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1989-05-24 第114回国会 衆議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年五月二十四日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 工藤  巌君    理事 臼井日出男君 理事 北川 正恭君    理事 鳩山 邦夫君 理事 船田  元君    理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君    理事 鍛冶  清君 理事 中野 寛成君       井出 正一君    岡島 正之君       岸田 文武君    佐藤 敬夫君       斉藤斗志二君    渡海紀三朗君       中村  靖君    松田 岩夫君       宮里 松正君    渡辺 栄一君       江田 五月君    嶋崎  譲君       中西 績介君    馬場  昇君       有島 重武君    北橋 健治君       石井 郁子君    藤田 スミ君       山原健二郎君    田川 誠一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 西岡 武夫君  出席政府委員         文部政務次官  麻生 太郎君         文部大臣官房長 國分 正明君         文部大臣官房総         務審議官    佐藤 次郎君         文部省生涯学習         局長      横瀬 庄次君         文部省初等中等         教育局長    菱村 幸彦君         文部省教育助成         局長      倉地 克次君         文部省高等教育         局長      坂元 弘直君         文部省学術国際         局長      川村 恒明君         文化庁次長   遠山 敦子君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     古川 元晴君         厚生省健康政策         局指導課長   澤  宏紀君         厚生省健康政策         局医事課長   丸山 晴男君         厚生省健康政策         局歯科衛生課長 三井 男也君         文教委員会調査         室長      松原 莊穎君     ————————————— 委員の異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     岡島 正之君   杉浦 正健君     宮里 松正君   塚本 三郎君     北橋 健治君   山原健二郎君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   岡島 正之君     愛知 和男君   宮里 松正君     杉浦 正健君   北橋 健治君     塚本 三郎君   藤田 スミ君     山原健二郎君     ————————————— 五月二十二日  学校図書館法の一部改正に関する請願鳩山邦  夫君紹介)(第二一三五号)  私立幼稚園助成金大幅増額に関する請願(太  田誠一紹介)(第二三一〇号)  私学助成大幅増額に関する請願太田誠一君  紹介)(第二三一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第二二号)      ————◇—————
  2. 工藤巖

    工藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。西岡文部大臣。     —————————————  国立学校設置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 西岡武夫

    西岡国務大臣 このたび、政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、短期大学部併設及び廃止のほか、国立大学共同利用機関大学共同利用機関に改めること等について規定するものであります。  まず、第一は、短期大学部併設及び廃止についてであります。  これは、秋田大学に同大学医学部附属専修学校を転換して医療技術短期大学部併設することとし、また、群馬大学併設されている工業短期大学部については、これを廃止し、同大学工学部に統合しようとするものであります。  なお、秋田大学医療技術短期大学部は、本年十月一日に開学し、平成二年四月から学生を入学させることとするものであり、群馬大学工業短期大学部は、平成年度から学生募集を停止し、平成年度限りで廃止することを予定しているものであります。  第二は、国立大学共同利用機関大学共同利用    号機関に改めることについてであります。  これは、国立大学共同利用機関について、国立大学中心とする共同利用機関から、広く大学共同利用機関に改めるとともに、これを大学共同利用機関と称することとするものであります。  このほか、昭和四十八年度以後に設置された医科大学等に係る平成元年度の職員定員を定めることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  4. 工藤巖

    工藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 工藤巖

    工藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。町村信孝君。
  6. 町村信孝

    町村委員 ただいま大臣から御提案のありました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問をさせていただきたいと思います。  本法案国立大学国立学校ということでございますので、まずその前提としての高等教育改革という問題について、若干大臣の御所見を承りたいと存じます。  臨教審の答申を受けまして教育改革は着実な成果を今各方面において上げつつあるという状態でございますが、その中でも特にこの高等教育改革というのは重要な問題である、こんなふうに考えているわけでございます。  六十二年に大学審議会設置をされまして、十月には塩川文部大臣のもとで「大学等における教育研究高度化個性化及び活性化等のための具体的方策」、こういう諮問が行われて、昨年の十二月ですか、まず第一弾ということで大学院制度弾力化ということについて答申が行われたようでございます。  大学あり方というのは、私もちょうど今から約二十年前でございますが、大学紛争というあらしが吹き荒れまして、私も当時おりました大学の一方の当事者として相当深くかかわり合いを持ちまして、そんなことから大学制度改革あるいは大学院あり方というのは大変関心があるわけでございますが、大臣、この点について、高等教育改革というその基本的なあり方について、どういう方向でこれを推進していかれようとしているのか、御所見を承りたいと存じます。
  7. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおりに、学問、社会進展高等教育に対する国民の皆様方の多様な要請にこたえるためには高等教育改革を推進することが極めて重要な課題である、このように認識をいたしております。  文部省といたしましては、既にただいま御指摘のとおり大学審議会を発足させまして、「大学等における教育研究高度化個性化及び活性化等のための具体的方策について」種々御検討をいただいているところでございますが、本年三月、大学審議会に対して次の事項について追加して審議要請を行ったところでございます。  それは、第一に、大学院評価とこれに基づく大学院の重点的な育成についてでございます。第二点は、一般教育履修義務制度上の廃止教養部等一般教育実施組織の転換という課題でございます。三番目に、短大や高専の修了者大学への編入学の機会を確保するため、大学の途中年次への編入学定員大幅設定。四番目に、短期大学の将来のあり方について御検討いただく。五番目に、生涯学習体系への移行、多様な高等教育機関発展等の観点からの学位授与機関創設。六番目に、大学入試制度あり方文部省といたしましては、これらの多岐にわたる審議事項につきまして大学審議会において御審議をいただき、結論を得たものから逐次御答申をいただきましてその実現に努力してまいりたい、このように考えているところでございます。  なお、この問題に関連をいたしまして、本年四月に中央教育審議会の第十四期をスタートさせまして、これに対しましても、後期中等教育改革とこれに関連するという形で高等教育課題につきましても諮問をしたところでございます。  文部省といたしましては、委員指摘のとおり、今後とも我が国の高等教育充実発展を目指して大いに努力を続けてまいりたい、このように考えているところでございます。
  8. 町村信孝

    町村委員 中教審あるいは大学審に対して意欲的に諮問をなさり、また、そういう意味文教行政の一層の発展を図っていこう、こういう大臣の基本的な姿勢に心より賛同申し上げ、ぜひそういう御努力をこれからもしていただきたいと思っております。  特に今追加諮問の中で大学院評価その他、あるいはこれは既に十二月の答申でもなされたところですが、私の地元北海道大学でも工学部中心にかなり意欲的な大学院改革の原案ができた。あるいは東大でもできた。いろいろな大学あるいは大学院でそういうような試みが行われているようでございます。  そういう自主的な高まりというものに私どもは期待をいたしておりますが、例えば大学院一つとってみましても、今文部省に若干注文といいましょうか御要望申し上げておきたいのは、文部省高等教育局大学課の中に大学院係というのがあるのですが、担当者がたった二人なんですね。非常に数多い大学院のいろいろな御要望を聞くに当たって、これは有能な方々がやっておられるからいいのでしょうが、果たしてそれだけの体制で例えば大学院改革一つとっても十分こなせるのだろうかという心配が若干ありまして、現場先生方も、文部省に行ってもお忙しくてなかなか私どもの意見が聞いていただけないというような不満も率直に述べておられたようでございますので、ひとつその点も内部体制も含めて、そうした諮問あるいは答申に十分こたえ得る省内の体制もつくっていただきたい。これは御要望申し上げておきます。  次に、法案内容に即して一、二伺いたいと思いますが、まず、医療技術短大の件でございます。今回、秋田大学医学部附属看護学校廃止して短期大学部設置する、こういう御提案でございます。これまで既に二十一の短大設置をされ、今回二十二番目、こういう位置づけのようでございますが、今回看護学校短期大学に転換することによりどのような効果が期待できるのか。あるいは、看護婦さんもこれからだんだん高齢化社会に向けてかなりいろいろなニーズを満たす存在でなければならない、そういう意味では、医療技術者資質向上というものが大変重要だろうと思いますが、そのために、例えば今は二年とか三年でございますが、四年制の大学での養成を進めるというお考えがありゃなしや、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  9. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおりに、近年、医療技術高度化というもの、また多様な医療技術に対しての要請等に対応いたしまして、看護婦さんを初め医療関係技術者につきましても極めて高度な専門的な知識、技能というものが要請をされているところでございます。そういう意味から、文部省といたしましても、今日まで、御承知のとおりに医療技術短大全国国立大学に整備しているところでございます。  今後の方針といたしましては、これをただいま委員指摘のとおりに、現在の二年制の短大をさらに四年制へと質的に格上げしていくということも早急に検討しなければならない課題である、このように認識しているところでございます。この問題につきましては、特に教官の確保等につきまして相当準備等も必要であろうと考えておりますので、委員指摘の御趣旨に沿って、ここ数年のうちに具体的な方策を立てなければいけないのではないかということを文部省といたしましても内部検討しているところでございます。  あと細部につきまして政府委員の方から御答弁申し上げさせていただきたいと思います。
  10. 坂元弘直

    坂元政府委員 先生指摘のとおりに、従来主として専修学校看護婦養成国立大学でも行ってきたわけですが、計画的に短期大学に切りかえてきておるという経緯があるわけでございます。  御承知のとおりに短期大学専修学校と比べまして教育課程、それから教員資格及び教員組織、それから施設設備図書等の基準がかなり高く定められております。したがって、医学、医療進歩あるいは社会情勢の変化に対応し得る医療技術者養成短期大学にすることによって期待できるのではないかということが一つでございます。  それから、特に教育内容について申し上げますと、専修学校の場合は、一般的には技術習得目的とした実習が中心カリキュラムになるわけでありますが、短期大学におきましては、一般教育をも重視しまして、倫理学などを開設して人格形成を目指すとともに、専門教育科目についても老人看護学リハビリテーション学救急医療学等を設けまして、高齢化社会に対応し得るようカリキュラムの編成に配慮しているところでございます。  それから、短期大学にいたしますと四年制大学への編入学が可能になるわけでございまして、短期大学を卒業した後に四年制大学にさらに行って勉強しようという人にはそういう道が開けるわけでございます。  今大臣が御説明申し上げましたとおりに、学部レベル養成の問題でございますが、指導的役割を果たす看護婦看護教員養成を図るために、国立大学では現在一大学看護学部を、二大学保健学科設置しておりますし、公立大学では一看護学科私立の四大学に四看護学科を設けてきたところでございます。  それから、平成元年度は、東京医科歯科大学医学部保健衛生学科設置することといたしまして、これは看護学専攻五十人、検査技術学専攻三十人という規模でございますが、設置することとしたところでございます。  私どもとしましては、今大臣説明のとおりに、当面は医療技術短期大学部専修学校を切りかえて設置することを中心にしてこの問題に対処してまいりますが、学部レベル医療技術者養成につきましては、社会的要請、個々の大学検討状況を勘案しながら今後適切に対応してまいりたいと考えております。
  11. 町村信孝

    町村委員 文部省に若干これも注文しておきたいのですが、先週、五月十九日に厚生省看護職員需給見通しというのを発表いたしました。現状では若干の不足がある、需要に対して供給は九二%ぐらいしか満たされていない、五年間かけてバランスをとっていこう、こういう見通しのようでございます。  しかし、その過程を聞いてみますと、どうも厚生省文部省十分相談をしている形跡が余りないのですね〇一応全給供の四分の一ぐらいを文部省の関係するところから供給されているにもかかわらず、その辺の政府部内での連絡調整相談がどうも十分とられていないというような感じでございますので、この辺は、重要な供給源でございますから、もちろん量と質と両方あるわけでございますが、それぞれについてそれ相当の責任を文部省は持っていると思いますので、そこは厚生省とよく相談してこれを進めていただきたい。御要望申し上げておきます。  次に、二番目の提案内容であります大学共同利用機関について御質問をさせていただきます。  既に国立大学共同利用機関全国に十三機関十五研究所が活動しておりまして、さらにことしからは核融合科学研究所ですか、これが新たに設置される予定である、こういうふうに聞いておりますし、また、実は利用人員研究者の中で一五、六%が既に公立大学あるいは私立大学関係者になっているという現状もあるようでございます。  今回の法改正では、公立私立を含めて大学全体の共同利用機関に改めるのが趣旨である、こういうふうに承っておりますが、今回のこの改正で何がどう具体的に変わって、そのことが研究進歩発展に貢献をしていくのかということについて、局長さんで結構ですから御答弁をいただきたいと思います。
  12. 川村恒明

    川村政府委員 ただいま御指摘がございましたように、今回の改正をお願いいたしまして国公私立大学に広く開かれた共同利用機関にしたいということで、これは御案内のとおりにこの制度ができて以来実質的には公私立の方にも御利用願っておったわけですけれども法律の建前ということもございまして、それが必ずしも十分でなかった。  具体的に何がどのように変わるのか、こういうことでございますが、これは実際の研究現場レベルでのお話でございますから、非常に具体のことにかかわるわけですけれども、例えば一つ例を申し上げますと、従来でございますと国立大学共同利用機関での研究というのは、共同利用機関中心になって、そこへ公募をして全国から国公私立先生に来ていただくというやり方中心でございます。しかし、これは、大型の施設設備、例えば高エネルギー物理学研究所の放射光の実験施設のような非常に大きな施設を自由に使って自分たち研究をしたいということは当然のことでございますので、私学研究者中心になって研究計画を立て、それを自分たち計画に従って研究をするというやり方を新しくやりたいとか、あるいは運営に当たる評議員会でございますとか、運営審議会といった組織私学の方もきちんと参加をする、そういうふうな合議体として参加ができることを制度上明らかにする、そういったことで実質的に私学あるいは公立方々参加できるような運営というものを心がけていきたい、こういうことでございます。
  13. 町村信孝

    町村委員 そういうような方針で、限られた人材、限られた財源、施設というものを有効に各大学で利用するということが今本当に大切なことだろうというふうに思います。ことし、さっき言ったように核融合科学研究所設置される、こういう予定とのことでございますが、できるだけ今後こういうようなものが広がっていくと大変いいのだろうと思います。今後の整備する方針についてお考えがあれば承らせていただきたいと思います。
  14. 川村恒明

    川村政府委員 先ほど御指摘がございましたように現在十三機関、今度の予算が成立すれば、そこでまた核融合科学研究所をつくる、創設を見ていただく、こういうことでございます。共同利用機関もいろいろなタイプがございまして、核融合でございますとか高エネルギーでございますとか宇宙科学でございますとか、そういういわゆる巨大装置を必要とするような分野もございますし、あるいは国文学研究資料館、あるいは学術情報センターのように研究者に必要な情報を整備する、その情報ネットワーク中心になるというようなことがございます。今後ともそういうふうな、一つ大学で賄い切れないような巨大な装置でございますとか、あるいは学術全体の進展を図る上で必要な情報ネットワークを図っていく、つまり学術研究全体にとって共同研究共同利用仕組みを整えることがより望ましいというような分野については、学術研究の動向などを判断しながら、逐次こういった共同利用仕組みというものを整えていきたい、こういうふうに思っております。
  15. 町村信孝

    町村委員 法案については大体以上がポイントなのですが、若干法案と外れたこと、間接的には関連するのですが、実は私の地元北海道では、今、教育界を大変揺るがす大きな問題が出てきております。それは例の主任制の問題ということでございます。  この問題は先般、二月の上旬だったと思いますが、西岡大臣全国教育長さんのお集まりの会で大変勇気ある御発言をいただきました。それまで何となくもやもやとしていた問題が、大臣発言によって非常に問題点が明らかになったわけでございます。西岡大臣見解に対して自民党の北海道連アンケート調査をしたところ、八割の校長先生大臣見解に賛成をする、こういう圧倒的な支持を受けておるわけでございます。  うんとさかのぼれば、今からもう二十年近く前の協定書とかそこまでさかのぼるのですが、つい最近の問題でいうならば、昨年の四月六日に北海道教育委員会北海道教職員組合の間で結ばれた合意、それからことしの一月二十六日の合意、二つのこの合意が実はございまして、大変それには問題点がある、私どもこういう内容は絶対に認められない、こう考えているわけであります。  特に、主任というのはだれでもなっていいというものではなくて、やはり適格者が選ばれるということが必要なはずでありますが、これに対して教職員組合の方は、三年で全員一巡する、機械的に一巡をさせる、そして再任は認めない、こういうようなことを言っております。これが第一の問題点。  それから第二の問題点は、主任を命課したりあるいは校務分掌を決めるというのは、明らかにこれは校長権限であります。しかるに組合の方は、こうした校長権限を一切認めない、これはすべて交渉事項である、あるいは職員会議ですべての校内の物事を決めようという、職員会議を言うならば最高の意思決定機関と位置づける、これは累次にわたる教職員組合の大会などでもそういうことが言われているわけでありまして、こういう無秩序なことを我々断固として認めるわけにいかない、このように考えているわけでございます。  結果的には、北海道議会でのいろいろな議論を踏まえて、四月からの拡大主任制度といいましょうか、いわゆる北海道方式というものは実施が見送られたということで、最悪の事態が避けられたという認識を私どもはしておりまして、そういう意味では大臣の御発言に対して大変感謝をしているわけでございますが、大臣としてこの北海道方式問題点、どういう点が問題である、こうお考えになっておられるのか、その点をちょっと伺っておきたいと思います。
  16. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のことですべて尽きているというふうに私考えるわけでございますが、御指摘にもございましたとおりに、主任制度の本来の趣旨と申しますのは、主任にふさわしい専門的能力を持った適任者を選任して調和のとれた学校運営を実現するために大いに働いていただくということが主任制度の主たる目的であったわけでございます。  北海道主任制度につきましては、ただいま委員指摘のとおりに、本来の主任制度目的としておりましたものから大きく逸脱をして、しかもその後たまたま北教組内部文書等も表に出まして、道教委北教組との間で取り交わされた内容自体もその実態とは大きく乖離しているということが明らかになった。これは学校教育現場というものの秩序を著しく乱すものでありまして、こうした主任制度北海道という一つの地域に導入されるということになりますと、極めてゆゆしい事態が起こるというふうに私自身も判断をいたしまして、去る二月二十八日に私自身北海道教育長ともお目にかかりまして、文部省としてのこの主任制度についての考え方を明確に申し上げまして、その善処方をお願いをしたところでございます。  しかし、いずれにいたしましても、こうした問題が学校教育現場におきましていろいろな混乱を招き、子供たちに大変迷惑をかけるというような事態が起こっているとすれば、文部省といたしましても極めて遺憾であり、また残念なことでございまして、こうしたことのないように速やかに教育現場が正常化され、そして主任制度が的確に実施をされるということを心から願っているところでございます。
  17. 町村信孝

    町村委員 私はこの一連の流れを見ておりまして、やはりどちらかというと事なかれ主義——この表現は適切でないかもしれませんが、非常に事なかれ主義北海道教育委員会姿勢、それからとかく組合に迎合する知事の姿勢、これにやはり大きな根本原因があるのではないだろうか、こういうふうに私ども受けとめておりまして、私ども教育長あたりに聞くと、いや、校長会も賛成をしております、あるいは地方の教育委員会も賛成をしております、こう言うのですが、私どもが個々に聞いてみると、全くそれが事実に反する。個々の校長先生に私ども幾つかの会で聞いてみますと、みんな本当に困ったことだ、こう言っておりますし、あるいは地方の教育委員長、市町村教育委員会教育長さん方と話をしても、一体道教委は何を考えているのか、こういうことを言う人が非常に多いのが実情でございます。  とにもかくにも、一応導入が見送られたということでいいわけですが、ただ、つい先般の五月十九日ごろに行われました北教組の大会でも、もしこの一月の合意が守られないとすれば九月にストをも辞さない、こうした極めて過激な方針北教組大会で打ち出している、こういうことでございます。私は、そういう地方の教育委員会に対して文部省はこれまでもっとに御指導をしていただいているとは思うのですが、特に道教委に対しては毅然たる態度で臨むように、道教委に対して強い指導を行っていただきたい、こう思いますが、その点についての御方針を伺いたいと思います。
  18. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のことにこれまたまさに尽きているというふうに私も考えるわけでございまして、北海道におきましてこれまで長年のいろいろな経緯があったということは承知しているわけでございますが、あくまでも教育委員会が責任を持って教育行政に当たるべきでありまして、いやしくも教育行政を進める上で北教組との間でなれ合い的と申しましょうか、法令に反した形で物事が進むということについては厳にこれを慎んでいただきたい。文部省といたしましても、これまで以上に毅然たる態度で教育行政に取り組んでいただくように北海道教育委員会に対しましても今後とも強く要請をし、文部省としての指導を徹底をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  19. 町村信孝

    町村委員 ぜひそういうようなことで、西岡大臣あるいは文部省の皆さん方の御努力というものを期待いたしますし、私どもも自民党という立場で北海道教育の正常な姿をつくるために一生懸命努力をしていきたい、このように考えているところでございます。  以上をもって私の質問を終わります。ありがとうございました。
  20. 工藤巖

    工藤委員長 次に、佐藤徳雄君。
  21. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は前半、今大きな問題となっておりますリクルート事件、この疑惑の問題と、さらに、政界にまで波及した今日の政治実態でありますだけに国民の皆さんの関心は非常に強いし、同時にまた、リクルート疑惑を徹底的に解明してほしいという国民のその願いというのはまさに大臣も御承知のとおりだろうと思いますけれども、とりわけその中心的な役割と申しましょうか、その渦中にあるのが文部省である、残念ながらそう言わざるを得ません。この問題に関しまして既に藤波、池田両代議士が起訴をされているという事実の上に立ちまして、この問題を中心にして幾つか見解を述べながらお尋ねをしたい、こう思っているところであります。  さて、法務省の方いらっしゃっていますか。——冒頭、法務省の方にお尋ねをいたします。  政治日程からいいますと、明日、中曽根前首相の証人喚問が行われる予定になっているようであります。それに先立ちまして、午前中、法務大臣から中間報告があるという知らせも受けているわけでありますが、私は、今進行しておりますこのリクルート疑惑の解明の問題、お二人の代議士が起訴されたからといってそれで終わるべきものではないし、終らせてはならない、こんなふうに考えているわけであります。今後の捜査の進展の展望と申しましょうか、まずそこからお尋ねをしたいと思います。
  22. 古川元晴

    ○古川説明員 今後の捜査の展望ということについての御質問でございますけれども、これまでしばしば法務当局から申し上げておりますとおり、捜査はなかなか流動的な点もございますので確たることは申し上げられませんけれども、現在終局に近づいてきておるということで、近々、東京地検におきましても最終的な捜査結果の発表がなされるというふうに承知いたしております。
  23. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 今私が申し上げましたように、これで終局するということになれば、それでなくても政治不信が極めて高まっている折だけに国民が納得しないだろう、こんなふうにも私は考えるわけであります。国民の期待にこたえられるような法務省としての態度あるいは見解、特に検察に対する問題、こういう問題につきまして国民が納得のいくような捜査の進展なり状況というものをぜひつくっていただくことを私の方から指摘しておきたいと思うわけであります。  そこで、藤波孝生代議士、池田克也代議士に対する起訴事実が新聞で報道されております。その起訴事実につきまして御説明をいただきたいと存じます。
  24. 古川元晴

    ○古川説明員 それでは、本月二十二日に東京地裁に公判請求いたしました両議員に対します公訴事実の要旨を申し上げます。  まず、藤波衆議院議員に対します公訴事実の要旨でございます。  被告人は、衆議院議員であり、昭和五十八年十二月二十七日から同六十年十二月二十八日までの間、内閣官房長官であったものであるが、リクルート社社長江副浩正らから、同社が営む大学等卒業予定者向けの就職情報誌の発行、配本等の事業に有利ないわゆる就職協定について、国の行政機関において同協定の趣旨に沿った適切な対応をするよう尽力願いたい旨の請託を受け、その報酬として、同五十九年八月十日ごろから同六十年十二月五日ごろまでの間、前後四回にわたり小切手十七通、額面金額合計二千万円を受領し、さらに同六十一年九月三十日ごろ、一般人が入手することが困難で店頭登録後値上がりが確実なリクルートコスモス社の未公開株式を、登録後に見込まれる価格より明らかに低い一株当たり三千円で一万株譲り受けて取得し、もって、自己の内閣官房長官としての職務に関し請託を受けてわいろを収受したという事実でございます。  次に、池田議員に対します公訴事実の要旨を申し上げます。  被告人は、衆議院議員であり、昭和五十八年十二月二十八日から同六十一年十二月二十四日までの間、衆議院の文教委員会あるいは予算委員会委員であったものであるが、リクルート祉社長江副浩正らから、同社が営む大学等卒業予定者に対する就職情報誌の発行、配本等の事業に有利ないわゆる就職協定について、同文教委員会及び予算委員会において、国の行政機関に対し同協定に協力するとの各省庁人事担当課長会議の申し合わせ遵守を徹底するよう質問し、あるいは実効性のある同協定の早期取り決めなどにつき適切な対応策を講ずるよう質問してもらいたい旨の請託を受け、その報酬として、昭和五十九年八月初旬ころから同六十一年五月三十一日ごろまでの間、前後二回にわたり小切手二通、額面金額合計二百万円を受領したほか、前後二回にわたり合計金額五百万円の振り込み送金を受け、さらに昭和六十一年九月三十日ごろ、一般人が入手することが困難で店頭登録後値上がりが確実なリクルートコスモス社の未公開株式を、登録後に見込まれる価格より明らかに低い一株当たり三千円で五千株譲り受けて取得し、もって、自己の職務に関し請託を受けてわいろを収受した、以上のような事実でございます。
  25. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 今説明をいただきました中に、特に藤波代議士の問題につきまして、昭和五十九年三月中旬ころ官房長官公邸において江副から云々とあります。そこで、三月中旬とは三月の何日だったか、特定できますか。
  26. 古川元晴

    ○古川説明員 公訴事実には御指摘のとおり三月中旬ころというふうな記載になってございまして、これはこの時点におきます日時のできる限りの特定としてはこういうものであるということで記載されておると御理解いただきたいと思います。
  27. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 次に、文部大臣にお尋ねをいたします。法務省の方、大変ありがとうございました。お引き取りいただいて結構であります。  今法務省から起訴事実の内容につきまして説明があり、大臣もお聞きになっていたとおりでありますけれども、特に私は、終始文教委員会に所属をしておりました関係からいいましても、とりわけ池田代議士とは同じ委員会に所属をしたこともありますから、その意味では極めて残念なことであり、極めて遺憾なことである、こう考えざるを得ません。  具体的な中身につきましては後ほど指摘をしながらお尋ねをいたしますが、まず起訴事実の説明によりますと、リクルート社と文部省、リクルート社と臨教審との関係が就職協定問題をめぐりまして鮮明にされた、こういうふうに私は思います。具体的問題につきましては、今ほど申し上げましたように、後ほど質問で明らかにしていただきたいと思いますが、今の起訴事実をお聞きになって、文部行政の責任者である文部大臣といたしましてはどのような御感想をお持ちなのか、そしてこれに対する見解がおありでしたらお示しをいただきたい、こう思います。
  28. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  今回の問題は、私といたしましても極めて残念なことであるというふうに考えておりますけれども、ただいま委員指摘の藤波代議士、また池田代議士の起訴事実の問題につきましては、これから司法の判断されるところでございまして、私がこの段階で感想あるいは論評を申し上げるのは差し控えるべきである、このように考えます。
  29. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 もちろん、いずれ裁判で明らかになる話でありますが、しかしコメントを差し控えるというのはちょっと私は納得できません。  高石問題を初め、今度の問題は就職協定問題に絞られているようでありますが、実は就職協定問題だけではなくて、リクルート事件というのは非常に広範にわたっておりまして、その中心的な役割と申しましょうか、中心的な状況に文部省自体が置かれていたということは既に大臣承知のとおりなのであります。そうだとすれば、裁判の判断をまつまでもなく、現状認識の上からいって文部大臣はかく考える、そして今後はこういう方向でいきたいということがあってしかるべきだと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  30. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員からの御質問は、藤波代議士、池田代議士の起訴事実についての文部大臣としての見解いかんという御質問でございましたので、司法の手にゆだねられた問題について文部大臣としてその見解なり論評を申し上げるのは差し控えたいということを申し上げたわけでございます。
  31. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは、この問題だけやりますと時間をとりますから、具体的な問題でお尋ねをしながら、大臣並びに担当者見解をお尋ねしたいと思います。  まず、その第一は、昭和五十九年一月十二日、日経連の松崎専務、この方は中央雇用対策協議会の座長をやられておったはずでありますが、守られていない就職協定の廃止発言したようでありまして、そして同一月三十日に就職問題懇談会、これは文部省、国公私立大学、十一団体で構成されているはずでありますけれども、この就職協定が継続を決定したというふうに伝えられているわけであります。文部省は、どういう検討を行って、これに対して当時どういう対策を行ったのか、お尋ねをいたします。
  32. 坂元弘直

    坂元政府委員 私ども承知しておる事実は、中央雇用対策協議会の座長をしております当時の日経連の松崎専務理事が守られない就職協定などはもう必要ないのではないかというような意見を表明したというのは、六十年九月十二日、これは文部、労働両大臣と経済四団体との懇談会の座でそういう発言をしたというふうに私ども承知いたしております。
  33. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私の質問に的確にお答えになっていないようでありますが、こういう発言の事実に立ちまして、文部省は当時そういう発言を受けてどういう検討を行い、そしてどういう対策を行ったのかとお尋ねしているわけでありますから、質問に答えてください。
  34. 坂元弘直

    坂元政府委員 私ども承知しております事実は、その席で松崎専務理事が今私が申し上げましたような発言、意見を表明したところ、そこに御出席の他の財界の方々は、それでもやはり必要なんではないかというような意見がかなり多くて、結局最終的にはその場ではなお続けていこうということ、だけれども実務的にもう少し守られるような案を検討しようではないか、そういう結論になったというふうに私ども承知いたしております。
  35. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは、昭和五十六年十一月に労働省が就職協定の監視役から撤退をしたはずであります。撤退を労働省がやったその直接的な理由、労働省の方はお呼びしておりませんけれども、関連する問題でありますから、文部省も既に十分御承知だろうと思いますのでお尋ねをいたしますが、労働省が撤退をしたその直接の理由は何であったのか、お答えをいただきたいと存じます。
  36. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  当時、ただいま委員指摘のとおり、昭和五十六年十一月二十六日の中央雇用対策協議会におきまして、労働省が行政として協定を守るという指導を行えば行うほど隠れた違反が多く不公平をもたらす結果になるということを理由として、この決定及びこれを守るという指導について労働省としては参加しないこととしたというふうに承っております。
  37. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは、次にお尋ねをいたします。  藤波氏の起訴事実は、五十九年三月中旬ごろ官房長官公邸で江副氏から就職協定に関して請託を受けたとしているわけであります。  就職協定問題は、今お答えをいただきましたように、既に労働省が手を引いておりまして、所管は文部省であったはずであります。この文部省、当時の大臣はたしか森さんだったと記憶をしているわけでありますが、藤波氏が請託を受けるというのもどうなのかなというふうなことも考えられないわけではありませんけれども文部省関係者及び当時の森文部大臣がこの問題について関係をしていたのかどうかお調べになった事実がございますか。
  38. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  当時、森文部大臣がこの問題について具体的な形で御発言があったという記録あるいは具体的な御指示があったという記録は、私が調査をいたしました範囲におきましては承知をいたしておりません。
  39. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 昭和五十九年二月三日に自民党が教育臨調構想を了承して、これが政局の焦点になったことは御承知のとおりであります。その法案作成過程で、首相の中曽根氏と文部省との間に意見の相違があったとよく伝えられておりましたが、そのため法案提出がおくれた、つまり意見が合わなかったという新聞報道等もあるわけでありますけれども、その相違点は当時どこにあったのでしょうか。
  40. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員の御指摘でございますが、これは最終的には、政府としては一体として方針を決定したわけでございまして、その間の政府・与党間の議論の相違点につきまして、私が今この時点でその経過をいろいろと申し上げるということは適当ではないと思います。結論として、政府・与党同じ結論に達して法案の御審議をいただくということになったわけでございまして、その間の経緯につきましては私から御説明を申し上げるのは差し控えた方がいいのではないか、このように考えます。
  41. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 いろいろの御配慮からそういうお答えになったんだろうと思いますが、しかし、かなり臨教審問題は就職協定問題で、それだけではありませんけれども特徴的にあらわれている問題ですから、私は極めてこの問題を注視したためにお尋ねをしたわけであります。  そこで次にお尋ねいたしますのは、昭和五十九年三月十六日に当時の中曽根首相と森文部大臣との会談があったはずであります。臨教審委員の人数が、九人から十五人が二十五人に増員されました。その増員の理由は中曽根好みの委員を入れるためではないかとよく言われておるのでありますが、その事実関係がもしお答えできればお答えをいただきたい、こう思います。
  42. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘の点につきましては、詳細について、私自身も当時のことにつきまして承知をいたしておりませんけれども、できるだけ多くの各方面、多岐にわたる御意見を臨教審の方に反映させたいという御趣旨であったというふうに承っているところでございます。
  43. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 昭和五十九年三月時点では既に臨教審委員の人選が始まったはずであります。三月六日、中曽根・森会談が行われておりますね。これは人選のお話があったのかどうかおわかりになりますか。
  44. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘の三月六日という日に具体的なそういうお話があったということにつきましては承知をいたしておりません。
  45. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 本当は当時の大臣の森さんに来ていただいていろいろ事情をお尋ねすれば一番よろしいはずでありますが、いずれ機会があるでしょうから、文教委員会だけではなくて、その時点で明らかにされればこの一連の流れについての経過ないしは中心的な問題については浮き彫りにされるのじゃないかと私は思います。  さて、その次でありますが、五月十八日、これは読売新聞に掲載されているわけでありますけれども関係者の話としてという前置きがついておりますが、当時官邸サイドから江副を委員に就任させるよう強い要請があった、こう報じているわけであります。事実関係を含めてでありますが、もしそうだとすればだれからだれに要請が行われたのか、お答えください。
  46. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘の問題につきましては、私も今日までいろいろと当時のことにつきましてその経緯を調査したところでございますけれども委員指摘の点の事実は私の知る限りにおきましてはなかったというふうに承知をいたしております。
  47. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 あなたが承知している限りということでありますから、いずれ事実関係はやがて明らかになるだろうというふうに私も思いますから、この問題はこれで終わりまして、次に進めさせていただきます。  昭和五十九年四月十四日の新聞にいろいろ掲載をされておりますけれども政府は臨教審の五月発足を断念をし七月一日にスタートする方針を、事実上、新聞などによってもこれは後日決められたことが明確になっております。その直後、昭和五十九年四月十五日、藤波官房長官、森文部大臣、江副氏、牛尾氏が茅ケ崎のスリーハンドンッドクラブでゴルフをしていた事実があります。この中身については承知をしておりませんけれども、多分臨教審委員の問題あるいは就職協定の問題が話し合いをされたのではないか、このように伝わってきているわけであります。  就職協定問題で既に請託の関係にあった藤波官房長官と江副氏に文部大臣が加わってゴルフをされている。一体これはどういうことなのかという疑念がいまだにぬぐい去れないというふうに私は受けとめているわけであります。こういう一連の事実経過があるようでありますが、この点について、もしよろしかったら大臣の御見解なり考え方をお聞かせください。
  48. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員せっかくのお話でございますけれども、個人的ないろいろなおつき合いということと具体的な政策とを直ちに結びつけていろいろとこの段階におきまして私の方からこれを推測するということは差し控えるべきだと考えますし、そのことと委員指摘の問題とが関連するというふうには直ちに判断するべき事柄ではないのではないか、これは全く別の事柄としてとらえるべきではないか、私自身はこのように考えております。
  49. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 この問題は非常に根が深い問題でございまして、単に今のお答えだけでそれで了解するとかとどまるという問題ではなかろうと思いますが、私が今申し上げましたその問題についても、後日でも結構ですから、十分お調べになられた方がよろしいのじゃないか、こんなふうに思っているわけであります。  このスリ一八ンドレツドクラグのゴルフをやられました後に、クラブハウスで午後二時十九分から午後三時三十四分まで当時の中曽根首相と藤波官房長官、森文部大臣、それから江副氏、牛尾氏が懇談をしているようであります。この懇談内容は一体何であったのか。臨教審問題、就職協定問題等、首相サイドで文部省、リクルートサイドの利害の調整を行ったんじゃないかという話もその当時から流されてきているわけであります。お答えは要りません。そういう事実関係があったようでありまして、これも後々問題になる点だろうと私は思いますから、指摘をしておいたはずでありますが、ひとつお調べになった方がよろしい、こういうふうに思います。  さて、その次にお尋ねをいたします。  昭和六十年一月二十一日並びに昭和六十年二月二十七日に江副氏が臨教審の第二部会のヒアリングで発言をしていらっしゃいます。この二回における発言内容は何だったのでしょうか。お答えください。
  50. 佐藤次郎

    佐藤(次)政府委員 お答え申し上げます。  江副氏は、昭和六十年一月二十一日に臨時教育審議会の第四部会のヒアリングに、同年二月二十七日に第二部会のヒアリングにそれぞれ参考人として出席をいたしまして、要旨次に申し上げるような発言がなされたというふうに承知をいたしております。  一月二十一日の第四部会のヒアリングでございますけれども、「学歴と雇用について」と題しまして、我が国社会における学歴格差の現状について、欧米諸国と比べ給与等の点から見ても我が国は学歴社会とは言えないこと、高等教育における問題点として、社会の需要を考えた学部・学科の再編成を積極的に行うこと、採用試験のあり方として、企業は採用時に大学における学業成績をほとんど参考にしていないが、これをもっと参考にすべきことなどの発言がございます。  一方、昭和六十年二月二十七日の第二部会におきますヒアリングにおいては、「学歴社会について」というタイトルで話をされております。まず、学歴社会についての認識でございますが、我が国の産業界では、大学の大衆化に伴って有名大学卒を重視しようという風潮は既になくなってきており、世界で最も学歴差のない国と言えること、これは、学歴による収入格差がほとんどなくなっていること、指定校制をとる企業がほとんどなくなっていること、昇進に当たって学歴を考慮しない企業が大半であることなどに見られること、一方、産業界以外について見ると、社会一般においては結婚等の面で学歴差があるかもしれないが、外国に比べれば極めて小さい、また、官庁においては学歴差がいまだ存在していることなどを述べております。さらに、企業は採用に当たり学業成績をほとんど参考にせず面接で採否を決めている、その理由として二つ挙げておりまして、その一つは、就職協定に定められた時期には採用が既に決定してしまっていること、また大学で成績評価が厳密に行われていないということによるものである、こういうふうに述べております。また、学生側においては、就職動機が希薄になりまして、大企業ならどこでもよい、こういうような風潮が強まっているということ、そのほか、リカレソト教育に積極的に取り組むことが必要であるというようなことを述べている。  以上でございます。
  51. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 昭和六十一年二月二十日、文部省が新就職協定の原案を提示したようであります。これは多分学生課長が行ったようにお聞きをしているわけでありますが、この協定原案の中身は何であったのでしょうか。
  52. 坂元弘直

    坂元政府委員 改めて私から御説明するまでもないわけですが、四十八年から昭和六十二年までの間は、先生も御承知だと思いますが、就職協定は大学側の機関である就職問題懇談会とそれから企業側の機関であります先ほど名前が出ました中央雇用対策協議会とでそれぞれ別個に決定されてきたわけでございます。就職問題懇談会というのは大学側でございますので、文部省がそちらの方に深くコミットしてきているわけでございますが、ただ、労働省が先ほど言ったような経緯で抜けてきたというような経緯もありまして、両機関が別個に決定しておりましても決定期日が変わるということになりますと大変でございますので、文部省が事実上両機関の意見の橋渡しを行って両者の意思の疎通を円滑に図るための調整役をずっと務めてきたわけでございます。  実は、昭和六十一年度の協定につきましては、昭和六十年十一月二十八日の大学側の就職問題懇談会におきまして、就職協定は存続することと決めまして、ただその期日については、これは大学側の意見なんですが、夏休みを活用して企業の訪問ができるような、そういう夏休み中にスタートできるような期日にしてもらえないかという意見が早くから出されてきたわけでございます。文部省はこの案につきまして短大側と意見交換を行ってきたわけでございますが、なかなか意見の調整がつかなかった。  一方、昭和六十一年一月十三日になりまして、先ほど申し上げました中央雇用対策協議会座長であります松崎日経連専務より文部省に対しまして、協定の成案を早く示してもらいたい、文部省が早く調整をしてくれないかというような要望が出されました。これに対して十三日から一生懸命従来からやっていた努力を続けましたが、なお調整がつかないということで、一月二十七日に私どもの方から、期日については関係団体間でなお意見を調整する必要があるので、もう少し待ってもらいたいというふうに中央雇用対策協議会の方には回答したわけでございます。  その後、関係大学団体と意見の調整が調いましたので、六十一年二月二十日に文部省から中央雇用対策協議会に対しまして、六十一年度の就職協定の案は次のようにしていただけないかという案を示したわけでございます。その内容は、企業と学生の接触開始、前年度は十月一日でございましたが、それを八月二十日とする。それから選考開始は前年度と同様十一月一日にする、そういう案でございました。
  53. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 次にお尋ねいたしますが、昭和六十年の四月に臨教審第二部会が開かれておりまして、ここでは答申のたたき台として経過報告がまとめられていたはずであります。全容については結構でありますから、特に学歴社会の部分についてその内容説明してください。どういう経過報告がまとめられたのか。
  54. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま委員指摘の部分につきましては、四月の段階におきまして、学歴社会についての認識につきましては、我が国はヨーロッパの諸外国と比較した場合に、就職する場合の条件あるいは就職してからの昇給等、学歴による格差というものが比較的に日本の場合には少なくなってきているということを第一の問題として指摘されておりまして、さらにそれに引き続きまして、そうは言いましても、よい学歴、有名校を志向するというような意味だというふうに考えますけれども、それを目指した学歴の獲得競争というものは依然として厳しい状況にある、国民の皆さん方の一般的な意識とそれに基づく行動様式においては学歴志向がなお存在をしているということができるということが、冒頭に述べました部分に引き続いて指摘をされているわけでございますが、これが発表されました段階で、前段の部分が極めて大きく報道をされたという事実があったということを、当時の新聞あるいは記録等において私自身も調査し、承知をしているところでございます。
  55. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 その経過報告が出されましたカ月後において、つまり、昭和六十年六月、第一次答申の発表がありました。これも、学歴社会の部分についてのみで結構でありますから、どのような答申になったのか、お答えください。
  56. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいまお答えを申し上げました四月の段階における経過報告を公にいたしました段階で、ただいま申し上げましたような経緯で、そうではないと、第二段階での、依然として学歴、いわゆるいい学歴を求めての学歴志向型というものが存在するのだという部分が、どちらかと申しますと大きく取り上げられていなかったということに基づいて、かなりこの四月の段階での臨教審における審議の状況についての世論の批判、いろいろな御指摘等がございまして、それに基づいて六月に出されました答申については、学歴社会の弊害の是正ということが極めて大きな観点として前面に出てきたという答申内容になっているというふうに承知をいたしております。
  57. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 今お答えいただきましたように、六十年の四月には、先ほど大臣がお答えになったとおりのことが経過報告では載せられているわけであります。すなわち、官庁や企業で学歴による昇進や賃金格差は小さくなっており、我が国の実態は有名校を偏重する学歴社会とは言えない、これが六十年四月の経過報告で述べられている中身ですね、間違いなく。  ところが、六十年の六月、つまり二カ月後には、今お答えをいただきましたが、有名校重視につながる就職協定違反の採用、これは青田買いと表現しているようでありますが、改めるべきである、このように実は答申の中で記載をされているわけであります。わずか二カ月の間にかなりの動きがあったなという感じを持つわけでありますが、具体的な事実は定かでありませんけれども、そういう関連の部分として次にお尋ねしたいのは、五月十五日の部会で石井部会長が突然答申内容について部会長に一任をしてほしい、こういう発言をされたことを聞いておりますけれども、この発言は事実ですか。
  58. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘の点につきましては政府委員からお答えをいたさせますが、先ほど私が申し上げました中で重ねて申し上げますけれども、四月の段階での経過報告の中におきましても、順序がちょっと逆になっているわけでございますが、四月の段階においても「良い学歴を目指した学歴獲得競争は依然として厳しい状況にあり、国民の一般的な意識とそれに基づく行動様式においては、学歴志向が存在しているということができる。」ということも同時に指摘をされていたわけでございますが、前者の採用される場合あるいは採用されてからの賃金等の学歴による格差等については諸外国と比べた場合には、どちらかというと日本の社会は学歴社会ではないということが前面に出たために誤解を招いて、世論の、当時新聞等ではその部分にかなり焦点が当てられて批判がされたという記録が残っているわけでございまして、委員のお言葉でございますけれども、六月の段階の答申においては確かに重点が逆転をしていたということは事実でございますけれども、四月の段階においても同じことは同様に審議過程の中で述べられているということは、重ねて申し上げておきたいと思うわけでございます。
  59. 佐藤次郎

    佐藤(次)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど御指摘の五月十五日の件でございますが、その件につきましては、参議院予算委員会で当時、石井第二部会長が参考人として御発言をいたしておりますので、それを踏まえてちょっと申し上げたいと思います。  臨時教育審議会の運営の問題でございますけれども、部会というのと総会というものがあるわけでございますが、「審議経過の概要」につきましては、部会における審議状況というのを取りまとめておるわけでございます。その審議状況の取りまとめにつきましては、部会で起草委員会というのを三人で構成してそれが起草をされたというふうに承っております。  今度、答申でございますが、この答申は総会において最終的に委員の全員の一致で決めていくということでございまして、その起草委員会というのは臨時教育審議会の運営委員会会長代理のお二人、それから四人の部会長、瀬島委員と内田委員という起草委員会で起草をされていく、こういう仕組みが違うわけでございますので、「審議経過の概要」の取りまとめの段階から答申の段階に移った、こういうことでございます。
  60. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 答申の段階に移ったというのは、私もいただきましたその内容を見て承知しています。今のお答えで尽きるのだろうとは思いますが、この起草委員三人を部会長に一任をしてほしいということから起草委員が外されたというふうにお聞きをしているのでありますが、その事実については間違いありませんか。
  61. 佐藤次郎

    佐藤(次)政府委員 ただいま申し上げましたように、部会での審議の取りまとめというものと、総会に移りましてそこで答申をどういう形で取りまとめていくかという役割分担が違うわけでございますので、今までの部会において起草委員をやっておられる方がここでやめさせられたとかそういうものではない、これは先ほど申し上げましたように、当時の石井部会長が参議院の予算委員会で申し上げているとおりでございます。
  62. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 臨教審の事務局がありまして、絶えず事務局の皆さんは事務担当をされてきたのだろうと思いますが、その一任された後に文部省担当者がどなたかわかりませんけれども、この起草について一任された後に文部省がこれに関与した事実があるのですか、ないのですか。
  63. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  そのような事実はございません。
  64. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは次にお尋ねをいたします。  本委員会に入る前にいろいろ私も勉強をしてまいりました。特に、池田代議士が就職協定問題を中心にして何回かにわたって本委員会質問をしている事実を、鮮明ではありませんが、私も聞いておりましたから、後で会議録を読み直してみますと、なかなかまともなことも言っているというふうな判断もされるわけであります。だが問題は、リクルート社側が国会質問の想定問答集を作成している、そして池田議員に持ち込んで質問を依頼したと新聞は報道しています。  これは五月一日の新聞であります。「問答集の答弁には実際に文部省が国会で行った答弁の内容とほぼ一致したものが含まれ」ている、こういうことも報道されているわけであります。そこで「文部省側の想定答弁内容が、池田議員の質問に対する実際の答弁内容と大筋で一致していた。」とも報ぜられているわけでありますが、これは偶然の一致にすぎないと理解してよろしいですか。
  65. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  少なくとも、ただいま委員指摘の点につきまして申し上げますと、文部省の池田議員に対する答弁の資料がリクルート社に事前に漏れていたというような事実はございません。
  66. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は漏れていたなんて一言も言っていません。だから偶然の一致にすぎないか、そういうふうに理解してよろしいかと質問しているのですから、まともに受け取ってください。  次に、臨教審の事務局のスタッフで学歴社会をテーマにした第二部会の担当者、これは文部省職員のようでありますが、その担当者と、就職協定についての文部大臣答弁を作成した文部省高等教育局の担当者が厳重処分を受けたようであります。この処分事由について明らかにしてください。そして被処分者は一体何人だったのでしょうか。
  67. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  文部省といたしましては、去る四月二十日に文部省自身の調査に基づきまして、ただいま委員指摘のとおりに厳重注意処分を職員九名に対して行ったところでございます。その理由でございますが、委員指摘の点についての厳重処分ではございませんで、当時文部省自身の調査に基づき、リクルート社から社会儀礼的な程度であるというふうに判断をいたしましたけれども、いろいろな疑惑を呼んだということもございまして、この問題に関連をいたしまして厳重注意を行ったということでございます。
  68. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうもおかしいですね。今のお答え、残念ながら非常にあいまいじゃないかというふうに受けとめざるを得ません。酒食やゴルフの接待、こう言いたいのでしょうけれども、酒食やゴルフの接待を受けるようになったのは、原因があって初めてそれが成り立つわけなのであります。ただ何とはなしになんていうことは考えられない。そうだとすれば、酒食やゴルフの接待を受けるようになったその原因は何だと把握をされておりますか。
  69. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたとおりに、委員指摘の厳重注意につきましては、社交儀礼的な範囲内であるというふうに私自身判断をしたわけでございまして、職務を行う上で問題があったというふうには認識をいたしておりません。
  70. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 認識の相違かどうかは別にいたしまして、しかし少なくとも次の段階でもお尋ねをいたしますが、どうもすっきりいたしません。処分にはいろいろな段階があることも私もよく承知をしています。しかし、まさにリクルート社との密接なつながりを持っていた——想定問答集は別にいたしましても、そういう絡みの問題がかなり憶測として流れていたことも事実でありますけれども、単なる社会的儀礼の範囲内でということでこういう処分の事由が一体成り立つのかどうか、私は極めて疑義を持つものであります。  私がお尋ねしているのは、単に社会的儀礼であろうがなかろうが、酒食やゴルフの接待を受けたことについてはそれなりに接待をした方にも意図的なものがあったのではないかとは思いますけれども、それにはかなり原因があるはずなのであります。単なる社会的儀礼として片づけてよろしいのですか。どうです。
  71. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員ただいま御指摘の件に関する限りにおいては、私自身いろいろと調査を省内においていたしまして、あくまでも社会通念上社交儀礼的範囲内であるというふうに判断をしたわけでございまして、ただ問題としては、今後やはりいささかも疑惑を持たれるというようなことがあってはならないという意味で厳重注意ということを行ったわけでございます。
  72. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 大臣、当人にとってみれば処分というのは極めて重要な問題なんですよ。その中身については触れませんけれども、しかし少なくとも、あなたは社会的通念や社会的儀礼だとおっしゃっていますけれども、それではこの問題を当てはめるときに社会的通念とは具体的に一体どういうことだったのですか。
  73. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  具体的な内容でございますが、社会通念的に申し上げて一般的な社交儀礼的な範囲内というふうに私が申し上げましたのは、ゴルフあるいは飲食等、一度ないし二度というような程度のものであったということでございます。
  74. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 これでいいとは思いません。思いませんが、これで時間をつぶすのはもったいない話でありますから、次に進めさせていただきます。  被処分者の中には臨教審事務局への出向者や高等教育局の在職経験者がいたと思いますが、いかがでしょうか。
  75. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど来お答え申し上げております厳重注意ということは懲戒処分ということには至らなかったわけでございまして、慎重さを欠いていたという行為に対して行政機関内部の秩序を維持するという観点から行われたものでございまして、一般的に具体的な役職等についてこの席で申し上げるということについては差し控えさせていただきたいと思います。
  76. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうも都合が悪くなると答弁を差し控えたいというのを何回か聞くわけでありますが、質問する私にとりましては、そういう答えは極めて不満であります。  それじゃお尋ねいたしますが、臨教審事務局のスタッフ職員は何の部会の担当者だったのでしょうか。
  77. 國分正明

    ○國分政府委員 あるいは御質問趣旨と違っているかもしれませんが、当時、臨教審は四つの部会で構成されておりまして、文部省から出向している者は第一部会から第四部会までそれぞれ属しておりました。特定の部会にのみ属しているということではございません。
  78. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それじゃ重ねてお尋ねいたしますが、今のお答えは特定の部会に所属していないというお答えですね、違いますか。私が聞いているのは、何部会に所属しているのかということをお尋ねしているのです。厳重処分を受けられた方が何部会に所属しているのかという質問なんですよ。
  79. 國分正明

    ○國分政府委員 ちょっとお尋ねの趣旨、また取り違えているかもしれませんが、文部省から多数の者が出向しておりまして、第一部会、第二部会、第三部会、第四部会というふうにそれぞれ属している、こういうことでございます。——失礼いたしました。先ほど大臣からお答え申し上げましたように、一般的に行政機関内部の秩序維持の観点から行われているものでございますので、特定の氏名に基づく役職名等は差し控えさせていただきたいと思います。
  80. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それはおかしいでしょう。何でそのぐらいのことが答弁できないのですか。九名が厳重注意を受けているとちゃんと大臣の答えがあるじゃありませんか。何部会に所属しているかは秘密なんですか。おかしいじゃありませんか。担当者が所属していたのは第二部会じゃないですか、違いますか。質問している方が落ちついて質問しているのですから、答弁する人は落ちついて答弁してください。
  81. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  御質問趣旨を若干取り違えて正確さを欠いた点はおわびを申し上げます。  委員指摘の点につきましては、具体的に九名の厳重注意を行った職員について、その九名が特定の部会に所属をしていたということではございません。
  82. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 ちょっとわかりませんね。もっとわかるように説明してください。大臣じゃなくても担当者で結構ですよ。
  83. 國分正明

    ○國分政府委員 九名の厳重処分を受けた者について、あるいは全部どこかの部会に属していたという前提でのお尋ねだとすれば、九名については特別に臨教審の部会に属していた者ということではございません。  なお、付言して申し上げますと、具体の第二部会に属していた者がその職務の遂行、第二部会に属している間の行為について厳重注意を受けたという事実はございません。
  84. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 しつこいようですけれども、的確に答えてください。いま一回質問し直します。  被処分者の中には臨教審事務局への出向者や高等教育局の在職経験者はおりますか。改めて質問します。
  85. 國分正明

    ○國分政府委員 先ほど申しましたように、具体の氏名に結びつくようなことは差し控えたいと思いますが、ただいまお尋ねの九名の者は、かつて臨教審に出向していた者あるいは高等教育局に在職していた者が含まれております。
  86. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 重ねて同じことを質問するのであります。臨教審事務局のスタッフの職員は何部会の担当者でしたか。固有名詞を出せと聞いているのじゃないのだ。
  87. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘の点につきましては、部会に属していた者も中におりましたし、部会に属していない者もいたということでございます。
  88. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それではちょっと納得できませんね。(発言する者あり)
  89. 國分正明

    ○國分政府委員 若干お時間をいただいて臨教審事務局の仕組みを申し上げないと御理解しにくいかと思いますが、臨教審におきましては、事務局の中に総務課というのがまずございます。それで、総務課に所属しておる職員もおるわけでございます。それから、先ほど申し上げましたように、第一部会、第二部会、第三部会、第四部会ということで、部会担当ということでそこに属しておる者もおるわけでございます。  したがいまして、大臣がただいま申し上げましたのは、それぞれの部会に属していた者もいるし、属しなかったという意味は、総務課といういわば官房的な仕事がございますので、そういう趣旨で申し上げたものでございます。
  90. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは、だれがどこにおったのかということは後で知らせていただけますか、いかがですか。
  91. 國分正明

    ○國分政府委員 先ほど申しましたように、特定の氏名が確定すると申しますか、事実上わかるという形のものは差し控えさせていただきたいと思いますが、そうでない形のものについて何か工夫があるかについては検討させていただきたいと思います。
  92. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうも官僚答弁よりももっと悪いですね。どうしてもっとずばり物が言えないのですか。そこに文部省の閉鎖的な問題があるという批判が集中するじゃありませんか。それを裏書きしておるようなものですよ。ですから、もっと率直に端的に答えてください。  それじゃ角度を変えてお尋ねいたしますが、臨教審事務局スタッフが処分をされた問題から私はこの問題を今お尋ねしているわけでありまして、そのスタッフの職員はそれぞれの部会に所属をしたり異動する場合があるというお話でありますが、第一次答申を出されたときに担当された方はどなたですか。第二部会を担当されていた方はどなたですか。
  93. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員質問の御趣旨は、厳重注意を行った九名の職員に関するという前提での御質問でございましたので、私から先ほど申し上げましたように、これは行政機関内部の秩序維持という観点から行われたものでございまして、一般的に氏名及び氏名の特定に結びつくという役職名の公表は差し控えさせていただいているということが通例でございまして、そういう趣旨で申し上げているわけでございまして、決して文部省が閉鎖的ということでお答えを申し上げているものではございません。
  94. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 納得できません。氏名をこの委員会で公表するということが事実上できないとすれば、どなたが何の担当というのは後ほど知らせていただけますか。
  95. 國分正明

    ○國分政府委員 手元に昭和六十年六月二十六日現在の臨教審事務局の組織図がございます。したがいまして、いわゆる一次答申当時の事務局というふうに思いますが、その当時第二部会を担当いたしておりましたのは、主任調査員は石川晋でございます。ほか四名の調査員が文部省あるいは通産省、建設省から出向の形で属しておる、こういう状況でございます。
  96. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 時間もありませんから、次に進ませていただきます。  臨教審第二部会委員らを対象とした接待攻勢の事実についてお尋ねをいたします。  六十年六月第一次答申が出された前後の時期に、私どもの調べによりますと接待が集中していたようであります。これは第一次答申前後の動きと相前後いたしまして複数の委員に個別に行われたというふうにうかがい知れているわけであります。その場所は、東京銀座のリクルート社の地下高級バー「パッシーナ」というのでしょうか、こういうところで行われたということだそうでありますが、その事実関係についてお答えください。
  97. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員質問内容は、臨教審の委員方々の個人的な問題であろうと考えます。文部省といたしましては、臨教審の委員のそれぞれの方々の問題につきましては承知をいたすところではございません。
  98. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 そういう答弁だけで事が済むのでしょうか。事問題は、私が冒頭申し上げましたようにかなり社会的にも政治的にも重要な問題になっているし、そしてまた藤波さんや池田さんが起訴されたという事実の上から判断をいたしましても、疑惑はますます深まってこのお二人だけで事が済むという問題ではないということをぜひひとつ御認識をいただきたい、こう思っているところであります。  例えば当時の臨教審の委員の一人が新聞談話を出されておりますが、次のように述べられています。臨教審は首相の直属機関、中曽根首相や藤波官房長官らの強い意向があったのではないか。よその人が言っているのじゃないですよ。臨教審の委員の一人がこういうことさえ言っているわけであります。もし一連のこういう問題の事実関係がさらに調査されて明白になるとすれば、単に委員個々の問題であるとかあるいは臨教審事務局に携わっている人々の個々の問題であるというふうな認識をすること自体が誤りであるし、甘いと私は思っているわけであります。と申しますのは、臨教審そのものが汚された臨教審に引きずられていったのではないか、こういうふうに考えざるを得ません。——考え過ぎかどうかは個人の自由でございまして、どうも流れからいいましてそう判断せざるを得ないのでありますが、文部大臣見解をお尋ねいたします。
  99. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員せっかくの御指摘でございますが、臨教審の委員お一人お一人の名誉に関する問題につきまして文部大臣としてこれについて云々するということはかえって不見識であるというふうに考えます。むしろ文部省職員のことにつきましては、先ほど来るる御説明申し上げましたように、文部省自身これを調査をいたしましてそれぞれの処置を行っているところでございまして、臨教審の委員お一人お一人の問題につきまして文部大臣としてこれをいろいろと論ずるということは差し控えさせていただきたいと存じます。
  100. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 大臣、都合が悪くなるといつもそういう答弁でそらすようでありますが、私はそんなことで納得はできません。  なぜかと申し上げますと、臨教審を設置する場合にかなりの議論が国会の中であり、しかもそれが総理大臣の直属機関として結果的には位置づけられました。当時を思い起こしますと、私も内閣委員会に赴きまして当時の森文部大臣といろいろ議論した経験がございます。そのときに、臨教審がもしできるとすればこういう懸念がある、こういう問題点があるということをある意味では想定をしながらかなりいろいろなやりとりをさせていただいたのでありますが、残念ながら私が指摘したような状況に臨教審が走って今日の状況を迎えたと言わざるを得ないわけであります。それだけに臨教審が、全部が全部とは言いませんけれども、部分的とはいえある特定企業と事実上職員も巻き込んでこういう状態がなされているということはまさに正常ではない、明らかに誤りを犯している、臨教審を推進する資格がないというふうに私は断ぜざるを得ないわけであります。あと時間が二分くらいしか残っておりません。時間があればもっとやります。いずれ機会があろうかと思います。  そこで、残された時間で端的にお尋ねいたします。文部省は四月十二日に三局長の辞職を発表いたしました。辞職の理由は何だったでしょうか。
  101. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  昨年来文部省といたしましては一連の不祥事を残念ながら引き起こしまして、国民の皆様方文部省、文部行政に対する不信を招いた。この事態を速やかに改めて国民の皆様方文部省に対する信頼を回復しなければいけないという立場から、私どもこの対応について真剣に取り組んできたところでございます。  委員指摘の点につきましては、この機会に人心一新をし、出直したいという考え方に基づいて行ったものでございます。
  102. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 人心一新は結構であります。結構でありますが、しかし、三人の方に、辞職をしたというのでありますから、責任をとらせたのかどうかわかりませんけれども、少なくとも次官の記者会見では高石問題のけじめの問題もあるということをおっしゃっているわけであります。という裏づけは、三局長が高石問題に実は深く関与していたという裏づけになるのではないか、こう考えざるを得ません。  とりわけ福岡におけるパーティー券の売りさばきの問題あるいは長崎や熊本の問題が具体的に提起をされて、それがしかも文部省の人たちが大きく関与しているという事実が今日判明をしているわけであります。全く無関係だとは私は思いませんが、これで文部省内におけるけじめがついたなどという考え方に立つこと自体が誤りである、国民から大きな反発を受けるであろうというように私は考えざるを得ません。  残念ながら時間が来てしまいました。いずれ大臣の所信に対する質問等もあるだろうと思いますし、西岡大臣が在任していればの話でありますけれども、どうなるかわかりませんが、その機会がありましたら、またやらせていただきたい、こう思います。終わります。
  103. 工藤巖

    工藤委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後零時三十五分開議
  104. 工藤巖

    工藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鍛冶清君。
  105. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 公明党・国民会議を代表いたしまして質問をさせていただきます。  西岡大臣には、教育関係については自民党の議員の中でも大変ベテランでいらっしゃいまして、大臣におなりになりましてからも大学審議会や中教審等にさまざまな諮問具体的にされておりまして、その見識には敬服をいたしておるものでございますが、きょうは機会をいただきまして、大臣中心に、大変恐縮でございますが、若干の質疑のやりとりをさせていただきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。  最初にリクルート問題につきまして一つだけお尋ねをいたしたいと思いますが、リクルート遊びという言葉が今あるのですが、大臣、御存じでございましょうか。
  106. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  承知いたしております。
  107. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは私も先日地元に帰りまして初めてこういうことを聞いてびっくりしたのでございますが、真偽のほどを確認しているというわけではございませんけれども、出ましたところが実は一般紙のマスコミ出身の方で、その方が自分の元同僚だった人、現在マスコミで活躍していらっしゃる方と懇談した折にこの言葉が出てきたんだそうです。  びっくりして、どういうことだと聞いたら、今子供の中にリクルート遊びという遊びがはやっておる、これは九州の方だけか一部かまだそこまでは確認いたしておりませんが、信感性は十分あるだろうと思いますけれども、それはどういう遊びかといいますと、教室の中で生徒がずっと並んでおりますね。そうすると、ある子が前の子の頭をとつんとたたくかこづくかするのだそうです。そうすると、前の子が後ろを振り向いて、おまえおれをやったな、こう言うのだそうです。そうしたらその殴った子がどう言うかというと、いやおれがやったんじゃない、秘書がやったんだ、こう言うのだそうです。  これは私も聞きましたときに実は思わず、今皆さんはちょっとお笑いになりましたが、噴き出しました。しかしその後でぞっとするような思いに実はなったわけでございます。まさに私どもが心配しておりましたように、こういう問題が子供の世界にまでそういう遊びとして取り入れられてきているということは、これは重大な問題ではないか。うそを言うということを平気でこういう遊びの中でやってしまう。さらには自分がやっても責任をとるというような態度は少しも示さない。子供ですから遊びのようでありましても、大人の世界のやっていることをまねしているときにこうやってそれが蔓延をし広がって、その中で育った子供たちが一体どうなっていくのだろう、ただ抽象的な話ではございませんで、私は大変深刻に受けとめて上ってきたわけでございます。  そういう意味で、こういう遊びがあるということについて大臣にもここで御披露しまして、そういう限りにおいて特に文部当局でこのリクルート問題に絡んでさまざまなことがありましたし、午前中に佐藤委員のいろいろな質疑の中で、また最後の御指摘の中で大臣のこの件についての対応並びに決意のほどは一応お聞きはいたしましたが、こういうところまで広がっているのだという事実認識のもとに、けじめはけじめで一応つけたというふうなことはよく新聞報道でなされてはおりますけれども、これはそれでは足りない問題であって、さらに子供たちに対してそういうことが実際行われているとするならば、その影響を払拭し、さらに教育関係、文部当局の信頼を回復させるということについては、これは本当に腹を据えて真剣にやらないと大変なことになる、こう私は思うわけでございますが、この点についての大臣の御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  108. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりに、昨年来リクルートの問題をめぐって文部省自身もいろいろと国民の皆様方文部省に対する信頼を失墜させるというような事態を招き、このことにつきまして文部省も深く反省をし、一定のけじめを行ったところでございますけれども、まさに委員指摘のとおりそれだけでは済まない、非常に深い、強い影響を教育界全体に与え、委員指摘のとおり子供たちにまでただいま御指摘のようなそういう影響をもたらしているということについて文部省といたしましても深く反省をするところでございます。  今後着実な教育行政を積み重ねる、そして教育改革に果敢に取り組んでいくという地道な取り組みを通じて、文部省に対する信頼の回復に努めていかなければいけないと考えておりますし、また教育現場において委員指摘のございましたような事態が一日も早くなくなるような努力をしていかなければいけないと深く反省を込めて、これからの文教行政の進め方について決意を新たにしているところでございます。
  109. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 では次に進めさしていただきまして、提案されておる法案の中で、大学共同利用機関についての項がございます。この大学共同利用機関改正は、公私立大学を主眼に置いた改正である、こういうように思いますけれども、従来までも、午前中局長から答弁がありましたように、公私立大学研究者が利用できるということにはなっておったようでありますけれども、こうやってきちっと名称を変え、やらなければならないというところにいろいろと問題が過去あったのかなというふうな気もしますし、こういう形に改名し、実質的に内容を変えていくことについては私どもも賛成でございますけれども、一体それでは公私立大学研究者方々はどの程度この共同利用機関を利用しておられたのか、その実態と、それからその不満、恐らく使いづらかった、利用しづらかったという問題があると思いますが、この点についてはっきりしておりましたならば、これは局長で御答弁結構でございますが、お答えをいただきたいと思います。
  110. 川村恒明

    川村政府委員 ただいま御指摘のございました共同利用機関におきます公私立の関係の研究者の利用の状況でございますけれども、おかげさまで最近大分ふえてきた状況ではございます。昭和六十三年度で見ますと、全体で十三機関でございますけれども、いわゆる共同研究員として受け入れたものが全体で約六千人、五千七百九十人でございますけれども、その中で公私立の教員の方が九百三十人、二八%ぐらいでございます。  これはちょっと年次的に見ますと、共同利用機関自体がふえてきておるから一概に比較は困難でございますけれども、例えば私立をとりますと六十三年度は七百十八人、六年前ではこれが三百人ぐらいでございましたし、九年前ですと二百人ぐらいということでございますから、逐年その利用者はふえているわけでございます。これは御案内のとおりに、四十六年にこの制度ができて以来、公私立の方もどうぞと店は開いておったわけでございますけれども、いろんな経緯から当初はなかなか利用者が少なかった、だんだんふえている、こんなことでございます。  そこで、御指摘の、どういう不満があるのかということでございますけれども、これはいろんな立場でいろんな方々がおっしゃるわけでございます。基本的には国立大学共同利用機関というのは自然科学系の機関が多い。ところが私立大学は一般的に人文系の学部が多い、研究者の数が少ないというようなこともあるわけですけれども、そういうことを別にして、公私立方々の御意見というものを伺いますと、例えば運営の仕方がどうしても国立大学中心になっているじゃないか、そっちに偏っているんじゃないかというようなこと、特に公私立の人たちが自分たち研究プログラムを組んで、それで自分たちが主体となって共同利用機関のすぐれた施設設備を使おうというふうに自分で自主的な計画を立ててやろうとするが、これができない。できないことはないかもしれないけれども、極めて困難、まあできない。それでは共同利用機関が主宰をして共同研究を行う、そこへ参加をしようとすると、国立の人たちは割といろんな準備も手際よくやってきて参加するんだけれども私立の人はどうしてもいろんな事情があって準備がおくれる。そのために共同研究にうまくマッチングして乗れないというようなことがある。  今申し上げたようなことは実際の研究現場での具体の問題でございますけれども私学方々はそういうことを踏まえながら、しかし何といったって、基本的に従来の仕組みだと国立大学における学術発展のために国立大学共同利用機関がある、これでは我々国立以外の者が参加するのに非常に心理的な影響がありますよ、やはり名実ともに開かれたというためには、名と実の両方が開かれていなければぐあいが悪いんじゃないかというようなことで、従来からこの現在の法的な位置づけについて、これをオープンなものにするということについて御要望を承った、こういうことでございます。
  111. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今回の法改正に伴って具体的に公私立大学研究者の利用を促進していくという方途があるいは開けたのだろうし、今お答えがありました不満というものが解消できる方向に進んでいくのだろうと思いますが、それが具体的にはどういう形で解消していき、本当に皆さんが喜んで使えるようにしていくのか、その方途についてお尋ねいたしたいと思います。
  112. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま局長からお答え申し上げましたように、公私立研究者の心理的な制約と申しましょうか、そうしたものを除去するという意味では、今回の大学共同利用機関ということに位置づけましたことは大きな意味があるというふうに考えております。  ただいま委員指摘の、それでは今後具体的にどういう形で国公私立の共同の研究機関としてこれを活用していくかという方途でございますけれども具体的には現時点で四点ばかり考えられるところがございます。  それは、共同利用機関が主宰する共同研究をこれまでも行ってきたところでありますけれども、今後一層これを充実をしていく。さらに二点目といたしまして、客員研究部門を拡充いたしまして、より多くの公私立大学の教員を受け入れていくということを行ってまいりたい。三番目といたしまして、公私立大学研究者が主体となって、その研究計画に基づいて機関施設設備を用いて研究を行う道を開いていったらどうであろうか。四番目といたしまして、機関に置かれている評議員あるいは運営協議員に公私立大学関係者の意向がより的確に反映されるように工夫してまいりたい。  こうしたことを通じて今回御審議をお願いいたしております法改正趣旨の徹底を図ってまいりまして、公私立大学研究者による共同研究共同利用が一層促進されるように文部省といたしましても努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  113. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そういう方向でぜひひとつ速やかにそれらが実現するようにお取り組みをいただきたい。御要望を申し上げておきます。  今回の改正趣旨をさらに一歩進めまして、大学研究者だけではなくて民間の研究者方々にも開かれた機関としてこれを使っていっていいのではないか。さらには大学研究者と民間の研究者の連携といったものを図っていくということが大切であると思うわけでございますが、こういった点についてひとつ今後しっかり取り組んでいかれたらどうかと思うのでございますが、この点、いかがでございましょうか。
  114. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、近年、科学技術の高度化とともに、大学だけではなくて、国公立の試験研究機関あるいは民間企業等の研究所におきましても、単に応用、開発の技術のみならず基礎的な研究が重視されるという傾向にあることは御指摘のとおりでございまして、このような状況を考えますと、民間も大いに共同研究機関を活用するという方途をこれから進めていかなければいけないというふうに考えているところでございます。  ただ、具体的に共同利用機関は、基本的には大学と同様の学術研究を行う機関でございまして、その中心はやはり大学研究者ということになるわけでございまして、そういう意味では、大学共同利用機関としてこれは位置づけられているということは当然のことでございますが、もちろん委員指摘のとおりに、それぞれの分野におきまして、民間の研究者の利用を決して妨げるものではないわけでございますので、そういう方向にこれから順次進められていくものであろう、またそういう方向が望ましい、このように考えるものでございます。
  115. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 せっかく法改正するわけでございますから、これを機会に、今御質問申し上げたようなことの促進方を御要望申し上げておきます。  次に移らせていただいて、大学審議会の問題でお尋ねをいたしたいと思います。  大学審議会に対しましては、大臣がけさほども町村委員質問の中で、数々の諮問をされた内容をお答えになっていらっしゃいましたが、非常に広範な形で諮問をなさっておられる。大学審議会の今の事務局の構成等を含めて、あの膨大な重要な内容のものを、果たして審議を円滑に進めるために十分な体制と言えるのであろうか、またできるのであろうかということを非常に危惧するわけでございますが、この点につきまして、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  116. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりに、大学審議会が果たすこれからの役割は極めて大きい、また重要なものがあるわけでございまして、文部省といたしましても、この事務局の体制につきましては、大学審議会をスタートさせました時点で、高等教育局の企画課に大学審議会の部屋を、大学審議会室というものを設置いたしております。そこに職員五名を専任で充当いたしているわけでございまして、局長以下高等教育局の全スタッフあるいはこれに関連をいたしまして当然学術国際局のスタッフもこの運営に携わっておりまして、審議会の円滑な運営に努めているところでございまして、現段階で委員御心配をいただいております点につきましては、十分対応できるもの、このように考えている次第でございます。
  117. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 要するに、後に文部省全体がいわば控えているというようなことのお答えだと思うのですが、私が思うのに、これはでき上がるときに、うちの党もいろいろと注文つけながら賛成をしたといういきさつがございますから、今やっていることをとかくどうこうということではありませんけれども、しかし当初から注文の中で、この事務局のスタッフでは少な過ぎるのではないか、むしろ私どもの思いとすると、本当は行政の外にそういう強力なものを置いて、そして大学の当事者の方々、それから民間の有識者の方々を含めて、委員として選任を、今現在でもそういう形ですが、しながら、とにかく事務局の陣容というものは十分に確保して、そこで独自に審議会のメンバーの皆さんの意向を体しながら、また各大学のいろんな要望なり、またはこういうことをしてほしいというような、新しい、いい意見があれば、どんどんそういうものを吸い上げながら、答申にも生かしていける、こういう形の本当の意味での答申が独自にやれるような体制の方がむしろ必要ではないのか。そして、それを行政サイドでバックアップするような形で、答申を受けて、予算的な措置もがっちりやりながら、これを進めていくというのが一番いいのではないか、私はこう思うのです。そういう意味で私は申し上げているわけでございます。  だから、ただ高等教育局とか学術国際局とかを含めて、そういうものをパックに、スタッフが全部それを使ってやるというのではなくて、その中でむしろメンバーを強化して独自にやれる体制をつくる必要があるんではないか、こういうことで御質問申し上げているわけですが、この点については、大臣、いかがお考えでございましょう。
  118. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、現時点におきましても職員五名を専任でこれに充当しているところでございますが、まさに大学審議会が設けられるまでのいろいろな御議論の中で、ただいま委員指摘のとおりに、大学審議会の果たす役割というものが、単にこれからの高等教育についての政策、施策のあり方について諮問をするということだけではなく、むしろ積極的に我が国の大学あり方について建議をしていただくというような方向に大学審議会が大きな役割を果たしていただくということを考えますと、大学審議会あり方そのものにも、これから大学審議会皆様方とも十分文部省相談を申し上げまして、その機能を独自に充実させていくという方向に向かうということがこれからの課題である、このように認識をいたしております。
  119. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは早急にそういう方向で取り組みはぜひお願いしたいな、こう思うわけでございます。そうしないと、今までの大学審議会もそれなりに御活躍はいただいているわけですけれども、私たちがはたから見ておりますと、おか目八日になるかもわかりませんが、中教審と何ら変わりないんじゃないかな。恐らく大臣もいろんな諮問の中で具体的にいろいろ諮問されておるということは、高等教育というものを日本はこれから変えないと、今学校教育の中でこれが一番ネックになっておる、こういうお考えのもとに非常な努力を傾注してお取り組みになっておるんだろうと思います。そういう中で、やはり新しい発想なり新しい考えなりというものが入ってくる要素というものを十分にこういう体制の中で組み込んでいく必要があるんだろう。そして変な意味でなくて、文部省自体の考え方というものもありましょうが、またそういう新しい考え方も十分取り入れながら、各大学現場考えも取り入れながら、それをきちっとした形でまとめて答申をしていく。それをさらに文部省とまた、広く言えば政府がそれを受けとめて、いい形で消化をしながら、予算措置もしながらやっていく、こういうことが大切だというふうにも思うわけでございまして、その拡充をしていくという一つの大きな目的、私が申し上げたいのは、そういう観点。  それからもう一つは、この答申というものは、中教審とか、ほかの答申と違って非常に重みがある。これはぜひ予算措置をして、どんどんいいものから実施していくという流れ、これがやはり、それだけの権限というものを持っていかなければならぬだろう。今の法の中で、私どもそこが残念ながら非常に弱いような気がしているわけですけれども、そういう点を含めて、やはり大学審議会あり方というものを、ひとつ体制づくりを含めて今後検討する必要があるんじゃないか、また生かしていく必要があるんじゃないか、こういうことでございまして、再度大臣にお答えをいただきたいと思います。
  120. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  私自身も、委員指摘のとおりに、大学審議会のあるべき姿につきましてはまさに同感でございまして、現在は具体的に学部あるいは大学院等の問題等々諮問を申し上げているところでございますので、こうした諮問につきましての御答申をいただきました段階で、文教委員会委員各位の御指導もいただきながら、文部省といたしましては、大学審議会のこれからの充実につきましてどういう方向で、どういう手だてをしていったらいいのかという役割の問題も含めて十分御趣旨に沿って検討してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  121. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 次に、高等教育の問題でお尋ねをいたしたいわけでございますが、私が先ほど申し上げましたように、高等教育が日本の学校教育の中で一つのネックになっておる、改革しなければならぬ、これはもう恐らく大臣はその意図をお持ちであろうと思いますが、今非常に大学進学者が高校卒業者の三六ないし七%という進学率になっておりまして、今現在ほぼ横ばいになっているようでありますけれども、いわば戦中戦後間もなくのころに比べますと、まさに大衆化し、多様化してきておる、これは大変いい面もあったと思いますけれども、逆に今マイナスの面も出てきているのではないか、特に学のうんのうをきわめるといいますか、そういう点でいささかいかがかなというふうな感触も出てきていると思うのでございますけれども、そういったことを踏まえまして、高等教育あり方というものをこれからは真剣に考えていかなければならないと思うのです。このあり方について大臣、全体像といいますか、大臣のお考え所見をお聞かせいただきたいと思います。
  122. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりに、現在の我が国の高等教育が抱えております問題は、一つは量的な拡大をしたということは、非常に我が国の国民全体の教育水準というものを高めるという意味では大きな役割を果たしてきた、このように考えております。  これからの課題といたしましては、いかにしてこの高等教育についての国民の皆様方の多様な要請にこたえていくかということが一つ課題でございます。  もう一つは、やはりこれだけ量的な拡大をしてきたわけでございますので、これからは大学院中心としてこれを充実していくという、今度は質的な充実を図っていくということのために文部省としても格段の努力をしていかなければいけないのではないか、多様化の御要請にこたえるということと同時に、質的な充実を図るということがこれからの高等教育についての文部省として取り組むべき政策課題である。  このように認識をいたしまして、大学審議会においてもいろいろと現在御審議をいただいているところでございまして、早急にその方向を見出して、具体的な施策として、また文教委員会委員皆様方の御指導をいただきながら、将来に向かって我が国の高等教育というものを盤石なものにしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  123. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 一応理念的といいますか、お考えの基本的なものは今伺ったわけでございますが、では、具体的にはどういう形がいいのか。これは大学審議会にお願いしてあるからということではなくて、私がお尋ねを申し上げたいのは、大臣諮問された内容をずっと見ておりますと、それを全体的にひっくるめてみますと、高等教育ということの制度の問題も含めまして、あり方も含めて、今質的な充実ということをおっしゃいました。大学院の充実ということをおっしゃいましたが、全体的なものの一つ考え方というものを大臣は何かお考えになっていらっしゃるのじゃないかなというような気がしているわけですね。そういうことについて、ひとつ率直にお考えをお聞かせをいただけないかなと思うのです。  具体的に言いますと、例えば永井文部大臣のときの八ケ岳構想等、いろいろ言われたわけですが、大学については八ケ岳構想みたいなことをおっしゃったことがあったわけです。それも一つの見識であり考え方なんですが、そういった形での例えば大学院を重視するということについてはどういう形でやるのか。各大学たくさんある中で、どういうふうな形で編制していくのか。四六答申の中でもいろいろ触れられているところがあるわけですけれども、そういったことについての大臣のお考えをぜひひとつお聞かせをいただきたい、こう思うわけでございます。
  124. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  御質問内容は非常に高度で、また広範囲にわたる御質問でございますけれども文部省といたしましては、これからの高等教育のやはり一番方を入れていかなければいけない分野一つに、先ほども申し上げましたように、大学院を名実ともに充実をさせていく必要がある、それぞれの分野によっても異なるわけでございますけれども大学院は基本的にはやはり専門の事務機関を持ち、専門の教授陣をそろえてこれを本格的な大学院というものにしていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。  また同時に、これも大学審議会で今御審議をいただいているところでございますけれども、我が国に、北海道から沖縄まで全国的に見ましたときに、これからの高等教育機関を適正に配置していく、地方にも拠点の大学というものを充実させていくということも、これからの大きな施策の一つであろう、このように考えているわけでございまして、これからの量的な拡大という点につきましても、ますます国民の皆様方大学進学についての要請というものは非常に高まってくると考えているわけでございます。そういう意味から、先ほどお答え申し上げましたように、高等教育機関の多様化というものを一方で図りながら、なおかつ一定の分野につきましてはより高度なものを求めていくというために、予算の立場からも重点的な配分もあるいは考えていかなければいけないのではないか、そういうふうなことも大学審議会においては御検討いただいているところでございます。  先ほど申し上げましたことは、大学地図あるいはアカデミーマップというような言い方もあるわけでございますけれども、そういう意味で、首都圏あるいは関西等にややもすれば偏っております高等教育機関というものを全国的に配置していくということが、これからの文部省高等教育についての施策の大きな柱の一つである、このように認識をしているわけでございます。同時にまた、国公私立を通じて高等教育あり方についてもこれをどのように考えていくかということも総合的に考えていかなければいけない責任が文部省にある、このように認識をしているところでございます。
  125. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大臣がいろいろお話しになったこと、対談の中でお答えになっている内容等いろいろ読ませていただいたわけですが、今お話しの中にも触れるようなこともございました。特に今の大学院というのは学部の上に帽子を乗っけているような形で、それはよろしくないというようなお話もしていらっしゃったようだし、やはり大学院を充実させる中で学部というものをつけていく、こういう形の方が望ましいのだというようなお話もありました。そうなると、全部の大学をそういう形にするというわけにいかないのだろうというふうにも思うわけですけれども、これは東京等に、特に中心にずっと集まっているのではなくて全国的な規模、レベルで見る中でそういう配置を考えるというようなことをおっしゃっているわけですが、端的に言えば、今東大あたりでも大学院大学というようなことでいろいろと問題になっているし、内部検討がなされているようでございますが、そういう大学院大学的なものを全国各地に幾つかそれを配置し、そして学のうんのうをきわめるといいますか、そういう形のものをやはり設置もし、つくっていくべきである、配置もしていくべきである、こういうふうな具体的にはお考えがあるのでしょうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  126. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  まさに委員指摘のとおりでございまして、既に文部省といたしましては、先端技術の分野につきましては独立の大学院大学を今準備を進めているところでございまして、これは具体的に石川県と奈良県にこれを設置するということで着々と今準備を進めているところでございます。こうした観点から、大学院大学につきましても、これにはいろいろな分野によって、あるいは学部を全然持たない大学院というものはいかがなものであろうかというような専門家の御意見等もございまして、文部省といたしましても十分それぞれの分野別の大学院あり方について、独立した大学院大学が望ましいのかあるいは一定の定員を持った学部を持った大学院を主体とした大学をつくっていくのがいいのかというようなことも含めて、これから具体的に取り組んでまいりたいと考えているわけでございます。  先ほど申し上げましたように、既にそういう構想に基づいた大学院大学というものは準備を進めているところでございまして、こうした考え方に基づきまして、これから十八歳年齢の人口が減っていくという段階の中での高等教育あり方ということも踏まえまして、少し長期的な大学を整備していく計画というものもあるいはつくる必要があるのではないかなということも考えながら取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
  127. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そこまで具体的にお答えいただけるかどうかわかりませんが、大学院大学的な、いわば各地域で中心的になる大学だと思いますが、そういうものは全国的に大体ほぼ幾つぐらい、どういう地域に分けてこれをやったらいいというふうに、これは私見でも結構でございますが、お考えでございますか。
  128. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員からの御質問の問題につきましては、現時点におきまして大学審議会で御審議をいただいているところでございますので、私からこの段階で私見を申し述べるのは大学審議会委員皆様方に対しましても非礼に当たると思いますので、差し控えさせていただきます。
  129. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そうではなかろうかと思ってあえてお尋ねしたわけでございますが、ひとついい形で、やはり二十一世紀をにらんで日本高等教育の関係は本当に整備されなければなりませんし、特に教育関係担当の文部省の役割というものは大変大切になっていく、こう思いますので、そこらあたりのお取り組みは、答申が出ました暁にはひとつ積極的にお取り組みをいただきたい、こういうふうに思います。  さらに、大学あり方の中で、よく大学の自治の問題とか、それから教授会で運営している運営あり方とか、そういうことについてやはりいろいろいい点、悪い点が指摘されておって、四六答申の中でもこういった指摘の中で新構想大学というものが発足をしてきているわけですね。筑波大学あたりが第一号として発足をしたわけですが、発足しましてたしか十数年になると思いますが、あのときに今までの大学あり方で多少問題があるからこう変えたらいいんじゃないかというような取り組みの中で、いろいろ学部も学系とか学群とかいうような形でやりながら、また教授会自治というものも多少これに弾力性を持たせる中でいろいろやりながらということでやってきておるわけですが、もうそろそろそういったことに対するメリット、デメリットというものもしっかりチェックをする中で、やはりよりよい形で大学というものも変えていく必要があるし、そうしなければならぬのじゃないかな、こういうふうに思っているわけです。この点についてどういうふうに具体的にお考えでございましょうか。
  130. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  これも委員質問の点は非常に難しい問題でございまして、一口にお答えするのは非常に困難な事柄でございますけれども、筑波大学設置いたしましたときの一つ課題といたしましては、これまでの大学の講座制というものをどう評価するかということがあったというふうに記憶をいたしております。その後各大学におけるいろいろな試みというものが積み重ねられてきたわけでございますけれども、筑波大学における新たな試みというものも一定の評価が下されているというふうに考えます。  また私自身も、率直に申し上げまして、一時期講座制というものを全面的に廃止すべきではないかという考え方を持った時期もあったわけでございますが、一面、委員承知のとおりに、講座制の持っているある種の役割というものも認めざるを得ないという点もあるのではないかな。そういうことを考えますと、必ずしも筑波方式ですべての大学がいいということも言えないのではないかと思いますし、また、筑波方式のいい点を既存の大学が受け入れていくという面も多々あるのではないか。一概にどちらがいい、どちらが悪いというふうなことで評価を決めていくということは非常に困難なのではないかな。委員指摘のとおりに、そろそろ筑波大学が果たしてきた役割、今持っている問題点というものも文部省としてもここら辺で整理をする時期が来ているのかな。整理と申しますのは、いい点、悪い点、改めるべき点、あるいは各大学に筑波方式を導入する利点、そうしたものを整理して、問題点をもう一度洗い直してみるという時期が来ているのではないかなという認識を持っているところでございます。
  131. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今科学技術の進歩を含めてあらゆる分野で目まぐるしいほどいろいろ前進に前進を重ねておる時代ですから、どうもやはり大学の今までのあり方を見ておりますと、いろいろな、いわば昔流でいえば時勢におくれるといいますか、そういう形がもうだんだん出てきつつあるのではないか。むしろそういう弊害が出てきているのだ。そういう意味で、運営あり方を含めて、教授会自治の問題も含めて、これはやはりある程度立法府の方でも行政府と議論さしていただく中で方向づけというのをあるいはしたらいいのかな。大学自治ということもありますから大学の皆さんにとっては大変失礼な議論になるかもわかりませんけれども。私の知っております大学の優秀な先生方がたくさんいらっしゃいますが、個々にお聞きしていると大変いいお話をしてくださるわけですけれども大学全体になるとどうも何もやらぬということになってしまう、ないしはむしろ取り残されてしまっている。自分はこういうことをしたいけれどもどういうふうにしたらいいのかというと、手続をしても、とてもじゃないがそれの実現までというのは難しい。また、文部省がそれをいいと言ってくれるかどうかいくまで大変だというようなことでございます。  具体的には、私の友達も民間会社でずっと来ていて、定年前に、工学博士だったのですが学位を取って、そしてある国立大学に招かれて教授で参りました。約一年たったので、久しぶりで訪ねていろいろ聞いてみましたら、本当に頭を抱えておりましたね。特に企業の中にいて行っているものですから、もう自分がやりたいと思うことを言ってみたって声が届かない。企業のときはさっさっさっといっていたのがてんでこれはあきまへんわというようなことで嘆いておりました。まさにそういうものの弊害というのは実態的にあるのではないかなという気がするわけです。  そしてまた、大臣もいろいろな対談なんかでもおっしゃっておられるわけですけれども、私も実際そういう先生方の話を聞いておりますと、やはりどうも大学の中で変えるということは、やらないかぬという意識は皆お持ちのようですけれども、全体まとまってくると、どうもやらぬ方になってしまうということで本当におくれがちになる。やはり大学自体の問題は、確かに自治ということは大切にしなければなりませんけれども、同時に学生の皆さんの立場、さらには日本の将来の立場、世界で日本の果たす役割を考えますと、ある程度これはぴちっとした形でどこかで押さえていく必要があるのではないか。変な言い方で恐縮ですが、むしろこれは大臣は今までお得意の分野ではなかったかと思うわけですが、行き過ぎはいけませんけれども、いい形でそれはやっていく必要があるだろう。こういう点について、どこかでどうにかしなければならぬと思うのですが、大臣に何かお考えがあれば、私見でも結構ですが、ひとつお聞かせをいただきたい。
  132. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員すべてのことを御承知の上で御質問をいただいていると思うわけでございまして、確かに既存の大学の自己改革というのは言うべくしてなかなか難しいという一面もございますけれども、また一面、先ほど委員も御指摘のございましたように、最近の学術の面での大きな急速な進展、変貌というものをとらえて、大学自身もこのままではいけないという意識もかなり強く出てきていると私も拝察をしているわけでございます。そういう観点から、大学審議会におきましても、大学の関係の皆様方の御理解を得ながら、これからの大学のあるべき姿についての御検討をいただいているところでございまして、かなり状況は変わってきているのではないかなと私自身認識をしているわけでございます。  委員指摘をいただきましたように、国会の場等でもこれからの大学のあるべき姿につきましても十分御検討いただき、文部省を御指導いただくことができれば非常に幸いであると、委員の御意見を拝聴しながら痛感をした次第でございます。
  133. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大臣も何か言いたくてしようがないけれども言わずに我慢しておきますというような感触もなきにしもあらずですが、それはそれとして、お立場もありましょうから、お答えいただいて大変恐縮に思っております。  先ほど大臣がまた高等教育計画ということにちょっとお触れになりました。高等教育計画というものは、従来いろいろと文部省で策定をされながらやってこられておるようでございますけれども内容的には、大体大枠を見てみますと、十八歳人口の動態といいますか、どうもそれだけで計画が練られておった嫌いがあるのではないかな、こういうふうな気がしているわけです。  したがって、さっき大臣指摘された、東京方面、関東方面に集中しているような形とかいう、全国的なバランス感覚ですね。人材需給関係等に絡んでの配置の状況、それから、内容的にもどういう学校が必要なのか、配置していくかというようなことが余り勘案されていなかった。ただ、ある大学について少し学部をふやすとか、新設校が多少出てきたりするときに、動態に応じてその定員をふやすとか減らすとか、極論すればそこだけでとどまっていたのではないかなという気もするわけです。  それも非常に大切なことですからやらなければいかぬことですけれども、一面考えますと、これはそれだけでは大変な問題が生じてくる。そういう意味で、大臣もちょっとお触れになったような、そういった面を含めた高等教育計画をもう一遍じっくり、多少時間をかけても、文部省においても取り組みをされてつくり上げる必要があるのではないかな、またそういう時期に今差しかかっているのではないかな、こういう気がしているわけでございますが、この点について大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  134. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  まさに委員指摘のとおりであろうと私も考えております。  特に、これから生涯学習社会への移行ということを考えますときに、これまでの高等教育機関が果たしてきましたいわゆる在学の学生、十八歳年齢人口を中心とした大学定員あるいはそれぞれの専門分野設置について今まで考えてきたわけでございますけれども、生涯学習社会を前提といたしましたときには、かなりその様相も変わってこなければいけないと思います。また、多様な高等教育機関を前提といたしますと、それぞれの大学編入学定員というような視点からの取り組みも求められてくるであろう。非常に多様な高等教育についての文部省としての施策のあり方が今問われているのではないか。そういうようなことも含めて、現在大学審議会におきましていろいろと御審議をいただいておるところでございまして、これはかなり早急に、少なくとも考え方だけは明確にしていかなければいけないのではないか、このように問題意識を持っているところでございます。
  135. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これも速やかにそういう方向で取り組み、計画策定をしていただきたいと強く御要望を申し上げておきます。  さらに、十八歳人口の減少に伴って、平成年度あたりからそうなる傾向でございますけれども、それまではどうもふやしていかなければならない。そうなりますと、減ってまいりますときに、これは特に大学あり方が、生き残り策を含めて、私立大学等は深刻な問題になっているだろうと思うわけです。特に、今回の法案は、短大を学部に統合して夜間でやる、それから短期大学廃止するという法案が出ておるわけです。  お尋ねしたいことはたくさんございますが、時間もございませんので、特に短大あり方に絞らせていただきますけれども短大あり方はこれからいろいろと問われてくるのじゃないかとも思いますし、それから生き残りをかけて大変な状況になってくるのであろうと思うわけです。特に短大は、もう大臣も御承知のように、女性がたしか八〇%近くおられるというふうなことで、その女性がだんだん高学歴化を目指してきているし、さらには手に職をつけたいという形がだんだん強く出てきているようでございます。  そういう絡みの中で、この短大あり方、これはどういう方向に行くのか。これは国立公立でなければ、私立は自然淘汰なり各自の自助努力に任せる以外にないといえばそれまでなんですけれども、しかしそういう形でも望ましくないのではないかと私は思っておりまして、そういった問題について大まかな方向性なりいろいろな形のものをある程度示してあげることも大切ではないかなという気もしているわけです。この点について大臣のお考えを承りたいと思います。
  136. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、これからの短大あり方という課題が、高等教育についての文部省としての施策の非常に大きな課題一つであると考えております。  その場合に、一つどもが注意しなければいけないと考えておりますのは、先ほども申し上げましたけれども、首都圏を中心とした短大と地方の短大とでは置かれている条件、環境がかなり違うのではないだろうか。これを総合的に考えて、短大のこれからあるべき方向を見出していかなければいけないのではないか。こういう問題意識に基づきまして、さきに発足いたしました第十四期の中央教育審議会におきましても、短大あり方についても、これに関係する諮問をしたところでございます。また、大学審議会におきましても、短大のあるべき姿について御検討をお願いをしているところでございます。  一つの方向といたしましては、委員から先ほど御指摘ございましたように、二年制の短大が四年制へとあるいは転換をしていく短大もあると思いますし、また専門職業分野中心とした内容に変化するという短大の方向もあるのではないだろうか。あるいは、中教審の方に御検討をお願いいたしております生涯学習社会への移行ということを前提といたしまして、これは仮称でございますけれども、生涯学習センターというものを全国の各地にその拠点として設けていく、その生涯学習センターを短大併設する場合もあるでしょうし、また、短大自身が生涯学習センターへと変身するというようなケースも考えられるのではないかというようなことも含めて中教審で御審議をいただくということにいたしているわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど委員も御指摘のございましたように、短大が女性がもうほとんどと言ってもいい教育機関であって、しかも次の世代を育てていくまさに女性教育、母親教育の場でもあるということを考えますと、短大が果たしてこられた役割というものは非常に重要であり、また、これからもその重要性というものはますます高まっていくわけでございまして、短大がこれからの十八歳年齢人口が減少していく中でどうあるべきであるかということについては、文部省といたしましても真剣に取り組んでいかなければいけない、このように考えているところでございます。
  137. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 短大の点についてはまたひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  特に重視してというお言葉でしたから私も安心いたしておりますが、昔流に言えば、どうも短大あたり、最初のころは家政学科が多いようですから、花嫁学校的なものもあったのかなという気もするし、それからもう一つは、教員という道を開いておりましたから、相当にそれをまたメーンに生徒募集、学生募集なんかをむしろやっていて学生を集めておるという学校も大分あったようです。しかし、教員免許法との絡みの中で、短大出身の教員というのは多少やはりレベルアップしなければならないという、これは短大そのものというよりも日本全体の中での子供の教育ということの中からの考え方ですから、それはそれで一つの流れではあるかなとも思います。  しかし、そういう縛りがかかるような形が多少出てきていることは事実である。そういった意味も含めて、これを見殺しにするとか、せっかくできたものをなくすような形、淘汰されるというような形ではなくて、生かすような形での方向性をひとつ考えるというような形はぜひともやっていただく方がいいのではないかな、私はこういうふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  それから、放送大学についてちょっとお尋ねをいたしますが、生涯学習ということを大臣おっしゃいました。その中でも放送大学というのはやはりこれから重要な位置を占めていくのではないかなという気がいたしております。  まず、これは再々我が党でもお願いもし、御質問申し上げているのですが、やはり関東のみではこれは意味がないだろう、全国的に利用できるように拡充を早急に図るべきだ、こういうふうに思うわけですが、この点についてお尋ねをいたします。
  138. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりに、放送大学の本来の役割から申しますと、関東の地域からスタートをしたこと自体があるいは問題ではなかったであろうかというふうに思っているわけでございます。しかし一面、関東からスタートをしたことによって、放送大学内容の充実という点においてはかなりの充実をもたらしたという一面もあるのではないだろうか。しかし、御指摘のとおりに、できるだけ早い時期に全国に電波が行き届くようにしなければなりませんし、若干時間がかかりますけれども、生涯学習センターということで中教審にお願いをいたしておりますこの生涯学習センターを放送大学一つの拠点ということにもしていかなければいけないと思っておりますが、その前提といたしまして、電波を全国に届かせるということに早急に取り組まなければいけないのではないか。  そういうことになりますと、文部省事務当局とも実は話をしているところでございますが、放送衛星等を放送大学が打ち上げるということがどの時点でできるのかという問題につきましても真剣に取り組んでいかなければいけない問題でございますので、ぜひ文教委員の諸先生方にもお力添え、御指導をいただきまして、放送大学が本来の目的といたしております。その目標を達成すべく努力をしていかなければいけない。今この時点で、平成年度から全国一斉にというふうに具体的に申し上げられないのは非常に残念でございますけれども委員指摘のとおりに私自身考えているところでございます。
  139. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ことしの四月に五百四十四名の方が卒業された。何か六%ぐらい、歩どまりという言葉がいいかどうかわかりませんが、通信教育に比べれば倍ぐらい、意欲的に勉強をされる中で卒業をされたということはこれは非常にいい形だったのかなというふうに私も喜んでおるものでございます。  それと同時に、大臣もいみじくもおっしゃったように、内容的にもレベルが非常に高かった、よかったというふうな評価もあるようです。これは大変よかったんじゃないかなというように思うわけですが、英国あたりの放送大学では既に大学院を持って研究部門を充実しておるというふうなお話も私は承っておるわけです。放送大学でもそこら方面、そこらあたりについて研究の面の充実を図って大学院設置するというふうにまで将来考えていいのではないかな。今度卒業された中で、大学院に進まれた方も中にいらっしゃるようでございまして、そういうことも考えながらこれからいろいろな施策を講じていかれるといいのではないかな、こう思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  140. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  委員指摘のとおりに、ことし初めて卒業生を送り出すことができたわけでございまして、大学院設置することにつきましては、放送大学を整備充実させるという施策の一環として検討をしていかなければいけない重要な課題であるというふうに認識をいたしております。  なお、学年進行が完成をいたしました本年度から新たに一年間にわたって特定の事項研究を行う研究生の制度創設をしたところでございます。また、研究設備の充実あるいは図書館の建設、教員の国際交流を進める基金の充実等今後とも放送大学教育研究機能の充実ということが大きな課題でございまして、その努力を続けてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  141. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 通信教育なんかと違って視覚を利用しているというのがやはり有利に働くのだろう、現代にとって非常にマッチしておるところもあるというふうに思いますし、そういったものもひとつ活用しながら今までの大学になかったいい形でのいろいろな取り組みなり教育あり方なりをこれは開発できるのではないかとも思います。  そういった面の努力を期待するとともに、これはもうお答えは要りませんが、深谷教授再任問題で多少もめた記事が出ておりました。これは、内容は僕は知りません、わかりません。だけれども、読んでいて、ただ一番危惧するのは、若手で、深谷教授は相当優秀な方だったというように私は思っておりますが、そういう方々が、再任問題等ああいったことが一つの障害になりまして若い人たちがもう放送大学へ余り行かなくなる、停年で退職されたお年を召した方ばかりが集まっていくというような形でもまずいだろう。だから、そういうことがないように、再任問題等については一応原理原則はあるようでございますけれども、それはもう一度はっきりさせた中でやっていくというふうな形もとるべきではないかと思いますし、特に若手の皆さんがその中に入って一生懸命やられるような善後処置というものもぜひやっていただきたい。御要望を申し上げて、放送大学の件については終わらしていただきます。  大分時間が来ましたが、今度は大学における評価の問題でちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。  これも大臣が日ごろから評価のことについてはいろいろおっしゃっているようです。特に大学そのものの評価、それから各学科・学部の評価というのもありましょうが、尽きるところはやはり教員にいくような気がするわけですね。  私はたしか、十年まではなりませんが、前に御質問申し上げたことがあるのですが、これも大学先生方、知った方がいるものですから、特に優秀な、まじめな先生とお話をしておりますと、やはりサボっておる先生が多いのですな。あのときに申し上げたことがあるのです。教授になるとどうも、教育は年間三カ月ですか授業を教えればいい、あとは研究ということで、それを三カ月やらずに一年のうち四日か五日出ていって、それをやればあとは何もしないでぶらぶらしているという——ぶらぶらしているかどうか知りませんが、そういうふうな、極論されるようなことをまじめな先生方から何人かお聞きしたことがあるのですよ。それで、一年を四日で暮らすいい男、大学教授なんて私は言ったことがあるのですが、何かその話が、まあ余談ですが、ある学長に会いましたら、文部省の当時大学局でしたけれども大学局長はひどいことを言う、大学の学長会のときに、ちまたでは一年を四日で暮らすいい男、大学教授という話があるというようなことを言われたとか言って、言った張本人を目の前にしてそんなことを言っておりまして、私はおかしいやら、ああいうことを言わしてもらって、私、恨まれるところはあったか知らぬけれども、多少は役に立ったのかなと思ったりしたことがございます。  本当に、戦時中の大学学生の数よりは今大学先生の数の方が多いというような状況のときですから、やはり数が多くなればそれだけ質的にどうしても多少レベルダウンすることもあるのだろう。中にはやはり教授になることを目的にして、なれば研究もしない、何もしない、適当にやっているという方もいらっしゃるようでございまして、それはやはり学生にとって大変不幸なことだというふうに思うのですね。また、日本の将来にとってもこれはよろしくない。そういう意味からいえば、やはり教員に対する評価というものをもう少し入れる形をとってもいいんじゃないか。それが大学の自治だ、学問の自由だということを言われますと、そういうのが障害になってすべてがストップするわけですけれども、私はむしろ、ある意味では行政が厚かましく、少しぐらいはそこを言ってもいいんじゃないか。立法府でそれはできないから、議論する中ではっくりそういうところに取り組まれてもいいのではないかな、そういうことを考えておるわけでございます。  その中で一つだけ言わしていただきますと、教員の任期制の問題ですね。こういうものも検討していいのではないかというふうにも思うのですが、ぜひこういったものを導入して、大学の活性化を図る一つの大きな問題ではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  142. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  委員指摘の問題は非常に古くからの大きな課題でございますが、問題はどこがその評価を行うかという、評価を行う機関の問題でございます。基本的にはもちろん大学自身が自己評価を行うというシステムをつくり上げていかなければいけないのではないか。そういう点では、文部省はやはりその分野について文部行政として直接タッチすべき課題ではないであろう、そのシステムをどうつくるかということが非常に大きな問題であろうと思います。  したがいまして、現在、大学院を充実するという問題とのかかわりの中で、今委員指摘評価の問題についてどういうシステムが考えられるかということについても大学審議会において御検討いただいているわけでございまして、これも大学審議会での御検討の結果を踏まえて、また国会の皆様方具体的なシステムづくりについて御相談をさせていただきたい、このように考えている次第でございます。
  143. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 何の資格がなくてもやれるのが大学の教師でございまして、これはいい面、悪い面、両方あるわけですが、悪い面というのが最近だんだん出過ぎているような気もするわけですね。したがって、今大臣がいみじくもおっしゃいましたように、評価というものは行政サイドでやるべきではない、これは私も全く同意見です。しかし、評価は多面的にやる必要があるでありましょうし、その中心はやはり学者が据わってなさるべきであろうというふうに思います。したがって、大臣御答弁の方向は私も大変いいのではないかなというふうに思っておりますので、こういった点の導入を含めて、評価制度の導入ということについてひとつ今後御検討、御推進をいただきたいなというふうに御要望を申し上げておきます。  では、ちょっと時間がありますから、もう一つだけお尋ねをしておきます。  大臣は、大学入試についてちょっとまた大学審議会諮問なさいました。私は、実は個人的、率直に申し上げると、もう入試の問題は、大学入試センター試験ということに変わりますが、それでしばらく置いておいてもらった方がいいのではないかな。ただ、ほっておいて永久に変えないという意味ではございませんで、今までの議論よりももっと深めた、大学自体の利益になるとかならないとか、優秀な学生をとるとかとらぬとかいうふうなこと、これも大学にとっては大切な視点でございましょうけれども、それよりも何よりも受験生というものを見ながらもっと深い立場から入試問題というものを検討していく必要があるのではないかな。大臣がおっしゃったのがそこの点でおっしゃっておれば私も同感なんですけれども、どうも諮問の言葉をずっと読んでみまして、またすぐにでも大学入試制度はいらって変えるんだというふうなニュアンスに聞こえるわけでございまして、それだとこれはもう論外の話である、私はそう思うのです。  特に受験生や父母の方々に聞くとやはりそこらあたりを強くおっしゃるわけです。だから、もうあれこれいろいろなことが細かく変わることはしばらく置いておいて、それでしばらく押してみる。私は、その中で本当に入試のあり方というものは、深い視点からの資料を集め、調査をし、あるいは通った人たちの高校時代の成績を含めていろいろな追跡調査を、例えば理科系、文科系いろいろあるでしょうが、大学に入ってからそれがどういうふうな関連性があるのかとか、そういう大きな立場で少ししっかり腰を据えて、こういう試験のあり方でいいのか、ないしはもっと抜本的に、例えば高校生時代の成績まで内申の形で見ながら加味していくのがいいのかということを見ながら、抜本的に時間をかけておやりいただくという方向で、これはぜひやっていただきたいな。  四六答申なんか見ていますと、入試の資料がいろいろ添えられておりますけれども、大体入試というのはそのとき、そのときでいろいろな議論が出てきて、ある一つの形でやりますと、内申重視といってこれをやると、それはよろしくない、情実が入っていかぬとかなんとかいってまた変わる。そうすると、今度はぺーパーテスト中心になると、またそれがよろしくないといって変わるというようなことで、結局こう見てみると、何か一定のサイクルで同じことを繰り返しておるというふうなことの連続であるような気がするのです。  したがって、これは私はもう少し違った観点から深い意味で入試制度というものはもっと、文部省サイドでひとつそこらあたり、また大学とタイアップしながら、大学協会ともタイアップしながらやりますとスタッフもメンバーもそうだろうと思いますから、そういう意味で、深く深く検討なさった上で改めて皆さんにいろいろ御意見を伺って、そして入試制度もつくり上げていくという形にぜひしていただきたい、こう思うわけでございますが、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  144. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  委員指摘のとおりに、大学入試の改革の問題につきましては、これまでも猫の目のように制度が変わるというようないろいろな御批判もいただいているところでございまして、また、これまで行われました共通一次の試験にいたしましても、文部省が当初意図をいたしておりましたものとはかなり違ったものになったといううらみもございまして、なかなか大学文部省との関係の中でどうも一致したものができないできた。それぞれ考え方がすれ違って今日に至って、大変受験生の皆さん方に御迷惑をかけたということについては、文部省としても非常に責任を感じているところであります。  そこで大学入試については、今委員も御指摘がございましたように、これぞきわめつけの大学入試制度であるというものは到底望むべくもないわけでございまして、ただしかし、現に大学入試が高等学校以下のそれぞれの教育段階に与えている大きな影響というものを考えますと、このままではいけないということは言えるのではないであろうか。したがって、不断の努力をしていかなければいけないと考えておりますので、大学審議会、また中教審におきましても、最近、高等学校あるいは中学校、それぞれの立場からの大学入試についての御意見もいろいろと寄せられているわけでございまして、文部省といたしましては、少なくとも高等学校の一年生に入学した時点で、その生徒が自分が大学を受けるときの大学の入試制度はこういうものであるというものがわかるぐらいの、事前の十分な時間を置いた上での改革が望ましいのではないかというふうに考えております。  そこで現在、近く結果が明らかになると思いますが、文部省といたしまして初めての試みでございますが、高等学校の生徒、また父兄、高等学校の進路指導の先生方を対象といたしました大学入試についての世論調査を今実施しているところでございまして、来月の半ばごろまでには具体的なその分析結果が出るというふうに考えておりまして、そうしたものも参考にしながら、今委員指摘のとおりに、そう急がずに、じっくり腰を据えて入試のあり方についてよりよき姿を探求してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  145. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私の用意した質問は終わりましたので、これで終わらせていただきますが、ほとんど大臣にお答えいただいて、横瀬、坂元局長も待機をいただいたのに発言の機会がなくて大変恐縮に思っております。どうぞ御勘弁いただきたい。川村さん、一度だけの答弁で大変恐縮ですが、特に大臣にと私申し上げたので、大臣にはほとんど初めから終わりまで御答弁いただきましたことにお礼を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  146. 工藤巖

    工藤委員長 次に、嶋崎譲君。
  147. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 国立学校設置法に関連しての二、三の質問をいたしますが、前の臨時国会では大事な共通一次入試制度大学入試センターの問題、それから独立大学院、新たな総合科学大学院の設立の問題などかなり重要な問題がありましたが、本委員会では私の質問のないまま進行、採決が行われまして、強行採決と言っていますが、大事な点の質問が抜けております。法律は通っちゃっているのですから、そこにさかのぼるわけにはまいりませんが、一連の法律事項並びに省令事項に関連した法改正等々に関連しつつ、今国会に提出されている共同利用研究その他の大学問題について御質問をいたします。  最初に、改正案の中には、医学関係の看護婦さんたちの課程の問題やほかの問題もありますが、まず最初に共同利用研究所に絞りたいと思います。  臨教審の答申で、共同利用研究所あり方についての答申がございますね。第二次答申、昭和六十一年四月二十三日の臨教審第二次答申でありますが、その中の国立大学共同利用機関の関係について次のように言っております。  「国立大学附置共同利用研究所および国立大学共同利用機関については、国立大学以外の公・私立大学、民間等の研究者も利用し得ることとなっている。」現状のことですね。「しかし、現実には国立大学以外の者の参加や利用に制約があるとする指摘があり、この点の改善が必要である。」これが前提ですね。「現実には国立大学以外の者の参加や利用に制約があるとする指摘があり、この点の改善が必要である。」  そして、それを受けて「国立大学共同利用機関については、「国立大学共同利用機関」という定義を改め、「国・公・私立大学共同利用に資する国立機関」として位置付けることを検討する。」これが臨教審答申の部分ですね。この臨教審答申に基づいて今度の国立大学共同利用機関大学共同利用機関に変えるというふうに、一つのきっかけとして改められたと認識してよろしいですか。
  148. 川村恒明

    川村政府委員 ただいま御指摘がございましたように、臨教審からそういう答申をいただいたわけでございます。この国立大学共同の利用機関あり方につきましては、昭和四十六年に発足して以来、その共同利用あり方についていろいろな御議論がございました。この委員会でも幾たびが御指摘をいただいたことがございます。そういう経過があり、また今回こういう臨教審からの御指摘をいただいたということでございます。  さらにつけ加えれば、この御答申をいただいた後で、さらにまた実際の共同利用仕組みについて協力者会議をお願いし、相談をした、そんな経過の積み重ねの中で今回の法律改正をお願いした、こういうことでございます。
  149. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私は、永井文部大臣の時代に、共同利用あり方についての検討を言ったのですが、そのときには国立機関である共同利用というのはもっと開かれなければだめだ、現に私立の教官が参加する場合もあれば、公立参加する場合もある。にもかかわらず、現実の運用はそうなってない、だから早く改革しなさいということをもう十年以上前になりますが、提案をして今日に至っておりますから、遅きに失した改革だなという気はしないわけではないのですが。  そこでお聞きしますが、この臨教審で言っている前段ですね。「現実には国立大学以外の者の参加や利用に制約があるとする指摘があり、」とありますが、これは中身は何ですか、どう理解していますか。
  150. 川村恒明

    川村政府委員 ちょっとお尋ねの趣旨、聞き違えているかもしれません。「現実には国立大学以外の者の参加や利用に制約があるとする指摘があり、」こういう御指摘をいただきまして、実際、私どももそういう声を聞いたりすることが若干あるわけでございまして、それで、ただこの話は具体的にどういうことなのかということについては、さらに私どもとしても十分に詰めておかなければならない、そんなことがございまして、先ほど申し上げましたように、この問題についての協力者会議というものもお願いをし、具体にどういうことがあるのかということを洗い出しをしてみた、こういうことでございます。
  151. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 中身は何ですか。その具体の中身は何ですか。
  152. 川村恒明

    川村政府委員 私どものそういう協力者会議で御検討いただいたことで、そこで整理をさせていただいたわけでございますが、何点かはございます。  ちょっと時間をいただいて恐縮でございますが、申し上げさせていただきますと、一つの点としては、現在の管理運営仕組みでございます評議員でございますとか運営協議員というような組織がございます。そういう組織を初めとして機関の管理運営国立大学に重点を置いた考え方によって行われているんじゃないかというような点が一つございます。  それから二番目には、公私立大学研究者が主体となってその研究計画に基づいて研究をやる、その際に、その共同利用機関施設設備を使う、施設設備を使って公私立大学研究者が主体的に研究を行う、そういうタイプでの共同研究仕組みというものは現在ないわけでございます。これではなかなかぐあいが悪いんじゃないかというようなことでございます。そんな点。  あるいは三番目に、その共同利用機関実施する共同研究、現在はその共同利用機関が企画をし、研究者参加を得て実施する共同研究という仕組み中心になっておりますけれども、そういう共同研究参加をする際に、この研究員は全国大学から公募等で参加を求めるわけですけれども、やはりその研究参加するにはそれだけの準備というものが要る。ところが、国立大学の教官の場合は割と準備の段階からそのウォーミングアップの立ち上がりが早いけれども公私立の場合はサーキュレートが来てからぽっと考えるということではなかなか準備の段階で差がつくんだというようなことで、実際に共同研究参加する場合に制約が多いというような点がございます。  それから四番目に、そういうふうなことになぜなるのかといえば、それは共同利用機関共同研究のシステムとかノーハウについて的確な情報がともすれば得られにくいということで現実に差がついているんじゃないか、そういう点。  あと幾つかございますけれども、そんな点がこの協力者会議でも御指摘をいただいた問題点ということでございます。
  153. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、まず第一点。今度、法律改正共同利用機関大学共同利用機関というふうに名称を変えるわけですね。その変える意味は、言うまでもなく、国立大学に限らず公立私立、時には民間を含めて、時には外国人の客員教授を含めて広く開放していくという意味共同利用として位置づけるという方向性を目指すというふうに理解して、まずよろしいですね。
  154. 川村恒明

    川村政府委員 御指摘のとおりでございます。
  155. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、第一に聞きますが、今までの管理運営上の仕組みでいきますと、公立私立並びに外国の客員教授、さらには民間のすぐれた研究者を含めて開放した場合に、今までの仕組みでは、これでいいのかという問題点があるというのが協力者会議で出た意見と言いますが、今までの仕組みをどう変えたらよろしいのですか。
  156. 川村恒明

    川村政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、そこで指摘されている問題点、現在の管理運営仕組みとして評議員とか運営協議員という仕組みがございます。これは、組織仕組みとしては評議員なり運営協議員というのは独任制の機関でございますが、実際には評議員会なり運営協議員会という会でもって組織をしております。そのメンバーとしては、評議員は御案内のとおりにこれは学外の方をお願いをする、それから運営協議員は、半分はこの機関内の方、半分は機関の外からの方をお願いをする、こういうことになっているわけでございます。現在でもそういう仕掛けで外部の方、あるいは特に公私立研究者が入れる仕組みになっているし、また、現実に評議員なり運営協議員の顔ぶれを見るとそういう方が入っているのですけれども、形としては、先ほど申しましたように現在独任制の機関であるし、その構成員として公私立の人が必ず入らなくてはならないという規定にはなってないわけでございます。  それぞれの機関の特性に応じて公私立なり外部の方が入れるように、あるいは外国の人が入れるように工夫はしているけれども、少なくともこの臨教審の御答申趣旨に沿って進めるとすれば、その運営協議員なり評議員には必ず公私立の方が入るということをやはり制度上きちっとした方がいいではないかというのが協力者会議等の御意見でございます。これは事柄としては省令事項になるわけでございますので、現在御提案申し上げておりますこの法律案をお認めいただきました暁に、そういう形で省令の改正を行いまして、構成員として公私立の方が必ず入るということを省令化したい、こういうことでございます。
  157. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、別に今まである評議会や協議会の組織の形態を変えるというよりも、運用上の観点からもう少し開かれた形に機能的に位置づけ直せば足りるという判断ですね。
  158. 川村恒明

    川村政府委員 ただいま申し上げましたようなことでございます。  組織上の問題として、やはり省令において、一つは評議員というものを評議員会という一つの会組織にするということ、その会の構成員として必ず公私立の人には入ってもらうよということを義務づけるということでございます。これは先ほども申し上げましたように省令段階の話でございますから運用と言えば運用かもしれませんけれども、やはり根っこのところの法律がそういう形できちっと整備されることによってこういうことが省令段階でもできるのではないかというふうに思っているわけでございます。
  159. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、法律改正案でいきますと、第三章の三「大学共同利用機関」第九条の二、ここでまず第一番目に、現在の「国立大学における」というのが「大学における」というふうに変わっていますね。「大学における」という「大学」は、国立大学だけではないという意味で広く大学における、こういう理解ですね。  そして、「学術研究発展その他政令で定める目的」というのは何ですか。「政令で定める目的」とは具体的に何ですか。
  160. 川村恒明

    川村政府委員 この第九条の二の解釈でございますけれども、現在でもそのたぐいのことがございます。それで、その「政令で定める目的」ということは、これはそれぞれの機関によって若干変わってくるわけでございますけれども、例えば大学における学術情報の流通の促進、これは学術情報センターの場合にその流通の促進ということがございますし、それから、御案内の国立民族学博物館でございますとか国立歴史民俗博物館、こういったところでは、その研究のほかに資料の公開など一般公衆に対する教育活動の促進というようなことがございます。現在、既にそういう目的を付加されておるというようなことでございます。
  161. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 よくわからぬけれども、「政令で定める目的」というのは、これは施行令のどこかに記載されるのですか。
  162. 川村恒明

    川村政府委員 現在でも、先ほど申し上げましたように九条の二で「その他政令で定める目的」と書いてございます。その政令は国立学校設置法の施行令の第五条でございます。第五条にそれぞれの政令で定める目的とはただいまも申し上げましたようなことだということの規定がございます。
  163. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、ここに言っているのは、今の局長説明だと全部そういう学術研究発展の中に含まれるような、情報みたいなものの収集だとかだってみんな学術発展でしょう。「その他政令で定める目的に資するため、」とは、ちょっと意味がわからなかったんですが。今まだ五条を読んでないのですけれども、まあそれはそれでいいことにしましょう。  そこで、共同利用参加する国立公立私立または民間、それから外国人ですね。外国人の場合には特にまた法律改正で出ておりますけれども、そういう場合の身分、研究費、それから旅費の扱いについて、国立研究者との間に今まで格差はありましたか。
  164. 川村恒明

    川村政府委員 共同利用機関研究公私立の方が参画をするというのに幾つかの態様がございます。  一つは、先ほどちょっと申し上げましたが、その共同利用機関がみずから企画をして実施をする共同研究にはその機関の専任の職員だけじゃなくて外部から、国公私立の教官あるいはそれ以外の方でもよろしいんですが、これを公募などの方式で参加を求める、こういうことでございます。そうしますと、そこへ全国からやってくる方は共同研究員という肩書をつけるわけでございます。それは、国立大学国立大学に本籍があり、私立私立に本籍があって、それぞれ出張元では出張等の扱いでこの研究機関へやってくる。そこで共同研究員ということで研究をするわけでございます。その場合には、その共同研究に要する経費というものは機関として計上されておりまして、そごで旅費であるとか研究費というものがあらかじめそのプロジェクト経費としてのっておりますから、そこへ参加した人が平等でこれを使う。その場合に、国立であろうが私立であろうがそれは関係がない、共同研究費である、こういうことでございます。それが一点。  それからもう一つの形態としては、いわゆる客員という部門がございます。これはそれぞれの研究部、研究系に客員部門といったものをつくるということでございまして、これは定員はつかないで、ほかに本籍のある人がここへやってくる。何でそういう客員の仕掛けをつくるかといえば、学術研究上非常に流動的な分野でございますとか境界領域だとかいうようなところで、むしろ外部から人が入った方がいいということで客員部門をつくる。そこへ外部の人が来る。そのときにはず国立先生が入ってくるとどうなるかというと、国立大学の方は本籍をそこに置いて併任でこっちへやってくる。私立大学の人はそれでやってくるわけですけれども機関の方からいえばこれは非常勤講師として発令をするわけでございます。国立大学から来た方は併任でやってまいりますから、手当が出ないわけですね。しかし、私学の方は非常勤講師の発令をするから、私学の方に対しては非常勤講師手当を支給するということでございます。この限りにおいては、国立私立は、私立から来た人に対しては非常勤講師手当が支給される、こういう形になるわけでございます。  それから、来たはいいけれども研究するのに研究費が要るじゃないかということになるわけでございますが、その客員部門にはいわゆる国立大学でいうところの講座当たり積算校費みたいな積算校費がつくわけでございますけれども、この積算校費は普通の専任の単価とは全く同様の単価、普通の部門の単価と同じ単価をつけるということになっております。でございますから、そこに来ている方が国立から来ていようが私立から来ていようが、研究費につきましては部門当たりの単価で積算されておりますから、これは差がないというような形になる、こんなことでございます。
  165. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 問題は、実際に公立私立に開かれて参加した場合、参加してくれば同じように扱えることは事実ですし、そうなるでしょう、今の話でも。まあ、そうでなければならないと思います。私なんかの場合は大学内部の産研なら産研という研究所教授とこっちを兼ねていましたから何も出ませんが、よその大学に非常勤に行けば、集中講義なんかですとちゃんと旅費やそれが出るのと同じように、一つ大学にいても外の共同利用研究所に一定期間研究員として出ていくような場合は財政的な措置は当然なされるわけで、それは私立でも国立でも同じ扱いにならなければならぬだろうと思うのです。  いずれにしても、実際に共同研究参加すれば同じように扱うということと、同じように扱いやすいプロジェクトのつくり方、それから参加しやすいように、さっき出たように、公立私立情報が遅いために参加しにくいとかいうことがないような形で、この法の趣旨は私は賛成ですから、むしろ積極的にそういう方向に向けていけるような誘導策をとるように検討していただきたいと思います。まあこれは大学の方で検討するのであって文部省検討するのではありませんけれども、皆さん方も一定程度問題点を整理した上で今後の討議の材料としてそういう方向に誘導していただかなければなるまいと思います。  さて、問題は、そうすると国際化ということと共同利用研究というのはどんな関連を持ちますか。外国人を客員教授として迎える場合の迎え方は国内における国公私立の教授たちを迎える場合とどういう相違が出てきますか。
  166. 川村恒明

    川村政府委員 共同研究というのは、御指摘のように国際化と非常に緊密に結びついておりまして、学問研究高度化というのは共同研究が必然的になるわけでございますけれども、その場合に、学問的には境界はない、本来ユニバーサルなものですから、むしろ外国との共同研究というのは大変多いわけでございます。でございますので、ただいま申しました客員の仕掛けでございますとか共同研究員の仕掛けというのは、私は今公私立と申しましたけれども、外国人の場合も全く同様でございまして、外国人であろうが私立の方であろうが、それは今申し上げましたような仕組みで運用していく、こういうことでございます。
  167. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、日本の教授がハーバード大学ならハーバードに客員で行きますような場合には、向こうで給料も研究費も宿舎その他も一切保証されていますよね。日本の大学では、国立大学も含めてですけれども、外国人を受け入れるような場合に、特に共同利用の場合は、国内の公私立の人たちと違った特別の措置はしないという考え方ですか。
  168. 川村恒明

    川村政府委員 外国人の受け入れに当たってそういう部門、特にこれは外国人向きだよというふうな部門をつくるというようなやり方もしておりますし、それから、今御指摘の点は、仮に日本人がハーバード大学に行った場合に向こうでちゃんと給与その他をもらってきちんと一人前になるじゃないか、その反対があるかということでございますけれども、それは今申し上げました共同利用機関における客員であるとかということの仕組み以前に、これは前に国会で御審議いただきまして制定を見ました外国人の任用法によりまして、これは共同利用機関の場合にも外国人を正規の教授、助教授ということで任用する道が開かれております。それを開いていただきましたので、そういう形で任用するというやり方は当然別途あるわけでございますので、その場合は専任の教授、助教授として給与その他を見てあげる、こういうことでございます。
  169. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 大体問題はそれでわかりました。  さて、共同利用研究所の教授が、この第九条の二の三項によりますと、「大学共同利用機関は、大学要請に応じ、大学院における教育その他その大学における教育に協力することができる。」こうありますね。そうしますと、共同利用機関にいる教授で、大学院担当の兼任教授として出る場合、また同時に、大学院担当の教授が共同利用機関の兼任として出る場合、二つの場合がありますね。ありませんか。
  170. 川村恒明

    川村政府委員 共同利用機関の方から見ますと、大学院へのかかわり方というのは態様が三つあるわけでございます。その態様の一つとしては、昨年お認めいただきました総合大学院大学、これがその共同利用機関との緊密な連携協力のもとに実施をするということでございますから、その総合大学院大学学生をそこで受け入れるというやり方一つございます。それから二つ目は、ただいま御指摘をいただきましたこの九条の二の第三項で、大学要請に基づいてその大学における教育を受け入れる。それはその共同利用機関と別の大学から、言うならば委託によって学生を受け入れるというやり方でございます。もう一つやり方は、これは余りポピュラーではございませんけれども共同利用機関研究者が他の大学の、例えば東京大学の併任教官となって、大学院の理学研究科とか工学研究科といったところの教育を担当する、この三つの態様がある、こういうことでございます。
  171. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうすると、大学院担当、これは学生が動く場合ですね。学生は当然あります、協力し合うということは。院生が出ていったり、ドクターコースの研究者が行ったりして、そしてまた自分の大学へ帰ってくるというような形で行き来があると思うのですが、教官の場合も当然その両方を持っていますね。そういう場合の身分にかかわって、大学院大学などの国立大学の教官は御承知のように教育公務員特例法の任用その他の規定を受けてますね。共同利用の場合はそれは適用除外になりますでしょう。そうした場合に、共同利用機関にいる教官で国家公務員の肩書を持った人、持っていて教育公務員特例法の適用を受ける人とそうでない人という形の身分上の問題がありませんか。
  172. 川村恒明

    川村政府委員 共同利用機関の教官の方は教特法の適用そのものではございませんが、いわゆる準用職員でございます。具体的に言えば、特に身分の不利益処分の関係の規定が教特法からは除外されている。それ以外のものはおおむね教特法にのっかっている、こういうことでございます。  そこで、今御指摘の点は、そういう共同利用機関の教官が大学院を担当する、昨年の総合大学院大学の際にも御指摘がございましたけれども、総合大学院大学の教官になった方は教特法の全面適用になる。共同利用機関の教官でもそっちへ行かない人がいますから、それを持たない人は差があるんじゃないか。また、先ほど私が申しました第三のケースで、逆に共同利用機関の方が特定の、例えば東京大学なら東京大学へ行って、そこの大学院を担当する場合、そこの学際理学なり学際工学という講座の教官を併任した場合には教特法の適用がある、こういうことになるわけでございます。現在のような教特法の仕組み共同利用機関に対してこれを準用するということからすれば、結果としてはそうなるのはやむを得ないことで、これはそれぞれの大学院共同利用機関組織原理の違いからそうなるということではなかろうかというふうに思っております。
  173. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 組織原理で違うというけれども、またそんな具体的なケースが起きているわけではないけれども共同利用機関の、いわばそういう国家公務員の資格を持つ人たちとそうでない人との問題が問題点として残っているよということだけは今後の運用上検討していただく課題だな、こう思っておりますので、御指摘を申し上げたわけでございます。  そこで、私は前から共同利用機関は広く開かれた研究機関としての位置づけをすべきだという主張でしたからこの方向を是とするとして、先ほど言った身分や研究費や旅費などを含めてきちんと対応すること、また公私立大学参加がやりにくいという条件の隘路をどう打開するかという問題、外国の客員教授を受け入れる場合の受け入れ方について配慮すべき問題など含めて、今後とも大学共同利用機関を充実させる方向に向けて御努力を賜りたいということだけを申し上げておこうと思います。  さて、今度の平成元年度の「文部省所管予算概要説明」にもありますが、ここの第四の高等教育の整備充実に関するところで「大学院の充実と改革につきましては、先端科学技術大学院創設準備、大学院最先端設備の整備充実等を図るため、所要の経費を計上いたしております。」こう言っております。ここで言っている「先端科学技術大学院創設準備」というのは、石川、奈良に今度創設準備費がついておりますが、これをうたいとげているというふうに理解してよろしいですね。
  174. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  そのとおりでございます。
  175. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 先端科学技術大学院は、六十二年度が構想調査、六十三年度が準備調査、平成元年度は創設準備、こうなっておりますね。細かなことを聞いている時間はありませんから省くとして、創設準備ということになりますと、いつごろ発足することを想定しておりますか。
  176. 坂元弘直

    坂元政府委員 先生今御指摘のとおりに、平成元年度は石川、奈良両地区にそれぞれ先端科学技術大学院をつくるということで創設準備費を計上しておるわけでございます。その創設準備の内容が熟した結果に基づきまして最終的に何年度開設ということを決めるわけでございますので、今の段階ではにわかに来年あるいは再来年ということは言明するわけにいかないわけでございますが、本年の九月、十月ぐらいまでをめどに、その準備状況を見て決めたいと考えております。
  177. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では、九月、十月ごろの準備状況で将来計画について一定のめどを立てたいということですね。  さて、その先端科学技術大学院という大学の性格と特色をちょっと説明してください。
  178. 坂元弘直

    坂元政府委員 御案内のように、最近、情報科学、バイオサイエンス、それから材料科学等の先端科学技術分野における科学技術の進展というのが大変目覚ましい日進月歩なものがございまして、これらの分野における基礎研究等の推進と高度な研究者技術者養成、それからリカレソト教育が強く一般から要請されているところでございます。そういうようなこともございまして、文部省におきましては、先ほど先生指摘されましたような経過をたどって調査研究を進めてきておるわけでございますが、これまでの調査研究におきまして、一つは、急速に発展しつつある分野を対象とするものであるので、その教育研究組織については柔軟な編制が必要なのではないか。言いかえれば、既存の学部に基礎を置く大学院では適切に対応できないのではないかという点が一つでございます。  それから二点は、高度の研究者技術者組織的な養成、再教育が求められておる分野でございますので、そういう社会的な要請あるいは学問的な要請に適切に対応するためには相当数の規模の大学院生を受け入れる必要があるのではないかということで、学部を置かないいわゆる独立大学院として設置した方が柔軟に対応できる、今までの調査ではそういう結論になっているところでございます。
  179. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 一つは、ではこれは独立大学院という今までの構想の一環として具体化するという、タイプはそういうことですね。これは区分制の博士課程でマスターコースとドクターコースと持つわけでしょう。そういう構想ですね。
  180. 坂元弘直

    坂元政府委員 五年制の大学院コースでございまして、最終的にはドクターを目標とするわけでございますが、前期二年というのは修士課程に位置づけられるものでございます。
  181. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ここで今までに私がいただいた資料や何かでは、金沢の方は情報科学と材料科学を中心にしていき、奈良の方は共通する情報科学にバイオでいく。それぞれそういう特色を持たせた大学体制でいくということを聞いておりますが、そういう方向ですか。
  182. 坂元弘直

    坂元政府委員 そのとおりでございます。
  183. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 これは学部なしの大学院、独立大学院でいきますが、これは法律事項になるのですか、政令事項ですか。
  184. 坂元弘直

    坂元政府委員 既に学校教育法で学部のない大学院大学がつくれるということになっておりますので、法律上の制度改正は必要ないことになっております。
  185. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうすると、国立学校設置法施行令、政令で処理することになるのですね。
  186. 坂元弘直

    坂元政府委員 失礼いたしました。学校教育法の方の手当てはそういうことでございますけれども国立学校設置法の方は法律改正をお願いすることになります。大学を新たにつくるということになります。(嶋崎委員「だから法律事項でしょう」と呼ぶ)失礼いたしました。
  187. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうすると、改めて本委員会法案として提出されることになるわけですから、その段階で改めてまた議論をしなければなるまいと思います。この大学院が高度な研究者養成とか技術者養成等々とありますが、技術者の再教育、リカレソトを非常に重視すると言っていますが、リカレソトを重視するのにこういう独立大学院というタイプのものでいくのか、それとも既存の大学大学院に、開かれた大学として道をさらにさらに広げていくという道を選ぶかという、大学制度の上では大学にはこの一つの選択があると思うのですね。これを独自に独立大学院という形で選ばれた根拠は何ですか。
  188. 坂元弘直

    坂元政府委員 バイオの関係にいたしましても、それから材料学にいたしましても、いわゆる学際領域でございます。したがって、いろいろな専門分野の教官で共同して研究教育を進めていかなければならない分野でございますので、既存の大学大学院ということで考えますと、どうしても先生御案内のように学部というものの考え方、学部に縛られるということもございますので、そういう意味で、学部ということにとらわれることなくそれぞれの専門領域の能力をお互いに知恵を出し合って教育研究組織をつくるという意味では、柔軟に対応できるのではないかというようなこともございまして、独立の大学院にした方がいいだろうという考え方でございます。
  189. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうすると、研究組織は一種の学系的なタイプになるのですか。筑波方式じゃないけれども、要するに講座制ではなくて、科目制を前提にして横断に一つのグループをつくっていくタイプの組織になるのですか。
  190. 坂元弘直

    坂元政府委員 その点につきましては、創設準備の段階でこれから検討研究する課題一つでございます。
  191. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、例えば私の石川でいいますと、金沢大学が総合的な大学院創設要請が出て、それぞれ着々と具体化しつつありますね。私立ではあそこには金沢工業大学という最近とみに実質的に研究体制その他が進んできている大学が一方にありますね。そして同じく北陸には富山もあり福井がありますね。片一方でそういう一連の既存の大学とこういう単発の独立大学院をつくるということとが無関係なようであっても、実際にはその地域にある大学研究成果やスタッフ、そういうものとのつながりや相互関連をかなり重視しなければならぬのではないかと思うのです。  そういう観点に立って新しい独立大学院大学というものをこの地に構想するに当たっては、そういう一連の大学で、例えば情報科学というような問題に関連づけられるような大学院コースというものとの関係はあるのかないのか、それとも今問題になっているような材料科学の場合でもそういうことがあり得るのかないのか。つまりその点については既存の大学研究体制を強化することと新しい構想大学をそのそばにつくるということとはどういう関連性を持たせていくのかという課題があると私は思うのですが、その点については創設準備の段階ではどんな議論が行われていますか。
  192. 坂元弘直

    坂元政府委員 既存の大学は、当然のことでございますが、もちろん大学院になりますとやや全国レベルにはなりますけれども、どうしても大学院に進学する人が既存の大学の学部卒業生であるということで限られてしまう点があるわけでございます、教育の面で申し上げますと。その点、新しい構想の大学院大学全国的に学部卒業生がまず集まってくるであろうということが一つと、それから相互の既存の大学と先端科学技術大学院との関係を含めてどう考えるのか、その点につきましては、先生のところにも資料でお渡ししたかもしれませんけれども、例えば石川県の構想しております先端科学技術大学院の準備調査委員会のメンバーの中には金沢工業大学の方も、それから金沢大学先生にも入っていただきましてその点を含めて検討をしていただいているところでございます。
  193. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 金沢工大は黒田さんで理事長が入っているんですよ。教授じゃないんだよ。だから専門委員の中にも金沢大学の教授はいますけれども、金沢工大の教授はいないのですよ。金沢工大というのはかなりいろいろな観点で相当努力をしている大学だなと日ごろから私は見ておりますから、あそこのスタッフなどとの関連はないなというのが私の判断なんです。つまり、理事長が入っているのですから、これは教育職ではないですから。だから、そういう意味ではどうかな、今の問題はそうきちんとしていないんじゃないかなという印象は残ります。  いずれにしても、私が申し上げたいのは、新しい独立の大学院大学を金沢につくる、近辺につくる。金沢というのはもともと相当大学町として教育研究の深い都市ですよ。私は総合大学移転には反対でして、永井文部大臣と私がここで話したのは、金沢市をハーバードやオックスフォードにしなさい、安上がりに全部移転するんじゃありません、町そのものに各学部を置いて、そしてハーバードやオックスフォードのような国際的な学術都市にすることを考えなさいというので永井さんと私は意見が一致した。それが、その後大蔵省の予算やら何かで妙な総合移転とかばかげたことになってしまっているのですが、数日前も行ってみて、場所やその他すべてを検討してみて、これが今からいい大学になるのかな……。まあ動いていますから今のところを充実させる以外に道はありませんけれども、私の構想はそういうハーバードやオックスフォードみたいな町を、大学をあそこにつくるべきだという判断だったのです。  ですけれども、片一方で全部大学を移してしまうんだな。そして、片一方でまたぽっと科学技術大学院大学という新しい構想がぽんと出てくるんだな。それで、その大学と既存の大学大学院を新たな学際なものをつくろうとしている動きも並行して文部省が予算措置その他で誘導しなければならぬわけだ。そうなのにこの全体の関連が、日本的なものを独立大学院としてつくるのかもしれないけれども、それはそれなりに意味があるかもしれないが、その大学院が日本的だと同時に、地域の北陸三県にまたがっている大学、例えば農業でいいますと、富山にも福井にも石川にも農業短大というのはありますね、こんなものは連合大学をどういうふうに考えるか構想して、そこでバイオならバイオの新たな研究みたいなものをやっていくような方向性をできるのかできないのかというような模索も必要だと思うのですよ。  こういう時代ですから、農業関係の学校というのは寂れつつある。そうしますと、そういう中で新たな変化に対応してどういうふうに大学改革して新しい時代に変わっていかなきゃならぬかという課題が片一方にある。片一方は、先端技術などを中心にして既存の大学そのものが新しい大学院をつくろうという動きがある。そういう中で新たにまた独立大学院というものが出てくる。これがあたかもリカレソトで、これでなければならないような新構想のように見えるわけだ、まだ何も出てないのだから。大体大枠がわかっているだけで、今から具体的な詰めが出てここにかかるのでしょう。ですけれども、今の話では、三年間たってもまだいつごろどんなものができるか説明ができないような話だ。そうすると、高等教育というものを考えていくときに、そういう既存の大学を充実させながら変化に対応していくという大学改革の問題と、新たな構想大学をつくることとそれとの関係はという問題は、筑波以来今日までの我が国の一貫した課題なわけです。  それで、大学審議会大学院の問題についての答申をお願いをし、昨年の十二月に一定のものが出ていますね。そこでは何と言っておるかというと、御承知のように、大学院設置基準は大学設置基準に準ずることになっておるわけですね。大学設置基準があって大学院設置基準は大学に準じていろいろなことが行われるから、大学大学院というものをオーバーラップした形で既存の大学院設置基準が現にあるわけです。だから、大学審議会大学院委員会も、大学設置基準や大学院設置基準そのものも見直さなければ、今から新しい独立大学院その他を言ってみても今までの設置基準の延長線とはちょっと違うよ、こう言っているわけだ。  つまり、今大学審議会をおつくりになって大学院について新たな動き、構想が始まり、大学制度あり方について検討を開始しておるところですが、開始しておるということの中には、既存の大学をどう改革しなければいかぬかという問題と、それに対応できない新たな変化へ対応しなければならないという問題を含めてもちろん検討しなければならぬでしょう。ところが、まだ一定の判断や一定の方向が出ていないまま、片一方では独立大学院大学というふうに動いてしまっているわけです。それで構想を立ててみたり創設準備費で動いているわけです。そうすると、西岡さんが大学院問題について、先ほどの答弁を聞いていても大学院問題について新たな課題と方向に向けて一定の判断を下そうとなさっているときに、それじゃ今までの大学院設置基準や大学設置基準をどうなさるつもりですか。  そして、既存の新しい独立大学院はその新たな設置基準の物差しをどういうふうに置くことによって、それは単位の取り方から予算のっけ方から教官の配置の仕方からみんな決まってくるのですから、そうすると、そっちの方向性が定まらないままに事態だけは何か進行しておるように見えるが、それとの関連いかんという、どうも私のように大学に長い聞いて、最近は長い間離れておりますから最近の変化はわからないところがいっぱいありますが、どうも高等教育全体の計画というものはどこでどんなふうに収れんされて方向づけが行われておるのだろうか。ただ時代の変化に対して必要なものだということばかりがぼんぽこ出てくるかもしれないが、全体としてまだ過去の変化に対応していくような物差しそのものもきちんとされないままになっていやしませんか。したがって、大臣質問いたしますけれども大学院設置基準、大学設置基準を前提にした今までの基準と、独立大学院という新しいこういうものを構想した場合にこれを検討すべきだという大学審議会大学院問題に対する答申をどう受けとめておられるのですか。
  194. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、現在大学審議会におきまして、なおこれからの大学院あり方についてその充実を図っていくということにつきまして昨年第一段階の答申がなされておりますけれども、さらに掘り下げてこれからの大学院あり方についての御検討をお願いしておるところでございまして、先ほど来高等教育局長からお答えを申し上げておりますように、今回の具体的な先端科学技術の分野における独立の大学院の構想については、創設準備の予算を計上いたしまして御審議をお願いしておるところでございますが、できるだけ早い時期に大学審議会におかれましても大学院のこれからのあるべき姿についてのさらに突っ込んだ方向づけというものをしていただきたいということで御審議をお願いしておるところでございますので、先ほど来局長が申し上げておりますように、今のところ具体的な開学開議の日時を具体的に申し上げられないでおりますのは大体そういうこととの兼ね合いの中でなお若干の時間がかかるということも含めて申し上げておるところでございます。  先ほどから委員からるる御指摘のありました点は、確かに委員指摘のとおりに、これは全国的にもこれからいろいろと問題が起こってくる非常に大きな課題であるというふうに思っておりますし、また、先ほど来私から御答弁を鍛冶議員の御質問に対しても申し上げましたように、全国的な大学地図というようなものも早急につくっていかなければならない。今回たまたま石川と奈良についてこうした新しい試みが先行した形になっておりますけれども、それは若干後先になりますけれども、これからの我が国の大学行政の中でのきちっとした位置づけというものはかなり早い段階で行われるものというふうに私も考えておりますので、そのような方向で文部省としては取り組んでまいりたいと考えております。
  195. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 動き出しているものですから、学校教育法上ではもはや方向づけとしては立法府の方で決めてきた方向づけですから、その方向は方向として選択するとしても、その選択に当たっては、条件整備を一方で並行しながらきちんとした物差しを持って、そして新しければいいというものじゃないのですから、課題により即した充実したものに持っていくために、ぜひ、先端科学技術大学院大学については全国でたった二つ始まるのですから、しかも最も新しい大学になるのですから、大学院審議会その他についても、もう一度その中身についても片一方で検討すると同時に、相互に連絡をとり合って措置に遺漏のないように今後対処していただきたいということを申し添えておきます。  あと一分しかないのですが、共通一次についてちょっと質問をしたがったのですけれども大臣の所信表明を見ますと、五ページと八ページの二つにわたって提起しています。大臣の所信表明の五ページで言っているのは、「相当の時間をかけた準備期間をおいて改革を行うことが必要であるとの認識を前提としつつ、さらに、中長期的な課題としてより抜本的な改善方策を模索し、探究する必要があると考えております。」その際に、生涯学習との関連も重要です、こう言っている。よくわかったようなわからぬような漠然としたことを言っていますな。  今度は具体的にはどうなってくるかというと、当面はどうなるかというと、八ページでは「大学入試については、当面、大学入試センター試験の円滑な実施国立大学の受験機会の複数化など、関係者の格段の努力を促しつつ、改善に向けて着実な推進を図ってまいります。」こう言っているわけです。片や中長期的判断、片や当面は六十五年の新テスト、これについても複数化その他を考えて是正しなければいかぬ、こう言っているわけですね。  こう言って…ますが、六十五年度の新テストについては、今までの十年間の経験から見て、一番複雑になっちゃった。二つのグループはある、分割方式はある、そして連続も加味する、もうこんなになったら高校生も複雑でどうもならぬです。そして、やっていることは明確に二段階選抜、第一次と学部のテストがリンクされているという制度として集約されてきました。だから、もう百も承知ですからこれ以上言いませんが、今の共通一次の六十五年度新テスト方式では何の解決策にもならぬということだけを明確にさせて、もう一度私がかつて十年前にこしらえた文教委員会の決議、附帯決議、これの三点を改めて検討しておいていただきたいと思うのです。  第一点、共通一次の実施時期の問題。これはいまだにもたもたしている。十二月と言ってみたり、下旬と言ってみたり、後期中等教育軽視も甚だしい。そういう意味で、共通一次の実施時期の問題、この問題について六十五年度に対応する際にどうするのか。あそこの附帯決議で言った重要な課題が守られないまま、今日ますますずるずると後期中等教育は骨抜きになっておるのですから、それが一。  第二番目は、あの決議で言ったように、二段階選抜方式の実施は避けるべきだという我々の主張に対して、今や新テストは共通テストと個々の大学の入試とをさらにリンクさして二段階選抜方式となってしまっている。こういう事実についてどうするんだ。これが二。  そして第三番目、共通テストは後期中等教育の到達度の判定試験として国公私立全部が参加できることに努力すべきであると十年前から言ってきた。ところが、私立の方は、今や十年見たらこのおかげで国公の序列化がはっきりしてしまった、こんなものに参加しようものなら私立大学がまた序列化されてしまうという懸念が現にある。そしてまた、経営の上でも入学金というものは大変重要なもので、受験のいろいろな手続は大変大事ですから、皆さんが考えているほど私立大学の方はアクティブにはならない。したがって、到達度という観点から見直せと言った我々の主張は今日まで生きている。  現に私なんか附帯決議の全文を書いたのですから、このとおりに検討しなかったら、こんなものやっても大変なことになるよというのが我々の主張であったわけですが、まさにそのとおりになっておりますだけに、今の大臣の、当面は六十五年に複数化だとかなんとかで対応し、中長期的には抜本的に、何のことかよくわかりませんが、今言った具体的な国会の中の長い審議があるのですから、その審議の原点に返ってもう一度共通一次というものを検討する大事な時期に来ているという意味で、この問題についての大臣の所信をお聞きして私の質問を終わります。
  196. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のとおりに、十年前のただいまお挙げになりました三点の問題は私も十分承知をしているところでございます。ただ、先般所信の表明の中で述べさせていただきましたのは、ここ数年間余りにも共通一次、大学入試の問題をめぐって受験生に猫の目のようにやり方が変わるではないかという厳しい批判があり、また事実受験生の皆さん方には大変御迷惑をかけてきたということもあるわけでございまして、私といたしましては、この段階で、例えば来年どうするかというような形でまた変わるのではないかという印象を受験生の皆さん方に持たれるということについて、これは慎重に申し上げなければいけないという意味で中長期ということを申し上げたわけでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、少なくとも三年間の余裕を持って新しい制度を導入するとすればすべきであろうということを前提として、この際基本的な改革に取り組まなければいけないのではないかというふうに考えている次第でございまして、そのための世論調査等も現在実施をし、その結果を待っているところでございますが、その結果を踏まえてさらに大学審議会また中教審等で抜本的なと申しましょうか、きわめつけというわけにはまいりませんけれども、よりよい大学入試の制度というものをこの際確立すべきであろうと考え、そういう方向でできるだけ早い時期に具体的な検討に入りたいということを考えている次第でございます。
  197. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 これで質問を終わりますが、三年間待っていたら三年間の生徒はえらい目に遭う、今のままいくのですから。だから、ある時期に判断しなければいかぬけれども、その間途中で、特に六十二年から六十五年、平成二年ですけれども、その間の生徒たちというのは大変な迷惑をしているわけです。  それから、私たちが最初大学入試センターをつくったときに、こんなことをやる前に、後期中等教育における進学について、どういう職業を選ぼうとしているのか、そういうイギリスや何かでやっているようなちゃんとした調査をやりなさい、そういう大学入試センターをやりなさいと言ってきたのに何もやらぬ。だから、もう一度我々がかつて議論した原点に返って、議事録でもみんな検討してもらって、そしてもとに返れば解決の道は私はあると思う。それだけに、新たな課題、新たな課題と言わずに問題は古くて新しいですから、きちっと原則に返ったことをやらないと、世論調査をやったくらいで事は処理できるほど甘いものじゃないということだけは申し上げておきたいと思います。  終わります。
  198. 工藤巖

    工藤委員長 次に、中野寛成君。
  199. 中野寛成

    ○中野委員 私は、国立学校設置法の一部改正案が上程されておりますが、それに関連をする質問と同時に、あわせまして、最近、教育界を取り巻く若干の諸問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に出ております「国立大学共同利用機関」、これを「大学共同利用機関」に改めることにつきましては、先ほど来るる同僚議員の質問もございましたし、御答弁もございました。その趣旨につきましては、むしろ現在、日本の研究機関あり方について随分と内外から要請がある、そのことにこたえる一つの方法として評価をし、我々としてはその目的が十分達成されるように御要望申し上げて、この問題についての重ねての質問はあえていたしません。ただ、我々としては所期の目的が達成されるようになお一層御努力をいただくことを御要望だけ申し上げておきます。  さて、先月、中央教育審議会が再開をされたわけであります。この中教審と、それから今内閣委員会に付託をされておりますいわゆるポスト臨教審法案というのがございますが、ポスト臨教審との関係をどう考えておられるか。ポスト臨教審というのは教育改革を推進する上でやはり重要だと私は思うのですが、しかしながらどうも文部大臣初め関係者の皆さん、それほど国会対策に熱心にお取り組みのようにも思えないし、何か宙ぶらりんの形で、国会事情はありますけれども、何かもうひとつらちが明かぬなという感じがするわけであります。  私流の勘ぐりで恐縮でございますが、そういえば中教審四六答申が出たときの政務次官は西岡先生であったな、こう思い起こしながら、西岡先生、やはり中教審の方がお好きなんだろう、こう思ってみたりいたしておりまして、ポスト臨教審はどうでもいい、むしろ中教審が大いに中心になってこれからの教育行政に対する示唆をしていく、こういうふうにお考えが変わってきたのかなと思ったりもいたしますけれども、これらのことにつきまして大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  200. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  臨時教育改革推進会議設置につきまして国会での御審議をお願いしているところでございますが、この点につきましては、臨教審の答申を受けて講じられますところの教育改革についての諸施策を推進していくという意味から極めて重要な機関であるというふうに認識をいたしております。この点は、中教審のお話もございましたけれども、中教審におきましてこれからいろいろと御審議をいただき、また、そこから出てまいりますところの教育改革についての具体的な施策につきましても、臨時教育改革推進会議、いわゆるポスト臨教審の機関がこれを推進する、あるいは各省庁間のいろいろな調整等も含めてこれを推進していただくという点では、これが実現をいたしました場合には文部省にとりましては極めて大切な機関であるというふうに認識をしているわけでございまして、国会等のいろいろな御事情でこの設置がおくれているということは文部省といたしましても非常に残念なことでございまして、決して委員指摘のように文部省としてこの法案を軽んじているということではないということを御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  201. 中野寛成

    ○中野委員 それではお伺いいたしたいと思いますが、いわゆるポスト臨教審の位置づけについて、中教審とどう違うのか、さきに臨教審の答申が出されている、それを実現するための一つの推進機構といいますか、という役割だけなのか、随分と、実は臨教審で改革の基本的な考え方を示すだけにとどめて、むしろ今後の検討課題として残された問題があるわけですね、これらのことについても、むしろその審議を詰めながら中身を充実させていく、また、例えば文部省だけではできない問題等について、臨教審が本来審議目的とした横の関係、総合的な問題等についてなお一層審議をしていく方向のポスト臨教審を目指すのか、現在提案されている法案の中身は若干その方向は示しているのですけれども、その示している内容が私は狭いと思うものですから、むしろあれを内容的には修正をしてでも幅広いもの、本来臨教審が目的とした総合的な見地からの検討をする機関というふうになしていくべきではないかというふうにも思っているわけであります。  ただ、法案提出されているわけですから、内閣委員会に付託されているわけですから、ここで修正してでもなどということは大臣の立場からは言えないかもしれません。ただ、抽象的でも結構でございますが、その方向づけ、あり方として大臣はどうお考えでしょうか。
  202. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘の点、私どもにとりましても非常に貴重な御示唆であるというふうに考えております。ただいま御指摘のとおり、少なくとも今、国会で御審議をいただいております法案でございますので、提出をいたしました政府といたしまして、この御審議内容につきまして言及することは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、確かに臨教審でいろいろと御答申をいただきました中で、さらに問題提起という形で残された問題点も多々あるわけでございます。そうしたことも踏まえまして中教審をスタートさせたわけでございますけれども、私は、ポスト臨教審と中央教育審議会、両々相まって我が国の教育改革が進められていく、このように理解をし、また、そうあるべきであると考えておりますので、よろしく御審議を賜り、一日も早く法案の成立をさせていただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。
  203. 中野寛成

    ○中野委員 ポスト臨教審と中教審、抽象的に私なりに今、表現をしたつもりですけれども、実を言うと、このポスト臨教審の役割を狭く解釈すると、もう中教審だけでいいということになってしまうのですね。二つとも設けなければいけない明確な理由というものが我々の中にイメージとしても余り浮かんでこないということが一つあるのです。  もう一つ、再開された中教審の役割という意味でお尋ねをいたしますと、四六答申との関係、あれは随分年数はたっているとはいうものの、いまだなお四六答申評価は結構高いわけですね。それらのことについて、実現したものとしないもの、まだ随分しないものがあるわけで、この四六答申と今回中教審に諮問された事項との関係、これらについても複雑に関係があると思うのですが、大臣はどういうふうにお考えですか。
  204. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりに、昭和四十六年に「第三の教育改革」ということを銘打って出されました、森戸辰男先生が会長のもとで行われた答申は、今日なお非常に貴重な答申であるというふうに考えているわけでございます。  そうした中で、一方臨教審におきましても現時点において我が国の教育が広範囲にわたって抱えております問題についてかなり詳細に幅広く御検討いただいているわけでございまして、非常に大ざっぱな言い方でございますが、今回の臨教審の答申と、委員指摘のとおりにかなり以前のことになりますけれども四六答申とをあわせ読んだときに、かなり明確にこれから私どもが取り組まなければいけない教育改革の方向というものが出てくるのではないかという認識を持っているわけでございまして、そういう観点に立って今回中央教育審議会、第十四期の中教審をスタートさせていただきまして、「新しい時代に対応する教育の諸制度改革について」という諮問を申し上げたわけでございます。そういう意味では、委員の御認識と私自身認識とまさに大体一致しているのではないかというふうに思っております。
  205. 中野寛成

    ○中野委員 私は、この際中教審とポスト臨教審の役割というか、そういうものをもう少し明確にした方が、何か屋上屋を重ねているような印象を招かないでいいな、こう思うのです。  そういう意味で、中教審というのはもともと四六答申も出して、いわゆる文部省諮問機関としての位置づけというのはある程度はっきりしていると思うのですが、ポスト臨教審の方がかえってやはりわかりにくいなという印象を今の段階では持たれているのではないか。法案審議具体的に入っていませんからその中で明確になっていくのかもしれませんけれども、しかし臨教審の答申の出た後、今後どうあるべきかというときに、ポスト臨教審を設けた方がいいという我々の考え方、その中では中教審はまだしばらくお休みをいただいて、むしろポスト臨教審でもっと詰めをしていただこう、そしてもっと総括的に幅広く考え文部省のお気に入らないことも含めて今後のあるべき姿について答申をしていただく、それを完全に実施できるまでポスト臨教審というものが存在をするということの方がいいのではないか、そして一つ教育改革が一段落したなと思われるところで中教審がより具体的な問題について改めて機能を発揮していくということの方がいいのではないのかなというふうに私は思っておったわけでありますが、当時から政府・与党の皆さんの中には、もういい、あとはもう文部省に任せてくれ、もしくは中教審の方でやりたいという御意見の方も結構いらっしゃったというふうに記憶しておるわけです。  ゆえに私は、冒頭失礼な御質問を申し上げましたけれども、ポスト臨教審については余り御熱意がないのではないかなと思われると言ったのはその辺のことを思い起こしながら申し上げているわけで、そのポスト臨教審の位置づけ、性格等について現在の大臣なりの御見解をもう一度明確にお聞かせいただければと思います。
  206. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  既に法案提出して御審議をお願いしている段階でございますので、法案の中身につきまして、委員指摘の、多分おっしゃりたいことにつきまして私も認識をしているつもりでございますけれども内容につきまして私自身がこの段階で立ち入ったことを申し上げるのは御遠慮させていただくことをお許しをいただくことにいたしまして、御審議をお願いいたしておりますいわゆるポスト臨教審の役割と申しますのは、臨教審の答申が出されましたもとで行われております教育改革の諸施策につきまして、これをある意味では監視すると申しましょうか見きわめると申しましょうか、あるいはある時点で手直しするということも含めていろいろな御意見をいただくということと、何分にも生涯学習社会への移行ということを大きく打ち出しているわけでございまして、そうした場合に、文部省だけで教育の諸制度改革するというのには余りにも大きな分野、幅の広い分野があるわけでございまして、各省庁間の調整等も当然必要になってくるであろう。そういう場合に、いわゆるポスト臨教審が調整の役割も果たしていただけるという意味で、教育改革を円滑に進めていく上でもその役割というものは非常に大きなものがある、このように認識をいたしているわけでございます。
  207. 中野寛成

    ○中野委員 次に進みたいと思います。  先般、その中教審に四年制高等学校の構想を諮問されたわけです。また、生涯学習センターの設置をされようというふうにお考えのようでございます。先ほども質問に出ておりましたが、入試制度の問題、学制の問題、それから、先ほど池田克也議員の質問のことが出されておりましたけれども、いわゆる就職協定のこと等、これは子供たち教育と就職、まさに人生に絡み合った問題、決して別々に考えることのできない問題だと思うのですね。物事を一回逆算して、いわゆる生まれたときから考えていくのではなくて、いかにいい人生を送るか、いかに生きがいを求めるか、そのためにいかにいい仕事を見つけるか、そういうふうに逆算をしていって入試制度や学制のことなどを考えるということがむしろ今大事なのではないか。むしろ私どもは臨教審にそのことも期待したわけでございます。  その中でいろいろな提案がなされましたが、例えば物事はつまみ食いをするといよいよ混乱してしまうわけです。そこで、四年制高校のことも生涯学習センターのことも短期大学のことも入試制度のことも、本当はまとめて御検討をいただいた方がいいのではないか、こういう感じがするのですが、何か四年制高校のことなど、この前定時制を四年じゃなくて三年でも卒業できるようにという話をしたばかりの後に今度は四年制高校が出てきたものですから、私も正直言って面食らってしまいまして、これまた失礼かもしれません、不勉強はお許しをいただきたいと思いますが、どうも西岡文部大臣の思いつきでいろいろなことがぽこぽこ出てきているのじゃないかという印象もなきにしもあらずなのですが、その御提案をなされた背景について少し御説明をいただきたいと思います。
  208. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  現時点で中教審に既に御検討をお願いをいたしておりますので、私から、今回諮問申し上げました具体的な内容につきまして詳細にわたってその意図するところを申し上げるのにはいささか問題点があろうかと思います。しかし、ただいま御指摘の点につきましては、私自身もいろいろと今回の中教審に対する諮問につきまして、具体的な諮問を申し上げたということについて御批判等あることを十分承知をいたしておりますので、お許しをいただきましてあえてお答えをさせていただきます。  今回中教審をスタートさせていただきまして、具体的な諮問一つといたしまして四年制高等学校ということを挙げましたゆえんは、我が国の学校教育全体を見渡しましたときに、少なくとも現在の六・三・三・四という学校制度全体をいきなり動かすというわけには、臨教審のいろいろな御検討の結果を踏まえて考えますときに、なかなか今この時点では問題点が多かろうというふうに判断をいたしました。  そこで、今の我が国の学制の中で、学校制度のもとでどこに一番問題点が集約されているかということを考えますときに、やはり後期中等教育のところにいろいろな問題があるのではなかろうか。この点につきましては、既に臨教審におきましてもその点の問題提起がなされているところでありまして、今後の検討課題ということで後期中等教育高等教育とのかかわり方についての問題提起が行われ、これについては具体的な改革案というものが示されなかったわけでございますけれども、そこのところを一つの切り口として我が国の教育制度の二十一世紀に向かってのあるべき姿というものをこの際御検討いただきたい。その場合にこれまでの審議会におきますところの諮問の方式でございますと、そこで大体諮問案ということになるわけでございますけれども、この際、あえて具体的な御提案を申し上げることによって、もちろん四年制高等学校文部省として御提案申し上げたことについて全面的に否定されるということも含めて具体的な御検討をいただきたいという意味であえて具体的な四年制高校というものを問題提起させていただいたわけでございます。  その内容についての意味でございますけれども、これは何分にも我が国の高等学校が九四%という高い進学率、これは高等学校制度をスタートさせた時点では当時の文部省当局も余り予測していなかったのではないかと思われる節があるわけでございまして、そういう点から申しますと、九四%の子供たちが高等学校に進学をするという実態を踏まえて、それだけ多様ないろいろな能力、才能を持った子供たち一つ学校体系の中に学ぶわけでございますので、これは今の三年制の高等学校の中でその子どもたちの、生徒のいろいろな学習要求というものを吸収するのにはいろいろ問題があるのではないだろうかという意味で修学年数を含めた弾力的な対応ということを四年制高校という形で表現させていただいたということでございます。  これにつきましては高等教育とのかかわりとかいろいろな問題がございまして、文部省として具体的なこうした諮問を申し上げるに当たって省内でもかなり検討を続けてきたところでございまして、具体的に申し上げることはたくさんあるわけでございますけれども、冒頭に申し上げましたような事情で中教審に今から御審議をいただくわけでございますので、余り結論めいたことを私から申し上げるのはいかがなものであろうかと思いますので、そういうような意図で御提案をさせていただいたというふうに御理解をいただければ幸いでございます。  なお、生涯学習センターの問題につきましては、これは無関係ではございませんけれども、二本立ての諮問という形になっておりますので、別途御説明をさせていただきます。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
  209. 中野寛成

    ○中野委員 それでは生涯学習センターのことについてもお伺いをいたしたいと思います。生涯学習センターが必要なことはわかるのです。そのいろいろな、例えば短期大学との兼ね合わせ、それから大学審議会に対して入試制度あり方についての審議要請されております。大学入試、短期大学、生涯学習センター、四年制高校、何か関係があるようなないような、しかし私はあると思うのですね。これらをひっくるめて本当はもっと広範な立場から掘り下げてその関連性を含めて論議するのが至当だと思うのですが、中教審ありポス臨あり、そして大学審議会あり、随分とあちこちでいろいろな御論議をいただいて、矛盾する答申でもいただいた日にはどうするのだろうなと心配をしたりもするわけであります。これらの包括的な関連性については文部省としてどうお考えなんですか。
  210. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、大学審議会におきましても数々の問題点について現在御審議をいただいているところでございます。また中教審におきましても今回大学審議会で御審議をいただいている問題とも深くかかわる問題について御審議をいただいているわけでございまして、中教審のスタートの時点でも、私から御諮問申し上げる段階で、いずれ大学審議会と合同の会議等も持っていただくということも想定をしておりますということをごあいさつで申し上げたわけでございますけれども委員指摘のとおりにいろいろと問題があるということを私どもも十分自覚をしておるところでございまして、その点は各審議会の間で十分連絡調整をしていただくように文部省といたしましても十分その条件整備をしてまいりたい。これはもちろんそれぞれの審議会が独自で御判断をいただく事柄でございますけれども、事務を担当いたしております文部省といたしましてはそういうことを念頭に置いて作業を進めさせていただきたいということを両審議会に申し上げているところでございます。
  211. 中野寛成

    ○中野委員 余り手法のみばかり申しておりますと中身に入れませんから少し内容に入りたいのですが、今の大学入試制度のことなんですが、これも先ほど同僚委員質問されました。大臣は御答弁で、猫の目のようにくるくる変わるということで受験生の皆さんにも随分御迷惑をおかけしましたということをおっしゃられました。その猫の目のように変わるという言葉は確かにたびたび使われていることであって、私も実感としてそう思います。私もよく申し上げるのですが、親が子に、兄が弟や妹に自分の受験体験を話しすることができない。親子の間の、また兄弟の間のコミュニケーションさえもとりにくい。受験という人生の中で一番悩み多い事柄について家族で話ができない。学校も当てにならない。結局予備校か塾に頼っているということが指摘されるし、我々も実感としてそう思うのですね。やはりそうころころ、もうここまで来ると制度の中身よりも変わることに問題があるとさえ極論して言う人もいるわけです。こういうことについて、先ほど今後の見通し計画等について大臣はおっしゃられましたけれども、本当に長続きする制度を、しかも早急につくらなければいけないと思うのです。  これについては、やはり受験生はもとよりのこと、いろいろな関係者方々に幅広く意見を聞くことも大事、決めた限りはそう簡単には変えないということも必要、こういうことについて私はもうここで内容をどうすべきだと言いません。そんなにしょっちゅう変わらない案をつくってください、入試制度をつくってください、その一言に今の受験生や親の気持ちは集約されると思うのです。この気持ちにどうおこたえになるか、一点だけ大臣にお聞きしたい。
  212. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員まさに御指摘のとおりで、文部省といたしましてもただいまの御指摘については一言もないと申し上げざるを得ないわけでございまして、ただ、あえて申し上げますと、文部省がいろいろな入試制度考えますときに、これを実施していただく大学側のお考えと必ずしも一致しなかったという点がいろいろな問題を招いたということも、これは大変言いにくいことでございますけれども事実でございまして、一方、高等学校側のお立場からいたしますと、大学入試の問題が高等学校以下中学校、小学校、幼稚園まで影響を与えているということを考えると、大学皆様方大学の入試とはまさに大学の自治の一部であるというふうに規定をなさいますけれども、やはり高等学校皆様方の御意見も十分踏まえてこれからの大学入試のあり方については検討しなければいけないのではないかと文部省としても考えているところでございまして、委員指摘のとおりに、とにかくこれから検討をしてまいります制度は、少なくとも次の世紀までたえ得る入試の制度であるべきである、このように考えている次第でございます。
  213. 中野寛成

    ○中野委員 今までの反省の上に立って、ぜひそうあっていただきたいと思います。具体的な論議はまた後日、次の機会に改めていたします。  さて、この国立学校設置法の中で今日までいわゆる医科大学の増設をやってきて、今は内容短期大学に移っているわけです。その中でとりわけ医療関係がむしろ中心にこの法案については論議をされてきたと思います。  厚生省にもお見えいただいているのですが、厚生、文部両省からお聞きしたいと思います。医師、歯科医師、看護婦医療技術者等の現在の需給関係、そして大学及び短期大学の入学定員との関係、これらのことについて現状見通しと対策についてお聞かせいただきたい。
  214. 坂元弘直

    坂元政府委員 最初に私の方からお答えさせていただきます。  最初に、医師、歯科医の過剰問題に対応する大学医学部、歯学部の入学定員の削限の問題でございます。医師及び歯科医師につきましては、平成七年、一九九五年を目途に新たに医師となる者を一〇%程度、人数にして八百二十八人でございますが、歯科医師となる者を二〇%程度、六百数十人削限すべきであるという提言がなされまして、これに基づきまして今日まで文部省としましては臨床実習の充実等、教育条件の改善を図る見地からも、国立大学につきましては各大学の状況や地域の意見をも踏まえつつ、昭和六十年度から平成元年度までに医学部十八校、各二十人、合計三百六十人を減いたしまして、歯学部につきましては八校、各二十人、合計百六十人の入学定員の削限を行ってきたところでございます。また、公立大学につきましては、昭和六十三年度に歯学部一校、私立大学につきましては、昭和六十二年度から平成元年度までに医学部四校、歯学部四校の削限が行われてきたところでございます。  なお、私立大学の歯学部につきましては、私立歯科大学協会におきまして昭和六十一年度から、入学定員はそのままにしておきますが、募集人員を入学定員の一〇%減、平成元年度は二〇%減とするとの申し合わせが行われました。また、医学部につきましても、私立医科大学協会におきまして平成元年度には入学定員が百二十人の大学は募集人員を百十人とするとの申し合わせが行われたわけでございます。その結果、平成元年度、本年度医学部で六十人、歯学部で三百二十八人の募集人員の減が行われたわけでございます。  ただ、今の目標値から見て、今の私が申し上げました数字がどうなるかと申し上げますと、医学部につきましてはなお削限すべき人数が三百五十人程度、それから歯学部については削限すべき人数が四十三人程度という目標達成率になっております。歯学部については九十数%の目標達成率でございますが、医学部につきましてはなおそれぞれ公立学校につきましても地域の実情等があってなかなか削減ができない、それから、私立大学につきましては経営問題等がございまして、なかなか削減ができないという事情もございますけれども、例えば私立大学の場合、私どもは、入学定員を削減する私立医科大学がそのかわりに他の学部を設置したいという場合には、極力前向きにその学部を認可する方向で御相談に応ずるよう努力しているところでございます。今後とも目標達成に向けまして適切に対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。  あわせて看護婦の問題もよろしいですか。——看護婦の需給の問題でございます。  この問題につきましては、先般、先ほども質問がございましたとおりに、厚生省から本年の五月に看護婦養成見通し、需給関係の見通しが発表されまして、そしてその需給見通しによりますと、昭和六十三年度には全国で約六万五千人が不足しているが、平成年度を目途にその需給関係をバランスをとるとすれば、今後新卒就業者については毎年少なくとも四百人程度養成力を増強するということ、それから既にリタイアした人といいますか途中退職した人を再就職のためのエンカレッジを行う、それを促進することによって、平成六年には何とかその需給のアンバランスが解消するだろうという見通しが出されているところでございます。私どもとしましては、このような需給見通しも踏まえまして厚生省とも連絡をし、より高度な看護婦養成という社会的要請にも配慮しながら、今後、国公私立大学短期大学等を通じて適切に対処してまいりたいと思っております。  ちなみに、国立大学につきましては、先生御案内のように、専修学校を毎年短期大学医療技術系の短期大学に切りかえるということで、今回も秋田医療技術短期大学について御審議をお願いしているところでございますが、国公私立大学を通じまして最近の傾向を申し上げますと、昭和六十年から六十三年までの大学短期大学看護婦養成関係の定員は約一千名三年間でふえております。このうち、国立大学の場合もそうなんですが、国立大学秋田大学短大の場合も今度専修学校を切りかえるということでございますので、もちろん専修学校五十名の入学定員を八十名ということで短期大学考えておりますが、全く五十人、五十人ということになりますと、ネットでは全然ふえないということになるわけでございます。  それから、私立短期大学専修学校から切りかわったのもございますので、ネットの数字で申し上げますと、大体九百名ぐらいが三年間で増しているかなという感じでございます。そうしますと、一年間に三百人ぐらいふえておりますので、厚生省が言っております毎年四百人ぐらいふやすというのには、今の国公私立短期大学大学の増設計画のままで推移すれば大体対応できるかなという感じでございます。  ちなみに、看護婦全体の養成の人数というのはトータルで三万六千人でございますが、そのうち国公私立大学が収容しておる人数というのが約八千五百人でございます。その関係のあとの二万八千人が厚生大臣指定の専修学校、各種学校、独自のものでございますが、大学の附属の専修学校ではございませんで、そうではない独自の専修学校が二万八千人でございます。したがって、大体二〇%のシェアを持っておる国公私立大学で四百人のうちの三百人というような傾向値で進めば十分対応はしていけるのじゃないか。数の上ではそういう予想を私ども持っております。
  215. 中野寛成

    ○中野委員 厚生省にお伺いすることも大体まとめてお答えいただいた部分があるので、ダブらないために、関連して若干別のニュアンスのことを厚生省にお尋ねをいたします。  医師の数を学生も含めて減らしていこう、看護婦はふやしていこう。ところが一方では、辺地、離島などですね、無医村をどうして解消していくかという問題は大変深刻なままなんですね。私も大臣の選挙区の離島に子供のころは住んでおりましたからみずからが体験をしたこともあるわけでありますが、そういう中で思いますのは、一つは、無医村対策をどうするか。医師をどう派遣するか、看護婦をどう確保するかという対策をどうお考えか。もう一つは、例えば先年ヨーロッパへ行きましてあの例のドイツの高速道路、アウトバーンを走っておりましたら、目の前で交通事故が起こりまして、どうするのかなと思ってバスの中から見ておりましたら、まあ全部処理するのに二十分ぐらい。跡形もなく全部ヘリコプターと大型トレーラー等で運び去ってしまいました。五分ぐらいでヘリコプターが飛んできましたね。結局日本にはそういうシステムというのはないわけです。  これは辺地対策ということだけではございません。都心部でもそうです。交通停滞の状況のときにはなおさら必要。全国に都道府県一機ぐらいずつ医師が乗ったヘリコプターが配置されるというぐらいのことが、先進国日本という限りは、あっても当たり前ではないか。人の命を大切にするという意識が、行政上そういう救急医療の面ではまだまだ欠けていると厳しい指摘をされる方もいらっしゃるわけであります。厚生省のみではありません。自治省や防衛庁や、そしてまた国立大学附属病院などということになりますと文部省が絡んでくると思うのでありますが、これら一連の辺地対策、無医村対策及び救急医療対策についてどうお考えか、お聞きします。
  216. 澤宏紀

    ○澤説明員 お答えいたします。  まず僻地医療対策についてでございますが、山村、離島等の僻地における医療の確保につきましては、従来から年次計画に基づきまして僻地中核病院や僻地診療所の整備、僻地巡回診療の実施あるいは僻地勤務医師の確保対策等各種の施策を総合的に推進しているところであります。しかしながら、いまだ無医地区と言われる地域が残されているわけでございます。無医地区の数でございますが、昭和四十一年の調査で二千九百二十カ所が順次減少してまいりまして、昭和四十八年には二千八十八、直近の調査の昭和五十九年でございますが、千二百七十六というふうに無医地区数は減少してきているわけでございます。  それで、僻地におきまして医療水準においてはなお地域的な格差が見られることから、昭和六十一年度を初年度とする第六次僻地保健医療計画を策定してその推進を図っているところであり、今後ともこの計画の達成に鋭意努力してまいりたいと考えているわけでございます。また、地域の交通事情の変化等により無医地区の実態にも大きな変化が見られることから、平成元年度におきまして無医地区の問題点を把握するため実態調査を行い、第六次計画後の対策についても検討を行うこととしているわけでございます。  次に、ヘリコプターに医師を同乗しての救急医療対策についてでございますが、救急医療対策につきましては、昭和五十二年度以来、特に休日・夜間における救急医療の確保のために、初期、二次及び三次並びに救急医療情報センターから成る体系的な整備を計画的に推進してきた結果、初期、二次の体制につきましてはおおむね基本的な整備水準は達成してきたところであります。しかしながら、三次の救命救急センターや救急医療情報センターにつきましては、一部の都道府県においてなおその整備充実の必要があるので、それぞれの都道府県の実情を踏まえながら今後とも救急医療体制の整備充実に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、現在の救急医療体制の充実とあわせて、二十一世紀に向けた我が国の救急医療体制あり方について平成元年度及び平成年度において検討することとしているところであり、先生の御指摘の点も踏まえながら今後検討してまいりたい、このように考えておるわけでございます。  以上でございます。
  217. 中野寛成

    ○中野委員 時間がございませんので、これ以上厚生省にお伺いできません。丸山さん、三井さんには恐縮ですが、お許しをいただきたいと思います。ただ、質問の意のあるところをお酌み取りいただき、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  大臣一つだけお聞きします。  ヘリコプターの件ですが、別に本当はヘリコプターに限らないのですが、ヘリコプターさえない。事件現場に本当は警察官が急行するだけではなくて救急車が一緒に直行しなければいけないのに、そういう観念がない。これが実は日本の問題点なんです。これは文部大臣としてではなくて、ひとつ閣僚のお一人として、有力な政治家のお一人として、これらのことについて大いに今後とも御努力をいただけるとありがたいなと思います。一言だけ。
  218. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、救急医療体制を整備するという問題は、まさにそれこそ緊急の課題であるというふうに考えておりまして、特に委員の御指摘のとおりに、離島、僻地等あるいは都市におきましてもヘリコプターによる救急医療のシステム、体制というものをつくっていくということは緊急の課題であるというふうに考えております。これを積極的に推進すべきであるというふうに考えておりまして、文部省といたしましては、もう委員承知のとおりに、救急医療体制がそれぞれ責任の官庁が異なっているというようなところもこれは再検討しなければいけない問題であろうと思いますし、現段階で文部省としてこのヘリコプターの問題に対応するといたしますれば、ヘリポートをその地域の救急医療体制のシステムの一環として整備するというのが現段階においては文部省が独自に考えられる課題ではなかろうかな、このように考える次第でございます。
  219. 中野寛成

    ○中野委員 文部省の役割と、それから文部省の役割を越えるものとあると思います。これは総合的に、むしろ内閣全体としてお考えいただかなければいけない問題でもあろうと思いますので、せっかくの御努力をお願い申し上げたいと思います。  最後に一問だけ申し上げますが、リクルートの問題にかかわりまして政治や行政に対する不信が強まっているわけでありますが、一部にはそういうことに対する不信感を利用していわゆる初任者研修、新免許法、新学習指導要領など教育改革について、これを軽視しようないがしろにしよう、または問題の人が参画してやったものであるから、それを問題のある答申であるとか方針であるとかいうふうに批判される向きもあるようであります。しかし、その他多くの、言うならば問題のない、人格、識見ともにすぐれた方々が参画をしておつくりになったもの、また国会で審議をした上でその制度法律として成立をしたもの等々、これらにつきましては当然信念を持って正しく運用され実行されなければならないと思うのであります。あわせまして、例えば日の丸・君が代、いわゆる国歌・国旗のこと等につきましても、これは決して思想傾向がどうこうということではなくて、むしろ我々日本国民のシンボルとしての役割をどう正しく果たさせるかというこちらの心の方に問題があるわけでありますから、そのことが正しく運用されなければいけないと思うのであります。  日本の場合はややもすると、ちょっと気取って大学時代に習ったドイツ語で申し上げますと、ゲゼルシャフトとゲマインシャフト、社会には共同社会と利益社会がある、日本人はその利益社会は大変尊重するといいますか、利益社会には弱いけれども、共同社会を軽視する傾向がある。家族とか市町村とか国家とか国際社会とか地域とか、いわゆるみずからの心のよすがとなる社会を軽視する傾向がある。むしろそういうところを結びつける一つのシンボルが国歌であったり国旗であったり、その他もろもろ精神的支柱となるものがあるはずであります。  また同時に、権力なき権威が存在をしなければ民主主義は成り立たないと言う人もあります。これは例えが恐縮ですけれども、竹下内閣総理大臣のお名前で表彰状をいただくよりも、やはり権力はお持ちではないけれども権力なき権威、シンボルとしての天皇の御名御璽がある方がよほどありがたがられる。このこともある意味では今申し上げたような精神からの発露だと思うのであります。そういうものを軽視しては国家というものは成り立たない、民主主義さえも崩壊してしまうというのが実態ではないかと思います。  正邪を区別し、そして正しく行われるべきものは行っていく、その基本姿勢が極めて大切なときにある、こう思うわけでありまして、文部大臣としてのお心構えをお聞かせいただきたいと思います。
  220. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員から極めて力強い御示唆をいただきました。文部省といたしましても、先ほど例示としてお挙げいただきました初任者研修の問題につきまして、これは国会で十分な御議論をいただきまして決定をしたことでございますし、これを今年度から着実に実行していくという決意でございますし、新学習指導要領につきましても、委員指摘のとおり、この問題をめぐってのいろいろな御議論がございましたが、この新しい学習指導要領は去る三月十五日に公示をいたしましたが、これは私が文部大臣に就任をいたしまして私の責任において決定をしたことでございまして、このことにつきましては、国旗・国歌の問題を初め新しい時代に対応する学習指導要領の徹底を図るべく今後とも文部省全力を挙げて取り組んでいく考えでございますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  221. 中野寛成

    ○中野委員 終わります。
  222. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 次に、石井郁子君。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  223. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 国立学校設置法の一部改正案の質疑に先立ちまして、重要性にかんがみて二点質問をしたいと思います。  その一つは、全国的な関心を集め、今も脚光を浴びている吉野ケ里遺跡の保存問題でございます。大臣も視察をされたようですけれども、この遺跡の価値、学術評価につきましてどのような認識をお持ちでいらっしゃるでしょうか、伺いたいと思います。
  224. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりに、吉野ケ里遺跡の価値についての認識でございますが、私自身も現地を視察いたしまして、専門皆様方からもいろいろと説明を受けたところでございます。吉野ケ里遺跡につきましては、この遺構あるいはそこから発掘されております遺物等から見まして、この遺跡が弥生時代中期、後期の国と言われる政治領域や村から国へという歴史的な発展過程を示す極めて貴重なものである、このように認識をしておりまして、文部省、文化庁といたしましてもこの保存につきまして十分留意し、積極的にこの問題については取り組んでいく考えでございます。
  225. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私も現地へ行きましてつぶさに調査をしてまいりました。第一級の文化的、学術的価値を持っている遺跡だと思っております。この保存について、今の大臣の御答弁のとおりでございまして異存はないわけですけれども、国指定というような方向を考えていらっしゃるのかどうか、それから、どのような保存を検討されているのか、文化庁に伺いたいと思います。
  226. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 先生指摘の吉野ケ里遺跡に関しましては、本格的にその価値が明らかになりましたのが最近のことでございまして、佐賀県の当局におきましてはなおこれからも周辺部分を発掘したりいたしまして調査を続行されつつ国としての指定を受けるような手続等もとられるというふうに聞いております。したがいまして、佐賀県当局においての調査あるいはその全体計画との絡みにおきまして全体を勘案いたしまして、御申請があれば史跡に指定するということを考えております。  また、どういうふうに整備するかという点につきましても、やはり地元の方のお考えを伺いながら全体として国としての史跡保存という角度から十分に検討してまいりたいと考えております。
  227. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 県当局の意向につきまして、今の段階でどのような状況にあるか、もう一点伺えないでしょうか。
  228. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 これは、吉野ケ里遺跡につきまして先ごろの発掘調査の結果を踏まえまして、佐賀県当局としてもこれまでに保存対象区域を大幅に拡充して保存するというふうに考えておられます。そして、重要な遺構等が所在する区域につきましてほぼ全面的に保存するというお考えのようでございます。  現段階におきまして佐賀県教育委員会から聞いているところによりましたら、保存を予定している区域以外につきましては、そこに所在する遺跡が他に類例があるようなものであることとかあるいはこの地域におきましても一部現状保存を図るというふうなことを予定しておられまして、したがいまして、かねて佐賀県当局において計画しておられます工業団地としての開発の要請等も全体を勘案いたしまして、記録保存に持っていく地域と保存地域というふうに分けながら考えていきたいというお考えのようでございます。その中身を十分伺いまして文化庁としても対応してまいりたいというふうに考えております。
  229. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 今伺いましたように、全面保存という御答弁もありましたけれども、遺跡の一帯、部分保存なのか全面保存なのかというのは実は重要な問題でありまして、どの範囲までの保存なのかということが今大きな問題点だというふうに思うのですね。  今日、国民は自然環境がどんどん破壊されるということで大変厳しい目を持っておりますし、またそういう世論も出てきているというふうに思います。この間、開発との調和、そういうことで貴重な遺跡が全国的に随分破壊されてまいりました。そういう点で、この埋蔵文化財というのは一たん破壊されれば復元できないわけでして、申し上げるまでもありませんけれども、今非常にその点での取り組みは重要になっているというふうに思うわけです。  この吉野ケ里遺跡は、先ほどいろいろお話しのように、弥生時代全体もそうですけれども、縄文から弥生、そして奈良時代から平安時代までと、そういう重層的な、あるいは構造的なといいますか、複合的な遺跡群というふうに私ども考えているわけです。そういう意味で、現地の自然を守る会の皆さん方も景観を含めた一帯の保存、だから遺構だけの全面保存ではなくてそういう景観を含めた一帯の保存という要求というか声が非常に強いと思うのです。そういう意味の全域保存ということを考えるべきだ、そういうふうに思うのですが、最後に文化庁と大臣の御答弁、決意をお伺いしたいというふうに思うのです。
  230. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘の問題につきましては、佐賀県の県当局のお考えがあるわけでございまして、文部省、文化庁といたしましても佐賀県当局の考え方を十分尊重した上でこの問題には取り組んでまいりたい、このように考えております。
  231. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 もう一点の問題に入りたいと思います。  リクルート疑惑の問題であります。  一昨日、藤波元官房長官、池田代議士、就職協定の存続問題ということで受託収賄罪で起訴されました。この内容は、もういろいろ言われておりますとおり、文部行政をめぐって、また臨教審という政府が今日進めている教育改革の根幹がリクルートに関係をし、汚染をされていたという点で非常に重大な問題だというふうに言わなければなりません。  そこで、藤波氏に渡されたわいろが臨教審の動きと極めて密接に符合しているというふうに見なければならないと思うわけです。昭和五十九年二月一日に臨教審設置が決まると三月中旬に藤波氏に対する請託があった。臨教審が発足した五十九年八月、藤波氏に対して五百万円の小切手が渡されている。臨教審専門委員が任命された十二月二十日の前日にも藤波氏に対して五百万円の小切手が渡されている。六十年二月二十七日に江副が第二部会で協定存続を主張した直後ですね、その三月上旬に藤波氏に対して請託です。臨教審答申が出された当日には官邸で五百万円が渡されているというふうになっているわけであります。  ですから、このように見てきますと、臨教審に就職協定存続を盛り込ませるための請託である、あるいは報酬であるというふうに浮かび上がるわけですが、起訴状を見ます限りこのような臨教審答申とのかかわりが盛り込まれていないわけであります。きょうは法務省においでをいただいているわけですけれども、なぜ書かれていないのか、お伺いしたいと思います。
  232. 古川元晴

    ○古川説明員 御質問の点につきましてお答えいたします。  委員指摘のとおりに、今月二十二日付の起訴状の公訴事実の中身につきましては、臨教審に触れるところはないわけでございます。そのような意味で、起訴の時点におきましてはこの臨教審の関係は公訴事実には含まれていない、こういうことになりますので、そのように御理解いただきたいと思いますが、何ゆえ含まれておらないのかというような事柄につきましては、これはまた具体的な内容にかかわることでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  233. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 午前中の議論にもあったわけですけれども、臨教審の「審議経過の概要(その二)」、その学歴社会についての評価といいますか規定と二カ月後の一次答申での評価ががらりと変わっているという点ですね。この経緯について、新聞等の報道によりますと、部会で就職協定について議論したことは記憶がないとか、また非常に不自然だというようなことだとか、いろいろ言われているわけであります。官邸筋からの圧力があったという声もあるわけでして、やはり藤波元官房長官の関与ということは指摘されているわけですけれども、今回起訴事実はこういう点も含んでいるんでしょうか、いないのでしょうか、どうでしょうか。
  234. 古川元晴

    ○古川説明員 繰り返しになりますけれども、いずれにいたしましても臨教審の事柄につきましては公訴事実に含まれておりませんので、そのことを直接公訴事実の内容に含ませた起訴ではないというふうに御理解いただきたいと思いますが、検察におきましては、言うまでもなく厳正公平な立場から所要の捜査、検討を加えた上でこのような結果になっておるということでございます。
  235. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 臨教審について直接含ませていないということですが、今後——今後のことはあれですが、公判等々でそういう事実について踏み込んでいくというか、そういう点はいかがですか。
  236. 古川元晴

    ○古川説明員 公訴事実のさらに具体的な中身の話になりますと、いずれ公判段階におきまして検察当局からそれなりの具体的な主張がなされ、立証がなされていくということでございますが、これはひとえに検察当局の方の判断による事柄でございまして、いまだ公判に至っておらないわけでございますので、私どもの立場から現時点でその事柄について触れますのは差し控えさせていただきたいと思います。
  237. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 起訴事実の中で、官邸で五百万円の小切手が渡されているという点は大変ゆゆしい問題だというふうに思うわけですが、この点でもいろいろの疑問があるわけであります。  藤波さんは中曽根さんの高級秘書であるとか、一存で果たしてそういうことがやれたのかどうかという問題だとか、いろいろな工作をするなら当然首相サイドにも手が回っているのではないかとかいう点があるわけですが、その点で、中曽根首相の関与という問題では捜査はどのように進められたのでしょうか。
  238. 古川元晴

    ○古川説明員 東京地検におきます捜査はなお継続中でございまして、お尋ねのような具体的な事柄につきましてどのように対応しているかということになりますと、捜査の内容にかかわってまいりますので、御容赦いただきたいと思います。いずれにしましても、種々国会等で御議論がなされました事柄につきましては、検察当局におきましても十分拝聴いたした上で厳正公平に捜査を進めてまいってきておるものというふうに承知をいたしております。
  239. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 時間がありませんので、いろいろと詳しくはできないのですけれども、先ほど来就職協定をめぐりましては、ここで第一次答申が出される直前、六十年六月五日、臨教審の岡本道雄会長、石川忠雄、中山素平会長代理等々と中曽根前首相が料亭で懇談をしているという点ですね。学歴社会の是正が極めて重要な問題だ、取り組んでいただき結構なことでしたという評価があったということが出されているわけであります。ですから、藤波元官房長官、中曽根前首相等々がこの問題にいろいろ関与があったのではないかという疑惑が出されているという点ははっきりと言わなければならないと思います。  今日、国民の声は、巨悪に迫るべきだというのが圧倒的でありまして、捜査当局として、当然ここで終わりにするわけにはいかないという点での捜査当局の今後の姿勢を伺っておきたいと思います。
  240. 古川元晴

    ○古川説明員 これまでの状況につきましてはただいまも申し上げたとおりでございますが、委員指摘の点は、また御指摘といたしまして検察当局におきましても拝聴させていただくことになろうかと思います。
  241. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 法務省、どうもありがとうございました。  文部省に伺いたいと思います。  起訴事実に関係した点はそれとしてあるわけですけれども、臨教審答申が二十一世紀を目指す教育改革という点で進めてきたわけですけれども、この間、先ほどの就職協定問題をめぐっていろいろ疑惑が出されている点についての調査は、文部省としてどのようにされてきたのでしょうか。
  242. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  文部省といたしましては、これまでも文教委員会等でいろいろな御指摘がございまして、それに基づきまして私自身、当時の臨教審の審議の過程等について十分調査をいたしました。  その調査の結果、委員先ほどから御指摘がございましたけれども、就職協定の問題について臨教審答申に官邸筋からの影響があったというふうには考えておりません。
  243. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 文部省は、局長の処分といいますか更迭の人事がございました。その中で、齋藤諦淳生涯学習局長辞任をされたと思いますが、この理由は何でしょうか。
  244. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  委員指摘の点につきましては、文部省一連の昨年来の不祥事、大変国民の皆様方に御心配をおかけをし、文部省の信頼を回復する努力をしなければいけないと私ども取り組んできたところでございますが、人心一新を図って、この際新たな決意で教育行政に取り組んでまいりたいという気持ちで行ったところでございます。
  245. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 辞任の理由を聞いているのですけれども、なぜでしょうか。  この方は、言うまでもありませんが、臨教審の事務局の中心にかかわった方です。前臨教審の事務局次長だったと思います。ですから、リクルート社と臨教審との関係の責任という点があったのではないかというふうに自然に読み取れるわけですが、その点はいかがですか。
  246. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  そのような理由ではございません。
  247. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 処分というのは重大な問題ですから、やはり理由を明らかにしていただくことが大事だと思うのですけれども、どうも午前中を見てもそれ以上おっしゃっていただけないようですから、先へ進みます。  文部省全体がリクルート社との接触あるいは工作を受けていたのではないか、これも一連の新聞報道がございますけれども、その点で伺いたいと思います。  一つは、五月十一日の読売新聞ですけれども、リクルート社が臨教審の就職協定問題の取り扱いに重大な関心を持っている、委員文部省中心とした臨教審事務局に接近をしたという報道がされているわけです。  また、五月十五日付の朝日新聞では、リクルートが文部省幹部に接触、文部省高等教育局の当時の幹部であった、また、臨教審が発足してから二カ月後の五十九年十一月一日、当時の位田尚隆リクルート社専務がこの幹部を訪れて就職協定問題を話し合っているということが報道されているのですが、この事実について文部省はどのようにつかまれているのでしょうか。
  248. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  委員指摘の点は、いずれも新聞報道に基づく御質問であろうかと思いますが、昨年来一連のリクルートの問題をめぐっての文部省についてのいろいろな御批判というものを踏まえ、私自身も詳細に省内において調査を進めたところでございます。確かに一部一般常識の線を超える接触があったということがございまして、これについては厳重な処分を行ったところでございますが、委員指摘のような、文部省組織全体としてリクルートからの接触を受け、それに対して対応していたという事実はございません。
  249. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 これももう取り上げている点でありますけれども、臨教審が終了した六十二年の夏、臨教審事務局メンバー二十人が盛岡へ出かけた。リクルート社のゴルフクラブのコンペ旅行でリクルート社からの便宜を得たという話ですけれども、この事実については文部省はいかがですか。
  250. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  委員ただいま御指摘の問題につきましても、私自身調査をいたしました。その結果、一定の対価を払ってゴルフコンペに参加をしたということは事実でございます。
  251. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 大臣の御答弁でしたけれども、新聞報道が相当詳細に出ていますように、リクルート社と文部省との関係、疑惑、これはやはり疑惑としてあるわけでありまして、それについて、はっきりその事実を調査し、またその結果を国民に公表するということがない限り文部省の疑惑は晴れないと思います。臨教審事務局、文部省、リクルートが一体となって、この間、臨教審答申、そしてその実施が進められてきたのではないかということでありますから、文部省としてぜひとも調査し、公表すべきだということを強く訴えたい。要望したいと思います。  リクルート問題は、戦後の最大の疑獄事件ということでその中心人物が逮捕されたわけですけれども大学審議会委員あるいは教育課程審議会の委員、まさに臨教審関係の要職についてきたということではないでしょうか。そういう問題がなぜ起こったのか。政府文部省挙げて臨教審、教育改革という基本政策を進めてきた中でこれが起こってきた問題だという点についても、この疑惑はやはり晴らさなければなりません。  そういう点で、ただ処分で済むという問題ではないというふうに思うわけです。この事実を調査し、公表するという点をぜひとも文部省に強く求めたいというふうに思います。
  252. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答え申し上げます。  これまでも再々お答えを申し上げてまいりましたように、先般来人心一新を図り、それぞれ問題につきまして懲戒処分、また厳重注意等を行って、この問題について文部省としてのけじめをつけた、このように私自身判断をいたしております。
  253. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 関連質問を山原議員が行います。
  254. 工藤巖

  255. 山原健二郎

    ○山原委員 今度のリクルートの事件、私はこの文教委員会に二十年座らせていただいております。西岡文部大臣でちょうど二十一人の文部大臣とおつき合いをしてきたわけですけれども、これほどの事件に対する認識というものが、私は先ほどからの答弁を聞いておりまして、大臣としては薄弱ではないかと思うのですよ。  それは、私は今度教育疑獄の戦前からの歴史を調べてみたのです。そしたら明治三十五年に一番大きなのが、教科書疑獄事件というのがございまして、このときの新聞にどう書いてあるかといいますと、「世論沸騰し、関係官吏、教育者に対する罵詈のこえ四万にきこえて教育界は実に修羅の巷と化し」という大問題になったわけです。そのときでも、しかし文部省の官吏は二人の方が処分された程度のものであったわけです。  ところが、今度はこれはお二人の代議士、さらには文部次官が現に起訴されているわけでしょう。そして、リクルートから渡った株あるいはゴルフ、パーティー券あるいは政治献金、歓送会あるいは執筆、講演というふうな多種目にわたりまして総理大臣が関係しておりますね、しかも文部大臣が関係している、文教委員長も何名か関係している、臨教審の委員、また臨教審に総理そのものが送り込んだ暴れ馬と称する委員あるいは次官、政治家。こうなってきますと、これは史上空前の日本の教育界における大疑獄事件ということを考えますと、これに対してどう対処するかということは、私は現文部大臣として相当慎重な態度をとるべきだと思います。  とれは新聞の記事ですけれども、「文部行政の中枢の部分が、これほどまでに汚されていたことに、あらためて衝撃を覚える。子どもたちにかかわる教育分野への疑惑は、労働行政やNTTの疑惑とはまた違った重い意味を持つ。」こう書いてあります。この意味では、西岡さん、私は一致すると思うのです。  それからこれは東京新聞ですが、「日本の教育は最大の危機にある。とても教育改革どころではない。必要なのは文部省自身のための「指導要領」だ。文部省は人の心に深くかかわる司である。失われた信頼は取り返しのつかないほど大きく、その傷は深い。」こう書いてあります。  これは朝日新聞の投書、町の声で、神奈川県の高等学校先生ですが、どういうふうに言っておるかといいますと、「学習指導要領も白紙にもどし、もっと常識のある人たちの手でつくりなおして欲しい。」こういうふうに出ているわけですね。  この意味において、人間の育成をつかさどる文部行政として、この問題について単に労働行政とかNTTの事件とかいうものとは違った認識文部省全体がすべきであると私は思いますが、この点についてまず最初に伺っておきたいのです。
  256. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  昨年来のリクルートの問題をめぐっての一連の文部省にとりましての不祥事、このことが教育現場に与えている大きな影響ということにつきましては、文部省は深く反省をし、その信頼を回復すべく全力を挙げて今後取り組んでいかなければいけない、また、時間のかかる問題であるというふうに厳しく事態認識いたしております。  しかし、委員指摘の新学習指導要領等々の問題について、リクルートの問題が関係していたので、これは撤回すべきであるというような御趣旨の御発言につきましては、同意いたしかねるところでございます。なぜならば、この問題につきましては、多くの良識のある専門家の皆様方がかかわられたことでございまして、このお一人お一人の教育課程審議会の委員皆様方の名誉のためにも、文部大臣としてそのようなことに同意することはできないわけでございます。  また、本年になりまして、私自身文部大臣に就任をいたしまして、新学習指導要領につきましては私の責任においてこれを決定したわけでございまして、そういう意味から委員指摘の点については、前段について今回の事件、文部省、深く反省するということにつきましてはまさに御指摘のとおりでございますが、後段の部分については同意しかねるところでございます。
  257. 山原健二郎

    ○山原委員 汚れた手で握ったものを教育現場へおろすということ自体、私は問題だと思うので、まだ今の質問では言っておりませんけれども、臨教審にかかわるこれの具体法案その他については一度撤回をして出直すべきだ、それぐらいの決意が私は必要だと思っているのですよ。文部省を構成する職員の皆さん、みんな真摯に文部行政に携わろうとしていることは、それは私もよく知っております。けれども、この問題に関しては許せないのですね。これが第一点。  第二点は、今あなたがおっしゃった学習指導要領の問題ですけれども、告示をされましたね。しかもその告示の中には、まさに高石が関係をしたもの等を含めまして、全く国民的な合意のないものがこの中に含まれていることは間違いありません。私は、その意味西岡文部大臣に申し上げたいのですが、私が判断をして決断をして学習指導要領に対する告示を出したのだとおっしゃいますけれども、私はその姿勢に問題があると思っているのですよ。  最近の文部省行政は権力行政です。高石君がやったことは、例えば北九州へ行き、あるいは岐阜へ行き、そしてあそこで組合対策のらっ腕を発揮した。これはどの新聞も書いております。そしてそれが報告され、その手腕が買われて、日の丸・君が代の押しつけをやってこられたわけでしょう。道徳教育をやられたわけでしょう。そういうことが今度全部学習指導要領の中に含まれているわけですね。今度の改訂の中に含まれている。そういう点では、文部省自体が長年にわたって権力行政を行ってきた。その背景にこの事件があるんだということを痛切に感じるわけです。  そして、もう時間がありませんから申し上げますけれども、今度の日の丸・君が代の問題につきましても、これは今までは「望ましい。」でしたでしょう。今度はこれを義務づけるわけですね。そして今度は、文部大臣の御発言によると、聞かなければ処分するでしょう。私は、教育に処分なんというものはふさわしいものではないと思っているのですよ。そういうことになってくるわけでしょう。日の丸・君が代についてはいろいろの意見があることは間違いありません。それを押しつけること、これは今まで内閣法制局はどういうふうに言ってきたかというと、国歌・国旗を義務づけるためには、「法的根拠が別途必要である」、これは去年の十二月の参議院における内閣法制局長官の発言なんですよね。それを押しつける、しかも聞かなければ処分をする、これが西岡文部大臣に象徴されている権力主義です。これはここから来ていると私は思うのです。  この数年来この委員会におりまして、ほとんどもう政策問題については強行採決でしょう。賛成する政党もあるけれども、反対する政党もあるわけですね。ほとんど強行している。そういうところに問題があるのですよ。  ところが、文部省はかつてはそうでなかった。私は、きょう歴史を持ってきた。どれを見ましても、文部省発言はそうじゃないのですよ。これは、あけたところどこでも今までこういうふうに書いてあるのですね。これは「上からの権威」によって思うとおりに左右されてきたところに日本の教育には問題があるのだ、これは文部省ですよ。それから木田さんはどう言っているかというと、「教師と生徒児童に何らの自主性も認められなかったところに、どうして自主的な国民が生れてくるであろうか。」というところまで戦後においては戦前の教育における反省のもとにこういう方針が出てきた。私はもう一回このことを思い起こしてみる必要があると思うのですよ。  そうでなければ、あの高石さんに象徴されるような、権力を振りかざして、第一、帝京大学から八億円もらっているでしょう。帝京大学へは十数人の文部省の天下りが行っておるでしょう。そういうことになるのですよ。そういうことが今度のリクルート疑獄を生み出す背景になっているということを考えましたときに、私は、戦後教育の原点に文部省はもう一度立ち返ってみるべきであるということを警告として申し上げておきたいのですが、その点、あなたの見解を伺いたいのです。
  258. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えをいたします。  委員指摘の点につきましては、かなり粗雑な御議論もあるようでございまして、高石の問題につきましてはいろいろと問題があったことは事実でございますが、例えば今御発言ございました帝京大学から八億円もらったというようなことは、高石が八億円を取得したということではないわけでございまして、そういうような御議論をこの文教委員会の場で御質問いただきますと、文部大臣としてお答えするのが非常に難しいわけでございます。  もう一つ問題だと思いますのは、学習指導要領の問題につきまして、汚れた手でというお話がございましたが、委員も御承知と思いますが、教育課程審議会の委員は六十四人おられるわけでございます。そこにたまたま江副氏が参加しておられたということは事実でございますが、他の六十三人の方々まで含めて汚れた手であるというがごとき御質問をいただきますと、文部大臣としてはこれは否定をせざるを得ないわけでございまして、そういう意味で、私自身責任を持って新学習指導要領を決定したと申し上げましたのは、そうした専門委員皆様方の積み上げた原案について私は精査をいたしまして最終的な判断を下したということでございまして、決して権力主義的な行為であるとはいささかも思っていないところでございます。
  259. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に。時間の関係で、粗雑な議論になったという指摘に対しては、必ずしも私も理路整然とやっておるわけではありません。しかし、今度の学習指導要領の中にも、うそをつかない、ごまかしをしないという高石氏の言葉もずばり入っているわけでしょう。そういう問題だけでなくて、今度のあなたがおっしゃる処分をするとかいうことで、最も権力的な立場で来ているのですよ。そういうことが本当に教育にふさわしいものであるかどうかということは、もう一度、文部省は原点に返って考えるべきであるということは申し上げておきたいと思います。  石井さんの時間をこれ以上とることはできませんので、これで私の質問は終わります。
  260. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 国立学校設置法改正案の質疑に入ります。  関連する点で、学術研究あり方質問したいと思っています。  日本の学術研究は今大きな曲がり角に来ていると指摘されているわけであります。去る四月二十日に日本学術会議が勧告を出されたというふうに思います。そこに今日の問題点が集約的に出ているというふうに思うのですが、この勧告について文部省がどのように受けとめていらっしゃるか、まず伺いたいと思います。
  261. 西岡武夫

    西岡国務大臣 お答えいたします。  委員指摘のとおり、日本学術会議が勧告をされたわけでございまして、この勧告は、大学等における学術研究推進の重要性にかんがみ、特にそのために不可欠な研究施設の充実を求められたというものであると理解をいたしております。  近年、我が国の学術研究の水準は、もちろんまだまだ努力をしなければいけないわけでございますけれども研究者努力とも相まって著しく向上しつつあり、国際的にも高い評価を受けている分野も少なくないわけでございまして、今後ともさらに文部省といたしましてもその振興に一層の努力を傾けてまいりたい、このように考える次第でございます。
  262. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 勧告の中で、非常に深刻な状態ど指摘があるわけですけれども、特に研究設備の整備拡充、この点では研究費の問題、国費の負担割合を引き上げつつ基礎研究を重視してそれを推進してほしいという点で、格段の増額を図るようにという点があるわけです。それからまた、研究設備の老朽化、陳腐化という点で、研究と若手研究者の育成を非常に困難にしているという問題があるわけですが、こういう日本の研究、基礎研究の非常に困難な状態というのがどうしてこうなってきたのかという点で学術局にお答えいただきたいというふうに思います。
  263. 川村恒明

    川村政府委員 我が国の学術研究につきましては、先ほど大臣から御答弁があったとおりでございまして、大変困難な状況の中でも着実に進展をしておる、こういう状況のように私ども認識しております。  ただいま先生指摘がございましたように、学術研究を取り巻く条件は必ずしも十分なものではございません。研究を進めるために必要なものは、これはどこの世界でもそうですけれども、やはり人が必要であり金が必要であり物が必要だ。人の面で言えば、研究を支えているのはやはり若手の研究者でございまして、若手の研究者がその才能を自由に伸ばして独創的な研究をする。そのための工夫で言えば、最近特に若手研究者のために日本学術振興会におきます若手研究制度というものの充実も着実に進んでおりまして、いわゆる専任体制というようなことで今進ませていただいておるわけでございます。  また、予算の方、金の方で申し上げますれば、最近のこの厳しい情勢の中でも、おかげさまで学術関係の予算は科学技術研究費の補助金を中心に着実な増をしていただいておる。設備につきまして今先生指摘がございました。設備というのは、事柄として基本的にはいわゆる物件費の系統のことになりまして、現在の予算のシーリングの中ではその拡充は大変困難でございますけれども国立公立私立を通じてそれぞれの大学の設備費の増は若干ずつでありますが図っていただいておる、こういう状況でございます。  今どうしてこういう厳しい状況であるかという御指摘がございました。これは、学術研究というのはやはり非常に長い歴史を必要とする。研究者の長年にわたる努力の蓄積、積み上げというものが基本でございますし、また、それを支える社会全体の体質、基盤というものがございます。やはり日本の戦後の復興の困難な歩みの中で学術研究も同様の道を歩んできたということでございます。そういう日本の全体の発展とともに学術研究も今おかげさまで発展の道をたどりつつある。しかし、なお今後とも努力をしていかなければならない、そういうふうに理解をいたしております。
  264. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 研究費の問題で着実に前進を見ているという部分がちょっとありましたので、私は全然そうはなっていないのじゃないかというふうに思うわけですが、科学技術研究費の総額がございますね、その中で大学研究費は一体この近年何%ぐらいの割合を占めているのか、それをお示しいただきたいと思うのです。  研究といえばやはり大学で圧倒的に行っているわけでありますし、基礎研究大学中心です。そういう点でも、研究費の問題でこの十年来科学技術研究費総額のうちで大学は一体どのくらい研究費はあるのか。
  265. 川村恒明

    川村政府委員 科学技術関係の予算ということで、申しわけございませんがちょっと手元にこれしか資料がございません。これは科学技術庁のお調べになったものでございますけれども、国全体の科学技術関係予算が六十三年度で申しますと一兆七千億余りでございます。その中で文部省関係が八千百三十億円でございますから、全体の半分近くということでございます。これは平成元年度の現在御審議をいただいております予算案でもほぼ同様の傾向でございまして、国全体で一兆八千百四十八億の中で文部省関係が八千五百四十三億、こういう状況でございます。
  266. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 いろいろ見ますと、国のこの研究費の支出が非常に実質下がってきているという問題があると思うのです。科学技術研究費総額のうち、約八〇%は民間です。公的支出の部分というのは二〇%でありますから、その点で非常に困難なわけであります。研究者一人当たりの研究費は、民間研究でいいますと二十年間で四六%増加しているけれども大学では二八%も下がっている。これが日本の科学を取り巻く研究環境、これは化学の学会が調査報告として発表されている部分があります。そのほか、これは日本経済新聞がアンケートした結果ですけれども、先端技術のアンケートで、この分野のリーダーの方々ですけれども、非常に基礎的な研究が軽視されている、日本の研究、技術の開発に満足をしていないという方が圧倒的なわけですね。満足しているという方は九百人中九人という結果が先ごろ発表になっております。  だから、大学研究費が非常に足りない、また基礎研究が軽視されている、この問題についてもっと深刻に文部省としては目を向けなければいけないのではないかということを申し上げているわけです。その点で、端的にいかがでしょうか。
  267. 川村恒明

    川村政府委員 研究の中で占める基礎研究の比率というものを例えば諸外国と比べてみるということでございますけれども、確かに日本の場合は国全体の研究の中で基礎研究の占める比率が低いわけでございます。ちょっと古い数字で恐縮でございますが、一九八五年で日本は基礎研究が約一三%ぐらいでございます。同じような時点で、西ドイツでは二〇%ぐらい、あるいはフランスでも同じぐらいというようなことがございまして、やはり国全体としての基礎研究の比率を上げるということは大変重要なことでございます。  私ども大学における学術研究というのは、その意味ではこれがほとんどすべてと言うのも言い過ぎでございますけれども大学における研究の過半は基礎研究ということになっておりまして、我が国の場合、それにもかかわらず基礎研究が全体として低いのは、ただいま御指摘がございましたように、我が国の場合、研究のかなり多くの部分が民間の研究活動に頼っている。民間の場合は、事柄の性格としてどうしても基礎研究よりは応用研究でございますとか開発研究の方へ重点を置きがちであるというようなことがございます。  ただ、一言つけ加えさせていただければ、最近の状況としては、民間の企業といえども、あるいはその他の試験研究機関においても、中長期的な観点から見ると基礎的な研究をしっかりやっておかないとその開発研究もうまくいかないということ、やはりそういう意味での認識は非常に徹底してきている。先進国ではそういう観念がかなり早くからございまして、民間等でも基礎研究がかなり活発に行われているというふうなことがございます。そんなことで、やっと日本の社会もそういう意味では西欧型の形に近づきつつあるのかなと思いますけれども、ともかく現時点において基礎研究というものの占める比率が低いというのは御指摘のとおりでございます。
  268. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 そういう点で、基礎研究を重視しなければならないという点は一点伺ったわけですけれども、その基礎研究を担う大学の積算校費ですね、それが非常に抑えられてきております。これはもう言うまでもありません、文部省がやっていることですから。連続八年間同額だという、これはもう考えられないと思うのですね。だから、本当に重視をするなら重視をするように、やはり現状を真剣に考えていただかなくてはいけないということだと思うのですね。  先ほど御紹介しました日本化学会の調査報告でも、旧制国立大学でも純粋の研究費というのは年三十万くらいだというふうに言われています。研究費はいろいろ人件費その他、水道、光熱費等々引かれますから、そういうふうになっている。ですから、民間の研究者の額の十五分の一から四十分の一だというふうに調査結果報告が出ていますけれども、積算校費が実質上同額ということは、目減りしている、低下しているということですから、どうしてそういうことで基礎研究重視ということが言えるだろうかという点で、最後に、外国から日本は基礎研究のただ乗りだという批判がされているわけでありまして、この現状を本当にどうするつもりなのかという点で伺っておきたいと思います。
  269. 川村恒明

    川村政府委員 研究費のつけ方と申しましょうか、それに幾つかの方法があるわけでございます。ただいま大学における積算校費の問題をお取り上げになりましたけれども、その研究費のつけ方として、日本の場合は比較的うまくいっているというふうに評価を受けています。これはどういうことかというと、そういう大学におきます教官当たり積算校費といういわばパーヘッドでつける経費、これは非常に安定的な研究費の配分の方法でございますから、それはそれなりでいいわけですけれども、同時に、先ほど来評価という問題がございますけれども研究業績に応じた、研究活動に応じた研究費の配分ということが一方なくちゃいけない、こういうことでございます。  それで、アメリカあたりではそういういわゆる教官当たり積算校費に当たるようなパーヘッドの研究費というのはほとんどございませんで、ともかく研究者が自分で稼いでくるということで、稼ぐとなると非常に見ばえのいい研究ということが表に出がちであるというような弊害も一方指摘されております。我が国の場合は、国立大学等で教官当たり積算校費という形で予算を措置する一方で、すぐれた研究に対してこれを格段に進展させる経費ということで科学研究費の補助金という制度がございます。この科学研究費の補助金につきましてはおかげさまで年々増額をいただいております。今度の平成元年度予算案で申し上げれば五百二十六億円ということで、対前年度七・六%の増というふうな格段の御配慮をいただいているというようなこともございます。  でございますので、その積算校費だけの一面で物を見るということよりも、やはり研究費全体のつけ方、計上の仕方、それの活用の仕方ということを総合的に勘案をしながら全体としての基礎研究の充実方策を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  270. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 随分長々と御答弁いただいたのですが、時間がありませんから一言でよかったのですけれども、重要な問題が残っておるのです。共同利用機関の問題で組織運営規則についてですけれども、これは省令で改正されるわけですが、その中身はどのようになっておりますでしょうか。
  271. 川村恒明

    川村政府委員 このたび共同利用機関法律改正をお願いしておりますことに関連をいたしまして、その管理運営の仕掛けをどうするかという御指摘かと思いますけれども、御案内のとおりに、この共同利用機関の管理運営の仕掛けといたしましては、従前から所長等のそこの職員のほかに研究者の意向を反映する組織として評議員でございますとか、これはすべて所外の方でございます。そのほかにまた運営協議員という仕掛けがございます。これは約半数が所内の方、あとは所外の方というようなことになっておるわけでございます。  このたびこういう国公私立大学に広く開かれた機関ということに法律改正をお願いいたしておりますので、その関連で申し上げますと、今申し上げました評議員とか運営協議員というもの、現在はこれは独任制の機関でございます。一人一人が独立をした職ということでございますけれども、これを合議体運営評議員会でございますとか運営協議員会でございますとか、合議体組織に改めまして、それでその構成員として必ず公私立大学の方も入るようにするというようなことを、これは省令事項でございますけれども、この法律改正をお認めいただきますればそういうふうな措置を講じたいというふうに思っております。
  272. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 時間が参りましたが、従来のあり方と変わるのかどうかという点では、最後にいかがでしょうか。そういう問題は出てくるのでしょうか。それとも従来を踏襲するというふうに確認してよろしいでしょうか。
  273. 川村恒明

    川村政府委員 今回の法律改正共同利用機関の法的な位置づけの問題でお願いをしているわけでございまして、管理運営仕組み自体は基本的に変わらないというふうに御理解いただきたいと思います。
  274. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 終わります。
  275. 工藤巖

    工藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  276. 工藤巖

    工藤委員長 この際、本案に対し、町村信孝君から修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。町村信孝君。         —————————————  国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  277. 町村信孝

    町村委員 ただいま議題となっております国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する修正安についてご説明申し上げます。  案文は、既にお手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきます。  修正案の趣旨は、本法律案の施行期日、「平成元年四月一日」は既に経過しておりますので、これを「公布の日」から施行することとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。
  278. 工藤巖

    工藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  279. 工藤巖

    工藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに国立学校設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決に入ります。  まず、町村信孝提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  280. 工藤巖

    工藤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  281. 工藤巖

    工藤委員長 起立総員。よって、本法律案は修正議決すべきものと決しました。        —————————————
  282. 工藤巖

    工藤委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、町村信孝君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。佐藤徳雄君。
  283. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、次の事項について特段に配慮すべきである。  一 高等教育に対する新たな時代の要請に基づき、学術の振興、教育研究体制のより一層の充実を図るため、大学の意向や社会要請を考慮しつつ、必要な諸条件の整備に努めること。  二 大学共同利用機関については、国公私立大学共同利用機関として実効があがるよう、教官、技術職員等の充実及び研究経費の確保に努めること。 以上でございます。  その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  284. 工藤巖

    工藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  285. 工藤巖

    工藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西岡文部大臣
  286. 西岡武夫

    西岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。     —————————————
  287. 工藤巖

    工藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 工藤巖

    工藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  289. 工藤巖

    工藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会      ————◇—————