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木宮和彦君
科学技術特別委員会委員派遣について、その概要を御
報告申し上げます。
派遣地は、愛媛県、香川県及び兵庫県でありまして、派遣期間は、一月十八日から二十日までの三日間であります。
派遣委員は、
高桑委員長、後藤理事、伏見理事、
穐山委員、小西
委員及び私の六名であります。派遣先は、四国
電力伊方
発電所、西条太陽光試験
発電所、
原子力工学試験センター多度津工学試験所、本州四国連絡橋及び三菱重工神戸造船所であります。
以下、
調査の概要を御
報告申し上げます。
四国
電力伊方
発電所では、同社の概況説明を聴取した後、中央制御室、非常用炉心冷却装置の高圧注入
ポンプ、二号機の使用済み燃料ピット及び三号機の
建設現場を視察いたしました。
伊方
発電所は、四国の西北端、佐田岬半島の瀬戸内海に面したつけ根の部分に位置しており、一号機が
昭和五十二年九月、二号機が五十七年三月に営業
運転を開始し、また現在、三号機が
建設中であります。
同
発電所の一、二号機は、ともに加圧水型軽水炉で、
出力は一機当たり五十六万六千キロワットであり、
建設中の三号機は八十九万キロワットであります。同
発電所の
特徴としては、プラント用淡水は、海水淡水化装置によって供給していること、温排水の環境への影響を極力少なくするため、深層取水・水中放流方式を採用していることなどを挙げることができます。
同社における
発電電力量の電源構成は、
昭和六十二年度で、
原子力四二%、火力四三%、水力一五%となっており、全国平均よりも
原子力発電が一〇%強多くなっております。
同社では、固体
廃棄物はアスファルト固化方式等を採用しており、これをドラム缶に詰めて貯蔵庫に保管しており、六十二年度で貯蔵量は約八千九百本となっております。年間平均の
廃棄物の発生量は、不燃性
廃棄物約六百五十本、可燃性
廃棄物約千百本でありますが、現在は、貯蔵中の可燃性
廃棄物を焼却するなどして容積を減らしておりますので、固体
廃棄物の全体の増加量は年間約百五十本程度となっております。
同
発電所の職員数は三百五十人で、平均年齢は三十二歳、うち約七割が技術系の社員であります。同社では、一人一人の
知識や技術また意識の向上を図るため、福井県の
原子力訓練センター、松山の
原子力保安研修所を初め、各種のセミナーに
運転員や保修員を派遣しており、安全
運転には特に力を入れているとのことであります。
次に、西条太陽光試験
発電所においては、同所の概況説明を聴取した後、
発電施設等を視察いたしました。同
発電所は、株式会社四国総合研究所が四国
電力及び
電力中央研究所と共同で、
昭和五十五年十一月以来、通産省サンシャイン計画の推進母体である新
エネルギー総合開発機構から太陽光
発電システムの研究開発を受託し、西条市に試験
発電所を
建設し、試験
発電を行っているものであります。
同
発電所では、
昭和五十五年に基本設計を開始し、その後、毎年、
発電システムを拡大してまいりました。同
発電所で初めて
発電が行なわれたのは五十七年二月で、六十一年二月には太陽電池パネル二万七千枚で千キロワットの
発電能力を達成し、以後、実証試験を行っております。
太陽光
発電の仕組みは、シリコン半導体でできた太陽電池を組み込んだパネルの集合体を太陽に向けて設置し、発生した直流電気を交流に変換し一般に供給しようとするもので、システム自体は単純で保守が容易であります。しかし、設備が場所をとること、雨天、曇天時には
発電電力量が減少するなど安定供給に難があり、現在、蓄電池等を併用し改善
努力が図られておりますが、まだ克服すべき課題が残されているといった現状であります。
次に、
原子力試験工学センター多度津工学試験所では、同所の概況説明を聴取した後、制御室、大型振動台等を視察いたしました。
同センターは、
原子力発電用機器などの
安全性、信頼性の実証試験を行い、
原子力発電技術の向上と定着を図ることを目的として
昭和五十一年三月に設立されたものであります。
多度津工学試験所では、最大積載重量千トンの振動台を用いて
原子力発電施設等の耐震信頼性実証試験を行っております。実証試験においては、当該
原子力発電所の
建設予定地で予想される地震動のうち最大の地震波を用いて、縮尺四分の一から等倍の模型を試験体として実験を行っております。
これまでにPWR
原子炉格納容器、BWR再
循環系配管、PWR炉内構造物、BWR炉内構造物等について試験を実施し、耐震強度の健全性を確認しており、その成果は国際的にも注目されているとのことであります。
次に、本州四国連絡橋児島-坂出ルートにおいては、同ルートを通過中に車中で概要を聴取し、また、船に乗りかえ周辺を視察いたしました。この児島-坂出ルートは、九年半の歳月と約一兆一千三百億円の工費を費やして昨年四月に完成したものであります。また、この連絡橋は、道路・鉄道併用橋で、道路は、瀬戸中央自動車道と呼ばれ、岡山県早島町で国道二号及び山陽自動車道と連絡しており、香川県坂出市で国道十一号と連絡しております。一方鉄道は、本四備讃線で、岡山県のJR西
日本宇野線及び香川県の予讃本線を結んでおります。
このルートの海峡部分は、瀬戸大橋の愛称で親しまれておりますが、つり橋、斜張橋、トラス橋のさまざまな長大橋梁群は、
我が国の橋梁
建設技術の粋を結集して
建設されたものであります。このルートの完成により、本州-四国間の交通は著しく改善され、このことは地域の人々の
生活圏の拡大、
生活利便性の向上はもとより、産業の振興、文化の交流など瀬戸内地域の活性化に大いに貢献するものと思われます。
最後に、三菱重工業神戸造船所では、同社の概況を聴取した後、しんかい六五〇〇等を視察いたしました。
同造船所は、明治三十八年の創業以来、船舶の建造を
中心に常に最新の技術を駆使し、すぐれた製品を送り出してまいりました。近年は、船舶のほか主要望品として、
原子力発電プラント、ボイラー、鉄構製品、公害防止機器などを手がけており、また、長年培ってきた優秀な技術で深海潜水
調査船、
原子力プラント用メカトロ機器等の新製品の研究開発を行っております。
また、視察いたしました潜水
調査船しんかい六五〇〇は、海洋科学技術センターが発注しているもので、全長約九・五メートル、幅二・七メートル、高さ三・二メートルの大きさで、重量約二十五トン、乗員三名で、最大潜航深度は六千五百メートルとなっております。これにより
我が国二百海里
経済水域の九六%がカバーされます。同
調査船での
調査は、まず第一に、深海底における地層、地形を精査し、地震や津波の予知技術に資することであります。第二は、世界的に注目を浴びているマンガン団塊や熱水鉱床などの深海底鉱物
資源の探査であります。その他、深海の海洋生物や水温、塩分濃度、海流等の
調査研究によって、深海海洋環境や生態系の解明にも寄与することができます。
しんかい六五〇〇は、現在、海上試験を行っているところで、本年十一月に海洋科学技術センターに引き渡されることになっております。
以上、
調査の概要を申し述べましたが、今回の
調査に当たりまして御
協力を賜りました
関係諸機関及び
関係者の
方々に衷心より感謝の意を表しまして、
報告を終ります。(拍手)