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宮崎国務大臣 この水爆機が落ちたということは、この前の五月十五日に外務省から
説明を聞きました。御承知のように、今まで私
ども科学技術庁としては、原子力を推進力とする艦船が
日本近海におりますし、また死の灰とかそういったことで、チェルノブイルの灰もそうですが、空から降ってくる放射能がございますので、こういったものを
目的といたしまして、それが
日本近海、海の方でどのくらいの放射能が残存しているかということを中心にして
研究をしてまいりました。これは海上保安庁でありますとか、あるいは水産庁、気象庁、こういうところに委託と申しますか、予算の組み替えによりまして恒常的に
調査をしてまいったわけでございます。
したがいまして、今回の事件は非常に異質な事件で、私
どもは初めて遭遇する事件でございます。しかも水爆がどういう格好になっているのか。これは核融合で爆発するという話を新聞でも書いておりますし、そしてまた米軍の
調査によりますと、相当な水圧で、五千メーターのところにあるわけですから、その中間において海水の水圧が加わりますね、それでもう破壊をしている、ですから爆発はしない、こういうようなことでございまして、私
ども常識的に考えて、それではばらばらになってぺしゃんこになったのだったら爆発はしないだろう。それはわかるのですが、その間に核物質、これは何であるかちょっとわからないのですが、プルトニウムなのか、あるいはそのほかの物質であるかわかりませんけれ
ども、それが溶解をして、そして沈んだ、だからもうそういう放射能の危険はない、こういうふうに断定をしておられるわけで、私
ども米国の
科学技術が大分進んでいるのかなとは思いますけれ
ども、しかしながらプルトニウムにいたしましても鉄以上に重いものですね。そして私
どもの
研究者に言わせると難溶解だ、そんなに簡単に溶けるものではない、難溶解か溶けないかだ、だから下の方に落ちていったのでしょうが、どの
程度に溶解してそれが水産物とか魚とかに溶解しておるのか、それが実はわからないわけですね。
それからいま
一つ、五千メーターの海中で海水に暴露されている、それはその後どうなるのだろうか。物すごい水の量ですからうんと希釈されて影響はないのかどうなのか。それは全然ないというよりは何とかあるだろう、こういう意見もございますし、その辺のことがやはり専門家の意見を聞いてみないとわからぬのじゃないか、あるいは聞いてもわからぬかもしれない。
日本ではそういった兵器の水爆の
研究をしている人がいないので、その辺がわからぬのじゃないか。あるいはまた五千メーターといいますから、私
ども「しんかい六五〇〇」という
調査船は持っております。ですから、それを引き揚げたらどうかという意見もございますが、
調査をしても六千五百メーターぐらいに行きますと真っ暗だろうと思うのです。私は港湾土木をやっておりましたけれ
ども、大体四、五十メーターまでは何とか引き揚げの可能性がある。船にいたしましても五百メーターから八百メーターくらいまでじゃないかと思うのです、船自体を全部引き揚げるのは。ですから、その辺のことが非常にわからぬところもあるな。ですから直観的に、これはやはり専門家にもう少し集まっていただいて、アメリカ
政府に
技術的にいろいろ問い合わせることもあるだろう。今後どうしたらいいのか、あるいはどういうふうな見解を持っておられるのか、いろいろ専門家の方で集まって、私が浅薄な考え方で考えるのもなんだから、専門家の方々に集まっていただいてよく意見を聞いて、各
省庁とも、外務省で何か議論しておられますから、よく意見を聞いてやってください、そう部下に言ってございます。