○金谷
最高裁判所長官代理者 まず、最高裁の方から提示いたしました相関表が
事件数と隣接庁への所要時間ということで基準をとっているという点につきまして御批判があったわけでございますが、これは必ずしも
裁判所本位の
観点からこれを選んだというわけではございませんで、むしろ、そこの支部を廃止した場合にどの程度の数の住民に御不便をおかけするか、隣接庁まで所要時間を見ましたのはその程度はどういうものか、要するにどの程度住民に御不便をかけるかというものを見る尺度として、この相関表を提示させていただいたわけでございます。それが一点でございます。
それから、自治体あるいは調停協会その他の
関係機関に対して今後どういうふうに対応していくのかという点でございますが、これは五十八の廃止を検討する支部の名前を出しました昨年十二月以来一月にわたりまして、それぞれの地方
裁判所、家庭
裁判所の所長から、当該支部の管内の各自治体、あるいは御
指摘のような各
関係機関に対して御
説明に上がりました。その時点ではまだ説得とかいうことではなしに、こういうことになってこういう問題提起をしましたという状況の
説明をさせていただきました。
その後、今日までの間に、相当多数の
関係自治体の方から、地方
裁判所、家庭
裁判所の方に陳情があったり、あるいは私
ども最高裁の方にも直接陳情がございました。そういう中でいろいろ御意見を聞かせていただき、また当該支部管内の固有の特別な事情をいろいろ御
指摘いただいて、私
どもも事前には十分
調査はしておりましたが、さらにまたそういう機会に管内の事情をよく把握させていただくという機会を得たわけでございます。
今後につきましても、また節目には地裁・家裁の所長に
関係機関の方に回っていただきまして十分意見を拝聴し、当該支部につきまして考えなければならない個別事情というものを十分把握させていただきたいと思います。
ただ、お言葉を返すようではございますが、今回のような
作業の性質上、私
どもの
作業全体についてはある程度御理解をいただきましても、自分の町の
裁判所の支部がなくなるということにつきましてそこの自治体から賛成だということを得ることは大変困難でございますので、合意を条件に支部の適正配置をやるというお約束はできませんが、自治体を含めまして
関係機関の御意見を十分拝聴し、そしてその管内の事情をよく把握させていただきまして、慎重かつ公平に
作業を進めてまいりたい、こう考えております。
それから第二点の併置簡裁の取り扱いでございます。
私
ども、昨年六月に支部の適正配置につきまして三者協議会に問題提起をいたしました時点では、その前に簡易
裁判所の適正配置に関します
法制審議会の答申がございます。それの基準に適合するところについては支部をなくしますと、おっしゃいますとおり独立簡裁になりますので、それが
法制審議会の答申の基準に当てはまる場合にはやはり検討しないと
法制審議会の答申の趣旨を尊重しないことになるのではないかといったことで、検討もあり得るということを申し上げました。そして十月には御
指摘のような発言もいたしました。そういたしましたところ、
日本弁護士連合会等から反対の御意見がございました。私
どもも慎重に検討いたしまして、今回、支部にあわせて簡易
裁判所もなくなるということになりますと一住民感情としてもそれは困るとおっしゃる点もわかる、それから簡易
裁判所について多数の統合をさせていただいてから日も余りだっていないというような点を考慮いたしまして、支部の適正配置とともに併置簡裁の適正配置をすることは断念するということにしたわけでございます。
その点につきまして、今回は断念するけれ
どもすぐまた続けて簡裁の見直しをやるのではないかという御質問ではございますが、ただいま申し上げました経過等から御推察いただきますとおり、私
どもとしては、
昭和五十九年から始まりました
裁判所の適正配置の
作業は今回の支部の配置の見直しで一区切りとさせていただきたい、こう考えております。続けて残った併置簡裁をどうするかについて、現在では頭の中に具体的なスケジュール等は全くございません。むしろ、残った簡易
裁判所を、
国民に親しまれ、より利用しやすいものにするためにどう充実していくかというところに力を注いでまいりたいと思います。
第三点の御坊、妙寺の点は、これからもよく事情を見させていただきまして慎重に検討させていただきます。