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政府委員(梅澤節男君) お答えを申し上げます。
今回、政府から提案されております独占禁止法の適用につきまして、消費税の転嫁に当たりまして、それが適正かつ円滑に行われるという
観点から実は特別の措置が講じられておるわけでございます。先ほどから御議論がございましたように、この転嫁カルテルと言われますものは、今回の特別措置の場合は、
価格形成力の弱い中小事業者あるいはその組合に限定をいたしまして、しかもその
期間を両三年に限定しておるということがございます。
それから、もとより事業者の立場からいたしますと、消費税相当分が円滑に転嫁できるのかどうかという不安がございます。一方、先ほどからも御議論がございますように、消費者の立場からいいますと、それが便乗値上げにならないかという問題がございまして、今回の政府から提案されております特別措置の
内容は、実はこの二つの要請を二つながらに達成するということを目的としておるというふうに私
どもは承知をいたしておるわけでございます。
そこで、問題でございますが、そういった
観点でこの制度におきましては、中小
企業に限定されました転嫁カルテルもいわゆる野方図に行われるということではございませんで、必ず事前に
公正取引委員会に届け出をするということが要件になっております。なおかつ、この共同行為が便乗値上げ等の行為と認定されます場合は、この特別措置は適用されませんで、独占禁止法のカルテル違反に問われるということになっておるわけでございます。したがいまして、まず便乗値上げの予防をするという
観点からいいますれば、今言いましたように、届け出の段階で恐らく事前の相談とか御指導を申し上げられるということはございますし、届け出がございますと、それによってその共同行為が適正に行われておるかトレースをできるということになるということでございます。
この種の政策カルテル、実は現在でも中小
企業関係法を中心にいたしまして特別の法律で幾つかのカルテルがございます。政策カルテルにつきましては、ただいま
委員が御
指摘になりましたように、これを漫然と認めますと、カルテル体質を温存させ、市場競争原理に非常にマイナスの影響を与えるということは、これは競争政策上の通説になっておりまして、この点につきましては、今の
委員の御
指摘を私
ども否定する気持ちはもちろんございませんし、むしろそういう懸念が今後生じないように、この
期間といえ
どもこの共同行為が適正に行われますと同時に、この
期間が終わりました後も、競争政策当局としては、ただいまおっしゃいましたような御懸念が生じないように、我々の与えられました使命と申しますか、独占禁止法を適正に運用するという
行政の姿勢を堅持してまいらなければならないというふうに考えております。