○安倍(基)
委員 えらいわかったようなわからないようなあれですけれ
ども、まずモトローラの会長の息子が次官をしております。モトローラの元役員が次官補をしております。考えてみれば癒着もいいところなわけですよ。まさにモトローラは自分の会社の製品を売り込むために新しい周波数の割り当てを要求しているわけです。
もしこれを聞かなかったら、いわゆる報復品目というので五十四品目も並べているわけですよ。その中には、化粧品もあれば全然
関係のないものもあるし、ぞろぞろある。これはその後でスーパー三〇一の問題が起こりましたけれ
ども、アメリカの要求の中には、本当に理不尽というか、向こうの代表者も言っておるようですけれ
ども、
日本は無理に口をこじあけなかったら言うことを聞かない、そのために、いざとなれば報復を振りかざさないとだめだというような姿勢でいるわけです。寄るとさわると、マスコミが大変だ、
国会が言うことを聞かない、簡単に言えばそれをてこにしているわけです。
スーパー三〇一の、これは時間もないから一々また説明を受けるとあれでございますけれ
ども、いわゆるスーパーコンピューターにしても人工衛星にしても、人工衛星も何か
日本が自主開発しようとするのを、それよりも買えというような話らしいし、木材の加工品についても、何を言っているかよくわからないけれ
ども、三階建ての木造で一時問題がありました。これは大分前に木造三階建てを認めろという話があって、私は実は大
反対したのです。
日本のように火災が多いところにそんなことをやって大丈夫か、アメリカのように家が全然離れているなら話は別だけれ
ども。
今アメリカの中でも、御承知のようにヒルズとモスバカーのグループが、どちらかというと商務省というのは三流官庁と言われておって、それが自分の立場を強めようと思っていろいろなことを言ってきておる。アメリカの中でも、御承知のようにボスキンとかベーカーそれからダーマンとかああいった連中は、スコウクロフトもそうですが、割合と穏健なことを言っている。
ところが、世論の
日本はけしからぬという声と、上下両院のそういう声を背景に、今の貿易摩擦問題はだんびらを掲げてそれで置いてこいという話になっている。米の問題もそうですが、米の場合も本当に全米的なのかどうか。かつて木材問題でちょうど二、三年前に問題がありました。そのときよく調べてみると、カリフォルニアか何かの木材業者が販路を失って
日本の方へ乗り出そうとしたわけです。
ことしの後半から貿易摩擦が大問題になってきます。
日本の黒字が累増していることは事実ですが、だから私はよく言うのですけれ
ども、最近は円も少しあれしてきましたが、去年あたりはすごい為替ロスをこうむりながらアメリカの
国債を買い続けていたわけです。だから、ベーカーあたりもその辺
日本が手を引いたら大変だという
気持ちがあるからこそ割合と穏健論を説いている。ただ、ここで
日本がきちっと言うべきことを言わないと、
日本との間で穏健派というのがむしろ立場を失って、強硬論ばかりが支配するようになる。
私は、今度の通信問題、これは米の自由化問題にも絡まってくると思います。ここで無
原則な妥協をすれば――私は実はマスコミの人にもちょっと言いたいのですが、やれアメリカの上院でヒルズは何て言った、向こうの
議員がどういうことを言うたと、実際のところそういうことばかり報道しているわけですよ。
日本の
国会も、変なことをやったら大変な話になるぞと、私は、今度の論文もちょっとそういうあれも込めまして、
日本のマスコミや
国会も、
日本の良識派を刺激し続けていけば、
日本の外交政策もちょっとわからんぞと。私はもちろん、
日本とアメリカとはきちっと手を組んでいかなくちゃいけないという
原則をよく知っていますけれ
ども、だけど今の貿易摩擦は、私は従来も中曽根さんのころに文芸春秋に「ゴメンナサイ外交」をやめようというような話を書きましたけれ
ども、外国の、例えばアメリカなんかの場合には、はっきり言って
原則のない人間を軽べつするのですよ。
ですから、今提出されているモトローラの
関係なんか、何だ、そんな交渉ならおまえ
たちの貿易省から
関係者を全部罷免してこい、それから
相談に応じようということを言ってもいいのですね、率直に言えば。
日本の世論はその辺を十分知ってなくて、アメリカが言えば言うことを聞かなければいけないんじゃないか、要するに日米協調だという要素が非常に強いんじゃないかと思うのですね。
FSXなんかにつきましても、防衛庁をいろいろ呼んで聞いてみますと、せっかくできた協定を向こうの
議会が茶々を入れた。それはもともと、いわば商務省あるいはヒルズ
たちがまずマスコミに訴え、それから
議会に働きかけ声を上げさせた。その結果が合同連合軍がペンタゴンを抑え込んだ、国務省を抑え込んだ。向こうの国務省主導型で、はい御無理ごもっともじゃなくて、こちらも、言うことを、おかしいじゃないか、モトローラー社のために何でやらにゃいかぬのか、しかも、おまえ
たちの貿易省はモトローラで汚染されているじゃないかということをはっきりと、
国会でもいいですね、マスコミも書き、
政府もそれできちっとやっていただきたいと思うのですよ。やれ上院がうるさい、下院がうるさい、それをてこにして、ただむちゃくちゃな要求を突きつけて口をこじあけようとしている、とんでもない話です。
自民党ももう少しこの辺を、
野党に言われてから初めて気がつくのじゃなくて、ちょっとはこの中にもいるかもしれないけれ
ども、この貿易摩擦問題は本当にこれからの問題ですよ。
私は先ほどチャイナ・カードと言いましたけれ
ども、中国の場合にアメリカは、最後にはどうか知らぬけれ
ども、一応彼らは人権抑圧、抑圧ということで、今だれか亡命者をかくまいましたね。これは長く尾を引くと思います。アメリカの世論もいつまでも鄧小平けしからぬでいくかもしれない、裏で手を握るかどうかという問題がありますけれ
ども。こういう情勢のもとで外交も非常に難しくなってきている。私は今の円借の問題を、ただ端的にみんなが言うように、けしからぬ、鄧小平はマルコスだというような短絡的な発想で物は考えていないわけです、けしからぬことはけしからぬと思いますけれ
ども。これからの外交の進路というのは、この中国問題と貿易摩擦問題は本当に一番の重点事項です。そこにいろいろ駆け引きもありましょうけれ
ども、この通信市場開放問題というのを無
原則に妥協すれば、これは必ず米の問題にもなります。
それから、例のスーパーコンピューターでも、もともとこれは
日本の
政府は予算が少ないから余り高い予算を計上してないだけであるし、何も向こうのクレイ社の一番いいやつを買わないでも
日本の安いやつで間に合うからという要素もある。人工衛星の問題でも、これは自主開発してけしからぬかという話になるわけで、木材加工品だって、何言っているかようわからない。だから、結局FSXが一歩後退二歩後退の始まりで、ここで通信市場開放問題でつまらない妥協をしたら、やはり
日本はおどかせばいいのかなという話になるのですよね。いざとなったら、じゃやってこい、こちらもじゃアメリカの
国債買ったのに課徴金課すぞというぐらいの
法案を我々は出してもいいのですよ。その辺、私はこの問題は
宇野さんに聞くのにはちょっと時間が、両方聞きたいと思うけれ
ども、十七分じゃわかりませんから、また少し時間のあるときに。
きょうは方々の官庁を呼んでいますから一人一人聞くべきなんですが、また説明を聞き出すと切りがないから、私の主張を一方的に話すことになるかもしれませんけれ
ども、
大臣、この問題をどうお考えになるか。通信の方は郵政でもあり、それぞれの所轄は違うでしょう。違うけれ
ども、アメリカを財政的にも支え、
日本のキャピタルで相当あれしているという要素をよく知っておられる
大蔵大臣として、これは単に郵政省だけの問題でもなければ防衛庁や通産、農林だけの問題でもないのですよ。
特に、米の自由化をどうするかという問題を将来控えて、私はもう米は国内ではだんだんと自由にしていって生産性を高めるとかしなければいけない。今ここで米の門戸を開放するということはすべきではないだろう、こちらの力がつくまで。しかも向こうの市場開放という要求が本当に全米的な要求なのか、先ほどのモトローラみたいな話で、現実問題としては非常に少数の精米業者というかそちらの要求であるかもしれないですね。だから、アメリカの外交というものは、今度の問題を見ましても余り買いかぶってはいかぬ、本当に大局的にやっているのかなと私は思わざるを得ない。ここを、
大蔵大臣もうまくすれば総理
大臣になったかもしれない人なんだから、まあそれは別として、よくよく考えていただきたい。
具体的に今度の通信市場の開放問題にしても、財政当局としてほかの省の問題であるというぐあいに考えるべきではないと私は思いますが、この辺ちょっと各省からの説明を受けてもいいのだけれ
ども、余り時間を超過したりするとまずいものですから、一方的に話して、大勢の方を呼んで申しわけないけれ
ども、時間と
相談するとそんな
感じですから、
大蔵大臣、まあ
大蔵大臣は
答弁長いですけれ
ども、少しぐらい長くなっても構いませんから、ひとつお考えをお聞かせ願いたいと思う。