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村山(喜)
委員 補助金等の問題につきましては、昭和六十年度に一年限りの措置として百二国会において措置がなされたわけでございますが、六十一年の百四国会でそのままの形で三年間延長されて、六十三年度で見直しをやるということになって、本日提案をされた
内容が出されているわけでございます。
私たちの基本的な
考え方を申し上げておきますが、四十七の
法律案を一本の形にいたしまして、それぞれの
委員会において審議をすべき
内容のものが、国会の審議権がその分だけ削除された形でこの当大蔵
委員会において一括上程されて審議が行われる、こういうやり方は、
議会人として
議会の審議権というものから
考えた場合に、極めて不満であるということを率直に初めに申し上げておきたいと思うのであります。例えばレギュラーメンバーである私も、この極めて重要な法案の審議に当たりましても一時間しか割り当ての時間がない、こういうようなことになってきたのは、これは全体の流れの中でやむを得ないとはいえ、やはり慎重に審議すべき当該
委員会としては極めて残念なことだと私は思うのでございます。
そこで、法案の
内容について逐次入ってまいりますが、生活保護というような問題は、これは憲法二十五条の立場から、健康にして文化的な最低限の生活を営む権利を国民に対して国が責任を持つというのが本質でありますから、そういうような点からいって、これを従来十分の八あったものを十分の七に切り下げておいて、その真ん中をとって七・五で措置をしたというような格好の中で、恒久的な措置と暫定的な措置がこもごもに入り乱れた形の中で今度の措置がされようとしているわけでございます。この点についてはいかがなものであろうかということをまず
指摘をしておきたいと思います。
第三番目は、国と
地方の役割分担の見直しと財源の問題でございますが、
大蔵省そして
自治省、それぞれ言い分があるわけでございまして、
財政力の弱い
地方公共団体の場合には極めて不安な
感じでございまして、いわゆる老人福祉の一部分は
地方公共団体に委任をされたとはいえ、権限関係はそのまま残った形の中でなされているということを
考えますると、役割分担という問題についてももっと掘り下げた論議を必要とするのではないか。それに伴う財源措置の問題とあわせて今後十分に検討をするように要請をいたしておきたいと思います。
後ほど私も触れますが、
消費税が創設されまして、これは高齢化社会の福祉対策のために必要だといううたい文句でございましたが、そのはずなのに生活保護の十分の八が七・五に切り下げられて、値切ってしまったのが
恒久化される。一体
消費税というものを設けたそのねらいは何であったのだろうかということを疑わしめるようなやり方は望ましくないと思うのであります。
第五点といたしましては、義務教育費
国庫負担法の見直しに関連をいたしまして、共済や恩給の取り扱いが年金の改革を前にして二分の一が三分の一に変わっている。年金の法案が今度の国会に提案をされておりますが、
実施時期については別に定めるところによるという格好で、これまた極めてその焦点がぼけてしまっているわけでございます。そういうような問題は長期的な展望の中できちっとしておくべきではなかろうかという意味において、余り先取りをするようなやり方は好ましくない、こう言わざるを得ません。
第六点としては、福祉ビジョンが去る税制国会において我々の前に示されましたが、これは
財政の裏づけのあるものではなくて、
一つのビジョンを示したものであるというふうにしか言えない代物でございます。そうなってまいりますると、これから先の高齢化社会を展望した中において、この福祉ビジョンをどういうふうに位置づけながら国と
地方が責任を持つかということについての展望が明らかでありません。
第七点は、隠れ
借金がございますが、歳出の後年度への繰り延べ額は、六十三年度末において十二兆五千百五十五億円に達しているわけでございます。そういうような問題が展望がはっきりしない中でこの
補助金等の法律が提出されておりますが、やはりそういうような問題についての方向性もきちっと示しておくべきではなかろうか、こういうふうに
考えるのでございます。
まずそのあたりで意見を申し上げて、次の具体的な
内容に入ってまいりたいと思います。
平成元年二月の
大蔵省の「
財政改革を進めるに当たっての基本的
考え方」というのを私はここに持っております。今我が国の
財政の
状況は、一応改善の兆しが見えてきたとはいいながら、
内容的にはストックの面から見た場合には極めて厳しい
財政状況が続いていることは言うまでもございません。そこで、「
財政改革を進めるに当たっての基本的
考え方」は、中期
財政計画というようなものではないようでございまして、そういうような展望を明らかにしながら、
補助金等の問題についてはその一環として提案をされてしかるべきであろうと思うのでございますが、その中期
財政の計画は、一体どのように今後つくっていこうとしておいでになるのか、この点をまず明らかにしておきたいと思うのであります。
その中で、この中を見てまいりますると非常におもしろい計算の方式をとられているようでございます。それは、租税弾性値が平均でとるんだということが言われているわけでございますが、租税弾性値で平均値をとっていくんだというお話は、その弾性値なるものがどういうふうに移り変わりをしてきたのかということを点検をしてみると、六十一年度は二・一という弾性値の数値が出ている。六十二年度は三・三三という弾性値を示しているわけですね。そういうのを平均をとって、一体どういうふうな歳入を予定ができるのだろうか。これは極めて異常な状態でございますということを前の宮澤
大蔵大臣のときには
説明をしている。そういうのはもうどこかに捨ててしまって、やはり昔の一・〇から一・二ぐらいのところの平均値だけをとって歳入の見積もりをしておいでになるのではなかろうか。とするならば、六十一年、六十二年度のような弾性値が非常に高くなった場合には、これはどういうふうに
財政計画をつくる場合に
考えておくのであろうか。この点についてまず
お尋ねをしておきたいと思います。