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政府委員(山内豊徳君) 石垣島の新しい空港の建設につきましては、古い計画におきましてもいわゆるアオサンゴの存在に着目いたしまして、県当局では初めの二千五百メートル計画を五百メートル短縮するというふうな計画があったことは御承知のとおりでございますが、その後アオサンゴを含め古い計画の埋立予定地の現状のハマサンゴの存在についても非常にこれを重視すべきじゃな
いかという指摘が内外にございましたために、
環境庁としましては、異例のことではございましたが、みずから石垣島
周辺のサンゴ礁の状態を
調査することを昨年十一月おおむね一カ月をかけて実施したわけでございます。
これは、指摘されているように、古い白保の予定地のサンゴが石垣島あるいは沖縄県のサンゴ礁にとってどのような
評価をすべきものであるかという
観点から行われた
調査でございますが、私
ども現地
調査とその結果を吟味しました結果、アオサンゴを含めまして古い予定地のサンゴの状態が、
一つ一つのサンゴが非常に特異であるというだけではなくて、その特異なサンゴが非常に全体として
一つの場所に連なって生態系を維持していること、これは相当高く
評価すべきであるということの心証を得たわけでございます。そのことを私
どもの
調査結果の感触として沖縄県当局に伝えました結果、沖縄県当局では、もちろん県当局としても八重山海域のサンゴ礁を
一つの自然的な資源として重視する立場をとっておられましたものですから、その感触に応じて実は全く前の計画をあきらめて位置を約四キロメートル北に移す決断をされたわけでございます。
四キロメートル移される新しい場所の予定地につきましては、私
どもも先ほど言いましたみずから
調査しました結果の
データを持っておりましたものですから、短期間ではございましたが、それを私
どもの
調査結果にも当てはめて
判断をさせていただきました結果、私
どもとしましては、かねて申し上げておりますように、前のアオサンゴを中心とする白保のサンゴを守れるということで高く
評価し、かつ、新しい予定地については古い予定地のサンゴに比べれば価値的な
評価においてはかなり劣っている状態と
判断いたしまして、この沖縄県知事の決断を全面的に支持する立場をとっているわけでございます。
そこで、新しい予定地について一部に指摘がございますわけでございますが、重ねて申し上げますと、まず新予定地の場合、非常に埋め立てが陸側に大幅に寄せられておりまして、埋め立ての面積で申しますと、古い案が約八十ヘクタールであったものに対しまして、新しい案では四十数ヘクタールに縮小されることがはっきりしております。そして、まさに埋め立てられるその場所には砂底とか海藻群落の存在しか、これは航空写真その他で確認したわけでございますが、認められませんものですから、埋め立てられる予定地そのものにはサンゴがないということが私
ども判断ついたわけでございます。
ただ、新しい予定地の南側にも枝状のハマサンゴとかミドリイシの類が、どちらかと言えば若干比較的良好な生息があることは私
ども知っているわけでございますが、これは岸から離れましたリーフ、つまり沖に並んでおりますサンゴ礁の縁でございますが、そこに分布していると。具体的に申し上げますと、なぎさ線から約六百メートルは離れた位置であるということから、埋立工事に十分配慮すればその保全には支障がないという
判断をしたわけでございます。もちろん、その前提には、冒頭に申し上げましたように古い予定地のアオサンゴあるいは現状ハマサンゴに比べれば新予定地の南の海域にあるサンゴは
評価においてはかなり低く
判断していいという前提がございます。
それからもう一点、この新しい予定地につきましては、実は今
先生も御指摘のように、そこでの工事が今まで議論をしていたアオサンゴを中心とする前の案の海域に
影響するんではないかという指摘があることも事実でございますが、これにつきましては私
どもかねてから、新しい予定地と今までの予定地の間には轟川という川がございまして、そこの河口部の状態はこれは航空写真その他で確認しているわけでございます。それから、サンゴ礁の形をたどっていきますと、ちょうどそのあたりに二つの大きなリーフの切れ目、これは沖合に並んでおるサンゴ礁の縁の水道部で水が出入りするところでございますが、それが二つございます、現地ではモリヤマグチ、イカグチと言っておりますが。そういう状態から見まして、まず地形的な議論をするのは別といたしまして、生きているサンゴの領域としてはこれは古い予定地と新しい予定地では別物であるという
判断をとっておるわけでございます。
それからもう
一つは、轟川の河口でかなりの土砂が年々
排出しておりまして、これが非常に不幸なことには北側のサンゴ礁に
影響がございまして、河口のあたりではほとんどサンゴ礁が生息できない状態になっておるわけでございますが、その領域が北側へ向かっておるわけでございます。かなり多量の土砂が出てきているんだけれ
ども、それは北側に広がってサンゴ礁に
影響しているということから、それ自身は何とか
防止できないかという議論があることも事実でございますが、それよりさらに南の方への
影響はないというのを、言いかえれば轟川の河口部からの土砂の動きをもとに我々
判断したわけでございます。
その三点から新予定地については古い予定地への
影響はないという
判断を私
どもとしては現在とっているところでございます。