○尾崎政府
委員 ただいまの
委員のお話のように、五月の十九日の新
税制実施円滑化推進本部におきまして総理のごあいさつがございまして、総理御自身がかねて申されておりました九つの懸念につきまして、
消費税が実施された現段階の状況を踏まえまして改めて考えを整理してみたということでメモを配られました。
その内容でございますが、九つの懸念は御承知のことかと思いますけれども、総理が順序をちょっと並べかえてみたいということで並べかえておられますので申し上げますと、第一の懸念は、「逆進的な税体系となり、所得再分配機能を弱めるのではないか。」第二の懸念は、「結局、中堅所得者の税の不公平感を加重するのではないか。」第三の懸念は、「所得税のかからない人たちに過重な負担を強いることになるのではないか。」それから、第四の懸念としまして、「いわゆる痛税感が少ないことから税率の引上げが容易になされるのではないか。」第五の懸念といたしまして、「物価を引き上げ、インフレが避けられないのではないか。」第六の懸念といたしまして、「商品価格に転嫁できるか。」そこまでが昨年の三月に衆議院の予算
委員会で総理がおっしゃいました懸念でございます。――失礼いたしました。並べかえておりますのでちょっと順序が変わっておりますので、私の申しましたこと、正確ではございませんが、昨年三月、まず六つお話しになりまして、その後三つ追加になっております。
それから、第七の懸念といたしまして、「新しい税の導入により、事業者の事務負担が極端に重くなるのではないか。」第八の懸念といたしまして、「簡易課
税制度、事業者免税点制度などにより、消費者が負担した税が納税されないことになるのではないか。」第九の懸念といたしまして、「地方税等の減収により、地方団体の財政運営に支障が生じるのではないか。」これが九つの懸念でございまして、それぞれにつきまして総理の現在における御見解が示されております。
第一から第三までの懸念は、いわゆる所得階層別の負担の変化に関するものであるということで、概略申し上げますと、第一の懸念の「逆進的な税体系となり、所得再分配機能を弱めるのではないか。」と第二の「結局、中堅所得者の税の不公平感を加重するのではないか。」この二つの懸念につきましては、
税制改革全体の中で対応をしているということを申されております。主要諸外国と比較しますと、我が国の所得分配の上下格差が小さい、それから、
税制改革後においてもなお所得課税のウエートが依然高い、かつ、累進度の高い
税制となっている、そのようなことを挙げられ、また、中堅所得者については、税率のフラット化を行い、配偶者特別控除や割り増し扶養控除を設けるなど、四十代、五十代の、働き盛りで収入が多いが支出も多く生活に余裕のない中堅所得者の税負担の軽減に配慮しているということをお話しになっておられます。
それから、所得税、住民税について、主婦層などにさらに一層理解していただくように努めてまいりたいというようなこともおっしゃっておられます。
それから、一番字数を費やしておりますのは、第三の「所得税のかからない人たちに過重な負担を強いることになるのではないか。」という懸念でございまして、種々の指摘をいただいているということを申されました後、その御指摘の中で最も多いのは年金生活者や心身障害者の方々からの訴えである。広く薄く負担をお願いする
消費税の性質上、そうした方々にもその負担が及ぶことになるというように申されまして、しかし、社会福祉の観点から、生活保護世帯や老人、障害者、母子世帯など真に手を差し伸べるべき方々に対しては歳出面で最大限の配慮を行った、昭和六十三年度の補正予算では、老齢福祉年金の受給者等に対し臨時福祉特別給付金等を支給したほか、
平成元年度予算でも生活扶助基準の適切な引き上げを行う、それから、在宅福祉施策の大幅な拡充等の措置を行っているというようなことをおっしゃっておられます。
それから、公的年金につきましては、
平成元年度が財政再計算の年に当たることから、四月からの物価スライドのほか、十月からの給付水準の相当の引き上げを行うこととし、政府は現在、そのための改正法案を国会に提出しているということを申されております。この改正によりまして、来年度は
消費税の影響を含むことしの消費者物価上昇率に対応して給付額が物価スライドされるということも申されております。
総理はしかし、そういう手当てをしているけれども、年金生活者の方々に負担が及ぶこと自体に対して抵抗感を感じられる方もおられると思いますというように申されておりまして、しかし、高齢化社会への対応は、単なる将来の課題ではなく、まさに現実の問題となっている。年金を初め医療保険、高齢者福祉施策などの公共サービスを維持拡充していくためには、安定した健全な財政構造の確立が不可欠である。そのためにも経済社会の実情に即した税の仕組みがどうしても必要だと申されております。広く薄く消費に負担をお願いする
消費税の創設はこのような要請に沿うものである。したがって、年金生活者の方々も、こうした広い視野のもと、
消費税という新しい仕組みに参加していただきたいと思いますというように御見解を述べられております。
それから、心身障害者の方々につきましては、例えばこれまでの自動車等に対する物品税の特殊用途免
税制度の特典が失われ、それだけ生活が圧迫されるといった批判もいただいておりますが、
消費税制度は、その仕組み上、負担者である消費者の個別の事情に配慮することが難しいという問題があります。そこで別途配慮を行っているということで、具体的例といたしまして、自動車については世帯更生資金貸付制度を思い切って拡充した超低利の融資を行うということとした。それから車いす等の公費による給付制度の面、それから
税制面でも障害者控除や医療費控除などで特段の配慮をしているということを申されております。
それから、やや変わったものといたしまして、子供が買うものにまで税金がかかるのはかわいそうだという意見がありますが、児童生徒は
消費税
に一方でとまどいながら、同時に税というものを身近に感じ、関心を持ち始めている面もあるのではないでしょうかということを申されておりまして、この関心を大事にはぐくんで、これからの我が国を担う子供たちに税の持つ意味を的確に理解させることができれば、むしろ我が国の将来にとって有意茂ではないかと考えると申されております。
それから、食料品のような生活必需品――よろしゅうございますか。それではあと省略させていただきます。