○角屋
委員 アメリカとの対外
政策という問題は非常に大切なことだというふうに申し上げましたが、他面、日ソ
関係の改善ということも、
世界の平和と安全あるいは
アジアにおける
日本の平和と安全のために極めて重要な
相手国であるということは間違いのないところだと思います。
私は、十数年来、たまたま日ソ
友好議員連盟の事務
局長というのを亡くなった辻原さんからバトンタッチを受けて、役目柄円卓
会議あるいは櫻内代表団の訪ソというようなことも含めて少なくとも十五回になりますか六回になりますか、単独でもソ連を訪問しました。そして、最初就任した当時は、日ソ
両国の
国会議員団の代表の相互交換というのが
行き詰まった段階でございました。そこで、私はソ連を訪問して、
日本の
国会にソ連
国会代表団を迎えるということで奔走した時期がございました。その後、ソ連の方と
日本の
国会の両院議長が御招待される、今は引かれましたけれども、クナエフ政治局員を中心とした
国会代表団が
日本に来るといったようなことで、冬の時代から若干明るい日差しがほのかに見える、そういう対話が開かれているという時代になったと思うのであります。
そういう時代の中で、数日来日ソの事務レベル協議、それから
宇野外務大臣とシェワルナゼ
外務大臣との会談を通じて、平和条約の問題、
日本から言えば北方領土を
解決して平和条約を締結するという基方方針のもとにおいての平和条約の話し合いをしよう、これが数日来行われたわけでありまして、五月には
宇野外務大臣が訪ソされてシェワルナゼ
外務大臣とのいわゆる定期外相協議といいますか、そこでボールを投げられた平和条約に対するソ連側の
考え方の基本というものを踏まえながら、
両国の外相会談を通じて、さらにゴルバチョフ書記長、これは最高
会議幹部会の議長も今度は兼任されることになりましたけれども、それの訪日問題という点に焦点を合わせながら話し合いが持たれる、これは非常に注目されるところだと思うのであります。
だから、マスコミの報道では、領土問題進展なし、領土問題に微妙な変化とかいろいろ書いているわけであります。私も十数年来これに携わってきた立場から一定のこれに対するコメントをすべき立場にございますけれども、しかし、いずれにしても、北方領土問題については、六〇年安保のあの激動の中で、ソ連側が不当にもそれを契機にして、領土問題は
解決済みあるいは存在しないということを言ってきたわけであります。私はソ述との会合等を通じて厳しくその点は今日までも
日本の立場で主張し続けてきたつもりであります。その点では従来の方針に、到着点ではどうかということは別にして、ソ連側の対応に変化の兆しが出ておるということは間違いない。
それは
一つには、二十一世紀に向けて、
アジア・太平洋というのは
世界の新しいかなめの時代を迎えようとしておる。それに対してソ連側とすれば、
アジアというものを
考える場合に、経済的な面でも大きな足がかりを持たない。NIESの台頭、あるいは
日本を中心にした
アジア諸国の経済的地位がどんどんASEAN諸国も含めて高まっている。そういう時代に立ちおくれておるというのがむしろソ連側の状態であろうと思う。だとするならば、グローバルな
意味において、
日本の経済的な力、政治的な比重というものをかりながら、そういう対応を
考えていくという
気持ちがソ連側にもあるだろう。
また、そのためには、日ソ間に非常に大きく立ちはだかっておる領土問題を従来の既定方針で押し切る場合は、政経不可分の
関係から、
日本との
関係改善というのは極めて時間を要する状態に追い込まれてしまう。今最高の政治判断ということでないけれども、そこに領土問題についても何らかの活路を見出すというソ連側自身の
努力もしなければならぬという
気持ちが動いているのであろうというふうに思うわけであります。これから五月にシェワルナゼ
外務大臣と話されるあるいはゴルバチョフ書記長の訪日というものを強く求めていくという立場での
外務大臣の基本的な認識と御方針を承りたいと思うわけであります。
その場合に、かねてソ連の
方々と話をするときに、良好な条件のもとでしかゴルバチョフ書記長は訪問しないというふうな言い方を私は絶えずされたのであります。
外交における樽俎
折衝というのは、厳しい条件のもとでも、必要な場合にはお互いに出かけていく、出かけてくるということが基本ではないのか。したがって、良好な条件というものができなければとか、あるいは今出しております経済の長期協定問題あるいは観光、向こうから出してきておるものはいろいろありますね。そういう問題の幾つかについては対応できるだろうと思います。しかし、良好であるとか良好でないとかということでなしに、日ソ間において
解決しなければならぬ問題については、早い機会にソ連側も最大限の
努力の中で
解決するという姿勢が基本であろうというふうに私は言ってきておるのでありますけれども、それらの問題を含めて
外務大臣から御答弁を願いたい。