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1989-06-16 第114回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年六月十六日(金曜日)    午前十時開議 出席委員   委員長 中西 啓介君    理事 衛藤征士郎君 理事 大島 理森君    理事 中村正三郎君 理事 平沼 赳夫君    理事 村井  仁君 理事 中村 正男君    理事 森田 景一君 理事 安倍 基雄君       愛知 和男君    愛野興一郎君       新井 将敬君    石渡 照久君       糸山英太郎君    江口 一雄君       尾身 幸次君    太田 誠一君       片岡 清一君    金子 一義君       古賀  誠君    杉山 憲夫君       中川 秀直君    葉梨 信行君       鳩山由紀夫君    松本 十郎君       村上誠一郎君    山中 貞則君       山本 幸雄君    小野 信一君       奥野 一雄君    沢田  広君       野口 幸一君    早川  勝君       村山 喜一君    鍛冶  清君       柴田  弘君    橋本 文彦君       矢追 秀彦君    伊藤 英成君       北橋 健治君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  宇野 宗佑君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         内閣法制局長官 味村  治君         内閣法制局第三         部長      津野  修君         総務庁長官官房         審議官     新野  博君         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君         外務大臣官房審         議官      谷野作太郎君         外務省経済局次         長       内田 勝久君         外務省経済協力         局長      松浦晃一郎君         大蔵政務次官  高村 正彦君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省理財局次         長       水谷 文彦君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         食糧庁次長   近長 武治君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       向 準一郎君         資源エネルギー         庁石油部長   坂本 吉弘君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省航空局長 林  淳司君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君  委員外出席者         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十五日  辞任         補欠選任   伊藤 英成君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     伊藤 英成君 同月十六日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     石渡 照久君   金子 一義君     糸山英太郎君   山中 貞則君     古賀  誠君   堀  昌雄君     奥野 一雄君   武藤 山治君     小野 信一君   平石磨作太郎君    鍛冶  清君   伊藤 英成君     北橋 健治君 同日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     遠藤 武彦君   糸山英太郎君     金子 一義君   古賀  誠君     山中 貞則君   小野 信一君     武藤 山治君   奥野 一雄君     堀  昌雄君   鍛冶  清君     平石磨作太郎君   北橋 健治君     伊藤 英成君     ――――――――――――― 六月十五日  消費税廃止に関する請願井上一成紹介)  (第二七七二号)  同(浦井洋紹介)(第二七七三号)  同(金子満広紹介)(第二七七四号)  同(草野威紹介)(第二七七五号)  同(左近正男紹介)(第二七七六号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二七七七号)  同(寺前巖紹介)(第二七七八号)  同(中路雅弘紹介)(第二七七九号)  同(中村正男紹介)(第二七八〇号)  同(東中光雄紹介)(第二七八一号)  同(不破哲三紹介)(第二七八二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二七八三号)  同(松本善明紹介)(第二七八四号)  同(石井郁子紹介)(第二八一四号)  同(浦井洋紹介)(第二八一五号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二八一六号)  同(工藤晃紹介)(第二八一七号)  同(佐藤敬治紹介)(第二八一八号)  同(柴田睦夫紹介)(第二八一九号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二八二〇号)  同(田中美智子紹介)(第二八二一号)  同外十四件(竹内勝彦紹介)(第二八二二号  )  同外三件(中路雅弘紹介)(第二八二三号)  同(中島武敏紹介)(第二八二四号)  同外十四件(西中清紹介)(第二八二五号)  同(野間友一紹介)(第二八二六号)  同(松本善明紹介)(第二八二七号)  同(矢島恒夫紹介)(第二八二八号)  消費税撤廃に関する請願外一件(沼川洋一君紹  介)(第二七八五号)  同(鍛冶清紹介)(第二八二九号)  消費税廃止国民本位税制改革に関する請  願(安藤巖紹介)(第二七九七号)  同(岩佐恵美紹介)(第二七九八号)  同(浦井洋紹介)(第二七九九号)  同(金子満広紹介)(第二八〇〇号)  同(経塚幸夫紹介)(第二八〇一号)  同(児玉健次紹介)(第二八〇二号)  同(作藤祐弘紹介)(第二八〇三号)  同(田中美智子紹介)(第二八〇四号)  同(辻第一君紹介)(第二八〇五号)  同(寺前巖紹介)(第二八〇六号)  同(東中光雄紹介)(第二八〇七号)  同(藤田スミ紹介)(第二八〇八号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二八〇九号)  同(不破哲三紹介)(第二八一〇号)  同(正森成二君紹介)(第二八一一号)  同(村上弘紹介)(第二八一二号)  同(山原健二郎紹介)(第二八一三号)     ――――――――――――― 同月十六日  消費税廃止に関する請願外一件(有島重武君  紹介)(第二八七三号)  同外一件(江田五月紹介)(第二八七四号)  同(遠藤和良紹介)(第二八七五号)  同外三件(小川国彦紹介)(第二八七六号)  同外一件(貝沼次郎紹介)(第二八七七号)  同(金子みつ紹介)(第二八七八号)  同(菅直人紹介)(第二八七九号)  同(串原義直紹介)(第二八八〇号)  同(上坂昇紹介)(第二八八一号)  同(佐藤観樹紹介)(第二八八二号)  同外一件(渋沢利久紹介)(第二八八三号)  同(清水勇紹介)(第二八八四号)  同(新村勝雄紹介)(第二八八五号)  同(土井たか子紹介)(第二八八六号)  同外二件(鳥居一雄紹介)(第二八八七号)  同外一件(中村巖紹介)(第二八八八号)  同(中村茂紹介)(第二八八九号)  同外一件(早川勝紹介)(第二八九〇号)  同(日笠勝之紹介)(第二八九一号)  同(水田稔紹介)(第二八九二号)  同(森田景一君紹介)(第二八九三号)  同(薮仲義彦紹介)(第二八九四号)  同(山下八洲夫君紹介)(第二八九五号)  同外三件(吉井光照紹介)(第二八九六号)  同(安藤巖紹介)(第二八九七号)  同(石井郁子紹介)(第二八九八号)  同(岩佐恵美紹介)(第二八九九号)  同(浦井洋紹介)(第二九〇〇号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二九〇一号)  同(金子満広紹介)(第二九〇二号)  同(経塚幸夫紹介)(第二九〇三号)  同(工藤晃紹介)(第二九〇四号)  同外一件(児玉健次紹介)(第二九〇五号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二九〇六号)  同(柴田睦夫紹介)(第二九〇七号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二九〇八号)  同(田中美智子紹介)(第二九〇九号)  同(辻第一君紹介)(第二九一〇号)  同外一件(寺前巖紹介)(第二九一一号)  同外一件(中路雅弘紹介)(第二九一二号)  同(中島武敏紹介)(第二九一三号)  同(野間友一紹介)(第二九一四号)  同(東中光雄紹介)(第二九一五号)  同(不破哲三紹介)(第二九一六号)  同(藤田スミ紹介)(第二九一七号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二九一八号)  同(正森成二君紹介)(第二九一九号)  同(松本善明紹介)(第二九二〇号)  同(村上弘紹介)(第二九二一号)  同外一件(矢島恒夫紹介)(第二九二二号)  同(山原健二郎紹介)(第二九二三号)  同(近江巳記夫紹介)(第三〇二〇号)  同(坂口力紹介)(第三〇二一号)  同外四件(沼川洋一紹介)(第三〇二二号)  同(春田重昭紹介)(第三〇二三号)  同(森本晃司紹介)(第三〇二四号)  同外一件(吉浦忠治紹介)(第三〇二五号)  公団住宅家賃等への消費税課税反対消費税  廃止に関する請願神崎武法紹介)(第二九  二四号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二九二五号)  消費税撤廃に関する請願外一件(神崎武法君紹  介)(第二九二六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成元年度の財政運営に必要な財源確保を岡  るための特別措置に関する法律案内閣提出第  七号)      ――――◇―――――
  2. 中西啓介

    中西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許ます。野口幸一君。
  3. 野口幸一

    野口委員 まず、同県選挙区の出身議員といたしまして、宇野総理の御就任を心からお喜び申し上げます。  ただ残念なことに、この数週間、総理の周辺をうかがいます報道は多事多難にわたり、非常に心がかりなものがございます。正直申し上げまして火中のクリを拾うという感じで、何といいますか、みずからその政治生命をかけてこの責任ある地位につかれたのでありまするから、私は心中ひそかに期するものありという期待をいたしております。  日ごろのいわゆる宇野節がちょっとさえませんが、どうか今後もこの難局を乗り切っていただいて、国民政治不信が最高に達している今日にありまして、目をみはるような政治改革、口先だけの言葉ではなく、男一匹宇野宗佑の真骨頂を示す政策、すなわちリクルート問題のけじめを初め、将来にわたる政治あり方等について、総理の年来の政治理念とともにお聞かせいただきたい、これをまず伺いたいのでございます。
  4. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 同県のよしみで野口さんから温かいお言葉をいただきました。感動いたしております。  私も、異常な決意でこのポストをお預かりいたしました以上は、ただいま申されました諸種の問題に関しまして、不退転の決意で臨みたいと思います。  特に私は、もう今さら説明するまでもなく、リクルート事件というこの最も忌まわしき事件政界にも大変なショックを与え、また社会的にもシヨックを与え、言うならばこの根絶のためにということで私は就任をいたしました。それだけの決意と、そして私はこれに対処する一つの哲学、そうしたものを持たなければならない、かように感じておる次第でございます。まず、我々の声ではなくして、前内閣竹下総理がやはり深い反省のもとにこの問題に取り組もうとされました。私たちもその後を継いだわけでございますから、やはりリクルート事件には私は深い反省を持ってまず臨まなければならない、かように考えております。  そのためには今後政界はどうすればいいかということで、有識者会議というものを竹下総理がつくられまして、その方々の御提言をちょうだいされました。やはりこれは、有識者我が国の声を代表する方々で、しかもこの事件に対して今後政界はかくあるべしというみずからなるそうしたお気持ちを吐露していただいた提言で、私はやはりこれは大切にしなくちゃならない、こう思うのでございます。私が思うというよりも、この提言を私は尊重したい。  与党である自由民主党も深い反省をしなければなりません。その自由民主党も、この提言中心といたしまして、政策中心であったその政治姿勢、その政策というものも今後大切だが、政策隊行によって政治の信頼を回復するということを考えた場合に、これぐらいの大改革をしなくちゃならぬ、こういうことで、いわゆる政治改革大綱というものを後藤田さんを中心にこしらえていただいております。だから、私はこれは表裏一体をなすものであると思いますが、やはり総在大臣といたしましては第三者の声の有識者提言、こうしたことを中心に考えるべきである、こういうふうに思っております。  したがいまして、七つの提案がございますが、その七つのうちの三つ内閣がやるべき仕事でございました。それはもう既に御承知のとおり、閣僚は財産を公開せよ、そのほかにいっぱいございます。その七つのうちの三つを、私はまず「陸より始めよ」でございますから、もう既に実施に移しております。  したがいまして、残るはあと四つでございますが、この四つの中には、金のかかる今日の政治体系というものを、かからないようにしなくちゃいけない、これが有識者提言でございますから、ひとつこれをまとめるとするのならば、選挙法改正政治資金改正と、それから各国会議員方々に及ぶ財産公開を含んだ倫理綱領に基づいた一つ改革案、こうなるんじゃないかと私は思いますが、先の二つに関しましては、いろいろと御批判がございましょうけれども、とりあえずこの国会に出してあります。したがいまして、入る場合の政治資金をもっとガラス張りにということがございます。それが中心になっております。パーティー券に関しましても相当強い制限が付せられております。出る場合、我々が冠婚葬祭でどれだけ金がかかるか、そういうような全国的な声も集めまして、そうした出る場合も相当な規制が加身られ、なおかつ罰則規定がついておる、これは今日まで見られないところでございます。  こうしたものが既に与党案ではございますが出ておりますから、過般来、私は、もう既に七つのうちかくのごとくに先三つ、後の四つはこうした形において今もう目の前にある、この目の前にあることをひとつ国会において御審議賜って、さらに与党、野党の力を合わせ、知恵を合わせて、もっともっと磨きのかかった法案にするのならそのようにしていただきたい、かように私はお願いしておる次第でございますので、この点におきましては、一応緊急的な七つ提言に関しましては、もう目の前で後の四つは今実現されようとしておる、こういうふうな状態でございますし、ぜひともそうした法案に関しましても、与野党のひとつ慎重なる御審議、また果断なる御採決、こうしたものを仰ぎたい、こう思っております。  そのほかにもいっぱいございますが、私、随分まじめに答えているつもりだけれども、何かしゃべっているばかりで実行が伴わぬじゃないか、こうおっしゃるのですが、七つのうちもう既にそこまで来ておるということだけは国民方々にも知っていただきたい、かように思う次第でございます。
  5. 野口幸一

    野口委員 承りましたが、それでは、まず、今のような課題は初めて出てきたものではなくて、この前の田中総理の後にありました政治倫理の改定の問題もしかりでありますが、今日までたびたびその話は出てきておるのでありますけれども、実際、実行されていない、効果が上がっていない、再びこういう不祥事が起こったというようなことでありますが、なぜこのようなことが守られてこなかったのか、その原因は一体何だったのか、総理どう思われますか。
  6. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 今、私は七つ提言お話をしましたが、確かに野口委員がおっしゃいますならないところもある、かように私も思います。  試みに有識者提言の中を私も精読をさしてもらいましたが、政官財構造的癒着、こうしたものがありはしないかという国民の多くの疑点が寄甘られておる、こういうふうに書かれてあります。いろいろ考えますと、リクルート事件はまさに子うしたことを考えさせられる一つ事件ではなかろうか、かように思います。したがいまして、やはりすべての面において、私たち国民からそういう構造的な問題があると御指摘あらば、この構造的な問題にメスを入れることも必要ではなかろうか。政界がとにかく金が要る金が要ると言うから、そのすきをつけねらって、では金を差し上げましょうというふうな人が出てきた、あるいはまた、自分たちが随分と規制がある、あるいはまたいろいろな取り締まりがある、その取り締まり規制を抜けんがためには官界に接触した方がいい、こういうような面もあったかもしれません。  だから、今日の社会というものは非常に近代化された社会でございますから、明治以来ずっと守っておるような規制というものをどんどん外し、あるいはまた認可、許可、こうしたものを外し、国民の本当の発想によってどんどんと仕事ができるようにすることが必要だ。そこに古めかしい、あるいは旧態依然たる規制があったり許認可があると、どうしてもそれを突っぱねなければならぬというという心が、あるいは心なきよこしまな人には見えるかもしれぬ。私どもといたしましては、そうしたことが多くの国民から、政界官界あるいはまた財界構造的癒着があるのではなかろうかと指摘されている面であろうと思います。だから、そういう面からは、やはり国会みずからもお互いにひとつ協力いたしましてメスを入れたいものである、その先頭に立ちたい、私はかように申し上げておるわけであります。
  7. 野口幸一

    野口委員 言葉は多いのですけれども、具体的なものがお聞かせいただけないので残念です。  私は、まずはこのリクルート事件等を見まして癒着ということについて構造的なものがある。子れにやはり総理として、これだけは断ち切らなければならぬという問題があるのではなかろうか、そういったものをひとつ拾ってみてはどうかという気がしまして、まず考えてみました。  それは、政府高官天下りの問題であります。官界から、財界あるいは民間にいわゆる天下り一称せられる就職状況を見てみますと、昨年は三十人ばかり減っております。減ったのはいわば日本国有鉄道関係の部分が大分減ったという理由もあるようでありますけれども、依然として昨年は二百三十三名、しかも会計検査院に始まりまして各省庁、非常に多くの方が民間におりておられるわけであります。これは必ずしも全部が全部いわゆる癒着の悪たるものであるということは言い切れませんけれども、少なくともこの問題がなぜ今まで起こってきたかということを考えてみますと、やはりお互いに利便、利益というものがあればこそ、そこに高い月給で抱える体制というものが当然受け入れ先となる企業等に生じてくるわけであります。例を挙げてみますと、一番多いのは残念ながら大蔵省、六十三年度五十名、六十二年度は五十三でありますが、五十名になっておりまサ。その次に多いのが郵政省の二十八名、それから農林水産省の二十七名等々、合計二百三十三という数字が実は上がっております。  これに対する規制、「営利企業への就職制限制度について」という人事院規制就職制限に対する服務規律一つとして示されておりますが、この「承認審査のポイント」が、私から言わせるならば非常に甘い。「離職後二年以内に「国の機関と密接な関係のある営利企業地位」に就く場合であり、これ以外は承認を要しない。」こういうことになっているわけであります。  政官財、またその中に介在するいわゆる官僚の諸君の天下り問題というのはこういった機会に改正をしなければならぬ、もっと縮小しなければならぬと私は思いますが、総理の御見解を伺いたいと思います。
  8. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 天下り問題に関しましては、今おっしゃいましたように、人事院審査を経るとか、あるいはまた職業選択の自由があるが、公務員に関しましてはがちっと一つ制限を設けておるとか、いろいろございます。したがいまして、そうした面にも構造的癒着の温床がある、こういう御指摘だろうと思いますが、これに関しましては、十分今後もさらに考えていきたいと思っております。  特に、私たちもこの内閣議でも決めたのですが、言葉多く具体例なしと野口さんおっしゃいましたが、相当決めているのです。例えば講演を求められる、講演はよかろう、しかしながら、よほどそこも考えてほしいし、私企業よりもできるだけ連合体とか組合、そうしたところがよかろうが、例えば、お行きになっても法外な報酬を得る、そうしたらだめですよ、これはひとつ我々としても自粛をしなければならぬ。また、企業からあるいは組合から秘書を借りたりあるいは自動車を借りている面があるがどうだ、こういうようなお話国会で話題になりました。そうしたことも我々としては将来検討して考えていかなければなりません。したがいまして、企業と私たち関係というものは、そうした面においてもすきっとした一線を引いておくべきであろうと私は思います。  確かに、経験者たる公務員就職に際しましては、今のでいいかというお話もございます。現在もしっかりやっておるわけでございますが、やはり天下りというものは感心しないというこうした気持ちは、野口さんが恐らく国民気持ちを代表されて申されたと思います。今後こうした問題に関しましても、十二分に国民の声にこたえるよう、さらに厳格さというものを私といたしましても持ちたい、かように思っています。
  9. 野口幸一

    野口委員 お気持ちはわかりますが、国民から見れば、こういうものが今日政官財癒着一つの介在する原因になっているのではないかという気持ちあがるのも真実であります。今言ったとうりであります。  したがって、全部が全部これをゼロにするということは難しいことであるかもわかりませんけれども、やはりこの天下りと言われるものについては、それぞれいわば経験をした、官公庁において自分が習得をした技術、あるいはまた修練をした理念というようなものに基づいて生かしていくということでありまするから、それまた決して一〇〇%だめだというわけではありませんけれども、ややもすればそれが民間と官との許認可の問題だとか、あるいはまたその他の悪弊を生み出す原因にもなる。  このことから考えますと、やはり基準というものはもっときつくして、そして就職をするに当たっても何らかの規制をきちっと決めておかなければならぬ。今ここにあります人事院のこの服務規律一つのように、掲げております「営利企業への就職制限制度について」という文書だけではいささか心もとない。これは何とか時間をかけて、この問題についても今日のこういう事態を迎えて自戒をしてもらわなければならぬ、これはひとつ総理お約束をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  10. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 天下りというものの表現自体国民が非常な反発を感じていらっしゃることは、私も地方にも随分長くいたわけですから十分痛感しております。しかし、一方におきましては、そうした経験豊かな方が、確かに我が国企業において大変な改革をしながら産業のために貢献されたというお話も聞いております。そう言うと、すぐに後ずさりだというようなお話になりますが、私は、事実は事実として認めるところは認めなければいけない。しかしながら、その就職に際してはやはり厳正な立場が必要だ、これは野口さんの言われるとおりでございますから、私は、そうした意味において今後も対処していきたい、かように考えます。
  11. 野口幸一

    野口委員 その問題はまだ少しく時間がかかるでありましょうけれども、今申しましたように、するものではありますけれども、今総理が言われたことを旨として、それぞれの関係省庁でもってこの問題について善処をされるよう、特に要望をいたしておきたいと思います。  さて、中国情勢の問題について若干申し上げたいと思うのです。  御存じのように中国ではこの一カ月、私ども本当に心の痛む問題が続発してまいりました。きのう、きょうのニュースによりますと、一応表面的にと申しては失礼かもわかりませんが、鎮静化をしつつあるということでございますが、在中の商社もぼちぼち帰ろうか、帰ろうかというのはも、一遍行こうかということですが、中国へ行こうという動きも出ておるようでございます。  文革が正常化するのに約十年かかりました。この問題が本当に根底から直るというには相当時間がかかるだろうと私は思うのであります。この間における我が国の外交の課題として、どのように中国をこれから見詰めていかれるのか、まずその指針をお聞かせいただきたい。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
  12. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 混乱の後も日本と中国の間は一応正常な関係にあります。これは、我々といたしましても、今後そうした関係を持ちながら一日も早く中国が平静化されるよう、さらには、こいねがわくは国際的に孤立化されないよう、これが願いであります。もちろん、その間におきましては、国民に銃口を向けた、これはけしからぬ、人道上許容の範囲を超えるものである、寛容できないというふうな私たち気持ちは既に東京在住の中国大使にお伝えしてございます。だから、よき隣人として私たちは常にアドバイスをしなくちやならない、こういう立場は今後も持続していきたいと思います。  しかし、今野口さんがおっしゃったように、いろいろこの間の中国との関係におきましては、昨年ちょうど日中平和友好条約を結んで十年目でごくて、国民すべてが努力してよい関係を結んだ、かように思います。したがいまして、やはりいろいろな経済問題がございましょうが、この間は、ああいう混乱でございますから、とりあえず生命の安全を保障しなくちゃならぬというので、我々政府といたしましては、まずそのことを念頭に置きまして、どうにか四千名近いお方が希望どおり帰られた、これは非常にうれしいことでございましたが、落ちつくに従って、ひとつまた中国へという気持ちも当然出てくることであろうと私は思います。  かつて、私たちは次のように申しています。日本には資金があり、日本には技術あり、中国には労働力あり、中国には資源があり、この二つのものをお互いに友好的にひとつ活用しましょう、こうした姿勢に私は今後も変わりはございません。
  13. 野口幸一

    野口委員 それでは、現在のいわゆる中国に対する円借款の問題、今後どのように対応されていくのか。また、さきに竹下総理が訪中された際に約束されてまいりました八千百億円、増額する九〇年以降の問題の実行時期等についてはどのようにお考えか、まず伺いたい。
  14. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 中国に対します経済協力につきましては、基本的には今総理お話しされました中国に対する基本的な姿勢に基づいて私ども進めてまいりましたが、今後の方針に関しましては、御案内のように現在は援助関係者が引き揚げております結果、いろいろな案件が事実上中断している状況にございます。  したがいまして、私どもは事態の推移を今注意深く見守っておりますけれども、これらのプロジェクトに関しましては今後事態が完全に平静に修した際には協力を続けてまいりたい、こう考えておりますが、先生御質問の第三次円借款を含めました今後の対応につきましては、今総理から全般的なお話がございましたけれども、私どもは中国情勢の落ちつく先をよく見て、さらには国際的な動向も見守って慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。    〔衛藤委員長代理退席、中村(正三郎)委員長代理着席〕
  15. 野口幸一

    野口委員 総理に伺いますが、中国とアメリカの関係が非常にまた私どもと違った観点で悪化をしているような感じでございます。アメリカ側から我が国に対して、中国関係についていささかなりともいろいろな話が出てくるのではないか、こういう懸念があるわけでありますが、そういったものに対してどのようなお考えをお持ちですか。
  16. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 中国の天安門の大混乱のときに努めて私は慎重を期しました。それはやはり隣国だからということでございます。したがいまして、アメリカと中国の関係とはまた違うよというのが私の脳裏にありましたし、同時に、先ほどちょっと触れましたが、在留邦人八千三百人いらっしゃる、この方々の安全を期するということも必要である、こうしたことで慎重を期しました。  その間、アメリカはアメリカ流の民主主義によりましていろいろと声明等々を発せられたのでございましょう。これがいたくアメリカと中国との関係悪化というものの一つ原因になったやに私は承っております。だから、アメリカとも我々は親友でございますし、特にブッシュ大統領はかつて中国の大使をお務めになった、そういうことの経験もあるお方でございますから、我々といたしましても、ひとつ同盟国であるアメリカと中国が、混乱前の状態に返っていただくよう双方が御努力賜って、また私たちもその間にあってそうした努力も怠ってはならない、かように思います。  ただ、ややもすれば、経済大国日本に対しましては、日本がいろいろと甘いのは、恐らく金もうけをしてしまうのではないかというふうないろいろな話が飛び交うわけです。私は、決してさようではない。先ほども政府委員が答えましたように、また竹下総理も隣国であるという立場において、そして経済協力を続けておるわけでございますから、やはりそうした面も正常に動いていくとて、日本が何もかも経済ばかりを念頭に置いてやっているという国ではありません、お互いに信義と信義というものを通じましての国交、その高まりを私たちも考えるということでございます。
  17. 野口幸一

    野口委員 それではそのようにお願いをいたしておきますが、最近アメリカが日本に対しても対中国政策の変更を求めたいというような消息筋の話もあり、やはりアメリカはアメリカであり日本は日本であるという立場を堅持して対応していただきたい、これは総理もたびたび言っておられますから間違いないことだと思いますが、よろしくお願いをしたいと思います。  それから、もう一つ気になります昨今のニュースで、いわゆるドル高・円安の問題でございます。それに加えまして輸入原油価格が非常に高騰してまいりました。物価に対する影響が非常に心配されるところであります。きのうもニュースを見ておりますと、当面これによって電力・ガス料金等の値上げは考えていないというようなニュースも報ぜられておるようでありますが、これに対して政府がどのように考えておられるか。  また加えて、この円安という問題は単に日本の問題ではなくて、日米両国の貿易関係の黒字問題の解消にも大きな問題があるわけでありまして、果たしてドルの価格あるいは円の価格、希望価格と言ったらおかしゅうございますが、両国のために安定的な価格というのはどの辺が望ましいのか。それで、安定するためにはどのような対応を、今もやっておられますけれども、さらにやってもらわなければならぬと思いますが、どのような形で今後これに対応していくか。それから、輸入原油価格の高騰の物価に関係する部分についても、どのように対処、対応を考えておられるか、ひとつその辺をお伺いしたいと思います。     〔中村(正三郎)委員長代理退席、大島委員長代理着席〕
  18. 村山達雄

    村山国務大臣 ここのところ為替市場はドル高の方向に動いておりますが、それを見ておりますおったのでございます。しかし、きのうのニューヨーク市場では流れがずっと変わってきまして、相場だけ申し上げますと、きのうは東京の終値が百五十一円三十銭です。ところが一転いたしまして、ニューヨークで流れが変わりまして百四十六円、ここで一挙に五円くらい円高の方に振れておるわけでございます。きょうは、これを受けまして、東京市場、九時半の市場が開いたときは百四十五円二十銭、十時現在の相場が入っておりますが、百四十四円八十銭、これは大変な思惑的な相場であると思っておるわけでございます。  もとより為替相場の乱高下というものは、あらゆる国にとって最も悪い、経済の安定にとって因ることは言うまでもございません。我々は関係諸国と協調しながら乱高下を抑えていく、これはG7の基本的な方針でございますので、今それを実行しているところでございます。  相場がどうなるかという問題につきましては、市場の問題でございますので一概には申し上げられません。ただ、物価にどういう影響を与えるかということは、言うまでもございませんけれども、輸入物価の高騰を通じまして、あるタイムラグを伴ってその何割かの割合で必ず消費者物価に影響が来るわけでございますので、我々はこれからも景気を続けるためにどうしても物価については注視していかなければいかぬ、適切な手を打っておるわけでございます。また、この問題は国際的なインバランスの解消にも決していい影響を与えないわけでございますので、引き続き各国と協力しながらこの乱高下を抑えてまいりたい、こう思っております。
  19. 野口幸一

    野口委員 原油価格は。
  20. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 お答え申し上げます。  原油の値段につきましては、昨年の末に底になりましたのでございますけれども、ことしの一月以来かなり急速な上昇傾向を示しているのは御指摘のとおりでございます。  ただ、この背景は、世界的な石油需要の強さがサイドでOPECが相当結束が乱れておりましみのでございますが、昨年の十一月に、余りにも値崩れが激しいものでございますから再びサウジアラビアを中心として結束を強めようというのが一つの背景になっております。一月から四月ぐらいまでは、私ども日本に入着いたします原油は主として中東のドバイのスポット相場を見ているのでございますけれども、スポット相場で大体十六ドルを超える程度まで急速に上がったのでございますが、その背景には、三月の半ばと四月の半ばにアラスカ及び北海で起こりました原油の事故ということもございました。この五月、六月に入りすしてからスポット相場はやや落ちつきまして、十四ドル強ぐらいのところまで下がりつつございます。ついせんだって六月の五日に始まりましたOPECの通常総会におきましても、下期に向けて生産量を拡大するということを決めました。さらにことしの下期の第四・四半期につきましては、さらにこれを五十万なり百万引き上げるべく検討するというところまで決めております。  したがいまして、私ども軽々な見通しは避けるべきではあると思いますけれども、堅調ではございますが、現在のレベルの原油価格が今後それほど急騰するというふうには現在のところ思っていないというのが実情でございます。
  21. 野口幸一

    野口委員 わかりました。  時間がだんだんなくなってまいりましたのでちょっとはしょりまして、今回の税制改革問題を振り返って申し上げてみたいと思うのであります。  私は、今の政治の不信が起こる一つの要因に、もちろんリクルート問題があるわけでありますが、もう一つ原因に、消費税問題は欠くことのできない問題だと思います。もう少し深く考えてみますと、私は、そもそも政府も本音の話をしなければならないのに本音の話をなさらなかった、我々の方も目先のことだけ物を言って将来的な展望についての議論が欠けていた、それがために国民は本当に混乱をし、かつまた消費税そのものだけに目を向けた批判というものが集中をしてきている、これは、もちろん私は考えなければならぬと思うのであります。  確かに、正直申し上げまして、付加価値税を採用するという土壌は私はできつつあると思います。昭和二十六年に所得格差が五・八倍であったのが六十一年に二・九まで下がってきているというこの現実を見ますときに、一定程度の定率間接税制を取り入れるいうことは決して私は悪ではないと思いますけれども、しかし、ただそこに至るプロセスが私は間違っていたと思うのであります。  たびたび私も申し上げましたが、そもそも抜本的税制改革は何のためにやるかということは、財政再建のためにやるのです。ところが、それは全くそれに触れられないでいこう、通り抜けようとされた、そこにそもそもの誤りがあったのではないか。だから、昭和五十四年のこの国会決議を振り返ってみて、こういう決議をしたけれども、現在の情勢は国債残高はことしの場合は百六十二兆円に達すると言われている、その他の債務も一切合財入れると大体二百兆にも及ぶと言われている、これをどのような形で今後処理をしていくか。  もちろん四条債の中身は、社会資本もあるわけですから後世の人も享受を受ける部分もある、何も私たちの世代で全部返さなくちゃならないという問題ではないかもわからない、それの分離も必要だ。だから、どの辺のところまではこの残高を減らしていくという姿勢を続けなければならぬだろう。高齢化社会の問題もある、将来の福祉ビジョンもある、こういうことも全部含めて将来像というものを明らかに、できる限りの今日の知恵を絞って描き出して、増税なら増税はやむを得ない、国民負担につながるのはやむを得ないということを赤裸々に政府がお出しになって、それこそ国民に信を問うてこの税制改革に当たるべきであった。  そうして、今日の直接税の中にありますところの不公正、不公平と言われる部分あるいはまた徴税に対するクロヨンとかトーゴーサンとか言われる徴税のあり方、捕捉のあり方の問題につきましても含めまして改めて、総合課税制度というものを取り入れ、そして納税番号というものもこれまた取り入れ、そうして後にあって間接税の取り入れというものを国民に理解を求めていく。私は、こういう形をするならば今日のような混乱は起きなかったのではないかと思うのであります。  何か財政再建というのは、ちょっと格好のいい「増税なき財政再建」、それからニュートラル方式、私はこんなうその税制改革はないと思うのです。プラス・マイナス・ゼロだったら税制改革なんかする必要はないですよ。何とかして増収しなければならぬと思うから税制改革をするのじゃないですか。それを、プラス・マイナス・ゼロでやろうなんということを言うからおかしくなってくるのでありまして、やはり増税しなければならぬときは増税。きのうもある議員がおっしゃっていましたけれども、高福祉を求めるならばある程度の負担増はやむを得ないのですよf局福祉高負担と言われるかもわからないけれども、国民はそれは理解すると思うのです。それを隠してやっていくところに問題があったのではないだろうか。  明らかに今日の財政事情、借財の問題、将来のビジョン等を国民に示して、こうなりますよ、将来はこうなっていく、今はこのぐらいの税率をもらわなければならないが、将来はこういう税制を取り入れますよというような、あらゆる面からメスを入れた、国民に納得のいく、しかもこれは、お互いに党利党略があるかもわからないけれども、国家百年の大計に立って、この問題については赤裸々に国民に吐露して、選挙で国民に信を問う、こういう形をとらなければ、いつまでたっても「増税なき財政再建」、プラス・マイナス・ゼロ、所得税減税の財源のために導入しましたとか、そんな口先だけの話ではこの問題は解決しない。私は、そういった意味で与党反省しなければならぬし、我々もむだな扇動をするような口先だけの反対論はやめなければならぬと思う。  もっと真摯な、心からなる税制改革というものを求めるべきではなかったのか、この点について総理の御所見を伺いたい。
  22. 村山達雄

    村山国務大臣 非常に基本的な問題を提起していただきまして、ありがとうございました。しかし、私の方も率直に申し上げます。  財政再建は、おっしゃっているように、なかなか容易ではございません。残高から言い、あるいは今までの歳出の繰り延べ、それから定率繰り入れの停止、こういったものを考えますと、新規の赤字国債から脱却したからといって、むしろ財政再建はこれからだということで、これから本当に真剣に検討し、しっかりしためどを立てていかなければならぬと思っております。  しかし、増税を要するかどうかという問題はまた別の問題であると思います。臨調から受けまして、「増税なき財政再建」というのは自民党・政府は引き続いてずっと言っているわけでございます。また、事実そうでございます。そして、今度の根本的税制改正も、二兆六千億というネット減税を伴ったことをやっているのもそこにあるからでございます。我々の一つの問題は、今度の税制改正というのは、やはり高齢化社会をにらみまして、負担の公平感を何よりも増していくということに重点があるわけでございます。個別消費税が今これからまかり通るなどとは我々には絶対に思えない。そしてまた、相対的に所得者の数が減ってまいりますから、これはやはり所得課税に重点を置いた税制というのは直さなければいかぬ。加えて、法人税の実効税率は世界で一番高いわけでございますから、これを直さなければならぬ。そういうことで、そういうことを考えていないのでございます。  それならこれからの財政再建の、手法はいろいろでございますが、結局抽象的に言えば、現在の歳出の制度、施策をもっと合理化いたしまして、そしてやはり歳出資金を効率的なものにしていく、ここにやはりねらいがあるわけでございます。百六十二兆のうち約六十六兆が赤字国債残高題もありましょう。それから、いろいろな指標を用いまして、そして今後の予算の組み方、そういったものをやはり検討していく必要があろうか。要は、現在の歳出の制度というものをもっと見直して効率的にしていくことによって財政再建を図っていくということが基本であろう。これは別に宣伝でも何でもない、これは本音でございます。どうぞひとつ御運解いただきたいと思います。
  23. 野口幸一

    野口委員 大蔵大臣の御定見はたびたび伺っておりますからよくわかるのでありますけれども、私は、もう少し国民にわかりやすい税制改革に対する政府の宣伝といいますか、教え方が不足しているのじゃないだろうかという気がするのです。だから、これは歴代大蔵大臣が悪いというわけではありませんけれども、何かつじつま合わせをするために、例えば国債整理基金の繰り入れをとめたり、あるいはまたどこかの会計の歳出をとめて財源にしたり、何かごちゃごちゃ金をつくってきて財源に充ててその一年を過ごされる、またことしも似たようなことをやっているけれども、そのようにやる、そういうことをやめたらどうかと思うのです。  足らないのなら足らないのですから、赤字は赤字なんですからね。収入源としては、税以外の収入をどこかから求めてこなければならぬとするならば、それはどこかで、一ところでまとめなければならぬのじゃないか。それがわかりやすいのであって、どこかの会計の歳出をとめてこちらへ持ってきたりして何とかやりくりをするというやり方は、私は、国民に対しても不親切だと思うのです。やるならやる、足らないものは足らないということをきちっと出すべきだと思うのです。そういう部分を含めて財政再建の道筋というものをやらなければならぬと思いますし、ぜひともそういった態度で今後の予算を組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  時間が余りないようでありますので、それでは最後に一つだけ申し上げてみたいと思います。  いよいよ七月のサミットを前にしていろいろな問題が世上うわさされております。その一つに、私も先日ある外交の関係の方からお聞きをしたのでありますが、恐らくサミットで問題になる問題の一つとして、NTT株の公開問題が出てくるということなんであります。現在このNTT株は、いわゆる会社法第四条によりまして外国人には持つことのできない仕組みになっているわけでありますが、七月のサミットを前にして、この問題は非常に大事な課題になろうといたしております。  総理は、サ÷ツトに出かけられるに当たりまして、このNTT株の公開議渡の問題をどのようにお考えなのか、この際伺いたいと思います。
  24. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 仰せのとおり、非常に注目されております。今日までは、紋切り型な御答弁でございましょうけれども、やはり強い公共性を持っている企業であるということ、二番目には、国の安全保障、国民の生命財産、その保護に係る問題、そうした問題も持っている事業体である、そんなことから外国の法人また外国人等による株式の所有は禁止されていた、これは私といたしましても当然の措置であったと思います。  政府といたしましては、昨年十二月の新行革審の答申もございます。今申されましたNTT法の附則第二条に基づきまして、組織のあり方を含めてNTTのあり方を検討すべき立場にある、かように思っています。したがいまして、NTT株の外国人並びに外国企業、法人等による所有いかんの問題に関しましては、我が国の今後の通信政策のあり方及びNTTのあり方の検討を踏まえまして総合的に取り組むべき問題である、そうした立場が現在の政府の立場でございます。     〔大島委員長代理退席、村井委員長代理着席〕
  25. 野口幸一

    野口委員 見解、余り前進していないようでありますけれども、恐らくこのNTT株の公開譲渡の問題はサミットで各国間の話題になるであろうと思います。いつまでも閉鎖的なことだけで済む問題ではございませんので、この問題も含めて、いわゆるサミットにおけるところの御活躍をひたすらお祈り申し上げております。  最後に、もう時間がございませんので申し上げますが、今国民気持ちというのは、いろいろ申し上げてみましたが、総じて、残念ながら衆議院を解散して出直せという声が大半であります。総理はたびたび、解散はしない、こうおっしゃっておりますが、真のみそぎはやはり主権者の国民に判断をゆだねるべきである、これが民主主義の大道だと思います。総理はそう言ってこられたのでありますが、この解散しろという声をどのように受けとめられ、いつごろ、何を争点にして解散をしようと考えておられるか、この際はっきりと、同じ選挙区内でありまするから、お答えをいただきたい。
  26. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 リクルートのけじめの最大のけじめは解散だ、こういうふうにおっしゃいます声もあることを私は十分知っております。  我々といたしましては、やはりリクルート問題が出たゆえんを正すためにも、政治改革をやって国民の御期待にこたえてやらねばならぬ。今もし現在の体制のまま解散しますと、やはり金権体質の解散になり、また選挙になり、その後どうなるんだろうかということでございますから、我々といたしましても、何としてもそのけじめは政治改革をやることがけじめである、だからひとつ国会挙げてお願い申し上げるというのが私の考え方でございます。  したがいまして、現在全く解散は考えておりません。
  27. 野口幸一

    野口委員 質問を終わります。
  28. 村井仁

    ○村井委員長代理 柴田弘君。
  29. 柴田弘

    柴田(弘)委員 まず、私は緊急の課題である円安・ドル高問題について総理にお聞きをしたいと思うわけであります。  今も大蔵大臣から答弁があったのですが、昨日の東京市場は百五十一円三十銭ですね。そしてニューヨーク市場の終値が百四十六円。きょうの東京市場、今ニュースが入りましたが、十時二十五分現在百四十四円七十五銭から九十銭、この一日で七円乱高下をしておる、これは極めて異常な状態であると私は認識をいたしております。  そして同時に、この原因ですね。私は当分はドル高基調であると思うわけです。いろいろ言われておりますが、一つは、この四月のアメリカの貿易収支改善が八十二億ドルと、前月比一三・四%減少した、これがやはり今後ドルの堅調が続く一つの大きな要因になるだろうと思います。二つ目には、アメリカのインフレ後退、そして同時に、アメリカがインフレ対策のためにドル高を容認しているのではないか、こういうふうにも考えております。それから中国情勢の混乱による有事のドル買い、これもありますね。それから、アメリカの株、債券市場が堅調でありますので日本のドル投資が急増している、アメリカへお金が流れていってしまう、これも原因になる。あるいは日本の政情不安、政治の不安定、やはり私はこういったところに、投機的、思惑的だということもありますけれども、この原因がある、こんなふうに考えております。この辺についての総理のお考えをまずお聞かせをいただきたいと思います。  あわせて、G7の協調体制というのは崩れたのではないか、再構築をしなければならないのではないかという意見もあるわけであります。日米関係の今後のためにも、私は大蔵大臣が、G7を開いても結構ですし、あるいは訪米してアメリカ側との話し合いをしてくるという必要もあるのではないか。特にこの七月におけるサミットでは、為替安定のための議論がなされ、安定への構築がなされなければならない、こんなふうに考えますが、総理、どうですか。
  30. 村山達雄

    村山国務大臣 為替相場の変動についての要因、いろいろ言われております。しかし、通貨当局がこの問題について発言することは、やはり市場に与える影響がありますので差し控えさせていただきたいと思います。今おっしゃったようなこと、いろいろなことが言われておることはよく承知しております。  問題は、きのうの東京の終値からけさの相場、これ一つを見ても、思惑的なものが随分働いておったという我々の認識でございますが、それが相場によって大体実証されたと我々は見ているわけでございます。これはやはりG7で決まりました協調体制が一つ大きく有効に作用しておると私は思っております。関係当局は各国ともお互いに日常連絡をとっていることはもう当然のことでございます。したがいまして、今私が訪米するとかあるいは訪独するとかいうことの必要はないと思っております。いずれサミットになりますと、これまでの為替変動の経験をもとにしましていろいろな議論が展開されるだろうと思います。しかし、協力体制が有効に働いておったということだけは間違いないわけでございますので、さらにきめ細かな為替の安定ということについての重要性の再認識、あるいはそれを補完する方法としていろいろなことが言われるだろうと思いますが、我々もまた考えのあるところを述べ、さらにこの協力体制を一層有効なものにしたい、このように思っておるところでございます。
  31. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 私もやはり為替安定に関しましては常に関心を持っておりますから、大蔵大臣お話をして、そのお話を伺っておるというのが総理の立場でございます。  いろいろと先ほどおっしゃいましたように、きのうときようとの相場には流れがございます。しかし、今後とも日本といたしましては、関係諸国と十分協調いたしまして適切な措置をとるよう対処していきたい、これが私の気持ちでございます。     〔村井委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 柴田弘

    柴田(弘)委員 大蔵省がたしか一昨日ですね、生保に対して自粛を申し入れられたと新聞報道されているわけです。でも一向にそれが作用していない。今後ドル高が続いていけば、消費税や原油高との相乗効果によって物価上昇がもたらされて、インフレという問題が波及してくるのではないか、こう私は非常に心配をしているわけであります。そうすれば当然公定歩合の再引き上げというものが実施されてくるのではないかと非常に憂慮しております。  それから、いま一つの問題は、総理、ドル高というのは、通産省が心配しておりますように輸出が増大をする、そしてますます貿易摩擦が激化するのではないか、こういうふうに判断をしている。一体どう対応していかれるのか。サミットへ出かけられるわけでありますが、そういったサミットの場での議論、いろいろ大蔵大臣が言っておく、こういう話でありますが、具体的にどんな対応をしていくのか、それをあわせて総理から御答弁をいただきたい。
  33. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 昨年の日本貿易は、一昨年の内需振興、こうした政策が効きまして、国際的には評価されるような状態にあったのでございます。現に日米間におきましても、米国からの輸入はふやすことができたというふうな実績を上げました。百億ドルぐらいふえました。私はよく米国人に言うのですが、百億ドルというとあなたの国がフランスへ輸出される額、この額を日本はふやしたんですよ。日本は非常に努力しましたということが具体的に言えると思います。しかし、ことしは輸出が非常にまた伸び出したというふうな傾向が見られます。そこヘドル高・円安というような状況が続きますと、今御指摘のとおりのような状態が起こりまして、我々といたしましてもこの問題の解決、善後策、そうしたものを積極的に考える必要があります。  常に米国の双子の赤字、これは米国自身できちんとしてくださいと私たちは言いますが、黒字国はどうするかという問題に関しましては、内需を振興しましょう、さらには輸入を増大しましょう、こういうふうに実は考えておるわけでございます。近くそういう問題に関しましてもいろいろと検討して、具体的に我々の案も練りたいと思っておりますが、輸出によって得られる黒字を日本がまた別の意味で還元しなくちゃいけない、そういうこともございますから、ことしは輸出がもし伸びたならば、恐らく再びインバランス問題で日本はたたかれるだろう。そのために私たちは、かくのごとく黒字を還元しているという一つの具体策を持たなくちゃいかぬ。これが御承知のようにODAでございまして、ODAを一般予算の伸びより大きく伸ばしたというゆえんもそうしたことにあったわけで、我々は総合的に考えている。しかし、当面の問題といたしましてはやはり輸入を増大すること、内需を拡大すること、この二つの施策をあわせ行いたい、かように考えております。
  34. 村山達雄

    村山国務大臣 将来の全体的なやり方については、今総理がお述べになったとおりだろうと思います。  ただ、日本とアメリカの貿易の最近の状況を見ておりますと、これはずっとドル高に振れたところで結果が出ておりますが、日本の貿易の黒字は縮小しておりますし、アメリカの貿易の赤字も縮小しております。また対日赤字も縮小しておる。きのう四月のアメリカの貿易統計が出まして、赤字は八十二億ドル、前月は九十五億ドルでございました。ですから、円高はもちろん理論的に言えばその逆の方向に動くわけでございますけれども、貿易というものは必ずしもそればかりではない。やはりアメリカの競争力もありますし、それから、日本の方が今まで内需を拡大しておったから、需要の面からいってもあるいは産業の面からいっても、もう産業構造もそうなっているとか、いろいろな問題が総合的に出て、それで結果として貿易収支の赤字、黒字にあらわれるわけでございますので、我々は現在の傾向は非常に好ましい方向であると思っております。  ただ、日本にとりましてはやはり物価が心配なわけでございますが、東京都区部の五月のあれは今三・三%、全国では二%台でございますから、まだ世界で一番低いことはもう間違いございません。ただ、この円安傾向が長く続きますと、それがタイムラグを持って、大体三四半期ぐらいのタイムラグだと言われておりますが、卸売物価の高騰の恐らく四割くらいの割合で消費者物価にやがて及んでくることは当然でございますから、この点は注意していかなければならぬということで、引き続き物価には細心の注意を払っているところでございます。
  35. 柴田弘

    柴田(弘)委員 もちろん細心の注意を払っていかなければなりませんが、現在のところではまだ公定歩合の再引き上げを必要とするような物価情勢ではない、こういう御判断であるのかどうかが一つ。  それからもう一つ大きな問題で、これは総理から御答弁いただきたいのですが、総理は多弁で能弁ですので、時間が余りありませんから簡潔にひと2七月のサミットに臨む政府方針、これは議論しておりますドル高・円安問題、この為替安定の問題、それから貿易摩擦の問題がありますね。アメリカのスーパー三〇一条の適用の問題に対してどうするか。その他経済問題では、累積債務国、途上国に対する累積債務をどうするかというブレイディ提案もありますね。中国問題も取り上げられるでしょう。あるいは今大きな話題となっております地球保全のためのいわゆる環境保全問題も当然議論になってくる、こういうように私は考えておるわけでありますが、ひとつ簡潔にサミットに臨まれる政府方針というものを総理から御答弁いただきたい。この二つです。
  36. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 大体テーマは今おっしゃいましたから、そのとおりだとお考え賜ればよいと思います。  サミットは、西側陣営がしっかり協調しまして、お互い政策でも協調政策、さらにはいろいろな仕事をするのも協力、そうしたことにおいて世界の安定と繁栄に努めなければならぬ。その中で日本は非常に大きな地位を占めておりますから、あらゆる問題でイニシアチブをとってやっていくように頑張る、これがサミットヘの心構えでございます。
  37. 村山達雄

    村山国務大臣 公定歩合の問題は言うまでもなく日銀の所管事項でございますが、先般五月三十一日に〇・七五上げまして、二・五から三・二五にしたわけでございます。これはもちろん当時の為替状況もありましたけれども、それだけではなくて、物価の状況あるいは景気の状況というものを総合的に判断して、特に市中における実勢金利がどうなっているかということも判断いたしまして、総合的に決めた公定歩合でございます。私は、現在の状況を見まして、公定歩合を云々する時期ではないだろうと思っておるということだけ申し上、げておきます。
  38. 柴田弘

    柴田(弘)委員 次は、東京一極集中の是正問題、そしてふるさと創生の問題に関連しまして、地元の問題で恐縮でありますが、中部の活性化の問題について総理にお尋ねいたします。  去る四月、私どもは二十一世紀中部ビジョン会議を開催いたしました。新伊勢湾都市圏基本構想なるものを発表し、この基本構想というものは、二百万の人口を擁する名古屋市を中核といたしまして、愛知、岐阜、三重の三県で約一千万以上の人口が生活をしているこの地域の将来像について、一つの構想を立てたわけであります。目標としては、自然と調和をした快適でゆとりある圏域、創造的で活力と魅力に満ちた圏域、そして第三点が国際社会の平和と発展へ貢献する圏域、これを掲げて、具体的なソフト面、ハード而の整備を実現しようという問題であります。最後にこの問題についていろいろお聞きしたいのですが、私どもも提案し、そして名古屋市を含めまして三県一市が提案をしている諸問題について私はお尋ねをしたい。  まず第一点は、二十一世紀初頭に愛知万博をどうしても実現したいという要望があります。愛知県は去る四月に二十一世紀万博誘致推進本部、そして誘致準備委員会を設立いたしまして、四月十七日には推進協議会の設立総会を開催いたしました。この万博の意義と今後の政府の積極的な取り組みはどうなっているのか、閣議了解、批准等の問題がありますが、これをお聞かせいただきたい。  それで、この万博を起爆剤にして、三点セットといたしまして、第一は第二東名・名神高速道路の建設推準、これは建設省が言っておりますように西暦二〇〇四年供用開始、こういうことでございます。二十一世紀初頭の供用開始をぜひとも図っていくべきである、こう思いますが、その辺の二点、まず総理からお聞きをしたいわけです。
  39. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 愛知万博に関しましては、私も先般関係者から十分お話を承っております。  EXPO70と言われた大阪万博あるいはつくば万博等、幾つもの万博が国内のみならず海外におきましても大きな反響を与えまして、非常に盛大であり、なおかつ日本というものを十分外国に紹介し、理解してもらうためには非常に大きな役割を果たした、私はこう思います。したがいまして、我が国におきましても中部圏というのは大切な経済圏であり、社会圏でございますから、ひとつ国内のコンセンサスが十二分に得られますよう政府といたしましても努力をしたい、かように考えます。  第二名神、第二東名の建設の問題でございますが、既にこのことは建設省も決めてくれました。特に我が国は、いろいろなすぐれた面がございますが、今後東京一極集中でなく、人口も産業もあらゆる面において地方分散、適正な分散ということを私たちは考えていかなければならない、かように思いますと、そのためのインフラ政策というものは重要視しなければいけない、かように考えております。日本全国なべて新幹線が走り、また高速道路が走るということが私たち一つの理想でございましょうから、その意味でも今非常に混雑をいたしております地帯における第二東名・名神の建設、これの早期着工、早期完成というものは必要である、私はさように思っております。
  40. 柴田弘

    柴田(弘)委員 次に、三点セットの第二点です。中部新国際空港の建設の問題、これは私は歴代総理を初め運輸大臣にも今回を入れて九回質問をしておりまして、その都度前向きの答弁をいただきました。  御案内かと思いますが、昭和六十年一月、三県一市で建設促進期成同盟会を結成しました。同じく六十年三月には、三県の超党派で成る国会議員のこの建設推進のための議員連盟が結成をした。そして昭和六十年十二月には運輸大臣の認可をいただきまして、財団法人中部空港調査会が設置をされまして、いろいろ調査を進めております。  それで、三つのクリアすべき条件がございまして、一つは候補地の問題、適地です。どこへ空港をつくるか。これはおかげさまで常滑沖と地元で意見がまとまりました。あとクリアすべき問題は二つありまして、時期をいつごろにするか。これは既に二十一世紀初頭、できれば西暦二〇〇五年、大体このころには千五百万人の需要が見込めるであろう、こういうことで二十一世紀初頭。三点目は費用負担をどうするか。これは議員連盟の江崎会長等からも話がありまして、運輸省の方もほぼ了解していますが、費用負担は関西方式でいこう、こういうことです。もうこれはクリアされまして、地元では秋ごろまでにはきちっとできる、年内にもきちっと地元のコンセンサスが得られる、こう言っておるわけであります。  一方運輸省の方は、平成年度の初頭、四月から五月、六月にかけまして関係自治体からヒアリングを受けるわけです。そして平成三年から始まる国の第六次空港整備五カ年計画の中にこれを取り入れるかどうかを検討するわけであります。今言いましたように、候補地を含めた三つの条件が地元が考えておりますようにきちっとことしの秋ごろまでにはクリアできるとすれば、第六次空整に盛り込んで当然であろう、こういうふうに考えるわけであります。こうした地元の熱意、空港の必要性を含めてぜひとも第六次空整に組み込んでいただきたい、このように考えるものでありますが、総理、どうでしょうか。
  41. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 日本に対する航空路の開設は現在世界じゅうから来ておりまして、それほど日本に対する期待が大きい。同時にまた、国民生活も飛行機を除外して考えるわけにはいかないというふうな時世を迎えております。したがいまして、我々といたしましても立派な空港ができることを期待するものでございます。  今、柴田委員申されましたとおり、三点もクリアできる、この秋には大体そうした具体化も図れるだろうということでございますが、政府もさらなる調査による構想のまとまりを待って五カ年計画の対応を検討する、こういうふうになっておりますから、検討させていただきます。
  42. 柴田弘

    柴田(弘)委員 検討していただくのは結構ですが、今の三条件がきちっとクリアされる、一つはもうクリアしているのですが、クリアされるわけですから、それがクリアされたならば国として第六次空整の位置づけはしていただく、こういうふうに私は認識をしておりますし、一昨年の当時の石原運輸大臣の答弁もそうであったわけでありますが、それでよろしゅうございますね。その点ひとつはっきりと総理から御答弁いただきたい。
  43. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 我が国のあらゆる政策中心である航空行政といたしましてもそうした認識で進みたい、かように思います。
  44. 柴田弘

    柴田(弘)委員 第六次空整へ組み込んでいただける、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますね。これはくどいようですが、うなずいておみえになりますから、そういう認識だということですから了といたします。  三点セットの第三は、リニアモーターカーによる中央新幹線の整備なんです。  御案内のように、これは東京から名古屋を通り大阪へ行く、そしてリニアモーターカーでやるというわけですね。これは御案内のように既に昭和四十八年に基本計画が決定をされ、運輸大臣の認可も得ている路線であるわけです。一都一府六県の国会議員も顧問になって、そして期成同盟会がありまして、金丸さんあたりが相当熱意を持ってやっていらっしゃる。私もこの議員連盟の一人として、顧問の一人として早期推進を願っているわけでありますが、この中央新幹線の、一つはこうした期成同盟会の熱意とその必要性というもの、この二点についてお尋ねをしたいわけであります。
  45. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 私も党にいましたときに、リニアにつきましては相当研究を進めた一人でございます。したがいまして、各地に行きますと、例えば北海道におきましても空港からすぐに札幌に通ずるのはリニアでなければならぬとか、民間方々もリニアに関しましては相当な知識を蓄えられたのではなかろうか。一つは高速リニア、もう一つは七十キロの中都市型リニアと二つございます。いずれにいたしましてもどんどんとそういうものを実用化する時代に参った、私はかように思っております。  したがいまして、中央新幹線は基本計画路線の一つであって、長期的視点から調査を行っておるというのが現在でございまして、今度はリニアの中央新幹線構想ということにっましては、私もいろいろ熱意を持ち、また地元の要望にこたえなくてはならぬと思っておりますが、現在は具体的検討を行い得る段階にない、こういうふうな認識でございます。しかしながら、科学の進歩、交通機関の進歩は目に見えておりますので、早くそういう時代が来るようにお互いに努力をしたい、かように思っております。
  46. 柴田弘

    柴田(弘)委員 リニアモーターカーによる中央新幹線の建設ということは十分に認識をされ、必要性を十分感じておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。  それからもう一つ。JR東海が非常に熱心なんです。だから私は、当時の石原運輸大臣とも議論をしたときに、やはり一番熱心なところが運営主体になっていくべきである、こういうことも申されました。大臣も同じような考えであろうと思いますが、くどいようですが、その必要性をきちっと認識されてみえるか、運営主体はJR東海、こういった問題を再度聞かせていただきたい。
  47. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 JR東海は新幹線を皆管理しておりまして、非常にサービスもよく、私もしばしば利用いたしますが、新しい改善を見られております。そうした熱意というものはリニア新幹線敷設に関しましても相当大きな要素になる、私はかように考えております。
  48. 柴田弘

    柴田(弘)委員 最後に地元の問題で、先ほど申しました我が党の二十一世紀中部ビジョン会議において、新伊勢湾都市圏基本構想というものを決定をして発表いたしました。ひとつ総理、今からお渡しいたします。もう既に参事官を通して行っていると思いますが、どうかひとつぜひともこの実現に向けて政府としても格段の御協力、御支援をいただきたい、こういうふうに思います。もう既に読んでいらっしゃると思いますので、実現への可能性、感想等について一言お聞かせいただきたいと思います。
  49. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 どこから考えましても、伊勢湾あるいは紀伊半島あるいは中部圏というのは我が国のちょうど真ん中にも位いたしておりまするから、地勢的にも産業的にも今後いろいろな構想を持っていただいて、発展をしていただかなければなりません。そして東京に頼ることなく、地方都市もどんどんと新しい文化の時代を迎えていただきたい、かように思いますから、本当に公明党が努力をしておられます伊勢湾に関する構想等々も我々といたしましては尊重して、今後の国土開発の大きな参考資料にしたい、かように思います。
  50. 柴田弘

    柴田(弘)委員 時間がだんだんなくなってまいりましたが、我が党がこの四月に策定をいたしました「二十一世紀トータルプラン 生活創造の世紀へ新しい福祉文化の創造」、これは大臣のところへ行っていると思います。お忙しい中、一読いただいたと思います。私どもは昭和五十一年にもシビルミニマムを一つの原点とするトータルプランを策定をいたしました。そして二階建て年金が実現をされたわけであります。このトータルプランを読まれると、触れ合いのある社会、ゆとりある生活の保障、そして各人が選べる社会、この三つを満たす条件を人間的福祉社会ととらえて、そしてそういったものを二十一世紀につくっていこう、こういうのがトータルプランの趣旨なのです。一読されてぜひとも将来の参考にして、行政の大きな展開を図っていただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  51. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 よく皆、二十一世紀は目腱の間にあるというお話をなさいますが、二十一世紀とは一体どういう世紀なんだろうか。いろいろの思いがあります。それを公明党におかれましては非常に努力をされまして、いろいろと構想をまとめておられます。私も先般ちょうだいいたしまして、ずっと読ませていただきましたが、新しい時代に対して今から私たちが準備をするということは非常に必要である、かように存じまして、二十一世紀は高齢社会だろう、さらにはまた福祉社会だろう、こういう一般的に想像される問題につきましても油断なく私たちが準備をしなければならぬ、かように思いますと、非常に大きな構想でございますから、私といたしましても今後十分参考にいたしたい、かように思っております。
  52. 柴田弘

    柴田(弘)委員 もう一つお聞きをしておきます。  私どもはこのトータルプランの中で、国内需要を主軸にした経済成長への転換を図っていくべきである、こういうように提言しております。そして中期の目標といたしまして、一九八九年から九三年までの五年間の実質成長率を平均四・九%とする、そして実質の国内需要は、外需のマイナス分がありますので年平均五・一%の成長をしていく、そして消費者物価は二%以下に抑制をする、卸売物価は約一%の上昇に抑制をする、それから九三年の完全失業率を二%程度にしていく、そして九三年の経常黒字幅を名目GNPの約一・六%程度を目標にして圧縮していく、こういうふうに考えているわけであります。  そして、生活を豊かにするための経済運営、住宅建設、住宅改善を内需拡大の中軸にしていく、社会資本の整備を急いでいく、また旺盛な設備投資で経済の活性化を図っていく、行財政改革を断行する、そして産業、地域間不均衡縮小の経済政策を展開していく、こういった問題を唱えておるわけでありますが、この国内需要を主軸にした経済成長への転換について、質疑時間がなくなったということでありますので、簡潔で結構でございますから、ひとつ総理から御答弁をいただきたい。
  53. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 この間OECDの会合に出ましたが、二十四カ国先進国が集まりますが、その中において日本は二〇%のGNPを占めております。こうした点から考えましても、では今後も私たちはそういう地位を、名誉ある地位でございますから、堅持しなければならない、かように思いますと、日本は外需よりも内需によって立ち得る国家であるという証明を今後もしていかなければなりません。  幸いに、そのための構造調整等々苦しい問題もありましたが、克服して今日そういうような立場におります。だから、物価も世界一安く――安くというよりも安定をいたしております。前年対比の物価上昇率は世界一安定をいたしております。そして、さらには失業率も低い、また求人倍率も世界一高い、こういうふうなよい状態が今続いておりますから、今仰せのような面におきまして、さらに先ほど大蔵大臣が言われましたが、物価というものに関しましては最大の注意を払いながら、インフレなき内需拡大というものが私たちどうしても必要だ、そのための順調な成長を遂げたい、かように考えております。
  54. 柴田弘

    柴田(弘)委員 時間が参りましたから終わります。ありがとうございました。(発言する者あり)
  55. 中西啓介

    中西委員長 今呼び込みをさせました。委員長から注意をいたしておきます。  安倍基雄君。
  56. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私に与えられた時間は十七分でございまして、財確法の問題でございますけれども、私は二つの問題に焦点を絞ろうと思います。一つは、今野口委員からも話がございました対中国のODA問題、第二は日米貿易摩擦の問題。この二つはいずれも、ODAは財政に大きく影響する、貿易摩擦も経済に大きく影響するということで、私はこれを中心に取り上げたいと思います。  宇野総理、私はかつて外務委員会で、中国へのココム違反の問題がありまして、そのときに、ココム違反を告発したことは相手のほおをたたくようなものだ、その後でまたODAを増してくるんじゃないか、そういうことをしてはいかぬよということを言ったと思います。覚えていらっしゃいますか。私はまたサミットへ竹下さんが行かれる前に、秋に消費税を議論するときに、過大な約束をしてきてはいけないよということも言いました。しかし、それにもかかわらず大体一兆円の棒引きをしてきて、それから五百億ドルの約束をしてきた。私、非常に憤慨したのでございます。  現在、たまたま象徴的に中国問題が浮上してきた。既に野口委員からも御質問がありましたけれども、この問題、対中国問題とそれから日米貿易摩擦問題がことしの後半の一番の重要課題になる。しかもその方向を誤ると日本に対して非常に大きな影響を持つと私は思っております。でございますから、この問題は本当に慎重に考えなければいかぬと思っておりますが、野口委員の質問に対してちょっとはっきりしないスタンスであると私は思います。  一つの見方は、人権擁護の見地から西側に同調する。特に今度サミットに行かれるときに、既にイギリスとかドイツとか、まあフランスあたりはこれを非難しておる。アメリカも非常に厳しい態度をとっており、方励之ですか、それを北京にかくまうことによって米中関係は今非常に険悪な状況になりつつある。これにサミットにおいてくみするのか。あるいは、ある意味からいうと日本は非常に中国との関係も深い。ODAも一番の額になっているわけですね。でございますから、単にマルコス、鄧小平はイコールというような考えじゃなくて、もう少し違う立場から、逆に米中が悪化することによって生じた、簡単に言えばアメリカがチャイナカードを落とした、それを拾うというような立場から対処するのか。日米貿易摩擦も非常に厳しくなっている過程で、私どもはやはり中国とも関係あるよという要素を一つの、チャイナカードなどというような言い方は悪いかもしれませんけれども、そういった考えでいくのか。簡単に言えば今の考え方、サミットにおいて一体総理はどちらの姿勢を貫こうとするのか、そこをお聞きしたいと思います。
  57. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 サミットは七月の十四日からでございますから、まだその間の推移もあるということをひとつ私も申し上げておかなければなりません。  現在という立場から申しますと、やはり我々は中国が一日も早く平静になってくれることを望む。具体的にどうだというと、天安門から戦車等そうした影がなくなることを私は祈っておりますよ、そうした姿において日本と中国との従来の姿を維持いたしましょう、そういうふうに考えております。だから、アメリカがいなくなったから、何かさながらその留守をねらう、そんなあさましい根性で日本は臨むわけでは絶対ございません。アメリカと中国、本当に話し合いをされて仲よくなられるということも日本にとりましては重大なことである、そういう認識でございます。
  58. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 どうも姿勢がはっきりしないのですけれども、七月まで時間があるが、基本的には現在西側に同調しようとしているのか、あるいは西側といわば中間的な立場にあって日本の立場を主張しようとしているのか、その辺を一言でいいですからお聞きしたいと思います。
  59. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 私はやはり日本には日本の立場がある、かように思っています。
  60. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 二番目に、現在ODA、これは御承知のように八四年から八九年まで四千七百億円、九〇年から九五年まで八千百億円くらいのコミットメントをしておる。四千七百億円につきましてはまだ四〇%ぐらいしか消化されていない。しかも私がいろいろ調べてみますと、円が高くなったおかげで四千七百億円の最初のプロジェクトはもっと安く、一千億円の余りが出た。途端にまたプロジェクトを追加したという形になっております。  実は総理、去年十月に私がエコノミストに書いた論文、お読みになったことございますか。ODA問題で書いております。一応当時は外務大臣であったわけですから、よくその辺を読んでおかなくちゃいけないと思いますよ。これは英語やフランス語に訳されて海外に出ております。そこで、納税者の目で見なくちゃいけない、総理や外務大臣方々へ行って土産にばらまいてきてはいけないということを言ったわけです。  特に私は、中国につきまして九〇年から九五年、八千百億円の約束をしてきたということ、いかなる根拠に基づいているのか非常に疑問に思っているのです。プロジェクトの積み重ねと言いますけれども、既に四千七百億円のは一千億円くらいが余るような状況であったわけです。でございますから、私はこの際、本当に役に立つものなのかどうか、きちっと洗い直すことが必要なんじゃないか。しかも御承知のように、約一兆円近くの棒引きはビルマが中心でございましたけれども、それが結局焦げつきということになっておる。  御承知のように中国での修学旅行の子供たちの交通事故、あれはたしか向こうの最初の提示額は、補償額が一人五万円前後だったと思いますね。それを最後には相当上げたわけですけれども、それほどいわば貨幣価値が違う国なわけですね。外国からの借款の中で日本のODAが七五%ぐらいのウエートを占めている。だから中国にとっては、逆に今、日本に見捨てられたらという気持ちもあると思いますけれども、ただ反面、この八千百億円あるいは四千七百億円をそのままうのみにして、これから継続するということにはいささか問題がある。もう少しぴしっと経済効果なり、今度のいろいろな政治不安も経済の中におけるアンバランスが原因だと思います。急速にどんどんと自由化しようと思う反面、昔からの経済が残っておる。そこにおける一つのフリクションがこの結果をもたらしておると思います。  その面で私は、総理がサミットにおいて少し違った姿勢をとるというのであれば、それなりにこれからのODAの実行についてもう一遍洗い直して、このプロジェクトは本当に役に立つのか、また回収も可能なのか、その辺をきちっと洗い直してもらいたいと思います。この点についてどうお考えになるか、御見解を承りたいと思いすす。
  61. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 安倍委員がODAに関し生じては常に辛口であるということは、私も外相当時から重々知っております。そしてまたやはり傾聴しなくちゃいけません。したがいまして、中国に対しましてもどうかというお尋ねでございますが、洗い直すというようなことになりますと、せつかく昨年の内閣が決定いたしておられます。かから今後の中国の内政の推移というもの、経済の推移というもの、そうしたものもございましょうから、我々といたしましては中国がこれを結んだ、そのような状態に立ち戻ってくれることを隣国としても当然望む、そうした推移を十分今後は考えていきたい、かように思いますが、今洗い直すというようなことは、私は申し上げるわけにはまいりません。
  62. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 九〇年から九五年の八千百億円については、まだこれからプロジェクトの選定の段階ですから、これはもう少し慎重に、本当に役に立つものと立たぬものを選別していく必要があると思います。私はもうちょっと時間があればこの八千百億円の積算根拠を一つ一つ聞きたいと思うのですけれども、これは総理に聞くのもあれでございますから……。  ちょっと時間もないので、これは法制局に聞こうと思いましたけれども、総理もしくは外務大臣が外で行ってくる幾ら幾ら出すというコミットメント、ああいうのは基本的には国会で否決されても仕方がない問題であるのですね。国会がノーと言えばこれは実行できない。でありますから、これから海外で約束をするときに、あらかじめ国会の野党ともある程度話をして、こういったことをすり合わせをしていかないで、単に政府部内で幾ら幾ら渡してこようというようなことは、やはり考え直さなければいけないんじゃないかと思います。あと時間がございませんから、イエスかノーかだけ言ってください。
  63. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 これは今のところだとイエスと言うわけにはまいらない、こういうふうにお答えいたしておきます。
  64. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これは時間があるときにはた本う一遍追及しますけれども、あと五分でございますから、二番目に、現在通信市場開放問題が問顯になっております。モトローラがともかく相当強引なことを言ってきている。実は私また来週ある雑誌にこの問題について論文を出します。これは読んでいただきたいと思います。  話は別ですけれども、モトローラの会長でガルビンという人がいますね。商務省の中に、次官補に三人のマイケル関係者がいるわけです。一人はマイケル・ガルビンといってモトローラの息子です。これが輸出担当ですね。マイケル・スカルジンスキーというのが貿易開発担当。デボラ・スミスという女性が技術政策担当で、その御主人がやはりマイケル・スミスという。三人のマイケルが商務省にいるわけです。これが非常に突き上げている。こういった問題は、もしそんな問題を提起するならば、おまえたち身ぎれいにしてこいという態度をとってもいいくらいである。  今度の通信市場開放問題はMOSS協議があったわけです。それで一応の話は決まっておった。今度は安い電話機ができたから東京、中部にも進出させろ、電波の割り当てをしろ。一種のセールスですけれども、逆に一つの特権的地位を要求するような市場開放要求なんですね。私はこの問題であいまいな態度、つまり今までどおり足して二で割るような態度をとれば、これはまた米の自由化についても――米の自由化については大臣、当面絶対自由化しないという御決意でいらっしゃいますな。一々来ると時間がかかりますから、首を振るだけで結構です。サミットで恐らくスーパー三〇一の問題が出るでしょう。その前に通信市場開放問題はどうなるのか、あるいは米の問題はどうなるのか。サミットにおけるスタンスを含めて、通信市場開放問題について妥協しようとしているのか。  私はこの前マスコミの人にも言ったのですけれども、向こうは、商務省があるいはヒルズがマスコミに訴え、議会に訴え、その圧力が強いからこうせざるを得ないという言い方をしているわけですね。我が日本の国会は大変だ。こんな理不尽なことをのむようでは日本の――率直に言いまして、私も若いころ二年半海外で学生だったわけです。寝食をともにしていますからアメリカ人の気質をわかっていますけれども、理のあるところを強く主張すればそれはのむんです。ところが、理もなく、何となくぼんやりすぐ妥協する、プリンシプルなしに妥協すると、それは次々と先例になるわけです。このサミットにおける日米貿易摩擦について、スーパー三〇一あるいは通信市場開放問題についての総理のスタンス、聞くところによると当面通信市場開放問題では相当安易な妥協をしようとしているようですけれども、その辺に対するスタンスをきちっとお聞かせ願いたい。
  65. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 テレコムの問題に関しましては、ここにも前郵政大臣片岡先生がいらっしゃいますが、日米、特に日本はMOSS協議を忠実に守ってまいりました。今おっしゃるようないろいろな人事の問題も絡んでおります。しかし、アメリカ政府としてはそういう大事に拘泥されずにやっておられると思いますが、日本といたしましてはそうしたことを主張していくことは必要である。今御指示のあったとおりでございます。近く前官房副長官の小沢一郎さんを私の特使として派遣したい。本来ならば閣僚が行くべきですが、まだ国会が続いておりますので。ひとつそういう問題も、顔見知りが多いものですから、モスバカー商務長官あるいはヒルズUSTR代表に出会わしたい、かように思っております。  そしてスーパー三〇一、いわゆるUSTRが扱っているのは、今のテレコムではなくして他の問題でございます。この間私は、同盟国でありながら、その同盟国の日本が数少ない、世界の三つの国のうちの一つとして貿易不公正の慣行の国であると言うのはもってのほかだ、こういうふうに言っております。この問題もサミットにおきましては、単に日米だけの問題ではなくして、スーパー三〇一条についての議論は当然起こるものである。そのとき私たちは、保護貿易というものが起こつちゃいけないという主張でやってまいりたい、かように考えております。
  66. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 もう時間もありませんが、インドでさえ拒否しているのですから、ひとつしっかりしてもらわないといけない、国内の議会はうるさいぞということを大いに主張しておいてください。  終わります。
  67. 中西啓介

  68. 正森成二

    ○正森委員 総理にまず伺いたいと思います。  五月十九日に竹下内閣総理大臣、前任者のときでござやますが、新税制実施円滑化推進本部第五回会合におきまして話をされました。そのときに消費税について、九つの懸念ということを言われて種々お話がございました。これが資料でございますが、読ましていただきますと、   「子供が買うものにまで税金がかかるのほかわいそうだ」とのご意見もあります。児童生徒は消費税に一方でとまどいながら、同時に税というものを身近に感じ、関心を持ち始めている面もあるのではないでしょうか。この関心を大事に育んで、これからの我が国を担う子供達に税の持つ意味を的確に理解させることができれば、むしろ我が国の将来にとって有意義ではないかと考えます。 こう言っておられます。総理はこの御意見に御賛成ですか。
  69. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 前総理が九つの懸念をおっしゃったのは、消費税創設のころからいろいろと予算委員会等々におきましても明らかにされております。そうして、その懸念を解消するように努力したい、こうおっしゃっております。だから、今幾つか具体的な問題もございましょうが、前総理としては常にその九つの懸念がないようにという努力の一つの表現である、かように考えてはいかがであろうかと私は思っておりますし、当然のことだと思います。
  70. 正森成二

    ○正森委員 私が伺いました子供についてのことには直接御答弁がございませんでしたが、九つの懸念については同じ意見であるように伺いました。  そこで、ここに持っておりますのは五月十三日のある新聞に載りました投書でございますけれども、こう言っているのです。これは文房具屋の奥さんの話です。   四月一日から半月ほど外税で消費税をもらっていたが、小中学校の子どもたち一人ひとりに三%の消費税について説明したが、消費税分を忘れた低学年の子どもが寂しそうに帰る姿に心痛めた。 つまり、二百円のものを買おうと思ったが、六円がないから買えなくて寂しそうに帰るというわけですね。   また、消費税分を持ってこなかったと思える子どもたちが、どうしても品物が欲しく、目をかすめて持っていく商品も多くなり、大変困っている。 つまり万引きする子供がふえた、こういうことです。   子どもの心まで悪く変えてしまう消費税は、純真な子どもに罪をつくらせるだけなので、利益は少なくなるが、仕入れ分の消費税を自己負担して、中学生以下は消費税をもらわなくした、と悲しそうに話してくれた。 これがこの奥さんですね。   政府自民党のおとなたちが強引につくった消費税で、消費税反対の一言もいえない子どもたちの心に大きな傷を残すことにならないためにも、おとなたちの責任で一日も早く絶対にやめさせなければならない。 というのが結論なんです。  ですから、前総理が、子供は戸惑いながら税金というものを身近に感じて、税の教育になってかえっていいではないかというのとは、全然反対のことが庶民で実際に起こっていることなんですね。こういう点について総理はどうお考えになりますか。
  71. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 子供の税に対する認識に前総理がお触れになっておるというのは、やはり私たちも子供のころには納税の義務があるというふうな意味の話でないか、そういうふうに考えればいいかと思います。  今正森さんが非常に具体的なお話をしていただきました。だから過般来私たちといたしましても、はっきり言ってこの税はなじみの薄い税ですから、戸惑いもございましょう、いろいろな問題も出ておりましょう。そのことを十分謙虚に耳を傾けたいと思います。どこをどうするという問題じゃございませんが、早急に税調の勉強会を開いていただいて、それも一つの大きな国民の声だろうと思いますから、そうした国民の声を勉強会で今からひとつやってください、これを私、就任以来の一番最初の声として大蔵大臣にお願いしたという意味もそこにあろうかと思います。
  72. 正森成二

    ○正森委員 この消費税が消費者にとって非常に人気が悪いということは申すまでもありません。世論調査では、八二%が反対とか、即時廃棄が六五%で、そのままでいいのは三%というのが共同通信がこの間行いました世論調査ですからね。しかし、この声は業者もいろいろ悩んでいるという一つの声であります。  もう一つは下請企業ですね。公正取引委員会はきょうは来てないかな。おととい質問通告していたときは来ていたのですけれども、きょうは来ておりません。私の方でわかっておりますので申し上げますが、公正取引委員会が下請の調査を行いまして、それの報告を五月二十二日に行っております。これは相当大規模なものでございまして、約三万四千ほどを対象にアンケートを出しまして、そのうち一万二千八百六十八社から回答を得た、こういうものです。  これは消費税の上乗せが円滑に行われておるかという調査でありますが、円滑に行われているという回答ももちろんありました。しかし、その中で、免税業者なので上乗せされなかった、おまえは免税業者だから上乗せしないでいいじゃないかというので、上乗せを親企業がしてくれなかったというのが〇・九%、単価を一たん引き下げられた後で三%上乗せされた、つまり結局上乗せないわけですね、それが〇・七%、現行単価がそのまま消費税込みの単価とされた、これは全く上乗せなしですね、それが〇・三%、合わせてほぼ二%がそういう状況であるということが公取の調査でもわかっているわけなんですね。これは下請業者にとっては大変なことです。  これは長野県の諏訪地方の有名な一流カメラ会社の下請をやっているカメラ部品組み立て会社ですが、我々の調査ではこうなっているのですね。消費税三%の転嫁と引きかえに単価切り下げを要求された。単価がどんどん下がって、昨年の前半は一個二百八十円だった加工賃が四月からとうとう百四十円に下げられた。もちろん一貫して低下する傾向があったのですけれども、消費税導入ということで一挙に下げられてしまった。そこで、今までは一個組み立てるのに十二分ぐらいかかっていたが、今では十分くらいにまで縮まり、それでも採算がとれないので、従業員を帰した後で、私と妻の二人で夜中の一時、二時まで仕事をしているということで、非常な労働強化になっておる、こういう話です。  あるいは東京の建材メーカーでは、取引先の大手建設会社の購買担当者から、六カ月間は今の価格で取引するが、十月からは取引条件を見直す方針、政府と同じですね。ともかく九月までは猶予期間だけれども、十月にいよいよ消費税を本当に納めるということになれば、免税業者かどうかというような点も考えて、それで値段を見直しする、こういうことなんです。  ですから、今消費者、それから下請業者皆それぞれ非常に困っているのですね。こういう点を考えますと、これは単なる見直しで済むのであろうか。今見直しというのは、大蔵大臣もおられますが、例えば帳簿方式とか免税点とか、あるいは限界控除とか簡易課税とかいうようなことを占われますが、世論調査を見ましても、税金だといってもらったのを国に納めていないのがけしからぬというような世論調査は、共同通信の世論調査によりますと五%に満たないのですね。そうじゃなくて、逆進性が強いとか家計に大きな負担だというのが三〇%を超えるような世論調査になっておるという点から見ますと、政府が今行おうとしている一部見直しというのは、売上税の教訓に絡んで中小企業に事務負担を少なくするようにと言うたことを結局やめてしまう、改めるということで、中小業者に余計負担をかける。あるいは政府の先見の明のなさを示しているといいますか、言葉をもっと極論しますと、今よりももっと転嫁をどんどんやれ、今よりももっと物価上昇を徹底的に消費税でやるようにしろということが政府の言う見直しであって、これは庶民にとっては大変な迷惑で、消費税の本質からいえば、これは見直してはなしに廃止以外にないのではないかというのが多くの国民の声であります。これについて御見解を承りたいと思います。
  73. 村山達雄

    村山国務大臣 消費税を含む税制改正の創設の趣旨、そして所得税、住民税の大幅なネット減税、もう言わなくてもよく委員は御承知でございます。この消費税は初めての税でございますが、我々は大づかみに見ますとまず大体滑り出しは順調だ、こう申し上げておるのでございます。しかし、今委員のおっしゃったようなものがあるということも承知しております。  それで、後段に委員がおっしゃいましたものは、恐らくは下請代金の遅延防止法違反ではないかと私は思っております。当然それは公取が適正に処置してくれるだろうと思います。  それから子供さんの話でございますが、これはなかなかいろいろな見方がございます。ですから、そのときに一体表示の仕方をどうするか、あるいはつり銭の問題をどうするか、こういう問題もあるわけでございますので、そういう点も今度の税調の方でも真剣に今皆さんの声を聞いていると思います。そういった点を含めて御検討を願うべきではなかろうか。しかし、これは大事な税金でございますので、先走って申しわけございませんが、廃止するつもりは全然ございません。
  74. 正森成二

    ○正森委員 時間がございませんので、総理に別の政治資金の問題について伺いたいと思います。  先日、我が党の上田委員が首相の政治資金について質問をいたしました。そこで、もうこの資料も総理はごらんいただいたと思いますので、時間がございませんので詳しいことは省略いたしますが、総理の場合は、内外政治経済研究会、竹吊会、それから国際経済調査会、三つ指定団体がございまして、上田委員指摘しましたように、昭和六十年は本人からの寄附が六千九百五万円で、本人への還流金が六千五百万円である。昭和六十一年は寄附が七千六百三十六万円で、還流金が七千五百六十万円、昭和六十二年は寄附が二千六十二万円で、還流の方が多くて五千百十万円、こういう一応の計算になっているのです。そして、上田委員指摘しましたように、宇野内閣の他の閣僚で、こういう自分が指定団体に寄附して、指定団体からまたキックバックを受けましてお使いになるというケースはございません。こういうやり方をしますと、指定団体から本人に返ってきた場合には、その本人がどういうぐあいに使ったかということは収支報告をしないでいいようになっておりますから、完全な脱法行為だというように私たちは考えているわけなんです。  そこで、念のために申しますが、政治資金規正法の第一条に目的、第二条に基本理念がございます。そこでどう言っているかというと、要約です、全部読んでいませんが、「公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の収支の公開及び授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。」こうなっており、第二条では第一項で「収支の状況を明らかにすることを旨とし、」第二項では「資金の収受に当たっては、」「この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。」途中ちょっと省略しております。第三項、これが大事ですが、「選挙運動に関するものを除き、その政治資金政治団体に取り扱わせることとするよう努めなければならない。」これは努力義務であります。総理のなさっていることはこういう目的と理念に事実上全く反するもので、結局還流してきたお金は何に使われたか、少なくとも届け出の上からはさっぱりわからない。  上田議員に、すべて政治に使った、国会議員との交際費、海外旅行等政治視察のための旅費、もう一つは資料購入等々に充てた、こう答弁されております。しかし、それならそういうキックバックをなさらずに、政治資金規正法の二条三項で言っておりますように、政治団体に取り扱わせるようにしなければならない。こういうことをなさる方が政治資金規正法の趣旨に合うし、ましてや一国の首相になられてから以後はそうなさるべきではないかというように思いますが、いかがでしょう。
  75. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 この間、上田委員からも御指摘がありまして、まずそのときに自治省の見解は、これは決して違法ではありません、脱法とおっしゃいますが、いささかそれはちょっとお言葉が過ぎるのじゃないか、合法です、こういう話でした。私も、確かにこうしたことは許されておるとはいえ、今回はさらに政治資金の適正、公明さ、ガラス張り、これをやっていかなければならない。その第一線がおるわけでございますから、この責任者がこういうことを承りまして、これはやはりきちっとすべきである、かように考えておりますので、合法的でございましてもその使途がもっと鮮明になるよう当然私はやりたい、かように考えております。  今までのものは、はっきり申しますと私も中曽根派の幹部でございましたから、そうした意味でもう百人近い派閥でございますから、いろいろな意味で、この間使途を申し上げたようなことに私自身はきちっと使っておる所存でございます。決して公私を混交しておるものではないということも、この際私ははっきり申し上げておきます。しかし、これは当然私はもっとガラス張り、さらには明確化すべきである、このことは本日申し上げておきます。
  76. 正森成二

    ○正森委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、非常に言いにくいことでございますが、最近週刊誌で総理の私生活上のことがいろいろ出ております。それで巷間では、こういうキックバックのお金がそういう私生活上のことに使われたのではないかというのが国民の一部の疑惑なんです。総理になられた以上、いやしくもそういうことがないように、私は収支をきちんとされるべきであるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  77. 宇野宗佑

    宇野内閣総理大臣 こういうことはもうきちっとお答えしておかなければいけないと思いますが、やはり私も政治家として、政治倫理を重んじて今日まで来ております。しかも昭和六十年、時しも倫理綱領もできております。したがいまして、公私混交ということは一切ございません。このことも申し述べております。
  78. 中西啓介

    中西委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  79. 中西啓介

    中西委員長 この際、本案に対し、衛藤征士郎君外四名から、自由民主党提案による修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。衛藤征士郎君。     ―――――――――――――  平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  80. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 ただいま議題となりました平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案に対する修正案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  御承知のとおり、この法律の施行期日は、原案では「平成元年四月一日」と定められておりますが、既にその期日を経過いたしておりますので、これを「公布の日」に改めることとするものであります。  以上が本修正案の提案の趣旨及びその内容であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  81. 中西啓介

    中西委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  82. 中西啓介

    中西委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。
  83. 村井仁

    ○村井委員 私は、自由民主党を代表して、平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案及び同法律案に対する修正案に賛成の意見を述べるものであります。  御承知のとおり、この法律案は、平成元年度におきましては国の財政収支が依然として著しく不均衡な状況となっておりますので、同年度財政運営に必要な財源確保を図り、国民生活と国民経済の安定に資するために、その早期成立がぜひとも必要なものであります。  すなわち、第一に、特別公債の発行であります。  平成元年度予算は、内需の持続的拡大に配意しつつ、財政改革を強力に推進することとして、歳出面においては、引き続き既存の制度、施策の見直しを行い、経費の節減合理化を図るとともに、限られた財源を重点的、効率的に配分するように努めております。  他方、歳入面においては、税制改革の円滑な実施等に配意しつつ、租税特別措置の整理合理化に努め、また可能な限り税外収入も確保されております。  しかしながら、このような歳出歳入両面にわたる厳しい見直し等政府の努力にもかかわらず、平成元年度においては、なお財源が不足するため、一兆三千三百十億円の特例公債の発行を予定しておりますが、財源確保のためには、必要かつやむを得ない措置と考えるものであります。  第二に、国債費定率繰り入れ等の停止であります。  国債の償還については、基本的には現行の減債制度の仕組みを維持するのが適当と考えますが、平成元年度においては、NTT株式の売却等により、定率繰り入れ等を停止しても現行償還ルールに基づく国債の償還に支障を生じないものと見込まれております。平成年度までの間に特例公債依存体質から脱却し、今後、公債依存度の引き下げ等財政再建に向けて引き続き努力することは当然のこととして、当面このように繰り入れを停止することもいたし方のないところであります。  第三に、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れの特例であります。  現下の厳しい財政事情にかんがみ、このような会計間の財源調整により、一般会計の負担軽減を図らざるを得ないものであります。  なお、この特例措置につきましては、後日、健康勘定の収支状況により減額分に相当する金額を繰り戻す等の適切な措置を講ずることとしており、政管健保の適正な事業運営が確保されるよう配慮されており、適切な措置と考えるものであります。  以上、本法律案における各措置は、いずれも平成元年度の財政運営にとって必要な財源確保するためのものでありまして、巨額の公債残高を抱え国債の利払い費も歳出予算の約二割を占める等なお厳しい現下の財政状況のもとで、同時に国民生活と国民経済の安定に資するための措置として必要不可欠なものと考える次第であります。  また、施行期日を改める修正案は、事の性質上当然の措置であります。  最後に、私は、人口の高齢化が一層進展し、国際社会における我が国の責任がますます増大していく中にあって、政府が国民各位の理解と協力を求めながら、引き続き財政改革を強力に推し進め、一日も早く財政の対応力を回復するよう努力されんことを切望いたしまして、本法律案及び修正案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
  84. 中西啓介

    中西委員長 村山喜一君。
  85. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま上程されました平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案及び修正某に対して、反対の討論を行います。  私たちの反対にもかかわりませず、昭和四十年度補正予算で国債が導入をされて、今日まで二十四年の月日が流れました。昭和四十一年度から建設国債の発行へ、そして十年後には財政法が禁止している赤字国債の発行まで踏み切りまして、平成元年度においては、国債の依存度、GNPに対する長期政府債務残高比、利払い費比率において、主要国の中で最も悪い状態にまで転落をいたしております。これはまさに歴代の自民党政府の財政運営の結果として、その責任を厳しく追及しなければなりません。平成元年度においては百八十八兆円という巨額な赤字になろうとしておるわけでございまして、もう通常の手段では財政再建はできないところまで来ております。まさに国債に抱かれた財政という状態でございます。  反対の第一の理由は、本法案は自民党が単独でごり押しをいたしました平成元年度予算の一部をなすものでございます。したがいまして、その内容は、不公平税制を温存をし弱い者いじめの消費税創設を織り込んだものであり、さらにまた、歳出の中においては防衛費を突出させ聖域化したもので、基本的に容認できないものであるからでございます。  第二は、政府は特例公債の依存体質から脱却をすべく財政再建への努力をした結果だと評価をいたしておりますが、本年度の財政は、表面上は財政赤字七兆一千億ということに圧縮はしておりますけれども、実質はその倍以上のものがございます。本年度以降は特例債は発行しないという方向を描きながらも、しかし中長期の展望を示し得ない状態の中にあって、財政制度審議会にげたを預けようとしておるわけでございまして、問題のすべてを先送りしようとしていることは残念でなりません。  第三には、今、日本の国民は大変不安定な状態の中にあります。六十二年一年間でGNPは十四兆円しかふえていないのに、国民資産は八百四兆円も大激増をしておるわけでございまして、その意味においては、GNPで日本の一・六倍のアメリカに対して土地資産の評価額が百倍もしているという状態にございます。そういう高い土地の上に家をつくり、生活をし、事業を営み、農業を展開しているわけでございまして、今日の円安・ドル高の根源もここにあるということを指摘をせざるを得ません。  しかも、百六兆円という株価の値上がり益を生み出した中で世界一の株価が形成をされておりますが、その株の所有の八割は法人が所有をしている、土地インフレのその果実も、これはまた会社、法人が二八%を占有しているという事実を指摘をしておきたいと思います。しかも、税法上は大変な優遇措置が行われておる状態の中にございます。  個人の資産形成においても第五分位の人たちに集中をしておる。「増税なき財政再建」のもとで資産の格差は恐ろしい勢いで拡大をしておる状態にございます。  今やらなければならないのは、資産課税の強化であり、消費税で水平的な公平を国民に強制することであってはならないと考えるのでございます。  現行の制度を前提として、予算編成の仕組みを固定して財政再建を軌道に乗せることはもはや不可能である。財政改革は、財政投融資まで含めて制度改革を進めていかなければなりません。将来展望も明らかにされないで、その易しのぎのこの法案及び修正案に対して反対をし、私の反対討論にいたしたいと思います。  終わります。(拍手)
  86. 中西啓介

  87. 森田景一

    森田(景)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案及び同修正案に対して、反対の立場から討論を行うものであります。  以下、本案に対する主な反対理由を述べます。  第一に、赤字国債の発行額は減少しているものの、財政体質の改善が進んでいないことであります。  平成元年度予算では、好調な税収を受けて、赤字国債発行額一兆三千三百十億円、建設国債を含む新規国債発行額は七兆千百十億円、昨年に引き続き新規国債発行額が十兆円台を割り、国債依存度は一一・八%に低下し、見かけ上、財政は改善されたように見えます。このことをもって平成年度の赤字国債脱却は間違いなく達成されると政府は誇示しております。しかし、その実、帳じり合わせのために一般会計負担分を特別会計や地方財政へ肩がわりさせ、臨時に繰り延べるなどの措置をとってまいりました。五十七年度以降、こうした歳出削減措置によるいわゆる隠れ借金は実に二十六兆円にも上っているのであります。このような国民の目を糊塗するがごとき財政運営を改めるべきであり、少なくとも、これらの隠れ借金についてどのように措置されるのか明確にすべきであります。  第二に、国債費の定率繰り入れ停止問題でございます。  八年連続して、平成元年度も国債費の定率繰り入れを停止しようとしております。停止額の累計は十五兆円を上回り、減債財源が不足しているため、借換債の発行やNTT株式の売却益収入という臨時収入に依存しております。今後減債制度をどのように維持されるのか全く説明されていないことは極めて遺憾であります。再建計画を策定し、健全な財政運営を図るべきであります。  最後に、消費税について申し上げます。  国民の反対する大型間接税は導入しないという中曽根元首相の選挙公約を破って、政府・自民党が強行成立させた消費税は、リクルート疑獄と相まって国民政治不信を増大させました。消費税導入の際に竹下前首相が示した九つの懸念は、今や懸念ではなくて現実のものとなり、国民の怒りは爆発しております。  我々は、消費税を即時撤廃して、総合課税の確立、企業の土地の含み益への課税、企業、医師、個人企業の特例措置の見直しなど、改めて不公平税制の是正からやり直すことを強く主張して、反対討論を終わります。(拍手)
  88. 中西啓介

    中西委員長 安倍基雄君。
  89. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、民社党・民主連合を代表し、ただいま議題となりました平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案並びに同修正案について、反対の立場から討論を行うものであります。  反対の第一の理由は、我々が強く反対した公約違反の審議不十分な消費税の導入を柱とした税制改革を容認している点であります。拙速に導入された消費税は各方面で混乱を引き起こしております。年金生活者、低所得者層等社会的弱者にしわ寄せが行われ、転嫁力の弱い中小企業については第二事業税となるおそれのある欠陥に満ちた消費税を抜本的にやり直すよう強く求めるものであります。  他方、昭和六十一年末から六十二年末には土地と株の資産は五百兆円も増加しているのに、資産に対する課税が取り上げられておりません。資産課税をおろそかにした消費税の導入は、富の格差をますます増大させることと言えましょう。  反対の第二の理由は、財政再建の見通しが確立されていないことであります。赤字国債脱却のめどが立ったとしても、国債残高は依然として巨額であり、財政を逼迫させております。平成元年度末の国債残高はおよそ百六十二兆円と、GNPの実に四一・五%に達する見込みであり、また、国債関係費は十一兆六千六百四十九億円と、本年度予算一般会計の一九・三%を占めるに至っております。こうした実情であるにかかわらず、行政改革はまだ十分ではなく、また、支出についても納税者の目で厳しいチェックが行われておりません。政府は、速やかに財政再建の中期計画を策定すべきであります。  反対の第三の理由は、国債整理基金への定率繰り入れ停止、政府管掌健康保険の国庫負担繰り延べ等、本来顕在化すべき国の債務を隠した形での財源のつじつま合わせをしていることであります。現在、こうした顕在化されない債務は二十六兆円にも上っております。その他、厚生年金の国庫負担繰り延べ、国民年金特別会計への繰り入れ平準化等、とりわけ福祉にしわ寄せを及ぼす措置が講じられております。こうした隠された債務は、早急に返済させなければなりません。  また、一方、最近において自然増収が多額に上るように、税収の見積もりが甚だ不正確なことも問題であります。税収の見積もり方法の見直しも必要であります。  反対の第四の理由は、財政再建に関連し、例えば、公共事業の受益者負担の原則、中央地方を通じての事務配分の見直し、財源の再配分等の基本的問題が見過ごされていることであります。国の債務累積は、一方において国の負担すべき経費が増大していく反面、その財源が限られていること、地方税収がごく一部の自治体に集中していること、中央と地方との事務が重複していること等に起因しております。政府はこうした基本問題を正面から取り上げるべきであります。  以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)
  90. 中西啓介

  91. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案及び同修正案に対して反対の討論を行います。  反対の理由の第一は、本案が消費税導入など、国民犠牲予算の財源対策を図ることを内容としているからであります。消費税反対、消費税廃止国民世論は、四月一日実施後さらに高まり、マスコミの世論調査では八〇%台にも達しており、こうした国民世論にこたえ、消費税廃止するしかないのであります。  さらに八九年度政府予算は、アメリカの核戦略に追随したGNP一%連続突破の歯どめなき大軍拡の推進、民活の名による大企業関連支出の拡大の反面、福祉、教育など国民生活関連予算を厳しく抑え込み、輸入自由化や構造調整など農業、中小企業などを切り捨て、破綻に追い込もうとするものであります。かかる反国民的な政府予算、施策のための財源確保策は断じて認められるものではありません。  第二は、当面を糊塗する安易な財源確保策に終始し、財政危機を一層加速、深刻化させるものであることであります。  今なすべきは、歳出面では軍事費の異常突出や大企業奉仕の不要不急経費に徹底したメスを入れ、また大企業に対し低金利の国債借りかえを求め国債費を軽減すること、歳入面では消費税廃止し、大企業、大資産家優遇の不公平税制の抜本是正を行うなど、国民本位財源確保策こそとるべきであります。  しかるに政府は、一兆三千三百十億円もの赤字国債を新たに増発するとした上、八年連続の国債整理基金定率繰り入れ停止措置、五年連続の政管健保国庫補助繰り入れ額削減を行うとしています。これら特別措置による隠れ国債は、政府資料によっても総額二十六兆円を超えており、五兆四千四百十一億円もの借換債の大量発行とあわせ、財政危機の重圧を二十一世紀に向け永続化させるものにほかなりません。  かかる諸施策は、新規財源債収入を国債費が上回るサラ金財政とも言える今日の財政危機を引き起こした政府・自民党、財界の責任と根本原因を棚上げし、全く責任のない国民に肩がわりさせ、乗り切ろうとするものにほかならないのであります。  最後に、圧倒的多数の国民世論を無視し、リクルート疑惑に汚染された政府・自民党によって強行された消費税を直ちに廃止することを重ねて強く要求します。そうでなければ、衆議院を解散し、総選挙によって国民の信を問うべきであります。このことを申し上げて、私の反対討論を終わります。(拍手)
  92. 中西啓介

    中西委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  93. 中西啓介

    中西委員長 これより、平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案について採決に入ります。  まず、衛藤征士郎君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  94. 中西啓介

    中西委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決された修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  95. 中西啓介

    中西委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  96. 中西啓介

    中西委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、衛藤征士郎君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。安倍基雄君。
  97. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について十分配慮すべきである。  一 我が国経済の着実な発展と国民生活の安定・向上を図るためには、引き続き行財政の改革を強力に推進し、財政の対応力の回復を図ることが緊要であり、歳入歳出両面において制度改革を含め、さらに徹底した見直しに取り組むとともに、特例公債依存体質脱却後の財政運営の在り方について今後鋭意検討を進め、財政改革に引き続き努めること。  一 今後とも公債の償還に支障なきよう、所要の財源確保に努め、もって公債に対する国民の信頼の保持に万全を期するとともに、日本電信電話株式会社の株式売払収入の社会資本整備への活用に当たっては、国債整理基金の円滑な運営に支障が生じないよう十分留意すること。  一 現下の内外経済情勢にかんがみ、均衡かつ調和ある経済発展を図るため、引き続き適切かつ機動的な財政・金融政策の運営に努めること。  一 為替相場の我が国経済に与える影響が極めて大きいことにかんがみ、今後とも各国との政策協調等を通じて、安定した為替相場の実現に努めること。 以上であります。  何とぞ御賛成を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
  98. 中西啓介

    中西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  99. 中西啓介

    中西委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。村山大蔵大臣
  100. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいります。     ―――――――――――――
  101. 中西啓介

    中西委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 中西啓介

    中西委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  103. 中西啓介

    中西委員長 次回は、来る二十一日水曜日午前九時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十九分散会      ――――◇―――――