○寺前
委員 私は、
日本共産党・革新共同を代表して、政府
提出の地方
交付税法の一部を改正する
法律案に反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、今回の改正が消費税の住民転嫁を前提にしていることであります。
八九年度の地方財政計画では、公立高校、幼稚園、特殊教育諸学校の授業料の値上げ、使用料、手数料収入の対前年度約六%の引き上げをしており、消費税の住民転嫁を前提にしております。
交付税についても消費税導入を前提として単位費用の改定を行っているのでありますが、四月一日の消費税導入以来二カ月以上たちますが、消費税廃止を求める
世論は、四月二十日付の東京
新聞を見ても六五%、廃止を求める声は依然として大きく、消費税廃止は
国民の声となっています。
地方の公共料金は条例で決めるものであり、その自治体の裁量で決めるものであります。それを指導と称し、消費税の住民転嫁を強要することは、地方自治権の侵害であると同時に、消費税廃止を求める
国民世論に挑戦するものと言わざるを得ません。
反対の第二の理由は、国庫補助負担率引き下げの恒久化等の
措置と一体のものであることであります。
生活保護の保護費負担金を初め国庫補助負担率の引き下げが恒久化されたものの多くは、地方財政法第十条で国が進んで負担すべきものとして規定され、国の
責任を第一義的に認めていたものであります。これらの国庫補助負担金のカットの恒久化は国の
責任の放棄であり、生存権についての国の社会的使命を規定した憲法二十五条の精神に反するものと言わざるを得ません。
交付税の対象税目の拡大に財源を求めたとしても、到底評価できません。
反対の第三の理由は、八五年度から八八年度までに、暫定加算として先送りされた国負担金の二分の一、国庫補助負担率の引き下げの恒久化に伴う財源
措置についても新たに地方負担を押しつけることになっていることであります。
八五年度から八八年度まで国庫補助負担率の引き下げの影響額八千四百四十億円の負担については、国が暫定加算するとして先送りされ、国庫負担率引き下げの暫定期間終了後に自治、大蔵で協議するとされていたものであります。今回この二分の一に当たる四千二百二十億円を地方に負担させることにしており、地方への新たな負担転嫁と言わざるを得ないのであります。
また、今回の国庫補助負担率の引き下げ見直しに伴う財源
措置についても、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げ恒久化の影響額六千三百七十四億円のうち、二千七百六十二億円について地方負担としているのであります。このことは今後、毎年度これを上回る額が確実に地方に負担転嫁されることになり、容認できるものではありません。
反対の第四の理由は、実態とかけ離れた基準財政需要額の算入の問題であります。
委員会質疑の中で明らかになったように、
交付税の基準財政需要額の算定が実態と大きく乖離していることは、以前から
指摘してきたところであります。特に臨調行革路線のもと、地方財政全体が圧縮される中で、
交付税総額そのものも意図的に圧縮され、乖離が是正されるどころか、拡大する傾向にあるのであります。単位費用の改正を行い、財政需要を的確に算入すべきであります。
最後に、重ねて国庫補助負担率の復元、引き下げ期間の地方に対する負担転嫁額の完全補てんとともに、消費税の住民転嫁を強要する指導をやめ、消費税の廃止とともに消費税収入に頼らず、地方の自主財源の増額、需要額を的確に算入できるように
交付税率の引き上げなど、地方税財政
制度の確立を強く求めて反対討論といたします。