○藤原(房)
委員 食味のいい米をつくらなければならないというのは十分理解もし、また、そのために努力をしているのですよ。これを
格差をつけて札びらでほっぺたをたたくようなことをしなくたって、現在五類だけで九〇%近いわけですけれども、そういう中で今農業団体を初めとしまして一生懸命努力中であって、このままでいい、こうしなければそっちの方に行かないというのではないのですよ、現状はよく御存じだと思いますけれども。そういうことはいかがなものかと私は思うのですよ。せっかく努力中で意欲を持ってやろうというところに、
価格差でそっちの方に誘導するみたいなことでは、せっかく生き延びられる人たちも、また何とかやろうという手がかりがつけられるところにも大きな見込み違いが出てくるということで、これは余りにも地域にとりましても、また今取り組んでいる
農家の方々、農業団体の方々にとりましても、北海道、青森を中心として大きく意欲をそぐ。今、農政不信ということを言われますけれども、私はこういうことが一番問題だろうと思います。これはぜひ十分
実態把握の上で対処をしていただきたいことを要望しておきたいと思います。
それから、
生産性を上げるには低コスト、その低コストのためには農業機械とか農薬とかの
生産資材をできるだけ低減させることが大事だろうと思いますが、
農家経済の
実態については、過日農林省から
農家経済
調査というのが出ております。これを見ましても、農業
所得は前年と同じように一戸
平均百万から下回るというような
状況が出ておって、農外
所得や年金がそれを支えるような形になっている。その中で、落ち込みが大きいのは米作
農家。お米の値段が下がったということがこういう数字の上にもちゃんと出ている。
農家の現金収入の中で三〇%を割るような現状になっている。そういうことから兼業の方にどんどん流れていくという
実態がこの報告の中にも明確にされております。この中で、
農家所得がだんだん少なくなって、高齢化が現実のものになりつつあるということ、それから支出面で教養娯楽費と教育費がだんだん大きなウエートを占めるようになってきた、子供への仕送りとか
農家経営の研修とかのウエートが高いということも、この
農家統計
調査というところに示されておるのですけれども、こういう
実態では若い人が
農家に定着をするのは非常に難しい。展望のないこういう農村、
農家の現実というものを直視しなければならぬ。皆さん方、統計上からいろいろなことを議論されておりますけれども、一戸の
農家の方々の
農家経済ということを考えますと、これは大事な問題だと思います。これはぜひひとつ御検討いただきまして今後の参考にしていただきたいと思います。
それから、
農家経済ということからいいますと、
稲作農家、これは北海道でちょっと
調査したものがありまして、
借入金の残高が六十二
年度稲作農家で
平均しまして一千四百十六万、それの使途目的別で、
一つは農地取得が三六%、それから二番目に多いのが
土地改良二五%、こういうことになっておりまして、四八%も減反をしなければならない北海道の中にありましてこの借金の返済ということが非常に大きなウエートを占めている。
農林省当局も返済につきましてはいろいろな手だてをしていることは私も十分に知っておりますが、これはひとつ深刻に受けとめていただいて、また大蔵省といろいろ議論しなければならないかもしれませんけれども、借りた時点で四十年代、五十年代、
土地改良にしましても何にしましてもそれぞれの
規模とか立地条件によりまして事業をする、そのためには返済の計画を立てる。その立てた返済の計画の中には、六十二年、六十三年は
米価が下がるなんという予測は恐らくしていなかった。二年間で一〇%も下がるなんということは恐らく頭の中にはなかったし、農林省もそんな指導はしていなかったと思うのであります。しかし一〇%も下がる。それは確かに合理性とかいろいろなことの中から数字的にはそうなるかもしれませんが、現実に
農家の懐に入っていないのは事実です。特に北海道のように
規模の大きいところは、農外収入といってもなかなか右から左というわけにはいかないという現実の中では、都市近郊の方々とは違った
状況の中にあるだろう。
そういうことからしますと、
農家の方々とお会いして、借りたものはやはり返さなければならないという気持ちはありましても、現実として、今緩和策をいろいろとられておりますし今度の法律でも返しやすいようにということでいろいろ御努力をなさっていることはわかりますが、そういう経済情勢とか時代の推移の中で、余りにも急激な変化の中で、そしてまた一面から見れば
生産性が上がったということで
米価を下げなければならぬという情勢があるのかもしれませんけれども、一面から言うと当初からの計画の中には大きな見込み違いのような形で返済を強いられる。また、さっきちょっと申し上げましたけれども、最近、
農家の教育費それから教養娯楽費というのは二けた台でどんどん伸びておるということも統計の中にはございますが、そういう社会情勢なんですね。そういう中で営農にいそしむ方々の生活というのは一体どうなるのかという
実態もあわせてお考えいただきまして、現在の返済につきましてはもっと償還方法を改善する、これは利率を下げるということや、またその償還期限を延ばすということや、いろいろな手だてというのは必要ではないか。今日までも努力しておりますが、一層の御努力が必要である、そうでなければ何とかなる人たちももうだめになってしまう。
特に、先ほど来申し上げておりますように、
規模が大きくてスケールメリットを生かして、本当に農林省の模範生みたいに大
規模化を進めております北海道の
農家がばたばたと倒れなければならぬ。私も酪農のようなところが非常に負債が大きいというのはよくわかるのですが、
稲作農家は半分減反ということですから、それのために大変負債額が大きいというのが
実態でして、この負債のためにまた
土地改良とか負担金、管理費、こういうものが非常に大きなウエートを占める。ここらあたりをちゃんと、入る金と出る金、この収支というものの
実態をよく見て施策を進めていただきたい。
農家に入る方はどんどん締めて、それでいただくものはちゃんと今までどおりいただきますでは
農家経済が成り立つわけはないわけでありまして、ここらあたり、今回こういう措置をとるにはそれなりに何らかの対策を講じた上でやりませんと、新
算定方式は去年からの約束事です、ことしからやります、
格差はこうしますとばさっとやられたのでは、他産業と違ってすぐ対応力がない農業という
実態からしまして、その立場にある人たちの大変に苦労している現実は十分に御理解いただいていると思いますけれども、いろいろな農地取得資金や、また今までの整備資金や何かの返済のあり方等につきましても十分な配慮をいただきたい、しなければならない、こう思うのですが、いかがでしょう。