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1988-08-31 第113回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年八月三十一日(水曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  八月二十五日     辞任         補欠選任      田辺 哲夫君     岩上 二郎君      松浦 孝治君     北  修二君      宇都宮徳馬君     田  英夫君  八月三十日     辞任         補欠選任      吉井 英勝君     内藤  功君      三治 重信君     勝木 健司君  八月三十一日     辞任         補欠選任      降矢 敬義君     松浦 孝治君      大木 正吾君     及川 一夫君      内藤  功君     神谷信之助君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         初村滝一郎君     理 事                 青木 幹雄君                 遠藤  要君                 工藤万砂美君                 田沢 智治君                 野沢 太三君                 久保  亘君                 中野 鉄造君                 吉川 春子君                 勝木 健司君     委 員                 石本  茂君                 岩上 二郎君                大河原太一郎君                 梶木 又三君                 金丸 三郎君                 北  修二君                 坂野 重信君                 坂元 親男君                 志村 哲良君                 下稲葉耕吉君                 関口 恵造君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 中曽根弘文君                 中西 一郎君                 永田 良雄君                 林 健太郎君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 松浦 孝治君                 松岡滿壽男君                 青木 薪次君                 及川 一夫君                 千葉 景子君                 対馬 孝且君                 矢田部 理君                 山本 正和君                 及川 順郎君                 広中和歌子君                 和田 教美君                 上田耕一郎君                 神谷信之助君                 内藤  功君                 抜山 映子君                 田  英夫君                 下村  泰君                 木本平八郎君    国務大臣        内閣総理大臣   竹下  登君        法 務 大 臣  林田悠紀夫君        外 務 大 臣  宇野 宗佑君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  中島源太郎君        厚 生 大 臣  藤本 孝雄君        農林水産大臣   佐藤  隆君        通商産業大臣   田村  元君        運 輸 大 臣  石原慎太郎君        郵 政 大 臣  中山 正暉君        労 働 大 臣  中村 太郎君        建 設 大 臣  越智 伊平君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    梶山 静六君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  高鳥  修君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       粕谷  茂君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  田澤 吉郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       中尾 栄一君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       伊藤宗一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  堀内 俊夫君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  内海 英男君    政府委員        内閣法制局長官  味村  治君        内閣法制局第一        部長       大出 峻郎君        公正取引委員会        事務局審査部長  植木 邦之君        警察庁長官官房        長        森田 雄二君        警察庁刑事局長  中門  弘君        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   紀 嘉一郎君        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   増島 俊之君        総務庁人事局次        長        兼内閣審議官   服藤  収君        総務庁行政管理        局長       百崎  英君        防衛庁参事官   小野寺龍二君        防衛庁長官官房        長        依田 智治君        防衛庁経理局長  藤井 一夫君        防衛施設庁総務        部長       弘法堂 忠君        防衛施設庁建設        部長       田原 敬造君        防衛施設庁労務        部長       吉住 愼吾君        経済企画庁調整        局長       星野 進保君        経済企画庁調査        局長       冨金原俊二君        環境庁企画調整        局長       安原  正君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        国土庁長官官房        長        公文  宏君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        法務省民事局長  藤井 正雄君        法務省刑事局長  根來 泰周君        法務省入国管理        局長       熊谷 直博君        外務大臣官房長  藤井 宏昭君        外務大臣官房外        務報道官     松田 慶文君        外務省アジア局        長        長谷川和年君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省中近東ア        フリカ局長    恩田  宗君        外務省経済協力        局長       松浦晃一郎君        外務省条約局長  斉藤 邦彦君        外務省国際連合        局長       遠藤  實君        外務省情報調査        局長       山下新太郎君        大蔵大臣官房審        議官        兼内閣審議官   土居 信良君        大蔵省主計局長  小粥 正巳君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省関税局長  長富祐一郎君        大蔵省理財局長  足立 和基君        大蔵省証券局長  角谷 正彦君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        国税庁次長    伊藤 博行君        文部大臣官房長  加戸 守行君        文部大臣官房総        務審議官     菱村 幸彦君        文部省初等中等        教育局長     古村 澄一君        文部省高等教育        局長       國分 正明君        文部省学術国際        局長       川村 恒明君        厚生大臣官房総        務審議官     末次  彬君        厚生大臣官房老        人保健福祉部長  多田  宏君        厚生省健康政策        局長       仲村 英一君        厚生省保健医療        局長       北川 定謙君        厚生省社会局長  小林 功典君        厚生省保険局長  坂本 龍彦君        厚生省年金局長  水田  努君        社会保険庁年金        保険部長        兼内閣審議官   森  仁美君        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        農林水産省畜産        局長       京谷 昭夫君        食糧庁長官    甕   滋君        通商産業省通商        政策局次長    南学 政明君        通商産業省貿易        局長       熊野 英昭君        運輸大臣官房審        議官        兼内閣審議官   金田 好生君        運輸省運輸政策        局長       塩田 澄夫君        運輸省航空局長  林  淳司君        郵政省電気通信        局長       塩谷  稔君        労働大臣官房長  清水 傳雄君        労働省職業安定        局長       岡部 晃三君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省住宅局長  伊藤 茂史君        自治大臣官房長  持永 堯民君        自治省行政局選        挙部長      浅野大三郎君        自治省財政局長  津田  正君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮下 忠安君    参考人        税制調査会会長  小倉 武一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○予算執行状況に関する調査参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 予算委員会を開会いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事勝木健司君を指名いたします。     ─────────────
  4. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 予算執行状況に関する調査を議題といたします。     ─────────────
  5. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) この際、委員長より申し上げます。  前回抜山映子君の質疑について、同君の発言中に不穏当な言辞があれば委員長において適当に処理されたい旨、民社党・国民連合理事より理事会に申し出がございました。  早速、委員長におきまして速記録調査いたしましたところ、その内容に若干不適切な箇所がございましたので、会議録上一部整理をいたしました。  以上でございます。     ─────────────
  6. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本調査のため、本日、税制調査会会長小倉武一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) これより抜山映子君の残余の質疑を行います。抜山君。
  9. 抜山映子

    抜山映子君 総理中国訪問大変御苦労さまでございました。  まず、この成果についてお聞きするのが一番いいと思うんですが、実は、前回リクルート問題についての質疑が冒頭のところで終わってしまいました。やはり続きの問題ということがございますので、恐縮でございますがリクルートの問題から聞かしていただきたいと思います。  このリクルートの問題は、総理大臣大蔵大臣ほか政界の中枢にある方が株の譲渡を受けたということ、これは安定株主とは到底言いがたいわけですね。さらに第二点は、リクルート子会社から低利の融資を受けて購入した方もあるということ。そして、値決めが千二百円という、この後に続きます第三者割り当ての半額以下であるということ。これらを総合しますと、不公正な取引であるということが言えると思うのでございます。総理、この点について御見解はいかがでしょうか。
  10. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 一つは、リクルート社が自分の会社の持っておるリクルートコスモス社の株を売却したときの価格と、それから第三者割り当てのときの価格に差があるではないかという問題が一つ。  この問題につきましては、私も、大蔵省先生方の問答を聞きながらのことでございますが、いわゆる決算対策で株を売却されたとするならば、それは、そのときの評価方法評価方法として正しかろうというふうに思います。  それから、俗に言われる七十六の対象というものの中で、決算対策であったら、いわばその原資を融資に仰ぐということはこれはあり得ることだというふうに思います。したがって、その最初の株式売却というものは、私自身、将来の値上がりを予測してその譲渡を受けたというふうには、必ずしもこれは考えられないではなかろうか、こういう感じがいたします。
  11. 抜山映子

    抜山映子君 普通、店頭登録する前は手続として安定株主工作を皆さんやるわけですね。関連会社に持たすとかあるいは従業員持ち株会に渡すとか、そういうことをやるわけですが、政治家に渡すというのではこれは安定株主対策ではない。しかも、この融資は、普通の第三者から融資を受けるというのであれば話はわかりますが、リクルート子会社からの融資でございます。しかも、登録時はもう四倍以上にもなっておる。これはどう考えても、国民の目からすれば、不公正な取引であるということが言えると思うのでございます。  ところで、証券取引法の第一条にはその目的が記載してございます。その目的のところでございますが、「有価証券発行及び売買その他の取引を公正ならしめ」、このように書いてございます。証券取引法の全条文の解釈に当たっては、この第一条がまず引き合いに出されて熟読玩味されなければならない。  そうしますと、証券取引法の第二十六条の解釈でございますが、従来大蔵大臣は、これは投資家保護であるから第二十六条は発動されないんだ、このように言われました。しかし、投資家保護と並んで「公益」という言葉がございます。証券取引法目的に照らしますと、この「公益」の中に公正な取引ということが当然入ってくるわけです。ですから、大蔵省としては、当然この二十六条の規定を発動しなければならないと思いますが、いかがですか。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この二十六条の「公益」というのは、私どもも慎重を期しまして政府部内でも専門家の御意見も聞いて解釈をしておるところでございまして、この「公益」は、証券取引法の定める法益としての公益というふうに解せられるべきであるというふうに専門家の御意見がなっておると思いますが、必要がございましたら御専門の方からお答えをお願いいたします。
  13. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 証券取引法の第二十六条といいますのは、今御指摘のように、公益または投資家保護のために必要かつ適当であると認められる場合に発動される。その場合の公益というものは、衆議院におきまして法制局長官から御答弁がございましたように、実定法である証券取引法法益に基づいて判断さるべきであるということでございます。この場合の公正な取引というのは、基本的には証券取引法というのが投資家保護目的とするということでございますので、一般的には、広く上場されて大衆投資家が買う可能性のあるそういった証券取引を中心にしてこの法律が構成されているわけでございます。  それから、具体的には証券取引法第二十六条というのは、これは第二章、つまり企業内容ディスクロージャーを定めたその規定を担保するための検査権限等を定めたものでございます。したがいまして、その発動につきましては、この企業ディスクロージャー制度の適正な運用を図るという観点からこれは判断されなきゃならないと、こういうことでございます。  具体的に申しますと、このディスクロージャー制度というのは、株式発行している会社に対しまして、その営業とか財務の内容、あるいは募集または売り出しを行います場合の発行条件、そういったものを投資家に開示いたしまして適正な投資情報を提供することによりまして投資家保護を図る、こういったことから発行会社届け出義務とかあるいは報告義務を課しているというものでございます。  したがいまして、現在リクルート社について問題となっておりますところの五十九年十二月の株式譲渡でございますが、これは不特定多数の者に対しまして均一の条件で売ることによりまして、届け出義務を怠っているかどうかといった問題でございますけれども、こういった場合にも問題となるのは発行会社行為、それが義務に違反するかどうかといったことでございまして、証券取引法の趣旨に照らせば、この株式を買いましたところの投資家に対しましてその責任があるというわけでは必ずしもないわけでございます。こういった意味から、今回のリクルート株式売却の件で問題となりますのは、発行会社において届出書提出義務違反があったかどうかといったことでございまして、これを買った人の個人名とか、そういったことには調査対象は及ばないといったことでございます。  なお、先ほど先生お話しございました点に関しまして、ファーストファイナンスから融資があったといったことにつきましてこれをどう考えるかという問題がございました。これにつきましては、先般もお答え申し上げたところでございますが、外から見てみますと、確かに常識的に、融資まで受けて何か株を安く買ったのじゃないかといったふうな疑念がないわけではないわけでございますが、私ども今まで事実確認した結果によりますと、この五十九年十二月の株式売却といったものはリクルート社決算対策として行われたと。リクルート社決算は五十九年十二月三十一日でございましたので、遅くともそのときまでに金を払い込んでもらう必要があった、したがってそのときまでに金が調達できない人については、ファーストファイナンスから金を貸して金を払い込んでもらったというふうなことを向こう側が供述しているといった事情もあわせ申し上げたいと思います。
  14. 抜山映子

    抜山映子君 この件については証取法第四条の届け出もされていない。それでも不公正ではないと、このように回答なさるわけですか。
  15. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) この証券取引法第四条に違反するかどうかといった問題につきましては、現在いろいろ事実関係あるいは法律関係について調査中でございます。  ほぼ事実関係についての調査を終えまして、現在早急に結論を得べく取りまとめを急いでいるところでございます。
  16. 抜山映子

    抜山映子君 七十六名にでしたか、二回に分けてやっている。その二回というのはごく接近しておりますね。何日ですか。
  17. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) リクルート社取締役会においてその売却の決議を行っているわけでございますけれども、五十九年十二月十九日が第一回目、第二回目が五十九年十二月二十七日でございますので、その期間は一週間程度でございます。非常に近接しております。したがいまして、そういった点も含めまして、それを一体行為として判断すべきかどうかという点を現在なお詰めているところでございます。
  18. 抜山映子

    抜山映子君 当然、一体として把握すべきですよ。これはもう証取法に違反していることは事実です。不公正取引に該当することも事実でございますので、大蔵省としてぜひ発動していただきたい。  新聞によりますと、この二十六条の規定を発動するということで当初大蔵省の幹部は息巻いておられたのではないですか。
  19. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 私ども証券取引法を執行する立場から、本件のケースについて証券取引法第二十六条が適用できるかどうかということについて法律解釈上のいろいろ勉強を行ったことは事実でございます。そういったことにつきまして内閣法制局ともいろいろ御相談し法律解釈を詰めた結果が、今申し上げた御答弁でございます。
  20. 抜山映子

    抜山映子君 新聞によると、政治家の名前が出た途端にトーンダウンしたと、このように記載してございます。いずれにしましても、国民から見て大変奇妙なものであるということは言えると思います。  ところで、私が大変疑問に思いますのは、店頭登録の際、当初の千二百円の四倍以上の五千二百七十円で初値がついている。これは大変に大きな金額で、ひょっとして株価操作が行われたのではないかということも疑われるわけです。だからこそ私は大蔵省に、証券取引法二十六条の規定を発動しなければならないのではないかと、このように申し上げております。大蔵大臣いかがですか、まず大蔵大臣にお願いします。
  21. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 六十一年の十月三十日にリクルートコスモス株店頭登録されました。そのときには江副さんの持ち株二百八十万株を分売したわけでございますけれども、その分売価格は五千二百七十円ということで初値がついたわけでございます。この価格につきましては、実はその当時におきます類似会社比準方式による評価参考にいたしまして、分売基準価格として四千六十円を最低価格として決めたわけでございますけれども、ただ、何といいますか、人気が強かったものですから、非常に購入希望者が多かった。こういったことから基準価格の三〇%を上限としまして、それが五千二百七十円でございますが、競争入札によって配分が行われたということでございますので、したがいまして、これについて株価操作その他があったという事実はございません。  なお、千二百円という価格でございますが、先ほども答弁総理大蔵大臣からございましたが、この点につきましては、これは五十九年十二月でございまして、実は二年近く前の価格でございます。したがって、その間、株式市況全体が非常に好況であったとか、あるいは不動産の、何といいますか、ブームによりまして不動産会社株価が一般に相当上がった時期でございます。したがいまして、そういった意味でこの千二百円の価格と五千二百七十円という二年後の価格と、そういったいろんな情勢があるものですから、これについて五千二百七十円が不当に高い、あるいは千二百円が不当に低いといったふうな評価は私は一概にできないのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  22. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御承知のように、株価操作証券取引法が最も厳しく規制をしている、禁じているところでございます。この点はいち早く調査をしておりまして、そういう事実はないというふうに聞いております。
  23. 抜山映子

    抜山映子君 株式の新規公開に当たって大蔵省の影響力が非常にあることは事実でございます。これはNTTの株についても国民のよく知っておるところでございます。したがいまして、この件について、果たして全くの影響力がなかったかどうかということが疑念として国民の持っているところなのでございますが、これ以上議論しても不毛の論議になりますので、問題点を指摘するにとどめます。  さて、この件につきまして、私は、憲法の国政調査権に基づきまして、江副さんの証人喚問を求めるとともに、七十六名ですかのリスト、それから第三者割り当ての名簿、ファーストファイナンスから融資を受けた人の名簿の提出を求めることにいたします。
  24. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまの件につきましては、理事会において協議いたします。
  25. 抜山映子

    抜山映子君 証人喚問できないということの理由として議院証言法が不備であると、このように申されておりますが、この議院証言法が改正されなければいけないと問題となったのは何年のことですか。
  26. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは私からお答えすべき筋合いのものではないと思いますが、もしお許しいただいて、政治家として記憶をたどってみろとおっしゃるといたしますならば、昭和五十四年が一番最後じゃないかなと思っております。たまたま党内に委員会ができまして私が委員長を務めたことがございますので、そのころだったかなと思います。
  27. 抜山映子

    抜山映子君 そうしますと、十年以上も放置していたということになるではありませんか。十年以上放置して現在生きている議院証言法、これを活用することができないというのは私は大変おかしな議論だと思うのですが、総理、いかがですか。
  28. 竹下登

    国務大臣竹下登君) どうもその問題については、やっぱり国会自身の問題でございますから、行政府の立場を堅持する私からお答えするのは非礼千万だと思います。
  29. 抜山映子

    抜山映子君 総理は行政府に入っておられない時期もあったと思うのでございます。ですから、そういう無責任な答えはできないと思うのです。議院証言法は今生きている法律でございます。十年以上放置しておいて、その法律に不備があるから議院証言法は使わないというのでは、これは法秩序の無視ということになると存じます。総理、いかがですか。
  30. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 議院証言法の生い立ち、昭和二十二年、ホイットニーさんがお見えになってそれからの歴史を私は個人的には深く勉強したことがございますけれども、今の問題は抜山先生、院の問題ですから、院の問題について、今、私は院から指名を受けた行政府の責任者ですから、そのコメントをすることはやはり秩序の上からも差し控えるのが節度であろうというふうに思います。
  31. 抜山映子

    抜山映子君 生きている法律を使わないということがおかしいではありませんかということを申し上げておるのです。
  32. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 議院証言法に基づいて証人を喚問してということをお決めになるのは院の行為でございますから、したがって、行政府の私からお答えするのは行政府として最も差し控えるべき節度の問題だというふうに、これは長い間私が申し上げてきておるところでございます。
  33. 抜山映子

    抜山映子君 十年以上放置されてきたということは、ほかの法律規定、国会法なり衆議院規則なり参議院規則なりにより、あるいは過去の慣行により、議院証言法の欠点はもうほとんどカバーできる状態であると思うのでございますが、この点について総理としての御見解をお願いいたします。
  34. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 議院証言法の問題を研究し合おうじゃないかというのは、国会の中で各党で協議をし出した課題でございます。したがって、やはり行政府の立場から私がコメントをすべきものじゃない、これはやっぱり行政府と立法府の一つの節度の問題じゃないかなと思います。
  35. 抜山映子

    抜山映子君 行政府に入っていらっしゃらないとき、それではどういう点が問題になっておりましたか。
  36. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは私から申し上げるのはやっぱり差し控えるべきでございましょう。実際問題、先生方みんな御承知の話でございますから、私から申し上げるべきことでなかろうと思います。占領下においてできたときの経緯からずっと私なりの論文もございますけれども、これはやっぱり今、行政府の立場でございますから差し控えさせていただきます。
  37. 抜山映子

    抜山映子君 明電工やリクルート事件の反省はやはり課税上の問題があると思います。このたびの原則一%課税では、大口取引投資家にとっては大変朗報ということになります。この点を税制改革の方でひとつ直していただきたい、このように思いますが、大蔵大臣、いかがですか。
  38. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、御承知のとおり、従来株式譲渡益、キャピタルゲインについては原則として非課税であったわけでございます。それをこのたび御提案いたしました税制改革におきまして、原則として課税にするということにいたしたわけでございますから、この点は大きないわば変化であった、あるいはお立場からいえば進歩であったとお考えいただくべきだと思うのでありますが、他方でただいまの税務体制というものが、株式の動きあるいは譲渡所得の発生について、これをすべて的確にとらえるだけの整備をしておりませんために、例えばよく言われます納税者番号でありますとか、よしあしは検討の対象でございますが、そういうことが備わりませんので、行政を完全に行うだけの整備が十分できていない。そういうことから原則課税といたしまして、その上で申告分離とそれから源泉分離、そういうことでいずれも課税にいたした。  そこまでは御承知のとおりでございますが、さてその場合に、従来何十回、何十万株という大口のものについて、いわば今度は新しい原則課税の中へそれが入ってしまいますから、そういう人たちはいわば幾らか楽になるのではないか、そういうお尋ねと思います。そういう問題はございます。ございますが、先ほど申しましたような意味で、制度を完全に実施するためになお整備をする条件が整っておりませんのでそういうふうにいたしましたが、この点はいろいろ国会などにおきましても恐らく御議論があって、いわゆる不公平税制の問題とどう関連するかという御議論については、私どもも注意深くそれを拝聴してまいりたいと思っております。
  39. 抜山映子

    抜山映子君 ひとつ短期、大口の売却益には課税していただくという方針で臨んでいただきたいと思います。  それから、新規公開の株を事前に取得して利益を得た者、これもその前後、年限を区切ってきちっと課税していただくようにお願いしたいと思います。この点についてもう一度御見解をお願いいたします。
  40. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この点は、どういうふうにその問題を定義するかとかいろいろな難しい問題がございますが、やはり今言われました一つの問題の関連といたしまして世論を伺っていきたいと思っております。
  41. 抜山映子

    抜山映子君 さて、総理は中国を訪問されて、いろいろ成果がおありであったと存じますけれども、特に中ソ和解の兆しを非常に強く見取られたと思うわけでございますが、このあたりについて、どのように日本のこれからの外交を考えるべきか、総理の御見解をまずお願いいたします。
  42. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今回、私お許しをいただいて中国訪問をさせていただいた。こういうことは、やはり日中平和条約十周年という年に当たります。そうしてまた李鵬さんも私も、新しい内閣総理大臣であるという意味もあろうかと思いますが、この十周年を契機として、一層の友好親善が増進されていく一つの契機となれば幸いであるという気持ちがまずございました。  その間のいわゆる中ソ関係についての私どもの会談でございますが、基本的に中ソ関係は、御案内のように、もとは三つあると言われておりました、アフガン問題、カンボジア問題、国境問題と。そのアフガン問題というのが一応大変な変化が生じてきた。それからカンボジア問題については、変化を生ずる期待感が持てるとでも申しましょうか、そういうことになってきた。あるいは国境問題等につきましても、したがって次官会談等が行われる環境が整ってきておるんではないかという感じを率直に私も会談の中で抱かせていただいたわけでございます。したがって、そのことは好ましいことではなかろうかというふうに、中ソ関係について私自身が感じたことを素直に申し上げる次第でございます。
  43. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 関連質疑を許します。勝木健司君。
  44. 勝木健司

    勝木健司君 三点ほど御質問させていただきたいと思います。  昨日、訪中の旅から帰国されました竹下総理に対しまして、まずは心から労をねぎらいたいと思います。  さて、今回の訪中の意義と成果につきましてまずはお伺いしたい。また、総理は、日中友好新時代を築き上げるという日中関係の再構築発言もされておるようでありますが、今後どのような対中国政策を進めていかれるつもりなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  45. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほども申し上げましたとおり、条約締結十周年、こういう切れ目でございます。中国関係を振り返ってみますと、例えば私なりに表現しますと、LT貿易時代というものが一つあったと思うわけであります。そして、その後が国交正常化以後、今日に至る間というようなものがあったのではないか。そして、若干のダブりはございますけれども、あえて第三期とでもいう言葉を使わしていただきますならば、開放体制、改革ということに対する中国側の意欲と、これに対応していく我が国の立場というようなことがあるいは第三期と言えるのではないかなというふうに思うわけでございます。  したがいまして、これを契機といたしまして、ちょうど投資保護協定が七年間かかりましたけれども調印の運びに至ったということでございますので、これは経済問題のことでございますけれども、両国間の交流が一層活発化することによって、単なる日中のためのみでなく、アジアの平和、世界の繁栄にこれがつながるものであろうという考え方を持つわけでございます。  いま一つは、歴史上の問題等今までいろいろな問題がございました。しかし、振り返ってみますと、それぞれはやはり友好という大きな枠の中で個々の問題を解決してきたわけでございますから、今後もこれだけ広範な関係になれば、いろんな問題が起こっても、それに対してはあくまでも日中共同声明、それから条約、それから四原則というまず立場に立って、大局的に話し合いで物を解決して、永遠の友好関係を構築していこう、こういう私なりの考え方でございます。
  46. 勝木健司

    勝木健司君 総理は、李鵬首相との会談などで、台湾問題につきまして日中共同声明の立場を堅持する、そしてその立場に立って台湾海峡の両岸の交流が発展することを期待するという趣旨の発言をしておられますけれども、我が国として、台湾問題については中国の主張する一国二制度による統一というものを支持される立場にあるのかどうかということをお伺いしたいというふうに思います。
  47. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 御指摘なさいましたとおり、マカオ、香港問題が解決され、そうして今おっしゃいました一国家二制度政策というようなことを標榜していらっしゃるということは私も十分承知しておりますが、それは中国の内政上の問題でございますので、私からとかくのコメントをするということはやっぱり差し控えるべきであろう。やはり日中共同声明第二項、第三項というところの基盤の上に立って、そして今、両岸の交流関係が促進されていくことに対しては心から評価をするという立場で対応すべきものであるというふうに考えております。
  48. 勝木健司

    勝木健司君 次に第二点でありますけれども、西安での内政懇談における責任のとり方等の総理の発言についてでありますが、税制改革法案の扱いについて、あくまで今国会での税制改革法案の成立に身命をささげるのかという問いに対して、そのとおりだと、そして今国会で成立しなかったときの自分の責任のとり方は政治家として承知しているという趣旨の発言をしておられますけれども、これはまず事実かどうか、お伺いをいたしたいと思います。  そして、それが事実であれば、責任のとり方は承知しているということはどういう意味でありましょうかということで、進退をかけるということでありますかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  49. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、税制改革という問題につきましては、私が大蔵大臣をしておった当時から通算しまして十年間、私なりに取り組んできた問題でございます。そしてまた、今国会を召集し会期等の御決定をいただいた国会のそもそもの意義というのは、税制改革法案を御審議いただいて、これの成果を上げたいという目的で国会をお願いしておるわけでございます。したがって、まずは今国会においてこれらの法案が処理されることを偉大なる期待を持って臨む、これが当面私のとるべき責任であろうというふうに考えておるところでございます。  したがって、これが挫折した場合にどうするかというイフ シュッドと、こういうことになりますと、率直に申しまして、今そういう偉大なる期待を持って臨んでおるときに、もし万一ということをまず念頭に置くべきものではないというふうに思っております。ただ、政治家の責任というのは、これは勝木委員政治家、私も政治家でございます。責任のとり方というものは、これは皆がいつでも心していなきゃならぬという一般論を申し上げたわけでございます。
  50. 勝木健司

    勝木健司君 最後の一点でありますが、外国人労働者の問題に関してであります。この問題についてきのうの夕刊等でも、総理訪中の際に中国側から公式に建設労働者の受け入れ要請があったというふうに報じられております。法務省の方針として、専門的な技術あるいは技能を有する外国人については受け入れる、そして一般的な単純労働者は制限するということでありますけれども、認めるとか認めないとかいう、そういう労働の線引きはどこなのかということをまず明確にしていただきたいと思います。  それと、現在一万一千三百七人に上る不法就労者というか不法入国者が統計に上がっているということでありますが、これは氷山の一角にすぎないというふうに思います。入国時のチェック機能は果たしてこれでいいのでありましょうか、お伺いをいたしたいと思います。  また、先月の十日付で発表されました総理府の調査でも、条件つきではあれ、外国人単純労働者を認める人が過半数にも上っているということであります。竹下総理は、昨年十二月のマニラ訪問の際に、多様な角度から慎重に検討するというふうにおっしゃっておられます。国際的、国内的両視点に立った、法が守られるような、現実に即した新しいルールづくりというものが今こそ必要だというふうに思われますが、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
  51. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、かなり突っ込んだお尋ねでございますので、詳細は担当からお答えをすることにいたしますが、今度の会談で出ましたのは、いわゆる建設事業への参入問題について内外無差別であるという従来の我が国の方針、それから対米関係、対ヨーロッパ関係等でいろいろ問題が整理されてきた今日でございますので、中国というものも建設参入についていわば平等であるかどうかと、こういうようなお尋ねであったわけでございますので、直接単純労働者の入国問題というとらえ方でお話ししたわけではございません。この問題につきましては、国民的なコンセンサスが得られるかどうか等多様な角度から今後とも慎重に検討さるべき問題である、単純労働者の問題につきましては、そのように一般的には私がお答えしておりますが、いささか突っ込んだ御質問でございますので、担当からお答えさすことをお許しいただきたいと思います。
  52. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 総理の御答弁に補足してお答えを申し上げます。  御指摘のように、現在、政府におきましてはいわゆる単純労働者は原則として入国を認めないと、こういう方針をとってきておるところでございます。そこでただいまも、昭和六十二年一万一千人ほど摘発をしておるという御質問でございまするが、そのとおり、昨年におきましては一万一千三百七人を摘発しております。また、六十三年の上半期におきましては既に七千百九十八人を摘発しておるのであります。摘発の前に、空港へ参りましたときに上陸を拒否しておりまして、その人数は六十二年が四千百五十一人であり、六十三年上半期におきましては既に四千三百八十人を拒否しておるという状況でありまして、大変厳格にこれに対処をしておるのでございます。  そこで今後の問題でありまするが、今、総理からもお答えがございましたように、国内の世論もいろいろ言われておりまして、これにつきましては慎重に今後検討をしていくということでございまして、法務省といたしましても、出入国管理及び難民認定法を改正しよう、こういうことを考えておりまして、そういう外国人労働者のいわゆるカテゴリーでありまするが、もっと明確にしてこれをはっきりわかるようにしていこうと、そういうようなことを中心にいたしまして、あるいは日本における雇用者について罰則を強化していくとか、そういうことを中心にして今いろいろ検討を重ねておりまして、できるだけ早い機会に国会に提案を申し上げたい、かように存じておるところでございます。
  53. 勝木健司

    勝木健司君 ありがとうございました。
  54. 抜山映子

    抜山映子君 総理にお伺いしたいんですけれども、中国を含め海外における日本に留学したい人間、あるいは日本語学習熱、これは大変盛んなものがございます。ところが、公費留学の場合は情報が入るんですが、私費留学の場合については日本留学のための情報が全く手に入らない、このような苦情を聞いております。日本文化センターあるいは領事館、大使館にそういう情報を置いておくということは必要でないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  55. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる文化交流、なかんずくその際の人的交流、その大きなウエートを占めるものに留学生問題があります。日本人で六千名ですか、抜山委員もフルブライトの留学生であった経験もあられるようでございますが、このたび留学生対策を特に打ち出したゆえんのものも、実はガリオア、フルブライトと続いた留学生対策で日本の頭脳に大変役立たせていただいたという経過にかんがみ、これから留学生対策に力を入れなきゃいかぬ。それがためには、国費留学生の場合は、それでもいろんな問題がございますが、それなりに一つの型と申しますか、そういうものが比較的容易に形成しやすいけれども、私費留学生ということになると、まずは情報を提供したり、あるいはこちらへいらっしゃる前の日本語の基礎教育をしたり、いろんなことが必要になってくるわけでございますので、それらの点を総合して留学生対策というものは、中曽根前総理が二十一世紀十万人、こういうことをおっしゃいましたが、今の伸び率でいけばそのことは十分可能性があるわけでございますので、それが質的に機能しますために、出先の大使館あるいは領事館等はもとより、我が方にもいろんな財団ができたりいたしまして、これらの周知徹底を十分図って留学生の方々の便宜に供さなきゃならぬというふうに基本的には考えておるところであります。  ごく最近、企業の独身寮の開放というようなものについても五百室とりあえず御提供いただけるということになりましたが、これもだれかが整理整とんをしてさしあげないとそれが機能しませんので、それらのことにつきましても内閣の内政審議室、外務省、文部省、それから企業から特に独等身寮を出していただく意味において通商産業省等で協議をし、具体案を得つつある今日であるということでございます。
  56. 抜山映子

    抜山映子君 さて、国際自然保護連合が、白保の空港建設は貴重なサンゴ礁の破壊になるのでこれに反対する、このように決議いたしております。この点について、一番影響力の大きい総理から、どのようにお考えか、御回答をお願いいたします。
  57. 堀内俊夫

    国務大臣(堀内俊夫君) 現在、御指摘のようにいろいろ問題があるようであります。  今、環境アセスの手順から、沖縄県自体が環境影響評価をしたところでありまして、これを受けて、その後国の段階になっていくと思います。公有水面を埋め立てる法律によって、その問題が出てくる段階で環境庁がこれに対応しなければならないと考えております。
  58. 抜山映子

    抜山映子君 当初二千五百メートルであったのでこの白保に候補の矢が立てられた。しかし二千メートルになったのならば、これは原点に戻って他の候補地も含めて方針が決められなければいけないと思います。いかがですか。
  59. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 石垣島の空港建設の場所の問題でございますけれども、これは第一義的には、沖縄県がこの空港の設置管理者でございますので、沖縄県が判断すべき問題であるというふうにまず考えるわけでございます。  そこで沖縄県は、この石垣島の新空港の問題につきまして、現在の空港の拡張も含めまして五カ所について当初土地利用状況とか、あるいは航空機騒音の影響といったようなものを比較検討いたしまして、最終的に現段階で白保の海上案が一番適切であるというふうに県としては判断をしたところでございます。  その後、アオサンゴの問題が生じまして、県の方といたしましては、昨年の八月にアオサンゴの群生に近い部分、これを縮小するということで計画変更いたしまして、その計画変更案が最適であるという沖縄県の判断のもとに現在県の方で環境アセスメントを実施中でございまして、その環境アセスメントの結果、その推移というものを政府としては見守って対処していくというのが、現段階で私どもとしては一番適切な対応であろうというふうに考えているわけでございます。
  60. 抜山映子

    抜山映子君 自然というものは、一部をどうこうしたから大丈夫だということではない、生態系の破壊ということにつながるので、ひとつ慎重に検討していただきたいと思います。  実は、きょうは高齢化の問題を重点的にお伺いしたかったんですけれども、時間の都合でできませんでした。  そこで、総理にお伺いしたいんですけれども、年金の一元化を行うということで、国民が大変に年金の行方を心配いたしております。安定した年金制度が守られるのかどうか、この点を総理からお答えいただきたいと思います。
  61. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 年金の一元化問題、たしか昭和七十年度をめどとして年金担当大臣というのを政府部内に置いて勉強を続けておる、こういうことでございます。  年金問題につきましては、やはり各党のプロの方にお集まりをいただきましたのが数年前であったと思いますが、そこでいわゆる基礎年金制度というのが確立をした、これが第一段階じゃなかったかなと思います。と同時に、今度は横から出たような話とでも申しましょうか、いわゆる国鉄共済を何とかしなきゃならぬというので国家公務員等共済組合法の改正をちょうだいいたしまして、それで昭和六十四年までの手当てが法律上はできておる。この六十五年度以降の問題とそれから七十年に至るところ一元化問題というのをこうした議論を通じながら積み上げていって、やはり基礎年金部分の一階、二階、そうした問題の整理整とんがなされていくことを私も期待をしておるということでございます。
  62. 抜山映子

    抜山映子君 終わります。
  63. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で抜山映子君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  64. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、矢田部理君の残余の質疑を行います。矢田部君。
  65. 矢田部理

    ○矢田部理君 小倉参考人大変御苦労さまです。  時間の都合もあるようでありますから小倉参考人に最初に伺いたいと思いますが、今回リクルートコスモスの株譲渡に関する疑惑が政治の大きな課題になっております。政治家を初め特定の人がぬれ手にアワで莫大な利益を得たということになるわけでありますが、これについてどんな感想を持っておられますでしょうか。
  66. 小倉武一

    参考人小倉武一君) ちょうど税制調査会が今回の抜本改正に関する答申を申し上げた後のことでございまして、感想と申しましても、税調で、もしそのころわかっておれば多少は論議になったり話し合いもあったかもしれませんけれども、全然税調の論議ではそういうこともありませんし、個人的な話し合いもございません。また、税調答申が済んだ後、全然税調の寄り合いがございませんので、皆さんがどんな御感触を持っておられるのかも私存じませんので、どうもちょっと申し上げようがございません。  ごくごく個人的な所見としては、税制上余り気持ちのよくない、何か雲のかかったような感じがいたします。
  67. 矢田部理

    ○矢田部理君 ある新聞社の会見で、「政治家には反省の色がみえない。残念だ」、「政治家がエリを正すことが大切だ」、「このままで押し切れると思っているのだろうか」ということを述べておられるんですが、感想はそのとおりでしょうか。
  68. 小倉武一

    参考人小倉武一君) 今のようなことは、税調の会長として総理に抜本改正についての答申を申し上げる際に口頭で、政治家の方々が襟を正すようなふうにひとつやっていただきたいという声が税調の中でも非常に強かったということを申し上げておきました。その時点の関連で言えば、当然そういうようなことをインタビューがあれば申したと思います。
  69. 矢田部理

    ○矢田部理君 政治家に一番大きな問題点があると思いますが、同時に、税調自身もこの問題は必ずしも明るい話題ではありません。リクルート汚染が税調委員の中にも相当程度広がっているというふうに思われますが、税調の委員及び特別委員はどんな基準で選考されたのでしょうか。
  70. 水野勝

    政府委員(水野勝君)  税制調査会には委員、特別委員専門委員がございます。「委員及び特別委員は、学識経験のある者のうちから、専門委員は、財政経済又は税制に関し専門的知識のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する」、このように規定されております。
  71. 矢田部理

    ○矢田部理君 甚だ漠としていて、基準たり得るのでしょうか。
  72. 水野勝

    政府委員(水野勝君) こうした審議会の例におきましては、すべて「学識経験のある者のうちから」というのが文言でございます。税制調査会は、税制につきまして調査審議をするという任務を負っておられるわけでございまして、税制に関し学識経験をお持ちの方の中から任命される、これが基準でございます。
  73. 矢田部理

    ○矢田部理君 特別委員は、いつ、何のために創設され、これはどんな基準で選ばれたのでしょうか。
  74. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 税制調査会に、特別の事項を調査審議するために必要があるときは特別委員を若干名置くことができるというふうな規定がございます。特別の事項の調査審議でございます。
  75. 矢田部理

    ○矢田部理君 まあ、適当に選べるというふうに聞こえてしようがないのですが、江副氏が税調の特別委員になっておりますね。これはいかなる基準でだれがリストアップをし、どんな経過で委員となったのでしょうか。
  76. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 昭和六十年の予算委員会におきまして税制につきましていろいろ御議論を賜り、税制の抜本的な見直しにつきまして当時の内閣総理大臣からお約束があったわけでございます。税制の抜本的見直しの審議の開始に際しましては、この税制の抜本的見直しという特別に調査審議すべき事項をもちまして特別委員が任命されたわけでございます。したがいまして、この場合の特別の調査審議すべき事項と申しますのは、税制の抜本的見直しということで申し上げるべきかと思います。
  77. 矢田部理

    ○矢田部理君 だれがリストアップして、どんな基準で選ばれたのか。
  78. 水野勝

    政府委員(水野勝君) ただいま申し上げましたように、六十年の抜本的な見直しに当たりまして、当時の内閣総理大臣から、通常の三十名の税制調査委員に加えまして、税制の抜本的見直しという特別の調査審議事項のために必要な者として十名の特別委員が任命されたわけでございます。  任命は、先ほど申し上げましたように、学識経験のある方の中から内閣総理大臣が任命をするということでございます。
  79. 矢田部理

    ○矢田部理君 中曽根総理大臣が直で任命をして、事務方は一切これにはかかわらなかったということですか。
  80. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 税制調査会は総理府に設置されておりますが、大蔵省主税局、自治省の税務局がその庶務をお手伝いするということに規定されてございます。したがいまして、私どもとしては、そうした任命手続の際の、例えば必要書類の整備でございますとか、そうしたお手伝いはいたすわけでございますが、任命権者そのものは内閣総理大臣でございますので、その任命の経緯等につきましては私どもつまびらかにする立場にないわけでございます。(発言する者多し)
  81. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) お静かに願います。
  82. 矢田部理

    ○矢田部理君 直で任命して、事務方は全然リストアップには関係なかったのかどうか。同じ質問。だめだよ。
  83. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  84. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。  水野主税局長、はっきり答弁をしてください。
  85. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 内閣総理大臣の任命される人事でございますので、私どもその詳細はつまびらかにいたしておりませんし、またその詳細、経緯等につきましては、人事の話でございますので差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、ただいま申し上げましたように、私どもその詳細をつまびらかに承知しているわけではございません。(「推薦も何もなしに決めたのか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  繰り返しで恐縮でございますが、こうした内閣総理大臣の任命人事でございますので、もちろん私どもは事務的なお手伝いはいたしますが、その実際のリストアップなりあるいは選定等につきましては、これに関与する話ではございませんので、そこは差し控えさしていただきたいと申しますか、そこまでの答弁でお許しをいただきたいと思うわけでございます。
  86. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  87. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの御質問でございますが、一般的にこのような場合、どのような経緯で任命が行われるかということを私の経験から申し上げますと、殊にこの場合には、特別委員ということで税制改革全般をやってもらうということでございますから、総理大臣の御発意で委員をお願いすることになったということは事実であったと思います。そういう場合、総理大臣の御意向を受けまして、大蔵省並びに自治省は、考えられるいわゆる学識経験者、こういう方々が適当であろうという人選は、普通の場合、やはり総理大臣がお考えになる参考資料としていたすことが通例でございます。総理大臣総理大臣でまた御自分のお考えもおありでございましょうし、事務当局が出しましたリストをごらんになってその中からお選びになる。  したがいまして、この作業は、総理大臣を事務当局が補佐しているということで関係をいたしておりますけれども、最終的な決定は、先ほど申しましたように、内閣総理大臣が任命をされる。それが通例の方式でございますし、この場合も恐らくそうであったろうと想像いたします。
  89. 矢田部理

    ○矢田部理君 リストアップしていないと言っている。答弁が違うじゃないですか。
  90. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、私の申し上げることに間違いがないと思います。総理大臣がこういう仕事をされますときに、事務当局が何もせずにということは普通ないことであって、やはり考えられる学識経験者の名前というものをかなり広く、この中から御参考にといって申し上げるのが通例のケースでございます。
  91. 矢田部理

    ○矢田部理君 そうすると、江副氏は、大蔵省の事務方がリストアップして総理のところへ持っていったと、こういうことですね。
  92. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはちょっと難しい御質問に入るわけで、そうは申し上げていないんです。事務当局はかなり広いリストをつくります。総理大臣はまた総理大臣のお考えがあるわけでございますから、任命が最終的にどういう経緯で行われたかは事務局としてはこれは申し上げられない、わからないと、こういうことを申し上げておるのだと思います。
  93. 矢田部理

    ○矢田部理君 それじゃ答えになっていない。一般論です。
  94. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは事実ですから、それ以上お答えのしようがない。
  95. 矢田部理

    ○矢田部理君 単純な問題で余り時間をとらせないでください。
  96. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔午前十一時十五分速記中止〕    〔午前十一時二十五分速記開始〕
  97. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。  再答弁をさせますから、要領よく質問してください。
  98. 矢田部理

    ○矢田部理君 質問が悪いんじゃなくて、答弁が悪い。これは、私はなぜ聞くかというと、疑惑の張本人だからですよ。  そこで、留保して次の質問に移りますが、小倉会長に、税調委員の中にも問題のコスモス株に関与した学識経験者などが相当いると言われているのですが、これについてどう考えますか。
  99. 小倉武一

    参考人小倉武一君) 私は余りそういう話は聞いておりません。
  100. 矢田部理

    ○矢田部理君 随分勉強不足だと思いますが、江副氏は、御存じのように、政治家を初め各分野の人々にコスモス株を譲渡した疑惑の張本人です。こういう人が税調委員になっていたこと、これについてはどう思いますか。
  101. 小倉武一

    参考人小倉武一君) 江副委員が在任中どういう発言をなさったか、私、よく記憶はしておりませんが、しかし、その中でも特に不動産関係につきましては時々発言されておった記憶がございます。なかなかまじめな御意見を吐いておられたと思います。  それから、その他の今のお話のような、また最近話題になっていますようなことについては、税制調査会の席ではささやきも何もございませんでしたから、私ども申し上げることはその点については全然ありません。
  102. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一人、歌川令三氏。これも税調委員です。一千数百万の売却益を得たということで毎日新聞社を辞職されました。この人も税調委員だ。これはどう思いますか。
  103. 小倉武一

    参考人小倉武一君) 歌川さんも無論税調委員であったことは御質問のとおりでございますが、リクルート問題が起こる前にたしか辞任された、これは社内の都合か個人の都合か存じませんが、ということであります。
  104. 矢田部理

    ○矢田部理君 さらに、公文俊平東大教授は税調の特別委員であったようでありますが、そのポストと役割はどんなことだったでしょうか。
  105. 小倉武一

    参考人小倉武一君) 公文先生は、最近、新しい内閣になってからの抜本改正のとき以来余り出席なさらなくなっております。前内閣のときの税制の抜本的見直しの際にはいろいろ発言もされるし、あるいは意見も出されるということであったわけですが、特に目立ってどういう主義主張を持っておられるかということについては、私、必ずしも明らかにしておりません。
  106. 矢田部理

    ○矢田部理君 この公文先生は、第三部会に所属をして部会長代理をやられたんじゃありませんか。
  107. 小倉武一

    参考人小倉武一君) 部会長代理という職責はたしかそうだったと思いますが、大体部会長が出てこられますから、部会長代理として部会を主宰するというようなことは余りなかったんじゃないかと思います。
  108. 矢田部理

    ○矢田部理君 その肝心の第三部会というのはどんな部会ですか。
  109. 小倉武一

    参考人小倉武一君) よく覚えておりませんでしたけれども、法人税と資産税それから間接税というようなものが審議の主要事項ということになっておったようであります。
  110. 矢田部理

    ○矢田部理君 歌川氏や江副氏はどの部会に所属しておりましたか。
  111. 小倉武一

    参考人小倉武一君) 歌川さんも第三部会であります。それからもう一人のお尋ねは江副さんですか、江副さんも第三部会に属しておられたようです。
  112. 矢田部理

    ○矢田部理君 その第三部会は、法人課税、資産課税、問題のキャピタルゲインとか土地税制、それから間接税の論議をする中心的な部会だったでしょう。その部会長代理の公文さんまでもコスモス株を買って大きな利益を得ていると指摘をされているんですが、御存じありませんか。
  113. 小倉武一

    参考人小倉武一君) キャピタルゲインの方は、何といいますか、小委員会の仕事としては別の委員会であったようであります。無論、当時の審議の状況におきまして、個々の所属する会社企業あるいは団体等の私的な利害関係に基づいて云々というようなことについては、毛頭私ども及びもつかなかったことであります。
  114. 矢田部理

    ○矢田部理君 公文氏の件については、英字紙まで、もう七月段階で、構造的インサイダー取引、こういうタイトルで、直接名指しで、税制調査会の委員であるが七十六名の受益者の一人であると指摘されてきたと報道をされておる。税調会長としてそういうことは知りませんでしたか。
  115. 小倉武一

    参考人小倉武一君) どうも世事に疎いせいか、私存じませんでした。
  116. 矢田部理

    ○矢田部理君 このようにして、政治家だけではなくて税調の中にもリクルート汚染が広範に広がっている。これでは公正さや客観性が要求される税調委員の資質に問題がありはしませんか。また、そういう人たちがつくった税調答申に国民は信用が置けますか。とりわけ、この資産課税などの論議が集中的に行われた第三部会の重要メンバーがリクルートにかかわっておるということになりますれば、その論議や答申に信頼性を持つことができないというのは理の当然ではありませんか。  会長として、ほかにもいろんな指摘をされている人がいないわけではありませんが、この税調委員についてリクルートコスモス株に関与をしていなかったかどうかを早急に調査の上、その内容を明らかにして報告すべきだと思いますが、いかがですか。
  117. 小倉武一

    参考人小倉武一君) 税制調査会の委員の中で、今お話しのように、いろいろ疑惑の目をもって見られる方がおったといいますか、あるいは現におられるということは甚だこれ残念なことであります。  しかし、一人一人の税制調査会の委員につきまして、税制調査会としてどうこうという調査をしてというようなことは仕事の範囲外だというふうに思います。これは任命権者である役所の方で、必要ならばお調べになって処置されるということが適当かと思います。
  118. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、今のお答えには賛意を表しがたいのでありますが、そして同時に、その人たちが、先ほど会長から一部御紹介がありましたが、税調の中でどんな発言をされたのか、どんな役割を担われたのか、これを明らかにする必要がある。その意味では、税制調査会の各議事録、これをこの際公表して、国民の前に全体像を知らせるべきだ。そういう責任が会長にもおありになると思いますが、いかがですか。
  119. 小倉武一

    参考人小倉武一君) 昔は税制調査会の、特に総会の議事などは速記録になりまして、少なくとも委員には配られておったそうですが、昨今はもう大変頻々に会合がございます。そして総会よりは、まあ総会よりはと言うと語弊がございますが、総会と同時に、お話しのような各部会といいますか小委員会で実質的な討議をされるということも非常に多くなってまいっております。したがいまして、速記あるいは議事録の要旨はあるいは役所の方にあるのかもしれませんが、印刷にして配付するということは総会についてもいたしていないようであります。何でも金がかかってとても追っつかないというようなことを主税局の係は言っております。したがって、速記でもってどうこうする、トレースするということはなかなかこれは難しい、量的にも大変なことだと思います。  それからもう一つ申し上げますが、少人数の委員会でありますれば、個々の委員の発言が非常に重要視されるということもありましょうが、とにかく五十人にもなんなんとする、あるいはそれを超すような大きな会合で、しかも人の出入りといいますか、出席あるいは欠席がまちまちでございまするから、無論五十人そろっての会議ということにはなりませんが、それだけに、だれが何をお話しになって、その意見が結論としてどう反映したかというふうにトレースすることは、これはほとんど不可能に近いと思います。  また、五十人の意見を集約して答申を申し上げるわけですから、その答申のどこのどういう部分に個人的にこの人の主張、この人の意見が反映されておるかということを申し上げることはなかなかできないと思います。まあ作業上できないと。また、できてもそういうことが適当かどうか、個人の名前を挙げて、この部分はこの人の意見に基づくというようなことを申し上げてもいいのかどうか。というのは、一人の意見でこの条文なりこの条項が生まれたというようなことは私の記憶にはございませんので、多人数がかかわっておるというようなことでありますから、その中から一、二の方の名を特定して、そしてそれが最終的な結論にどういう影響を及ぼしておるかということをトレースすることは難しい、恐らく至難だろうと思います。  また、一人一人の御意見は無論ございますけれども、その一人一人の意見が個々に最終的答申にあらわれておるということを、私の記憶から申しましても一つや二つはありそうなものですけれども、例示をすることができないくらいに、だれの発言がどう結論的に反映しているかということを脈絡をとってお示しすることは、これはほとんど不可能だろうと、こう思います。
  120. 矢田部理

    ○矢田部理君 小倉さんは、今度の法案に盛られた株式売却益課税の強化策は新規公開株の扱いを十分考慮しておらず不十分だ、消費税についても、帳簿方式に簡易課税制度を大幅に採用した結果、徴税漏れの起きやすいあいまいなものだと痛烈に批判をしておられますね。  こういう素地がどこにあったかといえば、もともと税調答申にもその土台がある。しかも、その税調答申の中枢の部会、第三部会にリクルート疑惑の人たちが数多くかんでおられる。これではもともと答申そのものに多くを期待できないと言われても仕方ないのでありまして、その点では、会長としてその疑惑の根源を断つためにも全容を明らかにする必要がある。議事録を含め、関係者の、疑惑の対象者を全面的に洗い直してここに詳細に報告していただきたい、特に強く要望をしておきたいと思います。答弁があれば……。
  121. 小倉武一

    参考人小倉武一君) ただいまのお話は御要望として承っておりましたけれども、仮に御要望ではなくて、そういうことをしたらどうかというふうなお尋ねであれば、私どもは、先ほど申しましたように、それは至難のことである。  とにかく、私どもの事務局というのは役所ですから、結局役所がするということになるかもしれませんが、役所がおやりになるのは、これはやってはいけないというふうに私は言うわけにはまいりません。
  122. 矢田部理

    ○矢田部理君 これは、後ほど政府にも要望したいと思いますが、委員長としてもその辺を強く要請していただきたいと思いますが、いかがですか。
  123. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまの件につきましては、理事会において協議をいたします。  関連質疑を許します。久保亘君。
  124. 久保亘

    ○久保亘君 今、矢田部委員の方から税調の委員並びに特別委員に関するリクルート疑惑との関係についていろいろお尋ねがございました。  この際、文部大臣にお聞きしておきたいのでありますが、国立大学の教授が政府の審議会や委員会の委員になります場合には、文部大臣は事前にその協議を受けられることがありますか。
  125. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 国立大学の教授は、各種審議会の委員には発令はされますけれども、そのことにつきましては、事前の御相談等は文部省は受けておりません。
  126. 久保亘

    ○久保亘君 同一人がいろいろな委員会に委員として任命をされる傾向が非常に強くなっております。このことは非常に問題だと思うのでありますが、文部大臣にぜひお聞きしたいのは、国立大学の教授が税制調査会の特別委員に任命されて、しかもその方に関してリクルート問題に関する疑惑が報ぜられるというような状況があることについて、文部大臣のお考えを伺いたいと思うんです。
  127. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 久保委員から突然の御指摘でございますが、今の、ちょっと聞き落としておるかもしれませんが、大学の委員で……
  128. 久保亘

    ○久保亘君 教授。
  129. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 教授でございますか。残念でございますが、寡聞にして聞き及んでおりません。
  130. 久保亘

    ○久保亘君 大学の教授がこれらの審議会の委員などに任命をされる、そのことは文部省は関知していないということでございましたね。同一人が多くの委員会の委員になるということをどう思うかということが一つ。  それからもう一つは、今、公文教授の名前がここで出て議論されているわけですが、国立大学の教授である人がこのような問題にかかわるということをどう思いますかということを聞いているんです。これは事務局が答える問題じゃないんだ。大臣に聞いているんです。
  131. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 文部省関係でもいろいろの審議会がございます。国家行政組織法による第八条機関にかかわるものが多いと思いますが、その場合には、それぞれ関係法令がございますので、関係法令に準じまして適正に委員を任命いたす。同一の方がそれほど深くいろいろオーバーラップして任命が多いかどうか、つぶさに調べてございませんけれども、そういうことがあるとすれば、人材の面で、ある意味ではそういう面があろうかもしれないなと。しかしこれは、大体の場合には、教育関係者並びに一般の社会人としての学識経験者をそれなりに入れろという性質の場合もございますので、そういう範囲で適正に選任をいたしておるものと、このように考えております。  また、私もちょっと不勉強でございまして、大学の一教授のことについて御指摘でございますけれども、これは現在、現行制度の中での証券取引に関しますそれぞれの御責任においての問題であろうと思いますので、私からはそれについて特にお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  132. 久保亘

    ○久保亘君 文部大臣がそういう認識では困るので、公文さんはどういう委員会に属しているかといいますと、今、政府がやろうとしている三大改革に関して全部、政府の委員になっておるんです。第一、臨教審の専門委員をされたでしょう。それから臨時行政改革推進審議会の委員もされたでしょう。そして税制調査会の特別委員になっておる。三大改革に皆かかわっておる。そのほかにも委員をいっぱい、私的な、特に中曽根さんの関係するものにはほとんどこの人が入っている。江副さんも同じような形で、三大改革に短期間の間に皆かかわってきた。そして、この人たちがそれらの委員会の中でつながっていくんです。それで今度のような問題が起こるのです。  こういうことに対しては、法律の枠内でやられたことだから私は何も言えないという問題じゃなくて、これは特に教育にかかわっておる大学の教授がそのような問題にかかわるとすれば、このことに対しては文部大臣として一言あってしかるべきじゃないですか。
  133. 加戸守行

    政府委員(加戸守行君) 国立大学の教授が各種審議会の委員等たくさんの委員を兼務されるような事例につきまして、一般的には、このような取り扱いにつきましては大学長にその取り扱いが任されているところでございますけれども、一般論といたしまして、たくさんの役職につきますために本来の大学教授の仕事に影響を与えないような、そういった指導は、文部省として一般論としてはいたしておるところでございます。
  134. 久保亘

    ○久保亘君 余り無用な答弁は要らぬから、聞いたことに。  文部大臣のお考えを聞きたい。文部大臣、私はあなたに聞いているのだ。
  135. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 御指摘の点につきましては、個人のお名前を挙げてのことでございますが、その方がどのように関与しておられるのか、私も実はちょっと不勉強でつまびらかにしておりません。恐らく、それぞれはそれぞれの御責任において行動なさっておられることでございますので、これに関しては私から、今、不勉強の点もあろうかと思いますが、どのように関与されておられるのかちょっとつまびらかに私知識を持っておりませんので、それについて言及することは避けさせていただきたいと思っておるわけでございます。
  136. 久保亘

    ○久保亘君 一般論としてはそれでいいが、もし具体的にそういう事実があった場合に、文部大臣としてはどういう立場をとられるのか、それを聞きたいんです。
  137. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 固有のお名前を出されますとこれはよく調べないといけないわけでございます。したがって、御質問を返させていただいて、一般論といたしまして、実際に好ましくない事実というものが一方で明らかになりました場合に、そういう方が教育関係に関与しておられるということが、全く一般論で、好ましい面と好ましくない面が教育というものの中で一緒になった場合には、好ましくないものという事実が教育に関与されておったということがあった場合には、それは好ましくないことであると私は思います。
  138. 久保亘

    ○久保亘君 そうなれば、やっぱり事実を明らかにしなければいかぬのであります。  最後に一つお聞きしたいのは、西安で総理大臣は、資料要求等について、国政調査には政府としても協力すべきだという意味のことをおっしゃったと報ぜられておりますが、間違いありませんか。
  139. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これはかねてから申し上げていることでありまして、国政調査権に関して行政府は資料提出要求等について最大限の協力をするということは、前々から私が思っておるところでございます。
  140. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで、資料提出の問題でありますが、先ほど参考人にもお願いをしました。しかし、政府ができることでもありますから、まず第一には、税調の部会及び全体会議にかかわる議事録を全部提出して、リクルート疑惑にかかわった人たちがどんな発言をしたか、どんな役割を果たしたか、これを明らかにすべきだということで政府に提出を求めたいというのが第一点であります。  二番目には、総理大臣が選んだ税調の委員であります。この人たちに大変な疑惑がかかっている、答申の信頼性にもかかわる。また、それが土台になって税法各法案が出てくるわけでありますから、その点では、税調委員の中でどんな人が疑惑にかかわったのか、その内容を明らかにしてここに報告すべきであると思いますが、いかがですか。
  141. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) おっしゃっております意味がわからないではないのでございますけれども、およそ政府が、例えば税制調査会のようなものを設けまして広く学識経験者の意見を聞こうということの趣旨は、できるだけ自由に、またバラエティーに富んだ人々の意見を聞いて、いわゆる調査会が官僚化するといったようなことがないようにするのが私は本来の趣旨であると考えております。したがいまして、その委員になられた方々が違法なことをなさっていたならばこれはもう論外でございますけれども、その方々はおのおの自由に自分を律しておられるのでございますから、どういうことをやっていらっしゃるかということは、本来私はプライバシーに属することであろうと思うのでございます。そこを非常に厳しくいたしますと、やはり調査会のようなものは極めて官僚化しやすいということで、本来、調査会といったものを設ける趣旨はそういう趣旨ではなかろうかと思うのでございます。  今回の出来事は、いろいろ世の中から注目を浴びましてまことに遺憾な点がございますけれども、その税調委員のお一人お一人、これは厳密な意味での国家公務員とか地方公務員とかいう方々ではありませんで、いわば自由業の方あるいは実業家が多いのでございますので、そういう方々にそこまですることが本来適当なことであろうか、今後のまたそういう調査会等々の人選のことも考えますと、そういう点も考えてみなければならないのではないかと考えております。
  142. 矢田部理

    ○矢田部理君 税制の一番ポイントになる部分、資産課税とか間接税を審議する第三部会の委員の相当数がこのリクルートで汚染をされている、重大な利害を持っている。この人たちに公正な議論が期待できますか。税調委員以外は私人かもしれません。少なくとも税調にかかわる以上は公人的な性格を持っている。この人たちが、キャピタルゲイン課税や土地税制をどうするか、ぎらぎらした利害や未公開株の譲渡で莫大な利益を得ている。これでは国民は、そこから出てきた答申やそれを土台にした税制について信用しないのは当たり前じゃありませんか。その全容解明がこれは不可欠のものだと私は思う。  再度、今の二つを強く求めたいと思います。
  143. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど申し上げました税調の委員というのは、広い意味ではそれは公務をおやりになるわけでございますけれども、私どもが言う意味での常勤の国家公務員あるいは地方公務員という方々とは違いまして、おのおの自由な実業あるいは学問あるいは言論等々をやっていらっしゃって、その方々の、いわゆる官僚化していない経験なり意見なりを聞くというのがああいう調査会の本来の目的であろうと思うものでございますから、そういう意味で、いわば角を矯めて牛を殺すような結果になることはいかがなものであろうか。そしてそういう方々が、実はここは人選の問題になるわけでございますが、先ほど税調会長も言われましたように、自分の私利私欲と申しますか、利益の立場から発言をした記憶は自分にないと言っておられますところからも、そこはわきまえてやはり発言をし協議に加わっていただいておるものと存じます。  かれこれあわせ考えまして、矢田部委員の言われますことが人選について十分注意をしなければならないという意味での御指摘であればまことにさように思いますが、今後のことも考えますと、そのようないわば自由な方々の知恵をかりるこういう場において、余り厳しい、やはり義務と申すのでございましょう、それを課すような先例を残すことは果たしていかがなものであろうか。いろいろに考えなければならない問題かと存じます。
  144. 矢田部理

    ○矢田部理君 委員長にお願いしておきたいと思いますが、大蔵大臣の言われるのは一般論として私もわかるんです。しかし、これだけいろんな疑惑や問題が指摘された中では、この疑惑解明をやっぱり基本的にやるということがポイントなのでありまして、その立場に立てば、私の要求は無理からぬところだというふうに御理解をいただけると思います。ただ、どうしても同じ答弁の繰り返しではいたし方ありませんので、竹下総理大臣も国政調査にはできるだけ協力すると言っておりますので、国政調査の一環として、委員長としてぜひ善処されたいというふうに希望しますが、いかがでしょうか。
  145. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御趣旨の点も十分踏まえて理事会で協議をしていただき、対処したいと思っております。
  146. 矢田部理

    ○矢田部理君 次の質問に移ります。  警察及び法務省に伺いますが、リクルート疑惑の問題の重要な一つは、刑事捜査の問題であります。川崎市の小松前助役その他リクルート関係についての捜査等はどんなふうになっているでしょうか。
  147. 中門弘

    政府委員(中門弘君) お尋ねの件につきましては、現在、神奈川県警察におきまして情報収集に努めているところでございまして、その過程で刑罰法令に触れる事実を把握いたしましたならば、適切に対処してまいる所存でございます。
  148. 矢田部理

    ○矢田部理君 法務省、どうですか。
  149. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 専門家でいらっしゃいますから十分御理解いただいていると思いますけれども、現在、捜査しているとかいないとか言う立場でございませんので、その辺、御了承願いたいと思います。  ただ、大臣もたびたび申し上げておりますように、国会の御議論というのは十分検察当局も拝聴しているはずでございます。そういう拝聴した上で、もしそこに犯罪が伏在するとすれば、適切に対処するというふうに考えております。
  150. 矢田部理

    ○矢田部理君 私どもからすれば、典型的な贈収賄罪だ、少なくともその立場で捜査をやるべきだという考え方でありますが、何が問題なんですか。いつまで情報を収集しているんですか。
  151. 中門弘

    政府委員(中門弘君) 個別具体の問題につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論として申し上げるならば、事案の内容によりましては、事実関係の把握に相当の期間を要するものも少なくないわけでございます。
  152. 矢田部理

    ○矢田部理君 なぜ結論が出ないのかということをめぐって、随分いろいろな議論や見方があるわけです。いろんな筋から圧力がかかっている、ここが問題になれば状況が中央に波及するという見方もあるし、指摘もあるわけでありますが、一つには、警察自身がリクルートと少し密に過ぎるんじゃありませんか。そういう状況はありませんか。
  153. 中門弘

    政府委員(中門弘君) 事案の処理におきましては、刑罰法令に触れる事実がありますれば適正に対処するという方針で臨んでいるところでございまして、他の要素によりましてこの方針が左右されるということはございません。
  154. 矢田部理

    ○矢田部理君 警察の幹部でリクルートグループに天下りをしている人はいませんか。
  155. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) ちょっとそういう話を聞いて調べたのでございますが、警察庁のOBにはそういう者はおりませんでした。それで、よく調べましたら、警視庁で二人いるというのがわかった、その程度でございます。
  156. 矢田部理

    ○矢田部理君 いつごろ、どんな立場の人が、だれが天下りしたか、お答えください。
  157. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 警視庁のOBでございますが、昭和五十九年の秋に一人、昭和六十三年の春に一人、株式会社リクルートの顧問として再就職したということでございます。
  158. 矢田部理

    ○矢田部理君 当時の役職、それから名前、リクルートにおける役割。
  159. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 五十九年の秋、株式会社リクルートの顧問として再就職したのは警視庁の元方面本部長というふうに聞いております。もう一人のことしの春に再就職した者については承知しておりません。
  160. 矢田部理

    ○矢田部理君 その役職、氏名を聞かせてください。
  161. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 私ども一緒に仕事をした者ではないものですからよく存じませんが、麻野何がしという人間でございまして、そこまで御質問があるとは存じませんでしたから、申しわけないんですけれども、調べてまいりませんでした。元方面本部長麻野何がしでございます。
  162. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一人は。
  163. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) もう一人は存じておりません。承知しておりません。後ほど……。
  164. 矢田部理

    ○矢田部理君 質問通告しているでしょう。
  165. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) そこまでお聞きしておりませんでしたので、後ほど調べまして御報告申し上げます。
  166. 矢田部理

    ○矢田部理君 これはもう有価証券報告書にも出ているんですよね。今、麻野忠雄氏は常勤監査役をやっている。もうお一方もいる。これを明らかにしていただきたいが、どういういきさつでリクルートへ行きましたか。
  167. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 何分にも地方機関であります警視庁のことでありまして、私どもは十分に承知しておりません。
  168. 矢田部理

    ○矢田部理君 なぜ問題にしているかといえば、それらの人がリクルート疑惑をつぶすためにいろんな工作や動きをしているからであります。それが捜査のブレーキの一つになっていませんか。
  169. 中門弘

    政府委員(中門弘君) 現在までのところ、御指摘のような事実はございません。
  170. 矢田部理

    ○矢田部理君 二番目に、財団法人公共政策調査会、これはどんな団体でしょうか。
  171. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 公共政策調査会と申します団体は、社会の安全と安定に資するという視点から、広く内外の公共問題について調査研究を行い、関係方面に政策提言などを行っていくということを目的といたしまして、そういう趣旨に賛同する民間企業が中心となって設立され、運営されております財団法人でございます。
  172. 矢田部理

    ○矢田部理君 これは、いつごろ、だれの発案でつくられたものでしょうか。
  173. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 設立されましたのは六十一年でございましたが、その設立の経緯というのは私どももよくわからないのでございます。民間企業の方々が数人お集まりになって、こういう趣旨でこういう団体をつくろうということで動き出したと聞いております。(「ちゃんと答えろ、ちゃんと」「いいかげんな答えじゃだめだよ」と呼ぶ者あり)  もう一度つけ加えて申し上げますが、よくわからないのはわからないんですけれども、先ほど申し上げましたような研究機関の必要性を感じた経済同友会メンバーから成る民間企業の有志グループという方々がこういう構想を取りまとめて提案された、こういうことでございます。
  174. 矢田部理

    ○矢田部理君 逆じゃありませんか。  前の山田英雄警察庁長官のツルの一声で動いた。警察のOB幹部が財界グループを、いろんな組織を広げるために動いているんじゃありませんか。
  175. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 先ほど御答弁申し上げましたのが事実であると承知いたしております。    〔資料配付〕
  176. 矢田部理

    ○矢田部理君 今、資料を配りましたが、こういう人たちがこの中枢に警察の幹部として乗り込んでいることはお認めになりますか。
  177. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) いただきました資料、そのとおりでございます。
  178. 矢田部理

    ○矢田部理君 今の理事長や専務理事はどなたですか。
  179. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 理事長は山本鎮彦氏、専務理事は金子仁洋氏でございます。
  180. 矢田部理

    ○矢田部理君 いずれも警察を退職。あわせて、当時現職の官房長が入っているのはどういうわけですか。
  181. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 先ほど申しましたように、この団体の目的は、社会の安全と安定を図る見地から種々の調査研究をするということでございまして、警察庁が主管官庁となっておる関係で評議員に官房長が一人入っておる、こういうことでございます。
  182. 矢田部理

    ○矢田部理君 主管官庁だと官房長が入るのが常ですか。現職の官房長は仕事として入っているんですか、これは。
  183. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 主管官庁なら官房長が入るのが常かどうか私は存じませんけれども、ともかく、先ほど申しましたような目的をもって調査研究をする公益法人でございまして、警察の仕事とも関係があるということで評議員に入っておる、こういうふうに承知しておるわけでございます。
  184. 矢田部理

    ○矢田部理君 同じ評議員に江副氏は、いつから、どんないきさつで参加しましたか。
  185. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 江副さんにつきましても評議員になっておられます。時期は、調査会設立の当初、昭和六十一年の十二月からでございます。
  186. 矢田部理

    ○矢田部理君 どんな経過で評議員になっていますか。
  187. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) どういう経過でお入りになっておるかは私どもは承知しておらないわけでございます。
  188. 矢田部理

    ○矢田部理君 入会金や会費は幾らになっているでしょうか。
  189. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 入会金は一千万、年会費は百二十万と聞いております。
  190. 矢田部理

    ○矢田部理君 一千万円の入会金というのも大変な金額ですよね。  江副さんが評議員になったほかに、リクルートグループが会員として今度は参加しているんじゃありませんか。それは、いつ、どんないきさつで参加しましたか。
  191. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 株式会社リクルートは、約百社あります会員の一つでございます。この会社が会員になられたのは、この団体ができましてから半年ぐらいたってからでございまして、どういう経緯かは私どもは承知しておりません。
  192. 矢田部理

    ○矢田部理君 この調査会の財政とか支出はどういうふうになっていますか。
  193. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 突然のお尋ねでございまして、私どもは今ここで把握しておりません。後ほど御報告をさせていただきます。
  194. 矢田部理

    ○矢田部理君 財界の人たちはお金を出すのが中心で、実際は理事長と専務、先ほどのお二人が常勤職。このお二人に年間二千五百万円支払っているわけですね。そういう財団法人でしょう。
  195. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) せっかくのお尋ねでありますが、そういう点につきましても私は今承知しておりません。
  196. 矢田部理

    ○矢田部理君 きのう通告しておるんです。何を調べてきたんですか。何を管理監督しているんですか。
  197. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 御通告をいただきましたので、その組織その他については調べてまいりましたが、財産状況、数字の問題につきましては調べてこなかったわけでございます。
  198. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  199. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。
  200. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 御質問をいただきましたことにつきましては、後刻御報告をさせていただきます。
  201. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  202. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。矢田部君の残余の質疑は、後に譲ることといたします。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後二時十分開会
  203. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 予算委員会を再開いたします。  午前中に引き続き、矢田部理君の残余の質疑を行います。  森田官房長
  204. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 幾つかの問題につきまして調べてまいりました。  最初に、警視庁からリクルートに再就職した者でございますが、先ほど申しましたとおり、一人は方面本部長をやっておりました麻野忠雄でございます。もう一人の方、ことしの春でございますが、再就職いたしましたのは、長い間警視庁に勤めておりまして、六十三年の三月十六日、警視庁警務部付ということで退職いたしました田村隆司という男でございまして、これがリクルートの顧問になったわけでございます。
  205. 矢田部理

    ○矢田部理君 そのときの警視庁での地位は。
  206. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 警視庁警務部付……
  207. 矢田部理

    ○矢田部理君 その前は。
  208. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) その前は大学校の教授でございました。
  209. 矢田部理

    ○矢田部理君 警察大学校。
  210. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) はい。  それから、収支の状況についてでございますが、私どもが報告を受けております報告書によりますと、六十二年度の数字でございますけれども、これは立ち上がりということで平年度とは随分姿が違うと思いますが、約八億二千万の収入、八億一千万の支出ということになっております。平年度になるとどうなるかということでございますが、これはまだわかりませんけれども、先ほどちょっと申しましたとおり、会員が百社でございまして、年会費百二十万ということでございますから、計算いたしますと一億二千万、それに入会金の百社分、約十億、それの運用益がこれにつけ加わろうかと、こういう状況でございます。
  211. 矢田部理

    ○矢田部理君 先ほど官房長が、監督官庁として入っていると。財団法人を認可した監督官庁が入っているなんというばかなことはないのでありまして、そんな例は聞かないんですが、どうですか。
  212. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) お答えいたします。  これもいろいろの例をちょっと調べてまいりましたけれども、警察関係の法人も三十三ばかりございます。そういうところに、これは目的によって違いますけれども、官房長として入っているのはほかにないと思いますが、いろいろの現職の立場にある人間が評議員ということで入っておる例はかなりございます。これは、他官庁の分はよく存じませんけれども、私どもの聞いておりますところでは珍しい例ではないということでございまして、評議員ということでございますので、そういう例は数々あるということを一応今調べてまいりました。
  213. 矢田部理

    ○矢田部理君 じゃ、ほかの財団法人での例を挙げてください。
  214. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 今すぐ全部というのはちょっとわからないんですけれども、例えば警察育英会というのがございます。そういうところのたしか評議員には入っておると、こういうことでございます。
  215. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、官房長が入り、それから大阪府警の本部長になってもなおかつまた現職でいる、こういうことはやっぱりやめてもらいたい、やめなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
  216. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 先ほどいただきました資料には新田勇大阪府警本部長とありますけれども、あれは当初官房長として入っておりまして、ただいまは私が評議員になっております。
  217. 矢田部理

    ○矢田部理君 監督官庁の官房長がこういう生々しいところに入っている。全部財界が銭を出している、こんなところでうろうろすべきでないと思いますが、いかがですか。これは国家公安委員長に聞きましょう。
  218. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) それぞれの財団法人の持つ使命、任務、そういうものに応じまして当該官庁が連絡調整をいたさなければならない、また連絡調整をすることが大変利便だという場合には、役員としてではなく、評議員として入ることが望ましい場合もあるわけであります。一般論でございますが、そういうことでございます。  御指摘の調査会について、私も承知をいたしておりません。よく調べまして、ここに官房長が入っていることがいいかどうか、この問題は検討させていただきたいと思います。
  219. 矢田部理

    ○矢田部理君 先ほど官房長は財界主導でつくったものだという話をされましたが、果たしてそうでしょうか。六十二年六月二十九日に理事会と評議員会が開かれておりますが、その出席者名を明らかにされたい。
  220. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) まことに申しわけないんですけれども、今、手元に持ち合わせの資料がございませんので、後ほど御報告させていただきたいと思います。(「後でいいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  221. 矢田部理

    ○矢田部理君 いや、この財団法人の性格が如実に出ているんですよ。
  222. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 矢田部君……
  223. 矢田部理

    ○矢田部理君 いや、今答えを求めている。
  224. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 今、申し上げましたとおり、ちょっと手元に最初のときの会議出席者の名前は持っておりませんけれども、ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、この財団法人は、社会の安定と安全を図るために、人心に不安を生ぜしめるような諸問題について重大な関心を持って対応し、ひいては社会の発展に寄与していくということが各種企業にとりましても社会に対する責任だというような考え方から、何人かの方々の発起がございまして、それで警察とも連絡をとって、警察庁といたしましても、そのことが公共の福祉と社会の安全と秩序のために有用だという判断に立ちましたものですから、この財団法人の設立を認めたと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  225. 矢田部理

    ○矢田部理君 理事会と評議員会の出席者を聞いているんですよ。
  226. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 設立のときの手続その他につきましては、財団法人の方の報告事項じゃないものですから私どもの方は報告を聞いておりませんけれども、財団法人の方に問い合わせまして、後刻御報告したいと思っております。
  227. 矢田部理

    ○矢田部理君 監督官庁がですよ、しかも監督官庁を代表して官房長がわざわざ入っているんだというのに、運営の状況をほとんど知らないというような、そんなばかなことありますか。
  228. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 警察庁の官房長が加わっておりますのは評議員というステータスでございまして、少なくとも去年の六月のお話では、私はまだなっておりませんが、細かい財団法人の運営の逐一が評議員会にかかるということではございませんので、それはなかなかすべてについて通ずるということは難しいと言わざるを得ないわけでございます。
  229. 矢田部理

    ○矢田部理君 これはたまたまの理事会じゃないんですね。最も基本的な方針や中身を決めた理事会であり、評議員会であり、登記事項でもあるんです。そんなことがわからないことでは運営できませんでしょう。
  230. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) くどいようで申しわけありませんが、評議員は評議員会を組織して、本財団法人の業務に関連する事項を審議するということが定められておるわけでございます。現実の業務の運営は、基本は理事会でやっておるわけでございまして、評議員が一から十まで全部この財団法人の運営についてタッチするという立場にはないということを御了解いただきたいと思います。
  231. 矢田部理

    ○矢田部理君 評議員会に警察OB以外の人が出席していますか。
  232. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 現実に開かれております評議員会にどういう人たちが出席しておるかというのはちょっとわかりませんけれども、評議員は三十数名いることになっておりまして……
  233. 矢田部理

    ○矢田部理君 二十九名。
  234. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 二十九名でしょうか、私の持っておりますのは三十名余りになっていたと思うんですが、その中に警察の現職というのは私一人でございますし、一般の方々が大勢おられるということは間違いないと思います。
  235. 矢田部理

    ○矢田部理君 出席者を聞いているんです。
  236. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) まことに申しわけないんですけれども、個々の評議員会の出席者についてはちょっと承知しておりません。
  237. 矢田部理

    ○矢田部理君 あなた自身が出た評議員会はどうなっていますか。
  238. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) まことに申しわけないんでございますが、私は官房長になって余り日がたっておりませんので、まだ一回も評議員会に出たことはございません。
  239. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  240. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。
  241. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 先般、お尋ねのございました税制調査会の委員の人選に当たりましてでございますが、事務当局としては、種々の資料を作成することを常といたしておりますが、具体的にどなたを任命するかについて推薦するということはいたしておりません。いずれにいたしましても、任命権者である内閣総理大臣により最終的に任命されることによって確定するものでございます。
  242. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  243. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。
  244. 矢田部理

    ○矢田部理君 調べを待つ間がもったいないものですから一点だけやりますが、今の主税局長答弁は、衆議院において竹下総理大臣が八月五日に行った答弁と同じでしょうか。
  245. 水野勝

    政府委員(水野勝君) ただいま正確な議事録を確かめるところでございますが、趣旨としてはただいま申し上げたことと異なるところはないと考えております。
  246. 矢田部理

    ○矢田部理君 総理答弁を読んでみてください。
  247. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 八月五日の衆議院予算委員会におきますところの竹下総理大臣の御答弁でございます。このようにございます。  したがって、正確に記憶いたしておりませんが、特別委員を任命して拡充強化したいというお話があって、そのリストが私のところに上がってまいりまして、結構だろうと、こう言った記憶はございます。  こういう議事録でございまして、これは私どもは、ただいま申し上げました資料等はつくりますが、具体的にだれを任命するかの推薦はございません。私どもが官邸なり官房長官から最終的な整理をしたリストをいただいて、事務的に私どもが任命の準備をする。そのリストを当時の大蔵大臣にお示しして、それで結構であろう、こういうふうな御感触を得たと、こういうことでございます。
  248. 矢田部理

    ○矢田部理君 全然理解できません。
  249. 水野勝

    政府委員(水野勝君) それでは、前から総理大臣のところを読まさせていただきます。   税制調査会の委員が率直に申しまして総理任命になっておるというのは、地方税と国税と両方あるからということで総理府が所管しておるわけでございます。したがって、その庶務は大蔵省の主税局と自治省の税務局で担当をしておるわけでございます。   したがって、正確に記憶いたしておりませんが、特別委員を任命して拡充強化したいというお話があって、そのリストが私のところに上がってまいりまして、結構だろうと、こう言った記憶はございます。 これは竹下内閣総理大臣の御答弁ですが、当時、総理大蔵大臣でございました。  そこで、私どもが大臣にも御説明しながら、官邸と整理をしてまいりまして、最終的に決まったものを最終的に大蔵大臣にごらんをいただいた。それが、それは結構であると。「私のところに上がってまいりまして」というのは、そういうルートを経て当時の大蔵大臣竹下総理のところへお上げしまして、それで総理はと申しますか、当時の大蔵大臣は「結構だろうと、こう言った記憶はございます」と、そういう意味でございます。
  250. 矢田部理

    ○矢田部理君 先ほどの答弁と同じですか、それは。
  251. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 先ほどお読みいたしました……
  252. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一回読んでみてください。
  253. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 税制調査会の委員の人選に当たり、事務当局としては種々の資料を作成することを常といたしておりますが、具体的にどなたを任命するかについて、推薦をするということはいたしておりません。  いずれにしても、任命権者である内閣総理大臣により最終的に任命されることによって確定するものでございますということでございます。  したがいまして、途中、資料等を作成いたしたりはいたしますが、個別の御推薦を事務当局がするということはございません。ただ、最終的に官邸におきまして固まったものを、これによって任命手続をするようにという御指示がございますので、それを整理いたしまして当時の竹下大蔵大臣に私どもが御説明し、そのリストをごらんになって竹下総理、当時の大蔵大臣は、それはそれで結構だということをおっしゃった。そのときの御記憶が八月五日の御答弁となっておるところでございます。
  254. 矢田部理

    ○矢田部理君 全然違う。
  255. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  256. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。
  257. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 衆議院でお答えいたしましたのは、読み上げました速記録どおりでございます。  私も、内閣総理大臣は十カ月程度でございますが、内閣官房長官も長らくやっておりました。したがって、各種委員、なかんずく総理大臣任命に関する委員につきましては、おおむね官房長官のところで一つの構想を出しまして、それらの調整を、例えて申しますと、ちょうど顔も見えますが、税制調査会の経験者の委員の先生が本院にも二人いらっしゃいます。それで、それらは私なりにその出身団体に連絡いたしまして、今度はこの人でどうじゃろうか、いや今度はこの人がいいとか、こういうような手順を踏むわけでございます。そうして、ただ両省で事務を担当しておりますから、内閣の方でこれでどうだと、特に事務を担当しておりますところの大臣に異論があっちゃいけませんから、それで私がそういうリストを、まあ上げたという言葉を使いましたのは、主税局から持ってまいりましたか、秘書官が持ってまいりましたか定かに記憶しておりませんが、一般的に上げるという言葉は、大臣の方が上だから上げる、こういうことで普通使う言葉でございますけれども、そこで私がよく使いますイエス・アイ・シー、こう言ったと、こういうことでございます。
  258. 矢田部理

    ○矢田部理君 そうすると、また混線するんですが、江副氏を特別委員にするというリストは最初はだれがつくったんですか。どこでつくったんですか。
  259. 竹下登

    国務大臣竹下登君) それは人事でございますから、だれが原案をつくったというようなことは知る由もございませんけれども、いずれにしても、これで異議がないかという意味の書類が上がってまいりましてイエス・アイ・シーと私が答えたということでございますので、一般的に人事のそれぞれの選考の段階におきましてはいろんなところへ相談をかけることもございますけれども、その経緯について推薦者がだれであったかというようなことは、昭和四十七年でございましたか、野々山一三先生といわゆる人秘に関する論争を本委員会で私やったことがございますが、人事の秘に関するだれがどういう資格で推薦したかというようなことは、一般的にせんさくしない——せんさくと言うと失礼でございますが、議論をしないというのが普通の姿じゃなかろうかなと思っております。
  260. 矢田部理

    ○矢田部理君 一般的にはそうですが、疑惑の中心の人だから私はくどく聞いているんですよ。どうもいま一つはっきりしませんね。
  261. 竹下登

    国務大臣竹下登君) だから、その際、そういう今申しましたような形で私がよかろう、こう言ったという経過をお話ししたわけでございます。すなわち疑惑があるとかないとか、そういうことを私が意識しておったというわけではございません。
  262. 矢田部理

    ○矢田部理君 先ほどの紙で読み上げたのと、総理の衆議院における答弁と今の御説明を全部伺っても私は納得しませんので、もう一度やっぱり事実経過に即して正確な話をしていただきたいということを委員長にお願いします。
  263. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまの件につきましては、再々申し上げておりますとおり、理事会において協議いたします。
  264. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 大変時間をとらせましてまことに申しわけありませんでした。  財団法人の方に問い合わせてみましたが、これまた残念ながら担当の者がおりませんで、書類等から若干調べてみましたが、わかっておりますのは六十二年六月二十九日の評議員会と、それから六十三年三月二十五日の評議員会でございます。  六十二年六月二十九日の評議員会におきましては、評議員の数が二十九、書面出席というのが二十六、出席いたしましたのは三名ということになっております。この三名は警察の関係者だけでございます。  それから六十三年三月二十五日でございますが、このときは、総数三十一、出席者六名、書面出席が二十五ということになっておりまして、この六名の内訳は、警察関係が三名、警察関係といいますのは警察にいたことのあるOBということでございますが、それが三名、それから警察以外の純然たる民間の方が三名、こういうことになっておるようでございます。
  265. 矢田部理

    ○矢田部理君 もう一つ聞いているんです、理事会はだれかと。六十二年六月二十九日の理事会及び評議員会の出席者を聞いております。
  266. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) まことにどじなことで申しわけありませんが、理事会の方はまだよくわかっておりません。評議員会の分が今お答えいたしましたとおりでございます。
  267. 矢田部理

    ○矢田部理君 私がなぜこういうことを聞くかといいますと、先ほど官房長は財界のイニシアチブで、財界主導型でつくったと。そうじゃありませんよ、これは。理事長も専務も常勤者は全部警察OB、高級警察官僚の天下りで、理事会出席者も、わずかでありますが、全部に近いほど警察。今お話があったように、評議員会も全部書面で委任状。六十二年のごときは三名の出席者が全部警察OB。全部警察主導型でやられているじゃありませんか。性格が全く違う。どこが財界主導か。先ほどの答弁は撤回していただきたい。
  268. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) お言葉を返すようでまことに申しわけないんですけれども、その設立の経緯は先ほど私が御答弁したとおりだと言うしかないのでございまして、たまたま評議員会に警察のOB以外出てこなかったという実態はございましたけれども、そのことをもって設立の経緯が違うんだということはないということをお答えさせていただきたいと思うわけでございます。
  269. 矢田部理

    ○矢田部理君 二十九名の評議員会で、警察の名前を言ってごらんなさい。全部幹部だけ三人しか出席しないなんという評議員会がありますか。これは最高の意思決定機関ですよ。
  270. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 評議員になっておられます方はいずれもお忙しい方だろうと思うのでございます。そういうことで、なかなか会議を開いても全部集まっていただくということはできないのが実態でございますけれども、そこで書面出席という形をとりまして、意思は全部反映するように考えておるということでございます。
  271. 矢田部理

    ○矢田部理君 つづめて申しますと、これは警察の天下り団体なんです。ほとんど活動らしい活動をしてない。財界は一千万の入会金を払って、年間百二十万ずつ払って、これは十億、一億二千万です。この金で警察幹部が天下りしている。なぜ財界は払うのか、こういうところに入るのかということになれば、安心とか安全とか言っておりますが、総会屋対策や右翼、暴力団対策でこういうところに入っていると都合がよろしい。警察の現職なども参加しているので情報がとりやすい。OBの方々からも情報が得られやすい。保険を掛けているんですよ。こんな団体がありますか。  中立性、公正さを求められている警察が、財界の莫大な資金で天下り先をつくって、そこで退職後暮らしている、二千五百万もの収入を得て。これはやっぱり警察の中立性や公正さを疑うものですよ。直ちに全面的な再検討をいただきたいと思いますが、公安委員長、いかがですか。
  272. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 警察関係公益法人は相当な数に上っておりまして、中身を見ますと、今、御指摘の公共政策調査会とか、あるいは警察の育英会あるいは日本警察犬協会とか多種多様なものがございます。ですから、私は、今ここに立って、国家公安委員長としての職責で公益法人の洗い直しができる権限を持っているかどうかわかりませんが、警察の広範ないわば管理権、こういうものを生かしまして、現在の公益法人がどういう立場でどういう任務で現実にどういうことを行っているか、こういうものを精査いたしまして、事宜を得た公益法人であればますます御活動を願いますし、それから目的を逸脱するものがあればそうでないように、また目的の完了したものがあれば終結するように、管理権を利用いたしまして指導してまいりたいと思いますので、暫時時間をちょうだいいたしたいと思います。
  273. 矢田部理

    ○矢田部理君 この事務所はどこにありますか。
  274. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 公共政策調査会の事務所は、中央区銀座八の五の四、マジソンビルというところにございます。
  275. 矢田部理

    ○矢田部理君 リクルート本社ビルのすぐ近くではありませんか。どういう経過で手に入れましたか。
  276. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) どういう経緯でそこのビルを借りたのかは、まことに申しわけありませんが、私は承知しておらないところでございます。
  277. 矢田部理

    ○矢田部理君 マジソンビルというところにあるんですが、この間第三者割り当てで問題になったドウ・ベストの会社もここにあります。このマジソンビルは江副氏ともかかわりのあるビルと言われておりますが、江副氏の世話で入ったのではありませんか。
  278. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 繰り返しで申しわけありませんが、承知しておりません。
  279. 矢田部理

    ○矢田部理君 こうして警察と江副氏、あるいはリクルートグループの人的、物的なつながりが今日の捜査に非常にブレーキになっているんじゃないか。天下りしたある幹部はそれをつぶしに回っているという形跡さえ、一、二私はつかんでおります。  こう考えてきますと、どうも江副氏と警察幹部OBとの間にもいろんなつながり、癒着の話もあり、株の譲渡さえ受けているのではないかという指摘も一部あるわけでありますが、この辺は調べる必要があるんじゃありませんか。
  280. 森田雄二

    政府委員(森田雄二君) 今のお話はもう全く寝耳に水といいますか、初耳でございまして、私どもの全く承知していないところでございます。
  281. 矢田部理

    ○矢田部理君 梶山さんに最後の答弁を求めますが、江副氏がこの会に入会をしているというか、リクルートコスモスグループが、そして江副氏が評議員になって、ビルのつながりもあるなどなどを含めて、全面的に調査して報告をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  282. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 矢田部委員御承知のとおり、国家公安委員長に直接の捜査の指揮監督権はないかと思いますが、いわゆる管理権を発動いたしまして、あとう限りの調査を間接的に進めてまいりたいと思いますが、委員御指摘のような癒着というものがあるのかどうなのか。考えてみますと、リクルート社というのはついこの間まで、私の理解によれば、相当優秀な会社だという理解すらあったわけでありますから、対社会的にもそこらの理解度しか通常はないのが当たり前でございます。  ただ、今回のリクルート問題をめぐりまして、果たしてリクルート社が本当の意味で財界あるいは産業界の中心的な役割、推進力を果たす会社であるかどうかという疑念は私の胸の中をかすめるわけでございますから、新たな観点のもとに、そういうものに背馳しないようにこれからの警察行政を進めてまいりたいと考えております。
  283. 矢田部理

    ○矢田部理君 法務、検察それから警察ともども、この問題の疑惑は単純に道義的、社会的問題だけではなくて、刑事事件に発展する可能性を多分に持っているということで、やっぱり姿勢を正して取り組んでいただきたいと思います。  次に、証取法四条に関連して伺いますが、この届け出問題の決着はまだついていないんでしょうか。
  284. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) リクルートコスモスの株式売却に関します調査結果について若干御報告申し上げたいと思います。  まず、事実関係でございますけれども、昭和五十九年十二月に行われました株式会社リクルートによります環境開発株式会社、これは昭和六十年三月に株式会社リクルートコスモスと社名を変更いたしておりますが、その環境開発の株式売却についての調査の結果判明した事実関係は、以下に申し上げるとおりでございます。まとめて整理して申し上げます。  まず第一に、株式会社リクルートは、昭和五十九年十二月期の事業年度の税引き前利益を対前年比伸び率二けたとすることを目指していたわけでございますが、減益になるおそれがありましたために、株式売却により決算対策上利益補てんを行うことを目的として売却を行いました。  同社は、同年十二月中旬における決算見通しに基づきまして第一回目の売却を行うことを決定しましたが、さらにその後、同月下旬において第二回の売却を行うことを決定いたしております。その理由は、同社によりますと、決算見通しの最終確認を行ったところ、さらにその悪化が判明したため改めて売却を行うことを決定したとのことでございます。  売却価格は、第一回目及び第二回目を通じまして一株一万二千円、額面五十円換算で申しますと千二百円となっております。この価格は、株式会社リクルートコスモスが昭和六十年三月に吸収、合併を予定しておりました日環建物株式会社の保有する土地を時価評価する等により、純資産方式で算定いたしております。  売却株数は、第一回目が六万四千株、第二回目が六万一千六百株で、第一回目及び第二回目の合計で十二万五千六百株でございます。これはいずれも当時五百円額面の株数でございます。  売却金額は、第一回目が七億六千八百万円、第二回目が七億三千九百二十万円で、第一回目及び第二回目の合計で十五億七百二十万円でございます。  売却人数は、第一回目が三十九名、第二回目が三十七名、第一回目及び第二回目の合計で七十六名となっております。売却の約定は、第一回目が十二月二十日から同月二十七日までの間に、第二回目が同月二十八日及び同月二十九日にそれぞれ行われております。  売却に伴う払い込みは、第一回目は十二月二十日から同月三十一日までの間に、第二回目が同月二十七日から同月三十一日までの間にそれぞれ行われておりますが、いずれも同月三十一日にその過半数が集中いたしております。決算対策目的だったために同月十二月三十一日までの払い込みを条件とした。  以上が事実関係でございます。  まず、これに関します法律的判断でございますけれども株式会社リクルートが行いました当該株式売却が、証取法第四条第一項の規定により、事前に届け出を行うことを要する「売出し」に該当するか否かにつきましては、不特定かつ多数の者に対し均一の条件売却が行われたかどうか、これを判断する必要がございます。株式会社リクルート側は、二回の売却は、今申し上げましたような決算対策の事情で行ったもので、別々の行為であるということから、「売出し」に該当しないと主張しておるわけでございますが、一般に売却が、証券取引法第四条第一項の規定により、事前に届け出を要する「売出し」に該当するか否かについては、事前に届出書の提出を義務づけ、企業内容を開示させることによりまして投資家保護に資するという同条の趣旨から見まして、売り主の主観的動機よりは、客観的な事実に基づいて判断することが必要であるというふうに考えております。  そういう意味で、当局といたしましては、第一回目と第二回目の売却価格が、額面五十円換算でございますが、同一の千二百円であったこと、売買約定が短期間のうちに事実上連続して行われていること、第一回目と第二回目の払込日が、同日ではございませんが、十二月二十日から同月三十一日までの間と近接していること、株式会社リクルートが自社の決算対策の観点から遅くとも十二月三十一日までの払い込みを要請していたこと、さらに第一回目と第二回目の売却人数を合計いたしました場合には七十六名と、不特定多数の基準でございます五十名程度を超えるものであったこと等から見まして、第一回目の売却と第二回目の売却は、一体としての「売出し」に該当すると言わざるを得ないものと現在判断いたしております。
  285. 矢田部理

    ○矢田部理君 四条の届け出義務ありと、クロの判定をしたんでしょうか。
  286. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 五十九年十二月の段階で届出書を提出していただくべき必要があったというふうに考えているわけでございます。ただ、以上の認定に伴いまして、証取法上今の段階で届出書を提出させる法令上の根拠はございませんが、行政指導によりまして届出書の提出を求めているわけでございます。ただ、現在までのところ、株式会社リクルートコスモスはこれに同意しておりません。  したがいまして、当局といたしましては、今後とも同社に対して届出書の提出について指導を続ける所存でございますけれども、仮に同社が届出書の提出につきまして依然同意しないような場合には、今後当分の間、株式会社リクルートコスモスの公募による資金調達を差し控えさせるよう証券会社を通じて指導する等、しかるべき措置を講じることとしたいというふうに考えております。  なお、株式会社リクルートコスモスに対する罰則につきましては、既に公訴時効三年間が成立しておりますので、これについては対応のしようがないということでございます。
  287. 矢田部理

    ○矢田部理君 この程度の結論を出すのに随分かかった感じがしますが、結局実効は期しがたいということですか。  今、たくさん読み上げられたから質問事項がありますが、思いつくままに一、二点だけ確認を求めておきますと、七十六名という人の確認はどういう方法でやりましたか。
  288. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 株式会社リクルートコスモスにおきますヒアリング、それからもう一つは、当時リクルートコスモス社におきましては、非公開会社でおったわけでございますので、株式について譲渡制限を課しておりました。したがいまして、これを譲渡するにつきましては取締役会において決議をした、その議事録等によって人数を確認いたしております。
  289. 矢田部理

    ○矢田部理君 コスモス社の取締役会の議事録には、氏名は載っておったんでしょうか。
  290. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 調査の細部にわたって御説明するのは必ずしも適当ではございませんけれども、人数とそれから全体としての売却株数、売却金額が載っております。
  291. 矢田部理

    ○矢田部理君 登記簿上も譲渡制限を課しているわけですが、それは、同族会社が余り知らぬ人に勝手に売ってもらっちゃ困るということの譲渡制限でありますから、当然譲渡を認めるためにはだれに売るかということが記載されてしかるべきだと思いますが、記載はありませんでしたか。
  292. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) その点についての提出はございませんでした。  ただ、私どもといたしましては、この不特定多数の要件に該当するかどうかといったことは、この届出書制度の趣旨から見まして、人数が合わせて五十名程度以上を超えるかどうかということで必要であり、かつ十分であると判断したわけでございます。
  293. 矢田部理

    ○矢田部理君 コスモス社の取締役会のその議事録を見たと言うから、その議事録に名前は書いてなかったのかと聞いているんです。
  294. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) いずれにいたしましても、名前の提出はございませんでした。(「あったかなかったか」と呼ぶ者あり)  私どもが拝見した限りにおいてはございませんでした。
  295. 矢田部理

    ○矢田部理君 譲渡制限を解除するための取締役会の議事録に、だれに譲渡したかの名簿が載っていないというばかなことはありません。だめです、そんな答弁
  296. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 前回御説明申し上げましたが、第一回目につきましては三十九名、何株、単価幾らということでございまして、個別の記載は私ども拝見しておりません。
  297. 矢田部理

    ○矢田部理君 この取締役会というのは、売り出しのときの届け出の前提となる場合の取締役会と、売っていいかどうかの制限解除の取締役会は別のはずです。後者については、少なくとも名前が載せられていなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
  298. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 個別の名前があったかどうかについては私どもも見ておりませんので、それが取締役会の議事録のどこか別の部分にあったかどうかは私は承知しておりませんけれども、少なくとも私どもが確認いたしましたのは、人数と株数と総体としての売上金額が取締役会の議事録に記載されている、その部分について確認したわけでございまして、それで証券取引法第四条違反に該当するかどうかという判断については十分なし得たということでございます。
  299. 矢田部理

    ○矢田部理君 最初はなかったと言う、今度はあったかどうかわからぬと言うのは、さっきと答弁が食い違っていますよ。
  300. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) いずれにいたしましても、固有名詞につきましてはリクルート側におきまして提出を拒んでおりますので、その部分については私どもが確認した分にはなかったわけでございますが、現実にあったかどうかという点についてまでは、私どもは必ずしも確認できていないということでございます。
  301. 矢田部理

    ○矢田部理君 七十六名かどうかというのは、甲野太郎、乙野次郎と一つ一つ数えて初めて数がわかるんじゃありませんか。そんな初歩的な作業をやらぬというばかなことはない。やっているはずだし、やらなきゃおかしいと思う。
  302. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 取締役会の議事録に第一回目三十九名、第二回目三十七名という記載がございます。恐らく固有名詞はあるはずだと思います。現実問題として、七十六名に売ったということは相手方も認めているわけでございますし、その事実につきましては議事録等で確認させていただいたわけでございますので、固有名詞があったことは間違いないだろうと思います。  ただ、私ども調査するにつきまして、固有名詞まで確認しなければ証券取引法第四条の調査目的を達成されなかったかどうかといったことについては別でございまして、それは、相手方が提出を拒んでいる以上は、その提出された事実だけで現在の証取法四条についての法律的判断、技術的判断をしたということでございます。
  303. 矢田部理

    ○矢田部理君 リストの任意提出を求めたことはありますか。
  304. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 調査内容の詳細について御説明申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、リクルート社につきましてはこの帳簿は提出できないという前提で臨んでいたことは事実でございます。
  305. 矢田部理

    ○矢田部理君 質問に答えていない。七十六名のリストの任意提出を求めたっていいわけでしょう。同じことを言っている。求めたことがあるかと聞いているんです。
  306. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 七十六名につきましては、最近問題になっているいろいろな経緯にかんがみまして、迷惑がかかるのでこれは提出できないけれども、ただ、それを除きまして私ども調査には全面的に協力する、こういうことだったわけでございます。
  307. 矢田部理

    ○矢田部理君 リストの任意提出を求めたことがあるかと聞いているんです。
  308. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) その点は調査内容についてのお話でございますので差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても向こうはそういう前提で調査に協力してくれたということでございます。
  309. 矢田部理

    ○矢田部理君 重要な点だ。(「その程度のことがなぜ答えられない」「求めたか求めなかったかと聞いているんだ」と呼ぶ者あり)
  310. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 私どもは、証取法違反に必要な範囲で協力してほしいということを申し上げたわけでございます。そういう意味では、その調査の固有名詞につきましても提出を求めて、いただければそれは完全にわかるわけでございますが、それは向こうは拒否するということでございますので、それ以外の部面におきまして確認させていただいた、こういうことでございます。(「求めたか求めなかったか一言で言えばいいじゃないか、はっきり」と呼ぶ者あり)  何といいますか、証取法の四条の調査に必要な資料を必要な範囲で出してほしい、こういうことを申し上げてございますので、別に七十六名のリストは要らないとこっちが申し上げたつもりはございません。しかしながら、向こうは七十六名のリストは出せないということでございまして、それ以外の部分については全面的に協力する、こういうことだったわけでございます。
  311. 矢田部理

    ○矢田部理君 答えていますか、私の質問に。こちらの事実を聞いているんです。結論はわかりました。求めたのか求めないのかと。
  312. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 必要な資料という場合に、その七十六名が排除されるという意味ではございませんので、そういう意味では求めたことになると思います。しかしながら、向こうはそれを出すことは拒否しているということでございます。
  313. 矢田部理

    ○矢田部理君 求めたということになれば、七十六名を確定するためには必要だという認識があったからでしょう。いかがですか。
  314. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) そういう意味で申し上げたわけではありません。  私どもは、要するに不特定多数の者に均一の条件で売り出したかどうかという事実を確認する、それに必要な資料ということでございまして、それは七十六名という名前が全部あれば、それはそれでまた確認のやり方もそこでできたでしょうし、それ以外の方法でも確認できるということでございまして、七十六名のリストがなければ確認が必ずしもできなかったかというと、そういうことではないということでございます。
  315. 矢田部理

    ○矢田部理君 七十六名になると逃げ回っちゃっている。これが問題なんですよ。  もう一点、届け出が必要だというクロの認定をしたわけですから、届け出をする必要を前提にして、その年度の有価証券報告書も出さなきゃなりませんね。この関係はどうなっていますか。
  316. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 一たん届出書が提出されますと、その後継続開示になりますので、その後における有価証券報告書は出していただくことになろうかと思います。
  317. 矢田部理

    ○矢田部理君 それは、どの年度の有価証券報告書をいつまでに出さなきゃならぬことになっていますか。
  318. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) ただ、先ほど御説明申し上げましたように、届出書を提出できなかった場合に、提出を強制できる法令上の根拠がございません。したがいまして、行政指導によらざるを得ないという点が第一点としてございます。その段階におきまして、事実問題として相手方が私どもの認定に同意しておりませんので、有価証券届出書をいつまでに出すとか出さないとかという話に必ずしもなっていないという点がまず第一点として申し上げなければならない点であります。  第二点は、もし仮に有価証券届出書あるいは報告書を出すといたしますと、これは公認会計士の監査証明その他をつけた上で出していただく必要がございますので、もし仮に同意があったとしましても、そこら辺の手続等がございますので、今直ちに出してもらうというわけにはいかないような事情が事実上あろうかと思います。  ただ、いずれにいたしましても、現段階におきまして、先ほど御説明申しましたように、相手方が行政指導に従うというふうなことに同意しておりませんので、いつ、どうということを申し上げられるような状況にないということでございます。
  319. 矢田部理

    ○矢田部理君 届け出が本来なされていれば、いつの段階で有価証券報告書を出すことになりますか。
  320. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 毎決算期につきまして有価証券報告書を出していただく必要があると。それから半期ごとに半期報告書を出していただく必要があるというのが一般的な扱いでございます。
  321. 矢田部理

    ○矢田部理君 それを出さない場合はどういう罰則がありますか。
  322. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 届出書を提出しない場合と同様の罰則があります。証券取引法の百九十八条の第三号でございますが、これを出さない場合には「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」、こういうことになっております。
  323. 矢田部理

    ○矢田部理君 今のを総括しますと、届出書をまず出さなかった。届出書を出すことが基本でありますが、同時に、出すことになれば翌年の四月、有価証券報告書を出さなきゃならなかった。これも出していない。それは三カ月以内ですから七月まで問題はあったわけであります。出さないのがけしからぬだけではなくて、大蔵省がもっと適切な措置を迅速に講じていれば、ことしの七月まで時効はなかったのであります。当然告発ができ、刑事捜査が可能だったのでありますが、いかがですか。
  324. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) その点についての法律判断でございますけれども、仮に有価証券届出書を出すべき義務があったといたしますと、その後、毎年毎年の決算期におきまして有価証券報告書を出さなきゃならない、こういうことになるわけでございます。そういたしますと、仮定の話として申し上げて恐縮でございますが、仮に十年前に出すべきであったということになりますと、毎年毎年報告書を出してもらわなきゃならぬということになりますので、これはその報告書ということをつかまえて時効ということを言いますと、罰則時効というのはいつまでたっても完成しない、こういう話になるわけでございまして、それはちょっと時効制度の趣旨からいって、ややそういう運営は適切を欠くのではないだろうか。やはり届出書を出すべきであったということに着目して、その時点から時効の起算点を考えるべきではないだろうかというのが私どもが長年議論して得られた結論でございます。
  325. 矢田部理

    ○矢田部理君 届出書を出さなかった罰則、有価証券報告書を出さなかった罰則、構成要件が全然違うのでありますから、そんなインチキな解釈はだめです。  そこで、やっぱり証券局、大蔵省が非常に怠慢だった、証券行政がルーズだったことがこういうことをもたらしている。ですから、ディスクロージャー制度が全然活用されていない。ここに実はもう一つの問題があるわけであります。その点で、今国会における大蔵省の態度は極めて悪い、疑惑解明に踏み込もうとしていない、逃げてばかりいるのが一貫した態度でした。  証取法をめぐる問題はまだまだたくさんあります。論議をしなきゃならぬテーマは数多くあります。この程度で予算委員会を閉じられることは私は大変不満ですし、納得いたしませんが、私の質問の時間が終わりになってまいりましたので、最後に竹下総理に伺っておきたいと思います。  リクルート疑惑解明のために、総理以下がもっと真摯な態度で全容解明、真相究明のために臨むべきではなかったのでしょうか。総理大蔵大臣の姿勢が非常に大蔵省を萎縮させてしまって何物も出さない、こういう態度に実は終始してきた。極めて遺憾であります。今後、証人喚問、資料提出に全面的に協力をして、政府としても全容解明のためのやっぱり努力をすべきだというふうに思いますが、総理大臣としていかがでしょうか。
  326. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず第一に申し上げたいことは、行政当局が大変この問題について消極的であったという判断には私は立ちません。やはり行政の責任においてそこは今までもしっかりやってきているのが日本の行政機構である、このように思っております。  それから、いわゆる証取法等々につきましては、国会その他の機関をも含めていろいろな議論がなされておりますことについては、耳を傾けて、正すべきは正す問題であるというふうに私も問題意識を整理しておるところでございます。
  327. 矢田部理

    ○矢田部理君 委員長に一言だけ申し上げます。  私の幾つかの質問についてまだ留保されている部分がございます。この点も含めて、委員長としてリクルート疑惑全容解明のための努力を集中的、本格的に当委員会としても行われるよう取り計らっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  328. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で矢田部理君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  329. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、和田教美君の質疑を行います。和田君。
  330. 和田教美

    ○和田教美君 総理、訪中御苦労さまでございました。本来なれば訪中のことを少し聞かなければいけないんでしょうけれども、私の持ち時間が極めて限られておりますので、きょうはリクルート疑惑の問題だけに絞って質問をいたします。  そこで、早速大蔵省証券局長に事実関係を聞きたいんですけれどもリクルートコスモス株店頭登録直前までの株の移動について聞きたいわけです。  リクルートコスモスの五十九年四月末の株主数は十七人にすぎなかったと言われますけれども、そのとおりですか。  それから、その後五十九年十二月に、例の七十六人にリクルート保有のコスモス株の譲渡を行ったりして株主数はふえてきたわけでございますけれども店頭登録前の六十一年四月末と、それに店頭登録後の六十二年四月末の数字がそれぞれあると思いますけれども、御報告願いたいと思います。
  331. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) お答え申し上げます。  店頭登録のときに添付されております営業報告書等によって見てみますと、五十九年四月末のリクルートコスモス社の営業報告書に見ますところの株主数が十七名であるというのは、御指摘のとおりでございます。  それから同時に、六十一年十月の店頭登録の際に提出されました有価証券報告書によりますと、六十一年四月末現在の株主数は二百五十名でございます。御指摘のとおりでございます。
  332. 和田教美

    ○和田教美君 六十一年四月末の二百五十名の内訳は、法人と個人はどうなっておりますか。
  333. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 有価証券報告書によりますと、法人が五十九名、個人が百九十一名となっております。
  334. 和田教美

    ○和田教美君 店頭登録は六十一年十月の末でございますけれども、その時点での株主数というものは、大蔵省はつかんでいないのですか。
  335. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 店頭登録時点ではその持ち株を分売いたしまして株主がふえます。どの程度の株を何株買うかということについては、これは入札なり応募の結果として出てくるものでございますので、店頭登録時点における株主数というのはわかりません。
  336. 和田教美

    ○和田教美君 四月末現在で、まだ店頭登録をするかなり前でございますけれども、既に二百五十になっているということは、今後の問題解明にとってはやはり一つの重要なデータだと私は思うんです。今までの国会審議や報道で明らかになっているコスモス株の株主数の増加要因は、五十九年十二月の七十六人に対する譲渡、それから六十年二月の金融機関二十六社への第三者割り当て、それからさらに六十年四月の三十七社、一個人に対する第三者割り当て、これだけなんですけれども、これにもともとの株主数、今、御報告のあった十七人、これを加えて計算いたしますと合計百五十七になるわけです。そうすると、この二百五十人との間に九十三の差が出てまいります。つまり約九十人の株主が別のルートでふえたということになるわけで、この約九十人の中には、もちろん相対売買による株主数の増加もあるでしょうけれども、その多くは、江副リクルート前会長の持ち株か、あるいはリクルート保有のコスモス株が流れてふえた分が多いのではないかと私は推測しておるわけですけれども、この移動について証券局はつかんでいるのかどうか、御報告を願いたい。
  337. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 私どもは、今回の証券取引法四条の調査に関連いたしまして、その後におきましても、証券取引法上の「募集又は売出し」に該当するような行為があったのかどうか、あるいは証券業協会におきましても、自主ルールに照らしまして株式移動制限期間中に特別利害関係人等からの株の移動があったかどうかといった観点から調査をいたしました。  そういった調査の過程で把握いたしましたことについて若干申し上げたいと思いますが、確かに、今、委員御指摘の点からいいますと、当初の十七名に七十六名の方、あるいはその後の第三者割り当ての方を加えますと、法人を含めて百五十七名ということでございますので、九十三名ほど差があることは事実でございます。  ただ、今申し上げたような調査した結果から私どもが判断する限りにおきましては、御指摘の九十三名につきましては、五十九年四月末から六十一年四月末までの間に、従業員持ち株会から退職によって脱会して個人名義に株をかえ、個人株主になったといったことによるものが大体七十九名、それで株主数がふえている。残りが十四名ということになるわけでございます。残りの十四名でございますが、これはリクルートコスモスの役職員の相対売買に伴う増加であったというふうなことでございまして、いずれにいたしましても、証券取引法上の「募集又は売出し」に該当するようなものではなかったというふうに判断しているわけでございます。  なお、この間、特別利害関係人でございますところのリクルート株式会社からの株主異動はございません。また、江副さんにつきましても、従業員持ち株会とかあるいは関連会社の役員に対する譲渡以外には株式の移動は見当たらないという実情でございます。
  338. 和田教美

    ○和田教美君 先ほどの答弁で、この七十六人の問題について、証券局長も七十六人、七十六人ということを盛んに言っておられました。しかし、私の得た情報では、リクルート側は初めは七十六件と言っておった、そしてその中には法人も含まれているというふうに言っておったというふうに聞いております。その七十六は、今の答弁のように、すべて個人株主なのか、それとも法人も含めておるのか、含むとすれば法人は何社なのか、それを明確にしていただきたい。
  339. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 実は、その七十六名のリストなるものは私ども持っておりませんので、法人が幾ら、個人が幾らといったことについては私どもつまびらかにいたしておりません。  ただ、証券取引法上の五十名程度以上というのを不特定多数の要件にいたしておりますが、法人、個人を問わず、これは一人というふうに考えているわけでございます。
  340. 和田教美

    ○和田教美君 全く理解に苦しむ答弁で、とにかく、七十六の問題について先ほどあれだけ詳しく報告をされたわけですけれども、その中身が法人と個人株主の区別さえ全然わかっていないというのは一体どういうことですか。これではとても真相究明などというのは全くできないと思いますけれども、重ねて答弁を願います。
  341. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 先ほど法人、個人の区分ごとに申し上げましたのは、六十一年の十月に店頭登録の際に提出されました有価証券報告書の内訳といたしまして、株主数が二百五十名で、そのうち法人株主が五十九名、個人株主が百九十一名、こういう記載があるものですから、それに基づいて確認したわけでございます。
  342. 和田教美

    ○和田教美君 了解できませんけれども、時間の制限がありますから次に進みます。  私は、今度の疑惑では、特に政治家あるいは官僚OB、公団幹部などの政治的、道義的責任が重い人たち、これにコスモス株がどういうふうに流れたかということを非常に重視しておるわけでございます。江副氏は、七十六人の中に政治家と秘書が数人、公務員一人を含むとインタビューで答えておりますけれども、私が得ました情報によりますと、コスモス株を取得した政治家と秘書など、いわゆる政治家関係は二十数人に上るという話を聞いております。  そうだとすれば、政治家への株の流れは七十六人のグループ、これが一つですね。それよりももっと複雑で、大体大きく分けて三つの流れがあるんではないかというふうに思う。総理の元秘書や大蔵大臣の秘書のケースのように、店頭登録直前の九月ごろ、どこかから再譲渡を受けて、そして公開直後に売り抜けたというのが一つのグループ。さっき言った約七十人のグループの中からかなりこの中にも隠されているんではないかというふうに思うんですが、総理大蔵大臣は、このように政治家などへの株の流れは幾つかのルートがあるということを認められるかどうか、それぞれにお聞きしたいと思います。
  343. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私自身に関係する元秘書の問題につきましては、たびたびここで申し上げておりますように、いわば分売であろうかと思うのでありますが、いつも申し上げておるとおりの問題でございます。  他にどれだけのものがあるかというようなことについては、私は存じてもおりません。
  344. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 河合某氏の話によりますと、その時期は六十一年九月でありますが、だれからということについては、事業の上で関係の深い相手に迷惑をかけたくないということを申しておりますので、この件の時期はわかっておりますけれども、その相手がわかっておりません。  それから、その他のことにつきましてはどうも確認する方法がございません。
  345. 和田教美

    ○和田教美君 次に、大蔵大臣と文部大臣、総務庁長官にお聞きしたいんですけれども、江副前会長が政府税調特別委員をやっていた関係で、政府税調の特別委員などにかなり株が流れているんではないかという話がさっきございました。しかし、江副さんは、教育課程審議会委員、大学審議会委員それから新行革審土地対策検討委員委員というのも務めております。そこで、こういうところの委員などにこの株がかなり流れたといううわさが根強く流れておるわけでございます。  江副氏が委員を務めた時期あるいはその前に、コスモス株を割安で譲渡したのではないかということについて、三大臣はそれぞれ所管の審議会などについて一度調べられたかどうか、あるいはまたその結果がどうだったか、御報告願いたい。
  346. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず、税制調査会との関連でございますが、江副さんは特別委員に任命をされておられたということは、先ほど税調の会長も言われたとおりでございますが、そこで、これは先ほど申し上げたことでございますが、税調の委員の方々は学識経験者、各方面におけるいわゆるお役人でないいろんな意見を税調というところでお話しいただきたいということで委員をお願いいたしております。したがって、この方々は、いわば我々一般の常勤の国家公務員とは違いまして、自由に御自分の生活設計をし、そう公務員としての厳しいといいますか、いろいろな制約もなく、それなりに自由に、したがって御意見も言っていただけるという方々でありますので、そういう方々に、和田委員のお言葉ではありますけれども、今になりまして、そういうことをなさいましたかどうですかと伺いますことは、これはもう違法であればやむを得ないことでございますけれども、そうではないものでございますから、今後、自由活発にこういう方々にこういう機関に御参加を願う、御発言を願うということにいろいろやはり支障もあるであろう。いわば官僚化をしてしまうということは避けなければならないということもございますものですから、そこはいろいろ特質を考えていかなきゃならぬというふうに思っておるところでございます。
  347. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 先生の御指摘のような事実は存じておりません。また、知る立場にもございません。
  348. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) 江副さんが新行革審土地対策検討委員会の参与という立場にあられましたのは、六十二年の八月五日から六十三年の六月十五日まででございます。極めて短い期間でございますので、そのようなことはなかったかと存じますが、私どもの立場からいたしまして、新行革審のメンバーなどに株が譲渡されたようなことを調査する立場にございませんので、存じておりません。
  349. 和田教美

    ○和田教美君 私は先ほど、政治家へのコスモス株の流れが非常に複雑で、三つも四つもあるということを言いましたけれども総理大蔵大臣の秘書のケースなど、あるいはまた渡辺自民党政調会長の長男のケースというふうなものを見ますと、大体公開直前に買って、すぐ売って売り抜けたというのが案外多いんじゃないかと思うんです。  そこで問題は、公開直前に譲るということについて、政治家の側からむしろ働きかけた、そしてリクルート側が事実上これを取り仕切ってあっせんをして、その手続も代行したというふうな情報があるわけです。そうだとすると、証券業協会の店頭登録ルールによると、確かにコスモス株の場合には、六十年五月から六十一年十月三十日までは譲渡制限期間になっておって、特別利害関係者は株の売買は禁じられておるということになっております。この点については大蔵省は調べた、そして特別利害関係者の株の移動はなかったという報告を受けたと言っております。しかし、それは表向きの話であって、江副さんあるいはリクルート関係者が密接にこの移動に関与したということであれば、これは実質的に協会のルール違反になるのではないかと思うんですけれども、その点の見解はいかがですか。
  350. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 今、委員御指摘のように、公開直前の一定期間内は、証券業協会の自主ルールによりまして、特別利害関係人等による株移動はこれを禁止しておりまして、これに違反した場合には、その店頭登録は原則として受理しないということにいたしているわけでございます。  この点につきましては、先般お答え申しましたように、証券業協会を通じて調査いたしまして、特別利害関係人等による株移動があったという事実はないという報告を受けておるわけでございます。  それでは、今の御指摘の問題は、何かダミーみたいなものを使ってやったんじゃないか、あるいは江副さんがそういった勧誘行為をやったんじゃないかという御指摘でございますけれども、そういった江副氏による株式譲渡の勧誘があったかどうかといった事実については承知いたしておりません。先ほど申しましたように、日本証券業協会が調査したところでは、協会ルールの禁止期間内に江副氏自身による株移動の事実はないという報告を聞いておるわけでございます。また、リクルート社からは、そうした勧誘があったかどうかは知らないという報告を受けております。
  351. 和田教美

    ○和田教美君 もう時間がなくなりました。  私は、公開直前までの株の移動の問題を重点的に取り上げたわけでございますが、いずれにせよ、リクルート疑惑の全体像、特に政治家などへの株の流れの全容をつかむためには、七十六人のリストや二回にわたる第三者割り当て分、これだけを追及するだけではなかなか真相はつかめないというふうに思う。これまで全く水面下に潜ったままになっておるのが私がさっき指摘した約九十人の分です。この個人株主に限定して言えば、約百九十人から二百人の全体像をつかまなければわからないというふうに思うわけです。ところが、今までの審議では全くそれがつかめておらないわけでございます。  したがって、これは委員長にひとつお願いを申し上げたいんですけれども、株主名簿とかあるいは株の必要な資料、それを全部、単に政府だけに要求するのではなくて、リクルート社あるいはリクルート関係会社そのものに要求する必要があると思うし、江副さんもこの委員会に出てきてもらって、証人あるいは参考人として事情を聞くというふうなことがぜひ必要だというふうに思うんです。国会には、憲法六十二条と国会法百四条、議院証言法第一条によって、そういう権限がありますし、民間会社に対しても直接それを要求することができるわけでございますから、これはもう国会の一つのはっきりした考え方になっておるわけですから、ぜひ委員会で取りまとめをいただいて、そういう方向に持っていっていただきたいということを要望いたしまして、委員長の御見解を聞いて、私の質問を終わります。
  352. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまの問題につきましては、理事会で慎重に協議をいただきまして、委員長といたしましては、各党の御意見をよく承って対処していきたいと思っております。  以上で和田教美君の質疑は終了いたしました。  暫時休憩いたします。    午後三時五十七分休憩      ─────・─────    午後九時三分開会
  353. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 予算委員会を再開いたします。  この際、委員長より申し上げます。  理事会の協議が長引き、開会がおくれましたことを深くおわび申し上げます。  予算執行状況に関する調査を議題といたします。  これより田英夫君の質疑を行います。田君。
  354. 田英夫

    ○田英夫君 まず、総理が中国を訪問され、一つの成果を上げられた、大変御苦労さまでした。特に私は、西安での講演の中で、対中国政策の基本は「過去の歴史に対する厳しい反省を出発点とし」というくだりについて、大変評価をいたします。敦煌においでになり、また、西安を見られて、私も同じルートを昨年行ってまいりましたが、大変感動をしたことを思い出します。  そこで、一つ申し上げたいことは、そこまでは大変結構だと思いますが、過去を反省しということを出発点とされるならば、もう一歩踏み込んで行動の上でこれを示されたらというふうに感ぜざるを得ないのであります。例えば南京に足を踏み入れられて、いわゆる南京大虐殺の犠牲者の慰霊碑がありますが、ここに日本の総理大臣として花束をささげられるというような発想をお持ちにならなかったかどうか。そういう発想はなかったんでしょうか。総理にまずお尋ねしたいと思います。
  355. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 首脳会談そのものは北京において行うべきものであるということでございますが、その後、せっかく十周年のことでもあるので、可能な時間を割いていわゆる地方を見る希望はないか、こういう御要請、お尋ねがございましたので、私も、田委員はもう既に過去に経験しておられますが、敦煌、西安ということをお願いしてみたわけでございます。それで、南京を初め他の地方についても、御要請の中では主として開放体制の中における経済関係についてのお誘いもございましたけれども、その点につきましては、時間の都合上、今回は私の第一義の希望から除いたわけでございます。  それで、南京に行く行かないという問題、今おっしゃったお気持ちについては私はわかりますが、やはりこのたびは、西安における演説とまた首脳会談における確認事項の中で過去の反省ということは繰り返しお述べして相互理解に達しておるという考え方でございましたので、あえてそのことを私の方から希望はいたしませんでした。
  356. 田英夫

    ○田英夫君 この点は一つ意見として申し上げておきます。  次に、韓国の金大中さんの過去の事件に絡んでお尋ねをしたいと思います。  まず、一九七三年の八月にいわゆる拉致事件がありました。その年の十一月に第一次政治決着という形で、当時の金鍾泌首相が来日をされた後そうした政治決着が行われたわけでありますが、この第一次政治決着の内容をこの際確認する意味でお答えをいただきたいと思います。
  357. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 今、仰せのとおり、第一次政治決着は、昭和四十八年十一月、韓国側が金鍾泌国務総理を我が国に派遣いたしまして当時の田中総理との間で了解したものでございます。  骨子を申し上げます。  一つ、犯人の処理及び監督責任者の処分。二、日本政府と国民に対する陳謝。三、再発防止についての将来の保証。四、金大中氏の自由に関し、一般市民と同様、出国を含めて自由とし、今後、反国家的活動をしない限り、日米両国滞在中の言動につき責任を問わない。  以上でございます。
  358. 田英夫

    ○田英夫君 今のお答えの中の、今後反国家的活動をしない限りという部分については、以前から国会でも議論がありました、ただし書き条項といって。この点についてきょうは触れる時間がありません。この点は保留をさせていただきます。  しかし、いずれにしても、日本及びアメリカでの言動は問わないということがこの柱の一つになっていたわけですが、ここに現物がありますけれども、金大中さん自身からつい最近、一九八〇年のいわゆる軍事裁判、軍法会議の一審、二審の死刑判決の内容、判決文全文がここにあります、韓国語ですが。これを見ますと、まさに日本における言動、これを理由にして国家保安法違反で死刑と明快に書いてあります。これは第一次政治決着違反ではありませんか。
  359. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 軍事法廷の判決に関しましては、日本としてそれに対していろいろと云云する立場ではございませんが、我が国といたしましても、我が国においてそうした事件が突発したわけでございますから、一応韓国にその判決に関する問題点を問い合わせました。それに対しまして判決理由要旨が参っておりまするが、その要旨におきましては、金大中氏の滞日中の言動についての責任は問うておりませんという趣旨が述べられております。  したがいまして、日本政府といたしましては、当該判決は外交的決着には反していない。その要旨が日韓政府間での正式のものでございますから、そういうふうに解釈しておるというのが今日の政府の立場であります。
  360. 田英夫

    ○田英夫君 その要旨なるものを全斗煥政権当時に回答されたわけでありますけれども、この全文の中には明快に日本における言動を理由にして死刑ということが書いてある。しかも、以前に国会でも社会党の土井委員長が外務委員会などで取り上げられたときには、コピーでありましたが、これは金大中さんが韓国の議会でいわゆる資料請求をして入手されて、それを送ってこられたものでありまして、ここにはっきりと裁判長以下の署名捺印があります。軍法会議の裁判官の署名もあります。したがって、これは正本であることは疑う余地がない。  こういう状況の中で日本と韓国の政府間で交わした政治決着、これに明らかに違反をしている判決を韓国側が行ったということに対して、日本政府は黙っていていいんでしょうか。
  361. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 今も詳細お話をいたしましたとおりに、判決要旨においては日本における言動を問うておらないということでございますし、したがいまして政治決着をいたしました、その政治決着に違反しておらないというのが私たちの考え方でございます。もちろんもうその間には韓国におきましても何回かの政変を繰り返しておりますし、また我が国におきましても何代かの内閣が続いておりますが、しかし田中内閣並びに金鍾泌国務総理との間の政治決着というものは、私たちはそのように解釈いたしておりまして、決してその判決はそれに違反したものではないと、かように存じております。
  362. 田英夫

    ○田英夫君 総理もよくお聞きいただきたいし、お考えをいただきたいのでありますが、金大中さんは、最近も連絡をとりましたら、ことしじゅうにも訪日をしたいと。先日はトランジットで成田空港に寄られただけでありますが、今度は正式に日本を野党第一党平民党の総裁として訪ねたいという意向を持っておられます。  この金大中氏拉致事件、しかも一次、二次の政治決着、この問題は、日本と韓国の間ののどに刺さったとげであるという表現が使われております。今や韓国も民主化をしようという方向に進んでいる。そういう中で、また南北間でも盧泰愚大統領が七・七宣言でそういう方向を示されて非常に好ましい方向に進んでいるんじゃないでしょうか。そういうときに、こののどに刺さったとげをこの際取る、このことがどうしても必要じゃないだろうか。そして、金大中さんを野党第一党の総裁として迎え得る状況をつくり出す必要があるんじゃないだろうか。先日、第二党の金泳三氏、第三党の金鍾泌氏も来日されて、金泳三氏は総理ともお会いになったと聞いておりますが、第一党の総裁にお会いにならないわけにはいかぬでしょう。この環境をつくるために、今、政府はどういうことをお考えですか。
  363. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) まず、私から申し述べたいと思います。  死刑判決がありました後、日本政府は、金大中氏の身柄に関しましては随時関心を示してまいったということも田委員御承知のところであろうと思います。  過般は金鍾泌氏並びに金泳三氏、韓国の野党の党首がしばしば来日されました。私もお二方と会う予定をいたしておりましたが、ちょうどパキスタンの国葬等々の問題がありまして金鍾泌氏だけお目にかかりましたが、そのとき次のようにお伝えいたしております。韓国と日本は隣国同士で大切な関係であるから、今日までは与党と与党だけの交流はあったかもしれぬ、また野党の一部と与党との交流はあったかもしれぬが、今後はひとつ韓国の野党の方とも私たち与党は広くおつき合いしましょう、したがいまして我が国の野党の方々も韓国の与党の方々と広くおつき合いいたしましょう、そうした関係は議員連盟では例えば米国とか英国、そういうふうに私たちは広く御交流を願っております、そういうような意見も私から申し述べておきました。かつては国務総理をお務めになった方でございますから、非常によい御意見でございます、我々野党といたしましても決して日本と韓国との仲を裂くようなことを考えておるわけではありません、今後ともにしっかりやりたい、こういう御意見でございました。恐らく金泳三さんも同じであろうと思っております。  したがいまして、今、田委員が申されましたとおり、もし野党の第一党の平民党の総裁がお越しになりましたならば、当然我々は温かくおもてなしいたしまして、そして韓国野党第一党の総裁にふさわしい応対をしなければいかぬ、かように今日考えております。
  364. 田英夫

    ○田英夫君 総理はいかがですか。
  365. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私もお二人の野党の総裁には、前から存じ上げておったということもございますけれども、お会いをいたしましていろいろ意見の交換もいたしました。野党第一党の総裁として、今、与野党を通じて個人的にも大変信頼関係がある方の多いお方でもございますし、その地位に当然ふさわしいお迎えをすべきものだというふうに考えております。
  366. 田英夫

    ○田英夫君 私は、今の総理、外務大臣のお答えに大変不満であります。これでは、隣国の最も友好を深めなければならない韓国の政治指導者との関係がうまくいかない。韓国は今そんな状況じゃありません。民主化に向かって民衆が今燃えていますよ。今の日本政府のそういう態度では、金大中さん自身ももちろんですが、韓国の民衆はそういうことに大きな不満を感じて本当の友好には進まないと思います。  しかし、時間がありませんからリクルートの問題に触れていきたいと思います。  私は、このリクルート事件といいましょうか、これはあのロッキード事件がまさに構造汚職であったと同様のものであると思いますし、しかも残念ながら、総理大臣大蔵大臣、そして自民党の幹事長、政調会長、こういう皆さんの名前がこれに絡んで出てきている。一般の庶民、国民の気持ちを考えたときに、私は朝からこの委員会のやりとりを聞いておりまして、永田町の空気とこの問題についての庶民の感覚とが大変に違うということを痛感しているわけです。  そういう姿勢の上に立ってこの際伺っておきたいことは、いわゆる第三者割り当て、六十年の四月二十五日、この内容について同僚委員あるいは衆議院で私の同僚の楢崎弥之助委員内容を示してこれを政府から公表するようにと迫りましたが、公表されない。きょうはここでひとつ決着をつけたいと思います。  まず伺いたいことは、こうした増資新株の発行という場合には当然届け出をするその法的根拠、根拠法ですね、そしてその手続を説明していただきたいと思います。
  367. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 証券取引法におきましては、新株を発行する場合でございますが、不特定多数と私ども申しておりますが、その具体的な運用基準は五十名程度以上を基準としております。不特定多数の者に対し均一の条件、これは売り出し価格でございますとか、あるいは払い込み期日が同日である、均一の条件で新株を発行する場合には有価証券届出書を提出する。その届出書におきましては、企業の営業内容あるいは財務内容、これは公認会計士の監査証明を付したもの、それから売り出しあるいは募集の条件といったものを付して、投資家の投資判断の資料とするための届出書を提出するということになっているわけでございます。
  368. 田英夫

    ○田英夫君 役所はどこへ出す。
  369. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) これは企業から大蔵省に出していただくことになっております。
  370. 田英夫

    ○田英夫君 私が聞いたのはそういうことじゃないんです。  私の方から言いましょう。商業登記法に基づいて法務省へ出すんでしょう。
  371. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 証券取引法に基づきまして大蔵省に出しまして、その届出書大蔵省で審査いたしまして、その内容が真実であることを確認した上で、一定の期間を経た上で初めてその募集行為ができるということになっているわけでございます。  法務省へ出しますのは、私は所管でございませんので詳しくちょっと申し上げられませんけれども、その点につきましては、増資を行いました場合におきましては、増資したという事実につきまして、これは当然資本金の増減というのは登記事項でございますので、そういったところで法務省の登記所の方に届け出があるというふうに理解しております。
  372. 田英夫

    ○田英夫君 法務省、答えてください。
  373. 藤井正雄

    政府委員藤井正雄君) 増資がございますと、登記事項であります発行済み株式の総数とそれから資本の額が変わってまいります。そこで、これは登記をする必要がございます。その意味において法務省がかかわりを持つものでございます。
  374. 田英夫

    ○田英夫君 どういうふうな内容の届けをするんですか。
  375. 藤井正雄

    政府委員藤井正雄君) ただいま申し上げましたように、発行済みの株式総数が何株から何株に変わった、それから資本の額が幾らから幾らに変わったという変更登記を申請するわけでございます。その申請書を提出いたします。
  376. 田英夫

    ○田英夫君 それに関連をして、この前から六十年四月二十五日の第三者割り当て内容を発表してくださいと言うと、これはそういう立場にありませんと大蔵省は答える。法務局で幾らでもこれは閲覧できるんじゃないんですか。法務大臣、どうですか。
  377. 藤井正雄

    政府委員藤井正雄君) 登記をする際に提出をいたしました申請書及びその附属書類につきましては、利害関係のある者は、その利害関係のある部分につきまして閲覧をすることができます。
  378. 田英夫

    ○田英夫君 利害関係がある者、例えば訴訟とか我々国政調査権のある者、これは閲覧ができるわけでしょう。どうしてそれを大蔵省は発表できないと言うんですか。ここにそれの写真がありますよ。見てきたんですよ、これを法務局で。内容全部書いてあるじゃありませんか、三十七社、一個人、そんな隠さなくたって。だれだってこれは見てこれる。見てこれるから、閲覧をしてこれを写真に撮ってきたんですよ、うちの秘書が。どうしてそれを出さないんですか。
  379. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 今、田委員御指摘のものは有価証券届出書ではなくて、私どもが行政上の都合でとっております有価証券通知書に係るものだと思います。  有価証券通知書と申しますのは、先ほど申し上げた話と違いまして、実は五十名未満のいわば不特定多数に該当しない増資の場合につきまして、これが一億円を超える場合におきましては——私ども五十人以上でございますと、今申し上げましたように有価証券届出書という形でいろいろな意味での企業内容ディスクロージャー法律上要求しているわけでございますが、五十名未満のいわば不特定多数に該当しないケースにつきましては、これは届出書を出さなくていいということになっているわけでございます。  ただ、そうはいいましても、五十名未満であるか以上であるかといったふうなことにつきましては、行政上これを判断して、届出書を提出すべきケースであるか届出書を提出しなくてもいいケースであるかということを判断する一つの材料といたしまして有価証券通知書といったものを企業からとっているわけでございまして、これは一応非公表ということを前提としております。と申しますのは、この有価証券通知書と申しますものは、これはいわば直接の根拠を法律上持っているのではなくて、いわば省令ベースにおきましてとっているわけでございまして、これを出さないことについて必ずしも罰則がないこともございます。  そういったことで、これを公表した場合におきましては、仮に例えば通知書を出さない、あるいは出した場合におきましても、それが真実が記載されていないといったことにつきましても特段の制約がございませんので、そういった問題につきまして、むしろそれを公表しないことによりまして、本当のことを企業に書いてもらっていわばディスクロージャー制度の円滑な運用を図っていこうと、こういう趣旨から従来から非公表という扱いにしているわけでございまして、この辺の事情を御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  380. 田英夫

    ○田英夫君 これは要するに、大蔵省の立場だけで物を言っているからそういうことになるんですよ。政府全体として、我々が、国民が疑念を持っている、疑惑を持っている、そして四月二十五日のこの第三者割り当ての中から政治家の皆さんのところへ流れたり、いろいろそういう疑惑があるからこの問題が大切なんでしょう。だれのところへ割り当てられているか、それを知りたいと言っているわけですよ。それは何も大蔵省の立場だけじゃないんだが、法務省の立場でこれは立派に出せるじゃありませんか。それどころか、こっちが自由に行って閲覧できるんですよ。それをやたらに隠すからみんなますます疑惑を持つんですよ。  このことは、時間がありませんから御注意を申し上げておくと、こういうことにとどめます。  そこで、次の問題ですけれども、この三年間で結構ですが、リクルートコスモスに金融機関から融資をしたその総額を、これは言ってあるから調べてあると思いますが、答弁してください。
  381. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 今、委員お尋ねのリクルートコスモス社につきましては、昭和六十一年四月期より有価証券報告書を提出していただいておりますので、それに基づきまして今の借入金の額を申し上げますと、まず六十一年四月末でございますけれども、千八百八十三億円、それから一年後の六十二年四月末が三千七百二十二億円、最近時点の六十三年四月末が五千百九十九億円というふうになっております。
  382. 田英夫

    ○田英夫君 大蔵大臣総理もお聞きになったでしょう。  このリクルートコスモスというのは不動産業であり、マンションの大手ですね。最近の、六十年ころから起こりました土地の暴騰というものは金融機関の過剰融資にあるということでしばしば国会でも取り上げられてきた。大蔵省はこれに対して警告を発していましたね。何回やりましたか、六十年になって以来。
  383. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) 私の記憶によりますと、通達を三度出しております。それから、昨年七月以降はいわゆる特別ヒアリングということをやっておりまして、問題がある融資等については是正させるよう指導してきているということでございます。
  384. 田英夫

    ○田英夫君 そのとおりですよ。竹下大蔵大臣時代から宮澤大蔵大臣にかけて合計四回、そうした警告的なものが出ていると思います。にもかかわらず、今の数字のとおり、リクルートコスモスは千八百幾らから、六十二年は、去年は三千幾ら、今や五千幾らですよ。どんどん融資が激増している。これを大蔵省はつかんでいたんでしょうか。これに対して何らかの警告なり措置をとっていたんでしょうか。どうしてリクルートコスモスだけが例外なんですか。
  385. 平澤貞昭

    政府委員(平澤貞昭君) リクルートコスモスの具体的な事業内容等については我々は関知しておりませんけれども、従来の不動産融資に対する指導につきましては、いわゆる実需に基づかない投機的な取引、これを助長するような融資は厳に慎むようにというふうに指導しておりまして、そういう指導のもとにおいて具体的にリクルートコスモスがどういう問題があるかという点については、我々としては現段階で把握しておりませんので御答弁はできない状況でございます。
  386. 田英夫

    ○田英夫君 もう時間がありませんから残念ですけれども総理、よくお聞きいただきたい、大蔵大臣も。  今のように、リクルートコスモスだけがあたかも例外であるかのごとく金融機関から融資をどんどん受けているとか、さっきからの話にあるように、官庁側が一生懸命で今何かぼろを出しちゃいけないと守れば守るほど、国民の疑惑が高くなっているんですよ。そしてそのことは、竹下総理宮澤大蔵大臣のお名前も出ている中で、政府、政治に対する重大な不信になっているんですよ。こういうことをもっと真剣にお考えをいただきたいのです。竹下総理、いかがですか。
  387. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 金融機関への通達ないしは特別ヒアリングというものは、その金融機関に対して実需に基づくものであるかどうかということが主眼でこのヒアリング等は行われるものであろうというふうに私も思っております。したがって、一つ一つ融資行為そのものについて私が知る立場にはございません。  が、その問題よりも、むしろ私自身の周辺の問題について、これが政治不信というものを助長しておるという御指摘に対しては、たびたび申し上げておりますように、そのような改むべきことがあればもとより改めていくということで自分の責任を果たしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  388. 田英夫

    ○田英夫君 全く、私は、この問題についての総理の態度というものは国民が納得できるものじゃないということを国民の一人として、あるいは国民に多く接しているという自負を持って申し上げておきます。  時間がありませんから、リクルート問題についてはこれからもしばしばこの国会で取り上げられる場ができると信じておりますので、残念ですが別の機会に譲りまして、一つ最後にお聞きしたいことは、同僚委員も取り上げられましたが、沖縄の石垣島の新空港の問題であります。  この問題について、国際自然保護連合(IUCN)がことし決議をしておりますね、ああいう飛行場はつくるべきではないと。この点について環境庁長官はどういうふうに受けとめておられますか。
  389. 堀内俊夫

    国務大臣(堀内俊夫君) 御指摘のように、ことしの二月、IUCNの総会で沖縄県の石垣島の空港計画を中止せよという決議が行われたのでございます。  私は、今この空港問題について世界の注意が集まっているものと理解しております。
  390. 田英夫

    ○田英夫君 環境庁長官は、きのう現地沖縄の石垣島白保の子供たちが長官をお訪ねしたときに、大変温かく迎えてくださって、いい言葉をいただきました。ありがとうございました。あの子供たちの声を聞いての印象をひとつ率直にお答えいただきたいと思います。
  391. 堀内俊夫

    国務大臣(堀内俊夫君) 子供たちの、美しい自然とこのきれいな海を残したいという、極めて率直な、素直な気持ちを聞いておりまして、私は、次代二十一世紀の担い手である子供たちがこのように環境問題について注意深く、また心から思っているということはまことに結構なことだと。私たちは、自然環境保全なしには次の時代、二十一世紀はないという考えを持っておりますから、そういう意味において非常に深い感銘を覚えました。
  392. 田英夫

    ○田英夫君 環境庁長官のそういうお答えの中で、海の男という運輸大臣、所管の大臣でありますけれども、運輸省はああした自然を壊すような新しい空港の認可はもうこの際取り消して、現空港の拡張ということで県に対して指導をしていかれてはいかがであろう、こう思うんですが、運輸大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  393. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 御承知のように、運輸省が新空港の建設に関する認可を云々するスタンスは主に管制上の問題、つまり新しい空港ができたときに航行が安全かどうかという視点のみでございまして、環境的にそれが是か非かということは環境庁あるいは第三種空港の場合には県のアセスメントによるわけでございます。もし沖縄県がこれを正確に調査して環境上好ましくないということならば、その意見を参酌して当然運輸省もそれを取り消していくことになると思います。  ただ、環境上の調査の問題については私たちの管轄でございませんから、その結論をまちたいと思いますけれども、幸いと申しましょうか、ほとんど同じ工法で最近奄美に新しい空港ができました。その結果がどうであるかということは私はここで申しませんけれども、それを正確にお調べになれば、沖縄の石垣島の空港に関するアセスメントの格好の材料になると私は思っております。
  394. 田英夫

    ○田英夫君 運輸大臣のお立場で自分の方からは言わないと言われましたが、ことに実はその奄美新空港の周辺の海に潜って私の仲間が撮ってきた写真があります。もう今や奄美のあの美しい海のサンゴは完全に死滅をしている。同じことが白保で起きますよ、石垣島で起きますよ。これは見ていただいても結構です。環境庁には差し上げてあります。今の運輸大臣の御答弁は極めて重要だと思います。奄美新空港の状況が石垣のアセスの参考になるという今の運輸大臣の御答弁を私は評価をし、貴重な御答弁だというふうに考えます。  時間がなくなったようであります。ありがとうございました。
  395. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で田英夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  396. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
  397. 下村泰

    ○下村泰君 大分遅くまでおとどまりになってお疲れのことと思いますけれども、よろしくおつき合いのほどをお願いします。  明日は九月一日、いわゆる関東大震災、私も大正十二年にその震災の経験をした一人でございます。この地震の恐ろしさというのは遭った者でなきゃわかりません。殊に人間は、立ったときに地べたが揺れるぐらい頼りないものはありません。初めて車に乗ったときに車がすっと動き出します。その動いたときにおしりが揺れる、動き出す。瞬間、恐怖に駆られるという観念がよくございます。ですから、地震というものはまことに恐ろしいものです。  せんだって、ネパールというところで大きな地震がございました。そのときに日本の国としてはどういうことをなさったのか、ちょっとお聞かせください。
  398. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生御指摘のネパールでの大地震は八月二十一日に起こっておりまして、その結果、多数の死者、それから多数の負傷者を出しております。  そのほかの物的な損害もかなりのものでございましたので、私ども直ちにネパール政府と相談いたしまして、とりあえずネパール政府の要請にこたえまして、既に私どもがネパールに派遣しておりましたお医者さん二名、それから看護婦さん一名を二十三日に現地に派遣いたしました。  それから、さらにネパール政府と打ち合わせの上、現地で、ネパール側がぜひ必要としております物を国際協力事業団を通じまして、具体的には医薬品、毛布、テント等でございますけれども、約二千万円相当の物を救援物資として現地に送りました。  ただいまの、今後どういう追加的な援助が必要かという点につきましては、さらに状況を見た上で検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  399. 下村泰

    ○下村泰君 外務大臣にお願いしておきますけれども、とかく日本は東南アジアの方じゃ評判が悪うございますから、殊にネパールなんというのは皇族の方々も親しくお会いになっている国でございますので、できるだけこういうところには手厚くいたしませんと、経済大国日本はどうのこうのと、またどこでおしりをかかれるかわかりませんから、ひとつ何かちょっとありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  400. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) ネパールに対しましては、ODA等々で今日までいろいろ協力をいたしておりますが、こうした不慮の災害に関しましてもやはり当然最大の配慮をしなければならないと思っております。  特に、我が国といたしましては、御承知のレスキュー部隊等々も既に編成されておるわけでございますが、今回はそうしたものは要りません、とりあえず救援物資を早急に送ってくれということでございましたので、ただいま局長が申されたようなことでございますが、さらに追加があるかもしれません。そうした面におきましては十二分に配慮したいと、かように思っております。
  401. 下村泰

    ○下村泰君 話は変わりますが、八月二十三日にアメリカの方で包括貿易法案、これが成立しました。私はもう素人でございますので、こういうことが果たして日本にどういう影響を及ぼすのか、骨子というのを拝見いたしますと、完璧に日本だけがターゲットになっている、ねらい撃ちをされているような骨子が書かれておりますけれども一体これが成立した後、これから日本というのはどういうふうないろいろな経済の影響を受けるのか、ひとつ通産大臣に解説願いたいと思います。
  402. 田村元

    国務大臣(田村元君) 大変重要な問題でございますが、御質問はこの予算委員会で実は初めてでございますので、少し私から今までの経過等も含めて御説明を申し上げたいと思います。  従来、この包括貿易法案、いろんな経緯があったわけでございますけれども、一度拒否権発動ということでまた新しいものが出てきたわけです。  日本政府がどういうような今まで努力を、つまりアメリカに対して働きかけをしてきたかということをちょっと簡単に申しますと、八七年四月三十日に中曽根総理からレーガン大統領に懸念を表明して、そして同じく八七年九月二十一日に中曽根総理からレーガン大統領に再び懸念を表明した。レーガン大統領は、保護主義的法案が出てきた場合には拒否権を行使するというふうに言明をいたしました。それから八八年四月七日に竹下総理からレーガン大統領に、この法案に対して懸念を表明する書簡を発出いたしました。  それ以外に、私は三度訪米いたしまして、随分要路の方々にもお目にかかったり、それから四極貿易大臣会合がその間に三、四回ございましたが、そのたびにクレートン・ヤイターとかマイク・スミスとかいうような人々にも強く働きかけをいたしてまいりました。また、ベリティ長官にも、私が先般もべリティさんのお宅まで御招待いただいたものですから強くお願いもしてまいりましたが、そこでそういう努力をいたしてまいりまして、本来の包括貿易法案というものが少しやはり中身が改善されたことは事実でございます。  その改善も、簡単に申しますと、ゲファート条項というのがございまして、これは非常に恐ろしい条項でありまして、大幅な対米黒字国を特定して、ですから日本とかあるいは場合によったらアジアNIES等も入るかもしれませんし、これを特定して強制的に黒字幅を毎年一〇%削減させるというのがありましたが、これが削除されました。  それから、外国企業制裁条項というのがございますが、ガーン修正条項と言っておりましたが、ココム違反企業の親会社である東芝からの二年ないし五年の輸入禁止というものが、これが改められて東芝機械からの三年間の輸入禁止となって、東芝本体については三年間の政府調達の禁止という程度でおさまったということは、これは相当な改善であったと私は思っております。  しかしながら、だからといって、こういう法律ができたということはこれは大変なことでございます。中身が改善されたということは喜んでもいいのかもしれませんけれども、それは喜びも中以下でございますから、そういう点で今後の対応というものを我々は十分に考えていかなきゃならぬわけです。この法律の中で、最終的には外国企業制裁条項やスーパー三〇一条などの問題条項が残されたまま成立をいたしました。まことに残念でございます。  しかしながら、アメリカの場合、ちょっと日本とは大分制度が違うんでしょうか、行政府が保護主義に徹底して反対をいたしておりますので、先般もレーガン大統領が署名をいたしますときにこういう文言を言っておるんですね。「正直に言えば、この法案には気にいらない部分がある。本法案の下では、国際法上違法であり、世界の自由貿易を達成するという我々のゴールにも反する輸入課徴金の導入に至る可能性がある」。つまり彼が、大統領自身が指摘しておりますが、輸入課徴金の導入に至る可能性がある。それから、「本法案が行政府に外国と特定の貿易上の問題について交渉することを要請している点は米国憲法の原則に違反する」、こう言うんです。憲法に反するのに署名というのもちょっと制度的に私にはわかりにくい面がありますが、アメリカはそういう制度なんでございましょう。それから、「本法案は、国際貿易委員会に議会の一つの院の委員会を通過した決議に対応して調査を行うことを求めているが、これも米国憲法の原則に違反する」、大統領はこれも指摘しておるわけです。「本法案は、特定の権限をUSTRのような行政官に与えているが」、つまりヤイターさんのことですけれども、「全ての行政官は大統領の支持と管理の下にあるのであり」、つまり大統領の直属の部下である、だから、最終的には自分が決断するんだという意味だと思いますが、「私は、署名するにあたり、憲法に沿った形で運用されることを表明する」と、こう言ってここで非常に強い五寸くぎを刺しておる。  それから、ヤイターUSTR代表がプレスブリーフィングにおきましてこういうことを言っております。「新法案は、無論保護主義的運用が可能ではあるが、それは、現行法の下でも可能である。レーガン政権は新法案を保護主義的にならないように運用し得るし、新政権もそうであることを希望する」。アメリカ政府、つまり行政府が非常にこの法案に対して懸念を表明し、そうして後継大統領といいますか、後継内閣に対して、一種の事務引き継ぎのような形で厳しく注文をつけて通しておるということは、私は特筆に値するものと思っております。  それをもって、それだけで喜ぶわけにはいきません。アメリカの議会が非常に厳しゅうございますから簡単に安心はできませんけれども、米国政府のそういう姿勢というものは評価できるのではなかろうかと思っておりますが、今後も引き続き米国政府に対して我が方の懸念というものを強く訴えていく立場に変わりはありません。  また、仮にこの法律が自由貿易上の問題を生ずるような運用をされた場合には、先般私は大臣談話を出したんですが、ここで読みますと時間がかかりますから、後でまたコピーを渡してもいいんですけれども、そういえば新聞に出ておりましたから、それを読んでいただいても結構なんですが、私の談話でも明らかにしましたように、いつでもガット等の場で対応するという立場を明確にしております。もしこれが妙な運用をされた場合には、我々はガットの場で争うというだけの決意を持っておる。  しかし、いずれにしても、これからもアメリカの政府、つまり行政府とは緊密に連絡をとりながら、新政椎がどっちになるか知りませんけれども、新政権とも緊密に連絡をとりながらこのような法律の発動、まあこの法律の中にもいい面もあるんですけれども、こういう反自由貿易、反自由主義的な、いわゆる保護主義的な条項が軽々に発動されるというようなことのないように、徹底して今後も対応していきたいと考えております。
  403. 下村泰

    ○下村泰君 余り御丁寧にいろんなことを言われて、何が何だかさっぱり、私は物も言えません。つまり、常識的に判断しまして、物を売る方が頭を下げていき、買う方が高姿勢になるのは当然だと思うんですね。ところが、現在の日本とアメリカというのはそうじゃなくて、こっちが売りつけられるのにぺこぺこ頭を下げていくというのは、こんなばかな法はないと思うんですね。  そこで、農林水産大臣に伺いたいんですけれども、米だとか肉だとかというのは、これは一々ぺこぺここちらが向こうへ出かけていってあんなに頭を下げてこなきゃいけないものなんですかね。
  404. 田村元

    国務大臣(田村元君) ちょっと今、誤解があるといけませんから申しますと、余りしっかりわからなかったというお話ですが、私の言い方がまずかったのかもしれませんけれども、私の持ち分で物を言えば、日本は売る立場でございます。買う立場というより売る立場でございます。だから、黒字がどんどんふえてきて、アメリカが数百億ドルというような対日赤字を出して大騒ぎをしておるということでございますので、ちょっと農林水産大臣と私の立場は若干そういう点で違います。どうぞその点は誤解のないように。
  405. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) 売る方の立場を言われましたので、買う方の立場を申し上げたいと思いますが、従来とも確かに閣僚交渉になるとアメリカに、ワシントンに参っておったのが事実でございます。事務レベルにおきましては相互主義に基づいて、ワシントンでやれば東京でやる、東京でやればハワイでやる等々の一つの例がございますけれども、このたびの日米牛肉・かんきつ交渉におきましては、これは二度の私の訪米によっても大きな開きがございまして、とても話し合いの余地のない開きでございましたので私は帰ってまいりました。その結果、向こう様が今度来られましたので、その点はょき慣行をつくれたのかなというふうにも考えておるわけでございます。
  406. 下村泰

    ○下村泰君 日本の農耕の規模と向こうの農耕の規模とではもうダンチの差がありますわね。そして、カリフォルニア米というのは私も食べたことがあるのですけれども、そんなにまずい米じゃない。ああいうものを大量にどんとやられたら、これから先どういうふうになるのかという心配はだれにでもあると思うんです。  我々の国は、千五百秋の瑞穂の国と言って農業国ですから、その国がよそからどんとやられたのじゃ、とてもじゃないけれどもかなわないと思いますが、そういうことに関してはどういうふうにお考えですか。
  407. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) 御理解あるお言葉をいただいて恐縮でございます。  世界の米の流通量は千五百万トンから千六百万トン程度でございます。そのうち日本人が好む中粒種、これは百五十万トンから百六十万トン程度でございます。日本の実需は、主食である米は大体一千万トン程度ということになっておりまして、そういう中にあって百五、六十万トン程度しか世界の流通量がない中粒種の米につきましては、私どもは海外に依存する気は毛頭ございません。米の自由化はいたしません。
  408. 下村泰

    ○下村泰君 次へ移ります。  さきの予算委員会でも内部障害者に対するJRの運賃割引について伺いました。あれからもう五カ月半たっております。多少の変化を期待してまたお伺いしたいと思います。  前回、他の乗客が負担をすると総理も運輸大臣も言われたんです。確かに、福祉施策の中で対応できないとすればそういうことになるかもしれません。では、一体幾らぐらいの負担になると試算をしていらっしゃいますか。トータルで幾らになるのか。そして、他の乗客はそのために幾ら負担することになるのか、ちょっと聞かしてみてください。
  409. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) お答え申し上げます。  試算をいたしましたところ、内部障害者に対して拡大をした場合の減収額は、JRにつきましておおむね十億円程度であろうと思います。
  410. 下村泰

    ○下村泰君 いわゆる内部障害者の数をどのくらいに読んで、利用度数をどのくらいに読んでやっていらっしゃるんですか。
  411. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) おおむね三十万人でございます。
  412. 下村泰

    ○下村泰君 けさほど運輸省の方が私の部屋へわざわざお越しになりまして、なぜ内部障害者に対する割引ができないのか説明してくれた。そこで感じたんですが、なぜ私がこの問題にこれだけこだわるのか、政府の方に本当に理解していただいていないと思う。石原運輸大臣にはきょうで三度目なんです、これ。お顔を見ると、もういいかげんにしてほしいというような顔をしておる。ところが、私の方は何年来も取り組んできた問題なんです。私の方がいいかげんにしてほしいんです。答えを出していただきたいんですよ。どうして私がこういうことにこだわるか、多少の御推察がつきますかしら。
  413. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) この機会に、身体障害者に対します運賃のこの割引制度につきましてはいろいろな背景と問題点がございますので、それを申し上げさせていただきたいと思います。  まず、この身体障害者に対します運賃割引制度は、昭和二十四年の十二月に身体障害者福祉法が制定されまして、その法律の中で国有鉄道運賃法の改正が行われ、旧国鉄が公共企業体としての性格を有しておりますことから、国鉄運賃につきましては、介護者を同行する重度身体障害者とその介護者につきまして運賃を半額にするということが法律で決められまして、これを契機にいたしまして日本国有鉄道が昭和二十五年四月から割引制度を導入した経緯がございます。それ以降、他の運輸交通事業におきましてもこの国鉄の例に倣いまして、それに準じた割引制度が設けられてきたところでございます。  この根拠になりました国有鉄道運賃法は、昨年の国鉄の民営・分割化の際に廃止をされておりますから、今は法律上の根拠もございません。  ところで、今後JRを含めまして運賃割引制度を内部障害者に拡大適用することにつきましては、ただいま先生が御指摘されましたように、その割引分というものはどこからも出てくるわけではございませんから、他の利用者の負担によって賄っているということでございます。こういう問題につきましては、運輸省におきまして、運輸政策審議会におきましてもこの問題について御審議をいただいたことがございますが、このような身体障害者割引のような公共負担による減収を他の利用者に負担をさせるということは、これは利用者の負担の公平に問題を生じる場合がある、また減収がもし運賃に転嫁できない場合には、公共交通機関の経営状況に問題を生ずる場合があるということで、そのような社会政策割引の目的に対応する補助制度や割引制度自体を見直すというような措置を講じていかなければ、そういう公共割引制度の拡大はできないということを指摘しております。  また、国鉄が民営・分割化されます際の「国鉄改革に関する意見」、これは閣議決定されておりますが、JRが発足して「新経営移行後は、運賃上の割引は私鉄と同様それぞれの会社の自主的判断により決定されるべきであり」ということにされておりまして、仮に政策事由がある場合でも補てんをしないで鉄道会社に負担をさせることは適当ではない、こういうことが決められております。  なお、私どもが諸外国の状況につきまして調べましたところ、諸外国の運賃割引につきましては、それについて公的な補てん措置が講じられているのが実情でございます。また、他の公共料金と比較をいたしますと、一部に身体障害者に対する割引制度がございますけれども、民間事業者のサービスについての公共料金につきましては、このような割引制度は設けられておりません。  そういう比較をいたしますと、公共交通機関におきましては、身体障害者につきまして他の公共事業に比べてかなり手厚い割引制度を既に実施しているというふうに評価をして差し支えないと私ども考えております。  以上、身体障害者の運賃の割引制度につきまして、その背景と問題点について御説明いたしました。
  414. 下村泰

    ○下村泰君 ですから、先ほどちょっと伺ったんですけれども、お客さんに振り分けると一人当たりの乗客がどのぐらいの負担になるかということを聞いたんですけれども、それを計算して。お客さんに負担してもらうとき、じゃ、そのお客さんがどのぐらい負担するかということ、他の乗客が。
  415. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) 今の先生の御質問はJR各社についての御質問と思いますが、それはJR各社についての乗車数……
  416. 下村泰

    ○下村泰君 今、利用しているお客さんですね、日本全国で。
  417. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) 乗車数で先ほどの十億円を割れば出るわけでございます。
  418. 下村泰

    ○下村泰君 幾らぐらいになる。今すぐでなくていい。今すぐ答えを出さなくてもいいですから、私のしゃべっている間にちょっとやってみてよ。  外国に例も余りないとおっしゃったけれども、これは西ドイツではやっているというふうに先ほど伺いましたね。それから、国内でも民間ベースでは、ないというふうにおっしゃっていますが、実は中小の鉄道、バスで実施しているところがあるんですよ、日本でも。やっている会社もあるんです、そういうことを。  だから、政策として行うには、運輸省は金がないと言うわけですけれども、じゃ、例がなかったら日本がやってみたらどうですか、世界に先鞭をつけて。私はいつも言うんだよ。どこそこの国はこういうことをしています、ですから日本もやりましょうとか、あるいはそんなものは外国に例がありませんから日本でもできませんと。これが一番つまらない逃げ口上だと思うんですよ。政治というのは国民のためにあるものでしょう。そうしたら、やっぱり国民というものをまず優先的に物を考えて運んでいかなきゃいけないというような気が私はするんです。  絵にならない障害者と言うのですね。総理、この内部疾患の絵にならない障害者、形の上に出ませんから外から見たら健常者と同じように見えるんですよ。ところが、片方の肺がないとかあるいは心臓にペースメーカーが入っているとか、そういう方々なんです。それこそ、この方々は旅なんておいそれとできるわけじゃないんです。割引ができても、ではその三十万足らずの人たちがわっと行くかと。そう簡単に動けないんです、この人たちは。介添え者がなければ動けない人もいらっしゃる。そうかと思うと、静かに動かなければ列車に乗れない人もいるんです。  しかし、こういう方々には今までその制度がない。もしこの制度をあなた方も利用することができますよと言ったら、これはどんなに大きな希望になりましょう、こういう人たちには。これが私は政治じゃないかと思うんですよ。蝋山政道先生もおっしゃっています。政治家のための政治ではない。政治家のための政治をやるとリクルート問題になるんですよ。だからそうではなくて、本当に、つまり国民の立場に立った政治、これを私はお願いしている。ですからしつこくやると言うのですよ、運輸大臣。  運輸大臣の言葉の中にもあるんですね、先般のお答えを見ると。例えば議員パス、こんなものは返上してもいいじゃないか。私もそれを申しました。まあそれは諸般の情勢いろいろとあるでしょうけれども、知恵を出し合うのが政治家じゃないんでしょうかね。  例えば宮澤大蔵大臣は、見積もりの都合で誤りまして三兆円も自然増収がございましたと。この自然増収を回したって十億ですよ、今言った計算が。本当は五億円から、もうそんなに要らないかもわかりませんよ、予算としては。知恵を出し合うのが政治だと私は思う。  その件に関しましてまず運輸大臣から、何かいい答えが出ませんか。ちょっとそっちの答えは後でいいから。
  419. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 下村委員から御提言がありまして、私も運輸省もいろいろ考えましたのですけれども、なかなかいい知恵も出ません。これは決して責任を転嫁するわけじゃありませんけれども、内閣全体で考えなくちゃならない問題だと思いますが、乗客がそれを何らかの形で負担するというなら、今もおっしゃいましたが、私は、国会議員が民営化されたJRのパスを含めて返上することが一番わかりやすいんじゃないかと思います。
  420. 下村泰

    ○下村泰君 例えば何が足りない、何が足りないといったら、運賃を上げるとかあるいはたばことかお酒に対する税率を上げる、それで増収を図る。こんな簡単なことはだれだってできるんですね。そうでなくして、汗をかいて知恵を絞るというのが本当の政治家のあり方ではないか、そういう気がします。ですから、今おっしゃったように、運輸省でできない、本当はこれは厚生省から幾らかよこしてくれればいいんだと。じゃ厚生省に、今、藤本厚生大臣に伺ったらすぐ出ますか、こういう予算は。出ないでしょう、恐らく。首を振っていらっしゃる。それを何とかして出し合わなきゃならないというのが、私はこういったことに対する政治家のあり方ではないかという気がしますが、総理、いかがでしょう。
  421. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる運賃行政から見ます考え方、今、私も聞いておりましたが、事務当局から申し上げたのも一つの考え方であろうと思います。だが、いわゆる福祉政策全般の中でどうこれを消化していくか、こういうことであろうと思います。  私は、運賃問題は決して詳しくございませんけれども、個々の旅行に対する運賃の申請でありますとか、仮にこれを福祉対策の中でやるといたしましても、これは大変な煩雑なことになりはしないであろうか。したがって、やっぱり全体の福祉政策の中で考えるべきことではなかろうかという感じで今承っておりました。
  422. 下村泰

    ○下村泰君 大蔵大臣、いかがでしょう。今申し上げたように、そんなに大して大きな額じゃないんです。何とか面倒を見ていただけませんか。
  423. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 十億円とおっしゃるのは、確かに非常に大きな額であるとは私も思いません。しかし、JRの決算を見ておりますと、そこからこの負担がJR自身にできないのだろうかという感じもまた私としてするものでございますから。  しかし、これは、私どもの中でおっつけ合いしておってはいけませんので、またよくみんなで相談をさせていただきます。
  424. 下村泰

    ○下村泰君 いつかJRの方で、運輸大臣、何か汐留の駅あたりで生鮮食品を集めていろんなことをおやりになって大分利潤を上げたというふうに聞いておりますが、運輸省の方どなたかわかりますか、それ。一人当たりどのぐらい増額すればいいのか、その値段の発表と一緒にちょっと答えてみてください。新橋の汐留駅でやったでしょう。生鮮食品や何かで売り上げが一億円ぐらい上がったというような話を聞きましたよ。
  425. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) おおむね一円程度でございます。
  426. 下村泰

    ○下村泰君 ほら、これですよ、運輸大臣、一円ですって。利用者が一円負担すると、これはできる。そうしますと、例えばあなた方の一円の負担によってこの方たちが救われますって言ったら、だれも腹は立てませんよ。僕はそういうものだと思います。そうでなくして、運輸省の方が努力をしない、つまり今のJRですが、JRの方が努力しないで勝手に運賃を上げると言うからみんな怒るわけなんです。人のためにこうやるんだと言ったら、だれも腹は立てませんよ。そこなんですよ、私が考えてほしいというのは。再度伺います、運輸大臣。
  427. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 内部障害者が利用されるのは決してJRだけでもございませんが、JRを含めましてすべての鉄道会社を通じて何らかのキャンペーンを行いながら、わずかな部分、体の不自由な方々に対して幸い健康でおられる方々がその負担をするというふうな、何というんでしょうか、国民的なキャンペーンというものをやっぱり考えてみるべきかなという気がいたします。
  428. 下村泰

    ○下村泰君 このぐらいしつこくやればいいでしょう。でも、私はあきらめませんから。できるまでやりますから。  ところで、三カ月前、私は健康政策局長にお会いしまして、骨髄バンクということについて要請をいたしました。それで、お忙しい中で時間を割いていただいて本当にありがたかったんですけれども、さて、それはそれとして、その時点では担当の窓口が決まっていなかったんですが、窓口は決まりましたでしょうか。  それと、いま一つ、ここに今いらっしゃる皆様方で知らない方が多いと思うんです。骨髄バンクというものはどういうものなのか、これをひとつ御説明願いたいと思います。
  429. 仲村英一

    政府委員(仲村英一君) 骨髄バンクの話でございますが、その前に骨髄移植ということがございまして、骨髄移植というのは、白血病とか再生不良性貧血の患者さんが、その方の骨髄の機能がうまくいかないためにそういう病気になるわけですので、その骨髄をほかの人のに植えかえるということで、骨髄移植という技術が最近発達してきたわけでございます。  そのためには、今、患者さんが持っておられる骨髄の機能をたたかないといけませんものですから、無菌室へ入れて抗生物質とか放射線治療をやりまして、その後にほかの方の骨髄の液を入れるわけですが、そのためには型合わせというのがございまして、どなたともできるわけではなくて、HL—Aという組織適合性抗原が合わなくちゃいけない。これはかなり厳重に一致させなくちゃいけませんので、合う人がなかなかいないという問題があるわけでございます。兄弟でも三分の一とか四分の一しか合いませんから、なかなか相手がいなくてそのままになる患者さんも多いわけでございますが、それでもこの治療法は、がん研究助成金の成果によりますと、二年で五〇%ぐらいの成功率、生存率があるということですので、その患者さんは非常に相手を欲しがるという問題があるわけでございます。もちろん、その成功率はそういうふうに余り高くはない部分もありますし、副作用、副反応もありますが、治療が成功いたしますと普通の生活に戻れるという利点がありますので、どうしてもそういう相手を探すということが出てくるわけでございます。  それで、肉親の場合だけでなく、もっと他人も探したらどうかということで、ある大学などではいろいろキャンペーンをいたしまして、その提供者を探して見つけるということもやっておりますが、もっとたくさんの人が事前に登録をして、その中から事前にHL—Aの型を調べておいて、その患者さんと合う人を探してきて骨髄移植をやって差し上げればいいではないかということで、それを登録するのを骨髄バンクと呼ぶように私どもは理解をしておるわけでございます。そういうことでありますが、この実施の方法は、患者さんの方は無菌室へ入っていただいて、抗生物質で腸内細菌を全部殺してそれから受けるということをやらなくちゃいけませんし、その骨髄液をとるには他人のドナー(提供者)は入院をしていただかなくちゃいけない。それで、数日間で骨を何カ所も穴をあけましてそれからとるという危険を伴う技術でございますので、そういう問題点もあるわけでございます。  それから、そのHL—Aの検査をするにつきましては、平均二万円程度の金額が要りますものですから、その維持費をどうするかという問題でございますとか、情報の流通をどうするとか、システム化の問題とか、幾つかの問題があるわけでございます。  そういうわけで、今、私どもとしても直ちに行政で取り上げる形になっておらないということで前回申し上げたわけです。関係する部局もございますが、私どもの局で一応窓口的な取りまとめをするということで、各方面の検討をしておるというのが実情でございます。
  430. 下村泰

    ○下村泰君 総理、今お話を聞いていただいておわかりになったと思いますけれども、いわゆる白血病ですね。それで、この方たちはもう脊髄でそれをつくる能力がないわけなんです。ですから、丈夫な方の脊髄をいただいて入れるわけです。  このことに関しましては、「代謝」という医学専門誌のことしの六月号で、正岡徹という方が厚生省がん研究助成金骨髄移植研究班の成績を中心にまとめられたものがあるんです。今のこういった骨髄の現状、問題点、有効性について述べられています。化学療法の進歩や他の治療法の開発も可能かもしれませんが、また、ドナーというのは相手の型を合わせるわけですね、ドナーのリスク、あるいはその患者本人にとってのリスクも考えなければならないことが大変重要な問題なんです。  この正岡氏のレポートの最後にこういうことが書いてあるんですね。「骨髄移植はこれまでの治療法では治癒率のきわめて低い疾患を完治せしめる治療法であるから、これが施行できるかどうかが、患者の生死を左右することになることが多い。このような観点から、骨髄移植の成績の向上と施行数を増加させるために、広域的な行政の対応が望まれる」、「骨髄移植センターの設置はかなり有効な対策と思われる」、こういうふうに結んでおるわけです。もちろん、今、局長がおっしゃいましたように、成功率は五〇%ぐらいなんですけれども、しかしその五〇%の成功率というのはどういうことかといったら、完治するということなんですね。患者の方にとっても、今、数少ない希望があるわけでございます。  アメリカのポール・テラサキという教授がいらっしゃるんです、日系二世の方なんですが。この方がチェルノブイルの救援活動の経験から国際的骨髄バンクの必要性を説いているんですね。アメリカ海軍もバンクのようなものを持っていると聞いています。これは核兵器のためでしょうが、イギリスもオランダもフランスにも骨髄バンクをもう既に施設として設けている、こういう情報も伝わっておるんです。東海大とか名古屋は、そんなもの一大学、地域ですから、そうでなくて、全国的にやった方が効果があるというのは、これは当たり前のことなんで、エイズの問題で血液行政のあり方が問われているときでありますから、三カ月の間に何人の方が亡くなっていくかという、ここのところも、これはもうこの病気にかかりまするとたしか五カ月、早い方は五カ月ぐらいで亡くなる方が多いわけなんです。  ですから、こういうことに対してある程度厚生省としては考え方を持っていらっしゃいましょうか。厚生大臣、ちょっと聞かせていただければ幸いです。
  431. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 骨髄移植の問題でございますが、先ほど政府委員から答弁いたしましたように、これは骨髄の提供者に対しまして全身に麻酔をかけ、しかも腰骨に数十本の注射を打ちまして、そこから骨髄を抜き取る、こういうことを行います関係で相当程度の危険を伴う、こういうことから、血縁者から骨髄の提供を受けてこの骨髄移植を実施しているというのが現状であるわけでございます。  いろいろ御意見を交えまして御指摘の点、私どもも理解ができるわけでございますが、そのような困難な事情があるわけでございますので、第三者から骨髄の提供を前提とするこの骨髄バンクをつくることにつきましては、医学的にも社会的にも、また倫理的にも今後さらに検討をする必要があるわけでございまして、なかなか現段階において直ちにこの骨髄バンクを設置する、創設するということは困難であろうと思うわけでございます。  最近、名古屋におきまして患者や家族の方々による自主的な骨髄登録の動きがあることも承知いたしておりますので、この点について、この推移を注意深く私どもも非常な関心を持って今見ておるところでございます。
  432. 下村泰

    ○下村泰君 名古屋大病院の森島泰雄先生がこう語っておるんです。「数万人のバンクができれば、少なくとも毎年数百人の白血病や再生不良性貧血などの患者を救える。アメリカではすでにバンクが活動しており、日本でも可能と思う」と、こういうふうにおっしゃっているわけです。  少し長くなりますが、ちょっとこれを聞いていただきたいんです。これは総理にお答えを願うために聞いていただきたいと思います。かいつまんで読ませていただきますが、これ名前は伏せます、そうしませんとこの方にお気の毒ですから。   私は去年の十一月に主人をなくしました。病名は、まだ日本ではないそうなんですが、しいていえば、骨髄細胞形成不全だそうです。ちょっと違うかもしれませんけれども、重度の再生不良性貧血だと思っていただいて結構です。(中略)   発病後たったの五ヶ月で亡くなりました。そして、次に主人が亡くなって、すぐに今度は娘が入院しました。それはちょうど主人の初七日の日でした。娘の病名は、急性骨髄性白血病でした。(中略)   私は娘にずっと付き添ってその症状を見ていたんですけれども、悪い白血球を全部殺すために抗ガン剤を入れるんですね。その抗ガン剤は他のガン患者は使用しないくらいの強いものだと聞かされていました。それを治療で体内に入れると、たちまち気分が悪くなります。吐き気をもょおし、食欲がなくなり、水すら飲めなくなります。いえ、もどしている様子なんかは、見ている方が、私の方が生きた心地がしません。片方の手はシーツを汚したらいけない気持ちで、嘔吐する物をうけるのをいっしょうけんめい持っています。もう一方の手はもう死んだ人のように硬直しているんですよね。もどすたびに力が入ってその硬直した手が震えるんです。そして嘔吐がおさまれば、次の嘔吐がこわいんですよね。ですから眠ろう眠ろうと努力するんです。娘は寝てしまう方が一番楽なんですって。でもその寝顔は、眼を半分開いたまま、その眼も白眼をむいているんです。でもそんな状態でもあたしは起こさないで寝かしておきます。何故かと言えば、その様な状態でも娘にとってみたら一番楽なんです。  こういうふうに書かれているわけです。この先まだたくさんございますけれども、時間がございませんから読みません。  それで、このお嬢さんの、先ほども申しましたが、どうにかしてリンパ球の合う相手がいないか探したんですが、一人もいないんです、この方。百三十何人探しても合わなかったわけです。ですから、下手をすると、このお嬢さんは何も手を差し伸べられずに、あるいはという懸念があるわけなんです。  こういうふうなことがございますので、一日も早くこういった骨髄バンクを、もちろんそれはいろんな障害がございましょう、危険も伴いましょう、日本でも数の少ないことでございますから。しかし、こういうことに関して、今、総理が私のこの話を聞いてくださいましてどういうふうな御感想をお持ちか承って、終わりにしたいと思います。
  433. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 近代医学の発達した中においても手の届かないものがあり、ある意味において難病、奇病という言葉を私どもよく使わしていただいておりますが、そういう問題についての調査研究というものが一層進むことによって、それらの解決の糸口が見つかるものじゃないかなというふうな感じで承っておったところでございます。
  434. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございました。
  435. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で下村泰君の質疑は終了いたしました。     ─────────────
  436. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、木本平八郎君の質疑を行います。木本君。
  437. 木本平八郎

    木本平八郎君 もう大分に時間が遅くなりまして、皆さんお疲れだと思いますので、私もできるだけ簡潔に短く終わりたいと思います。したがって、答弁の方も簡潔に、しかしその焦点をがっちり合わせて討論に御協力いただきたいと思うわけです。  まず、本題に入ります前に、きのう、きょうの朝日新聞に大分に書かれております牛肉の輸入に対して商社が談合したという問題があるわけです。私は、御存じのように、商社マン出身でございますので、談合は確かにけしからぬ、特に今回の場合は、消費者のためにもならなきゃもちろん生産者のためにもならない、ああいう談合というのは徹底的にやっぱり追及していただかなきゃいかぬと思うんですね。しかし、あの新聞記事を読んでおりまして、私はちょっと新聞の論調のピントが違うんじゃないかという気がするものですから、その点だけ簡単に触れたいと思うんです。  それで、あの論調ではすべて商社が悪いと、畜産振興事業団の方々も皆さんそういうふうにおっしゃっているわけです。確かに談合をやったのは商社なんですけれども、しかし、私が非常に疑問に思うのは、この新聞にありますけれども、三十六の商社が三年間にわたって六回も、同じシェアなんですね、ほとんど。こんな談合というのはあり得ないわけです。あえて私の経験とは申し上げませんけれどもね。こういう談合が行われるというのは、結論からいえば、背後に相当強力な権力があって指導していないとこういうことは起こらないんです。その点を私は、今後の捜査で、あるいは調べられるときに留意していただきたいと思うんですけれども、公取の方、どういう方針でやっておられるか、まずお伺いしたいんですが。
  438. 植木邦之

    政府委員(植木邦之君) お答え申し上げます。  本件につきましては、現在私どもの方で情報の収集に努めているところでございまして、その結果、独占禁止法違反として調査する必要があるということになりました場合には、適切に対処してまいりたいと存じております。
  439. 木本平八郎

    木本平八郎君 もちろん、こういうものの追及は、公取あるいはこの院で言えば農水委員会なんかでやっていただくことになると思うんですけれども、この追及のときに、ただ単に一部の人間を捕まえてスケープゴートにしてそれで終わったということじゃなくて、もっと本質まで突っ込んでいただきたい。そうしないと、こういう問題というのは後を絶たないんじゃないかという気がするわけです。  それで、ちょっと農水大臣にお伺いしたいんですが、六十六年の四月にこれは自由化されるわけですね。その間まで、数量制限とそれから差益を吸収するという問題があって畜産振興事業団というのは存続されていくと思うんですけれども、その目的のためにどうしてもこの事業団というのは置いておかなきゃいかぬものなんでしょうかね。
  440. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) まず、できるだけ簡潔にお答えをいたしますけれども、今、委員おっしゃる一部報道された部分につきましては、昨日の朝、私も新聞を見て承知をしたわけでございます。  真偽のほどはということで、早速畜産局長をして、事業団に対して疑惑を招くことのないようひとつ指定商社に対して注意を喚起すること、あるいは公正取引委員会による調査が開始された場合には、これに事業団は積極的に協力をせよという意味のことを指示したところでございます。まあ真偽のほどは不明でありますだけに、そういう指示をいたしたわけでございます。  いずれにしても、このような調査の結果を見ながら、いやしくも畜産振興事業団の輸入牛肉の買い入れについて疑惑を持たれることのないよう対処してまいりたいと考えております。  なお、バックに相当な権力がと今おっしゃいましたけれども、お言葉を返すようでございますが、農水省あるいは畜産振興事業団が本件に関与をしていたということはないものと信じておる次第でございます。  なお加えて、畜産振興事業団は本当に必要なのか、三年後に自由化をするが、一体どうなるのだということでございますが、さきの日米、日豪牛肉合意に基づき、三年後以降牛肉の輸入が自由化されることになり、これにあわせて畜産振興事業団の輸入牛肉業務は廃止されることになると考えております。それまでの間においては、日米、日豪牛肉合意に基づき、現行制度のもとで輸入枠の拡大、畜産振興事業団の売買方式の改善等を行うことになっており、畜産物の価格安定等に関する法律の定めるところにより、適切に業務を遂行していくこととしたいと考えております。  牛肉自由化後の畜産振興事業団のあり方については、現在、農林水産省内で牛肉自由化に伴う国内対策について所要の立法措置も含め検討中でありますが、この中で、我が国畜産業の発展と畜産物の安定供給のため、畜産振興事業団にどのような対応をさせるべきか検討をしているところであります。  なお、当然のことながら、輸入牛肉関連業務以外の業務といいますと、加工原料乳不足払い、乳製品、豚肉関係等の扱いでございますが、これにつきましては、従前どおり継続をすべきものと考えております。  以上でございます。
  441. 木本平八郎

    木本平八郎君 今の御説明で、それは普通の平時というか問題のないときはそれでいいと思うんですね。しかし、これだけ問題が起こって、それで去年十月ですか、何か食肉部長が贈収賄事件で起訴されておりますね。この事業団については、これは私この事業団が悪いというんじゃなくて、余りにも牛肉の値段の差が大き過ぎるからそこにいろいろな問題が出てくると、まあ商売人の感覚としてはそういうふうに解釈しているわけです。  したがって、一つだけお伺いしたいんですが、これだけ問題があるのに、例えば数量制限、コントロールというのは、これはIQでいけるわけですね。それから差益金というのは、これは関税に直すと九五%ぐらいらしいんですけれども、関税とかあるいは差益金というのは別に取る方法があるんで、こういう問題を抱えている事業団を、三年待たずにもう今、廃止しても差し支えなければ廃止した方がいいんじゃないかと思うんですが、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  442. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) 先ほど申し上げましたように、三年たてばその後は自由化をするという、日米、日豪の交渉の結果そうなったものでありまして、足らざるところ、日本の主要食料としての牛肉対策ということに関連をいたしまして、鋭意その国内対策の詰めをやっておるところでございます。大方のフレームは、この間、報道等によっても御存じのとおりのことでございます。これを、三年を待たずして二年、一年ということは考えておりません。  いずれにいたしましても、消費者対策を考えてみましても、また流通改善ということを強く今、私自身も事務方を督励いたしております最中だけに、疑惑に終わったとしても甚だ遺憾なことである、こう考えており、大きな関心を持っておるところでございます。
  443. 木本平八郎

    木本平八郎君 今後とも公取を中心にして、この問題は徹底的に追及していただきたいと思うわけです。  時間がありませんので、次の本題に入ります。  この税制国会で、私どもというか、私はサラリーマンの代表として、やっぱり一番問題なのは不公平の是正だと思うんです。ところが今までの政府の説明では、余りクロヨンやトーゴーサンも改善されそうにもない、まあキャピタルゲインとか何かいろいろおっしゃっておりますけれども。私ここで、シャウプ以来の税制改革ですから、根本的に発想を転換して、もう一度考え方を逆転の発想でやってみたらどうかと思うんです。  そこで、具体的に問題を提起したいんですけれども、私は輸出税をかけたらどうかという考えを持っているわけです。これ、ちょっとその前に数字を確かめたいんですけれども、通産省、去年、おととしの輸出額、ドルと円で、わかれば教えてください。
  444. 熊野英昭

    政府委員(熊野英昭君) 昨年の日本の輸出額は、円ベースで申し上げまして三十三兆三千百五十二億円でございます。ドルベースでは二千二百九十二億二千百万ドルとなっております。
  445. 木本平八郎

    木本平八郎君 わかれば、ことしはどのぐらいになるだろうかということ、それから貿易インバランスの縮みぐあい。どんどん縮小されていますね、どんどんかどうかわかりませんが。その状況を説明してください。
  446. 熊野英昭

    政府委員(熊野英昭君) 貿易収支じりの推移を申し上げますと、昨年、昭和六十二年は貿易収支のIMFベースで申し上げまして九百六十四億ドルでございます。その前の一九八六年は九百二十八億ドル、その前の一九八五年は五百六十億ドルとなっております。
  447. 木本平八郎

    木本平八郎君 それは、余り数字にこだわってもしようがないから。  それじゃ、去年の数字をもとにしまして、三十三兆円なんですね。それで、貿易収支のインバランスも余り改善されていないんですね。これはやはり日本の輸出と輸入の構造に問題があるんじゃないかという気がするんですが、この議論はちょっと後で触れるとして、私は結論的に、輸出に一〇%の輸出税をかけたらどうかという考えを持っているわけです。輸出に一〇%、とんでもないというふうに普通皆さん思われると思うのですけれども、経企庁にあれば数字を説明していただきたいのです。一〇%かけたときに輸出がどのくらい減るだろう、弾性値というのを、数字があれば数えてほしいのですが。
  448. 冨金原俊二

    政府委員冨金原俊二君) 先生のお考えは一つの考え方かと思いますが、実はどういう効果があるかというのは状況によりまして随分違うものでございますから、一概にどのくらいということを申し上げかねるわけでございます。  と申しますのは、例えば一〇%というようなものを経済的に考えますと、これはいわば輸出の商品にだけ円高効果が及ぶということと同じようなことでございますが、百三十五円、きょうあたりでございますけれども、じゃ一〇%円高になったときに、今現在の日本の適用している企業のコストダウンとか、あるいは世界の貿易の伸びとか、そういうものを考えましたときに、例えば百三十五円が十三円円高になれば、百二十二円ぐらいのときに、じゃどれぐらい輸出が減るだろうかという御質問と同じになるものでございますけれども、非常にお答えが難しいわけでございます。  確かに、私ども過去の貿易あるいは経済状況について円高の効果がどれぐらい弾性値で変わってきているかという計測はしておりますが、その数字をそのまま使って計算をするということはかなり危険だと思いますので、ちょっとこの場ではお答えをしにくいわけでございます。
  449. 木本平八郎

    木本平八郎君 今の説明を皆さんお聞きになっていて、経企庁の官庁エコノミストのエキスパートでさえもう見当がつかないんですね。これは今、日本の輸出の構造が全然違っちゃっているわけです。価格弾性値で一〇%安くしたらずんと出るとか、一〇%高くしたら出るような商品でなくなっているんですね。また、日本がそういうことをやりますと、今後ともますます貿易摩擦が大きくなる。したがって、値段に左右されるようなそういう商品はアメリカやECあるいはNIESだとか発展途上国から逆に買わなきゃいかぬ状況になっているんです。それで、我々が出すものは非常な知識集約型というかハイテクのもの、そういうものは高くっても買わざるを得ない、言葉の表現は悪いかもしれませんけれども。そういうものに移行しているんです。したがって、一〇%高くなったからといってそうそう輸出量は減らないはずなんです。むしろ値段が高くなっただけ輸出額がふえるというふうな性格だと私は見ているわけです。  これは、答弁を求めましても水かけ論になる可能性がありますので、答弁を求めませんけれども、したがって私は、結論的には一〇%の輸出税をかけてもほとんど変わらないんじゃないかという観点から、三兆三千億の税源がここにあるわけなんです。これをやりますと、周りから全部喜ばれると思うのですね。日本が自粛して貿易のインバランスに本気になって取り組んだということで歓迎されると思うのですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  450. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 多年の御経験に裏づけられた御発言でございますので、注意深く伺わなければならないと思いますが、それから通産大臣がどういう御所見かということもございますが、今まで私どもがやってきたことは、世界貿易というのは、インバランスがありましても、それは縮小でなくて拡大の方向でお互いに解決しようとしてまいりましたし、ガットも、御承知のように、そういうふうに考えておりますから、やはり輸出に税をかけるということになると、与える印象は、それを縮小の形で均衡させるということに受け取られるのではないかということを心配いたします。  もちろん、それが国内産業に与える影響ということもございますでしょうし、それから、大変卑近なことを申せば、こちらが輸出に輸出税をかけるのならば、相手方は恐らく輸入課徴金を先に取るだろう、そういう導因にもなりはしないか。まあ、ありきたりの意見でございますが、一応そんなことを思います。
  451. 木本平八郎

    木本平八郎君 先ほど通産大臣が説明しておられましたように、新貿易法案で今度相当またアメリカの攻勢が強くなってくる可能性があるんですね。それで今、大蔵大臣答弁にありましたように、輸入課徴金をかけてくる可能性があるわけですね。同じなら、先に日本の方が税金を取っただけいいんじゃないか。三兆三千億をこっちが取るか、向こうに取られちゃうかという差なんですね。したがって、今までの常識論では、確かに大臣がおっしゃるように拡大均衡ということで、私もそういうふうに思ってきたのですけれども、ちょっと考え直してみると、あるいは輸出税という可能性もあるんじゃないかということで、今、提案申し上げているわけなんです。  それから、もう一つここで御指摘申し上げたいのは、円が急激に高くなりましたね。しかし、ドル価格はそんなに上がっていないわけです。国内の値段は上がっているわけですね。今度また消費税をかけると国内の値段が上がっちゃうわけですね、消費税の問題はちょっと別ですけれども。そうしますと、輸出価格と国内価格の差というのは大きくなるわけです。これを早く解消しないとダンピングをやられる可能性があるわけです。これはアメリカで、もうお調べになっていると思いますけれども、相当それを言っておる連中がおるわけです、ダンピングで今度やれと。新貿易法案でまだだめなら、この次はもうダンピングでやれということを言っているわけです。これをやられますと軒並みにやられるんですね。この辺はやはり相当留意する必要があるんじゃないかと思いますけれども、田村大臣、御所見はいかがですか。
  452. 田村元

    国務大臣(田村元君) 今、大蔵大臣からお答えがあったことで尽きるわけでありますが、率直に言いまして拡大均衡ということが求められておるし、また日本がその道を歩むということは従来のずっと姿でございます。ところが、これが木本さんの御持論なんで、私も時々お聞きして、自分なりに勉強してみたらなかなかおもしろいなという気持ちを持ったこともありましたけれども、いざこれはどうしたらいいかということになると、いろいろと難しい問題にぶつかるんですね。  例えば、まず第一、ガット違反にひっかかりはせぬかという心配でございます。一方的な輸出規制というような認定をされるおそれがある。それから、例えばアメリカなんかを例にとりましてもそうでございますけれども、アメリカあたりが日本に求めておりますのは、あるいはECでもそうでございます、あるいはNIESでもそうでございますけれども、我が国に対しまして輸出規制ではなしに輸入の拡大あるいは市場アクセスの改善、そういうものを求めておるわけです。要するに、売ってくるなとは言わないんですね。それよりも、売ってくるだけの分を買えということなんです。  時間をお急ぎでしょうから、長くおしゃべりするのは失礼しますが、例えば自動車を一つ例にとりましても、アメリカに対しては二百三十万台の自主規制。じゃ、アメリカの車を去年一年でどれだけ日本人が買ったかと。四千六台ですよ。そういう極端な差がある。ですから、アメリカという国は百家争鳴ですから、いろんなことを言う人がおりますけれども、二百三十万台がけしからぬと言う前にもっと買えということなんですね。そういうことでございますから、なかなか難しい問題です。  ユニークな発想なんで、私も私なりに勉強もしてみましたけれども、なかなかいざ現実の問題になると難しいなと。しかし、私より詳しい商社マンの実務者であられたあなたがおっしゃることなもんだから、それなりの理屈があるだろうと思っていろいろと調べても、やっぱり難しいなという感じでございますけれども、お考えはもうかねがね承っておりますので、それを一方的に拒否するとかなんとかという答弁はいたしたくありません。
  453. 木本平八郎

    木本平八郎君 この続きは商工委員会でひとつお願いしたいと思います。  それでは、ちょっと税制の問題に戻りまして、今、不公平というのはいろいろある、アンバランスもある。直間比率をやかましくおっしゃっていますね。しかし、アンバランスという問題は、土地を持っている人と持っていない人とか、もちろんクロヨンの問題もあるわけですけれども、それから株をうまく買える人と買えない人とか、そういうことで、非常に資産の格差が出てきているわけですね。私、ちょっと考え方をもとへ戻さなければいかぬのじゃないかと思うのは、国を支えるのは、資産を持っている人なのか所得のある人なのかという問題なんです。それで、これは両方ともどっちもどっちだということなんですけれども、少なくともどっちに重点を置いてお考えになっているのか、これは総理にお伺いしたいと思うんですがね。
  454. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 大変難しい問題でございます。  本来、国家の基本とは何ぞや。外交、防衛、治安、教育、社会資本、こういうようなことを申します。それらのものはできるだけ広い範囲において支えていくというのが好ましい姿であろうと、原則的にはそう思います。  したがって、今度の税制改正は、これも一口で言いますならば、いわゆる勤労所得税を減らし、そして資産課税の適正化を行い、かくしてまた広く薄く共通の公共費用をみんなで負担しようと、三つになるのかなと、こういうふうに考えております。
  455. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、私、結論的には企業に対して間口税のようなものをかけたらどうかということなんです。  私自身が大企業出身ですから反逆のようなことになるんですけれども、決してそういう意味じゃなくて、私の言っている間口税というのは、江戸時代に町家に税金をかける、上納金を課するときに、道路に面した間口何間ということによって幾ら出せということをやりましたですね、あれと同じような考え方で、資産を持っている企業に相当負担さしていいんじゃないか。  これは、後で申しますけれども、個人と法人というものをずっと担税能力で並べますと、今はもう日本は圧倒的に法人の方が多いんじゃないか。したがって、一千万の年収のあるサラリーマンも、そういうところへ並べてみると、本当に貧乏人になってしまっているんじゃないかという発想なんですね。  そういうことで、ある一つの例を申し上げたいのです。これはある造船会社と考えていただきたいのですが、資本金六百五十億円ぐらい、従業員が一万六千人ぐらい。それで、この会社、赤字で昨年度は法人税も払っていない、配当もしていないんですね。ところが、この会社が持っている土地が、建物もあるわけですけれども、七百万平米あるんです。これの簿価が平均六千九百円なんですね、平米当たり。それで、これは目の子でやりましたから確実じゃないんですけれど、これを時価で、その辺のなんでやりますと大体二十兆円になるんです。それから、ついでに申し上げますと、この会社の保有している株式は簿価では三百億円なんです。ところが、これ八月の初めぐらいの株価で計算しますと三千三百億円なんですね。大したことないんだけども、これでも十一倍。土地は五百倍なんですね。これだけ二十兆円も持っているところ、これ年商が今下がっておりますから八千億ぐらいですけれども、この会社が一銭も払ってないということなんですね。固定資産税はありますよ。  しかし、こういうのはやっぱりちょっとおかしいんじゃないかと思うんですが、大蔵大臣、いかがでしょうo
  456. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういうお話をこのごろよく伺いまして、私どもも何かやっぱりそういう感じをお持ちになる方が多くなっておられるんだなということは大変に気がついているのでございます。  ただ、これもありきたりの理屈を申し上げるようでございますけれども、もしそれが所得課税ということであれば、それは実現されていないキャピタルゲインでございますから、どうやって払うんだという問題がございましょうし、保有財産に対する課税であれば固定資産税とか特別保有税とかいうものがございますものですから、そのどっちかであって、いわば法人税というのはやはり所得に対する課税であるというふうに考えますと、所得がないときに課税をするということにどうもちゅうちょをいたす。  お考えのような思想は、いわゆる見立て割という思想はございますし、法人にも均等割ということがございますので、ある部分ではそういうことが多少出ておるのでございますが、大きな問題になりますと、殊に今おっしゃいましたような企業でございますと、装置産業でございましょうから、今、余り実は収益が上がっていないということも考えなきゃならぬというようなことで、これもありきたりの返事でございますけれども
  457. 木本平八郎

    木本平八郎君 これ、ちょっと議論している時間がないものですから、方法論についてはあちらに優秀な方がいっぱいおられるから考えていただき、やる気になれば方法論は幾らでもあると思うんです。  それで、私の計算では、今、企業が持っている土地だけで五百兆円あると言われているんですね。株式は三百二十兆円。三百兆円として両方合わせて八百兆円あるんです。これは総資産の中からいろいろ負債を引いて、ほとんど純資産に近いと思うんですね。資本合計でもいいんです。毎年一%かけても八兆円あるんです。八兆円といいますと、一千万以下のサラリーマンが納めている税金が全部で七兆三千億ぐらいなんですね。これを十分にカバーできるんですよ。この会社も一万六千人のサラリーマンは一生懸命税金を払っている、ひいひい言いながら。しかし、会社は二十兆円あってもう知らぬ顔——知らぬ顔じゃないんですけれども、多少気にしていると思いますけれども。こういうなにを見ていますと、国民としてどうもやっぱりおかしいんじゃないかと、社員自身がそう思うだろうと思うんですね。  この辺にメスを入れないと、やっぱり今度の税制改革の国民のもやもやの一番基本はここにあると思うんですが、総理、いかがでしょう。
  458. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、いわゆる未実現のキャピタルゲインに対する課税という問題、それから装置産業の持つ特殊性、こういうことにつきましては大蔵大臣からお話がございました。  そうした感じがあるということは、私どももよくわからぬわけでは全くございませんが、法人というものは、いわば人間が参画することによって意思が動く。法人そのものの意思というものは、私は非常にはかりがたい問題でございますので、税理論からしてはもっともっと議論してみなきゃいかぬ問題だなという問題意識は持っております。
  459. 木本平八郎

    木本平八郎君 ぜひ少し、勉強だけでもしていただきたいと思うわけです。  それで、最後にお願いしたいのは、貸借対照表の欄外に注書きして時価で資産を再評価したなにを入れるとなっていますね。ところが、これは書いてもいいし書かなくてもいいというから皆書かないんです。せめてこのぐらいは書かせていただいたらどうだろう。会社の資産といっても、これはもう今や公器ですからね、みんなのものだから、やっぱり会社のなにが六千九百円の簿価というのはどう考えてもおかしいんで、どのくらいのなにかというのは表記だけはしていただきたいと思うんです。  それで、ちょっと時間がないんで急ぎますけれども、次の問題は、住宅ローンの金利だけでも税額控除していただけないだろうかということです。  現在、住宅ローンの残高に税額控除をしていますね。それほどのくらいか、数字をちょっと教えてください。
  460. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 現在の住宅取得控除制度におきましては、住宅の借入金の年末残高二千万円までの部分につきましてその一%、したがいまして最大控除額は二十万円でございます。その所得控除、税額控除を五年間適用させていただく、こういう制度でございます。
  461. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、ちょっと時間がないんで申し上げますけれども、九百億円なんですね、年間。ところが、これ一%で九百億ですね。六%でも五千四百億なんです。五千四百億円税金控除をしていただきますと、例えば最近ありましたけれども、一千万円の住宅ローンを持っている人が年間に払う金利が六十五万円なんです。仮に六十五万円の税金としますと年収九百三万円なんですね、大体私の計算では。九百三万円以下のサラリーマンというのは九割なんです。それで税額にして八〇%ぐらいですね。そうしますと、ほとんどのサラリーマンが所得税なしでいいわけです。先ほど申し上げました五百万円以下も七百万円以下も、皆、輸出税なんかを適用しますと、これはほとんどのサラリーマンがゼロになるんです、わずかなことでですね。こうなりますと、私は、もうサラリーマンは大喜びで、所得税がゼロになれば、三%や五%の消費税は幾らでも払いますよということになると思うんですね。  今、一番問題は、サラリーマンがこの消費税に対して何かもやもやとした反感を持っていることなんです。もしもこういうふうな減税措置をとっていただいたら、四千万のサラリーマンはこぞって消費税の味方をすると思うんですが、最後に総理の御感想を承って、私の質問を終わります。
  462. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今、木本委員はいみじくももやもやとしたと、こういう表現をなさいましたが、確かに理論的には、いわゆる勤労所得の部分が減税され、そしてそのかわりに、といってもレべニュー・ニュートラルではなく、減税部分が大きいという形で消費税を組み重ねておるわけでございますが、もっと端的にわかりやすいものをやれば、そのもやもやというのがなくなるんじゃないか、こういうお感じでサラリーマンの方のそれこそもやもやとしたものを代表して御指摘なすったことであろうというふうに思います。したがって、こういう議論を続けていけば、またもやもやも逐次解消されていくべきものだと。  ありきたりのお答えをいたしましたけれども、ただ、御提言なさった問題については、それぞれ税理論的にいろいろの問題点を順徳させていただきました。
  463. 木本平八郎

    木本平八郎君 終わります。
  464. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で木本平八郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  465. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、上田耕一郎君の残余の質疑を行います。上田君。
  466. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 十一時五分になりまして、異例の深夜国会です。田委員から私までのNHKのビデオ放映は文字どおり真夜中になるわけで、国民の知る権利という点からいっても非常に問題だと思うんですね。理事会での協議が調わないまま、委員長の職権開会ということになったことを私は極めて遺憾に思います。  それで、こういうふうになってきたのは、リクルート疑惑にはふたをしよう、早く税制改革の審議に入りたいという、やっぱり議会制民主主義に背く、国民の要望にも背く政府・自民党の姿勢に原因があると思うんですね。竹下首相はまた自民党総裁として、国民は、リクルート問題をこのままにして政府・自民党は税制改革あるいは消費税を提案する資格はないと言っているんですよ。竹下さんは、一体このまま証人喚問もしないで早く税制改革六法案の審議に入ろうと思っているんですか、お答えいただきたい。
  467. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今度、国会をお願いするということにしたその趣旨は、まさにこの税制改革というものを六法案という形で御提案申し上げ、御審議を賜りたいという気持ちで召集をしたということが原点にあると思いますので、したがって私は、国会の審議自身は国会でお決めになることでございますけれども、整々たる審議が開始されることを心から期待をしておるということであります。
  468. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 消費税は公約違反、国会決議違反で、日本の税制史上最悪の大型間接税なんですね。もうそれを提案すること自体が許されない。しかもリクルート問題が起きた。この問題で非常に大きな貢献を果たした朝日新聞は社説で、竹下首相を初め政府側の誠意のない答弁に失望せざるを得なかった、証人喚問、江副さん初め、真相を問いただす必要性が一層強くなった、この問題で国会が国民感情に適切にこたえられるかどうかは、国会自身が民主政治の不可欠のシステムとして生命力を取り戻すかどうかの試金石だと言っているんです。こういうやりとりを何とか済まそうというんじゃなくて、やっぱり議会制民主主義の、また国会の真価が問われている問題だということをお互いに自覚してこの問題に取り組むことが非常に大事だと思うんです。  私、もう余り時間もございませんので、二十四日の質問の続きを幾つかしたいのですが、まず、宮澤さんにお伺いしたいんです。  服部秘書官と河合さんとの間の問題ですね、大分問題になりました。改めて簡潔にお答えいただきたいと思うんですが。
  469. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 何度か御説明を申し上げましたが、河合という人は服部君の同郷の友人でビジネスマンでございますが、昭和六十一年の九月ごろ、このリクルートコスモスでございますか、株式が有力者のところへ分けられるということについて、ひとつ自分にその取引をやらせてもらいたい、名前を貸してくれないかということで、まことにこれは後から考えますと軽率なことでございますが、それを承諾いたしました。河合氏は、一万株を五千万円余りで処分をして二千万円余りの利益があったということ、以上のことは河合氏が服部に対しまして申しましたそのとおりのことを国会に御報告を申し上げております。
  470. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 服部秘書官は、河合さんと共同事業をやっているということはありませんか。
  471. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私の知っている限り、ないと思います。
  472. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私ここに、河合さんがSE総合設計と同時にもう一つ同じ場所で事務所を持っている康和商事株式会社の登記簿謄本を持ってきています。代表取締役河合康文、取締役服部恒雄、昭和五十六年以来ずっと代表取締役と取締役なんです。御存じないんですか。
  473. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは存じませんでした。ただ、親しい友人であるということは申し上げてございます。そのことは私は存じませんでした。
  474. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 信じられません。昭和五十六年に設立されて以来ずっと取締役なんだから。全部ちゃんと登記簿謄本に書いてある。あなたの政務秘書官ですよ。これが今度問題になって、服部さんと河合さんとの間の名義貸し借りがあれだけ問題になって、国会でも答え、新聞でも答え、知らないんですか、こういうことを。
  475. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういうところへ名前を出しておることは存じませんでした。
  476. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 信じられませんね、あなたの政務秘書官なんだから。何年秘書をやっているんですか。だんだん声が大きくなりますが。
  477. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これはもう三十年近く働いてもらっております。
  478. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この会社、五十六年十二月に設立です。ずっとそうです。  そうしますと、僕は、大蔵大臣のこの問題についての説明、いろいろ矛盾があるので、この間吉井議員もつきましたけれども、根底が崩れると思うんですよ。どうですか。あなたがもしうそをついていないんだとすれば、服部秘書官はあなたに河合さんとの関係を隠していた、そういうことになるじゃありませんか。
  479. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 隠していたとは思いません。長い間信頼をして一緒に仕事をしておりますから、本人は本人なりにそういう友人と仕事あるいは仕事に名前を出しておるということはあっても不思議ではございません。私はたまたまそれを知りませんでしたけれども、悪いことをしておると少しも思いません。
  480. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 河合氏はこの話をある建設会社の幹部から聞いたと。もうかると思ってその幹部と一緒に四千万円近いもうけを山分けしたというんですよ。その代表取締役と取締役でしょう。話を聞いたのは服部秘書官からで、四千万円のもうけを山分けしたのは服部秘書官とだと、取締役と代表取締役と。二千万円あなたの秘書がリクルートコスモスの非公開株の売却でもうけたという疑惑が出てきます。再調査してください。
  481. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その話は、いつぞやも申し上げましたとおり、週刊誌か何かに出ておりましたけれども、河合氏から服部が聞きまして、それを私が国会に申し上げていることが正確でございます。これは前回も申し上げました。
  482. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 こんなに事実が違うことが出てきたんだから、再調査しろと言わなきゃもうだめですよ、これは。
  483. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 週刊誌か何かに出ておりますことと、私が国会に報告を申し上げていることと、私が国会に申し上げていることを御信用願いたいと思います。今お話は、その山分け云々のことをおっしゃっているんです。そういうことは週刊誌のお話であって、私が国会に申し上げていることを御信用いただきたい。
  484. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 再調査してください、再調査。服部さんに電話してください。先ほど警察庁へ電話したんだから。
  485. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 別に電話をすることはございません。服部君が河合氏と一緒にその商売、名前を貸して商売をしておると、登記はあるということは私は存じませんでしたが、それは否定を少しもいたしません。しかし、それが山分けをしたという週刊誌の話と、それをおくっつけになるのは、それは御推論であって、私が申し上げたとおり、それは間違いでございます。
  486. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうじゃないんですよ。服部秘書官からこの問題、あなたが十三回八日間、ノーコメント、ノーコメントと繰り返している間にようやく報告が来たんでしょう。その報告が、河合氏との関係で大事なところを隠していたんだから、再調査すべきですよ。
  487. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 何も隠しておりません。河合とは親しい友人だということは申し上げております。
  488. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だめだめ、これは親しい友人じゃないよ。それだけじゃないんだ。だめです、これじゃ。大蔵大臣なんだから。
  489. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  490. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。
  491. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御質問は何ですか。
  492. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これだけ問題になっているのに、服部秘書官が河合氏と共同事業をやって、彼が社長の会社の取締役をやっているという事実をなぜ大蔵大臣に隠したのかということが一つです。  二番目に、三十年秘書をやっていて、会社を一緒にやっていることをあなたは知らなかったと。これはおかしいです、これだけ問題になっているのに。親しい友人と共同事業者というのは、これは株の問題なんですから全く同じとは言えません。だから私は再調査を要求しているんです。
  493. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどから申し上げておりますように、私が信頼して三十年ぐらい一緒に仕事をしてまいりました。したがって、もうかなりの年にもなりますが、そこで友人の会社に名前を貸したということは、私は別にそういうことを禁じておりませんし、ある程度の社会人になれば私はあることだと思います。  ただ、申し上げておきますが、ずっと長いこと私の秘書をやっているのでございますから、一緒に商売などはこれはできません。そんなことができないことはお互いに秘書を使っております者にはわかります。だから、商売を一緒にしておったというふうに俗に言えば、それはそうでないだろうと私は思いますが、なるほど友人のために名前を出しておったということは、私は存じませんでしたけれども、否定をいたしません。聞いてみれば、あるいは何かあるかもしれません。そうでも私は別に差し支えないことである。私がそれを禁じておったようなことはございません。それが一つでございます。したがって、これは何も再調査とかいう問題では私はないだろうと思う。  それから、先ほど何か山分けをしたという、その山分けの相手が服部ではなかったかというお尋ねであれば、これは違います。これは私が国会に何度も御報告申し上げておったことが正しゅうございまして、そのようにひとつ御理解を願いたいと思います。
  494. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 とにかく、一緒の取締役と社長だから情報がツーツーだったという事実は、これは残りますよ。  次に、この問題は保留して、竹下首相、首相は、私が青木秘書が譲り受けた相手の名前を言ってほしいと言ったら、知りませんと言われた。これは、あなたは御迷惑をかけるから名前は言うことを差し控えると言っていたのに、今度は名を知りませんと言ったのは矛盾しておりませんか。
  495. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 報道機関の取材を受けたときに、譲り受けた方の名前は信頼関係もあるから申しませんと、こういうことを報道機関に対して答えたということを私は聞いておりますから、本人の名前は私は知りません。
  496. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、あなたは特別利害関係者ではないと何回も断言している。また、私に対する答弁で、自己責任においてきちんとしたものであるということを私なりの調査で確認する、これが一番大事だと言っているんだから、あなた自身調べたんじゃないですか。
  497. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 元秘書という関係にございますが、いわゆる調査をしたという言葉が適切かどうかは、私も正確にその言葉が適切であるかどうかはわかりませんが、私に対して報告があったということを国会で申し上げておるわけでございます。
  498. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 割に正直なお人柄で、つい真実が少しずつぽろぽろと漏れているんだろうと思うんですね。  私は、第三者割り当て三十七社の中でエターナルフォーチュンという会社のことを取り上げました。その代表取締役は飯田操さんで、その御主人が飯田亮さんです。セコムの社長です。エターナルフォーチュンというのはこのセコムの株を扱う方のダミー。セコム四十万株、エターナルフォーチュン二十万株、合わせて六十万株なのにどうも分割したらしいんですね。  首相は、飯田氏と面識がおありでしょう。
  499. 竹下登

    国務大臣竹下登君) セコムの飯田氏は知っております。
  500. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 飯田氏と江副氏も大変仲がいいです。首相を囲む財界人の会、木鶏会のメンバーでもあります。新聞で首相動静欄を調べると、昨年十一月三日午前、飯田さんは首相の私邸を訪ねておられる。  そこで私は、特別利害関係者では確かにないんだが、この飯田さんではないかと、あなたの言う第三者青木秘書が譲渡された、こう疑いを持つんですが、いかがですか。
  501. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 何か誘導尋問のような感じでございますがね。私は、飯田さんをよく知っておったにいたしましても、私自身が報告を受けたことは、第三者の信頼関係が傷つけられるといけないから名前は言いませんでしたという報告を受けておりますから、そのとおりに思っております。
  502. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたは、さっき具体的な名前は知らないと言ったんだから、飯田さんではないとは言い切れないでしょう。
  503. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そういうお尋ねでございますと、上田さんであったかもしれないということにもなるわけでございますから、やはりお互い一つの節度を考えて問答をいたしましょう。それですから、上田委員お書きになった「前衛」の論文なんか勉強しましたから、その辺の議論をこいねがっております。
  504. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも「前衛」の論文を読んでいただいたそうで、私も竹下さんのを読んでおります。  それでは、ちょっと角度を変えます。私、首相は、今度の問題の首相秘書にかかわるこの疑惑の性質、どうも自覚がないだろうと思う。  証券局長、証券局の職員は一切株の取引はしないという不文律があるそうですが、どうですか。
  505. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 証券局の職員につきましては、証券市場とか証券会社を監督する立場にある者が疑いの目をもって見られることがないように、原則として株式取引は行わないよう指導してきているわけでございます。  ただ、債券とか株式に投資したりすることは、一般には正常な資産運用の方途でもございますので、具体的には信用取引とか短期売買とか、一般の人にはなかなか入手困難なような場合の取引、そういったことについて自粛を求めているところでございます。
  506. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 証券局職員が取引をしない、株の売買、これはほぼ内規的ですね。それの最高監督者の宮澤大蔵大臣、一般に大蔵大臣、これは特別公務員なんだけれども、どうですか、株の売買については。
  507. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私自身は、株式というものをほとんど一切一つも持っておりませんし、やったこともないのでございますけれども、これは一般職の公務員でございません、私どもは特別公務員でございますから、そういうことをやっていけないなんて私は思ったことはございません。ただ、自分がやっていないだけのことでございます。
  508. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、どうでしょう、大蔵大臣というのは経済政策の立案、実施の最高責任者でしょう。情報が集まりますわね。政策もどんどんやりますわね。その大蔵大臣が株の売買をやってもうけようとしたら、これは大変なことになると思うんですけれども、一般論としてどうですか。
  509. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 本当はそんなにうまくいかないだろうと思うんでございますね。  ただ、おっしゃることが私にもわかると思いますのは、アメリカなんかでは、そういう職につきますときに持っている株式を、ブラインドトラストというのを出しますですね。そして、そういう疑いを受けないようにするという、そういう制度のある国はございますので、私は、おっしゃることはわからないじゃございませんけれども、一般にそれを何と申しますか、規則にするというか、定めにするというのはちょっと難しいんじゃないかなと。私の場合はたまたまそういうことをやっておりませんけれども、それはたまたまのことでございますね。  それで、大蔵大臣だったら株も大変うまくいくだろうという、なかなかそれはどうでございましょうか。殊に、これからインサイダーインフォメーションというものはきちんとしなきゃならないことになりますので、そういうことは制度の上でも今度厳しくなることだと思います。
  510. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 インサイダー取引規制で今度の改正になりましたけれども、その際どうなんですか、大蔵大臣のような特別公務員は。適用があるでしょう。
  511. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 今のお尋ねは、国会議員の場合でございますか、大蔵大臣の場合でございますか。
  512. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大蔵大臣。国会議員ですわな、当然。
  513. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 国会議員について申しますと、去る五月に公布されました改正証券取引法におきましては、まず第一に、国会議員が上場会社に対する国政調査権等の行使に関し未公表の重要事実を知り、その公表前に上場株券等の売買等を行うような場合は、そのインサイダー規制の対象となり得ます。それからもう一つ会社の役員等から重要事実の伝達を受けた国会議員が、その公表前に上場株式等の売買等を行う場合も規制の対象となります。この件につきましては、議員秘書につきましても国会議員の補助者として行動する限りにおきましては同様な規制の対象になります。前者の場合は、これはいわば内部者でございますし、後者の場合には、情報受領者という立場でそれぞれ規制の対象になるということでございます。  それから、国家公務員につきましては、職務に関して知り得た情報という立場におきまして株式取引を行った場合におきましては、これは同様に規制の対象になりますし、あるいは直接的職務権限がなくても、行政指導等の過程を通じまして会社の役員等から情報を仕入れたといった場合には、情報受領者という形でいずれもインサイダー取引対象になる。  大蔵大臣の場合でございますと、国会議員としての立場と公務員としての立場と両方の立場が恐らくかぶってくるんだろうというふうに思います。
  514. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 総理大臣はどうでしょうか。
  515. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 基本的には、特別公務員ではございますけれども、公務員としても最高の地位にあられる方でございますし、同時に国会議員でもあられますので、恐らく両方の立場の行為規制がかかってくるんだろうというふうに思います。
  516. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相は八月九日、衆議院の予算委員会で野間委員がこの問題を聞いたときに、一般論として答えると、総理についても株の取引が許されるかどうかということについて、一つの経済行為だといって許される趣旨の答弁をしています。これは大事な問題なので、改めて答えてください。
  517. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ちょっと記憶しておりませんが、総理という前提の上に立った質問だとは記憶がございません。私自身、この株式取引についての経済行為というものが、これは政治家であろうといかなる職種であろうと、一般論としての株式の売買ということが経済行為の妥当性の中で存在するだろうという抽象論を申し述べまして、総理でどうのこうのということはちょっと聞かれたような感じがいたしておりませんが、あるいは私の耳が遠かったのか、それはわかりませんけれども
  518. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 時間がないので繰り返しませんが、私、議事録を持っています。野間さんは、最高の情報収集者、具体的な政策、施策の立案、実施の最高責任者だと、こういう一般論で聞くが、大蔵大臣、特に総理、こういう方々はこの種の株の取引が許されるかどうかと。やはり一つの経済行為だとお答えになった。どうも首相は、証取法が改正されてインサイダー取引の規制が始まっているんだけれども総理大蔵大臣がこれをやるのはスーパーインサイダー取引ですよ。これは必ずもうかりますよ、やれば。ところがあなたは、そういうことについて総理としての自覚、責任がないんです、さっきから聞いていても。野間さんへの答弁についてもそうです。だから、青木秘書のあの問題でも、総理の秘書がこのことをやったということの持っている大きな政治的、道義的責任の問題、総理の資格にかかわる大問題だということをあなたは自覚してないんです。  雑誌「現代」九月号、「竹下総理と二人の「青木」」、お読みになりましたか。
  519. 竹下登

    国務大臣竹下登君) そういう記事があったことは承知しております。詳しく読んだかと言われれば、それほどの時間もないものですから、読んでおりません。
  520. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 元大蔵省の出身で大変仲のいいという青木建設が、五十八年、何か産金ブームだそうですな、三百円台が千百四十円まで急騰したと。これは今月号の雑誌です、講談社の。それで、竹下周辺は二十二億円の利益を上げたと兜町筋で言われていると書かれているんですよ。この機会に釈明されませんか。
  521. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 今まで本院でもいろいろな御質問を受けましたし、そういうことに一々釈明をしておったら時間が幾らあっても足りないと思っております。やはりみずからを信じておることが大事であると、あなたもそうであろうと思います。
  522. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私はこの問題を何もエピソードで出したんじゃないんです。いろいろ書かれているんだし、そして今度のリクルートコスモスの株問題というのは、一国の政治の、証券界の問題についても経済政策で総理大蔵大臣、最も責任の重いお二人にかかわる問題だから、この問題でどういう基準をつくるべきか、ここにかかわりがあると。総理、どうですか。大蔵大臣総理大臣はアメリカでは非常に厳しいんですけれども、この株の取引についてどういう態度をとるべきだと、一般的にこれは自粛すべきだという政府の見解、検討することを私は求めたいと思います。
  523. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 証取法関係から若干誤解がないように申し上げておきたいと思うわけでございますが、政治家株式取引をすることそれ自身が証取法上問題になるわけではないわけでございまして、先ほど申しましたインサイダー取引にかかわるものは、いわば個別企業企業情報に基づきまして、それを公開前に企業の特別情報を入手したという、地位を利用して取引をする、そういう行為を規制しているわけでございます。  したがって、政治家であるからというだけの理由で一般の株式取引が禁止されているわけではございません。
  524. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。     ─────────────
  525. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) この際、委員長より申し上げます。  理事会の協議事項となっております懸案事項につきましては、引き続き理事会で協議をしていくこととし、その結果を次回の委員会に報告いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後十一時四十一分散会