○内田(勝)
政府委員 お答え申し上げます。
米国の一九三〇年関税法第三百三十七条は、主として知的所有権に係る不公正な貿易を規律するための
規定でござ経て、これが昨年成立いたしました包括貿易法の中で、その三百三十七条が定めております一部の要件、例えば提訴要件といったものが
改正になっております。この
改正の結果、特許権、
著作権等の知的所有権につきましては、提訴要件の中から被害の要件というものが削除されております。また提訴がありました後に、
侵害された知的所有権を使った製品の暫定排除命令が発動された場合、これを九十日以内に行うということになって、ただいま
先生御
指摘のとおりでございます。これらの
改正の結果といたしまして、アメリカ民間企業からの知的所有権
侵害の提訴が増大してくるのではないかという懸念を私
ども持っている次第でございます。
私
どもといたしましては、一般的にアメリカの包括貿易法の運用には極めて
保護主義的なところも多いし、ガットの一般的な
規定に整合性を持っているかどうか疑問なしとしないということで、米国
政府に対して、その
法律の運用は慎重に行ってほしいということをかねてから申し入れてきたわけでございますけれ
ども、この三百三十七条関連につきましても同様でございます。具体的には、例えば米国側で十分な額のボンドの積み立てを義務づけるといった方法によりまして、アメリカ行
政府がこの三百三十七条の適用を適正に運用するというようなことをぜひ期待したいというように考えておる次第でございます。
なお、
先生御
指摘のECから、これはもとの旧三百三十七条でございますけれ
ども、三百三十七条が提訴の手続につきまして内外無差別に反しておるということでガット提訴を行いました。ガットのパネルでは、米国のこの提訴手続はガットに違反するところがあるという認定をいたしておりますが、現在までのところ、米国はその採択を拒否いたしておる
状況でございます。
日本も含めまして、各国とも米国に対しまして、ぜひこのガットパネルを受け入れて、速やかにガット違反の部分を是正すべきであるということを強く申し入れておるというのが現状でございます。
以上でございます。