○
甕政府委員 御
指摘の点は大変重要な点かと思います。そこで、余り長くならない
程度に私
どもの
考え方をちょっと申し上げさせていただきたいと思います。
米をめぐる現在の
状況、
基本認識でございますけれ
ども、依然として
過剰基調にございます。また、ただいま
委員も御論議のとおり
市場開放要請が海外からもある。こういった中で、米の
自給方針について
国民の
理解と支持を得ていかなければいけない。また、
稲作の将来
展望のためにも、
稲作の
生産性の一層の
向上を図りまして、
経営の安定を図りながら
国民の
理解のいく
価格で
安定供給を図っていかなければいけない、こういうのが
基本的な
状況として私
ども認識をしておかなければならないと思います。こういった中での
米価政策でございますけれ
ども、
生産者が腰を据えて、将来を見通しながら
生産にいそしんでいただくというためにも、
米価の
算定というのはよりわかりやすく、また
国民にもよりわかりやすくしていかなければならないという点が
基本かと思います。
ところで、現在の
生産者米価の
算定方式は
生産費を
基礎といたしますが、
委員も御
承知のとおり
必要量比率、
必要量方式ということでやっておりますが、これで申しますと、
考え方としてその中には
農業に依存しないで生計が立てられる
農家も
算定対象になる、
生産性の
向上が反映されないといった点で問題があるということでございますとか、
対象農家のとり方の面でわかりにくい、こういったような
批判がこれまでもあるわけでございます。そこで、
生産費所得補償方式を今後とも継続してやっていくとしますと、これから
生産性の高い
農家らしい
農家が
稲作の
相当部分を担うようにしていかなければならない、そういう必要があるという
観点から、
稲作の
担い手層が実現している
生産費を
基礎にしまして
米価を
算定することが適当ではないかと考えられるわけでございます。
そういった
観点から、
米価の
算定対象農家は、
生産性が比較的高く
規模拡大の意欲がありますとか、
相当の労働時間を
稲作に投入しているということでありますとか、
農家経済面においても
相当程度稲作収入に依存している、こういった点でありますとか、
機械利用の
観点から見てもその
経済性が実現し得るというような総合的な面から見まして、当面一・五ヘクタール以上層の
農家あるいは
生産組織・
集団、こういったいわゆる
担い手層がその
対象とされることが適当であろう。そういった
担い手層の
生産費を償い
所得を補償するということで
価格を
算定することが適当ではないかということでございます。
なお、その一・五ヘクタール以上の
農家が非常に少数ではないかといった御
批判があるのも聞いておりますが、例えばその一・五ヘクタール以上の
農家層の
販売数量の
シェアは、六十二
年産米で四二%ということでございます。また、一・五ヘクタール未満の
農家でありましても一・五ヘクタール以上層に匹敵する
生産性を実現している
農家も実は多数あるわけでございまして、こういった
農家の
販売数量の
シェアは一一%という
状況でございます。また、先ほど申し上げました
稲作の
現実の
担い手になっております
生産組織・
集団、こういった
方々の
販売数量シェアは二割強と見込まれるということからいたしますと、一部重複があるかもしれませんが、
販売数量の
シェアはこの
算定方式でやりました場合に全体の二分の一から四分の三に達すると見込まれるところでございまして、
販売の大半をカバーし得るものではないかというふうに思われるわけでございます。
なお、一・五ヘクタールという数字が出たことによりましてそれ以下の
農家を差別と申しますか無視するということにならないのか、こういう御注意もあるわけでございます。これは
価格算定対象の
農家を選ぶ際に、一・五ヘクタール、こういう階層に着目をするということでございまして、それ以外の
方々でも
農業政策で決められました
米価によって米を買い入れるということは当然でございまして、それ以外の
方々を差別するあるいは無視する、こういうことを考えておるわけではございません。
稲作の
担い手像といたしましては、この
委員会でも御論議がありますように、
地域の立地条件ですとか
経営形態等によってさまざまなものがあるわけでございますけれ
ども、
価格政策といたしますと全国的視点から一定の作付
規模に着目せざるを得ないということがございますので、その辺は御
理解をいただきたいと考えておるところでございます。したがいまして、それぞれの
農家におかれまして、
規模拡大あるいは
地域の条件によりまして
生産組織・
集団にまとまってコストダウンの努力を図っていただくという
方向を
生産対策あるいは構造
政策の中におきましても今後進めていかなければならない点でございますし、
価格政策におきましてもそれに沿った
考え方でこの
算定を行っていく必要があると思っておるところでございます。