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上田耕一郎君 五年前の
改正のときに、私、
小笠原諸島の
振興問題で四つの問題を
指摘しました。
一つは一島一集落主義を
改善すべきだと、二つは農業土地問題、三つ目は空港を早急にと、空港問題、四つ目はシーレーン問題ですね。今回の新しい
振興開発計画で、父島の扇浦
地域が加わるなど一の一島一集落の問題は
改善されましたし、それから空港問題も東京都が兄島空港基本構想を決めましたので、この二つは前進したということで私も喜んでおります。
実は五年前の六月に、私が団長になりまして、池山、秋田の二人の都会議員などと調査団をつくりて小笠原、硫黄島調査というので私も父島に行ってまいりました。支庁長や村議の方々あるいは農業セーターの方々等といろいろの調査をしたり懇談をしてきた。私、非常に現地へ行ってみて強い印象だったのは、小笠原問題というのは単に
離島開発という以上に非常に国家的に重要で大きな可能性を持っているということを改めて教えられたんです。日本の最南端でしょう。亜熱帯農業なんですね。戦前は、冬でもカボチャができるというんで、新宿の三越のショーウインドーに座布団を敷いて小笠原のカボチャを並べたという話まで聞いて、大変豊かだったというんですね、今
状況は違っておりますけれ
ども。後で言いますけれ
ども、非常な可能性が亜熱帯農業としてある。水
産業についても日本の二百海里水域の四分の一があそこにあるんです。そういう点でも非常に大きな可能性があるのにまだくみ尽くされていません。
それから観光としても、ハワイまで行かなくてもあそこは観光の
開発可能性も非常に多いんですね。南島という鮫池のあるところへ私も行ってあそこで泳ぎましたけれ
ども、本当にすばらしいところで、余り大勢来るとこれはもう破壊されちゃうんじゃないかという心配もありました。そういう可能性を豊かに持ったところで、ここは
振興開発を本気でやる値打ちがあるということを強調したいと思います。
ところが、一番の問題は、先ほ
どもお話があった非常な特殊な不幸な歴史を持っているために、二十三年空白だったためにまず人口がふえないんですね。戦前八千人いたんです。五年前私行ったときは千八百人定住人口が、ことしのデータを見ると千九百人で、五年間で百人しかふえてない。もう旧
島民の帰島はほとんど頭打ちで、新
島民が来始めているんだけれ
ども、その新
島民も頭打ちなんです。当面三千人にふやしたい、どうしてもあと千人の人口がほしい、そうでないと活力が出ないというのが支庁長を初め皆さんの一致した
意見なんです。
そこで、人口誘致――人口誘致といったら変だけれ
ども、あそこに来ていただくためにはやっぱり若い労働力というかな、農業、水
産業、観光を本気であそこでやりたい、新
島民はあそこへ行ってみて非常に気に入って、つい来ちゃったとか、それから釣りで来て気に入って来たとかいう人なんかかなり多いんですね。土木作業で働きに行って気に入って来たとか、それから伊豆の中で利島から来た農民なんかにも会ったんですけれ
ども、来てみると非常にすばらしいと言うんですよ。そのためには魅力を出さぬといかぬですね。
僕は、企業誘致では非常に自治体は熱心で、税金をまけてあげたり、ただで土地を提供したり、いろいろやっているのに、そういう若いはつらつとした労働力を、労働力というと悪いけれ
ども、誘致するためにやつ。はり本気でやる必要があると、そう思うんです。そのためには、今までの経過やなんかいろいろあるけれ
ども、人口を当面三千人に、あと千人どうやればふやせるかということを
国土庁としても真剣に
考えていただきたい。そのためには、
内海長官も
局長も一度小笠原に行っていただきたいなと思うんです。
ここで少し具体的にお伺いします。
まず農業。農業はやっぱり果樹とそれから花卉、観葉植物、これに非常にいいんです。亜熱帯農業センターにも行きましたけれ
ども、ミカンコミバエがほとんど根絶できたと。僕もパパイヤをごちそうになりました。大変おいしいです。それから花卉をやっている農園なんかを見たんですけれ
ども、アレカヤシ、ガジュマルなど、日本であのぐらいこういう観葉植物をつくるのにすばらしい気候のところはない。もう八丈島なんかよりはるかにいいと言っている、温度から、それから風から。そういうことを言っていまして、非常に理想的だというんです。
ところが一番の問題は土地です。いまだに農地法が施行されてない。未実施でしょう。不在地主ばっかり多い。それで七割が国有地なんです。一番望まれているのは、国有地、都有地を農業をやりたい人に安く払い下げてもらいたい、これが非常に希望が多い。あそこは資本が大分入って、西武資本だとかそれから東洋興発なんというのがかなり土地を買ったりしていることもあって、八丈島と比べると地価が二倍から五倍高いというんです。それで、何とか
開発可能な国有地を安く払い下げてもらえないかと。ところが、
振興法の国有地の低価格払い下げ、無償貸し付けの
規定を見ますと、農道とか用排水路、いろいろありますけれ
ども、農地は対象外になっているんです。ですから、いろいろ経過あるだろうと思うんだけれ
ども、人口をふやすためにも、あそこの非常に有望な花卉あるいは果樹、パパイヤ、バナナ等々なんかもできるわけなので、そのために国有地を安く払い下げられるような政令の対象
拡大、これを本気で検討していただけないかということが第一の質問です。