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1989-06-21 第114回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年六月二十一日(水曜日)     午前十時二十一分開議 出席委員   委員長 相沢 英之君    理事 大石 正光君 理事 柿澤 弘治君    理事 北川 石松君 理事 中村正三郎君    理事 浜田卓二郎君 理事 深谷 隆司君    理事 河上 民雄君 理事 神崎 武法君    理事 林  保夫君       石原慎太郎君    糸山英太郎君       唐沢俊二郎君    坂本三十次君       椎名 素夫君    鈴木 恒夫君       丹羽 兵助君    岡田 利春君       高沢 寅男君    正木 良明君       渡部 一郎君    岡崎万寿秀君       中路 雅弘君    松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         外務政務次官  田中 直紀君         外務大臣官房外         務参事官    丹波  實君         外務省アジア局         長       長谷川和年君         外務省経済局次         長       内田 勝久君         外務省経済協力         局長      松浦晃一郎君         特許庁審査第一         部長      山浦 紘一君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      荒船 清彦君         文化庁文化部著         作権課長    雨宮  忠君         外務委員会調査         室長      藪  忠綱君     ————————————— 委員の異動 六月二十一日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君     鈴木 恒夫君   岡崎万寿秀君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 恒夫君     鯨岡 兵輔君   中路 雅弘君     岡崎万寿秀君 同日  理事深谷隆司君同日理事辞任につき、その補欠  として大石正光君が理事に当選した。     ————————————— 六月十九日  実演家レコード製作者及び放送機関保護に  関する国際条約締結について承認を求めるの  件(条約第七号)(参議院送付)  千九百六十七年七月十四日にストックホルムで  及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで  改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正  された標章登録のための商品及びサービスの  国際分類に関する千九百五十七年六月十五日の  ニース協定締結について承認を求めるの件  (条約第八号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  閉会中審査に関する件  実演家レコード製作者及び放送機関保護に  関する国際条約締結について承認を求めるの  件(条約第七号)(参議院送付)  千九百六十七年七月十四日にストックホルムで  及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで  改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正  された標章登録のための商品及びサービスの  国際分類に関する千九百五十七年六月十五日の  ニース協定締結について承認を求めるの件  (条約第八号)(参議院送付)  請 願   一 日本国平和宣言に関する請願粟山明君     紹介)(第二五六号)   二 同(渡部行雄紹介)(第二五七号)   三 日韓渡り鳥保護条約締結に関する請願     (園田博之紹介)(第一六一七号)   四 日本国平和宣言に関する請願天野光晴     君紹介)(第二六二〇号)      ————◇—————
  2. 相沢英之

    相沢委員長 これより会議を開きます。  この際、田中外務政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。田中外務政務次官
  3. 田中直紀

    田中(直)政府委員 このたび外務政務次官に就任いたしました田中直紀でございます。  三塚大臣を補佐いたしまして、微力ではありますが、職務を全うするため全力を傾ける所存であります。激動する国際情勢に対応して世界の平和と繁栄のため、積極的かつ効果的な外交に取り組んでいきたいと考えております。  本委員会の諸先生方の御指導、御鞭撻と御協力をお願いを申し上げまして、私の就任のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  4. 相沢英之

    相沢委員長 実演家レコード製作者及び放送機関保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴ改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章登録のための商品及びサービス国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより両件について政府より提案理由説明を聴取いたします。外務大臣三塚博君。     —————————————  実演家レコード製作者及び放送機関保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件  千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴ改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章登録のための商品及びサービス国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま議題となりました実演家レコード製作者及び放送機関保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  この条約は、昭和三十六年十月二十六日、ローマにおいて作成されたものであります。  この条約は、著作物公衆に伝達する役割を果たす実演家レコード製作者及び放送機関国際的に保護することを目的としておりまして、他の締約国における実演家等に対し、内国民待遇を付与することなどについて規定をいたしております。  我が国がこの条約締結することは、実演家レコード製作者及び放送機関保護に関する国際 協力を促進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴ改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章登録のための商品及びサービス国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定は、昭和三十二年六月十五日にニースで作成された商標が使用される商品及びサービス国際分類に関するニース協定昭和四十二年及び昭和五十二年に改正されたものであります。  この協定は、商標またはサービス・マークの登録制度を有している場合に、これらの登録のための国際的に統一された商品及びサービス分類採用について規定しております。  我が国がこの協定締結することは、国際的に商標登録出願する際の便宜を図り、工業所有権分野における国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上、二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願い申し上げます。
  6. 相沢英之

    相沢委員長 これにて提案理由説明は終わりました。
  7. 相沢英之

    相沢委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
  8. 河上民雄

    河上委員 今外務大臣から御説明がありました二件につきまして、御質問をいたしたいと思います。  それぞれ重要でございますけれども、特に著作権法の方は、先般、ことしになって亡くなられました芥川也寸志さんが最後まで大変尽力され、気にかけておられた案件でございます。私ここに芥川さんと團伊玖磨さんの対談の記事を持っておりますけれども芥川さんが残された情熱といいますか、思いをやはり生かすべきではないか、このように思っている次第でございます。  そこで、まず最初にお伺いいたしたいと思いますけれども、今御説明を伺いますと、片や一九五七年、片や一九六一年にそれぞれできている協定あるいは条約でございますが、今日まで三十年前後提出がおくれた理由はどこにあるのか、お伺いいたしたい。
  9. 荒船清彦

    荒船説明員 この実演家等保護条約の成立がありました後、昭和四十五年に現行著作権法が制定されたわけでございますが、その際には、この条約を参考として実演家等保護いたします制度を導入しておりまして、保護対象国内において行われます実演家等に限定しております。この条約締結する場合に、保護対象を他の締約国におきます実演家等にまで拡大する必要があるのですが、この条約によりまして新たに採用されました制度、特に商業用レコード放送等に使用した場合におきます二次使用料の支払いという問題が国内的にまた国際的にもどのように運用され、定着していくかということにつきまして、その状況の推移を見きわめておりました。また、この条約締結につきまして、その間関係団体等からも意見聴取等を重ねてきたところでございます。その後、条約締結のための関係団体間の条件整備等も順調に進行していると判断されましたことから、政府といたしましても、今国会に同条約締結につきまして御承認を求めることにしたものでございます。  なお、我が国がこの条約締結いたしますごとは、我が国実演家等権利者国際的な保護を増進するのみならず、国の内外を問わず、広く実演家等保護を促進するという見地からも重要な意義を有するものと考えております。  また、ニース協定の関連でございますが、ニース協定への加入がおくれた理由ということにつきましては、当初この協定のもとで作成されておりました国際分類、これ自体がもともとは一九三〇年代にヨーロッパで作成されたものをベースとしておりまして、その点で必ずしも現代我が国取引実態を反映した国際的に普遍性の高い分類とは言い得ない面もございました。また、この協定作成後、しばらくの間は、我が国から外国へあるいは外国から我が国への商標登録出願件数は比較的少なかったこともございまして、国際分類採用への要望は余り強くございませんでした。以上の状況にかんがみまして、協定への加入に慎重な態度をとってまいったわけでございます。  近年、我が国から外国へあるいは外国から我が国への商標登録出願が増加しておりまして、これに伴いまして、国際分類採用を求める声が強まってきておりました。国際分類がその後累次の改正を通じまして、国際的に適用される分類として六回ぐらい改正されたわけでございますが、国際的に許容されます分類としての普遍性利便性というものが高まっていたこともございまして、我が国におきましても、現行日本分類から国際分類への移行を検討しまして、膨大な品目につきまして、いろいろ具体的な個別商品ごとに、現行日本分類上の位置づけ国際分類上の位置づけとを照合いたし、あるいは整理する等行いまして、国際分類への移行のために必要となります準備作業を行ってまいりました。加入のめどが立ちましたために、今般承認方をお願いするものでございます。
  10. 河上民雄

    河上委員 今提出がおくれた理由についての御説明がございまして、標章国際分類協定につきましては、日本分類等になじまない点もあったというようなことでございましたけれども実演家等保護条約につきましては、余り説得力のある御説明とは受け取れなかったのでありますが、一体著作権というのをどういうふうに考えておられますか。先ほど引用いたしました芥川さんの対談の中でも、「遠い将来のことを考えると、著作権というものは一体どうなるのかだれも予測がつかないんじゃないですかね。」こう言っております。そういう大きな変化の中で、政府一体この著作権というものをどういうふうに考えておられるのか。例えば今貸しレコードという新商売ができまして、一時ヨーロッパでもさっと流行しましたけれども、直ちにこれは著作物に対する侵害だということで、裁判所もそういう判断をして、現在ヨーロッパでは貸しレコード屋さんというのはほとんどない。ところが日本は今もうどんどんふえている、こういうような状況が現にあるわけですね。著作権というのをどういうふうに考えておられますか。
  11. 雨宮忠

    雨宮説明員 著作権というものをどう考えるかという大変基本的なお尋ねでございます。  先生御案内のように、著作権制度は、文芸にしろ美術にしろいろいろな著作物があるわけでございますけれども、その著作物を制作じた者の労苦、これに対してそれなりの利益を還元するという経済的な権利もございますし、また著作者の場合には人格的な権利も付与されておるわけでございます。また本日御検討を煩わしておりますこの条約で扱っておりますような実演家等権利保護するということもあわせてカバーしておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり著作権制度というものを充実させていくあるいは整備していくあるいは国際的な観点から申しますと、国際的な保護を充実していくということによりまして、文化を形づくっていく方々の基本的なエネルギーと申しますか、そういうものを培うもの、それから国際的な保護ということについて申しますと、国際的な文化交流をそれによって促進するようなもの、こういうようなものとして非常に重要なことだと考えておるわけでございまして、従来から著作権制度自体整備、それから国際的な保護の充実ということに努めてきたつもりでございます。
  12. 河上民雄

    河上委員 それではお伺いいたしたいのでありますが、著作権というのには、今お話のありました一種の財産権人格権がある、こういうふうに 理解してよろしいのかどうか。  それからまた、人格権の中には、これは芥川さんの言葉によりますると、公表権、発表する権利でしょうかね。公表権氏名表示権同一性保持権という三つがある、こういうふうに言っておりますが、こういう解釈でよろしいのでしょうか。
  13. 雨宮忠

    雨宮説明員 現在の著作権法の第二款におきまして、「著作者人格権」というものを定めておるわけでございます。  その内容といたしましては、今先生指摘のように、公表権、これは著作者といたしまして、みずからの著作物公衆の目にさらすかどうか。「公衆に提供し、又は提示する権利を有する。」ということでございますので、みずからの著作物を人目にさらすことを欲するか欲しないかということについてイエス、ノーを言う権利というものが確保されておるわけでございます。  それから、氏名表示権というのがございます。どういう名前で自己の著作物を発表するか。場合によっては名前を出さないということも含むわけでございますけれども、それらの氏名表示権というのもございます。  それから三点目に、みずからの著作物ができるだけそのままの形で利用される、人の目に触れるということを主張し得る権利ということで、同一性保持権という権利がございます。  これら公表権氏名表示権、それから同一性保持権、この三種類が著作者人格権著作者のやや精神的な名誉にかかわる分野権利として現行法上認められておるわけでございます。
  14. 河上民雄

    河上委員 そういたしますと、振り仮名なんか現代風に直すとか、そういう問題がよく歌詞なんかでございますが、そういう問題をどう考えられるか。  特に日本の代表的な童謡であります「赤とんぼ」ですが、これは三木露風、私どもの兵庫県の出身者でありますが、三木露風作詞で山田耕搾の作曲ですけれども三木露風の詞では「十五で姐やは嫁に行き」というのがありまして、これは十五歳で結婚するのは法律違反だということで、日本教科書ではこれを一切採用しておりません。こは同一性保持権というものに反しているのかどうか、伺いたいと思う。
  15. 雨宮忠

    雨宮説明員 具体のお尋ねでございますけれども教科書にどういう歌を採用するかどうか、これは教科書の問題でございます。  ただ、それ以外に、今先生指摘のように、でき上がった作品を改編するというようなことになってまいりますと、先ほど御説明申し上げました同一性保持権の問題ということにかかわってまいりますので、例えば「赤とんぼ」の歌詞につきまして、作詞家の意に反するような改編を行う、それを承諾なしにやるということになってまいりますと、同一性保持権の問題を生じてくるのではなかろうか、こういうように考えております。
  16. 河上民雄

    河上委員 今度の条約で問題になっておりますが、著作隣接権というのはどういうものでございますか。
  17. 雨宮忠

    雨宮説明員 著作権制度の中に、広く著作者権利を守るもの、そういう仕組み一つございます。これは、小説家小説を書く、絵かきが絵をかく、これらは皆著作者でございまして、著作権制度の基が、この著作者権利保護するというのが基礎になっておるわけでございます。  ところが、もう一グループの方々がございまして、これらの著作者がこしらえた著作物というものを社会に伝達するという機能に着目いたしまして、その伝達の機能を果たしている方々保護するという制度があるわけでございます。音楽に例えて申しますと、先ほど「赤とんぼ」の話がございましたけれども作曲をした方、それから作詞をした方、これらは著作者になるわけでございます。これらの歌を歌うという立場の方、歌手でございますし、またこれらの曲を演奏する演奏家方々もまたおられるわけでございます。またこれらの歌をレコードに吹き込んで大勢の人が楽しむようにする、そういうことのためにレコード製作者という方々がおるわけでございます。今、例示を申しましたけれども、このように、ある著作物公衆に伝達するという役目の方々著作者に準ずる保護を与えるという形で保護しようかというのが著作隣接権ということでございまして、難しい言葉遣いでございますけれども著作権に隣接する権利だというものとして概念されているわけでございます。
  18. 河上民雄

    河上委員 そういたしますと、いわゆるレンタルレコードとかいうものは著作隣接権侵害している、実演家権利侵害しているというふうに解釈して、ヨーロッパの場合は、それを事実上禁止しているのではないかと思うのですが、我が国では実除にはレンタルの店というのはどんどんふえているのですけれども、その辺は法律的にどういうふうに解釈されておるのでしょうか。
  19. 雨宮忠

    雨宮説明員 貸しレコードという業態は近年のことでございまして、近年と申しましても、昭和五十五年に東京の三鷹において初めてその姿をあらわしたわけでございます。貸しレコード店が現在は六千店近くになっておるわけでございますけれども貸しレコード店があらわれましたときに、先生指摘のように、レコード製作者あるいはそのレコードに歌を吹き込んだりあるいは演奏しているという実演家でございますけれども、そういう団体、それにプラスいたしまして、例えば曲でございますけれども、そういうものをこしらえた著作者団体、これらのところから権利侵害されるのではないかという声が強く上がったわけでございます。これにつきましては、種々の経緯がございまして、昭和五十八年には議員立法として暫定措置法もございましたけれども、現在の姿は、昭和五十九年に著作権法改正がございまして、貸与権というものを著作者実演家並びにレコード製作者に対して認めるということで制度的な解決を見ておるわけでございます。
  20. 河上民雄

    河上委員 それでは、我が国でいわゆる海賊版が横行しているわけでございますけれども、これらの海賊版ビデオの取り締まりをやっているのではないかと思いますが、海賊版を排除するための策、それから現在というより昨年の被害額というのはどの程度か、そしてまた業界全体の売上額の中でどのぐらいの割合を占めているか、現在わかっているところで御報告いだだきたいと思います。     〔委員長退席柿澤委員長代理着席
  21. 雨宮忠

    雨宮説明員 ビデオの問題でございますけれども、これは著作権制度上は映画著作物ということでございます。したがいまして、映画著作物を製作した者につきましては、著作者権利として頒布権というものが著作権制度上付与されておるわけでございます。  頒布権と申しますのは、売買または貸与ということについて権利者側が物を言う、主張できる権利である、こういうことでございますけれども、従来著作権法におきましては、もちろんのことながら、著作権者の許諾を得ずしてこしらえた複製した版、これをいわゆる海賊版と称しておりますけれども、この海賊版を製作した者に対しては、当然著作権法違反ということで罰則が科されておるわけでございますが、もう一つ、これらの複製品海賊版海賊版と知りながら譲渡したりあるいは貸与したりということになってまいりますと、それにつきましては、著作権侵害とみなすという規定を置きまして、これもまた罰則をかけて、結果といたしまして、全体といたしまして海賊版を防止するような仕組みをしつらえておったわけでございます。ただ、このところのビデオデッキの普及等とも重なりまして、ビデオレンタル店というのが非常に多くなってきておるわけでございまして、この中には海賊版を扱う店もかなり出てきたというのが近年の傾向でございます。  そこで、一体、先ほど申しましたような罰則規定等で十分それらの現象に対処し得るかという問題がございまして、これにつきましては、昨年の著作権法改正によりまして、必ずしもビデオレンタル店でその海賊版を売ったりあるいは貸したりという事実をつかまえなくても、海賊版と知りながら店頭に置くということ、これを著作権法 の表現では「所持」と言っておりますけれども、置くということだけでも罰則対象にし得るようにするという改正を昨年の秋行ったところでございます。  先生お尋ねの、どのぐらいの被害額があるいは被害件数がというのは、現在つぶさに資料を持っておりませんけれども、ごく大ざっぱに申しますと、その所持罪新設またはその所持罪新設だけではなくて、これにつきましては、海賊版排除ということで権利者側の運動というものも多大の影響があったわけでございますけれども、全体といたしましては、海賊版は約半分に減っているというのが関係団体の事実の把握状況かというように考えておるわけでございます。
  22. 河上民雄

    河上委員 芥川さんも言っておられますが、遠い将来を考えると、著作権というのはどうなるか予測もつかないということでございます。特に芥川さんのこの中にありましたのは、要するに、実演家保護、それが日本文化を根づかせ高めるものである、そういうお考えだったと思うのです。そのためには、先ほど事例に出しましたけれども、「赤とんぼ」の歌詞を変えないまでも、都合の悪いところは削るというような、そういうあり方も大変問題だと思うのであります。  もう一つ、実際の実演家の間で言われておりますことは、外来の公演が日本の音楽家の活動を圧迫している、こういうことがございます。これは法律でどうこうということではありませんけれども、これについて文化庁の御見解を承りまして、この件についての質問を終わりたいと思います。
  23. 雨宮忠

    雨宮説明員 直接の担当ではございませんものですから、明確なお答えはできないかと思うわけでございますけれども先生指摘のように、外国人実演家我が国に来日しまして各種の実演を展開する、このこと自体は、私ども立場として、文化国際交流という観点からいたしまして結構なことかと思うわけでございますけれども、もう一方で、やはり我が国内の実演家自体を育てていかなければならないという観点も当然あるわけでございまして、先生指摘の点はそのことにかかわっておるわけでございます。  文化庁といたしまして、外国人実演家の来日は、それはともかくといたしまして、我が国の芸術家の育成ということにつきましては、補助金制度でありますとか各種の施策を通じまして努めておるところでございます。今後とも努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  24. 河上民雄

    河上委員 それでは次に、標章国際分類協定について二、三お尋ねしたいと思います。  これに加入するメリットは一体どこにあるのか。いろいろ調べてみますと、日本人が外国へ出願する率というのは七・三%ということでございます。そうなりますと、外国に出願しない九割ぐらいの人への配慮というものは十分なされているのか。また外国に出願することを通じて日本人が国際的に貢献する道を開くというのが一つ理由になっているようでありますけれども、その点はどういうような展望を持っているのか。まず最初にそれを伺いたい。
  25. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 本協定加入する際の我が国としてのメリットでございますが、先生指摘のとおり、我が国から外国登録する出願数は近年非常に増しておりまして、七〇年のときには七千五百九十五件でございましたが、一九八六年には約一万五千件というふうに累増しておるわけでございます。したがいまして、日本分類国際分類になりますと、登録した番号も国際分類になりますので、日本人の出願人は、国際分類により他国へ出願する場合には、既存のそれぞれの国における商標の調査、そして出願の区分というものが極めて簡単に判明するということで、そのための調査なりあるいは時間というものが節約されるわけでございます。  逆に言いまして、外国人が日本に出願する場合も、やはり同じようなメリットがございまして、昨今のように経済が非常に国際化した場合には、このように国際的な分類の基盤というものを同一にするということが一般的になってきておるわけでございます。  現在のところ、このような国際分類採用していない国は、先進国におきましてはカナダと日本だけでございまして、各国からも日本がこのような国際分類採用するようにという要請が強いわけでございます。このような分類採用すると同時に、協定への加盟によりまして、国際分類の改定あるいは修正の作業に日本が積極的に参加できるという役割が果たせるわけでございます。日本商標の出願数は世界全体の約二割を超す状況になっておりますので、日本だけが日本独自の分類採用するということは、現在の国際的な知的所有権の保護の高まりの中では、やはり許されないというふうに判断したわけでございます。  ただ、先生も御指摘の、国内におきます、国内分類国内商標を使っておるという約九割方の皆さん方への対応をどうするかという御指摘でございましたが、現在私どもが考えておりますのは、加入いたしますと、この協定上、国際義務といたしましては、この国際分類を副次的体系として採用するか、あるいは主たる体系として採用するか、いずれの方法も加盟国が主体的に決められるようになっております。したがいまして、当初は副次的体系を採用いたしまして、現在の日本分類を主たる分類として採用するということによりまして、国内の出願人の方々に対して国際分類になれていただく、あるいは余計な手間をとらせないというような対応をしていきたいと当面は考えております。
  26. 河上民雄

    河上委員 今のお話を承っておりまして一つ気になりますことは、我が国は世界の中で特許、実用新案の四割を占めておって特許大国と言われているわけでございますが、今のお話を伺いますと、さらにまた職員の仕事がふえてくるということは、もう火を見るより明らかでございます。そういう必然的な需要にこたえて、審査官の増員とか、そういう準備は十分なされておるのかどうか。またこのことによって特許庁の職員の労働強化ということが当然心配されるわけです。最近は過労死なんということが大変話題になっておりますけれども、そういうようなことが起きはせぬか、そういうことに対する配慮というものは十分なされているのかどうか大変心配でございます。今度この協定に参加することによりまして、審査官というのはどのくらいふやしたらよいと考えておられるのか、その点を伺いたい。     〔柿澤委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 ニース協定加入によりまして、先ほど申し上げましたが、とりあえずは副次的体系として使用するわけでございますが、その際、国内分類国際分類を括弧書きで併記するということを考えております。その作業が現実にあるわけでございますが、本年あらかじめこの作業を加入に先立ちまして実施しておりますので、その点はさほど作業の負担というものはないであろうと考えております。  ただ、国際分類に全体的に移行した場合には、現在の日本分類を廃止いたしまして、新しい品目例示によります国際分類になるわけでございますが、その際、特に問題になりますのは、既に登録されておる商標につきまして、審査官が新しい出願のものに対して調査、検索をするという点が負担になる可能性があるわけでございます。この点につきましては、国際分類に表示されております約八千八百ほどの具体的な商品、そして現在日本分類では四千五百ほどの商品が例示されておりますが、これらの商品の対応関係を示します対応表というものを作成し、さらに公表いたしますと同時に、これらの対応関係を踏まえまして、現在の審査資料を再整理する、あるいは実際の審査の場合の検索につきましては、機械検索が行えますように、すべてのシステム変換プログラムを作成して対処しようと考えております。このような、いわゆる先行商標と言いますが、これの調査につきましては、このような機械の対応によりまして、実際の煩雑性を伴います審査の負担につきましては、人的な面での負担は避けられるのではないか、こういうふうに考えております。
  28. 河上民雄

    河上委員 今はそういうような御答弁でございますけれども、既に昭和六十二年五月に参議院及び衆議院でそれぞれ商工委員会では附帯決議がなされておりまして、その中で、例えば参議院では審査官それから審判官等の必要な人員の確保を政府に求めております。また衆議院では審査・審判機能の充実、強化に努めるべきであるという附帯決議がなされておるのであります。こういう国会の決議に対して、何とか間に合うというような御答弁は甚だいかがなものかと思うのでありますが、特に、いよいよ協定に参加する以上、人員等については十分その点を考えて配慮するというような御答弁があってしかるべきだと思います。いかがでありますか。
  29. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 先生指摘の点は、特許庁の審査全体、特に出願増に対応いたします審査の遅延等に対処するために審査官の体制なり増員をすべきではないかという御指摘でございますし、国会の附帯決議ではなかろうかと思います。  この点につきましては、御指摘のとおり、審査官は五十五年度の千九十人をピークにいたしまして、現在、六十三年まで千二十九人と減少してきたわけでございますが、審査の複雑化あるいはバックデータの増大等ございまして、平成元年度におきましては、一般的な行政改革なり定員削減の中で審査官の増員が認められたところでございます。ニース協定の加盟そのものによります審査の複雑化に対しましては、機械化等によりまして対処したいと考えておりますが、出願件数の増大あるいは出願データの累増等全体的な問題に対しましては、今後とも増員等に引き続き最大限の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  30. 河上民雄

    河上委員 今後またサービスマークの登録制度の導入もあるやに聞いておりますけれども、今回のこの協定と関連しているのかどうかよくわかりませんが、いずれにせよ業務はさらにふえていくことは確実だと思います。今の御答弁の趣旨を踏まえて、さらに積極的に御努力いただきたいと思いますが、商標とかサービスマークというのはどういうふうに定義を考えておられますか。
  31. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 商標につきましては、その企業者が自己の商品につきましてマークを付し使用する場合に、これを商標と申します。サービスマークにつきましては、その企業者が自己のサービスに関しまして自己の業務を標示するために使う場合に、これをサービスマークと称しております。
  32. 河上民雄

    河上委員 私どもが理解しておりますのは、サービスマークというのは、クロネコヤマトの黒猫のマークがサービスマークであって、ヤマトの商標ではないわけですね、あれは。将来サービスマークの登録をするということですけれども、いつごろから始めるつもりですか。
  33. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 サービスマークの登録制度は、現在我が国では制度として確立していないわけでございますが、今後、社会的なニーズに対応いたしまして導入するといたしますと、法律的な対策、それから実務面での基準の作成、また同時に、それに対応いたします審査体制あるいはコンピューター等を駆使いたしました調査、検索等各方面の課題があるわけでございます。あわせまして、サービスマークを導入する際には、企業主、企業者あるいは工業、産業間の皆さん方の御理解も必要である、このための周知等が必要であるわけですが、これらの課題を解決した上でサービスマークの登録制度というものが円滑に導入され得るわけでございます。これらの課題を考えますと、やはり三年なり四年の先を見通して所要の措置を講じていかなければならないのではないかと考えております。
  34. 河上民雄

    河上委員 サービスマーク、クロネコヤマトの例を今挙げたのですが、例えば日航の場合でしたらツルのマーク、もしどこかの宅配会社がツルのマークを採用した場合は、これはやはり日航の権利侵害したということで裁判になる可能性はありますか。
  35. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 具体的なケースについてはなかなかお答えしにくい点がございますが、仮にツルのマークのようなものでございますと、現在著名なマークでございますので、著名なサービスマークにつきましては、不正競争防止法によりまして、そのマークの保持者が第三者に対しまして差しとめ請求権等の侵害に対する保護を求めて対応できる、こういうふうに考えております。
  36. 河上民雄

    河上委員 これは非常に具体的な例ですので、お答えは抽象的でもいいのですが、最近朝日新聞が月刊Asahiという月刊誌を出しました。そのときにAsahiというのをローマ字で表示いたしております。これがアサヒビールのAsahiと大変イメージが似ているのですね。比べてみますと確かに違うのです。私はちょっとこれを持ってきまして、皆さん、大臣もごらんになっていただくとわかるのですが、比べますとこれは明らかに違うのです。朝日新聞のAsahiはローマ字の下に一本線を引いてありますが、スーパードライのAsahiの方はそれがないのです。しかし別々に見ますと、おやっと思うのですね。こういうサービスマークというのはイメージが命ですので、こういう場合に一般論として、イメージが似ている場合、これは裁判になる可能性があるのか。いかがでしょう。
  37. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 具体的な御提示の案件で申し上げますと、雑誌とビールというものはいずれも商品でございますので、商標法の対象になるかどうかという形でありますが、特に雑誌とビールですと、生産部門あるいは販売部門、需要者等では非常に類似していない商品として把握しておるわけでございます。その際に、両方が著名でない場合には、いずれも商標法上は問題にならないわけでございますが、例えばビールの方が非常に著名であるというところに焦点を絞りますと、取り扱いが若干異なってまいります。その場合に第三者がビールと全く同じ商標を出願した場合には、これはビールの方が著名であるという観点から出願が拒絶される、あるいは不正競争防止法等の法律侵害にもなるという可能性があるわけでございます。ただ、若干それが似ているけれども同一でないという場合には、アサヒという名前がいわゆる朝上がってくる太陽という一般的な名前で昔からいろいろな商品に使われておりますので、これについての法律的な争いというものは、実際は司法において判断されるわけでございますが、可能性は少ないのではないかと考えております。ただ、サービスマークの非常に著名なものにつきましては、現在商標について登録のされないような措置をしております。
  38. 河上民雄

    河上委員 時間がないので余り深く追いませんけれども、今の御答弁は、将来どこかで裁判が起きた場合に原告ないし被告の方で引用される確定解釈になる必要があるので、よく検討しておいた方がいいと思うのです。例えばザ・ソニーなんという雑誌ができますと、ソニーが音による知識の伝達、文化の伝達であるだけに、今の解釈のようなわけにはいかないと私は思います。ひとつそれを今後十分考えておいていただきたいと思います。それは答弁要りません。  実は、もう余り時間がないので、きょうは外務大臣にお答えをいただく場面がなくて大変お気の毒なんですけれども、この国会いよいよ終了間近ですが、この三年間を振り返ってみますと、本当に三百議席のもとで、我々の委員会を含めてですが、国会は何か最後になって法案を慌ただしく上げる機関になってしまったような気がいたしまして、与野党全体というか私どもも含めて割り切れない気持ちでおるわけでございます。特に、この外務委員会で急いで通過させたにもかかわらず、批准手続がなされずにたなざらしに終わっている案件も幾つかあるわけです。私どもが承知いたしておるものでも、OECD金融支援基金設立協定などはその一つでございます。あるいは一次産品共通基金設立協定、これも委員会、国会は通過したが批准手続は済んでいない。一体こういうのをどう考えられるか。またほかにそういうものが幾つかあるならば、ここでちょっと御報告いだだきたいと思うのです。外務大臣、こういうようなことは一体どう考えたらよいか。まず外務大臣からちょっとお答えいただいて、私の質問を終わりた いと思います。
  39. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  条約を二国間の条約と多数国間の条約に分けて考えるべきものと考えますけれども、二国間の条約につきましては、国会の御承認を得ながら長い間発効を見なかった条約というのは、現在は存在しておりません。しかし、先般までは日ソの渡り鳥条約があったことは、先生御承知のとおりで、これは渡り鳥条約の付表の問題につきまして、日ソ間で協議が調わなかったために延び延びになっていたということでございます。多数国間の条約につきましては、条約によって違いますけれども、発効のためにいろいろな条件がございます。例えば十カ国が批准したときに発効するとか、その種の条件がついているときに、日本が国会の御承認をいただいて、批准書あるいは加入書を寄託いたしましても、そのように規定されておる条件が整わないために未発効で存在しておるということでございまして、国会及び政府としてはそれなりの努力をしたわけですが、しかし、ほかの外国との関係で条件が整っていないということで未発効の多数国間条約が存在しておるわけでございます。  先生が御指摘になりましたOECD関係協定ですとか、その他大西洋まぐろ保存条約の議定書とか原子力機関憲章第六条の改正とか、そのほか幾つかございますけれども、私たちとしては遺憾な状態だと思いますので、関係国に働きかけて、今後ともこういう協定をできるだけ早く発効させる方向で努力してまいりたいと考えますので、御了承いただきたいと考えます。
  40. 河上民雄

    河上委員 それでは、後で文書でその理由等をつけて御報告いただくことにして、私の質問を終わりたいと思います。
  41. 相沢英之

    相沢委員長 神崎武法君。
  42. 神崎武法

    ○神崎委員 初めに、標章国際分類協定、いわゆるニース協定からお尋ねをいたします。  今回のこの協定でございますけれども我が国にはサービスマークの登録制度がなく、不正競争防止法で対処しているわけでございます。このサービスマークの国際分類採用する協定上の義務はないわけでございますけれども我が国としても、この際早期にこのサービスマークの権利保護する新しい登録制度をつくるべきだと考えますけれども、その見通しを含めて、その点についてまずお尋ねをいたします。
  43. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 先生指摘のとおり、サービスマークにつきましては、本協定加入した際にも国際的な義務にはならないわけでございますが、ただサービスマークの登録制度を世界的に見てみますと、先進国で導入しておりませんのは日本とスイスだけでございます。スイスも現在導入に向けて作業中というふうに聞いております。  また、サービスマークにつきましては、アメリカ等からも登録制度日本にないという点を指摘されておりますので、我が国の方もこのサービスマークの導入に向けて準備をしなければいけないのではないかというふうに考えております。
  44. 神崎武法

    ○神崎委員 今の御答弁でもありましたけれどもサービスマークの登録制度のある国は約八十五カ国、先進国で制度がないのは日本とスイスの二カ国で、スイスについては現在国内で導入すべく準備を進めているということでございますが、知的所有権の国際化を進める上でも、この協定への加入は必要であると考えますけれども、今ごろこの協定加入するのは遅きに失するのではないか、そういう気がいたすわけでございますが、その点についてはどうでしょうか。
  45. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 ニース協定につきましては、そもそもの発足がヨーロッパから始まりましたこともありまして、国際分類が必ずしも我が国の実態にそぐわなかったわけでございますが、その後幾次かの改定を行いまして、国際的に受け入れられる分類になってきておりまして、この分類を実際に利用している国は百カ国以上に及ぶわけでございます。  一方、我が国のサイドにおきましても、外国からの出願人の方あるいは日本から外国に出願する出願人の数も非常にふえてきておりますので、日本分類国際的な分類に合わせていくという必要がありますと同時に、現在日本商標の出願数が世界の中で二割を占めているという状況を見ますと、国際分類の改定作業に積極的に参加をいたしまして、我が国も世界的な知的所有権の保護に尽力するということが非常に求めているわけでございます。このような観点から、時期的には遅くなりましたけれども、御承認を得られれば加入をするということで、諸般の準備を進めておるわけでございます。
  46. 神崎武法

    ○神崎委員 関連する他の条約との関係についてお尋ねをしたいわけでございます。  国際的な商標登録制度の確立によりまして、商標国際的な保護が必要であると考えますけれども商標あるいは標章登録に関する条約には、このほかにも標章国際登録に関するマドリッド協定あるいは商標登録条約などがあるわけでございますけれども我が国はこれらの条約加入をされるのか、あるいは加入をしないとするならば、その理由はどういうところにあるのか、そういう点についてお尋ねをいたします。
  47. 荒船清彦

    荒船説明員 標章国際登録に関しますマドリッド協定、それから商標登録条約、御指摘の二つの条約でございますが、これは標章国際登録制度を設けることによりまして、多数の国におきます権利取得を容易にすることを目的とするものでございます。  まず、マドリッド協定は一八九一年に作成されたものでございまして、ヨーロッパ諸国を中心に、本年一月一日現在でございますが、二十七カ国が締約国となっておりますけれども我が国から外国への商標登録出願先として上位を占めておりますアメリカ、英国、カナダは締結しておりませんで、我が国協定締結する実体上のメリットは少ないと見ております。  また、この協定は、出願人が自国で既に標章登録を受けている場合にのみ国際登録を出願することができるという点、また各締約国国際登録の効果を拒絶したい場合には、国際登録の日から一年以内にその旨通告しなければならないこと等の点で我が国現行制度となじまない面が多いということで、これまで加入しておりません。  また、商標登録条約でございますが、マドリッド協定の問題点の改善を目的としまして一九七三年に作成されたものでございますが、国際登録の効果を拒絶するためには、各締約国国際公告、国際登録の予告でございますが、その日から十五カ月以内に通告しなければならないという点等、いまだ我が国にとりまして問題となる点がありますこと、また西側主要国が一カ国も締結しておりませんで、締結によりますメリットが少ないこと等もございまして、我が国加入していないということでございます。  なお、現在マドリッド協定につきまして改正議定書の作成が検討されておりまして、またこの協定商標登録条約の問題点を踏まえまして、商標国際登録に関する新条約商標協力条約の検討が行われております。我が国もこれらの議論に参加しておりますが、その推移を見守りながら、これから諸条約に関する今後の対応につきまして検討していく所存でございます。
  48. 神崎武法

    ○神崎委員 現在、世界知的所有権機関、WIPOで、商標国際的な登録制度といたしまして、商標協力条約の創設が進められているというふうに聞いておりますけれども、現状はどうなっているのか、また我が国としてこの作業に参加されるのかどうか。
  49. 荒船清彦

    荒船説明員 御指摘の点でございますけれども標章国際登録に関しますマドリッド協定等に基づく標章国際登録制度の問題点の改善、これを目的といたします新条約の検討の機運、これは非常に高まりを見せておりまして、この背景で、一九八四年にWIPOにおきまして新条約検討のための専門家委員会の開催が決定されまして、一九八五年以来現在までに三回の専門家委員会が開催されておりますが、第三回の専門家委員会で提示されました条約案がいわゆる商標協力条約と称されるもので、先生の御指摘条約でございまし て、その内容は、既存の条約のように、標章国際的な登録効果につきまして規定するものではなく、出願手続の一本化、名義変更手続の一本化等を骨子とした、いわば手続の統一化を目的にしております。我が国はこの三回の専門家会合のいずれにも参加しております。それで現在この検討中でございます。
  50. 神崎武法

    ○神崎委員 米国務省の議会への報告書でございますカントリーレポートによりますと、サービスマークについて、日本では一般的に知られているマークは不正競争防止法で守られているけれども、新たなマークは保護されていない、こういう批判の記載があるわけでございます。米国の方から具体的にこの点についての指摘があったのかどうか、また我が国としてどう対応しているのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  51. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の米国務省カントリーレポートによりますと、「日本ではサービス・マークは商標法では保護されず、不正競争防止法の保護があるのみなので、一般に知られているサービス・マークはともかく、新たなサービス・マークは保護されない。日本の特許庁はサービス・マーク制度につき検討を開始している。」という指摘がございます。このような指摘は、例えば先般三月末に行われました日米間の知的所有権作業部会におきましても、米側から指摘を受けている次第でございます。これに対する対応につきましては一既にこの場で御審議の中で出てきておりますけれどもサービスマークの登録制度が設けられていないことに対して、そのような登録制度の導入の要請が強いという現状のもとで、諸条件が整備され次第、そのサービスマークの登録制を導入することを検討中であると象うに私も承知している次第でございます。
  52. 神崎武法

    ○神崎委員 一九八八年の米国の包括貿易法によりまして関税法三百三十七条が強化されたわけでございます。これによりまして、アメリカの特許権を侵害しました製品の輸入を一方的に排除を規定し、かつ被害要件の削除及び仮処分までの調査期間の短縮等が行われたわけでございます。外国企業としては九十日という極めて短期間のうちに防戦をせざるを得ない事態になるわけでございます。ECはこの米国の関税法三百三十七条について、ガットに違反するとして提訴して、ガットの紛争処理委員会ではガットに違反する旨の裁定もなされているわけでございますが、この法律日本に対して一方的に適用されるおそれはあるのかないのか。また適用された場合、政府としてはどのように対処なさるのか、お尋ねをいたします。
  53. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 お答え申し上げます。  米国の一九三〇年関税法第三百三十七条は、主として知的所有権に係る不公正な貿易を規律するための規定でござ経て、これが昨年成立いたしました包括貿易法の中で、その三百三十七条が定めております一部の要件、例えば提訴要件といったものが改正になっております。この改正の結果、特許権、著作権等の知的所有権につきましては、提訴要件の中から被害の要件というものが削除されております。また提訴がありました後に、侵害された知的所有権を使った製品の暫定排除命令が発動された場合、これを九十日以内に行うということになって、ただいま先生指摘のとおりでございます。これらの改正の結果といたしまして、アメリカ民間企業からの知的所有権侵害の提訴が増大してくるのではないかという懸念を私ども持っている次第でございます。  私どもといたしましては、一般的にアメリカの包括貿易法の運用には極めて保護主義的なところも多いし、ガットの一般的な規定に整合性を持っているかどうか疑問なしとしないということで、米国政府に対して、その法律の運用は慎重に行ってほしいということをかねてから申し入れてきたわけでございますけれども、この三百三十七条関連につきましても同様でございます。具体的には、例えば米国側で十分な額のボンドの積み立てを義務づけるといった方法によりまして、アメリカ行政府がこの三百三十七条の適用を適正に運用するというようなことをぜひ期待したいというように考えておる次第でございます。  なお、先生指摘のECから、これはもとの旧三百三十七条でございますけれども、三百三十七条が提訴の手続につきまして内外無差別に反しておるということでガット提訴を行いました。ガットのパネルでは、米国のこの提訴手続はガットに違反するところがあるという認定をいたしておりますが、現在までのところ、米国はその採択を拒否いたしておる状況でございます。日本も含めまして、各国とも米国に対しまして、ぜひこのガットパネルを受け入れて、速やかにガット違反の部分を是正すべきであるということを強く申し入れておるというのが現状でございます。  以上でございます。
  54. 神崎武法

    ○神崎委員 大臣にまとめの意味でお尋ねしたいわけでございますが、最近アメリカはこの知的所有権の保護強化を図っておるわけでございますけれども、この知的所有権が法的保護主義の手段として使われることに対しましては、他面では強い危惧があるわけでございます。我が国に対して不合理なものまで押しつけられる必要はない、逆にまた日本もNIES諸国等の追い上げによりまして、知的所有権の保護により国益を図らなければならない、こういう立場にもあるわけでございます。こうした国際化の中で、これからの知的所有権のあり方について大臣の認識をお尋ねしたいと思います。
  55. 三塚博

    三塚国務大臣 お答え申し上げます。  知的所有権に対し国際的に妥当な保護を与え、また知的所有権保護制度国際的に調和のとれたものにいたしてまいりますことは、我が国にとりましても重要な課題でございまして、この点、米国側の利益と我が国の利益も、そこで一致といいますか共有できるというふうに思っておるところであります。我が国はかかる観点から、ウルグアイ・ラウンドの知的所有権交渉を初めとする国際的協議に積極的に取り組んでおるところでございます。また、これとともに、日米間の経済関係の重要性にかんがみまして、日米間の知的所有権作業部会におきましても、米国との間で知的所有権問題に関し意見交換を行っておるところでございます。  米国政府は知的所有権の保護を極めて重視いたしております。ウルグアイ・ラウンド知的所有権交渉において重要な役割を担っておるわけでございます。米国政府は先般、包括貿易法スペシャル三〇一条、知的所有権の問題に関しての条項でございますが、いわゆる優先国認定は行いませんでしたが、知的所有権保護の向上が図られるべき国として二十五カ国のリストを発表いたしましたことは御案内のとおりであります。今後我が国は、米国政府のかかる態様の問題点を踏まえながら、多国間及び二国間の場におきまして、知的所有権の保護国際的に強化されていくよう努力してまいる考えでございます。
  56. 神崎武法

    ○神崎委員 次に、実演家等保護条約、いわゆるローマ条約についてお尋ねいたします。  初めに、この条約には大国あるいは先進国であります。アメリカ、ソ連、カナダ、オーストラリア等が署名、加入していないわけでございますが、その理由はどこにありますか。
  57. 荒船清彦

    荒船説明員 米国、カナダ及びオーストラリア等につきましては、御指摘のとおり未締結でございますが、これらの国が国内的にレコード著作物として保護してはおりますものの、実演保護しておりませんで、したがいまして、これらの三国がこの条約締結することに困難を感じているということではあるまいかと思っております。  また、ソ連につきましては、ソ連の民事法の中に著作権に関する規定が置かれておりますが、実演レコード及び放送を保護しておりませんために、この条約締結する見込みはないものと考えております。
  58. 神崎武法

    ○神崎委員 特に、この知的所有権の問題につきましては、アメリカはスペシャル三〇一条などで我が国に対しても厳しい対応を迫っておるわけでございます。知的所有権の一つである著作隣接権保護につきまして、米国がこの条約加入をしていないことは大変問題があるのではないかと思うわけでございます。この条約への加入は、文化摩擦の解決に前進するという観点からも、未加入国に対しては、我が国として積極的に働きかけるべきである、このように考えますが、いかがでしょうか。
  59. 荒船清彦

    荒船説明員 我が国はガットにおきますウルグアイ・ラウンドの知的所有権交渉におきまして、著作隣接権等の保護に関しまして、実演家等保護条約に準じた実演家レコード製作者及び放送機関保護を義務づけることを提案しております。  我が国といたしましては、米国等に対しましても、ガット等の場を通じまして、国際的な著作隣接権の確立のために協力するよう積極的に働きかけてまいる所存でございます。
  60. 神崎武法

    ○神崎委員 この条約昭和三十六年に作成され、昭和三十九年に発効しておるわけでございますけれども、長い期間を経ております。その間我が国加入する機会があったと思いますけれども、どうして加入が今日になったのか。
  61. 荒船清彦

    荒船説明員 まず、この条約昭和三十六年にできました後、四十五年に現行著作権法を制定いたしましたが、その際に、この条約を参考といたしまして実演家等保護をする制度を導入したわけでございます。この保護対象国内において行われる実演等に限定しておりますけれども、この条約締結いたします場合に、特に、新たに採用されました商業用レコード放送等に使用した場合における二次使用の問題、これが国内的、国際的にどのように運用され定着していくかにつきまして、その状況の推移を見きわめてまいってきたところでございまして、また、この条約締結につきまして’関係団体からも意見聴取等も重ねてきたところでございます。.その後、この条約締結のための関係団体等の条件整備も順調に進行しているというふうに判断され、それで政府として今回、ややおくれましたけれども、国会にこの条約締結につきまして御承認を求めるということにしたものでございます。
  62. 神崎武法

    ○神崎委員 次に、著作隣接権保護期間についてお尋ねをいたします。  昨年の著作権法改正に伴いまして、著作隣接権保護期間が三十年に延長されたわけでございますが、一部実演家団体からは、三十年では短いので再延長してもらいたい、こういう声が上がっていると承知いたしております。諸外国の実情を見ましても、米国は七十五年、英仏は五十年ということでございまして、大きな隔たりがあるように思うわけでございますが、この保護期間について今後検討するおつもりがあるのかないのか。
  63. 雨宮忠

    雨宮説明員 我が国におきましては、実演レコード及び放送の保護期間につきまして、昭和四十五年の現行著作権法制定時におきまして、現在御審議をいただいております実演家等保護条約の第十四条に書いてございますけれども、そこに定めております最低限の保護期間である二十年という年数を保護期間として採用したわけでございますが、その後、二十年を上回る保護期間を定める締約国がふえてきたわけでございます。そういうような情勢にもかんがみまして、著作権審議会で検討いたしまして、昨年の一月にこれを三十年に延長することが適当だという結論を得まして、昨年の秋にそのための著作権法改正法の成立を見たわけでございます。  ただ、先生指摘のように、実演レコード等の保護期間につきましては、各国いろいろな定め方がございます。五十年というところもございますし、もっと長いところを定めておる国も御指摘のとおりあるわけでございます。また西ドイツ等におきましては二十五年と定めておるところもございますし、イタリアのように我が国と同じ三十年と定めておるところもございます。  いずれにしましても、著作隣接権保護期間をどう定めるか。これは著作権保護の度合いをどう定めるかということとも関連するわけでございますけれども、今後の著作物の利用手段の発達やらあるいは利用実態の推移、国際的な状況の変化、もろもろの要素を勘案して、今後必要に応じて検討を加えるということはあり得べきことではなかろうかというように考えておるところでございます。
  64. 神崎武法

    ○神崎委員 その他の著作権関係条約との関係についてお尋ねをいたしたいわけでございます。  一九七一年に作成されましたレコード製作者保護条約につきまして、我が国昭和五十三年に締約国となっておりますけれども、この条約は本ローマ条約と比較して保護の基準について顕著な特徴はあるのかどうか。また、この二本の条約の整合性の面におきまして矛盾を来すことはないのかどうか。この点についてどうぞ。
  65. 荒船清彦

    荒船説明員 まず、実演家等保護条約の方は、レコード製作者のみならず実演家及び放送機関をも保護するものでございます。この点レコード保護条約と違います。また実演家等保護条約では、レコード製作者保護に関しましては、レコード製作者等に対する内国民待遇の付与、それからレコードの複製につきましての許諾権の付与、また商業用レコード放送等に使用することに対します二次使用料請求権の付与について規定してございます。  他方、レコード保護条約は、レコード製作者の許諾を得ないで行われるレコードの複製物の作成、輸入及び頒布を規制することを目的として昭和四十六年に作成されたものでございまして、先生の御指摘のように、我が国は五十三年に締結しておりますが、実演家等保護条約とは異なりまして、内国民待遇の付与及び二次使用料の支払いに関する規定はございません。現在、英国、アメリカ、西ドイツ、フランス等四十二カ国がレコード保護条約締約国となっております。  もう一つ指摘の、矛盾はないかという点でございますけれども、私どもとしては、その両者の間に矛盾はないと考えております。
  66. 神崎武法

    ○神崎委員 著作権に関するその他の条約といたしまして、衛星により送信される番組伝送信号の伝達に関する条約、それからタイプフェイス、これは印刷文字ですか、書体の保護及び国際委託に関するウィーン協定がありますけれども、この二条約につきまして我が国として締結の意思があるのかどうか。
  67. 荒船清彦

    荒船説明員 まず、タイプフェイスの保護協定でございますが、タイプフェイス、印刷用書体、これの保護協定は、タイプフェイスが文化の普及におきまして演じます役割を考慮いたしまして、それを国際的に保護するということから昭和四十八年に作成されたものであります。現在、この協定はフランスと西ドイツのニカ国だけが締結しておりまして、いまだ発効に至っておりません。発効のためには五カ国の締結が要件となっております。我が国におきましては、タイプフェイスの法的保護及び円滑な利用を求める要望等が出てまいっておりますが、この利用実態や国際的な動向を見きわめつつ、この協定締結の可能性を必要に応じて検討してまいりたいと考えております。  また、衛星送信信号保護条約でございますが、この条約は、締約国が他の締約国の送信機関の番組伝送信号で衛星を利用するものを、自国内でまたは自国から無断で伝達することを阻止しなければならないというふうに規定しておりますが、この条約昭和五十四年に発効いたしまして、現在オーストリア、西ドイツ、イタリー、ソ連、米国等十二カ国が締結国となっております。我が国におきましては、関係者、放送事業者等でございますが、関係者からの本条約締結の要望も踏まえまして、今後必要に応じ締結の可能性について検討してまいりたいと思っております。
  68. 神崎武法

    ○神崎委員 本条約は出版事業者に対する保護は入ってないわけでございますが、これを含めるための論議が条約作成の過程であったのかないのか。この点はどうですか。
  69. 荒船清彦

    荒船説明員 この条約作成の契機は、文芸、音楽等の著作物公衆に伝達する手段でありますレコードプレーヤー、ラジオ、テレビ、録音、録画機 器等の著しい発達、それからまた普及の結果、実演家実演の機会の減少あるいは無断複製の蔓延等によりますレコード製作者及び放送機関の経済的損失といったような問題が強く認識されたためにできたものでございますが、この条約の作成に関連して出版事業者の保護について議論されたとは承知しておりません。
  70. 神崎武法

    ○神崎委員 最近文献複写に関します出版者の権利保護が大きな問題になっております。  お尋ねしたいわけですが、一つは書籍のコピー被害は年間どのくらいになっているのかという点。それからもう一つ文化庁もこの問題について調査をされているようでございますが、この権利の創設についてどのように考えておられるのか。あわせてお尋ねをいたします。
  71. 雨宮忠

    雨宮説明員 複写機器の発達、普及によりましていろいろな形の文書の複写があるわけでございます。私どもが直接調査したものではございませんけれども昭和六十二年に出版界、具体的には日本書籍出版協会等出版四団体が調査したものがございます。これは全国の上場企業とか大学等の学術研究機関、情報サービス業者等を対象としたものでございます。昭和六十二年の九月から一月間をとりまして、それをもとに一年間どのくらいの複写枚数があるかということを推計したものでございます。それによりますと、年間の複写総枚数といたしまして約百五十九億枚という数字でございます。また、そのうち出版物からの複写枚数、これが約十四億枚だという調査になっております。この差は、かなりの部分を占めておるわけでございますが、最も一般的に行われておりますように、私どもが自分で字を書いて複写するというのがほとんどでございますけれども、中には出版物からの複写枚数も今申しましたように一割方あるということでございます。  これらのすべての複写がいわゆる著作権制度上の違法な複写かどうかということにつきましては、なお吟味する必要があろうかと思いますけれども、いずれにしましても、一つの複写の実態をあらわす数字であるというふうに私ども考えておるわけでございます。これらの実態に対処いたしまして、著作権制度上どういうことが考えられてしかるべきかというお尋ねでございます。  一つは、著作者権利保護するための複写権センターというものを設けようかということで、著作者団体が中心となりまして、その動きが現実にございます。私どもといたしましては、それらの動きを見守って、その促進を図ってまいりたいというように考えております。  もう一つは、出版者の保護ということでございまして、これらの複写の頻度が非常に増すということによって、単に著作者権利が害されているだけではなくて、出版者の権利、経済的利益というものも害されているのではないかということで、著作権審議会の中に第八小委員会というものを設けまして、現在審議を進めておるところでございます。昨年秋に中間報告を出しまして、各方面の意見を聞いておるところでございますが、なお最終報告に向けて検討をお願いしておるところでございます。  以上でございます。
  72. 神崎武法

    ○神崎委員 終わります。
  73. 相沢英之

    相沢委員長 林保夫君。
  74. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣初め皆様御苦労さまでございます。  今国会最後の短時間の質問になりまして、ポイントを三つばかり承りたいと思っております。  まず、標章国際分類協定でございますが、先ほど来いろいろな御答弁があったようでございますけれども、なぜおくれたのかという点、それからもう一つは、従来の日本分類と今度の条約による国際分類とどういうふうな違いがあるか、これを事務的にひとつ御答弁願いたいと思います。
  75. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 ニース協定に加盟がおくれた理由につきましては、ニース協定自身がヨーロッパを中心とした国際分類から始まったこともございまして、我が国となかなかなじみがなかったということでございます。ただ、その後西ドイツなりあるいはアメリカが参加することによりまして、国際分類の中身も数次にわたって改定がなされ、国際的な共通の分類として各国が利用するようになったわけでございます。このような観点から我が国も、世界最大の出願国であるということ、また近年とみに外国人の出願人が日本に出すケースも多くなりましたし、日本の出願人が外国に出すというケースも多くなりまして、これらを総合いたしまして、やはりニース協定に参加をし、国際分類の世界的な作業に参加することが重要でないかというふうに判断したわけでございます。  先生の御指摘の、それでは現在の日本分類国際分類との違いはどういうような点があるかという点でございますが、要点を申し上げますと、日本分類はやはり日本の流通あるいは取引の実態に即応した分類がかなり濃厚に出ております。それに対しまして国際分類は、やはり各国が合意をしてつくり上げた分類でございますので、合意点に達する点から申し上げますと、材料主義的な観点が強いということが言えるわけでございます。もちろん国際分類におきましても、用途なりあるいは機能に重点を置いて分類をしていこうという動きがございますが、およそ八千八百品目の分類の実態を見ますと、やはり材料的な分類が多いという点が指摘されるのではないかと思います。  例えて申しますと、例えば食器あるいは宝石箱、喫煙具というものは、それぞれ流通等を見ますとかなり異なっておりますので、我が国としてはそれぞれ十九類、二十類、二十七類というふうに類の分類を異にしておりますが、国際分類におきましては、例えば貴金属製の食器、宝石箱あるいは喫煙具は十四類というものにくくられておりますし、ガラス製の食器、宝石箱あるいは喫煙具というものは逆に二十一類に分類されておるというふうな点が異なっているわけでございます。
  76. 林保夫

    ○林(保)委員 この協定に加盟することによって国内的な行政措置、そのほかやはり変えていかなければならぬと思うのですが、どういう方向に見通していられるのか、特許庁の方からひとつ御説明ください。
  77. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 とりあえずはニース協定に定められております副次的体系を採用してまいります。これは現在の日本分類のところに国際分類を括弧書きに併記をするということでございまして、そのためには国際分類の正確な訳あるいは現行日本分類国際分類にどういうふうに所属するかという移行表と申しておりますが、こういうものを作成し、公表することによりまして、出願人の皆様方の国際分類に対する理解を深めていただきたい。そしてその分類につきましては、実際の併記作業を特許庁の中で行いますので、そのための先行する準備作業を行っておるわけでございます。しばらくの期間、このようにいたしまして、国内におきます出願人の皆様方に国際分類の対応といいますかあるいは理解を深めていただくということで実行していきたい、こういうふうに考えております。
  78. 林保夫

    ○林(保)委員 今回協定に加盟する以上は、商業秩序、産業秩序あるいは経済秩序にマイナスにはならないという御判断でやられるのだろうと思いますが、その点についてのデメリット及び今おっしゃったように、併記しているものをいつごろ一本化するのか、この点だけ承っておきたいと思います。
  79. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 今回は国際分類といいますか、分類におきます表示の仕方でございますので、商標法で保護されております商標権につきましては、この権利の範囲等について変更なり移動が生じないというように考えております。  そういう意味で、長年の企業活動の結果蓄積されました企業の信用の維持及びそれに基づきます産業秩序の維持、消費者の利益という点につきましては、国際分類移行した際にも、この点の問題は全くないというふうに考えておりますし、またそういうふうに対応していきたいと考えております。  そのためには、特に全面的に国際分類移行するということは、やはり効率的にも望ましいわけ でございまして、各国とも現在のところ主たる体系にほとんど採用しておるわけでございます。我が国といたしましても、国際分類の中にあります各品目が我が国分類にどのように対応するかという対応表といいますか、専門用語でございますが、逆移行表等の資料整備を図るとともに、既存の、既に生きている商標につきまして、出願人の方あるいは審査官が調査あるいは検索をする便宜を、コンピューター等によりまして対応できるように万全の措置を講じてまいりたいと思います。
  80. 林保夫

    ○林(保)委員 もう一点だけ、ニース同盟というのですか、これに入るときの分担金、維持費、それからいつごろそれに入れるのかという点だけ簡単にお答え願います。
  81. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 分担金につきましては協定上の義務になっておりまして、日本は五万五千スイスフランを負担するという形になっておりまして、これを予算要求で措置していきたい、こういうふうに考えております。  また、正式な加入寄託につきましては、国会の承認を得た上、協定の義務上であります公の文書あるいは刊行物につきまして国際分類を併記する措置、これは大体十一月ごろ準備が整いますので、これをめどに加入寄託をしたいというふうに考えております。
  82. 林保夫

    ○林(保)委員 それでは次に、実演家等保護条約について二点、お答え願いたいと思います。  いろいろあるようでございますけれども、これの加盟によって日本が受け取るいわゆる歩合、それからまた日本が払わなければならない出演料、そのほかの権利義務を伴っての収支は大体どのようにお考えでしょうか、承りたいと思います。
  83. 雨宮忠

    雨宮説明員 実演家等保護条約締結によりまして、我が国と他の締約国との間で権利義務が発生するわけでございます。そのうちの主たるものはレコードの二次使用料でございます。これは放送事業者がレコードを使用した場合に、二次使用料という名目で、そのレコードの製作者の団体あるいは当該レコードに吹き込まれている実演家実演に着目いたしまして、その実演家団体に一定の対価を支払うという仕組みであるわけでございます。  今回、実演家等保護条約加入いたしますと、例えば我が国の放送事業者が他の締約国レコードを放送に使用した場合に、その分の二次使用料というものが新たに支払い義務として課されてくるわけでございますし、また他の締約国において我が国レコードを放送に使用した場合には、逆に他の締約国の放送事業者側から我が国実演家団体等に対して二次使用料の支払い義務が生ずる、こういう関係に立つわけでございます。  それで、そのバランスはどうかというお尋ねでございますが、これは現在、具体の数字で申し上げるわけにはまいらないわけでございますが、ごく一般的に申しまして、我が国の放送事業者がいわゆる洋盤を用いる度数の方が、他の締約国日本レコードを用いる度数と比べまして、やはりはるかに高かろうかというように考えておるわけでございます。  具体の二次使用料の額をどう設定するか、これにつきましては、条約締約後、我が国の放送事業者と実演家団体であります芸団協あるいはレコード製作者団体であります日本レコード協会との間での交渉によって定まるということでございます。
  84. 林保夫

    ○林(保)委員 次々と再質問したいのですけれども、時間がありませんので、そこらあたりは条約締結する以上はきっちり計算されてお入りになったらいいと思いますので、聞きません。  それから、アメリカ、ソ連、中国ですね、最近、韓国との関係が非常に密接になってきておりますので、この辺をどうするかという配慮、時間がございませんので、後でまた聞かせていただきたいと思います。  最後に、大臣にひとつお聞きしたいのでございますが、過般来、こういうことでいろいろと国際的に日本がおくればせながらも出ていく、かなり進んでいる面もございます。そういった中で、これから大臣は御訪米のようでございまして御苦労さまでございます。そして、また七月のサミットもあって大変大事な時期なので、ひとつしっかり頑張っていただきたい。  このように御要望申し上げながら、とりあえずけさも新聞にも出ておりますように、「対中新規援助を凍結」、外務省が方針を決めた、こういうような報道も実は出ております。この真偽及びこれから中国の経済問題をどのように考えていくのか。これは一般国民、財界及び我々も大変大きな関心を持って、隣国でありますだけによそと同じようなことはできぬだろう、しかしなお、ああいう人道上の問題がいろいろ出てくるようでも困るという、両方の面から来ていると思いますので、大臣の基本方針及び今のこの当面の問題をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  85. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまの御指摘の、今後の対中経済援助をどのように進めてまいるかという端的な御質疑でございますが、これはかねがね申し上げておりますとおり、我が国の対中経済協力の基本方針は、中国の近代化及び開放化の努力に対しましてできる限りの協力を行うことにあるというのが基本でございます。今後我が国としていかなる対応を行っていくかということにつきましては、中国情勢の落ちつき先を見つつ、また国際的な動向をも勘案いたしまして、慎重に検討してまいるというのが基本的な方針でございます。  現在、援助関係者の引き揚げなどの結果、関連するプロジェクトは事実上大半が中断状況にありますが、今後事態が完全に平静に復した際には、これら中断されております協力案件は、相手方の対応ぶりなど協力を続行する上で前提となります状況を勘案いたしつつ、続けてまいる所存でございます。第三次円借款等、その他対中経済協力の進め方につきましては、なお中国情勢の落ちつき先、国際的な動向などを見守りながら、調査団の派遣を含め具体的な対応をどのようにしてまいるかにつきましては、引き続き検討してまいらなければならないと考えております。  以上でございます。
  86. 林保夫

    ○林(保)委員 では大臣、もう一言だけ。中国政府あるいは大使館、そういうところから日本にどういう要望が来ているかだけ承りたいと存じます。
  87. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 私からお答えをさせていただきますが、現段階では中国側から外交ルートを通じまして具体的なアプローチはございません。
  88. 林保夫

    ○林(保)委員 しっかりした対応を要望しまして、質問時間が来ましたので、終わりたいと思います。
  89. 相沢英之

    相沢委員長 次に、中路雅弘君。
  90. 中路雅弘

    中路委員 条約協定、それぞれについて二、三問ずつお聞きしたいと思います。  最初に、実演家等保護条約ですが、一九七八年にレコード保護条約に入られたわけですが、これはローマ条約のうちのレコード製作者の利益を保護する部分をいわば取り出しての条約の中身ですから、実演家保護については大変不十分だったわけです。早期にローマ条約に加盟することが必要だと、私たちもそれを求めてきたわけですが、今回実現を見ることになりました。この条約が作成されたのが一九六一年ですから、もっと早く締結すべきであったと思いますが、他の同僚議員もお聞きになっていますが、この条約締結が今日に至った理由について、最初に一言お聞きしたいと思います。
  91. 荒船清彦

    荒船説明員 この条約昭和三十六年でございますけれども、その後、昭和四十五年に現行著作権法が制定されまして、この条約を参考として実演家等保護する制度を導入したわけでございますが、保護対象国内において行われます実演等に限定されておりました。この新しい条約締結する場合には、保護対象を他の締約国におきます実演家等に拡大する必要があるわけでございますが、その関連で、特にこの条約により新たに採用されました制度の中で、商業用レコード放送等に使用した場合におきます二次使用料の支払いの問題が一体これからどうなるか、国内的、 国際的にどのように運用され定着していくかという、状況の推移を見守る必要があったということでございます。また、この条約締結につきまして、その間、関係団体からも意見聴取を重ねてまいったところでございまして、その後、こういったいろいろな条件整備が順調に進行していると判断いたしたために、今国会に同条約締結につきまして承認を求めるという手順になったものでございます。
  92. 中路雅弘

    中路委員 国内法の著作権法三十条ですと、私的使用に供する私的な複製は自由になっていますね。禁止の対象外になっているわけですが、この条約十条では禁止ということになっています。レコード製作者は許諾または禁止する権利を享有すると明確になっています。条約でも十五条に適用除外の規定はありますけれども、この著作権法では、その後の技術の発達等を考えても、権利が十分に保護されないのではないかという点で、既に西ドイツ等では規定があるそうですが、実演者の権利保護につきまして国内法の見直しが必要になってくるのではないか。実際にそうでないと権利を守っていけない。三十条の見直し等についてお考えがありますでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
  93. 雨宮忠

    雨宮説明員 条約の問題はさておくといたしましても、先生指摘のように、著作権法三十条を見直すべきではないかという論議がございます。一応個人的に使用したり、あるいは家庭内において使用するということのために著作物を複製するということについては、現行法上自由利用であるということになっておるわけでございますけれども、録音機器、あるいは最近で申しますとビデオデッキ等の普及によりまして、かなりの程度個人的な録音、録画というのが頻繁に行われてきておりますし、またその録音、録画の質自体も非常に高いものになってきておるわけでございます。これらにつきまして、著作権者あるいは実演家等の経済的利益が脅かされているのではないかという声が上がっております。  これにつきましては、先生もお話の中にございましたように、西ドイツとかあるいはフランス等におきましては、録音機等の機器あるいは機材でありますテープ等に一定の賦課金を課しまして、それを権利者側に還元するという制度権利者側から見ますと、一種の報酬を請求し得る権利、報酬請求権制度というものを導入しておるわけでございますが、我が国権利者側といたしましても、やはり同じような性格のものを導入すべきではないかという主張がございます。これはかなり長い間の懸案でございまして、現在も著作権審議会の第十小委員会というところで検討をいただいておるところでございまして、文化庁といたしましては、この検討結果を待ちまして、適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  94. 中路雅弘

    中路委員 次に、著作権者に与えられているいわゆる人格権付与の問題ですけれども、隣接権者にはこれが認められていない。先ほどもお話にありましたけれども公表権氏名表示権同一性保持権、こうした人格権の付与の問題について、これは条約の上でも義務になっていないわけですが、国内法にもないわけです。これからの問題だと思いますが、大変大切な問題なんで、この隣接権者の人格権の付与の問題について、どのような立場でこれから臨まれるのか。  ちょっと過去のを調べてみますと、国会でも例えば百四国会に衆参で実演者の権利の適切な保護等について検討するというような趣旨の附帯決議もありますけれども、六一年という古い条約ですから、現在の技術水準にも合わない点もあるわけなので、これは協定の交渉の場で、この条約について、人格権の付与の問題については見直していく必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  95. 雨宮忠

    雨宮説明員 先生指摘のように、現行著作権法では、実演家につきまして、ちょうど著作者について認められておりますような人格権に相当するような規定を置いておらないわけでございます。これは我が国が現在の著作権法をこしらえますときに、その下敷きといたしましたベルヌ条約、これは著作者権利を扱っておりますけれども、これと、実演家等権利につきましては、今回御審議いただいております実演家等保護条約規定を下敷きにしてこしらえたという経緯によっているところが多分にあるわけでございます。  ただ、先生指摘のように、映画ビデオソフト化等映画の利用も多様化もしておりまして、そんな環境のもとで実演家にも人格権を認めるべきではないかという論議がございます。ただ、いわゆる精神名誉的な分野でございまして、現在においても民法等全く法的な保護がないというわけでも必ずしもございませんし、また国際的にも、実演家人格権を含みますもろもろの権利のあり方についてもいろいろな検討もなされておるわけでございます。私どもといたしましては、文教委員会の方からも附帯決議で検討せよとも言われてもおります。内外の動向も見守りながら、今後の検討課題にさせていただきたいと考えておるところでございます。
  96. 中路雅弘

    中路委員 この問題は大事な問題ですから、ぜひひとつ積極的に人格権の付与について取り組んでいただきたい。要望しておきます。  あとニース協定の問題ですが、この協定の加盟自体については当然ですけれども、問題は、一つ国際分類という新しい体系を採用することに伴う事務処理の問題、これをどう適切に行うかということも重要だと思います。国内基準と国際基準との相違があるわけですから、特許庁の業務が大変ふえるのではないかと思うわけですけれども、毎年人員も削減されている中ですが、さらにこの新しい体制への移行に伴って負担を申請者や職員にしわ寄せするようなことがあってはならないと思うわけです。手数がかかる作業が入るわけですから、その点でこの人員の手当ても十分行わなくてはならない。今後これに対する対応をどのようにされるのか、お聞きしたいと思います。
  97. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 我が国といたしましては、加入後当分の間は、国際分類日本分類に併記する副次的体系として使用する考えでございますが、この場合には、出願公告等の公報あるいは原簿等に日本分類にあわせまして国際分類を括弧書きして併記するということを行うわけでございますが、加入に先立ちまして、その準備を実施しているところでございますので、これが大きな問題になるというふうには考えていないわけでございます。  しかし、国際分類を全面的に採用するということになりますと、商品の区分につきましては、商標法の政省令を改正するというような点もございますし、また商標登録出願について審査する場合の基準の見直し等もございます。同時に、既存の登録された商標の検索についての負担もあるわけでございますが、この点につきましては、機械化検索によります負担の軽減あるいは国際分類あるいは日本分類との対応について的確な基準を設けていく、そして旧分類との対応関係の習熟を待ちまして、これらの環境が整いましたら主たる体系に移るように考えております。
  98. 中路雅弘

    中路委員 ぜひ人員を含めた処理の体制はしっかりとっていただきたい。  日本分類は明治以降の分類、それからたしか昭和三十五年でしたかの分類もあります。まだ一本化されていない。国際基準に後々は一本化すべきだと私は思いますけれども日本独特の分類もあるわけですね。例えばげたなどはそうですね。そういう点で、国際基準に後々一本化する場合に、日本分類分野もつくる必要があるのではないかという気もしますけれども、一本化を早期にしていく場合にどのような構想で今進められているのか、お聞きしたいと思います。
  99. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 国際分類を全面的に採用する際には、その分類の考え方につきましては、当然国際分類に従うわけでございますが、その各分類に例示されます商品につきましては、現行日本分類先生指摘日本特有な品目が数々ございますし、これらと、国際分類には例示商品が八千八百ございますが、これら全体を見回しまして、的確なる例示商品分類表を作成していきたいと考 えております。これらの分類に基づきまして、基礎データあるいは審査体制、機械検索等の問題を解決していくということになろうかと存じております。
  100. 中路雅弘

    中路委員 時間になりますので、最後に一問サービスマークの問題ですけれども、現在我が国制度にはないわけですが、欧米等からも強い要求が出ているということを聞いています。保護としてぜひ必要なので、このサービスマークについて今後実施をされるについてのお考えを最後にお聞きして、終わりたいと思います。
  101. 山浦紘一

    ○山浦政府委員 サービスマークにつきましては、日本国内におきますサービス産業の進展あるいは内外からの要望等を踏まえまして、サービスマークの登録制度を導入するかどうかという判断をしなければいけないわけでございますが、これらの環境は熟してきておると判断しておるわけでございます。しかし、これの制度を導入するためには、商標法の改正等法的な面での整備、それから基準面等におきます実務的な整備ももちろんでございますが、審査体制あるいはそれをバックアップします機械検索等のコンピューター関係の環境整備等がございます。あわせまして、新しい制度を導入する際には産業界及び出願人に十分な制度面の理解が必要なわけでございますが、これらの問題、それぞれに対応しつつ、条件が整いましたら新しい登録制度の導入を図りたいと考えております。
  102. 中路雅弘

    中路委員 終わります。
  103. 相沢英之

    相沢委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  104. 相沢英之

    相沢委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、実演家レコード製作者及び放送機関保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  105. 相沢英之

    相沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴ改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章登録のための商品及びサービス国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 相沢英之

    相沢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  108. 相沢英之

    相沢委員長 次に、請願審査に入ります。  本日の請願日程を一括して議題といたします。  今国会、本委員会に付託されました請願は四件であります。  まず、請願審査方法についてお諮りいたします。  各請願の趣旨につきましては、請願文書表によりまして既に御承知のことと存じます。また、先刻の理事会におきまして慎重に御検討いただきましたので、この際、各請願についての紹介護員よりの説明等は省略し、直ちに採否の決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  採決いたします。  本日の請願日程中、第三の請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書は附録に掲載〕
  112. 相沢英之

    相沢委員長 この際、御報告いたします。  今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり四件であります。
  113. 相沢英之

    相沢委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約改正する議定書の締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本政府とインド共和国政府との間の条約締結について承認を求めるの件 及び  国際情勢に関する件 以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中の委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託され、委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間及び派遣地等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  116. 相沢英之

    相沢委員長 次に、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事深谷隆司君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めますよて、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任を行うのでありますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 相沢英之

    相沢委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事大石正光君を指名いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十四分散会