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1989-02-17 第114回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年二月十七日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大野  明君    理事 越智 伊平君 理事 近藤 元次君    理事 田名部匡省君 理事 山下 徳夫君    理事 綿貫 民輔君 理事 村山 富市君    理事 宮地 正介君 理事 吉田 之久君       相沢 英之君    粟屋 敏信君       池田 行彦君    石破  茂君       稲村 利幸君    上村千一郎君       大坪健一郎君    奥田 敬和君       海部 俊樹君    梶山 静六君       北村 直人君    熊谷  弘君       倉成  正君    小坂徳三郎君       後藤田正晴君    左藤  恵君       佐藤 文生君    志賀  節君       砂田 重民君    高鳥  修君       月原 茂皓君    中島  衛君       野田  毅君    浜田 幸一君       林  義郎君    細田 吉藏君       村田敬次郎君    谷津 義男君       渡辺 秀央君    井上 普方君       上原 康助君    川崎 寛治君       菅  直人君    佐藤 敬治君       辻  一彦君    野坂 浩賢君       大久保直彦君   坂口  力君       日笠 勝之君    冬柴 鉄三君       水谷  弘君    永末 英一君       楢崎弥之助君    米沢  隆君       安藤  巖君    岡崎万寿秀君       柴田 睦夫君    中路 雅弘君       藤原ひろ子君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         法 務 大 臣 高辻 正己君         外 務 大 臣 宇野 宗佑君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         文 部 大 臣 西岡 武夫君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  羽田  孜君         通商産業大臣  三塚  博君         運 輸 大 臣 佐藤 信二君         郵 政 大 臣 片岡 清一君         労 働 大 臣 丹羽 兵助君         建 設 大 臣 小此木彦三郎君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     坂野 重信君         国 務 大 臣          (内閣官房長官)小渕 恵三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 金丸 三郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      坂元 親男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 田澤 吉郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      愛野興一郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      宮崎 茂一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 青木 正久君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 内海 英男君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       的場 順三君         内閣官房内閣外         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房外政審議室         長       藤田 公郎君         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第一         部長      大出 峻郎君         宮内庁次長   宮尾  盤君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  紀 嘉一郎君         総務庁長官官房         審議官     新野  博君         総務庁人事局次         長       服藤  收君         兼内閣審議官         北方対策本部審         議官      鈴木  榮君         防衛庁参事官  小野寺龍二君         防衛庁参事官  福渡  靖君         防衛庁参事官  村田 直昭君         防衛庁参事官  鈴木 輝雄君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁防衛局長 日吉  章君         防衛庁教育訓練         局長      長谷川 宏君         防衛庁人事局長 児玉 良雄君         防衛庁経理局長 藤井 一夫君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁総務         部長      弘法 堂忠君         防衛施設庁労務         部長      吉住 愼吾君         経済企画庁国民         生活局長    末木凰太郎君         経済企画庁物価         局長      勝村 坦郎君         経済企画庁総合         計画局長    海野 恒男君         経済企画庁調査         局長      冨金原俊二君         科学技術庁研究         開発局長    吉村 晴光君         科学技術庁原子         力局長     平野 拓也君         環境庁企画調整         局長      安原  正君         国土庁長官官房         長       公文  宏君         国土庁長官官房         会計課長    嵩  聰久君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         国土庁地方振興         局長      森  繁一君         法務省刑事局長 根來 泰周君         法務省入国管理         局長      股野 景親君         外務大臣官房外         務報道官    渡辺 泰造君         外務大臣官房審         議官      遠藤 哲也君         外務大臣官房領         事移住部長   黒河内久美君         外務省北米局長 有馬 龍夫君         外務省欧亜局長 都甲 岳洋君         外務省経済局長 佐藤 嘉恭君         外務省経済協力         局長      松浦晃一郎君         外務省条約局長 福田  博君         外務省国際連合         局長      遠藤  實君         外務省情報調査         局長      山下新太郎君         大蔵省主計局長 小粥 正巳君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵証券局長 角谷 正彦君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         国税庁次長   伊藤 博行君         文部大臣官房長 加戸 守行君         文部大臣官房総         務審議官    菱村 幸彦君         文部省生涯学習         局長      齋藤 諦淳君         文部省初等中等         教育局長    古村 澄一君         文部省高等教育         局長      國分 正明君         文部省学術国際         局長      川村 恒明君         文部省体育局長 坂元 弘直君         文化庁次長   横瀬 庄次君         厚生大臣官房総         務審議官    末次 彬君         厚生大臣官房老         人保健福祉部長 多田  宏君         厚生省保険局長 坂本 龍彦君         厚生省年金局長 水田  努君         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産大臣官         房予算課長   東  久雄君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    吉國  隆君         農林水産省食品         流通局長    渡辺  武君         林野庁長官   松田  堯君         通商産業省通商         政策局長    鈴木 直道君         通商産業省貿易         局長      熊野 英昭君         通商産業省産業         政策局長    児玉 幸治君         通商産業省基礎         産業局長    畠山  襄君         通商産業省機械         情報産業局次長 水野  哲君         工業技術院総務         部長      山本 貞一君         資源エネルギー         庁長官     鎌田 吉郎君         中小企業庁長官 松尾 邦彦君         中小企業庁次長 三上 義忠君         運輸大臣官房長 棚橋  泰君         運輸省運輸政策         局長      塩田 澄夫君         運輸省地域交通         局長      阿部 雅昭君         運輸省海上技術         安全局長    石井 和也君         運輸省航空局長 林  淳司君         海上保安庁長官 山田 隆英君         郵政大臣官房長 松野 春樹君         郵政省郵務局長 田代  功君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省電気通信         局長      塩谷  稔君         労働大臣官房長 若林 之矩君         労働省労政局長 岡部 晃三君         労働省労働基準         局長      野崎 和昭君         労働省婦人局長 佐藤ギン子君         労働省職業安定         局長      清水 傳雄君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    木内 啓介君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治省行政局公         務員部長    芦尾 長司君         自治省行政局選         挙部長     浅野三郎君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 湯浅 利夫君         消防庁長官   矢野浩一郎君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      右田健次郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     谷津 義男君   梶山 静六君     中島  衛君   後藤田正晴君     北村 直人君   田中 龍夫君     月原 茂皓君   大久保直彦君     冬柴 鉄三君   米沢  隆君     永末 英一君   佐藤 祐弘君     藤原ひろ子君   矢島 恒夫君     安藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     石破  茂君   月原 茂皓君     田中 龍夫君   中島  衛君     粟屋 敏信君   谷津 義男君     稲村 利幸君   永末 英一君     米沢  隆君   安藤  巖君     柴田 睦夫君   藤原ひろ子君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   粟屋 敏信君     梶山 静六君   石破  茂君     後藤田正晴君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計予算  平成年度特別会計予算  平成年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算平成年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大久保直彦君。
  3. 大久保直彦

    大久保委員 質問に臨みまして、昭和天皇の崩御に心から哀悼の意を表したいと存じます。  午前中はリクルート問題、定数是正問題並びに外交、防衛に絞っていろいろお尋ねを申し上げたいと思いますが、その前に、昨日、日本鋼管鶴見製作所浅野ドックにおきまして、インド船籍貨物船事故がございました。ジャダ・ドゥート号炎工事故を起こし、その犠牲になられた方々に対しては心からお見舞いを申し上げますとともに、その後の経緯について、もし承ることがあれば御報告をいただきたいと存じます。
  4. 若林之矩

    若林政府委員 昨日の事故につきましては、ただいま鋭意調査中でございまして、まとまりましたところでまた御報告したいと存じます。
  5. 大久保直彦

    大久保委員 既に新聞報道でも被害を受けられた方々については詳細に報道がなされておるようでございますが、もう少し詳しく御報告をいただきたいと思います。
  6. 佐藤信二

    佐藤国務大臣 大久保先生にお答えいたします。  昨日の事故発生、十名の死亡者、十二名の負傷者を出した惨事、心からお悔やみいたしますが、この造船所等事業所における労働者安全確保は、基本的には労働安全衛生法等法令に基づき、労働省において必要な行政処置をとるところでございますが、運輸省といたしましては、造船所を所管する立場から、常日ごろより各地方運輸局または業界団体を通じて安全管理体制充実強化等を指導しているところでございます。  そして、万一不幸にも造船所において災害が発生した場合には、事故再発防止に万全を期すため、当該事務所に対し十分なヒアリング、調査、指導を行ってまいり、必要に応じて業界団体を通じて、業界全体としての対策を講ずるよう実は指導してまいっておりますが、これからもそれを強化してまいりたい、かように考えております。
  7. 大久保直彦

    大久保委員 総理、このたびの……
  8. 坂野重信

    坂野国務大臣 自治大臣として御報告申し上げます。  昨日の午後三時三十分ごろでございますが、ドックに係留中のインド船籍貨物船で火災が起きたことは御案内のとおりでございますが、警察、それから消防庁、それから現地の会社の自衛隊、そういうものを総動員いたしまして、一刻も早く消火しようということで頑張ったわけでございますが、約十二時間にわたりまして、ようやく鎮火状態に至った状態でございます。  なお、原因等の詳細につきましては、県警本部消防庁等共同調査をいたしまして、今後の対策に遺憾がないように頑張ってまいりたいと思う次第でございます。
  9. 大久保直彦

    大久保委員 今、総理、中間の御報告をちょうだいいたしましたけれども、ただ、この種の事件につきましては、その原因究明、さらには再発防止に対して、そしてまた、被害を受けられました方々に対する補償問題については万全を期していただきたい、このように思いますが、総理としての御所見を伺っておきたいと思います。
  10. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 ただいま運輸大臣とそれから国家公安委員長からお答えがございましたが、合同で原因調査等がなされておるようでございます。それらの原因究明に徹底を期すとともに、私も、法令上どのような措置が適切であるかにわかに申し上げるだけの準備はいたしておりませんが、御趣旨に沿って万全を期すべきものである、このように考えます。
  11. 大久保直彦

    大久保委員 それでは、リクルート問題に入りたいと存じますが、この問題に入ります前に、今、総理、マスコミを通じて日本全国で「一杯のかけそば」という童話が非常に全国的に大変な評判を起こしておるということでございますが、お聞きになったことがございますか。
  12. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 聞いたこともありますし、新聞で読ましていただいたこともございます。
  13. 大久保直彦

    大久保委員 この本でございますが、私も最近この話を伺いまして非常に感銘を深くいたしまして、ちょっと御紹介を申し上げたいと存じます。  今から十五年ほど前の、北海道札幌の町にある北海亭というおそば屋さんで起きた物語でございます。   大晦日かき入れ時が終わり、最後の客が出たところで、そろそろ暖簾を下げようとした時。十歳と六歳ぐらいの男の子を連れ婦人が、おずおずと「かけそば……一人前なのですが……よろしいでしょうか」と入って来た。後ろでは二人の子供が心配顔で見上げている。  「どうぞどうぞ」と暖房に近い二番テーブルに案内しながら明るく「かけ一丁!」と声をかける女将さん。かけというのは、大阪では素うどんとか素そばとかいうことでございますが、  それを受けた主人はチラリと三人連れに目をやりながら「あいよ!かけ一丁」とこたえて、玉そば一個と、さらに半分をさりげなく加えてゆでる。  額を寄せ合って食べている三人の声がカウンター越しに中に聞こえてくる。  「おいしいね」と兄。「お母さんもお食べよ」と一本のそばをつまんで母親の口に持っていく弟。百五十円の代金を支払い、「ごちそうさまでした」と出ていく母子三人に、「ありがとうございました。どうかよいお年を!」と声を合わせる主人女将。  翌年の大晦日も、夜十時を過ぎたころ、最後の客が出るのを待っていたかのように、三人は現れて、やはりかけそば一人前を注文した。  「ねえお前さん、サービスで三人前出してあげようよ」と耳打ちする女将さんに、「だめだ。そんなことしたら、かえって気をつかうべ」と言いながら、玉そば一つ半をゆでる夫を見てほほえむ妻  「おいしいね」「今年も北海亭のおそばを食べられてよかったね」「来年も食べられるといいね」食べ終えて百五十円を支払って出ていく三人。「ありがとうございました。どうか良いお年を」と夫婦が見送る。  その翌年の大晦日の夜、二人は口にこそ出さないが、九時半をすぎたころからそわそわと落ち着かない。  十時を回って、そろそろ看板にしようかという時、主人は壁のメニューの札を次々に裏返した。夏に値上げをして「かけそば二百円」と書かれた札が「百五十円」に早変わりをした。二番テーブルの上には「予約席」の札が女将の手で置かれている。  しばらくして、母と子の三人連れが入ってきた。注文は「かけそば二人前」になった。主人は、玉そば三個を黙ってゆでる。  母親の顔が例年になく輝いてこう話している。「交通事故で死んだお父さんが事故でけがをさせた人達への支払が今日で終わったのよ」喜ぶ二人の兄弟。  母親が夜遅くまで働き、兄は朝夕の新聞配達、弟は夕飯の買い物と支度をして三人肩を寄せ合いながら生きて来たのだった。  中学生の兄が、働く母の代わりに弟の学校の参観日に行ったことを話し出した。  「淳が作文を読んだんだよ。「一杯のかけそば」という題で、三人で一人前しか頼まないのに、おじさんとおばさんは、「ありがとう、良いお年を」と言ってくれた。  僕も大きくなったらこんなおそば屋さんになりたい。淳は大きな声で読み上げたんだ。 先生が、僕にあいさつをと言うので、「あのとき……一杯のかけそばを頼んでくれた母の勇気を忘れません」ってそう言ったんだ。」  カウンターの中で聞き耳を立てていたはずの主人女将の姿が見えない。カウンターの奥にしゃがみ込んだ二人は、一本の手ぬぐいの端をたがいに引っ張り合うようにしながら、こらえきれずにあふれ出る涙を拭っていた。  また一年がすきて――。北海亭では夜九時すぎから「予約席」の札を二番テーブルの上に置いて待っていたが、あの母子三人は現れなかった。  次の年も、さらに次の年も三人は来なかった。その後、北海亭商売繁盛の中で店内改装したが、あの古い二番テーブルだけはそのまま残した。  不思議がる客に二人は、「一杯のかけそば」のことを話し、このテーブルを見ては、自分たちの励みにしている。  いつの日か、あの三人の客が来てくださる時は、このテーブルで迎えたいと説明をした。  それから十年余たったある年の大晦日の夜。まさに店を閉めようとした時。二人の立派な青年と和服の婦人が現れた。  「かけそば三人前ですが、よろしいでしょうか」それを聞いた女将さんの顔色が変わった。十数年の歳月を瞬時に押しのけ、あの日の若い母親と幼い二人の姿が目の前の三人と重なる。  兄は今では医師、弟も銀行員になっていた。母の実家のある滋賀県に引っ越して行ったのだという。  「一杯のかけそばに励まされて、三人で生き抜くことができました。ありがとうございました」と礼を述べる兄。  兄が札幌総合病院に転勤になり、父のお墓への報告を兼ねて三人で、「これまでの人生最高のぜいたくをしようね」と言って北海亭を訪ねて来たのだった。  オロオロしながら聞いていた女将さんが、「……ようこそ、さあどうぞ、二番テーブルかけ三丁!」いつもの仏頂面を涙でぬらした主人が、「あいよ、かけ三丁!」  おえつでくぐもってはいたが、そば屋夫婦にとっても〝人生最高掛け声〟が店中に響いた。という物語でございます。  ここには、貧しいけれども一生懸命生きておる庶民の姿がうたわれております。また、人間の善意によって支えられながら励まし合って生きている、必死になって生きている人々の姿が描かれております。  私が今なぜこんな物語をここへ持ち出したかということは、もう申し上げるまでもない。こうした人間の心の豊かさ、優しさが今多くの国民に求められておるのは、この政治にまつわる今のリクルート問題に激しい怒りを持っておる反面のあらわれではないか、私はこのようにさえ思うのでございます。  私どもは、このように必死に生きておられる一人一人の皆さんに信頼される政治を実現しなければならない。今こそこの人たちから我々政治家の地に落ちた信頼を取り戻さなければならない。そういう重大なときを今迎えておるのではないかと存ずるのでございます。そういう意味で、いろいろ今までこのリクルート問題については本院におきましても議論がございましたけれども、私はこの問題を基本的なところから一つ一つお尋ねをさせていただきたい、このように思うものでございます。  総理、前内閣におきまして副総理であられました大蔵大臣がこの問題で辞任をされました。第二次竹下内閣におきましても、既に法務大臣が辞任をされ、また、これまた副総理格企画庁長官辞任をされました。私は、総理がおっしゃるように‘総理の不徳のいたすところというようなことでは済まされないのがこの問題ではないか。まず、この主要閣僚辞任につきまして、任命権者であります総理の所信をお伺いいたしたいと存じます。
  14. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 御指摘のとおり、任命権者はまさに私自身でございます。したがって、任命権者たる私が御信頼申し上げてお願いをしたわけでございますから、辞任に至ったということは、これはいかにその言葉が適切であるか否かは別として、任命権者たる私の不徳であり、私の責任である、このように思っております。したがって、心を新たにして、そうした問題が起こらないように、今後まずは身を律していかなければならない、このように考えております。
  15. 大久保直彦

    大久保委員 この一連の問題を振り返り、またまとめて総括いたしまして、総理は、今日本の政治は腐敗をしておる、こういう御認識をお持ちでしょうか。
  16. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私は、権力は腐敗する、こういう言葉をかみしめて、政治家としてその道を長い間一歩一歩歩んでまいりました。そうした権力腐敗の可能性というものをいつも見詰めながらも、今日大変な政治不信を呼んでおるということ自体、率直に言って、これをどうして信頼を回復するかということは大変な問題であるという認識の上に立っております。  したがって、おまえは上から下まですべて倫理綱領に照らし一点の曇りがないかと言われた場合、一点の曇りもございませんというお答えをするだけの私には自信はありません。したがって、権力側にある者が腐敗しがちな環境にあるということを、もう一遍今こそ見直してみなければならぬ。ただ、政界が腐敗しておるというふうに断定するだけの私にはまた自信がございません。
  17. 大久保直彦

    大久保委員 総理は、一国の総理であると同時に自民党の総裁でもおられます。こう今総理お尋ねをいたしております私ども公明党の中にも、残念ながらこのリクルート問題にかかわった人間が一人出ました。しかし、彼はいささかの弁解もせずに、自分が直接やったことではないにせよ、次期総選挙には出馬をしないと公認辞退を申し出まして、私どもといたしましても、涙をのんで彼の申し出を受け、そして彼にかわる新しい候補者を既に公認を済ませたところでございます。  断腸の思いでございますが、政治家にはそれだけのけじめをつける必要が、時と場合によっては避けられないことである。総理は、自民党総裁として、今とかくいろいろ世上問題になっております自民党の中の一つ一つの問題について、何かお調べをなさったのでありましょうか。もしされたとするならば、差し支えない範囲で御報告をいただければ、このように思います。
  18. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 貴党のとられた措置に対して、私はとかくの論評をしようとは思いません。精いっぱいお考えの上とられた適切な措置であろうというふうに私は思っております。  我が党内の問題につきまして個々にわたって私自身が調査をしておるということは、今日ございません。
  19. 大久保直彦

    大久保委員 総理大臣として閣僚を任命される際には、そのような調査をなさいましたのでしょうか。
  20. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私自身、そういうかかわり合いかないであろうという確信の方が調査以前にあったという気持ちは、私自身に今でもございます。
  21. 大久保直彦

    大久保委員 自民党総裁としては党内でそういう調査をいたしたことはない、また閣僚の任命につきましても、むしろそれ以前に信頼感が優先をしたという今御答弁でございますが、それでは、いわゆる政治最高権力者、または内閣総理大臣として、いわゆる閣僚の任命権を持つ、最高責任を持つ者としての責任は免れることはできないのではないかというふうに私は思います。重ねて御答弁をいただきたいと存じます。
  22. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私に、内閣総理大臣の立場において具体的な個別問題についてその権限の中において調査をするということは、私には必ずしもその権限はないであろうというふうに思います。もとより可能な限りの情報収集等の調査というものは、人事権を行使する場合、従来からも存在しておることは事実でございます。
  23. 大久保直彦

    大久保委員 何か、思う心を一生懸命違う言葉で表現をしようということが感じられてなりませんが、問題は、これだけの国民的、社会的大きな問題に発展したリクルート問題に、今竹下内閣が無縁ではなかったということにつきまして、このことに総理が重大責任を感ずるというならば、私は二通りのお考えがあってよいのではないか。それは、この問題をしょって総理が潔くすべての責任を一身に受けて措置されることだと存じます。もう一つは、このリクルート疑惑、まだ全貌の解明には至っておりません。このリクルート疑惑解明の先頭に総理が立つ気があるのかどうなのか。  まず、リクルート疑惑解明に竹下総理としてはどういうスタンスをおとりになるのか、疑惑解明の先頭に立って国民の不信を晴らしたい、こういうことでありますのか、その辺についての総理の御所見を伺っておきたいと存じます。
  24. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 この問題につきましては、私は従来から私なりに分析いたしまして四つの問題点がある、このように申しておりました。その四つの問題は、いつも申しますようですが、証券取引法上の問題、税法上の問題、それから刑法上の問題、そうしてその土台となる政治倫理の問題であります。ただ、一番目の証取法上の問題、その扱いの問題は別といたしまして、今やこれも被疑事実の一つとなっておるから、あるいは三とダブる問題になるかもしらぬなということを感じます。  したがって、まず、いわゆる刑法上の被疑事件の問題につきましては、私は指揮権ということをよく昔勉強いたしましたときに、やれと言うのもやるなと言うのも指揮権だというようようなことも教わってまいりました。指揮権が私にあるわけではございませんが、しかし、法務大臣の任免権は存在しておるわけでございます。あるいは閣議で決まった事項についての指揮監督権限、こういうようなものもあり得るわけでございますが、刑法上の被疑事件、容疑の問題については、これは信頼すべき検察当局にそれをゆだねて、その厳正、適切な対応がなされることを確信しておるという立場が私は正しいではなかろうかと思っております。  そうして四番目と申しますが、その土台となります政治倫理に伴う問題につきましては、私も政治家として、そして行政府の責任者として、政治改革を緒につけることが今の私に課せられた責任である、このように考えておるところでございます。
  25. 大久保直彦

    大久保委員 政治改革を緒につけることが云々という御答弁でございましたけれども、私は、政治改革を云々口にされる以前の問題として、まずこのリクルート問題の徹底解明、これが本院においても行われねばならないことではないのか、そのように思いますし、そのことについて総理は、その解明の先頭に立たれますかということを今お尋ねを申し上げているところであります。
  26. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 本院において解明のための特別委員会ができておる、この事実が、国会に議席を持つ者として当然その事実そのものにこたえるべきであると思いますが、一方行政府の長としての立場で申し上げますならば、国政調査権に最大限の協力をする、これは我々がまず基本的に持っていなければならない考えである、このように考えております。
  27. 大久保直彦

    大久保委員 行政府の長として国政調査権に最大限の協力をする、こういう御答弁をいただきましたけれども、そのことを含めまして、今までの閣僚の辞任問題、さらには今巷間問題になっております株の譲渡並びに政治献金の実態について、さまざま、リクルート問題、これからもまた角度を変えて質疑を続けてまいりますが、そのような問題に総括的に総理としては、こういう形での今責任感を持っておる、こういう形で責任をとりたい、そういうことを明確に述べていただきたいと存じます。今までの御答弁ではいま一つその辺がはっきりいたさないと思います。私どもはいたずらに総理の退陣のみをここで口にする立場ではございません。今まずはこのリクルート疑惑解明に竹下内閣としてはどういう姿勢をとられるのか、改めて総理の責任とあわせて御答弁を賜りたいと存じます。
  28. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 政治不信が今日大変なものであるということは、思いを等しくいたしております。私は政治家の一人であると同時に内閣総理大臣でございます。したがって、どんな責任も逃れて通るというようなことは考えません。したがって、今おっしゃった刑事上の問題、政治道義、倫理の問題、これに対して自分なりに言葉を選べば、一つは検察を信任していくということ、一つは行政府の立場としては国政調査権に協力をするという言葉になるでございましょうが、その心情的なものは、私は書記長のお考えと相違があるとは思っておりません。  そこで一方、やはりそれの再発防止でありますとか、それを含めた政治改革というものは、一刀両断のものではないとしても、この緒につけていくということがやはり逃れることのできない私は行政府の長としての一つの責任のとり方である、このように考えておるところであります。
  29. 大久保直彦

    大久保委員 ただいまの総理の御答弁を現時点では真摯に承っておきたいと存じます。ただ、今の御答弁とは裏腹に、これからのこの本院におけるリクルート問題解明のために、もしも竹下内閣がその道をふさぐような、またはその問題の解明にふたをするような挙に出られました場合には、私どもといたしましても、竹下内閣の退陣を申し上げることを今ここにお伝えをしておきたいと存じます。ただいまの総理の決意を決して無にすることのないように最善の努力をしていただきたい、そのようにお願いをいたします。  ここで法務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、今の私の質疑にもう一度総理の決意を承りたいと存じます。法務大臣の前に。
  30. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 先ほど申すことを繰り返すようでございますが、今刑事上の被疑事件の問題は、これは検察の適切な、厳正な捜査に対して信頼をいたしております。また、国会における国政調査権に基づく調査については、行政府としては最大限の協力を行ってまいります。整理すればそのような表現になるかと思います。
  31. 大久保直彦

    大久保委員 それでは、法務大臣にお尋ねをいたしますが、高辻大臣の前任者は、本院の調査については最大限の協力をいたしたい、このように御発言をなさっておられました。その前大臣の御決意と同じ気持ちでおられると思いますけれども、もしそうであるならば、どういうふうにそれをなさろうとされておられますのか、そのお考えの一端を述べていただきたいと存じます。
  32. 高辻正己

    ○高辻国務大臣 お答え申し上げます。  捜査資料あるいは捜査結果等についての国会への報告の問題につきましては、今お話がありましたように、前大臣の林田さんと皆さんとの間でいろいろ御論議があったことと承知をいたしております。私も、法令によって無論許される範囲内においてではございますけれども、できる限りの協力をいたすべきものと考えております。  なお、どんな協力ができるかというお話でございましたが、現在のリクルート関係の刑事責任の問題は、今現在捜査中の事柄に関するものでありますので、現段階でどのような形で国会に対して御協力を申し上げることができるか、確定的なことを私の方から申し上げることはできませんが、国会からの御要請があれば十分に検討さしていただきたいと思います。
  33. 大久保直彦

    大久保委員 主体的といいますか、自動的に今こういう形、ああいう形で協力云々のことは言えないけれども、国会から要請があればそれにこたえるにやぶさかではない、こういう御趣旨かと存じますが、例えば今の捜査状況の中間報告と申しますか、今、現状はこうなっておるというようなことは御報告はいただけるのですか。
  34. 高辻正己

    ○高辻国務大臣 現在、ロッキード事件なんかではそういう事例がございましたけれども、今の状況と当時のロッキード事件であったような際の状況とは、やはり事情が少し違っておりまして、どういう点が違っているかといえば、リクルート問題については、現に検察当局で捜査中の事柄、捜査が継続しておる状況でございます。現時点で今後どのような報告ができるかということになりますと、確信を持ってこれだけのことをすることができるということを申し上げることはいたしかねる、これは正直にそう思っております。
  35. 大久保直彦

    大久保委員 話が抽象に打ち過ぎておりますので、具体的にどうこうということにはならぬかと存じますが、例えば中間報告をいただきたいといった場合には、現時点で可能な限りの中間報告はできる、こういうことでございましょうか。
  36. 高辻正己

    ○高辻国務大臣 中間報告の内容でございますが、現在捜査は進行中でございますので、その捜査の進展との関連においてどの程度の報告を申し上げることができるか、私には自信を持ってお答えすることができません。今の状況をよくお考えいただきまして、さらに具体的な御質問があればお答えしたいと思います。
  37. 大久保直彦

    大久保委員 極めて唐突なことをお尋ねいたしますが、政治家について捜査をされておられますか。
  38. 根來泰周

    根來政府委員 先ほど大臣が申し上げましたように、まだ捜査は緒についたばかりでございます。したがいまして、今申し上げられることは、被疑事実の要旨とか現在の捜査状況とかでございまして、現在何びとを調べているかということについてはちょっと申し上げかねるところでございますので、ひとつ御容赦願いたいと思います。
  39. 大久保直彦

    大久保委員 去る二月十三日東京地検特捜部は、リクルート社から二名、またNTTから二名、贈賄、収賄で四名の逮捕をされました。これはリクルートの回線リセール事業、またはスーパーコンピューターの導入問題などにつきまして、特別の便宜の供与があり、その謝礼としていわゆる未公開株式の譲渡があった、こういうことが前提でこの四名の逮捕が行われた、こういうふうに理解をいたしますのが極めて常識的なことかと存じますが、これまで明らかになったことによりますと、この回線リセール事業及びスーパーコンピューターのリクルート社への転売につきましては、NTT内部にもいろいろな意見があった、しかし、その意見を抑えて真藤前会長のいわゆる独断で決定を見た、こういうことが伝えられております。リクルート社への一連の便宜供与につきましては、昭和六十年の九月、江副前会長と真藤氏とのトップ会談で決定が行われた。さらに六十一年の九月、元秘書村田名義で一万株のリクルート株の贈与が行われ、その売却益がNTTの裏口座と真藤前会長の個人口座にそれぞれ千二百万円と九百万円が振り込まれていることが明らかになった。そして、その裏口座から政界その他への各種の工作資金としてその金が出ておるということでありまして、したがいまして、真藤前会長のいわゆる収賄容疑も極めて濃厚である、私はそのように判断をいたすところでございますが、今申し上げたことについて御所見があれば法務大臣から伺いたいと存じます。
  40. 根來泰周

    根來政府委員 NTTをめぐるいろいろな問題について種々報道されていることは私どももよく承知しておりますし、検察当局もよくわかっておると思います。そういうことを前提といたしまして、現在そういうことは取り調べ中でございますから、これから、私の推測するところでは、証拠によっていろいろ確定していくことだと思います。  ただ、将来どういうふうに発展していくかということについては、私どもとしては、検察庁を所管する立場といたしまして先走ったことを申し上げる立場でございませんし、事件の捜査ということは一つずつ証拠を積み上げていき、また適正な捜査によってやっていくことでございますので、お尋ねの方について被疑事実があるかどうかということについて申し上げる立場でないということを御了承願いたいと思います。
  41. 大久保直彦

    大久保委員 NTTがリクルート社に転売いたしました二台のスーパーコンピューターは、六十年の一月と六十二年の五月の日米首脳会談、当時の中曽根総理がこの購入を約束されて実現したものである、これは外務省の公式文書にもその記録がとどまっておると存じます。六十年一月の日米首脳会談で中曽根総理は、日米経済摩擦に関連をいたしまして、通信機器問題を初め、他の問題も私自身がチェックをするという御発言が記録に残っております。このように、スーパーコンピューター転売問題につきましては、中曽根前総理時代、中曽根内閣時代、総理並びに主要閣僚、江副前会長、真藤前会長の間でどういう話し合いが行われたのか、これがこれからのリクルート問題解明のためには避けて通れない一つのポイントではなかろうかと私は考えております。  今、概括的に流れを申し述べましたが、この問題、今私が指摘いたしました問題について、竹下総理総理・総裁として、このようなことについて報告を受けられたり、また御自身が関心を持たれ、そのことについての事情を調査云々というようなことがあったのかなかったのか、その点だけまず伺いたいと存じます。
  42. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 六十年、私は大蔵大臣でありました。したがって、市場開放問題、一番最初はアクションプログラムから始まります一連の会議に参加しておることは事実でございます。個別具体の問題につきましては、私自身の記憶にはございません。
  43. 大久保直彦

    大久保委員 総理は、そういう記憶はない、日米首脳会談、経済摩擦云々の論議がありました際も、一切スーパーコンピューター導入の問題が日米の首脳会談で取りざたされたことはない、こういうふうに否定をされるわけでございますが、間違いありませんか。
  44. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 日米首脳会談でそのような具体問題が出たというふうには私はお話を承った事実はございません。
  45. 大久保直彦

    大久保委員 当時の竹下大蔵大臣にそのことが報告はなかった、そういうお話は承ったことはないという今御答弁でございましたが、それは日米首脳会談でそういう話がなかったという断定にはなりませんですね。当時の大蔵大臣報告はなかった、これはそうなのかもしれません。しかし、日米首脳会談でこの通信機器問題、スーパーコンピューターの問題がいわゆる中曽根・レーガン会談の中で取りざたされたということは、それは当時の大蔵大臣としても否定はできないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  46. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 首脳会談の種類、いろいろございますが、例えばサミット等、私も同席の上で行われる首脳会談もございます。当時、いわゆる日米間の市場開放問題の中に、私も勉強さしていただいておりましたから、MOSS協議等が行われるときいろいろなお話を聞いた、あるいは私が聞いたのか勉強したのか記憶は必ずしも正確ではございませんが、そうした問題を聞いたり勉強したりしたことはございますが、個別問題について、今御指摘の問題について、私自身そういうことをお聞きする立場あるいは機会を得ておりませんでした。  首脳会談というものは、私も幾たびか総理大臣になりましてからも出ておりますが、その首脳会談について何が話されたかということをつまびらかにするのは、本当は本人同士と、私の場合でございましたら通訳も入れなければ完全な話ができないわけでございますけれども、それ以外首脳会談のやりとりについて知る立場にはないだろうというふうに思います。
  47. 大久保直彦

    大久保委員 今、日米首脳会談、中曽根・レーガン会談の中でこのスーパーコンピューター云々についてやりとりがあったということが、大方のこの問題にかかわっていろいろ調査をしております者にとりましては一つの常識になっておるわけでございますが、今現時点でそのことについては、竹下総理は、大蔵大臣当時も、現総理大臣、現時点におきましても、その内容についてはつまびらかにしておらない、承知していないということでよろしいのでしょうか。
  48. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 個別問題、過去も現在も聞いておりません。そのことは事実でございます。
  49. 大久保直彦

    大久保委員 現在そこに控えておられます竹下内閣の閣僚の中で、そのことを聞いておられる方がいらっしゃると思われておりますか。総理が知らなければだれも知らないというふうに認識をされておられますでしょうか。
  50. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 事実関係を私から報告いたします。  首脳会談は、昭和六十年一月ロサンゼルスで一回、続きまして昭和六十二年五月ワシントンで行われております。  まず、昭和六十年一月の日米首脳会談のことを申しますと、米側より電気通信、エレクトロニクス、木材、医薬品、医療機器等の諸分野につき一層の市場アクセス改善を期待するとの言及があり、いわゆるMOSS協議が開始されることとなったが、スーパーコンピューターの政府調達について協議したという事実はない。これが六十年でございます。  六十二年になりますと、五月の首脳会談においてスーパーコンピューターに関する事項が取り上げられ、そして中曽根、当時の総理から、日本の公的機関による調達手続を明確にする作業が進められていること、二番目、六十二年度の補正予算で政府機関による調達が可能となるよう考えていること、三番目は、NTTが一台買うと承知している旨、説明された経緯がございます。  この会談でNTTの購入の件について言及がありました背景としては、六十二年五月の今申した日米首脳会談のときは日米経済関係が相当に緊張した中で開催されておる。そこで、我が国の輸入拡大の観点から、積極的に評価されるべき話は米側首脳にも伝えておくのが有益な状況にあった、こういう背景がございます。  そこで、NTTのスーパーコンピューターでございますが、二カ月前の三月に契約し、年末に納入予定ということが既に公表済みであった。公表済みであったから、NTT研究所用の購入につき大統領に伝えた。これが事実関係でございます。
  51. 大久保直彦

    大久保委員 たまたま宇野外務大臣が中曽根派の重鎮であるということがにわかに今思い出されておりますのですけれども、今の御答弁はどういうルートで今御発言になりましたのか。直接当時の総理から伺ったのか、ただ、外務省のお役人さんがしたためたものを、今たまたま外務大臣であるから報告をされましたのか、その辺はいかがなんでしょうか。
  52. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 首脳会談の記録は外務省にもございますから、外務省におきまして取りまとめたものを私が今申し上げた次第でございます。詳細は局長が控えております。
  53. 大久保直彦

    大久保委員 外務省に残っております記録を取りまとめて今外務大臣がお述べになった。私どもが承知をしておりますこの首脳会談の中身等々は、いろいろな角度からその情報を集めて我々なりの一つの見識を持っておるわけでございます。今も宇野大臣の御発言の中にもありましたが、この二台のスーパーコンピューターが六十一年五月の段階では、当時のお金で一億七千万円のディスカウントがあった、百五万ドル値引きされておる。ところが六十二年十月、通産省工業技術院がクレイ社から購入した同機種はほとんど値引きが行われてない。何かこの辺に我々は割り切れないものを感じて、何らかのキックバックが行われたのではないかと思いますが、ともあれ我が党としては、再三にわたりましてアメリカからの資材調達の中身について資料を要求いたしましたが、まだ具体的なお答えをいただいておりません。極めて不明な点が多過ぎます。今総理自身も首脳会談の実質的な中身については承知もされておらないし、また報告も受けておられない。今宇野大臣の外務省から出てきた御報告によりましても、よくその辺が、間接的な記述を述べたにとどまって、果たしてそれが事実いかがであったのか、我々がここでこうだああだと申し立てましても、これは水かけ論になってしまうと思います。  そこで委員長、私はこの際、このリクルート疑惑解明のために、まず真藤前会長、村田前秘書、林社長室長並びに山口現社長を本委員会における証人として出頭していただくことを要求いたしたいと存じます。  まず、それを実現いたしまして、その上でもし必要があれば、このスーパーコンピューター導入にかかわられたと私どもが推定をいたしております中曽根前総理及び中曽根内閣時代の主要閣僚にもおいでいただくことになるのではないか、今このように私は考えておりまして、委員長に御要請を申し上げたいと存じますが、どのように取り計らいをお願いできますか。
  54. 大野明

    大野委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をさせていただきます。
  55. 大久保直彦

    大久保委員 今、総理、このような具体的な問題が関心の的といいますか、問題の解明の中心になってきた、そのことに歩調を合わせるように今の地検の捜査が進んでおる。既に逮捕者が出ておる。こういうことにかんがみまして、今私が断片的に申し上げております問題、こういうことを早晩私は本院においても問題にせざるを得ないのではないか、中曽根前総理や中曽根内閣の主要閣僚にも証人として出てきていただくようなことになるのではないか、このように今思うわけでございますが、このことについての総理の所見をお伺いいたしたいと存じます。
  56. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今大久保書記長の御提案というのは、まさに国会でお決めになることでございますだけに、それをあらかじめ予測して私からコメントを申し上げることは差し控えるべきだというふうに思います。
  57. 大久保直彦

    大久保委員 それでは、委員長におかれましても、先ほどの私の提案を理事会において速やかに御決定いただきますようにお願いをいたしたいと存じます。  総理に伺いますが、明治二十年、随分古い話でございますが、七月三十日の勅令に、官吏服務紀律という、公務員の守らなければならない規律を定めた規定がございますが、これは現在も法律として効力があるのかどうか、いかがでございましょうか。
  58. 味村治

    ○味村政府委員 御指摘の官吏服務紀律は、昭和二十二年十二月三十一日限りでその効力を失っておりますが、国家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏その他政府職員の任免等に関する法律、これが昭和二十二年に出ておりまして、この規定によりまして、いわゆる特別職の国家公務員の服務に関しましては、「従前の例による。」こういうことになっておりまして、それらの方々につきましては、官吏服務紀律の適用がある次第でございます。
  59. 大久保直彦

    大久保委員 今の長官の御答弁は、昭和二十二年法律第七十二号――国家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏その他政府職員の任免等に関する法律というのができまして、国家公務員についてはこの法律によっていろいろ規定されておりますけれども、それ以外のいわゆる官吏については、明治二十年七月三十日の勅令にあるその紀律が今も生きておる、こういうことでございますね。
  60. 味村治

    ○味村政府委員 ただいま申し上げましたとおり、官吏服務紀律は失効をしているわけでございますが、特別職の公務員につきましてはなお「従前の例による。」ということで、その「従前の例」の中身として官吏服務紀律が適用とでも申しますか、そういうことになっておるということでございます。
  61. 大久保直彦

    大久保委員 それでは、今官吏というのはどういう方が残っておりますのですか。
  62. 味村治

    ○味村政府委員 ちょっと網羅的に申し上げるというわけにはまいらないのでございますが、内閣総理大臣、国務大臣、政務次官、大臣秘書官等があろうかと存じます。
  63. 大久保直彦

    大久保委員 それでは、現在におきましては、一般公務員の服務規律につきましては、今長官から御答弁がありましたように、国家公務員法で規定されており、この官吏服務紀律で規定されている官吏は、それに該当する者は、総理大臣、国務大臣、政務次官、大臣秘書官、宮内庁長官、侍従長がこの官吏に該当しておる、このように承知しておりますが、間違いありませんでしょうか。
  64. 味村治

    ○味村政府委員 御指摘のような官職の方々につきましては、官吏服務紀律の内容によりまして「従前の例による。」ということになっておると承知いたしております。
  65. 大久保直彦

    大久保委員 この官吏服務紀律は、今御答弁がありましたように、総理並びに現職の大臣、政務次官、大臣秘書官等がこの紀律によって律せられておるわけでございますが、この第一条には「凡ソ官吏ハ国民全体ノ奉仕者トシテ誠実勤勉ヲ主トシ法令ニ従ヒ各其職務ヲ尽スヘシ」とございますが、問題になりますのは、この服務紀律の中の第八条及び第十二条ではなかろうかと存じます。  総理、恐縮ですが、大変これは古い言葉で書いてありますので、どなたかに朗読をひとつ……。総理に渡していただけますか。八条、十二条をひとつ朗読をしていただきたい、今一条を自分で読みましたので……。こっちで読みますか。非常に現在にはなじまない文調でございますが、第八条「官吏ハ本属長官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ其職務ニ関シ慰労又ハ謝儀又ハ何等ノ名義ヲ以テスルモ直接ト間接トヲ問ハス総テ他人ノ贈遺ヲ受クルコトヲ得ス」、第十二条「官吏ハ取引相場会社ノ社員タルコトヲ得ス及間接ニ相場商業ニ関係スルコトヲ得ス」ということでありますが、長官、解釈について簡単にこの八条と十二条が定めるところを述べていただきたいと存じます。
  66. 味村治

    ○味村政府委員 八条は、本属長官の許可を得なければ、その職務に関しいかなる名義をもってするも、あるいは直接と間接とを問わないで、すべて他人の贈遺を受くることを得ないということでございまして、贈遺というのは贈与であるというふうに、これは広辞苑に書いてございます。  それから、十二条の方では、「官吏ハ取引相場会社ノ社員タルコトヲ得ス」それから「間接二相場商業ニ関係スルコトヲ得ス」、この二つのことが書いてあるわけでございまして、この「取引相場会社」というのが、何しろ古い法律でございまして、現在効力を失っているものでございますので、はっきりしたことを申し上げられないのでございますが、およそ取引相場を行う会社、取引相場を営業としている会社の社員たることを得ないということであろうかと思います。それから「間接ニ相場商業ニ関係スルコトヲ得ス」、この「相場商業」という言葉が非常によくわからないのですが、これは日本国語大辞典に「取引所の取引の中で、特に差金の授受を目的とする清算取引をいう。」相場の意義の中にそういうことが書いてございまして、それで官吏服務紀律をその中に引用してございますので、恐らく差金の授受を目的とする清算取引を目的とする営業、これに関係してはいけないんだ、こういう趣旨であろうかと存じます。
  67. 大久保直彦

    大久保委員 総理、この規定は明治二十年という古い昔から官吏はかくあるべしという規律をうたっておる、非常にこれは重大な規律ではなかろうかと私どもは受けとめておりますが、今長官がいろいろ御答弁になりましたが、この「他人ノ贈遺ヲ受クルコトヲ得ス」という意味は、これは例えば労働大臣でありますならば、職務権限のある会社等から一切の金品、例えば政治献金であれパーティー券であれ受け取ってはならない、そういうことを明確にうたっておる、そういう条文でありまして、それは大臣本人はもとより、秘書名義であれ家族名義であれ受け取ってはならない、こういう意味である、私どもはそのように解釈をいたしておりますが、法務大臣、前、法制局長官のお立場もあって、この文章は私が今申し上げたとおりで間違いありませんでしょうか。
  68. 高辻正己

    ○高辻国務大臣 私は、現在法務大臣でございまして、法制局長官でございませんので、ただいまの法律解釈問題はひとつ法制局長官にお願いしたいと思います。
  69. 大久保直彦

    大久保委員 では法制局長官、お願いをいたします。これは重大問題です。
  70. 味村治

    ○味村政府委員 具体的な問題につきましては、私御答弁を申し上げる立場にございませんが、八条の解釈といたしましては、官吏の中に先ほど申し上げたような方々が入るということでございますし、本属長官というのは恐らく任免権をお持ちになっている方、こういうふうに思います。そして、そのような本属長官の許可を得なければ、その職務に関してどんな名義をもってしても贈与を受けることができない、こういうことであろうかと存じます。
  71. 大久保直彦

    大久保委員 これは労働大臣という今例を出しましたけれども、労働大臣の職務は何であるかどうであるか、その職務権限にかかわる会社は何であるかどうであるか、そういう議論を今いたそうとしてはおりません。むしろ総理の場合は、この直属長官、本属長官であると同時に、総理御自身はすべての問題に職務権限がかかわるわけでございますから、総理は今まで大臣在職中または総理大臣御就任後、この八条で禁止されております他人からの贈遺、これを受けたことがあるのかないのか、その辺はいかがでございますか。
  72. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 盆暮れ、いろんなものをちょうだいしたりいたしますが、「其職務ニ関シ」ということになりますと、ちょっと、全部職務権限があるというお話でございましたが、その辺まだ整理さしていただいたことはございません。
  73. 大久保直彦

    大久保委員 総理のお立場は、もうここまでが職務であり、ここまでが職務ではないというような、そういう線引きはできないお立場ではないかというふうに私どもは承知をいたしておりますが、この八条では、いわゆるわいろというような問題ではなくても、そういう問題ではなくても、何の名義であっても直接間接を問わず受けてはならない、こういうことを規定しておるのでございまして、政治献金、パーティー券であろうと何であろうと、秘書であろうと家族名義であろうと在職中は一切受けてはならない、これが明治二十年からの決まりである、こういうことでありますが、この点についての御見解をもう一度伺いたいと存じます。
  74. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 法律上の見解は、私自身これを正確に申し上げる自信はございません。が、この官吏服務紀律というものは、確かに「他人ノ贈遺ヲ受クルコトヲ得ス」と書いてあることは事実でございます。ただ、政治資金規正法でございますとか、その他いろいろな法律というものも存在しておるというふうに私は思いますので、一概に、今の論理でいきますと、率直なところ、この「職務ニ関シ」という職務の範囲が無限であるといたしますならば、本当に大久保書記長のおっしゃる解釈というものについて、その職務無限という点についてちょっと私も自信がございませんが、論理として存在するか、あるいは観念として存在するか、これはちょっと正確に答えるだけの自信がございません。
  75. 大久保直彦

    大久保委員 これは総理、私も明治二十年代からこういう紀律が存在しておったということを今日の当たりにいたしまして、非常にびっくりしていると同時に、まあこれは厳しいものだな、大変なものであるなという認識を今新たにいたしております。  総理は、この服務紀律を守ろうとする総理大臣なのか、ほかにいろいろ法律もあるから一概には言えないという解釈を持つ総理大臣なのか、そこをひとつ明確にしていただきたいと存じます。
  76. 味村治

    ○味村政府委員 「職務ニ関シ」と、こう書いてあるわけでございまして、その職務に関連しないもの、しない贈与というものは、これはこの規定の対象外でございます。  それで、どのようなものが職務に関連するかということにつきましては、これは刑法上はいろいろ、やはり刑法上も収賄罪の成立につきまして、職務に関連してわいろを受けるというようなことで、やはり「職務ニ関シ」ということが要件になっているわけでございまして、そこでいろいろ議論があるわけでございます。総理の職務、それは憲法及び内閣法に規定してあるところでございますが、その他の法律にも規定がございますが、それらの法律、法令に規定いたしております職務に関連しているということがこの八条の要件になっているわけでございます。
  77. 大久保直彦

    大久保委員 それでは、長官に伺いますが、あなたは法制局長官のお立場で、竹下総理の二十四時間中、ここまでが職務でここからは職務ではないということは選別、断定できますか。
  78. 味村治

    ○味村政府委員 もちろん私はそういうことはできませんが、贈与を受けました場合に、その贈与が職務に関連しているかどうかということは、その具体的な贈与の状況に応じて判断をしなければならないものであるというふうに考えます。
  79. 大久保直彦

    大久保委員 このことを一々ここで詰めませんけれども、今の御答弁は納得できません。総理の一日の行動は、すべてこれは職務に関係があるのです。ここからここまでは全く職務ではないなどということは、竹下総理の日常にはあり得ないと思います。全部が私は職務だと思います。先ほど申し上げたように、私はわいろとかなんとかということを言っているのではない。贈遺そのものが受けることあたわずというのですから、受けてはならないというのですから、今の長官の御答弁は受け取るわけにはまいりません。  十二条について伺いますが、「官吏ハ取引相場会社ノ社員タルコトヲ得ス及間接ニ相場商業ニ関係スルコトヲ得ス」と規定されておりますが、この場合の「社員」とは、これまた明治七年の規定でありますが、太政官布告、株式取引条例で明らかなように、株式取引人、仲買人、すなわち現在の証券会社を指しておりまして、直接官吏が相場に関与してはならないということを明確にうたいとげております。また、「間接ニ相場商業ニ関係スルコトヲ得ス」というのは、官吏が仲買人を通じて間接的にも相場に関係してはならないということである。今日でいえば、証券会社を通じても株式等の売買を行うことはできないという厳格な規定であります。  この規定を今まで総理は当然御承知であったと思いますけれども、先般公開されました現在の全閣僚の資産公開を見ると、ほとんどの大臣が株を持っておられる。みずからそのことは明確にしておられる。これはこの十二条違反の甚だしい例である。在任中、この株の売買については何らかの方針があってしかるべきだと存じますが、総理のお考えを伺いたいと存じます。
  80. 味村治

    ○味村政府委員 官吏服務紀律の解釈に関しますので、まず私の方から申し上げますが、この十二条に規定しております「取引相場会社ノ社員」というのは、これは先ほど申し上げましたように、ちょっと古い法律でございますので、はっきりしない面もあるのでございますが、ただいま先生の御指摘にありましたように、証券会社とか、要するに取引所において取引をする資格を持っている会社であろうかと思います。その「会社ノ社員」でございますが、この「会社ノ社員」というのが恐らく従業員、まあ社長あるいは取締役、そういった人々も含めて、それに従事する、その会社のために働く人、こういうことではないかと思います。証券会社あるいは証券取引所の委託仲買人等の資格を持っている会社の従業員と申しますか、あるいはもちろん取締役等も入ると思います。そういうことでないかと思います。  それから、「間接ニ相場商業ニ関係スルコトヲ得ス」というのは、相場商業というのは、先ほど申し上げましたように、差金授受を目的とする清算取引でございまして、いわゆる現物の売買というのは入っていないわけでございます。したがいまして、単に株を買ったということでは、それは証券会社を通じて買いましても、「間接二相場商業ニ関係スルコトヲ得ス」というこの規定に違反したことにはならないというのが、従前の相場の意義からいたしまして、そのように解されるわけでございます。
  81. 大久保直彦

    大久保委員 それは承知できませんね。株式相場と言うのですよ。商品相場と言うのです。相場にかかわってはならない、この社員になってはいけない。社員とは証券会社の社員であり、または仲買人のことです。家族も秘書もこれにかかわってはならない。ここにいらっしゃる閣僚の各大臣は、すべてこの官吏の服務紀律に服さなければならない。この辺があいまいであるために現在のようなリクルート疑惑の問題が惹起しておる。  過日、アメリカのブッシュ新政権が誕生され、総理はいち早くアメリカにいらっしゃいましたけれども、その新政権の国務長官ベーカーさんは、長官に就任と同時に、一切の自分が保有しておる株式を売却された、また、誤解を招くといけないというので家族が所有するすべての株を売却された、こういうことが今報道されております。我が国も、我が国の官吏、我が国の総理大臣以下大臣は、いやしくもこの明治の時代に規定された行政府の官吏はかくあるべしというこの紀律に従うのが現在の政治の信頼を回復する第一歩ではないか、私はこのように思いますけれども、総理の御所見を伺いたいと存じます。
  82. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私も不勉強で、本当はこの官吏服務紀律を読ましていただいたのは、率直なところ、正直に申し上げまして今初めてでございます。この問題につきましては、法律的な私の知識をここで申し上げても間違いがあるかもしれませんが、「相場商業ニ関係スルコトヲ得ス」それからベーカーさんのお話も出ましたが、私も関心を持っておりますので、今度会ったときよく聞いてみようと思っております。恐らくベーカーさんの場合、相場商業というよりも、自分の資産を売却して相場商品となり得るものを持たなくした、こういう意味だろうと思っております。  これは聞いてみようと思っておりますが、昨日来も出ております特別職公務員、少なくとも大臣、政務次官等についていわゆるその在任中に、未公開株はもとよりのことでございましょうが、そういうものに対しては、例えば自主的ではございますが、資産公開をやっておるように、何か制限してしかるべきだということについてはよく検討をさせていただくべき問題だというふうに答えておるところでございますので、御趣旨はよく私にも理解できるところでございます。
  83. 大久保直彦

    大久保委員 これは仮定の話でありますけれども、インサイダー取引が禁止されておる、例えば総理大臣が何とかという株を今にわかにお買いになった、また大蔵大臣が何とかという株をお買いになった。このこと自体は、いろいろな情報なり職務上知り得るニュースというものがあって、その上でそういう行動をなされたのではないかというふうにみんなに思われましても不思議はない問題だと思うのですね。そういう意味では、総理並びに大蔵大臣、いや、ここにいらっしゃる閣僚の皆さんがそういうものに手を出すこと自体が非常に大きな影響がある。そういう極めて一般的な認識に立ちましても、私は国務長官の今度とられた行為というのは非常に称賛されてしかるべきではないかというふうに思うのです。  そこで、私は日本の総理大臣がアメリカの国務長官に一々聞かなくては判断ができないというようなことではないと思いますので、すべての閣僚は在職中一切の金品の贈与または献金または在職中株相場に関与しないということを、この際、竹下総理のもとで国民に宣言をされてもよろしいのではないか。これが私は、今の政治に信頼を取り戻す、信頼回復のための原点なのではないだろうかということを思います。今までのことをとやかく言うよりも、今竹下総理が、竹下内閣の時代はこれから在職中一切の献金や金品の贈与を受けない、また株式相場その他商品相場にも関与いたしませんということを国民の前に宣言をしていただくことが、私は、現在の国民政治に対する不信を大きく払拭する出発点になるのではないか、このように思いますが、総理の御所見を伺いたいと存じます。
  84. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 最後におっしゃった問題は、十分検討すべき問題であると私も同じような問題意識を持っております。  それから、ベーカーさんに聞いてみようと申しましたのは、長い私の友人でございますので、個人的に聞いてみょうがなと思ったことをここで申し上げるべきじゃなかったかもしれません。それであったとしたら、取り消すほどのことはございませんが、御寛容をお願いいたします。  それから、今一般論として最初の方でおっしゃいました、いわゆる相場ということになりますと、本当は一人一人が相場を意識しておるかどうかというのは大変な問題のあるところだろうと思っております。例えば私も家業で酒造業を営んでおりますが、私の小さな株式会社竹下本店の株を私は持っておりますが、しかし上場できるものでもございませんし、売れるものでもございません。  そうしたものと、それから一般論としておっしゃったのでわかりますのは、私もかねていつの日か申し上げたいと思っておりました。よく竹下相場であるとかいうようなことを言われたという話を聞いております。私自身、そういう言葉が出てくること自体、私的な立場で究明をしてみました、率直に申しまして。私が相場の思惑の中でそうしたことをやろうとも思ったこともなければ、考えたこともありません。が、仮にもし俗称兜町において、そういう流言飛語が正規な取引関係というもの、正規な経済行為に思惑とかあるいは混乱とか起こすようなものであったら、何かこれは本当はそうしたことが起こらないような措置をとるべきだ、これはかねて思っておりました。
  85. 大久保直彦

    大久保委員 ベーカーさんの問題につきましては、私もちょっと意味を取り違えましたので、もし行き過ぎておるようであれば撤回をさせていただきます。  ただ、私は、一々そういうことをお尋ねするまでもなく、今総理がここでにわかにそういう答弁なり宣言はできないまでも、今現状は、国民政治に対する信頼は地に落ちておる、こういう事実関係を認識した上で、今その信頼を竹下内閣が回復されようとするならば、私は、この法律に明確にうたわれております服務規定にのっとりまして、竹下内閣としては、総理を先頭に内閣の閣僚の諸大臣が在職中金品の贈与または株式相場に関与しないという方向でこれからの内閣は進んでしかるべきである。そういうことを検討されるかどうか、今ここで御答弁ができなければ、今後の方針についてお考えを聞かしていただきたいと存じます。
  86. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 職務に関し、相場に手を出すとか、正確な言葉かどうか知りませんが、金品の授与、受けるとかいうことはあってならないことであると思っております。具体的なケースケースについての御議論があるとすれば、にわかに答える自信はございませんが、その趣旨は私は当然のことであるというふうに思っております。
  87. 大久保直彦

    大久保委員 私は、今のこの政治不信を回復するためには、まず竹下内閣におかれましても、そういう方向でぜひ御検討、御努力をお願いいたしたいということを申し上げておるわけでございますが、私の申し上げている趣旨につきましては、その方向で努力してみる、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  88. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 政治の信頼を回復することには一つ一つの積み上げが必要である。その一つの提案としての基本的な考え方は私も賛成であります。
  89. 大久保直彦

    大久保委員 この問題だけではありませんので、先へ進みたいのですが、最後に一つだけ。  過日の私どもの矢野委員長の代表質問の中でも申し上げましたが、アメリカやイギリス、また西ドイツ等においては、政治倫理確立のために、例えば西ドイツ連邦議会倫理規則でありますとか、またはイギリスの下院議員の利害関係登録制度でありますとか、またはアメリカの政府倫理法でありますとか、政治家の倫理に明確を期するためにいろいろな立法措置がとられておる。こういうことも早晩、今閣僚の問題を云々してまいりましたが、私ども本院に籍を置く議員全員につきまして、こういうみずからの法律があってしかるべきではないか。私どもも議員立法の立場で今この検討に入っておりますけれども、政府としては、アメリカ並びにイギリス、西ドイツのこれらの問題に対してどういうお考えを持っておられますのか、総理からお伺いをいたしたいと存じます。
  90. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 かねて私どももアメリカの政府倫理法を勉強したことがございます。どちらかといえばフローの問題についてこれを明示するという考え方でございますが、私どもいわゆる資産公開を議論いたしましたとき、これはストックの方で公開をしよう、そういう際に議論したことがございますが、今後における検討課題であるということは私も十分承知しております。
  91. 大久保直彦

    大久保委員 時間が余り残っておりませんので、定数是正の問題に入りたいと存じます。  総理は、去る訪米の帰りにハワイに寄られまして、現今の定数是正問題について言及をされました。私の承知しております総理のお考えをまとめてみますと、今国会においては今の五百十二議席をマイナス一にいたしまして五百十一とする、あわせて六人区を解消する、格差は三倍以内にいたしたい、こういうことかと存じますが、あわせて来年の秋までに本院の議席を本則に戻って四百七十一に戻したい、こういうふうに受けとめておりますが、これで間違いございませんか。
  92. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 まず一つ大切なことは、いわゆる定数是正問題というのは、事柄の性格上、本院の決議がございますので、各党間で十分協議していただくということが本質であると思っております。  ただ、私自身今まで長い間選挙制度なりにかかわってまいりましたので、二つのことを申し上げたことは事実でございます。  一つは、自民党の中で後藤田委員会というものができておる、その委員会ですべて物を決めてもらうべきものであろう、まずは自民党の考え方をまとめてもらうものであろう。それから一方選挙制度審議会も復活しようと思っておりますが、ここでもいろいろな議論をしてもちわなきゃいかぬ。基本的には国会の決議とそれから党の委員会と制度審、この三つに対して行政府の立場にある者が予断を持って当たるべきではない、この辺は割にしっかりしているのであります、私も長い間それに携わってまいりましたから。そこで勉強のための資料として私が申し上げましたのが、今大久保書記長がおっしゃいましたような、党の改革委員会で議論される中には幾ばくかのケースがある、しかし先般の最終的な国会の中で、みんなが五一一というものを念頭に置きながらもついに五一二にしなければ話がまとまらなかったというところに、ひとつやはりもう一度そのことを思い出さなければならぬなということを申し上げたことは事実であります。  それから、これは制度審に最終的にはなる問題かもしれませんけれども、四七一というのも、私はその論文を書いたこともございましたので、新聞記者の皆さん方に申し上げました。今明治二十年の話が出ましたが、二十三年の七月一日に初めての選挙が行われておりまして、もっともそのときは人口が三千九百九十万、一番定数の多いのは新潟県でございます。人口も二万人ぐらい東京より新潟が多いわけでございますが、そのときの定数が三百であった。しかし、やはり一つのベースとしてみんなが勉強しなきゃならぬのは四六六じゃないだろうか。四百六十六。すなわち普選の大正十四年の法律で、それを最初執行されたのは昭和三年の選挙でございます。そのときから四十年の間、少なくとも四六六というのは人口の変動があったのにずっと本則の中に定着してきた。その先がいろんな変化が加わった。ただし、プラスアルファとして五というものが位置づけられて、沖縄の問題でございますが、そこで四七一という、そういう歴史的経過というものがあるから、一つの問題意識として持つべきであろう。ただ、定数というのは、もっと多い国もございますし、百人でいいという議論もございますし、その議論は別にあり得るが、歴史的経過の中で参考にして議論がなされるとしたら一つの見識ではなかろうか、こういうことを新聞社の皆さん方にかなり詳しく申し上げたことが記事になったわけでございます。私の意見だ、いわゆる予断を与える、これはいけないことになっておるわけですから、それは避けながら申し上げたつもりでございます。
  93. 大久保直彦

    大久保委員 定数是正にかかわります手続等につきましては、この立法府において云々という総理の御答弁のとおりだと存じますけれども、今私が伺っておりますのは、いわゆる竹下総理政治プログラムとして、今この国会中に一マイナスを考えておると申しますか、考えたいというか、すべきであるという願望であるかどうかわかりませんが、そういう御発言が明確である。また、その際は六人区を解消したいというお考えがある。また来年の秋までには、これは議会制度百年が念頭にあるのかと存じますけれども、何か今御議論のあった四百六十六、沖縄の復帰に伴いまして四百七十一、この本則、その数字自体がもうベストで、全く議論のない問題かどうかは別にいたしまして、そういう本則の数字に戻りたい、来年の秋までには。そういうことを総理の、余りここでは僕はそういう予断を与えるとかどうとかいうことは問題にしているわけではありませんので、率直な総理のお考えはそのとおりであったのかどうかを聞かしていただきたいと思います。
  94. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 書記長から予断の問題についてはとやかく言わないとおっしゃいましても、やはり行政府の長としての立場から見れば予断を与えるようなことは避けるべきだ。ただ、長らく選挙学会に所属しておりましたので、それでそういう問題点は指摘いたしましたが、そして今取り扱い上の問題として短期、中期、長期にいろいろな問題が分けられた場合において、前国会の末にお互いが疑問に感じながら考えておった数字の是正というようなもの、またあの国会決議に書かれてある、「抜本」とは書いてありますが、一部の問題等は当然関心を持たれる課題ではないかというふうに言いました。  それから、若干中長期の問題になります四六六プラスアルファ、すなわち四百七十一というのが本則にある。何が定員としては正しいかという議論は、今おっしゃったとおり、私も横に置くといたしまして、そういう問題は法制度の中と歴史の中には注目すべき数字として存在しておる。それらは確かに国会百年というものが来年の暮れに参りますわけですから、本当言うと七月一日が選挙があってから百年目でございますけれども、国会が開かれたのはたしか十一月でございますから、したがって、来年の暮れには国会百年というものがあるだけに、やはり中長期的な課題としては、そうした問題も俎上に上るべきものであろうというふうに申したことは事実でございます。
  95. 大久保直彦

    大久保委員 ただいま総理の御答弁の中にもございましたが、六十一年の五月の国会決議でございますね。ここには、今総理も御発言ありましたが、明確に「抜本改正に際しては、二人区・六人区の解消並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行い、」と、こううたっております。これは総理御自身もこの決議には深くかかわっておられたと思いますが、ここで確認をさしていただきたいのは、予断を与えたくないから今物は言いにくいということでありますが、この決議の内容につきましては、「二人区・六人区の解消」ということは、三人区から五人区の間にする、そういう位置づけは不動のものである、こういうふうに思いますが、それは間違いないでしょうね。
  96. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 抜本改正ということになればいろいろな制度も考えられるでございましょうが、現行中選挙区で考えた場合、常識的に三から五というのが、中選挙区と言われるものはすなわち三から五であるというふうな問題意識を持っておることは事実でございます。
  97. 大久保直彦

    大久保委員 今のその中選挙区のほかに想定できますのは大選挙区と小選挙区でございますね。今この国会決議は、中選挙区制で議員定数の見直しを行う、こういうことがうたってあるわけでございますが、もし総理が予断を与えるので発言ができないということでありますならばイエス、ノーでお答えをいただきたいと思いますが、来年の秋の議会制度百年を一つの記念と申しますかめどといたしまして、その四百七十一云々、まあ固定しないまでも本則に戻ろうというお考えの中には、この中選挙区制以外のお考えはあるんでしょうかないんでしょうか。
  98. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 抜本改正ということになると、本当は制度の根本から議論すべきではないかなと思っております。百年に際してどういうことが今予測されるかというと、私もにわかに予測できません、これは大変な生き物でございますから。しかし、選挙制度というのには、大選挙区から小選挙区あるいは比例代表、併用あるいは併立、そうしたいろいろな制度があるということは、やはり選挙制度調査会長を私もやっておりましたが、選挙制度の議論の中で、抜本の際にそうした議論が出てくるのは、これはいつの場合も当然じゃなかろうかな、こういうふうに思っております。
  99. 大久保直彦

    大久保委員 ただいまの御答弁は非常に重要な意味を持っておるのですよ。抜本改正をしようというだけで本院の決議が終わっているならば、今の総理の御答弁はまさしくそのとおりだと思うのです。しかし、抜本改正に際しては、抜本改正をする場合は二人区と六人区の解消をいたしましょう。というのは、あのときの議論は、三人区から五人区の間で今の選挙区の定数を見直しましょう、人口比のいわゆる格差の是正を伴いながら、そういう二人区、六人区の解消を目指そうというのが、このときの国会決議の本意ではなかったのでしょうか。この中に中選挙区制以外の概念はどこにもこれは持ち込めないはずだと思いますけれども、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  100. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 有権解釈は私がすべきものではございませんが、私も書記長のおっしゃる意味が理解できないわけではもちろんございません。ただ本当は、定数是正というのは、要するに「衆議院議員の定数是正は、違憲とされた現行規定を早急に改正するための暫定措置」である。したがって、六十年国調の確定人口の公表を待って速やかにその抜本改正を行うというように書かれてございますので、今おっしゃった抜本改正に際して二人区、六人区の解消というのは、恐らく三、五というものが頭にあったものではあろうというふうに思っております。だから、この決議というのは決議として、もう六十年国調は確定しておるわけでございますが、あるわけです。いま一つ、抜本改正というのは、決議のあるなしは別問題としまして、絶えず選挙制度の合理的な設定という問題については、これは長い間の議論でございますが、いつもやはり民主主義の土俵づくりでございますから、お互いが勉強しておくべきものだというふうに思っております。
  101. 大久保直彦

    大久保委員 私の質疑にちょっと言葉が足りなかったかと存じますが、今総理がおっしゃっている抜本改正は、一般論で抜本改正とはということについての御認識を述べておられるのであって、六十一年の五月二十一日に本院が議決をいたしましたいわゆるこの国会決議、この決議の内容はそういう一般論を規定しておるのではありません。今我々がなさなければならない抜本改正は、二人区、六人区を解消した三人区から五人区までのいわゆる中選挙区制の中でやろうということがここに明確にうたわれておると思いますが、その御認識はそれはそのとおりで間違いありませんですね。
  102. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 この六十年国調の確定人口の公表を待って改正を行うという意味における、まあ有権解釈は国会にあるわけですから勝手に解釈するわけにもいきませんが、私も感じとしては書記長がおっしゃった意味が含まれておるんだなというふうには思っております。
  103. 大久保直彦

    大久保委員 私どもは一日も早くこの国会決議の趣旨にのっとったそういう改正を行いたい、そのように考えます。今行政改革云々と言われている時代に、やはり立法府もみずから血を出して、非常に厳しい思いをしながら、この議席の問題については議論が行われなければならないのではないか、このように考えます。  もう一つ、今世上、小選挙区制にしますと選挙に金がかからないというようなそういう論調が巷間流れておりますけれども、私はそうは思いません。この選挙制度の問題と選挙に金がかかるかかからないかということは、これは別次元の問題である。例えば小さな村の首長選挙でも、大変残念なことではありますが、そういう国民から指弾を受けるような事態がないわけではありません。これは選挙区が大きい小さいに関係はない。また、本院のいわゆる選挙におきましても、九州地方のある地区におきましては、一名区でありますために非常に熾烈な選挙戦が行われておる。そういうことを考えますと、選挙制度が変わればお金がかからないのだ、また選挙区が小さくなればお金はかからないのだということは、これは別次元の話ではないか。むしろ民主主義がいかにあるべきか、どうすることが国民の民意が明確に議席に反映できるかという問題と、選挙区が大きい小さいが金がかかるかからないという要因であるという問題は別の問題ではないか、このように思いますが、まず、自治大臣からその辺についての御所見を伺いたいと存じます。
  104. 坂野重信

    坂野国務大臣 この問題につきましては、私もまだ十分勉強しておりませんので、事務当局の方から答弁させます。
  105. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 選挙に金がかかるかどうかということにつきましては、いろいろ実際どういうやり方をするかということとも関連すると思いますが、従来から議論されておりましたこととして、やはり選挙制度との関連でいろいろと金がかかりやすくなるとかならないとかというようなことも言われておるものがあるわけでございます。
  106. 大久保直彦

    大久保委員 私は、総理、基本的な問題について素朴なお尋ねをしているのであって、選挙制度、選挙区が大きくなったちっちゃくなったということと選挙に金がかかるかからないということは別次元の問題ではないかと思います。そのことだけ……。
  107. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 大体御案内のとおり、まあイギリスの浄化法というのは、ある意味においては小選挙区がむしろ弊害をもたらしたがゆえにできたという説明をする人もおります。だから、選挙区の大小、そうした問題よりも、本当のところは、それは国民の皆様方を含めて全体の風土が金がかからない問題と候補者たる者の心構えとで決まる問題であって、選挙区が大だから小だからそれで金がかかるかからないと一概に断定するというのは、私はおっしゃるとおりだと思います。
  108. 大久保直彦

    大久保委員 時間がありませんので、外交問題について端的に伺いたいと存じます。  アメリカでブッシュ政権が誕生しまして、総理はいち早く訪米をされましたが、まず、首脳会談を終えられまして、ブッシュ政権の内外政策、竹下総理はどういう印象を持っておられますか。特に対日政策について率直にお考えを伺いたいと存じます。
  109. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私から特にお話し申し上げたのは、アメリカというのはやはり偉大なる存在ですよ。強いアメリカ、そうしたことが今日まで、これはミリタリーの分野のみではない話でございますが、世界の平和と安定というものに寄与したということは大事ですよ。だからあなたのところは、双子の赤字とかいろいろな議論があったとしても、あくまでもそのストロング・アメリカというものは私の期待するところです。これに対しては、そのとおりだという感じを受けたわけでございます。  それで、それをもとにして、今度は日米関係ということになりますと、まず総体的なことを申しますと、今までとにかくこれだけ幅が広くなった。かつては援助者と被援助者の関係であったかもしらぬ。しかし、今やこういう関係になって、両方が合わしてGNPでも三七%というようなことが言われるようになれば、二国間の問題というのは、単なる二国間だけでなく、地球、世界全体の問題に関係することであるから、まずそういう認識を持ちましょう。そこで二国間問題は静かな対話が大事です。そうして、それが地球規模に影響を及ぼすことであるから、政策協調を密にいたしましょう。そして、それだけに共同作業の理念を持ってやりましょうというようなことが大筋の一番ベーシックな話ではなかったか、こういうふうに思っております。
  110. 大久保直彦

    大久保委員 外務大臣にお尋ねいたしますが、最近、アメリカの話に事が及びますと、どこからもかくからもバーゲンシェアリングという言葉が飛び出してまいります。バーデンシェアリングというのが正しいのかバードソンェアリングというのが正しいのかよくわかりませんが、これはどういうことを我が国に求めておられるのか。バーゲンシェアリングの範囲と申しますか、それはアメリカは我が国にどの程度のものをどの範囲で求めておられるのか。余り時間もありませんので、端的に答弁を願いたいと存じます。
  111. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 ベーカー国務長官との間におきまして、私の方から申し上げました。その方がわかりやすいと思いますから。  バードンシェアリングという言葉、これは何か日本においては肩がわりと、特に軍事費の肩がわりというふうな解釈に受けとめられておる、また、そのような解釈をしておる向きもアメリカの中にはあるやにうかがえる、それは困ります。私たちは経済大国ですが、軍事大国になりません。したがいまして、非軍事的面ならば幾らでも協力いたしますが、何かこう日本流に言うのならば、こういうふうに決めたからおまえさんは肩がわりせよというふうなことは絶対だめである、こういうふうに申しております。  これに対しましてベーカーさんは、創造的責任の分かち合いというふうな新しい言葉で、決して今私が申し上げましたようなことではなくして、日米は、十分日本の意見は聞いておりますから、いろんな面で協力をいたしましょう。今申し上げました言葉は、実はベーカー長官が上院におきまして、公聴会が開かれて、証言で言われた言葉、それを私は取り上げまして、我々としては、これは非軍事的面におけるあらゆる日本の協力というふうに解釈します、このように申し上げてあるところであります。  以上です。
  112. 大久保直彦

    大久保委員 今のバーゲンシェアリングがいわゆる軍事費の肩がわりではない、日本は軍事大国にはならないのだという答弁をそのまま受け取って、ちょうだいしたいと存じます。  最後になりましたが、総理。ゴルバチョフ書記長の平和攻勢といいますか、そういう考え方が非常に、評価といいますか、内外政策についていろんな評価がございますけれども、竹下内閣としては、このペレストロイカについてどういう御認識なり評価を持っておられるのか。またゴルバチョフ書記長の来日、また訪中等が今うわさされておりますけれども、これについての現時点での総理のお考えを承りまして、午前中の質疑を終わりたいと存じます。
  113. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 国際情勢全体についての認識は、米ソ首脳会談を初めといたしまして、それは地域紛争の問題であろうと中ソの問題でありましょうと、全体的に私はいい方向であると思います。それで米ソ間で対話が定着していくということは好ましいことであると思っております。  そこで、このゴルバチョフさんのペレストロイカについてでございますが、ペレストロイカとグラスノスチという二つの点で見たときに、グラスノスチというのは、これはまさに、非常に端的にあらわれたのは、中曽根前総理が行かれたときにも、もうノーカットでテレビに出演さしてあげましょうとか、あるいはどこへ行かれても便宜を払いますよとかいうようなのは、私は現実あらわれてきつつあるのではないかと思います。今度ペレストロイカというのは、本来は国内の開放政策のことだと思うのでございます。これについては今一生懸命、何といいますか苦悩を重ねていらっしゃるという感じがしておりますが、そのゴルバチョフさんの新しい思考というものが現実問題として具体化していくことは、私は心から期待をするところであるというふうに見ております。  それで、いま一つ御指摘なさいました訪中問題というのも当然正式な議題にもうのったわけでございます。これも五〇年代のいわゆる集団安全保障的なものには、あの条約はもう失効しておりますから、あれには返らないというのは両者ともおっしゃっておって、これも私は大変歓迎すべきものであるというふうに思っております。  最後がいわゆる訪日問題でございます。これは先般来二度にわたる外相会談等におきまして、これから平和条約を締結するにはいかにしたらいいかということで各種レベルで話し合いが行われ、それが最高首脳間の対話につながっていくような努力を今一生懸命やられておるさなかだ、こういうふうに認識をいたして、それが実現することを心から期待をしておるということでございます。
  114. 大久保直彦

    大久保委員 以上、午前中の質問を終わります。
  115. 大野明

    大野委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  116. 大野明

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大久保直彦君。
  117. 大久保直彦

    大久保委員 午後からは専ら消費税の問題について質疑を続けさせていただきたいと存じます。  消費税が先国会におきまして導入されました経緯につきましては、今さらここでくどくど繰り返しませんけれども、しかし、大型間接税は導入をいたさない、そういう公約をした前内閣から竹下内閣が引き継いだその公約は依然として生きておりますし、その公約に基づいて選出をされました現在の与党三百議席という多数をもってこの消費税が導入されたということは、まことに極めてこの議会制民主主義、それを踏みにじる暴挙である、私どもはそう断ぜざるを得ない思いでいっぱいでございます。しかるに、この成立からわずか三カ月間で実施に踏み込もうとされておる。そういう現況下においては、国民は非常に当惑をしておる、混乱をしておると言っても過言ではない。私どもは消費税に断固反対であるという立場から、若干幾らかの具体的な問題についてお尋ねを重ねてまいりたいと存じます。  竹下総理の六つの懸念、この六十三年三月十日の予算委員会で総理から、竹下総理の口から消費税導入に関して六つの懸念というものが表明されました。今この六つの懸念、それにつけ加えまして、昨年の六月、サミットから帰られる途中で、価格転嫁が難しいのではないか、こういう懸念をまたつけ加え、さらには昨年の十月の税制特別委員会で、自治体の持つ懸念、これはいかがなものであろうかという懸念がプラスされました。さらには本年一月の経団連での総理のごあいさつの中で、免税点や簡易課税制度を取り入れたことで事業者への課税が不徹底になる懸念がある、こういうことを表明されまして、さきの六つの懸念に三つの懸念がプラスされ、延べ九つの懸念がこの消費税にはっきまとっておる。この問題について、午前中は専ら総理お尋ねをしましたが、総理はお休みをいただきまして、各所管大臣にこのことを逐一お伺いをしてまいりたい、このように考えるものでございます。  まず経企庁長官総理が示された六つの懸念の冒頭は、逆進的な税体系となり所得再配分機能を弱めるのではないか、こういう懸念を示されましたけれども、この懸念に対して経企庁としてはどういう措置をなされましたのでしょうか、それを聞かしていただきたいと存じます。
  118. 愛野興一郎

    ○愛野国務大臣 お答えさせていただきます。  経企庁としては、税率三%の場合に物価の動向に与える影響を十分勘案をしていかなければならぬ、そういうことから、この物価上昇がいわゆるインフレ的な性格にならないように、一度限りのものとするために、昨日も申し上げました物品税等既存間接税の廃止等も行われ、また減税も行われるわけでありますから、平成元年度の物価水準に与える影響を一・二%程度に抑える、それから平年度と消費税の導入とのこの影響を含めて一時的に二%程度の上昇となるように、諸般の物価監視あるいは便乗値上げを抑え込んでいく等々を各省庁と十分すり合わせて努力をしていくということにいたしておるわけであります。
  119. 大久保直彦

    大久保委員 ちょっと待ってください。そんなことは今お尋ねをしていないのです。消費税導入によりまして所得再配分機能が弱まるのではありませんか、こういう懸念を総理が示されておる。それに対して経企庁――これは大蔵大臣は専門家ですが、経企庁としてどういうことをなさったのかということを伺っているので、大蔵大臣の答弁を求めているわけではありません。経企庁長官、こういう総理の懸念に対して経済企画庁としてはどういう措置をとられたのかをお答えいただきたいと存じます。
  120. 村山達雄

    村山国務大臣 恐縮ですけれども、その問題は大蔵省の所管だろうと思うのでございます。  もちろん、消費税というものは支出には、消費には比例するけれども、所得には逆進的であるということはもう皆さん御承知のとおりでございます。したがいまして、何をやったかと申しますと、所得税それから住民税の大幅な減税をいたしたわけでございます。税率の引き下げ、課税最低限の思い切った引き上げ、これによりまして三兆三千億の減税をやりました。その結果、所得税あるいは住民税の納税者につきましては、大部分が逆進性はなくなりまして、ある意味でいいますと、むしろ累進的になったと言っても差し支えないと私は思っております。  ただし、所得税、住民税さえ納めていない人、これは減税の効果が及びません。そこで、公明党の方あるいは民社党の皆さんからも言われまして、昨年の税革の最後の協議の場におきまして、やはりそういう人に対しては何らか措置をすべきであるということでございまして、二つの措置をとらせていただきました。すなわち、補正予算におきまして、低所得者の方、福祉年金をもらっておる人であるとかあるいは非常に低所得の人については一人一万円という、臨時の措置ではありますけれども、そういうものを差し上げる。もう一つは、六十五歳以上の在宅の寝たきり老人につきましては五万円の一時給付金を差し上げる、こういうこと。そしてまた平成元年度予算におきましては、生活保護の人たちに対しまして四・二%の引き上げを決定させていただいた。これを今案にしているのでございます。
  121. 大久保直彦

    大久保委員 お尋ねしないことをべらべら述べられても困るのでございまして、私は、竹下総理がおっしゃっておる、この六つの懸念の冒頭の所得再配分機能を弱めるのではないかという心配をされておった、そのことは経企庁としては何か手を打ったのですか、それともこの問題は経企庁は関係がないことなのか、それを伺っているので、長官に御答弁をいただかないことには私の質疑は一向に満たされないわけでございます。どういうようになっているのですか。-いや、大臣の答弁を求めておるので、要りません。御答弁は要りません。大臣がこの総理の、これは私が言っているのじゃないのですよ、竹下総理みずからがそういう懸念があるとおっしゃっていることに経企庁としては何か手を打たれたのか、それともこの懸念は経済企画庁は無縁の懸念なのかということを伺っておるのです。
  122. 愛野興一郎

    ○愛野国務大臣 お答えをいたします。  公共料金等の価格の問題等で十分配慮をいたしますとともに、各般にいろいろと経企庁としても配慮をいたしておるわけでありまして、担当物価局長より実務的に答弁をさせていただきます。
  123. 大久保直彦

    大久保委員 これは私が今新しい問題提起をしているのではなくて、竹下内閣自体が抱えておるこういう懸念、消費税を導入したことによってこういう懸念が起きてくる、それをどう処理されているのかということを伺っているので、今の御答弁は全く私のお尋ねの答弁にはなっておりません。  それでは、労働大臣に伺いますが、総理の懸念の第二番目は、中堅所得者の税の不公平感を加重するのではないか、この消費税はそういう懸念がある。私も全く同感でございますが、これに対して労働大臣としてはどういう手当てをなさいましたでしょうか。
  124. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 先生お尋ねに対して、労働省としてとらせていただきました施策についてお答えをさせていただきます。  なるほど先生のおっしゃいますように、たくさんの所得のある人と違いまして、働いて生活していかれる方々にとっては、たとえ三%の消費税でありましても、大変影響することでございますので、これらの身がわりに出さねばならないものであるならば、身がわりに出さなくても済むような対策を考えてほしい、そこで先ほど大蔵大臣の申されましたようないろいろと変わった方法で穴埋めをさせていただく、こういうことでとらせていただいたのであります。  以上でございます。
  125. 大久保直彦

    大久保委員 身がわりに変わった方法でとらせていただくというのはどういうことでしょう。
  126. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 労働省としてはどういうことを考えて働きかけたかというお尋ねでございましたので、私は素直に先生のお問いに答えたつもりでございますが、労働省としては、そういうことにならないように大蔵省としては考えていただきたいということでお願いしてありますので、大蔵省として、また自治省としてとってくれたことのお話はそちらの方でしていただけると思いますから、どうぞよろしく。
  127. 大久保直彦

    大久保委員 この第二番目の懸念については、労働省としては、そういうことにならないように大蔵省によく申し入れてある、こういうことでございます。よくわかりませんけれども……。  厚生大臣にお尋ねをいたしますが、所得税のかからない人たちに過重な負担を強いるのではないか、これが竹下総理の三番目の懸念でございましたが、厚生大臣としては、この過重な負担を強いるのではないかということに対して、何か解決策を用意されましたでしょうか。
  128. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 今回の税制改革は、消費税だけを取り出せば、確かに総理の言われた懸念というのは当たっていると思います。しかし今回は、消費税のみならず所得税、住民税、法人税、相続税、そうして現行の物品税をほとんど全部廃止している。そして減税総額は実に九兆二千億円、消費税の導入で五兆四千億円、既存の課税を適正にして差し引き二兆六千億円の減税が図られているわけであります。しかも消費税というのは諸外国に例を見ない三%の低率である。ですから私は、今回の税制改革というのは大変すばらしい改革であって、将来必ず国民から評価されるものと確信しています。  そして厚生省といたしましては、低所得者対策としても、生活保護費を上げておりますし、なおかつ六十三年度補正で、これから御審議いただきますけれども、老齢福祉年金に臨時の老齢福祉手当等一万円、さらにいろいろな手当に対してかなりの低所得者対策が個別に配慮されておりますので、今回の消費税の悪影響というのは、まさに今減税と一体となった改革の中でかなり払拭されている。そういうふうに、今回の税制改革、消費税導入と一緒にやったこの税制改革というのは、経済全体に必ずプラスの影響になって返ってくると確信しております。
  129. 大久保直彦

    大久保委員 私のお尋ねは、厚生大臣に消費税のレクチャーをしていただきたいと言ったわけではない。厚生省として、過重な負担を強いるこの消費税の導入は、所得税のかからない人たちに過重な負担を強いる、そのために何かなさいましたかということについて、今一万円の手当をつけたと。ことし一万円の手当をつけたかもしれませんけれども、消費税はこれから十年も二十年も続けようとしているのでしょう。一万円つけたから過重な負担を強いたことにはならない、そういう御答弁ですか。
  130. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 厚生省といたしましては、公明党からのいろいろな要望もありまして、その点も参考にいたしまして、福祉年金受給者等に対して今一万円の臨時の手当てをした。さらに在宅の寝たきりのお年寄りに対しましても五万円の一時金を出すことにしている。さらに生活保護者に対しては四・二%のアップをしている。そういういろいろな手当てをして、確かに六十三年度限りではございますけれども、消費税を導入した一時的な物価上昇分とか、それは本当に導入した一時期でありますし、その後の影響というのはほかの税制の減税の方の分もありますし、今回の措置というのは一時の手当てでいいんじゃないか。そのほかいろいろな影響という面は、経済の全体の活性化を考えていく上において、福祉政策を充実させていくという形で対処していけばいいんじゃないかというふうに考えております。
  131. 大久保直彦

    大久保委員 所得税減税云々というお話でしたけれども、今私がお尋ねしているのは、所得税のかからない人たちについて過重な負担云々が竹下総理の懸念として示された。答弁になっていないと思いますが、重ねて厚生大臣に伺います。  それでは、竹下総理の四番目の懸念は、税率の引き上げが安易になされるのではないか、こういう懸念を示されましたが、これについて厚生大臣はどういう所見を持っておられますか。
  132. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 これは厚生大臣が答えるのが適当かどうかわかりませんけれども、竹下総理も再三再四申し上げていますように、竹下内閣の間は税率は引き上げないと言っております。そのとおりだと思います。
  133. 大久保直彦

    大久保委員 これは、内閣の時代というのはどの程度のレンジを考えておられるのですか。
  134. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 これも私が答えるのは適当じゃないと思うのですが、自民党の総裁任期というと長くて二期四年ですから、その四年か――特例があればそうですが、これからはやはりいわば竹下内閣が続く限りということでありますので、それ以上の答弁は私じゃない方がいいんじゃないかと思います。
  135. 大久保直彦

    大久保委員 これから二十一世紀に進み、高齢化社会がますます進展していく、そういう中におきまして、いわゆる所得税をまだ払っておられないそういう方々がたくさんおられる。そういう人についての総理は過重な負担ということを心配をされておる。また、これが三%ではなくて将来どんどん税率が上がっていくのではないか、そういう事態に――竹下内閣の時代だけはこれ以上税率は上がりません、だから何もしなくていいということではないと思うのです。何らこの総理の懸念に厚生省はこたえてないのではないか。何も過重負担を解決する手だてが講じられてない。極めて遺憾なことだと思います。  懸念の五番目は、事業者の事務負担が極端に重くなるのではないかという懸念を総理は示されておりますが、中小企業庁長官、この点については、中小企業庁としては、この事業者の事務負担が極端に重くなるということについてはどういう手だてを講じられましたか。簡単で結構です。
  136. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 中小企業にとりましては、確かに納税事務負担の軽減合理化が行われませんと非常に不安、懸念が大きいということで、私どもといたしましては、消費税の仕組みにおきましても、帳簿方式、簡易課税制度の採用等の簡素化を図っていただくようにお願いし、その実現を見ることになったわけでございますけれども、納税事務負担の軽減に関しまして具体的な対策といたしましては、商工会、商工会議所におきますコンピューターを利用した記帳代行事業の推進、あるいはみずから記帳ができる人たちに対するお手伝いといたしましては、コンピューター、電子レジ導入などに対する低利融資、あるいは関係の団体等を通じます相談指導体制、あるいは税制面におきますコンピューター、電子レジ等の導入に対する全額損金算入を認める特例措置の創設等の措置を講じてまいるようにいたしておるところでございます。
  137. 大久保直彦

    大久保委員 通産大臣、通産省としてはいかがでしょうか。
  138. 三塚博

    ○三塚国務大臣 大体こういうものも一生懸命やりまして、「ハウツー消費税」ということで、第二法人税でありますとか、この消費税施行に伴いまして倒産に追い込まれることがありましては税制の本来の姿ではございません。ただいま中小企業庁長官が言われました事務代行でありますとか事務機の導入でありますとかコンピューターの導入でありますとか、こういうものにつきましては低利融資、さらにそれが損金で全部落ちますよう、もちろん事務機は百万円でありますとかコンピューターは百六十万という上限がありますが、大体それで中小企業の皆さんは網羅されるのではないだろうか、こんなことで措置を講じさせていただいております。  問題は、中小企業は我が国産業のベースでありまして、かねがね公明党及び中道民社党さんからも、この点については、犠牲にさせるということであれば悪政の最たるものだ、こういう御指摘をいただいておることにかんがみまして、普通のベースでありますとなかなか大蔵省というのは出すのを嫌がるものでありますから、年々下降線をたどるという状況でありますが、この際、消費税がただいま前段申し上げましたようなことでありませんように、よい税として肉になり血になるような諸方策はきめ細かな対策が必要であろう、こんなことで代表的なものを二つだけ申し上げましたが、そのほか各種団体等、特に中小企業団体は混乱をいたしておりまして、お気づきの点がございましたらお申し出いただきます、こういうことで措置を講ずることにいたしております。
  139. 大久保直彦

    大久保委員 今の通産大臣の御答弁は、通産大臣の胸の中にある将来こうあるという理想論が今述べられただけでありまして、現状はそんなことではないと思いますよ。現状は、もっと中小企業の皆さんは、この消費税の導入についてその算出から何から大変な思いをしている。この総理の懸念はまだ何ら解消されてない。むしろ、これが一合目から十合目まであるとするならば、今通産大臣は十合目までの話をされましたけれども、現実はまだ一・五から二合目ぐらいじゃありませんか。どうでしょうか。
  140. 三塚博

    ○三塚国務大臣 お答えを申し上げますが、大変その辺のところが心配なものでございますから、小生昨年の暮れ、通産大臣に任命をいただきました機に、まず中小企業諸団体、それから流通業界各位と忌憚のない意見交換をさせていただきました。そこから出されます問題を整理をさしていただきまして、実は通産省内に事務次官を本部長としまして、この導入円滑化についての対策本部、直ちに通産局にこの相談窓口を設けさせていただき、特に中小企業庁長官をキャップといたします、総理に言わせますと、この辺は上級講師になりますものでありますから、よく国税と公取との連携を保ちながら、不安の解消のためにやらさしていただく。既に都道府県において三十県ぐらいやらさしていただいておるのでありますが、その中で二百四、五十件の問題提起がございます。こういう問題提起に一々親切に答弁をさせていただくことにより、なお疑問点につきましては、これに的確に対応していく。外税、内税方式などもございます。また掲示方式もございます。それから非課税、課税業者もございます。そういう諸問題のケース・バイ・ケースについての対応のマニュアルをつくらさしていただきながら、それで御相談をさしていただく。目標に向かって、おっしゃるとおりでありますので、格段の御支援を賜りながら誤りなきを期してまいりたい、こう思っております。
  141. 大久保直彦

    大久保委員 かなり正直にと申しますか、ありのままに御答弁をいただいたと思いますが、とてもこれは四月一日から実施できるにはほど遠いのが今の中小企業界の実態である、このように思います。  農林水産大臣、農水省としてはこの事務負担の過重についてはどういう措置をとられましたでしょう。事業者の事務負担が極端に重くなるのではないか、これが総理の五番目の懸念でございます。
  142. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今の御質問でございますけれども、事務負担といいますか、実際に競りですとかそういった場所なんかでもやっぱり新たなあれがかかります。そういう中で事務的な機器等につきましては助成をする、そういったことについて、これは私ども農林水産関係だけでありませんけれども、全体としてそういう措置がとられておるということであります。
  143. 大久保直彦

    大久保委員 これは、今競りという話が出ましたけれども、マーケット、市場ですな、等々におきましても、また農家のいわゆる出荷につきましても、この消費税の導入によって今現実は当惑し切っておる。どうしたらいいのかということが全くわからない。総理がもう昨年の十月において表明されました懸念が、あれからもう半年近くもたっていながら何らこの問題について各省庁はこたえてない、これが実態ではないかと存じます。  通産大臣、もう一度伺いますが、価格転嫁が難しいのではないか、こういう懸念を総理は新たな懸念として示されておりますが、この点について通産大臣はいかがでございますか。
  144. 三塚博

    ○三塚国務大臣 大変その辺が最大のポイントでございまして、適正な転嫁をいかに御理解をいただいて実行するか、こういうことなわけです。総理のいつも言う、悪法も法なりという法治国家の大原則、しかしながら最初は悪法だと思いましても、懸念と不安が解明をされますれば、血となり肉となり、なるほど経済に活性化をもたらし、我が国財政にプラスをもたらすものだな、こうなるわけでございまして、そのポイントが実は転嫁の問題でございます。  そういうことで、実は業界懇談を私も講師になりまして、両政務次官も地方講師になりまして出向いておるわけでございますが、確実に転嫁が行われるよう、言うなればメーカーに対しましては、下請及びそのパーツ屋さん、こういうものの転嫁を引き受ける、このことを励行いただく。各種業界の皆々様方にこれはお願いを申し上げております。それと、第二点は買いたたきをしない。こういうことの中で適正転嫁が行われるようにしなければなりません。それと、この「ハウツー消費税」というこれ、百五十万部、足らなければなお刷ることにいたしておりますが、これに表示方式を幾つかこのように書きまして、外税、内税もありますが、こういう方式。それで外税の場合は一括にレジスターでバスケットで今度三%打ち込めばよろしいわけでございまして、再販価格の問題については、今書籍組合がどのようにするかということで協議中でありますから、この協議を踏まえてこれに対応さしていただく。あるいは我が店はこれは消費税抜きの価格でありますというふうにポスターを張ることによりお客さんとの信頼関係をとらさしていただく等々、一々申し上げません、時間がありませんから。そんなことどもの中で、まず適正転嫁ができ得ますように、ありとあらゆる努力を、実は通産省、中小企業庁だけではなく、職員一同が講師になっていただきまして手厚く相談に乗っていく、こんなことで業界にも出向かさしていただいておる、こういうことであります。
  145. 大久保直彦

    大久保委員 いろいろ御説明がありましたけれども、現実は、私どもの調査によりますれば、この価格転嫁の問題は非常に大きな深刻な問題である。これが果たしてこの一、二カ月で解決できるというようなことではない。今も必死になって説明をしておるということでありますけれども、とてもこの短期間に説明し切れるような現状ではない、このような報告を受けておりますが、建設大臣、建設大臣の方も価格転嫁の問題は深刻な問題だと思いますが、どのような措置をなさっておりますか。
  146. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 財政当局と違いまして建設省は大まかな官庁でございますから、それほどのいろいろな意味での心配はしておりません。しかし、あなたの言われる懸念という言葉をとらえてみますれば、一般論として消費税を行う上においていろいろな意味での懸念はございます。例えば首都高の各料金の徴収所で、今でさえ車の渋滞が非常に多いのでございます。これを消費税を乗せた場合に、細かいお金の計算になって、どうやってお金を取るか、いかなる手段をとっても料金徴収所での渋滞はさらに大きなものになっていくのではないかというような心配が私にもございます。しかし、これはまた実施時期にまだ多少時間がございますので、関係方面とも折衝させておりますし、またどういうぐあいに徴収するかということも頭を悩ませて検討中でございます。私ども検討中でございますので、大久保書記長、いい知恵がございますれば、私どもにもお教え願いたいと思っておる次第でございます。
  147. 大久保直彦

    大久保委員 建設大臣、これは私の懸念ではなくて、総理大臣が示された懸念なんですね。これが現時点において野党の書記長に知恵をかせというような状況で、果たして四月一日から実施ができるものなのかどうか。私のかしたい知恵はもっとおくらせて始めたらどうか、そういうことでございます。  自治大臣、伺いますが、自治体の持つ懸念、これは昨年の十月十三日、総理大臣がこの税特委で答弁をされた中身でございます。自治体の持つ懸念というのはどういう懸念であるか、私が一々申し上げなくてもよろしいと思いますが、物品税の廃止、消費税の導入、自治体の財源その他いろいろな問題があると思います。公共料金の問題もあると思います。これに対して自治省のとっておられる態度、どういうことでございますか。
  148. 坂野重信

    坂野国務大臣 お答えいたします。  自治体としては、今度の抜本改革によります地方財源の減少、これがまず一つの大きな心配でございまして、もう一つは、この消費税の導入による地方財源の支出がふえてくるんじゃないか、それにどういう手当てをしてくれるか、この二つで大別できるかと思いますが、地方財源の減収の問題につきましては、御案内のとおりに、いろいろな電気税とかなんかの問題がございまして、かなりの減収、三兆円以上の減収になるかと思いますが、これにつきましては、地方交付税の問題あるいは消費譲与税というような問題で手当てをいたしまして、大体交付税の四〇%近いものを地方財源に充てるという手当てをすることになっております。それでほとんどカバーできると思いますが、多少足らない分については、また自然増収等もございますし、交付税の配分の際に、特に地方の財政収支の悪いようなところについては重点的な配分というものをひとつ考えていきたいということでございます。  それから、ふえる方の問題につきましては、地方財政計画をこれから各県でつくりますが、その中において十分ふえる分は見込んでいただくように通知を出しております。それに基づいて地方税等でカバーしてまいるようにいたしたいと思いますので、まあまあ大きな心配はないかと思っております。  以上でございます。
  149. 大久保直彦

    大久保委員 この予算委員会が開かれております直後から地方自治体においては議会が一斉に開始されるわけですね。平成元年度予算についての審議が始まる、そういう今状況にあるわけでございますが、大臣は、今の総理が心配されております自治体の持つ懸念はもうほとんど解消された、今度の地方自治体の議会における予算審議等にも全く心配がない、こういう御見解ですか。もう一度御答弁を求めます。
  150. 坂野重信

    坂野国務大臣 きのう議論がございましたような地方のいろいろな公営企業の問題がございます。東京都等でも若干問題が起きておりますし、それから千葉県等でも知事選の関係がございましてちょっと四月からには間に合わぬということもございます。それから大阪府等でも府営住宅の問題について議論が出ておるようなことがございますが、各地方自治体でもってできるだけこの趣旨に沿って手当てをしていただくようにお願いしておるわけでございますから、まあまあ何とか、多少の例外を除きまして、どうにか措置できるというぐあいに考えておる次第でございます。
  151. 大久保直彦

    大久保委員 時間がありませんので、私は余り総理が自治体の持つ懸念という御発言をされた内容についてここで逐一は申し上げませんけれども、今全国の各県、政令都市、市町村に至るまで、この新年度予算の審議については非常に深刻な問題を抱えておる。自治体自体が持っておる問題はもう大変なものである。今自治大臣が述べられました、いわゆるこの地方自治体の持つ懸念の解消の処方せんは、今若干伺いましたけれども、現実の自治体の体制は総理が懸念をされたその懸念の三分の一もまだ充足されてない、これが私どもの実感でございますが、自治大臣はいかがですか。これから審議始まるのですよ。
  152. 坂野重信

    坂野国務大臣 いろいろ御心配していただいておるわけでございますが、私の感触では、さっき申し上げたように、全般的な問題としては交付税で大体措置できるというように考えておりますし、それから公営企業の問題につきましては、さっき申し上げたとおりでございます。若干の時期的な問題等ございますが、まあ何とか処理できるんじゃないかと思っております。
  153. 大久保直彦

    大久保委員 これは総理、私ども公明党としましては、消費税には反対である、こういう立場から、この消費税が導入されました地方自治体の予算審議に当たりましては非常に難問をたくさん抱えておる。私どもは原則としてこれらの予算にはことごとく反対を貫かなければならない。そういうことになりますと、いわゆる公明党が与党でいるような自治体についてもいろいろ現実的な難しい問題が今惹起いたしております。そういう意味においては、この地方自治体の、総理がまさしく懸念されました懸念は、とてもこの四月一日からの実施ということにはほど遠いのが現状である、これを今しかと申し上げておきたいと存じます。  九つ目の懸念といたしまして、免税点や簡易課税制度を取り入れたことで事業者への課税が不徹底になる懸念。これはいわゆる三千万未満の非課税事業者に消費者が買い物に行きました、その消費税を加算した金額で買い物をした、ところがその金額は払われるのか、納税されるのかどうかということがまだ明確ではない。三千万未満であれば、消費者は税金を払った、しかし、その払った事業者は、その消費者が負担したその税負担分を納税するという確約がない。きのう自民党の総務会長の御質疑の中で、これは一時的な摩擦である、こういう御答弁があったようでございますが、これは今三%だからそういうことを摩擦というようなことで済ましておられるのかもしれませんが、これが一〇%を超えるようなことになったら、とても摩擦などというのんきなことは言っておられませんですよ。摩擦どころじゃない。これは蒸し焼きになりますよ、その事業者は。こういうことについて、これは国税庁長官いらしていますか。――主税局長、ちょっとお待ちください。  それでは大蔵大臣、この点について御答弁を願いたいと存じます。
  154. 村山達雄

    村山国務大臣 詳しいことは政府委員から申し上げますが、これは事務負担を軽減するという問題、そことの接点なのでございます。  そこで、この前の売上税のときに一番大きな問題は、納税義務者であるその事業者が大変な事務負担だ、こういうことがございましたので、そこで今度の消費税においては、事務負担を制度的に少なくする制度をたくさん考えました。  一つは、税額票を出していくというやり方ではなくて、本人の帳簿に基づいてやれるという、これが非常に簡素化になるわけであります。  第二番目が、今言ったような免税点の話でございます。やはり免税点、まあ免税点がどれぐらいあるかといいますと、全体で六割五分、事業者のうちの六割五分、それから個人で言いますと八割三分がそうなるわけでございます。ですから、この人たちはこの消費税によって価格を三%引き上げることによる転嫁をしなくちゃならぬという義務からは免れるわけでございます。  もう一つは、簡易課税方式というのをつくりまして、やはり小さな人につきましては、売り上げからだけ納税額がわかる方式を考えたわけでございます。  もう一つは、課税期間というものを一年にいたしまして、そして今までなれております所得税、法人税の課税期間と同一にしたということでございます。  そこで、今大久保委員のおっしゃいました免税点の人でございます。この人たちはやはり仕入れについてはかかってまいります。ですから、これを転嫁するのは当然でございますが、それを超えてそれ以上に幾らで転嫁するかということはこの人の自由でございます。しかし、恐らくコストにかかった分だけは、仕入れにがかった分は転嫁せざるを得ないと思います。しかし、やはり世の中は価格でございますから、そのときにはやはり課税者と同じ価格の上乗せをする場合も考えられます。その場合に、仕入れにがかったものとその売り上げとの差額、つまりマージンに対してその場合は三%だけ余計入るじゃないか、こういうことでございますが、これは第一に非常に零細なものでございます。それから第二番目には、その人といえどもやはり消費税の導入に伴いまして事務費が出てきます、コストにかかってきますから。そうすると、その事務費を引いたところで、果たして仮に三%上乗せしたとしても残るであろうかどうかという問題がございます。もし残ったとしても、もしその人が所得税なり住民税を、納税義務者であれば、その分は国庫に入るわけでございます、所得税、法人税がかかるわけでございますから。そういたしますと、さあ全体の納税、その事務負担を減らすためにこれらの制度を設けた方がいいのか、あるいは今先生がおっしゃるような意味で、公平、厳密な公平という意味からそれらの制度を設けない方がいいのか、こういう選択の問題になるわけでございますけれども、我々はやはりいろいろな角度から考えまして、この程度のことはやむを得ないんじゃないか。もしそいつを、もし免税点を設けないようにいたしますれば、事務負担がふえることによりまして、逆に言いますと、その分まで、事務負担の増加に伴う分だけまたはね返すわけでございますから、価格が、価格全体としては消費税が予定する以上に上がる懸念さえあると思いまして、両者の間に立ちまして、事務負担の軽減の方に重点を置いた結果、今のようになるのでございます。
  155. 大久保直彦

    大久保委員 今の大蔵大臣の御答弁は三%ということを固定していろいろ理論をめぐらしておられる。その今の御答弁の範囲においては私も今のお話が理解できないものではありません。ただ、大蔵大臣、デンマークはこの消費税は一〇%から始まって現在二二%になっておるのですな。スウェーデンは一一・一%から始まって現在二三・四六%、約四分の一ですね。またオランダは一二%から始まって現在一九%等々、この間接税の税率は非常に高いのです。今三%ということをフィックスしていろいろなことを考えておられますけれども、この消費税が我が国で導入されましたとき三%から始まった、それがこれ以上に税率が改悪されない、税率がアップされない、そういう何か歯どめなり保証がありますのでしょうか。
  156. 村山達雄

    村山国務大臣 この三%というのは、本当に詰めに詰めて三%に最終的に決定させていただいたわけでございますが、既に総理が施政方針演説でも述べましておりますように、竹下内閣においては、これは上げませんということが一つ。  それから何といっても最大の担保は国会だろうと思うのでございます。この三%で非常に問題になるわけでございますから、これを上げるなんて言ったら、これは大変なことになるであろう。やはり国会の合意を得られなければ、これは上げられないことは当然だろうと思います。  それから、日本の経済規模が非常に大きくなっておりますから、三%でも相当の税収が上がるということも考えていかなければなりません。  我々はやはり今後これを守るためには、二つあるだろうと思います。一つは、やはり今のインフレなき持続的景気を拡大していくということ、それからもう一つは、やはり行財政改革をしっかりやって、むだな経費がかからないようにして、そしてこの三%などというものを上げなくちゃならぬというような話が出ないように、しっかりしたやはり財政運営をしていくことであろうかと思っておるのでございます。
  157. 大久保直彦

    大久保委員 これは大変失礼な言い方になるかと存じますが、大蔵大臣の希望的な観測を述べられておるのであって、現在の税体系の中でこの税率が三%のままでずっと推移するなどということは、だれも本気で考えてないのではないか。むしろ消費者の方がいろいろ諸外国の実例を円の当たりにしまして、最近は外国へ行っている人が多いですからね。そこで買い物をされたりするような実態に接して、早晩日本の消費税も三%というのは竹下内閣のときだけだ、それが過ぎればあたかももう税率が変わるようなことを示唆しておられる。これではとても私たち国民、庶民はこの消費税になじむどころか、そんな先行き不透明な税率は、もしこの四月一日に導入されれば大混乱になるのではないか。先ほどから私が列挙しております総理みずからがおっしゃった六つの懸念、またそれに追加しての三つの懸念、延べ九つの懸念につきましても、担当省庁におきましては、私たちはもっともっと宣伝されるかと思っておりましたが、私が期待した答弁の半分も返ってこない。こういう実態でこの消費税が導入されれば、本当に国民はこの税に対する信頼も理解もないままに三%の上乗せされた価格で物品の購入をいたさなければならない、またサービスに対する対応を行わねばならない。こういうことは非常に私は国民的な混乱を招くという意味から大変重大問題であろうと思います。  私ども公明党は、かねがねこの税制の改革については、まず税制改革基本法というものをつくろうではありませんか、将来どういうふうに変わっていくかという、その基本法をつくろうではないか、それまでにいわゆる不公平と言われている税制の見直しを行おうではありませんかということを長い間叫び続けてまいりました。しかし、土地税制を初め、または引当金や準備金などの租税の特別措置並びに公益法人、さらには赤字法人課税等々の問題、何にも解決されないままにこの大型間接税が導入されてしまった。  私は、そのことについての暴挙を今ここで繰り返すつもりはありませんけれども、この間接税が諸外国におきましては、いわゆる実施までの時間を十二分にとって税制の転換をいたしておる。アメリカは十八カ月という準備期間を設けましたが、結局実施をしないままで終わっております。またヨーロッパ各国においては最低半年以上の準備期間を設けてやっておる。それも、それまでにいわゆる間接税の仕組みを、山で言うならば八合目まで盛り上げておいてからの六カ月間の準備、七カ月間の準備でこの大型間接税は導入されておる。そういうことに比べますと、我が国の場合は全く間接税については白紙に等しい。そういうところから、今各省庁が抱えておる問題も全く未処理である、国民に対する何ら安心を与えるような状況になっていない。ここでたった三カ月の間にこれだけのものを導入しようとする。これは総理、大混乱が予想されますよ。非常にこれは心配であります。最低この消費税を実施するについては一年ぐらいの時間をかけて、よく研究をして、それから実施するかどうかをもう一度見直してもおかしくないほどのこれは大変な問題である。国民は朝から晩までこの消費税とつき合いながら暮らしていくのでしょう。その一々一々に国民の理解がなくてなぜ日本の税制が成り立つのでしょう。総理の御答弁を求めたいと思います。
  158. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私はこのいわゆる税制論議、これは昭和五十三年度税制調査会の答申のときに、いわゆる一般消費税(仮称)、この問題が論議されてから本当は国会の場では十年議論されてきたというふうに思っております。  ただ、自分で時に、さはさりながらと思いますのは、その間の大半を私が大蔵大臣をしておった、だから自己体験からそういうことを言っているのじゃないかという反省もしたことは事実でございます。しかし、いかなる税も、新税というものは必ずこれは不安とか懸念を伴うものでございます。したがって、私があえて懸念、六つの場合、あれは五つと六つ目とをひっくり返せばなおよかったというように今思っているんでございますけれども、そして七つ、八つ、九つと申しましたのは、国民の皆さん方が抱いていらっしゃるであろう懸念を、私が、このようなことがあるではございませんか、だからこれに対しては、このように対応していきますと、一つ一つ初級講師的な立場でありましたが、説明してまいりました。そうして今度は、それをさらに具体的に今日、いわば業種別、本当に単品別に当たっておるのが今日でございますので、一時的なふなれというのは私はもちろんあると思いますが、可能な限り早く国民の暮らしの中に定着していくためには、早ければ早いほどいい。その意味において、いわば年度の切れ目であります四月一日というものをお願いをしておるわけでございますので、御理解と御協力の中に、これが国民の皆様方の暮らしの中に定着していくならば、かつて言われましたように、新税は悪税なれども、定着することによって必ずや良税と理解してもらえることがある、私はこのような考え方に立って、きょうもいい話を聞きました。こういう議論を重ねてさえおれば、一つ一つが解決して前進していくものであろうと思いますだけに、この問題だけは一年延期するというような御提言に対して同意するわけにはまいりません。
  159. 大久保直彦

    大久保委員 私が総理みずから懸念されました諸問題についてお尋ねをいたしましたが、今の各省庁からの御答弁を伺っておりますと、時間がたてば解決するという問題もあるかもしれません。しかし、幾ら時間を費やしても解決できない問題も多々あると思います。それはそのまま国民の不安となって生活に重くのしかかってくる。そういうことを考えますと、この四月一日の実施は余りにも拙速である。アメリカですら、十八カ月の準備期間を用意したけれども、最終的にはこれは廃案になっております。そういう事例も考えますと、私ども、この消費税の実施は最低一年間凍結をして準備を重ねるべきであり、その結果、実施についても改めて見直すことがあってしかるべきであると重ねて総理に申し上げておきたいと存じます。  私に与えられました時間があと二分しかありませんので、今回我が党が二十一世紀を展望いたします新しい人間的福祉社会の構築というトータルプランをつくりました。これは一口に言えば、物、金中心主義から人間中心の世の中をつくろう。ゆとりのある生活、選択のある生活、触れ合いのある社会をつくりたい。二十一世紀は単なる二十世紀の延長ではない、一〇〇〇年の大台がわりである。いわんや、私ども昭和を終えて今平成という新しい年に入っておる。こういう時代に臨みまして、端的に物、金中心から人間中心というのは、交通標識一つにしましても、「飛び出すな車は急にとまれない」というそういう時代はもう終えなければならないのではないか。「気をつけろ子供が急に飛び出すぞ」というような意識に立ったそういう世の中をつくらねばならないのではないか。そういう意味では、社会的弱者と言われる方に手を差し伸べているだけの福祉はもう終わらなくてはならない。いろんな条件を持って生きている方々がその条件を公平に生きる社会をつくらねばならない。そういうことを提案いたしますために、今回福祉トータルプランというものを発表させていただきました。  時間がありませんので、概括的、総括的に総理にただいま私の申し上げました諸般の問題についての御意見、答弁をいただきまして、私の質問を終わらせていただきたい、このように思います。
  160. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 前国会において、先ほど御指摘がありましたいわゆる税制改革の基本法というのを御提出になりました。これは私との間の差は、言ってみれば、ある種の手順法であって、その早いか遅いか帰結するところは一致するであろう、こんな感じでもっておりました。  今回、拝見させていただいております、いわゆるノーマライゼーション、こういうことを考え方の中心とする二十一世紀トータルプラン、私の言葉で言うならば終局の福祉、こんなことを言われたんだな、こういうふうに思っております。  したがいまして、ノーマライゼーションというものは、今もお話しになりましたように、私なりに一度答弁をしたのを読み返してみますと、割にいいことを言っているなと思いました。「基本的に言うならば、ノーマライゼーションというものは、高齢者であれあるいはお体の悪い方であれ、そうしたハンディキャップを背負った人たちが存在しておるということを対象にしていろいろな施策を行うのでなく、その方々が社会の中にいらっしゃることがノーマルな状態だという前提の上に立って、」行われる「ある種の大変な意識転換でございましょう、」こう申しております。今でもその考え方の上に立っております。  したがって、このいわゆる「トータルプラン(未定稿)」の分を拝見させていただきまして、人間的福祉社会を築く五原則でございますとかあるいは五つの社会像、七大改革、これに恐らく苦悩していらっしゃるのは、この上に財政措置というようなもの、経済の見通しと財政の見通しとくっつけたら、これが「未定稿」の「未」がとれるなという感じを私自身持たせていただきながら、将来大いに議論をしながらも、これが終局の福祉の青写真というものが描かれていくことが好ましいことである、私自身そのように思っております。
  161. 大久保直彦

    大久保委員 残余の問題につきましては同僚委員に譲りまして、私の質問はこれで終わらせていただきたいと思います。
  162. 大野明

    大野委員長 これにて大久保君の質疑は終了いたしました。  次に、永末英一君。
  163. 永末英一

    永末委員 私は、民社党・民主連合を代表いたしまして本日の質問を行いますが、まず、昭和天皇の崩御に対し、謹んで哀悼の意を表します。  さて、来週には御大喪の儀が行われるのでございますが、私どもはこの御大喪の儀に参列をいたす用意をし、そして昭和天皇をお見送りいたしたいと存じております。  我が日本国憲法におきましては、天皇は日本国の象徴であり、また同時に日本国民統合の象徴であると定められております。天皇の崩御に際しましては国家的儀礼を行うべしということが皇室典範で法定せられておるのは、まさに天皇を象徴として持っておる我が国の特色ではないかと思います。  しかも、この天皇の地位は世襲であるということが憲法に定められております。すなわち、天皇のこれらのことに関する儀礼というものは、この第二条の世襲という規定とあわせ考えますときに、天皇が古来から伝統として引き継いでこられた歴史的な数々のもの、これらのことと不可分の関係にある、こういうことで事が動いているのではないか、あるいは、また進めなければならぬのではないか、このように我々は考えておりますが、総理はどうお考えでありますか。
  164. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 ただいまの御意見に私は基本的に同じ意見でございます。憲法の精神を体しながら、皇室の伝統というものを最大限尊重してことごとくの行事を行うべきものである、このように考えております。
  165. 永末英一

    永末委員 今回の御大喪儀に関しましては、本年度予算におきまして皇室費、宮廷費、その他に計上されておると承知をいたしておりますが、間違いございませんか。
  166. 村山達雄

    村山国務大臣 そのとおりでございます。
  167. 永末英一

    永末委員 その根拠は、憲法八十八条に「すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。」と書かれております。これに基づくものであると存じますが、それでよろしいか。
  168. 村山達雄

    村山国務大臣 そのとおりでございます。
  169. 永末英一

    永末委員 この御大喪儀の中には、当日行われます葬場殿の儀の費用もここから支出されるものであると承知しておりますが、間違いございませんか。
  170. 村山達雄

    村山国務大臣 そのとおりでございます。
  171. 永末英一

    永末委員 憲法八十九条には、公金は宗教の用に供してはならないという、いわゆる政教分離の原則、公金使用の限界というものが明記されております。間違いございませんね。
  172. 村山達雄

    村山国務大臣 そのとおりでございます。
  173. 永末英一

    永末委員 今申し上げました二つのことを並べ考えますと、葬場殿の儀の費用は、これは憲法八十九条とは無関係な支出である、こう解してよろしいね。
  174. 味村治

    ○味村政府委員 憲法第八十九条に、国の公金を宗教上の団体もしくは組織のために支出してはならないというふうに規定してあることは御指摘のとおりでございます。  ところで、天皇が崩御されました場合、先ほど御質問からございますように、皇室においては大喪儀を一連の儀式として行われるわけでございますが、天皇は日本国の象徴であり、かつ日本国民統合の象徴でいらっしゃいますから、天皇の御葬儀は皇室が行うものでございましても、国民的敬弔、謹んで弔うという意味で、その対象として公的性格を有しますので、そのような公的な性格に着目いたしまして、その御葬儀に必要な費用を国費をもって支弁いたしましても、これは憲法に違反するものではないというふうに考えております。
  175. 永末英一

    永末委員 私がお伺いいたしておりますのは、憲法八十九条は、我が国のいわゆる宗教の用を果たしているいろいろな団体がございますね、あるいはいろいろな行事等がある、そういうものに公金を出してはならぬと規定してあるが、葬場殿の儀はこのらち外の話であるかということをお伺いしているのです。お答え願いたい。
  176. 味村治

    ○味村政府委員 憲法八十九条に規定しております宗教上の団体もしくは組織のために支出するということにつきましては、これは特定の宗教団体なり宗教組織、ここに支出するんだという説と、それから、およそ宗教上の団体もしくは組織でなくとも、宗教的な事業と申しますか、宗教的な事業のために支出することも含むんだ、そういうことも憲法八十九条によって禁止されているんだ、こういう両説があるわけでございます。ただいまのところ最高裁判所の判決は、その点につきまして、いわゆる地鎮祭の判決におきまして、地鎮祭における若干の支出した金が、これは憲法八十九条に触れるのではないという理由といたしまして、特定の宗教団体に対する財政援助に当たらない、こう申して、こういうことを理由にいたしております。  ただ、それが非常に簡単な判示でございますので、先ほど申し上げました両説のうちで前説、すなわち特定の宗教団体もしくは組織のために支出したというふうに解するという前提でできているのかどうかということについては、私ども若干まだ確定的なことを申し上げかねるのでございますが、いずれにいたしましても、どちらの説をとりましても憲法八十九条には違反しない、こういうふうに考えている次第でございます。
  177. 永末英一

    永末委員 憲法八十九条には違反しないということは、葬場殿の儀なるものは、その関係ありと思われる。何かの関係あるんですか。そこを明確にひとつしてください。  私はないと思う。憲法上明らかに条章を挙げて、国会の議決によりその費用は支出できるという、その規定に従って我々はこの予算を審議し、私はこれに賛成しなければならぬと考えております。したがって、その儀が何か八十九条にかかわりがあって、それを考えなければならないのだなどという懸念を与えるような答弁は私はおかしいと思う。はっきりお答え願いたい。
  178. 味村治

    ○味村政府委員 私が申し上げましたのは、憲法八十九条につきまして解釈上両説があるということでございまして、最初の説に立てば問題はないという考えもできますし、後の説に立てば、葬場殿の儀、これは宗教的な色彩を持つということは争えませんので、それについての疑念というのが後の説に立てば起こり得るかもしれませんが、しかし、先ほど申し上げましたように、この天皇の大喪の儀は国民的敬弔の対象でありまして、公的な性格を有しておりますから、そういう公的な性格に着目して公金を支出するわけでございまして、憲法上問題はないということを申し上げているわけでございます。
  179. 永末英一

    永末委員 私は今葬場殿の儀の費用の支出根拠について伺いましたが、しかし、我が象徴天皇家は年々国会が議決をした予算でもってやっておられる。その中には、内廷費の中ではいろいろな儀式が行われておるのであります。したがって、その根拠が八十八条であるならば、八十八条によって国会が議決した費用を一々八十九条に関係づけて考える必要はないのではないかと私は思いますが、法律の物の考え方について、その点やはりはっきり国民に政府の見解として言っていただかなければならぬと思います。総理、どうですか。
  180. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 法律の専門家でないということは前提でございますが、私も皇室会議等にかねてから出席をいたしております。したがって、国会で議決された予算というものが執行されるべきものであって、いわゆる憲法八十九条の問題は、宗教という問題に関する別途な議論である、私はそのように受けとめております。
  181. 永末英一

    永末委員 ただいま総理が別途の議論であると言われた。私もそう思うのです。そうでなければ、この葬場殿の儀、それから大喪の礼等が同じ場所で行われるについていろいろな論議が行われる。日本国憲法下の国民としてはさらっとした気持ちでこれに参加するのは私は正しいあり方だと考えております。  さて、それでは、大喪儀が行われる法律的根拠は何でありますか。
  182. 味村治

    ○味村政府委員 大喪儀は皇室の行事として行われるわけでございまして、皇室がどのような行事を行われるかということについては特に法律の規定を必要といたしませんで、皇室の定められるところに従うわけでございます。
  183. 永末英一

    永末委員 先ほど取り上げました葬場殿の儀も、明文の法律ではなくて、今のような皇室がとり行っておられる一連の伝統的儀式の一つとして皇室が決められるものである、こう解釈してよろしいか。
  184. 味村治

    ○味村政府委員 仰せのとおりでございます。
  185. 永末英一

    永末委員 憲法二十条第三項には、「国及びその機関は、」飛ばしまして、「いかなる宗教的活動もしてはならない。」こう書いてございます。そこで、葬場殿の儀の費用の支出の根拠が、先ほど総理も言われましたように、憲法八十八条にあると読んでまいりますと、この二十条第三項に書いてあることと関連いたしますと、葬場殿の儀に参加している国並びにその機関、これは宗教的活動をしておらぬのでしょう。
  186. 味村治

    ○味村政府委員 まず申し上げておきたいのは、葬場殿の儀は皇室が行われる行事ではありますが、それは国またはその機関が行う行事ではございませんので、したがいまして、憲法二十条三項で禁止しておりますのは、国及びその機関が宗教的活動を行うことを禁止しております。したがいまして、皇室が行われます宗教的行事は憲法二十条三項には該当いたしません。葬場殿の儀は宗教的儀式ということは否定できないところでございますが、しかし、憲法二十条三項の禁止には、ただいま申し上げましたように皇室が行われるわけでございまして、国またはその機関が行うわけではございませんので、憲法二十条三項に違反しないということでございます。  それからもう一点、その宗教的な儀式に内閣総理大臣あるいは外国の元首が参加、参列されるということは、これはどうかということでございますが、外国の元首が参列される場合には、それは外国の元首の、その当該国の憲法の規定によるわけでございまして、我が国の憲法の適用はもちろんございません。  それから、総理がそのような葬場殿の儀に御参列になるという場合も、これは先ほど申し上げましたように、皇室の行われます葬場殿の儀が国民的敬弔の対象だということで、公的性格を持っておりますから、亡くなられました昭和天皇が日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であるという、そういうことにかんがみまして、総理総理としての資格におかれまして昭和天皇に哀悼の意を表し、さらに御遺族であられます現天皇陛下を初めとする皇族の方々にお悔やみを表するという趣旨で参列されるということは、これは総理として儀礼を尽くされるゆえんのものでございまして、決して特定の宗教を援助、助長するというようなことにはなりませんので、憲法二十条三項に違反することはない、このように考えておる次第であります。
  187. 永末英一

    永末委員 私の伺いたいのは、憲法第二十条三項は、葬場殿の儀のいろいろな行事がございましょう、所作がございましょう。それに従事しておるのは国の公務員でございますね。その人が宗教的活動をしておるということはないのでございましょう。お答え願いたい。
  188. 味村治

    ○味村政府委員 宮内庁の方が葬場殿の儀のお世話を申し上げるわけでありますが、これはあくまで皇室の行われます葬場殿の儀という儀式をお手伝いするわけでございまして、これは宮内庁法に基づく宮内庁の仕事でありまして、宗教的活動には該当いたしません。
  189. 永末英一

    永末委員 天皇が崩御されましたときには、今行われておりますような一連の公の行事がございます。  さて、諒闇が明けますと、今度は舞台が変わりますが、いわゆる即位の大典が行われるはずだと思います。即位の大典というのは、まず最初に、大行天皇崩御の直後に践祚という儀式があり、そして、今のように一定期間をあけまして即位の礼があり、そして、古来の伝統によりますと大嘗祭が行われると聞いております。したがって、この践祚と即位の礼と大嘗祭、この三つの儀式でもって天皇の地位の完全な承継が行われるのだと聞いておりますが、それでよろしいか。
  190. 味村治

    ○味村政府委員 皇室典範二十四条は、皇位を継承したるときは即位の礼を行うと規定しておりまして、その即位の礼をこのたび行われることになるわけでございます。皇室典範の即位の礼はどういう内容になっているのかということにつきましては特に規定がございませんで、それは憲法の趣旨及び皇室の伝統を尊重いたしまして、内閣内閣の責任において決定する、このようなことになっているわけでございます。  そこで、先ほど剣璽等承継の儀及び即位後朝見の儀、これを即位の礼の一環として行いましたが、さらに先例に徴しますと、御指摘のように即位の式典、それから大嘗祭というのが皇室の伝統として行われております。そのような式を今後どのように取り扱うか、どのようなふうにするかということにつきましては、昨日も総理がお答えになりましたが、即位の礼委員会というような委員会をしかるべき時期につくって今後検討するということになろうかと存じます。
  191. 永末英一

    永末委員 大嘗祭が行われるという場合には、葬場殿の儀に対する費用支出と同じ法律上の性格を持つ費用支出であれば、同じ形でございますから、そういうことは法律上あり得ると考えてよろしいか。
  192. 味村治

    ○味村政府委員 葬場殿の儀は御葬儀の関係でございますし、大嘗祭は皇位を継承されましたこれはおめでたい式になるかと思います。そういう意味で性格が違います。  さらに、大嘗祭につきましては今後即位の礼委員会で検討するということになっておりまして、その大嘗祭の性格等につきましては、即位の礼委員会等におきまして十分な検討を加えるということになりますので、国費の支出がどのようになるかということについては現段階では申し上げかねる次第でございます。
  193. 永末英一

    永末委員 悲しみとお祝いとは性格が違うと仰せられたが、私はそんなことを聞いているのじゃなくて、我が国会が議決をするその問題について、その支出の根拠について伺い、その支出の根拠は同一であるならば支出は可能であろうか、こういうことを申したのであります。大蔵大臣、どうですか。
  194. 村山達雄

    村山国務大臣 大喪の礼、それから大喪儀について今お答えがありました。即位の礼の儀式のあり方につきましては、大嘗祭を含めまして今後慎重に検討されるものと承知しております。  なお、皇室典範に規定する即位の礼は国事行為として行うと予定しているものであるから、その費用は当然国費から支出される。それで、今の点は慎重に検討するということだと聞いているものでございます。
  195. 永末英一

    永末委員 まだ決められてないことでございますから慎重に検討ではございましょうが、一番最初に、我々が象徴天皇を捧持しておる、そしてその象徴天皇というのは世襲によって認められる地位であるということを総理大臣も確認を願いましたが、そしてこの大嘗祭も今根拠法はない、かつてありましたが、それはなくなっておる。そうしますと、今までの歴史的な伝統等を勘案して考えていく。旧皇室典範におきましては、即位の礼と大嘗祭は京都において行う、こういうことが規定してございました。この旧皇室典範、今はございません。そのような経過というものは大嘗祭を考えるときに私は参考にせられてしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  196. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 皇室の伝統を最大限に尊重してということを当然のこととして、即位の礼等におきましても申し上げるのは当然のことであろうと思っております。しかし、実は委員会の問題も、まだつくられたわけではございませんが、私がいわば予告したような感じになったわけでございます、率直に申しまして。その委員会におきまして検討をすべき課題だというふうに考えております。
  197. 永末英一

    永末委員 まだつくられていないものに対して総理大臣が予断を及ぼすようなことはあなたはやられない御性格だと思います。しかし、今我々がそのさなかにおります大喪に関する一連のこと、それはやがては即位に関する一連のことに変わっていくわけでございまして、そしてまた、日本国憲法を持つ我が国にとりまして、また国民にとりまして最も重要なこれは儀式であり、日本国のアイデンティティーが国内外に示される重要なことでございますから、慎重にお運びを願いたい、要請をしておきます。  次は、リクルートに関する疑惑の点であります。  二月十四日、我が党の塚本委員長が本会議におきまして、この件につきましてこのように述べました。塚本委員長自身がリクルートコスモス社株取得にかかわったことが国民政治に対する不信をかき立てられる結果を招いたことについて、国民の皆様に対して心からおわびを申し上げる、そして自分が民社党委員長の職を辞する決意を明らかにいたし、みずからを厳しく律した塚本委員長が、言葉を改めて竹下総理にこう申しました。このままでは政治不信がそのまま政党政治の崩壊につながることを憂慮いたしまして、このままで放置しておけないことだけはよくおわかりだろうと述べ、総理自身を含め、日本の政界のためにどのような解明とそれに基づくけじめをつげるのかと問いました。  あなたはこれに対して、深くこうべを下げたいという気持ちでいっぱいであると申されて、身を引き締めた姿勢のようでございますが、どういうことであるかと耳を澄まして承りますと、政治家一人一人が倫理を守り得る環境を整備することが必要。どういう環境か、全身を耳にして聞いたのでありますが、政治改革をやって定数を一名削減するのだというような話でございました。これでは、一党の責任者が身を挺して日本の今政界、政治に対して覆われている国民からする黒い雲、これを切り開いて明るい政治環境をつくろうという思いであなたに伺った、その成果があらわれていないと私は思わざるを得ない。あなたの考えを再びお伺いしたい。
  198. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 塚本委員長と私は昭和三十三年、一緒に本院の議席を得たわけであります。したがって、塚本委員長から、自分の言葉で自分の考え方を述べる、君も自分の言葉で考え方を述べられるようにというお話が、直接ではございませんが、私の耳に届いてまいりました。あるいは述べてくれるだろうという期待感もあったかもしれません。私も熟慮いたしまして、したがって私が申し上げたのは、熟慮の上みずからの身を処することとされたということに対して深くこうべを下げたい気持ちでありますと、これは私なりに万感こもごも、率直に言ってそれが私自身の言葉として申し上げる、一生懸命、しかもそれが表現の上ではそれ以上にも以下にもならないというつもりで申し上げたわけであります。しかし、その後、きれば君自身の問題についてということについて、今御指摘ありましたように、そのことに具体性がなかったという御批判をちょうだいするといたしますならば、私もそのとおりであったであろうというふうな反省をいたしました。  まず、私自身思っておりますのは、やはり政治家あるいは具体的に国会議員になるということは、両院においてそれぞれ議決されております倫理綱領を守る中に、みずから奉仕者としての位置をそこの中へ埋め込んでしまうということだと思うのであります。その範囲を出た場合は、やはり政治家でない職業につくべきだというふうに私は考えました。しかし、そうは申しましても、今の政治不信の環境というものを一刀両断にこれで解決したということはなかなか難しかろう。  そこで、行政府の立場にあります私としては、国民感情とは時に少しかけ離れておるではないかと言われるとしても、お互いが政治倫理綱領を守れないような誘惑もございましょう、そうしたものを除去していく環境を地道に積み上げていかなければならぬ。そこで議論をしていくと、政治資金規正法の問題になり、公職選挙法の問題等にこれも至っていくであろう、あるいはもろもろ提案があっております倫理法とかいろいろな議論がございますが、それらも含めて政治改革という観点からこれをとらえることが、よしんば地道であろうとも、政治の信頼を回復するためにとるべき、今私に与えられた責任だ、このように感じておる次第でございます。
  199. 永末英一

    永末委員 今総理は、我々がつくりました政治倫理綱領、これに身を浸して身を処していく、これがいわば始まりのようにおっしゃられました。この議会の運営を見ておりますと、私は倫理審査会の一員でございますが、何かの問題を野党側から提起をいたしますと、多数決で葬るんだという非常な雰囲気が出てくるのですね。いかぬことですよ。我々の方に国民に明らかにすべき点があるならば、結果は別として、やはりこの政治倫理審査会が有効に機能し、動いていくということで初めて国民が議会の自浄能力を認めるのでありますから、あなたは今内閣総理大臣として座っておられますが、あなたの党は、国会で野党側がこれを動かして何とか議会の自浄能力を示そうとすると、多数で葬るのだという気構えでやってくるのですね。僕はいけないことだと思う。あなたはどう思いますか。
  200. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 そういう気構えでやってくるんだという御説でございましたが、やはりこの問題につきましては、国会自身の問題だというお答えを飛び出すことは、行政府の立場にある今、私から申し上げるべきではなかろうと思います。
  201. 永末英一

    永末委員 何度もあなたは伺われたことでございますが、リクルート疑惑、リクルート問題というのは国民にとって何でありましょうか。あなたはあちらこちらの委員会で、一つは証取法だ、一つは税法だ、一つは刑法だ、最後は倫理の問題だと、こうおっしゃるが、国民にとりましては、証取法や税法やあるいは刑法等の問題よりは、まさに政治家の倫理そのものの問題、それをもう少し開いてみれば政治と金、政治家と金の問題、これをはっきりしてほしいというのがリクルート問題に対する国民の大きな疑惑の焦点ではないかと思います。あなたはどう思いますか。
  202. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今国民の皆さんが政治に対する不信感をお持ちになっておる点は、大要して言うならば永末委員がおっしゃっておるとおりだと私も思います。  ただ、行政府の立場から、この問題についての解明がたびたび言われますので、私は四つに分析して、ただし、第一と第三は被疑事実の中へ入ってまいりましたので、あるいは混同する傾向もございますけれども、あの当時そういうふうにしてお答えいたしましたのは、行政府としての立場からすればあのような分析を示すべきものであった、が、今の政治不信をいかに考えるかということにつきましては、永末委員のお考えと一緒でございます。
  203. 永末英一

    永末委員 国民がこの問題に対して考えている雰囲気、それは世論であります。世論は目では見えませんが、その世論の重さ、強みあるいはすごさというものは、政治家であればだれでもこれは感じることであると思います。その世論にこたえて行動すること、これが政治家、政党のやらねばならぬことだと思います。  さて、総理に伺いたいのは、昨年の十二月以来、宮澤大蔵大臣辞任をされました。その理由は、つづめてみますと、国会での説明が的確でなかったということを言われているようであります。また、内閣改造後四日にして長谷川法務大臣が辞任をされました。これは宮澤大蔵大臣とは異なり、株の譲渡には関しておりません。ただ、政治献金の問題に関しまして、このままで法務省の仕事にいささかも陰りを残してはならない、こういうことで辞任されたように承っております。さらにまた、一月足らずして原田経企長官が同じく政治献金の問題で辞任をされました。この理由は、国会に迷惑をかけてはならぬというのが理由のようでありました。私は直接聞いたのでございません。新聞で語られたことを読んでこうかなと思うのでございますが、このそれぞれの理由を総理はお認めになったのですか。
  204. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 任命権者たる私に対する辞職願というものは、今般都合によりとかいうふうな書き方になっておるわけでございますが、それは別といたしまして、私は御三方の辞意表明というものを、辞意を素直に受けとめましたのは、私、任命権者として信頼申し上げておるからこそ任命申し上げたわけでございます。その方がみずからの判断で辞任すべきだと言われた場合、御三方ともに、永末さんもそうでございますけれども、私よりも先輩でございます、したがって、その進退を私としては信頼して、素直に受け取るべきだ、このように感じた次第でございます。
  205. 永末英一

    永末委員 この三人の責任をおとりになった理由を申し上げましたのは、国会における説明が的確でなかったということ、これは竹下さんがいろいろな委員会で言っておられることにも該当しないのかな、法務省の仕事にいささかの陰りも残しては大変だとお考えになった長谷川さんの場合、この法務省の仕事を内閣の仕事に置きかえますと、竹下さんもこのことをお感じになっているのかな、原田さんの場合は国会に迷惑をかけてはならぬというようでございましたが、これまた竹下さんもこういうことを感じておられはしないのかな、こう思いました。いかがですか。
  206. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私自身の問題ではないにいたしましても、周辺におきまして国会でいろいろ議論をいただいておることが実存しておることは事実でございます。少なくとも、そういう議論をしていただいておること自体、国会に御迷惑をかけておることであるというふうに思っております。
  207. 永末英一

    永末委員 昨年来の委員会における竹下さんをめぐるいわゆるリクルート疑惑に対してあなたがいろいろ言われました。  このたび、検察当局はこの件にメスを入れまして、起訴者を出しました。そうして、報ぜられるところによりますと、株の配付というのは手当たり次第に江副被疑者がやったんではなくて、ちゃんと目的を定め、照準をして配った、このように報道されております。そうして、この非公開株の公開直前に株を譲渡して、その値上がりが確実に予測せられるような状況の中でそれをやれば、これは現金の授受と同じだ、したがって職務権限のある者にこれがなされれば贈収賄罪が成立する、こういうことで起訴されたのではないかと思います。法務大臣、お答え願いたい。
  208. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま逮捕しておる事実でございますけれども、これは、一般的に現金と同じという表現を使われる方がございますけれども、やはり前の最高裁の判例に従いまして、要するに一般人が手に入れられない、かつ値上がり確実な株という利益を受けたということで逮捕、勾留して、現在取り調べ中でございます。
  209. 永末英一

    永末委員 前段の方はどう判断しておられるのですか。  我々が証人喚問で江副氏をこの場所へ呼んだときには、全く恣意的に、何ら目的的な選択ではない、こういう印象の答弁を、証言をやられた。しかし、どうもこのごろの新聞報道によりますと、そうではなくて、きちんと計算をして、そうして配付したんだ、こういう報道がありますが、あなたの方はどう見ておられますか。
  210. 根來泰周

    根來政府委員 検察官が被疑事実として認定している事実は、式場あるいは長谷川に関する限りは、そういう恣意的なことではなくて、一定の意図を持って株式といいますか、株式を譲渡した、この二人に関してはそういう心証で現在取り調べているところでございます。この事実は、結局は証拠によって認定できるかどうかということにかかっているわけでございまして、その点は将来の問題になるわけでございます。
  211. 永末英一

    永末委員 本日、鹿野茂元労働省課長が収賄容疑で逮捕されたようでございまして、その収賄の、何の収賄であるかよう知りませんけれども、今あなたのおっしゃったのは、今の二人は一定の意図を持った株の配付の対象である、その他はわからぬということですか、その他もそういうものである、こういうことですか。
  212. 根來泰周

    根來政府委員 その他の問題については現在検察庁としては何ら申していないわけでございまして、我々もそれについて何らコメントする立場でございませんので、御了承願いたいと思います。
  213. 永末英一

    永末委員 先年の委員会におきまして、我が党の川端議員が竹下さんに関する問題に触れまして、この株の譲渡というのは実質的には現金の贈与と思われるがどうだと問いましたところ、竹下さんは、同じ感じですと、こう答えておられる。今刑事局長申されましたように、言葉は違いますが、要するに一般の人が接近し得ないようなものであって、そして確実に利益になるというような株を譲渡するということは、利益を供与するんだから贈収賄罪の対象になり得る、こういうお話のようでございました。  さて、私、伺いたいのは、その感じがしておられた、竹下さんがそうだというのじゃございません、株の譲渡に対してある特定の二人を挙げられましたが、それは一定の意図を持って株が配付され、そしてそれは立件し得るのだというので検察庁が起訴されたんだと思います。私は不思議でかなわないのは、竹下さん、なぜあなたの青木元秘書、また福田御親戚が株譲渡の対象になったかようわからぬのです。あなたはどう思っておられるのですか。
  214. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 そこのところを私自身も実は悩みながらお答えをしたわけでございます。法律の知識がないまま当時は、率直に言って、仮にその間に価格保証の約束とかそんなことがあっておったらどういうことであろうかなどということにも思いめぐらしてみました。しかし、熟慮の上、私今考えておりますのは、株の譲渡の問題につきましては、その譲り渡し人と譲り受け人との意図というものは、私がこれを解明していくというのは非常に難しい問題だというふうに率直に思っております。なかんずく今検察当局で厳正な捜査が行われておるという時期でありますだけに、私がその譲り受け人、譲り渡し人の意思を私なりに解釈するというのは大変難しいものだという感じにここ数日なっておることは事実でございます。
  215. 永末英一

    永末委員 最初のころは、株売買は要するに商行為であった、そして他人の商行為については知るところはないし、また現在のような社会構造でございますから、他人がやっている商行為をよそからおまえ何だ、どうだというようなことは聞けないじゃないかと言われれば、そういうものかなという感じもあったかもしれません。しかし今や、江副被疑者がやっていることは極めて体系的なことをやっている、だからこそこんなに広がってきておる。国民はそのことを見て、えらいことがあったんだな、こういう気持ちで政界を見ておるわけですね。あなたは政界の頂点に立っている人でございますから、一層この辺の点を解明する必要がある。  今、この譲り渡し人と譲り受け人との間の意図を横から知ることは難しいとおっしゃったが、国会であなたは、あなたの青木元秘書へだれが株を譲ったかということを何遍も聞かれまして、なかなかわからぬのだということを何遍もお答えになっております。わかりましたか。
  216. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 当時、私も報告を受けておりました。自分の記憶の中に複数の人が浮かんできますが、もしそれが間違っておった場合第三者の方に大変な迷惑をかけることになりますので、新聞社の取材に対してもそのことはお答えをしませんでしたと。それはその方が筋だろうと思って、私もそれを了としたわけでございます。
  217. 永末英一

    永末委員 大分月日がたっておりまして、あなたがそこのところを明らかにされないものだからあなたに対していろいろな見方があるわけであって、したがって、これだけ時間がたったのだから、もし間違ったらじゃなくて、きちんと確定できないですか。どうですか。
  218. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 確定できる時期も私はあろうかと思いますが、もし複数の人物でそれを間違いなことを言った場合、国会でそれは大変な御迷惑をかけることになりますので、それが本当の意味において確認できるまでは新聞社の取材に対しても答えていないということを私も今でも了としております。
  219. 永末英一

    永末委員 新聞社の取材じゃありませんよ。国会ですよ。我々は、国民の声を背景にしながら国民がいぶかっていることをあなたに求めているのです。私はそれを率直にお受け取り願いたい。それを言われて、ああ竹下さんの場合こうだったんか、こうなればそれできちっとするではありませんか。福田さんの場合でも、あなたは国会の委員会で株の売買約定書を見たとか、あるいはその資金が入った通帳を見たような気がすると言う。御親戚でございますから、そんならそれを見せてくださいよ。そうすればはっきりするわけだ。できませんか。
  220. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 第一段階の問題については、それは本当に何回も考えました。複数の人を記憶の中に自分は呼び戻しておる、それは、新聞社の取材には青木元秘書が申したことでありまして、私が申し上げるのは国会でございますから、なおのこと正確を期さなければならないと思っております。  それから、売買約定書等あるいは現金の出入りの問題等について、私に国会へ提出しろという御要請がございました。私は、それが例えば銀行名でございますとか、そうした問題を出すということについて私にも意見がございますが、国会で御相談していただいて、その結果、従えということについては、私はそれにはそのとおりに従います。こう申し上げて今日に至っております。
  221. 永末英一

    永末委員 総理大臣の言葉がございました。一つは青木元秘書に渡した人、いろいろ考えておられるということですが、複数までいけばもうちょっとでございますから御精査願って、この委員会に御報告願いたい。それから、福田氏に関する売買約定書や通帳等につきましては、国会が求めれば用意があるという旨の御答弁がございました。この二つを当委員会に提出を願いたい。委員長、決定してください。
  222. 大野明

    大野委員長 理事会で協議さしていただきます。
  223. 永末英一

    永末委員 この前のリクルート委員会でいわゆる還流株の配付先名簿というものが出ましたが、政治関係の人の名前は確定しておりますが、あとは職業くらいが書いてあって全然名前が書いてない非常にわけのわからぬ名簿、一覧表でございました。これも全部書いて、記入したやつがわかっていると思いますので、これの提出を委員長、してください。要求します。
  224. 大野明

    大野委員長 理事会において協議させていただくことといたします。
  225. 永末英一

    永末委員 先ほど鹿野元労働省課長が収賄容疑で逮捕されたと申しましたが、労働省を含むほか十カ所に家宅捜査が入ったようでございますが、労働大臣、どう思いますか。
  226. 丹羽兵助

    ○丹羽国務大臣 お答えを申し上げます。  そのことはほんの先ほどこの場で耳に入れたような次第でございまして、まことに申しわけないと申しまするか、事実はまだわかりませんが、遺憾に思っております。今後気をつけたいと思っております。
  227. 永末英一

    永末委員 検察庁が官庁に家宅捜査をするというのは大変なことでございますね、これは。大変なことであります。総理、どうお感じになりますか。
  228. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私も今メモが入ってきたばかりでございますので、全容、具体的には事情をつまびらかにしておりませんが、いわば公務を行うそのやかたであります役所そのものが家宅捜査の対象になったというのは大変重大なことであると思っております。
  229. 永末英一

    永末委員 竹下総理は十二月二日、参議院の委員会でこう申しておられます。「政治責任は結果責任である、」こう言っておられる。「結果責任」というのはどういうものだとお感じになっておられますか。
  230. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 ちょっとそこのところの前後の問答を今正確に記憶を呼び戻すことができませんので、それについてはしばらく思い出させていただきますように……。
  231. 永末英一

    永末委員 そのときのあなたは、こういうことに関連してです。  「私自身に関しましても、元秘書が、経済行為であるといたしましても、少なくとも政治家たる者、なかんずく私は今、内閣総理大臣でございます。もろもろの情報等の最も入りやすい立場にございます。」こういうことで、「政治責任は結果責任である、」と明言されておられるのですね。
  232. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 その当時の環境がどういう環境であったか、今直ちには思い出せませんが、結果としてやはり私の周辺にそうした問題があったということ自身は、私自身の責任に帰するべきものである、このような考え方は持ち続けておったような気がいたします。
  233. 永末英一

    永末委員 検察庁も労働省もあなたの監督下にあるはずであります。そのあなたの監督下にある官庁の一つに強制捜査が入るということは、これは重要な問題だとお受けとめを願いたい。  結果責任ということで、私はこういうことを経験をいたしたことを申し上げたいと思います。  四十年前の戦争のときに、私は海軍の軍人で軍艦に乗っておりました。この軍艦が潜水艦の雷撃を受けて沈みましたときに、私の船の艦長は退艦をせずに船とともに沈みました。海軍の他の艦長や司令、司令長官も船とともに沈みました。どうしてだろうと私は非常に考えさせられました。どうして死ななければならないんだろう。そのときはたと思い当たったことは、海軍という大きなシステムの要所要所の責任を負っている者は、初めから船が沈むとか負けるとかいうことは予測していなくても、結果がそうなったときに、その結果の責任をとることがそのシステムを立派に動かす、これが自分の最後に果たし得ることだというその決意で船とともに沈まれたのではないかと思います。  民主政治のシステムはいろいろございます。議院内閣制でございまして、あなたは政府の最高のポストにおられる。あなたの下にはいろいろなことがございましょう。しかし、同時に、あなたが結果責任と言われたのはそういうことも考えておられるのかなということを私は私の経験に振り返って思いました。  自民党の本年の大会に来賓として出席された曽野綾子さんが、あの大会でこう申しておられますね。あなたも聞かれたと思います。「政治家になられる、ということは、自己の利益や権勢のために働くことではなく、人々のために自ら選んで死ぬ準備があると言えることでありましょう。」まさに私が海軍で経験したこと、考えさせられたことを、時代は変わっております、今は平和な時代でございますが、曽野綾子さんが申されておられます。  竹下さん、あなたの御見解を伺いたい。
  234. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 曽野綾子さんの持論としてそのことは、私は一度ならず承っております。我々が国民に対する奉仕者として、政治家やあるいは国会議員としての道を選んだ限りにおいては、その中においては、具体的に申しますならば、倫理綱領というようなものの中にみずから身を律しておって、その外に出た場合は、やはりバッジを取って、そうして他の職業、曽野綾子さんに言わせれば、私のような物書きになるのも結構でしようというような表現でございましたが、そういう考え方を持っておられるということは、私もいつも立派な考えだというふうに思っております。
  235. 永末英一

    永末委員 曽野さんを私は、私の申し上げました一つの同じ考え方だとして御紹介申し上げた、あなたは聞いておられたからと思いまして。そのことに関する感想を聞いたのではなくて、結果責任というものを内閣総理大臣はどうお考えかということを聞きたいのです。お答え願いたい。
  236. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私はただいま、制度、仕組みがいかにあれ、行政府の最高責任者であることは事実でございます。したがって、私がすべてその責任というものを免れることはできない。それは、私に課せられた当然のことであろうというふうに思っております。
  237. 永末英一

    永末委員 あなたは、政治改革ということを現在のあなたの政治課題として掲げられております。我々の角度、先ほど国民のリクルート事件に対する感覚というものを申し上げましたが、その立場から申し上げますと、やはり政治改革というのは、政治といわゆる金とのくされ縁を断ち切る、断ち切ってくれよということが、現在の政治改革の最大の任務ではないか。人々は今、デモクラシー、民衆による政治だと言っておるけれども、カネクラシーではないか、金でやっているのじゃないか、金の支配ではないかとすら批判をしている人があります。こういう批判を断ち切ることが、お互い政治家、政党としての最大の任務ではないか、こう思います。  しかし、選挙は公のことでございますが、我々はそれぞれ個人の力で立ち向かっておるのでございまして、その点で、政治活動にかかる金が個人の力だけではなかなかこれが賄い切れない、選挙に立候補する者もまた金がなければできないのではないかということが、もしそういうことであるならば日本の民主政治はゆがんでまいるのでありまして、したがって、政治資金をいわゆる浄財の形で集め、そして同時にその上に、新しい民主政治の参加者が出てくるということをつくらねばならぬと思います。そういう意味合いで、いわゆる政治の金の入りと出ということは、しっかり国民にわかる状態にしなければならない。  アメリカでは、ブッシュ政権もまた清潔な政治ということを掲げまして、中心でございますベーカー国務長官は、祖父の代から引き継いだ銀行持ち株会社の株を全部、家族の分まで売却するということで臨んでおろうとしております。厚生長官に指名されたサリバンさんは、前職の大学長時代の未払い報酬はもうあきらめるというようなことで臨んでおられようとしております。  そういうアメリカの行政当局者の姿勢を見たときに、この前自民党の方から、「「リクルート問題」における政治献金等に関する我が党の見解」なるものが出されました。よく読んでみますと、何かようわからぬことが書いてございますね。「非公開株の譲渡をめぐり、リクルート社が問題となった昨年夏以降の献金等については、政治家個人個人の見識としておのずから節度をもって対処すべきものである。」問題となった夏以降のことなんでしょうか。今、労働省まで捜査が入っておる、問題はもっと前からの問題であり、それは単に株だけの問題ではなくて、江副被疑者を中心にした彼らが一定の目的を持って活動している、その対象になった方々がおられるわけだ。その辺のことをきれいにしなければこの問題は解決しない。ところが、自由民主党は「昨年夏以降の献金等については、」で、何か問題が起こってからのことがあればそれでいいんだというようなことでございます。私は、身構えとして、一体どうあなた方が対処していこうとするのかということは、ひとつはっきりとこの際していただきたいと思います。お答え願いたい。
  238. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 やはり今も御指摘がありましたように、いわゆる政治家といたしまして、何としても金にまつわる問題が批判されることが最も不名誉なことであると私も思っております。したがって、政治資金法というもののよって立つところは、お話がありましたとおりで私もあろうかと思っております。したがって、それが改正に当たっての透明性でございますとかそうした問題について、目下これは自由民主党内におきましても、いわゆる政治改革委員会の中の小委員会で鋭意検討が続けられておるところであるということでございます。それらの検討を通じながら、私は適切な結論が出るであろうというふうに思っております。
  239. 永末英一

    永末委員 公のジャンルに入っておる政党の活動等が、やはり個人の懐からの浄財を得ようとすると、なかなかいろいろな問題が起こります。これは、我が国のみならずよその国でもそのようでございまして、したがって、公費によって政治活動をやる政党等への補助をやっていこうということをやっている国々があります。西ドイツやスウェーデン、ノルウェー、デンマーク等、あるいはアメリカ等も大統領選挙ではやっておるようでございまして、しかし、これをやろうといたしますと政党法がなければはっきりいたしません。しかし、政党法をつくろうということになりますと問題があります。過般、塚本委員長はそのことに触れまして、あなたも聞いていただいたと思いますが、政党法というのは、全体主義政党が政権をとるためにつくって、それで政権をとった歴史的事実がございます。したがって、この政党法なるものが結社の自由、思想、表現の自由、こういうことを制限するものであったり、あるいはまた政党の自由な活動に規制を加えるというようなものであったらなりません。しかし、今のような問題、すなわち公の活動をする政党に対して公費、すなわち国民の税金がきっちりした基準によって交付される、いわば資金の交付の対象というような意味での政党の要件は、これはつくられるのではないかと思いますが、政党法の問題について、あなたにお考えがあれば伺っておきたい。
  240. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これも私は今後、いわば選挙制度審議会等の議題にもなるだろうと思っておるところでございます。  今、御指摘なさいましたとおり、思想、信条の自由、そして、なかんずく結社の自由というものから、今まで議論されながらその実現を見るに至らず今日に至っておるということであります。かつて相談を受けたこともあります貴党の政党法というのは、いわば、何と申しましょうか、公金を受け入れるシステムについての政党法でございます、表現は必ずしも適切でなかろうかと思いますが。これは、私自身もその見解に立って勉強してきたことがございます。  基本的には、今の政治不信の問題と若干離れた表現になるかもしれませんけれども、私は、そういうものの積み重ねというのは大事であり、やはり政党法の中で最初、一番考えなければいかぬのは倫理綱領、個人個人の問題であり、そして政党政治のあり方というものに対しましては、これは公権力が介入してくることからは、可能な限りというか絶無に近いほど外にあるべきであるという考え方を元来から持っております。そうなると、いわばそうした公費の受け入れの条件等を具備する、ヨーロッパのように総選挙に際して何%とかいういろいろな基準もございますが、そういう意味における政党法というものを議論していくことは私も大切なことだと思っております。  余り、私が今まで考えておりましたことを申し上げる考えはございませんけれども、基本的には余り永末さんと考えは違っていないなと思っております。
  241. 永末英一

    永末委員 政治改革の目玉として、何か承っておりますと、議員定数の是正問題が大きな焦点になっておるかのごとくでございますが、もともとその議員定数の是正というのは、この前の改正をやりました六十一年五月、暫定措置をやりましたとき以来の問題でございまして、我が衆議院もこの問題について暫定措置であるという決議をやり、抜本改正の内容について衆議院が全員で承認をいたした中身でございまして、今その政治改革の目玉として取り上げるものとは次元が違うと思うのですが、いかがですか。
  242. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私も、これは選挙制度そのものの問題、公職選挙法の改正ということの中には、一つ一つ積み上げのいわゆる寄附禁止でございますとか、あるいは罰則の適用でございますとか、比較的短期の中で議論のできるものがあろうかと思っております。  定数問題というのは、基本にあるのはおっしゃったとおり、私はあの決議であると思うのでございます。しかし、やはり公職選挙法の改正、短期のものを進めていくと、当然のこととして制度そのものを議論していくということには、私は傾向としてそういう方向には行くのではなかろうかというふうに思っておるところでございます。
  243. 永末英一

    永末委員 今あなたは短期と言われましたが、抜本改正というものは抜本改正であって、時間はやはりかけてでもやらなくちゃならぬのが抜本改正。短期というのは何ですか。この長野三区を一名減員にして、六名区の北海道一区を二つ、三人ずつに分けて、総定数五百十二を五百十一にするというのが短期なんですか。
  244. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私の方から、それこそ予断を持って、これが短期でこれが中期でこれが長期でという仕分けをするのは難しかろうと思いますが、私自身の念頭にありますのは、国会決議の問題は一つ念頭にあることは事実でございます。それと、政治浄化法等からきますところのいわゆる公職選挙法に基づく、政治資金ももとよりでありますが、なかんずく公職選挙法に基づく寄附行為であるとか、あるいは違反した場合における罰則の問題であるとかというようなものは短期の議論の中に入るものではなかろうか、こんなことを私自身がワシントンから帰ります、ロサンゼルスでレーガン前大統領にお会いしました後の記者懇談で申し上げたところでございます。  それからもう一つは、国会百年に来年はなってくる。その百年ということになれば、明治二十三年でございますから、したがって一つのけじめとして、古くから勉強したことを私が四六六プラスアルファの四七一とかいうようなことを申し上げたことは事実でございますが、これを私は目指しておるとかいう意味で申し上げたわけではございません。
  245. 永末英一

    永末委員 今あなたからお話がございました二月四日、ロサンゼルスの談話で、五百十二を十一に減らすことについて良心の苛責からエスケープする方法のようなことを言われた。良心の苛責というのは何に対して感じられたのですか。
  246. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 一つの経過的なことで申し上げたわけでございますが、私はこの前あの決議ができますときは、大概な決議は深くかかわっておりますが、あのときは大蔵大臣でございましたので、そう深くかかわっておりません。しかし、あのときのお互いの気持ちの中で、少なくとも現行定数の中でやり遂げたいという気持ちはあったような気がしております。それが結果として一増になっておるということに対する、まあ良心の苛責という表現は適切でございませんが、そういうものが私の心の中につかえておるということだけは申したことは事実でございます。
  247. 永末英一

    永末委員 私たちはこの六十一年五月二十一日の本院の決議、これを一日も早く実現したいと考えております。これの合意は、二名区、六名区の解消という文言は、これは長年我々がやってまいりました三ないし五のいわゆる中選挙区制の中で問題を解決しようというものであり、したがって、議員総定数につきましては、まさしく四百七十一からふえてきたわけでありますから、別表改正で。これはやはりできるだけ縮減していく。民社党は、五百名以内までつづめようではないか、そして一対二以内につづめる、そういう新しい選挙区画を考えようではないかと考えております。したがって、これをぜひひとつやっていただきたい。  去年、私は民社党のこの責任者でございますが、あなた、動かなかったのだ、全然。本院におきます公職選挙法特別委員会の委員でもございますが、議会が開設されるごとにこの公職選挙法特別委員会は設置されますが、委員長のごあいさつがあれば、開いたことがない。一遍だけ開くのですかね。そのように余り乗り気でなかったあなたの方が急に定数の問題を取り上げる、そして良心の苛責まで言われる。  竹下さん、ちゃんと伺っておきますが、あなた、一名定数減にしただけでそれで終わるのじゃなくて、抜本改正をやろうというのが御趣旨でしょう。一名減やればそれでしまいだ、そんなものはだめですよ。そんなものは政治改革でも何でもない。はっきり答えてください、抜本改革をやるんだと。
  248. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これは、国会決議の中にもちゃんと抜本改革と、行う際にはと書いてありますが、抜本的な改革を行うというのがあくまでも私は筋だというふうには思っております。  ただ、この定数問題というのは、やはり一番かかわり合いのあるのはこれは国会そのものでございますので、したがって予見を挟むようなことは控えようと思いながら、長い間一緒でございますけれども、ああして選挙学会なんかに出ておったものですから、それでああいう過去の歴史を述べたということは事実でございますが、抜本改正をすべきだという考え方にはいささかも変わりはございません。
  249. 永末英一

    永末委員 今のお言葉で抜本改革、決議は改正でございますが、それをやる意思に変わりはない、そのことなら我々は協力しますよ。一名減なんかだめですよ。そんなことをやるために選挙法のことを言うのではございません。やはり国民が期待をしておる。本院が決議をいたして、そうして既にもうこれは三年たとうとしておるわけでありますから、これはやりましょうや。みんな国民が期待をいたしておる。一名減なんかで選挙をやったら、また訴えられたら違憲になりますよ、これは御承知だと思いますが。この抜本改正は、各党ともに努力をしてやるべき問題だと我々は考えております。  さて、消費税が実施期日がいよいよ追ってまいりました。我々は消費税の制定に反対でございました。成立させないことを目的に前国会で努力をいたしてまいりました。なかなかもって難しいくだりになりました。この問題点は、事業者にとっては転嫁困難な直接税になる可能性を持ち、消費者にとりましては、特に低所得者や年金生活者等につきましては増税になる、重荷になるというので、何とかこれをしなければならぬ、一番いいのはつくらぬことである、こうやって主張してまいりましたが、まあ国会の多数、少数というものはなかなか難しい問題でございまして、最後には実施一年延期をやれということであなた方と交渉いたしました。一党の力の限界は、結局のところ、半年の弾力条項をつくる、そして転嫁は必ずするんだということを法文上で書く、それからやってみておかしければ見直すんだ、まあ大きく言えば三つの約束をあなた方といたしました。  さらにまた、税率の問題につきましては、文書を交換するというところまではやりましたけれども、今各省がそれぞれの業界に説明をいたしております。その説明を聞いた人々から我々も聞くのでありますが、何が何だかわかりませんで、えらいことです、こういうのが偽らざる聞いた人々の言葉である。どう処理したらいいかわからない。  一つの問題は、免税点をつけていただきましたが、その免税業者なる者が完全に転嫁をすれば、消費者から消費税を取る。ところで、自分の仕入れたものについては、これは税額はついておるのでございますが、その消費者からもらった税額と自分が仕入れたことについて支払う税額との間に差がある。これは税金であります。しかし税金は税務署が取りに来ないということ、これは一体どういうことだろう。自分は横領する意思はない、しかし税務署は取りに来ない、税金が少しであるが残っておる、こういう状況が残る。これは限界控除の制度においても同じ問題が起こります。  さらにまた、簡易課税制度になりますと、ともかく一言で言えば、売り上げの〇・六%の税率でこの消費税を税務署が取りに来る、こういう形になってしまう。仕入れは八割とみなすのでございまして、そうしますと、八割でないところはもうかったりもうからなかったりするということをみなし規定によって税務署が認めるという、税法がそれぞれの業者のもうけを決めるという、これまたおかしな制度でございまして、税法は中立てなくてはならない、公正でなくてはならない、ところがその税法のゆえにいわゆる利益の変動が起こる、それは税法が認めたのだ、こうなりますと、この税法に対する信頼感がなくなるのではないかと思われてなりません。  また、転嫁はするという法文改正を行いましたが、実際に実社会で下請と元との問題とか、あるいはまた力の強弱のある事業者間の売買等の問題につきましては、なかなかもって転嫁はうまくいかない。転嫁されなかった場合にはどうしてくれるんだという救済規定はございません。私どもは、あなた方と折衝いたしましたときに、これは何とかしなければいかぬじゃないかと話はしましたが、それらはまた見直す場合の重要なファクターであるということで先送りになっておられます。これらの矛盾、大蔵大臣、どうしますか。
  250. 村山達雄

    村山国務大臣 先ほどお話のありました免税業者あるいは簡易課税の選択の問題、これは実は前の売上税のときの経験にかんがみまして、我が国になじみの薄いこの種の消費税、一種の付加価値税でございますが、これをやるときには事業者の事務負担を極力減らさなければ導入できない、こういうことに業界の方も我々の方も気がつきまして、それで大きな改正をしたのが、税額票発行方式から帳簿方式にする、これが一つでございます。  もう一つは、今言った免税点を設けるあるいは簡易納税制度を認める。免税点を設けますと、当然バランス上限界控除制度が出てまいります。そこでおっしゃるように、確かに免税業者でいいますと、仕入れにがかったものは当然転嫁しなければならぬと思います。しかし、その人がどうするかというのは、実はどこまでやるかというのは、これは市場でございますから任されているわけでございます。いろいろな関係がありますが、もし課税業者の価格が市場を支配する、一番いいのは再販契約のあるようなものは恐らくそうなるでしょう。そうなりますと、やはりおのずから免税業者もそこまでいくでしょう。  それが、二つ問題がありまして、そこまでいくのが便乗値上げになるか、こういうことでございますが、これはまあたらないだろうという解釈を公取の方で出していただいております。それから、話がうま過ぎるじゃないかというのでございますが、その額はどれくらいのものだろうかと考えますと、マージンにかかる三%なんですね。しかし、その免税業者といえども事務負担があることは当然なのでございます。マージンにかかる三%から事務負担を引かにゃいけません。それからまた、その人が所得税、住民税の納税義務者であるとすれば、また国税の方あるいは住民税で吸い上げるわけですね。もし、今度は逆に言いますと、やはり公平ばかり追求してその制度をやめろということになりますと、これは大変な事務負担になってきて、逆にその事務負担が消費税の三%の転嫁以上に売り値を上げるというおそれさえあるだろうと思うのでございます。そういったことをあれこれ勘案いたしまして、そこでこういう制度をつくったということでございます。  数字で申し上げますと、免税業者は確かに個人では八割三分、法人ではほぼ三割ぐらい、通じて六割五分だと思います。しかし、その売り上げが全体の中に占めておるのは三%弱でございます。そういうことを考えますと、ミクロで考えてもマクロで考えても、やはりこの前の売上税であったようなことよりもこの方が日本の場合は定着しやすいんじゃないか、こういう結論に達したわけでございます。  それからもう一つ、転嫁の問題を申し上げます。  この転嫁の問題は、広く薄く求めるということで、実はこの税のもう生命線でございます。したがって、税革法十一条におきまして、皆さんの方からの御助言もありましたけれども、はっきり「転嫁するものとする。」そして、事業者は転嫁するものとする、それから国はあるいは公共団体はそれについていろいろな施策でそれに援助しなければならぬという規定を置きました。そして、今どんどんそれを詰めているわけでございます。既に各業界におきましては、転嫁の方式がどんどん今決まっております。  やり方としては、外税にするものは外税にします。それから内税にするものは本体価格をつけます。大きな業界でございますけれども大体その方向でいっておりますから、例えばコンビニエンスストアあたりでありますと、本体価格は全部わかるわけでございますから、それにまとめて三%を掛ければ済む、こういうことになっているわけでございます。ですから、免税業者でいいますと、これがほとんど全体の六割五分くらい占めております。それから簡易納税者につきましても先ほど申しましたようなことでございまして、やはり納税事務を簡素化するからということでやっておるわけでございます。  問題は、今度は課税業者というのが、最後に普通の課税業者がどれくらいになるのかといいますと、六百万のうち、計算いたしますとほぼ二十五万ぐらいじゃないか。ここのところは大会社でございますから経理事務も非常にしっかりしているわけでございます。それでどんどん今詰めておるところでございます。そしてまた、今推進本部をつくりまして、組織的に各省庁が連絡しながらどんどん進めておりまして、既にどういう転嫁の仕方をするか、お客様にはどう知らせるか、今どんどん決まっておりますので、私はまずまずいけるのじゃないか、スタートとしてはいいところで落ちつくのじゃないか、かように思っております。
  251. 永末英一

    永末委員 大蔵大臣、問うたことだけ答えてくださいね。あなたがお立ちになると、時間が、時計がどんどん回っているような気がいたしまして……。  私が聞きましたのは、それは免税業者というのはその扱いの税金の額は少ない。全体としても税務署が収入する税額の中でその部分は少ない。少ないという実際の問題と、それは公正な税法なのかとは違いますね。そこを言っているわけだ。ちっちゃいからいいじゃないかということではないのであって、いや、なら税額票をつけると非常に事務が負担が多くなるではないか、これは金銭に換算できないかもしれぬがこっちの帳簿式がいいんだ、こうおつしゃったけれども、税法として一体それで公正なのか、この判断を伺っているのであって――まあちょっと、質問しているんじゃないんです。  簡易税制の話だって、あなたお答えがなかったわけでございまして、私は、一つには、今のは払う事業者の方の感覚で言われたが、末端の消費者が支払うものから見てどう映るだろうか、この公正というのはそういうところなんですね。やはり本体と税額とがわかるようになれば、末端の消費者は、自分は消費税を払っておるつもりで払う。ところが、あそこの店は免税業者らしい、こういうことがわかると、その免税業者の人も仕入れにはちゃんと消費税を払っておるわけですね。しかし、何か免税業者というと自分が払った消費税がどうかなっておるんじゃないかと思う、そういうことが納税意識に悪い影響を及ぼしはしないか、ここのところを問題にしているのであって、少ないからいいじゃないか、それは次元の違う話。  もう一つは、私どもも転嫁は問題だと思いましたが、「転嫁するものとする。」と法文を直しました。しかし、それでも転嫁できない場合には、税務署が攻めてきたらどうするかという問題が残るわけです。税務署の方は、転嫁されようとされまいとどうでもいいんだよ、本質的には。取りに行けるんだから、売り上げさえあれば。そうして、簡易税制度の申告さえあれば、売り上げがあれば〇・六%の税率で取りに行けるんだ、そういう法律になっておるわけであります。だからこそ転嫁は問題であると申し上げたのであって、これらの問題は実施されれば非常な混乱が来るんだから、その混乱を避けるための努力をしておられると思うけれども、何かもともととか簡易税制と税額票とを比べるような議論を今ごろ承ったが、そんなことを聞いているんじゃありません。今みんなが困っておるところをどうするか聞いておるんであって、一分だけ答えてください、一分だけ。
  252. 村山達雄

    村山国務大臣 お答えいたします。  免税業者も簡易納税業者も理屈は同じだろうと思います。そして、ここの問題は消費者が受忍できるかどうかというのでございます。私が今申し上げたのは、受忍できるんでしょう、それぐらい小さいものでございます、もし逆にやったらコストが余計になって、恐らく消費税以上の価格転嫁が行われるんじゃないでしょうか、こう申し上げているのです。  それから、例えて申し上げますと、所得税においてサラリーマンと事業所得者、この差も大変な差ですね。これも公平からいえば大問題なんです。ですから、我々はそういうものとして、税制改革全体として今度のものを入れたわけでございます。ですから、そういう意味である程度、一つの税ですべての目的を達する税というのは私はあり得ないと思っています。ですから、それらの組み合わせ全体の中で、全体がうまく機能するか、公平という理論あるいは成長という理論あるいはいろいろなバランスがあって、いけるかどうか、そこに最終的な判断がある、そうして個別税の仕組みの中でそれが受忍できるかできないか、我々は受忍していただきたい、できるんじゃないか、こう申し上げています。
  253. 永末英一

    永末委員 この酒がうまいかまずいか、どれだけまじっておるかということを議論しているときに、ぜんざい食べたら大体みんなで一緒だった、そんな話はいけませんよ。この消費税そのものが実施に当たって公正と感じられるかどうかだけ聞いておるのに、所得税だとかなんとかほかの話に持っていって、全体として見れば――全体として見れない、この点を明らかにしてほしいと言っているんですから。だから、この点はもっともっと努力をしてもらわなければ混乱が来ます。  竹下さん、あのときに税率の歯どめを伺った。歯どめはあなたの方と我々の方とに文書を取り交わしました。その中で、行財政改革を強力にやるんだということ、それからそのときはNTTの株の売買等がございましたが、今たばこ産業株式会社の株もまた売り払おうとしておられる、JRもまたそれに乗るのかもしれませんが、そういうものが国債を償還するどの程度の財源になるかということが、ただ単に税金だけの面で国債償還の率を勘案するよりは国民にわかりやすいということを申し上げ、あなた方もそれをお認めになった、こういうことでございますが、その点のお答えを願いたい。
  254. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 公党間申し合わせといいますか交換文書と申しますか、いわゆる行財政改革というものがまず基本にあるという強固な認識をお互いがまず確認し合ったということが、あれの一番基本ではなかろうかというふうに思っております。  その財政改革の面での将来構想の中、将来といっても近い将来、今も含めて現在から将来に向かっての中で、NTT株はもとよりのこと、各種株式、国有財産等の処分というものを明確化したら非常にわかりやすいではないかというお話があったことも承知をいたしております。一つ一つについてそれぞれ検討をしておるというのが今日の実情であろうというふうに思っております。
  255. 永末英一

    永末委員 この税率の問題は、国民が非常に不安感を持って見ておる。だからあのときも申し合わせをいたしました。しかし、まあ極力その維持を図るという程度。あなたが国会で明らかにされたのは、竹下内閣ではやりませんという話ですが、なるほどあなたの後の総理大臣の手を縛ることはあなたの本志ではないかもしれませんが、国民は、竹下さんだけがその内閣の存続期間だけ約束したって、不安でしようがないわけですね。竹下内閣後、何か計画がありますか。
  256. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 本当は、歯どめ問題につきましては、私は最初当委員会等におきまして、何としてもこれほどぎりぎりの議論を重ねたもので容易に上げられるなんて思うはずもないじゃございませんかとか、あるいは国会というものがあるんじゃないですかと、これを二本柱として御答弁申し上げておったのは事実です。ところがそれに対して、それは君、国会があるからといったってそれで通用するものじゃない、政府自体の歯どめを示せ、それを、定量的な歯どめとかなかなかできない、ぎりぎり考えて、私が、竹下内閣のときには上げる考えはございません、こう申し上げたのです。これは永末委員何もかにも御承知のとおり、やはり政党政治でございますから当然のこととして政権の交代もあり得ることでございますし、したがって、またヨーロッパの例などを言うと上げることが前提かとよく言われるわけでございますが、下げることもあるわけでございましょうし、やはり後世代の手を縛ることだけは差し控えるべきだというのは、従来から私が今日まで続けて持っておる一つの考え方でございます。
  257. 永末英一

    永末委員 福祉ビジョンにしろ行財政計画にしろ、別の年限の提示があるわけですね。税率だけは竹下さんという生き物の政権の長さでお決めになる。発想が違うわけだな。だから、あんなことを言っておるが次の内閣総理大臣になったらばんと上げるんじゃないかなと国民が非常に不安に思うわけですね。あなたは慎重にお考えになっておるか知りませんが、そういう点が問題である。我々は、税率の歯どめをもっときちんとしなければ、国民が安心して消費税に取っ組むことができないと思います。  さて、今まで申し上げましたように、転嫁の問題一つとりましても、努力をするのですが転嫁できなくても税務署が取りに来る。取りに来られたときの救済措置はないわけですよ。これはない。したがって、四月一日からいろんなことございましょうが、我々はやっと九月三十日までは、あなたのところ、税務署は調査をしない、こういうことでありますから、まさか調査もしなくて税金をぶっかけることはあるまいと思っております。しかし、どうしてもぎくしゃくするならば、取引高税のごとく見直すときには形をとどめなくなることもあり得るんだということを我々は考えざるを得ないのでございまして、その意味合いで真剣に我々はあなた方の作業を見ておりますが、混乱をされてでもできたんだから強行する、できるなんというようなことを思わないでいていただきたい。  我々は消費税がそういう問題を起こすということを見ておるから反対をしてまいりました。この国会でも今から一年凍結をしろ、実施延期をしろという意見が各党から出ておりますが、まさにそこに問題がある。強行する問題ではない。いわんやこのことによって違反者をたくさん出すようであっては、税法そのものが日本の経済社会に熟しないんだという判断をしなければならぬ問題になるのではないかと思います。  さて、不公平税制で一番の問題点は、各党間の協議をやりましたときも、資産課税というものに対してあなた方は真剣に取り組むという姿勢がない。株式も原則非課税から課税になったが、ああいう仕掛けでございまして、何だという形のままでございます。土地課税においても同じでございました。その中で、資産課税をやろうとするならば、やはり総合課税というものをきちんと整えなければならぬ。総合課税をやろうとすれば、番号制の導入をしなければならぬのではないか。そこまで各党間協議で話をいたしました。政府の方も政府税調でそれを検討しておられます。利子課税の方は四年後に見直すんだ、こういうことで出発いたしております。調べてみますと、なるほどマル優を廃止して分離課税をやりましてから、少し税収は上がっているようでございますね。そういうことを考えますと、総合課税へ向けてのこの番号制の準備、これの皆さん方の見通しをこの際明らかにしていただきたい。
  258. 村山達雄

    村山国務大臣 今委員のおっしゃったとおりでございまして、総合課税というものはやはり個人所得税の課税の維持にも私は理想だろう、税の観点から申しますとそう言えるだろうと思います。ただ、この前の利子の分離課税というのは、執行体制が整っていないというところにやはり大きな問題があったわけでございます。今度はキャピタルゲインの問題を契機にいたしまして、納税者番号制度が今検討されております。  今も御指摘がありましたように、政府の税調の小委員会が設けられまして報告もちょうだいしております。そこでは三つのことが言われておりまして、一つはプライバシーとの関係の問題、あるいは各省との、どうせ使うのならほかのどういうものと総合的に使うのか、こういう問題が検討されています。今後は政府部内で検討しろと、こういうこともいただいております。したがいまして、利子課税の総合の見直しの問題も四年後に迫っておりますし、この問題も大きな問題でございますので、ただいまの御指摘あるいは税制調査会の勧告、こういったものを踏まえまして、真剣に前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
  259. 永末英一

    永末委員 土地税制につきましても、我々との交渉のときに、あなた方は土地基本法を出すとともに、土地税制の改正をやるんだということを約束されました。土地基本法は、この国会の各党の質問に対しましても出す出すとこう言っておられるが、あなた方がこの前発表いたしました五つの推進要件、なかんずく開発利益の公共還元、これはやられますか。この五つはちゃんと完全にやるつもりの土地基本法、やられますか、お答え願いたい。
  260. 内海孚

    内海国務大臣 現在、土地基本法につきましては、政府部内で鋭意検討をして今国会に出す準備を進めております。その前提になりますのは、さきの国会に野党四党共同でお出しになっておりました土地基本法、こういったものも参考にさしていただきながら、私どもの、国土庁長官の私的諮問機関としての有識者の方々による懇談会等も開きまして、基本法を総合土地対策要綱にのっとっていろいろと御検討をいただきました。その結論を踏まえまして、今国会に土地基本法を出そうということで準備を進めておるわけでありますが、今御指摘のように「開発利益はその一部を社会に還元し、社会的公平を確保すべきこと。」ということが総合土地対策要綱に盛り込まれております。この趣旨に沿いまして関係省庁、大蔵、自治、そういった省庁とも相談をいたしまして適切に税の方でも対応していただこう、こういうふうに考えております。
  261. 永末英一

    永末委員 土地基本法は今国会に出すという御答弁がございました。そのときには土地税制の根本的見直しもされますね。
  262. 村山達雄

    村山国務大臣 今まで土地税制につきましては随分いろいろなことをやっております。しかし、もう御案内のとおりでございますが六十二年の改正、六十三年の当初改正、それから抜本改正、それから今度の平成元年の改正、四回続けてみんなこれが問題点だと思うところをやっておりますが、なかなかうまく地価が鎮静しないということは御承知のとおりでございます。今度土地基本法ができましてどういうものができますか、とれができましたら、それに合わせましてやれるものはやっていこうという熱意に燃えております。
  263. 永末英一

    永末委員 大蔵大臣、四回やったけれどもちっとも土地の値段が下がらぬ。そこのところをもっと考えなさいよ、あなた。下がらぬことをやっておるから下がらぬのです。  それから、土地基本法ができたらやれるものはやります、当たり前のことじゃないですか。やれないことをやるというのが、あなた、革新ですよ。その馬力でやってもらわなければいけませんよ。決意を伺いたい。
  264. 村山達雄

    村山国務大臣 我々は、土地価格という問題は税だけで成るものではないと初めから申し上げておるのでございます。したがって、国土利用法のような関係で、それの例えば利用というものについてどういう制限をかけるのか、利用というものはどれだけの社会的使命を負っているのか、そういう理念がやはり全部出てきて、そして国民にそれが浸透していくということが第一であろう。それで、もちろんその開発利益の還元という問題も大きな問題だと思います。ですから今度は、もし基本法の土地の利用の仕方についての概念がはっきりしてくれば効果を上げるだろうと思っておるのでございます。
  265. 永末英一

    永末委員 昨年、各党間の不公平税制の協議をやったのでございますが、いろいろなものが後送りになりました。政治家のパーティーのごときは前国会中に結論を得るという約束でしたが、このごろ自民党内では、いや百五十であるとか百であるとか五十であるとか、いろいろ論議の真っ最中のようであります。まだ自民党案すら固まっていない。これらの問題に加えて、公益法人の問題やら赤字法人の問題やらいろいろな問題がございます。過般の本会議で、塚本委員長が与野党協議はいつ再開するつもりかと聞きましたところ、竹下総理は、与野党協議は再開します、いつということを答えていない。いつからやりましょうか。
  266. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 これこそ国会における各党間の話し合いの問題であると思っております。いろいろ聞いてみますと、担当者の方、それぞれ機が熟しているような印象は受けております。
  267. 永末英一

    永末委員 早い機会に再開をして国民の期待にこたえるよう、一層自由民主党の努力を要請をいたしておきます。  さて、円が高くなりましてからいろいろな異常な現象が我々を包んでおります。GNPだけをとりますと、一人当たりをとりますとアメリカよりも多いとか、それから貿易収支になりますと、確かに我が国は世界第一の黒字国でありまして、アメリカが赤字国に転落をいたしました。そういう数字上の豊かさというものがございますが、実態を見ますとそうではございません。一体経済企画庁等では、どれぐらいその実態と数字との開きがあるのか、国際間の違いを知っておりますか。
  268. 愛野興一郎

    ○愛野国務大臣 内外価格差の水準を比較するのはなかなか困難でございますが、先生言われますように相当な開きがあることも事実でございますし、あるいは社会資本等々あるいは生活の水準等が開きがあることも事実でございます。例えば下水道を比較いたしますと、その普及率は、英国で九七%、西独で九六%、アメリカ七六%、日本が三六%というような開きもあるわけでありますが、豊かな日本ということを身につけていくような五カ年計画の推進、あるいは新しい計画のもとに各省庁力を合わせて努力をしておるところであります。
  269. 永末英一

    永末委員 六十二年度の経済企画庁の発表によりますと、六十二年度の国民資産の値上がりは、土地だけで三百七十一兆円の値上がり、株式は百六兆円値上がっておる、このようなことでございまして、GNPが三百五十一兆円ですから、GNPよりも土地は多いわけでございます。この間、勤労所得はどのぐらい値上がりしたかというと、八兆円ぐらいですね。つまり、我々全体のGNPよりも土地の値上がりが大きい。そして、株はその三分の一近くである。しかし、勤労所得は前年に毛が生えた程度しか上がっていない。この辺に、なるほど経済大国と言われております、しかし、国民の生活が非常に大きくなっていない、生活の格差というものがこれにまつわってきておる。この土地と株のいわゆる水膨れ、この原因はどこにありますか。
  270. 冨金原俊二

    ○冨金原政府委員 お答えいたします。  先生御承知のとおり、六十年の九月以降、急速な円高が進行したわけでございます。そのために日本経済は大変苦しんだわけでございますが、その過程で経済の中で大変な努力が行われました。政策的には当然のことながら金融の緩和をいたします。金利を下げる。あるいは財政的には緊急経済対策を累次にわたって打つということで、一生懸命経済が努力をしたわけでございます。  一方では、御承知のとおり、努力の結果として貿易の黒字みたいなものはかなりな額になっておりまして、全体的に見れば資金がかなり潤沢な状態になっていた。で、結果的に見ますと、いろいろな資金の動きがあったわけでございますが、その一部が先生御指摘の土地とかあるいは株の方に回って、そういったものが上昇していったということであろうと思っております。
  271. 永末英一

    永末委員 つまり、黒字国にたまりましたドル、その多くのものはアメリカへ還流しておるのでありますが、それらが我が国におきましては土地の値上がり、あるいはそれがまた資金化して株の値上がり等になっておる。税制はそこで出てくる回数しか対象にはならぬのでありますけれども、やはりだぶついている資金を何とかつかまえて国家が吸収するということを考えねばならぬと思います。これは税制の一つの役割であろうと思います。  同時にまた、そういう金がだぶついているために、国民が生活格差の中で一番大きく格差を感じているのは資産格差になっておる。したがって、見せかけは多いようでございますが、外国と我々との比較をいたしますと、実質賃金や労働分配率は我々日本の国の方が他の似たような国に比べて低い。今話がございました公園や下水道の普及率はおくれておる、普及はおくれておる。労働時間や通勤時間が長い。住宅環境も良好でない。物価は土地とか、土地は物価と言わぬかもしれませんが、土地の価格、住宅、食料、レクリエーション、教育、交通、通信、そういうものは皆我々の方が割高になっておるわけですね。これは総理大臣、いい国と違いますな。これは何とかせにゃいけませんね。つまり、GNP、個人当たり一番最高だというならば、生活の内容もまたその豊かさが享受し得るようなことをやるのが政治の役割だと思いますが、あなた、何か欠けておると思いませんか。
  272. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私も欠けておると思います。例えば、確かに、先ほど申しましたように六十年の九月二十二日以降の円高の進行、そして今日、ドルベースで計算すれば永末委員おっしゃるとおりの状態が出ておりますが、それだけの豊かさが一人一人の生活の中では実感としてないということも事実でございます。それはいろいろなものがございますが、今おっしゃったいわば物価でございます、土地も運賃も含めて。そういうものに対する対応の仕方というのは一つ一つきめ細かに考えていかなければならぬ課題だと思っております。卵だけが大体国際相場だ、こういうふうに私はいつも思っております。
  273. 永末英一

    永末委員 そういうことをちゃんとやりかえるのが国民にとっては一番いい政治改革ですね、いろいろなことをやらなければなりませんが。私は後で時短に関連しながら質問いたしますが、十分その点は注意をしていただきたい。  我々が福祉ビジョンなるものを出せとあなた方に迫りました。一年半ほどかかってやっと、最後の消費税の折衝のとき出されましたが、途端に年金は六十五歳繰り延べだ、こういうのでございました。ヨーロッパの国で付加価値税を導入して、これはやっぱり福祉に関係あるというので、英国のごときは、一九七三年に付加価値税を導入いたしますと、同じ年に社会福祉法を制定して、そして福祉関係のものに金を出しました。社会保険給付とか、あるいはまた対人サービス、社会サービス給付とかいろんなことをやりまして、実際の費用も、予算上年間大体一割五分から二割であったものを、それが二割五分から三割ちょっと上まで、約二倍近くまで努力をしたのでございますが、我が国は逆に消費税を導入しようとすると、六十五歳まで年金を延期するんだと、こうなる。六十五歳まで年金を、これは大分これからの話でございますが、それまでに雇用保障がされていなければならぬ。  さて、現在、定年制の実施状況を見ましても、六十歳以上の定年を実施しているのは企業の五%にも満てませんし、また再雇用を実施しておるのは、この定年六十歳以上のことを認めている企業の五割である。希望者全員に対しては全体の一割にすぎぬ。こういう状況であるときに六十五歳までの雇用保障というのはどうやってやりますか、お答え願いたい。
  274. 清水傳雄

    ○清水(傅)政府委員 お答え申し上げます。  確かに御指摘のとおり、六十歳定年の定着ということに現在最大の努力を払っておるわけでございまして、それを基盤としつつ六十五歳程度までのいろいろな形での継続雇用を何とか確保していきたい、こういう形で政策努力をいたしておるわけでございます。それとあわせて再就職の促進ということもございますし、また短期的な就業の場というのをシルバー人材センター等を通じて確保していく、こういう総合的な対策を講じております。  いずれにいたしましても、高齢者の雇用対策は最大の国民的な課題だ、このように私ども認識いたしておりまして、長寿社会の雇用ビジョン、これは来年度予算でそれの策定経費を計上していただきまして、今後のそうしたあるべき姿についての基本的な考え方をまとめ、それに基づいて対策を進めてまいりたい、このように考えております。
  275. 永末英一

    永末委員 雇用保障の方法はできていない、また六十五歳以上に対して年金、医療、福祉、住宅、雇用、そういう問題もはっきりしてない。福祉ビジョンをつくる調査費か何か、これからもらうんだという話ですからね、できていない。今まで何遍も示してくれと言いましたけれども、示されたことはない。にもかかわらず、何で六十五歳まで年金支給を延期するんだということを、今ある保険料と給付との延長推算をやって発表するんです。どういう意図ですか、総理大臣、それは。
  276. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 なぜ六十五歳まで支給開始年齢を引き上げなければならないかという御質問だと思いますが、将来の給付と負担のバランスを考えますと、やはり国民の皆さんに早い時点で目標を設定してその準備をしていただく。そして現在の給付水準を維持していくならば、やはり後世代の負担を、それを多くしてはならない。給付と負担のバランスを考えるならば、給付水準を維持していく限り、やはり将来の人口構造を見据えますと、いろいろ変化がありますが、六十五歳程度に引き上げていかないと安定した揺るぎない年金制度が確立できない、そういう観点から、今回私どもは厚生年金の場合に六十五歳支給を考えております。  そしてきょうも朝、この委員会が始まる前に、八時過ぎから私自身労働大臣を訪問しまして、六十歳以降の雇用状況を十分相談しながら、整備のために協力してやっていきたい、雇用環境を整備するよう協力要請に訪問したわけでございます。  しかも現在、日本におきましては、幸いにして六十歳以上の方の勤労意欲も非常に高い。必ずや、早目にこういう目標を設定して、十分政府が協力しながら民間とやっていけば、それなりの対応をしていけるんじゃないか、またそのための措置をこれから十分考えてやっていきたいと考えております。
  277. 永末英一

    永末委員 六十五歳まで繰り延べをちゃんとやって、あなたのやったことは保険料のアップだけですわな。けさ八時に何も労働大臣のところへ行くなんて、今ごろ行っちゃ遅いじゃないですか。行ってから言うことと違いますか、それは。だから、そういう準備をちゃんとする。今あなたのお話を聞いていますと、国民に準備をさせる。そうじゃなくて、政府が準備をして、こうなりますからこれだけ、こう言っていただきたい。逆ですよね。先にぽんとそれを出しちゃったら、国民の方はびっくりしますよね。だから、政府でここまでやって、六十五歳までの雇用はこういうようにやるつもりでございます、だから年金はこうだというなら話はわかりますけれども、そこの真ん中が切れたままで、その点についてはけさ八時に行きましたと言いますと、おかしいな、逆やっているんじゃないか、こういうように思うので、その準備をやってからやっていただきたい。そうでないと、なるほど、おかしければ保険料だけアップするのか、こういう心配をいたします。
  278. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 すぐやるのではありません。私どもは、こういう大きな改革ですから、早目に準備をして国民に理解をお願いしなきゃならないということで、たとえ今回の私どもの提案している六十五歳支給開始年齢の法案が成立したとしても、現在五十歳かあるいは五十一歳以上の方は六十歳から支給されるのです。そして、本当に六十五歳支給になるのは、ことし法案が通りますと、四十二歳以下の方が、今六十歳となったらもらえると思ったのが六十五歳からになる。そして、しかも六十一歳、六十二歳、六十三歳、六十四歳の方、段階かけて、そして準備期間を置いてやろうということでありまして、私は、こういう問題は十分審議しなきゃなりませんので、早目にやっていただきたい。十分審議をする時間をとりたいと思いますので、審議にぜひとも御協力をいただきたいと思っております。
  279. 永末英一

    永末委員 審議のためには、それに達するまでの雇用保障やその他の六十五歳のときの老齢者の生活の条件というものに対する準備、これを十分整えて審議の材料にいただきたいと思います。  時間短縮の問題につきましてでありますが、これから一九九二年までの間に大体三百時間程度削ろう、こういうような計画をしておられるようでありますが、そのためには、五月一日、まず祝日にする御用意はありますか。
  280. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 労働時間を短縮するためには、週休二日制の普及定着を図るほか、連続休暇の普及を図ることが非常に重要であると思っております。そういう意味で労働省におきましては、ゴールデンウィークを初め四季折々に連続休暇を取得するよう指導、援助に努めているところでございます。  五月一日を国民の祝日とするかどうかにつきましては、幅広い国民的コンセンサスの形成が必要であると思いますが、労働省といたしましては、今後とも連続休暇の定着に努力してまいりたいというふうに思っております。
  281. 永末英一

    永末委員 現在は、当面週四十六時間でございますけれども、これを一九九二年までに先ほどのように三百時間短縮しようとするならば、週四十時間までに短縮しようという御計画はございますか。
  282. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 新しい政府の経済計画あるいは労働省で労使の意見を聞いて策定しました労働時間短縮推進計画におきましては、昭和六十三年度に始まる五年間に、おおむねその間に週四十時間労働制の実現を期すということになっております。この目標の円滑な実現に向かいまして、労使の方の御努力とあわせまして、政府としても全力を尽くしてまいるつもりでございます。
  283. 永末英一

    永末委員 我が国は今内需拡大の政策で、一つには国際社会における我が国の責任を果たす重要な柱としてやっております。そのためには、やはり労働時間の短縮ということは一つの大きな国家政策であろうと思います。このことは国際的にも前内閣が約束をしたことでございますが、竹下さん、この労働時間の短縮というのは政府の重要な政策として着実に前進すべきものと思いますが、お答えを願いたい。
  284. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 この問題については、そのとおりだというふうに思っております。
  285. 永末英一

    永末委員 最近パートタイマーが非常にふえました。週間就業時間三十五時間未満の雇用者数は五百六万人、三十五時間以上の者を加えると八百万人にも達しております。  これらのパート労働者につきましては、労働条件の不明確、あるいは就業規則が整備されておりません。賃金、賞与、退職金等における格差がございます。非常に厳しい、また不安定な労働条件でございまして、これは現在何とか労働省対策要綱だけでやっておりますが、やはりこれらのパートタイムの労働者保護という点からは、法律によって保護すべきだと我々は考えております。政府はどうお考えか。
  286. 佐藤ギン子

    佐藤(ギ)政府委員 先生御指摘のように、最近パートタイム労働者は急速に増加いたしているところでございますし、確かにさまざまな問題が指摘されているところでございます。  労働省といたしましては、現在専門家の方々にお願いいたしまして、これにはもちろん労使の代表の方も入っていらっしゃるわけでございますけれども、ここで御検討いただいているところでございます。昨年の末には中間的な整理もいただきまして、今後は雇用保険の枠の拡大、それから、これまで行っておりますパートタイム労働対策の拡充なども含めまして、さらに力を入れていきたいと思っております。  また、法制化につきましては、今後さらに引き続き検討していくべき課題だというふうに考えております。
  287. 永末英一

    永末委員 働く女性は、今全労働者の三六・五%に上っております。生涯にわたって働く女性もふえております。しかし、同時にまた職業と家庭とを両立させる施策が必要でございまして、現在国の育児休業制度の普及率は一四・六%にすぎません。また、妊娠した女子労働者の約三割が出産、育児のために退職をしているという事情でございまして、したがって女子労働者で、その子が一歳に達するまで養育するための休業というものを保障できる育児休業法というものが必要だと我々は考えておりますが、政府の見解を伺いたい。
  288. 佐藤ギン子

    佐藤(ギ)政府委員 女子労働者も最近は結婚、出産でもやめずに働く人たちがふえてまいりましたから、職業生活と家庭生活を両立できるようにする、そういう環境条件の整備というのは、先生おっしゃいますようにまことに重要な課題なのでございますが、今先生からもお話しございましたように、まだまだ普及率が低いわけでございまして、この法制化につきましては、さらに私ども行政の側で普及に努めるというところに力を入れてまいりたいと思っておりまして、予算措置などにも力を入れておりますので、今後さらに努力してまいります。
  289. 永末英一

    永末委員 労働時間が短縮されれば、一人一人が自分の使い得る余暇を持ちます。そのために、政治の課題として、余暇をどうやって使っていくかということについて考える問題が出てきておると思います。  ドイツにおきましては、既に一九六〇年代から十五年間にわたって第一期のゴールデンプラン、これはスポーツ施設をつくるのでございまして、この十五年間に人口比では二倍、スポーツ人口では三倍に近い伸びとなって十分に目的を達しております。七五年から九〇年にわたって第二期のゴールデンプランが今施行中でございまして、いろいろなスポーツ施設、水上競技や自転車や、あるいはまたボクシング、レスリング、柔道まであるということでございまして、我が国にはそういう体系的なものがございません。  しかも、この休暇旅行という問題につきましても彼らの方が安いのでございまして、一日の休暇旅行費用は、イギリス、フランス、ドイツ等では、大体国内、国外同じようなところでございますので三千円から九千円である。ところが、日本は似たように一日歩くと二万円もかかる。これが先ほど申しました内外価格差でも妙なものでございまして、こういう点について一体どうしていくのか。欧米の労働者は、大体年間三十万円程度を平均これに費やして一週間から三週間程度の家族旅行をやろうとしておりますが、日本では四人家族で旅行しようとしますと、三十万円持っておりましても三、四泊程度やったら終わり、こういうことでございますので、この辺に対してやはり、ぎしぎししたことをやわらかくするのも政治でございますが、やわらかいところを広げるのも政治でございまして、竹下さん、お答えを願います。
  290. 愛野興一郎

    ○愛野国務大臣 余暇活用のためにどのような施策を考えておるのかということであると思いますが、自由時間増大に対応した余暇環境の整備あるいは各種余暇活動の指導に当たる人材の養成、また自由時間の充実のための施策を推進することにいたしております。  また、経済企画庁としては、余暇活動の支援、余暇施設の整備、余暇情報の提供などを初め、さまざまな分野で余暇を充実させるための方策について、現在国民生活審議会において幅広い視野から検討をしていただいておるわけであります。  さらに、まとまった休暇を取得する制度、慣行、先ほどお話がございましたが、フランスのバカンス法とかあるいはドイツのゴールデンプラン等についてお話がございましたが、そういう制度、慣行のための方策についても国民生活審議会において検討していただいておるところでありまして、その中で法制面の措置が必要となるものがあれば検討の対象といたしたいと考えております。
  291. 永末英一

    永末委員 ソ連のゴルバチョフ書記長は、最近いろいろな軍縮提案をいたしております。最近五十万人の一方的軍縮を発表いたしました。そして、そのプランのうちの二十万人はアジアだ、こういう発表をいたしました。この件につきまして、この二十万人というのは極東・沿海州を含むと政府は考えておりますか。
  292. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 二十万人の削減はモンゴルというふうに私たちは考えておりまして、沿海州・極東に影響なし、かように思っております。
  293. 永末英一

    永末委員 どういう軍縮か御承知ですか。
  294. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 お答え申し上げます。  ソ連側の今までの発表によりますと、今後具体的な軍縮その他を検討いたしまして決定するということでございまして、今までのところ明確なところは、モンゴルの七五%を含むということ以外には明らかになっておりません。
  295. 永末英一

    永末委員 核戦力の五〇%削減の問題は、我々日本の国につきましてはアジア・太平洋地域におきます核戦力というのは海の問題でございまして、したがって、ゴルバチョフの軍縮提案がいろいろございます、それからまた五〇%核戦力削減の交渉もまたアメリカとの間に行われておりますが、政府は、ソ連太平洋艦隊の艦艇や空軍力は一体減少すると思いますか、思いませんか。
  296. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 そうしたことに関しましては、昨年シェワルナゼ外相との会談の際に私からも懸念を表明しておきました。INFはなるほどグローバル・ゼロであって、これは極東にも大きな影響を与えたが、しかし、海洋国家である我々は、太平洋・極東におけるところのソ連の太平洋艦隊、これについての増強、こうした情報ばかりであって、少しもペレストロイカ等々の意味合いの弾力性ある、やわらかな政策というものを私たちは痛感しておらない、だから、ひとつ兵力の削減をしてほしいということを私から申し入れました。したがいまして、現在は少しも昔と変わらない状況だ、かように認識しております。
  297. 永末英一

    永末委員 外務大臣、その節シェワルナゼ外相は減らしておりますということは言わなんだですか。
  298. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 私、おおむね数字を挙げまして、トン数で百九十万トン、また隻数で八百隻以上、こういうふうな具体的な数字を挙げましたが、実は八百隻もありません、四百隻しかありません、こういう話でございましたから、しからば、日本並びに米国は常に兵力並びにその配置について具体的に発表しておるが、ソ連も発表したらいいじゃないですかということを私申し上げました。したがいまして、次回私はそのことをひとつ発表しますと言ったきりになっておりまして、この間パリで出会ったとき再度念を押しておきましたが、今度のモスクワのときにそういう問題を語り合いましょうということになっております。
  299. 永末英一

    永末委員 ワルシャワ条約機構側は最近発表いたしました。やはりアジアにおいてもお互いが手のうちを見せ合うことが相互信頼の基礎でございますので、それがグラスノスチであろうと思うし、その基礎にはペレストロイカがあろうと思いますので、これは努力をして、そういうことを着々と日ソ間で積み重ねていくことが必要だと我々は考えております。  ゴルバチョフ書記長の訪日がいろいろ問題になっておりますが、政府は、書記長が訪日するときには北方領土問題について前進するということが一つの課題であると考えておりますね。
  300. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 当然さように考えております。
  301. 永末英一

    永末委員 五月ごろには中ソの首脳者会談がございまして、アジアの情勢も変わろうとしておりますが、気になることが一つございます。  昨年秋以来、上海の総領事館で中国人の日本語学校への就学生だちがビザを求めていろいろなことがございました。これは日本にある日本語学校への入学希望者でございますが、いろいろな問題が絡んでおるようでございます。しかし、日本語学校に入学金を払ったが、ビザがもらえないで来られないというようなことであるならば、国際問題としてもこれは残るわけでございまして、またその過程におきまして日本語学校の不適格校の認定をやったために、せっかく入学金を払ったのに来られないという者もございます。その総数三万八千人と言われておりますが、これらの処置等について政府はどういう御方針でありますか。
  302. 黒河内久美

    ○黒河内政府委員 お答えいたします。  今、先生御指摘の上海の中国人就学生の査証取得問題でございますが、通常、中国人の就学希望者が査証を取得するためには、あらかじめ応募した日本語学校を通じて法務省から事前審査終了証の発給を受ける必要がございます。我が方在外公館はその終了証の提示をもとに査証を発給するということになっているわけでございますが、今回上海で起こっている問題は今委員御指摘のとおりの問題でございますが、この事前審査の申請、審査の段階でその要件となっております日本語学校の適格性の問題、身元保証書等提出書類の偽造等さまざまな問題が見られたことから、今御指摘のような状態になっているわけでございます。  現在、御指摘のとおり約三万八千人の中国人青年が日本語学校への就学を希望し、旅券を取得して待機しているわけでございます。政府といたしましては、昨年十二月末、関係三省の実務担当者を中国に派遣いたしまして中国側と話し合いました結果、両国間で緊密に協議しながら対処することで意見が一致しているところでございます。  外務省といたしましては、日中両国間の友好関係の維持に配慮しながら、国内の関係省庁とも緊密な連絡をとりつつ、また中国側とも常時緊密な連絡をとりながら解決のために努力していくつもりでございます。  なお、この上海の就学生問題とは別に、中長期的な課題といたしましては、日本語学校の整備を含めました就学生の受け入れのあり方の問題全体につきましても検討が必要というふうに考えております。
  303. 永末英一

    永末委員 せっかく日中友好を阻害されないように、全力を尽くして解決を望んでおきます。  最近、FSX問題がアメリカでいろいろ問題になっております。もともとF1の後継機として、昭和六十年ごろ後継機をつくろうということに対してアメリカ側から働きかけがございまして、中曽根内閣の一番最後の段階でF16を改造開発するということの申し合わせができ、その交換公文も昨年できました。まとまったかと思うと今度はアメリカ側から、殊に議会の内部で、恐らくはハイテクの問題あるいはアメリカのこの航空機に結集せられた技術が日本に渡るということを恐れたとも伝えられておりますが、そういう関係で議会に対してアメリカの政府が許可の通報をする時間について問題があり、その時日いかんによっては今年中に一体六十三年度のFSX予算が執行できるのかどうかという問題にすらなっておる。  これは竹下さんが行かれたときにそういう問題が起こったのですね。あなたがにこにことジョージ・ノボル新時代、こういうことでございましたが、あっちの議員はせっかくまとまっているものをぶつ壊してくる。こういうことになりますと、日米間のこの問題につきましても、一番安全保障問題が緊密な関係を保たねばならぬ、その問題についてこういう形で火がついておるということについて総理大臣はどう思いますか。
  304. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 きょう、きのうの問題ということになると私も正確に理解しておりませんが、このブッシュ大統領の会談の中ではこの問題は出たわけではございません。しかし、アメリカの上院を中心とします動きというもの、今、永末委員御指摘のとおりの航空産業等の懸念を背景としてそういう議論があるということは私も承知の上で行ったことは事実でございます。私がその上院の有力者の皆さん方とお会いしたときにも、これは長い時間をかけて両国の専門家が相談して結論が出たことだから、これがそのとおり実行できるように私は確信をしておる、こういうお答えをして帰ったわけでございます。
  305. 永末英一

    永末委員 私は、この問題は、日米の協力の問題で禍根を残してはならない問題だ、円満に解決するようにせっかく努力をしなければならぬと政府に申し上げておきますが、こういう問題がありますね。  この二月の二日、三日、ワシントンポストにジャック・アンダーソンの文章が載りました。これはアメリカから日本が買っているウラン、これを日本の原子力発電所が使用して、その再処理をフランスに委託をする。そのプルトニウムを運ぶ輸送の問題でございまして、この条約ができておりますが、何を使うか。一番の問題はテロが来るのではないかということで、海上輸送に対する警備ということが一番の問題でございまして、日本側では、伝えられるところによると海上保安庁が二百億円以上の金を使って船をつくっていますというのですが、大体海上保安庁の船が、船をハイジャックしょうなんというような、あるいはそれを拿捕しようなんというような力を持ってくるものに海上保安庁の船が一体抵抗できるのかどうか。このジャック・アンダーソンの問題は、一体何を考えているのだろう、日本政府は。こんなものが、こういう船をつかまえようとするものは相当な武力を持ってきているのだ。したがって、その投稿いたしました文章の最後には、米国にとって残された唯一の道は日本が計画をやり変えることだ。つまり海上保安庁程度の船ではだめではないか。  各国は軍艦をもってこれを輸送しているわけでございまして、この問題が本院にかかりましたときに、私もその懸念を申し上げておきました。日本の自衛隊は、有事のときには国を守るために働かねばなりません。平時のときには、その他の緊急要務のときに働くべきである。この前、国際緊急救助部隊の話のときにも、よその国は地震があったり何かあったりしますと、それぞれ軍隊が動く。我が国は動かない。何も戦争をしに行くのではございません。平時における自衛隊の活動というものについてはっきりとした方針を立て、そのことについて自衛隊の運営を行うべきであると民社党は考えております。そのことが自衛隊員にとりましても、自分の任務に誇りを持ち、我々は役立っておるんだということで活動するのでございます。  このプルトニウムの海上輸送に多額の金を費やして海上保安庁の船をつくるぐらいなら、海上自衛隊にたくさん船がおるではありませんか。なぜそれを使わないのですか。お答え願いたい。
  306. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 今のお説、我が党の内部におきましても有力な意見がございましたが、最終的にはやはり第一義として海上の犯罪を未然に防止し、鎮圧する、これは現在の海上保安庁に与えられたミッションである。したがいまして、プルトニウムの輸送も海上保安庁にゆだねようということに結論を立てた次第でございます。  これは日米間におきましても、現在、そういうような姿でおやりになるのが妥当だろうというふうなことで合意もいたしておりまするから、やはり今おっしゃいましたとおり、自衛隊を派遣することは決して海外派遣には当たりません、当たりませんが、今日の日本というものを考えました場合には、プルトニウムの平和利用ということにおきましてやはり我々といたしましても最大の注意をし、また装備をしながら、ひとつ保安庁によってその使命を果たしていただきたい、これが政府の考え方でございます。
  307. 永末英一

    永末委員 海上保安庁は海上におけるそういう言うならば公安維持のための働き、それは知れておる対象でしょう。今度は、まかり間違えば数万個という長崎に落とされた爆弾ならつくれるような分量のプルトニウムを運ぶ。したがって、その輸送するものを拿捕しようとすれば大がかりなものが来るのであって、そんなものを日本の海上保安庁の船がはるばるとどうやってフランスまで往復するのですか。私は、もっと具体的に物を考える必要がある。  今、あなたは海外派兵には当たらないとおっしゃったが、これは一内閣の責任ではなく、日本の世界に対する責任でもあります。もっと正確に輸送の実態、考えられるテロの実態を考えて、海上自衛隊の、遊んでおると言うたら怒られますわな、遊んではおりませんけれども、わざわざ新しい船を高い税金を費やしてつくってやるよりは、もっと自衛隊の人々が喜び勇んで任務につき得る任務ではありませんか。総理大臣、お考えを願いたい。
  308. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 この問題、九二年からの問題でございますが、今外務大臣からお答え申し上げた実態が今日の実態であることは事実でございます。  昨日、予算委員の一人である浜田幸一君からも私に対しまして、この問題に関する今の御指摘になりましたワシントンポストの記事等を参考のために私に御提示をいただきまして、昨夜来私なりに心の整理をいたしておるところでございますが、きょう永末委員のお問いに対して答えるほど、途中のいわゆる予測されるテロ、ゲリラの問題とかいうことについて詳細な分析をするに今の段階で至っていない。したがって、外務大臣からお答えがあったのが政府として考えておる方針であるというお答えを申し上げます。
  309. 永末英一

    永末委員 先ほど申し上げましたように、世界に対する責任があります。やはり慎重に十分調査をして誤りのない対処をしていただきたい。  これらの諸問題につきまして、我が民社党・民主連合会派の楢崎弥之助君が関連質問をいたしますので、お願いいたします。
  310. 大野明

    大野委員長 この際、楢崎弥之助君から関連質疑の申し出があります。永末君の持ち時間の範囲内でこれを許します。楢崎弥之助君。
  311. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、冒頭、民社党・民主連合を代表して証人の喚問を要求いたしたいと存じます。  私どもは、とりあえず特捜がNTTルートから入ったことは大変賢明であるという認識に立っております。中曽根康弘前総理大臣のみを当面証人として喚問することを要求をいたします。  その理由は、まず、ワクルート事件は昭和五十七年ごろから六十二年、つまり中曽根内閣の時代に起こった事件であるからであります。そして、当時日米貿易摩擦があり、そのために内需の拡大、輸入の拡大、それから民活の利用、そのためのいろいろな規制を緩和する。あわせて、あの方は審議会がお好みでございました。審議会あるいは諮問機関、そういう一連の中曽根政策に深くリクルート事件はかかわっております。特に中曽根内閣時代の閣僚十名、与党にはたくさん派閥はございますけれども、その派閥の中でも中曽根派の関係の方々が十名汚染をされておる。  そして、問題の六十年四月二十五日、第三者増資割り当て、この中から五つの会社がトンネルになって株が再譲渡されたことは御案内のとおりであります。これが七十九名、株数にして七十六万です。その中で政治家関係が十七名、中曽根氏と渡辺美智雄氏は二人ダブっていますから、延べでいけば二十一名。その中で、中曽根さんの関係が太田英子さん三千株、筑比地さん三千株、上和田さん二万三千株、合計二万九千、それに藤波元官房長官関係が一万二千、渡辺秀央、元か前か知りませんが、副官房長官関係が一万株、合計五万一千株。全部の政治家の、六十年四月二十五日割り当ての、トンネル会社、トンネルして渡ったうちの政治家の全株数が十一万七千のうち、中曽根さんの側近の関係が五万一千です。約半数です。  それから、そういうことだけでも私は、前総理大臣はこの問題についてどのように考えておられるか。しゃべらないでいいときはたくさん多弁のあの方がこの問題に関しては黙して語らず。外国の記者にはどんどん語られる。そして特に、社会党も公明党も取り上げられましたけれども、問題の日米貿易摩擦解消のための輸入手続の緩和問題、調達基準作成、すなわちアクションプログラムの問題、きょうも外務大臣から説明がありましたが、問題の六十二年五月の中曽根・レーガン日米会談、その中でレーガン大統領は中曽根前総理に対し、具体的にスーパーコンピューターの購入を要請されております。中曽根前総理はそれに対して、NTTが追加発注することを伝えていることはけさも明らかになりました。このことは事前に中曽根・真藤・江副会談が行われたことを示しております。もしそれを否定するならば、これはここに来られたときに否定されるなら、それは偽証になるかもしれない。  それから、もし中曽根前総理が職務権限を利用されて、江副氏側にスパコンの輸入をするに際してNTTを経由するように求められたとするならば、これも重大な問題に発展する可能性がある。そしてNTTは、五十六年締結のアメリカとのNTT外国製品調達協定に違反しておるのではないかという問題があります。  また、この六十二年五月一日の中曽根・レーガン日米会談公約の中で、スパコンに関する部分、アクションプログラムではごまかしがあるのではないか、こういう問題があります。  なお、私はせんだっての委員会で、国内のメーカーのこのスーパーコンピューターの値段には販売促進費が含まれている。略して販促費という。アメリカのクレイリサーチに含まれてないわけはない。ところが、値引きをされて売られている。つまり、販促費の分が値引きをされたんでしょう。形を変えた販促費ですよ、これは。それが一体どのようになっているのか、これも明らかにされる必要があります。もしこれがペイバックの形になっておれば大変でありましょう。  あわせてもう一つ、中曽根前総理は昨年二月上旬韓国に行かれました。日海財団の招待を受けて行かれたのであります。そして、この日海財団というのは、今韓国の国会でいわゆる不正問題調査特別委員会がこの日海財団について調べております。やがて私のところに資料が送ってくることになっておりますが、旅費はわかっておりますけれども、講演料という形で幾ら出ておるかということは、まだ今のところ大事な問題だから明らかにされないという連絡が来ています。そういうこともありますので、これも含めて中曽根康弘前総理大臣を証人としてひとつ呼んでいただきたい。これが理由であります。  なお、お伺いをいたしますが、政治家及びその家族あるいは秘書さん等で既に事情聴取が行われた事実があるか、あるいは参考人としていろいろ聞かれた事実があるか、お答えをいただきたい。
  312. 根來泰周

    根來政府委員 恐縮でございますけれども、検察庁はいろいろ調査をしていると思いますが、だれを調べたかということについては従来からお答えをお許しいただいておりますので、御了承願いたいと思います。
  313. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 熊取谷稔という方は事情聴取を受けられておりますか。
  314. 根來泰周

    根來政府委員 繰り返すようでございますけれども、だれを調べたかということについては御容赦願いたいと思います。
  315. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは既に新聞に載っておりましたが、それでもなおそうおっしゃいますか。
  316. 根來泰周

    根來政府委員 こう言ってはなんですけれども、新聞はいろいろ取材をしてやっていることでございますけれども、私どもは公式的にそういうことを申し上げる立場ではございませんので、ひとつ御了解願いたいと思います。
  317. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 きょうは時間がありませんから、いずれ集中審議のときにさせていただきたいと思いますけれども、真藤NTT会長と大変深い仲であります。  二月一日に自民党の方で、いわゆるリクルートに関する政治献金問題について見解が出されました。安倍幹事長が発表されました。竹下総理はその内容について支持をされますか。
  318. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 出されたという事実は私も承知いたしておりますが、指示をしたということはございません。
  319. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 総裁と幹事長の仲でございますから簡単に申し上げますと、リクルートからの献金問題について、昨年の夏以前、政治資金規正法で処理されておればそれは問題ないのだ、問題があるとすれば夏以降の問題であろう、それは本人がいろいろ自省自戒すべき問題ではないか、簡単に言えばそういう見解です。今うなずかれたから御承知だと思うのですが、この事件は日にちというのが非常に重大なんですね。昨年の夏とは一体何月を言うのですか。与党が出された見解ですよ。「昨年夏」という表現であります。
  320. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 その点を正式に同月ということを申し上げるほど準備ができておりません、私自身に。
  321. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは与党のことでございますからよくお調べになって当委員会で具体的にお示しをいただきたい。というのは、昨年の六月であったのか七月であったのか八月以降なのか、重大なところなんですよ、いろいろなことが起こりましたから。だからそれは当委員会で明確にしてもらいたいと思います。  なお、あわせて言いますならば、昨年の夏以前、政治資金規正法で処理されておれば問題ない、これは政治資金との関係でそうなのであって、リクルート事件との関係では届け出されているから問題ないということにはならないのでしょう。まず常識的な金額というものがありましょう、政治献金の場合。金額の多寡の問題でしょう。それから趣旨の問題でしょう。そして、たとえ政治献金もらって政治資金規正法で届け出しても、政治資金規正法第二条の二項、疑いの持たれるようなお金は扱っちゃいけません、もらっちゃいけません、これが政治資金規正法の二条の二項なんです。これに抵触するようなお金をもらった方は、たとえ届け出をしておってもそれで免責されることにならないと思いますが、法務大臣、いかがでしょうか。
  322. 高辻正己

    ○高辻国務大臣 お尋ねの件は政治資金規正法の問題でございますので、ほかの担当省からお答えさせていただきます。
  323. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 政治資金規正法の第二条には、先ほどお示しのように、「政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。」こういうふうに書いてございます。
  324. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はそれを聞いておるんじゃない。私がそれを言ったんですよ。それをあなたがオウム返しして、それで答弁になるんですか。時間が短いからもう――大体おわかりでしょう、言っている意味は。問題がありますよと――ありがとう。委員長、お願いします。  それで、私が言いたいのは、政治資金規正法で届け出をしたからといってすべてが免責されるわけではない。当たり前だという声がありました、そのとおりです。だから、翻って自民党の二月一日の見解について私は非常に疑いを持つわけです。それで、もう一遍総理、責任持って幹事長にお聞きになって、当委員会でひとつどういうことなのか、あの見解はということを、これはお願いをいたしておきます。  それからリクルート関係、ちょっとあと一間、大変あれですが、時間がなくて残念ですけれども、余り私も、聞く方も愉快な話じゃないんですよね、総理。もう一人でも長谷川さんや原田さんのような形でおやめになるような大臣が今後出たら、そのときはどうなさいます。それでも耐えて耐えて、忍んで忍んでいかれますか。どうでしょうか。
  325. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 一つの仮定の前提を置いたことに対してお答えを申し上げるのはむしろ失礼だと思います。
  326. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 わかりました。ならば妥当な答弁でしょう。しかしそのときは、仮定ですからそういうことが起こらないようにお願いしますけれども。  私は、羽田農水大臣、一度もお話ししたことないのですけれども、きょうはお聞きする機会ができてよろしゅうございました。羽田大臣は福田壹卍という方を御存じですか。
  327. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 お答えいたします。  たしか雑誌を発行しているか、あるいは編集をされている方だと思います。
  328. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ここにあるんですよね。これが、本人が発行されているんですね。発行会社は本人です。そして、なぜかこれは回収をされている。図書館も、国会図書館もございません。率直に言って、ある疑いがあります。これは全部、国会でだけしか通用しないかもしれませんが、いわゆる郵政族関係の方々が大体これに出ておられる。だから全部悪いと言うのではないのですよ、誤解のないように。  それで、これはNTTが民営化された六十年四月からわずかたって設立された。設立趣意書はここにあります。顧問がざらっと八人書いていらっしゃいます。最高顧問それから常任顧問、羽田大臣は常任顧問におなりですね。そして、今も続けておられますか。
  329. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 この問題につきましては、情報化社会、これがNTTの民営化、そういう中で行われるという中で、たしか情報通信全般にわたって広く勉強しようということで設立をされたというふうに記憶をいたしております。私が大臣に就任いたしましたときにいろいろな関係のところの役員ですとかそういったものを辞任をいたしておりますから、多分その中にあるいは入っているかもしれません。ただ、実は私もその組織を存じ上げているのですけれども、ちょうど忙しい時期だったものでございますから、何というのですか出席等全然あれしておらないもので、よく内容は、ちょっとわかりませんけれども。
  330. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 畑英次郎という方は逓信委員長になられてこの顧問をやめられております。これは良識があると思いますね。だから羽田大臣も――ハダというのですか、ハタというのですか。同じ音なものだから。よくお調べになった方がいいと思います。  顧問されておる間は顧問料が出ておりますね。御存じですか。
  331. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 ただいまお答え申し上げましたように、この組織を、勉強の会をつくろうという話は聞いております。しかし、その後、実は先ほど申し上げましたように一度も出席しておらないので、その常任顧問になっているのかどうか、ちょっとその辺もはっきりしないところであります。
  332. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体、顧問料が全部出ておるはずです。それは福田さんが自分でおっしゃっておるからです。だから、お調べになられたがいい。そしてお調べになる際に、その顧問料はどういう形で法的な処理をされたか。例えば、顧問料だとこれは個人収入になりますね。政治献金だとすれば、いわゆる政治資金規正法の届け出をしなくちゃならぬでしょう、それは一定の条件がありますけれども。これも事務所の方なり秘書なりに調べさして、ここでしかるべきときにはっきりしていただきたい、このように思います。  なお、この情通研は、これはNTT、そして政治家、そこの中にこれが入っておるというにおいが非常にするのです。あなたの論文は読みました。大変いい論文でした、この論文は。あなたが書かれたことを褒めているのですよ。ただ、いわゆるこういうことを福田さんは言っているのです。リクルートはばかだ。この情通研のようなやり方でやればろ過される。いいですか。ろ過される、献金がですね。つまり語るに落ちているわけですね。それで会費が年百二十万。月にして十万。リクルートは五口入っている。過去二年間としますと千二百万。そのほかに一千万の調査代が、特別委託調査代がリクルートからこの情通研に出されておる。ところが、この責任者の福田さんは自分のところはそういう調査をするような能力はないと言っているのですよ。一体これはどうなっておるのでしょうかね、この一千万は。だから、これも集中審議のときにやりますから、きょうは調べてくださいと言ったことはそのときにひとつ御返答をいただきたい。非常にこれはリクルートとNTTと関連がある。あなたは御存じないかもしれない、人がいいから。もうそれは間違いないんです。問題を残しておきます。  そこでもう一つ、これは全然問題が別なあれに移りますけれども、一月七日から十一日まで五日間、パリで化学兵器禁止の国際会議が開かれ、宇野大臣も出られました。一九二五年のあの化学兵器禁止条約、あれはざる法であって、もう御案内のとおり、使用禁止であるけれども、生産、貯蔵は含まれておりませんね。だから、大臣はそういうものも含めて一緒に新しい条約をつくるべきだというあれを出されたと思うのですね。アメリカの代表もそうでしょう。これはいいことです。  ところが、そういう主張をされておるにもかかわらず、私の調べたところでは沖縄にNBC、つまりニュークリア・バイオロジカル・ケミカルの兵器とそれから部隊がいることが私の調査で明らかになりました。お手元にいっておるかどうか知りませんけれども、これが在沖縄米軍の電話帳であります。防衛庁長官はこの電話帳は手に入る立場にあると思いますが、いかがですか。――ここへ来て答えてください。
  333. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 ございません。
  334. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 要求されれば手に入りますか。
  335. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 在日米軍との関係でございますから、そういう点については施設庁の関係者と打ち合わせをしてお答えすることにいたしましょう。
  336. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この電話帳の中から私はNBC関係のあれを全部抜いて、これは厚いから、お手元に配っておると思います。それで私は、時間の許す限り私なりの解説をしておきますから、よく調べてください。これは大変なことです。非核三原則は国是です。  それで、いわゆるC兵器、化学兵器は、大臣が国際会議に出られたばかりですわ。それがもし日本の国内にあるとすれば、これは国是をないがしろにしたことになるし、六十年の参議院の質疑では、もしアメリカが日本に化学兵器でも持ってくるときは相談するという当時の外務省局長の答弁があるのですから、相談してないはずです。  ところが、ここにありますとおり、そのNBC部隊がおるんですね。かつて私は、昭和四十六年十一月十七日、忘れもしません、ここで、午後三時十五分です。例の沖縄返還条約のときに私は岩国の核問題をいろいろやって、紛争をして、佐藤総理の時代であります、そして、まさに岩国の電話帳を資料として出そうとするときに、出す前に強行採決された、沖縄の返還条約がですね、そういう苦い経験があるんです。そして、そのときに米軍はどういう措置をしたかというと、電話帳をもう一丁新しくつくりかえて、そしてトレーニングを全部つけたんですよ。  ところが今度はそういうごまかしはできない仕組みになっているんですよ、申し上げておきますけれども。今度の場合は、NBCだけのときにはそのものですが、防御のためのNBC部隊はディフェンスがついております。あるいはトレーニングがついておる。ついてないのはそのものです。だから、今度はトレーニングとかディフェンスとかいったってだめであって、NBCだけのものは、それはオフェンス、つまり攻撃用です。それははっきり言っておきます。  それで、まず五十一ページ。先に言っておきますけれども、ここには「NBCディフェンス」となっておりますが、これはもちろん核・生物・化学戦の対応・防御を専門とするセクションであるわけです。しかし、そのための訓練を日常的に実施しておると思われます。それで沖縄キャンプ・ハンセンのNBC学校というのが沖縄にありますから、それと連動して考える必要がある。一九八一年三月に海兵隊総司令官のパロー大将がアメリカの上院軍事委員会で、海兵隊にもNBC戦に対応した専門部隊を配置すると証言をいたしております。ここにその証言があります。  それから六十ページ。これは海兵隊普天間航空基地、第一海兵航空団隷下の第三十六航空群、これが配備されております。ここにもNBCがあるということは、もう攻撃専門の部隊であることは明らかであります。  六十六ページは、G2というところにまでNBCがある、これは情報部隊ですけれども。  それから七十一ページ。これは実戦部隊としての第三海兵師団の衛生支援部隊に置かれておりますから、これはNBC戦を想定しての配置であろうと思われます。  それから七十二ページは、S2、S3、つまり情報係、作戦係に置かれておる。これも非常に特徴があります。  それから――時間時間と言われますが、まだ来ておりませんからね。七十五ページ。アシスタント・チーフ・スタッフ、これもC3ですね。  それで一応、これは重要ですから、外務大臣、どっちの役目か知りませんけれども、外務大臣でも防衛庁長官でもよろしゅうございますから、これは米軍に問い合わせてきちっとしていただきたい。
  337. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 お答え申し上げます。  従来も米国の軍隊の電話帳に基づいてこのNBCについて御質問がございまして、かつて米国に照会いたしましたところ、これはアメリカの海兵隊の中に、NBC兵器、すなわち核・生物・化学兵器による攻撃に効果的に対処するための防護措置を担当し、その教育及び訓練を実施する要員が存在しているが、これらの要員の任務は、核や生物・化学兵器を取り扱うものではない。これはあくまでも防御的なものである。本日、実は米国政府に改めてこのことは確認してございます。念のためでございますけれども、核が存在するわけはございません。それから、生物学兵器についても、米国は条約上これを製造することも一切しておりません。化学兵器につきましては、これは一切我が国に置いていないということは、昨年の秋米国政府に改めて確認しているところでございます。
  338. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 一問でやめます。  今の答弁では私は納得しません。そういう答えしかしないのだ。しかし何でその部隊がいるのですか。何で核の、NBCの倉庫があるのですか。時間があればやりますけれども、今のあれでは納得しません。問題を残しておきます。  ありがとうございました。
  339. 大野明

    大野委員長 これにて永末君、楢崎君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十八日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会