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下稲葉耕吉君 次に、
行政監察の関連についてお伺いいたしたいと思います。
ODAにつきまして
総務庁がいろいろ
行政監察をなさった。役所同士のことでございますし、私も役所の出でございますのでよくわかるわけでございますが、大変難しい条件がいろいろあっただろうと思いますし、そういうようなことにつきまして
外務省あるいは
関係機関の方々が積極的に御
協力なさいましてこういうふうな結果がまとまり、それに基づいて
勧告が出されてきたということで、まずその労に敬意を表する次第でございます。
そこで、読めば読むほど実はいろんなことがわかってくるわけでございます。
一般的に
ODAにつきましては、
国民の全体的なムードとしては、
日本が戦後の貧困から今日まで経済大国として発展してきた。それには
外国からのいろいろな
援助もあったわけでございますし、今や
外国に
援助して差し上げることができるような国に
日本が発展してきた。そういうようなことから、それぞれの
援助を必要とする国々が、その
自助努力を我々が助長して差し上げることによって、将来においては、例えば
我が国のように
援助を必要としない、むしろ
援助をして差し上げる国へ発展する、そういうふうなところに
経済協力の基本的な考え方があるのじゃなかろうか、このように思うんです。そういうふうなことで、
日本の
国民の方々も、今日まではどちらかというと
ODAについては非常におおらかな気持ちで賛成を示してこられたというのが
国民感情じゃなかろうかと思うんです。
ところが最近になりまして、一部のマスコミに見られますように、
ODAの中身の問題、せっかく
国民の血税でいろいろな
援助をして差し上げたつもりなんだけれ
ども、実際はそれが必ずしも適
時適切に行われていない。あるいはこういうふうなロスもあるんじゃないか、むだもあるんじゃないかというふうなことが報道されている。そういうふうなことから
国民の
ODAに対する
理解というものがだんだん薄れてきて、場合によっては批判的な方向になってくるというふうなこともなしとしないと思うのでございます。
そういうようなことからいいますと、今回の
行政監察の結果というふうなものは、地道に着実に効果のある
ODAを
推進するためには非常に示唆に富んだ
内容であるわけでございますし、いろいろ
勧告に対する
回答というものも拝見させていただいたんですが、率直に言いまして、
外務省なりなんなりの立場で
回答されているようなことも受け取れるわけなんですね。
ですから問題は、私はきょうは二つ取り上げてみたいと思うんですが、要するに二国間の
援助についての政策
協議といいますか、まず何を
援助して差し上げようというふうな議論から出発するわけですね。その実態というのを見てみますとなかなか少ない。六十年には六カ国、六十一年には七カ国と、そういうふうな状態でございますね。そしてまた、
日本が最大の
援助国になっている十カ国のうちでも、そのうち四カ国はここ数年間年次
協議が全然行われていないというふうな指摘がある。あるいはまた、
基本設計調査といいますか、
事前調査と本格
調査、その辺について見ましても、私は当然、
相手国のいろいろな事情があるにしても、
援助案件については、
一般無償の
案件についてはほとんど一〇〇%に近い本格的な
調査というものがなされているものだというふうに期待していたんですが、三七・三%は
実施されていないというふうなこと。あるいはまた、
援助案件の効果の
確保、アフターケア、
フォローアップ、そういうふうな面についても定期的な
把握がなされていないとか、あるいは
調査の
実施件数、
実施内容が不十分であるとか、アフターケアが不十分であるとか、いろいろ指摘がされているわけなんですね。
そういうふうなことを考えてみますと、今申し上げましたように、
国民が
ODAに対していささか懸念を持ち出している背景は、まさしく今申し上げましたようなところに原因があるんじゃないだろうかというふうな感じがするんです。その辺のところについて、
行政監察をなさった立場からいろいろ書いてあるんですけれ
ども、基本的に何が不足しているのか。みんな一生懸命やっていると思うんですけれ
ども、何が欠けているのか、その辺のところがまず問題じゃなかろうかというふうなことが一つ。
そしてその次に、これは
外務省なり
総務庁の御答弁をいただければいいと思うんですが、そういうふうなことと関連いたしまして、圧倒的に、もう話にならないほど
実施体制が弱いということが言えるのじゃなかろうかと思うんです。例えば
JICA一つとってみましても、
JICAの当初発足の人員よりも、途中行政改革でずっと減りまして、現在の方がまだ少ない。毎年幾らかずつふえてきているけれ
ども。ところが、発足当初の
予算に比べてみますともう十倍以上なんですね。しかも、対外的に
外国の
先進国の
実施機関なんかと比べてみましても、問題にならないような
体制だ。そういうようなことで、毎年六名ふえましたとか、今度は十何名ふえましたとか、そういうふうな
体制で、私は本当に
国民の期待にこたえられるかどうか、大変疑問だと思うんです。
その辺のところを何とか抜本的に解決しない限り
ODAについての今申し上げましたような問題は続き、それから
国民の不満というのはだんだん醸成されてくるのじゃないだろうかというふうな感じがするんですけれ
ども、時間も参りましたので、この二間についてひとつ率直な御
意見を承りたい、このように思います。