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宇野国務大臣 日本の外交の基軸は
日米関係にある、これはいつも申し上げております。これには少しの変化もありません。また
日本はアジア・太平洋の一員であり西側の一員である、こういう
日本の立場も鮮明にいたしております。これは今後も変わりません。特に中ソが対話に入られたその裏には、やはり西側の結束があったということも私たち忘れることはできません。したがいまして、今後もINFだけではなくしてSTART
交渉等々、単に戦略核の問題だけではなく、そのほかの人道問題、いっぱいございますが、そうした問題におきましても、やはり対話を推進することは非常に大切であって、我々はやはりそのためには米国を応援しましょう、西側は
協力してやっていきましょう、この姿勢は私は少しも変化さすべきものではない、かように考えております。
なおかつ、安保体制に関しましても、シュワルナゼ外相との間で議論しました。かつてソ連は、
日本が安保体制を新しく
改定したから、だから過去のソ連との間の約束はもうふいになったというような発言もなきにしもあらずだったのですが、今回私は、
日本は、ソ連とはソ連との
関係、
アメリカとは
アメリカとの
関係、きちっとしてやってますよというふうな
話し合いから、もう安保論議はこれでやめにしましょう、そして安保体制下にある
日本とはいえ、日ソ平和
条約を結ぶのに何らそれは障害になりませんということを
相互に確認し合うということ等々も私は
一つの発展ではなかったかと思います。
そのほか、もう
河上委員も御
承知だろうと思いますが、平和
条約は残念ながらまだ結ばれておりません。簡単に言えば、平和
条約は戦争が終わったときに結ぶべきもので、そして領土と賠償とさらには戦後処理、そういうような問題があるのでございましょうが、その平和
条約が結ばれないままに一応共同宣言で終戦ということはもう成り立ったわけでございますから、だから領土だげが残っておる。したがいまして、それが基本的な平和
条約で、ソ連はそこへ友好
条約をのせるとかいろいろ混乱した面がありますから、私たちは実は整理しておるのです。だから領土問題を解決して、そして平和
条約を結びましょうというのは、そこは
一つの線でございまして、だからその中に、本当にいろいろとお考えになるんだったら、友好
条約的な問題も含めてこれは可能なんですよということも、この間の会談で私から申し上げた次第でございます。
既に、通商
条約を初め、
両国間におきましてはもう十本からの
協定が存在しております。そのほか、ソ連は新しい
協定の問題も提案されておりますが、今回私は、環境問題に関する
協定はひとつお互いに考えましょうという新提案をしておきましたが、今申し上げましたような戦後処理の問題が片づいておらないということは、
我が国にとりましてもソ連にとりましても極めて不自然なことでございますから、これだけは我々はそう簡単に曲げるわけにはいかぬ。しかし、そのほかの問題は、今申し上げましたようなことで、それぞれ今日まで双方の努力で解決してきたのです。それでゴルバチョフさんが言われました。中国の貿易高いですね、韓国の貿易多いですね、うちは少ないですね、こうおっしゃいましたから、私は次のように言いました。中国とは二百億ドルくらいになるでしょう、韓国とは二百六十億ドルくらいになるでしょう、おたくとは残念ながらまだ六十九億ドルです、その
日本がソ連の貿易
相手国としては、フィンランド、西ドイツ、
日本は三番目です、フィンランドの人口と
日本の一億の人口を考えたら、これは不自然な姿ですね、というのもまだ法的体系の上に
両国が立っておらないからではないですか、私はこうやって申し上げたわけです。
そういうふうにいたしまして、今申し上げましたように、決してかたくなな姿勢はとっておりません。ソビエトも大切な隣人でございますからいろいろと
お話をすることは必要だ、私はかように思っております。ただ、安保を解いてはどうか、これはまだそういうような段階ではないと私考えます。
日米間と同じようにソ連とやったらどうかという御意見もあるかもしれませんが、これもやはりまだ
日米というものの
関係は
我が国外交の基軸である、これは私ちょっと訂正するわけにはまいりません。十分そのことばソ連にも言ってあります。
日本の立場はこうですよ、しかしながら中ソも三十年間の和解、
日本と、あなたとこうやって三年ぶりに出会うけれ
ども、十二分今後話していきましょうや、そして大切な芽を育てましょうということで意見の一致を見ました。そういう姿勢で今いろいろとアドバイスをしていただきましたが、そういう気持ちを体しまして、私たちも大切な隣人との友好は今後も大切にしていきたい、そうして極力改善すべき点は改善していきたい、かように思っている次第でございます。