○吉井
委員 そこで、
行政サービスヘの影響なんですが、こうした
行革で最も懸念されることは、
国民に対する
行政サービスの低下につながるのではないか、こういうことでございます。
職業安定所といえばいわば
国民への一つのサービス機関でございまして、もし仮にこうしたサービスが低下することがあるならば、それは何のための、まただれのための
行革であるかわからなくなってくるわけでございます。
一つの例として、
昭和六十年度に山口県の美祢市の
公共職業安定所分室が隣の小野田市に統合されて既に三年を経過いたしました。この三年間、その経過
措置として、美祢市の合同庁舎の中の一室に週四回の職安相談日を設けて、非常勤の相談員が一人で月
平均約五十名を超す求職希望者の相談に当たっていたわけでございます。ところが、今年四月からは場所も市の青少年ホームの一室に移された。そして週一回の相談となって、しかも専門でないところの
職員が一人で一日約五十件以上も処理するということは、これは以前にも増して非常に不便だし、加えて
雇用促進住宅等の入居手続はおくれるし、また求人情報の作成もできなくなる、このように言われております。これが小野田市に移転された場合はもっと悲惨なことになってくるわけでして、つまり地方に行けば行くほど、いわゆる過疎になればなるほど高齢化は深刻なわけです。かつ、就職難となります。
年金だけでは
生活できないお年寄りが職を求めて美祢市から小野田市までバスを利用すると、乗りかえだけでも二、三回あって、本数も非常に少ない。また片道一時間以上もかかって、料金も往復で千五、
六百円と言われております。それに手続、相談の時間、こうしたものを
考えますと、その人にとっては一日仕事になるわけです。こうした
ケースが他の統合
地域にも大なり小なりあることは容易に推察をされるわけですが、もっと高齢化の
実態を踏まえて、かつ都市と地方との
地域性の違いにも配慮したきめ細かな対応こそが臨調の基本答申のいわゆる変化への対応という視点に合致するのではないかと思います。
一方、
監督署の
業務は、
安定所のようなサービス業だけではなくて文字どおり
監督そのものでもあります。
労働省が調査をしました
労働基準監督実施
状況の推移を見ますと、
昭和三十五年当時の
監督実施率が一二%あったものが、それ以降毎年少しずつ低下をし続けて、五十九年で六・〇%、六十二年で五・四%となっておりまして、この先大いに心配されるわけであります。また、
昭和六十年五月二十一日当
委員会の
政府答弁によりますと、
昭和五十八年における
適用事業場数は約三百四十八万九千、
監督官が約三千二百人ですが、これを
監督官一人
当たりの
監督件数に換算しますと千九十件に達して、一巡するのに二十年以上かかる
状況だという
答弁もありました。六十二年の
適用事業場数は約二十三万増加しているのに
監督官は約三十人増にすぎないということを
考えますと、これはもっともっとかかるのは当然であります。
これでは事実上
監督ができてないのに等しく、臨調の基本答申で言うところの簡素効率化の視点に反するのではないか。そのほか、
再編整理による跡地処分の問題も含めますと、このようなことで本当に
国民の理解が得られる
行革、
行政サービスと言えるのか、この点もあわせて
お尋ねをしておきたいと思います。