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1989-06-14 第114回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年六月十四日(水曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 中西 啓介君    理事 衛藤征士郎君 理事 大島 理森君    理事 中村正三郎君 理事 村井  仁君    理事 中村 正男君 理事 森田 景一君    理事 安倍 基雄君       愛知 和男君    愛野興一郎君       江口 一雄君    尾身 幸次君       太田 誠一君    岡島 正之君       片岡 清一君    金子 一義君       中川 秀直君    葉梨 信行君       鳩山由紀夫君    松本 十郎君       村上誠一郎君    山中 貞則君       山本 幸雄君    沢田  広君       野口 幸一君    早川  勝君       堀  昌雄君    武藤 山治君       村山 喜一君    柴田  弘君       矢追 秀彦君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  高村 正彦君         大蔵大臣官房総         務審議官    土田 正顕君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省理財局長 足立 和基君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       松田 篤之君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         国税庁次長   伊藤 博行君         国税庁税部長 岡本 吉司君         国税庁調査査察         部長      八木橋惇夫君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    中川 良一君         内閣総理大臣官         房参事官    榊   誠君         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    鈴木  満君         総務庁行政管理         局管理官    菊地 徳彌君         総務庁恩給局審         議課長     大坪 正彦君         総務庁統計局統         計調査部消費統         計課長     伊藤 彰彦君         防衛庁防衛局防         衛課長     萩  次郎君         経済企画庁物価         局物価調査課長 徳永 芳郎君         経済企画庁総合         計画局計画官  川嶋 康宏君         経済企画庁調査         局内国調査第一         課長      土志田征一君         国土庁土地局土         地政策課長   石井 隆弘君         法務省民事局参         事官      大谷 禎男君         法務省刑事局刑         事課長     古川 元晴君         外務大臣官房外         務参事官    河村 武和君         外務大臣官房外         務参事官    茂田  宏君         厚生省年金局年         金課長     松本 省藏君         食糧庁業務部輸         入課長     永田 秀治君         林野庁業務部経         営企画課長   高橋  勲君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     稲川 泰弘君         郵政省電気通信         局電波部長   佐藤  進君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会会長)  宮崎 邦次君         参  考  人         (日本証券業協         会常務理事)  関   要君         参  考  人          (日本銀行理事)青木  昭君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社代表取         締役副社長)  児島  仁君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十二日  辞任         補欠選任   箕輪  登君     愛知 和男君   矢島 恒夫君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     矢島 恒夫君 同月十四日  辞任         補欠選任   杉山 憲夫君     岡島 正之君 同日  辞任         補欠選任   岡島 正之君     杉山 憲夫君     ――――――――――――― 六月十二日  消費税廃止に関する請願安藤巖紹介)(  第二三六七号)  同(石井郁子紹介)(第二三六八号)  同(岩佐恵美紹介)(第二三六九号)  同(上田哲紹介)(第二三七〇号)  同(浦井洋紹介)(第二三七一号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二三七二号)  同(金子みつ紹介)(第二三七三号)  同(金子満広紹介)(第二三七四号)  同(経塚幸夫紹介)(第二三七五号)  同(工藤晃紹介)(第二三七六号)  同(児玉健次紹介)(第二三七七号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二三七八号)  同(柴田睦夫紹介)(第二三七九号)  同(渋沢利久紹介)(第二三八〇号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二三八一号)  同(田中美智子紹介)(第二三八二号)  同(高沢寅男紹介)(第二三八三号)  同(辻第一君紹介)(第二三八四号)  同(寺前巖紹介)(第二三八五号)  同(中路雅弘紹介)(第二三八六号)  同(中島武敏紹介)(第二三八七号)  同(野間友一紹介)(第二三八八号)  同(東中光雄紹介)(第二三八九号)  同(不破哲三紹介)(第二三九〇号)  同(藤田スミ紹介)(第二三九一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二三九二号)  同(正森成二君紹介)(第二三九三号)  同(松本善明紹介)(第二三九四号)  同(村上弘紹介)(第二三九五号)  同(矢島恒夫紹介)(第二三九六号)  同(山原健二郎紹介)(第二三九七号)  同(岩佐恵美紹介)(第二四三二号)  同(浦井洋紹介)(第二四三三号)  同(金子満広紹介)(第二四三四号)  同(木内良明紹介)(第二四三五号)  同(佐藤観樹紹介)(第二四三六号)  同(中路雅弘紹介)(第二四三七号)  同(山花貞夫紹介)(第二四三八号)  同(武藤山治紹介)(第二四五九号)  同(左近正男紹介)(第二四七三号)  同(戸田菊雄紹介)(第二四七四号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二四七五号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二四八二号)  同(安藤巖紹介)(第二四九六号)  同(石井郁子紹介)(第二四九七号)  同(石田幸四郎紹介)(第二四九八号)  同(金子満広紹介)(第二四九九号)  同(木内良明紹介)(第二五〇〇号)  同(経塚幸夫紹介)(第二五〇一号)  同(工藤晃紹介)(第二五〇二号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二五〇三号)  同(柴田睦夫紹介)(第二五〇四号)  同(田中美智子紹介)(第二五〇五号)  同(辻第一君紹介)(第二五〇六号)  同(野間友一紹介)(第二五〇七号)  同(東中光雄紹介)(第二五〇八号)  同(不破哲三紹介)(第二五〇九号)  同(藤田スミ紹介)(第二五一〇号)  同(正森成二君紹介)(第二五一一号)  同(松本善明紹介)(第二五一二号)  同(村上弘紹介)(第二五一三号)  同(矢島恒夫紹介)(第二五一四号)  同(山原健二郎紹介)(第二五一五号)  公団住宅家賃等への消費税課税反対消費税  廃止に関する請願薮仲義彦紹介)(第二四  三九号)  消費税廃止不公平税制の是正に関する請願  (山花貞夫紹介)(第二四四〇号)  消費税撤廃に関する請願権藤恒夫紹介)(  第二五一六号) 同月十四日  消費税廃止に関する請願安藤巖紹介)(  第二六一四号)  同(石井郁子紹介)(第二六二五号)  同(岩佐恵美紹介)(第二六二六号)  同(浦井洋紹介)(第二六二七号)  同(小澤克介紹介)(第二六二八号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二六二九号)  同(菅直人紹介)(第二六三〇号)  同(経塚幸夫紹介)(第二六三一号)  同(児玉健次紹介)(第二六三二号)  同(左近正男紹介)(第二六三三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二六三四号)  同(柴田睦夫紹介)(第二六三五号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二六三六号)  同(辻第一君紹介)(第二六三七号)  同(寺前巖紹介)(第二六三八号)  同(中路雅弘紹介)(第二六三九号)  同(中島武敏紹介)(第二六四〇号)  同(野間友一紹介)(第二六四一号)  同(東中光雄紹介)(第二六四二号)  同(不破哲三紹介)(第二六四三号)  同(藤田スミ紹介)(第二六四四号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二六四五号)  同(正森成二君紹介)(第二六四六号)  同(松前仰君紹介)(第二六四七号)  同(松本善明紹介)(第二六四八号)  同(村上弘紹介)(第二六四九号)  同(矢島恒夫紹介)(第二六五〇号)  同(山原健二郎紹介)(第二六五一号)  同(石井郁子紹介)(第二七三〇号)  同(川俣健二郎紹介)(第二七三一号)  同(経塚幸夫紹介)(第二七三二号)  同(小林恒人紹介)(第二七三三号)  同(柴田睦夫紹介)(第二七三四号)  同(辻第一君紹介)(第二七三五号)  同(中路雅弘紹介)(第二七三六号)  同(東中光雄紹介)(第二七三七号)  同(藤田スミ紹介)(第二七三八号)  同(正森成二君紹介)(第二七三九号)  同(村上弘紹介)(第二七四〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第二七四一号)  公団住宅家賃等への消費税課税反対消費税  廃止に関する請願薮仲義彦紹介)(第二六  一五号)  消費税廃止国民本位税制改革に関する請  願(安藤巖紹介)(第二六二一号)  同(金子満広紹介)(第二六二二号)  同(工藤晃紹介)(第二六二三号)  同(田中美智子紹介)(第二六二四号)  消費税撤廃に関する請願権藤恒夫紹介)(  第二七四二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月十三日  消費税廃止に関する陳情書外六件  (第一六〇号)  消費税の見直しに関する陳情書  (  第一六一号)  かんきつ園地再編対策助成金に係る税制上の特  例措置に関する陳情書  (第一六  二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図  るための特別措置に関する法律案内閣提出第  七号)      ――――◇―――――
  2. 中西啓介

    中西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出平成元年度の財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 本日は、九時半から審議が始まりまして、私の聞いておるところでは最終が午後八時になるということでありますが、私は当委員会で長年にわたって三つ原則を守っていただくように実はやってまいっておるわけであります。中西委員長もよく御承知だと思いますけれども、まず、法案審議に際しては大臣出席を求める。これは、国民権利義務について大きく制約を与えるような法案審議に、その衝の責任者である大臣の政治的な判断を得たいという問題でそういうふうに考えているわけであります。二番目は、国会法に定められておるとおりに、委員会定足数を満たしていなければ成立しないわけでありまして、少なくとも――ちょっと、定足が足っているか数を確かめてみてください。そういうことで、ともかくこれは国会法の定めでありますから、定足数を満たしていなければ暫時休憩する、場合によっては散会する。三つ目は、我々は日没をもつて業務を終わる。これが私の三原則でございます。  きょうは、六時五十八分に日没でございますので、そこで、理事会で一応八時までとお決めになっておりますが、私もそれに協力をする意味で、私の持ち時間は一時間でございますが、四十分行うことによって二十分節約をいたします。我が党の関係者にも皆さんにそういうふうにお願いしておりますので、我が党だけでなくて他党の皆さんの御協力をいただいて、少なくとも十八時五十八分に委員会が終了するように皆さんの御協力をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  そこで、いよいよ本題に入るわけでありますが、実は、私この間から宇野総理答弁をずっと聞いておりまして、政治改革をやる、あらゆる政治改革をやる、大変いいことをおっしゃっているのでありますが、どうも政治改革というものに対する認識宇野さんと私とでは大変大きな開きがある、こういう感じがしてならないのであります。宇野さんが言っておられるのは、政治倫理政治資金規正法選挙制度、これが今度のリクルートの金との関係にまつわる問題があるから、そこでひとつこれを正すのが政治改革だ、こう思っていらっしゃるようですが、私は大変次元の低い話だと思うのですね。  それでは、どうして私がそういうことを言っているかというと、今の日本国憲法に基づいて現在の議会が運営されているかどうか、この問題について私はかつて一回論議をいたしたことがございますが、そういう意味で、ちょっと私は一番基本になりますところを皆さんに申し上げておきたいのであります。  明治憲法は、最初のところをちょっと読みますと、第一章「天皇」、第一条「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇ヲ統治ス」、第二条「皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫ヲ継承ス」、第三条「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」、ここまでは、天皇に関することでいいのですが、次が問題なんです。第四条「天皇ハ国元首ニシテ統治権総攬シ此憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ」、第五条「天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権行フ」、明治憲法は、天皇絶対主権でありますから、議会というのは、天皇が出してきたものに協賛する、オーケーをするというために設けられておる機関であって、議会独立性とかそういうものはこの大日本帝国憲法では認められていないのであります。行政絶対有利というのがこの憲法の趣旨であります。  私は、今日の日本行政を見ておりますと、そういう意味で果たして現在の日本国憲法が正しく守られているかどうかという点についてまず申し上げておかなければならないと思うのであります。  それは、日本国憲法第四章、国会の地位、第四十一条「国会は、国権最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」こういうふうになっております。だから、立法は、まさに全部明治憲法帝国憲法では天皇でありますけれども、我々国会立法を決めるということを憲法は明記をしておるわけであります。そうして、さらに第七十二条、「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」こういうふうになっておりまして、内閣にも議案国会に提出する権利は保障されておりますけれども国権最高機関である立法機関議員の手による議員立法をやるというのが法律の本来の建前なんであります。大日本帝国憲法日本国憲法の基本的な違いがここにあるわけでありますが、何か現在の大蔵省は、大蔵委員会に提出する法案は全部大蔵省がつくるのが当たり前という認識のもとにすべてのことが今行われているわけであります。  おまけに一つ問題がありますのは、今度金融制度改革についての作業が行われているようでありますが、私ども国会議員に対しては、結論が出るまでは何らの報告もない。学者を中心とした審議会委員会かで一方的にどんどん話が決まって、新聞には出てくる、しかし、私たちには一言も公式に、こういう経過です、こういうふうにやっていかがでしょうかという相談がないのですね。そうしてさっと出してくる。それで、それが通るという認識が暗黙のうちに私は大蔵省の中にある、こう思うわけであります。これが一つの今これから起こる問題。  もう一つの問題は、私はかねてから、この間本会議でも提案をいたしました国債資金特別会計の問題、財政法改正の問題、これらについてもう何回となくここで論議をしてきたにもかかわらず、なおかつ今日政府側が積極的にやろうという意思がない。私がこの間代表質問でやらしていただいたのは、まず、どうしても今度平成年度に対してこれらの法律改正政府がやる気がなければ、全部の議員皆さんにこの問題の重要性を訴えて、ひとつ全議員が理解をしていただいて議員立法日本財政の抜本的な改革をここでやる必要がある、そのために同僚議員が本会議質問をやってくれと言っていただいたので、皆さんにわかりやすいようにこの問題の問題点を明らかにして質問をさせていただいたわけであります。そうしましたら、自由民主党を含めて多数の皆さんの拍手をいただきました。大体これは私の提案が御理解いただけたというふうに私は認識をしておるわけであります。  ですから、きょうはこの問題について、要するに政治改革というのは単にさっきの政治倫理政治資金あるいは選挙制度改革ではなくて、一番大事なのは、国会のあり方をいかにするかということである。日本国憲法の示しておる議会制民主主義を、今空洞化しているような議会制民主主義を、我々の手で運営するようになれば、同僚が出した法律案について我々がボイコットして欠席するなんということは物事の道理としておかしいわけであります。政府が出してくるから野党反対、こういう図式が今日の、この間までの国会の異常な事態を招いた、実は私はこう思っておるのであります。  よその委員会まで私は関係がありませんが、大蔵大臣にまず伺いたいのは、大蔵委員会大蔵省関係について、少なくとも国権最高機関立法機関であるここが中心であって、大蔵省はこの立法機関に対して協力をしながら議員立法としていろいろな問題が出ることに協力をする、大日本帝国憲法を改めて、日本国憲法の定める方向に問題の処理をしていくということを今後ひとつ大蔵省としてやっていただきたい。  これは村山大蔵大臣のように、大蔵省の先輩の方で――昨日深夜になりましたけれども参議院予算委員会中継漏れ部分放送がありました。実はずっと見ておりまして、確かに村山大蔵大臣大変税制に精通されておって、理路整然質問に答えておられるのを拝見しておりまして、まさに今この税制が非常に重要なときの大蔵大臣として、村山大臣が本当にその真価を発揮されておると大変私は敬意を表しながら、実は昨晩の参議院放送は夜の十一時ごろから十二時過ぎまでやりましたけれども拝見をしておりまして、非常に敬服をいたしておるところであります。ですから、そういう大蔵大臣がいらっしゃるときでありますので――これは非常に大きな政治改革のポイントであって、それをやらないで、ただ小手先だけの政治改革をやればいいというような問題ではないのだ。  要するに、戦後四十年以上たちまして、いろいろな情勢が大きく変化してきておる。この大きく変化しておる中で実は法律がいろいろとそのままになっている。私があそこでもう一遍日本銀行法改正に触れましたのは、どこで触れているかというと、二十二条に日本銀行国債の引き受けができると書いてある法律が現存しておるわけであります。この財政法日本銀行法という相矛盾したものを放置しておるのはおかしいじゃないかと私が何遍言っても、大蔵省はそれに応じようとしていないわけですね。  だから、こういう問題もひとつ自民党皆さんと御相談をして、帝国憲法にあった勅令によって問題の処理をするとか、第一条、第二条、問題の多いもの、日本銀行大蔵省関係をどうしようという気持ちじゃないのですよ、少なくとも現行憲法に照らして異常であるという部分について、国会がそれを行わないということは国会責任だと私は感じておるわけでありまして、そういう意味国会議員皆さん国権最高機関議員として自分たちの職分を果たしていただきたいという気持ちでございます。  そこで、今の大蔵委員会に関する大蔵省主導による法案提案という問題です。もちろん大蔵省が出すことに反対するわけじゃありませんよ。出す以上は、委員会に対して中間報告なり経過なりを報告しながらやってもらうのでなければ、もし物が出てきても、私ども反対と言ってはね飛ばせばどういう現象が起こるでしょうか。大蔵省官僚諸君責任だということになるでしょう。私は何も官僚諸君をいじめる気は毛頭ありません。そういう手続が日本国憲法に沿って行われていない、この基本的な政治改革をこれからひとつ村山大蔵大臣の手でやっていただきたい、こう考えておりますので、これらについての大臣の御答弁最初に伺いたいと思います。
  4. 村山達雄

    村山国務大臣 長年大蔵委員会で活躍され、そしてまた財政金融に非常に造詣の深い堀委員から、またさらに大きな角度から御提言いただきましてありがとうございます。  私たちもそう思っておるわけでございまして、やはり法律案というものは行政府だけが出すのではなくて、ここで議員が御勉強いただいてどんどん出していただく、そういう状況になることが非常に望ましい、私も実はそう思っているのでございます。そういう意味で、やはりいろいろな討論が行われる、やはりそのためには単に法案ということでなくて日常討論が与野党の間で行われるということが大事じゃないだろうかと思っております。  終戦後ずっと見ておりますと、与党議員質問がほとんどないということ、これもまことにおかしな話だと思っているのでございます。それで、私の率直な感じでございますけれども、ほとんど野党議員から言われたこと、そのうち非常に強烈に言われたものを、行政府の方は、あれはどうもかなわぬから少しは何かいじらなければいかぬなというようなことでいじっておる。与党議員でも随分勉強されておる、だから、お互いにそういう素地をまずつくるということが先決問題ではないだろうか。その上でそれに値する案がどんどん議員の皆様から出るということは本当に歓迎すべきことであり、そのことがやはり憲法が望んでおる精神であろう、このように思っております。     〔委員長退席大島委員長代理着席
  5. 堀昌雄

    堀委員 村山大蔵大臣、大変率直な御答弁をいただいてありがとうございました。  私はかねてから、自民党皆さんにもつと質問の機会を与えたいとずっとやってきているわけなんであります。そこで、では問題はどこにあるかといいますと、今の国会のシステムが、法案を出したらなるたけ早く通そう、ここが誤りなんですね。法案十分審議をして、みんなが納得をしてから上げればいいのですから、この間からの国会はさっき申し上げたように異常なんであって、私は現在在職二十八年六カ月になるわけでありますけれども、こんなことは長い期間になかったことなんですね。しかし大蔵委員会は、そういう異常な状態でないときには整々と十分審議をするということで、私はこの二十八年、最初の二年ほどは文教委員会におりましたけれども、昭和三十五年一月以来当委員会におるわけでありますから、今の大臣のお話、私も率直にそう思います。  ですから、今度は自民党理事皆さんに申し上げておきたいのですけれども、この前一回新井さんが、私の前に自民党として予算委員会の始まる前の質問をされました。大変いい質問をされましたので、私は新井さんに、あなたのきょうの質問は本当によかったと申し上げているのですけれども皆さんやはり常に質問の機会が与えられれば御勉強になって、それが与野党議員立法をつくる土台をつくっていくだろうと私は考えますので、理事皆さんにぜひひとつ御認識をいただきたいと思いますので、そこはよくお願いをいたしたいと思います。  そこで、その次にちょっと申し上げたいのは、この間本会議で申し上げましたけれども財政法を変えるということは確かに大きな問題ですけれども、私があのときに申し述べたように、昭和二十二年三月三十一日というのは、マッカーサー司令部から覚書が出、指令が出て、それを受けてあそこでああいう法律ができるという形でありますが、御承知のような大量の臨時軍事費の調達のための日銀引き受けが、異常な状態で通貨が膨張いたしておりましたし、さらに、戦後の生産関係から見て、物資が不足で、異常なインフレーションがあった。だから、私はその反省として国債不発行主義という財政法ができたと思うのです。  だから、財政法を私何回もここで申し上げておりますけれども財政法四条は、何か一般に今は四条国債というのは出されて当たり前というよろな認識になっているでしょうが、何回も申し上げるように、第四条「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」これは義務規定なんです。「但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」こうなっているわけですから、四条債を出すのは当たり前ではないのです。特例なんです。そういう認識をまずきちっとしていただく。  そうして、それから第五条「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」こういうようなものがありますし、さらに、御承知の償還計画を出せというのがついているわけであります。要するに、国債不発行主義で来ておったのですから、償還計画というものは意味があったと思うのです。そんなに大量なものが出るはずがないという想定でできております。ところが、この年度末百六十二兆になって、償還計画というものがまじめな意味で本当にできるのでしょうか。ちょっと大臣にそこをお聞きしたいのであります。
  6. 村山達雄

    村山国務大臣 御案内のとおりでございますけれども、今、国債整理基金特別会計がそれを引き受けているわけでございまして、三つのルートからやっております。一つは定率繰り入れ、それから予算繰り入れ、それから剰余金繰り入れということでございますが、大体予算繰り入れあるいは剰余金繰り入れというのは定率繰り入れを補完するものだと、定率繰り入れば残高の一・六%でございますから大体六十年と見ておる、こういうことでございます。したがいまして、十年債なら十年債の期限が参りますと、その六分の一だけ現実の定率繰り入れにあわせて現金償還の財源をそこにつくっております。足りない分、それは剰余金繰り入れなりなんなりしていく。六十年で計算いたしますと一・六六六となるのでしょうが、定率繰り入れば一・六、こう言っておりますから、それを補完しておるのだろう、私はそう思っていろわけでございます。  したがいまして、これから非常に難しいところに入るわけでございまして、定率繰り入れそのものを五十七年から停止しているわけでございますが、これがどうなるか。NTTの売却益がたまたまあったからできるのでございますが、これから二兆六千億というものを、毎年、現在の歳入歳出を通じて生み出すということ自体がどれだけ苦しい問題であるかということをよく承知しておりまして、これからの財政再建のめどをどこに置くのかというのは、その問題が一番大きい。そのほかに、今まで繰り入れ停止にしておりますので残高がうんとあるという問題、こういう問題に対してもやはりそれぞれ迷惑をかけておるわけでございますし、その問題もあわせてやらなくちゃいかぬということで、新規赤字公債脱却後の財政再建のめどあるいは財政運営のめどをどこに置くかということを、財政審に本当にもう根本から財政法全部洗っていただいて、そこで今後の運営の指針にしたい、こう思っているところでございます。  ですから私も、堀委員の言われた問題を含めて、実は非常な危機感を持っております。今後、本当にしっかりやらなくちゃやはり国民の負託にこたえられぬのじゃないか、このように思っているところでございます。
  7. 堀昌雄

    堀委員 今お話しのように、現状では要するに償還計画が実行されてないわけですね。ルールとして決まっておるけれども、金はちっとも入っていない。金が入っていなければ償還計画なんというのは紙に書いただけのことでありまして、償還できるめどはない、こういうことであります。  それはこの財政法が考えた今の国債不発行主義というところに問題があるのですが、私は今の財政法国債発行主義に変えろと言っているんじゃないのです。要するに、皆さん認識でいくと特例債、私の認識でいくと特特例債、これがいよいよ来年には終わりになるということになった時点では、少なくとも発行するとすれば四条債という特例債を国会の議決の範囲内でやるというところにくるわけでありまして、私はこの四条のところを変えろとかそんなことを言う気はないのです。ただしかし、償還計画だとか、現実に今の情勢にフィットしないような部分は考えた方がいい。  御承知のように、私はこの間委員会でイギリスの制度についてちょっとお話しを申し上げました。このイギリスの制度は、要するにちょうど私が提案しておるような資金から両方に資金が行くように、これは一九六七年の法律改正でできているわけでありますが、既に英国はうまくこれを運用しながらやっておるという事実から見ましても、私は何もこれを見て国債資金特別会計提案をしたわけではないのでありますけれども、たまたまイギリスにもこういう制度があるということが勉強しておる中でわかりまして、こういう制度があっていいんじゃないか。現状で、今六十年とおっしゃったのですけれども、果たして六十年で今の問題の処理が完了するのかどうか、大変疑問を感じておるわけでございます。  ことしも新発債その他は少ないのですけれども、借換債を入れるとたしか二十二兆くらい出るようになりますね。これをずっと見ていきますと、大体二十兆台というのがまだまだ長く続くわけであります。この間委員会では五十年から百年と申し上げましたけれども、そういうふうに、新発債という形では出ないけれども、借換債というのは裏返せば新発債でありますから、そういう格好でずっと出ていく。その長期の期間について、私がこの間本会議であの問題を提起しましたように、五十六年の四月から六十三年度いっぱいやってみたら、上手に運用すれば、この間の国債費の利子が五兆九千億ぐらい節約できる。八年間で五兆九千億ということは、これは大体年間平均七千億円ですね。そうすると、五十年これが節約されると節約されないで三十五兆円、百年節約されなければ七十兆円の財政負担を国民に与えるような制度がこのままあっていいのだろうかということは、私は委員皆さんも同じ御感覚ではないかと思うのです。  私は、この間宮澤さんが大変いいことをおっしゃっていたので、あの話を聞いていただかない方もありましょうからちょっと申し上げておきますが、  今日のような低金利の時代には既発国債をもつと低利なものに借換えれば大きな国益になるはずであるが、このような発想が浮かばないのは、現在の財政制度が大福帖式で、金利の観念がないからである(関係法令はほとんど終戦直後のもの)。将来制度を改め国債の発行や管理を景気動向、金利、税収などを勘案して経済法則に則って弾力的に行なうこととすれば金利支払などかなりの節約が可能になる。 六十一年三月二十四日の宮澤総務会長のお話であります。  そしてまたその後の方でも、これは昨年の四月二十二日の当委員会での答弁でありますけれども、宮澤大臣答弁は、  堀委員の言われるように物を考えていきますと、借金はしてはならないという原則法律から、いかにして借金を経済的にやるかということへ、ふっと考えをある程度シフトさせていくという部分がどうしても私は出てくるのだと思います。 こういうふうにはっきりお答えになって、   しかし、他方で、幸いにして昭和六十五年度に特例公債を脱却できるといたしますと、いわばそういう歳入補てんの意味での公債ということは一遍そこで離れられるかもしれない。建設公債をどうするかということはまた別の議論があろうと思いますので、おっしゃいますような問題はやはり常に私ども考えていかなければならないし、また、特例公債を脱却しますような時期にもう一度考えてみるべき問題であろうかと思います。 こういうふうに宮澤大蔵大臣は言っておられるのです。  この時期に来年が来るわけでありますから、この時期に合わせてさっき申し上げた財政法国債資金特別会計法について真剣に皆さんがおやりいただくということであれば、いろいろな過去の経緯もありますので政府に御一任をしたいし、来年度に間に合わせないということならば、私は自民党皆さんと御相談をして、来年度の通常国会財政法国債資金特別会計法、国債整理基金特別会計法等関連法案を含めての改正を議員皆さんの御協力をいただいて出すことにしたい、こう考えておるわけでありますけれども大臣、そこらのめどについてひとつお答えをいただきたいと思います。
  8. 村山達雄

    村山国務大臣 私も委員の御指摘があったものですから宮澤前大蔵大臣のあれを見ました。宮澤さんは非常にバランスのとれた人で、両方言っておられる。一つは金利についてもうちょっと真剣に考えた方がよろしい、低金利時代であるから、こういう御指摘で、柔軟性を持って考えなさい。この問題と、それからもう一つ、ふっと借金をしてもいいんだということになると、その結果財政の節度がどうなるか。節度という言葉を使っておりませんが、恐らくそのことを言っておるのだろうと思います。私も基本的に、財政の問題としてやはり二つの点を制度的にどう組み合わせていくのがいいのかなということに非常に思いをいたすわけでございます。  と申しますのは、各国の予算制度、もう御案内でもございましょうけれども、単年度均衡主義をとっております国は日本とドイツだけでございます。そして、ドイツは建設国債は出せますけれども、もとよりあれは赤字国債、特例国債は出せない、こういうことになっております。したがって、同じ借金でも日本とドイツだけは一つ財源債としてというのですか、財源補てん債としての公債と資金繰りとしての公債というのを峻別しているわけでございます。これは日本もドイツもどちらもそうでございます。ほかの国を見ますと、全部歳出超過になっておうて、それは全部資金繰りでございます。こういう仕組みになっておることはもう御案内のとおりでございます。  そして、減債基金制度を持っておりますのは、今現実に動いているのは日本だけでございます。そして今、先ほど申しましたように、二兆六千億というのはどうなるかなといって私は心配しておる。このことのどちらの制度がいいのかなというのは、節度の問題とそれから弾力性、機動性、特に金利について、この接点の問題があると思うのです。  私は、民主主義というものは黙っておれば高福祉低負担を望んでくるであろう。普通の国民というものは、歳出は余計にしなさい、税は低くしてください、これはもう偽らざる話である。それであるから国民の代表である国会議員が出まして、そうばっかり言ってもそうはならぬのですよ、高福祉を望むにはやはりそれなりの財政的な基礎がなければいかぬのですよ、こういう意味で財政制度はできているのじゃなかろうか。国会政府関係ももちろんでございますけれども、予算編成の過程における、例えば大蔵原案をつくる、政府原案をつくるときにも、もう圧倒的に歳出要求が多いことは御案内のとおりでございます。そのために、かつてどれぐらい多くの赤字財政になってきたか、これも御案内のとおりでございます。  そういう問題があるものですから、今の日本の財政制度の組み方あるいは減債基金のあり方、これはそれなりに非常に意味のあるものだと私は思っております。ただ、金利との関係でどういうふうにやっていったらいいのか。  そして、委員御指摘でございますが、実はもう一つは金融市場の問題がございまして、御案内のように、日本には世界では類のない興長銀があるわけでございます。これが五年の利付債、それから割引債を発行しておるわけでございます。興長銀そのものがどうあるべきかというのは今金融制度調査会で検討しておるのでございますけれども国債の歴史を考えてみますと、国債は四十一年まではなかったわけで、四十年の補正予算でたしか出たと思いますが、四十一年から初めて建設国債を出すに至った。そのときに金融市場に配慮したというのは、その金融債との競合の問題でございまして、したがって五年ではなくて十年債を基本にするというような考え方。  その後いろいろな国債が発行されましたが、五年債でございますけれども、これは全部シ団引き受けということでございまして、市中消化はやらないとか、それから四年債、三年債、二年債、今度は半年のが出ていわゆる短国債が出ておりますけれども、いずれもこれも割引債と競合しないように仕組まれておるわけでございます。したがって、国債を発行する場においては、毎年発行懇でやっておりますが、いまだに金融市場の競合の問題というものがありまして、そのすき間というものをねらっておる。しかしまた同時に、このごろ金融は非常に弾力化しておりますので、多様化していきたい。それで、金利というものはいつ上がるか、先高になるか先安になるかというのはなかなかわからぬものでございますから、どちらかというといろいろな種類のものをつくって、そしてその間、先高になっても先安になっても対処していけるように、償還期間を多様にしていくという方策をとっておるわけでございます。  そういうことがずっとありまして、財政上の問題、それから金融市場の問題、特に金融市場の問題は証券、債券の多様化という問題になってきておるわけでございます。そういう問題と全部私は絡んでくる問題だと思います。しかし、これは大変な問題でございますので、私も真剣に検討してまいりたいと思っておるところでございます。
  9. 堀昌雄

    堀委員 今お話しになりましたけれども、確かに日本がすぐれているところは、さっき私が申し上げたように現実に行われてないのですよ。大臣も、二兆六千億払い込んでいないで日本は減債制度があると言っても、減債制度を機能させるように定率繰り入れもやらなければ予算繰り入れも完全に行っていない、完全に行っていないということは、減債制度がやれないところに現在の経済情勢が陥っているという、その認識なくして、減債制度があるのは日本だけだというのは世界に通用しない話なんですね。  ですから私は、やはり現実を直視して、国民にとって何が一番望ましいのかという選択を我々国会議員は任されているんだと思うのです。大蔵省官僚だけに国民は任せているわけではないのでありますから、その点を大蔵省皆さんも真剣に考えていただいて、これから予想される日本経済の状態に対してどういう選択が一番望ましいのか。  確かに大臣のおっしゃったように、国民は高福祉低負担を求めています。しかし、私はそんなことをこれまでこの委員会で言ったことは一回もないのであります。少なくとも高福祉を求めるならば高負担でなければ、天から金が降ってくるわけではないのでありますから、できないことを求める国民には率直にそれはできないということを言うのが政治家に与えられた任務であるし、そのぐらいの勇気のない者は政治家をやめたらいいと思うのですよ。そんなに国民に迎合ばかりして、できもしないことを言っているというようなことは重要な問題がある、私はこう思っているわけです。そういう意味では、政治家は国民責任を負って、今この時点だけの話ではなくて、将来の展望に立って考えなければいかぬと私は思っているのです。  最後に、税金のことで一言だけ申し上げておきたいのですけれども、何か新聞を見たりきのうの答弁を聞いておりましても、今の消費税国民に痛税感を与えている、この痛税感を取るためには外税でなくて内税にしよう、私はこれは大変大きな問題だと思っているわけであります。  この前調査をしてみましてわかったのは、現在内税でやっているところは肉屋さん、魚屋さん、八百屋さん。果物屋が半分ぐらいが内税になっているのですよ。私どもと一緒に行った調査の若い人が、内税というけれども、一体定価が幾らで、幾ら税金を取っているのだと言ったら答えられないわけですよ。私がその人に、それはこういう種類のものは朝と夜で本来値段の変わるものなんだ、新鮮な魚、朝は高く売るけれども、夕方になって、あしたに持ち越したら鮮度が下がるから値段は下げるのだ。価格の動くものについて外税というのは確かに非常にやりにくいからある程度内税だろうけれども、そういう商品の価格が一日の間で動くもの、あるいは牛肉のように、同じようなロースといっても、肉の質のいいロースから悪いロースまで品質によって値段が違うのですよ。だから、そういう品質の問題が価格に反映するものは私は内税である程度やむを得ないと思うのでありますけれども、その他を痛税感があるから内税にするなんてばかな話はないのです。  今度の消費税国民すべての人が税金というものに対する認識を持ったのは、私は日本の戦後の歴史で初めてだと思っているのです。何か大臣が、どうも日本は直接税というのは間接税で、どうやら間接税が直接税のようだとおっしゃったというようなことをちょっと聞いているわけですが、まさに日本の所得税納税者の九二%は源泉徴収ですから、税金がわからないのですよ。税金を引いたお金をもらっているだけですから、今度二兆九千億か、減税になっていますよと大臣一生懸命言っておられるけれども、二兆九千億の九二%は月給の中で差し引かれていますから、得したか損したか余りよくわからない。ところが、今度国民全部が消費税で税金というものがわかった。だから、このことは日本税制にとって非常に意味があると私は思っているのです。  国民が税金というものについて痛税感を感じるときに、初めて国民が税金というものを真剣に考える。議員皆さんも真剣に今考えておられる。そういう意味で非常に意味があるのに、その痛税感をなくしてごまかそうなどという発想を税の専門家である村山大蔵大臣予算委員会で発言しておられるのを聞いて、ここだけはちょっといただけない、こう考えておりますので、その点の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  10. 村山達雄

    村山国務大臣 第一段の先の方の、本論の方の話でございますが、減債基金繰り入ればやっているわけでございますが、財源が本来の財源ではない。やっていることはやっているわけでございます。たまたまNTTがあったということでございます。この先がどうかという、そこを心配しているということでございます。  それから痛税感の問題、おっしゃるとおりでございます。私が言っておりますのはそうではなくて、内税にするか外税にするかというのは、本来事業者、納税者、それから消費者、双方の便益で決まる問題でございましょう、政府が干渉すべき問題ではありません、こういうことを申し上げているわけなんです。それで、ちょうどフランスのあれをつくったのがやってきまして、それで君のところはどうなっているのだねと聞いたら、事業者間は全部外税です、それで消費者の末端のところは、一部外税で一部内税だと言っておりました。痛税感という問題は確かにその点はプラスでございます。しかし、この問題は本来は市場の問題だ、そういうことを言っているわけでございます。  それで、先生ももちろん御承知でございますが、今度のような税革法というああいう形式をとった税制改革というのは世界にも例がないでしょうね。そして、あそこには理念が随分出ております。そして、現実には市場が決定する問題も、こうしてください、こうしてくださいというのがたくさん出ているわけですね。それは初めての消費税でございますので、政府としてはこうあってほしい、それでどちらかというとやはり納税者にわかるようにしていただきたいものだということは書いてあるわけですね。それに基づいてみんなある程度行政指導をやったわけでございましょう。だからその点では非常に外税が消費者、末端のところも多くなる、そのために痛税感が出て、それから税に関する認識が高まったということは結構なことだと思います。ただ、本来これは市場が決定すべき問題である、こういうことを申し上げたのでございます。
  11. 堀昌雄

    堀委員 終わります。
  12. 大島理森

    大島委員長代理 早川勝君。
  13. 早川勝

    ○早川委員 堀先生に引き続きまして、財確法に関連して、時間が三十分しかございませんので簡単に質問させていただきます。  最初に、今、堀先生の質疑の中で大蔵大臣言われたわけですけれども、これからの財政再建、財政改革という問題ですね。幾つか指標なり目標があると思いますが、財政制度審議会で検討していただいているということを言われたわけですけれども、その優先順位はともかくとして、どんな目標なり課題が残されているのか、ちょっと整理して、大臣、恐縮ですがお話しいただければと思います。
  14. 村山達雄

    村山国務大臣 ようやく平成年度から特例公債の新規発行から脱却できるめどがだんだんついてきた、こういうことでございますが、今までの財政再建の目標というのは、何といっても特例公債から脱却せねばならぬ、この目標を中心に掲げましてやってまいりまして、その目的を達するまでに実にほぼ十年かかっているわけでございます。そのやり方としては、御案内のように繰り入れを繰り延べてみたり、あるいはカットしてみたり、いろいろなことをお願いしてきたわけでございます。  そのことによって行政がスリムになったという点の効果はございますけれども、そのかわりに、いろいろなところに繰り入れるべきものを全部歳出を繰り延べておるわけでございますので、今の状況を考えてみますと、いろいろな角度から見て、やはり先進国の中でパフォーマンスが一番悪いのじゃないか。一つはGNPに対する公債残高の問題、それから繰り延べしておるいわゆる隠れ国債というのですか、その残高といい、今言った定率繰り入れを繰り延べておるという点からいいましても、それからそのことが予算にあらわれできますのは、国債の利払い費が実に二割を占めておる、こういった問題、一方また建設国債にいたしましても、社会資本というものが、日本はフローでいいますと毎年毎年各国より多いわけでございますけれども、ストックはまだ先進国には及ばないというような問題、こういう内外の問題を考えますと、今後の高齢化社会に向かって財政の対応力を残しておかなくてはならぬということはもう異論のないところだと思うのです。  そのために、今後の財政を再建する目標というものを一体どこに基本的に置くべきかという問題は、新しい問題としてやはり御検討願わなくてはいかぬのではないかということで、今財政審にお願いしておる、こういうことでございます。
  15. 早川勝

    ○早川委員 そこで、幾つか問題が出されたわけでございますけれども国債残高をトータルとして減らしていかなければいけないし、国債費の比率を下げるとか、そういうことを考えますと、いわゆる再建期間でやってきた隠れ借金の返済の問題、これはそれなりに時限を切ってやってきているわけですから、これから解消していかなければいけない。それからもう一つは、これは基本になるわけですけれども、償還の問題ですね。とにかく残高を減らさなくてはいけないという問題があると思います。  そういうことで、一般会計のそういう課題がこれから財政審の中で具体化されると思うわけですけれども、この隠れ借金という表現はよくないわけですが、いろいろな繰り延べをやってきましたけれども、これに対してはどんな計画なり対応を来年度以降考えられておるのか、伺いたいと思います。
  16. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣申しましたように、特例債脱却後の財政目標としていろいろなことが考えられるわけでございます。現在いろいろ議論をしておりますが、恐らくその一つとして、先生御指摘のもろもろの歳出の繰り延べ、その結果として残っておる残高、これをどういうふうに考えていくかということも大きなポイントの一つになろうかと思います。  これまでの国会等で御議論になられております種類の歳出繰り延べの残高でございますが、現在まで、昭和五十七年度から元年度までの分ということで残っておりますのが十兆六千億程度のものが残っておるほか、国債費の定率繰り入れがほかに十五兆余りございます。こういったものを合わせてよく二十六兆というようなおっしゃられ方もするわけでございますが、定率繰り入れの扱いは、これは国債償還が済んでおりますので、おのすからちょっと性質が変わってこようかと思いますが、国債費の定率繰り入れの分を除きますと十兆余り、十兆五、六千億というものが残っておるわけでございます。  これらにつきまして、いつも申し上げておりますように、それぞれ制度、施策、いわば貸してくれる方の制度とか施策とか、そういうものをめぐる状況を十分検討してやってまいりまして、余り直接のその時点時点での御迷惑はかけないようにしてきたというものでございますが、これからこれをどういうふうに処理するかということにつきましては、その制度、施策をめぐる状況をやはり十分に検討いたしまして、それぞれの制度、施策が運営に支障を来すことのないように配慮しながらこれを処理をしてまいらなければならないと思っております。  先生御承知のとおり、中には住宅金融公庫の利子補給金の話でございますとかあるいは国民年金の平準化の問題でございますとか、これらはもう既に、いわば返すというか、これをこれからどういうふうに埋めていくかというのが法律で決まっておるものもございます。一方、厚生年金の繰り入れ特例、これなんかが大きなものでございますけれども、後年度適切に対処をするということで、その具体的なスケジュールまでは法律に決まっていないというようなものがあるわけでございます。ただ、御承知のとおり、厚生年金の場合は昨年の補正予算で相当大きなものを過去の分を一回処理をしたというような実績もあるわけでございます。  こういうものをこれからどういうふうに対処をしていくかということにつきまして、脱却後の課題として検討させていただくということでございます。現在、具体的に何年度にどう処理をさせていただくということは、これらについて申し上げる段階にないことを御理解賜りたいと思います。
  17. 早川勝

    ○早川委員 この繰り延べ措置についての問題も、もう少し時間がかかるかもしれませんけれどもぜひ全体の中で明らかにしていただきたいと思います。  それから、これは直接大蔵省大臣等に関係ございませんけれども、財政再建というより、もうちょっと広げて、ぜひ財政改革というような範囲まで広げてこれから考えていく必要があると思います。その中の一つとして、国と地方との税源配分を考えなければいけないのじゃないかなと思うのですが、前回の消費税を含んでの税制改革においても、従来から言われた分については基本的には手を触れられていないわけですね。  その点で一つだけ事例を指摘したいと思います。  ことしの地方税収が約二十八兆円ございます。都道府県税と御存じの市町村税が当然あるわけですけれども、都道府県税で法人税分が五〇%ぐらい、半分が法人税関係で、法人住民税だとか事業税、こうなるわけですけれども、それで五〇%。それから市町村税では二五%近くですから、約四分の一がいわゆる法人関係なんですね。そして、法人税は御存じのように非常に景気変動に左右されるわけでして、従来から地方財政にとってあるいは地方税収にとって安定的な収入が確保されなければいけないということが言われており指摘されているわけですが、そういうことを考えますと、今指摘しましたように法人税のウエートが都道府県においても市町村においても多いということは、今は景気がいいわけですから非常に税収が上がり、そしてまたこれが交付税にも連動してそれが多くなってきている、こういう状況が今生まれているわけですが、これからを考えていった場合、大臣御存じかと思いますけれども、所得税を地方にやって法人税のようなものは国だけにしたらどうかという一つの考え方もあるように言われております。  こういうことを考えますと、この法人税のあり方、国と地方で基本的に税源をどういうふうに配分していくのがいいのか、もっと安定的なものは地方に移していく、あるいは法人についても外形課税分を地方にやっていく、所得課税は国が取るとかいうことも一つ考えられるわけですけれども、これは自治大臣、自治省ということではなくて、日本の財政全体を考える場合の一つの問題だと思うのですが、それについて大臣お答えいただければお願いしたいと思います。
  18. 村山達雄

    村山国務大臣 国と地方はやはり車の両輪でございまして、両方の財政が安定すること、あるいはやはり成長していくわけでございましょうから、それに適する独立財源を持っていることは必要なことだと思っております。現行はもう御案内のとおりでございまして、三税の三二%、それから消費税の今度は二四%、たばこ税の二五%、こういうのが入っているわけでございます。地方の財源確保につきましては、毎年財政計画をつくる際に十分見まして、不足財源がないようにということで両省で十分打ち合わせてやっておるところでございます。  その税源配分の問題の前に、今問題になっておりますのは国と地方の役割分担、費用負担、それから事務配分をどうするか、この先決問題がまだ進行中であるものでございますので、独立財源のところまではまだなかなかいってない。しかし、独立財源のことをいいますともういろいろな経緯がありまして、そしてこれは重大な影響を及ぼすものでございますので、それぞれの範囲内で手当てをしているということでございます。  最近で申しますと、どっちかといいますと地方税の方がいろいろな施策を講じているように、私はずっとタッチしておるので、これは一般的に申しましていろいろな工夫をしているのはむしろ地方税の方ではないだろうか、こう思っております。そして地方税はもちろん各地方団体の配分があるものでございますので、分割基準のようなものも非常に細かくやっておりまして、法人住民税の分割基準あるいは事業税の分割基準、こういうものを非常に細かくやっておる。そして法人住民税につきましてはもう資本要素を随分入れておる。本来でございますと法人事業税の方に求められる性質であるのかもしれぬものを、やはりいろいろな財政上の考慮でございましょう、資本金基準を法人住民税でも入れていることはもう御案内のとおりでございます。きょう、これはまだ聞いておりませんが、法人事業税を資本金基準で、外形標準でやるというようなのが出ておりました。これも前から非常に大きな検討課題になっているのでございますが、いずれにいたしましても、そういう努力は両方の、国も地方も払われているということでございます。  しかし、いずれにいたしましてもやはり国と地方の事務配分を中心にしたところの役割分担、費用負担のあり方、この方が先決するのじゃないか、私はそんな感じがしておるのでございます。
  19. 早川勝

    ○早川委員 そういうことを考えますと、役割分担もありますけれども税制改革もまだ残されていると私は考えております。  そこで、財政再建の問題で、一般会計は先ほど来お話が出ましたけれども、特別会計においてもやはり赤字という問題があるわけでして、これからの財政改革、財政再建はそこまで広げていく必要があるのじゃないかと思います。  特別会計は多々あるわけですけれども、きょうは国有林の事業の問題について触れてみたいと思います。  林野庁の方が見えておりますので、国有林事業会計の最近の特徴と問題点について簡潔にお話しいただきたいと思います。
  20. 高橋勲

    ○高橋説明員 国有林野事業につきましては、現在財政収支が非常に厳しい状況でございますけれども、昭和六十二年七月に改訂・強化しました改善計画に基づきまして、事業運営を改善合理化する、それから要員規模の適正化とか組織機構の簡素化を図る、それから自己収入の増大のために林産物、林野・土地の売り払い、こういうものにいろいろな工夫を加え、さらにヒューマン・グリーン・プラン、こういう森林空間利用というふうな新しい事業を展開しております。  こういうことによりまして自己財源確保することに最大限の努力を尽くしておりまして、さらに必要な所要の財政措置を講ずることによりまして経営の健全性を確立したい、そういうことから累積債務の減少にも努めていくということで考えております。
  21. 早川勝

    ○早川委員 そういう話ではなくて、では私の方から言いますが、ことしの予算で見ますと、御存じのように国有林野事業特別会計というのは国有林野事業勘定と治山勘定という二つの勘定から成り立っているわけですね。問題は国有林野事業勘定に関するところなんですが、平成元年度予算では予算規模が五千七百九十八億円ですから、約五千八百億円の規模である。そのうち財投からの借入金が二千七百億円ですね。いわゆる典型的な借金財政で運営されているということがわかります。なお、参考までに言いますと、治山勘定は千七百五十七億ですから約千八百億円ぐらいですが、そのうち一般会計等から千七百億円入っているわけです。  問題は、いわゆる赤字というのは、御存じのように国有林野事業というのは独立採算制ですね、収益事業を基本とするということになっているわけですが、そちらの方が今言いましたように五割近くが赤字財政になっているわけですね。その結果、これがずっと続いておりますが、平成元年度末においてこの累積債務は幾らぐらいになりますか、これをちょっと教えてください。
  22. 高橋勲

    ○高橋説明員 お答えいたします。  六十三年度、まだこれは確定でなくて見込みでありますが、債務残高が約一兆九千億になんなんとしております。元年度の予算といたしまして借入金を二千七百億予定しておりますので、元年度の末には二兆円を超す債務残高になると考えております。
  23. 早川勝

    ○早川委員 問題は、先ほどヒューマン・グリーン・プラン等の具体的な計画を説明されたわけですけれども、今、元年度予算で約六千億円の予算規模のうち借入金が二千七百億円、それから累積債務が約二兆円になる、こういう状況なわけですけれども、この赤字がなくなる展望と累積債務の処理の問題についての見通し、もしありましたらお聞かせいただきたいのです。     〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
  24. 高橋勲

    ○高橋説明員 先ほど部分的にお答えしたわけでありますけれども、累積債務の解消も含めまして私ども事業を実行しておるわけでございますので、事業運営を効率化する、あるいは自己収入をふやす、こういうことで自助努力を最大限に尽くし、そういう中で累積債務を減少に導いていく、こういう方針でやっております。
  25. 早川勝

    ○早川委員 とてもじゃないけれども、そういうことでは累積債務がなくなることはないと思うのですね。  それで、前回のときにも大臣にも伺った記憶があるわけですけれども、この事業会計に対して昭和五十三年度から一般会計から繰り入れが行われております。五十三年度スタートのときの四十八億円から累年増加してきておりまして、ことしの予算ですと百六十四億円が一般会計からその事業勘定に繰り入れられております。  問題は、この国有林の今の事業を考えた場合、従来から独立採算で収益事業をやって、当初昭和二十二年から設けられた特別会計のいわば前期くらいのときには一般会計に繰り入れたわけですけれども、今は赤字になっているということを考えていく中で、そういう独立採算で収益だけがこの事業勘定の目的だということは今の時代にそぐわないのじゃないかなという感じがするわけですね。やはり森林というものは、これは国有林、民有林問わずですが、公益的な機能がある、あるいは保水ですね、水の問題、あるいは空気の浄化機能だとか、いろいろな問題があります。私たちはそういうことを考える時代を迎えておりますし、また環境問題が国際的な関心を呼んでおります。その中での大きな柱が森林だ、こう言われておりまして、森林は地球公共財、地球的な公共財だという指摘もなされております。  そういうことを考えますと、この機会にこの国有林野事業につきましても、今は事業勘定と治山勘定、二つしかありませんけれども、もっと森林の公益的機能、公共的機能というものを考えていただきたい。それを考えるということは、これは国民全体として、そして財政的には一般会計の分野でもっと面倒を見ていかなければいけないんじゃないかというふうに帰結するわけですけれども、その点について、今現在、林野庁の状況だけ伺いましたけれども、森林の保護育成について、そしてその重要性について大臣はどう考えられているのかという点が一つ。  それからもう一点は、その公共的機能を重視すればするほど、一般会計としてもっと財政的な配慮をしなければいけないのではないかというのが二点目です。  それから三点目は、累積債務ですね。今年度末二兆円を超える累積債務に対して、やはり国、一般会計の方で配慮していかないと、第二の国鉄じゃございませんけれども、ああいった事態を引き起こすのじゃないかということも懸念されますので、配慮いただきたい。  この三つの点につきまして最後に伺いまして、私の質問を終わります。
  26. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 御指摘のような国有林野事業の現在の厳しい財政状況でございますので、本来独立採算ということで運営しておりましたものにつきまして、臨時的なものとして一般会計からの繰り入れがいろいろ行われておるわけでございます。また、治山事業につきましては、これはすべて一般会計負担で実施をするということなのでございます。  先生のお考えは、恐らく公益的なものについてもっと幅広くこれをとらえて一般会計からの繰り入れを一層積極的に考えるべきではないかというお考えであろうかと思います。確かに森林というものは、林産物を生産するというだけではなくて、国土の保全であるとか水資源の涵養であるとか、こういう公益的機能を当然持つものでございますが、この公益的機能の発揮というのは、また逆に、その適切な通常の森林施業といいますか、これを通じて出てくるものであろうかと思います。したがいまして、林産物の生産活動と公益的な部分というものがどうしても一体として生まれてくるのが林野の事業なのではなかろうかと思います。公益的機能のみ切り離してどうこうというのがなかなか難しいものであろうかと思います。  私どもとしては、御承知のとおりとは思いますが、臨時的なものとして、保安林の造林でございますとか林道整備、保安林の保全管理、それから御承知のとおりの退職手当の問題、償還金財源、こういったものに着目をした一般会計からの繰り入れを誠意を持って行っておるということについて御理解を賜りたいと思うのです。しかし、今後とも、累積債務も出ております、大変な問題であろうかと思いますが、所要の財政措置とともに、やはり徹底した自主的な改善努力ということによりまして、国有林野事業の経営の健全性の確立に必要な基本的な条件整備というものをなお追求してみるべきではなかろうか、そういうことの中で国有林野事業の使命の円滑な達成に私どもとしても協力をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  27. 村山達雄

    村山国務大臣 今、次長から御説明がありましたが、国有林野という問題は、環境保全、水資源の保護、そういった問題からいいまして非常に重要な問題でございます。一方、このように現実に赤字がどんどん出ているという問題でございます。経営改善努力というのは絶えずやらなくちゃならぬわけでございますが、大変な赤字になっているという問題は、両省で本当に検討していかなければならぬ。今御提言の問題も、長期的な問題としては両省とも十分に踏まえて検討すべき問題であろう、このように思っております。
  28. 早川勝

    ○早川委員 終わります。
  29. 中西啓介

    中西委員長 矢追秀彦君。
  30. 矢追秀彦

    ○矢追委員 初めに、消費税の問題につきまして、後に詳しく森田委員より質問がございますので、私は簡単にお伺いをいたします。  最近、大蔵大臣も見直しの発言をされておるわけでございますが、私たち消費税は撤廃すべきである、こう主張しておるわけでございますが、仮に見直しをされるとしますと、その見直しに至る手続き、それから時期、どの点をどう見直すのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  31. 村山達雄

    村山国務大臣 どこを見直せということは、実は税制改革法の十七条の第三項でもううたっているわけでございますので、どこを見直すかというのは与野党の共同で入れた修正案でございますので、そこをやるわけでございます。念のために申し上げますと、一つは事務負担がどういうことになっているか、あるいは価格転嫁の現実の状況がどうなっているか、それから、このことによって公平という観念が損なわれているかどうか、定着状況を見ながらその三点を総合勘案しなさい、こういう趣旨でございます。  そして、四月一日から導入いたしましたが、一番遅い――一巡いたしますのは来年の五月で、三月決算の法人の分でございます。したがいまして、現実に見直すとしても一巡後でなければできないわけでございます。しかし、検討は早く始めた方がいいなということでございます。これは、国会における諸先生のいろいろな意見がありました。早く始めろ、こういうことでございますので、以上の点を見直すにはどういう点をチェックしたらいいか、こういうことをはっきり決めまして、そうして国会が済みましたら早々にでも政府税制調査会の方に御勉強を願いたい、こう思っておるところでございます。
  32. 矢追秀彦

    ○矢追委員 政府税調にお願いをされるにしても、やはり基本的な方針、今言われた点以外のもっと抜本的な見直し的なものも含めての見直しと言われるのか、今大臣が言われたような税制改革法の中の範囲内にあくまでも限る、こういうことなのか、どちらでございますか。
  33. 村山達雄

    村山国務大臣 改革法の中で言われたことを見直すわけでございますけれども、それを見直すにはどういうポイントをやったらいいかということは特にはうたっていないわけでございます。ですから、その問題は恐らく免税点の問題であるとか簡易課税の問題という問題も一つでございましょうし、あるいは帳簿制度というものがどんなふうに定着しているのかということも一つでございましょう。またいろいろな、仕入れに係るものを今仕分けしているわけでございますが、これがどれほど事務負担をかけているのかという問題、そういうもろもろの問題をチェックしていく必要があるんだろう、こう思っております。
  34. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今少しお触れになりました免税点、これだって引き下げるとなりますと大変また反対も出てくる。あるいはまた、簡易税率にしてもそういうことがあるからということで特に中小零細企業の方の了解を得られたやに理解をしておるわけでございますし、また帳簿の問題。今言われた問題は、どっちかというと非常に反対の強いものではないんですか。ということは、もっと逆にそれを厳しくするのか甘くするのかというふうなことになってくるんじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがですか。
  35. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 先ほど大臣の御答弁がございましたように、総理からもまた大臣からも税制調査会で勉強してみるようにという御指示をいただいておりまして、税制調査会会長とも御連絡をとっているところでございます。大臣のお話にございましたようにできるだけ早くということで考えておりますが、具体的にどういうように勉強を始めるかというのは、税制調査会の御意向もあることでございますけれども、主として今話題になっております中小企業者に対する特別措置等についてどのように考えるか、その辺が中心になるのだろうと思います。先生方の御意見でもう少し話が広がるかもしれません。  ただ、現実の問題といたしまして、実は簡易課税一つとりましても、この九月の末になりませんと簡易課税の選択者がどのくらいになるのかということすらわからないわけでございます。そういう状態でございまして、現在におきましては、四月からスタートいたしました消費税、それについて末端その他で事業者がどのような値決めをしたかとか価格表示についてどのようにしているかとか、そういう全くその事業者サイドの値決めのところでとどまっているわけでございまして、実際の申告納税等は九月以降になるわけでございます。したがいまして、勉強につきましてもだんだんステージで内容が変わってくることになるのではないかなというように思っております。  委員御指摘のとおり、両方の見方があろうかと思います。簡易課税の問題をとりましても、免税点をとりましても、いろいろな見方があろうかと思いますので、幅広く各方面の意見を伺いながら勉強を続けていただくのではないかなと思っております。方向を特別に決めて、それに従って税調の審議を始めていただくということではございません。
  36. 矢追秀彦

    ○矢追委員 消費税をやり出しますと切りがありませんのでこの辺で終わりますが、私たちは撤廃をあくまでも要求してまいりますし、百歩譲って見直しということになったにせよ、ひとつ抜本的にまず不公平税制の是正ということから始めて、その上で消費税の欠陥、九つの懸念ともう成立前から政府は欠陥商品であるということをお認めになっているわけでございますので、その点は国民の理解の得られるような論議を税調でもやっていただきたいし、またそれを受けて政府もぜひお願いをしたいと思います。  それから、次に円安の問題でございますけれども、けさ私の見たニュースでは百四十八円台でございました。急激な円安になりつつあるわけでございますが、まず、この円安の原因をどのように見ておられるのか。
  37. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 ただいま委員御指摘のとおり、このところ、特に円安というか、ドル高の状況が見られるわけでございます。  これもよく御理解いただいておりますように、私どもがマーケットでどういう原因でドル高が起こっているかということを公的な立場で申し上げることがまたマーケットに影響を与えるということもありますので、詳細にわたることは差し控えさせていただきますが、基本的に見まして、いわゆるファンダメンタルズに根差したというよりも、どちらかというと思惑的あるいは投機的な動きがこのところ強まっているというふうに私どもは見ているわけでございます。
  38. 矢追秀彦

    ○矢追委員 スペキュレーションという見方が強いような今の御答弁でございますけれども、ということは、近い将来また円高に戻るという可能性を考えておられますか。
  39. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 マーケットにおいては、依然として、先行きという点ではこんなにドル高が続くはずはない、いずれドル安になるだろうという見方もかなり強いわけでございます。私どもとしては、やはり乱高下というのは困るので、あくまでも安定的な形でファンダメンタルズに合致した為替相場というものが形成されていくことが必要だと思っております。
  40. 矢追秀彦

    ○矢追委員 こういった円の相場の非常に急激な動きはいろいろなところに影響を及ぼすわけでございますが、特に石油、電力業界、産業界には大変な不安が出てきておるわけでございまして、ひいては円安が結局は物価高、インフレになってくるということで、国民生活にも大きな影響が出てくるわけでございます。こういうメカニズムですから、ある程度はやむを得ないにせよ、いろいろ国際的に議論もされてこういった乱高下は食いとめると言いながらもなかなか食いとまっていない。  特に、今回公定歩合を九年ぶりに引き上げられたわけでございますが、それの効果というのは円安に対する抑止効果にはならなかったのじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがですか。
  41. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 為替は、先ほどの思惑的な問題も含めましていろいろなファクターで動いているものですから、中央銀行による、特に日本銀行の先般の公定歩合の引き上げがどの程度の影響を持ったかということは、これだけを引き出して判断をするというのはなかなか難しいように思います。
  42. 土田正顕

    ○土田政府委員 補足いたしまして、為替レートと物価との関係につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  このところの為替レートの、これまでのところでは短期的な変動、これが物価にどのような影響を与えるかということは、一概に申し上げることは困難だと思います。我が国の物価の動向全体は、これまでのところ安定圏内にあると考えておるわけでございます。  なお、仮定の問題として、こういう状況が長続きする場合には、これは相当のタイムラグを伴って先々輸入物価の上昇、それが国内物価に波及してくるということも考えられるわけでございますが、しかし、通常このような物価の形成につきましては、単に為替レートの要因のみならず、需給とか賃金とか金融市場の動向その他さまざまな要素が反映されるもので、一義的には申し上げられないわけでございます。  それから、このタイムラグにつきましては、輸入物価の上昇のコスト効果が国内物価に完全に反映されるまで、一説によれば約三四半期程度のかなり長いタイムラグを伴うとも言われておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今後先行きを注視してまいりたいと考えております。
  43. 矢追秀彦

    ○矢追委員 昨日の新聞によりますと、大蔵省首脳の発言ということで、「(円が)自律反発すると思うが、しない場合は新しい戦略を考える」、こういう発言が出ておるわけでございますが、大臣、今後こういった問題について、G7の場も含めまして新しい戦略というものを検討されておるのですか、それとも今までと同じようなやり方でされていくのか、その点はいかがですか。
  44. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 その発言自体で新戦略というのがどういうコンテクストで言われたかということもあるのですけれども、それはそれといたしまして、例えば、状況状況におきまして通貨当局の為替市場とのかかわり方、あるいはそのかかわり方との関連で関係主要国とのかかわり方、そういったものをその状況に応じて総合的に考えていくということは常時やっておりますし、これからも一層やっていかなければならないと思っております。
  45. 矢追秀彦

    ○矢追委員 この問題の最後で大蔵大臣にお伺いいたしますが、今国民の不安というのは、インフレ傾向ということに対する不安が多いのじゃないかと思います。一つは今申し上げた円安の問題、それから公定歩合が引き上げられた、さらに消費税というのがかかってきている、さらにいわゆるマネーサプライも大変多い、土地も東京はやや上昇がとまりつつありますが地方はまだ上がっておる、株価についても上がったり下がったりしておりますが全体としては非常に好調である、しかも最近土地がそううまみがなくなったというので、今度は美術品なんかの方に流れまして、美術品なんかはすごい値上がりをしておる状況であります。そういうふうなことで、インフレ傾向というのが今国民の非常な不安だと思います。  これに対する経済財政運営をきちんとしなければいかぬと思うのですが、その点について大蔵大臣いかがですか。
  46. 村山達雄

    村山国務大臣 今の問題でございますが、言えることは、消費税の影響というのは私の見ているところほぼ出尽くしたのじゃないかと思っております。もちろんこれは一過性のものであるということ、それから、なお消費者物価は諸外国の中では最も低位にある、これも事実でございます。ただ、将来の問題として、今の為替レートの問題であるとか、あるいは今まで日本経済の拡張あるいは内需中心の拡大を支えてきたところの円高とか原油安といった問題がだんだん逆方向に動きつつある、こういう問題は警戒しなきゃならぬというふうに今思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、今後の情勢を十分見ながら適切な施策を講じてまいりたい。今のところインフレというような心配はないということだけは確かだと思いますが、為替要因、一次産品要因、あるいは今後過熱になりゃしないかといった問題はやはり警戒していく必要がある。この前の公定歩合の引き上げというのもそういう意味の予防的な措置だというふうに私は受けとっているわけでございます。
  47. 矢追秀彦

    ○矢追委員 インフレではないとおっしゃいますが、土地などは非常にインフレでございますから、国民生活に影響のないように、土地の問題も土地基本法案等を私たち提案しておるわけでございますので、ぜひそういったことも含めて的確な運営をお願いしたいと思います。  次に、法案について質問をいたします。  初めに、昭和六十三年度の特例公債の発行額が当初予算規模より大きく下回っておるようでありますが、最終的にはどのような金額になると予想されておりますか。
  48. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 六十三年度におきましては、当初予算で特例公債の発行予定額を三兆一千五百十億と予定したところでございます。その後、年度中の歳入歳出全般にわたる状況を見きわめて可能な限り縮減を図るという趣旨で、補正予算の際一兆三千八百億、これを減額をしております。したがいまして、その段階では一兆七千七百十億というふうに考えておったわけでございます。この一兆七千七百十億のうち、結局、年度内におきましては九千五百六十五億円の発行を行っております。したがいまして、八千百四十五億円が未発行という形になっております。  御承知のとおり、六月三十日までの出納整理期間、この間にこの八千百四十五億円の分を発行する必要があるかどうかということになるわけでございますが、基本的に特例債の発行は極力縮減するべきであるという財源確保法の従来からの趣旨も踏まえまして、今後、間もなく五月分の税収動向の判明もあろうかと思いますので、この辺をよく動向を見きわめ、適切に処理をするということで進めてまいりたいと考えております。
  49. 矢追秀彦

    ○矢追委員 当初予算ベースからいきますと大体三分の一になるわけでございます。この原因はどこにあると見ておられますか。
  50. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 ただいま申しましたように、特例公債の発行につきまして、本来極力その発行は抑制すべきものであるということもございまして、この発行につきましては、年度の中で歳入歳出全般の状況、推移を見ながら、ただいま申し上げたようなことで補正において減額する。そして、実際には年度内の発行は九千五百六十五億ということでとどめてまいったわけでございますが、やはり基本的には六十三年度におきます税収につきまして、経済の実体的な生産活動との関係がなかなか難しいと思いますが、株式、土地等の資産取引の引き続く活発化や円高差益の発生ということ、この一時的な要因から極めて税収の収支が好調であったということが大きく影響しておるというふうに考えておるわけでございます。
  51. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私は昨年の本委員会でも、六十三年度の税収見込み四十五兆九百億円につきまして、前年度、六十二年度の当初比九・五%増、補正後比四・六%増、これは過小の見積もりではないか、こういう質問をしたわけでございます。このときの大蔵省側の答弁は、個別税目ごとに適正に見積もっている、こういう答弁をされたわけですが、一年たって決算ベースで見ますと、六十二年度決算は四十六兆七千九百七十九億円、当初見込み四十一兆千九百四十億円を五兆六千億円と大きく上回っておるわけでございまして、六十三年度の当初税収見込みをも上回っておるわけですね。私は、意図的に税収見込みを低くしたものではないかという疑いも持っておるわけでございます。平成元年度では税収見込みが五十一兆百億円、前年度当初比一三・一、補正後比六%、こうなるわけでございますが、これは適正な見積もりと言えますか。いかがですか。
  52. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 委員のお話にございましたように御指摘もいただいた問題でございますけれども、このところ税収見積もりと決算との間にずれが生じておりまして、まことに申しわけないことだというように考えております。しかしながら、私ども与えられた限りのデータをもとにしまして、個別に積み上げて計算をしているわけでございまして、決して特別の意図を持って過小に見積もっているということではございません。土地の価格でありますとか株価でございますとか、あるいは為替の状況でございますとか石油の関係でございますとか、いろいろなことが重なりまして、大体相場として一・一と言われているような弾性値を大きく上回るような状況がこのところ続いているということでございます。  六十三年度の税収につきましても、なお一カ月分、五月分の税収につきまして残しているわけでございますけれども、これまでのところ比較的好調にまいってきておりまして、相当程度といいますか、ある程度の自然増収は期待されるところであろうかというように考えております。  平成元年度の税収につきましても、この数年の法人税の状況等を考えまして、見積もりの方法等につきましても工夫を凝らしまして見積もっているところでございまして、見積もりの線で適正にいくのではないかというように期待をいたしております。ただ、何分にも年度が始まったところでございまして、税収の状況、まだ何とも申し上げかねるところでございます。御承知のとおり、平成元年度と昭和六十三年度との間には大きな税制改革がございまして、税制が大きくモデルチェンジをしたところでございますので、これまでのように前年度の自然増収がそのまま土台になるというように考えることもまた難しいのではないかという気がいたしますが、私どもといたしましては一生懸命適正に見積もったつもりでございます。
  53. 矢追秀彦

    ○矢追委員 欠損よりは多い方が結構なことでございますが、それにしても国家予算というのは非常に重要なものでございますから、やはり正確な税収見通しを計上することは非常に大事である、私はこのように思うわけでございます。しかも特例公債というのは、本来税収が足りないから特例として発行する、それを認めておるわけですね。だから、その前提としての税収の見通しが余りにも実態とかげ離れていますと問題である、こう言わざるを得ないのですが、大蔵大臣、いかがですか。
  54. 村山達雄

    村山国務大臣 今、主税局長からお話があったのでございますが、やはり税収見積もりというのは的確でなければいかぬということはおっしゃるとおりでございまして、今後ともこれを的確にやるように努力してまいりたいと思っております。  特例公債につきましては、これは財政法からいいましても、そしてまた財政のあり方からいいましてもいかぬことでございますので、特例公債の脱却においては、さらにまた財政のあるべき姿について財政審を中心にして今後検討してまいりたい、このように思っておるところでございます。
  55. 矢追秀彦

    ○矢追委員 いずれにいたしましても、好調な景気の拡大に支えられまして、政府平成年度特例公債発行ゼロ、この目標はどうやら達成されそうな見通しになってきていると私も思います。  その点は非常に結構なのでございますが、これも私は再三この委員会でもずっと指摘をしてきたことでございますが、国債残高は、特例公債発行ゼロにもかかわらず、それから後ずっとふえていくわけでございます。しかも今、百六十二兆円ですね。GNPの約四一・五%、一般会計に占める割合が一九・三%、これは先進国の中でも最も高い水準になっているわけです。米国は一四・八、西独が一一・二、フランスが一〇・二、こういうのに比べますと非常に高いわけでございまして、今後財政再建の中でこの国債費のあり方をどう考えておられるのか、まず考え方をお聞きしたいと思います。
  56. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 国債費が歳出予算の二割近くを占めておるということで、財政の対応力が非常に圧縮をされた姿になっておる、大きな問題であるということは常々御指摘をいただいているとおりでございます。私どもといたしましては、結局のところ、いろいろな問題があろうかと思いますが、やはり国債費に関しては、借換債を含めまして総公債発行額の抑制ということに何とか努力をして、長期的に国債費のシェアの縮小を図っていかなければならぬと考えております。  ただ、国債費につきましては、総公債発行額をどのくらいどの時期に抑制していけるだろうかということになってまいりますと、やはりときどきの経済社会情勢の中で、毎年の予算編成の過程で最大限努力をして、その結果としてどういうものが出てくるかということを見なければならないという難しさがございます。それからもう一つ国債費のシェアは、やはり金利などの経済情勢にもかなり影響されるものでございます。こういったような問題がございます。  それからさらに申し上げれば、償還費の定率繰り入れと申しますか、償還費の国債整理基金への繰り入れといったようなものをどの時期にどういうふうな形で行うか。御承知のとおり現在とまっておるわけでございますけれども、例えばこういうものがどう扱われるかということによっても、国債費というものの大きさなり歳出に占めるシェアというのは非常に大きく変わり得るわけでございます。現在の段階でそれらの材料を持ちかねておるような状況でございまして、いつまでにどの程度まで引き下げていくのかという具体的目標をお示しすることはなかなか困難な問題でございますが、極めて大きな課題であるという認識のもとで、さらに検討を進めさせていただきたいと思っております。
  57. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大蔵省の仮定計算では、国債残高はますますふえまして、平成十四年には残高は二百兆円を超えるわけですね。利払い費は十一兆六千億円に達する、こういう試算になっておるわけでございます。もちろん十四年先の経済情勢を見通すことは大変困難でございますが、先進諸外国から比べても異常に高い国債費、それは結局、最後は財政の硬直化を生んでいくわけでございますので、今いろいろ答弁ございましたけれども、今後の国債発行はきちんとしていかなければならぬ、こう思うわけでございます。その点について大蔵大臣の見解をちょっとお伺いしたい。
  58. 村山達雄

    村山国務大臣 現状を考えましても、今後の財政運営の基本方針をどこに置くかということは非常に難しいわけでございます。また、将来建設国債に限定されるといたしましても、建設国債をどれだけ発行するのかというのは実は非常に難しい問題でございまして、それはやはり社会資本の充実という関係もございましょう。もう一つは、景気変動にどう対応するかということで、よくこれが使われるわけでございます。しかし、財政というものは長いものでございますので、その辺のところをどの辺に置いていくかという難しい問題があると私は思っております。現状で絶えず固定されるわけじゃございません。今委員がおっしゃいましたように、先へ行って残高がふえるんじゃないかというお話でございますが、それがまた償還についてどういうふうに今後持っていくかという問題にもなるわけでございます。  御案内のように、現在六十年償却ということで、現金償還分を大体定率繰り入れ相当分やっているわけでございますが、また、相当金利の高いときに発行したものもあるわけでございます。こういうもろもろの問題を抱えて今後の財政再建目標を立てていくということでございますので、一年間ひとつ財政審議会でとっくり勉強していただこう、こう思っております。委員の御指摘になったこの重要性は肝に銘じておるわけでございます。
  59. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私が何が何でも残高を減らせと言っているのではないのです、もちろん減らさなければいけませんが。  というのは、国債というのは、現在我が国の金融・証券市場にとりましても安定した材料になっているのも事実でございます。国債そのものが昔とさま変わりで、昔はなかなか引き受け手がなくて、シ団に対して非常に苦労されておりましたが、今は逆にもっと欲しい、諸外国まで欲しい、こういうふうな状況になっていることは非常にさま変わりと思うわけでございまして、そういった面では、ある程度は私は構わないと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、財政の中に占める国債費が二〇%というのはやはり大き過ぎるのではないか。だから、今後ある程度目標を決めて、これくらいの国債費にする、あるいは残高はこの程度にする、あるいは利払い費はこうなんだというアバウトな目標でも立てて進まないと、どうも毎年毎年の行き当たりばったりになっておる、このように思うわけでございますので、その点についてはいかがでございますか。
  60. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 国債費というものをどのようにこれから考えていくべきかということでございます。先ほど申し上げましたようなもろもろの要素がございまして、そのときどきで国債費というものがどう変化するかということにつきまして的確に見通すことがなかなか難しいわけでございます。  と同時に、今先生、目標値を定めて、そこに収れんさせていくことは考えられないかということでございますが、これもなかなか難しい課題であろうかと思います。非常に卑近な言い方を申しますと、歳出規模をある程度大きくいたしますと国債費比率が下がったように見える。例えばそんな形で国債費率が低く見えるというだけでは、これは意味もまたなかろうかと思います。実質的な意味で総公債発行額の抑制に努めながら、実質的に意味のある国債費の引き下げというものをどういうふうに実現していくかということでございます。その目標値の設定方式というのは極めて難しいものがあるのではないかと考えておるわけでございますが、いずれにしても国債費の引き下げということは重大な課題というふうに、今大臣もおっしゃいましたように肝に銘じて検討を進めてまいりたいと考えております。
  61. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、今回も国債費の定率繰り入れを停止しておるわけでございますが、今や減債基金制度というのは本来の機能を失っておる、こう言わざるを得ないわけでして、赤字国債の借りかえにも追い込まれておるわけですね。しかもNTT株の売却等で補っていける期間ももうあとわずかである、このように思うわけでございまして、そういった状況の中で、まず売却益で補えるのはどれくらいと考えておられますか。ケースA、ケースBとも三年になっておりますが、やはり平成年度までという見通しですか。
  62. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 ことしの二月に国会にお出ししております国債整理基金の仮定計算でございますが、この中ではNTT株式のうち国債整理基金特別会計に所属をしております株、これは御承知のとおりNTT株全体の三分の二でございますが、これを平成年度まで売却するという仮定を置いているわけでございます。こういう形で進めますと、三年度までは定率繰り入れを停止いたしましても国債の償還に支障は生じないという姿になっておるわけでございます。ただ、NTT株の売却につきましては、現下のような情勢の中でいろいろ難しい問題もまた生じてこようかと存じますが、計算上は、先生御指摘のとおり平成年度までの売却で、三年度までの定率繰り入れを停止して償還財源に支障を生じないという計算でございます。
  63. 矢追秀彦

    ○矢追委員 その減債基金制度でございますけれども、定率繰り入れで償還財源をつくる方法ですが、これは日本のみで他の先進国ではやっていない、このように言われておるわけです。この減債基金制度をやはり抜本的に見直して、そして国債管理政策というものを再検討しなければならぬと思うのですが、その点についてお伺いしたいと思います。  と申しますのは、財確法の前のいわゆる財特法と言われた時代、要するに特例公債は必ず現金で返しますということをずっと言われてきて、現金で返せないことがわかっておる段階になってもまだ返せると頑張っておられた。村山大蔵大臣のときもあったか、質問したかどうかちょっと記憶にありませんけれども、私も借りかえしなければもたぬじゃないかと何回も主張したわけですが、いや絶対現金で返します、こう言ってこられて、結局借換債に変わってきて、それがずっと今続いてきている状況ですね。私もこの減債制度については、先ほどの残高の問題とともに前々から強く主張してきておるわけでございますので、一つの区切りとして、来年度は特例公債発行ゼロになる年度ですから、この辺から財政再建の本格的なスタートということで、ひとつこの減債制度並びに国債管理政策というものをきちっとしていただきたい、私はこう思うのですが、大臣、いかがですか。
  64. 村山達雄

    村山国務大臣 今おっしゃったことの重要性はよくわかっているわけでございます。これも今後の財政のあり方に関する基本的な問題になるわけでございまして、現行の制度で一体予算の上限を、歳出予算を総額でどれくらい伸ばすのか、GNPの伸びとの関係でどう見るのかという問題が一つありましょう。かつて財政が悪化したときに、GNPの名目の伸びが一〇%のころに、十年間くらい一般会計の伸びが一五%を続けたという時代がございました。その当時は、いやそれは景気が出れば税制の弾性値でもってうまくいくのだ、こういう議論が随分ありました。そればかりではございませんけれども、それが今日の財政状況を招いたということはよく承知しているわけでございますので、そういった国債全体の管理政策のあり方、こういう問題もその視点からひとつ十分検討させていただきたいと思っております。
  65. 矢追秀彦

    ○矢追委員 特例公債の借りかえ分がふえてきておるわけですけれども、残高百六十二兆円のうち借換債分はどれくらいでございますか。
  66. 足立和基

    ○足立政府委員 元年度末の国債残高見込みでございますが、今御指摘のとおり百六十一兆八千二百五十八億円と見込まれてございますが、このうち借換債は六十三兆七千四百八十億円、このように見込んでございます。
  67. 矢追秀彦

    ○矢追委員 そこで、償還ルールの問題ですけれども、この借換債の特例公債も建設国債も同じように六十年償還ルールが適用されておるわけでございまして、今年度発行された十年物の借換債の特例公債は平成六十年にならないと全額完済にならぬ。いつも議論に出ておりますが、孫の代までツケが回される。後世代に対する大変な負担になるわけでございますが、特例公債についてはできるだけ早期償還が望ましい。一度に償還できない現状であれば、別に新規の償還ルール、短縮したものを考えてはどうか。今まではキャッシュで返すということになっておったわけでございますから、その点のこともこれから考えていかなければならぬのではないか、こう思うわけでございます。ただ、経済が安定した成長をしていかなければなりませんけれども、こういう償還ルールもこの際見直すべきではないか、このように思うのでございますが、その点はいかがですか。
  68. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 申し上げるまでもございませんが、特例債は建設国債と異なりまして見合い資産が存在しないということで、この償還年限と申しますか償還ルールと申しますか、これの定め方は大変難しい問題であったわけでございますが、特例債が経常費を賄っておるという観点から申しますと、原理的にある一定の年限で償還をすべきという方式をきちっとつくるのは、性格上なかなか難しい問題があろうかと存じます。現在、財政事情にも左右されまして、結局やむを得ざる現実的な選択として、建設公債と同様のいわば六十年償還ルールというものをとることとしておるわけでございます。私どもいろいろ考えることがあるわけでございますが、当面、基本的には六十年償還ルールによらざるを得ないのかなという感じでございますが、これは常に検討課題であろうかというふうに思います。  また、そうした中でも、財確法の努力規定がございます。この趣旨を踏まえまして特例債の残高を速やかに減少させていくように、あらゆる努力を尽くしていくということが必要であろうかと考えております。六十二年度の補正予算と六十三年度の補正予算の際には、この財確法の努力規定の趣旨を踏まえまして、若干の金額ではございますが、国債整理基金の資金繰りに支障の生じない範囲で特例公債の早期償還に努めたところでございます。六十二年度の補正予算の場合は二千三百億、六十三年度の補正予算では二千四百億弱という金額でございますが、借換債に頼らずに現金償還でとめるという形で、いわゆる六十年ルールでありますと、借換債可能の金目からその分減額をしておるという努力もしておることを付言させていただきます。
  69. 矢追秀彦

    ○矢追委員 いずれにしても、国債整理基金特別会計法では、特例公債償還のための起債はできる限り行わないように努める、こういう規定があるわけでございますが、借換債の発行が新規財源債を上回る状態が続いておるわけでございまして、特例公債脱却のめどがついた現在、やはりこの借換債脱却の目標も示していかなければならぬと思うわけでございます。  そこで、この問題の最後になりますが、まず、来年度は恐らく特例公債発行ゼロになる、こう思うわけです。そういう意味では随分修正、修正を得て、ようやく政府の言われておる六十五年度特例公債脱却、すなわち平成年度ということになりますが、達成できるわけで、これは私は非常に結構なことだと思います。ただ、残念ながら、もとはもっと早く言われておったわけですね。それが随分延びてしまったわけです。それはいいと思いますけれども、これをもって財政再建ができたのだという認識に立ってもらうと困ると思うのです。むしろ財政再建の第一歩である。したがって、先ほどから申し上げておりますように、国債残高の問題、あるいは償還ルールのこと、あるいは減債制度のこと、また新たな財政再建へ向けての新しいものを出さないとだめではないか。しかも経済もこういうふうな状況でございますし、そういった上において、いわゆる財確法そのものも果たしてどうなのかということも検討の価値があるのではないかと思うわけです。  例えば、昭和六十二年度の財確法の趣旨説明の中では、大蔵大臣は、   御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には一段と厳しいものがあります。このため、政府は、昭和六十二年度予算におきまして、引き続き財政改革を一層推進するため、歳出の徹底した節減合理化を行うとともに、現下の経済情勢にかんがみ、景気の着実な拡大に資するためできる限りの努力を行うこととしているところであります。 六十三年度になりますと、   御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には依然として厳しいものがあり、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定、向上を図るためには、引き続き財政の改革を強力に推進し、その対応力の回復を図ることが緊要であります。 平成元年度は、   御承知のとおり、我が国財政は、巨額の公債残高を抱え、国債の利払い費も歳出予算の約二割を占めるなど、なお極めて厳しい状態にあり、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定向上を図るためには、引き続き財政の改革を強力に推進し、その対応力の回復を図ることが緊要であります。  この三年間を比べますと、私は村山大蔵大臣を評価するのは、巨額の公債残高と利払い費の二割ということをきちっとおっしゃって、厳しいとおっしゃっている。前の二年間も同じことなのですけれども、それが全然入っていなかったわけでございまして、こういう認識をされていることは大変評価するのでございますが、この財確法、ずっと同じものばかり毎年出てきているわけでございまして、こういったことも含めて新しい財政のあり方をやらなければいかぬと思うのですけれども、それはおやりになりますか。来年度予算編成までにできますか。
  70. 村山達雄

    村山国務大臣 今、矢追委員がおっしゃったとおりでございまして、財政再建、これからが大変だというところだろうと思います。ようやく特例  公債から脱却のめどがついたわけでございますが、おっしゃるような事情で、これからどうやっていくかというのが一番大事な問題でございます。したがいまして、毎年度の予算の組み方からして問題でございます。  それから、現在既に残高としてあるものを一体どういうふうにしてやっていくか、金利の高いものも安いものもいろいろあるわけでございます。減債基金制度もあるわけでございます。特例公債残高もあるわけでございます。こういった問題を抱えて、これから的確な目標を立てて、そして着実にやっていくことはやはり国民経済の基礎になると我々は確信しておりますので、せっかく勉強させていただきたい、こう思っているところでございます。
  71. 矢追秀彦

    ○矢追委員 勉強は結構なのですけれども、来年からさま変わりできるようにぜひお願いしたいと思います。  次は、先ほども議論に出ておりましたけれども、いわゆる隠れ赤字の問題についてお伺いしたいと思います。  六十二、六十三年度と税収増加に恵まれまして、当初予算で予定していた特例公債の発行を補正段階で削減いたしました。すなわち、六十二年度当初四兆九千八百十億円が決算では二兆五千三百八十二億円、六十三年度当初三兆一千五百十億円が補正後には一兆七千七百十億円、平成元年度当初予算では一兆三千三百十億円で、今申し上げたように財政再建の方の射程距離には入ったわけです。ただ、表に出ない隠れ赤字、大体二十六兆円と言われておるわけですが、これをどうするかという問題でございます。  御承知のように国債整理基金特会への定率繰り入れの停止分が十五兆五千七百三十四億円、その他本来一般会計が支払うべきものを特別措置として後年度に後送りしたものが十兆五千七百九十五億円、両方合わせて二十六兆円超、こうなるわけでございますが、一般会計の特例公債削減が五十八年から平成年度までではちょうど七兆円になるわけです。そうすると、特例公債削減額の四倍近いものが隠れ赤字として残された、こういうことになっておるわけでございますが、この隠れ赤字のことをやりますと、私が先ほども言ったように財政再建もこれからだ、こういうことになるわけでございます。  さらに、後年度へ負担を後送りしたものの多くは、平成年度、特例公債発行脱却後に返す約束だったと思うわけでございますが、その返済についての構想、それから計画、こういったことはどのようになっておりますか。六十三年度補正で厚生保険特会へは一兆五千七十八億円を返還されたわけでございますが、この構想、計画、また隠れ赤字をどうするか、これについてお伺いしたいと思います。
  72. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 いわゆる歳出の繰り延べ措置についての御質問でございますが、確かに国債の定率繰り入れをストップしてまいりました総額が十五兆を超えておりますので、これを加えますと、先生おっしゃいましたように二十六兆という数字が歳出の繰り延べの総額になるわけでございます。  今後要処理の残高というものはどういうふうに考えるかということにつきましては、慎重に検討したいと思いますが、私ども感じで、定率繰り入れの分については、いつも申し上げておりますように、NTTの売却益にも助けられまして国債償還は着実に行われてまいったということから考えますと、これは後々まとめて国債整理基金に一般会計からどかんと繰り入れなければならないという性質のものではなかろうと思います。ただ、おっしゃいましたように、これまで定率繰り入れを合わせて二十六兆という歳出の繰り延べのお世話になってきたということは事実でございます。  なお、先生は赤字国債の減額は七兆であり、歳出の繰り延べは二十六兆というふうに対比をなされたわけでございますが、二十六兆は長い間の累積のいわば面積のようなものでございまして、一方、国債の削減額は、ピークから平成年度、元年度までの間で七兆といういわば高さが減ってきたということでございますので、単純に数字の比較はなかなか難しいかと思います。しかし、先生の御指摘のような感じ一つあるということは事実かと思います。  そこで返済の問題でございますが、一つ一つについてただいま申し上げることは避けたいと思いますが、例えば国民年金の平準化措置でございますとか、地方財政に関する繰り延べでございますとか、あるいは住宅金融公庫の利子補給の繰り延べでございますとか、これらにつきましてはどのように今後将来的に処理をしていくかということにつきましては、立法が存在しておるわけでございますので、一応この立法に従っていくのかなという感じでございます。大きなものとしてあと残りますのが厚生年金の繰り入れ特例などが主なものになるわけでございますが、これは法律では、一般会計が特例公債依存体質から脱却した後に速やかに適切な措置を講ずるという感じになっておりますものですから、この辺についてどういうふうに取り扱うかを考えていかなければならないと思います。  先ほども申し上げたわけでございますが、ただいまの段階で何年度にどのようにお返しをしていくということをにわかに申し上げられない状況でございますけれども、いずれにしても、これにつきましては重要な課題としてその処理について検討を進めてまいりたいと思っております。先生御指摘のように、昨年の補正予算の段階で利子を含めまして約一兆五千億の返却をしたわけでございますが、このようないわばアドホック方式だけに頼っていることでいいのかどうかとか、その辺はさらによく検討させていただきたいと思っております。
  73. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今も言われました六十三年度補正で厚生保険特会へ繰り入れされたのが、元本が一兆四百九十億円、これは五十七年から六十年度分、利子が四千五百八十八億円となっていたと承知しております。これは利子をつけて返さなければいけませんので、そういう点になりますと利子の負担というものを一応計算に入れなければなりません。したがいまして、特別措置分の今日時点での利子、それから負担額といったものはどれぐらいになるのか、単年度で利子負担はどの程度になるのか、わかりましたら教えていただきたいと思います。
  74. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 歳出の繰り延べ措置に伴います利子あるいは運用益相当額というものが発生していると考えられるわけでございますが、厚生年金の国庫負担金の繰り延べ措置に係る利子相当額につきましては、五十七年度から六十年度までの分についてはもう利子つきで処理が済んだわけでございますので、六十一年度から平成元年度予算までの繰り延べ額に係る運用収入相当額というものを機械的に計算してみますと、元年度末で千五百三億円というふうに出てまいります。  それから、国民年金の国庫負担金の平準化措置でございますが、元本の方は法律に従って順次繰り入れられていくことになっておりますということをさっき申し上げましたけれども、やはり運用収入相当額というものが機械的に計算はできるわけでございまして、これは元年度末で四千八百九十四億という数字になっております。  それから、住宅金融公庫の利子補給の繰り延べにつきましては、元年度末までの合計で千六百七十五億というような数字でございます。  政管健保につきましては、これは短期保険でございますことから、保険財政上のいわゆる運用収入云々ということが前提となるものではないと考えておりますので、現在利子相当額について計算はしておりません。  最後に、大きいのが地方財政対策の改革に伴います特別会計の借入金の一般会計負担の利子でございます。これは、五十九年度以降元年度までのものに係ります総額が二兆二千七百五十三億ということになっております。ただ、これは国債費の方で処理がなされることになっておるわけでございます。  定率繰り入れの停止につきましては、先ほど来申し上げておりますような性質のものでございますので、運用利子相当額というような概念は出さなくてよろしいのだろう、こんなふうに思っております。  以上申し上げましたように何種類かございますが、単年度でどのくらいそれが出ておるかということでございますけれども平成元年度では厚生年金六百六十五億、住宅公庫三百三十八億、国民年金千百十三億、地方財政借入金四千億、こんな出方をしております。これを含めまして、累計が先ほど申し上げたような数字になっておるということでございます。
  75. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今のをきちっと計算してやる時間がありませんので、ちょっとこちらで簡単に、アバウトな考え方で恐縮でございますが、六十三年度補正の厚生保険特会でいきますと、元本に対する利子分の比率が四三・七%になります。仮に元本の四〇%として特別措置分の利子が四兆三千億円超、五〇%なら五兆三千七百億円超ということになりますので、いわゆる隠れというのは二十六兆円ではなく、実際は三十兆円くらいになるのではないかと思うのですが、この辺はいかがですか。大体アバウトそう考えてよろしいですか。
  76. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 ただいま歳出の繰り延べの元本に利子を加えてというお話でございましたが、これらをすべて合計した数字をお示しすることは、各制度の趣旨等に相違があることから適当ではないと考えるわけでございますが、住宅公庫の分でございますとか地方財政の分につきましては算入済みとなっておりますのと、それから定率繰り入れに関しては利子額というものを算入するのかな、そこはまあ極めて疑問があろうかと思います。私ども感じで、先生のおっしゃられ方に合わせて単純に計算をしてみますと、定率繰り入れを除く分で十兆余りと申し上げておりますのが十一兆二千億円程度になるのではないだろうか、それに定率繰り入れ、これは素直に、いわばその繰り入れた元本額をそのまま足すということでお許しをいただきますと、合計が二十六兆八千億円程度と言えるのではなかろうか、私どもとしてはそんな見方をしております。
  77. 矢追秀彦

    ○矢追委員 この問題は私ももう少し勉強させていただきますが、数字の差は別といたしまして、やはり利子がついておるということも念頭に置いていかないと、ただ二十六兆円だけであるということにはならぬわけでございますから、その点も含めまして、いわゆる隠れ赤字解消をやっていかなければならないと思うわけでございます。先ほど申し上げましたように、仮に来年から特例債が発行ゼロになったとしても、こういうのがまだあるということはきちんと認識をしておいていただきたい。その点について大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  78. 村山達雄

    村山国務大臣 隠れ赤字を十兆五千と計算するのか二十六兆と計算するのか、なかなか難しい問題でございますが、利子を含むものがあることは事実でございます。これは容易ならぬことでございまして、特例公債脱却よりもある意味で言えばまた難しい話であるという認識を持っております。したがいまして、前々から申し上げているとおり、脱却後の財政再建の目標の定め方というのが一番大事だなと思って、鋭意ことしの年末くらいまではこの問題を勉強させていただきたい、そして間違いない財政運営を今後続けてまいりたいと思っておるところでございます。
  79. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今、年末と大臣がはっきりおっしゃいましたので、来年度平成年度予算編成にはそういったことがきちんと反映できるようにお願いしたいと思います。  それでは、きょうはちょっと時間をつづめて、あと十分程度で終わりたいと思いますが、国際金融局長お待たせして済みません。  累積債務の問題でございますが、いわゆるブレイディ提案なるものが四月のIMF暫定委員会で認められたわけでございます。従来米国は、ベーカー構想に見られますように、ニューマネーを追加することで債務国対策を進めてきたわけでございますが、今回、債務の削減を重点とする対策に方針を変更してきたと考えられるわけです。これはやはりベーカー構想が間違っていたということになるのか、その点はいかがですか。
  80. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 いわゆるベーカー構想の中心となりますものは、債務問題についてはケース・バイ・ケースで対処しなければいけないということが一番基幹でございます。すなわち、債務国がIMFと合意をいたしましたきちんとした経済の再建計画を持つこと、そうした経済の再建計画というものに信頼をした上でIMF・世銀がお金を貸す、また民間銀行からもニューマネーが出るということで、みんなで協力していきましょうということがベースでございまして、その意味では、ベーカー構想の枠組みは、現在のいわゆる新債務戦略もこれを踏まえております。  ただ、ただいま委員御指摘のとおり、いろいろ難しい状況が債務国の側においてもまた民間銀行の側においても出てきまして、ニューマネーという形で債務がどんどんふえていくという格好でも、これは民間銀行の方もお金はそうは貸せませんし、基本的に債務を減らす、あるいは利払いを減らすというところから少し手をつけながら、債務国も民間銀行も、それから世銀・IMF等含めました公的な部門も、みんなで責任を分担していこうというのが今度の新債務戦略でございます。その意味では、ベーカー構想の枠組みを踏まえながら、さらに発展させたということではないかというふうに私どもも見ております。
  81. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ベーカー構想対象国十五カ国への融資残高はふえてきておりますが、民間銀行に限りますと、八三年から八四年は年平均五十三億ドルの増加、八五年は八億ドルの増加、八六年には二十八億ドルの減少、こうなって先細りをしてきているわけですが、その一方、全体の貸し出しの構成では民間銀行の比重が低下をして、政府やIMF等公的機関の役割が高まっておるわけでして、これは民間の債務を公的機関に転嫁しておるというふうに考えていいのかどうか、その点が一つ。  しかも問題は、ベーカー構想を打ち出しながら、米国では中小の銀行がリスケジュールの追加融資には応じない。大銀行はニューマネーを供給したが、ブレイディ構想を先取りして、債務の債券化や売却を行って融資残高を減らしておる。また、ヨーロッパの銀行ではニューマネーの追加をしたが、債権の償却を進めて残高をふやさない。そういうことで、日本だけが対処がおくれて融資をふやし、そして融資残高をふやしてしまっておる、こういう状況にあるのではないか。何か日本も今ケイマン島にオフショアの債権買い取り会社を検討中と伺っておりますが、こういう日本の状況、日本にしわ寄せされていることは非常に私はいかがかと思うわけですが、この点はいかがですか。
  82. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 まず第一点でございますが、民間銀行は委員御指摘のとおり、八五、八六、八七とこの三年間に、いわばネットのマネーフローは若干マイナスになっております。その分、結局世界銀行等を含めました公的な資金が維持されておりますものですから、比重は逆転しておりますが、ただ、よく言われますのは、民間銀行のリスクを公的な部門がひっかぶっているんではないか、こういうことは、少なくともリスクの移転というようなことではないというふうに思っております。  それから、第二点の民間銀行の国際的な対応の問題でございます。  第一に、米国の中小銀行、いわゆる地方銀行がニューマネーやリスケに応じないということで、徐々にドロップアウトしてきたということは客観的な事実でして、今度の新債務戦略でも、そういったフリーライダー的に、協力はしないけれども元利の返済を受けられるというようなことは、何か排除しなければいけないという問題意識を強く持っているのはそういう点でございます。  それから第二に、経理上の処理といたしまして、アメリカが、これは有税でございますけれども、シティコープから始まりまして徐々に準備金を積み始めております。アメリカの場合、大体三〇%ぐらい積んでいると思います。ヨーロッパの銀行の場合には、国によって違いますが、これもかなり積み立てております。日本の場合には有税と無税と、ただいま御指摘のケイマンに設立いたしましたファクタリング会社での処理、これを全部含めますと、平均的に言うと大体二〇%ぐらいは積んでいるということになると思います。  ただ、一方でその間に円が非常に強くなりましたので、ほとんどの債権はドル建てですし、ひところ一ドル二百四、五十円という換算率のころ貸していたドル債権が、その後の円高の結果、銀行の総資産に占めるエクスポージャーといいますか、債務国向けのドル債権というのは、円建てでは日本の銀行の場合には比率的には大分軽くなっているということもありますので、二〇%というのはかなり備えていることにはなってきたかな。もっとも、これもブレイディ戦略が発表されます前に、どうもそういった欧米の動きを見ながら有税の引き当てをふやしていただいた結果ではございますけれども、それほどおくれないでやってきている結果にはなっているのかなという感じはしているわけでございます。
  83. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今回のプレイディ提案によりますと、債務国の国債等に債券化をし、その元本、利払いに国際機関が融資を保証する、そのための資金は各国が協力する、これが一番目です。二番目が、民間銀行はニューマネーを行う、こういうことでございますが、第一に、債務の債券化は結果として債権をかなり切り捨てるから、民間銀行にしわ寄せがされてしまう。米国の大手銀行は、一昨年のシティバンクの引当金計上に始まりまして、公然と債務の償却を進めたり増資をしているので、今回の処置により打撃は少ないわけですが、私は日本の銀行の損失についてちょっと憂えておりますので、その点についていかがお考えになっておりますか。一応時間ですから質問だけ並べて、答弁はまとめてで結構でございます。  次の問題は、八五年以降八八年までの日本のニューマネーは約六十五億ドルに達しておるわけです。これらを流通市場の価格をもとに試算をいたしますと、含み損が約五千億円に迫るとの民間報告もあるわけですが、政府は仮に債務の債券化をした場合の影響を具体的にどう見ておられるのか。  第二に、債務の削減をしながら民間銀行にニューマネーを求めることになるが、貸し金を棒引きにされ、さらにニューマネーを出すのは、個々の銀行はもちろん、預金者保護の銀行行政の立場から見ても問題が出てくるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。  最後に、国際機関が大きな役割を果たすのでございますが、これに必要な資金は、IMF等の増資やその他の形態で日本も応分の負担をすることになるわけでして、四月のIMF暫定委員会で澄田日銀総裁が発表されました輸銀からの四十五億ドルの特別融資構想もその一例だと思いますが、日本はどこまで協力をしていかれるのか。下手をすると日本だけが犠牲になってしまうようなことに結果としてならないのかどうか、その点を非常に憂えておるわけでございますが、いかがですか。
  84. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 ただいま委員の持っておられる問題意識というのは私どもも持っております。つまり、今後この債務累積問題におきまして、いわゆるバードンシェアリングということが非常に重要であると思います。これは日本語で言うと責任の分担ということだろうと思うわけでございまして、その意味で第一の御質問に関連いたしましては、民間と債務国と公的な機関との責任分担がフェアに行われなければいけない、そういうことを頭に置きながらやらなければいけないと思いますし、第二に、民間銀行の中のバードンシェアリングも公平に考えていかなければいけないということを旨とする必要があると思っております。  二番目の御指摘で、債務削減が日本の銀行にどういう影響を及ぼすかということでございますが、今当面日程で検討の対象となっておりますのが、メキシコとかフィリピン、コスタリカあるいはベネズエラというようなものが検討の視程に入っているわけでございますけれども、どの程度それが進むものかとか、あるいは民間銀行が債務の削減か利払いの削減か、あるいはニューマネーかというのを好きなように選べるようになるものですから、債務の削減というのはなかなか日本の銀行は選びにくいなと言っておられる方が多いので、恐らく元本はそのまま維持しながら、利払いを軽減するということで対応される銀行があるいは多いのかもしれません。その辺を見きわめませんと、数量的にどの程度債務の削減というのが現に日本の銀行に関して起こるか、ちょっとつかみがたい点でございます。  それから、ニューマネーを出させられるかという点につきましては、債務の削減をしながら新しいお金を出すというのは、銀行の常識としてはなかなかできないというのが私どもが伺っている話でございまして、我々も国際的にそれは当然だと思い、そういう主張もしているわけでございます。  それから、最後のIMFの増資その他そういった我が国の負担の問題は、冒頭に申し上げましたいわゆるフェア・バードンシェアリングの問題でお答えしたことになると思いますので、御了承いただきたいと思います。
  85. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大蔵大臣、最後でございますので。  この債務国問題、大変な問題でして、御承知のように百兆円を超える借金を各国が抱えておるわけでして、それはきちんとしてあげなければいけませんが、日本国民を抱えておるし、国内から借金しているわけですから、そういうことで非常にこれは慎重に、しかもまた世界全体のためにも日本協力協力としてしながら、きちんとした節度ある態度で臨まなければならぬ、こう思います。この点についての所見を最後に一言伺って、質問を終わります。
  86. 村山達雄

    村山国務大臣 世界経済が相互依存体制を深めておる、そして貿易の自由化あるいは資本の自由化、こういうことが進んでいることは非常に結構なことだと思うわけでございますし、また日本も今日の国際的地位にかんがみてそれに協力しなくてはならぬ、その過程で出てきた一つの債務国の問題だと理解しているわけでございます。  そして、今まではどちらかといいますとニューマネーという方でやっておりましたが、やっておりますと債務残高が非常にふえてしまって、これでは返済のめども立たぬという局面になってきた。こういうことでベーカー提案がフランス提案なり日本提案を入れて出たわけでございまして、仕組みは今内海局長が言ったようなことでございまして、構想はそれなりにわかるわけでございますが、これを具体的に詰めていくということになるとなかなか容易ならぬ問題でございますし、また我が国の金融機関の損得にも関係する問題でございます。そしてまた、日本もパラレルレンディングをやるということでございます。これまたそれなりの負担を持つわけでございますので、我々はこの問題についてはやはり慎重に、しかし積極的な態度でこの話をまとめる方向に持っていきたいものだ。しかし、あくまでも慎重で節度があるものでなければならぬ、こういうことで今話を進めつつ、全体の案件の流れを慎重に見守っておるというところでございまして、矢追委員のおっしやった趣旨に沿って今後とも対処してまいりたい、こう思っております。
  87. 矢追秀彦

    ○矢追委員 終わります。
  88. 中西啓介

    中西委員長 午後零時四十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ――――◇―――――     午後零時四十一分開議
  89. 中西啓介

    中西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として全国銀行協会連合会会長宮崎邦次君、日本証券業協会常務理事関要君、日本銀行理事青木昭君及び日本電信電話株式会社代表取締役副社長児島仁君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 中西啓介

    中西委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ―――――――――――――
  91. 中西啓介

    中西委員長 質疑を続行いたします。村山喜一君。
  92. 村山喜一

    村山(喜)委員 割り当てられました時間を十分ほどカットいたしまして、議事の進行に協力をいたしたいと思います。  まず初めに、財政再建の実態というものを踏まえた中から新しい財政再建目標というものを示していくべきであろう、こう考えるわけでございますが、財政赤字の実態として公表されているものと、実際に率直な姿で真っすぐに見た場合には、実態面から見ると違うんじゃないだろうか。これは過小評価していく中で赤字の実態というものを見詰めるべきではない、やはり厳しくそれを直視していく中で財政再建の姿を描き出していくということにならなければ、私は間違いを犯すと思うのでございますが、現在の状況はどういうふうになっておるのでございますか。
  93. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答えを申し上げます。  財源確保的な視点を踏まえましていろいろな繰り延べ措置が行われております。また、歳出額の抑制という観点からも繰り延べが行われておるわけでございます。昭和五十七年度から元年度までの間におきまして、歳出の繰り延べという形で対処いたしましたものの現在残っております残高でございますが、残高としては平成元年度段階で十兆六千億程度でございます。このほか、毎年度財源確保法でお願いをしております国債費の定率繰り入れの停止でございますが、この停止額の総額が十五兆六千億程度ということでございます。両方合わせますと、二十六兆円を超えておるということを常々御指摘をいただいておるわけでございます。  私どもが現在認識しております、特例債以外に財政体質を考える上で十分視点を置いておかなければならない問題ということになりますと、やはりこの問題が一番大きな問題かと思います。世間一般には、このほか、国鉄のいわゆる累積債務の問題でございますとか、いろいろの御指摘もございますが、国鉄の問題は御承知のとおりの清算事業団の仕組みの中でまた重々検討してまいらなければならない問題でございます。あるいは政府関係の諸法人にどういうような問題があるかとか、やはり注視していかなければならない問題は多々あろうかと思いますが、ただいまの先生の御質問に対します直截なお答えとしては、やはり歳出の節減繰り延べ額の問題を申し上げるべきかと思います。
  94. 村山喜一

    村山(喜)委員 私が指摘をいたしたいのは、これは中には入っていないと思いますが、表面的には財政赤字が七・一兆円だ、ことしは実際は十六・九兆円じゃないか、そういうとらえ方をしているわけでございますが、例のNTTの繰り入れ分といいますか、NTTの売却資金の活用、それから赤字国債の償還のための借換債の発行、これも私はやはり財政赤字の中に入れるべきではないだろうか。特に借換債の問題は、それだけの資産の裏づけがあるわけではございませんから、実質的な赤字要因として計算をするのが妥当ではなかろうか、こう考えるのですが、この点はどういうふうに判断をしておりますか。
  95. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 特例公債の借りかえでございますが、元年度には五兆四千億が借りかえを行うことになっております。
  96. 村山喜一

    村山(喜)委員 この借換債収入を見ながら、その中身は一体どうなっているんだろうか。借換債の中にも建設国債あるいは特例債、その二つの国債があるわけでございますが、その中身は説明をされたことはございませんね。その内訳はどうなっておりますか。
  97. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 借換債の発行額でございますが、借換債十五兆と言われております中で、先ほど申しましたように特例債の借換債が五兆四千億、四条債つまり建設国債の借換債が九兆八千億という内訳になっております。
  98. 村山喜一

    村山(喜)委員 先ほど隠れ借金の一部について説明がありましたが、これは歳出の繰り延べなど後年度の財政負担によります分があるわけでございますが、これは私たちの受けとめ方では二十六兆一千五百二十九億だ、こういうふうに受けとめておりますが、そのとおりということでよろしゅうございますか。
  99. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 先ほども触れさせていただいたところでございますが、国債費の定率繰り入れの停止の分を含めまして、先生のおっしゃった数字で結構でございます。
  100. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、国債の残高が百六十二兆、それからさっきの国鉄長期償還の清算事業団にかかわる分が約二十兆円というようなものや、あるいは赤字国債の借換債等々を入れてまいりますると、大体二百兆というものが財政赤字の実態だ、後年度財源的な措置を講じなければならないものがそういうふうになるとマクロ的に見てよろしゅうございますか。
  101. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 私ども実質的な政府の債務をいろいろな形で申し上げておりますが、一番典型的なものとして建設国債と特例国債を合わせたいわゆる国債の残高、これが基本的な政府の債務でございますが、これ以外にいろいろな形で政府債務というものを言っております。  特に、国際比較をいたします場合には、よく政府債務のGNPに対する比率というものを比較いたします場合には、今の建設国債と特例債の合計をGNPで割るというだけでは国際比較になりませんものですから、長期債務というようなものを持ち出すことがございます。この長期債務で申しますと、ただいまの百六十二兆の国債残高のほか、交付国債というものが残っておりまして、これが約四千億ほどございます。それから国際機関に一兆六千億ほどの出資国債を出しております。これ以外に借入金がございまして、この借入金というのが約三十兆近いものがあるわけでございまして、普通これを含めまして百九十三兆というものを長期債務というような言い方をしております。  先生からただいまお話ございました国鉄の長期債務でございますが、これはやはりあの仕組みのもとで、清算事業団、そこに株もあり、また土地もある、これらの処分をどうするかということをもって別の観点から鋭意努力をして整理をするべきものと考えておりますので、私どもといたしましては、むしろ長期債務としてそんなようなものがあるというような御認識を賜れればありがたいと思っております。
  102. 村山喜一

    村山(喜)委員 百九十三兆、二百兆近くのそういう後年度負担の分が残っておる。  この中で建設国債、これは六十年で処理をするということで、財産形成との関係で計算がされております。経済企画庁の調査によりますと、社会資本の平均耐用年数というのは三十二年ということになっている。したがいまして、これを六十年という計算をしてやるということは、実質的に後年度に借金の負担を残すことになるのじゃないか、こういうとらえ方をしていかなければならないと思うのでございますが、六十年という計算は一体何を基礎にして過去において論議をされたのであろうか。  この中で一番耐用年数が長いものとして計算をされているのを見てまいりますと、港湾が平均耐用年数が五十年というのはございます。学校施設等が五十三年というのもございますが、平均をいたしますと三十二年にしかならぬ。これは経済企画庁の「日本の社会資本」の実態像の中にそういうふうに打ち出されておるわけでございます。そうなりますると、社会資本の耐用年数経過後の世代には財政負担もまた転嫁をしなければならない、こういうふうに考えざるを得ないのでございますが、そこら辺はどういうふうに考えておいでですか。
  103. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 建設公債につきまして、六十年償還ルールによることとされておるわけでございますが、これは、最初に建設公債を導入いたしました昭和四十一年当時に、建設公債の見合い資産の平均的な効用発揮期間として計算をしたものでございます。  その際の考え方といたしましては、まず、永久資産でございます土地でございますが、土地などの耐用年数を百年と仮置きしております。当然その土地のウエートというものが、公共事業の中で、それほど大きなものではございませんが、ある程度のウエートがございます。このウエートづけをしてこれが入ってきております。それ以外の償却資産の耐用年数につきましては、税法などの耐用年数に従って当時計算をいたしました段階でおおむね六十年というふうになりましたことから、一つの目安として、総合して六十年というものを通じて償還を図っていくべきであろうというふうにルール化したものでございます。その後それなりに定着を見ておるのではないかと考えております。  なお、御承知のとおり、特例債につきましては、ほかによるべき償還ルールの期間がございませんので、いわゆる借りかえをお認めいただきました段階で、現在のところ建設公債と同じルールにしておるという状況でございます。
  104. 村山喜一

    村山(喜)委員 昭和二十五年に資産再評価法という法律が制定をされました。これは四十二年に改正されましたが、今も説明がありますように、土地というのは償却資産ではないということで、当時の資産再評価に当たりましては、土地は事実上再評価の対象から外されて今日に来ておるわけです。  今話を聞いておりますと、土地の耐用年数というのは百年ということにして計算をしたのだという話でありますから、この問題については後ほどその問題点を取り上げてまいりますが、その後六十年というのが定着をしている。なるほど定着をした形になっておりますが、社会資本の耐用年数が平均で三十二年だというのに、六十年というのが正しいのですよ、そういうふうにもうコンクリートになったような考え方で押し通すというのではなくて、耐用年数が十分に償却できない形で後年度の負担という形で残れば、後年度の世代に対して世代間のしわ寄せをすることになるわけですから、経済企画庁でそういう耐用年数の平均的な数字をお出しになっている以上は、財政の上から見ても、国債の償却年は六十年で、そのための積み立てのものが一・六%だとかというようなことも守られない状況の中では、計算をし直すことも難しかろうというのではなくて、もう少しここら辺をシビアに受けとめて検討すべきではなかろうかと思うのですが、大臣、いかがでございましょうか。
  105. 村山達雄

    村山国務大臣 なかなか難しい問題だと思います。  その前に、資産再評価のときは私も関係しておったのですが、あのときは、非常に物価が騰貴しまして償却資産の取り戻しができない、これが企業会計にとっては大問題でございまして、そこで、取り戻しのできるもの、取り返すべきもの、償却資産でございますが、したがって土地は入らなかった。そして、バランス上、評価益に対して六%納めてくれませんか、かつて納めた人もあるから、こういうので、資産再評価を実施したのでございます。  今度の問題は、そうではなくて、減債制度をどういうふうにつくったらよろしいのか、こういう問題でございます。それで、先進国の中で減債制度が現にありますのは日本だけでございます。御案内のとおりでございます。建設国債を発行しておりますドイツでも減債制度はないということなのでございます。それだけに減債制度はそれなりの意味を持っていると私は思いますけれども、これを改めて別のもので計算して短縮するということになりますとなかなか難しい、第一、定率繰り入れを変えていかなくちゃならぬという問題が現実的な問題として出てまいります。それは長期的な検討事項でありましょうけれども村山委員の言われたことも頭の中に置きまして今後の検討にまちたい。非常に難しい問題であることを私は直観的に感ずるのでございます。
  106. 村山喜一

    村山(喜)委員 減債制度は日本だけしかないのだということで、先ほど堀委員に対して説明がございました。堀委員の方からの反論もございましたのでこれについては触れませんが、イギリスの場合、そういうような赤字国債に頼らなくてもいいような財政運営になっておって、収支で黒字の会計になってきたという状態にあるのですから、諸外国といってもいろいろあるということを指摘しておきたいと思います。  そこで、私はお尋ねをしてまいりたいのは、新しい財政再建目標というものをどういうふうにお立てになるのであろうか。いろいろ新聞等を見ておりますると、国債依存度を五%に半減するのだとか、隠れ借金の解消を先に出発するのだとか、財政再建は今後いろいろ検討してやるのだとかと書いてございますが、目標は、来年度は赤字国債が表面から姿は消えることになるだろうと思いますが、その後どういう段取りで財政再建の目標をおつくりになるのか、この際、やはりきちっとしておいていただきたい。
  107. 村山達雄

    村山国務大臣 率直に言いますと、非常に難しい問題なものだから勉強したい、特に財政審を煩わしたい。  残高の問題、依存度の問題、隠れ公債の問題、それから定率繰り入れというのは現に何年か後には二兆何千億生み出さなければいかぬわけでございます、それから、それぞれの隠れ国債につきましては法律でもう既に繰り入れを決めているものもございますし、そういうもろもろの問題があるわけでございます。そういったものを全部ひっくるめて、今までは新規特例債の発行をいかにして減らすかということでほぼ十年かかったわけでございます、今度の問題はもっと長い期間の問題であるだけに、財政運営の指針として考えるときに非常に慎重でなければならぬ。今おっしゃったことを全部入れて、そして何とかひとつ長期にわたって適用できるようないい財政運営の指針というものをつくっていきたい、こう思っておるところでございます。
  108. 村山喜一

    村山(喜)委員 この際、先ほども若干出ましたが、財政事情の国際比較というものが必要になってくるのじゃなかろうかと思います。国際的に見て、そういうような減債制度は日本しかないのだと大蔵大臣は胸を張っておいでになりましたが、ほかの国の財政状況と比較をしたときに日本の財政事情というのはどういうところにあるのだという認識をきちっとしておかなければいかぬのじゃなかろうかと思いますが、財政事情の国際比較はどういうふうにとられておいでになりますか。
  109. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 主要先進国におきましては、御承知のとおり一九七〇年代の石油ショックに端を発します世界的な景気の落ち込みの中で一様に税収の落ち込みがございまして、その一方で日本は、特に機関車論がございましたが、諸外国もそれなりに財政に積極的な役割が期待されたということで、やはり同様に財政赤字が大幅拡大を見た時期がございます。かつ、日本ほど急激ではないにしても、高齢化が進む、あるいは国際的な役割がそれぞれ高まるという中で、行財政の守備範囲が従来のまま増大をしていくということについては各国一様に懸念が強まった時期がございます。  そういうことで、先生つとに御承知のとおり、八〇年代以降の各国の財政は、財政赤字の削減、公共支出の抑制といったような共同歩調で大体進んだように思われます。サミット等でこういう問題が議論をされてきておるということも十分御承知のとおりでございます。  ただ、アメリカの場合あるいはイギリスの場合、フランスの場合、ドイツの場合といったように、それぞれの国の中で例えばどのような手法をもって歳出の抑制を図る、あるいは収支の均衡を図ろうとするかということは、やはりお国ぶり、財政のいろいろな伝統等もございます。そういうことで、直ちにあの国のあれをこう使ってというわけにはなかなかいかないのではなかろうか、またその実態も、予算編成というのは一つの社会現象のようなところもございますので、その辺の実態を完全に把握するには至っておりません。  しかしながら、先生がただいまおっしゃられましたように、国際的に財政の指標をいろいろ比較をいたしまして、その中で日本がどういう地位に置かれておるかということは、我々が財政運営の問題を考えていきます中で恐らく最大の参考にすべきものであろうかと思うわけでございます。  一番簡単な例で申しますと、公債依存度が日本は思い切って下がってきたわけでございますが、なお予算の一一・八%を公債に依存しておる、これ以外に隠れ借金問題もあるわけでございますが、一応表面的に一一・八。しかし、これも諸外国に比べるとまだまだ一番高いわけでございます。それから、先ほどお尋ねがございました長期政府債務残高のGNPに対する比率も、これは御承知のとおりアメリカ、イギリス等が非常に高いわけでございますが、日本はそれよりもさらに高い、長期政府債務の残高のGNP比というのは日本は約五〇%でございます。それから、歳出総額に占める利払い費、いわば国債費の比率のようなものでございますが、これもやはり二割近い、日本が一番高いというようなことで、国際比較をしてみますと初めて、日本の財政の事情は最近かなりめどが出てきたとはいえ、安心をすることはゆめゆめならないといったような教訓になるわけでございます。  そのような国際比較につきましては、できるだけの情報を集めまして、常時日本をその中に位置づけてみるという努力はしているつもりでございます。
  110. 村山喜一

    村山(喜)委員 国債の繰り上げ償還の問題は、利払いの問題に関連いたしましてこの委員会においてもあるいは参議院においても論議をされている、議事録をここに持ってきておりますが、私は、財政事情の国際比較の中で、イギリスの場合、ことしは歳入歳出の差額の中で財政黒字を生み出してきた、百二十一億ポンドぐらいであるようでございますが、この財政黒字は国債の繰り上げ償還に回される、こういうようなものが報道されているのを見たのでございます。イギリスの場合には大型減税をやった上に財政黒字を生み出した、その黒字というのは国債の繰り上げ償還に回している、非常に堅実な財政運営をやっているように見えるのでございます。  日本の場合、国債の保有の状態やらあるいは今日までの経緯の上から見まして、無理はできないということで、繰り上げ償還なりそういうようなものはできないんだという説が唱えられているわけでございます。しかし、堀委員の方からもお話がありましたように、やはり後年度の負担を考えてまいりますと、国債というものが、昔はシンジケート団をつくりまして割り当てをして、そして金融機関がブーブー言いながらいや応なしに引き受けさせられているんだというような格好でございましたけれども、このごろはどうも国債ほど有利でしかも安定をした債券はない、これはもう資金運用部資金で引き受けている分を我々の方に回せというぐらいにまで需要が高まってきている、そういう状況の変化というものがあるのじゃないでしょうか。  そして、アメリカの証券投資等やりまして生命保険会社あたりは為替差損で大分赤字を出したようでございますが、その心配もない、安心して国債を購入できる、そして資金の金利の利回りもよろしいというような優良な債券になってきているという状況の中にありまして、事情の変化というものがこれから新しい物の考え方の中に浮かんでこなければ、従来はこうだったからそれはできません、それは問題が大変難しいということでいく段階じゃないのじゃないだろうか、もうそういう状況に立ち至っているとするならば、これで頭を切りかえていく段階に来ているのじゃないだろうかと私は思うのでございます。大臣、いかがでございますか。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
  111. 村山達雄

    村山国務大臣 おっしゃるように、金融市場の金利の自由化あるいは弾力化が非常に進んでいるわけでございます。したがって、国債の借換債を含む年度の発行につきまして、やはりこれは毎年円滑な償還が必要でございます。国債発行懇をいつも開催しているわけでございます。そして、どういう種類のものをどういうふうに出していくかということを年々決めておるのでございます。現在では、長期債では二十年債、それから十年債、五年債、四年債、三年債、二年債、それから六カ月のものを二回繰り返し出しておる、こういう状況でございます。  ただ、御案内のように、日本の起債市場で申しますと長興銀の発行があるわけでございます。これは利付債が五年物、それから割引債が一年物というわけでございます。これはみんな市場で消化するわけでございますので、その競合関係を避けるという配慮がずっと日本では行われているわけでございまして、したがって、十年債ができましたのもやはりそういった経緯でございます。五年債は、発行しておりますが、これは全部シ団引き受けでございまして、今競争入札はやっていないとか、それから四年債、三年債、二年債、こういうものもやっています。  やはり一つは、国債で考えますと、将来金利が上がるのか下がるのかというところがなかなかわからぬのでございます。もとより、先高感であるのなら長期国債が得でございますし、先安感であるのなら短期のものでとどめておくというわけでございますが、金利というものはやはり世界経済の変動に応じてくるわけでございますので、どちらかといいますと危険分散的な意味で多種類のものを置く、しかも今言った長興銀と余り競合しない範囲で、しかし弾力化に応じて漸次入札をふやしていくとか、これはあります。ことしでも、例えば十年債ですと四割は入札にして、六割の分はそれの加重平均価格で引き受けてもらうとか、こういう努力はしょっちゅうやっておるわけでございます。そういう金融市場の問題も考えながら実はやっておるところでございますので、にわかに、それじゃ思い切ってこうやれと言われても、金融市場に与える影響というものもある程度計画的にやっていかなくちゃならぬというので、限度があるということでございます。  それから、先ほど繰り上げ償還のお話がございました。おっしゃるとおり高い金利のものがあるから繰り上げ償還すればいいなと思うのですが、実はその分はもう期近が来ておりますと市場では非常に額面価格が上がっておるわけでございます。それは額面で返すということになりますととんでもない話で、国債というものの一種の債権者利益を阻害するという問題が出てきて、国債の信任が失われるのじゃないかという配慮があるわけでございます。  それからもう一つの問題は、国債のロットというのは、もう御案内でございましょうけれども、大部分は店頭取引でございます。したがって、あるものをやろうとしても、どこと交渉したらいいんだ、例えば買い入れ消却ということでやるにいたしましても、さあどなたがその高金利のものを持っておるのか、少し持っておると思われるのは、恐らく機関投資家は持っておるでしょうが、これはまたポートフォリオを組んでずっとやっておるわけでございますから、そのポートフォリオを崩すようなことを、交渉でやるにしてもなかなか難しい、したがって、何か余裕がありますと新発債を縮めていくということに今なっているのだろうと私は思うのでございます。  おっしゃったことは全部問題なのでございますけれども、今後やはりそういう問題を含めて総合的に考えていく必要があるなと思ったところでございます。
  112. 村山喜一

    村山(喜)委員 国債整理基金の資金繰りの問題はどういうふうに想定をされておりますか。
  113. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 国債整理基金の資金繰りの見通しにつきまして、毎年、いわゆる「中期展望」と同時に国会に御提出申し上げておるところでございますが、現在のこの国債整理基金の資金繰りに関する資料、「仮定計算」と称するものでございますが、これにおきましては当面の償還の中心をNTT株式の売却によってこれを行うということで計上しております。それから、定率繰り入れば本来基本的なものでございますので行う。行うが、これは来年、つまり平成年度から行うというケースと、NTTの株式の売却を平成年度までと見立てて、それまでは定率繰り入れを行わないで、その後平成年度から定率繰り入れを行うのだということで、機械的に定率繰り入れを再開するという形で財源を置く、こんなような形で「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」を作成をしておるところでございます。
  114. 村山喜一

    村山(喜)委員 この中でNTTの株式売却収入は、平成元年度で二兆八千億、来年も二兆八千億、それから九一年が一兆六千億、こういうことでございますか。  その場合に、NTTの市場価格の問題ですが、百二十万の予定価格に対しまして、一番高く売れたときは三百十九万五千円。今幾らになっているかわかりませんが、百七十万円、もっと下がっているかもしれません。そういうようないわゆる不安定な状態の中で財源としての確実性が不確実性という形になるのじゃないだろうかというふうに思うのでございますが、そこら辺はどういうふうに見積もりをしながらそういう見込みをされているのか、この点について説明を願っておきたいと思います。
  115. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 NTTの株式の売却につきましては、平成元年度の予算計上上は価格を百八十一万円、こう見ておる次第でございます。これは、この予算を決定をいたします直前の市場実勢を見まして、それに若干の安全率を見込んだものでございます。  私どもただいまのところNTT株式の売却につきまして難しい環境があるということは重々承知をしておりますけれども、ただいまの財政のプロジェクションにおきましては、国債整理基金の特別会計に帰属しておりますNTT株式のすべて、これはNTT株の全体の三分の二でございますが、これを平成年度までに売却するものと仮定をして、この売却収入は織り込んで考えておいていいのではないか、あくまで一つの計算でございますけれども、そんなふうに考えておるところでございます。
  116. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは幾ら織り込んであるのですか。今、先ほど予定価格が百八十一万、実勢価格は百七十万だ、開きがありますが、そこら辺は大丈夫ですか。
  117. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 売却収入ベースで申しますと、先ほど先生ちょっとお触れになられましたが、平成元年度の二兆七千九百億と同額を平成年度にも一応置いておるわけでございます。平成年度の予算のときに実際どういう価格が予算計上できるのかということについては、今にわかに見通すデータがございませんので、平成元年度に計上したものと同額を計上しておるわけでございます。平成年度になりますと残る株数が少なくなるということがあるものでございますから、同じ単価で見込みまして収入ベースでは一兆五千七百億、こういうふうにしておるわけでございます。  あくまで平成元年度予算に計上いたしました百八十一万円という単価で、これから数年の国債整理基金の資金繰りの財源にするという仮定計算をしておるわけでございます。
  118. 村山喜一

    村山(喜)委員 財政の中長期の展望を見てまいりますと、本当にまた今からが財政再建という感じがしてなりません。いつまで続くのかわからない、展望がはっきりいたさないわけでございますが、そういうような状況の中で一体いつになったら健全な状態に立ち返ることができるのだろうかということを考えますと、今のような財政運営、財政制度あるいは税収あるいは歳出構造、こういうものの中で大変難しい問題を持っておるわけでございます。  大臣は先ほど、財政制度審議会のお知恵等も聞きながら、皆さん方の意見も聞きながらというようなことなんですが、大蔵大臣は大変財政、金融、税制には強い人ですが、そういう長期の展望をこの際国民の前に明らかにしながら、こういうような状態の中で協力を願いたいという提言をされるべきではなかろうか、こう思うのでございますが、先ほどの答弁につけ加えることはございませんか。
  119. 村山達雄

    村山国務大臣 今財政審に御勉強願って、いわば財政再建の指針、今後の運営の基本方針というものを定めていただきたい。言葉で言えば健全財政に戻したい。  そこで、どうなったら健全財政と判断するかという問題でもあるわけだろうと思うのでございます。そういう意味で、今の財政が余りいい状況でない、今後非常に長期にわたって困難な問題であるということだけは出せますけれども、いずれ財政審の方からいろいろなものをいただきましたら、その暁には、広く大蔵大臣として、こういう状況だ、ひとつお願いいたしますということをそれから言うべきではなかろうかと思っているのでございます。この国会論議を通じまして随分財政を御心配いただきまして、本当にありがとうございました。何らかの機会にいろいろ伝わっているだろうと思っているのでございます。これからいよいよシーリングの問題に入るわけでございますけれども、それを考え、そしてこの間の税制改革消費税を入れたというようなことから、歳出は本当に効率的にやれという声も上がっておりますので、我々も責任の重さを痛感いたしている。気持ちを申し上げておきます。
  120. 村山喜一

    村山(喜)委員 慎重な答弁でございますが、財政審に答申を求めましても、問題はその答申で出たものを実行する意欲があるのかという問題と、そしてまた、それを実際に国民の同意を得ながらやっていくだけの自信があるかという問題に帰すると思うのです。  思えば、福田総理が初めて国債を導入されまして、自来ずっと今日まで二十数年の月日が流れてまいりました。私たち国債発行による麻薬に酔っぱらったような格好の中で、財政の状況が好転した場合も悪化した場合もずっと国債に依存をし続けて、そして今日百六十二兆円という累積した国債残高を抱えていることを考えますと、非常に責任が大きい課題が財政再建の問題として今議席を有するお互いの上にもあるのじゃなかろうかという気がしてなりません。  特に与党の場合には、それをずっと政権を持ちながら執行して今日こういうような状態に来たのですから、やはりそれに対しては与党なりの責任として、財政制度審議会に付議するまでもなく、政府与党としてはこうするのだということをこの赤字国債から脱却のめどがつく段階の中でもうきちっとされるべきではないか、特に、財政については権威の大蔵大臣が在職をしておいでになるときにそういうものを示されることが、私はやはり将来にわたる日本の財政のあり方の上においては貴重な一石になるのじゃなかろうかという気がいたしますので、今後さらにピッチを上げていただいて、その方向を示していただくように要請をしておきたいと思います。  そこで、税制の問題でございますが、これは財政再建を考えますときには税収という問題を忘れてはならないと思います。そこで、六十三年度の税収見込み、自然増収がまた二兆数千億あるとかというような話もちらほら聞くのでございますが、その税収の見込みはどういうふうになっておるのでしょうか。
  121. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 六十三年度税収でございますが、あと五月分の税収を残すだけでございまして、四月末まで実績が出ております。四月末の累計で見まして前年比七・三%の伸びということになっております。補正後予算額を前年度の決算と比較した伸び率が二・八%ということでございますから、これまでの収納状況を見る限りある程度の自然増収が期待できると思われますが、ただ、その五月分の税収の中には三月期決算法人の税収が入っております。これが法人税全体の約四割というウエートを占めておりまして、その内容がはっきりしていない現段階におきましてはまだ確たることを申し上げられないということを御了解賜りたいと存じます。
  122. 村山喜一

    村山(喜)委員 最近の景気の上昇で、特に法人税収が伸びておるようでございます。そういうような意味においては相当な税収の伸びが期待ができるというような状況に立ち至るであろうと思うのでございますが、その場合にはどうするのだということはお決めになっているのですか。
  123. 村山達雄

    村山国務大臣 今確たることは申し上げる段階ではないと思いますが、仮にその自然増収がかなり出てまいりましても、先ほど主計局次長から申し上げましたように、出納整理期間中に繰り延べた特例債が随分ございます。恐らく財政の原則からいってそのものは可能な限り縮減してしまうであろう、それが一つございます。それから、国税三税で三二%が当然地方の方に回るわけでございます。その残りでございます。残りの二分の一は言うまでもなく国債整理基金特別会計に入れる、こうなりますと、最後にその使い得るものというのは非常に少ないものになってくるんじゃないか、それをさあどう使うか、こういうことに多分なるのだろうと思うのでございます。  先走りするわけではございませんが、その分は所得税減税に回せという声がどこか町の方で上がっているようでございますが、考えてみますと、昭和六十二年に所得税、住民税二兆二千億の減税、昨年で三兆三千億、それは単に減税の規模がたまたまふえたということでなくて、その中身におきまして懸案でありましたもろもろのことを全部やって、そしてまあまあこれでバランスがとれているかな、こう思っているわけでございますので、そのバランスを崩すようなこと、それから、金額も少ないと思いますので、そういう所得税減税に使うような時期ではないのじゃないか、こういうふうに私は今の段階では思っておるということを申し上げておきます。
  124. 村山喜一

    村山(喜)委員 わかりました。その問題は今後の政策課題として上ってくると思いますので、また改めて意見を申し上げる機会もあるかと思います。  私がこの際確認をしておきたいのは、税制改正の中で昨年いわゆる株式等の譲渡益に対する原則課税の法律が改正で生まれました。ところが、租税特別措置法によりましてその分については源泉分離の方式を選択できるよという制度ができました。私たちは、そういうふうになったときには今の有価証券の取引税の上に引き伸ばしたような格好になるのではなかろうかな、そういうような実態になるのじゃないだろうかなということを心配をしているわけでございますが、みなしで処置をする、みなしで実質的には譲渡益課税になる、有価証券の取引税の割り増しになるのじゃないかという気がしておるわけでございますが、これのいわゆる法律によります選択がどのようになされておるのか。措置法の三十七条の十と三十七条の十一、これについてどのような措置がとられて、実態がどういうふうになっているのか、この際御説明を願いたい。
  125. 岡本吉司

    ○岡本政府委員 御質問のとおり、個人の株式の譲渡につきましては原則非課税の制度が改められまして、上場株式等につきましては申告分離あるいは源泉分離いずれかをとれる、上場株式等以外の株式等につきましては申告分離、こういったことになったわけであります。  御質問の、今源泉分離を選択した者と申告分離を選択した者とどうなっているのか、こういうことでございますけれども、もともとこの課税の制度が個々の取引単位を、しかも店舗単位、店舗ごとに選択できる、こういうことになっておるわけでございます。したがって、例えばその中で源泉分離をとりますと、源泉分離の選択申告書を出して、その出した以降は源泉分離になるわけでございますが、それに今度は廃止申告書を出せばまた申告分離をとれる、さらにまた選択申告書を出せば源泉分離がとれる、こういうようなことが可能なわけでございます。  したがいまして、その申告分離課税を適用した人の数につきましては、いずれ確定申告期に確定申告書を提出した人の範囲でその数あるいはその状況はわかるかと思いますけれども、源泉分離を選択した人は、今も申し上げましたような状況でございますので、なかなかその把握が困難な状況でございます。したがって、その選択状況の実態いかんというような御質問につきましては、ちょっと今この場で直ちにお示しすることができないということを御了解賜りたい、こう思うわけでございます。
  126. 村山喜一

    村山(喜)委員 源泉分離の選択をしたのは、もちろん証券会社を通じあるいは銀行を通じてそういう手続をとるわけでございます。二〇%課税ですが、五%についての二〇%課税ですから、売上高の一%で済むという格好になるわけですね。そうなりますと、株を持っていることの実態を捕捉もされないわけですから、所得を隠すことができるという意味において、あるいはまた税務署の方からそういう資産を把握されないという意味も手伝いまして、今の有価証券取引税の上乗せになるのではなかろうか、我々はそういうふうに見ておるのですが、それはいや違いますということが説明できましょうか。
  127. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 確かに御指摘のように、その形式だけ見ますと非常に似ている点がございます。  ただ、有価証券譲渡益に対する課税の方はあくまで所得課税ということでございまして、委員御指摘のように五%という所得がそこに生ずるということを決めている、みなしているわけでございます。その結果、その二〇%ということで譲渡価格の一%となるわけでございます。それから、これも委員御指摘のとおり、申告分離課税との選択が認められているわけでございますので、その選択が認められているという点でやはり基本は所得課税である。それに対しまして、有価証券取引税の方はあくまでその財貨の移転の背後に担税力を見出すという流通課税の思想でございますので、両者は違う成り立ちであり違う税であるというように考えております。  なお、有価証券取引税の方は、その成立の過程におきまして、昭和二十八年でございますが、キャピタルゲイン課税を原則非課税にしたときに設けられたという経緯もございます。そこで、今回のキャピタルゲイン課税を行うに当たりまして、有価証券取引税の方は万分の五十五という税率を万分の三十に引き下げるという措置をしております。税収で申しますと、大体キャピタルゲイン課税で初年度約七千億程度の税収を見込んでいるわけでございますけれども、他方で四千億程度の有価証券取引税のマイナスがありますので、両者を比較いたしますと三千億の増収になるというように、私どもは税収見積もり上見込んでございます。     〔衛藤委員長代理退席、大島委員長代理着席
  128. 村山喜一

    村山(喜)委員 有価証券取引税は、得しようが損しようが取引の実態に応じて課税をする税ですから、そういうことはわかっております。  片一方は売買額の一%が譲渡益であろうということでみなし課税だ、そのことも性格的にはそうですが、しかし実態問題としては源泉を税務署で把握をするわけでもありません。したがって、ほかのものと合算課税をするわけでもない、総合課税でもない。したがいまして、取引の多い人は勢いそっちの方に走っちゃて、しかもそれは相続税等においてもなかなか把握できないわけですから、その意味においては、キャピタルゲインが抜けて課税をすべきものが隠れてしまうということを私たちは心配をし、指摘をしているわけでございます。  したがいまして、税の性格の違いという点は今の説明のとおりでございますが、実態面から見て、本当に国民としてはそれが的確に所得のある人に課税がされるような格好になるのかどうかということを注目をしているわけでございますから、その点については私の意見を申し上げておきます。  時間があと十五分になりましたのでちょっと急ぎたいと思います。国債の繰り上げ償還の問題はカットいたします。  まず、せっかく国土庁からもおいでをいただいておりますし、総務庁並びに経済企画庁も見えておるわけでございますが、SNAとの絡みの中で申し上げていきたいと考えます。  昭和六十二年の日本経済の循環表を見ておりますると、これはもうますます大変な事態に立ち至ってきたなと思われるのでございます。六十一年の暦年のGNPの伸びは十四兆円でございました。これには六千二百四十三万人の人たちが働いて、一生懸命頑張って十四兆円しか伸びなかったわけでございます。三百四十五兆円でございました。ところが、いわゆるストックの調整勘定の方で見てまいりますると、土地資産額が千六百三十七兆円に達しておりまするし、実物資産の伸びが年間に四百二十二兆円増加をしている、金融資産は年間に三百八十二兆円増加をいたしまして、合わせて八百四兆円という状態に大激増をしておるわけですね。  したがって、これを裏づけるものとしては、相続資産の実態がこの前数字が出されておりますが、六十二年分の相続税の白書が国税庁から出ておるのを見ますと、三七・六%伸びている。これはなぜそういうふうに伸びたかといえば、土地であり、そして有価証券である。その寄与率を調べてみますと、六四・二%が土地であり、有価証券が一二・九%だというのが白書の中に出ております。  そういう中で、一体株はだれが持っているんだろうかというのでいろいろ計算をしてみると、法人関係が約八割を持っておりますね。個人は二割しかない。じゃ土地というのは一体どうなっているんだろうかという推移を見ておりますと、これはますます個人から法人へ土地がシフトしつつあるという実態が出ておるわけでございます。  そうなりますと、私はここに問題があるんじゃなかろうかと思いますのは、今、日本の土地評価額が先ほど申し上げましたような数字になった。ところが、これはアメリカの土地資産の評価額の四・一倍だ、こういうふうに聞きます。ところが面積から見ますと、アメリカは日本の二十五倍ありますね。単位面積当たりでいいますと約百倍。そういうふうに土地資産の評価額が上がることによってますます日本は大変な資産国家になってきた、金持ち国家になってきたという状態が生まれてまいりました。  私は、大蔵の方に聞きたいと思いますのは、第一点は、株価形成というものは、そういう状態の中で今金融機関を含めた法人関係が持っている土地資産の評価額でいきますと、もう全国の二八%ぐらいになっておりますから、土地も持っている、株も持っている、そういう中にあってそれが評価が上がっていく。株価というのは、事業実績がよくて一株当たりの配当利益が高いから株を買うというよりも、資産が幾らあるかということで評価されて、土地評価等が織り込まれた形の中で株価が形成をされている割合が非常に強うございますね。そういう状態の中で、土地の評価額が上がっていけばいくだけ会社の資産評価も簿価と比べると違ってきますから、その含み益というものが株価に反映をされていく、したがって株価がまた上がる。  そうして、今度はそれを背景にして、土地がそれだけ資産評価が高くなりますと、金は金融機関が幾らでも貸してくれるというので、金がだぶついてくるわ、そういうようなことでインフレ的な資産形成がこのフローからストックへの日本経済の実態を見ておると如実に出てきた。今の税収の中にもそういう傾向があらわれて、租税弾性値があの異常な姿で、例えば三・三%というような弾性値があらわれたりしたのはそういうところにあるのじゃないか。  だから、この際、それを正常な姿に直していかないと国際的にも非難をされるような事態が生まれてくるのじゃなかろうか。というのは、日本へやってきまして日本で新しい事業所を開設しようと思っても、土地取得において大変な投資をしなければ土地の取得ができない、権利を取得できないというような状態が出てきて、日本経済は花見酒に酔いしれているような格好が生まれているのじゃなかろうかということを心配するわけでございますが、この点につきまして、まず経済企画庁に、今の私が申し上げたような数値について、SNAの実態についての説明を願いたい。  それから、国土庁の方からは、私は今土地資産評価額の白書、土地白書をここに持っておりますが、この中を見てみると、白書にはパーセンテージはたくさん使ってあるのですが、土地の面積について、法人がどういうふうに取得をし、個人がどういうふうに持っておるかということは出ていない。そういうふうな実態の中で一体土地政策というものがうまくいくのだろうか。個人及び法人所有の面積の推計はどういうふうになるのか、このことについてお答えをいただきたい。  それから、総務庁の貯蓄動向調査から見まして、所得格差、資産格差というものが進行しつつあると見てとれるわけでございますが、それをどのように把握し、どういうふうに統計的にあらわしているのか。特に五分位階層における株式の現有高に占める割合というようなものがどのような状態になっているのか。資産形成は第五分位のところでなされているように見えるが、富の偏在がそのように進行しつつあるのではないかということについて質問をいたしますので、それぞれお答えをいただきたい。  以上です。
  129. 土志田征一

    ○土志田説明員 お答えいたします。  国民経済計算年報によりますと、名目GNPは、六十一暦年三百三十一兆円、六十二暦年は三百四十五兆円ということで、先生御指摘のように十四兆円の増加でございます。これに対しまして資産価格の変化に伴う資産の再評価等は、キャピタルゲインその他も入っておりますけれども、これは六十一暦年が三百三十八兆円、六十二暦年が四百七十四兆円でございます。ちなみに名目GNPに対する比率を申し上げますと、六十一暦年は一・〇二倍、六十二暦年は一・三七倍というような数字になっております。
  130. 石井隆弘

    石井説明員 最近の国土利用白書におきましては、例えば地価に関する記述につきましては、地価の動向とか変動要因、地域別の特徴等を中心に分析しておりまして、その地価の水準そのものとか取引件数の絶対数とか、そういうものは特に取り扱いかない場合がございまして、水準から算定しました変動率、おっしゃるとおりパーセンテージになるかと思うのですが、それを用いることが多くなっているということは事実でございます。それで、価格水準別の地価動向の分析とか地価の国際比較とか、そういったものを行う場合には、必要に応じまして地価の水準も用いているというところでございます。  なお、地価の水準につきましては、毎年地価公示において公示価格を調査、公表しまして、全般的な土地取引価格を掌握して取引に指標を与えるといったような役割を果たしながら、土地政策の立案にも活用しているということでございます。  こういったように土地白書、国土利用白書は、基礎的なデータを一応整理するということもございますが、国土政策の全般的な、国土利用計画法に基づきまして国権最高機関でございます国会に定期的にその実施状況を報告するという面もございまして、データの充実を今後とも図るとともに、その総合的な土地対策の推進にも役立てていきたいというふうに思っております。
  131. 伊藤彰彦

    伊藤説明員 貯蓄動向調査、全国全世帯の結果で御説明いたします。  まず、年間収入五分位階級別の貯蓄現在高に占める有価証券及び株式の割合でございますが、例えば有価証券の占める割合は、昭和六十三年の場合、第一階級が一四・二%、第二が二四・一%、第三が二〇・四%、第四が二二・八%、第五が三〇・三%となっており、おおむね年間収入が高くなるほど貯蓄現在高に占める有価証券及び株式の割合が多くなっております。この傾向はどの年にも見られることでございます。それからまた、どの階級におきましても有価証券及び株式の割合は年とともに若干ではありますが増加の傾向にございます。  次に、株式全体に占める各分位階級ごとの割合についてでございますが、昭和六十三年で第一階級は三・八%、第二が一四・四%、第三が一二・四%、第四が一七・一%、第五が五二・三%となっております。今申しましたように第五階級の割合が昭和六十三年では五二・三%を占めるなど、どの年次におきましても過半を占めているところでございますが、最近の傾向を見ますと若干減少傾向にございます。一方、第二から第四の各階級におきましては若干でございますがおおむね増加傾向にございます。有価証券におきましても同様の傾向になっております。     〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 村山喜一

    村山(喜)委員 国税庁が定めます路線価格を一といたしますと、国土庁の公示価格は一・三、実勢価格はまたそれの一・四倍というような格好でございます。やはり資産というもの、特に土地の資産というものを正当に評価しないと、今のような形が進んでいけばいくほど、土地や株をめぐりまして国民の各階層の間における所得のアンバラがますます拡大をしていく。日本の国は非常に平等な国だ、所得が平準化したんだという説明とは逆に、そういうようなインフレ的な資産評価が進んでいく中で所得の格差が拡大をしていきつつある。そういう場合には、やはりこの際抜本的に税制の上でも見直しを進めていかなければならない段階に来ているのじゃないか。特に私は、新しい国民経済計算の中で見る日本経済の姿の中からそのことを指摘しておきたいと思います。  時間がちょうどあと十分残りましたが、約束のとおりにこれで終わります。ありがとうございました。
  133. 中西啓介

    中西委員長 安倍基雄君。
  134. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、どうも我が党一人でございまして、一時間ちょっとで余り節約できませんので、端数が出たら少し節約するということかと思います。  いろいろ盛りだくさんに用意したのですけれども、財確法でございますから、ひとつ専門的な、いわば税収見通しとか、その辺を中心にすべきかと思います。  やはり財政というのは入るをはかって出るを制すというのが一番の基本かと思います。  実は私、しばしばODAを取り上げて、またかというような話にもなるのですけれども、たまたま過日、宇野さんが外務大臣のころ、こんな話があったのですね。中国向けのココム違反が摘発された。それで非常に反発が出た。その直後に宇野さんが北京に行って、またたくさん約束してきた。片方でほっぺたをたたきながら、それをまたなだめるためにODAを使うのかということを私は大分追及したことがあるのです。  総理質問もありますから、そういったこともまた取り上げようと思っておりますけれども、ODAの関連で、中国がああいったことになった、中国に対するODAというのが日本の中で一番多いのですね。中国情勢、これからまたどうなるかという問題はございますけれども大臣も一時期は総理になるという話もあったわけです、ただ、消費税が目の前にあるから、消費税をぶら下げているようなものだから総理にしちゃまずいという話もあって、宇野さんに回っていったという話もありますから、大臣は中国の今度のあれについてどういうお考えを政治家として持っておるかということを、冒頭でちょっとお聞きしたいと思います。
  135. 村山達雄

    村山国務大臣 率直に言いまして、中国がいろいろ経済で自由主義的な、あるいは市場経済に向かっておったという中で、政治的に民主化の声が上がってどういうことになるかと思っておりましたが、結末は非常に不幸なことであったという感じがいたしているのでございます。  それだけに、これからの中国の動きについては、やはり隣国の日本としては注視していく必要があろう、こういうふうに見ております。
  136. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 こちらは外務省の方にお聞きすることになると思いますけれども、中国に対するODAの実績と、これからのコミットメントがどの程度のものであるのかということと、このいわば投資規模というのが中国全体の中における投資規模のどのくらいに相当するのだろうか。  実は中国の場合に、御承知のように、かつて修学旅行の学生が大勢死にましたね。あのとき補償金が、向こうの最初の提示額は一人五万円前後だったという。結局は五百万かそこらで落ちついたと思いますけれども、いかに中国は我々の考えているものとの価値が違うかということがあるわけでございまして、過去のODAの実績とこれからのコミットメントというのは、中国にとってはべらぼうな額ではないかと考えられるわけです。  ですから、過去における実績と、それが日本のODAにおけるパーセンテージがどれぐらいか、そしてまた、中国における投資の中で日本のコミットメントがどのくらいの割合を占めるのかという点を、まず簡単に御説明願いたいと思います。
  137. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  中国に対する日本のODAの実績額でございますけれども、支出純額ベースで申し上げますと、毎年おおむね八百億円ぐらいで推移しております。  具体的に言いますと、八四年度が七百四十五億円強――全ODAに占める割合で言いますと、八三から八七年の間が約一三%でございます。  それで、コミットした額でございますけれども、これは第三次円借款ということで、昨年竹下前総理が訪中されたときにこちらから意向表明しましたけれども、九〇年から九五年度まで総額で八千百億円をめどとする円借款を供与する用意があるということを表明しております。  八四から八九年度までは第二次円借款の期間でございますけれども、ここでコミットしましたのが第二次借款として四千七百億円でございます。それに加えまして資金還流措置として七百億円ということでございます。
  138. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大臣、既に四千七百億円が第二次で、その次が八千億円という数字なんですね。中国全土にわたって非常に多くのプロジェクトがあるわけです。  ちょっとお聞きしますけれども、四千七百億円は実施がまだ四〇%前後と聞いておりますけれども一つここで問題なのは、一時期日が高くなって、その結果新しいプロジェクトを追加したというぐあいに聞いていますけれども、その辺の実情はどうですか。
  139. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  円高の結果、こちらから約束しました四千七百億円の、まあ余裕ができたものですから、それに関連して案件を追加いたしました。
  140. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大臣は私のODA論文を読まれたかどうか、エコノミストにございますけれども、結局この場合には、第二次の四千七百億円が、円高でもって向こうのプロジェクトが全部それ以下でおさまってしまった。それで四千七百億円を渡すためにまた新しいプロジェクトを追加してきたということで、考えてみれば、何というか、よく年度末の予算を使い切れないからまた新しいのを始めたというのに似たような感じなんです。  そこで外務省にお聞きしたいのだけれども、いわば援助というのはプロジェクトの積み重ねで、どうしてもこのプロジェクトが要るから足していってこうなるというのか、つかみ金でこれだけやるからこの中でやれという話になるのか。今の話ですと四千七百億渡す、ところが円が高くなったからその額内でできてしまった、できてしまったからまた新しいのをとりあえず追加した。まさにつかみ金で四千七百億渡して、目標よりももっとできそうになったから新しいプロジェクトを追加する、そういう非常に大まかなつかみ金で渡すのか、それぞれプロジェクトを足していって本当に額が決まるのか、その辺どうなんですか。
  141. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  我々は、経済協力の額を決める場合には、案件の積み上げということで行っております。第二次円借款四千七百億円が、円高それから入札価格等の面で四千七百億円に満たなかったわけですけれども、これに関連しまして中国側からいろいろなプロジェクトの要請がございました。我々は、そのプロジェクトが中国の近代化建設における重要性があると認めまして、これに借款を供与したということでございます。それから、第三次の八千百億円に関しましても、我々はプロジェクトを検討した上で八千百億円という金額を策定しております。
  142. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大臣、もしプロジェクトの積み重ねであれば、四千七百億円よりもっと安い値段でプロジェクトができれば、そこでとめておいても本当はいいのですよ、もともとがそれであれば。四千七百億に対して枠ができたからもう一遍新しいプロジェクトを追加するということは、簡単に言えば、つかみ金をぽんと渡して、それ以下でできた場合にはまたそれにオンする。最初の、プロジェクトごとに積み上げていったというのが、実際のところ詭弁になるわけです、簡単に言えば。  私は、今度九〇年から始まるものの八千億、これはちょっとリストを見せてもらったのだけれども、べらぼうな案件の累積なんですよ。さっき言いましたように、向こうはもともとの単価が非常に安いですから、本当に方々いろいろなものができるわけです。これが果たして経済的にどういう効果を持っているのか、その辺の審査が本当に行われているのかという懸念が非常にあるわけですね。そこで、中国に対する基本スタンスをどうするかという問題とも絡むわけです。これは大蔵大臣に聞くのもちょっとあれですから、むしろ総理大臣に、私はまた改めてあさって質問のチャンスがありますから、それを聞こうと思っております。  ただ、ここで誤解があってならないのは、私の立場は今、民社党というよりは個人として考えている。というのは、中国がけしからぬといういわばマスコミの話もあります。ところが、それはまたそれなりに大局的に考えた場合に、今後中国がどうなるのだ、あるいはソ連と接近するかもしれない、今非常に中国とアメリカの間が人権問題が中心になっておりますから。その場合に、日本がその間にあって全くアメリカに追随していくのか、あるいはもう少し別の立場をとるのか、非常に今考えるべきところじゃないかなと私は思っております。  でありますから、単に、天安門がけしからぬからともかくけしからぬということだけでこの問題を済まし得るのかどうかという問題もあると思います。簡単に言えば、アメリカが捨てたチャイナ・カードを我々が拾うのかというような外交政策にも関連してくる。それが一体日本の世論との関係でどうなるのかという問題もありますから、ここで軽々に鄧小平はマルコスと同じだということを私は言うつもりはない。ただ、巨額の資金をつぎ込んで、結局はソ連の方に相当接近していくというような可能性もある、反面、経済的に非常に苦しくなっておるときに、日本のいわばこういったオフィシャルな援助を必要とするかもしれない、その判断は非常に難しいと思います。これは外務省がどう考えているか。これは参事官で結論が出るのか、この辺の問題はありますけれども、その辺は実はあさって総理質問がありますから、私は総理にお尋ねしようと思います。  ただ、基本的にはこれからの円借款をそのまま継続するのかしないのか、継続するにしても、過去これまでのように、何かお金が余ればまた新しいプロジェクトを認めてやるのか、フィージビリティースタディーですか、可能かどうかという検討がどういう基準でなされているのか。例えば、ああいった国は、ある面をばんと伸ばしてもほかのところがついていかなかったら、つくりはしたけれども電気がこないとかいろいろあるわけです。ある意味の産業連関表みたいな考え方で、これをつくればこれが要るというような形で全国的なプランがなければ、ダムをつくったり道路をつくったりしても、最終的に返ってくるかどうかというのもあるし、それがまた最終的にはソ連寄りになるのかという問題もあるし、反面、日本がきちっとチャイナ・カードを持っていなければいけないということであるのかどうか、非常に難しい問題なんですよ。  でありますから、この巨額な円借款、これに対する考え方をどうするのかというのは、非常に重大な問題でもあるし、日本のこれからの外交政策を要するにどちらへどうするかという基本論に結びついている問題です。でありますから、むしろ予算委員会で聞かなくてはいけないような問題ですけれども、当面外務省はこれからの中国に対してどう考えているのか、それから円借款についてどうしようとしているのか。  さっきはプロジェクトの積み重ねでございますと言ったけれども、よく聞いてみれば、円が上がって、今までのプロジェクトができ上がった、枠ができた、そこで、四千七百億は既得権だから新しいプロジェクトをまた認めてやった。そんな中途半端な、まさにつかみ金をやって、それでもって向こうがプロジェクトができ上がったらまた追加する。これからの八千億もそうなのか。八千億が本当の積み重ねであるのか。要するに実行可能性というのが、ちゃんと金が戻ってくることも含めて、しかも向こうの経済にどうインパクトがあるか経済的にちゃんと審査した上の援助なのか。ともかく八千億やりますと言ったものだから、向こうが次々とあれを持ってきて、要するにそれをうん、うんと言っているのか。  私はエコノミストで書いたのですけれども、本当に納税者の目でこの援助を見なければいかぬ。ただ与党の方は国際責任とか言って、あるいはその裏の方では利権があるかもしれない、野党の方は要するに軍備よりはましたというだけでどんどん聖域のように伸ばしてきているということは大問題なんです。それが今の中国の借款についてまさに象徴的にあらわれてきているわけです。  ですから、今の対中国問題に対する態度は改めてまた宇野総理に聞きますけれども、いわば現在における外務省の考え方、円借款の今後、それについての考え方をお聞きしたいとともに、大蔵大臣としてこれだけのODAの第一位の四千七百億、それから八千億というのをどう考えていくか、その点の存念を聞きたいと思います。
  143. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  我が国の対中国経済協力の基本方針は、中国の近代化、開放化の努力に対しできる限りの協力を行うということにあるわけでございます。  ただ、今後我が国としていかなる対応を行っていくかにつきましては、中国の情勢の落ちつき方、先を見つつ、また国際的な動向をも勘案して慎重に検討していきたいと考えております。  現在、援助関係者の引き揚げ等の結果、関連するプロジェクトは事実上大半が中断状況にありますが、今後、事態が完全に復した場合には、これら中断されている協力案件については、相手方の対応ぶり等協力を続行する上で前提となる状況を勘案しつつ続けてまいる考えでおります。  第三次円借款等、その他の対中国経済協力の進め方につきましては、なお中国情勢の落ちつき先を見守っているところでありまして、調査団の派遣を含め、具体的な対応をどうするかは引き続き慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
  144. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ちょっと大臣にお聞きする前に、今外務省に私が提示した第二の問題点、つまり彼らの持ってきているプロジェクトを、単に技術的に実行可能かどうかということだけじゃなくて、それがどういう経済上のインパクトを持っているかという点についての分析は、一体だれがやり、どういう評価を持っているのかお聞きしたいと思います。
  145. 村山達雄

    村山国務大臣 私が知っている限りでは、来年度から六年間の八千百億円というのは、昨年八月竹下前総理が訪中の際コミットした。そしてその前に、向こうからいろいろプロジェクトの希望がある中で、これを外務、大蔵、通産、経企、四省で事務的にうんと詰めて、それで決定した、こう聞いているわけでございます。私がなりましてからまだ日は浅いのでございますが、各国に対するプロジェクト、援助資金を決めるときは、大体やはり四省で事務的にあらかじめ検討し、もちろん関連のものもみんなやっているだろうと思いますが、その上で、全部ということではなくて、そのうち可能なものをやっていると大体承知しているわけでございます。  今後の問題でございますが、これは総理に聞いてもらった方がありがたいと思いますが、ただ、総理の外交方針でも言っているように、日米の関係、それからアジアにおける一つ日本の役割、この二つを外交の座標軸としてやっていく、だから、米中の関係、それから日中の関係は必ずしも同じというわけにはいきかねる、こういうことを抽象的におっしゃっておる。  プロジェクトの実施につきましては、そういう外交方針であろうとどうであろうと、いつやれる状態になるのか、そういう問題は当然あるだろうと思います。そして、政権のためにやるのではなくて、恐らくやはり中国の国民のための援助として考えているんじゃなかろうか。私に思い浮かぶことは大体そんなラインじゃなかろうかと思います。
  146. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 じゃ、あさって総理に質問しますから、それまでによく基本スタンスを議論して考えておいていただきたいと思います。  今、各省庁でみんなが集まって審査していると言いますけれども、本当にこれが向こうの経済にどういうインパクトを与えるのかということまで果たして十分検討しているのかどうか。要するに、向こうが言ってきたから、これはこのくらいの費用でできるだろうとか、そういう――私はよく言うのですけれども、ODAというのは受け入れ側のインフラストラクチュアというか、中国がどのくらい今の経済計画というか、バランスのとれた経済的な開発ですね。日本の場合には、御承知のように戦後は傾斜生産で、まずエネルギーに重点を置く、いろいろと順番を立てながら復興していった。私は中国のいろいろなプロジェクトを見ても、どうもそういう順番を考えた上の、産業連関表的なことを考えた上のプロジェクトとも思えない。そこをまた日本が判定する能力もないんじゃないか。各省庁の専門家が集まってみても、これはできそうだ、このくらいはできそうだというような話で、本当にそういった意味の、いわば経済的な投資というものに対する一というのは、ですから大きなものをつくっても、電力がいかないとか部品がないとか道路がないとか、至るところに出てくるわけですよ。  そういうことを余り考えないで――私はこう思うのですよ、竹下さんが約束しているというけれども国会が否決してもいいんだ、簡単に言えば。海外でコミットしてきたことを我々が守らなければいけない義務はないんだ。でありますから、私が一番憤慨しておりますのは、やめようという竹下さんが東南アジアに行ってあちらこちらで約束してきた。最後には我々が――このコミットメントは条約ですか、そこが問題なんですよ。条約だったら批准するかしないか決めなくちゃいけないが、対外的に行政府の長が勝手に、私はこうです、私はこうですと約束してこれるのかという問題があると思います。実際のところ、中国のコミットメントも国会が否決してもいいと私は思っているのです。私はその辺のODAに対する考え方に非常に満足しないわけです。  でありますから、たまたま中国問題としてクローズアップしてきた。もう一度、ODAというのは何だ、本当の意味の援助になっているのか、その審査も十分にしているのか。私は、それに対するいわば評価なり審査なりそういったことに相当の資金を使わないで、ただただ額をふやしていくということは、まさに国民の税金のむだ遣いになるとはっきり思います。  私が余りしょっちゅうODAを取り上げるので外務省も辟易しているようですけれども、ただ、本当に中国問題を見たときに、しかも私がこの前ココムで議論をしたように、片一方でほっぺたをひっぱたいて、そいつをなだめるためにまたふやしてきたというようなことが往々にしてある。我々としては、まさに総理や外務大臣の外交における手土産でもなんでもないのに手土産がわりに使われて、しかもそれが本当に役に立つかどうかわからないということは、実際のところやめてもらいたいと思うのです。  こればかりやっていますと時間がありませんから、これはまたひとつ。もっとも、総理の質問時間は十七、八分ですから余り長いことも言えないので、かわりによく聞いておいていただいて、総理にもそのことをよく言っておいてください。これがいわばODA問題の中国についての質問でございます。  この点、宇野総理が出てこられる前に、外務省などは本当にかんかんがくがく、これからどういうスタンスで行くんだ、円借なんかもどうするんだということを、これだけ巨額の金をつぎ込むわけですから。  この前のサミットかなんかで一兆円棒引きしてきたことで、大臣も余り国際問題に選挙民は意識ないだろうと思っていらっしゃるかもしれませんけれども消費税で、行った先々ですぐ取られているわけですよ。私は去年外務委員会で、秋に消費税を議論するなら変な約束をサミットでしてくるなと言ったのですが、私が幾ら警告しても、サミットでサッチャーやああいった連中にいい顔をしようと思って、本当に大盤振る舞いをした。選挙民は本当に最近、私がODA問題をちょっと口にしますと、そのとおりだ、何で我々の税金がそんなにばらまかれるのか、まさに自民党政治の国際版じゃないかと言われているわけですよ。これはこれ以上責めても、大臣も、竹下さんがやったことだ、宇野さんがやったことだということになると思いますけれども大蔵大臣としてこれからのいわばスタンスをきちっと持っていただきたいと思います。  以上でODA問題は、もう時間も一時間半くらいしかないですから三十分でやめておきますが、第二の点は、実は私ある雑誌に、あと一週間後に出ますが、どの雑誌と言いませんけれども貿易摩擦についての論文を書きました。実はスーパー三〇一、その前のモトローラ社の通信市場開放問題、この問題につきまして非常に私は不満なんです。  もちろん、日本がこれだけ黒字を持っている、米ソが融和して軍事的脅威が弱まってきますと、一番経済的なものが目につく、だからアメリカにおける世論調査を見ても、日本の方がソ連よりも脅威だと言う者がパーセンテージが大きいということは重々知っておりますし、それから、日本がどんどんとティファニーとかああいうところで買って神経を逆なでしていることも知っています。そういう意味で対日感情が悪化しているということはわかっていますけれども、だからといって、向こうの要求は玉石混交である。私はよく言うのですけれども、私はアメリカに二年半学生でいたのです。学生として本当に向こうの連中と寝食をともにしましたけれども、やはりプリンシプルを持って言うことを言うと向こうは聞くのですが、ただ無原則に妥協するとかさにかかってくるのですよ。  モトローラの関係ですけれども、私は大体中身を知っていますから、余り詳しく説明されてしまうとまた時間がもったいないが、しかし今皆さん承知されてない方もあるかもしれないし、大臣も、大体把握されていると思いますけれども直接のあれじゃないですから、向こうの主張、現状を簡単に言ってください。
  147. 佐藤進

    佐藤説明員 日米間の電気通信市場をめぐっての市場開放問題につきましては、六十一年の日米MOSS協議というのがございまして、そのMOSS協議の結果の合意を踏まえて私ども対応しているわけでございまして、自動車電話に関するものもこの中でやってきております。私どもとしましては誠実にこれを実行してきているというふうに認識しております。  今回米側から包括貿易法に基づきまして制裁に係る決定がなされましたが、これは一方的なものと言わざるを得ず、大変遺憾なものだというふうに認識をしております。今回米側がMOSS合意違反としておりますのは、自動車電話の新たな周波数の割り当てなどの問題でございます。これらはいずれもMOSS合意の内容を超える新しい要求であるというふうに私ども認識しておるわけでございます。  郵政省としましては、このMOSS合意を誠実に今申しましたように遵守してきているわけでございまして、違反の事実がないことの理解を求めるよう努力してきているところでございます。今回米側からMOSS合意を超える新たな要求がなされましたことにつきましては、ローミングと言っておりますが、接続を可能とする自動車電話用の新しい周波数の割り当てにつきましては応じがたいということを重ねて理解を求めながら、先方の動向を見きわめつつ適時適切に対応しているというところでございます。
  148. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 長くなりますから、大臣も大体中身は御承知と思いますけれども、結局モトローラというのが市場に参入したいというので、本来アメリカであればアンプス方式一つである、どの国も大体方式は一つである。日本の場合にはNTT方式というのがあるのだけれども、モトローラも部分的に来てもいいよということで認めてやった。ところが、彼らは契約したのがセルラー系の会社で、それが東京とか名古屋とかいったところはカバーできない。要するに、新しい自動車電話を簡単なものを開発した、こちらの方におれの周波数を割り当ててくれ、おれの方を参入させてくれと言ってきているわけです。  これは外務省でも郵政省でもいいけれども、いわゆるアメリカの貿易省、そこにモトローラ関係者が次官補で二、三人いると思いますけれども、どうですか。
  149. 河村武和

    ○河村説明員 お答え申します。  米国の商務省にいわゆるモトローラ社といろいろな形での関係を有している人が役人として働いている、これは事実でございます。
  150. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 えらいわかったようなわからないようなあれですけれども、まずモトローラの会長の息子が次官をしております。モトローラの元役員が次官補をしております。考えてみれば癒着もいいところなわけですよ。まさにモトローラは自分の会社の製品を売り込むために新しい周波数の割り当てを要求しているわけです。  もしこれを聞かなかったら、いわゆる報復品目というので五十四品目も並べているわけですよ。その中には、化粧品もあれば全然関係のないものもあるし、ぞろぞろある。これはその後でスーパー三〇一の問題が起こりましたけれども、アメリカの要求の中には、本当に理不尽というか、向こうの代表者も言っておるようですけれども日本は無理に口をこじあけなかったら言うことを聞かない、そのために、いざとなれば報復を振りかざさないとだめだというような姿勢でいるわけです。寄るとさわると、マスコミが大変だ、国会が言うことを聞かない、簡単に言えばそれをてこにしているわけです。  スーパー三〇一の、これは時間もないから一々また説明を受けるとあれでございますけれども、いわゆるスーパーコンピューターにしても人工衛星にしても、人工衛星も何か日本が自主開発しようとするのを、それよりも買えというような話らしいし、木材の加工品についても、何を言っているかよくわからないけれども、三階建ての木造で一時問題がありました。これは大分前に木造三階建てを認めろという話があって、私は実は大反対したのです。日本のように火災が多いところにそんなことをやって大丈夫か、アメリカのように家が全然離れているなら話は別だけれども。  今アメリカの中でも、御承知のようにヒルズとモスバカーのグループが、どちらかというと商務省というのは三流官庁と言われておって、それが自分の立場を強めようと思っていろいろなことを言ってきておる。アメリカの中でも、御承知のようにボスキンとかベーカーそれからダーマンとかああいった連中は、スコウクロフトもそうですが、割合と穏健なことを言っている。  ところが、世論の日本はけしからぬという声と、上下両院のそういう声を背景に、今の貿易摩擦問題はだんびらを掲げてそれで置いてこいという話になっている。米の問題もそうですが、米の場合も本当に全米的なのかどうか。かつて木材問題でちょうど二、三年前に問題がありました。そのときよく調べてみると、カリフォルニアか何かの木材業者が販路を失って日本の方へ乗り出そうとしたわけです。  ことしの後半から貿易摩擦が大問題になってきます。日本の黒字が累増していることは事実ですが、だから私はよく言うのですけれども、最近は円も少しあれしてきましたが、去年あたりはすごい為替ロスをこうむりながらアメリカの国債を買い続けていたわけです。だから、ベーカーあたりもその辺日本が手を引いたら大変だという気持ちがあるからこそ割合と穏健論を説いている。ただ、ここで日本がきちっと言うべきことを言わないと、日本との間で穏健派というのがむしろ立場を失って、強硬論ばかりが支配するようになる。  私は、今度の通信問題、これは米の自由化問題にも絡まってくると思います。ここで無原則な妥協をすれば――私は実はマスコミの人にもちょっと言いたいのですが、やれアメリカの上院でヒルズは何て言った、向こうの議員がどういうことを言うたと、実際のところそういうことばかり報道しているわけですよ。日本国会も、変なことをやったら大変な話になるぞと、私は、今度の論文もちょっとそういうあれも込めまして、日本のマスコミや国会も、日本の良識派を刺激し続けていけば、日本の外交政策もちょっとわからんぞと。私はもちろん、日本とアメリカとはきちっと手を組んでいかなくちゃいけないという原則をよく知っていますけれども、だけど今の貿易摩擦は、私は従来も中曽根さんのころに文芸春秋に「ゴメンナサイ外交」をやめようというような話を書きましたけれども、外国の、例えばアメリカなんかの場合には、はっきり言って原則のない人間を軽べつするのですよ。  ですから、今提出されているモトローラの関係なんか、何だ、そんな交渉ならおまえたちの貿易省から関係者を全部罷免してこい、それから相談に応じようということを言ってもいいのですね、率直に言えば。日本の世論はその辺を十分知ってなくて、アメリカが言えば言うことを聞かなければいけないんじゃないか、要するに日米協調だという要素が非常に強いんじゃないかと思うのですね。  FSXなんかにつきましても、防衛庁をいろいろ呼んで聞いてみますと、せっかくできた協定を向こうの議会が茶々を入れた。それはもともと、いわば商務省あるいはヒルズたちがまずマスコミに訴え、それから議会に働きかけ声を上げさせた。その結果が合同連合軍がペンタゴンを抑え込んだ、国務省を抑え込んだ。向こうの国務省主導型で、はい御無理ごもっともじゃなくて、こちらも、言うことを、おかしいじゃないか、モトローラー社のために何でやらにゃいかぬのか、しかも、おまえたちの貿易省はモトローラで汚染されているじゃないかということをはっきりと、国会でもいいですね、マスコミも書き、政府もそれできちっとやっていただきたいと思うのですよ。やれ上院がうるさい、下院がうるさい、それをてこにして、ただむちゃくちゃな要求を突きつけて口をこじあけようとしている、とんでもない話です。自民党ももう少しこの辺を、野党に言われてから初めて気がつくのじゃなくて、ちょっとはこの中にもいるかもしれないけれども、この貿易摩擦問題は本当にこれからの問題ですよ。  私は先ほどチャイナ・カードと言いましたけれども、中国の場合にアメリカは、最後にはどうか知らぬけれども、一応彼らは人権抑圧、抑圧ということで、今だれか亡命者をかくまいましたね。これは長く尾を引くと思います。アメリカの世論もいつまでも鄧小平けしからぬでいくかもしれない、裏で手を握るかどうかという問題がありますけれども。こういう情勢のもとで外交も非常に難しくなってきている。私は今の円借の問題を、ただ端的にみんなが言うように、けしからぬ、鄧小平はマルコスだというような短絡的な発想で物は考えていないわけです、けしからぬことはけしからぬと思いますけれども。これからの外交の進路というのは、この中国問題と貿易摩擦問題は本当に一番の重点事項です。そこにいろいろ駆け引きもありましょうけれども、この通信市場開放問題というのを無原則に妥協すれば、これは必ず米の問題にもなります。  それから、例のスーパーコンピューターでも、もともとこれは日本政府は予算が少ないから余り高い予算を計上してないだけであるし、何も向こうのクレイ社の一番いいやつを買わないでも日本の安いやつで間に合うからという要素もある。人工衛星の問題でも、これは自主開発してけしからぬかという話になるわけで、木材加工品だって、何言っているかようわからない。だから、結局FSXが一歩後退二歩後退の始まりで、ここで通信市場開放問題でつまらない妥協をしたら、やはり日本はおどかせばいいのかなという話になるのですよね。いざとなったら、じゃやってこい、こちらもじゃアメリカの国債買ったのに課徴金課すぞというぐらいの法案を我々は出してもいいのですよ。その辺、私はこの問題は宇野さんに聞くのにはちょっと時間が、両方聞きたいと思うけれども、十七分じゃわかりませんから、また少し時間のあるときに。  きょうは方々の官庁を呼んでいますから一人一人聞くべきなんですが、また説明を聞き出すと切りがないから、私の主張を一方的に話すことになるかもしれませんけれども大臣、この問題をどうお考えになるか。通信の方は郵政でもあり、それぞれの所轄は違うでしょう。違うけれども、アメリカを財政的にも支え、日本のキャピタルで相当あれしているという要素をよく知っておられる大蔵大臣として、これは単に郵政省だけの問題でもなければ防衛庁や通産、農林だけの問題でもないのですよ。  特に、米の自由化をどうするかという問題を将来控えて、私はもう米は国内ではだんだんと自由にしていって生産性を高めるとかしなければいけない。今ここで米の門戸を開放するということはすべきではないだろう、こちらの力がつくまで。しかも向こうの市場開放という要求が本当に全米的な要求なのか、先ほどのモトローラみたいな話で、現実問題としては非常に少数の精米業者というかそちらの要求であるかもしれないですね。だから、アメリカの外交というものは、今度の問題を見ましても余り買いかぶってはいかぬ、本当に大局的にやっているのかなと私は思わざるを得ない。ここを、大蔵大臣もうまくすれば総理大臣になったかもしれない人なんだから、まあそれは別として、よくよく考えていただきたい。  具体的に今度の通信市場の開放問題にしても、財政当局としてほかの省の問題であるというぐあいに考えるべきではないと私は思いますが、この辺ちょっと各省からの説明を受けてもいいのだけれども、余り時間を超過したりするとまずいものですから、一方的に話して、大勢の方を呼んで申しわけないけれども、時間と相談するとそんな感じですから、大蔵大臣、まあ大蔵大臣答弁長いですけれども、少しぐらい長くなっても構いませんから、ひとつお考えをお聞かせ願いたいと思う。
  151. 村山達雄

    村山国務大臣 日米の関係は、安全保障の問題からいいましても、日米の経済の緊密な関係、それから今後の世界を考えるときに最も大事なパートナーであるということは、我々もそう思っております。しかし、今度のスーパー三〇一というのは大変だなという感じを持っております。  先進国、特に西側諸国が一番注意しなければならぬのは、やはり保護貿易主義の台頭という問題が一番怖いわけでございます。それでみんな、これは何とかして防止しなくちゃならない、そのためにガットも開き、ウルグアイ・ラウンドもやり、そして去年の暮れ延ばしたやつをまたやりましょう、こうなっておるときに、どこが一体どんなことをやっているかということを一方的に決めるということ、いわば優先国、優先慣行というのですか、それはアメリカが決めるんだ、しかもそれに交渉して応じないときにはこれこれの制裁をかけるぞ、こういう法制のもとでやってぐるということは、やはりマルチで論議すべき、国際的なガットの場で論議すべきこと、あるいはいろいろな問題はG7で論議されておることであるのに、そういう個別商品を取り上げて、しかも罰則をもってやるということ、これはやはり国際的な今の自由貿易を保護しようという基本的なやり方について正反対のやり方をやっておると我々は見ておるわけでございます。極めて遺憾なことであると思っております。  ですから、先般行われましたOECDの閣僚会議でも、EC諸国、日本が、ともに全体の問題がスーパー三〇一になってしまったということで、やはり世界の中ではまだ良識が通るな、こう思っておるわけでございます。委員はアメリカの事情に非常に詳しいわけでございますが、我々が散見する中でも、向こうの有力な新聞はやはりこれに徹底的に反対しておる、論陣を張っておるわけでございます。ですから、アメリカの国内というのはいろいろな意見を持っておる人がたくさんおるな、そういうものの中の一つがここにあらわれてきたというふうに受けとめております。  ただ、日米関係非常に大事でございますので、このスーパー三〇一のもとにおける交渉、これはできないでありましょうが、やはり率直に話し合うということはこれはもう大事なことであろう。そして、あらゆる機会を求めて率直に話し合っていくということであろうと思います。  片や日本の経常黒字でございます。漸次縮小しておることでございますが、これは今の内需拡大の方向で内需を中心とするということは問題はない。しかし、日本がこれだけ黒字を続けていけば、ゼロ・サム・ゲームをやっておるわけでございますから、どこかが大変な迷惑をこうむっておることだけは確かである。これはやはり日本の立場でしっかりした考え方のもとに、このインバランスの問題の是正については日本なりにその縮小に努力していく必要がある、こういう認識でおるわけでございます。
  152. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私と意見がほとんど同じでございますけれども、今度のモトローラ問題、通信市場開放問題、米の自由化問題、それぞれの直接の所管ではないにしても、それについての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  153. 村山達雄

    村山国務大臣 個別的な各商品の話は所管庁から聞いていただいて、私が言わない方がいいだろうと思います。
  154. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 総理大臣心得というつもりでお聞きしたわけですけれども、それは権限外かもしれませんから。ただ、基本的な閣内での議論もあるわけでございますから、ここでこの問題は聞かなくても、大体意見はわかっております。  では、通信市場の問題について、大体さっきの説明ですけれども、今妥協しようとしているのかしてないのか。それと米の問題は、今来られているのはどなたかな。これは予算委員会かあるいは農林委員会で聞く方がいいかもしれないけれども、先に通信の問題について、いわば基本方針を簡単に言ってください。余り時間をかけないでください。
  155. 佐藤進

    佐藤説明員 先生の方から大変ありがたい激励のお言葉をいただきまして、ありがたいと思っております。  今ちょうど今月末の品目の決定、七月十日に向けての制裁の発動というさなかにございまして、私どももいろいろと努力をしているところでございます。いろいろと御心配いただいております無原則な妥協という点だけは避けるつもりでやっております。私どもの通信の主権という立場からの主張を最大限してまいりたいと思っております。
  156. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 米の自由化問題はどうですか。
  157. 永田秀治

    ○永田説明員 お答えをいたします。  米の貿易問題につきまして、我が国の立場は、現在進行中のウルグアイ・ラウンドの場で各国が抱える困難な農業問題それから制度につきまして議論を行う段階になりますれば、米の問題を含むあらゆる農業問題を討議するにやぶさかではないという方針に今後とも変わりはございません。  米は、日本国民の主食であり、かつ我が国農業の基幹をなすものであります。また、水田の稲作は、国土や自然環境の保全、地域経済上不可欠の役割を果たしております。このような米及び稲作の重要性にかんがみまして、国会における決議等の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいるという考えでございます。  以上でございます。
  158. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 米の生産性を上げることは必要だし、減反してそれに金をやるようなことはやめてもらいたいと思いますけれども、自由化問題についてはきちっとした態度であってほしいと私は思います。  もう時間も少ないですから次の問題に移りますけれども、私も大蔵出身でありますから、国の財政を脅かすことは嫌だという気持ちは非常に強いです。反面、私は非常に不合理に思いますのは、軍人恩給欠格者という問題があるのです。これは前から随分運動があって、最後には、ついに最近何か涙金みたいな話で済まされている問題があるのです。よく聞いてみますと、十二年間という恩給法の規定がある、それに満たない者はだめ。ただ、いわば戦地に行った場合なんかはそれはそれなりの加算ということにして、十二年なくても恩給をもらえるグループがある反面、それにちょっと欠けていると全然もらえない。私は今ここで、彼らにまた恩給並みに全部金を払えという話までしてないのですよ。そんなことしたら大変な人数でもある。  ちょっとその前に具体的なデータを、私が言ってもいいけれども、現状、軍人恩給をもらっているのはどのくらいおって、どのくらいの額を払っておって、軍人恩給のいわば期限に満たない者がどのくらいいてという答えをちょっと言ってください。
  159. 榊誠

    ○榊説明員 お答えいたします。  私の方は恩給欠格者の関係を所管している立場で、恩給欠格者の全体の数について先にお答えさしていただきますけれども、旧軍人軍属の方で、先生今申されましたように年金等の恩給を受けられない方全体で、これは六十一年の調査でございますが、生存者数で約二百七十五万人ということで承知してございます。
  160. 大坪正彦

    ○大坪説明員 軍人恩給の今の数字でございますが、平成元年におきましては、旧軍人といたしましては百九十三万八千人、予算といたしましては一兆五千八百八十三億円を予定しております。
  161. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今ここでまた二百七十万人に恩給並みのことをやったら国は破産してしまうということはわかります。だけれども、私が今考えていますのは、せめて彼らが外地に徴兵で行っていた期間を、要するに国民年金なり厚生年金なり、年金のそういう期間の通算期間に加えてやったらどうかな。例えば文官でいわば途中で徴兵に行って働いている者は期間通算されるわけですし、鉄道なんかの場合でも、鉄道共済はまたこれから次の国会だと思いますけれども、そういった者が徴兵されて行けば、その分は通算される。でありますから、十二年に満たないといっても、現実問題としては、要するに三年から四年くらい外地、戦地に行けば十二年くらいになるというような話ですから、軍恩欠格者の平均の勤務年限というのはそんなに長くないんじゃないか。  これは聞いてみますと、年金というのはお金を拠出した者にやるんだ、彼らはお金を拠出していないからだめだという議論になるようですけれども、少なくとも徴兵で行って、帰るに帰られず、いわばサービスでもって国家に尽くしたという者を、期間の通算さえできないのか。十二年の期限というのはどういうことで来たのか。聞いてみますと、大正でしたか、その辺に大体十二年くらいが恩給の期間だということで決めたらしくて、将来、徴兵があって何年間勤務したというようなことは全然考えていない。ところが、現在の軍人恩給に該当している者は、例えば戦時加算なり何かになってたまたま十二年を超えればちゃんとそれに乗っかる、十二年以下だったら少し足りなくても全然乗らない。  私はここで、ほかの国、例えばドイツとかあるいは英国とか、そういう国が徴兵で海外に行った人々に対してどういう措置をとっているのか、それとの比較を果たしてしたのかどうか。軍恩欠格者の場合には、もうともかく、要するにさっきから私が非常に気にしているのは、今や日本はODAで一兆円くらいの金をどんどんとばらまいているわけですよ。ところが、この問題が論議されたときは非常に日本は貧乏で、そんなことをやったらもう日本は破産しちゃうというような状況のもとにそういった人々が見捨てられた。ところが、片っ方は恩給がどんどんふえていく。欠格者の方はちょっと外れていると全然だめという話になってきておる。  私は、今ここで彼らにたくさん恩給並みにやったら国は破産しますから、ただそういう年金計算の通算の期間に加える、年金はもともと金を払わないと払えないよというそのかわりに、実は彼らはサービスでもって生命の危険を冒して働いてきた人ですからね、これだけ日本が豊かになってきたときに、単にそれだけでもって差別するのか。ほかの国はどうなっているかということをまずお聞きしたいと思います。イギリスとかドイツにおいて徴兵に行った連中はどうなっているか、その辺はどういう処理がなされているかを聞きたいと思います。
  162. 大坪正彦

    ○大坪説明員 通算の方の話につきましてはうちの方ちょっと資料がございませんので、各国におきます恩給年限がどういうふうになっているかという数字を御説明申し上げたいと思います……
  163. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いや、私が聞いているのは、恩給年限じゃなくて、徴兵で行った連中は要するにどういう措置を受けているかということだ。
  164. 大坪正彦

    ○大坪説明員 それぞれの国におきまして、それぞれそういう歴史とかあるいは社会事情の中でそれぞれの国の恩給制度というものができておりまして、いろいろ状況は変わっているようでございますが、一つ言えますことは、そういう恩給の資格年限というものを各国持っておりまして、それに該当する者には恩給を出しているというところは間違いないようでございます。
  165. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それではその場合に、特に日本の場合には戦争が長かったけれども、いわば徴兵で行った連中というのは、恩給に該当しない場合には全く補償はされてないのですね。
  166. 大坪正彦

    ○大坪説明員 各国の状況、そう詳しく当方も資料を持っているわけではございませんで、いろいろ資料を当たりますと、国によりましては恩給資格年限に満たない場合には一時金を出すとかいうような国はあるようでございます。
  167. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、この問題について結論を出す前に、諸外国をぴちっと調べておくべきだと思いますね。あるようでございますという程度で処理していいものかどうか。私は本当にそういった連中をみんな面倒を見たら日本は大変だということはわかるけれども、しかし余りにも格差が大き過ぎる。だから、もちろん、恩給は何年間だ、それに該当する者はやっている、そんなことは簡単に言えますよ。現にどうやっていたのか。  私は大蔵省のころ在外財産という課に二年目くらいに入ったことがある。引揚者は、在外財産で持ってこられないで困っている人、随分います。全部知っています。そういった者に対して戦後は非常に気の毒なことをしたと思います。だけれども、こうなってきたときに今さら在外財産をどうしろということは言いません。ほかの国では徴兵で行った連中をどういう形でどう処遇されたのかということをろくに調べもしないで、ただ恩給年限に入っている者はやってあると思いますという程度では、何のための戦後処理をしたのか。ほかの国をもっと調べてください。今知っているところを全部教えてください、どこの国は一体どうやったかということを。払わないのなら払わない、それでもいいのですよ。知らないでおいて、ただ要するにこの国の恩給は何年です。それでどうしたのかを聞いているのですよ。今までこの軍恩欠格者の論議を随分したわけでしょう。その過程においてほかの国のことを全然調べなかったのですか。はっきり答えてください。
  168. 大坪正彦

    ○大坪説明員 そういう戦後処理一般の問題につきましては、昭和五十八年、五十九年ごろ総理府に置かれました戦後処理問題懇談会でいろいろな議論がされたやに聞いております。それで、恩給といたしましては、我が国の恩給制度という観点におきまして各国の状況は調査さしていただいております。
  169. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私も何も古い話を持ち出して国の財政を破綻させようとは全く思っておりませんが、少なくとも去年かおととしでしたかな、そういった最終結論を出して、何か基金をこしらえてどうのこうのという結論を出したはずですね。そのときにもつともっと基本的に、ほかの国はどうしたんだろう。片っ方において恩給は年々とふえていく、片っ方は何カ月か足りないために全然もらえないという問題もあるわけです。今、日本が二百万近くの恩給を払っているのもどうかという問題もあるかと思います。この問題を財政の面で本当に考えなければいかんというのはわかりますけれども、私は非常に頭にくるのは、一方においてほかの国に兆を超える援助をしている、しかもそれはどこに使われているかわからないような、総理や外務大臣が行って自分の格好をよくするためにばらまいてくる。片やそういうものは一遍見捨てられたらそのままになってしまう、その辺が私は非常な問題じゃないかと思います。  あなたを責めてみても、最近の担当だろうから昔のことは知らぬかもしれないけれども、少なくとも去年かおととし軍恩欠格者に対して一つの結論を出したようでございますが、その前にはもう少し綿密な調査をして、果たしてほかの国はどうやっていたか、日本のやり方はこれでいいのかどうか、その辺をよく考えていただきたいと思います。  あと時間が少ないですから、この軍恩欠格者につきましては、私はこういう財政が悪いときに余り持ち出したくない問題だけれども、しかし非常に根の深い問題として存在するわけです。大蔵大臣、ちょっと御感想をお聞きしたいと思います。
  170. 村山達雄

    村山国務大臣 この問題は、大分前にもう片がついたと聞いているわけでございまして、今度も予算編成の過程でいろいろ問題になりましたけれども、要求官庁からもそういう問題は特にはありませんでしたし、いろいろ過去の経緯がありましたけれども、党段階でも過去の決まった線に従って、若干色をつけたようでございますが、大体おさまったなと私は思っておったわけでございます。
  171. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 党段階だか何だか知りませんけれども、片がついたという意味が――軍恩欠格者は僕らを余り支援してくれなくて自民党を支援しているので、何も僕が彼らのために余り言う必要はないのだけれども、公平の考えからして、この結論の出し方が果たしてよかったのか、もう一遍考え直す必要がある。  であるから、例えば、彼らに金を渡さなくても年金のときに通算する年限に入れてやるとか、年金制度として金を出してない者に何でできるかという議論もあるかもしれないけれども、彼らは当時金を出すどころの騒ぎではなかったのです、まさに国のために戦った連中ですから。それに対して、彼らは金を払ってないから年金制度に乗りませんよというのではあんまりですよ。結論の出し方について、もう一遍大臣が考えてみる必要があるのではないですか。冒頭で言ったように、軍恩欠格者はほとんど自民党を支援しているので私が何もここで言う必要はないのだけれども、いずれにしても、せめて年金通算というような考え方もあり得るのじゃないか。例えば文官の場合には、彼らが召集されていったらそれは通算するわけですよ。国鉄の職員の場合でも召集されていったら通算するわけです。しかも、赤紙一本で行っているわけですから。  これは結論が出たとおっしゃるけれども、当時その論議に深くかかわってないとおっしゃるかもしれませんが、これから年金問題を考えるときに、厚生省の立場から言うと、要するに金を払ってないのにやれ、しかも六十歳から六十五歳に上げようとするときにそんな混雑物は困るという議論もあると思いますが、せっかく厚生省も来ているのだから、厚生省の意見を簡単に言ってください。
  172. 松本省蔵

    松本説明員 お答えを申し上げます。  先生、国民年金制度あるいは厚生年金保険制度におきまして軍歴期間を通算すべきではないか、こういう御意見でございますけれども、既に今先生のお話にありましたように、国民年金制度あるいは厚生年金保険制度は社会保険という仕組みをとっておるわけでございまして、加入者の保険料の納付、その納付期間並びに納付額というものを前提といたしまして年金給付を行っていくという基本的な仕組みでございます。したがいまして、軍歴期間というのは基本的には保険料納付はないわけでございますので、通算はなかなか難しい。  それからまた、仮に先生のおっしゃるような形で軍歴期間を厚生年金あるいは国民年金の中で通算の措置をとりますといたしますと、そもそも国民年金あるいは厚生年金の制度の発足前に自営業者であった、あるいは民間のサラリーマンであった方々も多数おられるわけでございます。むしろ圧倒的な多数なわけでございまして、そういう方々には何らの特別の配慮も加えていないわけでございます。そういうようなことでございますので、また新たな、そういうもともと民間のサラリーマンの方々あるいはもともと自営業者の方々との不公平と申しますかアンバランス、そういう問題も生じることになるわけでございまして、なかなか難しいというふうに考えているところでございます。
  173. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大臣も戦前派ですね。私は、戦前派とはいかないけれども戦争体験者ですよ。彼らが、自営業者とかサラリーマンとのアンバランスと言うけれども、片っ方は国の命令によって外地で戦争してきた連中です。そのアンバランスは何ですか。年金は積み立てたというのはわかりますよ。しかしその分を、国がそのくらいの積立金を面倒見てやれということです、簡単に言えば。ここにも何人かあれがいるけれども、そうじゃないですか。不公平ですよ。彼らは大体赤紙一本で行っていたんですよ。  この問題は、余り時間もないからやめておきますけれども、ちょっと考えてください。一体、本当にどちらが公平か。私は本当に持ち上げる義理はないのです。しかも財政を悪化させるようなことを言いたくないのです。だけれども、余りにもその辺の不均衡があるから、ほかの国はどうなっているかぐらいはちょっと調べてくださいよ。  最後に、あともう十分しかありませんが、私は、これから財政の問題で一番大きな問題は、国は随分きゅうきゅう言っておる、地方、特にメガロポリスあたりは非常に財政は豊かになってきておる。さっきも出ましたけれども、やはりこれからの国と地方のアンバランスの問題です。  私はよく言うのですけれども、今度軽井沢に新幹線を通す、必ずあの辺の地価は上がるでしょう。こちらの東京湾横断道路をやる、そうするとまた千葉の方は上がるでしょう。本来、そういう公共事業によって受益をする連中からある程度金を取るべきなんです。今、日本は、さっきも問題ありましたけれども、公共事業によって非常に利益をこうむる人は、単に控除するだけではなくて、資産増をこうむる者とその公共事業の負担者が分かれているので、ここに浜幸さんがいないのは残念だけれども、大型横断道路ができたら向こうの地価がばんばん上がるわけですから、公共事業もその受益者が負担するというシステムにすれば、相当公共事業の財源もできれば公共事業も進むわけです。また、この前も私が言いましたが、東京の半蔵門から四谷まで拡幅工事に幾らかかるか。三千億円かかる。国が三分の二は負担しているわけですね、単に国道という意味だけで。国の税金が約二千億費やされて、その周辺の地価が上がっているわけですよ。  そういう公共事業の負担者と受益者。受益者から取るという原則をしないと富はますます不均衡になる。従来の政治はそういうのを中央から持ってくることにおいていかに地元にサービスするかということが中心だったわけです。まさにこれが一番の問題点なんですよ。だから、これから財確法の場でありますけれども、地方と国との、受益者といわば負担者とのそれを本当に合わせていかなくてはいけない。今は国がみんなやってやって、地方は得をしている。持ってきた方が勝ちだというだけになって、しかもメガロポリスに金が入り込んでくる。  私はもう時間もないからあれですけれども、土光臨調で国と地方との間を検討するという委員会があったようだけれども、民営化の方は割合やったけれども、土光臨調の答申ではろくな答申がないじゃないか。だれが責任者でどういうふうに実現されているか、教えてください。
  174. 菊地徳彌

    ○菊地説明員 お答え申し上げます。  第二臨調では、国・地方の関係を議論したのは第三部会でございます。第三部会のいわゆる部会長は亀井正夫さん、これは住友電工の会長でございます。以下、参与等全部含めまして、メンバーは十八名いらっしゃいます。  それで、御指摘のどういう内容のものがあったのかということなのですが、非常に幅広でございまして、全部一言で申し上げるのはなにかと思いますので、ごく簡単にかいつまんで――よろしゅうございますか。
  175. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 もう時間もないから、大臣、今始めていると言いますけれども、今度の委員会でもっともっとそういうところへメスを入れてほしいのですよ。  私が前から言っていますように、消費税論議の前に、もう少し国税と地方税、地方税の中の、土地の要するに固定資産税ですね。というのは、東京あたりは黙っていても法人住民税と個人住民税で懐は豊かになってきている。だから固定資産税を全然上げない。私は何も貧乏人から取れと言っているのじゃないけれども、東京のど真ん中あたりは、地価が上昇し、それなりに固定資産税を上げていけば高層化せざるを得なくなるのですよ。土地政策に関係があるわけです。  ところが現在の制度が、国税は絶対地方税の場には入れないという問題があるわけです。だからそこで、何を自分でやらせて何を国がやるか、財源はどうするか、これを本当に詰めないと、国はこれだけ国債をしょっていろいろ金利でもって苦しんでいる。地方の方は、本当はもう東京都だって、今都議選の前に余りやるとまた怒られてしまうかもしれないけれども、庁舎を二千億も三千億もかけてつくる、あとは何にもしないでぽかぽか入ってくる金をばらまいているだけじゃないか。この辺をもう少し自己責任を持たせなければいかぬ。  だから、そういういわば今の中央と地方の見直しをもっと徹底的にやってもらいたい。単にふるさと創生論などというつまらないかけ声じゃなくて、本当にどこに問題点があるのか。結局は東京あたりにどんどん国の資本が投下されているのですよ、それが地価上昇になっているわけですよ、さっきの四谷と半蔵門の拡幅じゃないけれども。そういう基本的なメスを入れないで消費税消費税で走ったから私は怒っているわけです。もう時間もそろそろあれですからやめましょう。  では、最後に御決意を聞いてやめておきます。
  176. 村山達雄

    村山国務大臣 土地問題が日本の経済にとって最大の問題であろうということは我々も同様に考えております。今まで土地税制でいろいろなことをやってきましたが、率直に言って余り効き目がなかった。もう考えられることを全部やってきたわけでございますが、やはり土地に対する考え方の基本は今おっしゃったようなことですね。  今度新臨調が土地問題基本政策をやりまして、先般提言がありました。それに基づいて今度は土地基本法を出そうということでございます。そこの骨格になっている部分は、もう御案内のとおり二つありまして、一つは、土地の利用については公共的な制限を受けるべきである。第二には、社会資本なり公共事業によって値上がり利益があったら、その開発利益を還元すべきだ。これが国民に浸透し、それに相応したもろもろの制度ができたときに国民が受け入れてくれる、この基盤がなければだめだろうと私は思っておるわけでございます。  問題は、その土地開発利益の還元でございますが、これは経済理論としてはまさにそのとおりだろうと思うのです。ただ、受益の範囲を具体的にどうするのか、還元の方法をどうするのか、こういう技術的問題は極めて困難な問題であろう。しかし、まさにこれは経済の問題であり、そしてまた公平の問題の基本をなしているものであろう、こういうことで、この土地基本法の成立を待ちまして我々も所要の税制措置を講じてまいりたい。幸いにして国と地方の税制というものは、政府の税調におきましても、それから党の税調におきましても一緒に議論されておるわけでございます。
  177. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 どうも少し時間を超過しまして済みませんでした。
  178. 中西啓介

  179. 正森成二

    ○正森委員 財確法案について質問させていただきますが、既に大蔵省関係にはきのう質問項目を御連絡いたしましたが、きょう伺っておりますと、同僚委員、特に先輩の村山委員と重複している部分が相当ございます。御存じかと思いますが。しかし、なるべく単純に、重複しないように、角度を変えて、観点を変えて伺いますので、若干の重複はお許し願いたいと思います。  まず最初に、昭和六十三年度の自然増収について伺いたいと思います。  この質疑の中で、本会議でもあるいはきょうの答弁の中でも大蔵大臣あるいは大蔵省当局は、三月決算の法人の法人税がまだ入っておらない、これが法人税全体の約四割を占めるので何とも申し上げられないということを言いまして、村山さんはさすが国務大臣だけあって、政治的にこういう質問をするのは減税をしろという意図ではないかといち早く感づかれたのか、これはこういう方にも使うんだ、ああいう方にも使うんだ、残りは何ぼもありませんよということを言われたのですが、私がこれから聞きますのは、必ずしも大臣の意図のように減税をしろということを聞くのではなくて、国債政策なりなんなりを考えるために伺いたいと思っておりますので、率直にお答え願いたいと思います。  確かに福田内閣のときでしたか、三月の法人税収を繰り入れるということがございましたために、税収の見込みも非常に立てにくくなったということで、また最後の締め切りもおくれるということになって、現在ではまだ六月末ではございませんので、確定していないということは承知しております。しかしながら、三月期決算の法人の法人税収は原則として五月末には既に結論が出ているはずで、その整理が六月末ということになっているはずです。そして、あらゆる経済指標は法人の利益が約二割伸びておる。例えば野村証券などは、半期で約五千億円の利益を出しておるというようなことも関係の調査機関からすべて報告されております。  したがって、多くの新聞にも出ておりますように、補正後予算に比べて国の自然増収が約二兆八千億円前後出るということは、ほぼ疑いのないことだと思うのですね。それを大蔵当局が、六月ももう中旬になっておるのに、それが全くわからないかのような答弁をして、そして減税の要求をあらかじめ封じ込むというようなことは、もしそう考えておられるとすれば必ずしもフェアではない。だから私は、それがあるから減税しろということで聞くのではなしに、率直に自然増収が約二兆八千億円あるのではないか。  そのことを聞きますのは、その次の質問に関連するのですが、たしか補正後に特例国債、赤字国債の額を減縮したと思います。私の知る限りでは、現在までに昭和六十三年度分として発行した赤字国債は九千五百億円で、一兆円をやや下回っておるというように聞いております。大臣答弁にもありましたように、もし自然増収が出れば、残りの発行予定分があります。その残りは約八千億円ぐらいですね。それは出さないでもよいということにもなってまいりますね。そこで、その関連で、大体そういうことだからこそ、もう六月の半ばにもなるのに出納整理期間に出すことのできる特例公債を発行しないで、そして九千五百億円前後の発行額にとどまっておるのではないかというように思いますので、率直にお答えいただきたいと思います。
  180. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますとおりでございますが、まだ五月分の計数がわかっておりません。四月末現在の累計といたしましては、前年と比べまして七・三%の増収という結果が出ております。六十二年度決算額に対します六十三年度の補正後の予算額の率が一〇二・八%ということでございますので、ある程度の増収があることは間違いないだろうというように思いますが、委員御指摘のとおり五月分に入ってまいります法人税収、これは法人税収の四割弱、去年で申しまして大体六兆円ぐらいあるわけでございます。したがいまして、経常利益についての見通し等もいろいろと耳にいたしますが、中小法人分等もございまして、まだ全体としての姿がはっきりいたしません。この段階で確定的なことを申し上げることができないことを御理解いただきたいと存じます。  公債の問題につきましては担当の方から御答弁申し上げます。
  181. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 まず、自然増収の問題につきましては今お答えのとおりでございますけれども、それを期待し得る状況であるということでございますれば、当然出納整理期間に繰り越した特例公債について発行を取りやめるということになるわけでございます。その可能性はあり得るのではないか。全額かどうかという問題もまた一つございますが、ぎりぎりの出納整理期間の中で最後の詰めをしていく必要があろうかと思います。  いずれにしましても、私どもとしましては特例公債の発行は極力縮減すべきであるという財確法の趣旨を踏まえて、出納整理期間分のものの発行をどうするかということについては、例年極めてセンシティブに扱っておるということを御理解いただきたいと思います。
  182. 正森成二

    ○正森委員 多少は具体的になりましたけれども、法人税がまだ四割残っておるとかなんとか言っても、五月末までに決まっておって、その整理が六月までということで、大きなところのおおよその利益がどのくらいあるかということはもうつかんでおるのですから。それは自然増収が二兆八千何百何十億あるとか、そういうことを聞こうとは思っておりませんが、おおよその傾向としてはそういうことだ。出納整理期間といってもあと何ぼも残ってないのです。残ってないのに、権限を付与された特例公債を出してないのでしょう。  では、念のために答えてください。今までに出した特例公債は約九千五百億円で、まだ発行額が約八千億残っておるということは事実ですか。
  183. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 補正予算の段階である程度減額をいたしました結果、本年度の授権をいただいております発行額は一兆七千七百十億でございまして、そのうち年度内に九千五百六十五億を発行いたしましたので、出納整理期間に残されたものは八千百四十五億でございます。
  184. 正森成二

    ○正森委員 つまり、権限があるのに出さないで、それだけ残している。しかも補正予算で減額したのをまだ残しているということは、責任ある財政当局としては、自然増収が相当大きい可能性があるということでなければ怠慢ということになる。国債を発行しようと思えばあらかじめ準備も要りますし、急にぱたぱたできないわけですから、自然増収があることは間違いがない。それが、大蔵大臣同僚委員答弁されたように、まず特例公債の減額に向けられる。それからさらに、当然のことながら三二%は地方交付税交付金に向けられる。恐らくこれが約八千五百億円ぐらいになろうかと思います。そうしますと、残りの自由になる金は一兆四千億円前後で、それの最低半分は整理基金に入れなければならないから、本当に自由になる金は七千億円前後、あるいはそれより少ないというふうに報道されているとおりだろうと思うのですね。  そこで伺いたいのですが、これは新聞報道にあるわけですが、大臣が新聞紙上で「NTT株第四次放国会年度は見送りも」という記事がございます。これは六月四日付の朝日新聞と、私が持っておりますのは毎日新聞で、お忘れかもしれませんが、なかなかにこやかないいお顔で写真も写っております。そうしますと、新聞紙上に「今年度の売り出しは見送ることを検討する」こうなっておるんですね。新聞に二紙までこう報道されているから、全く違うということはないかと思いますが、「今年度」というのはもちろん平成元年度ですね、六月四日ですから。  そうすると八九年度平成元年度の一般会計、特別会計予算では、第四次放出として百九十五万株を売却して、約二兆八千億円の売却収入を上げることになっていますね。これを第四次放出は見送りもということになれば、主計局次長、財政当局としては二兆八千億円にかわる穴埋めの財源がある、昭和六十三年度の自然増収で平成元年度に使える分も今言いましたように相当ある、そして八九年、平成元年度も自然増収が相当ある。それ以外に腹づもりとしてこんな収入があるということでなければ、大臣が非常に大きな額であるNTTの第四次放出をやめることを検討するなんて言えるわけがないですね。また、大臣がそういうことを発言するというのは、事務当局がそういう資料なり見込みを大臣のお耳に入れなければ、大臣は天から降ってわいたように突如自分が思いついてそんなことを言えるわけがない。大臣はいかなる根拠に基づいてこういう発言を新聞紙上にされたんですか、率直に言ってください。
  185. 村山達雄

    村山国務大臣 NTTの株というのは国民の共有財産で、極めて大事に使わなければならぬというところが基本でございます。残念ながら今NTTの株は市場で大分下がっておりまして、きょうはまた百四十八万ですか。そういうことを考えますと、平成元年度に売って、そしてその財源平成年度の繰り入れ財源にするわけでございますけれども、見送りという意味は、あるいは見送りと言ったかもしれませんが、それは全部または一部の見送りという意味でございます。もちろんの話でございます。そういう意味で申し上げたので、これから検討していかなければならぬ事項ではないか、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  186. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 若干補足をして申し上げさしていただきたいと思います。  今先生は、このNTTを見送った場合に本年度の歳入に穴があくかというふうにおっしゃいましたが、あるいは御承知かと思いますが、元年度予算でNTTを活用して例えば一兆三千億の公共事業的なものを行う、こういう場合には、これは六十三年度におきますNTT売却収入を使っております。したがいまして、これは仮定の話でございますが、もし仮に元年度のNTT株式売却が不調に推移するというような場合には、二年度の予算を編成する際にどう考えるか、この問題はいずれ出ざるを得ないのでございます。あくまでも仮定の話でございますが、お答えを申し上げました。
  187. 正森成二

    ○正森委員 ここに新聞も持っておりますが、新聞にも、平成元年度の分は昭和六十三年に売った百五十万株の分で何とか手当てができる、しかし、平成元年度に百九十五万株を売らないとなれば、二兆八千億円ぐらいが平成年度でどうするかというところで問題になる、そう書いてあります。私の言い方が少し簡略したのでそういうぐあいになっているのですが、しかしそれにしましても、平成年度まではNTTの売却収入があるはずだ、四年からはなくなりますけれどもね。その平成元年度に売るもの、使うのは二年だけれども、それを見送る。もちろん今の御発言で全部または一部というように御訂正になりましたが、一部にはいろいろありまして、九割も一部なら一割も一部です。それはいろいろあるでしょうけれども、少なくとも相当大きな額のものをそういうぐあいに言われるというのはよくよくのことだ。  それは今大臣がはしなくも言われましたように、一株が百四十八万とか、これは最盛期に比べますと二分の一以下ですね。そういうことであると、もう少し高ければ国庫にもっと入るのが、みすみす安く売って少なくなるという損得の問題と、それから株式市場を混乱させるといいますか、NTTの経営その他にも若干の影響を与えるというようないろいろな配慮があって、そういうことを言われたと思うのです。しかし、これは表現は悪いですけれども、背に腹はかえられぬということがありまして、財政事情がもしどうしても悪ければ、そんなぜいたくなことはとても言っておられないですね。株の値が下がったのは市場ですからやむを得ぬけれども、何とか努力して、努力してと言うたら大臣が民間企業の株の値をつり上げることになりますからいけませんが、やはり売却しなければいかぬということになったら、ああいう発言は出てこないと思いますよ。  それがああいう発言があったということは、昭和六十三年度の自然増収、平成元年度の自然増収が一定にあるということと、それ以外にプラスアルファをいろいろ考えておられるということを示唆しているというように思うのですが、大臣、たばこの株の売却ということも来年度はお考えになっておるということも心の一隅にあって、ああいう御発言が出てくるのですか。それとも、いやいや自然増収で十分やれるというくらいの確固たる御自信ですか。
  188. 村山達雄

    村山国務大臣 余り下がったものですから、そっちの方を心配しているわけでございます。  それから、たばこ会社の株の売却の問題は、正直言いまして今考えておりません。今非常に困難な状況、経営状況が非常に苦しいことはよくわかっております。たばこ会社はこの経営を挽回すべくあらゆる努力をしているわけでございますので、今のところ経営がよくなるのを待っているわけでございまして、今売却を考えておりません。
  189. 正森成二

    ○正森委員 一部の報道では、政府保有の二百万株のうち三分の一の六十六万株くらいは来年度を考えておるのではないか、そういう報道もありますが、少なくとも現段階では考えておらない。  そうしますと、一部報道に、JRの景気が割といいので、これを繰り上げて来年度から売却も考えるというようなこともございますが、たばこについてさえそういうお考えなら、JRについても今直ちにそういうことは日程に上っておらないと伺っていいのですか、それとも別ですか。
  190. 村山達雄

    村山国務大臣 JRは、御案内のように清算事業団のあれでございますから、これは清算事業団の方で大事に使ってもらいたい、こう思っておるところでございます。
  191. 正森成二

    ○正森委員 これは横道に少しそれますが、理財局長来ていますか。――NTTがひところ三百万円を超えたのに、なぜ百四十万円くらいに下がって低迷していると思いますか。つまり、株価が全体としてだあっと下がって、そして二年前に比べて二分の一以下になったというならそれは当然なんだけれども、ほかの株価は多かれ少なかれ上がって、この間の魔の何曜日とか言われるときからさえまた上がり始めているのに、なぜNTTだけが下がるのだろうかということを理財局としては当然分析しておると思いますが、どういうように考えていますか。
  192. 足立和基

    ○足立政府委員 大蔵省といたしまして、NTTに限りませんが、個々の銘柄の株価につきまして、どういう理由で上がる、あるいはどういう理由で下がるというような分析を発表するようなことはいたしてございません。やはり種々の問題、恐らく市場全体の動向とか潜在的な企業の成長性の問題であるとか、あるいは人気、需給関係、もろもろの関係が総合されまして市場において価格が形成されているのだと思いますが、具体的な株価の動向についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  193. 正森成二

    ○正森委員 株価の動向についてコメントすることは差し控えさせていただきたいなんて便利な言葉で、そういう言葉を覚えていれば議員が何を聞いても答えなくともいいし、もっと言えば、自分が勉強していなくても、勉強してないということをみんなの前に知られなくても済むということなのだけれども、しかし理財局長、国庫の収入に関係し、国債整理基金の収入にも関係することについて、そんな個々の企業の株価の動向については言えないとかなんとかと言って済むことですか。あなた方としたら、大臣が税収が十分あるという確信が必ずしもないのに、余り値段が下がったのでびっくり仰天して、今年度は見送るかということで、全部または一部ということもお忘れになって見送るか。こうなれば、聞いている者は全部見送るかというようにとりますから、そうなっているのに担当の理財局長がそういうぐあいにのほほんとしておるのじゃ、これは国会で我々がかわりに分析しないと国家のために心配てしようがない。  我々が分析しますと、NTTは、もちろんリクルートもあればいろいろなこともあると言う人もありますよ。しかし、その影響は我々の見るところでは比較的少ないので、一番大きな影響は、普通の企業の場合には、七割までは一つの企業の株は企業が持っているのですよ。個人が持っているのは三割弱なんです。そして、七割以上の企業は相当部分が安定株主で、株を売らないのですよ。だから、株価というのはその三割以下の個人、それが売るということで値が決まるから、売りが非常に少ないのです。だからなかなか値が下がらない。企業がばあんと売る場合には、直接市場に出さないで、相対取引で売って株価に影響させないようにするということは普通行われているのですね。それは株の関係の分析した本なんかを見れば皆書いてある。  ところが、NTTの場合には二、三年前から国がぼんぼんと株を放出する。しかも、最初は公平にいくようにというので、一人一株というようなことで非常に大衆的な株主をふやした。だから、ずばり言えば普通の一流企業のような安定株主がいないのです。だから売るわけなんです。私、資料を持ってきましたけれども、時間がありませんから言いませんけれども、ちょろちょろ売るからなかなか下げどまりしないというように書いてあるのですね。  つまり、言ってみれば、今の中で相当数の上場企業の株はどんどん上がる。その中でNTTだけは下がって、二分の一以下になるという根本的な原因はどこにあるかといえば、その株価の構造の仕組みにあるわけなんです。だから、今株の値段が高いといって謳歌している他の上場企業も、もし株主構成がNTTと同じようであれば、二分の一以下に下がるということはないにしても、あんなに株が上がるということは必ずしも保証されないのですね。ですから、今の上場企業の株価が非常に上昇して我が世の春を謳歌しているというのは、ここに証券業協会の常務理事も出てきておりますけれども、必ずしも欧米ではああいうことは起こり得ないのですね。我が国の企業の持ち合いと法人株主主義というような、そういう表現をされている中で起こっている現象だというように言わなければいけないのですね。  ですから、NTTの株の値段をまた三百万円くらいまで上げるなんというのはなかなか大変なことなんですよ。個々の企業の株がどうなるかというようなことはこの場では言えないなんてあなた言ったので、やむを得ず正森説を披露するわけですけれども、そういうことも考慮して広く分析しておくことですね。ここで言う言わないは別にして、国家のために理財局がそういうことを勉強してないようでは困るのですね。そのことを申し上げて次の問題に移りたいと思います。  今、財政審が財政再建について六つの指標についていろいろ言っております。重複を避けるために大臣答弁を引用いたしますと、一言で言えば非常に難しいということで、その六つの指標のうちのどれをメーンの指標にするとかなんとか、それはまだ財政審で検討いただいている最中で、ここで答弁し得る状況ではない、こう受け取れるような答弁と伺いましたが、そう伺うてよろしいか。
  194. 村山達雄

    村山国務大臣 そう受け取ってもらって結構でございます。
  195. 正森成二

    ○正森委員 そこで、一つの考え方として、その六つの指標、国債依存度だとか国債費率とか残高のGNPとの比較とかいろいろございますけれども、我が国の財政状況が決して楽観し得る状況じゃないということは、これらの幾つかの指標を諸外国の指標と比べてみれば、これは財政審でも全部資料がついております、それは一々申しませんが、楽観できない状況であるということは否定することのできないことであります。  そこで、その参考のために、お読みになっておられるかどうかわかりませんが、東海銀行が調査月報の一九八九年五月号で我が国の将来の財政について有益な調査をしております。私はこれを読ませていただきまして、さらにこの分析の基礎になったコンピューターの数字も東海銀行の御協力によって二、三日前に入手いたしました。そこで、それらの数字について若干申し上げたいというように思うのです。もちろんこの分析の仕方などで大いに参考になりますが、その結論や過程について我々が同じ見解というわけにはいかない点があるということは、あらかじめ申し上げておきたいと思うのです。  それで、この中で私が若干注目しましたのは二、三点ございますが、その一つは利払いの率ですね。六%で借りているとか七%で借りているとか八%で借りているというのがありますが、それについて日銀の資料も援用しながら分析しているのです。それはどういうように分析しているかといいますと、これは大蔵省は十分御存じのことだと思いますが、利払い率、利子率と税収及び利払い費以外の歳出の伸び率とを比べまして、「税収及び利払費以外の歳出の伸び率が利子率を上回る場合は、(中略)国債依存度は、一定の値に収束する。」それはそうですね、出ていく利子率よりも収入の方が多いわけですから。しかしながら「利子率が税収及び利払費以外の歳出の伸び率を上回る場合には、」つまり、高い利息を払って財政を賄っている場合には、「国債残高の対GNP比率は無限に上昇し、利払費の歳出に占める割合と国債依存度は、一〇〇%に収束することとなる。」つまり、全部その利払いに回さなければいけないように究極的にはなるということを言っているのです。これは数式があるようですけれども、常識的に考えても当然のことですね。  だから、ここから言えることは、その程度には差があっても、税収及び利払いに充てる国債費以外の伸びというものは、借金の利子率よりも上でなければならない。つまり、それよりも利子率は下でなければ、そういう状況が長く続けば国の財政は破綻するということを数学的に言っているわけであります。これは常識であります。  ところが、これは日銀の経済統計月報から計算しているのですけれども、我が国の最近の財政を見ますと、残念ながら利子率の方が今言いました税収及び利払い費以外の歳出を上回っている場合がごく最近だけで五回あるのですね。これを見ますと、一九七五年、一九八一年、八二年、そして八三年及び八五年、五回にわたって利子率が上回っております。この場合の利子率はおおむね皆八%を超えた場合であります。例えば八・三%、八・一%、八・〇%、一九八五年だけが六・四%というように、利子率は低いのに、別の項目が低いのでこれが高くなるという状況になっておるのですね。そうしますと、それが単年度あるいは十二、三年の間の四、五回だからいいけれども、そういう状況が毎年毎年だったら、財政が破綻するような財政運営が残念ながら局部的には行われたということを示しているのですね。だから、こういう過去の遺産というのは、何らかの形で是正されなければならないということは当然出てくることだと思うのですね。  それから、もう一つこの東海月報が言っておりますのは、同僚委員村山先輩が言われましたように、公共事業の耐用年数が六十年ということで一・六%ずつ定率繰り入れをしておるけれども、その六十年というのは現在では当てはまらないんだということを言っていることなのですね。  そのもとになっておりますのは、ここに持ってまいりましたが、「日本の社会資本」という経済企画庁の総合計画局がつくりました本であります。経企庁、来ておられますね。――私ここへ赤いのを入れて若干読んでまいりましたけれども、時間を節約する意味でお尋ねいたしたいのですが、今主計局次長が仮に土地を百年と仮置きしてというようなことまで御説明がありましたが、公共事業費に占める土地の割合というのは比較的多くないのです。例えばアトランダムに申し上げますが、道路、港湾、航空、下水道、廃棄物処理、水道、都市公園、学校施設、治水、治山あるいは工業用水道等について平均耐用年数を経企庁は幾らと見ているか、もしわかれば答えてください。
  196. 川嶋康宏

    ○川嶋説明員 お答えいたします。  私どもは、五十九年度にストック推計の一環といたしまして耐用年数を推計しておるわけでございますけれども、道路につきましては四十五年、港湾につきましては五十年、航空につきましては十七年、それから水道につきましては三十二年、下水道につきましては三十四年、廃棄物につきましては十五年、治山が四十七年、治水が四十九年、それから工業用水道が四十年というふうなことで試算をしております。
  197. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣、今お聞きになったようなことで、東海銀行では平均三十二年というようにしているのですね。もちろんこれは加重平均しないと、年数だけをやったのでは学問的に意味をなしませんけれども、しかし今お聞きになりましたように、短いものは十七年、我々が相当長いかなと思っているようなものでも四十年とか四十五年とかということになっているわけで、村山委員が建設国債の六十年償還というのは見直しする必要があるのではないかと言われた根拠はここにあるわけですね。  ただ、今財政事情が非常にまだよくない。本来なら特例債というのは六十年で返すなんというのはもってのほかで、本当は出すのがもってのほかだと言っていたのを、大平内閣のときに、出すことは出しますが十年たったら絶対に借りかえしない、全部返しますということで、国会で約束してやったのですね。それが背に腹はかえられないので、建設国債と同じ六十年で返すということになっているわけでしょう。特例債というのは、こういう建設国債と違って裏づけの物件は何もないわけなんですからね。そして、裏づけのあるとされる建設国債でもこういう状況であるということを考えますと、財政事情が悪いから一それは理想を言えば特例債は即時償還、少なくとも十年来たら償還、建設国債はできれば法改正して、六十年償還をせめて四十年とか五十年ということにすべきなんでしょうが、それは村山さん、ないそでは振れぬという御心境でしょう。  だから、私は今そのことをすぐどうこうというように聞きませんが、ここで私が言いたいのは、少なくともそういうことを考え、かつ利子率が税収の伸び等々より高い場合には、国債費は一〇〇%に限りなく近づくというような財政破綻になるのだということを考えれば、少なくとも東海銀行が分析しているような四年ないし五年の利払い率の方が高かったときに発行した国債について、可能ならばこれを速やかに償還して現在の低い金利のものとかえるということは、財政当局が財政再建の六つの指標についていろいろ頭を悩まされるのはいいのですが、それより前に行うべきことではないのですか。  私どもがそう言いますと、大臣はあるいは御存じないかもしれませんが、私は今まで二回にわたって非常に高利の国債についての借りかえを主張し、その法律上の根拠があるということを申し上げました。     〔委員長退席、村井委員長代理着席〕  第一、国債には繰り上げ償還をすることを得ということが印刷してあって、繰り上げ償還されたから契約違反だと言えないようになっているのですからね。国債整理基金法でもそのことは合法化されております。大臣が繰り上げ償還しようと思えば、八%なんか、それ以上の国債というのは非常な希少価値ですからね。国債の値段が非常に上がって、百円よりはるかに上だ、百十何円というものもあるのですからね。そんなものを買うて償却しようとすれば、それだけで金が要るから結局同じことだという意味のことを今言われました。これは、主計局次長も今まで判で押したようにそう答えるのですよ。しかし、国債の繰り上げ償還というのは、何も時価の百十何円なんかで償還することじゃないので、借りた百円払えばそれでいいようになっているのですから。そうすれば、結局東海銀行の言うたような限りなく一〇〇%に、財政破綻になるような危険なことを犯した部分は少なくとも除去することができる。建設国債の六十年を三十年にしろ、四十年にしろ、五十年にしろということはよしんぱ着手できないにしても、今私が言ったようなことを実行するということはできることではないのですか。
  198. 村山達雄

    村山国務大臣 さっき申しましたように、券面にそういう繰り上げ償還ができるということもあることは承知しております。ただ、実際問題として額面で償還するわけでございますから、そのときは、期近物になっているものは市況ではもう非常に高い値段になっていることは当然だろうと思います。それが一つ国債に対する債権者の期待利益といいますか、そういうものであろう。だから法律的に可能であるということでやっていいかどうか、そこはやはり国債の信認の問題じゃないか、こういうことを言っているわけでございます。
  199. 正森成二

    ○正森委員 その答弁も宮澤大蔵大臣その他が繰り返し言われたことなんです。私はもう既にこの前の質問のときに言っておりますから、多くを言おうとは思いませんけれども、信認、信認とおっしゃいますが、マル優廃止の場合には、今まで税金がかからなかったのが一律に利子に二割かかったのですね。それは利子率を二割切り下げられたのと同じなんです。三百兆ないし四百兆の庶民の預金についてはそういうことが行われているのに、百六十二兆の残額のうち八%前後の国債というのはせいぜい三分の一以下ですね。それについてさえそういうことができないということは、庶民の目から見たらそれは庶民いじめで、大口にそういう高利回りの国債を持っている一部の金融機関とか、そういうものを擁護するものにほかならないという考えを持つのは当然のことであるということを私は指摘して、次の論点に行きたいと思います。  そこで、この東海銀行はおもしろいあれを書いておりまして、例えばGNP成長率を四%と見ると、税収は弾性値一・一と見て四・四である。それから、地方交付税の方は弾性値一・二と見るというような前提を置きまして、大蔵省が出している財政収支計算では自然成長は四・七五でしたか、それとは違いますが、東海銀行はそういうぐあいに置きまして、そして国債費や税収やら歳出がどうなるかというのを見ているわけです。この計算では、歳出のある項目、社会保障関係費は一定率でどんどん伸びる。そうすると、その他の経費がどういうぐあいに一般歳出の中で圧縮されるかという計算をしているのです。  そういう見方もあるでしょうが、私は見解をやや異にいたしまして、社会保障関係では大蔵省がいろいろ努力して率は変わってきていますので、このごろ変わらないものは何であろうか、また今度の宇野内閣の所信表明演説でも変わらないものは何であろうかというと、国際国家日本ですね。国際的に貢献する日本なんです。その中身は何かと言えば、ODAとそれから軍事費の分担、バードンシェアリングですね。そうしますと、軍事費は平成元年は五・九%ですね。ODAは幾らかと言えば七・八です。  そこで伺いたいのですが、どなたがお答えになっても結構ですけれども、軍事費の今年度の予算は三兆九千百九十八億ですか、仮に三・九二と置きますか。ODAは七千五百幾らですから〇・七六と置きますと、平成でいくとちょっとわかりにくいので西暦でいきますが、二〇〇〇年にはどれくらいになると思いますか。あるいは二〇二〇年にはどれくらいになると思いますか。――おおよそのことはレクチャーしておきましたけれども、こういう具体的なことは言っておりませんので、単純な算数ですから私から申し上げたいと思います。  防衛費は、端数を削って三兆九千二百億円が五・九の割合でふえますと、今から十一年後の西暦二〇〇〇年には七兆三千六百億円になります。二〇一〇年には十三兆六百億円になります。二〇二〇年には二十三兆一千八百億円になります。ODAは、端数を切り上げて七千六百億としますと、西暦二〇〇〇年には一兆七千三百億円、西暦二〇一〇年には三兆六千六百億円、西暦二〇二〇年には七兆七千五百億円になります。したがって、二〇二〇年には防衛費とODA、いわゆる国際国家日本で世界に貢献するパードンシェアリングの重さは三十兆九千三百億円になります。これは実に膨大な額であると言わなければなりません。もちろんその間名目GNPも伸びておりますよ。念のために申しますと、西暦二〇〇〇年には約五百九十九兆余になっております。二〇一〇年には八百八十兆余になっております。二〇二〇年には千三百十四兆余になっております。しかし、そうだといたしましても相当な割合ですね。東海銀行のこの統計によれば、税収はどうなっているかといえば、二〇〇〇年には現在の五十一兆が約八十一兆余、二〇一〇年には百二十六兆余、二〇二〇年には百九十三兆余になっております。しかし、仮に百九十三兆といたしましても、三十兆というのは非常に大きな割合であります。  主計局、大体頭の中でわかりましたか。大きな過ちはないでしょう。
  200. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 今ちょっと後ろで計算をしておりますが、数字の問題でございますので、恐らく誤りはなかろうと思います。
  201. 正森成二

    ○正森委員 私の秘書が電卓をたたきましたので、単純な数字ですから間違っていないと思います。だから、多少の誤差はありましても、それを前提に議論を進めます、議論をするために言っているのですから。  そこで、そういうことだとして、仮に防衛費とODAはそういうぐあいに伸びていく。それ以外の一般歳出は、財政が困難なので大体二%ずつふやしていく。この計算では、社会保障費を六・三くらい伸ばすということ、また国債費やら何やらを計算しておりますので、全部入れかえるとその数字が全部違ってきますので、その数字を若干利用しましたから、二%ずつ伸びていくよりもちょっと高い数字になると思うのですが、それで計算して、こういうように防衛費とODAがどんどん伸びて、二〇二〇年に約三十兆を超える。もちろんGNPも伸びていますし税収も伸びていますが、そうなりますと、防衛費とODAを除いたその他の一般歳出、国債費と地方交付税はおのずから決まっていますから、それは除いて、それは全体の中で四二・九%になります。一九八九年、本年の割合はどうかといえば、それは五七・六%です。この五七・六というのは東海銀行の数字です。四二・九というのは私の独自の計算に基づいて私の部屋で計算をしたものです。  主計局次長、この数字の持つ意味がわかりますか。もしパードンシェアリングとか言って防衛費とODAとを今の割合でどんどんふやせば、公共事業費だとか社会保障費とか教育費だとか公務員の給料とかは、現在の一般歳出に占める五七・六から四二・九に減る。ということは、約四分の一切り詰めなければならないということを意味するのです。これは大変なことですね。東海銀行によると、公務員の数は何分の一にしなければやっていけないとか、公共事業の支出については大部分が維持費あるいは更新費にとられて、新規事業はできなくなるとかいうようなことが書いてあります。それは当然ですね。  ですから、こういう状況になり得るのだということを考えるならば、財政再建の指標を、財政審が言っている単純なあの六つのうちのどれかがとか、どれの組み合わせとかいうことではなしに、歳出のうちのバードンシェアリングなんかと言って軍事費やODAをどんどんふやしていくということは、二年や三年はもっかもしれないけれども、二十年、三十年たてば、まさに高齢化社会がピークになる二〇二〇年でこういう財政の姿になるのだということを我々は考える必要があり、その根本的な問題について考えることなしに財政再建の指標を考えることは、今の政策を継続するということで、これは必ずしも意味を持たないのではないかというのが私の意見であります。これは東海銀行の分析に基づいて、東海銀行とは違う方向の結論を私が独自に出したわけであります。しかし、私の前提と論理を置く限り、そういう結論も一つの見方としては出てくるということは、村山大蔵大臣も虚心にお聞きいただければそうなると思うのですね。これこそまさに問題である。このことを私は大蔵大臣や財政当局にお考えいただきたい、こう思うわけです。もし御意見がございましたらおっしゃってください。
  202. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま一般会計の中のそれぞれの主要経費項目についての数字の相関関係について伺いました。数字としては恐らくそうなるであろう。しかし、実際の予算というものは、そのときどきの資源配分を考えていくことはもう当然でございます。そんなことにならないことも大体もう常識でわかっているわけでございます。しかし、相関関係は、それは数字としては非常に貴重なものでございます。今の利払い費、恐らく平均の利払い費をお話しされているのだろうと思うのです。そういうものはやはり一つの参考になる数字であろう、こう思っておるわけでございます。
  203. 正森成二

    ○正森委員 お立場も違いますから、一つの問題提起をしただけで、これ以上申そうとは思いません。  次に、全銀協の会長さんと証券業協会の関さんにおいでいただいておりますので、時間がだんだん少なくなってまいりましたが、えらいお待ちいただいて申しわけございませんが、伺わせていただきます。  同じく先輩の村山委員がお話しになりましたが、国債市場というのはさま変わりですね。ここに私が持ってまいりましたのは一月十八日の東京新聞です。お気に召さないかもしれませんが、読んでみますのでお聞き願いたいのです。こう言っているのです。   「昔は債券市場が育っていなかったので、国債の消化に苦労したが、今は全く逆。国債発行額を減らすと、銀行や証券会社が泣きついてくる」 えらい言葉は悪いですよ。私が言っているのじゃないのだ。赤旗じゃないですよ。十八日の東京新聞にそう書いてある。   一九八九年度国債発行計画を詰めている大蔵省理財局では、以前と様変わりの国債人気にやや困惑気味だ。 理財局長が言うたのかな、こういうことが載っているのですね。それで、時間がないので途中を省略しますが、どういう意味かというと、国債の発行額は、借換債を含めて   前年度より約一兆一千億円の減額だ。この計画に沿って、銀行や証券会社で構成するシンジケート団の引き受け額を前年度の八兆八千億円より約二兆円減らす予定だった。   しかし、カネ余り現象を背景に債券市場が成長した結果、銀行や証券会社にとって今や国債は貴重なドル箱商品。シンジケート団の引き受け額を減らされると、経営的にも影響が出てくるという。   このため、大蔵省は資金運用部の国債引き受け額を減らすなどして、 事実減らしましたね。二兆五千億になったはずです。   シンジケート団の引き受け額を前年度比七千億円減にとどめて、八兆一千億円にすることにした。これで、銀行や証券会社は一息つけるという。 こうなっているのですね。「銀行、証券に泣きつかれ…」というのが見出しなのです。  私どもは、今から十年ほど前の財確法案審議のときには、時間がもう少しありましたので、銀行協会やら証券業協会の会長さんにはいつでも参考人として来ていただいて、半日とっていたのです。そのときに私は大蔵委員でしたので覚えているのですが、たしか私が、国債というのはおかしなものだ。普通は金を借りる方が、済みませんけれども金を借してくれと言って頭を下げて条件を聞く。ところが、国債だけは大蔵省が許認可権を持ち、いろいろあるので非常に威張っておって、御用金的な感覚でこれを銀行や証券に割り当てている。こういうのでは困るのじゃないか、きょうは構わぬから思い切って言ってもらわぬとと言ったら、皆一斉に、市中金利を御参考にして決めていただきたい。御用金だとか賦課金だとか称して、それよりずっと低く下げられて泣いておったわけですよ。それが今やさま変わりなんですね。  それで皆さん方に伺いたいのですが、この間、四月に長期国債の四割ですか、入札したでしょう。そうしたら、結局一円ぐらい高く入札されたらしいですね。一円というのは大きいですよ。利率にすれば一%強ですからね。それで、これからは隔月にしようかとかいろいろ大蔵省が考えたということもあるのですね。そこで、そういうさま変わりの状況の中で、銀行協会あるいは証券業協会が国会大蔵省に物を申したいことがあれば、どうぞ遠慮なくおっしゃってください。
  204. 宮崎邦次

    ○宮崎参考人 全国銀行協会連合会の宮崎でございます。本日は発言の機会をいただきましてありがとうございます。  ただいま先生おっしゃったように、私ども国債という非常に需要の多い商品は願ってもないあれで、多い方がいいというふうに存じておりますけれども、しかし、財政の健全性という見地からどちらが大事かとおっしゃれば、財政の健全性がまず第一であるというふうに感じております。  次に、今、国会並びに先生方に対する要望は何かというお話がございましたので、それにつきましては三点要望を述べさせていただきたいと思います。  まず第一点は、やはり市中消化の原則を尊重していただきたいということでございます。最近では、先生もおっしゃいましたように、民間部門での国債消化の基盤が拡充してきております。また、国債は金融市場の中心的な商品となっておりまして、より一層市場の育成の見地から、先ほど申しましたように市中消化の原則を十分御配慮願いたいというのが第一点でございます。  第二点は、シ団の制度を維持していただきたいという点でございます。従来から国債の円滑な安定的な消化については、シ団方式は大きな役割を担ってきたというふうに存じております。しかし、現在、この関係の皆様方それから財政当局の御努力によりまして国債の発行額は順調に減少してきている、そのような状況にございますけれども国債の消化というのは金融環境の変化の影響を受けるのも大きいかと存じます。したがいまして、その消化につきましては今後ともシ団制度を中心にして、入札制度とバランスをとって機能を持たせていくことが肝要かと考えております。したがいまして、シ団制度の維持ということを第二点としてお願い申し上げます。  最後に、市場実勢の尊重という点で、先ほど申しましたように、十年債につきましては本年四月債から発行量の四〇%を価格競争入札制度がとられておりますけれども、残りの六〇%は固定のシェアということで、コンバイン方式による新しいシ団制度がスタートしておりますけれども、この制度の早期の定着、円滑なる消化のために、新制度の運用に当たりましては市場実勢の尊重という点について十分の御配慮をいただきたい。  以上、三点をお願いする次第でございます。
  205. 関要

    ○関参考人 先生御指摘のとおり、十年前に比べまして国債の消化状況はまさにさま変わりという状態になっておりまして、国債は順調に消化されておるわけでございます。しかし、私ども証券界といたしましては、国債の順調な消化に努力しますとともに、国債を中核にいたしまして、我が国の公社債市場を国際的に非常に立派なものにしていくということで、今までも努力をしてまいりましたし、これからも努力をしていこうと考えておるわけでございます。  こういった観点から、国債につきましては引き続きいろいろと制度の整備、改善をお願いをしなければならないと考えていることが幾つかございます。せっかくのお尋ねでございますので、そういったことの中から二つお願いを申し上げておきたいと存じております。  第一は、十年物の国債についてでございます。ただいま全銀協会長もお触れになりましたけれども、十年物国債の発行方式が変更されまして、部分的競争入札が導入されたわけであります。この措置は、市場の競争性や透明性を確保して、さらに市場の一層の効率化とか活性化を図るという観点から、極めて大きな意義があるものと考えておるわけです。証券界としては、この新しい方式のもとで円滑な発行、消化に積極的に取り組んでいるわけでございますけれども関係御当局におかれましても、現在各月発行額の四〇%となっております十年物国債の公募入札発行の部分を一層拡充をしていただきたい、こういう考えを持っておるわけでございます。  二つ目は、短期国債についてでございます。先ほど申し上げましたように、国際的な市場をつくるという観点からいたしますと、短期金融市場の整備拡充が国の内外から大変要請されている状況でございます。短期国債につきましては、短期金融市場の中核商品として積極的に育成していきたいというふうに考えておりまして、その意味で、今年度国債発行計画で短期国債の発行額が大幅に増額されておることを高く評価しているわけでございます。今後この短期国債につきましても、幅広い投資家の市場への参加を積極的に推進できるようにいろいろな方策を引き続き御検討願いたい、これが第二のお願いでございます。
  206. 正森成二

    ○正森委員 一応そういう御見解の表明があったわけですけれども、時間がだんだん切迫してまいりました。非常に失礼ですが、個別の問題について、せっかく二人がお見えになっておりますので、それぞれ一問ずつ聞かせていただきたいと思います。  それは、今度政府は年金の支給年齢を六十歳から六十五歳に繰り延べする。もちろん来年からやるわけではなしに、西暦二〇〇〇年を越えてからの話ですけれども。そういう状況の中で、勤労者が非常に関心を持っているのは定年の延長の問題です。まず、五十五歳を六十歳、さらに六十歳をできれば六十五歳に、そうなれば年金がおくれても支給がやっていけるということで、定年の延長というのは、銀行関係の労働者の間でもここ数年来非常に大きな要望になってきたことは御承知のとおりです。今、労働省などの統計によりますと、六十歳定年になっている企業は、ごく概略に見て六割ぐらいというように言われております。まだ三割余りは実施されていないということになっています。銀行関係も、五十五歳で一たん退職して、そして再雇用とかあるいは顧問とか嘱託とかいう制度もございましたが、最近ではそれぞれ労働者との間の交渉が行われまして、六十歳定年というように移行している銀行が多いやに伺っております。  ただ、ここで問題なのは、六十歳に移行するのはいいのだけれども、五十五歳を超えると処遇ががくっと下がるという傾向があるのです。これは事実なんです。それで、きのう私、たしかレクチャーのときに、労働省の雇用管理調査報告等々の資料がございまして、もしよければそれをごらんになっておいていただきたいということも御要望しておきました。あるいは事務局の方からお話があって、ごらんいただいたかもしれませんが、私が非常に関心を持ちましたのは――ここにたくさんありますが、それを読んでいるとあれですのでごく特徴的なことを申しますと、これは昭和六十年の調査で、「産業、規模及び定年延長後における役職、資格、仕事の内容、賃金(基準内)、週所定労働時間の変動状況別企業数の割合」というのがあるのです、ほかにもいろいろ調べておりますが。それを見ますと、産業を分類しまして、鉱業、建設業、製造業、卸売業、小売業、それから金融・保険業、あなた方ですね。それから不動産業、運輸・通信業、電気・ガス・水道・熱供給業、サービス業というように分けまして、それも五千人以上、それから千人から四千九百九十九人までとか、あるいは三百人から九百九十九人とか、いろいろ分けて調べているのです。  これを見ますと、賃金が下がる、変わらない、上がるというように分けますと、産業全体では平均が下がるというのが三五・五で、金融保険業は三六・七ですからそう悪くないように見えるのです。ところが、五千人以上、第一勧銀さん、都市銀行は全部そうだと思いますけれども、それは極端に悪くて、調査産業の計では下がるというのは三八・五%なんだけれども、金業・保険業は一〇〇%なんだ。ずば抜けて下がるというのが多いんです。そして、千人から四千九百九十九人まで、恐らくこれは大部分の市中銀行、相互銀行なんかも入るのが多いと思うのですが、それが調査産業全部で四六・六なのに金融・保険業は六九・二%、つまり七〇%が下がるということで、ずば抜けて定年延長等々に伴っての処遇が悪いんですね。  しかも次の減額率、賃金がどれくらい下がるかというのを見ますと、これは労働省の調査です。そうしたら、賃金が下がる企業、こうなっておりまして、これは全部調べたので一〇〇%になっているのですが、その下がる率はどうかというのを見ますと、産業全体では一〇%未満が二〇・八、一〇%以上二〇%未満が四三・三、これが主流です。それから二〇%以上三〇%未満が二六・三、三〇%以上というのは六・二にすぎないのです。三〇%以上はもう調査項目がないのですね。ところが、金融機関を見まして、特に五千人以上と千人から四千九百九十九人を見ますと、極端に悪いのです。例えば五千人以上では三〇%以上下がるというのが実に六六・七%です。千人から四千九百九十九人では、三〇%以上ですから四〇もあれば五〇もあればもっとあるのですよ、それが実に八八・九%、九割です。  私は、これは全銀協としてもよくよく考えていただかなければならないのじゃないか。銀行といえば、特に都市銀行だとか市中銀行といえば、日本でも経営が安定し、もっとずばりと言えば、もうかっているのでも有数の産業でしょう。しかも、それはコンピューターも導入しておるかもしらぬけれども、五十五歳で定年になった人の今までの知識経験、ノーハウというのは、肉体労働じゃないんですから一層活用できるはずなのに、この部分の、しかも規模の大きい企業において極端に減額率が大きい。三〇%以上ダウンというのが九割だとか七割だとか、今読みませんが、全産業の平均はダウン率が大体二〇から二五、大体八〇から七五というのが通常なんです。それに比べて極端に悪いのです。  私が調査に行きました、名前を挙げていけないけれども、青森銀行に至ってはダウン率が五〇%を超えて、五十五歳から六十歳定年になったのはいいんだけれども、給与は平均して四五%ぐらいですよ。それで定年延長と言えますか。これはていのいい一たん解雇、再雇用で、そして先行行員などと言って非常に安く銀行員を使う。しかももうかっているリーダーである産業部門がそうだ。同じ金融機関でも、規模が小さいほど待遇はいいのですよ。そんなことは単なる経営上の理由では考えられないのです。  今、多くの企業ではこの問題で提訴されて、中には和解に入っているのもあるようですけれども、一銀行の問題ではなしに全銀協全体として、定年延長で六十どころか六十五歳まで働きたい、年金が六十五歳支給にまでなるという社会情勢の中で、そして平均寿命が八十歳に近づこうとしているときに、五十五歳から六十歳の人材をもっと活用することを銀行協会は考えてもいいんじゃないかということを私は申し上げて、御感想と御決意を承りたいと思うのです。
  207. 宮崎邦次

    ○宮崎参考人 ただいま定年制の延長ということでいろいろ御意見、またお尋ねをいただきましたけれども全国銀行協会連合会におきましては、定年延長問題につきましてはその実態を把握いたしておりません。  まず第一点の六十歳までの定年延長をしているのはどの程度かと申しますのは、昨年十一月に銀行労働研究会が出しました銀行労働調査時報によりますと、八八年の三月現在で約八〇%の銀行が定年を六十歳までに延長している。ただ、あとの二〇%は全く五十五ということじゃなくて、五十八とか、そういうところも結構多いかと思います。ちなみに個別銀行といたしましては、私どもの銀行では五十七年から六十歳の定年制延長を実施いたしております。  それから御指摘の五十五歳以降の処遇についてでございますが、この点につきましては、本格的な高齢化社会の到来を迎えまして、雇用拡大の社会的要請にこたえるということは私どもも前向きに取り組みたいというふうに存じております。ただ、一方で私ども長年五十五歳定年の処遇体系をつくっておりましたので、またそれぞれの本人の将来のライフスタイルを十分勘案しながら、労使協議、合議の上でその処遇についてそれぞれの銀行が決定しているというふうに理解しております。  そこで、ちなみに個別銀行の問題として私どもの銀行につきましても、決意としては、経営上の立場からこの問題につきましては十分意を用いるように努力いたしたいと存じております。具体的に私どもの銀行でも、やはり五十五歳に至るまでの今後の処遇につきましては、本人の実績、能力、これからの生活設計というものを十分勘案しながら、労使協議の上にテーブルをつくってやっておりまして、今の比率が非常に低いということでも、絶対額が低い層については、カットの比率をできるだけ少なくするというような配慮もいたしております。しかし、今後とも本問題については努力してまいりたいと存じております。
  208. 正森成二

    ○正森委員 今後とも努力すると言われました。きょうは参考人でおいでいただいているのですから、余りぎりぎり言う必要はございませんので、このぐらいでやめておきますけれども、労使協議の上で決めておりますと言いましても、定年延長をしてもらう方は圧倒的に弱い立場なんですね。だから、労使協議と言っても経営者側の意向が非常に強く出るということで、労使決定だということに甘んじないで、経営者側から世間並みぐらいはぽんと提案するというくらいの度量を持っていただきたいと思うのです。これ以上は申しません、参考人でおいでいただいているのですから。  それでは、最後に証券業協会に伺います。  リクルート事件が我が国の政界を震憾させたことは御承知のとおりですね。そこで、リクルート関連会社と江副氏の異常さぶりが喧伝されておりますが、私は証券業協会あるいは直接には幹事証券会社が十分に自己検討し、反省する必要があるのではないかと思うのです。といいますのは、店頭登録を初めてやるわけでしょう。だから、店頭登録に伴うルールなんというのは、原則としては当該リクルートは余りよく知らなかったと見なければなりません。それを教えて指導し、いろいろ手足となってやるのが幹事証券会社じゃないんですか。ところが、かくも大胆不敵に、あなた方が内規で決めている店頭登録前の一定期間には売買をしてはならないものが、あるいは株を還流させ、それをまた売り、傍若無人のことをやっておる。  そうすると、リクルートの場合の幹事証券会社というのは大和だとかあるいは野村だったようですけれども、四大証券ですね。それがそういうことだった。世間では余り批判されていないけれども、幹事証券会社の責任は極めて重大だ。私はずばり言えば、幹事証券会社がリクルートによく指導せずに、あるいは助言せずにそういうことをやらせたりあるいはやったり、あるいはそれを発見することができなかったとすれば、幹事証券会社は無能もしくは怠慢ですね。それで、知っておってそれを黙認したとかやらせたということになれば、共謀共犯でワルですね。したがって、幹事証券会社は無能かつ怠慢であるかワルであるかどっちかである。それを見過ごしておった証券業協会も、まあ無能かワルなんて失礼なことは言いませんが、余りよろしくないということは言えると思うのです。それについての反省あるいは御見解、それから、今後そういうことが起こらないようにどうしようと思っているかについて簡単に答えてください。
  209. 関要

    ○関参考人 ただいま委員の提起された問題につきましては、私ども二月十三日に証券業協会としての正式な調査結果を発表いたしておりますが、その中に触れてあるわけでございます。  まず、大和証券等幹事証券は、先生御指摘のように、初めて店頭登録をするという会社に対しまして、協会のルール等も含めていろいろな手続については詳細な説明をしたということは、これは事実でございます。そういうことを説明をいたしまして、かつ、特に株移動につきましては、そういったことが登録を予定されているリクルートコスモス側に万一発生した場合は、必ず事前に幹事証券の方に連絡するようにということを強く指導しているにもかかわらず、遺憾ながらそういったことの何ら連絡がなかった、こういうことが事実でございます。  したがいまして、先ほどいろいろ御批判ございましたけれども、私どもの調査では、幹事証券はいろいろ指導をいたしましたけれども、またその指導を承知をしていながら、俗な言葉で言えば裏をかかれたというのが実態だというふうに今判断をいたしております。しかしながら、結果として内規違反が発生し、それに伴いまして大きな事件に展開したということについては、幹事証券会社も証券業協会も十分反省しなければならないだろう、こういうふうに考えているわけでございまして、まず幹事証券に対しましては、協会から、こういったことがなぜ起きたかということの反省点を含めて、てんまつ書を出すようにという指示をいたしまして、そのてんまつ書が提出されてきております。  そのてんまつ書の内容については、審査体制についてこういったことが起きないように再度点検をする、それからまた、特に株移動については具体的に把握をするような体制を個別に考える等、具体的なことも約束をしてきております。  それからまた、証券局、証券取引審議会等の答申を踏まえまして、この事件を契機にいたしまして御承知のようないろいろなルールの改善措置が行われておりまして、そういったものも適宜協会ベースにおきまして実施に移しております。協会も証券業界全体といたしましても、こういったものの再発が起きないように全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに存じております。
  210. 正森成二

    ○正森委員 消費税についても伺いたいと思って おりましたが、時間が参りましたので、わずか一分ぐらいですが、貧者の一灯で終わります。
  211. 村井仁

    ○村井委員長代理 沢田広君。
  212. 沢田広

    ○沢田委員 御苦労さまでございます。きょうは久しぶりに一日審議をするということになったわけで、政府委員もお疲れかと思いますが、ひとつ心を新たにいたしましてまた御答弁をお願いいたしたいと思います。     〔村井委員長代理退席、委員長着席〕  最初消費税。今お話が出ましたが、何回もこれは出ていることだと思うのですが、見直しをするとかいろいろ意見が出ましたので、五兆四千億という予定は今でもそういうふうに考えておられるのかどうか、これは大臣の方からひとつお聞かせください。
  213. 村山達雄

    村山国務大臣 これは主税局の方で計算したわけでございますが、計算は確かでございますから間違いないであろう、こう思っております。
  214. 沢田広

    ○沢田委員 三百六十兆として、その五〇%を消費対象とするとして大体百八十兆、それの三%として五兆幾ら。ところが、実際に考えてみるとそうはならないということに気がついてきたのじゃないのかな、こういうふうに思います。これは当初ですから、若干の変動要素は当然予定の中に入っておるというふうに、例えば正しくなったとしても、平年度で計算して四割から三割五分ぐらい、あるいは極端に言えば三千万以下が六割だと言っておるわけですから、五億以下が三割で五億以上は一割だといったら、恐らく二兆円そこそこか二兆円ちょっと超えるくらいだというふうになるわけですが、これは主計局としてはそういう読みは入っていたと見ていいのですか、それともそうでないのですか。
  215. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 大蔵大臣、総理大臣から消費税の問題についてさらに勉強してみるようにという御指示をいただいておるわけでございますが、その勉強の内容といたしましては、例えば中小企業に対する特別措置その他いわば税の仕組みに関する問題についてということでございまして、ただいま御指摘のように税収という見地が入ってのお話とは承っておりません。税収の件につきましては、私どもできる限りの資料を用いまして誠実に見積もつたつもりでございまして、それについては現在のところ、その見積もりに従って物事を考えていきたいと思っております。
  216. 沢田広

    ○沢田委員 だから五兆四千億、これは皆さんの方から配られた資料で私は言っているわけです。ですから、どう考えてもこれだけにはならないということが、必然的にそうなるのではないのか。その見通しは今現在においていかがなんですか。
  217. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 平成元年度の税収見積もりといたしましては、新たに課税対象額の推計をし直しまして、課税対象額といたしましては平成元年度ベース百九十八兆円というように見込んでおります。したがいまして、五兆九千四百億というように見込んでいる次第でございます。
  218. 沢田広

    ○沢田委員 あとは意見にしておきますが、今はそう見ても、三百六十兆の中の二百兆を見るということは極めて困難なのではないかということを申し上げておるのです。政府というのはそういうところはなかなか頑固で、間違っても素直に間違ったとは言わないですから、その点は了としますが、しかしそれは無理な話なのではないか。  私も地方の方へ行きましたけれども、どこへ行っても三千万以下が相当多いし、五億以下がほとんどである。そうしますと、帳簿方式をとっている者は職員を一人採用しなければなりません。ですから、どうしても費用がかかって難しい、こういうことになる。だから、つかまっても、一人採用するよりはその方が得だという計算の方が多いと見る方が正しいだろうと思うのです。ですから、これは改めて御検討をいただきたい。  それから、政府が配る書類にちょっとうそが多過ぎるのではないかという気がするのです。「ご存じですか、あなたの減税」と書いてあるのですが、一つずつ言ってみますと「奥様の「内助の功」」と書いてある。共稼ぎの奥さんは内助の功はないのかな。大臣、どうですか、共稼ぎの奥さんには内助の功はないのですか。
  219. 村山達雄

    村山国務大臣 税制上の話でございますから、本人がそれぞれの基礎控除を受け、いろいろされているわけでございます。ただ、本人の奥さんの方の収入のいかんによりましては配偶者特別控除があるということは御案内のとおりでございますが、配偶者控除はない、こういうふうになっております。
  220. 沢田広

    ○沢田委員 出した文書に誇大広告はいかぬ、こう言っているわけであります。それを減税で手取りがふえましたと書いておいて、「奥様の「内助の功」に配慮して配偶者特別控除を新設しました。」実際に共稼ぎの人には適用ない。ここにおられる速記の方々にはないのです。だからそういうのはうそになる。――ここにおられる方は奥さんじゃない……。  それから次に子供の教育費。子供は幾つまで子供というか、これも大臣ちょっと答えてください。
  221. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 子供の教育費と申しますと大変範囲が広くなるわけでございますが、ここに書いてございますのは「子供の教育費などの支出がかさむ世代に配慮して」ということでございまして、その子供の教育費の支出がかさむ世代というのは、年齢別にいろいろ統計を見てみますと、大体長子が大学に入っているというような年齢でございます。そこで扶養控除の割り増し制度を新設いたしたのでございますけれども、十六歳から二十二歳という年齢をとらえまして、そこのところに十万円の特別の割り増しを乗っけるというように制度改正をいたしました。
  222. 沢田広

    ○沢田委員 これを見て、十六から二十二というのはどこからも出てこないのですね。働き盛りの人、ただし書きをつけて説明しなければ、これはわからぬですね。これも誇大広告の部類に属する。  それからもう一つ、「サラリーマンの場合、給料袋から天引きされる税額が減り手取りが増えています。」今は九〇%が銀行振り込みじゃないですか。あなたか子取りでふえたというのは、大体幾らふえたか。あなたに言ったんじゃ悪いですね。恐らくわからないだろうと思うのです。だからどれだけふえたということが、例えば大蔵省課長クラスでもいいですが、仲間で言えますか。この表で言うんじゃだめですよ、インチキになっちゃいますから。
  223. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 まさに一人一人違うわけでございますけれども、そういうおおよその見当をつける便利のためにこの「所得税・住民税減税早見表」というのをつくったわけでございます。
  224. 沢田広

    ○沢田委員 結果的にこれで一般の人をだますという格好、そういう意図はこの中にはないと思いますが、そういう結果を招来したのでは、しかもこれは年末調整で調整するのですね、この分は。この特別控除の三十五万、それから十六歳から二十二歳の十万円は年末調整でする。パートの人は九十二万を超えれば五万刻みで減っていきますよ、こういうことでしょう。そういうふうに「減税効果はこれからも手取りに現われできます。」というのですが、大蔵大臣、大体そういうものにはうそが多くあったのではまずいということを私は言いたかったわけなのでありまして、やはりそこは本当は本当で言ってもらわないと、みんな期待するのですよ。うちの子も大丈夫ですか、こう言われるから、いや、あなたのところはだめですよ、こう言わなくちゃならない。我々が政府の逆宣伝というか、言いわけを言わなくちゃならないということは極めて遺憾なことですから、今後ひとつ。  そこで、同じ問題でいきますが、大臣のところへこれを一部渡します。六十二年度と六十三年度を比較しますと、いわゆる年金が定額控除になりましてどういうふうに変わったかといいますと、税金の上で減税されますよ、こう言っているのですが、実際には六十三年度で一万円も税金がふえちゃった。これは一人の例です。しかし、この人ばかりの例ではありません。これは実際に私のところへ来た書類ですから――ただ見ているのではあれですから委員長にも差し上げますが、後で返してください。  それのように一万円も税金がふえました。結局この前の税制改革の中で、年金受給者はそれぞれ給与所得控除から定額控除に変えられたのですね。その定額控除はいじらなかった。いわゆる勤労控除、三百万と六百万で一〇%、二〇%に改定したのですが、結果的にはそこの分が動かなかったので、三百五十六万の人ですが、大体三割くらいですから勤労控除は百万減ります。ところが片一方は六十万しか減らない。これは六十五歳以下の方で、そういうふうに安くなると言ったがうそだ、沢田さんうそを言った、こういって私のところに言ってきた文書であります。そういうことで、私が実際に出してみたらばこれだけ税金がふえましたよと。だから、これもやはり全体的に見て、税制改革の中で取り忘れたものあるいは取り残したもの、そういうものがあったならば是正をしてもらいたい。ここで回答はいただきませんけれども委員長、これはうそじゃないのですから、このままの数字で税務署へ持っていった金額を言っているわけですから、それは調べてみて御検討いただきたい。大臣、それはお約束できますか。
  225. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 六十二年度、六十三年度をとりまして、この改正された制度を比較して計算をいたしますと、ここにございますように一部の分野でもって増税になるところがあらわれます。  それはなぜかと申しますと、実はその税制改正、六十三年度の場合にはまだ控除の分が入っておりません。税率だけでございます。平成元年度から控除が含まれてまいりますので、平成元年度の税制で同じものを計算いたしますと、五万二千円と書いてございますが、これが大体二万五千円くらいになるという計算に相なります。それは控除の違いでございます。  六十三年度税制で計算をいたしましてもこのような負担増加が生じますのは、大体三百五十万から四百二十万の間の年金所得者の方々でございます。三百五十万から四百二十万の年金といいますと、大変高い年金でございまして、年金受給者の分布に当てはめてみますと、六十五歳以上の方のうち三百万円を超えるものというのは大体一%ぐらいしかないわけでございまして、そのごく一部の方のところに税率表の関係でちょっと一年だけ増税が出るという結果になったわけでございます。平成元年度になりますと、ここも減税になります。
  226. 沢田広

    ○沢田委員 ちょっととか、やはり税制改革というものには――三百五十万というと、今度は通勤費が五万円になりましたから、この例に当てはめると、大体四百万くらいが毎月勤労統計で言う勤労者の標準報酬ですよね。普通のサラリーマンで言えば大体六百万くらいの人に当たるわけですね。ですから、そういう人たちにとってみれば、そういう人たちがやめられた場合には、今までは我々は大体二掛ける三掛ける四、こういうふうに言っていたわけですけれども、今度はその三が三十万じゃなくて四十万になっていますから、あと勤続月数を掛けますと標準報酬が高くなればその程度にはなるのですね。通勤費を対象にしておりますから、通勤費まで報酬の中に含めて計算をするということになれば、五万円は勤労統計で完全に上がるわけですから、その分で当然上がってくることはこれからの想定ではされるわけです七  ですから、そういうことが仮にも一部でも出れば、それはやはり税制調査会でも審議したのでしょうが、そういうものについては、これはだめですならだめですということをきちっと言っておかないと、これで六十万ですよ、あるいは八十万、百二十万になったのですよと言いながら、結果的にはそれが増税になっていたということは、やはりそこの部分では改悪になる。これもうそをつくことになるので、今後ぜひ御配慮なり御考慮をいただきたい、そういうことを申し上げておきます。  それから、財政再建の借金の方の問題ですが、これは今までも各先生方からいろいろ言われておりました。これは借り方とか貸し方でありますから、今の成績を見ますと、企業が五兆円も六兆円も借りていた時代から見ると、ともかくその努力の成果は上がっていることなのでありまして、借金の金額が少なかったことはそれだけ健全な経営に努力をされた、会社で言えばそういう表現が当たると思うのであります。しかし我々は、借金をするときには返すことを考えなきゃならぬ。借りるときにはどうして返していくかという返済計画を立てることが必要である。  それで、その返済計画に当たって、さっきもちょっと質問がありましたが、国債の場合は契約なのか契約でないのか。これは生命保険とかその他もそうなんですが、当然、国債は十年なら十年たってもらうということが相手側に一つの信義として約束されたものなのか。しかし、一部には繰り上げができますよ、それは政治情勢、財政状況に応じて実施できるという項目がある。これは、運用をするかしないかというものは政治判断はある。だからそういう意味において、借りたものをどう返すかという返済計画は、そのときにならなければわからないというのが今の大蔵大臣の立場ですね。しかし、ある一定の予想を立てていくということはできないのかどうか。例えばこういう場合は繰り上げて返しますよという、こういう場合というのは入らないのかどうか、その点だけひとつ。ただ、これはあくまでも私の方の任意性です、どういう場合であろうと私の方が勝手に決める問題です、そういう白紙一任ではないのではないか。こういう場合は返してもいいんじゃないですかという相互性があっていいのではないかという点が感じられるのですが、大臣、いかが考えられますか。
  227. 足立和基

    ○足立政府委員 先生のお尋ねの趣旨は、国債の低利借りかえということが頭の中におありになって、それとの関連かと思いますが、この国債というものは、そもそも大蔵大臣国債ニ関スル法律に基づきまして、利率あるいは償還期限等、起債に必要な事項を定めて発行する有価証券でございます。したがいまして、この償還期限等主要な内容については、御承知のとおり券面に表示されてございます。したがいまして、国は国債の保有者に対しまして、券面等に表示されております。その契約内容に基づきまして、償還等の義務を負うものでございます。現実にこの券面にはいろいろなことが書かれてございますけれども、繰り上げ償還をなし得るということになってございますので、繰り上げ償還をする、低利借りかえのために繰り上げ償還をするということは、制度的に法的に可能でございます。  ただ、実はそこまでお尋ねがないのかもしれませんが、問題は現在国債につきまして流通市場というのが十分できておりまして、かつての高クーポン債というものは市場におきましてある程度の値段がついてございますので、繰り上げ償還をいたしますと、その国債の保有者にいわば不測の損害を与えると申しますか、現実に百何円というよ、うな価格がついておりますものを繰り上げ償還で百円で返す、こういう形になりますものでございますから、その点が問題ではないか、こういうことでございます。
  228. 沢田広

    ○沢田委員 私の言うのは、そういう場合はある程度定款、契約なら契約の中に、こういう場合はそういうことが起こり得ることがあります、どういう場合であろうと政府側の一存でどうにでもなるという解釈は一方的にすぎないかというのが私の意見です。こういう場合というのは、ある程度わかる場合は、こういうことがありますよと予告するのが筋ではないのかというのが私の言っていることです。こういう場合ということを予告できないなら、やらないということです。その辺はどうですか。
  229. 足立和基

    ○足立政府委員 ただいま申し上げましたように、法的にはあるいは制度的にはこの繰り上げ償還ができるわけでございますが、今先生の言われるように、それを一方的に国がするということをいたしますと保有者に対して損害を与えることになるので、むしろ国はそれを今現在やらない。これは先進国各国でも、実はそういう例をやるところは最近ではございません。その券面において繰り上げ償還条項を付しているというところはむしろ少のうございまして、そういうことをいたしますと、国債に対する信認あるいは国債の市場というものが壊れてしまう。現実にはやり得るよと書いてございますけれども、いたさない、こういうことでございます。
  230. 沢田広

    ○沢田委員 それは約定書というか、国債の債券としての価値の中にはそう書いてあるが、実効は伴わない、だから額面どおりに執行するのです、そういうことと解釈してそれが契約内容と政府は考えておる、そういうふうに理解していいですね。
  231. 足立和基

    ○足立政府委員 繰り上げ償還につきましてはなし得ると書いてございますが、現実にはいたさない、こういうことで解釈していただいて結構だと思います。
  232. 沢田広

    ○沢田委員 これは正森さんがさつき質問したその逆で聞いてみたわけなんです。だから政府は今後そういうことは国民に対しては行わない、こういう前提で物を考えるのだということがはっきりすれば、それで結構です。  続いて、日銀さんにおいでいただきましたが、とにかく異常な円安が続いております。これで、NTTじゃありませんが、株は暴落するわ、百五十円にはなるのじゃないか、短期的に見てもあるいは長期的に見ても非常に経済界に不安、動揺を与えていることは事実です。十億ドルくらいは日銀で買ったというふうにも伝えられておりますが、その辺のことも含めまして、日銀としては今この時点でどういう対応を考え、どういう見通しを持って、サミットまではわからないのですということなのかどうか、それも含めて御見解を承りたいと思います。
  233. 青木昭

    ○青木参考人 日本銀行の青木でございます。  為替相場の動きでございますけれども、御指摘のとおり、先月の下旬から先週くらいまでは百四十円、百四十三円というようなところで比較的落ちついておりましたけれども、急に先週の終わりの海外市場から今週の初めにかけましてドル高・円安ということになりまして、百四十八円からみというような動きになったわけでございます。急騰をいたしましたきっかけは、アメリカの生産者物価が〇・九%という上昇をいたしました。当初の予想では〇・五%ぐらいの上昇で済むのじゃないかというふうなことでございましたけれども、これが〇・九というようなことでございましたから、アメリカの金融緩和期待が急速に後退した。金利が高いままでいくのじゃないかというようなこと、そのほかにも中国情勢が非常に混乱している、こんなようなことも響いているということでございますけれども、いずれにしましても、今回のドル買いというのは相当投機的な動きであるというふうに私ども思っております。  したがいまして、対応といたしましては、私ども米国など主要各国と密接に協調いたしまして、相当強力に介入を行っておるわけでございます。これはそれなりの効果を上げてきておる。まだもちろん情勢が落ちついたというところまでまいりませんけれども、それなりの効果を上げてきておるというふうに思っておりますし、こういう努力を続けることによって落ちつきを期待し得るのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  234. 沢田広

    ○沢田委員 せっかくおいでいただいて済みませんが、もう一問だけ。  例えば石油なんか一バレルで十七ドル、十ハドルということで、一円違って八十億違うと言われておる。それから自動車においても、一円違えば百億違うと言われておる。そういうことで、これからまたアメリカの七%の金利はそのままに継続される、そういう状況を判断しますと、やはり相当憂うべき状況が出てくるのではないかな、こういう危惧を持つわけでありますが、それらはどのように御認識されておりますか。
  235. 青木昭

    ○青木参考人 円安・ドル高の影響でございますけれども、まず第一には、私ども物価への影響ということを大変懸念しておるわけでございます。円安ということになりますと、外貨建てで輸入しております輸入品の値段がそのまま上がってまいります。それがどういうふうに国内の物価に影響してくるかということでございます。これは幾ら上がったらどれくらい影響するというようなことは、国内の景気情勢あるいは需給環境等ございますから一概に何とも申し上げられませんけれども、上がる方向に作用するということは間違いない。  それから対外均衡の問題につきましても、結局ドルが高くなりますとアメリカの輸出品の競争力はそれだけ落ちてくるわけでございますから、アメリカの赤字縮小にとって決してよい要因とは言えない。同様に日本の黒字の縮小にとってよい要因とは言えないというようなことでございます。  こういうようなことで、仮に今の円安・ドル高が長引いてしまう、定着してしまうということになると困ったことだということでございますが、かなり投機的な動きでございますから、こういったものを極力一時的なものとして抑制していくということが大事ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  236. 沢田広

    ○沢田委員 お忙しい中おいでをいただきまして、どうもありがとうございました。  続いて今の関係で、これは関連いたしますから経済企画庁、通産省あわせて大きいところだけ聞いておきますが、電力と自動車、それが一番大きいだろうと思いますが、その影響をどういうふうに把握しておりますか。
  237. 徳永芳郎

    ○徳永説明員 円レートの見方につきましては、ただいま日銀から御答弁がありましたと同じ認識をいたしております。ここのところ百四十円台に急速に円安に振れておりますけれども、これは一時的な要因が多分に作用しているというふうに考えておりまして、日本経済の実体的な要因を反映したものとは受けとめておりませず、現在の円安の傾向がこのまま続くというぐあいには見ておりません。  お尋ねの物価への影響でございますけれども、こういう短期的に大きく振れますときには、物価への影響、電力・ガス等々への影響を見ますときには、ある程度ならして見る必要があるのではないかというぐあいに考えております。電力料金につきましては、四月に新しい査定のもとで新しい料金が実施されておりますが、そのときの為替レートに比べますと円安に振れていることは確かでございますけれども、今後への影響になりますと、もう少し様子を見まして、短期的変動をならした上で判断する必要があると考えております。電力業界の方では、ガスもそうですけれども、こういう一時的な振れに備えまして価格変動に備えた準備金も持っておるわけでございまして、直ちにこれを改定する必要があるというような状況にはまだないというぐあいに考えております。
  238. 稲川泰弘

    ○稲川説明員 電力料金についてお答え申し上げます。  本年四月、消費税の導入に伴いまして、料金本体を引き下げた上で消費税を転嫁することを内容とする改定を実施いたしましたが、この改定で、為替レートは一ドル百二十四円で料金設定をいたしてございます。為替レート一円の変動が一年間続きますと、電力会社の収支に約八十億円の影響を与えると試算されてございます。したがいまして、最近のような円安のレベルで為替レートが推移をいたしますと、最近の原油価格が上昇傾向にあることもございまして、電力会社の収支に相当大きな影響を与えることが予想されております。ただ、ただいま経済企画庁の方からも御紹介ございましたが、電力各社の合理化努力と内部留保の活用等を図りまして、現行料金水準が一日も長く維持されるよう通産省として期待しているところでございます。
  239. 沢田広

    ○沢田委員 これはさっき日銀さんが来たからそこヘチェンジしたので、またちょっと消費税に戻ります。  消費税の中でいろいろ問題点があるのですが、これは予算委員会大臣も答えておられるようですが、特にアパートとかマンションとかに住んでいる人たち消費税の増額分というのは、これは普通生活費十五万、この計算でいくともっと多いと思うのですが、四十万のうち二十万使うとすれば一カ月六千円ということなのですね。だけれども、大体十五、六万が一カ月にかかる経費。大体四千五百円から四千八百円くらい。ところが、マンションとか借り家がありますと途端に、十五万とすれば四千五百円になるわけですね。そしてさらに管理費があって、それが一万円なら一万円で三百円かかる。こういうことだと月に一万円以上になってしまう。だから一年では十二万円くらい上に出るわけですね。その辺は大体読んだ筋書きなのですか、それともこれはうっかりした分なのですか。  だから、まあアメリカじゃありませんけれども、家賃なら家賃の分の半分は控除の対象に入れるとかなんかしてやらないと、やはり持ち家と借家の人とのバランスがとれないのではないのか。片一方は固定資産税を納めているということにはなりますが、果たしてその辺はどういうふうな見方をしたのか、お伺いをしたい。
  240. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 売上税の場合には、家賃それから住宅の取得、両方とも非課税ということにいたしました。消費税の場合には、その非課税項目を極力絞りましたので、住宅の取得そのものも課税にいたしました。それとのバランスで家賃も課税というように考えたわけでございます。ただし、土地の取得は消費がないということで非課税でございますので、地代の方は非課税になっているということでございます。
  241. 沢田広

    ○沢田委員 それは内容はわかっているのです。ただ、一般のサラリーマン、勤めに行っている人で、持ち家の人とそれから借家をしている人との間に消費税として非常な差があるのではないか、それは勘定済みなのか、それとも後になって気がついたことなのか。その点はもう持ち家にならなければおまえは損をするのだよ、そういうことを認識した上での施行なのか、それともいやその辺はということなのか。そこは言えないなら言えなくともいいですが、そういう点をやはり考えるべきではなかったか、あるいは今後考えるべきではないか、こういう提言ですから、その点はどうですか。
  242. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 ただいま申し上げましたように、住宅を取得するときには、そこでかなり高額の消費税を払っていただくということになるわけでございます。それを借家という形で分割して払う。便益を受けるわけでございますから、それについてやはり三%ずつ払っていくということで、そこはバランスがとれているというふうに考えます。  それから、事務取引という点から考えましても、帳簿方式の中で考えていきます場合にそういう例外は極力絞りたいということでございまして、家賃の場合、住宅のみならず事務的な家賃、オフィスのようなものもございますので、そういう点からも課税ということに考えた次第でございます。
  243. 沢田広

    ○沢田委員 念のためにもう一つお伺いしますが、会社なんかが持っている宿舎では、三千万円以下の収入ならばかけなくていいということになる、独立して考えれば。ところが官庁は、皆さんのような全公務員二百六十何万が皆どこかに住んでいるわけですが、これは国でやっていることですから、いや応なしに全部三千万円以上超えてしまいますね。恐らく五億円以上も超えるでしょう。それで皆さん消費税を納める、どういうことに解釈していいのですか。  それからもう一つは、会社で寮をつくった場合に三千万円以下なら消費税は納めなくてもいい、こういうふうに解釈していいですか。
  244. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 国家公務員の場合は、消費税分公務員住宅の使用料が上がるということでございます。  会社の場合には、その会社全体の売り上げと合わせて考えますので、したがいまして、大体三千万円を超えていて課税業者ということで扱われる例がほとんどだと思います。
  245. 沢田広

    ○沢田委員 反復継続、その独立の中から見ると、大臣、これは若干無理な解釈だという気がしないでもありませんが、消費税の問題はこれからのまた大きな問題ですから、当分半分凍結してしまって、半分は大体氷詰めになってしまって、首の方だけ動いているというのが今の消費税の実態のようでありますから、今年度はほぼそういう実績を見ながら直す、こういうふうに我々も解釈しているのでありますが、そうあってほしいと期待を込めてこれは終わります。  次に、公取さんにおいでいただいておるのでありますが、便乗値上げについて、これも予算委員会やその他でたくさん言われておるわけでありますが、これについては今やっているのですか。例えば、豆腐にしてもクリーニングにしてもあるいは理髪にしても、その他駐車場にしても何にしても、皆ある程度内枠の中で便乗値上げがされてしまっておる。極端なのは、もうそれで値上げをしておいて外枠で取っておる。どうしてですかと聞いたら、いや政府の方でもしこれをやめられたときには損をしてしまうから、その分だけ先に余計見ておくのだ、こういう話をしておりましたが、その点はどういうふうに公取としては見ておられますか、どういう調査をやっておりますか。
  246. 鈴木満

    ○鈴木説明員 御説明申し上げます。  公正取引委員会は四月に、理容とか豆腐など一部の業界でやみカルテルが行われていた疑いがございましたので、これを調査いたしました。調査した件数は今までに大体六十四件、うち処理したのが五十四件、調査中が十件ということになっておりますが、これらの事案は、大体消費税実施前の先取り値上げカルテルに関するものでございます。消費税が実施された四月一日以降のいわゆる便乗値上げにつきましては、今のところ余り顕在化していないというふうに思われますが、そのようなカルテルを発見した場合には早急に対処したいと考えておるところでございます。
  247. 沢田広

    ○沢田委員 これも実施してからはないなんて言っておりますが、もし何なら、そんなに費用がかかるわけじゃないですから、全国的に消費税一一〇番を置いて受けていくという姿勢が必要だと思うのですが、その点はいかが考えていますか。これは国税庁かどうかわかりませんけれども、やはり苦情を聞いていく、そういう姿勢をひとつ出していただけませんか。
  248. 鈴木満

    ○鈴木説明員 公正取引委員会では三月十六日からカルテル一一〇番という電話を特設しまして、二十本ぐらい設けておりましたが、一般消費者等からの情報をいただきまして、大体三月が一日三十件、四月が一日五十件、五月になりますと一日二、三件と情報が非常に少なくなっております。合計して千六百件弱の情報が集まりまして、このうち二百件余りがやみカルテルに関連する情報でございました。それらをもとに、先ほど申し上げましたような調査をいたしたわけでございます。
  249. 沢田広

    ○沢田委員 それはやはり公取という立場だからですよ。大蔵省でやれば、相談もあるかもしれないが、もっと全然違う。公取となると、独占禁止法違反でなければ言ってはいけないのかなという印象を与えますから、ブレーキがかかってしまう。これは刑法に触れなければ告発できないのと同じになってしまう。ですから、そういうのではなくて、大蔵省の税務署の中に全部つくったら量は違うと思いますので、ひとつ御考慮ください。これはお願いしておきます。  続いて、時間の関係ではしょりますが、リクルートは、大臣も当事者ではございませんでしょうけれども、耳が痛くなるだろうし、全く嫌らしいと思っているだろうし、リクルート憎たらしい、こう思っているのではないかと思うのでありますが、どうして大蔵委員会に法務省はリクルート事件の捜査結果に関する報告をしなかったのですか。これはちょっと見解だけ聞いておきたいと思うのです。これは株なんですよ。株は大蔵省が所管している。法務省のものであれ何にしろ、やはり大蔵委員会に一応報告するのが筋じゃないですか。まずその見解から聞いておきましょう。
  250. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 御質問は刑事事件の報告に関しての御報告ということかと思います。その点は検察庁でおやりになっておられたことですので、私どもが申し上げる筋合いのものではございませんが、昨日来聞いておりましたのは、リクルート事件に関連しての経緯等を中心にして法務省の方から御報告がございました。私どもも本件に関しましては、これまでもいろいろなところで、税の関係でいろいろ問題があるのじゃないかという御質問をいただいております。それら重立ったものを要約いたしますと、三つほどの論点があったように思います。  一つは、株式の譲渡に関連しての有価証券取引税の関係で問題はなかったかどうか。それから、譲渡された者についての譲渡益についての所得税の問題はどうであるか。三番目には、贈与税の関係はどうであろうかというような点が重立ったものであったかというふうに思います。これらについての法律関係は、沢田先生も専門家でいらっしゃいますから改めて申し上げるまでもないかと思いますけれども、当時における施行されております法律のもとでのそれぞれの税目の課税関係というのをちょっとおさらい的に申し上げてみたいと思います。  有価証券取引税は、有償で譲渡された場合には、相対取引の場合を含めまして課税の対象になります。それから二番目の所得税の問題、これは基本的にはキャピタルゲインでございます。キャピタルゲインというのはあくまでも実現した段階で課税ということ、それから、実現した段階におきましても、当時の法制下におきましては、一定の要件を満たすものに限って課税ということになっております。回数にして五十回以上等々の要件がございます。それから三番目の贈与税等の問題は、一般的に有償で取引された場合には贈与税という問題は発生いたしませんけれども、例外的に、取得された価格がそのときの時価、取得時期における時価に比べて著しく低いというような場合には、ある種のみなし課税ということで、場合によっては贈与税あるいは一時所得という問題があり得るというのが一般的な法制かと思います。私ども国会等で御議論、御質疑いただきましたことも十分念頭に置きながら、常に資料の収集に努めております。  ただ、個々の事案に即してどうであったかという点につきましては、事柄の性質上御答弁することは差し控えさせていただきますけれども国会での御議論も十分念頭に置いておるということだけは御報告申し上げていいかと思います。
  251. 沢田広

    ○沢田委員 法務省にも来ていただいておりますから若干聞いておきますが、法務省の方の報告の中にも、今それを先に答弁されましたが、殖産住宅事件に関する最高裁の判断では、いわゆる株の譲渡に当たっては期待的な利益を含むというのが一つあります。それから、議員委員会の中で審査中の法律案に関して、その委員会に所属しない議員に対しても贈収賄が成立する、こういう最高裁の判決もあります。  これはタクシー汚職事件ですね。簡単でありますから読んでおきますと、   利害関係のある者が、国会議員に対し、当該法案国会係属中に、その廃案あるいは自己に有利な方向での修正がなされるよう、その法案審議、表決に当たり、自らその旨の意思表明をすることや、他の国会議員に対して説得勧誘することを依頼して金品を供与した事実があれば、右法案が当該国会議員の所属しない委員会の審査に付されていても、国会議員の職務に関する賄賂の授受として贈収賄罪が成立するとした一つの事例判断である これは最高裁の第三小法廷でのタクシー汚職事件上告審の最高裁の判決です。ですから、きのう刑事局長が言われた抽象的な職務権限とは違って明確に、国会議員としては自分の所属すると否とにかかわらずそういう場合は贈収賄に当たる、こういう判決も出ているわけです。  そこで、これは法務省から若干聞きたいのでありますが、リクルート事件の報告の中に「店頭登録の一年十か月前になされたものであって、贈収賄罪の客体たる財産上の利益に当たるとは認定し得ないため、」こう書いてある。これは株のことですから大蔵でやってもいいのだろうと思いますから言うのですが、一年十カ月前だったらなぜ将来の予測ができなかったのですか。その点お伺いしておきたい。
  252. 古川元晴

    ○古川説明員 殖産住宅事件におきましては公開直前の株が問題となったわけでございますけれども、時期的には大変直前の株でございました。それに対しまして五十九年末の公開株の譲渡の時期につきましては、御報告でも申し上げましたとおりに、約二年近く前ということでございます。殖産住宅の事件に関して最高裁で申しておりますのは、値上がりが確実であるというようなことでございまして、それはその具体的な時期との関係でもケースごとに変わってくるというふうに言わざるを得ないわけでございまして、種々検察当局におきましても検討いたしました末に、値上がりが確実であるというふうにはなかなか言えないというふうな認定に至ったものというふうに承知いたしております。
  253. 沢田広

    ○沢田委員 現在は結果的には値上がりをしましたね。そうすると、一年十カ月前までは、これは裁判にならないから判例にはならないのでありますが、刑事当局としては一年十カ月という線を一応引いて、その辺まではどんなに将来上がっても、それは上がることを期待しない期限と設定した、こう解釈していいですか。
  254. 古川元晴

    ○古川説明員 私どもの方では事件自体は個々具体的な事件ごとに判断せざるを得ないものですので、抽象的、一律的にそのような認定をしたわけではございません。
  255. 沢田広

    ○沢田委員 ただ、ここには「この未公開株式の譲渡は、」とか、一般的なのです。この場合とは書いていない。一般的に「未公開株式の譲渡は、店頭登録の一年十か月前になされたものであって、贈収賄罪の客体たる財産上の利益に当たるとは認定し得ない」、だれが判断したか。現実にはうんと上がったですね。なぜ一年十カ月前だったら免罪だということを決めたのか、それをお聞きしたいのです。
  256. 古川元晴

    ○古川説明員 やはり株の関係でございますので、しかもその取引をされておるわけでありまして、当事者、そのときどきにおける客観的な状況プラス関係者認識というものもございます。そういうふうな両方を兼ね合わせて総合的に証拠を収集してまいりまして、冷静に厳正に最終的に判断するということにならざるを得ないわけでございまして、もとよりそういう判断は捜査当局においてなされるものでございます。  なお、その前に御指摘を受けました、報告書の記載が未公開株一般というような表現ではなかろうかという点につきましては、私ども報告ではそのような趣旨で書いておるものではございませんでして、五十九年に行われました当該未公開株に限って申し上げているつもりでございます。
  257. 沢田広

    ○沢田委員 そうあなたがただし書きを言われても、この報告書は一応公のものですから、やはり一般的なものの解釈の基準を示したものとこれを受け取ることは当然だと思うのです。それはそれで、もうあなたの場合いいです。  あと税務の方ですが、国税庁として、いわゆるファーストファイナンスに金を出させて、名前を貸してその差額だけを受け取る、あるいは全額を受け取ってから返済する場合もあるでしょうが、その差額だけを受け取った者は少なくとも贈与あるいは譲渡、譲渡と言う方が正しいのでしょうか、その性格はどういう判断をしておりますか。
  258. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 おっしゃっているケースは、それぞれ先生の頭の中にあるケースはいろいろ特定のケースを想定しておられるのかもしれませんけれども、一般的に私ども承知しておりますのは、株式を譲り受け、一定の時期を置いて譲渡した、譲り受ける際の金融の手当てを受けたという三つの取引がそれぞれ行われたというのを前提にして考えるべきものではないかというふうに一般的には考えております。
  259. 沢田広

    ○沢田委員 これもはっきりしていることですね、捜査の中身を当然あなたの方では見ることもできるわけですから。私が言っているのは、実際の売買行為は行われないでその差額だけを受け取った者については、今あなたの言われている分には該当しないでしょう。だから当然、それは献金になるのか贈与になるのか、その辺の判別はまだ不明でありますけれども、その両者の客観的な判断で判断すべきものである。少なくともこの前私がここで質問したときには、正式の株の売買であったから、それは売買として取り扱う限り二十万株と回数の問題があるから対象にならないです、こう答えた。しかし、今度は違ってきた。相手が金は出していない、売買行為は行われていない。  それで竹下さんも参ったわけですね。三点セット、こう言われたわけです。では契約書はどうなっていたんだ、払い込みはどこで行われたか、あるいはその判こはだれが押したのか、あなたがもしそうおっしゃるならそういうことを証明してください。さもなかったら捜査記録の中にあるものを示して、大蔵として、国税庁としては、これはこうです、これはこうです、一歩譲って名前は例えばA、Bでもいいですよ。しかし、この場合はこうですと抽象的に言って、これで免罪符を打たれたのでは、これは大蔵として、今後国税を納める者の立場としてやはり納得しがたい、こういうことになると思うのですね。それははっきりしていただけませんか。
  260. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 個別具体的事例に即してということになりますと、従来から申し上げておりますように私ども答弁を差し控えさせていただいておりますが、一般論の議論として、具体的なAさん、Bさんを一般化して申し上げれば、私どもの承知しております中では、それぞれの行為があって、結果として利益を得たというのが一般的なケースじゃないかなと思います。  ただ、先生おっしゃるのは、全く個々の取引が架空と認定できるようなケースがあるじゃないかという御質問かと思います。これは個々具体的なケースに即しての事実認定の問題になりますけれども、私どもが一般的に承知しているのは、冒頭申し上げたようなのが一般的な類型かなと思っておるということでお許しいただければというふうに思います。
  261. 沢田広

    ○沢田委員 ここで逃げてもどうしようもないので、残念ながら七年間は国税は時効にならないのですよ。贈収賄は五十九年の十二月に時効になったかもしれませんが、国税の税金の方はならないわけです。それは御承知のとおりであって、それが言うならば贈与に当たっているのか、実際の売買行為が行われてないのかあったのかは、それは書類の中ではっきりしているのですね。報道でもはっきりしている。ですから、そういう点については雑所得で処理するなら処理をするという明確な対応をする。自民党に寄附したからといって逃れるものじゃないのですよ。その領収証で税金を納めないで済むというものではないですね、所得をしたという事実に伴って税金は納めるのですから。だから当然そういうことで対応していただける、こう解釈してよろしゅうございますか。
  262. 伊藤博行

    伊藤(博)政府委員 後半お話にございました、所得の処分が所得の取得段階の課税関係を変えるものではないという点は、仰せのとおりでございます。  それから、前半の発生段階における課税関係をどう認定するか、これはケース、ケースの問題でございます。先生のお話も十分念頭に置きながら、今後とも適正な課税に努めてまいりたいというふうに思っております。
  263. 沢田広

    ○沢田委員 時間的に皆さんに御協力する意味を含めて、若干はしょります。  商法改正がとにかく話題になって、それぞれの企業も商業界あるいは経済界、非常にいろいろ危惧をし、心配をしております。そういう立場に立って、商法改正のこれからのスケジュール、見通し等についてお答えいただきたいと思います。
  264. 大谷禎男

    ○大谷説明員 商法の改正につきましては、かねてから法制審議会の商法部会で御検討いただいております。  今回の改正の大きな柱は二つございます。その一つは、主として中小会社にふさわしい法規制を実現するための会社法の改正、もう一つは、社債制度の全般的な改善を目的といたします社債関連法規の全面改正、この二つでございます。  法制審議会の商法部会は、現在最終的な改正要綱を取りまとめる段階に入っております。私どもといたしましては、この答申をいただきました上で速やかに改正法律案を作成し、次期通常国会に提出して御審議をお願いしたいと考えているところでございます。
  265. 沢田広

    ○沢田委員 これは聞くだけで、後また改めてやります。  国税庁にちょっとお伺いしますが、これは予算委員会その他から出ている資料から申し上げるのですが、我が党の大先輩が質問をされたことに関連して土地の問題で若干伺います。  六十二年は結局七十四兆の金が動いておる。その中で、不動産業は五十六年のときには五兆円であった。それが六十二年には二十兆九千五百四十四億ですから、結果的には二十一兆円に及ぶ資産の推移になっておる。しかもこれは金融とか保険業は除かれていますね。ですから不動産業が一番、五倍にも膨れ上がっているのですよ。それで株式も同じように、五十六年に比較すると五倍になっている。その他のところの産業は、繊維にしてもあるいは化学にしても非鉄金属にしても、せいぜい二倍なんですね。いかに不動産業が土地の資金の運用の中で膨大な資金量を保有し、使ってきたか、そしてまた株式の保有も一般のほかの産業に比べていかに大きいか、こういうことです。  さらに借入金と自己資本を見ますと、短期借入金は八兆円です。それから長期の方が六兆円です。結果的には、社債も含めまして合計して十五兆六千七百四十五億円です。これも比率として見ますると、資本金はただの八百七億なんです。これは三百六十億の船舶、九十八億のガス・水道業もありますが、それ以外では最下位に近い。それで剰余金が大体一兆円、減価償却が一兆円。そして結果的には総トータル三十九兆七千億の自己資本の中では二兆一千億という割合を占めておる。これも異常ですね。  ですから、国税の中でこれだけ資産をため、これだけの株を持ち、そしてこれだけの利益があったかどうかは一応別問題としますと、これだけ膨大な資金量を流用していた産業というのはほかにはないのですね。ほかは皆三角印がつくようなところなんです。そうすると、これを見ただけでもいかに不動産業というものが膨大な利益を上げてきたかということは言えるわけでありまして、これは財政再建の中の一つでもありますから、土地の大もうけというものに対しては厳重な審査を行って対応していただきたい。これは要望して終わりにします。  最後に日本語学校、外国人労働者の問題です。防衛は省略します。帰っていいです。済みません。また後でやります。  日本語学校の指導、書類はもらいました。外国人労働者がこれから、これは大蔵大臣にも聞いておいてもらいたいのですが、どんどんふえていく。それで、防衛の二十四万人は今デタントで要らないから、八万人ぐらい、三分の一ぐらいは民間企業に応援に出したらどうだ、実はそういうふうに私は思っていた。幾ら戦車を動かしたからといったって余り効果はないじゃないかというふうに思いますから、こういう時期ですから、八万人ぐらいは今の人手不足という状況の中でそういう対応を考えたらどうだ。外国人労働者の受け入れについても立法措置が必要じゃなかろうかというふうに思います。さもなければ、これはアジアの一これは時間になったという意味ですから、以上で終わります。私は非常にまじめです。そういうことで、大臣として検討されることを期待して、あといろいろありましたが、別の機会にします。  終わります。
  266. 中西啓介

    中西委員長 森田景一君。
  267. 森田景一

    ○森田(景)委員 消費税が実施されましてから二カ月半になるわけでございます。消費税は空気以外は全部税金をかけると言われておるわけでございまして、もちろん生活必需品にも全部かかっているわけでございます。そのために、消費税に対しまして消費者は全くなすすべがないというのが現状であります。確かに物品税は廃止されまして、車とか宝石とかあるいは毛皮といった高級品は安くなったものもあると言われておりますが、しかし、そんなものに縁のない庶民にとりましては、日用品の軒並み値上げで物価が七%になった、あるいは一〇%にも感じられる、こういう声を耳にしております。そういうわけで、所得税減税ということを言われましても、庶民の立場ではだまされたという実感はどうしようもない、このように私も地域の方々から言われております。  この消費税、九つの懸念というのが前竹下総理から示されました。そのトップにありますのが逆進性、こういうことでございました。所得税減税の恩恵をほとんど受けていない低所得者層あるいは生活保護家庭、年金生活者、身障者など弱者には、早くも消費税が重くのしかかっているわけでございます。主婦連などの相談窓口にも、この弱者からの窮状を訴える内容が大変目立っているわけでございまして、大蔵大臣もあるいは耳にしていらっしゃるかとも思います。  参考のために若干例を申し上げてみたいと思います。  東京都に住んでいらっしゃる無職の女性、七十九歳の方はこうおっしゃっております。六年前に主人が死んで都営住宅で一人暮らし、生活保護と近くに住む息子からの仕送りで、合わせて月七万円で生活している。精進揚げ一個五十円が六十円になりました。豆腐百円が百十円になりました。揚げ豆腐四十五円が五十円に上がって、毎日のおかず代が大変です。節約のためテレビもなるべくつけないようにしております。七十九歳のお年寄りでございます。  それから、身障者からはこういう声が出ております。私の義足にも税がかかるなんて納得できません。消費でなく体の一部なのです。こんなものにまで税金をかける政治は何とか変えてほしい。  また、病気の方の声では、心臓病で、生活保護を受けている。生活保護世帯です。月六万円ぐらいだというのですね。家賃一万六千円は市が払ってくれるけれども、管理費千円のほか、生活必需品に消費税がかかってくると生活できない。免税業者というのもあるわけですから、免税消費者というものがあってもいいじゃないか、こういう声も寄せられているわけでございます。  また、ある団地に住んでおります年金生活者の八十歳の方は、御夫婦でございますけれども、家賃の値上げ通告がいつ来るかということで毎日心配しているというのですね。収入は厚生年金など月額約十一万円だそうです。お二人です。二DKの民間団地の家賃五万円、この家賃を引いたおよそ月六万円を食費など生活費に充てているというのです。お二人で六万円です。不足分はこつこつためた預金を引き出して補っているのが実情である。奥さんは四月一日から物が皆値上がりして苦労している。加えて、あちこちで始まった家賃の値上げがいつ来るか、この御夫婦は気が気でない、額が大きいからだ、こうおっしゃっておりました。こうした年金受給者というのは全国で約八百三十万人いらっしゃるそうです。そしてこの方々の平均月支給額は十三万円にすぎない、こういう状況でございます。これは消費者の立場でございまして、またこの納税義務である事業者の方もいろいろと御苦労していらっしゃるわけでございます。  そこで、私はちょっと新聞をコピーしてまいりました。これは大臣もごらんになっていらっしゃると思うのです。「ご存じですか、あなたの減税」というのですね。こういうのが新聞に出ております。皆さんもごらんになったと思います。「ご存じですか、あなたの減税」というのです。これは政府広報、新税制実施円滑化推進本部というところで広告を出しているようでございます。また、私も時々テレビでもこの減税の広告を見ることがあります。一体こういう広告、あるいはテレビの広告、こういうのをどのくらい出していらっしゃるのか、どういう新聞にどのぐらい掲載して、あるいはテレビのスポットではどのぐらい放送しているのか、金額としてはどのぐらいになるのか、まず最初にそのことをお尋ねしておきたいと思います。
  268. 中川良一

    中川説明員 お答え申し上げます。  減税を主な内容といたします政府広報につきましては、新税制定着のための広報の一環として実施しておるところでございまして、ことしの四月以降、まず新聞につきましては一般紙、いわゆる中央紙、ブロック紙、地方紙でございますが、この一般紙で三回、ただいま先生お示しになられました記事下広告が二回と、そのほかに突き出し広告というものを一回、合わせまして三回実施いたしております。このほか新聞関係では、団地紙等で二回実施をいたしました。さらに週刊誌につきまして一回、またテレビスポットも実施したところでございます。  これらの広報に係る経費でございますが、ごく大まかに試算をいたしますと、約三億円程度と見込まれるところでございます。
  269. 森田景一

    ○森田(景)委員 約三億円を使って減税のPRをする。大蔵省としてはなるべく減税のPRをしたいのだと思いますけれども、これは私は三億円のむだ遣いだ、こう申し上げておきたい。  なぜならば、先ほども沢田委員の話がありましたけれども、減税した減税したと言っておりますけれども、実際この消費税の負担分というのは、全国生活協同組合連合会の試算を見ましても、平均して一世帯九千円ぐらいかかっているようですね。そうすると、せっかく政府が標準世帯で試算した、この中にもありますけれども、標準世帯では四百万の収入で年間十一万五千円、こういうのが出ているわけでございますが、実際はもう減税効果というのはないわけです。だから、最初に申し上げましたように物価は七%とか一〇%も上がったような感じがある、こう消費者が感じていくのも無理のないことであって、こういう三億円もするむだ遣いはおやめになった方がよろしい、このように申し上げておきます。今まで使ったものを返せというわけにはいきませんから、これからはおやめになるようにしていただきたいと思うわけでございます。  それから、「今週の日本」というこういう新聞があります。大臣、御存じでしょうか。これは毎週折り込みで入っております。これも「編集協力 総理府広報室」となっておりますから、政府のお金が出ているのだろうと思うのです。そのことにはきょう触れません。  六月五日付の「今週の日本」には「消費税「九つの懸念」総理が見解表明」こういうことになっておるわけでございまして、この中に御丁寧に、六月五日に発行された新聞で、このときは竹下総理大臣はもうおやめになった後なんですね。ですから最初の記事には「注」としまして、「この記事は五月二十九日に製作したものです」とありまして、竹下総理という名前が入っているわけでございます。ここにあの発表になりました九つの懸念の内容が詳しく出ているわけでございます。この竹下前総理の見解というのは、表現が悪いかもしれませんが、日本のことわざにイタチの最後っぺというのがあるんですね。私は、竹下総理のこれは最後っぺじゃなかったかな、こう見ているわけです。九つの懸念が解消されたなんということはどこにもありません。みんな厳しい状況を認めている。将来の課題に残したわけでございます。  私は、前回もこの九つの懸念の見解を幾つか取り上げましたけれども、きょうは時間が許せば第四の懸念、税率の引き上げの不安という問題、それから第八の懸念、消費者の負担した税が納税されないのではないかという問題、それから第二の懸念、中堅所得者の不公平感、第五の懸念、物価の上昇、こういうことについていろいろと質問をして、見解を聞きたいと思っているわけでございます。  最初に第四の懸念、税率の引き上げの不安ということでございますが、この消費税を導入するときは、高齢化社会への対応ということがうたい文句だったわけでございまして、今でも現総理大臣村山大蔵大臣もずっとおっしゃっていますね。高齢化社会への対応とは言っていますけれども、どういうふうに対応するんだということが明確じゃないのです。私はいろいろと調べてみまして、高齢化社会への対応と言っているのは、これは税率を引き上げるという含みがやはり根底にあっての発言だと思うのですね。大蔵大臣も前に、たしか二十一世紀までは三%で何とかもっていけそうだという御発言をなさったことがありますね。この委員会だったかと思います。まず最初にその辺のところをお答えいただきたい。
  270. 村山達雄

    村山国務大臣 三つの点でお答えいたします。  高齢化社会への対応という点でございますが、御案内のように、これから日本は世界でかつてないほど急速に高齢化を迎えるわけでございます。そのことの意味は、これから稼得者、働く人が相対的に少なくなる、こういう意味でございます。それで現在の税制を見ておりますと、所得課税に余りにも、しかも結果的には給与所得者がほとんど支えているわけでございますので、そこに余り負担をかけるような現行税制をやっておりますと、活力が失われることはもう当然なのでございます。老齢者の医療費は大体普通の人の五倍かかるとか、今千八百万人の年金受給者が三千三百万人に間もなくなるとか、こういうことを考えただけでも早く歳入構造を考える必要がある。あわせて安定した税収構造というものも考えねばならぬであろう。こういうことを考えますと、租税体系として大きく転換する必要がある、こういうことでやっているわけでございます。もっと述べますれば随分長い話になりますので、それくらいで省略いたします。  それから、第二番目の問題として消費税の引き上げの問題、三%というのでございますが、これは竹下前総理もそれから現宇野総理も、自分の在任中は上げません、こう言っております。理論的に言うと、それにはいろいろ言っておりますが、この税率の問題というのは結局は受益と負担の関係であって、将来の国民の選択の問題であるので、それ以上のことは言えないが、こう言っているわけでございます。それから、実際問題といたしまして、これだけやかましくというか、これだけ苦労をして実施した消費税でございまして、これだけ批判があるわけでございますが、特に最後は国会の承認を要するわけでございます。したがいまして、そういったことからいいましても、最終担保としての国会がある限り、将来の受益と負担というものの関係だといっても非常に難しいのではなかろうか、こういうことを言っているわけです。  それで、私がさあこれは二十一世紀ぐらいまでもつんじゃないかなと言ったのは、今の景気が続き、そして特別の財政需要というもの、我々はこういうものをこれから厳重に抑えていかなければいかぬと思いますけれども、今の景気が続き、そして特別の財政需要がない限り、日本のGNPは非常に大きいわけでございますので、総合勘案して三%でもつことを期待する、そういう意味の発言をしているのでございます。
  271. 森田景一

    ○森田(景)委員 これは日本広報協会、監修 大蔵省「新税制…豊かな明日へ」というのが出ております。これが出ない前も消費税導入に際しましていろいろ説明がありましたが、今大臣から説明がありましたように安定的収入、これはそのとおりだと私も思います。今回の改革、差し引き二兆六千億円の減税となっておりますという説明があるわけですね。増収が六兆六千億、減収が九兆二千億、結局差し引き減税が二兆六千億。これが足りなくなる金額になるわけです。これがベースになってこれからもずっといくのだと思うのですね。そうすると、決して高齢化社会のために安定した収入じゃなくて、ただ消費税が安定した収入になっていく。高齢化社会のためじゃない、私はそういうふうに考えるわけです。  それから、今の状況が続いていけば二十一世紀まで大丈夫だ、そういうお話がございました。ごもっともだと思いますけれども国会の承認がなければ税率アップはできません、これは法律に書いてあるわけですから、そのとおりです。だけれども、この消費税も我々反対したけれども自民党の三百議席という大きな力によって強行成立したわけです。だから、今大蔵大臣のおっしゃる三%より上げないというこの税率アップの歯どめというのは、これはやはり与党にたくさんの議席を与えてはいけないという意味だと思うのですね。ちょうど景気と同じように、この国会の与野党の議席数も今のような数でずっといけば、三%が五%になりあるいは一〇%になるかもしれない、そういうことになるという意味ですね。だから、この三%が法律に歯どめがかけてあるから上がらないというのは詭弁にすぎない、私はこう思うのです。大臣、どうですか。
  272. 村山達雄

    村山国務大臣 間違いがないようにはっきり言っておきます。我が自民党はこんなものを上げたいなんてだれ一人思っておりません。できるだけこれで二十一世紀まで続けたい、こういうことでございますので、どうぞその辺はお間違えにならぬようにしてください。
  273. 森田景一

    ○森田(景)委員 大蔵大臣、よく言ってくれました。これが総理大臣もまた自民党議員皆さん方もみんな同じ意見であるならば、二十一世紀まで安心だと思います。よく受けとめておきます。  それから、ちょっと戻りますけれども、竹下前総理大臣は私の在任期間中はやらないと言った。宇野総理大臣も私の在任期間中は上げませんと言った。これはいいのです。だけれども、竹下さんはそんな長くできなかったですね。今の宇野総理大臣もいつまでもつのだかわかりません。そういう不安定な方のおっしゃることは余り信用できませんで、今の村山大蔵大臣のように自民党議員は全部だれも上げようと思っていません、責任持って言い切って、みんながそう言ってくれればいいのです。そういう点では大変勇気ある御発言だ、このように評価をしておきたいと思います。だけれども、ちゃんと守ってくださいよ。  次は第二の懸念でございます。不公平感ということですね。消費税がやはり金持ちを非常に優遇している税制だということが最近になってはっきりしてきたわけでございます。  例えば輸出業者。輸出の品物には消費税がかからないことになっているわけです。この輸出関連企業のいろいろな数字を調べてみますと、今現実には数字が出てきませんので、昭和六十一年から六十二年までの一年間の計算を申し上げます。例えばトヨタ自動車。三%消費税をかけたと仮定して計算しますと、ここは年間百十三億円の消費税になるそうですね、国内販売で。輸出販売にかかわる税金、これは戻し税になるわけですから、これが六百十六億。差し引き戻し税額というのは五百三億になる。結局トヨタ自動車は消費税を払わなくて済む、こういう計算になってくる。しかも物品税が廃止になりまして、納めなくて済むお金が三千三百七億円だ。一つ一つやっていきますと時間がなくなりますから、全部申し上げませんけれども、去年の七月十八日のエコノミストにこういう計算が出ております。トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、マツダ、松下電器産業、日立製作所、東芝、ソニー、新日本製鉄、三菱重工業、こういう大手の企業の例が載っておりました。  それから、これは五月二十六日の朝日新聞に載っておりましたのですが、大手商社九社、このうち七社が過去最高の売り上げたというのですね。伊藤忠商事がトップでございまして、売上高十五兆五千五百五十九億円、三井物産が十四兆八千二百七十六億円、住友商事が十四兆五千七百六億円、丸紅が十四兆一千八百九十三億円、三菱商事が十三兆八千三百七億円、日商岩井が十一兆百六十四億円、トーメンが五兆二千三百十九億円、ニチメンが四兆七千二百十億円、兼松江商さんが四兆三千八百三十億円、こうあるのですね。大変な売り上げをしていらっしゃるわけでございます。こういう方々の努力で日本の景気もまた伸びているのかもしれませんけれども、しかし事消費税に関して考えてみますと、売上高に単純に三%を掛けますと、トップの伊藤忠さんは年間四千六百六十六億円、こういうことですね。三井物産では四千四百四十八億円、大変な金額でございます。一年三百六十五日、これは毎日一億でも三百六十五億でございますから、一日十億以上の消費税が入ってくるんですね、売り上げの多いところは。そうすると、こういうところはそのお金を財テクに運用することができるわけでございまして、これは大変大企業優遇じゃないか、こういうふうに思わざるを得ないわけです。  日経新聞の六月十日付を見ますと、非常に企業は財テクがお上手のようでございまして、「財テク企業ランキング 上位に自動車・電機」こうありまして、八八年度金融収支ランキング、トップがトヨタ自動車さん、二番が松下電器産業さん、三番が日立製作所、四番がシャープ、五番が日産自動車、こういうふうに出ております。それぞれ、トヨタさんで一千二百七十五億、このくらいの財テクをしていらっしゃるわけですね。ですから大手の企業、メーカーさん方は財テクも非常に上手だ。消費税も単純計算で毎日十億円以上も入ってくる勘定になる。大手はますます豊かになっていく、こういう勘定になるわけです。庶民は本当に日用生活品まで消費税で苦しんでいるのに、大企業はそういういろいろな有利な道が残されている。こういう点で非常に不公平だなと私は思います。大臣の見解をお尋ねします。
  274. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 まず輸出の問題でございますが、もう委員よく御承知のとおり、これは国際的にそういう調整の仕方が行われているわけでございまして、お互いに輸出には消費税のような税をかけないということにしているわけでございます。水際で税金を全部落として輸出をするということでございますから、逆に考えていただけばよろしいわけでございますけれども、外国から輸入しているもの、それは全部外国の税を水際で落としてくるわけでございます。日本の場合、食料品その他生活必需品をたくさん輸入しておりますが、そういうものは外国の税を落としてまいりますから、その分だけ日本の消費者が安く買えるということになるわけでございます。そのようにお考えいただいたらおわかりいただける問題だろうというように存じます。  それから、財テクという御指摘でございました。確かに消費税の場合には売上税と違いまして、売上税の場合には三カ月ごとに税金を納付していただくという制度でございましたが、消費税の場合にはいわば企業の法人税の計算に合わせるということで、一年という納付の期限をとっております。途中で中間申告が半年にございますけれども、そういう制度をとっておりますので、その間、消費税がたまっていたらそれが運用できるのではないかという問題が出てくるわけでございます。しかしながら、実は企業が仕入れますもの、仕入れを行います場合に、その仕入れには税金がやはり三%乗っかってくるわけでございまして、その仕入れの三%分だけは逆に企業は先に払わなくてはいけないという問題があるわけでございます。その先払いの分、それから売掛金の中には、もちろん税金も売掛金という形になって残るわけでございまして、そのように三%入ってくる方だけをお考えいただかないで仕入れで払ってやるという話、それから売掛金の中に含まれてしまうという話、それから中間納付等を考えていただきますと、実際には必ずしもそんなに運用利益を生ずるということにならないのではないかと思います。  特に、御指摘の商社のような場合には、確かに売上金額は大きいわけでございますけれども、仕入れの金額もまた大きいわけでございまして、そのマージンとなる部分は非常に低いのは御承知のとおりでございますので、そんな大きな財テクの問題ということにはならないのではないかというように考えております。
  275. 森田景一

    ○森田(景)委員 その辺のところは、やはり大蔵省は大企業の味方であるという感じが率直にするわけでございます。時間も余りありませんので、次に進みます。  第五の懸念、物価の上昇、こういうことにつきまして、総務庁においでいただいていると思うのですが、東京都区部の五月の消費者物価指数はどうなっていますか。
  276. 伊藤彰彦

    伊藤説明員 東京都区部の五月の中旬速報値でございますが、対前月比で〇・六%の上昇でございます。また、対前年同月比では三・三%の上昇となっております。
  277. 森田景一

    ○森田(景)委員 四月の東京都区部の物価上昇率では大変村山大蔵大臣もいい感じだった、こういう答弁がこの委員会でたしかあったと思います。しかし、それが五月になりますと、今の報告のとおり大分さま変わりになりました。四月のときには二・七%だったものが今度は三・三%ということでございまして、大変警戒を要する状況だと私は判断しております。  その五月の傾向で特に目立っているのが、消費税の便乗値上げが依然根強い、こういう状況でございまして、追加的値上げがまかり通っている、こういうことのようですね。カーネーションとかワイシャツ、豆腐、左官の手間代、ワンピース、スパゲッティ、コーヒー代、かけうどん等々前月比あるいは前年同月比、これを比べましてもみんな上がっているわけでございます。そういうことで、この一回だけ三%の分値上がりする、こういう説明がありましたけれども、どうも消費税は欠陥があって、この欠陥の怖さというのはこれから出てくるのじゃないかと大変憂慮されていることでございます。この物価上昇に対してどういうふうに対策を考えていかれるのか、お答えいただきたいと思います。
  278. 村山達雄

    村山国務大臣 もう言うまでもない話でございますが、消費税の実施ということはいっとき限りの一過性の問題でございます。ですから四月の対三月の上昇率、これが東京都区部で一・五でございますが、生鮮食料品を除いた季節調整済みでは一・二、こういうところでございます。だから、むしろその方が正確であろう。一・二でございます。  それから、少しおくれるんじゃないか、確かにあるだろうと思います。それで同じ東京都区部の五月分を見ますと、先ほど報告がありました〇・六、こういうわけですね。そこで、それが全部消費税の追加値上げ分であるかどうかというと、それは必ずしもそうでないであろう。例えば三月の二月に対する前月比の上昇率を見ておりますと、それが〇・五であるとか、こういうある数字があるわけでございます。若干〇・六の方が多いわけでございますけれども、そこの差でむしろ読む方が正確ではないか。  それじゃなぜそんなふうに対前月で上がってくるかといいますと、やはり卸売物価がいろいろな関係で上がってきたものが、タイムラグを持って消費者物価にやがてくるわけでございます。先ほど大づかみには三四半期ぐらいかかる、こう言っておるところでございます。ですから、その辺の物価の読みというものはまた別であろう。  それから、問題は消費税のいっときの値上がりを含んで対前年同月比がどうなっているか、これは両方含んでくるわけでございますが、先ほど総務庁の人が言われたように五月の都区部で三・三、こういうことを言っております。全国平均ではもちろんそれより低いわけでございましょう。だからこれは消費税のいっとき限りの値上げ令と、それから卸売物価からきた、タイムラグできたものの複合値がそこにきておる。三・三という数字は世界の中ではまだ一番安定している物価であることは御承知のとおり、こういうことでございます。
  279. 森田景一

    ○森田(景)委員 時間も余りありませんので途中を飛ばしまして、先ほど我が党の矢追委員の方からもお話がありましたように、私どもはこの欠陥消費税廃止すべきであるという立場でございまして、これは参議院選挙の公約にも掲げました。そういうことで、我々がこの消費税が悪いと言ったのはいろいろなものがあるのですけれども、一番根本にあるのは公約違反の消費税であるということ、これは村山大臣もよく御存じだと思います。  もう一遍ここでどういうふうに公約違反だったか申し上げてみます。  自民党国民から大きく信用を失ったのは、「大型間接税はやりません」と選挙公約をしておきながら、その公約で三百議席を得たあと、急に変心し、大型間接税そのものである消費税を、強行実施したことである。国民と政治を結ぶべき、選挙の公約が、すぐ否定され、全く意味を持たなくなった。これは、政治に根本的な不信を抱かせる大事件である。   政権党である自民党が、何々をやります、と公約しながら、まだやっていない、やろうとしていない、という公約違反は今までも数知れないが、しかし、何々はやりません、と公約の筆頭に掲げておきながら、それを破ったのは、今まであまり例がないことである。   中曽根前首相は、三年前、ウソをついて、衆参同日選挙を強行した。衆参同日選挙は、それ自体が違憲の疑いが強いが、中曽根氏は、「解散は考えていない。白さも白き富士の白雪」と野党にウソをつき、いわゆる死んだフリをして、だまし打ち的に衆参同日選挙を実施したのである。   同日選を決定すると、中曽根氏は、次は、選挙公約で「大型間接税はやりません」の大キャンペーンを始めた。   昭和六十一年六月十四日、自民党本部で開かれた東京都各種団体総決起大会であいさつ。  「野党の宣伝に乗ぜられぬようにお願いしたい。国民や党員の皆さん反対する大型間接税をやる考えはない」。   六月十五日、高松市の街頭で、「野党がいろいろ宣伝しておった大型間接税、あるいはマル優制度については、きのうもはっきり申し上げておきましたように、国民反対し、自民党員も反対するような大型間接税と称するようなものはやりませんと申し上げておる」  宮崎市の記者会見でも、六月二十五日、また岡崎市文化会館でも同様発言を繰り返した。   六月二十五日、名古屋市民会館で、「よく大型間接税について野党は宣伝しておりますが、六月になると四谷怪談でおばけが出る。おばけにごまかされてはいけません。私は、国民皆さん自民党員が反対するような大型間接税というようなものはやりませんと言っておる。私が言っておるのですからこれは間違いない」   七月二日、鳥取市駅前の演説で、「大型間接税とかいうものはやらんのです。この中曽根がウソを言う顔をしていますか。よく見てください」。  こういうふうに繰り返し繰り返しやった結果がやはり消費税導入になったわけでございますし、またリクルートでも実態がはっきりしたわけでございます。それでいろいろと申し上げ、大臣の意見を聞きたかったのですが、やめます。  最後に、日刊電通情報、こういう。パンフレットがありまして、これが時々私の会館の事務所の方に来ております。私の大変共感する記事が載っておりました。これも読んで御紹介いたします。     消費税反対議員を当選させ悪税を廃止させよう   日本人の生活は消費税の実施によって大きく変動した五十日でした。定価百円の物を買っても“消費税”を取られます。   消費税を実施した直後に竹下首相が夫人同伴でデパート回りをした折り、一本一万五千円のネクタイを買い消費税は時間をかけて国民が馴れればそう悪い税金ではないなどと同行記者団に語りましたが、首相には庶民の生活が全然わかっていない。といって国民から反発を受けたことは有名なことです。   五月二十日の日本テレビで、東京浅草商店街の人達が消費税の実施によっていかに苦しんでいるかをリポートしていました。その中で金融機関を定年退職した男性が母と二人暮らしの中で消費税についてこう語っていました。「私は定年退職後母と二人暮らしですが、私と母の年金二百万円で生活しています、消費税を六万円取られるのでそれだけ毎日の生活費を切り詰めなくてはならない。年金だけの生活で六万円の税金はひどい」といいます。   また、ある小売商店の老主人は昨年夫人が死亡し間もなく一年になるのでお墓参りに行くといい、息子さんがその老主人におふくろは、昨年亡くなってよかった。平成元年は子供が生まれても、人が死んで葬式を出すにも消費税がかかると言ってやりなよ、と話していました。   この商店街では消費税分を、利益分に組み込んでお客には負担させないと口々に語り、いままでは自民党支持だったが今度は自民党を支持しないといっていましたが、この商店街に残っている唯一軒の駄菓子屋の老主人(女性)は、子供相手に十円~百円までの品物を売っているのでとても消費税を子供からとれないが、子供の方がよく知っていて「おばあさん消費税で大変だろう、いままで百円しか買わなかったけど、二百円買ってあげる」といってくれます、といっていましたが、竹下首相らは全国の小売商などが苦労している消費税の実態を知っているのか、と言いたい。   とにかく、参議院議員選挙、そして近く行われるであろう衆議院議員選挙で消費税反対議員を一人でも多く当選させて、「消費税等を廃止する法律案」を可決してこの悪税を葬り去らせましょう。  以上でございます。こういう決意で我々も今後取り組んでまいります。  消費税は以上で終わります。  「財政の中期展望」によりますと、平成年度には特例公債依存体質脱却という悲願が達成されることが確実になった、こう言われております。早ければこの平成元年度の税収の好調によって赤字国債から脱却できるのではないか、このようにも言われておるようでございます。しかし、この目標達成に寄与してきたのは、NTTの株式売却益が大きく寄与したのではないか、このように思うのですが、大臣の所感はいかがでしょう。
  280. 村山達雄

    村山国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、定率繰り入れ、前年度末残高の一・六%というのは二兆六千億ぐらいになるわけでございます。これは容易なことではありませんで、たまたまNTTの株の売却収入がありましたものですから現金償還を無事にやってきた、こういうことでございます。したがいまして、いずれは平成年度あたりからなくなるわけでございますから、それらの問題を含めて、特例公債新規発行脱却をどのような財政再建の目標を立てていくか、これを真剣に考えていきたいと思っております。
  281. 森田景一

    ○森田(景)委員 NTT株式の売却計画では、昭和六十一年度から始まりまして六十三年度、この六十三年度は百九十五万株がそのまま売却できないで百五十万株、そういうことで平成元年、本年も株の売却というのが見込まれているわけですね。しかし、先ほど来いろいろと先輩、同僚の方々がことしは見送るんじゃないかということで議論になりましたけれども、私は見送るべきじゃないという意見なんです。かつて我が同僚柴田委員の方からは、こういう時期だから考えなければいけないじゃないかという話があったのですけれども、やはり見送るべきじゃないと思うのですね。その辺大臣、どうですか。
  282. 村山達雄

    村山国務大臣 NTTの株というのは、これは国民共有の財産でございまして、やはり大事にしていかなくてはいかぬ、こういうことでございます。一方、定率繰り入れ、現金償還に相当するものは繰り入れなくてはならぬ。そこのところをどう持っていくかという問題でございまして、今直ちに決まる問題ではございませんけれども、先ほども申しましたように大事な資産でございますから、できるだけ相場が回復したとき売った方が得に決まっているわけでございます。また、それが国民のためにもなるわけでございますので、その辺を考えておる。場合によると一部または全部、全部ということはなかなか難しいでしょうが、平成年度の現金償還の財源になるNTTの株の売却を一部見送る必要があるかもしれぬ、こういう懸念を申し上げたところでございます。
  283. 森田景一

    ○森田(景)委員 なるべく高く売れればいい、これは当然の話でございますけれども、もともと最初に公開したときの値段というのは百十何方だったかと思いますね。きのうの値段で百四十八万円。ですから、最初売り出したときのお金のことを考えれば決して国民に迷惑をかけることにもならないと思いますし、それから、大体株券は五万円ですからね。五万円を二百五十五万円で売ろうというのですから、そう簡単には二百五十五万円はいかないと思いますよ、ずっと下げてきているのですから。だから、最初に公開したときの値段を基準にしてやれば、決して国民に迷惑をかけることではない。それは高い方がいいに決まっているのです。そういうことでひとついろいろと意見を申し上げたわけでありますけれども、考えていただくのも一つの考え方じゃないかと思います。  きょうはNTTの代表取締役の児島副社長においでいただいておりますので、大変長い時間お待たせをしましたが、お尋ねしたいと思います。  NTTは、リクルート事件に関連しまして、長谷川元取締役とかあるいは式場元取締役とか真藤前会長とか村田元秘書、こういう人たちが逮捕されたり起訴されたりということで、大変大きなイメージダウンをしたわけでございます。しかし、NTTは、そういう一部の幹部がそういうことをしたからといって、そのままでいいというわけにいかないわけですね。今も大臣からもお話がありましたように、国が大きな民活といいますか、民営化ということで踏み切った大変大事な会社ですから、これから大きく業績も回復させ、イメージを刷新していかなければならない、こういう立場にあると思いますので、ひとつ会社を代表して、リクルート事件にどのような反省をお持ちになっていらっしゃるのか、あるいは会社の名誉回復にこれからどういうふうに取り組んでいかれるのか、その御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  284. 児島仁

    ○児島参考人 お答え申し上げます。  私ども、ただいま先生から御指摘ございましたように大変な不祥事を起こしまして、世間をお騒がせしましたことに対しまして、まず最初におわびをしたいと思います。  現在私ども、確かに失墜いたしました信用あるいは評判というものに対してどう回復していくか、全社を挙げていろいろ討論をし、検討しておりますが、一つはっきりしておりますのは、言いわけはきかぬということだと思います。したがいまして、要するに実績を上げていかなければいかぬということでありまして、世間から見てNTTもしっかりこのごろやっておるなということだろうと思います。ただ、この一つの道しかないと思っておりますが、このやり方には時間がかかりますし、派手な動きにもならぬわけであります。しかし、私どもは少々時間がかかっても、社長以下一丸となって企業体質の改善、それから、世間からさらに信用を受けるような業績というものを上げていきたいというふうに誓っておるわけであります。  以上、お答え申し上げました。
  285. 森田景一

    ○森田(景)委員 決意のほどお聞かせいただきました。あのリクルート事件当時はNTTの社員の方々も大変肩身の狭い思いがしたと、私の地域にもNTTの職員の方がおられまして、そういう話をして残念がっておられました。どうか新しい決意で立派なNTTを築き上げていただきたいと思うわけでございます。  先ほどNTTの株が下がった話をしましたけれども、一時は三百万を超したというNTTの株が今百四十八万、こう低迷した原因というのは一体どこにあるのか、その辺のところはどうですか、ひとつお聞かせいただきたい。
  286. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 先ほど足立理財局長の方から正森委員にお答え申しましたように、大体株価をめぐるいろいろな問題というのは、基本的にはその会社の業績でございますとか成長率でございますとか、株式の需給関係とかあるいは市場全体の動向とか、いろいろな事情によって決まってくるものでございまして、行政当局として、個別の株価の水準についてコメントするのはちょっと差し控えたいというのが公式的な見解でございます。  ただ、一般的には先ほど正森委員も御指摘になったように、NTTをめぐる株式の需給関係に問題があるのではないか、あるいは一株当たりの株価のPERといいますか、株価収益率が高過ぎるのではないか、あるいは今回のリクルート問題等がまた影響しているのではないか、いろいろなことが言われていることは事実でございますが、その一つ一つについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  287. 森田景一

    ○森田(景)委員 余り時間がなくなってきましたので……。  私もNTTの株が低迷している原因というものをいろいろと、先ほどの高尚な理論じゃなくて、素人の考えを並べてみたのです。リクルート事件、それから企業分割論、今こういうときに企業分割なんということを出したら、人気が下がるのは当たり前だと思うのですね。それから郵政省とNTTがけんかしているというのですね。それから株主の優待制度なんというのはない。NTTが政府機関や地方団体から締め出しを食ったとか、配当は一株当たり五千円だとか、いろいろあると思うのです。これをやっているとまた迷惑をかけますから、やめます。  こういう記事がありましたので、参考のために御紹介しておきます。これは四月二十五日のエコノミストの「満鉄株とNTT株?」というのです。   一般大衆(農民をも含めて)が、株式市場に参加し始めたのは、日露戦後の株式ブームからである。その画期となるのは、明治三九年九月の南満州鉄道(満鉄)の株式公募だった。ロシアから得た満州(中国・東北地区)の各種利権を独占するこの半官・半民会社の株式公募が発表されると、国内に熱狂的株ブームを引き起こし、市場全体の投機熱を大きくあおった。 これは明治の話ですから、私もこれを信用するしかありません。   「募集締切に切迫して俄然応募額を増加し、募集株九万九〇〇〇株に対し一億六七三万一三五八株に上り、一〇七八倍に達し、(中略)締切日にありては、権利価格は騰貴して、申込金五円に対し三九円を唱え、締切の後は四二円六〇銭の価格を有するに至れり」(『日本金融史論』)。その後、満鉄株の権利価格は、ヤミ相場で九〇円にもなった。   また当時の株ブームについては「商人は云うに及ばず、地方の農夫に至る迄、株に手を染め、株に手を出さざる者は人にして人に非ずと云うが如き有様なり」(『明治金融史』)と記されている。   しかし、信用取引の売り方が、売っても売っても狂騰したこの株式フィーバーも、明治四〇年の反動恐慌でついに壊滅する。   当時の株暴騰と世人の狂奔を「火山の大噴火」と表現した作家・武田泰淳は、こんどは「一たん崩れだすと底知れずの暴落となった。しかも四〇年の下半期はアメリカの大恐慌がある。ヨーロッパでは金利の騰貴、内地では(中略)。市況は花ざかりの春から、枯葉の舞いおちる冷たい秋とかわった。買い方は青菜に塩としおれて倒産するもの、自殺するものが続出する」と、この大暴落の様子を描写している。   市場での売買開始が大正三年の満鉄株が、この時、ヤミ相場でいくら下がったかはっきりしないが、当時、株式全体の指標となった東株相場が七八〇円から九〇円まで下げたことからほぼ推察はできよう。政府が「国民的企業としてあまねく各階級の同胞にその株を」と宣伝したこの満鉄株、その後の運命はともかく、出だしはNTTとよく似ている。 こういう記事でございまして、こういうことは大臣関係者の皆様方もよく御存じだと思います。私もまだ生まれるはるか以前の出来事なものですから、大変興味を持って読みました。  どうかひとつNTTの皆さん方も、こういう満鉄の株の二の舞になるようなことはよもやないとは思いますけれども、こういう前車のわだちを踏まないという立場で、今後とも会社の発展のためにしっかりと頑張っていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。
  288. 中西啓介

    中西委員長 次回は、来る十六日金曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十八分散会