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1989-05-23 第114回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年五月二十三日(火曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 堀之内久男君    理事 高村 正彦君 理事 鈴木 宗男君    理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君    理事 柳沢 伯夫君 理事 安井 吉典君    理事 水谷  弘君 理事 滝沢 幸助君       石破  茂君    衛藤征士郎君       大石 千八君    川崎 二郎君       北口  博君    杉浦 正健君       田邉 國男君    武部  勤君       玉沢徳一郎君    中島  衛君       二田 孝治君   三ッ林弥太郎君       谷津 義男君    串原 義直君       沢藤礼次郎君    田中 恒利君       竹内  猛君    前島 秀行君       武田 一夫君    玉城 栄一君       藤原 房雄君    吉浦 忠治君       藤田 スミ君    山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  羽田  孜君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         農林水産省構造         改善局長    松山 光治君         農林水産省農蚕         園芸局長    吉國  隆君         農林水産省畜産         局長      京谷 昭夫君         農林水産省食品         流通局長    渡辺  武君         農林水産技術会         議事務局長   谷野  陽君         食糧庁長官   甕   滋君         林野庁長官   松田  堯君         水産庁長官   田中 宏尚君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第二課長   薄井 信明君         国税庁間税部鑑         定企画官    西谷 尚道君         文部省初等中等         教育局職業教育         課長      上野 紀男君         文部省高等教育         局専門教育課長 草原 克豪君         文部省体育局体         育課長     下宮  進君         厚生省健康政策         局指導課長   澤  宏紀君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 松田  朗君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 内山 壽紀君         通商産業省立地         公害局立地指導         課長      和田 正武君         通商産業省立地         公害局立地指導         課長      和田 正武君         通商産業省基礎         産業局製鉄課長 足立 芳寛君         労働省職業安定         局雇用政策課長 伊藤 庄平君         労働省職業安定         局特別雇用対策         課長      九重 達夫君         農林水産委員会         調査室長    青木 敏也君     ————————————— 五月二十三日  農用地利用増進法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五七号) 同月二十二日  安全な食糧自給に関する請願外一件(村山喜一  君紹介)(第二三四九号)  同(伊藤忠治紹介)(第二三五〇号)  同(大出俊紹介)(第二三五一号)  同(川俣健二郎紹介)(第二三五二号)  同(小林恒人紹介)(第二三五三号)  同(新盛辰雄紹介)(第二三五四号)  同(田中恒利紹介)(第二三五五号)  同(土井たか子紹介)(第二三五六号)  同(堀昌雄紹介)(第二三五七号)  同(武藤山治紹介)(第二三五八号)  同(安井吉典紹介)(第二三五九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定農産加工業経営改善臨時措置法案内閣提  出第二七号)      ————◇—————
  2. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定農産加工業経営改善臨時措置法案を議題とし、審査に入ります。  まず、趣旨説明を聴取いたします。羽田農林水産大臣。  特定農産加工業経営改善臨時措置法案     〔本号末尾に掲載〕
  3. 羽田孜

    羽田国務大臣 特定農産加工業経営改善臨時措置法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  先般の日米協議等により、牛肉かんきつ農産物十二品目について、輸入数量制限の撤廃、輸入アクセス改善等決定されたところであり、自由化等関連対策として、農業者に対する影響を緩和するため、農産物生産性向上のための産地条件整備等を行うこととしております。  しかしながら、今回の自由化決定等により、農業者ばかりでなく、地域農業と密接に結びついている農産加工業者も大きな影響を受けることが懸念されており、生産対策等とあわせて農産加工対策を講ずることが重要な課題となっております。  本法案は、このような状況にかんがみ、自由化影響をこうむる特定農産加工業者に対し、その経営改善を促進するための金融税制上の支援措置を講ずることにより、新たな経済的環境への円滑な適応を図り、もって農業及び農産加工業の健全な発展に資することを目的とするものであります。  次に、この法案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、輸入に係る事情の著しい変化により影響を受ける業種を、特定農産加工業として指定することとしております。  第二に、特定農産加工業者またはこれを構成員とする事業協同組合等は、経営改善を図るための措置または事業提携に関する計画を作成し、都道府県知事承認を受けることができることとしております。  第三に、特定農産加工業者等承認を受けた計画に従って経営改善措置等を行う場合に、長期かつ低利資金農林漁業金融公庫が貸し付けることができることとするほか、設備廃棄に係る欠損金の繰り越しの特例、取得した機械等についての特別償却、その他税制上の特例措置を講ずることとしております。  第四に、この法律は、自由化等対応するための臨時緊急的な措置であり、施行の日から五年を経過した日に、その効力を失うこととしております。  以上が、この法案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 堀之内久男

    堀之内委員長 次に、補足説明を聴取いたします。渡辺食品流通局長
  5. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 特定農産加工業経営改善臨時措置法案につきまして、提案理由補足して御説明申し上げます。  本法案提案いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につきまして、若干補足をさせていただきます。  第一に、特定農産加工業指定であります。  輸入自由化輸入アクセス改善等農産加工品をめぐる輸入に係る事情の著しい変化により、事業者事業活動支障を生じ、または生ずるおそれがあると認められる業種特定農産加工業として農林水産省令指定することとしております。  第二に、経営改善措置及び事業提携に関する計画であります。  特定農産加工業者またはこれを構成員とする事業協同組合等は、特定設備廃棄事業転換、新商品・新技術研究開発または利用事業合理化その他経営改善を図るための措置に関する計画または生産共同化等事業提携に関する計画を作成し、これを都道府県知事に提出して、承認を受けることができることとしております。  第三に、金融措置であります。  特定農産加工業者等承認を受けた計画に従って経営改善措置または事業提携を行うのに必要な一定の資金について、農林漁業金融公庫が新たに長期かつ低利資金を融通することができることとしております。  第四に、税制特例措置であります。  特定農産加工業者等承認を受けた計画に従って行う措置に対し、国税については、特定設備廃棄による欠損金繰越控除期間の延長、新たに取得した機械等についての特別償却試験研究のための負担金についての特別償却等措置を、また、地方税については、特別土地保有税非課税等措置を講ずることとしております。  なお、この法律は公布の日から施行し、施行日から五年間の時限立法としております。  以上をもちまして、この法律案提案理由補足説明を終わります。
  6. 堀之内久男

    堀之内委員長 以上で本案趣旨説明は終わりました。
  7. 堀之内久男

    堀之内委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
  9. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳沢伯夫君
  10. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ただいま大臣及び局長の方から提案理由説明及び補足説明がございました特定農産加工業経営改善臨時措置法案につきまして質疑をさせていただきます。  この法案は、今大臣の御説明にもありましたように、言うまでもなく、昨年の二月の十二品目にかかわるガットパネル報告を受けての国際交渉、それから六月でございましたか、牛肉かんきつについての日米日豪貿易交渉の結果を受けての各般の措置一環として提案されたものである、こういうことでございますが、この際改めて、我々はこの一連の国際的な自由化要求にこたえたこととのかかわりでこれにどのように対処するという基本的な方針で臨んだのか、そして、これまでとられた措置を含めてこの自由化関連でとりました措置の全容、それから、その中においてこの法案が占める位置、こういったものについて大臣からの御説明をまずお伺いしたい、このように思います。
  11. 羽田孜

    羽田国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま柳沢委員の方から御指摘がございましたように、昨年の二月そして六月、自由化、あるいは枠をさらに広げたもの等の措置をいたしております。この措置によりましてやはり農業あるいは農業にかかわる産業、こういったものにも相当大きな影響が出るであろうということで、それぞれ六十三年度の補正予算、また今参議院の方で御審議をいただいております平成元年度の予算、こういった中で措置をしましたり、また、そういう中で例えばかんきつ等につきましても廃園を伴う非常に厳しいものでありますけれども、こういったものに対する支援措置、いわゆる産地の再編成、そういうものを進めると同時に、畜産等につきましては畜産二法、法律を定めまして、肉用子牛価格安定対策、こういったものを講じることにいたしておるところであります。  今回の自由化は、さきにも申し上げましたように農業者ばかりではございませんで、地域農産物、これの重要な引き取り手でございます農産物加工業者、この皆様方も大きな影響を受けるであろうということで、今申し上げました生産に対する措置のほかに農産加工対策、こういったものを講ずることが国内農業の健全な発展にとって必要となっておるというふうに考えております。そういう意味で、今御提案申し上げております法律は、このような状況にかんがみて、自由化影響をこうむる特定農産加工業者に対してその経営改善を促進するための金融あるいは税制上の支援措置を講ずることによりまして農業及び農産加工業の健全な発展に資することを目的としております。  このように、本法案は、単なるいわゆる企業対策というだけではなくて、農業政策一環として御審議をお願いを申し上げるということであります。  以上であります。
  12. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ただいま大臣の御説明にありましたように、今回の自由化関連する対策として、直接の生産者である農業者、これに対する対策に加えて、これと密接に関連をし、かつまた農業者自由化から守るためにも一体として体制を立てなければいけない、そういう農産加工業者に対する対策として本法が立案された、こういうお話でございまして、私どももそうでなければならぬという考え方からこれに大変賛成するわけであります。  ところで、確かに今大臣がおっしゃったように、単なる企業者向け立法ではないということはそれはそれでわかるのですが、私どもいろいろな分野で立法活動というものを見てきた立場から申しますと、逆に農林関係立法の中でこうした業法的な立法というのが非常に少ないなという感じを率直に持つわけでございます。これは釈迦に説法で大臣に申し上げるまでもないことなんですが、例えば税金の面から申しましても、売上高に対してその業種償却額、こういう売上高に対する償却の比率といったようなものについて行政当局がその業種に対してどれだけ政策的な手当てをしているか、こういうメルクマールとして我々考えることがあるのです。そういうようなことからしますと、私は最後にももう一度ここを強調したいのですが、食品加工業あるいは農産加工業というのは農業一体になって本当にしっかりしたものにしなければいけないわけです。そういうような意味合いからすると、今までなかったのが不思議だなという感じも率直に言って若干持つわけなんです。そういう意味合いで、ちょっとこの際、どうして今までこういうものがなくてよかったのだろうかといったようなこと、それからまた、今回どうしてもこれを必要とするんだ、こういった理由について明らかにしていただきたい。
  13. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、この食品産業と申しますか食品加工業に対します対策といたしましては、例えば円高等の経済的事情変化により影響をこうむった製造業者体質強化、こういう措置があるわけでございますが、このような場合にも特定中小企業者事業転換対策といったようなことで、どちらかというと業種横断的な対策の中で食品加工業につきましてもその一環としてそのような措置を活用してまいったところでございまして、おっしゃるような業法といったようなものは特別にございませんでした。しかし、先ほど来御説明申し上げておりますように、今回の牛肉かんきつあるいは十二品目交渉の結果講じられることとなった市場開放措置と申しますのは、農産加工品につきましても過去に例を見ないほどの内容のものでもございますし、順次でございますけれども、ある程度まとめてやるということでございまして、ほっておけば相当影響があるということでございます。そして、加工業者はもちろんのこと、国内農業にも大きな影響が出てくるだろうということでございます。  このような自由化に対する影響をどうしても緩和していくためには、今までのような横断対策一環としてではなかなか、私たち勉強させていただいたのでございますけれども、今回のものに対する対応としては不十分であるという判断をいたしまして、より手厚い金融なりあるいは税制上の支援措置を講ずる必要があるのではないかということでまとめまして、今回法案として御審議を願うことになった次第のものでございます。
  14. 柳沢伯夫

    柳沢委員 そういう意味では、農林省としてもいわば初めての自前立法という感じかと思うのですけれども、私は、そういうことをこれから必要に応じてどしどしやっていく、こういう考え方でなければならぬじゃないか、このように思うわけでございます。  そこで法案中身に若干入らせていただきます。  今回の臨時措置法対象業種ですけれども、これについて、具体的にこれは政令に委任されておるわけですけれども、どういう業種指定されるおつもりであるか。先ほど来申しますように、この法案というのは、先般来の十二品目及び牛肉かんきつ自由化関連対策として出ておるわけでございますけれども、この自由化なり枠の拡大なりというようなことで決定をした業種に対してきちっとした対応ができるものでなければならぬわけですが、十分なものであるかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  15. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 本法対象といたしましていろいろな支援措置を講ずることとなります特定農産加工業につきましては、具体的に農林水産省令指定することといたしております。  その指定に当たりましては、その生産する農産加工品等につきまして、自由化等輸入にかかわる事情に著しい変化があったものだということとか、それに起因いたしまして相当数事業者事業活動支障が生じたり、また、生ずるおそれがあるということが必要であるわけでありますが、そのような基準からいたしまして、私たち現在考えておるものが九つございます。  具体的には、一つかんきつ果汁製造業、二番目が非かんきつ果汁製造業、三番目がパイナップル缶詰製造業、四番目がトマト加工品製造業五つ目バレイショでん粉製造業六つ目カンショでん粉製造業七つ目チーズ製造業八つ目アイスクリーム製造業、九番目が牛肉調製品製造業という、以上九つのものを指定することといたしております。  これらにつきましては、牛肉かんきつあるいは十二品目交渉において自由化決定された品目があるわけでございますが、その中から、国境措置を講じたことによりまして国内製造業への悪影響が及ぶおそれがないと見込まれるものもあるわけでございまして、ちょっと品目で、技術的になりますが、その他の糖類、糖水というような異性化糖的なものの業種、それから砂糖を主成分とする調製品という品目にかかわる業種等につきましては、今申し上げましたようなことで悪影響が及ぶことはないということでございまして、それ第一類第八号  農林水産委員会議録第四号を除きまして自由化したものにつきましては分業種対象としております。また、自由化はしなくても、アクセス改善等によりまして国内製造業がある程度影響を受けることが懸念されるでん粉等につきましては、対象に入れておるわけでございます。  以上を整理いたしまして九つということになったわけでございまして、これで十分対応できるものと信じておる次第でございます。
  16. 柳沢伯夫

    柳沢委員 よくわかりました。まあ十二品目牛肉かんきつで二品目ですから全部で俎上に上がったのが十四、そのうちでガット報告でもシロの裁定を受けたのが二品目ですから、形式的に言いますと十二ですか、それに対して九つだということでございますが、これは今例えば牛肉牛肉調製品というようなものは一体のものと考えられるというようなこともありまして、局長の御説明でよく必要なものがカバーされている、こういうことが了解できました。  そこで、さらにそういった業種に対しまして、今回の法案では金融措置税制上の措置が行われる。税制上の措置については、具体的な中身租税特別措置法に任せる、あるいは地方税法に任せる、こういう枠組みになっておるわけでございますけれども、私、先ほど触れましたように、農林省としてこうした立法を単独で自前でやるのは初めてだ、こういうようなこともあったわけでございますので、今申したような今回の法案の具体的な中身であるところの金融措置税制上の措置が、ほかの省庁が所管しているような業種同種趣旨立法されたものに比べまして果たしてどうなのかな、こういうことが当然心配になるわけでございます。  措置中身と申しますか、厚みといいますか、そういったものについて、他の同種立法と比べて特にそういう懸念は要りませんよ、むしろそれより手厚いくらいですよ、こういったような御説明があれば、この際ぜひ伺っておきたい、このように思います。
  17. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 御説明申し上げます。  先ほど御説明申し上げました九つ業種に属する企業者は、企業体質改善するための計画をつくって知事承認を求めますが、それが受けられますと、一つ金融上の措置、もう一つ税制上の措置が講ぜられることになるわけでございます。  金融上の措置につきましては、計画内容はいろいろございますけれども、例えば事業転換をしたいとか、新技術開発をしたいとかいったようなことに対しまして、若干リスクの高い資金につきましては、農林公庫等政府関係金融機関から低利融資を融通いたします。それから施設の高度化といったような若干リスクが低いようなものにつきましては、系統金融機関がこれを担当いたしまして低利資金を貸すということになるわけでございます。  また、税制措置につきましても、計画承認を受けますと、国税につきまして四本程度特定設備廃棄により生じます除却損につきまして欠損金繰り延べ控除期間を延長するとか、特別償却についての特例を開くとか、あるいは試験研究関係につきましての優遇税制を講ずるとか、登録免許税軽減といったようなものがございますし、また地方税につきましても特別土地保有税事業所税あるいは不動産取得税軽減なり非課税といったような措置を講ずることといたしておりまして、幅広いものとなっておるわけでございます。  その助成の程度といいますか、例えば金融で申しますと、金利等につきましては、一般の公庫等政府関係機関のこのような企業に対する貸し付けといいますのは、五・七%から低くて四・八五%というのが水準であるわけでございますけれども、その資金につきましては、御承知のように四・二%というようなことでかなり低い水準で貸すということを考えております。  また、税制上につきましても、今るる申し上げましたものは、いろいろな産業立法の中で講じられております優遇措置を網羅的に一括して今回の支援措置内容にするということになっておるものでございまして、ほかよりは優遇されたものになっておるというように考えておる次第でございます。
  18. 柳沢伯夫

    柳沢委員 局長の御説明で、むしろほかよりも手厚い措置が講じられているはずだ、こういう御説明がありました。私も、この法案の立案の過程でも伺っておったのですが、農林省、非常に頑張られまして、例えばほかの同種業法では認められていないような、いわゆる中小企業でない企業に対しても同様な優遇措置で応援をする、これはどうしても地域農業との関連が強いので企業に着目して、大企業だからこれを排除するというようなことではその趣旨が実現できない、こういうような考え方で非常に強く政府部内の調整に当たられて立派な成果を上げた、こういうように思って私としても敬意を表しておきたい、このように思います。  そういうことで、この法律中身としてはかなり中身の濃いものになっている、このことは私もよく承知をしておるわけですけれども、現実にこの法律が実施に移されて所期目的、まさしくこの農産加工業者経営改善を強力に進める、あるいは事業提携を強力に進めることによってその体質を強化して、国産の農産物を原料としてしっかり受けとめていってもらう、こういうことのために実効が上がることが一番大事なことなわけですね。  これは別に、農林省のこれまでの施策にそういったことがあったというわけじゃありませんが、概して言うと、何かの措置をとったときに、政府側としてこういうことをやりました、こういうエクスキューズ、ただ議論の場においてエクスキューズが成り立つ、こういうようなことのために立法なりあるいはその他の予算措置等々がとられて、現実にはなかなか動かない。それで実効が上がっていない、所期目的が達せられない、こういうようなこともないわけじゃないわけです。そういう意味で、法案そのもの審議のときに大変耳ざわりな質問なのですけれども、これだけの日本農業の直面している危機、この大きさを考えますと、私はどうしてもそのことを強調しておかざるを得ない。したがって、法律ができたからこれで事が成った、こういうようなことじゃなくて、この法律をいかに運用してこの自由化に対処して日本農業を守っていくかあるいは発展させていくか、このことが非常に大事だ、こういうように思うわけであります。  そういった意味合いでぜひこの際、できるだけ早く通さなければいけないわけですけれども、この法律が成ったときにどのような心構えで農林省として実施に当たっていくか、このことを伺っておきたい、このように思います。
  19. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 内容につきましては先般来御説明申し上げているようなものでございまして、まずはできるだけ早くこれが成立することを私たち心から期待を申し上げておるところでございますけれども、それが成立した暁におきましては、即刻これが実行に移されていくように、そしてその中では計画承認する手続あるいは融資に当たりましては、融資機関におきまして貸付対象とするかどうかという具体的な審査といったような手続もあるわけでございますが、このような手続につきましてこれができるだけ迅速に行われますように内容を簡素化した形でそれをつくり上げていくことも大きな問題かと思っております。  いずれにいたしましても、農業一体的な発展をしなければならない農産加工業でございますので、このような助成措置が開かれるわけでございますから、それが趣旨の徹底と相まちまして十分に活用されまして、国際化の進展に対応できるような足腰の強い農産加工業の確立に資するものとなるということのために、私たちはそのような手続面を含めました各般にわたる努力を傾注してまいりたいと考えておる次第でございます。
  20. 柳沢伯夫

    柳沢委員 局長から決意の表明がございましたし、また現実にこの法の運用に当たっては余り繁文褥礼、細かいことを一々チェックして、この要件に当てはまるとか当てはまってないというようなことについてせんさくをしていたずらに時間を使うようなことはしない、こういう大変力強いお話を承りまして、私どもそのとおりにしていただきたい、このように強く要請をしておきます。  そこで大臣にぜひお尋ねしたいわけでございますけれども、日本農業をこれからどういうように構築していくかということを考えた場合に、いろいろなところにあらわれておる矛盾のよって来るゆえんを考えると、これまでの日本農政の枠組みというのが、どうも食糧が絶体的に不足しておった時代のそういう制度のもとにあって、今日ただいまはそれと全く逆のことが起こっておる、こういうようなことが根本に横たわっておるような気がするわけです。そうした矛盾が内在して、それが時々現象としてあらわれてという感じでございます。  私は、結局は物というのは、必要でない物、需要のないところに生産されると、そこはおかしくなってしまうに決まっていると思うわけでございまして、そういう意味では、もっともっといろいろな制度の中あるいは農政の運用の中において、需要者側のシグナルというか需要者側の意向というものを酌むような形でのものになっていかなければいかぬ、こういうふうにつくづく思うのです。  そういうことを考えますと、食品産業というのは我が国の農産物の三割を現実に受けとめてくれておる。こういう非常にウエートの高い重要な、農政から見ても非常に重要な部門であるわけでございます。そういうことで、先般というか一昨年ですか、もう既に古くなりましたが、経団連の方ですか食品工業の実情に関する報告書というのが出ました。そして現実にこういうパンフレットもそれに伴って出て、食品工業と農業は車の両輪といっているわけです。それで中身を見ますと、食品工業に対してどっちかというと冷たいよということが書いてあるわけです。もちろん、これに書いてあることをそのまま我々も認めようとは思いません。我々にもこれに対しても言い分があるわけです。しかし、確かに私どもは食品工業というものについて、果たしてちゃんと位置づけてそれに対して手当てをしてきたかということについては、若干の不足があったかな、こういう気がせぬでもない。  そこで私は、食品工業と例えば農家との間での契約栽培、ビールとかトマトジュースのメーカーなんかとは行われているのですが、そういうような形で食品工業の意向というか需要者サイドの意思というものを的確に生産の場面に反映させていく、こういうことが一つの、全部とは言わないけれども、日本農政を展開していく上での非常に大きな、生産者に対して需要者の発するシグナルに応じていくためには非常にいいことではないか、私はこんなことすら思っているわけです。  ところが、最近の状況を見ると、製品輸入が非常に拡大してきて、それに対抗するためには我が国の食品工業が外地に行って工場立地をしてこれに対処しなければいかぬ、いわゆる空洞化ですね、こんなことすら起こっている。こういうようなことがあるわけでございます。私は、こういうことを放置しておくわけにいかぬと思うわけですが、そういった観点から、いかにして国産品をもっと使ってもらうようにするか、それからまた、この産業自体を振興して確固たるものにしていくか、このことについて大臣の考えと決意のほどを承っておきたいと思います。
  21. 羽田孜

    羽田国務大臣 柳沢委員から、今まさに現実に置かれている状況について非常に的確に御指摘をいただいたと思っております。  こういった問題にまずお答えするためには、農業のいわゆる生産の場というもの、この場が今の時代のニーズに対してきちんと対応できるように、まず基盤整備の問題とか規模を拡大してコストをできるだけ下げていく問題とか、またバイオテクノロジーを初めとする新しい技術開発していく、そしてそれを普及していくといったことを進めて、本当に足腰の強いものをつくり上げていかなければならぬと思っております。  それと同時に、ただ足腰の強いというだけではこれはやはり許されないことで、今御指摘のありましたとおり、今時代のニーズというのはただ安いというだけではなくて、いろんな差別商品といいますか、ニーズそのものが非常に多様化しておるということでありますから、市場のニーズに対して的確にこたえていけるような農業というものにしていかなければいけない。私は、その場合には規模のうんと大きなものも必要であるし、あるいは規模を余り大きくしないで手塩にかけるという農業というものもあってもいいと思っているのです。それで、そういうものをやはり必要とする消費者の皆さんもあるいは実需者の皆さん方もあるというふうに思っております。ですから、まずそういったものに対する対応というものを私たちはきめ細かくよく見詰めながら、主体性を持って進める農家の皆さん方に対して国がどう支援できるのか、あるいはいろんな組織の皆さんと協力しながらどう支援できるのか、こういったことについてさらに私たちも勉強していきたいと思っております。  なお、今お話がありましたように、まさに農産物というのは単に消費者の人が消費するだけではなくて、加工産業の方あるいは外食産業の方々もやはりこういったものを非常に大きく消費する、安定したお客様として実はあるわけであります。ですから、そういった皆さん方がきちんと加工し得るように、これはこんなものに加工したい、それに対する農産物というものをやはり提供していくということが必要でありましょうし、また現実にそういったものにこたえるような施設なんかも整備していくようなことも大事であろうと思っておりますし、また今の加工産業あるいは外食産業、こういったところとちゃんと契約をしながら進めていく、そういうやはり新しい時代の取引なんかを進めていく必要があろうと思っております。そういうものについて、さらに私たちも研さんをしていきたいと思います。  それともう一方では、今お話しのとおり製品輸入というものが最近ふえていること、これは私たち実は数年前やはりこの農水の委員会で私自身が視察に行ったときにも感じたわけでありますけれども、ある日本の特別な歴史的なものが外国でつくられておる、しかも大変実はこれが安い、これが入ってきたら一体どうなっちゃうのかな、これはきょうおいでになる野党の方なんかも一緒に行った方があります。そういったことのために、やはり原料対策というのを一体どうしたらいいのかということを議論し、そしてそういう中でお米については他用途利用米というようなものをつくり上げてきましたし、また行政価格で対応するような農産物につきましても、生産者の皆さん方の御協力をいただきながらコストを下げ、そして価格の引き下げをしながら提供してきておるというようなこともございます。  こういった問題というのは、議論するのもなかなかつらいことであるし、お互いに苦しいことであります。しかし、こういう自由化の本当に競争しなきゃならない接点に今あるわけでありますから、そういう意味では私たちはこういうつらい苦しい議論なんかもしながら、やはり加工ですとかあるいは外食産業、こういった皆様方に私たちはきちんとこたえていかないと生産したものの引き受け手がなくなってしまう、あるいは外国に出ていってしまうということになったら、日本の国内で生産されたものがどこではけていくのかということを考えたときに、深刻な問題であるけれども、やはりこれに対応した生産体制というものをつくり上げていくことが今望まれていることじゃなかろうかなというふうに私は思っております。  いずれにいたしましても、御指摘のございましたことを胸にしながら、私どももさらに検討を進めていきたいというふうに思っております。
  22. 柳沢伯夫

    柳沢委員 大臣の御懇切な御答弁、大変感謝申し上げます。  私ども農家サイドでも、今後ともコストダウン、所得が減るのは困ると思うのですが、そういうことで価格を引き下げていく、こういう努力をして食品工業からのニーズにこたえるということが大事だと思うし、また食品工業自体を強くしていって最終製品のところで大丈夫だ、こういうことも心構えとして持っていかなきゃいかぬ、こういうように思います。  いずれにしましても、本法案は先般来の一連の自由化措置に対する関連対策措置として多分しんがりだろうと思います。予算措置としては今後続くものもあるでしょうけれども、こういう措置としてはしんがりだろうと思いますが、法案は「公布の日から施行する。」ということにもなってございます。できるだけ早くに国会の審議、充実した審議でなければならぬわけですが、早期にこれを議了して法律として早く実現に移す、このことが一番大事だ、このように思いますので、その点を付言しまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  23. 堀之内久男

  24. 田中恒利

    田中(恒)委員 先ほど羽田農林水産大臣から特定農産加工業経営改善臨時措置法案につきまして、この国会では初めてでありますが、御提案をいただきました。  そこで、大臣にまず率直にお伺いをいたします。  農産物自由化という大きな流れの中で今後我が国の農産加工業がどのような事態になっていくのか、心配しなければいけない諸占について農政を担当する責任者の立場から率直にひとつお考えをお聞きをし、その方向などについて、内容はこれから逐一質問をいたしますが、基本的な方向について最初にお伺いしておきます。
  25. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘のございましたとおり、自由化が進むということによりまして、畜産物ですとかあるいは果実ですとかその他の農産物の特に加工品、これの輸入というものが現在でもございますけれども、さらにこれが強くなってくるということがあり得ると思っております。そういうことを前提にしながら、今回の立法は前向に対応していく。要するに、まだ現段階では大部分の品目自由化というものが行われておらないわけでありますけれども、そういったものについてやはり前向に対応していくということでこの法案をお願いしております。影響はいろいろなものに出てくると思いますが、その具体的な数字を挙げるということは、これは競争のものでありますから極めて困難であろうと思っております。しかしながら、対象業種につきましては、内外の製品の価格差に相当の開きがあることから、品質等を考慮したとしても生産面で相当影響をこうむることは避けられないと思っております。自由化後の経済的環境対応していくためには、積極的な経営改善、これを図っていく必要があろうかと思ってこの法案で御支援申し上げていきたいということであります。
  26. 田中恒利

    田中(恒)委員 これまで日本の農政の基調をなしてまいりました、時に自給率と称し、時に自給力と称し、最近は需要対応といったような言葉などがあちこち見られるわけでありますが、いずれにせよ国民の必要とする食糧は国内で賄うという農政の基調が自由化という背景の中で相当大きく変わらざるを得ない、こう心配をいたしております。昨今の円高などの問題はこの不安を一層促進しているわけでありますが、農産加工業にとっては、今も大臣がおっしゃいましたが、製品の輸入、原料の輸入が急増してくるだろうと思います。本来、加工業界はいずれにせよコストを下げていい品物を安く出していく、これは当然でありますし、企業の立場からいえば安い原料への志向というものは出てくるのであります。これは私どもも、身近な加工場でも原料を求めて中国や台湾からどんどん野菜等を入れておる。周辺の農家は、何のためにつくったんだと言っておるわけですね。これは現実なんですね。ですから、大臣もおっしゃったが、外国産への接近が急速に広まっていくし、ふえていく、これはなかなか否定できない、私はこう思います。  先ほど与党の方が、こういう法案農林省としては初めてだ、こういう御質問をされましたが、実はそこがこれまでの農政上の選択をめぐる大きな問題であったと私は思っておるのですよ。今日の情勢の中でここへ踏み込んでいかれたというお気持ちも必要性もわかります。わかりますが、この取り扱いいかんによっては我が国農政の基調に関する問題がやはり出てくる、こういう心配もございます。したがって、農業というものと農産加工業を応援していく、強化をしていく、この視点でどういうふうに政府が運用していくのか。私は、非常に難しい面があると思うのですよ。なかなか大変で、お答えしにくいかもしれませんが、そういう点について農林大臣のお考えがございましたらお示しをいただきたい、こう思います。
  27. 羽田孜

    羽田国務大臣 確かに、田中委員御指摘のとおり、今ガットのヴルグアイ・ラウンドでもいろいろと議論されておりますように、農産物貿易というものが非常に大きく、それぞれの国があれしているというふうに思います。そういう中で、日本もまさにこの国際化の波というものの中にあるというふうに思っております。  そういう中で、日本の農産加工業というものはどういうあれにあるのかということになりますと、従来から国民に食糧を安定的に供給する上での農業と並んでやはり車の両輪、この地位にあるものとして位置づけられておるというふうに私どもは承知をいたしております。農業農産加工業一体的な発展、これを図っていかなければならないということであろうと思います。農産加工業は、国内で生産される農林水産物の重要な引き取り手でありますし、自由化により農産加工業が縮小、撤退を余儀なくされる、そんなことも実は考えられるということでありまして、先ほどもちょっとお答えいたしましたように、原料農産物を供給している国内農業にも大きな影響を与えてくるであろうというふうに考えております。そういうことを考えましたときに、この自由化によって影響を受ける農産加工業、この経営改善を支援するということが、すなわち日本農業生産の場を支援することになろうというふうに私どもは考えておりまして、一体的に考えておるということを申し上げたいと存じます。
  28. 田中恒利

    田中(恒)委員 法案内容について、以下若干質疑を行いたいと思います。  今も指摘がございましたので、重なる点は避けた方がいいと思いますが、九つ対象業種指定しておりますね。特定業種というものは、先ほど言われた内容業種になっておるわけでありますが、この認定の基準は、今私ちょっと聞き漏らした点があるのですが、オレンジ・牛肉自由化十二品目地域農産物自由化などに関係をするもの、あるいはこれに関連をし、相当影響が出てくるもの、こういう程度でなかったのかと思っておるのですが、改めて、どのような認定の基準に基づいてなされたのか。そして今後、これはそうはいっても、言葉の上ではおっしゃるわけでありますが、実際に影響を受ける業種、業界というのはいろんな形で波及をして関連を持っておると思うのです。したがって、状況によって、自由化というか、こういう新しい環境の中で、大きな変化が出てくる場合には、その原因のよって来るところに基づいて追加をされていく、逐次必要によって追加をされていく、こういうふうに理解してよろしいのかどうか、念のためお尋ねをしておきます。
  29. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 お答え申し上げます。  本法案支援措置を行うこととなります対象業種としては、先ほど申し上げましたような九つ業種を考えておりますが、これを選定といいますか、九つに絞って考えた根拠でございますけれども、IQ制度の撤廃とかあるいは大幅なアクセス改善といったような輸入に関します制度の変更があった品目にかかわる業種という要件が一つ、これはぜひ必要であろうかと思っております。  それからもう一つは、それに起因いたしまして「相当数事業者事業活動支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められる」ということが必要であるわけでございます。その場合に事業活動をどうして判定、まあ何といいますか、影響が及んだかということにつきまして判定をするかということになりますと、稼働率の低下だとか在庫の増加だとかあるいは生産の減少だとかいったようないろいろな要素があるわけでございますが、要するに通常の事業活動を続けることが困難となるかどうかということにつきまして、結果的には総合的に勘案して判断するほかないということでございます。  今回指定を予定しております業種は、いずれも去年の自由化対策というようなことで自由化が決まったわけでございますし、その産品につきましても内外価格差が大分あるわけでございまして、そのようなことを前提にいたしますと、今後やはり輸入増大に伴います競争の激化によりまして、今総合的判断と申し上げましたような、通常の事業活動が困難になるということが十分に見込まれるわけでございますので、そのような九業種ということに指定をさせていただこうというように今考えておる次第でございます。  なお、今後の話でございますけれども、去年のような自由化あるいは大幅なアクセスの改善というようなことが将来ないことを願っておるわけでございますけれども、万が一あるといったような場合におきましては、また新しくその時点においてこれを追加するということも理論的には可能ということに考えておる次第でございます。
  30. 田中恒利

    田中(恒)委員 二番目は、農産加工業というのは言うまでもなく圧倒的に中小零細企業が多いわけですね。大体九〇%、一割程度が大企業、こういうふうに言われておるわけでありますが、特に農業、農村という観点で結びつけてみると、中小零細企業がたくさんあるわけであります。しかし、販売高であるとか従業員数であるとか、こういうのを見ると、やはり大きなところの持っておるシェア、ウエートは非常に大きい、こういうことが言えるわけでありますが、本法では大企業中小企業という形の区別をして、金利等について若干の差もありますけれども対象にしておるわけでありますが、心配されますのは、大きなところは地方を持っておりますし、国際対応力を持っております。そういうところが例えば三百億、この五六年間て千五百億の融資、こういうものを大半——大半というか相当影響力を持っていくといったようなことはやはり運営上問題ではないかと私は思います。私などは、むしろ中小零細な農産加工業というところに重点を置き、焦点を当てた取り扱いをすべきである、こういう考えを持っておるわけでありますが、この点についてどういうお考えでございましょうか。
  31. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 今対象として予定しております九業種で見てみますと、そのほとんどはやはり中小業者でございまして,約九割は中小企業者になっておりますので、中小企業を中心に据えた対策ということが言えるのではないかと言ってもいいのではないかというように存じておる次第でございます。ただし、大企業と申しますか、資本金が一億円以上とかあるいは従業員が三百人以上といったような中堅の企業につきましても、地域において農産物の重要な引き取り手になっておるということ、そして地域農業の健全な発展に大きく寄与しておるということは評価すべきであろうと思いまして、したがいまして、このような大企業でありましても対象からは除外するということはしなかったわけでございます。  ただ、大企業に対しましても支援措置を講ずる、ことになるわけでございますが、先生今御指摘のようにその支援の内容につきましては、例えば融資制度で申しますと、貸し付けの金利につきましても中小企業と大企業の場合には差を設けてございます。また、税制上の面におきましても中小企業と大企業とでは差があるものもございます。そのようなことで格差も設けてあるということでもございまして、特にこのような事柄でもって大企業について手厚い保護をしたというようには考えておらないものでございます。
  32. 田中恒利

    田中(恒)委員 中小企業と大企業の区別は今おっしゃられたようなことで線を引いておるようですが、私は常識的に三百人や一億が大企業なのかというちょっとした概念はありますけれども、しかしいずれにせよ運用上は一番困って倒れていくというか行き詰まっていくのは小さいところからだと思いますから、そういう点に十分配慮してもらいたいと思います。  本法による経営改善計画の認定は知事にあるということになっておりますが、これは国の委任事務、こういう理解に立ってよろしいかどうか、それが一つ。  それから、この認定に当たっては、この計画が有効、適切であるかどうかという判断、次にこの地域農業の健全な発展に資するものであるかどうかという判断、これが加わるということになっておるわけでありますが、この認定の二つの条件についての考え方をもう少し正確に、詳しく示していただきたいと思います。
  33. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 計画をつくりまして、都道府県知事承認を受けるという手続を必要としておるわけでございますが、この場合の知事承認は機関委任事務として行っていただくということを考えておるわけでございます。  計画承認に当たりましては、地域経済の中で農産加工業者地域農業との密接な関係の中でそのような地位を占めているということ、要するに地域の実情を熟知しておられますのは地域産業の育成を推進している都道府県知事であろうと思っておりまして、そういう意味都道府県知事が最も適当な判断のできる方というように考えたわけでございますけれども、他方、計画承認といいますのは金融なり税制上の支援措置をするかしないかの選別をするものでありますもので、余りに地域ごとにばらつきがあっても困るということでございまして、そういう意味から地域の実情に即しながらも全国的に整合性のとれた判断をする必要があるということのために知事にその仕事は機関委任事務としてお願いいたしまして、そして整合性のとれた判断というものをする考え方につきまして私たちの方からできるだけの指導を申し上げたい、このように考えておるところでございます。  そして、知事承認をするに当たりまして、先第一類第八号  農林水産委員会議録第四号生命御指摘ございましたように私たち考えておりますのは、一つはこの計画内容が、加工業者が「新たな経済的環境に円滑に対応するために有効かつ適切なもの」になっているかどうかという点と、それから「地域農業の健全な発展に資する」ようなものであるかどうかという点の二点は基本的な基準ということで考えておるわけでございますけれども、第一番目に申し上げました計画内容が、そのような企業自由化対応いたしましていろいろなことをやることによって新しい活路を見出していくために今考えていることが、本当に有効かつ適切であるかどうか。これは言ってみればそういう意味では当然のことだと思うわけでございますが、特に二番目に申し上げました「地域農業の健全な発展に資する」というところに私たち非常に重点を置いて考えておるわけでございまして、地域農業発展と、ちょっと言葉が悪いかもわかりませんが、方向が反対のようなものあるいはそれに沿ってないような一この地域は今後はこのようなことで、このような作目を栽培することを中心に今後生産性を高めていこうという計画があるときに、そのような方向に即してそれを加工する企業として、例えば事業転換をする場合に、その方向の事業を新しくやろうという転換になっておらないというようなことであれば、工場でありますればどこに立地いたしておりましてもその仕事はできるかもわかりませんけれども、地域農業の向かうべき方向というものに即したような形に計画内容、考えられておられます内容がなっておらなければ、それは地域に密着した、そして地域農業の振興に十分寄与するということにはならないのではないかといったようなことであろうと思っておりまして、計画審査に当たりましてはその方向づけを十分確認をいたしたいという趣旨でございます。
  34. 田中恒利

    田中(恒)委員 この地域農業あるいは地域を主体とした農政の取り組み方という問題は、これまたこれまでの日本農政の流れに対応して今日時点で非常に重要視しなければいけない点だと思います。私ども社会党も実はそういう観点に立って日本の農政のあり方というものを具体的に詰めていきたいということで、既に作業は始まっておるわけでありますが、その場合に、例えば地域というものは、行政単位で言えば、県がいいのか、市町村がいいのか。経済単位で言えば、最近、団地などというような構想もあるわけですが、それはいろいろあると思います。あると思いますが、一応県、そして県知事というところが現状ではやむを得ないのだろうと私も思いますし、また県段階の役割というのは非常に大きいのだろうと思います。  ただ、地域の判断というものは、例えば今一村一品運動といったようなものがあって、これは竹下さんも何か似たような政策を、一億円ぐらいばらまかれておるようですが、これは人づくりというか中核者づくりという視点では一つ意味があるのでしょうが、これが積もり積もっていったら一体どうなるのだ、つまりつくったものをどうさばいていくのだということになっていくといろいろ問題が出てきますね。ですから、単に地域の主体的な諸条件を組み合わせた計画だけで見るというわけにはいかない問題がありますね。そこであなたの方は機関委任事務という形で、一定の基準というか目安というか、こういう改善計画に対しての認定の諸材料などはそろえるのでしょうけれども、しかしそれがまた地域の意欲的な自主的な動きとどう絡んでいくのかという問題などもあると思うのです。  しかし、いずれにせよ、何らかの地域だけで完結できないという条件に対する指導や対応策というものを立ててないと、改善計画どおりやってみたら、もうどこもそうなので、いいということでやってみたらみんなばっさりお手上げ、こういう状況の繰り返しを我々はしておるわけでありますから、その二の舞を農産加工業の分野で——特に農業以上に農産加工業についてはいろいろ困難な状況があると私は思いますので、そういう点についての対策をどの程度お考えになって、今後どういうふうに詰めていこうとしていらっしゃるのか、この際明らかにしておいていただきたいと思うわけであります。
  35. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 先生御指摘の点はまさにおっしゃるとおりであろうと思います。  今、二つの認定に当たりましての基本的な基準ということについて御説明申し上げたわけでございますが、さらにそれをブレークダウンしたような基準を今鋭意検討中でございます。地域に即さなければならないのは当然ではありますけれども、あるいは全国的視野と申しますか、そのようなことも十分頭に置いたような方向づけ、それと整合がとれたようなものでないといけないのではないかという御指摘、非常に適切な御指摘かと存じます。私たち、具体的な詰めを今やっておりますけれども、先生のお考え等も御参考にさせていただきまして適切な基準づくりに努めたいというように考えておる次第でございます。
  36. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこでこの金融措置、つまり資金を融通していくということでありますが、これは農林漁業金融公庫資金になるわけでありますし、中小企業金融公庫、国民金融公庫、政府出資の公庫資金というのがこれに使われるわけですね。特に、我々今まで関係の深い農林漁業金融公庫の最近の融資の状況がどういうふうになっているか、ちょっと数字で示していただきましょうか、この二、三年でいいですが。
  37. 塩飽二郎

    ○塩飽政府委員 お答え申し上げます。  農林漁業金融公庫の貸し付けの計画と実績についての御質問でございますが、御承知のように農林漁業金融公庫は、農業、林業あるいは漁業の必要とする融資の中でも政策性の高い資金の貸し付けを分担いたしているわけでございます。具体的には基盤整備でございますとか機械、設備の整備あるいは農地の取得のための資金といったようなものを長期かつ低利の性格の資金として供給をしておるわけでございます。  具体的に貸し付けの計画とその実績について最近の数字で申し上げますと、昭和五十五年には一年間に、農、林、漁業三つを合わせまして農林漁業金融公庫から六千六百億余の新規の資金の貸し付けが行われたわけでございますが、最近は貸し付けの伸びが停滞をいたしておりまして、例えば昭和六十年では五千億、六十二年、これが一番直近の正式の数字でございますが四千九百六十四億ということで、五千億のオーダーを若干切り込む数字になったわけでございます。六十三年度は年度としては既に終了いたしておるわけでございますが、まだ若干集計に時間を要しますので正式な数字としてはまとまっておりませんが、六十二年度に比べてさらに低下をし、四千六百億程度になったのではなかろうかというふうに現時点では推計をいたしております。  ここ数年、今申し上げたような状況で、農、林、漁業三分野を総計いたしまして、公庫からの新規の貸し付けが低下の傾向を示しているということでございます。
  38. 田中恒利

    田中(恒)委員 本法による総融資額千五百億、本年度三百億ですね。これは完全に、よく消化できるのかどうか、正直言って私はちょっと心配であります。これまでの公庫融資の状況から見て、今も経済局長さんの方からお話がありましたように、これは全体の金融状況がこういう傾向にあるということは言えますけれども、それにしても、私も数字をずっと持っておるわけでありますが、昭和六十年度の貸付計画は六千八百五十億、決定額が五千五十二億、その差千七百九十八億、これは二五、六%になるのじゃないですかね。六十一年が六千五百億の貸付計画額に対して決定額が五千二百二十六億、その差千二百七十四億、六十二年が六千二百億の計画に対して四千九百六十四億、その差千二百三十六億、これは剰余というか使わなかったわけですね。  問題は、なぜこういうことになっておるのか。大きな金融状況もございますが、ここに問題があるわけでありますので、この際、政府のこういう状況になっておる原因についての御認識をひとつお示しをいただきたいと思うのです。     〔委員長退席、鈴木(宗)委員長代理着席〕
  39. 塩飽二郎

    ○塩飽政府委員 今、先生から資金の動向の背景についてお触れになったわけでございますが、私どもも、基本的には今先生の方からお話がございましたようなバックグラウンドがあるのではないかというふうに見ておりますが、やや具体的に申し上げますと、やはり農林公庫が担当いたしております機械、施設等に対する農家の整備率といいますか、投資による整備の内容がある程度一巡をしたという段階に来たのではないかということが一つの大きな原因としてあるであろうというふうに見ているわけでございます。  また、御案内のように農業、林業、漁業それぞれ状況は違うわけでございますが、いずれにいたしましてもその先行きについて不確定な要素が増している、非常に厳しい状況が迫っているというようなことで、農家がもう一つ将来に思い切った投資をしていくということに対する逡巡なりあるいは慎重になるという面、それが農林公庫の貸付実績にも反映しているのではないかというふうに見ているわけでございます。  私どもは、この農林公庫の資金が農家の投資あるいはそれを通ずる農業経営の質的な改善のために非常に重要な役割を持っているわけでございますので、理由なくこの資金が活用されないということ自体は非常に問題なわけでございまして、せっかくの資金をできるだけ有効に活用していただきたいという気持ちで、絶えず公庫の方にもお願いをいたしております。公庫の側でも、役職員一体となってこの資金の具体的な内容についてのPRあるいは関係者との一体となった貸し付けの努力ということで絶えず気を配ってやっていただいているわけでございまして、そういう努力の中において、やはり先ほど申し上げたような農家側の実情等を反映した最近の貸し付けの傾向ではなかろうかというふうに思っているわけでございます。
  40. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、この問題の中に今日の日本の農林水産業の実態がいみじくも明らかにされておると思うのです。もちろんいろんな農業機械などの一巡の問題もありましょうが、基本的には、お金を借りて返済をしていく力を失っておる、意欲もなくなっておる、こういう状況に追い込められているんだと私は思います。だから農林水産省の御認識よりももっと厳しく私たちはこの現状を受けとめておるわけでありますが、それにしても、制度資金というものについてはいろんな意見があります。当初は、確かに金利も安いし償還期限なども比較的長いから非常にいい、こういうことでありましたが、最近は御承知のように金融自由化というのが急速に進んでおる。独自のいろんな金融商品を銀行、証券会社などが開発をして国民にアピールしておるわけでありまして、金融業界は大変な激しい自由競争の渦中にあるわけですね。  そういう状況であるだけに、ともすればお上というか公のこういう金融操作の中には考えなければいけない問題が幾つかある。例えば、計画書の作成が非常にうるさい、借り入れの手続、認定をめぐって大変厄介だ、返済の方法などについてももっと簡単なものはできないのか、こういう複雑で、そして厄介だという意味の、これは借りておる人々の意見ですよ。私も、この前の国会で水産物の加工資金か何かの法案がありまして、私の知っておる水産業界や業者の諸君を何日か訪ねてみんなの意見を聞きましたけれども、もうそんなに政府資金は期待しておりませんよ、銀行に行ったら、さっとやって、こうですよ、こういう調子の意見が非常に強くて、改めて、今日本の金融界をめぐる自由化の大きな嵐に対応する制度資金のあり方、特に手続なり貸し方なり対応の仕方については根本的に考えてみなければいかぬという感じを持ったわけであります。今回の加工産業に対する資金もそんなに小さなものではないと思いますが、これはなかなかそこだけというわけにいかぬということもわかりますが、その辺の問題について相当弾力的に考えていくという姿勢を持っていらっしゃるのかどうか、この点もあわせてお示しをいただきたいと思います。
  41. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 農林漁業金融公庫という政府関係金融機関でございます。私たちが今御審議を願っております資金もこの農林公庫から貸し付けるわけでございますが、政策目的を持ったものでございますので、市中の普通の金融機関に比べましては若干手続が複雑となるという性格が本来あるのかと思っております。  しかしながら、この自由化への対応を円滑にかつ急速に進めていかなければならないわけでございますので、この資金の貸し付けに当たりましては、一つは、その前段となります知事の段階での計画承認につきましても、先ほども御答弁申し上げたのでございますが、審査手続等々できるだけ簡素化したいということを考えておりますが、具体的な公庫の貸付手続といいますか、利用者からしますと借り受け手続についてでございますが、具体的には今検討中でございますけれども、先生御指摘のようなところもございまして、またこれが迅速に行われなければならないということでもありますので、できるだけ簡素化する方向で考えてみたいと思っております。  その場合に、例でございまして恐縮でございますけれども、今御指摘ございました水産加工資金の例を見ますと、知事計画承認を出すときに、同時に公庫の方に借入申込書も出すことを認める。知事承認を待ってから後で出すというのではなしに、同時に金融機関の方へも借入申請書を出すことができる、こういうような道も開いておる先例がございますので、私たち、今御審議願っております今回の農産加工資金につきましてもそのようなことも講じてみたい、そしてできるだけ迅速に融資が現実に行われるということになるようにしてみたいと思っておる次第でございます。
  42. 田中恒利

    田中(恒)委員 金融というのは農業だけではない面もあるのでしょうし、なかなか厄介なこともある程度予想しておりますが、しかし一遍大臣なども、これは日本の経済の大きな欠陥みたいなものですから、確かに住宅の問題もありますしいろいろあるわけですが、ひとつお考えをいただきたい、大きな問題のように思いますので、よろしくお願いいたします。  そこで、こういう状況の中で一番恐れるというか心配をするというか、最悪の事態は、外国の競合原料なり製品輸入によって農産加工業のような零細な企業がつぶれるということです。そういうことになっていくと、企業の倒産、そして労働者の解雇というか、あるいは労働条件が徹底的に悪化をしていく。これは今農産物自由化反対の世論の中で、地域経済の悪化ということが言われておる、これが焦点になるわけでありまして、こういう問題が一番心配されるわけであります。特に、農産加工業農業の関係は、原料の供給の三〇%程度はいわゆる農産加工業が需要者になっておるという問題もありますが、私はやはり雇用問題、地域で一定の人々を就業させておる、これは非常に大きな柱だと思うのです。この雇用状況農産加工業との関連においてどういうふうに認識をしていらっしゃるか。これは労働省に言っておったと思うのですが、労働省、最近の雇用状況について簡単に特徴的に御説明いただきたい。
  43. 伊藤庄平

    伊藤説明員 最近の雇用情勢でございますが、全体的には順調な景気の拡大に支えられまして、非常に雇用情勢は好転を見てきております。ただ寸御指摘の農産加工の分野にどういった影響が今後農産物自由化との関連で出てくるか、私ども非常な関心を持って見ておるところでございますが、今後一連の支援措置が講じられることによりましていろいろ経営改善とか体質の強化が進む、そういうこともございまして、必ずしも今後どういった具体的な影響が出てくるかについては現時点で明らかでないわけでございます。  ただ、私どもが注意しなければいかぬと思っておりますのは、全体的な雇用情勢は非常に好転はしておりますけれども、地域的な格差といいますか、雇用機会の非常に少ない地域が農山村地域等を中心にございまして、そういったところでの新たな雇用機会の創出とか、そういった措置につきましては今までいろいろ積み上げて整備してきたものがございます。こういったものを機動的に活用いたしまして、現在、そういう雇用機会の乏しい地域での雇用の創出に全力を尽くしているところでございます。  以上でございます。
  44. 田中恒利

    田中(恒)委員 その程度のことしか一なかなか難しいんだと思いますが、やはり地域間格差ですね。これは全体としていろいろな問題が出ておるわけでありますが、この農産加工業農業との関係を結びつけて並列的に発展させていく、一体的に発展させていくと、大臣さっきおっしゃったんだが、そういう考え方からいくと、今の地域間格差がこういう形になっていくと、労働力は田舎というか農村、農業地帯からどんどん外へ出ていく、これに拍車をかけていく、企業が必要とする労働力は絶対非常に不足していく、こういう状況が予想されるわけでありまして、そういう意味でも、この法案の取り扱いをめぐっての重要な問題の一つだと私は認識をしておるわけであります。  本法第十条で雇用安定に関する規定がありますね。この雇用安定に関する事項に基づく発動というか、必要な施策をとるということでしょうが、そういうものはどういう状況の場合にこれが動いていくというか、十条が発動していくのか、これが一つ。  それから、現在、そういう事態になった場合にとられる雇用の対策は具体的にどういうものがあるのか、この点を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  45. 伊藤庄平

    伊藤説明員 先ほど申し上げましたように、農産加工の分野の雇用面にどういう影響が出るか、今後事態の状況を慎重に見守っていかなければいかぬわけでございますが、もし雇用面に何らかの影響が出るということになりますと、私ども、幸いにいたしまして構造不況業種の問題とか円高不況の問題の中で、失業の予防とか雇用を維持するための各種の助成援助措置あるいは新たな雇用機会を創出するための助成援助措置、そういうものを整備してまいりました。今後、この問題につきましても労働省と農水省の間で協議会を設け、そういった中に学識経験者とか関係業界の方にも入っていただいて、十分な情報の交換、意思の疎通の中でもし影響が出ることになれば、そういった助成措置を機動的に発動して対応していきたい。  例えば、こういった措置がございます。非常に影響を受け、一時的に労働者を休業させなくてはいかぬ、しばらく事業転換のために休業するような時期がある、そういった場合には賃金助成をいたしまして雇用を維持させていく。あるいは、事業転換なり新製品の開発等に備えて、労働から離れるけれども職業訓練とか能力の開発をやらなくてはいかぬ、そういった場合も、そういった期間につきまして賃金の助成をしていく、こういった措置。あるいは、雇用機会が非常に足りない地域におきましては、新たな事業所を新増設して新たな事業を開始するような場合に、そういった設備費用の相当部分について賃金助成とあわせて援助するとか、そういった措置がございますので、そういった措置を、今申し上げましたような体制を整備する中で機動的に発動することを用意していきたい、そういうふうに思っております。
  46. 田中恒利

    田中(恒)委員 第十条で雇用安定に関する規定というのがありますね。この雇用安定に関する規定が動いて、今労働省が言ったような当面諸対策がある。労働省のやっておる雇用とか失業とか、細かいものは非常にたくさんあるのですよ。私どももよく知らないような、農林省だって知らぬことがたくさんあると思うんだ。これは両省でよっぽど詰めて、やはりこういう最悪の事態を想定して、法律施行する前にきちんと体制をつくっておいてもらいたい、こう思いますが、この条項が発動する事態というものは、どういう条件が起きた場合にこれが考えられていくのか、その辺の詰めばどうですか。
  47. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 十条では二つのことが書いてございまして、一つ事業活動の縮小を余儀なくされたような場合におきましては、今雇用されております労働者につきまして、ほっておきますと失業ということになるわけでございますけれども、その失業を予防するあるいは雇用の安定を図るための措置一つは講ずる。それからもう一つは、不幸にして事業活動転換あるいは事業活動の縮小といったようなことに伴いまして解雇された方々が出た場合におきましては、その方々の再就職につきましていろいろな職業訓練なり就職のあっせん、あるいは生活の安定に資するためのいろいろな措置を講ずるということでございまして、具体的には先ほど労働省からお話がございましたような内容措置が講ぜられることになるわけでございます。  ただ、これがどのような時点にということでございますけれども、今私が申し上げましたような事業活動の縮小とか事業転換というようなことが起こった場合ということでございますけれども、一つ起こればどうかといったようなことではなかなか発動するのも難しい面があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、このようなことの運営に当たりましては、先ほど労働省からもお答えございましたように、このような件に関する協議会、これが労働省の中に設けられることになっておりまして、私たちもそのメンバーの一人となっております。したがいまして、このような場におきまして御議論を賜ることによりまして具体的な措置の発動条件等々につきましても決めていくことになるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  48. 田中恒利

    田中(恒)委員 答弁は要りませんが、この農産加工業というのは、先ほどからたびたび申し上げておりますように、大変零細でありますから、しかも地域も散在をしております。働く皆さんは、正規の職員という人よりも、極めてたくさんな人はパートであり、臨時であり、片手間であります。そういう特殊な状況なども十分踏まえて雇用の対策というものについてひとつ考えていただきたい。このことは要望をしておきます。  そこで、次に、日本の農産加工業というものが国際的に大きなところはもう既に有名になっておりますが、これだけたくさんな企業があるわけでありますが、品質を高めてコストを安くして十分太刀打ちできるという状況をつくるということはこの法案をつくっていく一つの大きなねらいになっておるわけでありますが、そのためには私は技術革新というものが必要だ。二番目は、やはり低いコスト、低コストをどうするかという問題ですね。そして三番目には新製品の開発、多様な製品をどんどんつくっていく。その競争は相当激しいと思いますが、そんなことが集約されるのではなかろうか。私どもは田舎におりますから、田舎の小さなジュースの加工場ぐらいしかよく知りませんけれども、そんな気がいたします。そして私どもの小さな地域でもそれなりに皆努力をしておりますよ。試験場というか研究員が、相当有名な大学から引っ張り出して、二人ぐらいしかおらぬけれども、例えばジュースでも、飲むだけじゃない、いわゆる食べるジュースというものは考えられないのか、そんな努力もいたしておりますし、殺菌の方法などについては、これは農林省にもお世話になっておるか知らぬが、相当愛媛ポンジュースなどは次から次と技術革新をやっております。そして、その他の小さなところでもそういうさまざまな努力は積み重ねておりますが、まだまだいろいろいっても限度があるわけであります。  そこで、農林省がこの種の新しい研究開発、施策、特にこういう小さなきめの細かい加工業などに対する援助をどういう考え方で進めておるのか。特にこういう点を中心にしてというようなものがあったらこの機会に示していただいておくことが大変必要じゃないかと思いますので、加工業に対する品質向上対策についての考えをお聞きをしておきます。
  49. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 先生御指摘のように、食品産業が国際化の進展の中で、あるいは消費者の需要が多様化し高度化する中で、そのような変化に的確に対応して健全に発展をしていきますためには、今御指摘ございましたように高品質あるいは新製品あるいはより低コストのものをつくり出していくという努力が必要でございまして、そのためにはほかでもございません、この技術開発が不可欠だと思っております。残念ながら、食品産業の現状ではこの技術開発投資というものが非常に低い水準でございまして、売上高の大体一%の程度でございまして、全産業ではそれは三%であるわけでございますけれども、食品産業技術開発への取り組みというのはまだ不十分であろうと思っております。  このようなことから、私たちといたしましては、ぜひ食品産業の中での技術開発を進めるために、先端技術開発とかあるいは中小食品企業技術水準の向上といったことを中心といたしまして技術対策も進めてまいっておるわけでございます。また、特にバイテク等の先端技術開発に関しましては、民間が共同して実施してまいる組織といたしまして技術研究組合を組織いたしまして、これに補助金を活用して支援するといったようなこともやっておるわけでございますけれども、順次そのような施策を拡充してまいりたいというように思っております。  新商品の開発のための技術につきましては、今申し上げましたような過程で大分新しい技術開発されてまいっておりまして、例えばミカンの皮を熱をかけずにむくという技術等も新しく開発されたようでございまして、このような技術、非常に省力化でもあるし、ミカンのフレーバーを損なわないで果汁をつくることができるというような技術であるようでございまして、実用化が待たれるといったようなもので、それも開発した次第でございます。
  50. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは、地方でどういうことをやっておるか一遍できるだけ調べて貴重な材料にしたらいいと思います。あなたのところの香川県は米の産地だが、いわゆる米の入浴剤というのが我々の地域では大分注目をされておる。あれで風呂の温泉みたいなそういうのをやっておる人もおる。私などのところでは、ミカンのかすを畜産のえさにするということをやっておるが、運び代がなかなか高いと言って頭を悩ましておる。大変細かいことで地域では最大限の知恵を出し合ってやっておるわけでありますから、そんなものなどを十分資料を集めて、可能性のあるものについてはどしどし援助をしていくという状況をつくってもらいたい、こういうように考えております。     〔鈴木(宗)委員長代理退席、委員長着席〕  法案全体について、今申し上げましたような私なりに問題と思う若干の点を指摘をいたしました。法案そのものでありましたが、今度は、法案の裏側であと残された時間、若干質問をさせていただきます。  それは、九つ対象業種があるわけですが、この中で比較的比重が高いと思うのは、やはりかんきつジュース加工業であります。ここに焦点を置いて当面の問題について議論をさせていただきます。  オレンジの自由化牛肉・オレンジ、大変長い日米交渉でありましたが、オレンジは一九九一年四月から、オレンジ果汁は一九九二年四月一日から完全自由化になる、その間にアクセスが緩和をされていく、こういうことになったわけでありまして、政府は、これに対して自由化関連対策というものを一応打ち出されておるわけであります。しかしその中心は、かんきつジュースで見ますとやはり二万二千ヘクタールの減反です。三年間でやるということであります。ミカン園二万二千ヘクタール、中晩かん四千ヘクタール、これを園地再編対策と称して進めておるわけでありますが、これは、ともかくミカンをつくるな、こういうことであります。それなりの背景や理由を政府としては説明しておるわけであります。  しかし、私はここで農林水産大臣に明確にお答えいただきたいが、今、自由民主党に対する批判、農政に対する批判が渦巻いておる。リクルート、消費税ともう一つ農政批判ということで、これは、与党の基盤であっただけに皆さんにとっては大変大きな問題だと思うが、いろいろ言ってもやはり自由化ですよ。特に私はかんきつの地帯であります。私もその一人ですが、三十年、五十年、六十年と育ててきたミカンの木を切るわけです。そういうミカン園に立った農民の気持ちというのは、金を三十万もらうから、五十万もらうからといって治されるものじゃございません。私は、ここに今の農政に対する非常に根強い農民の抵抗の姿が出ておると思っております。私は、こういう減反、つくるなということについて頭の中で一応の理解はできても、体の中では許せない、こういう気持ちでありますが、大臣は、この農民、ミカンを今切っておる、大体初年度はあれしておりますが、こういう農家の皆さんに対してどういうお気持ちでこの国会を通してお考えを述べていただくか、これが一つ。  それからもう一つは、かんきつ園の再編、一年度計画はもう終わったはずであります。本年度どの程度進められるのか、実績がどうなっておるのかさっぱり私ども承知していない。自分の県はこのくらいだということを何となく聞いておりますけれども、一体どういう状況になっておるのか、各県からどういうような傾向が出てきておるのか、こういう園地転換の再編の状況についてこの機会にひとつ明らかにしていただきたい、こういうように考えます。
  51. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいま田中委員の方から御指摘のとおり、地方農業の場におきまして確かに農政批判というのが起こっておるということは報道等が伝えるとおりで、私どももそのことをよく承知しております。ただ、このもとというのは、やはり自由化ということが一番大きなことであり、特にこれらは長いこと実は自由化を阻止してまいったわけでありますけれども、そういう背景の中で自由化になったというようなことでみんなが非常に不安におののいておる、私も率直にそのことは感じておるところであります。  ただ問題は、それではここで自由化せずに済んだのだろうかといったことを考えましたときに、一つの国際的なガットのルールというもの、そういう中に私たちは自由貿易という中で今日の日本をつくり上げているということを考えましたときに、本当にぎりぎりのやむを得ない措置であったというふうに思っております。ただ問題は、こういう交渉事なものですから、その都度その都度皆さんに一々報告しながら進めることができればよろしいわけでありますけれども、残念ながら全貌を皆さんに知らせながらやることはできない。というのは、これは交渉の人たちが——私たちだってやはりなかなか本当のことを、本当のことといいますか細かい問題について聞くような立場にはなかったということもありましょう。しかし私どもは、私自身も実はその現場なんかをのぞいたりなんかしておりながら、やはりぎりぎりの選択であったんだというふうに思っております。しかし、農業に携わっている方々にとりましてはやはりつらく厳しい試練であるということは十分認識しております。  なお、かんきつにつきましては、現在、まだ自由化される前でありますけれども、やはり大幅な過剰にあるということでございまして、需給の均衡というものは自由化というものがないとしてもどうしてもしなければならないということであろうと思っております。しかし、こういう機会に需給均衡というものを早急に回復させる必要があろうということで今度のような措置をとるということでありますから、園地再編対策という名前によりますところの廃園等を含みます措置というものは、産地体質強化を進めるためにはやはりどうしても避けて通れないものであったろうと思っております。このため私どもといたしまして、園地再編対策に対します特段の助成を初めとして生産、流通、加工、消費、各般にわたる対策を講ずることとしたものであります。しかし、ミカン農家が苗木を植えてから長い年月をかけて育ててきたミカンの木をみずからの手で伐採をする心情というのは察するに余りあるものでございまして、こうした農家の方々の心の痛みというものに思いをいたしながら、今後ともかんきつ農業発展のために私どもといたしましても最大限の支援をしてまいりたいというふうに考えておるところであります。  そして、先ほど委員の方から御指摘がありましたように、こういったものも、ただ飲みなさい、あるいは学校給食に出しなさい、その都度私たちもいろいろと工夫をしてまいったわけでありますけれども、そういったものだけで本当の需要拡大というのは図れない。そういう意味で、温浴剤といいますか、そんなものですとかいろいろな用途というものをこれから考えながら、ただ再編整備をするだけではなくて、需要の拡大という面にも相当思いをいたしていかなければいけないのじゃなかろうかというふうに考えておるところであります。  どのくらい今進んでおるのかということの具体的な御質問でございますけれども、これは農蚕園芸局長の方からお答えをさせていただきます。
  52. 吉國隆

    吉國政府委員 園地再編対策の進捗状況でございますが、この対策は御承知のとおり昭和六十三年度から平成二年度までの三カ年間で実施をするということになっているわけでございます。  六十三年度分につきましては、ことしの三月三十一日までに伐採を完了するということになっております。その上で他作物等への転換とかあるいは植林を行うというものについては、こういった作業を今年度中に完了していただく、こういう手続になっているわけでございます。現在の段階では、こういった伐採が行われました園地の面積を市町村段階で確認をしていただきまして、またそれに引き続きまして、伐採後こういった他作物あるいは他果樹への転換あるいは植林、廃園、そういった形態のどういうものに該当するかということを確認をしていただくというプロセスになっているわけでございます。  現時点では、この確認結果を集計しておらない段階でございますので明確な御答弁はできないわけでございますが、総じての印象として申し上げさせていただきますと、県によって若干のばらつきはございますけれども、多くの県で積極的な御努力をいただいていると認識をいたしているところでございます。
  53. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣の御答弁については、なおまたそれぞれ同僚が所信表明を中心に議論を深めさせていただくことといたしまして、今の進捗状況は、六十三年三月三十一日に完了していくと、今年度中というと、もう新年度に入っておると思いますが、予算もちょっとおくれてはおりますけれども、現在確認中、集計していないということでありますが、いつごろこれははっきりわかりますか。
  54. 吉國隆

    吉國政府委員 いつまでという期限は現在のところ設定をいたしておりません。先ほど申し上げましたように、他作物を植栽する、あるいは植林をするという作業は今年度中にやればいいということになっておりますので、そういった意味では最終結果が態様別に判明をいたしますのはしばらく先になろうかと思っております。
  55. 田中恒利

    田中(恒)委員 今年度中というのは、ことしのこの年度ですか。会計年度で言えば三月三十一日だが、出納閉鎖はもう少し後だが、いずれにせよ一年度の分はもう過ぎておるわけでしょう。確認はできないの。わからぬの。そんなのんびりしたことではこれだけの大きなことを——いつごろまでにこれをはっきりしていくということをやっていかないと、これは重大な問題でしょうが、自由化関連産業の。二万二千ヘクタール、そのうちの相当数、初年度は条件がいいからみんな急いでやっておるわけでしょう。
  56. 吉國隆

    吉國政府委員 御質問を前段の、いつまでにそういった植栽等をやればいいかという点については、今会計年度、つまり平成元年度中であればいいというルールになっているわけでございます。したがいまして、そういった態様別の最終確認というのはその作業が終わったところで行うことになる建前でございますけれども、今後の集計の方法につきましては、私どもも、伐採が先行しているという状態でございますから、よく検討してみたい、なるべく早く状況を把握できるように努力をしたいと思っております。
  57. 田中恒利

    田中(恒)委員 そうしたら、ことしじゅうに全部やってしまったら、初年度の単価の補助金を出してくれるのですか。一年度の分は正確に言ったら三月三十一日までと計画書を出して認定をして、それはちょっとずれておるということはわかりますよ。わかりますが、ことしの分はもう二年度の計画に入っていくのでしょう。そういうことじゃないんですか。
  58. 吉國隆

    吉國政府委員 先ほど申し上げましたのは集計の話でございまして、先生おっしゃいますように、初年度の分は六十三年度、つまりことしの三月までに伐採をしていただいて、それから植栽等の手続を終わって、市町村長の確認を得て、植栽をしない廃園の場合は廃園ということで確認を得て、それから助成金についての申請をしていただく、こういう手順になるわけでございます。  全国的にどれだけいったかということについての集計は、最終的にはそういった個々の転換等の態様を確認されたものが集計されてみないと正確なことはわからないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、私どもとしてもどういった進捗状況になっているかということについては重要な関心がございますので、必ずしも最終的なものでないにいたしましても、集計をする努力は今後検討してみたいと思っております。  したがいまして、おっしゃいますように初年度の分がどれだけいったということを今の時点で明確に申し上げられないわけでございますが、おっしゃいましたように、ただいまは平成元年度として二年度の分の作業もこれから始まっていくという時期になっていることはおっしゃるとおりでございます。
  59. 田中恒利

    田中(恒)委員 私もあなたと押し問答したって議論は……。あなたよりも私の方が中身をよう知っておるよ。だから一年度の分はもう集計が本当は出てきてなければいけぬのだが、ちょっとおくれて出てきてないのだと思うが、県などではある程度もうわかっておるところもあるわけですよ。全国集計を発表してないし、我々も全然連絡がないからわかりませんが、これはできるだけ早くやってもらいたい。要望でもいいですよ、答えはもらわぬでも。早くやってもらいたい、二年度の体制に入っておるわけですから。それでないと、一年、二年、三年で全部処理してしまうわけですから。一年度が一番大切なんで、それを私は聞きたかったのだが、ちょっと明確でありません。早急に一年度の集計を明らかにしていただきたいと思います。  そこで、たくさん問題があるのですが、転換の、数字でぴしっとしたものはわかりませんが、しかし傾向としては、例えば他の果樹とか他の作物への転換というものはそうたくさんなくて、ほとんどがミカン園を山の木に切りかえる、つまり山林、植林、あるいはもう全部やらない廃園、全部つぶす、この傾向が非常に強い、こういうふうに聞いておるのでありますが、そういう形になっておるかどうか、数字ではわからないのですけれども、傾向ぐらいはわかっていらっしゃるのではないですか。
  60. 吉國隆

    吉國政府委員 おっしゃるとおりでございまして、私ども、正確に数値的に申し上げられませんけれども、初年度の転換等の態様別の区分としては、相当部分が廃園または植林という形態での対応になっているという印象を受けているところでございます。
  61. 田中恒利

    田中(恒)委員 この対策については、私ももう何度かこの委員会でも議論したし、いろいろな説明も受けておりますが、これは適地適作の状況をつくっていくということでありまして、いいミカン園は残していくし、過剰であるから不適地と称するものについてはこの機会に可能なものにできれば解体し、どうしてもできなければ木を植えるとか、もうほったらかす、いたし方ない、こういうことであったと思うのでありますが、そういう方向に沿っているのかどうか。  つまり、いいと思われるミカン園がつぶされて、例えばこれは私も幾つか知っておりますけれども、跡取りがいない、もうこの際お金をもらうなら、あと三年か五年しかやれぬのだから全部やってしまおうということでつぶす。そうすると、その周辺はいいミカン園でありますから、そこだけが虫が食うみたいになっておる。こういうところが出てきておりはせぬか。それはあの転換要領では、交換分合というか、いいところと悪いところとの切りかえをやっていく、こういう手法もありますけれども、そんなことが行き届いてできておるのかどうか。  そうすると、この転換策というのは、園地転換というのは、ともかく適地適産で国際競争力を持つような立地条件なり、いろいろな技術を持っておるところはどんどんやらしていくべきである。どうしてもだめなところはかえた方がよかろう、これが基本でありますが、そういう方向に向かって進んでおるのかどうか、これが一つ。  それから、このために五百四十億の補正が組まれておりますね。この五百四十億の補正の積算について、つまり植林と廃園面積を大体どの程度皆さんの方ではお考えになってこの五百四十億というものは組み立てられておるのか、この点をお示しをいただきたい。
  62. 吉國隆

    吉國政府委員 まず第一点の、優良園地を残して悪い園地を整理するという問題でございますが、私ども、先生もよく御承知と思いますが、要綱その他の仕組みの面におきまして、この点は最も気を使ったところでございます。先ほど大臣からもお話がございましたように、需給均衡という点では避けて通れない課題でございますけれども、この機会に私どもとしては、消費者の嗜好にマッチした優良な品質のミカンができるまとまった産地を残していくという基本的な考え方に立ちまして、仕組みの上で、例えば都道府県の基本方針におきましては、園地の適地不適地の基準を明確にしていただく、また、地区ごとの再編計画をつくっていただく段階におきましても、農協あるいは市町村、普及所、こういったところが自然条件あるいは園地のまとまり等を踏まえて計画を作成するといったような手続を定めているところでございます。先生おっしゃいましたように、農家ごとの事情が区々でございますので、そういった農家の意向とのすり合わせをしながら進めていく必要があるというところに現地での対応での悩みがあるというふうに思っております。しかしながら一方では、農協を中心とします出荷体制の中におきましても、果実の品質との関係で市場価格が非常に大きな開きがあるということが実感を持って受けとめられているわけでもございますし、そういった客観条件の中で、話し合いの過程でそういった適地適産に即した計画づくりが行われて取り組まれているというふうに期待をし、認識をいたしているところでございます。     〔委員長退席、柳沢委員長代理着席〕  第二点の予算上の問題でございますが、園地再編対策予算、お話しのように、約五百四十億、昨年の補正予算で計上していただいたところでございます。この予算の積算に当たりまして、廃園、植林のウエートをどの程度見込んだかというお尋ねでございますが、転換等目標面積のうちのおおよそ三分の二程度がこういった形での対応になるという見込みで予算を積算したところでございます。
  63. 田中恒利

    田中(恒)委員 現地では、廃園や山林化が思った以上に多いので、これ、金あるんかの、こういう心配もありますが、五百四十億円はことしだけじゃない、ことしも来年もあるわけですから、そこまでのあれはなんでしょうが、そういう心配があるということだけは頭に置いておってください。それほど大きい。しかし、三分の二まで初めから頭に置いて考えておったということになっていくと、いいものをつくらすということ、適地適産ということよりも、やはりミカン園をつぶしていくという考えが中心になって動いておるように私は理解せざるを得ないのですけれども。  そこで、さっき大臣もちょっとお答えになっておったが、二万二千ヘクタールの減反、ミカン園をなくすれば、百八十万体制ということになるのですね。百八十万の生産量、この百八十万体制で需給の均衡が見込まれる、見込んでいるということですね。これで大丈夫なのかという心配もまたあることも事実です。しかし、需給が将来どういうふうになっていくか、これはいいときがあれば翌年は悪いというようなことの繰り返しでやっておるわけですから、なかなか私もそんなに簡単に出るものじゃないと思います。しかし、百八十万体制で、特に過剰だと言われる温州ミカンについては一つの考えを出されたわけでありますから、その根拠、一体、生が幾ら、ジュースが幾ら、そういうものがあるはずでありますが、それをひとつ明らかにしていただきたいと思います。  そして、これとあわせて、農産加工のこの法案関連があるわけでありますが、問題はいわゆる生のかんきつというかミカンとジュース、加工用、いわゆる生果と加工との比率、これがどういうふうになっていくと推計をしておるのか、これもあわせてお示しをいただきたい、こういうふうに考えます。
  64. 吉國隆

    吉國政府委員 ただいま先生お話ございましたように、この園地転換を進めるに当たりまして国内の温州ミカンの需給規模を百八十万トンというふうに想定をいたしておるところでございます。  まず生果につきましては、先生も今お触れになりましたように、果実消費がいわば少量多品目化しているという傾向がございまして、従来かなりの減退が続いてまいったわけでございます。一方で、ハウスミカンがふえてくるとか、あるいは新しい品種で風味の豊かなものが出てくる、こういったものに対する需要が増加しているという傾向もございます。私ども、今後新品種への転換あるいは施設栽培の普及、こういったことにも努力を進めながらやっていく必要があるというふうに考えているところでございます。そういった状況を総合いたしまして、生果につきましては現状の一割強程度減少するという想定をいたしまして、現状で約百三十万トンが約百十万トンになるという想定をいたしているところでございます。  また、果汁仕向けでございますが、オレンジ果汁の自由化に伴います影響というもの、これはなかなか予測がつけにくい点は確かにあるわけでございます。一方におきまして、相当消費者の嗜好がこれまた高品質のものへ指向していく、天然果汁が伸びていくというような傾向もございます。また、一方におきまして、割安な外国産果汁の輸入増加の影響が出てくるということが考えられるわけでございますが、私ども、楽観的な期待を前提にするということはできないという考え方に立ちまして、全体の生産量の二割近くということで平年ベースで三十万トン強のジュースの供給というものを見込んでいるところでございます。  それから、そのほかの需要につきましては缶詰用とか、あるいは若干ながら生果の輸出等もございますが、こういったものが約二十万トンというふうに想定をしております。その他、自家消費や腐敗、減耗というものを加えまして、全体で百八十万トンという体制を考えているところでございます。  そういった状況下で生果と加工向けの比率がどうなるかという点でございますが、生果と加工との比率では現状が大体七対三というのに対しまして、こういった園転が行われました後の需給規模としては、生果が約七六%、それから加工向けが二四%というふうに、加工向けの比重が若干減るという姿を想定いたしているところでございます。
  65. 田中恒利

    田中(恒)委員 一番大きな問題認識は、百八十万トンの体制、今その細目の御説明をいただきましたが、これで果たして需給ができるんだろうかという問題認識はありますし、これが失敗をすると、せっかくこれほど飛びおりるような気持ちでミカンの木を切ってしまってこういう結果になったということで、また意見が盛り上がってくると思いますから、これについてはいろいろ意見はありますが、そのことが一つの大きな問題。  それから、七対三の生と加工の割合が七六と二四。大体今までそんなに——多少減っていきますけれども、これで、今の政府の施策だけでいくんだろうかと私はちょっと疑問を持っておりますが、そういう点の御説明をきょうばいただいたということにしておきますが、このジュースというものについて、政府は国産のかんきつのジュースというものをどういうふうに見ていらっしゃるのか。私は、生果の価格調整機能のよりどころだ、こういう観点でこれまでも見てきたし、これからも見ていかなければいけないと思っております。しかし、自由化というものは生の問題も影響がありますが、一番大きな打撃を受けるのはこれなんですね。ジュースなんです。ジュースが最大の影響を受けるというふうに理解をいたしております。それだけにジュースというものに対して我々が政策的に目を向けなければいけない、こういうふうに私どもは考えておりますけれども、政府の方は日本のジュースというものをどう見ておるのか。アメリカやブラジルから大変安いものがどんどん入ってくる、これはもうだめになるのじゃないかという心配があるのか、いいものをつくっていけば競争できるというふうにお考えになっておるのか、その辺をちょっと説明をしていただきたいと思います。
  66. 吉國隆

    吉國政府委員 ジュースの役割と申しますか位置づけという点につきましては、私どもも、ジュースは生果の価格調整機能、需給調節機能という点で非常に大きな役割を持っているという点は、先生ただいまおっしゃいましたのと共通の認識を持っているわけでございます。つまり、豊凶の変動等もございますし消費の変動もございますので、生果の市場価格を維持するために、余分なものと言うと語弊がございますけれども、ジュースにしむけて、そこで生果の供給量を調節する、そういう役割を果たしているわけでございます。そういった意味では、農家の収益という面からいきますとジュースの位置づけは相対的に低いわけでございますが、生果の価格を中心にして農家の採算をとる、こういう構造になっているわけでございますけれども、これはジュースによる需給調整第一類第八号  農林水産委員会議録第四号平成元年五月二十三日能力が失われますとそういったことも難しくなるという関係になっているわけでございますから、御指摘のように需給調節機能としてのジュースの役割は将来ともに大切であると思っているわけでございます。  そこで、先ほど三十万トン強ということも申し上げたわけでございますが、どういうふうにそういったものが供給されていくのか、輸入品との競争がどうなるのかという点が当然問題になるわけでございます。私ども、今後非常に品質競争が激しくなってくる、消費者の嗜好というものがどう動くか、それにマッチするための努力が、国産、輸入ともにそういった努力が行われるというふうに思いますけれども、どういったふうに展開するかということ、実は非常に読みにくいところがあるわけでございます。しかしながら、私ども楽観的な見通しをベースにして進めていくことは危険であるというふうに思っているわけでございまして、価格面での競争力という点からいたしますと、やはりブラジルを中心といたします輸入かんきつジュースに比べましてかなり割高であるという問題が一方でございます。また、糖度が低いあるいは酸度が高いといったような特徴も国産ジュースにはあるわけでございます。しかしながら、一方で現在のミカンジュースの消費状況を見てみますと、単体で流通するものも相当程度ございます。現状で三分の一が単体で流通をいたしております。また、ブレンドされるものの中でも、ミカンジュースの色合いなりあるいは酸度を生かしたブレンドということによりまして、ミカンジュースの一定の役割があるというような現実もあるというふうに認識をいたしているところでございます。また、国内のミカンジュースの製法におきましても、これまた先生よく御承知のとおりでございますけれども、例えば凍結濃縮技術といったような世界じゅうでまだ使いこなしてない技術を日本で使いこなしている地域、先生の御出身の地域を含めてあるわけでございますが、そういう形での努力というものも行われて、それなりの消費における地位というものをだんだんに築いていくのではないかということも私どもとしては期待をしているところでございます。  しかしながら、先ほど申しましたような農家の収益からいえば、副次的な位置づけであるということもございますし、また外国産に比べて価格が高いということがございますので、そういった意味で三十万トン強、全体の生産量の二割弱になると思いますが、そういう程度をベースとしてこれから園転にも取り組んでいこうじゃないか、余り甘い期待を持たないところからスタートしよう、その上で品質向上の努力なりコストダウンの努力あるいは消費宣伝の努力をやっていく、また新技術の導入も進めていく、こういったことでジュースの展望を切り開き、この需給調整の役割というものを今後とも大切に守っていきたいというふうに考えているところでございます。
  67. 田中恒利

    田中(恒)委員 このジュースというものが日本のかんきつの価格形成、特に生の相場の価格形成に非常に大きな調整弁を果たしておる、今後もそういうような調整機能というものは大いに期待していく、今局長もそういうことをおっしゃったし、そういう面では私どもと余り変わっていない、こういうふうに考えております。  そこで、これまでの国産の果汁、つまりジュースの原料価格については原料用果実の価格安定対策というものがとられておったわけですね。それが今度特別補てん事業という形に少し名前が変わっておりますが、自由化関連対策として実施されるということであります。この特別補てん事業というものによると、ミカンとパイ缶のジュースは八年間、リンゴその他のジュースは六年間と実施期限がまず限られておりますね。これまでは原料用果実の価格安定ということで、保証価格と取引価格との差を国が見るということになっておりましたが、今度は、これでいくとあと八年間、六年間でどうなるか。切られるということになるのですね。そして価格は、最終的には保証基準価格を目標取引価格、つまり輸入ジュースの原料価格にさや寄せをしていく。たしか昨年はキロ当たり三十五円〇九銭であったと思いますが、これが八年後にはキロ十五円というところに焦点を置いて、入ってくるものにだんだん寄せていく、こういうことになっていくようでありますが、リンゴなどはキロ二十円ということも聞いておりますが、政府の方はこれを八年間で十五円まで下げていくんだから、今三十五円〇九銭ですが、これは毎年どんどん下がっていくわけですね。年次別にどれくらいずつ下がっていくということはあらかじめ推計しておるのでしょうな。八年間で必要なお金というのは補正予算で出ておるわけですから積算の根拠があるはずなんだが、そういうことがきちんとなっておるとすると、果たして生果の需給調整機能というものがこれで果たされていくのかどうか、私はやはり疑問を持たざるを得ない。極端に言えば、国産ジュースというものはもう太刀打ちできない、生一本で勝負をした方がいいという観点に立った政策が進められていくということになっていくのではないか、こういうことも考えざるを得ないわけでありますが、改めてこういうことで進めておるのなら年次別の下がっていく価格を、八年間分を示していただきたい、あるのならば。それから今私が申し上げたような考えが間違っておるなら、こういうところが問題があるというふうに指摘をしていただきたい、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  68. 吉國隆

    吉國政府委員 ジュースを切り捨てていこうという考えではございませんで、先ほど申し上げましたように、需給調整機能としての役割は維持していく必要がある、そうしなければ生果の方の採算が崩れるという関係になっているという基本的な考え方で取り組んでいるわけでございます。  そこで、お尋ねの価格のさや寄せの問題でございますが、現時点で制度上決まっておりますのは特別補てん事業、先ほどおっしゃいましたように一定の年数行うわけでございます。その後は通常の価格差補てん、今行っております異常な変動をならすと申しますか、そういう観点に立った価格差補てん制度は続行していく考え方をとっているわけでございます。  そこで、特別補てんでございますが、究極的には輸入品との競争可能な価格で供給をしていくという考え方に立ちまして、考え方としては先生おっしゃいましたように八年なり六年なりの間で競争力のある水準に持っていってもらう。その水準として、当面六十三年度と元年度の価格が今決まっているわけでございますが、ここにおきましては、先生お話のございましたような国際価格見合いの水準に向かって近づけていくという考え方で決めております。具体的には十五円程度水準に近づけていくという考え方で、平成元年産の保証基準価格というものを、お話ございましたように三十五円余りで決めているところでございます。将来各年度ごとの価格をどうするかという点につきましては、今後のジュースの需給動向あるいは輸入果汁の価格がどうなるか、また品質格差あるいは国産果汁に対する評価というものがどういうふうになっていくか、そういったことを見きわめながら各年次設定をしていく必要があろうというふうに考えているところでございます。
  69. 田中恒利

    田中(恒)委員 よくわかりませんが、ジュースについては八年後に国際価格と同じ状態にしていくということでしょう。それができるかどうか、それだけの自信があるのかどうか。やはりジュースというのはどういう事態になろうとも二割四、五分から三割近くできるのですよ。どんないいかんきつができてもやはり加工用のものというのは出てくると思う。事態によっては加工用の産地をつくって、そしてコストをぐっと下げて考えていくといったようなアメリカ型のものだって我々は考えなければいけないのですから、そんなに国際相場とストレートにつながらせていくというだけではいけない日本の国土と伝統があると私は思うのです。  しかし、仮にそうするとすれば、私はもうちょっと、議事録を見ておったけれども、ちょっと持ってきたところがわかりませんが、例えばジュースの缶というものは五〇%から五五、六%、コストの中で占めておるわけですね。中身はリンゴにしたって野菜にしたってトマトにしたってわずかなものだ。恐らく一四、五%か二〇%まででしょう。ほとんど缶が占めておる。そうしたらこれを政府はどうするのだ。自由化対策を立てると言って農林省の前の大臣が、いや各省ともあれしてやるんだと言ったときに、この問題、果汁というかジュースの場合は大きいんだから通産とも話してやってくださいよと言ったけれども、私も国会で質問したけれども、しかしどうも、なるがままに様子を見て、御趣旨はよくわかっておりますという程度なんですが、その後、この缶対策はどうするのか。こういうものまで含めて、コストを下げて、外国と太刀打ちできる状況をつくらなければ、私は今の話だけでは納得いかない。これも通産の人にどうなっておるのだと言ってこの問聞いたんだが、農林省も意見があったらひとつ出してもらいたい。
  70. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 輸入品と対抗していくために、農産物生産性を上げまして価格を下げていく必要がありますが、あわせて、今御指摘生産資材につきましても価格を下げていかなければいけない、製造コストを下げていかなければいけないということであることは申すまでもございません。今御指摘のジュース等の缶容器につきましては、円高等の影響もありまして、先生おっしゃったとおり国際的に見て非常に割高となっておりまして、競争力確保の点から非常に問題があると思っております。  ただ、缶容器の値段は企業間で個別取引ごとに決まっておりますので、私たち実情をなかなか把握できないのでございますけれども、ユーザー団体が集まりましてこのような問題を研究する組織もでき上がってまいりました。また、私たち農林省といたしましても、日本と比べては割安になっております外国産の缶の状況、品質なり取引条件なり価格なり、それが輸入できるかどうかといったようなことも含めて実態を把握したいと思って一四おります。また、缶以外の容器、瓶だとか紙だとかといったようなものにかえることができないのかどうかといったことにつきましても、真剣に検討していくための協議会といいますか、調査検討会を本年度やろうということで、鋭意この点につきましても対策を模索すべく努力したいというふうに思っておる次第でございます。
  71. 足立芳寛

    ○足立説明員 お答え申し上げます。  飲料缶の価格につきましては、先生御指摘のとおり国際的な円高の問題で海外品との競合、さらにはガラス、紙、プラスチックといったような他の製品との競合におきまして非常に困難な状況に陥っておるわけでございます。製缶メーカーも多大なる努力をしておりまして、過去五年ぐらいの間には缶の価格が一〇%程度下がっておるわけでございますが、さらにここ一年非常なる努力をしまして、現在のところ四%ぐらい価格の是正が行われておると聞いております。  しかしながら、このような努力だけで十分であると考えているわけではございませんで、今後とも缶の肉厚を薄くする。この肉厚を薄くするというのは、価格を下げるというだけではなくて、非常に軽い製品ができるわけでございますので、ファッション性と申しますか、ユーザーの皆さん方にも評価いただけるのではないかというような缶の肉厚を薄くする努力でございますとか、また製缶のスピードを上げて生産性を上げ、さらなる価格引き下げ、合理化努力に努めておるというふうにも聞いておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今後ともこのような技術開発というのが各種合理化努力の中心であろうかとも考えております。飲料缶の価格の是正が今後とも図られることを期待しておりまして、その動向を今後とも引き続き注視してまいりたいと考えておるところでございます。
  72. 田中恒利

    田中(恒)委員 少し長い間時間をいただいて質問をさせていただきましたが、最後に大臣に、大臣はこういうふうにおっしゃるだろうということは大体わかっておりますけれども、私はそれでもなおお考えをいただきたいと思いますよ、それは、いろいろ言いましても、私どもは果振法改正で第五条、議員修正で全党一致でやった。それはもう言うまでもなく、外国からの輸入の急増によって国内の農業農業者に重大な影響を与えた場合にはいろいろな施策をとって、需給調整もやる、調整保管もやる、いろいろな施策をやってもなおやまない場合には特別な措置を講じなければいけない、こういう規定になっておるのですね。これは議員修正ですが全党一致であります。自由化の真つただ中にこれをやりたわけです。当時羽田さんも自民党の有力者であったわけですから、これは御承知のはずであります。そして今度の日米の合意の中で、例えば牛肉輸入については緊急輸入制限というか、緊急な措置をすることができるという合意が日米間に成り立っておりますね。つまりこれは、中身は関税と輸入数量の制限であります。こういう措置が認められておる。ですから、やはりオレンジ・牛肉自由化であったら、オレンジの場合は、生もありますけれども、我々が一番心配しておるのはやはりジュースですよ。だから、焦点を絞ればジュースなんですが、これはやはりそういう意味では、この第五条というものが日本の国内の法律にあるわけでありますが、これはもうずっと前にアメリカと話ができておるのでありますが、私はこれを考える必要があると思うのです。ところが、これについて私はもう何遍も言っておる、参議院でも言っておるはずですが、どうもみこしが上がっていない。そのときの状況で、ガットなどとの対応もございますのでということでありますが、これは国内法でありますから、国内法の場合は私どもが承知しておる範囲では、この種の条文についてはさらに政令が出てきて、こういう状況、かくかくしかじかの状況、異常な事態とはこういうものである、こういうものが出されないと法律が発動しないというふうに聞いておるのですね。ところが、それなのにみこしを上げぬ。例えば国会でいうと、そのときになっていろいろな諸般の国際関係なども考慮して判断をします、こういうことですね。しかし、それでいいのかどうか。せっかく法律ができておるんだったら行政庁としてはこの法律に基づいた行政庁の対策を連動してつくっていく。私、これをつくらなかったら怠慢じゃないかとさえ思うのですが、これは一遍内部で、本当に、こういう状況の中で、私は今すぐこれがどうこうという状況にあるとは言いませんけれども、しかしやはり自由化関連後の大きな国政の、農政の問題として農林大臣がこのことについていろいろ検討もしていただきたいし、意見もいろいろな各層から聞いていただきたい。私はこれが出されておったら、やはりそうは言ったって自由化に伴う一つの具体的な対応策ができておる、全部とは言いませんが、あるんじゃないかと思います。これが一つであります。  それから、今のジュースの問題は、局長さんのおっしゃることもそれなりにいろいろな背景もあり、状況もあるのでしょうが、私はどう見たってジュースというのはもうあきらめるのかなという考えが底に流れておるように思えてなりません。私どもはできれば全党でと思いましたが、なかなかいろいろな事情で話がまとまりませんでしたので、この委員会に果樹農業振興法の一部改正案を野党が提案をしておることは御承知のとおりであります。この中で、子牛に不足払いを採用したんだから、ジュースもこれまでの行政措置としてなされてきた補給金制度の歴史から見ても当然ではないか、そしてジュースというものが持っておる価格安定調整弁としての機能を考えていくと、これはやはり考えるべきじゃないかということで提案をいたしております。これは与党の諸君が協力というか賛成してもらわなければいけませんし、むしろ私どもは与党がこれを積極的にやってもらいたいということを申したつもりでありますが、残念ながらまだ日の目を見ておりません。今後ミカン園の大幅な転換というか、こういう事態の中で、私はこれもまた課題として十分に行政庁の方でも検討していただきたいというふうに考えておりますので、この際、もう最後でありますが、意見を申し上げて、大臣の御意見がございましたらお伺いをいたしたいと思います。
  73. 羽田孜

    羽田国務大臣 もう答えはわかっているというお話でございますけれども、第一の問題につきましては、この条項制定の経緯についてはよく承知しておるところであります。ただ問題は、先生から今まさに御指摘がございましたように、本法の発動につきましては国際条約上の義務との関連がございまして、どのような場合にどのような措置を講ずるかをあらかじめ定めておくということは非常に困難があるというふうに考えております。いずれにいたしましても、本条の趣旨を体しながら適切に対応していきたいということを申し上げておきたいと思います。  なお、野党の皆様方から御提出ございましたこの果振法でございますけれども、先ほど局長の方からもずっと御答弁申し上げておりますように、ジュース用のミカンは確かに従来から加工用というよりは、今先生、加工用も将来はつくらなければいけないのではないかというお話があったのですけれども、従来からやはりこのミカンというのが需給調整といったことで副次的な一つの性格を持っているということであろうと思っております。そういう意味で、国際競争関係と切り離していわゆる不足払い制度をとるということは果汁用のミカンが、ひいては生果の供給過剰をもたらしてしまうということを恐れるものであります。そういうことになりますと、結局かんきつの健全な発展という観点からむしろ問題になろうかと思っております。そういう意味で私どもといたしましては、従来から行っております通常の価格補てんに加えまして、オレンジ果汁の輸入増の影響によるジュース用かんきつ価格の低下に相当する分を、先ほど来お話し申し上げておりますように一定期間補てんすることといたしております。これによりまして国際競争力を持った果樹産業を育成していくことが、かんきつ生産性の向上あるいはジュースの品質向上等の対策とも相まって、かんきつ農業全体の健全な発展を図ることになろうというふうに考えておるところでございまして、私どもがとります措置に対しましてぜひとも御理解を賜りますようお願いを申し上げておきます。
  74. 柳沢伯夫

    柳沢委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  75. 堀之内久男

    堀之内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沢藤礼次郎君。
  76. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 お許しをいただきまして質問させていただきます。  提案されております特定農産加工業経営改善臨時措置法案内容等についてもちろん質問申し上げるわけでありますが、私は、質問時間の多くを割きまして、農産加工そのものが現在の日本の農業の中でどういう位置を占めているか、あるいは国民の食生活にどういう影響を及ぼしているか、今後農産加工という分野の仕事を農村振興、農山村活性化にどう生かしていくかという視点で大臣その他の方々の御所見を賜りたいと思うわけであります。  本論に入る前に二つ三つ実態についてお尋ねをし、明らかにしておきたいことがございます。  一つは、農畜水産加工品の流通実態についてお聞きしたいと思うのです。特に農産加工品及び加工原料が最近海外に依存している度合いが高まってきているという実態があるように思うわけであります。これは後ほど詳しく触れますけれども、日本農業とのかかわり合いあるいは食糧の安全性という問題で見逃すことのできない現象だろうと思いますので、加工品及び加工原料がどの程度海外に依存しているかという実態についてまず最初にお聞きいたしたいと思います。
  77. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 お答えを申し上げます。  加工食品が我々日本国民の食料消費の中にどの程度ウエートを占めてまいっておるかということでございますけれども、家計調査の結果によりますと、食料消費支出自身は近年増加傾向にあるわけでございますが、その食料消費支出の中に占めます加工食品の割合はここのところずっと大体四五%程度で推移してまいっております。ただ、このような項目と並行して外食の動きというのがあるわけでございますが、外食は非常に伸びておるわけでございまして、この中に加工食品が外食という形でかなり消費されているのではないかということも考えられるわけでございまして、そういう家計ベースではなくて国民一人当たりというような感じで見ますと、加工食品の消費の伸びは今申し上げました数字よりかは若干多くなるのではないかと考えております。  それから、その加工食品が輸入される度合いといいますか、状況でございますけれども、現在の円高基調のもとにおきまして、生活の多様化なりあるいは高度化なりといったことを反映いたしまして、六十三年には、円ベースでございますけれども対前年比一八%増という状態になっておるわけでございます。  それから、今度原材料の方でございますけれども、食品製造業で使います原料に占める輸入の原材料の割合でございますけれども、食料品製造業全体でこれを見てみますと大体四割強ということになっております。ただ、食品製造業の中にも大きく分けまして二種類ございまして、製粉とか砂糖とか油脂とかいった、私たち素材型業種と言っておる業種でございますが、これにつきましては大体八割、それからパンとかお菓子とかいった加工型という業種で見ますと大体三割程度というような状態でございまして、このような状態は大体横ばいで動いてきておるということが言えるかと思います。
  78. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 今お聞きしたわけですが、お答えいただきましたように加工品の家計食料費に含まれる割合も大変ふえてきておると思うわけであります。  私、岩手でありますけれども、こういった農産、水産、畜産品を取り扱っている流通業者を調査したのですが、こういうことが指摘されました。一次加工品でその業者の取り扱っている輸入品が取扱量の四〇%になっている、それから、輸入原料を使って国内加工品をつくっている、その分を含めると六〇から七〇%が海外のものだというふうに業者から聞いたわけであります。  いろいろな資料はあると思いますけれども、いずれにしても加工品そのものあるいは加工の原料そのものを海外に依存していることの度合いが年々ふえていることは確かなようであります。このことは、今後の加工を進めるに当たって例えば国際化の影響を受けるのではないか。円が高くなったり安くなったりする場合の輸入のふえる減る、あるいは豊作のとき、大不作が来たとき、そういう不安要素もあるわけでありますから、できる限り国内の、足元でもって原料を確保することが食糧の一つの、健康食品といいますか安全性からいっても望ましいと思うわけです。なかなかそうはいかない面もあると思いますけれども、基本的には私はそう思うのですが、お考えいかがでしょうか。
  79. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 今さら申すまでもないことでございますけれども、食糧は我々国民の生活にとりまして欠かすことのできない最も基礎的な物資であります。したがいまして、その安定供給を図るということはどうしても必要なわけでございまして、このことは食糧の一部でございます加工食品についても同じであります。したがいまして、この加工食品につきましては食品加工業が供給を担当いたしておるわけでございますが、できるだけ、いろいろな困難な問題もございますけれども、これの振興を図りまして、加工食品の国内の供給体制の確立ということに今後とも力を注いでまいらなければならないというように考えておる次第でございます。
  80. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 この問題は打ち切りたいと思いますが、先ほど申し上げました業者から聞きましたところが、例えばグリーンピースはもう一〇〇%アメリカ、ニュージーランドからの輸入品である、ホールコーンは一〇〇%アメリカからである、エダマメが国内産三〇%であとは台湾が七割だというふうな実態とか、果実関係、イチゴ、ブルーベリー、マンゴスチン等、果実類はカナダ、アメリカがほとんど一〇〇%というふうな取り扱いの状況を聞いてまいったわけであります。想像した以上に非常に外国に依存している実態が加工業あるいは原材料の中にも進んでいるということを痛感したわけであります。  このことを胸に刻みながらこれから先の質問を続けてまいりたいと思いますが、もう一点、日本の家計費で飲食料費として支出をするそれを一〇〇とした場合に、そのうちの幾らくらいが農家の、農民の懐に入るだろうか。つまり、生産をする、流通、加工、いろいろな段階があるわけですが、最終的に最終消費者が食料費として払うその一〇〇のうちどのくらいが農民の懐に入っているかということについて、私は多分二〇%台じゃないかと思うのだけれども、資料があったらひとつお示し願いたいと思います。
  81. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 ただいま先生のお尋ねの件でございますが、私どものデータといたしましては、総理府ほか十省庁の産業連関表というのがございます。それから先生のおっしゃる方向で試算をしてみますと、最終消費者の飲食総支出額、これが五十七兆九千八百二十億円になっておりまして、そのうちいわゆる農水産業が受け取る金額は十五兆五千七百六十億円であります。この数字からいきますと全体の二六・九%になるわけでございますが、なお、これには輸入分が入っております。したがいまして、先生御指摘の国内の農林水産業者が受け取る金額をはじいてみますと十三兆四千五十億になりまして、先生御指摘のとおり全体の二三・二%になります。
  82. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 以上御質問申し上げました幾つかのことで明らかになったわけですが、日本の農産加工を支えている背景あるいは基盤というものの中に幾つかの特徴が浮かび上がってきたと思うので一六す。それは、原材料あるいは加工品そのものも含めてでありますが、海外に依存している度合いが非常に大きいということ、それが逐年数字が大きくなってきているということ、そのことと日本の国内農業とのかかわり合いを今後どう考えていくかという問題が出てくると思います。  それから、これも後で触れますが、海外に食糧あるいは原材料を依存した場合のポスト八一ベストを含めた食糧、食品の安全性という問題も出てくるであろうということが予測されるわけであります。  そして、最後に御質問申し上げましたいわゆる農家の取り分、食料にかかわる国民の総支出の二〇%ちょっとしか農家の懐に入ってないということを私は重要視したいわけであります。もちろん加工業者、流通業者それぞれの役割があり、それぞれの取り分があるのは当然でありますけれども、最も食糧の生産に苦労し、直接参加している農民の取り分が非常に少ないということを改善させる方向に努力をしなければならないし、そのポイントはやはり農産加工ではないだろうか、農民あるいは農業団体による農産加工ではないだろうかということを申し上げたいわけであります。  そこで、大臣に質問申し上げるわけでありますが、日本の農業あるいは現在の日本の農山村がかなり苦しい状況にある。特に農山村の過疎化が著しく進行している、農村が疲弊しているという状況の中で、農業、農山村の活性化のポイントの一つは、私は一次産品に手を加える丁五次産業、農産加工であろうというふうに思うわけですが、この点について、日本農業に占める農産加工、これは冷凍とかそういった備蓄等一次加工も含めてでありますが、農産加工の重要性ということについて大臣の御所見を賜りたいと思いますし、今後農業振興、農山漁村活性化に果たすべき農産加工の役割についてどのように御理解なさっているか、基本的なことをお聞きいたしたいと思います。
  83. 羽田孜

    羽田国務大臣 今、るる日本人の食生活における農産加工が占めている割合、あるいはそういったところに提供される原料等幅広い御議論があったわけでありますけれども、私も、農産加工業、すなわち食品製造業でありますけれども、これにつきましては国産の農水産物、生産物、これの安定した販路の場、これを提供しているということをまず第一に考えます。  それからもう一つは、我が国の経済の中で一つの一大産業分野を形成しておるということでありまして、特にその中でも多くのものは地場で、一・五次産業というような御指摘がありましたけれども、地域の中で生産されたものが、それが加工されて消費者の手元へ届けられるということで、今地方で活発に食品産業というものが興っておるということがございます。そういう意味一つの大きな雇用の場あるいは所得の機会、こういうものを提供しておるであろうというふうに思います。その意味で、今や国民に対する安定的な食糧の供給を図る上で農林水産業と並んでまさに車の両輪、こういう立場に今農産加工業というものはあるのであろうと思っております。  今後、サービス経済化の進展等の経済基調の変化、さらには価値観、ニーズの多様化等国民意欲の変化が進む中で国民の食生活における食品製造業の役割というものはさらに増大していくものであろうと思います。そのために、その体質経営基盤の強化、これを図っていくことは、単に工業、食品産業というものを助けるというだけではなくて、農業にとっても非常に重要なことであろうと思っております。そのために私どもといたしまして、食品製造業のニーズにマッチした原料供給体制の整備というもの、これをきちんといたしませんと、先ほどお話がありましたように、国内からこういった工業が他国に原料を求め、そちらで製造し、こちらの方にまた逆輸入してくるというような現象も起こってくるということを考えたときに、こういった体制の整備というのは非常に重要であろうと思っております。また、食品製造業、これの特質を踏まえました技術開発というものの推進というものもやはり非常に重要であろうと思っております。  いずれにいたしましても、地域に立地いたしますところの食品製造業の振興、これをさらに私ども農林水産省といたしましても支援してまいりたい、かように考えておるところであります。
  84. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 ありがとうございました。  今回提案されております臨時措置法案の「目的」の結びの部分に、特定農産加工業者経営改善を図り、「農業及び農産加工業の健全な発展に資する」、こうあるわけで、直接的にはこの臨時措置法案の対象というのは特定農産加工業者ということになるのだろうと思いますけれども、それを包み込んで、農産加工というものが、ここに言われております「農業及び農産加工業の健全な発展」ということを念じながら今後農政を展開していただきたいということを強くお願いを申し上げておきたいと思うわけであります。  その「発展」ということを具体的に幾つかの分野で検討してまいりますと、問題点がかなりあるわけであります。それを幾つか指摘をしながら御質問申し上げたいと思います。  一つは、きのう、私、岩手のある農協で経営しております農産加工場に行ってまいりました。また、先ほど申し上げました食料品の流通業者にもお会いして実情をお聞きしたのですが、やはり今後日本の農村自体、農民自体が、誘致企業である地場の中小企業とともどもですが、農産加工を定着、発展させるための大きな問題点は、原料の調達と販路の拡大であろうということの指摘を受けてまいりました。  そこで、原料の調達ということになりますと、一つの施設設備を備えて通年操業できるような体制にしないと、これはなかなか経営としては成り立たない。となりますと、どうしても広域的に加工に必要な原材料の計画的な生産計画的な集中供給という体制をとらなければ、単位農協とか市町村単位ではとても対応し切れない、こういう指摘がございました。そういったことで、結局は比較的価格の安い海外の原材料に走るという傾向が強くなってきておる。  そこで、今後の課題として、農山村に農産加工を活性化の一つの大きな軸として定着させる一つのポイントは、ある面積といいますか、市町村単位を超えまして、例えば岩手の場合は数カ所の拠点の加工工場を配置する、それに対する原材料の供給をできるだけ地場産業で背負うという体制をつくるためには、農協中央会、県の中央会なりあるいは経済連なりというものと、県なら県あるいは行政というものがタイアップして、計画生産計画供給というふうなことが必要であろうし、販路の拡大ということになった場合もやはり大手の商社にはちょっとなかなか太刀打ちできない、もうテレビその他でもってばんばん宣伝やっておるわけですから。とするならば、一番基本的に大事なのは、地場消費ということを基本に据える必要があるのではないか、その一つのルートとして学校給食なり病院給食があるんじゃないか、こういう指摘もあったわけであります。  その裏打ちの一つの考えとしては、ただ単にルート拡大ということだけじゃなくて、地場の第一次生産品を原料にしてつくられる加工品というのは消費者が商品の顔が見える、原材料の顔が見える、つまりどこの原材料を使って、どうつくられているかということがわかる。それに対する信頼度あるいは食品の安全性ということに対する信頼度というものが深まるんじゃないかという両面からして、地場供給、そしてまた製品の地場の販路拡大ということが基本となって大事なことではないかなと思ってまいったわけですが、このことについてのお考えと、文部省あるいは厚生省から来ていただいているわけですが、学校給食なり病院給食なり、そういったものとその地域農産物生産団体との連係プレーというものが、どこがリーダーシップをとるか、ちょっと私も自信ないのですけれども、これは真剣に考えていいことだし、給食の中に地場の生産物を多く取り入れるという努力をするべきだと思うのですが、そのことについて農水省それから文部省、厚生省のお考えをそれぞれお聞きしたいと思います。
  85. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 食品加工業が存立を安定的にしていくために、一つは原材料を通年的に調達することができるような体制をつくること、もう一つはその販路の拡大。けれども、地域に所在する食品産業でございますので、できるだけそれは地場消費と申しますか、その地域で消費できるような体制をとる必要があるのではないかという御指摘でございますけれども、まことにごもっともではないかというように存ずる次第でございます。  今までややもすれば、食品産業に原材料を供給しております農家の側におきましては、市場に生鮮として出すというのがやはり主でありまして、値段の高いときにはそれに売るけれども、たくさんできて、言葉が不適切かもわかりませんけれども、処理するときに買ってもらうということで加工業を位置づけて考えるという傾向がなきにしもあらずであったわけでございます。そのような面につきましては、やはり生産者の面でも反省をいたしまして、加工業が必要とするような品物につきまして必要とするような時期に安定的に供給していくということでの心構えなり、そのような仕組みをつくり上げるということが非常に大切なのではないかというように私たちは思います。  それから、販路の拡大につきましても、当然のことでございますけれども、やはりその地域でとれましたその地域の豊かさを結晶した産物はその地域に住んでおられる方々にとって一番いい食糧あるいは食品であるわけでございまして、地域での付加価値を高めて農家の所得の向上にもつながるという意味合いもあるわけでございまして、地場消費の拡大を図っていく、流適合理化の面からしても意義のあることなのではないか、基本的、抽象的で申しわけございませんが、こういうように思っておる次第でございます。
  86. 下宮進

    ○下宮説明員 学校給食についてお答え申し上げます。  学校給食の食材料につきまして、地域の実情に応じて地元の農産物を購入いたしますことは、地域農業の活性化や農業の振興を図るという観点から、大変意義深いことであるというふうに考えます。  また、このことは学校の児童生徒にとりましても、地域農業をやっておる方々に対する感謝の気持ちとか、さらには地域との触れ合いを深めるという好ましい面もございますので、文部省といたしましては、このことが円滑に進みますよう、都道府県教育委員会等に対して指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  87. 澤宏紀

    ○澤説明員 病院給食についてお答えいたします。  病院給食は、医療サービスの重要な一部であり、その質の確保を図っていくことが大切であると認識しておるわけでございますけれども、厚生省といたしましても、そのような観点から病院における給食業務の衛生的な取り扱いについては従来より厳しく指導を行ってきているところであります。したがって、先生の御指摘のように、病院が農協と連携をして地元の農産物等を購入するということも材料の質の確保という観点からは一つの方法であると考えております。
  88. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 時間を見ながら質問を進めさせていただきますが、次に、人間の健康と加工食品との関係で幾つかお尋ねいたしたいと思います。  先ほど冒頭にお聞きしましたように、加工品あるいは原材料が海外に依存する度合いがふえてきているという実態の中で、やはり心配になるのは防腐剤、防虫剤等の薬品の使用ということではないかと思うわけであります。  五月十一日付の毎日新聞に「収穫後の農産物 憂うべき農薬使用」という記事が出ておりまして、例えばアメリカから入ってくる「朝食に食べるコーンフレークやオートミールなどは、箱入りの製品になったあとでも、虫がみつかれば殺虫剤でくん蒸」するとか、ポスト八一ベスト農薬として、日本側では使用が違法になるようなポストハーベスト農薬が見逃されていたのではないかというふうな、これは疑いということになると思うのですけれども、それから、「日本へ輸出するイチゴ、サクランボについては、日本側からの要請で発がん性の疑いがある臭化メチルでくん蒸されていることがはっきりした。」というふうな記事を散見するわけであります。  これはあり得ることなので、私も食品化学出身ですから、食糧、食べ物ということの基本は、腐るのは当たり前だ、腐らない食べ物はおかしい、しかも長い間の船旅その他で変質しない食べ物というのは尋常じゃないというのが私の基本的な認識なわけです。そういった心配について、無害といいますか、特に健康に心配のないものであればもちろんいいわけですけれども、このような今の記事のように心配があるとすれば、これは今後食糧そのものの輸入あるいは加工原料の輸入に当たって十分な監視、検査体制というものが必要ではないだろうかと思うのですが、この点については厚生省でしょうか、お答え願えますか。
  89. 松田朗

    松田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、最近の輸入食品の増加は著しいという認識でございまして、国民の健康の面から見まして、やはり衛生的、安全な食品でなければならないと考えておるわけでございます。私どもがつかんでいる数字では六十三年度、件数にいたしまして六十五万件、重量にしまして二千二百万トンのものが輸入されているということでございまして、輸入食品等の監視業務につきましては、全国の二十の海空港におきまして現在七十八名の食品衛生監視員がその検査監視業務に当たっているわけでございます。また、それに並行いたしまして、輸入業者に対しましては、食品衛生法違反の食品等の輸入を未然に防ぐための事前の相談を行うとか、あるいは輸入食品等の衛生に関していろいろ関係の者に指導を行う、さらには輸入食品を取り扱う場合いろいろ書類の手続がございますが、そういうものにつきまして書類で申請されたものについて厳重なチェックを行うというふうなことが行われております。  しかし、何と申しましても一番重要なのは、やはり輸入食品の検査体制であろうと思います。したがいまして、書類審査の結果、必要なものにつきましては検疫所あるいは国立衛生試験所におきまして検査を行い、食品衛生法に違反するものについては廃棄処分あるいは積み戻しその他の処置をとっておるところでございます。今後ともふえ続ける輸入食品が想定されますので、そういうものに対応するために検査機器の整備あるいは食品衛生監視員の増員、職員の技術研修等の実施等、従来行っていた政策をさらに進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  90. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 重ねてその点について質問申し上げますが、添加物ですね、食品への添加物ですけれども、粘着剤であるとか合成保存料、酸化防止剤、発色剤、合成着色剤、いろんな添加物が広く使われているわけですけれども、例えばある業者と申しますかから話を聞いたのですが、このように例えば発色剤使っていますよ、酸化防止剤使っていますよということはわかっても、それが一体どういう薬品なのかということまではなかなかわからない。亜硝酸ナトリウムが使われているのではないかという疑いを持っている業者もいました。ということからした場合に、この添加物の表示の方法ですけれども、使われている薬品名までを明示するという必要があるんじゃないか。消費者は年々やはりこういうことに対しては関心が高くなっておりますし、勉強の度合いも進んでおります。本にもたくさんいろんなことが書いてあります。もう一歩踏み込むべきではないかと思うのですがいかがでしょうか。あわせて、これは農水省でしょうか、加工品及び加工品原料に産地を表示する、この製品のパイナップルは台湾ですよ、このイチゴはカナダですよというふうな格好で産地表示をするべきだと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  91. 内山壽紀

    ○内山説明員 お答えいたします。  食品添加物の表示につきましては、実は今、改善、改正のための作業を準備中でございまして、化学的合成品といわゆる天然添加物につきましては、原則として使用した食品添加物は全面的に表示するという改正を準備中でございまして、これは平成三年の一月一日から実施することで今、作業を進めているところでございます。
  92. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 原産国の表示の点でございますけれども、私たち農林水産省におきましては、食品を消費者が求めるときの選択に資するためにいろいろ規格を決めたり、そしてその規格をきちっと表示をしたりする制度、JASという制度がございますけれども、そのJASの制度によりまして、この表示の中に原産国を表示しろということにいたしております。ただ、その場合の原産国が、これは加工をしたところとパックをしたところということになっておりまして、その内容物がどこから来たものであるか、どこからの輸入品を加工したものであるか、だから、例えばアメリカから輸入いたしましても、日本で缶詰なら缶詰にしますと原産国日本ということになるわけでございますけれども、それではいけないじゃないかということで、原料原産国という概念があるわけでございますが、そのような形にして表示をしてはどうかというような声も大分消費者の中から強くなってまいっております。したがいまして、そのようなことにつきましてどのようにしてやっていくかということで、そのような方向で具体的なやり方等について今、検討中であるということでございます。  以上でございます。
  93. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 私も業者あるいは加工工場あるいは倉庫を幾つか見せていただいたわけですが、沢藤さんだから仕方ないだろう、見せてあげますといって見せていただいたのですけれども、多国籍ですね、倉庫の中は。本当に今、びっくりすると申しますか、目をみはると申しますか、タケノコなんかほとんど中国産だというふうなこととか、イチゴジャムの原料がほとんどアメリカから冷凍物が来ているとか、本当にこんなにまで外国依存が進んでいるのかなという実感を深くしたわけですが、今お二方からお答えいただいたわけでありますけれども、繰り返すようですが、食品、食べ物に対する国民の意識というものが非常に大きく変わってきておりますし、また当然だろうと思います。  加工食品が多くなるということのメリット、デメリット、これはあるから一概には言えないのでしょうけれども、家庭でもって家庭調理の機会が減っているということ、これが家庭関係、家族関係、親子関係、健康維持ということにプラスではないのではないかという見方も出ているわけでありますから、特に加工品あるいは原材料につきましては産地に関する表示、それから添加物に対する表示ということについては厳しく、そして正確になされるように今後もひとつ検討し、進めていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  次に、この法案の中にも触れてありますが、研究開発の推進という点であります。新技術資金であるとか、いろいろ配慮なさっているわけですが、これもまた加工なさっている方の大きな悩みと申しますか、取り組んでいく困難性の問題だということを訴えられました。と申しますのは、単位農協規模で農産加工をやっている工場の工場長さんが一番先に言ったことは、学卒を入れたいんだけれども来てくれないということでした。それから職員の再教育なりあるいは技術研修なりということをしたいんだけれども、なかなかその機会がないし余裕がないということでございました。ですから、施設設備、建物あるいは融資制度、税制度ということももちろん大切でありますけれども、それを経営し、運転する人の問題、人材をどう確保するかということについてもやはりいろいろな形で協力しながら進めていかなければならないのではないかと思います。  そこで、若干の提言を含めながら御質問申し上げたいのですが、その人材確保あるいは人材の研修開発については一中小企業あるいは一単位農協ではなかなか対応し切れないのだろうと思う。そこで、農水省のガイドなりリードなりで県単位のそういった人材育成、養成確保という政策と申しますか、それを示しながら、例えばですが、岩手県の農協中央会として、技術者として何名か採用する。その人材について、県内に配置された枢要の数カ所に派遣をし、そこに人材を張りつけることも必要かもしれません。  これははっきり言って、私が高等学校の教師をやっていた関係上、就職するときに、生徒の意識は、我が村の農協に勤めるという意識と農協中央会の職員として採用されたという意識とでは、残念ながら大変違うのですよ。ましてや学卒になりますと、幾ら待っても大学卒は単位農協あるいは中小の加工工場には来てくれない。これは岩手だけではないと思うのですね。これに対する対策は、組織的に機能的にやる必要がある。そこについて、助成措置も含めて、それらの人材確保、開発についての御所見を承りたいと思うわけです。
  94. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 食品産業経営合理化といいますか、向上のために優秀な人材を育成するあるいは養成することは、先生おっしゃるとおり非常に重要な事柄であると考えております。私たちそのような観点から今そのような事業を行っているわけでございます。やり方といたしましては、御承知かとも思いますけれども、食品産業の全国団体、いろいろな業種がございますけれども、それらを網羅した全国団体でございます財団法人食品産業センターというのがございますけれども、ここに国庫補助をいたしまして、食品の製造メーカーの従業員を対象にいたしまして、食品の加工技術なり分析技術等々その他もろもろの事柄につきましての研修を行いまして、資質の向上に努めておるわけでございます。
  95. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 土地あるいは都道府県によってはいろいろ配置されている機関、地名があると思いますが、岩手で例をとりますと醸造試験場というのがございます。そこには試験研究機関としての施設設備がそろっているわけであります。そこにさっき申し上げた県内の農産加工工場あるいは農協の職員等が心置きなく留学と申しますか内地留第一類第八号  農林水産委員会議録第四号学して、そこで資質を高める研究を深めてくる、そういったことが地域地域の農産加工に対する大きなてこ入れになるのじゃないか。ただ、農協の立場から言わせますと、数少ない職員を、研修期間中はいわば直接農協としての仕事なり生産に参加できないわけですから、なかなか派遣しにく状況がある。出ていく方も何となく済まないような気持ちだということでネックになっているのでありますが、それらも含めて思い切った手だて、助成ということを今後に向けて御検討願えないでしょうか、どうですか。
  96. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 今申し上げましたように、今一番中心になっておりますのはこの全国段階、したがって東京にお集まり願っての研修でありました。しかし、これを地域地域におきまして、地域地域の実情に即してもっと幅広くやる必要があるということに関しましては先生おっしゃるとおりであろうかと思います。  私たち、人材養成という事柄だけではございませんが、地域における食品産業の振興のために予算措置を講じておるわけでございますけれども、その一環といたしまして総合指導ハイテクセンター、要するにかなり先端的な技術につきましてそれを研修する。それをどのように食品加工業に導入していけばいいかといったような事柄が中心かと思いますけれども、そのような指導機関の設置についても助成の対象といたしておるところでございまして、そのような事柄を通じまして、地域における今申し上げましたような人材の養成ということの要請にもこたえてまいれるのではないかと思っておる次第でございます。
  97. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 研究開発の問題の最後に、これは農水省と大蔵省ですか、あるいは国税庁に関係すると思うのですが……。  私は原則的に、農民がみずからつくった第一次生産品を使ってあらゆる加工を展開するべきだと思うのです。農村の定時制分校におって授業しておったときに、ある生徒がいきなり立って、「先生、なしておれたちがつくった米でどぶろくをつくるのが悪いのだ」という質問を受けて、ちょっと困ったことがございます。  あえてどぶろくというふうな表現は用いませんけれども、いわゆるアルコール飲料ですね、現地の農民が生産した第一次生産品を原料として付加価値を高める一つの手法としてアルコール飲料に対する規制を大幅に緩和する。いろいろな問題があると思うのです。税制上こうなっている、ああなっている、国の税収入はこうだ、ああだという論はあると思うのです。しかしそれは制度のことですから、皆さん官僚の方はエキスパートでいらっしゃるから工夫の仕方はあると思うのです。基本的に、農民が自分のつくった第一次生産物を何に使ってもいい、伸び伸びと農産加工の分野を広げていっていいということになりませんか。  これは大臣と担当の大蔵省ですか、国税庁さんでしょうか、お願いします。
  98. 薄井信明

    ○薄井説明員 まず技術的な面につきまして大蔵省から答弁させていただきます。  先生既に御指摘いただいておりますように、制度面は御存じのことかと思いますが、改めて申し上げますと、お酒というものはほかの食品と違いまして、今度の消費税の世界ではちょっと事情が変わっておりますけれども、お酒という飲料といいますか、これは特別の税金をお願いしている。しかもこれはずっと昔からお願いしております。こういうお酒を特別なものとして税負担をお願いするという考え方は、古今東西といいますか外国にもあることでございまして、そういう高率の酒税が課されているということがほかの食品とは決定的に違うことかと思います。  そのことが、御指摘のようにお酒の税金の保全の問題だとか自分でつくったお酒について税金をかけることの問題、公平性の問題につながってまいりましたり、さらに最近では特に言われておりますが、国民の健康保健上の見地からの品質保持といったような問題もございまして、酒類の製造につきましては、ぜひとも免許制度を維持していく必要があるというように制度面では考えておりますことをお答えさせていただきます。
  99. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お話がございましたように、確かに地域生産されるもの、それを地域の皆さん方が地場産業としてつくり上げていく、これは大変大切なことでありますし、そういった問題について私どもの方としても、お酒の点については今お話のあったようなことでございますけれども、幅広く、いろいろな試験研究機関といったものの指導のもとに、新しい産品といいますか、そういったものを生み出していく、そんなことが非常に重要なことであろうと思っております。  私どもも例えば今、農林水産省に「消費者の部屋」なんというのがございますけれども、ここには各地域の生活改善の皆さん方がグループでつくられたもの、そういった中にも、ああこんな産品があるのかというものを私たちは目にすることがよくあるわけでありまして、そういう意味で、さらにそういうものが生産されるような体制づくり、こんなことのために我々も努めていかなければいけないと思っております。
  100. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 乱暴な言い方をしていると思われるかもしれませんけれども、税制上のお話は今お聞きしました。ただ、それは例えば免許を取得するための条件というのはあるわけでしょう、年間このくらいとかあれくらいとか。それを、例えば農協とか第三セクターとかそういった公的な団体がこういう事業をやる場合には、これはチェックが可能ですね。税制上のチェックも可能だと思うのです。そういったことも含めまして、もうできないんだ、だめなんだということじゃなくて、私はアルコールにこだわるようで恐縮なんですけれども、申し上げたいことは、とにかく今農山村では生き生きしたものがなくなってきている。あらゆる手だてを尽くして活性化するためには、さっきもどなたか言われたように、雇用の拡大にもつながるし若者の定着ということにもつながるわけですから、通年できる農産加工というのはあらゆる手だて、あらゆる分野に花を吹かせてほしい。その障害というのがもしあったら、取り除くことができる障害であったら取り除くように農水省で努力をしていただきたい、こういうことを申し上げたいのですが、一言どうぞ大臣
  101. 羽田孜

    羽田国務大臣 今、委員のおっしゃること、よく私どもも理解をできるわけであります。その意味で、そういった規制というものがあるものについてはできるだけ取り除くようにしていきたい。  ただ、酒につきましては、私も先ほど話を聞きながら、また私自身もなかなか、酒税の問題ですとか、あるいは酒というのは致酔性があるという問題なんかあります。ただ、最近は果実なんかではこれが幾つかのものは許されるようになってきておるということで、その道はだんだん開かれつつありますけれども、米による酒ということになりますと非常に難しいなという感じはあります。  しかし、いずれにしましても、個性豊かな食品、こういったものをやはり地域の皆さん方の創意工夫でつくる、そうしてそれが流通に乗る、そんなことのためには、私自身も実はその問題について非常に意欲を持っておりますので、これからもいろいろとお話をしながら進めてまいりたいと存じます。
  102. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 アルコール飲料のこと、さっきも触れましたけれども、私の住んでいる近くに沢内村といって保健で有名な村があります。豪雪地帯でございます。あそこでは雪を逆手にとって、低温を逆手にとって野菜の貯蔵、つまり克雪事業あるいは活雪事業というのを展開しております。いっかこの委員会でも取り上げたことがございますので、機会があったらどうぞ大臣も一目通していただきたいと思うのですが、その中で遅出しイチゴというのがあるわけですよ。わざとといいますか、低温といいますか、雪それから低温を逆手にとりまして、日本列島からイチゴが姿を消したころにどっと出ていく。一パック三千円というふうな値段もつくわけですけれどもね。そういったときに、選果するわけですよ。選果して、たくさんのイチゴがこっちに残るわけですね。これは偶然ですから国税庁追及しないでほしいのですが、それがすごくいいにおいがしてくるというのです。これは一つの例です。  私は専攻の学問上、研究用としてどぶろくをつくったことが何回もございます。これは食品的には安全性がかなり保証されていると思うのですよ、いろんな添加物のある飲み物よりは。ただ、フーゼル油が多いものですから、飲んだ後のげっぷが臭いとかというふうなことがありますけれども。私は、例えば沢内村、雪の音を聞きながら沢内のどぶろくを観賞するツアーであるとか、湯田町、お湯に入りながら湯田町特産の酒を味わうツアーだとかというふうなことがあっても楽しいんじゃないかという気がしているわけです。発想としてはちょっと霞が関の皆さんにはなじまないかもしれませんけれども、この辺は肩の力を抜いて、今後に、農民に、農村に少し夢を与えてくださいよ。そういうことの方向で知恵を合わせて、各省、農水省中心に農民、農村に夢と希望を与えていただきたいということをお願いしておきます。  最後に、法案そのものの中で幾つか箇条書き的に質問を申し上げたいと思います。  金融上の措置、これは法が施行されてから該当するということになるのでしょうけれども、既に苦労して対応している地域企業もあるわけですが、それらに対する後追い措置といいますか、あるいは別ないろいろな方法で何か手だてができないものかという声がございました。これについて御意見をお聞きしたい。  利率についてでありますけれども、御承知のとおり市中銀行の利率はどんどん下がってきております。ある企業に行ったら、取引銀行で金を借りますと四%台で借りられるというのですね。制度金融の場合は私はもっともっと引き下げの努力があっていいのじゃないかと思うのです。率直に言って第一線の加工の人たちは、三%台だったらなという声がある。もちろん無利子という声もあります。この方向について努力をお願いしたいと思うのですが、これについて一言お願いしたいと思います。  最後に、税制上の措置について、これもいろいろ意見を聞いたのですが、事業提携に伴う営業の譲渡について不動産取得税の十分の一減額というのが出てきていますが、今後の運営を考えた場合に固定資産税の減免というところに踏み込めないものだろうかという声がございました。これについてどうこたえていただくか質問申し上げて、私の質問は終わりにさせていただきます。
  103. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 三つの点について御質問ございましたが、第一の点と第三の点につきまして私の方からお答え申し上げたいと思います。  この制度、特に税制の制度等もありますことから、恩典を受ける前に知事承認を受けて、それが恩典を受けるにふさわしい計画内容になっておるかどうかというのを審査することになっております。したがいまして、そのような手続は法律が成立しなければ正式にはやはりできないわけでございまして、そのようなことから事前にいろいろ御準備を事実上なさるのは結構かと思いますけれども、正式には法が通ってからでないと物事ができないということは御理解を賜りたいと思うのでございます。ただ、その承認の手続なりそれから金融機関が実際に融資をする審査の手続なり、これにつきましては、それぞれできるだけ簡素化をして迅速に処理ができて融資が現実に行われるようになるように、私たちそのような方向で内容の具体的なことを詰めてまいりたいというように考えております。  それから第三点につきましては、税制上の措置一つとして固定資産税をどうして入れなかったのかという御質問でございますけれども、固定資産税と申しますのは地方公共団体の最も基幹的な税であります。そういう性格を持つ税でありまして、したがいまして、この税金につきましては特例措置を設けることは極めて限定をされておりまして、公共的あるいは公益的な施設についてのみ例外措置がある、そういう性格のものだというように私たち聞いておるわけでございます。私たちが税制上の優遇措置を講じようと思います対象加工業者でございまして、民間の企業でございます。したがいまして、そのような方々に対する税制上の支援措置としては、この固定資産税につきまして特例を設けるというのは、いろいろございます産業調整立法の例でも例がないわけでございまして、認められていないわけでございまして、残念ではございますけれども今回対象とすることができなかった次第のものでございます。
  104. 塩飽二郎

    ○塩飽政府委員 金利の問題についてお答え申し上げます。  御承知のように、農業関係の制度資金の主軸といたしましては、農林公庫資金のほか系統の資金を活用した農業近代化資金などの資金がございます。これらの資金につきましては、農業の特質を踏まえできるだけ長期かつ低利の条件が実現するように、利子補給等の手だてをやっているわけでございます。特に公庫資金につきましては、最も低いものにつきましては、農地取得資金など三・五%という、金利自体を法律で低位に固定をしているわけでございますが、その他のものにつきましても、利子補給等の財政措置を講ずることによりまして、できるだけ低利資金の実現を図っているところでございます。  今回の農産加工資金につきましても、特に利率につきましては、自由化により、深刻な影響を受けると見込まれることにかんがみまして、これまでの公庫資金の体系の中では、極力低金利となるように、特定農産加工業者企業規模によりましてあるいは資金の種類によりまして一定の格差を設けてはおるわけでございますけれども、転換資金、新技術資金、共同化資金については、中小企業の方については四・二%、大企業は五・〇%、高度化資金につきましても、中小企業の方については四・四五、大企業についても五・二五%ということで、これまでの農林漁業金融公庫の既存の加工流通向け資金の金利より相当低い水準に設定をしているわけでございます。今申し上げたようなことで、資金の性格に応じまして、できるだけの努力はいたしているところでございます。
  105. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 最後に、大臣にお願いを申し上げて終わりたいと思うのですが、きょうは特定農産加工経営ということと若干離れて、かなりトータルな話になって恐縮でしたけれども、先ほど冒頭に申し上げましたように、今農山村の疲弊というのは本当に大変なものでございます。いつの間にか農家が空っぽになっているとか、位牌が炉端に転がったまま一家は離散しているという例もたくさんあるわけでありまして、過疎化あるいは農山村の活性がなくなっているという現状を直視していただきまして、これに対する一つの大きな活性を吹き込む重要な施策の一つが農産加工である、こういうことを特に私は訴えたいわけであります。どうぞひとつ、いっか機会を見て、岩手の農山村におみ足をお運びいただきまして、それを体験していただきながら政策に反映をしていただければと思います。  お願いを申し上げて、終わります。
  106. 堀之内久男

    堀之内委員長 玉城栄一君。
  107. 玉城栄一

    ○玉城委員 特定農産加工業経営改善臨時措置法案についてお伺いをいたします。  まず最初に、基本的に大臣にお伺いしておきたいわけでありますが、亜熱帯農業の、沖縄の基幹作物でありますパイン産業につきまして、従来から、私も含めまして、県の方もあるいは関係者も、この委員会はもとよりでありますが、あらゆる場、あらゆる機会を通して、自由化、これがされますと大変な打撃を受けるし、まさに壊滅的な、そういう状況になりかねない、したがいまして、自由化についてはもう断固として反対であるということを申し上げて、あるいは抗議も申し上げてきましたけれども、極めて残念なことでありますけれども、政府が自由化決定して、したがいまして、パイン産業が成り立つためのいわゆる国内対策であるとか、この法律案もその対策一つでございますけれども、いろいろやっておられるわけであります。私どもの考え方は、こういう対策はあくまでも応急的な、いわゆる第一弾対策として、あるいは今後中長期的に、パイン産業の振興という立場から第二弾、第三弾のそういう対策が打ち出されるもの、当然そう思っておるわけでありますが、大臣にお伺いしたいことは、いわゆる亜熱帯農業、この亜熱帯農業につきましては、従来から申し上げておりますけれども、農水省の方としては、非常に不十分であるし、余り認識が少ない、そういうふうに私たち思っておるわけでありますが、このパイン産業について、我が国農業の中でどういう位置づけをし、今後どういうふうにしていこうというお考えや認識を大臣がお持ちであるのかどうか、その点をまずお伺いいたします。
  108. 羽田孜

    羽田国務大臣 亜熱帯の農業、これはやはり限られているということ、しかしそれはまた国内では、普通内地の方ではできないもの、これを生産する特性があるというふうに思っております。  そういう意味で、実は私自身今まで役所にあるときに、あるいは院にあるときに、党にあるときに常にずっと、この十数年間いつも時間をかけてきましたのは、沖縄の農業なんかに割合と時間をかけてきたつもりでございます。そういう中で、キビなんかも非常に厳しい状況にありますし、またパインなんかも非常に厳しい状況にあるわけでありますけれども、しかしこれはほかでなかなか生産することもできない。それと同時に、遠くからじゃなくてすぐ沖縄から持ってこれるということで、生か何かにしても質のいいものを生産することによれば、これはまだ相当普及するものがあります。  また、これはちょっとざれごとになっちゃうかもしれませんけれども、例えばパインなんというのはやはり美容によろしいなんという話もありまして、今御婦人の中にも割合と浸透しているというようなこともあります。そんなところもよく目をつけながら、質のいいものをつくれる基盤をつくり上げると同時に、やはり消費、そういった面にも十分目を向けていく必要があろうというふうに考えております。  そういう意味で、今度もいろんな対策の中でパインを販売するための一つの組織というものもつ第一類第八号  農林水産委員会議録第四号い先ごろ成立をさせたというところでございまして、これからも亜熱帯農業、特にパインについて私どもも十分念頭に置きながら対応していきたいというふうに考えております。
  109. 玉城栄一

    ○玉城委員 今大臣もおっしゃられましたとおり、私は沖縄のパイン産業、決して悲観的——いわゆる条件さえ整備すれば距離的には本土市場というのは近いわけですから、優良種苗等を開発し、それをどんどん普及していけば、むしろ条件としてはいいという考え方も持っておるわけであります。  それで改めてお伺いしたいわけですが、このパイン産業の国内対策、これは昨年の暮れの補正予算からずっと、元年度予算も含めて五十一億余を組んであるわけでありますが、このパイン産業について当面打ち出されました対策について概要を御説明いただきたいわけであります。
  110. 吉國隆

    吉國政府委員 パイナップルにつきましては、加工品でございます缶詰とそれから生食用と二本立てで沖縄のパイナップル産業を守ってまいりたいというのが基本的な考え方でございます。  パイナップルの缶詰につきましては、関税割り当て制度を導入いたしまして輸入品と国産品との抱き合わせでの円滑な販路を確保していくということをやってまいることを一つの基本といたしまして、そのほかに生産面でのコストダウンのための生産対策、あるいはただいま先生お話ございました優良種苗の緊急増殖、それから加工原料用パイナップルの価格安定対策といたしまして、特に従来の価格差補てんに加えまして、缶詰等の輸入の増加による影響に対しまして価格差補てんを行っていく特別補てん事業を実施していく。それから加工工場の整備、合理化、近代化を進めていく、こういったものが特に加工との関係での対策としてございます。  一方で生食との関係では、品質のよい生食用パインをつくっていくという意味におきまして、ハウス等の整備を進めていく。またコストダウンのためのいろいろな園地改良等の措置を進めていく。それから生食用パイナップルの流通体制の整備の問題といたしましてプラーク処理施設、これはガスを封入いたしまして鮮度が低下しないように流通をさせるための設備でございます。また保冷貯蔵庫、そういったものを整備していきまして、生食用の円滑な流通を図ってまいりたい。  それから、これは加工品にも生食用にも共通に当てはまりますが、需要の拡大のための消費宣伝等、こういったことを柱にいたしまして、全体計画としては七十億円の対策を進めるということで考えているところでございます。
  111. 玉城栄一

    ○玉城委員 総額で七十億円の経費をかけてパイン産業を成り立つようにしていこうというお話でありますが、これは今後この対策だけで終わるというわけにはいかない、こう思うわけですが、今後これを踏まえて、当然中長期的にもこれが成り立つような対策がいろいろとまた考えられなくてはならない、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  112. 吉國隆

    吉國政府委員 ただいま私申し上げましたのは、自由化に備えましての関連対策ということで整理をしたものの概要でございまして、もちろんパイナップルの生産性の向上なり流通の改善なりという課題に対しまして、一般的な施策としては当然長期的に考えていく必要があるというふうに私ども考えております。
  113. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこでちょっとお伺いしておきたいのですが、午前中もこの質問が出ましたけれども、パインの缶詰、その容器ですが、沖縄の場合は離島県でありますから、どうしても容器そのもののコストにプラスしてそういう輸送という問題も含めますと大変な割高になっているということで、いろいろ価格差補てんもされるあるいはいろいろ対策もされる割には、こういう部分をそのままにしておきますと自由化の波にとても太刀打ちできないという点があるわけですが、その点、沖縄のパインの缶詰の容器についてどういう対策をとっておられるのか、お伺いいたします。
  114. 吉國隆

    吉國政府委員 パイナップル缶詰に限らず、果汁製品につきましても、御指摘のようにけさほども御論議ございましたが、缶容器代の問題があるわけでございます。この缶容器代は個別の取引ごとに定まっておりますので、私ども必ずしも詳細に把握をしにくい実情があるわけでございますけれども、現在の三号缶で申しますと、大体沖縄における価格が四十円程度であろうというふうに認識をいたしておりまして、全体のコストの三割程度を占めるというような状況になっているわけでございます。こういった資材コストの引き下げで何とか改善できないかということで関係団体等が集まって協議をするというような場も設けられておりますので、そういったことを通じまして私ども関心を持ってこの問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  115. 玉城栄一

    ○玉城委員 午前中のお話を伺っていましてもそういう程度のお話しか答弁をしておられませんが、この点も非常に重要な点でありますので、ぜひコストが引き下がるように研究をしていただきたいと思うのです。  それから、この法律に関してですが、沖縄のいわゆるパッカーですね、加工工場の現状と今後の見通しについて農水省はどういうお考えをお持ちなのか、お伺いいたします。
  116. 吉國隆

    吉國政府委員 沖縄におきますパイナップル缶詰の加工工場、現状では三社三工場になっているところでございます。私ども加工工場の合理化を進めていくという見地から、沖縄県ともいろいろ御相談をしながら、今後の整備なり施設の改善について助成を行ってまいる方針でいるわけでございます。  現在、沖縄本島一工場、それから八重山一工場に再編をしていくという方向で沖縄県内で調整が進められているというふうに考えておりますので、こういった調整に即しまして、私ども施設の整備についての助成に努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  117. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖縄に一つある、八重山に一つある、それを合併するというのですか。今沖縄に一つしかないのですか。
  118. 吉國隆

    吉國政府委員 御説明が舌足らずで失礼をいたしました。  現在三社三工場でございまして、沖縄本島に二工場、それから石垣島に一工場あるというふうに承知をしております。  これからの整備の方向としては、沖縄本島を一工場に統合整備をしたいという沖縄県側の御意向がございまして、そういう方向での調整が現在行われております。恐らくそういう方向でまとまって、工場の整備に近く取りかかれるのではないかというふうに考えているところでございます。  また、八重山一工場ということで、これを整備するための調整も現在沖縄県でお進めをいただいておるというふうに承知をしておりますので、この点につきましてもそういった調整の結果を待ちまして工場の整備に取りかかりたいというふうに考えております。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 合理化という意味でそういうことを県の方で考えているということでしょうが、当然農水省とも打ち合わせしながらされていると思うのですが、当然この法律にこの工場の問題もかかってきますので、その場合に、この法律にありますとおり、地域的にそういう工場が設立されていて、それが一つになるということによって、いわゆるパイン産業に働くいろいろな方々いらっしゃいますから、そういうところについてもきめ細かく、弊害といいますか合併に伴うところのマイナスが出ないような対策を十分とってもらわないと、工場はそのように一本化して成り立つのでしょうけれども、今度はそれに従事する方々とかパイン農家の方々に不利益を与えないような対策を十分とっていただきたい、こう思うのです。  それで、これはパインとは別なんですが、異性化糖、それから砂糖を主成分とする調製食料品、これは来年四月一日から自由化されるわけでありますが、このことに伴いまして国内産糖への影響が心配されるわけです。沖縄は、亜熱帯農業といいますと、サトウキビ、パインというのが主たるものでありますから、将来的にも、こういうものの自由化に伴いまして、沖縄のサトウキビに影響が出てくる可能性が私は十分あると思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
  120. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘のございました異性化糖あるいは私たち加糖調製品と申しておりますけれども、二品目は来年の四月から自由化ということになっております。  まず異性化糖についてでございますけれども、異性化糖につきましては、今我が国への輸出といいますか、我が国はほとんど輸入をいたしておりません。また、現状におきましては、他国において我が国に向けて輸出しようという動きもないということに理解をいたしておるわけでございます。我が国が来年四月に自由化したということを契機にいたしまして我が国に輸出するという国が出てまいったといたしましても、私たち対米交渉をやりました結果、関税の引き上げということで国境措置をつくったわけでございますけれども、その予想される輸出価格と現在の異性化糖の国内価格との差額は関税の引き上げによって十分にカバーできるという水準の関税を設定したわけでございまして、こういう意味から異性化糖への悪影響は防止できるのではないかと思っております。  また、加糖調製品という部類につきましても、品質がそれほどよくないものがバルキーで大量に入ってくる、そして糖価安定制度が骨抜きになるといったようなことが非常に懸念されたわけでございますので、先ほど申しましたと同じように、かなり高い関税率を設定いたしましてそれを阻止することにいたしておるわけでございます。  このようなことがございまして、我が国のサトウキビ及びそれからできます甘蔗糖につきましては、今後とも一層の生産性の向上を図っていくということは必要だと思いますけれども、御承知のような糖価安定制度によります国内産甘蔗糖の価格支持、事業団による買い取りということを通じます価格支持、それから、これを通じましての原料であるサトウキビについての価格支持、これを堅持いたしまして、その安定的生産が確保できるのではないかと信じておる次第でございます。
  121. 玉城栄一

    ○玉城委員 同じく自由化に伴いますところの牛肉ですね。御存じのとおり、沖縄には本土復帰の際の特別措置によって輸入枠が特別設定をされているわけでありますけれども、再来年四月、この沖縄の牛肉輸入枠はその時点ではどうなるのか、まずその点をお伺いいたします。
  122. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 沖縄県におきます牛肉輸入につきましては、先生からただいま御指摘ございましたとおり、昭和四十七年に沖縄の本土復帰に伴いまして自由な取引に任されておりましたものが非自由化品目に移行したわけでございます。そういう状況下で、沖縄の本土復帰に伴う特別対策一環としまして直ちに四十七年以降特別枠を設定いたしまして、その割り当てを受けて今日まで輸入が行われておる、こういう状況でございます。  数量的に見ますと、復帰時四十七年度に四千三百三十トンの特別枠の設定規模であったわけでございますが、順次県内におきます需要の拡大に伴いまして、六十二年度の状況では六千二百五十トンが割り当てられております。それから六十三年度以降につきましては、御承知のとおり平成三年の四月一日から数量制限が撤廃をされることになるわけですが、それに至り着くアクセスの改善措置といたしまして、これは豪州が大変関心を持っておりまして、豪州との間で自由化までの間の沖縄枠の規模をどうするかということについて協議をしたわけでございます。一応六十三年度で八千トン、それから平成元年度で一万トン、平成二年度で一万二千トンという枠を設定しておるわけでございまして、この合意に基づきまして適切な特別枠の割り当て運用をしていきたいと考えておりますが、平成三年の四月一日からは先生からお話しございますようにすべての輸入数量制限が撤廃をされることになりますので、沖縄の特別枠も当然に消滅をする、自由な取引に任されるということになるものと承知をしております。
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 いわゆる平成三年四月からは特別枠はもうなくなる、ゼロ、自由化ということになるわけです。その際に、おたくの課長さんが沖縄においでになってのお話の中に、いわゆる課徴金を取りまして沖縄の畜産公社を運営しているわけですから、その部分について何らかの措置をとらなくてはならないということをおっしゃっているわけですが、どういう考え、どういう対策をとられるおつもりなのか、お伺いします。
  124. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 お話しございましたとおり、ただいま申し上げました沖縄の特別枠の割り当て運用に当たりまして、沖縄県におきます独自の畜産政策の財源の一つといたしまして、沖縄県で設立をされております沖縄県畜産公社がこの特別枠に基づく一定の輸入量につきまして一定の課徴金を課して、これを県内における畜産対策の財源にしておるという実情がございます。これは先ほど申し上げましたとおり、平成二年度まで大体現行のとおり維持されると思いますが、平成三年四月以降はそういった体制をとることは不可能になる。実は同様の問題が本土にもございまして、御承知のとおり畜産振興事業団の一元的な輸入という建前で行われておりまして、畜産振興事業団の売買を通じて、一定のいわば調整金といいますか形式上は売買差金ということになりますが、それが現在取られておるわけでございます。これがまた畜産施策の一定の財源になっていることも事実でございまして、これが輸入割り当てがなくなった場合なくなるという問題が全国的な問題としてあるわけでございます。  そこで、昨年本委員会でも御論議をいただきましていわゆる畜産二法を制定させていただきまして、平成三年四月以降につきましては、そこで設定されます新しい牛肉等の関税収入に見合う額を同じく特定畜産政策の財源に充てるという制度をつくらせていただきまして、一つにはこれも畜産二法に規定をされております、これは沖縄も含む全国の肉用子牛生産者に対する生産者補給金制度というものを発足させまして、その財源に充てる。さらにまた、そういう補給金のほかに、現時点では具体的に申し上げかねるわけでございますが、繁殖、育成、肥育といった各段階にわたる肉用牛生産あるいはその他の食肉の生産、流通の改善に要する経費の財源としてやはり関税収入相当額を充当するという道をとりあえず開いたつもりでございます。  具体的には、平成三年の自由化時期に向けていかなる対策が必要であるかということを今後また関係者とも話をして具体化をして所要の措置をとっていきたいと思いますが、そういった検討の中で、沖縄県におきます特別枠の廃止に伴いまして沖縄での畜産振興なり沖縄における牛肉消費の安定のために政策的に何が必要であるかということを沖縄県の実情を踏まえて対処をしていく必要があるだろうと考えておりまして、沖縄県当局を含めた関係者ともよく相談をしてこれからその具体化を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。したがいまして、そういった方針について私どもの担当課長が沖縄県の皆さん方ともそういった方向で現在話し合いをしておると承知しておるところでございます。
  125. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、今局長さんがおっしゃいましたように、課長さんのおっしゃるその経過的とか段階的な措置を考えなくちゃならないというのはどういうことなのかということをお伺いしているわけです。
  126. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先ほど申し上げましたとおり、牛肉輸入について数量制限を撤廃するということになりますと、一つには輸入される牛肉と国内産牛肉との一定の競争が激化するおそれがあるわけでございます。これを調整する手段として、新たな国境措置として、自由化時におきまして現在の輸入制限措置にかわる国境措置として若干の関税措置をとるということを一つ考えておるわけでございます。  同時にまた、そういった競争関係の中で国内の肉用牛生産が立ち行けるような条件整備をつくっていかなければいけない、そのための政策財源としてただいま申し上げましたように関税収入の使い道をそういう方途に使っていくということを昨年の畜産二法の中で確立をしたつもりでございます。  さらにまた輸入数量制限の撤廃に伴って考えていかなければいけないことは、やはり一つには流通の自由化という問題が出てくると思います。流通面におきましてもいろいろな変化が出てきておりまして、そういう流通面においての体制整備というものも国内の業界に対していろいろお願いをしていかなければいけない。それを助長する対策としていろいろな助成措置もまた必要になってくるのではないかと考えておりまして、そういったものにもこの関税収入の見合い財源を特定化していくということが可能になっていると私ども考えております。  でありますから、そういった検討の中で沖縄県についても何が必要であるか、何が有効であるかということにつきまして沖縄県内の関係者の皆さん方の御意見をよく拝聴いたしまして、国全体としてやるべきことあるいはまた沖縄県の独自の要因に着目して対応しなければいけないこと、その辺の仕分けを十分詰めた上で、しかるべき時期、必要な時期までにその具体的内容を決めて実行をしていく、そういう手順を考えておるつもりでございます。まだ若干時間の余裕はございますので、既に内々沖縄県当局にもそういう意味での検討が必要であるということは申し上げておりまするし、県の方でもそういった意味での県独自の立場での御検討を進めておると伺っておりますので、今後その結果等々につきましてよく話し合いをしまして万遺漏なきを期していきたいと思っておるわけでございます。
  127. 玉城栄一

    ○玉城委員 この機会でありますので、ちょっとずれますけれども、水産物の輸入割り当ての件について水産庁長官にお伺いいたしたいのです。  沖縄は本土復帰して十七年過ぎましたけれども、この十七年間というのは水産物の輸入割り当てはされていないのです。それはいろいろそういう申し込みがなかったからという話もありますけれども、ただそれだけで済まされるかどうか。今までそういう割り当てをしなかったという理由についてお伺いしたいのです。
  128. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 沖縄の場合は従来から水産加工業が年間四、五千トンつくられておるわけでございますけれども、これにつきましては、従来はおおむね近海の魚、こういうものを主体として練り製品を中心につくってきたわけでございます。そういうことで、従来は必ずしも輸入割り当てにつきましての要望がなかったわけでございますけれども、ここのところ関係業界から輸入割り当ての要望が出てきていることは我々といたしましても十分承知しておるところでございます。
  129. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖縄県も水産県です。ところが、水産県といっても沖縄沿岸、沖合でとれない水産物がたくさんあるわけですね。そういう水産物についての輸入割り当て、ですから、これは大きな不公平の一つだと私は思うのですよ。そういう申し出がなかったからということですけれども、本来であれば、農水省がそういう輸入割り当てをちゃんと全部やっているわけですから、沖縄地域だけそういうことがされていなかったということは本当に不公平だと私は思うのです。それでいっか長官にもちょっと耳打ちしましたけれども。  今御存じのとおり沖縄の那覇飛行場のそばに沖縄フリーゾーンという地域ができていますけれども、これは関税法上の保税地域扱いですから、フリーゾーンとは名前だけでありまして、そういう入っている方々も、輸入割り当てを受けて水産加工品をつくってなにしたいという方々もたくさんいらっしゃるわけです。それはフリーゾーン外にもいらっしゃると思うのですが、そういう方々から最近そういう要望が非常に強いわけでありますから、それをぜひ割り当てていただきたいのですが、その割り当てていただくにはどういうふうにすればいいのか、教えていただきたいのです。
  130. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 水産加工業者というのは、先生御承知のとおり非常に零細で、全国に散らばっているわけでございます。そういう現状から申しますと、水産加工業の健全な発達を図るためにはどうしても組織化ということが緊急かつ必要な事態と考えております。そして、そういう水産加工業の今後のために何とか組織化を図りたいということと、それから全国に散らばっております中小の水産加工業者に国みずからが一々割り当てるということではなくて、国としてはそういう組織化を通じまして全国の水産加工の団体に対して需給上認められる数量を割り当てるということで従来から運用してきているわけでございます。  そういう点からいいますと、沖縄の場合には水産加工業者の組織化が残念ながら立ちおくれていたわけでございますけれども、ここのところそういう話し合いも進んできているようでございますし、沖縄開発庁も相談に乗りながら水産加工業者の組織化も検討が進められると聞いておりますので、そういう組織化がされ、それから組織化された法人が全国の加工業関係の団体に入るということに相なりますれば、一般的な割り当ての運用の対象としてもちろん取り上げられてくると御理解いただきたいと思っております。
  131. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、それはそういう意味で、地元における組織化は県の方にも言いまして指導していただきたいわけであります。そして、組織化して全国組織の中に入りますね。入って割り当てを受ける。農水省と手を離れたそこに数量を割り当てる、そこが会員としてやるわけです。そこは既得権のいろいろな問題等もありますので非常に難しいのじゃないかと思うのですけれども、沖縄は十七年間空白があったことも当然考慮されまして、農水省の方としても、全国組織の方々の方に沖縄についてもそういうきちっとした割り当てをすべきだということをぜひやっていただきたいわけです。よろしくお願いします。  それから、次に沖縄のウリミバエについて、久米島、宮古島はこれが完全に防除されまして、キュウリ類等が本土への出荷等が自由にできるようになっているわけです。ところが、最近一部の学者の方がこれはちょっと問題があるということも報道されまして、今沖縄本島でウリミバエの撲滅をやっていらっしゃるわけですが、そういうこともありますので、今後どういうふうになるのか、その辺をはっきりさせておいていただきたいと思うのです。
  132. 吉國隆

    吉國政府委員 沖縄県におきますウリミバエの根絶、防除の問題でございます。  先生お触れになりましたように、現在不妊虫放飼法という方法で、不妊の雄をたくさん放飼いたしまして次第に不妊の虫だけにしてしまう、こういう方法で根絶を図っているところでございます。昭和五十三年に久米島で、また六十二年の十一月には宮古群島において根絶に成功いたしているところでございます。沖縄のその他の地域につきましては、沖縄本島とその周辺諸島では六十一年十一月から実施をいたしているところでございます。また、八重山群島につきましては平成二年、つまり来年の一月ごろから着手をするという予定になっておりまして、私どもの期待としましては、沖縄本島の場合、平成二年度中には達成したいという考えで取り組んでいるところでございます。  先ほど先生がお触れになりました研究者の報告によりますと、この方法に若干心配があるのではないかというような報道を私も見たわけでございます。実験室規模で行った実験でそのような発表が行われたということのように承知をいたしているわけでございますが、私ども、大量の不妊虫を放飼することによって時間を経ながら根絶に至るというプロセス自体が否定されたというふうには考えておりませんので、そういった方法によりまして従来も十分な成果を上げてきておりますし、また、沖縄本島におきましても今まで相当な成果が既に出てきているという状況でございますので、引き続きこういった根絶防除の方式について推進をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  133. 玉城栄一

    ○玉城委員 ウリミバエの根絶防除は予定どおり進められる、沖縄本島は来年、平成二年中にはやれるということであります。ぜひそのようにやっていただきたいと思います。  それからもう一つは、これは林野庁の方に伺いたいわけでありますが、例の勅令貸付国有林の件についてでありますが、これは既に県の方と合意して調印した、こういうことでありますので過ぎ去った話になるかもしれませんが、この国有林につきましては無償譲渡をすべきであるということをもう何回もあらゆる機会に要望もしてきたわけでありますが、それがそうはならずに同じように無償貸付ということになったわけであります。そのいきさつをちょっと御説明をいただきたいのですが。
  134. 松田堯

    松田(堯)政府委員 沖縄におきます勅令貸付国有林野につきましては、約四千四百四十ヘクタールでございまして、明治四十二年に沖縄県の基本財産の造成また林業経営の模範にするということの目的で無償貸し付けを行ったものでございます。それが引き続き現在にまで及んでおりまして、ことしの五月にその期限が切れるということになっておりまして、この問題につきましては、当委員会において先生からも何回か御質問等いただいたところでございます。沖縄県御当局といろいろ話し合いをいたしまして、これまでの長年経営してまいりました実績を考慮いたしまして、引き続き沖縄県において県営林として主体的に管理経営ができるようにするとの共通認識のもとに検討した結果、今後六十年間の無償貸し付けを行うということで合意が成立した、そういう経緯でございます。
  135. 玉城栄一

    ○玉城委員 経緯はそうなんですけれども、いわゆる経緯といいますと、これは本来、明治四十二年に国有地という形にすべきではなくて、その時点において県有林として扱いすべきだったと思うのですが、それがどういういきさつでこういうふうになったか、八十年間無償貸与ということで県の管理ということにされているわけですけれども。その延長でまた六十年無償貸付ということになりますね。その六十年後はどうなりますか。当然このいきさつからして、いわゆるこの国有地というのは県に譲渡すべきだと私は思うのですけれども、どうでしょうか。
  136. 松田堯

    松田(堯)政府委員 いろいろ検討いたしたわけでございますが、現時点におきまして無償譲渡をすることは国有財産制度上極めて困難であるということで、実質的にこれまでと同じような形で沖縄県に管理をお願いをするということで六十年の無償貸し付けということになった次第でございます。先のことにつきましては、またその時点において考える、こういうことになろうかと存じます。
  137. 玉城栄一

    ○玉城委員 もう既に調印されておりますので、これはこれ以上申し上げません。  そこで、同じように林野庁の長官にお伺いしたいのです。マングローブですね。マングローブというのは、沖縄の亜熱帯とか、熱帯林ですから、非常に最近注目されているわけです、国際的にも注目されているわけですから。このマングローブについて、林野庁はこの木についてどういう認識を持っておられるのか、ちょっと御説明いただきたいのですが。
  138. 松田堯

    松田(堯)政府委員 マングローブ林につきましては、熱帯地域におきまして世界全体で千五百万ヘクタール賦存する、このように把握をしておるところでございまして、主として熱帯地域の海岸線に分布しておりまして、海岸侵食の防止、農地の保全等に重要な役割を果たしておると同時に、水産資源の繁殖とか林産物の供給の場として地域住民にとりまして必須の資源となっている、このように認識をいたしております。  最近におきましてマングローブ林の過度な利用あるいは急激な土地開発産業開発等によりまして資源の減少が目立っておりまして、そのことはグローバルな課題になってきている、このように認識しておるところでございます。
  139. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、いわゆる沖縄県の方におきましては、そういうマングローブに関する国際研究機関の本部をぜひ誘致をしたい、こういうことであります。この木は、皆さんの持っている沖縄第一類第八号  農林水産委員会議録第四号県のいわゆる北部とか西表とかそういう国有林の中にもあるわけですから、県と協力をしてそういう国際的な研究機関を沖縄に置くということについて、林野庁はどうお考えでしょうか。  同時に、この木を、さっき認識をお話しになりましたけれども、何らかの形で育成するとかあるいは植栽するとか、そういうことも考えなければいけないと思うのですが、あわせてお伺いいたします。
  140. 松田堯

    松田(堯)政府委員 先生がただいまおっしゃいました国際マングローブ生態系協会、これにつきましては、昨年の五月にタイで行われましたマングローブに関する保護のための民間専門家の会合におきまして、世界の関係研究者の交流とか研究の振興を図るために設立が決議された、そういう団体であるということで承知をいたしております。政府機関ではなくて民間機関である、このように認識をいたしておるところでございます。したがいまして、林野庁としてこの協会につきましての情報が公式に入ってきている、こういう状況にはなっていないところでございます。この協会の誘致といったようなことにつきましては関心を持っておるところでございますけれども、今後は、関係省庁と十分連絡をとりながら対応してまいりたいと考えております、  それから、マングローブ林の取り扱いに関する御質問がございましたが、沖縄にはおおむね四百ヘクタールのマングローブ林が賦存している、このように把握をいたしております。大部分が天然記念物ということで指定をされておりまして、適正な保全が図られるというように考えておりまして、積極的な伐採とか造林といったような対象にはなり得ないのではないだろうか、そのような考え方を持って今後とも管理に配慮してまいりたい、このように考えております。
  141. 玉城栄一

    ○玉城委員 今、積極的な造林の対象になり得ないというお話、そうではなくて、緑化事業の重要な、地元ではずっとそういう計画もあるわけですから、これは積極的にひとつ造林、植林もやっていただきたい、こう思うわけであります。  大臣、いわゆる亜熱帯の農業、こういう林業も含めまして、水産業も含めまして大臣もよく御案内のとおりであります。特にパインの産業につきましては、これは本当に政府が自由化してしまったわけでありますから、これがぜひ成り立つように、最初に申し上げましたとおりこれは第一段階の国内対策等でありますので、第二段階、第三段階、長期的な展望に立って振興策をぜひ大臣も力を入れてやっていただきたい、そのことを要望いたしまして終わります。
  142. 堀之内久男

    堀之内委員長 藤原房雄君。     〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
  143. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 特定農産加工業経営改善臨時措置法法案に対しまして若干の質問を申し上げたいと思います。  この法案は、午前中からも同僚委員からいろいろ御質疑がございましたが、農産物自由化、それに伴います諸対策ということ、その一環であるということだろうと思うのでありますが、そのことの前に、自由化問題、その方途の定まったもの、また、これからいろいろ検討しなければならぬもの、いろいろあるわけでございますから、このことについてちょっとお伺いをしておきたいと思うのであります。  大臣の所信の中にも、「貿易問題につきましては、現在ガット・ウルグアイ・ラウンドにおいて農産物貿易をめぐる交渉が進められており、四月上旬には、今後の交渉の枠組み等が決定されたところでありますが、我が国としては、世界最大の農産物輸入国としての立場から、食料の安全保障等に十分に配慮した新しい農産物貿易ルールの策定に向けて積極的に参加、貢献していく考えであります。」こういう所信も述べられております。今日まで話し合いが進められてまいりまして、過日四月の五日から三日間行われましたスイスのジュネーブでの高級事務レベルによる貿易交渉委員会、これは、長期と短期の見方の中で、特に日本の農業の中で大きいウエートを占めております米について私ども最大の関心事でありましたが、これは、短期の中で急にその方向が決められるということではなくて、今後の話し合いということになったわけであります。  今後のガットのウルグアイ・ラウンドの貿易交渉につきまして各国のそれぞれの立場でいろいろな意見が出たのは承知をいたしておりますが、日本の国としましても、最も大事な米が一番アメリカとの間の問題としてあるわけです。これに対しての今後の取り組み、そしてまた変わらざる今後の信念としての主張、こういうことについて政府の見解をお伺いしておきたいと思います。
  144. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘のございましたウルグアイ・ラウンド、ここにおきます我が国の基本姿勢ということでありますけれども、今度のウルグアイ・ラウンドの農業交渉というのは、いわゆるウエーバー等による例外的な措置が認められている国がございます、こういったものを含めまして農業貿易に影響を及ぼすすべての措置対象とした新しいガット規則及び規律の策定を通じ新たな農産物貿易秩序の形成を図ることが最も重要な課題となると考えております。この際、四月の貿易交渉委員会の合意に食糧安保を含みます貿易政策以外の要因も論議の対象となることが盛り込まれたことを踏まえまして、食糧の安定供給の確保、国土環境保全等といった農業が果たす多様な役割を十分主張しつつ交渉に臨んでいく必要があるものと考えております。  また、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉におきます、今御指摘のありました米の問題でございますけれども、我が国の立場は、今申し上げた各国が抱えるウエーバーですとかあるいはECなんかの共通農業政策なんというものが言われますけれども、こういったそれぞれハードな問題を持っております。こういう問題をすべて議論を行う、こういう段階になりますと、米というものについて議論するという声がありますときにはこの問題について討議することやぶさかではないとの方針を従来どおり私も申し上げておるわけでありまして、この方針は変わりません。  そして私ども、基本的には、日本の穀物自給率が三〇%になってしまっておるという現状でありますけれども、これはえさですとかあるいは油糧種子ですとかそういったものが輸入されておるという現状の中で、いわゆる食生活が変わったことによってこういったものが多く輸入されるようになっております。しかし、これは直接みんなが食べるものでないということでありますから、割合と自給率が低いといっても国民はそれこそ世界の天気に気兼ねしながらいるという状態ではありませんけれども、米までがどんどん入ってくるというようなことになりますと、これはみんなが非常に不安におののくであろうというふうに思っております。そして、先ほど申し上げましたように、稲作というものが、単に食糧を供給するというだけではなくて、国土の保全ですとかあるいは水の酒養ですとか非常に多様な役割を果たしているということを考えたときに、やはり基本的に国内で自給するんだという考え方を私どもは持ってこれからいろいろな話し合いに臨んでいきたい、このことをはっきりと申し上げておきたいと存じます。
  145. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 今の大臣のお話は今日まで日本が主張してきたところのものでありますが、四月に行われましたこの協議につきましては、そういう形で一応今後にゆだねられることになっているわけですが、食糧安保とか、また安定供給、環境保護、こういういろいろな問題につきましては、これは日本の主張として、また諸外国の中にも同じような主張の国もあろうかと思います。しかし、非常に流動的な国際情勢の中にありまして、また発言力の強い国々の、アメリカのような立場もございます。そういうことで、これはここ二年ほどの間にウルグアイ・ラウンドの結論は出すことになっておるわけでありますから、そう長い期間をかけて、時間をかけてということではございませんし、今後の推移というのは日本の食糧、ただいま大臣のお話にもございましたように、穀物自給率の低下する中にありまして、どうこれを維持するかという非常に厳しい日本の国情の中にありましては、最大の関心事でありますし、特に米がその爼上に上っておるということで、国民の非常に大きな関心がここに寄せられておるわけであります。今後のこの会議の推移、諸外国のいろいろな動向、こういうことに対しましては農林省としましても最大の情報網といいますか、こういうものをネットを張って、そしてそれに対する最大の努力をする、こういう気構えがなければ、国際舞台におきまして、日本の国でどんなに筋の通った議論としましても、国際舞台での論理といいますか、こういうものの主張の通る論理体系というものを確立していかなければならぬ、このように思うのですけれども、それらのことについてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしておきたいと思います。
  146. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題につきましては、ただ米国というだけではなくてアジアの国でも、あるいはオーストラリア等もこの問題については関心を持っておるところでありましょう。そういう意味で、今、藤原委員から御指摘もございましたように、やはり情報というものは正確に私たちも把握しておらなければならないであろうと思っております。  そういうことで、私ども日本の国としての正式の大使館等の出先機関に合わせまして、やはりガットの場に私どもの方からも出ておるわけでございますから、そういった人たちを通じながら積極的に各国と話し合う、そういう場を持ちながら情報を正確に持っていく必要があろうと思っておりますし、また常日ごろ日本の国というのは世界の農業貿易に、世界一の純輸入国といたしまして大きな貢献をむしろしておるんだということ、そしてこの一億二千万もの国民を抱える国が穀物の自給率で三〇%というところに今あるということ、こういうこと等について十分やはり知らせていく必要があろうと思いますし、それと、やはり食糧は買うことができましても、環境保全機能ですとか、あるいは水の酒養機能、こういったものは外から求めることはできないわけでありますから、そのあたりの事情というものをきちんとやはりみんなにのみ込んでもらう、そのためにあらゆる機会を通じながら私どもとしてはそういった問題についてよく説明をしておくということが非常に重要であろうと思っておりまして、今御指摘の点を私ども踏まえまして、これからも適切に対応していきたいというふうに考えております。
  147. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 自給率のことについて大臣が言及なさいましたが、カロリーベースでもこれは五割を割る現況にあるという。先進諸外国の状況を見ましても、イギリスを初め低かった自給率、カロリーベースでも随分上がっておるわけですが、日本の国が非常に自給率が下がっておる。こういう中にありまして、自前でできるものは自前で、日本の人口の半分は他国に依存しているという、カロリーベースで見ますとこんなことになるわけで、これが正常な状態であるわけはございません。一〇〇%ということにはならないのだろうと思いますけれども、しかしこれは食糧をめぐります諸外国とのいろいろな諸問題がありますが、しかしこれは最大限の努力をして少しでも上向きの方向に努力をする必要があるのじゃないか、こう思うわけであります。  そういう中にありまして、最近の世論調査とかいろいろなのを見ますと、やはり食糧が自国で、自前で賄えないということに対する不安というのはいろいろな世論調査の中にもございますけれども、どちらかというと自国の中でというそういうパーセントが非常に高いことは御存じのとおりであります。このカロリーベースで自給率が五割を割るような現況になったという現状に対しまして、農林省としてはどう受けとめていらっしゃるのか。これは確かに今のお話のように、食糧の貿易、こういう中ではそれだけたくさん買っているということになるのかもしれませんけれども、しかし国の食糧安保ということからいいますと、非常に不安な一面でもあるわけであります。急激なことはできないのは当然としまして、これに対する農林省の認識、今後に対してどういうようなお考えを持っていらっしゃるのか、ここらあたりをお聞きをしておきたいと思うのです。やはり自由化攻勢の中にありまして、農業の重要性といいますか、いろいろな角度からこれは論じられておるのですけれども、基本的な問題としてここに集約されるのではないか、これに対してどう長期的な展望の上に立って進めていこうとするか、自由化攻勢の中にありながらやはり基本とするものはしっかり定めていかなければならないというこんな考えを持っておりますので、お聞きをしたいと思うのであります。
  148. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘のとおり、近年、私どもはカロリー自給率というのはおよそ五一%を実は持っておったわけでありますけれども、ここ数年の間に二%下がってしまっておるという今御指摘のとおりでありまして、確かに食糧が戦後急激に変化したということ、そういったことでいろいろな飼料ですとか、今申し上げました油糧種子ですとか、こういうものを相当輸入しましたり、あるいは肉ですとかまた果物あるいは最近では製品輸入といいますか加工食品、こういったものなんかも入ってきておるということでございまして、そういう点でやはりここまで落ちているということ、これは私たちも考えなければいけないし、また最近では世界の気象の変化なんというものも非常に今取りざたをされておるということを考えましたときにも、やはり基礎的な米を中心とする食糧を中心にして、ある程度一定の線だけは確保しておかなければいけないだろうというふうに思っておりますし、それと同時に、生産できる態勢というものを、常に自給力というものも蓄えておかなければいけないと思うところであります。しかし、一方で、バイオテクノロジーですとか技術革新、こういったものが進展しております。また、農地の賃貸借ですとかあるいは農作業の受委託、こういうことによって規模の拡大を図っている地域やあるいは果物ですとかキノコですとか、これらの輸出をもう試みておる地域もございますし、特にナシなんかの場合には、たしか生産の一割くらいはもう輸出するようになってきておるということであり、国際的にもハイクォリティーフルーツなんという名前で割合と買われておるという現状もあります。こういった一つの明るい面もあります。それに技術進歩あるいは農業者の創意工夫、そして地域の特性を生かしつつ農業を魅力ある産業にする、こういったことは厳しい中にあっても可能であろうというふうに私は考えております。  このような状況を踏まえまして、農政審議報告などにも示された方向に沿って、いわゆる産業として自立し得る農業、こういうものの確立を図り、国民の納得していただけるような価格で食糧を安定的に供給することを基本として農業生産性向上、これを図るとともに、農業者が将来に希望を持って農業にいそしめるよう農業構造の改善、農村地域の活性化、技術開発あるいは普及等諸般の支援策、これを一層強化していかなければいけないというふうに考えております。  また、農業者は、現在農業の将来について不安を抱いているのが実情でありますが、これは将来一体どうなっちゃうのだろうかというのが一番の不安のもとであろうと思っております。そういう意味で、現行の長期見通し、これに変えまして、平成十二年一ちょうど二〇〇〇年でございますけれども、これを目標年次とする新たな農産物の需要と生産長期見通し、これを今策定する準備をいたしておるところでございます。こういったものを示しながら、それにあわせて農業者の主体性を生かせるような支援策というものを私ども農林水産省としてもとっていかなければいけないというふうに思っております。そして、そういう中で、消費者の皆様方にも満足のいただける供給というものをしていかなければいけない、かように考えるところでございます。
  149. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 今大臣のお話、今日までも主張し続けていらっしゃったことでありますし、これからの農業というものにつきましてもそれなりに発展といいますか、今後の長期見通しの上に立ち第一類第八号  農林水産委員会議録第四号まして計画的に進めていくということでありますが、現実、自給力、よく言われますが、これらの諸問題につきましても米をめぐります諸情勢や畑作をめぐります諸情勢もこのたびの自由化攻勢の中にありまして農業全般に大きな影響を及ぼし、それによってまた農村に大きな変化が今起こりつつある、こんなことを痛感するわけであります。それが五年や十年ではなくて、四十年代、三十年代後半からずっとこういう変化が行われてきておりまして、確かに規模の拡大によって新しい農業を目指すとかバイオテクノロジーのような新しい技術によってという新しい芽はないわけじゃ決してありませんけれども、それは安易に移行できるものじゃありませんし、また実用化というものもそう簡単にできるものじゃございませんし、農業というのはやはり先輩から受け継いでそして伝承されるといいますかそういうものも多分にあるのじゃないか。そういう点では地域の指導者といいますか、土づくり、人づくりともよく言われますけれども、そういうことも非常に大事なことだと思います。  そういうことからいたしますと、今非常に、そういう点では今までのような同じことを繰り返しておるのじゃなくて、若い人たちが希望を持って取り組んでいけるような政策が本当に打ち出されなければ、農業というものに対しての魅力がだんだん薄らいでいくんじゃないか、こんな気持ちがしてならないのであります。  大臣も、今いろいろな立場からのお話ありましたが、ぜひひとつそのお話、一つ一つ具体的な面で御検討いただいて、将来の農業のあり方について、農業に最も深い理解を持っていらっしゃる大臣ですから、ぜひひとつ大臣の方向性といいますかそういうものを明示していただきたいものだ、こう思うのです。  次にお伺いしたいのは、こういう自由化攻勢に遭って、それにどう対応するかという農業そのものの問題と、それから今アメリカから厳しく言われております日本の諸制度、そういう中で農業全般から見ますと流通ということが非常に大事な問題になってくるのだろうと思うのですけれども、生産部門についての改革ということと生産されたものが今度は消費に向かう間の流通ということも非常に大事なことであります。  いろいろな統計があって、その地域地域によっていろいろなあれがあるのかもしれませんが、消費者が実際手にするときの値段の中で生産者に返る値段は実際は二五%程度というような、概数そんなことも聞いておるわけでありますけれども、それが流通経費の中でまたそれぞれの集荷業者や小売店、そういうところの利益というものももちろんあるのだろうと思うのですけれども、ここらあたりの流通の合理化ということも積極的に進めませんと、農業の従事者だけに、生産者だけにむちうつようなことだけで全体の農業の近代化、合理化というものは進まないのじゃないか。これも今日までもいろいろ言われてきていることでありますからいろいろな施策はしておると思うのでありますが、その辺のことについてどのような認識をしていらっしゃるのか。また、今後に対する取り組みといいますか、お考えを持っていらっしゃるか、お聞きしておきたいと思います。
  150. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 お答え申し上げます。  農産物自由化等々、国際化の進展があるわけでございますけれども、そのような中で国民に食糧を安定的に供給していくためには、当然のことでございますけれども農業生産につきましては生産性を高めて効率化を図っていかなければならぬということでございますけれども、その際あわせて、今御指摘ございましたように、流通につきましても合理化、効率化を図ることが必要なわけでございます。  農民手取りといったようなことでの御指摘がございましたけれども、その裏側になろうかと思うのですけれども流通コストでございますが、国によりましていろいろ食糧の消費の形態、構成が違うわけでございまして、直接的な比較は非常に困難であるわけでございますけれども、我が国の食品の流通におきまして小売価格に占めます流通経費の比率を外国と比べてみましても、特に高いと言える水準ではないと思うわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、今後国際化を控えまして農業全体の体質強化を図っていく、生産性を向上していく、あわせて食品産業につきましても同じく体質の強化を図っていく、生産性の向上を行っていくというときであるだけに、そのような生産性向上の効果が流通段階で消えてしまうということなく、やはりできる限り消費者に及ぼしていくということの必要性があるわけでございまして、そのような観点からいたしましても、食品流通につきましてその機能の充実、合理化、効率化ということを今後一層進めてまいる必要があると思っておるわけでございます。  ただ、この点につきましては、私たち従来からそのような関心は強く持っているわけでございまして、例えばそのために産地の出荷体制の整備の事業、あるいは流通段階での卸売市場の整備、それから卸売業あるいは小売業の近代化といったような面、効率的な物流システムの開発といったようなことでいろいろな施策を講じているところであるわけでございますけれども、今後とも食料品の生産なり消費の実態を踏まえましてより一層の流通の合理化、効率化に取り組んでまいらなければならないというように考えておる次第でございます。
  151. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 時間もありませんから、また後の機会にそれらのことについていろいろ申し上げたいと思います。  次に、でん粉原料用の芋類につきましては、過日のガットで灰色ということで、灰色といいますか、コーンスターチとの抱き合わせということで、平成四年に再協議ということになるわけでありますが、でん粉のことを一つ取り上げてみましても、自由化関連措置といいますか、こういう非常に重要な一きょうは沖縄の方のパイナップル缶詰のこともいろいろお話ございましたが、畑作というのは輪作体系の中での作物ということですから影響が非常に大きい、こんなことは私申し上げるまでもなくよくおわかりのことだと思うのであります。現在の計画どおり進みますと、北海道における芋でん粉の削減量といいますか、これはどのくらいになるか、これも農林省の方の試算とか大学の先生の試算もいろいろあるようでありますが、いずれにしましてもこれからだんだん輸入量が多くなって、日本の消費する中での絶対量は変わらないわけでありますから、日本の生産するでん粉というのは減少傾向にいき、そして芋の作付面積も減らさなければならない方向になることは間違いないことだと思います。それが即、畑作の輪作全体に大きな影響を及ぼすことになる、このように思うのでありますけれども、ここら辺のことについては、どうですか、局長
  152. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 でん粉につきましては、去年の交渉の過程におきましては自由化はいたさなかったわけでございます。しかし、今先生御指摘ございましたように、国内産でん粉につきましてTQ制度がありまして、いわゆる抱き合わせということで国内産でん粉の消化を図っておるところでございます。  御承知のように、でん粉需要は、従来は異性化糖が非常に砂糖の世界で伸びておる段階におきましては、その原料としてでん粉需要が旺盛であったわけでございますが、異性化糖がほぼ一巡、需要が一巡ということの中におきまして、需要の拡大というのがなかなか難しい状況になってきております。そのような中でのアクセスの改善、TQ制度の改善ということでございますので、その中には抱き合わせ比率だとか関税率だとか、それから無税枠そのものの拡大とかいろいろございますけれども、総じてそれらは抱き合わせによります国産の芋でん粉の消化が従来と比べますと非常に難しくなるという状態になるわけでございます。そのようなことを反映いたしますと、やはり原料である芋の生産につきましても従来から私たち計画生産ということを生産者の方にお願いをしてまいっておるわけでございますけれども、それをやはりもっとしっかりと進めていただくという必要があるのではないか、このように思っておる次第でございます。
  153. 吉國隆

    吉國政府委員 輪作体系等との関連についてお話がございました。その点につきまして私から御答弁申し上げたいと思います。  芋はバレイショ、カンショともに、先生御指摘のように我が国の畑作の中で輪作体系上も非常に重要な地位を占めている作物でございます。また、特に北海道あるいは南九州におきましては、それぞれの土壌条件、気象条件という点からも非常に重要な位置づけを持っているというふうに考えているところでございます。  今、食品流通局長からも御答弁ございましたが、芋の作付につきましてはでん粉用の需要が従来に比べて厳しくなるということを予想しておく必要がございますので、でん粉原料用の芋については需要に応じた計画的な生産を進めていくということが一つのポイントになってまいるわけでございます。私ども、今後需要の伸びが期待できる分野といたしまして加工食品の分野に注目をいたしているところでございまして、そういう分野への転換ということを進めていくというのも一つの重要な要素になってくるというふうに認識をいたしているところでございます。  そういう考え方に立ちまして、今回の関連対策といたしまして、でん粉原料用芋類生産地域の再編整備特別対策というものを仕組んでおりまして、これによりまして各地域で推進会議を開いていただき、作付計画あるいは他用途への転換計画あるいは契約栽培の促進、こういったものについて調整を進めていくということが一つございます。そういったものの上に立ちまして、でん粉原料用の生産につきましては、生産性の向上を進めていくという見地から、各種の土地基盤整備なりあるいは営農用機械の整備あるいは加工施設の整備、こういったことを進めていく必要があるというふうに考えているわけでございます。  また同時に、加工用への転換を進めるケースにつきましては、加工用に適した収穫機、ピックアップハーベスターというような機械も御承知のように出てまいっているわけでございますが、そういった収穫機を導入していくということが必要になってまいりますし、また加工用に品質低下を防げるような温度調節の可能な貯蔵施設の整備あるいは加工施設そのものの整備、こういったものが必要になってきるという考え方に立ちまして、効率的なモデル産地の整備を進めてまいりたいということで、現段階では関係の道県におかれまして平成三年度を目標年としての産地整備のあり方についての計画作成を進めていただいている、こういう段階になっているわけでございます。  また、用途転換を進めていく際の特別事業といたしまして、昨年度の補正で特別の事業を組み立てていただいたところでございまして、これは農協等で自主的な転換をお進めになる場合に、栽培方法の転換なりあるいは機械の導入、こういうことのために必要な経費を助成するための一種の基金が設けられているという対応になっているところでございます。  また、種苗の面におきましても、加工適性にすぐれたような優良品種を普及させていくという必要があるわけでございまして、バレイショでは御承知のとおりフレンチフライ等に適したホッカイコガネというような品種もございます。またカンショではカロチン含量が高いベニハヤトあるいは甘味の少ないサツマヒカリといったような品種も出てまいっておるところでございますので、こういった優良種苗の生産増殖、このための必要な施設整備も行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  その他、需要拡大という面におきましても、こういった新規用途なりあるいは新規製品ということを含めまして消費拡大を進めていくための各種の事業にも取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございまして、こういった生産、流通、消費にわたります各種の対策を講じながら、需要の動向に即しまして体質の強い芋生産を育て二八ていく、こういう考え方に立ちまして各種の対策を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  154. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 私も北海道に農林省の試験場があって、行ったこともあるのですけれども、一つの品種をつくるのに二年や三年でできるわけじゃございませんので、市場に出るには十年近い年月が必要なわけですし、確かに新しい品種を今つくりつつあるという研究者の方々が一生懸命努力していることもよく存じております。それがそれぞれの土地に合った形でどういうふうにするかということになりますと、これはやはりある程度時間がかかることでして、こういう優良種苗、種苗のことについていろいろお話しになりましたが、種苗の増殖とかそれを普及するという、これはここでの議論としてはそうかもしれませんが、相当時間をかけて、そしてまた品種が違いますと全体の作業行程や何かにもまた違いが出てくるわけでございますから、非常に大事なことでございますし、それらについていろいろ事業をやっておるということでありますが、こういう品種を変えるということ、それから用途転換ということでありますが、自由化のためにいろいろな影響を受ける、そういう中で大きな波をかぶり、そしていろんな苦闘がその中にあるんだということを私は認識をしていただかなければならぬと思います。ぜひひとつきめ細かにこれらの問題についても対策を講じていただきたいと思いますし、生産性、品質向上のための拡充強化、今度の予算なんかでも大分見られているんだろうと思いますけれども、この畑作の場合は輪作という、稲作とは違う非常に難しい一面もありまして、言われてすぐ次の年にということにはならぬ、そういう難しさを克服しなきゃならぬ。しかし品種改良、いろんなものの努力をしておりますけれども、全体を何に転換するかということと、それからそれに適した優良品種があるということと、また初めて生産する場合にはそれに対してのいろいろな指導強化というものがなければなかなか難しいことだ、そういうことで畑作のこれらのことについては十分にひとつ現地の状況というものを把握して指導強化をするような、そしてまたそれに対する予算措置、こういうものを十分にしていただかなければならぬ、私はこう思うのです。  大臣、畑作振興ということが言われているわけですけれども、畑作にはそういう輪作という非常に難しい一面があって、品種改良を順次なさって、進められていることはよく存じておりますけれども、十分その点、畑作振興につきましては全体系の上に立って進めていかなければならないということで、現場的に言いますと、ビートもだんだん、作付も全体として、数量的には割り当てということはありませんけれども、話し合いでどうするか、ジャガイモにつきましても、でん粉等原料の芋につきましてはやはりそれぞれの町村でいろいろな制約を受ける、それぞれの畑作作物につきましてそういう制約を受ける中で、何をどうするかという狭められた選択肢の中で選ばなきゃならぬという現状の中に現地はある。それは兼業農家のようにちょっと片手間でやっている方はそれほどでもないのかもしれませんが、北海道のように農林省の御指導どおり大規模にやっている専業農家ほどそういうことに非常に苦労しなきゃならぬという現況にあることを十分にひとつ御認識いただきまして、畑作振興に対する今後の農林省としてのお考えもお聞きしたいと思うのですけれども、どうでしょう。
  155. 羽田孜

    羽田国務大臣 まさに私どもの畑作地帯というのは北海道から南九州、これまた沖縄に至るまで広範囲にわたっておりまして、それぞれの地域の立地条件ですとか、あるいは経営条件に応じまして多種多様な畑作物の生産が行われております。まさにこれは我が国農業の重要な一分野であるというふうに私どもは考えております。しかしながら、北海道等の一部を除きましては生産規模が零細であり、また生産性が低いという問題があるほか、最近では円高もございまして、麦とか大豆等の一部の畑作物につきましては内外の価格差の縮小、こういうものも実は求められております。今先生の御指摘がございましたでん粉等についても、これはバレイショ等につきましても同じことが言えるのではなかろうかと思うわけでございます。  このような中にありまして今後の畑作農業の展望を切り開いていくためには、長期展望を明らかにしつつ合理的な輪作体系の確立あるいは栽培技術の向上などを図るとともに、規模の拡大ですとか生産の集団化等によりましてコストダウン及び品質の向上を推進する必要があると考えております。また消費者のニーズというのが非常に多様化してきておるという現状にこたえて、新しい作物の導入ですとかあるいは地域特産物の新たな開発、これも我が国畑作農業の振興という面から非常に重要な課題であろうと考えております。  例えば御地元の北海道におきましても、カスミソウ等の花卉あるいは油脂用のヒマワリですとか薬用作物ですとかソバ、こういったものの導入、振興に努力が行われておりまして、その成果が今あらわれつつあるというふうに私ども聞いております。こういったものを個々の農家の方あるいは地域農業組織あるいは自治体、いろいろな皆さん方で見つめながら開発していただく、また私ども農林水産省としてもそういったものが整々と発展できるような支援というものをしていかなければいけないというふうに考えております。
  156. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 今お話にありましたように、畑作、これはいろいろな作物が植えられるわけでありますから、麦は麦、てん菜はてん菜、でん粉用のジャガイモはジャガイモというように一つだけ取り上げてそれを論議したのでは現場的にはそれはならぬということで、全体の整合性といいますか、畑作全体系の上に立って輪作体系がうまく循環できるような仕組みというものを考えていかなければならぬ。まさしく今大臣お話ありましたが、ひとつその点に留意して十分に御検討いただきたいと思います。  さて、法案のことに入りますが、加工原料農産物をめぐります問題についていろいろお話を聞きますと、加工業者の側からの要望としましては、加工原料としての用途に合った品質の高い原料農産物をできるだけ安い価格で中長期的に安定的に供給してほしい。これは当然のことだろうと思います。こういうニーズに合ったものでなければ生産いたしましてもそのルートに乗らぬということだろうと思います。加工原料としての用途に合った品質の高い原料農産物、それから価格の安い、また中長期的に安定的に供給する、加工業者としては、いろいろな議論があるのかもしれませんが、こういう三つに集約されるだろうと思います。今後の農産物の加工問題につきましては、この三点に意をとどめてこの推進方を進めていかなければならないと思うのです。  そういうことからしますと、先ほどもいろいろなお話をいたしましたが、やはり品質の高いもの、原料農産物は品種改良とかこういうことでいいものをつくっていただかなければいかぬということで、新しい品種の改良に一生懸命努力していらっしゃる研究施設と、それから現場的にそれを普及する普及員の方と農家の方、こういう三者が本当に有機的にそのときの変化対応した形でこれを進められていかなければならないと思うのです。ところが、最近は非常に変化が激しいということの中で、なかなか時にかなったものがつくれない。安いということからいいますと、これは海外に依存する、特に円高ということがありまして、海外の安いものに依存するような形がどうしてもとられやすい、空洞化とかいろいろなことが言われております。やはり、言うまでもなく、農業農産物加工というのは一体として地域の振興に貢献するものだろうと思います。  そういうことからいいますと、品種改良ということや、新しいものを普及するということや、また変化の激しいこういう時代ですから需要にこたえるような形で先々と研究、新しい優良品種を開発をしていきませんと、どうしても生産というのはおくれをとるといいますかニーズに合わなくなってしまう、こういうことで、研究機関というものに対する、もっともっと真剣な予算措置を初めとしてスタッフや体制を整えなければならぬという気がしてならぬのであります。それとまた、普及員、こういう研究開発とそれを普及するこれらの仕組みというものについて、今までのような体制ではこれはちょっと対応できないというように痛感するのですけれども、農林省としてはいかがお考えでしょう。
  157. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 国際化が進む中で加工業につきましてその体質を強化していくということの一つといたしまして、先生今御指摘のような研究についての積極的な取り組みというのが非常に必要だということは私たちもそのように理解をいたしております。  全体の話をして恐縮でございますけれども、食品産業というのは、こういう研究投資が非常におくれていると言われている分野でございまして、売上高に占める研究費の投資も大体一%、全生産業で大体三%と言われておりますので、非常に低い水準であるわけでございます。したがいまして、その体質強化一つといたしまして、私たちが体質強化の手段として御提案申し上げておりますように、一つ低利融資一つは税法上の措置を講ずることになっておるわけでございますが、低利融資の中でも低利資金をこのような研究のための投資、そのための施設を自分たちでつくるといった場合の資金低利融資いたすことにもいたしておりますし、また税法上でも試験研究税制と俗称されております優遇措置を講ずることにしておるわけでございます。  もちろん、このような試験研究は、先生がおっしゃいますようにそれぞれの企業の中だけで完結してできるものではないわけでございまして、それぞれの企業が立地しておりますところにございます試験研究機関あるいは普及組織の方々と連携を十分にとって、研究テーマを選びます場合にもとのようなものが一番いいのであろうかといったようなこと等を初めといたしまして、お互いによく連携をとってその中で効率的に進めていく必要があろうかというように存じておる次第でございます。
  158. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 今もお話がございましたように、農業農産物加工業というのは密接不可分といいますか地域経済に非常に大きな影響力を持っておるということで、非常に重要な役割を担っておると思うのです。こういうことでありますから、今後法律にのっとりまして適用になりますと、計画そしてまたそれを承認、こういうことでいろいろ手続をすることになるわけでありますが、知事さんに計画承認の許可をいただく、こういうことを委嘱するということになっております。地域農業の健全な発展に資するという条件を承認一つの要件として持っておるのは当然のことだと思うのでありますが、ともすれば最近の円高、最近円高といっても円も少し揺らいでおりますけれども、こういう中にありまして、できるだけ我々としましては地域発展のために地元のものをということでありますが、しかし、それは安い原料が入手できるならばその方がと、企業的な感覚からしますとそういう感じになってしまうのだろうと思います。農村部にありますと、できるだけ地元のものをということでありますが、しかし、企業として経営が成り立つような、先ほど申し上げた品質の高い、そしてまた安定的に供給できる、安いものができれば一番いいのですが、そういう努力というのは非常に大事になってくると思います。  こういうことで、地域農業の健全な発展に資するということは、その地域地域によっていろいろな条件があるだろうと思うのでありますが、本当に先ほども申し上げたように研究、新しい品種、新しいニーズに合ったものという、こういうこととのタイアノプて——農業は急に変えるわけにいかぬ、加工業みたいに機械を入れたらすぐ新しいものができるというわけにいかないだけに、地道な努力が必要だろうと思いますし、それからまた、新しい品種改良のための国の機関の、地域地域の御努力、土地の状況に合いました基本的な研究機関、現場的にはまた県とか市町村とかそれぞれの企業で研究なさるといたしましても、国としましてもますます新しいものを開発していく、こういう手だてというものは重要さを増してきた、こんな感じがしてならないのです。地域農業振興という上においてこのたびの法案の持つ役割というのは非常に大きいというように思うのでありますが、この辺のことについてひとつお考えをお聞きして、終わりたいと思います。
  159. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 食品加工業の意義といいますかその存在価値といったような点につきまして、先生からいろいろ御指摘があったわけでございますが、要するに、かなりの農業生産物の引き取り手となっているということもございます。そのほかに、その地域におきまして雇用の機会を創出している、所得確保の機会を創出しているというようなことも非常に大きな地域への貢献を食品産業が果たしているということの証左になろうかと思います。  私たち、今回、自由化ということが契機ではありますけれども、このような食品加工業に対しましてその体質を強化していくことについての支援措置を講じてまいりたいと思っておるわけでございますけれども、これはとりもなおさず地域農業の振興にもつながる、地域の経済の振興にもつながるというように確信をいたしているところでございます。どうぞよろしく御理解のほどを賜ればありがたいと存ずる次第でございます。
  160. 高村正彦

    ○高村委員長代理 滝沢幸助君。
  161. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 委員長御苦労さま。大臣初め政府委員の皆さん御苦労さま。  特定農産加工業経営改善臨時措置法、いかめしい名前でありますが、大体法律の名前というのはいかめしいものでありますから、これについて質問申し上げたいと思います。  各党から先輩の諸先生がおっしゃっていただきましたこととやや重複することもあろうかと思いますが、事の性質上ひとつ御了承ちょうだいしまして、さらにまた私の不勉強のゆえをもって、なかなかつじつまが合わぬ点もあろうと存じますが、大臣、ひとつ温かい御答弁をちょうだいしたい、こういうふうにお願いを申し上げたいと思います。  さて、この法律対象となりまする業種は省令で指定するということになっておりまして、かんきつの果汁製造業その他、九業種ということになっているようであります。しかし、私たちが心配をいたしますのは、この九つに限定していいものか、そのほかにボーダーラインといいますか、そのお隣といいますか、これがやはり案じられるのではないか、こういうふうに実は思うのであります。しかし、そのことは、同じ製造業種の中でもっと種別を多くした方がいいという思想と、もう一つは、製造業そのものではないんだけれども、例えばその荷物を出荷するときにこん包するないしは輸送する、その他これに関連しまする業界等も今回のいわば被害者、という言い方はどうか知りませんけれども、そういう面もあろうと存じまして、このようないわゆる製造業以外にも対象業種を拡大するというような思想は持たれないものかどうかというようなことを思うのでありますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  162. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 今回御審議をお願い申し上げております法律は、自由化によりまして農産加工業対象となってくるわけでございます。それは輸入食品の輸入がふえまして、それと競合するといいますか、競争するような製品を加工業者がつくっております場合に非常にその競争が激しくなることに伴いまして経営上不利な立場、非常に支障が生ずることを是正するということを考えて、それに対する対策をつくり上げたというところであるわけでございます。したがいまして、先生のせっかくの御指摘でございますが、例えば流通業者だとかこん包業者、輸送業者とかいう方々、確かに、もしそういうことで国内産品が非常に打撃を受けまして少なくなりますと運ぶものが少なくなるとは思いますけれども、あわせまして、その人たちは、ちょっと言葉が適当でないかもわかりませんが、輸入した物資も運ぶわけでもございますし、だから、自由化に伴いまして、加工業者のようには特別影響を受けない。加工業者は自分たちがつくっている品物と同じものが安く入ってくる可能性が強いわけでございますけれども、流通業者の方々等は、国産品であろうと輸入品であろうとそのようなことの差別はなく扱ってお仕事をなされておるという観点でございますから、私たちは、この今回の自由化による影響といたしましては、競合する製品をつくっております加工業者についての経営困難を解消する支援措置を講ずるということに限定して考えさせていただいた次第でございます。
  163. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 承りまして、それも一つの見識でございます。  ところで大臣、農家の立場から率直な御意見を申し上げさせていただくならば、いわゆる農作物の自由化等の対米交渉等におきまする過程を見ておりまして、言うなれば結論は最初から出ていたんだけれども、農家の手前、ちょっと言葉が適当でありませんけれども、いい程度に頑張っていただいて、その経過の中で農家ではまあ仕方がないというところに、最近はがんも治りますからあれですけれども、がんの病人、最初からあと半年とわかっているんだけれども、いろいろと入院させたり何かさせまして、そんな感じがいたしておるというのが農家の最近の、この数年間の農林省ないしは外務省の農作物等をめぐる各種の交渉等の感じではないのかというふうに思うのですよ。これは前大臣もまた後大臣も、先回の御任務のころも大変お骨を折っていただいているということを私たちはややそばで拝見しているものですから、それは十分にわかるつもりであります。ただ、遠く農家の立場で新聞等の経過を見ておりまする者にとっては、さっき申し上げたような、いささかさめた目にならざるを得ないというのが今日の状況だと思うのであります。そうした結果、これは自由化される産品も結局出てきたものですからこのような御提案ということになるわけでありますが、そのようなことについて、農家に対しましていわば意のある御説明というものはもう幾らされても足りるということはないと思うものですから、大臣、一言そこら辺の消息を承りたいと思います。
  164. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいま御指摘のございました農産物十二品目並びにかんきつ牛肉等の自由化についてでありますけれども、この問題が特に強く出てまいりましたのは、ちょうど私がたしか政務次官をやめたあたりでございまして、もう十数年前にさかのぼるわけであります。そして政務次官をやめてわずかの間にアメリカに行けということで、あのときはちょうど東京ラウンドのときでありました。そのときにやはり自由化問題等が提起されましていろいろな交渉、私たちは議会筋といった皆さん方と話し合う。そういう中で、結果としては枠の拡大とい一ことで済んでまいったわけであります。また、それから四年間たちましてこの交渉が始まりまして、前回の交渉のときでありますけれども、そのときにもある程度枠の拡大ということ、そしてこれがうまく話がついたからということで、十二品目についてもお互いに休戦をするというような措置を実はとったところでありました。しかし、先方では、どうしてもこの自由化という問題については国内からも相当強い声が出てくるということ、それからガットの規則に照らし合わせたときに、これは自分たちとしては間違いなくクロになるであろうということでありました。従来は、ガットにまで出してそしてこれを論議するというところまでは来なかったわけでありますけれども、今度の場合にはそういう議論になったわけであります。  我が方といたしましては、これは近年では初めての問題でありますし、こういった類似のものでは初めてのものでありますから、私どもとしては何としても交渉で先方に理解を求めるということでやっておったわけでありますけれども、御案内のとおりパネルで議論をされた結果、多国間によって十二品目のうち十品目はクロ、二品目は灰色であるというふうなあれが実はおろされたということであります。私どもといたしましては、そういった中にありましても何とかひとつこれを理解させることができないかということで粘ったわけでありますけれども、結果としては八品目について自由化をするということになり、そして二品目については、加工度の高いものはあれしようということで、アイスクリームですとかあるいはフローズンヨーグルトですとかそういったものについての自由化を認めたということであります。     〔高村委員長代理退席、委員長着席〕  それで今度、牛肉かんきつになりますと、やはり十二品目の中で牛肉調製品なんというのを議論いたしております。あるいは非かんきつ系のジュースなんかについての議論もあります。こういうものがガットのパネルで議論された後でありますから、さてこれでまたガットに向こうは提出するということでありますから、ということになりますと、さあ、その結果というものは我々が勝利を得ることができるだろうかというものを考えたときに、これはやはり二国間で議論した方がむしろ条件、いわゆる国境措置ですとかあるいは国内措置ですとかそういったものをとる条件というものをさらに高いものを確保することができるであろうということで、牛肉かんきつについては私どもとしては二国間で議論をする道を実は選択をいたしたということであります。  結果としましては、それぞれ三年、ジュースについては四年という期間を置きながら自由化をすることになったわけでありますけれども、ここに至るまでの間というのは外務省も本当によく頑張ってくれましたし、農林省のそれぞれの担当の人たちも、それこそ寝ずに頑張ってくれたというのが実態であるわけでございますし、また、自由化をしなければならないというものについては今御審議をいただいております法律のほかに、畜産関係の二法ですとか予算措置ですとかあるいは税法上の措置ですとかこういったものを実はとらせていただいたということであります。やはり相手のある中にあって自分の国の弱いものだけは絶対だめだということを、これは逃げられるものじゃないという中でぎりぎりの選択をそれぞれしたんだということについて、ぜひ農民の皆様方、現場にある皆様方も御理解をいただきたいなというふうに思っております。  ただ、こういった問題について、交渉している最中から今実はこうなんです、ああなんですということを申し上げながらやれれば一番いいことなのでしょうけれども、やはり先方があるものでございますからそれができないというところに、誤解ですとかあるいは不満ですとかそういったものが高まってきているであろうと思っております。しかし私どもは一億二千万の国民を抱える国でありますし、先ほどから御指摘がありましたように食糧自給率も四九%、穀物自給率も三〇%というところに低下しておるわけでありますから、国内で生産でき得るもの、今この自由化対象になったものも各地域にとって、あるいは日本の食料にとっても重要なものでありますから、何とかひとつこれを支えていかなければいけないし、またこれにかかわるそれぞれの加工産業等についても支援をしていくということが非常に重要であろうということで、今度の法案も御審議をいただいておるということであります。
  165. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 お骨折り多といたしますが、大臣、そのようなことをもう少し農家の方々にわかるように御説明いただくことがもっともっと大事じゃないのか、私はこう思いますよ。  私は、おととし民社党のいわば調査団というようなことでアメリカに渡りまして、主として、例のあのときの米の課題等を中心としまして今議論されているような品目についての問題等も含め、農務長官そのほかにお会いしていろいろと、いわば野党という立場において、しかもこのことは政府と一緒に日本国民すべての声なんだよということを申し上げてきたのであります。そこで私が感じましたことは、日本においては、ややもすれば工業関係の方々、それと農村の方々、あるいはまた米ならば米の生産農家の方々と消費者の方々というものが利益が相反するというようなとらえ方が先行しまして、時計が売れるがゆえに米を買えと言われるんだ、電話機が売れますがゆえに牛肉のことが言われるんだというふうにはなかなかこちら日本ではならぬですね。しかし、アメリカに渡って感じましたことは、民主、共和両党といえども、このことについてのとらえ方は、日本はもっと農作物を買いなさいという叫びについてはほとんど異口同音でありましたし、特に農家を代表するような議員さんないしは都会を選挙基盤にされる議員さんも同じようなふうにおっしゃっておる。つまりは、アメリカはこのことについて挙国一致なんだけれども、日本では、生産者と消費者、農村と都会あるいはまた農と工、こういうふうに分かれた認識である。これは大変つらいことではないのか、こういうふうに思いました。  今ちょっと難しい立場にいらっしゃるようでありますが、安倍幹事長が外務大臣をなさっておるときに私は質問しまして、あなた、長い間外務大臣でお骨折りなさっているようだけれども、私は外交のことに弱いけれども感じますることは、一つの国が外交の分野において成功するためには三つの要件が必要なのではないのか、こういうふうに言いました。つまり、あなたがよその国に行かれて外交を展開されるに当たりまして、一つは、国民が挙げて挙国一致的に、政争は水際までといいますが、成功を神に祈るような気持ちであなたの帰国を待つ、頑張れという世論の背景があるかどうか。もう一つは、申すまでもなく国の背後にある経済力であります。もう一つは、これはいろいろと理解の差はありましょうけれども、軍事力だ。この三つの背景があってこそ初めて外交というものは成功すべきものであって、外務大臣が英語が達者だぐらいのことではなかなかできようはずはない、こういうふうに申し上げましてどう思うのかと言いましたら、もちろんそれを全面的に賛意は表せない立場にあろうからでありましょうが、そういうことでありました。  私は、あなたがアメリカその他におきまして、いわゆる農作物の交渉といいましてもしょせんは外交であります、外務省ともども苦労していらっしゃるわけでありますが、そのような意味におきましては、日本ももっと外交の場面におきましては、しかもこれが正しい主張であるならば、もっともっと挙国一致的な叫びになった方がいいし、そうでなくちゃ成功せぬと思うのですよ。そうした場合、私は農作物のことについて、いわゆる工業界も、そして生産者も消費者も同じ理解に立てるような主張といいますか、メニューといいますか、ないしはそれに対する説明といいますか、こういうものがもっともっとなくちゃ今後とも大変ではないかな、こう思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  166. 羽田孜

    羽田国務大臣 先ほど先生から御指摘がございましたように、例えば交渉について現地の農民の皆様方にももっとよく説明ずるようにというお話があったわけでありますけれども、私どもも、これは生産の場にある方たちにも外交交渉の経緯あるいは結果についてお話をする機会、いろいろな機会をとらえながら申し上げたり、また消費者の皆さんあるいは産業界の皆さん、こういった皆さん方にもでき得るだけ時間と機会をとらえて日本の農業というものの実態ですとか農業の果たしている役割ですとか、あるいは世界における食糧の供給の今日の現状ですとか気象の状況ですとか、そういうものについても実は相当細かくお話しするようにいたしております。ただ、残念ですけれども、みんながそれを本当に理解してくれないという一面があります。  しかし、最近ではエコノミストですとかアエラですとか、そういった経済誌なんかが農業問題を取り上げるようになってきて、いずれにしましても、みんなが議論をするようになってきたということは私は大きな成果なのかなというふうに思っております。中には相当むちゃなことを言ったり、ちょっとお門違いな批判をしたりするものもありますけれども、しかしそういうことでみんなが関心を持ってきたということは非常にいいことだと思います。私たちはこれからも気をつけながらそういったPRをよくしていかなければいかぬ。  いずれにしましても、私はよく、相手と交渉しているときに後ろから鉄砲玉が飛んできたらこれはどうにもならぬよということを申し上げておるのですけれども、私たちがこれはこういう事情でだめなんですと言っていますと、後ろの方から、いや安いものが必要なんだからくれよという話があります。しかし、この人たちと、本当に直接後ろの人と話してみますと、日本の食糧は今こういう状況だよ、原料の状況なんかについても今農業者の皆さん方もこんな生産努力、コストを下げる努力をしながらこんな措置をしてきているんだよということをきちんと説明しますと、そんな努力をしているのか、これはさらに努力してくれればいいなということで、ただ否定するものではなくなってきておるということもありますから、今御指摘のあったことなどを私どもも十分踏まえながら、今後とも、世界の現状、そしてどうしてコストの安い農業をやらなければいけないのかということについての理解を深めるためにも、農業者の皆さんともよく話し合っていきたいし、あるいははかの場にある皆さん方にも逆に農業がどんな苦労をしているのかという事情等についてもよく説明を申し上げていく、そんなことをしていかなければいけないということを今改めて痛切に感じました。ありがとうございます。
  167. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 そこで、実はこれも先輩先生がおっしゃっていただいたことかもしれませんが、今回の措置について、金融ないしは税制面の措置がとられようとしているわけであります。その場合、幾つかの金融機関の間の、金融機関の性質といいますか系統といいますか、これの協力あるいは連絡が十分にとられなければいけないな、私はこう思うのでありますが、そのようなことについての指導、措置はいかがなものでありましょうか。  もう一つは、私は先般、昨年の東北地方等の冷害のことについても申し上げたのでありますが、これは今回の措置とは直接関係ないかもしれませんけれども、制度資金等を農家がお借りしているものにつきまして、金利が下がっても計算し直しをしてくれないのですね。ところが、市中銀行はどんどん向こうから勧めて、社長、実は金利が下がってこういうメニューも出ていますので、これは一たんここで清算して借りかえた方がいいですよというようなことでいるのですよ。五年前、十年前、御存じのように構造改善事業等で借りる金というのは大体十八年も期間がありますからね。そうしますと、古いのは相当金利に幅があるのですよ。それをいわば農家にまつわるそうした制度資金等が計算し直しをしてもらえないということはつらいことでありますが、このようなことについてもいかがなものでありましょうか。  そうしてまた、税法上の措置は二年となっておりますが、この法律は五年ということであります。当然二年過ぎたらまたということでありましょうが、ここら辺についてはいかがなものでありましょうかというような点だけをいわゆる法律案について申し上げさせていただきまして、あとせっかくよその省庁から見えておりますので、そちらの方に問題を移してまいりたいと思いますが、いかがなものでありましょうか。
  168. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 私たち今御提案申し上げております支援措置の中の金融につきましては、農林漁業金融公庫のほか、政府関係金融機関といたしましては中小企業金融公庫だとか開発銀行等々も御協力をいただくように考えておるわけでございます。また、系統金融機関につきましても一定の担当をしていただこうというように考えておるわけでございますが、このように複数の金融機関にいろいろお願いを申し上げるわけではございますけれども、それぞれの加工業者がお金を現実に借りる場合にこのような金融機関のどれを利用するかというのは加工業者の選択に任せられることになっておるわけでございまして、そういう観点からいたしまして、相互連絡というようなあるいは相互調整ともいうような感じでお聞きしておったわけでございますが、今申し上げましたような趣旨で、複数の金融機関を活用いたしますけれども、それぞれについて調整をする必要等々は私たち考えていないところでございます。  それから融資枠——私、二番目の御質問が申しわけございませんが、ちょっとはっきりしなかったわけでございますけれども、三番目の問題かと思いますけれども、弾力的運用、要するに融資につきましは一応三百億円を年間の貸し付けの限度額と考えておるわけでございますが、この融資枠が仮に不足したような場合の弾力的運用につきましては、公庫全体の融資枠の中に余裕がある限りにおいてはかなり弾力的に処理ができるものと考えておる次第でございます。どうも申しわけございません。
  169. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 せっかく労働省、通産省、文部省から見えていただきましたので、法律案そのものにつきましてはやや不十分でありましたが、一応これで終わらせていただきます。  実は大臣、先ほどおっしゃっていただきましたようなことでいろいろとお骨折りいただきまして、いわゆる農家の経営の規模の拡大といいますか進んでまいっておりまして、私の村落のごときも大臣が先回の任期中に基盤整備事業ができましてその記念碑に先生に書いていただきまして、あなたにとってはそれこそはた迷惑なことでありましたが、ところがそうして経営規模を拡大しまして他の産業とも、しかもよその国とも競合してなお勝ち残れるような農家になる。経営の規模を拡大することになりますと、結局その村落におきまして、あるいはまたその市町村におきまして余剰労働力が生じてきます。これについて十分にこれを吸収するいわば雇用関係がありませんと、これは兼業となり出稼ぎとなり、そして離村ということになります。このようなことを考えますと、総理大臣はふるさと創生という言葉を残して辞任されるようなことでありますが、リクルートはリクルート、ふるさと創生はふるさと創生、いいことはいいわけでありますけれども、ただしかし、一億円ずつばらまいただけでは話になりませんで、私はやはり通産省さんも労働省さんも、きょうはお見えいただいておりませんが自治省さんも、わけても農林省もきちんと連絡機関をつくっていただきまして、例えば十年間に農家の経営の規模拡大はここまで進む、そうしたならばこれだけの労働力が農業以外の面に転職しなければならぬというような設計図を持っていただきまして、ならばこれに対して工場等が、いわゆる農村工業導入法というのでありますが、それはどこにどういうふうに行くものであるかという全体図が必要ではないのかなということで、私は民社党におきまして百万人雇用の構想というものを今まとめておるところであります。これは私の勝手な計算でありますが、年に十万の雇用を農村に移す。その移す場所は、政府がどこの何町というものをちゃんと指定をして、特に過疎地等の救済を考えていくべきではないのかと思うのです。  ところが、今のところ見ておりまして、農村工業導入法といっても、これがどうも、行き当たりばったりという言い方はちょっと酷でございますが、各省庁の中の有機的な協力関係ができてないのではないか。したがって、先年度におきましてどの程度経営改善ができて、どの程度の余剰労働力ができて、それがどの程度にどこに吸収されたものであるかということについて、資料その他もどの程度整備されているか知りませんけれども、ただ私は一つの構想として、先ほど申しました十万人ずつ十年間雇用を拡大していこうということを思うのであります。  この関連につきまして、各省庁から見えていらっしゃいますが、それぞれ不言ずつおっしゃっていただきたい。なお、あしたまた時間をちょうだいしているようでありますから、きょう論議の詰められない点は、あしたもお骨折りを願いたいと思うのであります。
  170. 松山光治

    ○松山政府委員 構造改善を円滑に進めていく上で、いわば土地を出す側に回ります農家の安定的な就業機会の確保を図っていくことは非常に重要なことである、御指摘のとおりだと考えております。  四十六年に制定されました農村地域工業導入法を基軸にいたしながら、今先生御指摘のございましたように、関係各省庁と十分な連携を保って税制金融上の措置あるいは各種の補助事業、こういうことで、今までのところ関係市町村ともども一生懸命に頑張ってきておるわけであります。  その場合、国といたしまして一つ考え方と申しましょうか、基本方針を示しながら、具体的な就業改善の必要性なり規模といったようなことは市町村レベルで、地域によって大分事情が違っておるかと思いますので、実施計画を市町村でつくって、これを進めるという全体の仕掛けに相なっております。ことしの三月末現在で、そういった実施計画をつくっております市町村が千七十二市町村ございまして、導入企業数が、四千五百余の企業が既に入ってございます。地元雇用者が二十二万余、そのうち農家世帯員からの就業者がその半分に近いといったような実績になってございまして、関係者の努力によりまして一定の成果をおさめておると認識をいたしておるわけであります。  ただ、御指摘ございましたように、なかなか計画どおりにいっておらないということも事実でございます。計画どおりにいっておらないにつきましては、例えば経済状況が変わったとかいろいろな事情があるわけでございますが、企業の希望と立地条件なりいろいろな関連施設の整備の点でなかなか折り合わないとか、あるいはまた関係者が出措いたしました農村地域工業導入促進センターという民間団体を中心としまして、いろいろなPR活動、情報の収集、提供活動もやっておりますが、団地につきましての情報が必ずしも的確に伝わってないといりた事情もあろうかと反省をいたしておるわけであります。  こういう状況を踏まえながら、できるだけチャンスを拡大していくという趣旨で、昨年の国会でございますが、この法律の導入対象業種を道路貨物運送業、倉庫業、こん包業、卸売業というふうに四業種に拡大をいたしまして、そういうものにつきましても税制金融上の特別措置を講ずるようにいたしたわけであります。そのほかにこれまでの実績、あるいはそのほかであらわれております問題を踏まえまして、例えば下請関連施設が手薄なためになかなか入りにくいという事情もございますので、そういうものを重点的に整備できるような補助事業も昨年から始めてございます。それから、企業への情報提供を円滑に進めるということで、導入地区につきましての情報をパソコン通信を活用いたしまして提供する立地情報システム整備事業というのを昨年度の予算で行いまして、既に三月から実行に入っておるわけでございます。私ども、こういった各般の施策を有効に活用しながら、関係省庁ともども農家の就業機会の安定的な確保という課題に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  171. 和田正武

    和田説明員 既に今農林省の方から、農工法に基づきまして農村地域に工業を導入する、それについていろいろな施策を行っているというお話がありました。私たちも農林省その他の関係省庁と協力いたしまして実施をし、また農村地域への工業の導入に支援をしている状況でございます。  具体的な内容については、今農林省からお話がありましたので繰り返しませんが、私たちの観点から申しますと、近年、産業構造の変化等から工業立地が大分内陸部に移ってきているという状況にございます。そういった意味では、最近、特に景気も非常に好調でございますので、工場立地が活発になっております。一部地方では工業団地が売り手市場に転じているところも出てきているような状況でございまして、良好な工業団地が、農工団地が造成されるということであれば、農村部への工業等の導入は着実に進んでいくのではないかと見通しております。今後とも我々、農村部への工業導入に大いに支援をしていきたいと思っております。
  172. 九重達夫

    ○九重説明員 農村工業導入法につきましては、ただいま農林省の方から御説明がありましたが、労働省独自といたしましては、昭和四十五年度から離農転職を希望する方たちの他産業への円滑な再就職の推進ということでいろいろな対策を講じてきております。  まず一つといたしましては、農業就業者が非常に多いところに農業者転職相談員の配置によります離農転職希望者の把握であるとか、あるいは導入される工業等へ就業を希望する農業従事者の転職相談の実施であるとか、さらには農村人材銀行を八十七カ所設けまして積極的な職業紹介を実施してきております。さらには、そういう地域農業者転職対策会議を設置いたしまして、周辺市町村からの就業者の確保等の対策も講じてきておるところでございます。  こういう対策を講じた結果、現在、労働省が農村人材銀行を設置している地域におきます離農転職希望者の就職状況を見ますと、昭和六十二年におきまして、転職希望者数が一万二千五百八十八人ございました。そのうち新規求職申込件数が八千二百七十件、就職した件数が四千九百五十四件となっております。労働省といたしましては、以上のような施策も今後ますます充実していきたいというふうに考えております。
  173. 上野紀男

    ○上野説明員 私ども文部省の初等中等教育局でございますが、高等学校の農業科を中心とした教育について御説明申し上げます。  近年の我が国の産業界のいろいろな進展あるいは就業構造の変化等がございますけれども、そういった中で、高等学校の農業教育におきましても、これらの変化に適切に対応していくことが必要となってきているところでございます。文部省におきましては、これまでも各都道府県に対して新しい学科のモデルや、あるいはバイオテクノロジーに関する指導内容等を示したり、実験、実習に係る施設設備について助成してきたわけでございます。本年三月十五日に新しい高等学校の学習指導要領を告示したところでございますけれども、その中におきましても、農業における流通経済の進展や農村社会の変化を踏まえ、農業経済や食品流通に関する内容の充実、情報に関する科目の新設などの改善を図っていくこととしたところでございます。文部省といたしましては、新しい学習指導要領の趣旨の徹底を図るなど、今後も農業をめぐるさまざまな変化対応し、主体的に農業発展を図る有為な職業人の育成に努めていくこととしているところでございます。
  174. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 労働省さん、通産省さん、ひとつお帰りいただきまして、あしたの時間をいただきましたので、後で検討いたしましてあるいはもう一度お願いすることになるかと思いますが、きょうはありがとうございました。  ただ、これはちょっと文部省さんにお伺いすることでありますが、今おっしゃっていただきましたけれども、私は実際問題として考えておるのでありますが、高等学校、大学でもそれは例外ではありませんで、農業の将来だ若人の夢をつなぐことができない今の農政の状況におきましては、農業科というものに対しての入学の希望は極めて少ない。むしろ、それは普通科に入れない者の救済の場所になっている。あるいはまた大学等におきましては、これが法科、経済学部に入れない者が入っている。そして、両方とも就職のとき、つまり卒業した時点におきましては農業サイドになかなか入らぬ。農学部を出てきた者が司法書士になったりしているわけであります。  それはそれといたしまして、私は、日本の教育というものが極めて現実におくれているのではないか、こういうふうに思うのですよ。殊に農学部、農学科というものに対しての定義はいかなるものであるかというふうに思いますると、農業そのものが変わってきているわけでありますから、今お話がありましたバイオとかあるいはまた薬剤というようなことを考えますると、農業は案外理学部であったり、特に化学であったり薬学であったりするわけです。文部省がそういうことについてのもっと時代に適応した、ないしは時代を先取りした構想を持っていただかないことにはいけないのではないか。殊に、昔は小中学校におきましても、農村部の学校におきましてはきちんと農業というものを教えたものであります。しかも、その中で大事なことは、農業に携わる者の心を、精神を、農民の魂を教える面がありました。それは今や完全に消えてしまったことでありますが、このようなことを繰り返しておりましては、私は、教育こそが農業からむしろ置いてきぼりになる、そして日本の農業が衰微していくに従いまして教育も忘れられていくということになるのではないかと思いまして非常に憂えているわけであります。  こうしたことにつきまして、農学部というものの使命は何ぞや、高等学校における農科というものは何をしようとしておるものか、ここら辺のことについてもう一回考え直していただく時期だろうなと思うものですから今文部省さんにおいでいただいたわけでありますが、もう一度ひとつ高校、大学それぞれの立場におきましておっしゃっていただきたいと思います。
  175. 草原克豪

    ○草原説明員 大学におきます農学というのは衣食住に関する生物資源の生産利用目的とする応用化学、こう言ってよろしいかと思います。しかし、先生御指摘のように、最近の急速な科学技術の進展あるいは社会構造の変化の中で大学の農学関係の学部に対する社会的な要請というのも非常に多様化してきております。単に農林漁業に直接役に立つ学問ということだけではなくて、広く農水産物加工あるいは流通経済等の分野をも包含するようになってきておりまして、また、バイオテクノロジーによる新しい生物資源の開発利用、環境問題を含めた天然資源の保全や活用、こういった分野においても大きな役割を果たすことが期待されるようになってきているというふうに認識しております。文部省としては、このような時代の変化と社会的な要請に対応した農学教育を大学で進めていく、こういう観点から、必要な学科の改組とか教育内容改善といったことに努めてまいりたいと考えております。
  176. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 そこで、農政の議論のところに文部省においでいただいたわけでありますけれども、農林省は教育に対して何か御意見、提言ないしは働きかけというようなことをかつてなさったことがあるでしょうか。農林省が、今は農林水産省と言うのですか、これが教育というものをただ単に——試験場あるいは何とか大学校なんというのを持っているようでありますが、これはいわば大学令に基づいたものではありませんで、そういう点では文部省に対して、これは農林省だけじゃなくて、あらゆる省庁が教育に対してもっと積極的に一つの分析や意見を持ってそれを示していく、こういうものが必要だと思うのです。この点、どなたでも結構ですが、農林省の方で教育というものについていささか無関心ないしは御自分の研究機関等の枠の中だけで物を考えていらっしゃるのじゃないか。小中学校において少なくとも農業に対してこれだけのことは教え込んでおいてくれ、高等学校に対してこれこれのことはひとつ高等学校で消化してくれというようなものが必要なんじゃないか。私は、農業というものが職業としての農業という立場とは別に生きとし生ける者が命をはぐくむものであるとするならば、そのような意味で日本人はすべて農民であるというものが大事なことだなと思うものですから、以上申し上げているわけであります。
  177. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 ただいま先生の御指摘の点につきまして、まず農林水産省の、教育の場面としてのいろいろな意味における農業についてのこれまでの施策について簡単にお話を申し上げたいと思います。  まず一つは、農業そのもの自体が、国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧の安定的供給、あるいは健全な地域社会の形成、さらにまた国土の自然環境の保全というようなことで多面的な役割を持っているわけでございますが、こういったものに関連をいたします、現在の国民の中でだんだん意識が希薄になってきているのではないかという点でございます。戦後四十年をけみしまして、端的に申し上げまして、都会に住んでおられる方々を中心といたしまして農業との触れ合いが全然少なくなってきております。そういったようなことで、今申し上げましたような農業の果たしている役割をよく理解されていないという場面があるわけでございまして、そういうことについては、先ほど来大臣申し上げておりますように、PRの場を通じたりいたしましてやっておりますが、特に、次代を担う青少年等に対しまして、学校教育の場等を通じまして、自然を相手に営まれ、我が国の経済社会において重要な役割を担っている農業について正しい理解を持たせることが必要という考え方につきまして、文部省と協力をしてといいますか、あるいは、先ほど先生御指摘のように、農林省のいろいろな試験研究機関、さらには農林省のいろいろな補助金等々で行っております農業者大学校の活動対策等についてその充実を図ることを一番の基本としてやってきたわけでございます。  それからもう一つ、先生おっしゃったことにやや近いことでございますが、農林業あるいは農村の持つ教育的機能と申しますか、先ほど先生は農業の持っておる心といったようなことをおっしゃいましたけれども、そういうことに着目いたしまして、現在、かなり少ない経験かもしれませんが、例えば鳥取県の日南町といったようなところにおきまして体験農園あるいは山村留学といったような動きも出ております。そういうようなものを、例えば農業構造改善事業の自然休養村事業あるいは学童農園事業ということを通じましてその施策の中に盛り込んでいこうというふうに考えているところでございます。  なお、先ほども先生ちょっとお触れになりましたように、林業の問題がございます。これにつきましては、実は改訂される以前の文部省の要領におきましては、林業は落ちていたわけでございますが、農林省あるいは林野庁の方におきまして副読本を配付するとか、あるいは文部省にお願いをするとか、そういったような形から、林業の持っている社会的機能、それを通じる緑に対するいろいろな機能といったようなものをPRすべくお願いをしてまいりまして、このたび、三月十五日の改訂によりまして林業も農林業あるいは水産業並んで取り上げられるということになりました。そういう意味で、私ども、農業の持っている教育的機能ということに十分心いたして、今後とも今までの施策を拡充強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  178. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大臣初めいろいろとありがとうございました。議論し尽くせない点がありますが、後ほどの機会にまた譲らしていただきますが、とにかく大臣初め皆さん、農水省、勇気と自信を持って頑張っていただきたい。  これが職業という立場だけにしますれば、かごかきはもう今はなくなってしまってタクシー運転手になってしまったみたいに、職業ということだけで考えれば消長、紆余曲折があるところであります。しかし、豊葦原の瑞穂の国というのでありますが、農業というものは職業としての計算以外にいわば命の根源でありますから、もっと自信を持って、勇気を持って積極的に他の省庁をひとつ鞭撻するというようなものになっていただかなければ、これは米価が百円上がったとか下がったとか、あるいはどの品目輸入が拡大したあるいはまたどうかというようなこと以前の問題として国家的な見地に立っての農林水産省の任務というものをひとつ督励してちょうだいしたい、こういうように希望しまして、終わります。  委員長、ありがとうございました。
  179. 堀之内久男

    堀之内委員長 藤田スミ君。
  180. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、法案質疑に入ります前に二点だけ大臣に質問をしておきたいと思うのです。  今、国民の怒りというのはリクルート疑惑と公約違反の消費税であります。昨日、リクルート事件を捜査している東京地検は、藤波孝生衆議院議員と池田克也前衆議院議員を受託収賄罪で起訴しました。そしてきょうの夕刊を見ますと、加藤元農相にも献金数千万円が渡っていて、特捜部はさらに裏づけの捜査を進めているという報道がされております。しかし、リクルート疑獄では、まだまだ政治家が絡んだ数多くの疑惑が残されておりまして、その全容解明はこれからだと思いますし、また国会は重要な責任を担っているというふうに考えるわけです。  リクルート疑惑は、文部省ルート、労働省ルート、NTTルートとともに、農水省関係でも安比高原のスキー場、セカンド安比の事業主体の変更をめぐる疑惑、これが加藤元農相に関係すると言われておりますが、そういう疑惑も追求されてきました。そして大臣大臣御自身も八六年五月にリクルートにパーティー券約百万円を購入してもらっていたとか、あるいはそれだけではなく、リクルートが年間六百万円もの会費を払っている情報通信産業問題研究会から顧問料も受け取っておられたということも伝えられております。  この問題は予算委員会で取り上げられておりまして、大臣は既に、はっきりしない点を調査をしておくということを言っていらっしゃるわけですけれども、あれから三カ月たっています。常任顧問はやめていらっしゃるのか、やめておられないのか、顧問料は幾ら受け取り、どういうふうな形で法的な処理をされたのか。当然もう調査は済んでいるはずだと思うのです。この場でお答えをいただきたいことと、大臣としてこの問題で政治的責任をどう受けとめておられるのか、御答弁をお願いいたします。
  181. 羽田孜

    羽田国務大臣 今度のリクルート問題というのがこのように大きな事件に発展していったということ、そして昨日、我々の同僚の議員の皆さん二人が受託収賄罪で在宅起訴になったということ、本当に私どもとしても残念に思いますし、それと同時に、そういったことが政治に対する不信として大きく広がっておるということ、これは私ども議会に席を置く者として反省をし、そしてこういったものに対して対応をしていかなければならないということを改めて思うわけであります。いずれにいたしましても、この問題につきましては、一つの事件として今検察当局が捜査といいますか、そういったものを進めておるということでありますから、これを的確に適切に進めてもらうことをあれしなきゃいけない立場であろうと思っております。  なお、ただいま藤田委員の方から御指摘のありました問題は、情報通信産業研究会といいましたか、これに関係することではなかろうかと思いますけれども、たしか何か赤旗に取り上げられましたり、そして委員会で確かに御質問があったことは事実であります。しかし、これは実はそういう誘いがあったのですけれども、ちょうど、何というのですかね、一番忙しいときだった。ちょうど農産物交渉なんかをやっておったさなかだったのでしょう。そんなことでこれが設立するときにも実は私は出席しておりませんで、その後も、実は勉強会が何回かあったようでありますけれども、出席をいたしておりません。だから、私は後で質問なんかがありまして調べましたら常任顧問ということに何かなっておるそうでありますけれども、そういう組織であるということも実際よく知らなったというのが実情であります。しかし、間違いなくあれにあったことは事実であります。そして、私が大臣就任のときにそれを何か会を脱会をしたということであります。  ただ、今御指摘のございました何というのですか顧問料ですか、顧問料というのは実は私のところにはいただいておらないということをはっきりこの機会に申し上げておきたいと思います。  以上であります。
  182. 藤田スミ

    ○藤田委員 顧問料が大臣の手には入っていないということについて、私がそれはうそだとかなんとか言うことはできませんので、そういうことかというふうにしか聞けませんけれども、しかしこれが事実であったということをお認めいただいたということだけ、この前の委員会の質問では常任顧問をしていらっしゃったということさえも非常にあいまいな御答弁であったという点では一つ確認をいただいたというふうに受けとめておきます。
  183. 羽田孜

    羽田国務大臣 今その組織、そういう組織をして新しい情報通信時代のために勉強しようということで実は誘われたということは事実であります。ただ、私もその後その会に出ていないものですから、議員だけの会なのかなというような気持ちも実は持ちながらそれに参加しておりましたけれども、いろいろな産業の方なんかも入りながら構成されておったということで、実際にこの前質問を受けたときには常任顧問というのに就任しているということも実は知らなかったのですけれども、実際には就任しておったということであります。  ただし、これははっきり申し上げて、顧問料というのはこれはいわゆる個人に入るものであるはずでございますから、その点で私自身のところには入っておりませんし、また私どもの後援会の方にも顧問料というものは一切入っておらないということを申し上げておきます。
  184. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣のお名前がちゃんと情報通信産業研究会ということで、例えば新年の御案内のところにも設立趣意書のところにも名前がきっぱりと掲げられておりまして、そして「本会の顧問を快諾された国会議員諸氏は、電気通信改革法案成立に多大なる尽力と貢献をされた一騎当千の先生方ばかりであり、」というふうにちゃんと理由まで書いています。この電気通信改革法案というのはNTT民営化法案のことだと思いますが、御紹介をしておきましょう。  もう一つ、消費税の問題です。この消費税の問題につきましては、もう農村も都市も区別なく本当に国民が今怒っているわけです。  私は消費税反対を決めた宮城県農協中央会の資料を持っておりますが、ここでは、農家の九九・五%が免税扱いなんだが、しかし生産資材の値上がり分と家計費の値上がり分がそれぞれ四万八千百八十円と五万二千三百九十六円、合わせて十万五百七十六円の負担がふえるということを計算しています。さらに、この同じ資料では、農協自体にかかる消費税について、宮城県全体で三億二千九百六十四万円、一単協当たり三百万円の負担が見込まれているわけです。  こういうふうな農協経営に対する負担は最終的には農家負担にまた影響を持ち込むということになるわけですけれども、一方ことし、六十三年度の農業白書を見ますと、六十一年度、六十二年度の農業所得は、製造業労働者の賃金の平均を一〇〇として三五・九%、三四・五%とだんだんに低下をしておりまして、前年比では五二%、六・七%と下がってきています。とりわけ専業農家は苦しくなるわけなんですけれども、農業を熱心にやろうという人ほど消費税の打撃が非常に大きいという点で、今全国各地で農協の自民党を支持しないという決議とともにあわせて出されてきている消費税廃止の決議、こういう決議を含めて、消費税に反対するのは当然のことじゃないかというふうに私は考えますが、この点ではいかがお考えでしょうか。     〔委員長退席、月原委員長代理着席〕
  185. 羽田孜

    羽田国務大臣 消費税は、最終的に消費者に転嫁することを予定しました税でございますことから、農業経営に必要な生産資材などに含まれます消費税額の円滑な転嫁が行われれば農林水産業者がその負担をすることにはならないというふうに考えております。  しかしながら、農産物などにつきまして行政価格や卸売市場における競り取引の対象となるものが多い等の事情もございますので、その円滑な転嫁を図るために、行政価格についてはその対象となるものについて消費税の導入に伴う影響を織り込んで算定すること、また競り取引につきましては競り価格に税額分を上乗せする方法、これを採用しております。また所管関係団体に対しましてその円滑かつ適正な転嫁及びその受け入れを要請することなどの対策を講じてきておりまして、消費税の円滑な転嫁のための環境整備については私どもこれからも十分注意していかなければいけないということで、少なくも生産する農家の方々がこれを要するに転嫁できずにみずからが負担する、そういったことによって所得が減ずる、そんなことのないようには十分気をつけていかなければいけないというふうに思っております。
  186. 藤田スミ

    ○藤田委員 農協で農業資材や肥料や農薬を買うたびに一々伝票に三%の消費税がつくと言ってみんなかっかしているわけです。しかも農産物の場合は、その買った肥料で消費税がついても、それを使って生産してお金に変わっていくまでには相当の時間がかかりますね。それと同時に、競り値も消費税を転嫁できるように指導されておられるということもよく知っていますけれども、しかし実際にはその競り値そのものは、農民が勝手に自分たちで値段を決められるものではなしに、まさに相手次第で値が決められるというものですので、消費税負担分が果たして本当に農家の手に返ってくるのかということについては、決して実態はそういうことになっていないわけです。  私はこう思うのです。私たちは消費税を廃止せよという立場ですが、しかし大蔵省なら、消費税をうまく商品に転嫁できるようにということで物を言われるのはわかるわけです。しかし農水省ですから、転嫁転嫁ということだけではなしに、私は、やはり農民の痛みというものにもつと真っすぐ目を向ける姿勢というものをとるべきじゃないか。そういう点では、大臣のこの間の所信表明演説を聞かせていただいたところでも、本当にそういうふうな姿勢がなくて転嫁ということをしきりに強調していらっしゃって、これでは大蔵省の言っていることと少しも変わらないという点で私は大いに不満を感ずるとともに、やはり農民の痛みがよくわかっておられないなというふうに思ったわけです。反論されますか。
  187. 羽田孜

    羽田国務大臣 私も実は競りの現場に出かけてまいりました。そして、実際にそれがどんなふうに行われているかということであります。それぞれの競りをやっている場所におきましても、要するに消費税がどうかかるかということで競りの値段ができ上がっていくのではなくてまさに需要と供給の場でそれが決まっておるということでありまして、そこに事務的に三%を上乗せされるということでありますからその点ではきちんと転嫁されておるということでありますし、また今度は農家の皆さん方の立場に立って、要するに支払う側に立ってということになりますと、実は私どもはそれが一番大きな問題でありますけれども、これは消費するものについて一応全部に三%かけていただくのだという実は税のもともとの基本のものでありますから、その点については消費者の皆様方にも御理解をいただくのと同じようにやはり農家の方にも御理解をいただきたいと思うわけです。ただ確かに、三%というものですから端数というものが出るということもありますでしょう。それから、減税措置がありましてもこれは振り込み等で送られてくるということになりますと日常買うときには三%上乗せしなければならないということで、やはり痛いなというふうに感ずることがあると思います。しかし、一年経過してみたときにどうなのかなということをぜひとも考えていただきたいということを申し上げたいと思います。
  188. 藤田スミ

    ○藤田委員 それでは次に、法案についてお伺いをしていきたいと思います。  この法案はその目的に「最近における農産加工品等輸入に係る事情の著しい変化に対処して、特定農産加工業者経営改善を促進するための措置を講ずることにより、その新たな経済的環境への適応の円滑化を図り、」というふうに抽象的な表現ですが、農産物自由化対応する法律であるということは明らかにしているわけです。  この農産物輸入自由化については、今多くの農民、農協、農協青年部から自民党不支持決議という形で抗議が上がっています。例えば、秋田では能代農協、羽後町元西農協、山形県では県農協青年部、新潟県でも県農協青年部、新津市農協、長岡市農協、岩手でも県農協青年部、九州全域の農協青年部、農協というふうにずっと全部言っていたら切りがないわけです。要するに農民の願いば農産物自由化の推進ではなくその撤回にあることは、本当は農水省自身が骨身にしみてわかっていらっしゃるのじゃないかというふうに私は思っておりますけれども、多くの農民が自由化に抗議の声を上げているということについてどのように受けとめていらっしゃるか、お伺いをしたいわけです。     〔月原委員長代理退席、委員長着席〕
  189. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題で確かに批判のあること、私どもよく承知しております。ですから、自由化というのは一切せずに済むのだったら私はそれが一番いいことだと思います。私は命がけなんという言葉を使うのは嫌いなんですけれども、本当に寝ずに交渉に当たりましたり、それこそみんながあきれるくらいの多くの人間たちを説得したりしながら私たちは実は対応してまいったわけでございます。しかし、実際に私ども自由貿易を信奉する国でありますし、私たちはそのつもりでやってきております。そういう中でガットの規則違反であるということが国際的に下されるということになりますと、我が国もやはりガットの加盟国として理解できるものあるいは断ったときに大きな報復を受けなければならないもの、そういうものについては道を開いていかざるを得なかったという本当にぎりぎりの選択であったということなんです。しかし、先ほど滝沢先生の御質問等にもありましたけれども、こういった問題というのは交渉事でありますからなかなかみんなのところに行き渡っていかなかったということがあろうと思っております。こういった点についてはさらによく御説明をしていく必要があろうと思いますけれども、よく御説明しまして一人一人の方とお話をしますとその点についてそういう事情だったのかということでわかっていただきますし、また私どもは、そういったことによって痛手を受けるものについては国としてでき得る限りの措置を今やっておるということでありますから、そういった点についてぜひとも理解をいただきたいなという私の今率直な気持ちであります。
  190. 藤田スミ

    ○藤田委員 同じような御答弁は佐藤前農水大臣からも私はさんざん聞かされました。そして、いかに頑張ったか、いかに粘り強く交渉したか、そしてガットの裁定に対して日本がどういう立場に立っているかということもさんざん聞かされました。しかし、実際に日本の農村地帯を歩きますと何度ここで言われてもやはりあれは間違っている、そして農協の皆さんが自民党不支持という形まで出して自由化はやめてもらいたいと言われる気持ちが私は本当によくわかるわけです。  私のところでも今ミカンの花が咲いています。白いきれいな花がいっぱいなんです。ところが、その横にミカンの木を切ってそのまままにさらされた茶色い山がまたあるわけです。だからミックスしているわけです。白いミカンの花と木を切り取られて茶色になってしまった山とがミックスした形であるわけです。大臣、私は農民の一番の願望は何だろう、ずっとそのことを考えるわけです。それは生産したいということじゃないですか。そうでしょう。けれども今、ミカンの木を切って何を生産したらいいかということを農民は真剣に考え、そしてわからないと言っていますよ。何をつくったらいいかわからない。桃もつくったらだめだ、リンゴもつくったらだめだ、そのことは今度のミカンの伐採にかわる種類の中でも言われています。しかし言われていない梅にしても、つくってまたミカンの二の舞になるのじゃないかという不安は非常に大きいわけです。だから後継ぎがなくなっていくということはもちろんですけれども、そういう中で営農意欲が奪われ、生きがいが奪われ、つくりたい、本来のそれが奪われるということを私は一番深刻な問題として受けとめていかなければならないというふうに考えるわけです。  この問題についてずっと深入りしたらまた別の議論に発展しますけれども、しかし国際的に見ても、日本の食糧の自給率が三〇%だというのはアメリカのフランスのイギリスのというふうに比較すると全然比較にならないという点でも、農民の要求というのはやはり国民の要求だというふうにしっかり受けとめるべきだというふうに思うわけです。同時に、一方では消費者の声があるということをさっきの御答弁の中でもおっしゃっておられましたけれども、私は大阪ですから、いわば消費地からこの農林水産委員会の方に所属をしているわけです。消費地大阪の者が何で農林水産委員会にというふうにこれまでは言われました。今は、非常に重要なポストで仕事をしているというふうに言われるのです。それほど消費者は今変わっているんですよ。こんなに日本の食糧、農業がつぶされていいのか、これほどよその国に依存するような政治を進めていっていいのかという点では、これは自分たちの問題だというふうに受けとめているわけです。私は、そういう点では今日こういうふうに農村が荒廃してきた責任というものをもっともっと農水省はかみしめていただきたい。そして、農水省というのは何か、あれは農業をつぶす省ですか、私はそういうふうにしばしば農民から聞かれて本当に返事に困ることがあります。そのことを申し上げておきたいわけです。  この法案対象業種は九業種です。この中でもかんきつ果汁、非かんきつ果汁、パイナップルの缶詰、トマトの加工品が当面この法案の主要な対象になるだろうと言われています。かんきつ果汁を見てみますと、ジュース工場の過剰設備が問題になるわけですが、その過剰設備をもたらす原因となるのが、自由化対策として進めた温州ミカンの二〇%に及ぶ廃園にあるわけです。ミカン農家は、まさに涙を流しながら手塩にかけた木を切ったわけですが、農水省は、このような廃園によってジュース工場がどの程度過剰設備を抱えるということになるのか、過剰設備率についてどう見ていらっしゃるのか、お示しをいただきたいわけです。
  191. 吉國隆

    吉國政府委員 ミカンの需給につきましては、先ほどもいろいろお話がございましたけれども、自由化あるなしにかかわらず国内の需要が減ってまいっておりまして、消費者は優良な品質のものを、しかも少量多品目で消費する、こういう傾向に向かっているわけでございます。そういう中で需給の均衡を図るということは、かんきつ農業の基本といたしまして私ども避けて通れないものであるという考え方に立っていることは、けさほど農林水産大臣からもお話のあったとおりでございます。私たち、そういった中で今度の園地再編対策を進めるに当たりまして、いい樹園地を残して悪い樹園地を整理していく、こういった基本的な考え方に立ちまして進めてまいっているわけでございます。  お話のございました搾汁施設の問題でございますが、私どもジュースにつきまして、これの将来展望ということでけさほどいろいろ御論議がございましたが、楽観的な見通しを持って臨むことは危険であるというふうに考えているわけでございまして一現在の園地転換を進めるに当たりましては三十万トン強のジュース仕向けというものを考えまして進めてまいっているところでございます。現在の搾汁施設の能力としては、原料ベースで年間約七十万トンというふうに見ておりますので、そういった意味では相当程度の搾汁能力の過剰が発生してくるというふうに見ている次第でございます。
  192. 藤田スミ

    ○藤田委員 現在搾汁能力が七十万トンに対して、要するに自由化で三十万トンになる、こういうことですから、これは本当に大変な数字になるわけです。単純に言えばこれは半分以下になってしまう。そういう点で過剰設備率も、まあ単純に言えばですよ、半分以下にしなければならない、こういうことになるわけですね。  それで、農水省はこの法案では、計画を自主的に提出し承認を受けた事業者に対して適用するものである、こうしているわけですが、私どもは、この法案がてこになって、事実上その設備廃棄合理化が強制されていくのではないか、これは今のこの数字を見ても明らかですが、大変危惧をしています。  農水省は、昨年の自由化対策の中でも果汁工場設備の合理化、近代化、再編整備を打ち出しました。それを打ち出す以上、当然再編整備計画というのを持っているはずであります。このジュース工場の再編整備について農水省としての御見解をお聞かせいただきたいわけです。
  193. 吉國隆

    吉國政府委員 ミカン果汁工場の再編整備につきましての私どもの考え方でございますが、今後果汁の競争というものが激化をしてくるという中で、果汁工場の体質強化を図っていくということが基本でございますので、一つは適正な搾汁能力への調整ということが課題になってくるわけでございます。二番目の問題として製造コストの低減をいかに図っていくかという課題がございます。また、三つ目には品質の高い果汁製造への転換、そのための新しい製法、これは凍結濃縮とかストレート果汁の生産とか、そういったいろいろなことが考えられるわけでございますが、そういった新しい製法の導入ということがございます。また、四番目には搾汁部門を効率化していくために工場間の連携協力ということも必要であろうというふうに考えております。  こういった基本的な考え方に立ちまして、具体的に工場別にどうしていくかという再編計画の問題でございますが、これにつきましては、現在農協系の果汁工場を持つ農協の連合会が主でございますが、連合会でみかん果汁対策協議会というものが組織をされておりまして、これの協議会におきまして工場の再編整備に関する推進について申し合わせがなされたところでございまして、この申し合わせにのっとりまして、各工場ごとに今後の対処方針がそれぞれ検討をされるという運びになっているところでございます。  私どもとしては、そういった計画の整備に伴いまして必要な助成なりその他の支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  194. 藤田スミ

    ○藤田委員 今の御説明を聞いていてももう一つよくわからないのですが、それでは単刀直入に聞きますが、過剰設備率についてお示しをいただいたように、搾汁能力は七十万トン、そしてそれは三十万トンということに合わせていくということになったら、結局再編整備計画の中には果汁工場の廃止も含まれている、これははっきりしていると思うのですが、そういうふうに理解していいですね。
  195. 吉國隆

    吉國政府委員 搾汁部門としては廃止をするという工場が出てくるものというふうに私ども予想をいたしております。そういった形で搾汁部門の整理統合ということを進めますと同時に、工場ごとの計画に従いまして事業転換を進めるものは進める、あるいは工場間の連携によりまして効率的な設備を導入して能率の向上を図っていくというものについてはそれをお手伝いしていく、これは工場ごとにいろいろ多様な計画がこれから整備をされていくものというふうに考えております。
  196. 藤田スミ

    ○藤田委員 この法案で政府は失業対策というのを盛り込んでいるわけです。この規定を盛り込む以上、相当程度の雇用調整があり得るという見通しがあるはずですけれども、この点についてはいかがですか。
  197. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 自由化に伴いまして製品が輸入される程度がふえてまいるというようなこと、あるいは価格が低下するといったようなこともあろうかと思いまして、関連企業においては、事業規模を縮小したり、あるいは事業転換を余儀なくされるというようなことになり、それが雇用面への影響ということであらわれることが理論的に予想されるわけでございますけれども、現在自由化が行われているものはごく小部分でございまして、順次今後行われていくわけでございますが、そのような段階でございますので、まだ現時点で定量的にどの程度そのような雇用問題が起こるかということにつきましては把握することは困難でございます。ただ、私たちが考えておりますのは、余剰人員がたとえ発生したといたしましても、いろいろ企業内の他部門への就労といったようなことによって吸収できることもあるわけでございますので、離職者数がそう多くは出ないのではないかというように考えております。  ただ、このような雇用面への影響につきましては労働省の方で御担当でございますけれども、本年度から四年間でございますけれども、この実態を把握する調査を実施するということになっておりまして、所要の経費が労働省予算に計上されているところでございます。
  198. 藤田スミ

    ○藤田委員 その労働省自身が、今は雇用情勢は全体的には順調にいっているけれども、地域間の格差が非常にあって、農山村は非常に事態は改善されていないということをけさほども御答弁でありましたね。それと、皆さんのおっしゃるのは、どうも果汁工場のいわゆる従業員と呼ばれる分野ですね。これも、農協系かんきつ果汁製造業リストというのを農水省からいただきまして単純にそろばんをはじいたわけですが、全国で三千六百四十三人。しかし、これだけを対象に考えていらっしゃったら、今おっしゃったような他部門への吸収なんというような言葉が出てくると思うのです。ミカンジュース工場の存在が地域の雇用だとか経済に本当に寄与しているところは何かということになると、これは、三千六百四十三人の従業員、これはもちろんだと思いますし、これの雇用対策はもちろん大事ですよ、大事ですけれども、しかしこの範疇ではとてもおさまらない。輸送だとか、先ほどから問題になっておりました缶、容器だとか、それから何よりも季節労働者ですね、それから婦人のパートの雇用、こういうように非常に範囲が広いというふうに思うのです。  その全容をどういうふうに調査していらっしゃるわけですか。
  199. 吉國隆

    吉國政府委員 ミカン工場の効率的な操業という点で、先ほど申し上げましたように、再編整備計画に従いましていろいろな対策を考えていく必要があるというふうに思っております。缶代の問題につきましても、私ども、関係業界間での協議の場というようなものも設けられておりますし、今後とも注目をしてまいりたいというふうに思っております。  また、雇用の問題、これは先ほどもお話がございましたが、それぞれの事業体の中での事業転換とかそういった問題で解決できるケースもあるというふうに思っているわけでございます。パート等の問題についてあるいは先生御指摘のような問題があろうかというふうに思いますけれども、現時点でそういったような状態が生まれているということでは必ずしもないというふうに私どもは理解をいたしております。今後とも注目をしてまいりたいというふうに考えております。
  200. 藤田スミ

    ○藤田委員 それはもう本当に無責任だというふうに言わざるを得ませんよ。今だからこそその全容をつかんで、そしてそれがその地域にとってどういうふうなかかわりがあるかということをつかまないから、さっきの御答弁にあったように、運送関係は大丈夫なんです、あんなものは今度自由化した商品を運ぶ方に回っていくんですからなんというような、私はとっても無責任だなと……。それから、缶とか容器の企業関連の重要な部門ですが、そこについてはとにかくコストを低減しなければいかぬから、今度は外国の商品を輸入して、そうしてそれでコスト低減を図るというようなことも考えていますということで、その関連企業の存在というものが一切あなた方の口から出てこないということは私は非常に無責任な態度だというふうに指摘をせざるを得ないわけです。  しかも私は、圧倒的に多い婦人労働者のパートの問題では、大変低賃金であり不安定な雇用状況にあるということを農村工業導入法改正の法案質疑のときにも指摘をしてまいりましたけれども、これらの婦人労働者は真っ先に雇用調整の対象になるのでしょう。そしてこのことは農家の日々の生活にとっても非常に重要な問題になるわけです。  一つだけお伺いしますが、婦人労働者の雇用調整に対して歯どめがきくと思われますか。それはどうですか。
  201. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 婦人であろうと男性であろうとそこに一切差別はないものと思っております。(藤田委員「パートです、パート」と呼ぶ)  パートの問題につきましては、やはり先生御指摘のような問題もあろうかと思います。現状では先ほど御答弁申し上げましたようにまだ実態はないわけでございまして、どのようなときにどのような対策を講ずるか、そしてその対策中身といたしまして、正規の従業員とあわせましてパートの方々についてどのような対策を講ずるかというようなことも含めまして、要するにこのような雇用問題全般につきまして検討する場が、実は農産物自由化に伴う雇用問題に係る協議会というのが労働省の中に設置をされることになっております。私たち農林水産省の担当官もそのメンバーとなる予定でございますので、そのような場を通じまして、いろいろパートの問題等も含めましてその具体的対応については今後検討してまいることになるはずでございます。
  202. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣、少し急いで質問をしておりますのでわかりにくいところがおありかなとも思いますが、要するに雇用問題は、大臣もいわゆるこういうリストをごらんになったらまあこの程度かとは思われないと思いますが、数字としては大して大きくないという点で、調整をしていっても雇用問題も一定の解決の道はつくれるだろうぐらいに思われると思うのですが、私が言いたいのは、その果汁製造工場に対してもっとたくさんの人が働きに行っているし、もっとたくさんの人たちのかかわりがあるということと、それから関連企業もある、こういうことまで含めて労働者の問題を考えて、雇用調整というならその雇用調整に取り組むということでなければ大変なことになっていくんだ。ところが、そういう姿勢が、まだ現状の調査さえも本当に十分やろうとしないで、本当に絞られた人数だけを頭に置いて仕事をしたら大変だということを申し上げているわけです。そして、その解決は大変難しいだろうというふうに言わざるを得ませんが、大臣、この点については私は本当に早速にもっと真剣な調査というものも進めるべきだということをぜひ督励していただきたいということと、それからジュース工場はその地域農業の重要な農産加工工場として位置づけられているということはもう言うまでもありませんが、したがって、地域の実情を無視したジュース工場の再編整備は行わないように強く指摘をしておきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  203. 羽田孜

    羽田国務大臣 今、最後に御指摘がございましたように、農産加工工場、ジュース工場等につきましては、大体地場に工場が設置されておるということが多うございます。そういう意味でまさに兼業農家の奥さん方ですとかあるいは一員の方が勤められておることが多いんだろうと思っております。そういう意味で、先ほどから申し上げているのも決して何もそんなに軽く考えているのじゃないのであって、これはやはり各地域の市町村の協力を得ましたり、あるいはそれこそ農業組織の皆さん方の協力もいただきながら、一体その地域なんかどんなふうになっていくんだろうか、あるいはジュースが入ってきたりあるいは製品が入ってくるようになったときにどんなふうな状況になるんだろうか、こういったことをいろんな角度から見きわめながら今、対策をしておるところでありますし、いずれにいたしましても、労働省の中にもそういった協議会もつくっていただき、お互いに各省庁が連絡をとり合いながら対応していこうということで、私どもといたしましてもここで失業が出ることがないように対応していかなければいけないということでございます。今御指摘のありました点もよく踏まえながら、これからも各省の皆さんとよく連絡をとって対応してまいりますことを改めて申し上げます。
  204. 藤田スミ

    ○藤田委員 この法案のもう一つの特徴は大企業対象にしていることです。予定されている九業種に該当する大企業は少なくありません。例えばトマトといえばカゴメやデルモンテ、チーズでいえば雪印乳業、明治乳業、森永乳業、ボーデンなどの乳業関係の大企業、アイスクリームでいえば森永、明治などの菓子関係の企業、それから牛肉調製品では食肉関係大企業というふうに、挙げれば切りがないわけですけれども、これらの企業は一様に安い原料を求めて国際化、いわゆる国内生産からの撤退で海外生産の拠点づくりを進めているわけです。海外進出企業の一覧によりますと、カゴメは台湾、トルコに、そして雪印乳業はブラジルに、明治乳業はメキシコに、森永は西ドイツ、アメリカに企業進出しています。これらの大企業事業所の整理合理化についてもこの法案で融資が可能なわけですから、国内の事業所の整理合理化、海外進出をねらっている大企業にとってはこれほどありがたい法律はないわけでして、結果として大企業の海外進出を促進するような対策、結果としてそういうふうに促進していくというようなことになるわけです。したがって、私はこのような大企業はこの法案対象から外すべきではないかというふうに考えます。いかがですか。
  205. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 今、指定業種として予定をしております九つ業種につきましての企業を見てみますと、約九割は中小企業でございまして、そういうことからいたしましても、本対策中小企業を中心に据えた対策ということが言えると思います。ただし、そのような中で特に大企業を排除するということは私たち考えなかったわけでございます。と申しますのは、資本金が一億円を超える、あるいは従業員が三百人を超えるというのが大企業の定義になっておるわけでございますが、それに近いようなところはむしろ中堅企業といったような実態かとも思うのでございますけれども、いずれにいたしましてもそのような大企業地域におきましてそれぞれ農業者がつくっております農産物の重要な引き取り手になっておりまして、地域農業の健全な発展を図る上におきましては中小企業と同じような機能を持っておるということがその理由でございます。  ただ、中小企業が数が多いということのほかに、やはり中小企業につきましてはいろいろな困難の度が大きいというようなこともあるわけでございますので、中小企業を優遇するという観点から、道は大企業についても開くのではありますけれども、金融面でいいますと、例えば貸付金利について、それから税制上の問題につきましても税額を第一類第八号  農林水産委員会議録第四号平成元年五月二十三日減額する度合いといったような点につきまして中小企業とは一定の格差を設けることといたしておるわけでございます。
  206. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、大企業の海外進出を促進するような対策は必要ないというふうに思うのです。そんなふうなお考えなら、大企業事業所の整理統合はどんどん進んで、結果的には一層大企業は海外進出に体力をつけていく、矛盾が一層激化して、いよいよ中小企業もつぶれていくということにならざるを得ないわけですから、そんなお考えはとんでもないということを申し上げます。  最後になりますが、パイナップルの問題について一つだけお伺いします。  沖縄では、自由化対策として加工用パイナップルから生食用の。パイナップルに転換する方向になっているわけです。このためにパイン缶をつくっている、さっきも言いましたがパイナップルの加工工場は加工工場としての見通しが立たなくなってきておりますし、また、雇用されている農村婦人も見通しがなくて大変不安を抱えています。さらに資材を提供している缶詰の製造企業なども立ち行かなくなるということで不安になっているわけです。今回の法案ではこれらの関連企業に、先ほどの蒸し返しになって恐縮ですが、直接的には何の救済策もないわけですから、問題は一層深刻になっています。具体的に沖縄のパイナップルの加工工場を一体どうするおつもりなのかということをはっきり聞かせてください。
  207. 吉國隆

    吉國政府委員 沖縄のパイン産業並びにその加工産業を守っていくという基本姿勢で生産、流通、消費にわたる総合的な対策の方向が決定されているわけでございます。私どもこれに即しまして着々と予算も確保し、準備を進めてまいっておるところでございます。  基本的にはパイナップル缶詰につきましては関税割り当て制度を導入をする、それから加工工場の近代化を図っていく、また優良種苗の普及によりまして原料のコストを下げていく、それから価格差補てん制度を導入する一こういったことによりましてパイナップル缶詰の販路を確保し、その操業が成り立っていくように考えているところでございます。また、一部のパイナップルにつきましては、消費者の嗜好に応じまして、お話のございましたように本土向けの生食用のパイナップル生産というものを目指すということで、この点につきましても、優良種苗の増殖、ハウス等の整備あるいは集出荷施設の整備、こういったものを進めてまいりたいと考えております。  そういった対応によりまして、御指摘の雇用問題についてそのような深刻な事態が起こるというふうには必ずしも考えておりませんけれども、この点につきましても、先ほど来の御論議のように私ども注視をしながら対策を進めてまいりたいと思っております。
  208. 藤田スミ

    ○藤田委員 委員長、時間が来ていますが、私が聞いていることにもう一つ答えていただいておりませんので、お願いします。具体的に、今パイナップルの工場が幾つかあるわけですが、それをどういうふうに整備していこうという、これは計画はあるわけでしょう、それをお聞きしているわけです。
  209. 吉國隆

    吉國政府委員 現在、パイナップル缶詰の工場は三社三工場、沖縄の中にございますが、これを沖縄本島で一つ、八重山で一つというふうに統合して整備をしていこうという方向で、現在沖縄県内で調整が行われているところでございます。  私ども、そういった方向に即しまして新鋭の施設を整備し、能率を上げていく、また缶詰と並行して他の所要の加工施設もあわせつくりたいという希望が出てくる可能性があると思っておりますが、そういう点につきましても、これは今度の今御審議をお願いしております新立法の中でいろいろお手伝いをしていくということが出てまいるのではないかと考えております。
  210. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、この法案審議を通じても、農産物輸入自由化には余りにも展望がないということだけを一言つけ加えて終わらせていただきます。ありがとうございました。
  211. 堀之内久男

    堀之内委員長 次回は、明二十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十三分散会      ————◇—————