業所を視察いたしました。本作業所は、重度でかつ重複した障害者を対象としております。年齢は、若い者で十九歳、年長は四十三歳、大部分が二、三十歳台であります。通所施設ではありますが、定着率はよく、ほとんど人の移動はないとのことであります。授産事業は印刷、西洋陶芸等であります。本作業所は、当初、無認可の小規模作業所としてスタートし、今日の成長を見たとのことでありますが、障害者の自立のために
職員の献身的な
努力があった旨の説明がありました。
なお、同作業所から、仕事開拓の
調査研究費等の助成、施設の障害種別を超えた混合利用、施設
職員の増員の三点について要望かありました。
なお、両県知事から
提出されました要望書につきましては、会議録末尾掲載方を
委員長にお願いを申し上げまして、私の
報告を終わります。