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1989-06-19 第114回国会 参議院 環境特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年六月十九日(月曜日)    午後二時六分開会     —————————————    委員異動  一月六日     辞任         補欠選任      青木 幹雄君     石井 道子君  六月十九日     辞任         補欠選任      原 文兵衛君     大浜 方栄君      山田  勇君     勝木 健司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林 健太郎君     理 事                 松浦 孝治君                 田渕 勲二君     委 員                 石井 道子君                 石本  茂君                 大浜 方栄君                 梶木 又三君                 佐藤謙一郎君                 関口 恵造君                 宮崎 秀樹君                 柳川 覺治君                 粕谷 照美君                 渡辺 四郎君                 飯田 忠雄君                 沓脱タケ子君                 近藤 忠孝君                 勝木 健司君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山崎 竜男君    政府委員        公害等調査委員        会事務局長    高島  弘君        環境政務次官   石井 一二君        環境庁長官官房        長        渡辺  修君        環境庁長官官房        会計課長     梅沢  泉君        環境庁企画調整        局長       安原  正君        環境庁企画調整        局環境保健部長  目黒 克己君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        環境庁大気保全        局長       長谷川慧重君        環境庁水質保全        局長       岩崎 充利君    事務局側        第二特別調査室        長        菊地  守君    説明員        科学技術庁研究        開発局総台研究        課長       中野昭二郎君        科学技術庁原子        力局技術振興課        長        福原 淑弘君        外務省経済協力        局調査計画課長  北村 隆則君        文部省生涯学習        局社会教育課長  沖吉 和祐君        文部省初等中等        教育局中学校課        長        辻村 哲夫君        通商産業省基礎        産業局フロン等        規制対策室長   小島 直樹君        資源エネルギー        庁長官官房省エ        ネルギー石油代        替エネルギー対        策課長      大津 幸男君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電課長   横江 信義君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電安全管        理課長      三角 逸郎君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  小坂 英治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (公害及び環境保全対策に関する件)  (地球環境保全に関する決議の件) ○大気汚染防止法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○水質汚濁防止法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 林健太郎

    委員長林健太郎君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、山田勇君が委員辞任され、その補欠として勝木健司君が選任されました。     —————————————
  3. 林健太郎

    委員長林健太郎君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、去る一月、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。松浦孝治君。
  4. 松浦孝治

    松浦孝治君 それでは、私の方から委員派遣報告を申し上げます。  去る一月二十六日と二十七日の両日、瀬戸内海環境保全等に関する実情調査のため、林委員長広中理事佐藤委員粕谷委員近藤委員山田委員及び私、松浦の七名により、広島県への派遣を行いました。  日程の第一日目は、広島県庁で県の環境行政概況について説明を聴取した後、キリンビール広島工場水質汚濁防止対策を現地視察いたしました。  二日目は、瀬戸内海国立公園宮島地区を視察した後、呉市にある通産省中国工業技術試験所を訪れ、瀬戸内海汚染防止に関する調査研究状況を視察いたしました。  以下、主な調査事項について報告いたします。  まず、広島県の環境行政概況について申し上げます。  大気汚染につきましては、おおむね改善傾向にありますが、浮遊粒子状物質光化学オキシダントにつきましては、なお環境基準適合率が低い状況にあります。  水質汚濁につきましては、人の健康に関する項目では、河川海域ともすべての測定地点環境基準に適合しております。しかし、生活環境項目では、代表的な指標であるBODまたはCODで見ると、河川では二六%の水域で、海域では四七%の水域環境基準を達成しておりません。  赤潮は昭和六十二年に八件発生しており、前年に比べて一件増加していますが、漁業被害は起きておりません。  県内で発生する生活排水及び産業排水に係る一日当たりのCOD汚濁負荷量は七十二トンと推定され、その内訳は、産業排水が四一%、生活排水が五九%の割合となっていますが、全体の九五・四%が瀬戸内海に流入しております。生活排水汚濁負荷の比重が高いところから、瀬戸内海水質改善を図るためには、今後下水道整備合併浄化槽の普及を促進するなど、なお一層の努力が必要な状況にあります。  次に、キリンビール広島工場における水質汚濁防止対策について申し上げます。  この工場では、原料処理施設洗浄施設などから日量約三千五百トンの汚水を排出しておりますが、これらは、日量五千二百トンの処理能力を有する排水処理施設活性汚泥法によって処理され、PH、BOD、SSなどすべての項目にわたって下水道法による規制値をクリアした水を公共下水道に放流しております。  また、この工場では専任の公害防止体制をとるとともに、排水処理に当たっては負荷調整による安定操業処理を行うなど、独自の対策を講じているとのことでありました。  最後に、中国工業技術試験所における調査研究状況について申し上げます。  この研究所は、全国に十六ある通産省所管試験研究機関のうちでも、瀬戸内海汚染防止対策研究を目的の一つとしている点に特色があり、海洋研究では世界でも屈指の機関として評価されています。  水平縮尺が実物の二千分の一、全長二百三十メートルという巨大な瀬戸内海水理模型は潮汐と潮流を人工的に再現できるもので、海の現地での調査などと相まって研究推進に大きな役割を果たしています。この水理模型を用いて瀬戸内海海流現象、大規模埋立計画排水放流計画の適否、海水交換など、瀬戸内海全域水質保全のための研究が行われてきました。  その研究成果一つとして、瀬戸内海海水の九〇%は一年半で入れかわっていることが解明され、この見解は、去る昭和六十年に出された富栄養化防止に関する瀬戸内海環境保全審議会の答申の中にも取り入れられております。現在では大阪湾広島湾などの恒常的な汚濁水域人為的手法によって改善するための流況制御技術研究開発が進められています。今後調査研究が一層進展し、瀬戸内海水質改善に寄与することが期待されるところであります。  なお、広島県から総合的大気環境保全対策推進等項目要望を受けました。この要望書並び説明資料の抄録を本日の会議録末尾に掲載するよう委員長にお願いをいたしまして、報告を終わります。
  5. 林健太郎

    委員長林健太郎君) なお、ただいま松浦君の報告中、御要望のありました広島県からの要望書等につきましては、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 林健太郎

    委員長林健太郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  7. 林健太郎

    委員長林健太郎君) 次に、山崎環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。山崎環境庁長官
  8. 山崎竜男

    国務大臣山崎竜男君) 第百十四回国会における参議院環境特別委員会の御審議に先立ち、環境行政に関する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。  環境問題は、近年、国内、海外を問わず大きな関心を呼んでおり、環境重視の思想は、世界的な潮流と言っても過言ではありません。私は、この環境問題に関する大きな流れを見失うことなく、その要請にこたえていくことが、環境行政に託された重大な責務であると考えております。  内外の環境の現状を見ますと、まず、地球温暖化オゾン層破壊酸性雨海洋汚染熱帯林の減少、開発途上国における公害進展等地球環境を大きく脅かしつつあります。このような地球環境問題については、首脳レベル閣僚レベル国際会議がたびたび開催され、国際的にも特に重要な課題として認識され、取り組みが進められているところであります。  また、国内においては、大都市を中心とする窒素酸化物による大気汚染湖沼内湾都市内中小河川等における水質汚濁等改善がおくれている問題があるとともに、有害化学物質等によるいわゆるハイテク汚染のような新たな問題も生じてきております。  一方、生活に潤いと安らぎを求める国民の声の高まりにこたえ、質の高い快適な環境をつくり出していくとともに、すぐれた自然や身近な自然を適切に保全・活用していくことの重要性が高まってきております。  私は、以上のような状況を踏まえ、今後、特に次のような事項重点を置いて、環境行政を積極的に推進してまいりたいと考えております。  第一に、地球環境保全を図るための取り組みの一層の強化推進であります。  青く美しい地球は、人類生存基盤そのものであります。世界経済において極めて大きな役割を占め、かつ、種々の面で地球環境と大きなかかわりを有する我が国としては、地球環境問題を特に重視し、人類地球の未来のために一層主体的かつ積極的に役割を果たしていくことが必要であり、このことが、世界の期待と要請にこたえるとともに、「世界に貢献する日本」を実践する道であると信じます。  先般、アジア諸国環境大臣等出席を得て、アジア地域国際環境シンポジウムを開催したところでございますが、さらに本年九月には、地球環境保全に関する東京会議を開催し、世界有識者の英知を結集して、地球環境問題の解決に貢献してまいる所存であります。  また、フロンの削減、人工衛星を活用した観測研究充実強化等オゾン層保護対策地球温暖化対策酸性雨対策海洋汚染防止対策等推進するとともに、国立公害研究所を初めとし、関係省庁研究機関等における地球環境保全に関する調査研究促進を図ってまいります。  さらに、国連環境計画等国際機関国際条約を通じての国際協力を進めるとともに、開発途上国の持続可能な開発に向けて環境保全計画の策定を支援する等環境問題に関する国際協力を積極的に進めてまいります。  第二に、ふるさと環境づくり推進であります。  私は、日本人一人一人がみずから住む地域ふるさとと感じることができるような真の豊かさを実現するため、環境面から積極的な役割を果たしてまいりたいと考えております。  このため、地域に存する環境資源の適切な保全と活用により快適で良好な地域づくりを進めるとともに、水やエネルギー物質の循環をも視野に入れた環境にやさしい都市づくりに努めてまいります。また、環境教育推進などにより住民みずからの手による環境づくり推進してまいります。  さらに、新たに、ホタルなどが生息するふるさとの特色ある自然を保護し、あわせて自然保護のための教育の場として活用していくための「ふるさといきものふれあいの里」の整備に取り組んでまいります。  また、環境影響評価の適切な実施、公害防止事業団による環境保全事業推進等多角的な環境保全手法を積極的に活用してまいります。  第三に、公害防止対策の強力な推進であります。  大気汚染対策のうち、大都市地域における窒素酸化物対策につきましては、昨年末に「窒素酸化物対策の新たな中期展望」を策定し、今後の対策方向を示したところであり、これに基づき、ディーゼル車等排出ガス規制強化を初めとして各種対策をさらに進めるとともに、自動車交通抑制方策等につきまして、抜本的かつ総合的に検討を進めてまいります。  また、アスベストによる大気汚染未然に防止するため、石綿製品等製造工場からのアスベスト排出抑制について、大気汚染防止法の一部を改正する法律案提出いたしているところであり、速やかな審議をお願いいたしたいと存じます。さらに、スパイクタイヤ粉じん発生防止対策につきましても、一層の推進を図る所存であります。  水質保全対策につきましては、東京湾を初めとする内湾・内海の水質改善のための水質総量規制推進湖沼水質保全対策生活雑排水対策推進に加え、汚濁の著しい都市内中小河川における対策を進めるとともに、特に近時問題となっているトリクロロエチレン等による地下水汚染を防止する等のため、水質汚濁防止法の一部を改正する法律案提出いたしているところであり、速やかな審議をお願いしたいと存じます。  また、有害化学物質対策を進めるとともに、先端技術進展に対応した環境保全施策を着実に展開していくほか、交通騒音等各種公害対策監視測定体制整備等を積極的に推進してまいります。  第四に、自然環境保全と適正な利用推進であります。  国民自然志向高まりにこたえ、自然公園の適切な利用推進等により自然との触れ合いの増進を図るとともに、そのために必要な施設整備を進めてまいります。  また、絶滅のおそれのある野生生物保護対策や第四回自然環境保全基礎調査推進を初めとして、野生生物保護管理生態系保全を含めた自然環境の体系的な保全のための施策推進してまいります。  第五に、総合的な環境保健施策推進であります。  公害健康被害補償予防協会に設けられた基金を活用した健康被害予防事業大気汚染と健康との継続的な監視体制づくり等健康被害未然防止重点を置いた施策を進めてまいります。  また、健康被害の救済にも引き続き万全を期してまいります。特に、水俣病対策につきましては、認定業務の一層の促進等に努めてまいります。  以上、環境行政の主要な課題と今後の取り組み基本的方向について所信を申し述べました。  環境問題は、一層複雑化、多様化しつつあり、環境問題をめぐる世界国々相互依存関係も一段と深まりつつあります。このような中において、環境問題をめぐる議論関心が高まってきていることは、新しい真に豊かな時代の先駆けのように感じられます。  来るべき豊かで輝かしい二十一世紀の実現に向けて、私は、改革前進内閣の一員として国民と手を携えながら力の限りを尽くし、みずからに課せられた使命を誠実かつ意欲的に遂行していく所存であります。  本委員会及び委員各位におかれましては、環境行政の一層の推進のため、何とぞ、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
  9. 林健太郎

    委員長林健太郎君) それでは、公害及び環境保全対策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 田渕勲二

    田渕勲二君 私から、ただいまの環境庁長官所信表明につきまして、全体的な環境問題についてお尋ねをしたいと思っております。  まず最初に、地球環境問題に対する国の基本姿勢についてお伺いをしてみたいと思っております。  今さら私が申し上げるまでもなく、最近の地球環境問題というのは、国際的に特にこの数年非常にクローズアップをされてきておりまして、一つ流行語にさえなって地球環境問題と言われておりますが、そういう地球汚染が今非常に深刻な問題になっておりまして、単にこれが先進工業国のみならず、いわゆる途上国、あるいはアジア・アフリカの貧しい国々においてもこうした地球環境に関する非常に大きな問題が発生をしておるわけです。  そこで、この地球環境問題を語るときに私どもとして非常にわびしく思いますのは、日本がこの地球環境問題に対してどういう役割を演じているかということを考えますと、地球環境を浄化するという方向日本が国際的に有名なのではなくて、むしろこの地球環境を非常に汚しているといいますか、マイナスなことを日本がやっていると。  例えば木材の輸入一つを見ましても、熱帯雨林商業伐採でどんどん伐採する。あるいはフロンの問題であるとか、環境についての日本は非常に大きな責任があるわけでありますが、これから七月に向けてサミットがあるわけでありますけれども、こういう地球自然体系破壊に大きな責任を持っておる日本に対する非常に厳しい目があると思うのでありますけれども、こういう状況の中において日本がこの七月のサミットでどういう地球環境保全の基本的な考えをお持ちなのか、このことをひとつしっかりお答えをいただきたい、このように思います。
  11. 山崎竜男

    国務大臣山崎竜男君) まず、基本姿勢お尋ねでございますからお答えいたしますけれども、先生承知のとおり、私は前は産婦人科の医者でございまして、千人近い生命を取り上げた人間でございますから、もう生命のとうとさというものはどなたよりもいやというほど体験的に感じておる人間だと思っております。  そこで、その生命を生み出したものとは何かというと、これは地球上のあらゆる生物人間だけじゃなくて動物も植物も、すべてあらゆる生物地球から生まれてきているわけであります。その我々の生みの親である地球が現代に至ってはいろんな疾病にかかっておる。御承知のとおり大気汚染の問題もある。温暖化の問題もある。熱帯林の問題もある。酸性雨の問題もある。御承知のとおりのことでございます。  そういう病気にかかっておるときに我々はいかにすべきかというと、やはりこれは地球全体の人類の知恵を出し合って、母なる地球がこれ以上病に侵されないように、なるべくならこの病を軽くして我々の次の世代に引き継いでいかなきゃならぬという使命感を私は持っておるのでございます。  そういう意味で、先生がおっしゃられたように、日本はかつて公害天国だと言われたようなこともございましたが、幸か不幸か第一次、第二次オイルショックということで、省エネルギーを図りながら公害対策世界に冠たる国になりましたけれども、そういう経験を踏まえて、今や地球問題は世界が共同して取り組んでいくべき全人類共通課題であるというふうに思っておりますし、中でも我が国は今までいろんな問題で先生がおっしゃられるように地球全体に害の方もあったんじゃないかというお話ですが、そういう先進工業国の果たすべき役割は非常に大きいものであるというふうに認識しております。  このため、来るサミットにおいては、外務省等十分連絡をとりつつ、地球環境保全に対する我が国積極的姿勢を示すとともに、他のサミット国とも協調しつつ、地球環境保全のための基本的方向及びサミット国の果たすべき役割が明らかになるようにしてまいりたいと考えております。
  12. 田渕勲二

    田渕勲二君 今の長官使命感、決意ということは十分よくわかりました。時間がありませんので余り申し上げませんが、より具体的な方策日本役割を十分この地球環境保全にぜひ役立ててもらいたいということをお願いしておきます。  それと関連をいたしまして、九月にUNEP共催地球環境保全に関する東京会議というのが開催されるわけでありますけれども、この環境保全に対する日本独自の考えがあればひとつお聞かせをいただきたいということ、世界的に寄与できるような何か具体的な提案がこの九月に出されるとするならば、その基本的な考え方でも結構ですからぜひひとつ聞かせておいていただきたいと思います。
  13. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) 本年九月に東京で開催を予定しております国際会議についてのお尋ねでございますが、現時点では世界の一流の有識者にお集まりをいただき、そうして地球温暖化等地球環境問題に関しまして最新の科学内知見を集約していただく、これが一つ。それから、それに基づきまして今後の対応のあり方について検討を行っていただいて、二十一世紀に向けて世界がとるべき行動について提言をいただく。こういうことを考えているわけでございますが、その中で日本として、あるいはその会議の中で具体的にどんなことを考えているかというのは、今申しましたように有識者皆さん方に集まっていただいて御議論をいただくということでございます。決して抽象的なものという意味ではございません。できるだけ具体的な御提言をいただきたいと思っていますけれども、そういう性格の会議でございますので、今の段階で具体的にこういう方向でということはちょっと申し上げかねるところでございます。
  14. 田渕勲二

    田渕勲二君 要望しておきますけれども、国民に開かれた会議となりまして、特に一過性のイベントに終わることのないように十分ひとつ御配慮いただきたい、こう思います。  続いて次の質問に移りますが、特に環境問題を扱う場合に、日本の場合、日本省庁をいろいろ我々が調べてみますと、各省に余りにも環境に関する行政組織が分かれ過ぎていると思うんですね。例えば環境に関する行政組織を持っている省を調べてみますと、運輸省、建設省、農水省、通産省、厚生省、国土庁そして環境庁、少なくとも七つの省庁環境行政を取り扱っておるわけでありますけれども、こうした縦割り行政ということになりますと縄張りがいろいろありまして、一元的に環境行政をつかさどる上では非常に難しい面が出てくるのではないかと思うんです。  そこでお尋ねをしますけれども、こういう環境行政を総合的に、かつ体系的にとらえる行政組織というものにこれからつくりかえていかれる考えがないのかどうか。また、こういう行政組織にした方がいいんじゃないかというお考えを持っておられないか。今のままのこうした縦割り行政でいいのかどうか。こういう点をひとつお聞かせいただきたいと同時に、今、内閣地球環境保全に関する関係閣僚会議というのが設置されておりますが、これは五月以来一回も開いたとは私は聞いていないんですが、これはなぜ開かれないのか。これほど重要な会議を目前にしておるのにこうしたものが開かれていない、こういう点についてひとつお伺いをしておきたいと思います。
  15. 安原正

    政府委員安原正君) ただいま御指摘のように、環境行政にかかわる省庁が幾つも分かれておるというのはそのとおりでございます。ただ、地球環境問題も非常に多岐にわたっておりまして、これにどう対応していくのか政府としても真剣に考えているところでございまして、そういう点を踏まえまして、ただいま委員からも御指摘がございましたように、五月十二日に閣議口頭了解によりまして地球環境保全に関する関係閣僚会議というのが設置されたわけでございます。御案内のとおり、その会議の目的は、地球規模で深刻な影響を与える環境問題に対応するための施策に関しまして、関係行政機関の緊密な連絡を確保し、その効果的かつ総合的な推進を図るということを目的とするものでございます。  したがいまして、政府といたしましての考え方は、各省に分担はまたがっておりますが、地球環境問題につきましては、この関係閣僚会議対策につきまして十分連絡をとり、一体的、効果的に政府を挙げて取り組んでいくということにしているわけでございます。御理解を賜りたいと思います。  それから、まだ一回も開かれていないではないかということで、そのとおりでございますが、ちょうど五月十二日にこの設置が決まったわけでございますが、内閣の交代等の事情がございました。その間、私どもとしましては、関係省庁と連絡をとりまして、内閣のイニシアチブでございますが、幹事会が設置できるようになっておりますので、幹事会を設置し、あるいはその幹事会に基づきまして課長レベルの会議を持ちまして事務的な検討を鋭意進めてまいっておるわけでございます。そこで、事務的な準備ができましたところで、できれば六月中にも第一回の閣僚会議が開催できるように今その予定で準備を進めておるということでございます。御理解を願いたいと思います。
  16. 田渕勲二

    田渕勲二君 経過はそうなんでしょうが、そういう行政を一元的にとらえる関係閣僚会議というものが今当面それしかないわけですから、そういうものがせっかくできておれば、やはり環境庁からもやかましく言って、五月の十二日に設置されたものがもう六月の末になっても一回も開かれないということ自体、私は非常に問題だと思うんですよ。  私は前の国会のときに、環境庁長官というのは副総理格の人が長官ぐらいやれと。そうでないと、各省、今七つも八つも省を集めて地球環境に対していろいろ取りまとめて主宰することができないという考えがあったものですから私申し上げたんですが、そういう点ではもっと環境庁が自信を持ってもらって、地球環境保全の問題については、非常にこれは人類の存亡にかかわる大問題なんですから、そこらのそんな大蔵省やとか自衛隊とかという問題以上のものですから、ぜひそれはひとつこれから意欲的に取り組んでいただきたいということをお願いいたします。  それと、それに若干関係いたしますけれども、予算の関係なんです。環境庁の予算が非常に少ないということは、これは常識になっておるわけなんですが、ところが、地球環境に関する関連予算というものを取りまとめますと、これはかなり大きな各省にまたがっている金額になっているんですね。これは事実かどうか知りませんけれども、与党の自民党さんの方で地球環境の関連予算として各省の予算を整理いたしますと九百五十一億六千万円、こういう数字がはじき出されたというように聞いておるんですけれども、事実この数字は正しいのか。また、それがなぜ自民党さんでまとめられたものであって、環境庁としてはそういうものが、我々に対してでもこれだけのものがあるというようなコメントが出ないのか、この辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  17. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) 先生おっしゃいましたように、自民党の環境部会の地球環境問題小委員会におきまして地球環境問題関係予算というものをおまとめになられました。これは、その小委員会から私どもの環境庁を含めまして関係省庁に資料を提出するように御要請があって、それに即して各省庁から数字が出され、それが取りまとめられたものでございます。私ども政府といたしましても、そういった地球環境問題への全体の取り組み状況というものは、これから施策を進めていく上で大変貴重な参考資料にはなるわけでございます。  しかし、私ども聞いておりますところでは、自民党のこの小委員会でこういう資料をおまとめになるときにも、どういうふうに線を引くのか、それから、直接各省庁の予算に計上されていないというか、あるいは地球環境関係と明示されずにまとめて例えば国際協力事業団でも相当ないろいろ事業をやっておられる、海外経済協力基金でもやっておられる、こういったところの数字をどうするのかといったこれから検討すべき、研究すべき問題がいろいろあるというふうに伺っております。私どもとしては、とりあえず自民党の方でおまとめいただいた数字をこれからの行政の貴重な参考資料にさせていただきたい、こう思っておるところでございます。
  18. 田渕勲二

    田渕勲二君 そういうことであれば何ですが、いずれにしても一千億近い関連予算がある、こういう認識でいいわけですね。  それでは、続きまして環境白書について若干御質問いたしたいんですが、公害対策基本法の第七条によって、公害状況及び政府が講じた施策に関する年次報告、いわゆる環境白書というものが毎年国会に報告をされておりますけれども、地球環境状況政府がいろいろ講じてきた施策について毎年国会に報告をしてもらいたいと思うんですが、地球環境白書のようなものが毎年つくれないものかどうか、このことをお聞かせいただきたいと思います。これは昨年は地球環境報告がされまして、ことしは聞くところによると都市問題ですか、こういうように毎年毎年テーマが変わっておるわけなんですけれども、それはそれでいいんですが、やはり今日の情勢から見て、この地球環境という重要性からかんがみて、やはり毎年こうした白書のようなものが出されないものかどうか、この辺のところについてお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 安原正

    政府委員安原正君) ただいま先生から御指摘がありましたように、昨年の環境白書におきましては「地球環境問題と我が国の貢献」ということを特別のテーマとして取り上げまして、地球環境問題の動向、背景、我が国の貢献のあり方につきまして詳細な記述をしたわけでございます。本年の環境白書におきましては都市環境問題を特別のテーマに掲げておりますが、地球環境問題につきましても昨年の白書を引き継ぎまして、さらにそれに新しい動き、情報等を加えまして相当重点的な記述をしているわけでございます。内容において特に昨年と遜色があるというものではないというぐあいに私ども考えておるわけでございます。  確かに、地球環境問題の動向をできるだけわかりやすく国民の皆様にお示しするということは非常に重要なことと考えておりますので、引き続き環境白書等によりまして情報を的確に提供するように努力をしてまいりたいと考えております。
  20. 田渕勲二

    田渕勲二君 ぜひひとつそういうスペースを十分とって、地球環境の毎年の報告をできるだけお願いしたいと思います。  文部省、科技庁来ておられますか。——それでは観測研究体制の拡充、環境統計の整備環境教育の充実、こういうものについてちょっとお伺いをしていきたいと思っています。  まず、我が国地球環境問題に関する科学的な知見が非常に乏しくて基礎研究の充実や人材の養成が急務であるというふうに言われておりますが、行政としてもこの学際的な共同研究強化するには、縦割り行政の弊害をなくして、いわば省際的な姿勢を講じるべきである、こういうように思うんですけれども、これに対する各関係省庁の見解をまずお聞かせいただきたい。
  21. 中野昭二郎

    説明員中野昭二郎君) 地球環境問題につきましては、その対象となる地域が広域かつ複雑多岐にわたっておりますので、先生指摘のとおり、この問題の解決に当たりましては広範な専門分野の学際的連携が必要であり、各省庁研究ポテンシャルを結集した取り組みが不可欠であると考えております。  科学技術庁におきましては、学際的、省際的な研究推進いたします制度といたしまして、従来から科学技術振興調整費、これは科学技術会議の方針に沿って行う制度でございますけれども、これを活用いたしますのと、それから、平成元年度におきましては新たに地球科学技術特定調査研究費を創設いたしまして、長期的に各省庁連携協力して総合的な研究を進めるということで、現在、太平洋における大気・海洋変動と気候変動に関する国際共同研究あるいはアジアモンスーン気構に関する研究等を連携協力して推進しているところでございます。今後とも広範な分野の専門家の協力を得まして学際的、省際的な研究を総合的に推進いたしまして、地球環境問題の解決に積極的に貢献していく所存でございます。
  22. 田渕勲二

    田渕勲二君 続いて、これに関係をいたしますけれども環境教育の問題についてお伺いいたしますが、今日こういう地球環境問題がクローズアッップされますと、やはりこうした子供のころからの環境教育というものが非常に重要になってくると思うんでありますけれども、そういう意味で、やはり学校教育あるいは社会教育の現場でどのような環境教育が実践されているのか、これを基本的な問題でいいですからお聞かせいただきたいと思います。  それからもう一つは、環境に対するいろんな情報ですね、こういうものが十分我々の手元に届かないといけないわけですから、こういった環境統計の整備あるいは環境情報、こういったものはもっと拡充をする必要があると思うんでありますけれども、これに対する見解をお聞かせいただきたいと思います。
  23. 辻村哲夫

    説明員(辻村哲夫君) ただいま御指摘教育につきましては、小中高等学校の段階からもそれぞれの子供たちの発達段階に応じて教育をしていくことが非常に重要であるというふうに考えております。  具体的には、小中高等学校を通じまして社会科あるいは理科というような教科でこれらに関連した教育を行っているところでございます。小学校の子供たちはまだ小そうございますので、環境問題というのを大上段に取り上げましても理解がしにくいということで、身の回りの公害の問題を考えさせる、そして、それについてどのように人々が取り組んでいるかというようなテーマを与えて考えさせるというような教育をしているわけでございますが、それが中高に上がるにつれて国レベルの取り組み、あるいは国際連合での取り組みというように視野や対象を広げてこうした問題について学習を深めるというようなことをいたしているわけでございます。  今回新しい学習指導要領を告示したわけでございますけれども、この観点に立った教育はますます重要性を増すであろうという観点に立ちまして、その充実を図るというように努めているところでございます。
  24. 沖吉和祐

    説明員沖吉和祐君) 先ほど学校教育の関連で御説明しましたけれども、社会教育の面でも、学校以外でもやはり環境保全自然保護の問題については大切であろうということで、成人を対象に、あるいは婦人を対象にさまざまな公民館等の学級講座とか、あるいは大学の開放講座を通じまして大気汚染と健康とか、あるいは水の汚染と食生活、こういった生活に即した観点からの環境保全教育を行っております。  また、各地域において青少年あるいはPTAを中心にしながらボランティア活動を通じて清掃活動ですとか、あるいは緑化運動、さらには自然体験学習といった形で青少年に対する環境教育を行っております。さらに博物館とか少年自然の家あるいは小中学校を対象とします自然教室を行うための環境教育のための施設、こういったものを整備しながら、直接自然の中で自然に触れながら自然に親しみ、自然がいかに大切かといったことを十分教育するような活動を続けています。今後ともこの活動について一層充実していきたいというふうに考えております。
  25. 中野昭二郎

    説明員中野昭二郎君) 地球環境問題の解決につきましては、各種研究観測の推進と、これに基づきます科学的知見、関連情報の蓄積、こういう情報の一元化というのは非常に重要であると認識しております。  科学技術庁におきましては、これまで宇宙開発事業団で各種人工衛星等によりまして広域的な観測データを受信、蓄積処理し、専門の機関を通じて関連各機関に提供するとともに、海洋科学技術センター、国立防災科学技術センター等の関辻機関におきまして、それぞれの観測研究によって得られました関連情報の蓄積提供、これに努めておるところでございます。  なお、日本科学技術情報センターにおきましては、地球環境問題を含めます科学技術全般に関する情報の収集、提供を行っておるところでございます。今後ともこの地球環境問題の解決に必要となる関連情報に関しまして、その整備提供に努めてまいりたいと存じております。
  26. 田渕勲二

    田渕勲二君 それでは次に、観点を変えて申し上げますが、いわゆる今日の先進国における資源とエネルギーの浪費、こういったものが今日の地球環境の悪化を招いている一つの大きな原因でありますけれども、そういたしますと、いわゆる省エネであるとかあるいは省資源であるとか、そういった面での環境浄化というか、こういう視点がやはり非常に大事になってくるのじゃないかと思うんですね。そういう意味で、環境庁として省資源、省エネルギー、こういった位置づけというか、これからの重点というか、これについてぜひひとつお聞かせをいただきたいと思うんです。  若干補足しますけれども、温暖化の原因の中には炭酸ガスとかフロンとか、そういう大気汚染等もあるんですが、特にこの中で大気中の炭酸ガスが温暖化に影響しているのがかなりの部分を占めていると思うんですけれども、フロンの方はかなり規制が進んでおりますけれども、炭酸ガス規制というのがどうも野放しになっているような気がするんですね。これも省資源、省エネルギーという立場から言えると思いますけれども、そういったことで、ひとつこういうものをやはり的確に早目に手当てをしていかないといけないと思うんですが、これについて環境庁の見解をお聞かせいただきたいと思います。  それから、省資源、省エネルギーの問題でありますから、当然これも通産省の方お見えいただいていると思うんでありますけれども、見解があればお聞かせいただきたいと思います。
  27. 安原正

    政府委員安原正君) ただいま先生から御指摘がございましたように、地球温暖化の問題あるいは熱帯林の減少等の地球環境問題はエネルギーや資源の消費と密接にかかわっておるわけでございます。  そこで、エネルギー利用の効率化を一層進めるとか、あるいは環境への負荷の少ないエネルギーを使いますとか、あるいは資源のリサイクルをやるとか、そういった施策地球環境保全する上で極めて有効な手段であるというぐあいに考えております。  特に都市におきましては諸活動が集中いたしておりまして、大量のエネルギーが消費されておるという状況にございますので、ことしの白書では都市環境問題を取り上げまして、その中でエネルギーの効率利用システムの導入を含めました問題の提起をしているわけでございます。そして、生態系循環の再生を目指す都市ということでエコポリスの形成を提唱しているわけでございます。  また、環境庁としましては、政府の冬季あるいは夏の省エネルギーキャンペーンにおきまして、地球温暖化防止それから都市の大気汚染防止のための省エネルギーを一般の国民の方に呼びかけをやっているところでございます。こういうことで、エネルギーの効率利用、資源のリサイクルというのは環境施策を進める上で重要な手段ということで考えておりまして、今後ともこういう施策を積極的に展開してまいりたいというぐあいに考えております。  以上でございます。
  28. 大津幸男

    説明員(大津幸男君) 我が国先生も御存じのように資源エネルギーの大部分を海外に依存していることから、貴重な資源エネルギーを有効に使う観点から、通産省としましてもこれまで省資源、省エネルギーに取り組んできたわけでございます。先生も御承知のように、第一次、第二次石油危機を通じまして、特に省エネルギーにつきましては国民的規模で取り組んできたわけでございます。この結果、我が国エネルギー消費の実質GNP原単位は第一次石油危機以降三六%も改善し、我が国エネルギー消費効率は先進国の中でも極めてトップクラスに位置づけられております。  今先生から御指摘ございました、単にエネルギー問題だけじゃなく、近年の地球規模の環境問題の観点からも省資源、省エネルギーというものの重要性はさまざまな国際会議の場でも議論されておりますし、私どももそういう観点を強く認識し、今、二十一世紀における特に地球規模の観点も踏まえた省エネルギー対策はどういうふうに進めたらいいかというような勉強会も行っています。この辺は今後の国際議論を踏まえた形の中で、前より一層省資源、省エネルギー推進していきたいと思っているわけでございます。
  29. 田渕勲二

    田渕勲二君 これに関連して、山崎先生長官に御就任になったときに、先生は青森の出身ですから原発問題の必要性を問われていろいろちょっとあったようですけれども、単に原子力発電の必要性ということを説くことは、それはそれなりのなにがありますけれども、今申し上げたように、地球環境の現状というものを考える場合に、単にやはり原発は必要なんだということだけじゃなくて、その前にもっと省エネとか今いろいろおっしゃった省エネルギー政策というものの面から見た原子力発電所のあり方ということも、これは当然環境庁としてもお考えになってしかるべき観点じゃないだろうかと私は思うんですが、長官、いかがですか。
  30. 山崎竜男

    国務大臣山崎竜男君) 私の地元には原子力船「むつ」があったり、今また燃料サイクルの問題があったりしていろいろ議論があるところでございますので、これは原子力問題は環境庁と関係がございませんので、私見ということでこの間申し上げたんですけれども、今おっしゃったように、これからエネルギーを何で確保するかというのは地球的規模の大問題だと思っております。  ある学者のおっしゃったことでは、私たち現在の人類は、原始人類と言っても原子力じゃない、大昔の人類から見ると一万倍のエネルギーを使っているんだそうでありますから、そのエネルギーをどこから出すかというのは大変な問題でございますし、また片一方では先生おっしゃったように炭酸ガス、地球温暖化ということで、化石燃料にばかり頼っておれば地球温暖化はますます進んでくる。  それではどうするかということは、先ほど来のお話にありましたとおり、一つは化石燃料を省エネルギーあるいは能率あるエネルギーとしてもう一回見直すということと同時に、そのほかに炭酸ガスを出さないエネルギーとしては原子力があるんじゃなかろうか。そのことも頭の中に入れておいて、いろんな方法から方策を講じながらエネルギー源を求めていくのがいいんじゃないかというのが私の真意でございまして、原子力で何もかにも賄えということではなくて、今の原始人類から見ると一万倍も使っているというこのエネルギー一つ方策として、現状ではクリーン、炭酸ガスも出さないし温暖化にも直接関係ない原子力もその中の考えの中に入れてもいいんじゃないかというのが私の真意でございまして、舌足らずの点は十分おわびを申し上げます。
  31. 田渕勲二

    田渕勲二君 時間がありませんので先に急ぎますが、次に非政府機関への支援の問題でお聞きをいたします。  現在、各国の自然保護団体というのが非政府機関として全世界で非常に地道な活動を続けておるわけでありますけれども、我々が新聞なり雑誌なんかで見ますると、どうも日本の非政府機関で海外で活躍されている数といい人といい、また資金といい、非常に先進諸国から見て見劣りがするわけでありますけれども、その数なり規模なり活動の内容について、これは簡単でいいですからまずお聞かせをいただきたいと思います。そして、政府として彼らの活動を支援する用意があるのかどうか、これについてひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  32. 北村隆則

    説明員(北村隆則君) お答え申し上げます。  非政府機関、NGOと一般的に申しますけれども、その定義についてはいろいろございますのでいろんな数え方があるかと思いますが、外務省として把握しております数、その活動ぶりについて簡単にまず説明させていただきたいと思います。  六十三年に調査したものでございますけれども、何らかの形で海外の活動に関与しておられる非政府機関、この数約二百七十ございます。多少とも活発な活動をしておられる数、これは八十から百の団体と承知しております。我々の調査によりますと、公益法人がそのうち約六十団体あられまして、残りが任意団体となっているようでございます。具体的な活動ぶりとしましては、開発協力、資金援助、物資の援助あるいは人材派遣、研修員の受け入れ等のようでございます。  これらのNGOでございますけれども、全体として見ますれば、歴史が浅いこともございまして多くのNGOが事業活動費としましては三百万円以下というふうに承知しております。そこで、政府といたしましては、団体補助金の供与、あるいは今年度から始めておりますけれども事業補助金の供与、こういうのを通じて支援しておりまして、今のところこの二つの額が約六億円ちょっとになっております。  現在推進しております開発援助の第四次中期目標におきましてもNGOとの連絡強化というのをうたっておりますし、今後ともNGOの自主性を十分尊重する形でその支援に積極的に取り組んでいきたいと思っておる次第でございます。
  33. 田渕勲二

    田渕勲二君 そうしますと、政府開発援助に使うお金があるんですけれども、このうちどれぐらいが環境協力に使われているのか、これをお聞きをしたいんですが、環境庁の所管する政府開発援助というのは非常に安い、安いというのか、一億円ぐらいだと聞いておるんですが、何か政府開発援助というのは七千五、六百億円あるようですけれども、そういうことなのかどうか。政府開発援助に環境の枠を設けると聞いておるんですが、その点はいかがでしょうか。
  34. 北村隆則

    説明員(北村隆則君) お答え申し上げます。  環境分野の援助額でございますけれども、二国間、多国間両方ございますが、二国間援助について申し上げますと、政府全体、一体としてこの環境分野の援助に取り組んでいるところでございますが、過去三年間の平均で申し上げますと約六百億円強になるかと存じます。  多国間につきましては、いろんな機関がございまして、例えば外務省予算として計上しております専ら環境を担当する国際機関、例えば国際環境計画あるいは国連食糧農業機関、こういうのに対しましては合わせて約十億円の拠出になっておりますけれども、その他国連開発計画あるいは世銀、こういうのも環境プロジェクトをやっておりまして、先ほど先生指摘のとおり、国際機関に対しましては約三千億円強の協力をしております。この国連機関で具体的に環境支出として額を明確に区分しておりませんので日本がどれほどそれに協力しているかというのは明確な額として出ていませんが、そういう全体の協力を通じて多国間においても相当な額を協力しているということが言えると思います。  それから先生指摘のいわゆる環境枠でございますけれども、先ほど二国間の活動費として申し上げました三年間平均とっておりますけれども、実は途上国からの要請あるいはその実施、これは年度別にいろいろ分かれまして、単年度でとることは難しい面がございまして、実施の上ではできるだけ途上国との政策対話を通じて環境分野を大いに進めていきたいと思います。そういう実施を通じて強化していきたいと思っておりますので、環境枠については特に考えておりません。  以上でございます。
  35. 田渕勲二

    田渕勲二君 これに関連してちょっとあるんですが、時間がこれもう本当に来てしまいましたのでそれは後回しにして、大蔵省の皆さん来ていただいているかもしれませんが、一番最後に。  実は、石垣島のことについてちょっと先に時間がありませんので質問したいと思います。運輸省、見えておりますね。  石垣島のサンゴ礁は御承知のとおりいろいろ国際的な波紋を投げかけまして、白保の建設予定地が変更になったわけですけれども、これはどうも調べてみると白保のあの辺のサンゴ礁にかなり影響が我々はあると思うんですが、どういう経緯か知りませんが、すっとその近くにまた新しい候補地ができたように聞いておるんですけれども、なぜそうなったのかというその経緯をお聞きしておきたいと思います。
  36. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 石垣空港は沖縄県が設置管理する第三種空港でございまして、現在滑走路千五百メートルございます。そして暫定的に小型ジェット機B3が就航しているわけでございます。  沖縄県は、現石垣空港の現状及び今後の航空需要にかんがみ、現空港を移転し、白保海上に滑走路二千五百メートルの新空港を建設することを計画し、運輸省昭和五十五年度から予算措置をするとともに、五十七年三月に飛行場設置許可を行っているものでございます。その後建設予定地のサンゴの問題がいろいろと議論されるようになりまして、沖縄県は六十二年八月にアオサンゴ群生の保全に配慮し、当初の滑走路長二千五百メートルのうち、アオサンゴ群生に隣接する南側を五百メートル短縮する計画変更を行ったわけでございます。  さらに、本年四月二十六日、御指摘のように沖縄県知事から空港の建設点を見直す旨の意向表明があったわけでございますが、これは従来の計画位置が環境保全上好ましくないとの内外の議論が高まる中で、サンゴ群生を保全しつつ、かつ空港の早期建設を図る観点から、長年のサンゴ論争に終止符を打つため、知事が総合的に判断のもとに決断を下したものと聞いております。現在沖縄県は具体的計画策定に向けて地元調整を行っているところでございます。
  37. 田渕勲二

    田渕勲二君 それにしてもようわからぬ説明でですね。  私の聞いているのは、一つはサンゴに影響がないと、こういうようにされてここへ変更になったというんでしょう。石垣島の周辺サンゴの生息状況に全く影響がないとされたその根拠が私どもにはよくわからないわけです。この説明資料も十分なのは公表されていないように思うんですけれども、この辺をまず一つお聞かせいただきたいと思います。
  38. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 石垣島周辺のサンゴ礁の生息状況につきましては、環境庁が直接昨年の十一月以来調査を行いまして、先ほど運輸省から御答弁ございましたように、沖縄県知事において今までの場所から四キロ北へ移す変更案を示されたわけでございますが、その前提には、私ども今申しました環境庁調査結果の感触を県知事にお伝えした結果という面がございます。ただ、北に四キロ寄せられました新しい計画予定地につきましては、私ども県当局からその案を示されまして、改めて私どもが調査いたしました結果に照らして判断をしたわけでございますが、一度これは県が変更をなされたときに私自身記者会見で御説明したことでございますが、今までの案で問題とされておりましたアオサンゴあるいは現状ハマサンゴの位置からは、これはもうかなり離れる、アオサンゴの場合四キロ以上離れることは間違いございません事実でございます。  それから、その後実は新しい予定地であっても、そこの工事の影響が今までのアオサンゴあるいは現状ハマサンゴの地域に影響するのではないかという指摘国内の団体からございましたが、これにつきましても我々が既に得ております、ちょうど古い予定地の南側になります轟川の河口付近の土砂の状況、あるいはその前後の潮流状況から考えまして、私どもは新しい場所での工事は今までのサンゴ礁の生育には影響がないという判断をその時点でもしたわけでございます。そのことを調査結果の取りまとめとしまして一度かなり詳細に御説明したつもりでございますし、今の国内団体の指摘の際は、私みずからその点をさらに示しまして御説明したつもりでございまして、県での御判断が、今運輸省で御説明がございましたように、アオサンゴを中心とするサンゴ礁保全に対する国際的な世論に合ったと同時に、私どものこの調査結果に基づく一つの決断であったという点から、私どもは新しい予定地に対してみずからの調査結果に根差して判断をしたという経緯がございます。
  39. 田渕勲二

    田渕勲二君 そうすると、環境庁は沖縄の計画が変更したことについては何ら異存がない、こう見られたわけですね。それに関連して申し上げますが……
  40. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 新しい沖縄県庁の変更案についてはそのとおりでございます。
  41. 田渕勲二

    田渕勲二君 あなたは、計画の位置を四キロ北側に変更した、こういうようにおっしゃっていますが、これは私も私なりに調べてみると、前の飛行場と今度つくる飛行場の接近する一番端から端までの四キロならわかるんですよ。しかし工事をするのには、元の計画の北の端から新たな計画の南の端までの距離、この距離が何メートルあるか知りませんが、新たな計画の南の端から進入灯を全長七百八十メートルにわたってさらに南へ向けてつくると、その端から元の計画の北の端まで近いところの差はわずか六百メートルと私は聞いておるんですが、これは事実じゃないですか。
  42. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) その点を申し上げますが、端から端が四キロじゃございませんで、南の端と南の端が四キロ、北の端と北の端が四キロでございます。今先生が御指摘のような議論は確かに一部聞いておりますが、それは新しい空港の南の端と古い空港の北の端を数えますと確かにこれは一・数キロでございます。その間に、今御指摘のように誘導灯の工事がこれは必至でございますから数百メートル入りますので、おっしゃいますように新しい空港の誘導灯の一番南側の端と今までの空港予定地の北側の端は数百メートルでございますが、私先ほど答弁で申し上げましたように、問題となりましたアオサンゴは古い案の南端から数百メートル南へ寄っているわけでございます。  それから、テーブル状の現状ハマサンゴも古い案の飛行場予定地の南半分に所在しておりますので、私が先ほど断言いたしましたアオサンゴ、あるいはかつて問題になったテーブル状ハマサンゴの位置からは明らかにこれは四キロ離れているということを考えてよろしいわけでございます。誘導灯を入れますと四キロを少し切る面はございますけれども、決して数百メートルのところにマィクロアトール状のハマサンゴがあったり、あるいはアォサンゴがあるわけじゃ全くございません。そのような前提で私ども先はどのような判断をしたつもりでございます。
  43. 田渕勲二

    田渕勲二君 私も実際にその場所に行ってはかっておるわけじゃないからわかりませんから、ここでやり合ってもこれは意味がないんですが、そういうことで、いろいろ自然保護団体が問題にしているわけです。これは六月十七日、おとといですか、朝日新聞の夕刊の記事を私が見たら、国際自然保護連合から共同調査を申し入れた、それを何か政府は断ったというような、そういう記事があったと思うんですが、これは事実ですか、なぜ断ったんですか。
  44. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) その点は、私あてのIUCNのホルゲート事務総長からの手紙のことを言っていらっしゃると思うんでございますが、これにつきましては、今先生共同調査とおっしゃいましたが、日本政府は今までの建設予定地をナショナルパーク、海中公園にするように聞いているけれども、これについてはIUCNにいろんな蓄積もあるので、どのような場所をナショナルパークにすることがふさわしいかについては、もし望まれるならば専門家の調査を応援することも考えているという仮定形の御提案があったわけでございます。  ただ、私ども海中公園につきましては既に国内に五十数カ所の指定も行っておりますし、現に西表島周辺には沖縄地区の海中公園を持っておりますので、そのような技術の面では全く私ども独自のといいますか、日本の技術と経験によりまして処理できると判断いたしましたので、私の名前で断らせていただいたわけでございます。
  45. 田渕勲二

    田渕勲二君 余り時間がありませんからこれ以上追及することができないんですが、要請をしておきたいんですけれども、環境庁が昨年石垣島の周辺サンゴの生息状況調査しましたね。前国会で粕谷先生から、それをこの委員会で公表してほしいという質問があったら、何かアセス発表前の公表はまずいからということを言われて答弁されたと思いますが、もう今はその状況じゃないわけなんですから、皆さん方がお調べになったその調査というものについて我々に一切合財ひとつ公表していただくということをお約束していただけますか。
  46. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 確かに、今回私どもが直接行いました石垣島のサンゴ調査は、従来想定されました建設大臣からの意見を求められました場合に、我々としての資料を得るということでございましたからそのような御答弁も差し上げてはございますが、先ほど私申し上げましたように、実はことしになりまして沖縄県知事の新しい計画案が発表されました段階で、今までの白保の予定地、新しい新予定地のデータにつきましてはほとんど私から調査結果を説明したのと同様の措置を講じておるわけでございます。したがいまして、今先生の御指摘がほかの地点、例えば石垣島のほかの地点のことであれば別でございますけれども、一応白保をめぐるデータにつきましては、先ほど申しました二度にわたる記者発表その他ですべてを公表と申しますか、説明したつもりでございますので、私どもはさらにこれを重ねてすべてを出すという意味をちょっと解しかねているところでございます。
  47. 田渕勲二

    田渕勲二君 だから、お調べになったものを皆お出しいただくということならいいわけで、一々、これは出すがこれは出さないということじゃなしに、出しましょうとおっしゃっていただけばまた我々もお見せしていただくようにいたします。
  48. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 私ども既に明らかにしております資料は早速お届けしたいと思います。
  49. 田渕勲二

    田渕勲二君 この問題は国際的にも非常に重要な注目を浴びている問題ですから、きょうは時間がありませんのでもうこれ以上続けることは困難ですが、またの機会にして、十分私たちも調査をした上でまた御質問申し上げたいと思っております。  時間が参りましたので長官に最後にお願いをしたいと思うんでありますけれども、いろいろきょうの質問のやりとりの中でも明らかになりましたように、非常にこの地球環境問題というのは重要な問題でありますし、やはり日本世界に貢献する道はこの地球環境の問題ほどふさわしいものはないと思うのであります。特に一つには日本が海外経済活動において環境破壊に手をかしている、こういうように言われている事実もあります。また環境を無視した大型プロジェクトなどもあるわけでありまして、こういうような問題について根本的にやはり見直す時期に来ているんじゃないか。  あるいはまた、違った面から申し上げれば、日本の高度なこの公害防止技術というものを無償か低廉か、そういうもので国際的に提供していく、こういうことが現在の国力に見合ったこれからの日本の国際国家としてふさわしい姿じゃないかというふうに思うのでありますけれども、こういった観点に立って、これからの世界に通用する環境行政のリーダーとしての山崎長官のひとつ決意というものをぜひ最後にお聞かせをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  50. 山崎竜男

    国務大臣山崎竜男君) 御指摘のとおり、地球環境問題は、先ほど私が申し上げましたとおり、人類の生存基盤に深刻な影響を与える重大問題だと認識しております。  そこで、我が国は高度な経済活動を営み、資源の多くを海外に依存するなど、地球環境に大きなかかわりを有しておりますので、我が国が持っている経済力や技術力、さらには、かつて深刻な環境破壊に対応した貴重な経験などを生かして地球環境保全のために世界に貢献していく責務があるものだと感じております。  私としましては、本年九月に地球環境保全に関する東京会議を開催するなど、今後とも地球環境保全のために全力を投じてまいる所存であり、このことは世界に貢献する日本の実践としてもふさわしいものであるというふうに確信いたしておるところでございます。
  51. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 まず最初に、先ほど長官所信表明を承りましたが、その中で二、三理解しがたい点がございますのでお尋ねをいたします。  長官所信表明が印刷されております印刷物の五ページのところのオゾン層保護対策といたしまして「人工衛星を活用した観測研究の充実強化」、こういうことがございます。そこで、私はどうもこの点がわからないのですが、「人工衛星を活用した観測研究の充実強化」、これがオゾン層保護対策になるというのはどういう意味でございましょうか。
  52. 安原正

    政府委員安原正君) 科学技術庁、宇宙開発事業団の方で、まだ打ち上げの年度は固まっておりませんが、何年か後にADEOSという衛星を打ち上げることが予定されておりまして、その人工衛星に搭載いたします観測センサーを環境庁の方で研究開発することにいたしておるわけでございます。そのADEOSによる観測ができますようになれば、南極とかあるいは北極、極地に近いところのオゾン層の分布状況が高度別にかなりの精度で把握できるということになるわけでございまして、そういうデータを活用いたしましてオゾン層に関連しますいろんな調査推進していきたいというぐあいに考えているわけでございます。
  53. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 その問題に関連しまして、フロンの削減ということが述べられておりますが、フロンガスを現在どのように規制しておいでになりますか、お尋ねいたします。
  54. 小島直樹

    説明員(小島直樹君) フロンにつきましてはモントリオール議定書という国際的な取り決めがございまして、このモントリオール議定書に従いまして五種類のフロンが特定フロンとして規制対象になっております。この特定フロンの生産量及び消費量につきまして、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律によりまして特定フロンの製造数量の規制、及び輸入につきましては外国為替及び外国貿易管理法によりまして輸入数量を規制するということにいたしております。この規制によりましてモントリオール議定書に定められました規制基準を遵守するということで、来月一日から規制を開始し、この規制の水準につきましては、議定書に定められたところであります一九八六年の水準、これに規制をするということになっておりまして、現在両者とも申請を受け付けまして審査を行っておるところでございます。今月中には許可及び輸入割り当ての処分を行うという予定にしております。
  55. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいま承ったんですが、フロンガスを規制するというのにいわゆる手続の問題だけで処理されておるようにお聞きしたわけですが、現実にフロンガスそのものを出さないような具体的な方法を指導なさっておる、その状況はどうですか、こういうことなんですがね。
  56. 小島直樹

    説明員(小島直樹君) ただいま申し上げましたように、モントリオール議定書で各国に義務づけられているところは、各国がそれぞれ生産量及び消費量を規制するということで一種の総量規制を行うことになっておるわけでございますが、我が国につきましては、先ほど申し上げた特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律でございますが、この法律によりましてフロンを実際に使っておるユーザーにつきましてもその使用の削減に努めていただくということにいたしておりまして、この一月には環境庁長官、通商産業大臣の連名によりまして、法律に基づきます排出抑制・使用合理化指針という行政指導の指針を出しております。これに基づきまして私ども業界を指導いたしまして、その指針をわかりやすく解説いたしましたマニュアルを作成いたしまして、これを関係業界に配付をしてよく勉強してもらう。  それから、ことしの三月には私どもの基礎産業局長及び関係の業種所管の局長名をもちまして関係の三十のフロンを使っておりますユーザー業界団体に対してフロンの使用削減を要請する。それから、実際にフロンの使用削減のためには回収再利用設備を取りつけたりする必要がございますので、これにつきまして税制、金融上の措置を講ずるといったようなことをいたしておるところでございます。
  57. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 今説明されました内容のものは強制力を持って強制されておるのでしょうか、それとも任意的な措置でしょうか。
  58. 小島直樹

    説明員(小島直樹君) 今申し上げたものにつきましては、これは強制力はございませんで、一種の行政指導として行われておるものでございます。
  59. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは強制力がなければ余り効果がないのではないかという気もいたしますが、きょうはこの件は追及いたしません。  次に、長官所信表明の七ページのところに「ふるさといきものふれあいの里」、こういう言葉がございます。「ふるさといきものふれあいの里」といいますのは、具体的内容はどのようなものでしょうか。
  60. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) この「ふるさといきものふれあいの里」は、各地方に生息をしておりますホタル、トンボ、小鳥その他小動物、こういうものを一つは自然に親しむために活用する、同時にそういうことを可能にするように大事に保存をする、こういう目的で一定の区画を区切りまして必要な施設を設けていこう、こういう事業でございます。
  61. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そうしますと、これは例えば動物園のようなものをつくるとか、あるいはえづけをする場所をつくるとか、こういうようなものでしょうか。
  62. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) 動物園というよりは、やはり自然のままの状態で観察をし親しむということでございまして、もう少し自然を生かした形の施設になろうかと思います。
  63. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは実はどうも抽象的ではっきりしないんですが、よく最近えづけをやっておるところがございますね。えづけをして動物を集めて、そこで子供たちが一緒に勉強するというのであるならば、一応具体的な姿として描くことができるんですが、ところがそうでないとすると一体何だろうか、こう思うわけですね。これはわかったようなわからぬようなもので、もう一応ここで済ませておくことにしまして次の問題をお尋ねいたします。  石炭の利用という問題につきまして、石炭利用をめぐる環境が最近大変大きく変わってきた、つまり、きれいな石炭の用い方ができるようになった、こういう話を聞くのですが、その実情はどのようなものでしょうか。これは通産でしたかね。——おいでになっていない。これは私のところへおいでくださいまして問題提起をしてくださったんですがね。おいでにならなければ次の方へ入ります。  化石燃料消費、これを規制したいということが最近よく言われております。化石燃料、石油とか石炭とかこういうものの消費量を抑止するわけですが、これを抑止すればそれにかわるべきエネルギー資源が必要となってくるのは当然であります。  そこで、これにつきまして、原子力発電を強化すればいい、こういうお話が出てくるわけですが、原子力発電も大変大切で、私はこれを否定するものじゃないんです。原子力発電を大いに伸ばすべきだと思いますが、抽象的に原子力発電を伸ばすというのではこれは困るわけでありまして、現在の原子力発電はやはり危険を伴うということでありますと、この危険を回避する方法をどのようにつくっていくかという問題が今一番大きな問題であろうと思います。  よく発電所へ参りまして危険はないというお話を承りますが、これは本当に学問的に危険がないと言い得るかという問題が根本的にはあると思います。現在は人間の注意力を担保にいたしまして、注意力によって危険を回避しておるという傾向が強いという話もこれはよくお聞きすることでございます。そうした人間の注意力によって危険を回避するというだけでは、やはり人間の注意力というものは時には緩むこともございますので安心がならないわけですが、その安心のならない分は複数の人間でカバーしているからいいんだという御説明もございました。しかし、それでもなおこれは完全だとは言い得ないわけでございまして、そうであるならば、原子力はどうしても必要だ、その原子力発電は必要だという大前提を受けまして、危険のない原子力発電をする、そういうものを開発していくということが必要ではないかと考えられるわけです。  そこで、現在の原子力発電は核分裂を基調としておりますが、これにつきまして学者の先生方にお聞きすると、核融合の技術を開発すれば原子力発電は安全になる、こういうお話をよく聞きます。核融合につきましてどの程度我が国において熱心に取り組んでおいでになるのか、そういう点についてお話を承りたいと思います。つまり核融合の技術開発についての現状でございます。お伺いいたします。
  64. 福原淑弘

    説明員(福原淑弘君) 御説明いたします。  核融合の研究開発といたしましては、極めて先端的な人類未踏の分野の研究であるということから、その研究に当たりましては国内研究機関の総力を結集するという必要性がございます。さらには、その研究開発の効率化、あるいはリスクの低減化という観点からは国際協力を積極的に推進することもこれまた必要だというふうに考えております。  したがいまして、まず国内の方の研究につきましては、原子力委員会のもとに核融合会議というものが設けられてございまして、そこでは日本原子力研究所、大学あるいは国立のいろいろな研究機関における核融合に関する研究開発を総合的に推進する、あるいは連絡調整する役割を担っておりまして、この核融合会議のもとで日本の核融合研究推進されておるところでございます。  また、国際協力につきましては大きく分けると二つございまして、一つが多国間協力、二つ目が二国間協力でございます。この多国間協力といたしましては、国際原子力機関、JAEAというのがございますけれども、その下で現在日本、アメリカ、EC、ソ連、この四極が集まりまして、次の実験炉であります国際熱核融合実験炉、我々はITERと呼んでおりますけれども、それの概念設計を共同でやっておるというところがございます。また、OECD国際エネルギー機関、IEAと申しますけれども、そこでは日本、アメリカ、ECによりまして、それぞれが持っておりますトカマク型の大型の実験装置を用います協力研究を進めるというような三大トカマク協力計画を実施しておるところでございます。  また、日米の間でもこの核融合につきましては非常に協力的な、積極的な研究協力をやっておりまして、日米につきましてはことし満十年を迎えたということで、そこでは非常に有効な研究結果が出ております。また、ことし二月には、アメリカのみならずECともやりたいということで、日・ECとの間での核融合協力の取り決めを締結して現在その日・EC間での核融合協力推進するということを進めておるところでございます。  以上のような研究体制を踏まえまして、現在どのようなレベルになっているかと申し上げますと、日本原子力研究所には臨界プラズマ実験装置、もう御案内のことかと思いますけれども、JT60と我々呼んでおりますけれども、その装置がつくられておりまして、この装置は六十二年九月に当初の目標でございました臨界プラズマ領域に達成してございまして、その後装置の改造等をやりましてさらに研究を進めているというところでございます。
  65. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 通産省でございますが、先生お尋ねの前半の部分について御説明申し上げます。  原子力発電の安全性については、もちろんその利用の大前提として第一に考えるべき、こういう気持ちで日ごろ私どもやっておるわけでございますが、お尋ねのございました原子力発電の安全性についての考え方、もしくはその実態についてでございますが、原子力発電安全確保の基本的な考え方と申しますのは、先ほど先生からも御指摘ございましたけれども、例えば人のミス、それから機械の故障、破損といったようなことが現実に起こり得るといったようなことを前提といたしまして、そのような異常が極力起こらないように防止しようということはもちろんでございますけれども、仮にそういうことが起こった場合におきましても、その拡大を防止して周辺に迷惑をかけない、そういう考え方で進んでおるということでごいます。  先ほどのお話の中に人のミス、人間の注意力といったようなことについても御指摘がございました。原子力発電所の安全性につきましては、基本的には設備、それからあわせてそれを運用する人、この両輪が相まって初めて安全が全きを得るということかと思います。ヒューマンエラー等の問題につきましても、特に誤操作を防止するための例えば設計面での対応もありましょうし、御指摘のように運転する方たちの訓練、それとか、あと作業のマニュアル等々の充実といったようなことで、基本的に日本の原子力発電の安全性につきましては外国等と比較いたしましてもそのパフォーマンスは良好であろうということではございますけれども、先生も御指摘のように、原子力の利用という局面では安全性が大事でございます。なお一層安全確保に万全を図っていきたい、かように考えているところでございます。  以上です。
  66. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいま原子力の問題についてお話を承りましたが、政府の見通しとしましては、今後の我が国エネルギーはどのようにしてつくっていくかという問題につきまして、原子力発電の占める位置はどのようにお考えになっておるかということと、それから最近石炭利用をめぐる問題としましていろいろ、例えば煙をそのまま大気中に出さないで、煙を回収してそれをきれいにして外へ出すという方法がとられてきておるという話を聞きました。石炭政策の新たな領域としましてコールフロンティアというのがございまして、クリーンコール、つまり石炭をめぐる環境問題への積極的な対応をする仕事を始めておるということを説明に来られました。  そこで、その石炭をめぐる問題、非常に石炭をクリーンにするそういうものがどの程度のものかということをもっと深く研究いたしませんと、少しはきれいになったんだが究極においてどうにもならぬということでは困るわけです。その辺のところの御研究政府でしておられると思いますが、その問題と絡めて、そういう問題がたとえあるにしても原子力を重点にいくんだというお考えなのか、あるいはそうでないのか、いろいろエネルギー政策の問題があると思います。そういう点をひとつ環境の立場からどうお考えになっておるか、お尋ねをするわけであります。
  67. 横江信義

    説明員(横江信義君) 今、先生の方から大きな御質問ございました。残念ながら石炭の専門家がきょう参っておりませんのでそこは御勘弁いただきますとして、地球環境問題、御指摘のように大変大きな問題になってございます。地球温暖化、森林の破壊、あるいはヨーロッパ、アメリカで激しくなっております酸性雨などの問題、まさにこれは被害が地球規模に及ぶということで、グローバルな問題ということで全世界が一丸となって取り組むべき重要な課題であるというふうに認識しております。特に地球温暖化の問題はエネルギー使用とも密接な関係がございます。そういう意味で、エネルギー政策の観点からも対処すべき非常に大きな問題というふうに認識しております。御承知のように、地球環境問題につきましては現在IPCCなどの国際的な場でもって論議が進められておりまして、我が国もこれに積極的に対応していくというのが基本方針であろうかと思います。  対応策につきましては、日本としましては、規制ということよります技術開発に主眼を肯きながら、省エネルギー推進ですとかあるいは新エネルギー開発と導入を図るということとともに、やはり先生おっしゃいましたように燃焼に伴いますCO2の発生がない原子力の着実な推進ということも一つ対策の柱と考えております。  冒頭の先生の御質問の中で原子力の位置づけについてのお尋ねがあったかと思いますが、現在一次エネルギーの中で原子力は約一割の比重を占めております。一九八七年の十月につくりました政府エネルギー見通しにおきましては、二〇〇〇年時点でこれを一六%弱に持っていくということが一応の目標となっております。発電のベースでいきますと、現在約三割ぐらいが原子力によって行われておりますが、これをやっぱり二〇〇〇年時点では四割のレベルに持っていくということが一応目標となっております。化石燃料の消費の低減を図るということがまさにCO2であれSO、であれNOxであれ個々の発生を抑えるわけでございますが、やはり一つは石油消費の低減を図ること、もう一つは原子力とか新エネルギーのようにCO2を排出しないエネルギー源の導入を推進するということ、あるいは先生がおっしゃいましたような石炭利用の効率化技術を推進していくということ、さらには、日本はGNP一単位つくるのに必要なエネルギーの量を石油ショック以来相当な勢いで減らしておりますが、これをさらに推進するというようなことが主要な柱になろうかというふうに考えております。  以上でございます。
  68. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは次の問題に入りますが、いろいろ我が国から外国に対して資金援助がなされるわけでございます。その場合に、その援助した資金によって地球環境破壊されるということがしばしば起こるということも承るわけです。例えば熱帯の森林を伐採してしまって従来の環境破壊するということが起こるということも聞くわけです。それで、我が国からの資金援助のために地球環境破壊されたということでは大変困るわけでございまして、資金援助をする場合にはやはり無条件で援助するわけではなかろうと思います。条件をつけて援助をすべきではないか。我が国の援助すべき金といいましても、国民の金でございますので、それが我が国の要求を外れた方向へ使われるような仕方の資金援助は大変迷惑だということになろうと思います。  そこで、そういう資金援助をする場合にいろいろ条件をつけることは一体内政干渉になるのかという問題それから、いろいろ条件をつけて資金援助をした後で条件違反に対して注意を促すのは一体内政干渉となるのかという問題、それから全然条件つけないで金を貸した、ところが人類の平和を侵害するようなことをしてかした、あるいは地球環境破壊するというようなことが起こったという場合に政府がその国に対して注意を喚起するのは一体内政干渉になるのか、こういうような問題についてどのように政府はお考えになっておるのか、承ります。
  69. 北村隆則

    説明員(北村隆則君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、我が国の援助、これが有効に活用されるということは重要でございまして、そのために先方政府に随時働きかける、こういうのが重要なことについても先生指摘のとおり政府としましても十分それを認識して進めているところでございます。同時に、経済協力途上国の自助努力を支援するという観点からやっていることもございまして、途上国の主権に十分な配慮をする、これもまた当然のことかと存じております。  世銀、IMF、こういう国際機関、中立的な立場からやるといいます国際機関、これらがその具体的な条件づけをしまして協力をやっているという例がございますけれども、政府としましてやる援助の場合には同様な方法は必ずしもとっておりません。ただし、御指摘のとおり、政府として援助を進める際はその援助が適切有効に使われるように、同時にまた、そのような政府の働きかけが一方的な押しつけ、あるいは内政干渉とよく言われるような、そういうことになることをできるだけ避けるような方法で進めてまいってきているところでございます。  具体的には、個々のプロジェクトあるいはその国全体の援助につきまして、途上国といわゆる政策対話を深めるということで援助を進めてきているところでございます。先生から御指摘ありましたような種々のケースについて、それぞれケースが分かれるかと思いますけれども、我々としましては、途上国との個々のプロジェクト及びその全体について途上国との先ほど申しましたように政策対話ということを通じまして、個々のプロジェクトがそれぞれどういうふうに役に立つのか、どういうふうに利用されるのか、そういうのを事前に十分途上国とも話を詰めて進める、進めた後にそういうことについて何らかの問題が発生した場合には直ちに申し入れあるいは適当な方法で働きかけということで進めてきている次第でございます。
  70. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 最後に、きょういろいろお尋ねしました点につきまして総括して長官の御感想を承りたいと思います。
  71. 山崎竜男

    国務大臣山崎竜男君) お答えを申し上げます。  地球温暖化問題は被害が生じてから対策に着手したのでは手おくれになるおそれがある、そういうことでございますから、その悪影響は世界各国に及ぶということで、環境庁といたしましては世界各国が協力して対策に取り組めるように積極的な役割を果たしてまいりたい、こういうふうに考えております。  温暖化対策については現在UNEPを中心に国際的に検討が進められておりまして、温暖化の原因の大きな部分は石炭、石油等の化石燃料の利用にあるので、この検討の結果を踏まえ、将来は省エネルギーを進めることや代替エネルギー利用を進めることを含め多くの対策を総合的に進めていく必要があるというふうに考えております。  環境庁といたしましては、既に環境保全の観点から省エネルギーを訴えるキャンペーン等を始めており、今後とも化石燃料の利用の抑制に資するように努めていく所存でございます。
  72. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 終わります。
  73. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、山崎長官を迎えまして大臣所信に対する質疑を行います。  大臣所信の第一は、地球環境保全を図るための取り組み強化推進に努め、「世界に貢献する日本」を実践するという大変重大課題を掲げておられます。したがって、この大きな課題推進していく上での長官の決意をお伺いしたいのであります。  私が考えますのに、公害を防止し環境保全を図るためには、科学的な知見と解明そして集約が中心になっていくと思うのでありますけれども、その際に広く学者、研究者の意見を求めていく。少なくとも一つの行政を進めるに当たって被害者、国民の大きな反対を押し切って強行する、こういうやり方をしてはならないと思うわけでございます。そういう点で、青い美しい地球を我々人類のために、地球上すべての生物のために保全をするという大使命を実現するためには、そういう構え、決意というのが非常に大事ではないかなと思いますが、まず長官の御決意をお伺いいたします。    〔委員長退席、理事松浦孝治君着席〕
  74. 山崎竜男

    国務大臣山崎竜男君) お答え申し上げます。  先生おっしゃるように、地球環境問題は人類の生存基盤に深刻な影響を与える重大な課題でございます。我が国はその国際的地位にふさわしい貢献を世界から求められており、地球環境保全に関する関係閣僚会議を設置して政府一丸となって各般の施策推進することにしておるところでございます。  環境庁といたしましても、事務次官を本部長とする地球環境保全企画推進本部において本年五月地球環境問題の取り組みに関する中間報告を取りまとめたほか、本年九月には地球環境保全に関する東京会議を開催する予定にいたしております。先生のおっしゃるように今後とも地球環境保全のためには全力を投じてまいる所存であり、このことは「世界に貢献する日本」の実践としてもふさわしい問題だと確信をいたしております。    〔理事松浦孝治君退席、委員長着席〕
  75. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 今もお触れになりましたが、ことしの九月に地球環境保全に関する東京会議を開かれるということでございます。  かつてから公害日本ということで世界に勇名をはせてきた我が国でございます。したがって、今こういった世界会議を開くというに当たって我が国が貢献する道というのは何なのか。私は、やはり公害日本といって勇名をはせた我が国にとって世界会議の成功に当たって一番大事なのは、まず第一に国内問題の解決ではないかと思うんですね。そして被害の実相を明らかにし、人体影響の及ぼす姿を明らかにし、それらの蓄積された知見というものを国際会議に結集をしていく。さらには環境の復元に対するもろもろの知見を結集していくという、このことが私は極めて大事な貢献の道であろうかと思うわけでございますが、その点はいかがでございますか。
  76. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) 九月に予定しております国際会議世界の各国から一流の地球環境問題についての専門家にお集まりいただこうと、そして科学的知見を集約し、具体的な二十一世紀に向けての対策を御検討、御議論をいただき御提言をいただいたらどうか、こういうふうに考えているわけでございます。  したがいまして、そういったお集まりになった科学者等専門家同士の御議論の中で御指摘日本での経験というものも生かされていくんであろうと期待をしているところであります。
  77. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 一般論で言っているとなかなかよくわからぬので、せっかくの国際会議東京で開かれるわけでございますので、その中身をちょっと聞きたいんですが、国際会議の日にちというのは九月九月と言っているばかりで私どもわからないんだけれども、九月何日、どこでやるんですかな。それからもう一つは、参加国はどこどこ、何カ国。ちょっとそれだけ聞かせてください。
  78. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) 現在のところ九月の十一日から十三日まで三日間を予定しております。東京でやりたいと。
  79. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 東京のどこ。
  80. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) しかるべき会場ということを考えておりますけれども、それから第三点の参加国とおっしゃいましたが、私ども毎々申し上げておりますように世界の一流の有識者にお集まりいただくということで、もちろんそれぞれ国籍をお持ちでいらっしゃいますけれども、どこの国に参加していただくということではなく、幅広くどなたが地球環境問題についての識見をお持ちの方々かということを考えながらお集まりいただこう、こう思っておるわけでございます。
  81. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 何やらしかるべき場所というのは、東京会議東京会議と盛んに言って、そんなことも発表できないのかな。  参加国がわからぬのですな。それで、我が国ではどういう立場のどういう方々が参加をするんですか。
  82. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) 実は、この会議日本政府と国連環境計画、UNEPとの共同主催ということになっております。九月の十一日から十三日まで、そして先ほど申しましたように世界地球環境問題に関する有識者にお集まりをいただく、それから科学的知見を集約し、対応策をお考えいただくと、こういう大枠は決めて、共同主催者であるUNEPとそれから先の具体的にどなたに集まっていただくか、どんな運営をするかという内容を協議しているところでございますが、共同主宰者であるUNEP側の機関決定の手続が今進行中でございまして、だれということを申し上げられる段階にはないんでございます。
  83. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、そのUNEPとの取り決めで決定をしたら報告ができますか。そのことですよ。もう九月の十一日と言ったら幾らも日にちないでしょう。科学的知見を持ち寄って東京会議を成功させようということになったら、専門家だったら準備が要りますよ。今ごろだれが出るやわからぬというのは、まあ何を考えているのかなと、ちょっと私不思議に存じております。例えばそれは正式メンバーはUNEPとの協議をしたら発表しますか。いつごろ発表しますか。
  84. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) まず、科学的知見の集約と申し上げましたが、日本が今からお願いをしてこの数カ月の間に御研究をいただいて、その成果を発表していただくということを考えているのではございませんで、そういうことでございますから、その辺は間に合う、間に合わないの問題と違うんではないかと思っておりますが。  それから日本でどういう方と御相談をしているか。これは実は大分早い時期に地球環境世界会議に係る有識者懇談会というのを私ども設けまして、日本有識者の方々と適宜御相談をさせていただく仕組みをとっております。ちょっとメンバーを御紹介いたしますが……
  85. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは名簿をもらったらいいわ。
  86. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) そうでございますか。それから、UNEPとの協議がきちっと調えばまた発表できると思っております。
  87. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃその有識者懇談会の名簿を後で下さい。  それで、どんな人が日本から参加するのかなと。例えば私が行きたいと思ったら行けるんですか。これが一つ。ということは、公害環境関心のある人たちは自由に参加できるのかどうかという問題が一つある。  それからもう一つは、公害日本で勇名をはせたその中の一番大なのは水俣病の患者さん、被害者、それから大気汚染の患者さん、そういう関係者が当然参加をして国際会議の論議に参加ができれば一番私は望ましいと思いますが、そういう人たちの参加についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  88. 渡辺修

    政府委員渡辺修君) 先生が御希望になったらどうかという点はちょっと御勘弁をいただきたいんですが、それぞれの地球環境問題についての世界一流の研究者、学識経験者にお集まりいただいて、そしてやっぱりじっくり御議論をいただこうということでございますから、数もおのずから限定されてくるわけでございます。  最後のお尋ねの水俣病その他の公害の被害者の参加の件でございますけれども、そういうことで専門家同士でじっくり話し合いをするという性格の会議と位置づけておりますので、被害者の代表の参加につきまして、先般団体の方からの御要請もあって慎重に検討はしておりますけれども、毎々申し上げますように会議の性格上なじみにくいのではないかというふうに考えております。
  89. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、これは要望しておきますわ。少なくとも水俣あるいは大気の被害者は公害の具体的な実験者なんですよね。だから世界じゅうの有識者の方々で、水俣病のひどいのはどないなるのかというのを知らぬかもわからぬ、早く言ったら。その点では私らの方が一流かもわかりませんで。大気汚染の随分ひどいのはどないことになるんやというようなこと、何ぼ世界の学者やて知らぬかもわからぬ。被害者の実相というものを明らかにするということが世界会議東京会議の成功に大きく貢献するであろうと思うんです。したがって、これは御検討をしてぜひ参加できるようにお取り計らいをいただきたい。長官、どうです。
  90. 山崎竜男

    国務大臣山崎竜男君) 御要望として承っておきます。
  91. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 聞いてたら当たり前みたいな話じゃないかね。  それで、私きょうは時間が大変少ないですからあと一、二間お聞きしたいのです。  水俣病に関連をいたしましてちょっとお聞きをします。いわゆるIPCSをめぐる環境庁の動きについてということでお浮ねをしたいのですが、これはもう時間がないから多くを説明する必要はありませんけれども、今日水俣病は我が国公害の原点と言われているし、公害日本世界に知らしめた深刻きわまりない被害ですね。しかも公式に認定をされて三十三年に及ぶ。今なお認定申請者が救済を求めて一万人以上が申請者で続いている。しかも続いているだけではなしに、これが五年、十年がかりで処分を待っているという大変なことになっています。そして処分というのがどんどん切り捨てられる。しかも一方ではまだ声も上げずにじっと肩をすくめて日々を暮らしているという被害者、こういう底辺は恐るべき広がりを見せているわけでございます。そういう中で被害者は行政に対する不信を非常に強く持っている。だからこそ次から次へと裁判に訴えるということになってきているわけです。私は、二千人を超す被害者が裁判の原告になって頑張って闘っているというのは、いかに環境行政に対する、行政に対する不信が深く広く広がっているかということのあらわれだと思うんですね。  そういう中で今地球的規模で環境保全の仕手を進めているというのですから、これは水俣病の再発防止、すべての水俣病の被害者の完全救済、環境の復元、これはもう当然のことでありますが、加害者はもちろん、裁判でも指摘をされましたように国、県の責任においてこれを実現していくということこそが、これが地球環境保全を進めていく第一歩であろうと思うわけでございます。  ところが、四月八日、熊本日日新聞の報道によりますと、IPCSによる有機水銀の国際基準強化の素案がつくられて日本環境庁が反論書づくりを進めているという報道がなされました。その後各紙も大々的に報道がありましたが、大変ゆゆしい問題だと思いますので、この問題についてただしていきたいと思います。  まず、一九八八年の五月にIPCSがWHOの環境保健クライテリアの検討のための素案を作成されたそうですね。そして九八八年の五月、昨年の五月、厚生省国際課に送付をされたということを伺っておりますが、環境庁に届いておりますか。
  92. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 私ども受け取っております。
  93. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは日本国内では公開なさいましたか。
  94. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 先生指摘のIPCSの関連のことでございますけれども、これにつきましては…
  95. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、公開したかどうかだけ言ってください、時間ないから。
  96. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) それでは、これは公開すべきものではないということでWHO、IPCS等から私ども連絡を受けており、その当時の時点でも私どもその方向に従って公開してないものでございます。  その理由は、このIPCSにおける検討と申しますのは、IPCSが指名いたしました関係国の専門家のレベルで科学的な知見をやるいわばたたき台的なものでございまして、IPCSはいつもこの結論のものについては当然公表いたしておるようでございますけれども、途中経過のものについては非公明、こういうことでずっときているものでございます。したがいまして私どもも当然それは非公開と。これは限られた検討に参加する人にはもちろん届いておるのでございます。
  97. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、天下の専門家、学者、研究者に大いに検討していただいたらよいのに公開をしない。環境庁は公開すべきものではないと言って公開してないんだけれども、取りまとめをやっておられるペキン博士ですか、WHOの情報はすべて公の情報であるからオープンな文書だということを言っているんですね。何でそのつくったもとがオープンな文書やと言っているのに環境庁は、いや、オープンにしませんと言うんですか。おかしいやないですか。
  98. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 私ども事務当局に確認させましたところ、当初の説明どおり非公開であるということでございました。したがって一般的にもこの種の国際機関の文書は非公開ということでございます。
  99. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、そういう姿勢というのが非常に問題だと私は思います。こんなもの、つくったもとが公開資料だと言っているのに日本環境庁だけ、いや、非公開でございますと言って、これナンセンスですわ。そんな感覚で地球環境保全を進めます言ったって何するんやろなと思いますよ。これはぜひできるだけ早く公開すべき、多くの学者、専門家の検討にたえる資料として大いに検討してもらって知見を結集するべき。  それから次に、六十三年十一月にメチル水銀の環境保健クライテリアに係る調査研究のために環境庁は予算を五百四十二万四千円要求いたしましたか。
  100. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 私ども環境庁といたしましては、このメチル水銀の環境保健クライテリアに関しまして、この検討ということが行われていることについては非常に強い関心を従来から持っておったわけでございます。本年の一月に昭和六十三年度の環境保全総合調査研究促進調整費で、この専門家の協力を得つつメチル水銀に関する既存の知見の収集整理を行うということでこの研究を行ったところでございます。
  101. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大体答弁が先へ行ってしまっておる。予算を要求いたしましたかと言って私聞いておる。それはどうですか。
  102. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 当然予算をとりまして、それに続いて今私が申し上げました方向検討をお願いしたところでございます。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、その話はわかったんだけれども、予算を要求しましたかと言ったのは、大蔵省に対する予算要求の環境庁の文書がゆゆしいことを書いてあるので私は特に聞いた。その文書によりますと、こんなふうに書いているんですな。   現在提示されているWHOのクライテリア草案を検討するとともに過去・現在のメチル水銀に関する知見を検討し、わが国の環境保健基準改訂の必要性の有無について提言をまとめることを目的とするものである。と言って予算要求している。その後何と書いてあるかといいますと、IPCSでは一九八九年中に新しいクライテリア文書を完成させたい意向である。   新クライテリア草案の最大の特徴はこれまでの基準が毛髪水銀値五〇ppmを基礎に組み立てられていたのに対して、曖昧な幾つかの報告に依拠して一〇ないし二〇ppm程度の毛髪水銀値を有する妊婦の子供に精神運動発達遅滞が生じる可能性があるとして、より厳しい環境保健基準を思考していることであり、これはIPCSの新しい基準ですね。その他にも不充分な科学的根拠に基づいて、酸性雨による湖沼の酸性化やダム建設による貯水によって魚中のメチル水銀が高まること、わが国の水俣病訴訟の争点のひとつである遅発性水俣病の存在を認める内容になっていることなど、極めて問題の多い内容になっている。このままではわが国のメチル水銀の環境保健基準や水俣湾ヘドロ除去基準の見直し、更には子供の精神運動遅滞をタテにとった新たな補償問題の発生、現行訴訟への影響など行政への甚大な影響が懸念される。   従って、わが国の専門家を結集してWHOのクライテリアの草案を妥当な方向に導いてゆく体制を整えるは焦眉の課題である。こんなふうに書いてある。これはどういうことですか。これは一口に言ったら、IPCSはえらい今の五〇ppmを一〇か二〇のppmにする、そうなったら裁判にも影響するし、あるいは水俣湾のヘドロの回収も話は別になってくるし、遅発性の被害者の問題も出てくるし、これは大問題だと。だからIPCSの方向を何とか変えようと。これは全く恐るべき考えなんですが、そのために五百四十二万四千円の研究費要求した。これはもってのほかだと思うんですがね。本気ですか、こんなこと。
  104. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 先生が手に入れられた文書どのようなものか、今概要を伺ったわけでございますけれども、私どもが申し上げたいのは、環境行政というものは、私ども環境汚染を防止して国民の健康を守るという重要な使命を持っておりますので、私どもその観点から申し上げましても、この環境の基準あるいは環境の汚染があってもいいなどというふうに考えておるのではないのでございまして、私どもは、環境が非常に保全をする、化学物質が少ない方がいいという当然な考え方を基本的に持っているということをまず御理解いただきたいわけでございます。  次に、先出御指摘のこの文書の件でございますけれども、私どもやはりこの環境の基準の問題、特にメチル水銀の基準の問題について、これは先生が御推測というか、御指摘といったものと全くそういうこととは事実に反することで、私どもはやはり重大なことだなというふうに考えておるのでございまして、それに関してやはり水俣病、メチル水銀に関するこの知見というのは日本語の文献が極めて多いのでございます。したがいまして、いろんな角度からの知見をIPCS側は求めているわけでございます。それに対しまして日本から出席しております学者の先生方も対応をしているわけでございますけれども、なかなか個人でやるということについては困難がある。しかしながら、私どもできるだけお手伝いをするという立場で、求められれば資料をまとめる、先ほど申し上げましたように日本語の知見をまとめて、できるだけ要約した形で海外に、特にIPCSの会議に御紹介する。そういう目的を持っていたしたものでございまして、先生今御指摘の反論をするとか、あるいは水銀値を下げるためとか、そのようなことで私どもの研究を行ったのではないのでございます。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはそないでも言わなんだら、ちゃんと書いてあるんだから、これ大蔵省へ要求した文書ですよ。何を言っているんですか。地球環境保全のために国際的に貢献すると言っている我が国環境庁が何ですか、これは。こんなむちゃなことを平然とやっているから、患者をいつまででも切り捨ててほっておくんだ。  時間がありませんから、あなたはちゃんと調査研究委員会をつくって知見をまとめますなんて言っているけれども、政府が、環境庁が委嘱している専門委員というのは、秋田大の滝澤行雄氏、あるいは筑波大の藤木素士氏、これ全部裁判の国側の証人になって患者に物笑いになるようなことをやっているような人ですよ。そういう人をメンバーに入れてやっているということになったら、国民が、本当に公平な立場で、本当に環境保全を進めていくために、公害をなくすために真剣に環境庁がやっているとだれが思いますか。明らかにブレーキをかけている。そのためにあらゆる手だてを税金を使ってやらせているというふうにしか思えない。こんなことはやめなくちゃなりません。公害はなくなったと言って大気汚染についても指定地域全部やめました。やめた途端に大気汚染は十年前に逆戻りしたと言って、あなたのところ発表しているやないですか。そういうむちゃなことをやっていて環境行政がまともに進むと思いますか。こういうことは絶対やめてもらいたい。  最後に私お聞きをしておきたいと思いますのは、多くを申し上げなくても、今水俣病の方々の置かれている立場というのは、もうさっきも申し上げたし皆さん熟知していらっしゃると思うんですね。さっきも言ったように、原告団が二千名以上に及ぶというふうなことになっておる。いかに行政不信がそういう形になってあらわれているかということはもう明らかですね。この裁判がことし六月二十三日には東京で最終弁論を迎えるそうです。秋には結審に進むという運びになっておりますが、何といったって政府が認定してから三十三年ですよ、三十三年の間、一遍しかない一生を本当に健康も今も台なしにされ、あるいは働く能力を奪われたままで今苦しんでおる人たちの裁判も続いているわけです。こんな状況の中で、私、大臣に考えてほしい。少なくとも、いよいよ国際会議まで日本で開くという段階へ来ているんだから、全面解決のために患者団体や弁護団との交渉のテーブルに着いて解決のための本腰を据えるべき時期だと思うわけですけれども、長官の御決意と具体的なお答えをいただきたいと思います。
  106. 山崎竜男

    国務大臣山崎竜男君) お答え申し上げます。  訴訟に訴えている人たちが何らかの健康障害を持っていることについては、先生と御同様に私も医者でございますから、大変お気の毒なことと考えております。また、その原因をめぐって争いがあることはまことに残念なことである、そう思っております。私どもとしましては、裁判において当方の主張が理解されるように努めるとともに、医学を基礎として公害による健康被害の公正な救済を図るため今後とも努力をしてまいる所存でございます。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間ですので、あと最後だけお願いします。  長官が医者の立場を言われたので私申し上げたいと思うんですけれども、時間がきょうは非常に乏しいので具体的に言えませんが、認定申請をして棄却された人の中で、水俣地域に何年以上住んでいて、しかも四肢末端の神経症状のあるという人たちには特別医療事業などということで医療対策でもやっているわけですよ。医者の立場で見たら、四肢末端がしびれているという状況であればメチル水銀の被害者だということは明らかじゃないですか。そういうことが今放置されているという点を、ひとつ長官十分御理解を賜りまして、ぜひ長官の時代にこの大問題を交渉のテーブルに着けていただけるように心から御期待を申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  108. 林健太郎

    委員長林健太郎君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。     —————————————
  109. 林健太郎

    委員長林健太郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、原文兵衛君が委員辞任され、その補欠として大浜方栄君が選任されました。     —————————————
  110. 林健太郎

    委員長林健太郎君) 次に、地球環境保全に関する件を議題といたします。  田渕君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田渕君。
  111. 田渕勲二

    田渕勲二君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派共同提案による地球環境保全に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地球環境保全に関する決議(案)   地球の誕生から約四十六億年、今日、地球環境は危機的状況にある。   フロンガスによるオゾン層破壊、温室効果を有する二酸化炭素等の増大による地球温暖化が懸念される事態となり、酸性雨による森林・湖沼の被害、熱帯林の急激な減少、砂漠化の進行、野生生物種の減少といった生態系破壊地球的規模で進行している。   これらの背景には、先進国における資源とエネルギーの多消費があり、他方、開発途上国においては、貧困と人口の爆発的増加による環境破壊の悪循環がある。   こうした地球環境の問題は、正に現代文明への問いかけである。環境に適合する生活様式とは何か、環境上健全な開発とは何か、人類の英知と勇気が試されているといえよう。   ストックホルムの国連人間環境会議から十七年を経て、今や地球環境は、先進国首脳会議の主要議題として、また、国連機関その他の国際会議で頻繁に議論されるまでになった。しかし、フロンガスの規制など具体的な行動はようやく緒に就いたばかりである。   我々は、国民とともに、人類の生存と持続可能な発展が地球環境との共存をおいてほかにないことを深く認識するものである。そして、日本の経済発展の過程において深刻な公害問題に直面した過去の経験に思いを致し、その貴重な経験と高度な公害防止技術、省エネルギー技術等を際協力において活用すべきであると考える。   我が国は、今こそ、かけがえのない地球を守るために世界の先頭に立つべきである。   政府においても、日本地球環境問題に貢献すべき立場にあることにかんがみ、次の事項について、最大限の努力を傾注すべきである。  一 地球環境問題に対する国の基本的姿勢を明確にするため、地球環境関連予算等の地球環境保全に関する施策を総合的に推進するとともに、地球環境状況及び地球環境保全に 関する政府施策を毎年国会へ報告すること。  二、地球環境に関する観測・研究体制を拡充するとともに、地球環境保全のための技術の開発・移転を推進すること。また、環境統計の整備を図るとともに、環境教育の充実と環境情報の提供に努めること。  三、国連環境計画等国際機関との連携を強化するとともに、第二回国連人間環境会議の成功に向け日本も積極的に貢献するなど、環境立国としての指導的役割を発揮すること。  四、政府開発援助については、環境分野の拡充、環境アセスメントの実施等環境への配慮を徹底するとともに、開発途上国への公害防止技術、省エネルギー技術等の供与、観測監 視体制の整備熱帯雨林保全など環境協力の充実を図り、環境破壊公害の防止に万全を期すること。  五、国内環境行政についても、環境アセスメントの着実な推進を図ることなど、世界に誇りうる予見的環境行政を展開すること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  112. 林健太郎

    委員長林健太郎君) ただいまの田渕提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  113. 林健太郎

    委員長林健太郎君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、山崎環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。山崎環境庁長官
  114. 山崎竜男

    国務大臣山崎竜男君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を体して今後十分に努力する所存でございます。     —————————————
  115. 林健太郎

    委員長林健太郎君) 次に、大気汚染防止法の一部を改正する法律案及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山崎環境庁長官
  116. 山崎竜男

    国務大臣山崎竜男君) ただいま議題となりました大気汚染防止法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  大気汚染防止法は、昭和四十三年に制定され、以来、工場及び事業場の事業活動に伴う大気汚染の防止等に大きな役割を果たしてきたところであります。  しかしながら、近年、石綿、いわゆるアスベストによる大気の汚染、ひいては人の健康への影響に関する国民関心が高まっており、その未然防止のための措置を講ずることが喫緊の課題となっております。  石綿は、有用な物質として多くの製品に使われていますが、発がん性などの健康影響を有する物質であります。  このため、中央公害対策審議会において、石綿製品等製造工場から発生する石綿による大気汚染の防止のための基本的なあり方について答申が取りまとめられたところであります。  今回の改正はこの答申を踏まえ、石綿等による大気汚染を防止するため、石綿その他の人の健康に被害を生ずるおそれがある物質について規制基準を定めるなど、所要の改正を行うものであります。  次に、法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。  第一は、定義の改正であります。  現行法においては、物の粉砕、選別その他の機械的処理または堆積に伴い発生し、または飛散する物質を「粉じん」としておりますが、改正案においては、粉じんのうち石綿その他の人の健康に係る被害を生ずるおそれのある物質を「特定粉じん」とし、それ以外の粉じんを「一般粉じん」とすることとしております。  また、これに伴い、一般粉じんを発生する施設を「一般粉じん発生施設」、特定粉じんを発生する施設を「特定粉じん発生施設」とすることとしております。  第二は、新たに規制対象として位置づけられた特定粉じんの規制措置に関する改正であります。  まず、特定粉じんに係る規制基準は、特定粉じんの発生または飛散の態様を踏まえ、特定粉じん発生施設を設置する工場または事業場の敷地の境界線における濃度について定めることとしております。  次に、特定粉じん発生施設を設置しようとする者に対し、あらかじめ都道府県知事への届け出を義務づけるとともに、都道府県知事は、当該届け出に係る施設について、特定粉じんの濃度が規制基準に適合しないと認めるときは、計画の変更または廃止を命ずることができることとしており、また、特定粉じんの濃度が規制基準に適合しないと認めるときは、特定粉じんを排出し、または飛散させる者に対して改善または施設の使用の一時停止を命ずることができることとしております。さらに、特定粉じんを排出し、または飛散させる者に対して測定義務を課すこととしております。  以上のほか、特定粉じんに関する規制の導入に伴い、罰則規定その他の規定及び関係法律について所要の整備を行うこととしております。  この法律案の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内で政令で定める日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、水質汚濁防止法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  地下水は、我が国の水使用量の約六分の一、都市用水の約三分の一を占めており、水道を通じて約三千万人分に相当する飲料水となっているなど、身近にある貴重な資源として広く活用されているほか、災害時等緊急時の水源としても重要であります。  しかしながら、近年、トリクロロエチレン等の有機塩素化合物による全国的に広範な地下水の汚染が明らかとなっております用地下水は、一たん汚染されるとその回復が困難なため、その汚染の未然防止を図ることが何よりも重要であります。また、有害物質の流出事故時における環境汚染の拡大の防止を図ることも重要な課題となっております。  この法律案は、こうした状況にかんがみ、有害物質による地下水の汚染の未然防止及び有害物質の流出事故による環境汚染の拡大の防止を図るため、有害物質を含む汚水等の地下への浸透を禁止する等の措置を定めるとともに、地下水の水質監視測定体制整備、事故時の措置等に関して必要な措置を講ずるための規定を整備するものであります。  次に、この法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。  第一に、目的規定の改正についてであります。本法律案の改正に伴い、本法の目的として地下に浸透する水の浸透を規制すること等によって地下水の水質汚濁の防止を図ることを加えることといたしております。  第二に、有害物質を含む水の地下への浸透を禁止することであります。有害物質を製造し、使用し、または処理する特定施設を設置する特定事業場から汚水等を排出する者は、有害物質を含む水を地下へ浸透させてはならないことといたしております。  第三に、有害物質を含む水の地下への浸透を禁止することを担保するための措置についてであります。  その一は、届け出義務についてであります。有害物質を使用する特定施設を設置する特定事業場から地下に水を浸透させる者は、有害物質を使用する特定施設を設置しようとするときは、特定施設の構造、地下浸透の方法等を届け出なければならないものといたしております。  その二は、計画変更命令等についてであります。都道府県知事は、届け出があった場合、有害物質を含む水が地下に浸透すると認めるときは、特定施設の構造、汚水等の処理の方法等に関する計画の変更または廃止を命ずることができることといたしております。  その三は、改善命令等についてであります。都道府県知事は、有害物質を使用する特定事業場から水を排出する者が有害物質を含む水を地下へ浸透させるおそれがあると認めるときは、特定施設の構造、汚水等の処理の方法等の改善、地下浸透の一時停止を命ずることができることといたしております。  その四は、立入検査等についてであります。都道府県知事は、有害物質を使用する特定事業場から水を排出する者に対し、特定施設状況、汚水等の処理の方法その他必要な事項に関し報告を求め、またはその職員に特定事業場に立入検査をさせることができることといたしております。  第四に、地下水の水質監視測定体制整備についてであります。都道府県知事は、地下水の水質汚濁状況を常時監視することとし、このため、都道府県知事は、地下水の水質の測定に関する測定計画を作成し、各関係機関の行う測定結果を取りまとめるとともに、地下水の水質状況を公表しなければならないことといたしております。  第五に、事故時の措置についてであります。特定事業場の設置者は、特定事業場内における事故により有害物質を含む水が公共用水域に排出され、または地下に浸透した場合は、直ちに応急の措置を講ずるとともに、事故の状況等を都道府県知事に届け出なければならないこととし、また、都道府県知事は、汚染の拡大の防止のため必要な措置を命ずることができることといたしております。  以上のほか、有害物質を含む水の地下への浸透を禁止すること等に伴い、罰則規定その他の規定及び関係法律について所要の整備を行うこととしております。  この法律案の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内で政令で定める日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概略であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  117. 林健太郎

    委員長林健太郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十二分散会      —————・—————