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宮里委員 実は、朝日新聞の捏造はこれだけにとどまりません。
長官御
承知のように、新石垣空港はもともと数年前から白保海上案を採用いたしまして、運輸省の設置許可を得、
もろもろの手続を進めてまいりました。しかしながら、一部の反対運動があり、これがまた
全国へ広がってまいりました。そして、マスコミ等でそのキャンペーンがなされました。とうとう最近、それを従来の設置場所から約四キロほど北の方、後ろの方へ下げて、これから手続を進めるということになりました。
朝日新聞は、新石垣空港の白保海上案に最初から反対をいたしました。反対のキャンペーンをしばしば打ってきました。例えば、
昭和六十三年九月五日付の朝日には「石垣島新空港
計画 地元反対黙殺のまま10年」「無理を重ねて手続き急ぐ市
建設促進派は“部外者”」というタイトルで、このような記事が出されております。
沖縄県の南端・石垣島白保で進められている新空港
計画が世界の注目するところとなったのは、貴重なサンゴの保護を焦点とする自然環境問題にかかわる点が大きい。だがそのかげで案外知られていないのが、自然保護ならぬ「人間保護」そのものである。飛行場予定地の現場、白保の住民の意思は、
計画決定の当初から現在までの十年間、一貫して無視・黙殺され、島の市街地や県庁など「外部」によって強行されてきた。このまま飛行場ができてしまうことになれば、日本は住民と無
関係に何でも強行が可能な国ということになろう。
冒頭であります。
真実と違う事実が幾つか
指摘されておりますが、その中に、白保にはこの飛行場問題が起こりまして公民館が二つになりまして、分裂をいたしました。その新しくできた公民館は白保住民の一〇%から二〇%ぐらいで、市の思惑によってつくられたという内容のことが載せられております。しかし、私のところに、白保出身の石垣市議
会議員内原善市氏から、朝日新聞に投稿した原稿の写
しが届けられております。また、この石垣市議
会議員たちは一度東京へ参りまして、
開発庁、運輸省、
建設省、環境庁等々に
実情の訴えに参りました。つまり、新石垣空港の早期着工の要請に参りました。それに引き続きまして、白保部落の歴代公民館長を務められた幹部の
方々と婦人部の
方々を含めて数多くの
方々が同様な要請に来られました。
これらのことでもわかるわけでありますが、朝日新聞のこの記事、白保住民の中で、建築
関係者を中心とする一、二割の賛成派を独立させ、第一公民館という別の自治体を承認する挙に市が出たという記事もあるわけであります。これに対して反論する投稿がなされましたけれども、これはついに載らなかったようであります。歴代公民館長二十九名のうち、白保に新石垣空港をつくることに賛成をする人たちは二十五人もいるわけであります。
建設関係者を中心とするわずか一〇%か二〇%、正確には一割から二割程度の者を独立させて強引に第一公民館という別の組織をつくった、こういう記事もあるわけであります。ほかにもたくさんあります。のみならず、ここへ掲載している写真がまた全然別の場所であります。六十三年九月五日付のこの記事と一緒に掲載された航空写真は、そばに「新石垣島空港
建設のため埋め立てが
計画されている白保海岸のサンゴ礁の海」と
説明書きで載っているわけでありますが、これは実は白保の海ではなくて、そのはるか南の、しかも白保の浜よりもはるかにサンゴ礁の発達したきれいな真栄里と大浜の東海岸であります。ここにも捏造があるわけであります。
それだけではありません。続いて六十三年九月十日付「サンゴ礁の空港 揺れる石垣島」というタイトルで、「踏み絵 問われる足元の環境」と題して、反対のためのキャンペーン記事が載せられております。これにも内容的に事実と違うところが多々あるわけでありますが、この中に載っている写真は白保の浜がほとんど見えない。宮良湾の写真が載せられているわけであります。しかも、これにはこう写真の
説明がされております。「サンゴ礁はどうなる——空港
建設予定地の白保沖の海域には、百種以上のサンゴが生育している」そして「石垣島で朝日新聞社機から」とある。朝日新聞社の飛行機で撮った、こういう
説明がなされております。載っている写真は、白保とは全く
関係のないはるか南の宮良湾の、しかも白保よりもはるかにサンゴ礁が発達をしてきれいなところであります。こうして新石垣空港の
建設反対のキャンペーンをしてきました。その最後が、先ほど
指摘しましたオオアザミサンゴにみずからKYという印をつけて、あたかもほかの心ないダイバーたちがやったかのように記事を捏造して載せているわけでございます。
私は、最近マスコミには反省を求めなければならない点が多々あると思います。今や立法、行政、司法のほかにマスコミという第四の権力ができてしまった、こう言う人すらいます。そしてまたマスコミは、オピニオンリーダーとしての自負を持ってふだん行動しているわけでありますが、その
活動のやり方いかんによっては、
国民世論を形成する上で大変な力を持っているわけであります。これが誤った方向へ行くとするならば、大変にゆゆしいことであります。したがいまして、私は、問題の本田記者ただ一人だけが独走してこの過ちを犯したとは思えません。反対キャンペーンの記事を載せたその航空写真二つも、こうして全然別のことがされているわけであります。実は、これは前から
地元では問題になっていました。しかし、さわらぬ神にたたりなしといいますから、マスコミに対してかみついていくことは怖いという、心情も働いて、これは表ざたの問題にはなりませんでした。ところが、それが先ほど
指摘いたしましたKYの傷をつけたアザミサンゴの問題が起こってくるに至りまして、これも噴き出してきたわけであります。
これは、石垣市の市
会議員たちが
建設促進のために
関係省庁に要請をいたしましたときに、市
会議員の内原善市議員が抵抗して
政府関係機関にも提示をしたものであります。そのころはその程度で済んでおりました。しかし、今やこのオオアザミサンゴの問題が起こりましてから
地元は大変な騒ぎであります。そして、私は
地元の新聞記事ほとんどを切り抜いて持ってまいりましたが、時間がございませんのでそれ全部を紹介するわけにはまいりません。ただ一つだけ、五月二十一日付の琉球新報の社説だけを
指摘しておきたいと思います。
「新聞は、サンゴに傷付けて作るんだってね。かわいそう」と、ある小学校の低学年生が両親に話したそうである。朝日新聞社カメラマンによるアザミサンゴねつ造報道事件は、自然を破壊しただけでなく、子供たちの心まで傷付けてしまった。
無残な仕打ちに対する人々の嘆きや怒りは、一層募る事態となった。朝日新聞社は十九日夜に至って、当初、サンゴには人為的な傷があったとしていたことを否定、無傷のサンゴにカメラマンがストロボの柄で傷を付け撮影したことを明らかにした。
何たることであろうか。朝日新聞社自身が「弁明の余地のない行為」といっているように、開いた口がふさがらない。同じ新聞人として怒りを通り越して泣きたくなる。残念でならない。同社にとっては恥の上塗りであろうが、
国民にとっては二度欺かれたような気持ちであろう。
私たちが残念でならないのは、ねつ造報道が表面化した段階で、朝日新聞社が無傷のサンゴに傷付けた事実をつかめなかったことである。竹富町ダイビング組合の経過報告書をもとに詳しく調べれば、最初の段階で事実
関係がはっきりつかめたはずだ。日ごろは
調査報道の必要性を強調する新聞社が、わが身に振りかかる事柄では追究が鈍るようでは困るのである。
途中、省略いたしまして、
西表島のサンゴに落書きされた「KY」の二文字は、新聞不信のラク印として長らく人々の心の中に刻まれることであろう。事件としては間もなく落着しようが、新聞界の名誉回復の道のりは遠い。今回の事件を他山の石として、報道の使命を果たしたい。
社説にこのようなことまで同じ新聞社仲間として挙げているわけであります。ここの人々の嘆き、怒りは察して余りあるものがあります。
そこで、先ほど
開発庁長官の御感想を
伺いましたので、西表のサンゴを所管をしている環境庁として、このことにどう対処されるか、所見を伺っておきたいと思います。
それから、引き続き海上保安庁からも、今これにどのような対処をしておられるか、所見を伺っておきたいと思います。