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股野政府委員 法案に関連した考え方については、今後引き続き私
どもとしての考え方を十分御
説明させていただきたく存じております。我々も法改正を通じて新しい体制というものを考えておるわけでございますが、その体制をつくっていく際にも、その政策的なものがその法体制で運用できる体制というものはしっかりつくってまいりたいと考えておりますので、この点はまた追って十分御
説明申し上げたいと存じております。
次に、不法就労の
状況の問題でございます。これはいろいろ難しい問題を含んでおりまして、我々としてもこれは深刻に取り組まなければならない問題だと思っております。そこで、まず不法就労を我々どう見ておるかということでございますが、まず実態の面で御
説明を申し上げまして、さらにその不法就労というものが出てくる背景というものについてあわせて御
説明を申し上げたいと存じます。
まず、不法就労という形でございますが、これはその非常に多くの部分は、
日本に入国した後、所定の
在留期間というものを超えまして、いわば不法残留という形で、そして収入、報酬を得る活動に従事しておるというものがもう大部分でございます。若干そのほかに、本来在留資格というものを与えられているのにその在留資格外の活動を収入を得ながら行う、こういったようなケースもございますが、ただいま申し上げましたように、いわば不法残留を行ってそして収入、報酬を得る、こういうような形式の不法就労というものがもう大部分でございます。
そこで、やはりそういう点についての対処ぶりというものを今後我々としても考えていかなければならないと思っておるわけでございますが、こういう
状況でありますと、これは
国内におけるいろいろな
状況を考えましても、我が国の雇用
関係、
労働条件全般の改善の必要性あるいは
社会的ないろいろな影響等々考えますと、非常に不法就労があるということについては我々としては深刻に受けとめなければならぬだろうと考えております。我々としてもそういう実態を把握するために今努力をしておるわけでございますが、不法就労という事柄の性質上なかなか実態の全貌を把握するのは困難でございます。ただ、先ほど申し上げましたようにその大部分が不法残留者であるという点に着目いたしまして、
法務省の持っております
出入国管理記録を使いまして推計を行いますと、これが
昭和六十二年末の現在で不法就労しておる外国人の数は約五万人、それが昨年、
昭和六十三年十二月の現在ではおよそ十万人にも及んでいるのではないかという
一つの推計を持っておるわけでございます。
他方、今度はそういう
状況に
対応しまして、当局としてやはり望ましくない
状況を是正するという観点から不法就労の事案を摘発するという努力もいたしておるわけでございますが、これが
昭和六十二年において一年間に不法就労事案として摘発した案件の数が一万一千三百七人、こうなっておりますのに対して、昨年、
昭和六十三年は一万四千三百十四人と摘発
件数についても非常にふえておるという
状況があるわけでございます。
それではなぜこういうことが起こるのかということについて、
委員御
指摘の、我が国でそもそも
労働力不足という面があるから起こるのではないか、こういう御
指摘がございます。私
どももそれはそういう我が国
国内における
労働力需給の問題というのは
関係が確かにあるとは存じておりますが、他方、この問題はもっと幅の広い背景があるように存じます。
一つには、我が国の近年の急速な経済
発展という
状況に対しまして、近隣アジア諸国との間の所得格差という点で非常に違いが出てきておりまして、そうなりますと、
日本に行っていわば出稼ぎをする、こういうことに対する関心も大いに高まっておるということがございます。
また第二に、近隣のアジア諸国においていわゆる雇用につく年代層の人口が急増しておるのにかかわらず、こういう
人たちに対する雇用の機会が十分にそれぞれの国でない、こういう点が
一つやはりあろうかと思いますので、そうなりますと、それでは外国で雇用の機会を求めるという
状況になってまいります。
第三に、これに関連しまして、最近の中近東等における経済
状況の変化によって、かつて非常に雇用の機会を提供しておったこれらの国における雇用の機会も従前ほどに期待できない
状況になっておる、そういうような背景もあって、他方、
委員御
指摘のように、また我が国の
国内の
労働力が一部の分野では人手不足という観点で現実のものになっておるという
状況もありますので、そういう点でまたこの背景が出てきているということがあろうと思います。
さらにもう
一つ、我々不法就労の問題を考えるに当たって、
日本とこういう近隣のアジア諸国とを結ぶブローカー組織というものの存在もございまして、これがいわば
日本に対してこういう不法な就労者を引き寄せる
一つの役割を果たしておる。これに対する対策も考えなければいけないのじゃないか。こういったような複合的な要因で不法就労というものが今現実に深刻な問題になりつつある、こう考えておるわけでございます。