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1988-08-24 第113回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年八月二十四日(水曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員の異動  八月二十三日     辞任         補欠選任      鈴木 貞敏君     坂元 親男君      勝木 健司君     抜山 映子君  八月二十四日     辞任         補欠選任      二木 秀夫君     田辺 哲夫君      北  修二君     松浦 孝治君      秋山  肇君     宇都宮徳馬君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         初村滝一郎君     理 事                 青木 幹雄君                 遠藤  要君                 工藤万砂美君                 田沢 智治君                 野沢 太三君                 久保  亘君                 中野 鉄造君                 吉川 春子君                 三治 重信君     委 員                 石本  茂君                大河原太一郎君                 梶木 又三君                 金丸 三郎君                 北  修二君                 坂野 重信君                 坂元 親男君                 志村 哲良君                 下稲葉耕吉君                 関口 恵造君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 田辺 哲夫君                 中曽根弘文君                 中西 一郎君                 永田 良雄君                 林 健太郎君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 松浦 孝治君                 松岡滿壽男君                 青木 薪次君                 大木 正吾君                 千葉 景子君                 対馬 孝且君                 矢田部 理君                 山本 正和君                 及川 順郎君                 広中和歌子君                 和田 教実君                 上田耕一郎君                 吉井 英勝君                 抜山 映子君                 下村  泰君                 木本平八郎君    国務大臣        内閣総理大臣   竹下  登君        法 務 大 臣  林田悠紀夫君        外 務 大 臣  宇野 宗佑君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        文 部 大 臣  中島源太郎君        厚 生 大 臣  藤本 孝雄君        農林水産大臣   佐藤  隆君        通商産業大臣   田村  元君        運 輸 大 臣  石原慎太郎君        郵 政 大 臣  中山 正暉君        労 働 大 臣  中村 太郎君        建 設 大 臣  越智 伊平君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    梶山 静六君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  高鳥  修君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       粕谷  茂君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  瓦   力君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       中尾 栄一君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       伊藤宗一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  堀内 俊夫君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  内海 英男君    政府委員        内閣法制局長官  味村  治君        内閣法制局第一        部長       大出 峻郎君        公正取引委員会        委員長      梅澤 節男君        公正取引委員会        事務局官房審議        官        糸田 省吾君        警察庁刑事局長  中門  弘君        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   紀 嘉一郎君        総務庁行政管理        局長       百崎  英君        総務庁統計局長  田中 宏樹君        防衛庁参事官   小野寺龍二君        防衛庁参事官   福渡  靖君        防衛庁参事官   村田 直昭君        防衛庁参事官   鈴木 輝雄君        防衛庁長官官房        長        依田 智治君        防衛庁防衛局長  日吉  章君        防衛庁教育訓練        局長       長谷川 宏君        防衛庁人事局長  児玉 良雄君        防衛庁経理局長  藤井 一夫君        防衛庁装備局長  山本 雅司君        防衛施設庁長官  池田 久克君        防衛施設庁総務        部長       弘法堂 忠君        防衛施設庁施設        部長       鈴木  杲君        経済企画庁調整        局長       星野 進保君        科学技術庁原子        力安全局長    村上 健一君        環境庁企画調整        局長       安原  正君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        国土庁長官官房        長        公文  宏君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        国土庁地方振興        局長       森  繁一君        法務省民事局長  藤井 正雄君        法務省刑事局長  根來 泰周君        外務大臣官房長  藤井 宏昭君        外務大臣官房外        務報道官     松田 慶文君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省中近東ア        フリカ局長    恩田  宗君        外務省経済局長  佐藤 嘉恭君        外務省経済協力        局長       松浦晃一郎君        外務省条約局長  斉藤 邦彦君        外務省国際連合        局長       遠藤  實君        大蔵大臣官房総        務審議官     土田 正顕君        大蔵大臣官房審        議官        兼内閣審議官   土居 信良君        大蔵省主計局長  小粥 正巳君        大蔵省主税局長  水野  勝君        大蔵省理財局長  足立 和基君        大蔵省証券局長  角谷 正彦君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        国税庁次長    伊藤 博行君        文部大臣官房長  加戸 守行君        文部省初等中等        教育局長     古村 澄一君        文部省高等教育        局長       國分 正明君        文部省学術国際        局長       川村 恒明君        厚生大臣官房総        務審議官     末次  彬君        厚生大臣官房老        人保健福祉部長  多田  宏君        厚生省生活衛生        局長       古川 武温君        厚生省社会局長  小林 功典君        厚生省保険局長  坂本 龍彦君        厚生省年金局長  水田  努君        厚生省援護局長  花輪 隆昭君        社会保険庁年金        保険部長        兼内閣審議官   森  仁美君        農林水産大臣官        房長       浜口 義曠君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        農林水産省農蚕        園芸局長     吉國  隆君        農林水産省畜産        局長       京谷 昭夫君        林野庁長官    松田  堯君        通商産業省通商        政策局長     鈴木 直道君        通商産業省通商        政策局次長    南学 政明君        通商産業省貿易        局長       熊野 英昭君        資源エネルギー        庁長官      鎌田 吉郎君        運輸大臣官房審        議官        兼内閣審議官   金田 好生君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸省地域交通        局長       阿部 雅昭君        運輸省航空局長  林  淳司君        海上保安庁長官  山田 隆英君        郵政省電気通信        局長       塩谷  稔君        労働大臣官房長  清水 傳雄君        労働省職業安定        局長       岡部 晃三君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省住宅局長  伊藤 茂史君        自治省行政局選        挙部長      浅野三郎君        自治省財政局長  津田  正君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮下 忠安君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○予算執行状況に関する調査     ─────────────
  2. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 予算委員会開会いたします。  予算執行状況に関する調査を議題といたします。  この際、委員長より申し上げます。  昨日の及川君の質疑の中で御要請のありました事項につきましては、既に理事会協議事項となっている問題を含め、本日の午後一時までに回答いたすべきことを前提質疑を行います。  これより及川順郎君の残余の質疑を行います。及川君。
  3. 及川順郎

    及川順郎君 おはようございます。  けさ、内容のある回答を期待しておったんですけれども、午後一時までということでございます。しかし、理事会協議ということでございますから、理事会の決定に従って私は質問を続けさせていただきたいと思います。  法務省に伺いたいと思います。  ロッキード事件の反省から、収賄罪につきましては、時効期間を従来の三年から五年に延長した経緯がございます。ところが、贈賄の罪の方は従来どおり三年のままになっている。そういうことから、仮に川崎市前助役に収賄罪適用可能性があっても、贈賄側リクルート時効が過ぎて罪を問うことができない。これが今回の捜査打ち切り一つ理由になっているということがまことしやかに伝えられておるわけでございますが、もし仮にそのとおりだとしますと、刑法の贈収賄罪条文不備があるんではないか。贈賄収賄とその時効期限が五年と三年の違いがあるということに、ここに不備があるのではないかということになるわけでございますが、この点についての見解をまず伺いたいと思います。
  4. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) ただいま御質問のございましたリクルート問題につきましては、個別の事案にわたりますので、答弁は差し控えたいと思いますけれども一般論でお答え申し上げることをお許しいただきたいと思います。  収賄罪贈賄罪との公訴時効に差のあることは御指摘のとおりでございます。ただ、これはそれぞれの罪の法定刑の軽重によりまして公訴時効が定められておりますので、そういうことで贈賄罪収賄罪公訴時効が違うということになっておるのでございますけれども公訴時効が認められているゆえんは、歳月の経過に伴う可罰性の減少あるいは証拠の散逸によるということにされておりますので、法定刑によって公訴時効が違うということも一つ理由があることだと考えております。  それでは、ただいま御質問のように、贈賄罪法定刑収賄罪のそれと等しくすればよいではないかと、こういう御意見もあることは十分承知しております。しかしながら、一般的に、常識的に申しまして、収賄罪贈賄罪を並べた場合に、やはり収賄罪の方が重いというのが常識的な考えだろうと思うわけでございます。公務員が襟を正すという意味で、やはり五年と三年というのは一つの常識的な差であろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。  そうしますと、現行制度前提とすることになりますので、贈賄時効になります、あるいは収賄はまだ時効になっておりませんと、こういう事件も多々あるわけでございますけれども、そういう事件につきましても、これまで同種事案を処理した実績がございます。そういう実績にかんがみて、事案に即した手法によって難しい点を克服していかざるを得ないんじゃないかと、一般的にはそういうふうに考えております。
  5. 及川順郎

    及川順郎君 この際私は、そういうわかりにくいのをきちっとわかりやすくするために同じ年月にした方がいいんではないか、五年なら五年というぐあいに同じ年月にした方がいいのではないかということを指摘いたしまして、この川崎事案につきましては、もし捜査上嫌疑があれば、これからも間違いなく立件していく、そういうぐあいに理解してよろしいかどうか、これはぜひ法務大臣にも見解を伺っておきたいと思います。
  6. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) ただいま刑事局長から答弁申し上げたとおりでございまするが、やはり贈収賄罪の間で公訴時効期間差異があること自体は、それぞれの罪の法定刑差異があることの結果でございまして、直ちに法の不備があるとは考えていないところでございます。しかし、先生の御指摘もごもっともであり、十分これから研究をしてまいりたいと存じます。
  7. 及川順郎

    及川順郎君 ちょっと答弁に漏れがあるんじゃないですか。
  8. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) さらに、リクルート問題についての御指摘でございまするが、これまで参議院本会議におきましても御答弁申し上げておりまするように、刑罰法令に触れる事実がありましたならば、検察を含めた捜査機関におきまして、十分また慎重に厳正に対処をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  9. 及川順郎

    及川順郎君 それは、そういう該当事項があれば立件していくと、こういうぐあいに理解してよろしいでしょうか。
  10. 林田悠紀夫

    国務大臣林田悠紀夫君) 仰せのとおりでございます。
  11. 及川順郎

    及川順郎君 大蔵省にお伺いします。  きのうの私の関連質疑の中で、同僚和田委員から指摘ありましたときに、第三者割り当て名簿大蔵省当局は持っているという、こういう答弁をされておりましたけれども、持っていらっしゃるならば本委員会開会中にその名簿を提出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  12. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 昨日も御答弁申し上げたわけでございますが、第三者割り当てに関するリストといいますのは、これは証券取引法におきまして、五十人を超える募集または売り出しが行われる場合におきましては、一般投資家を保護するという観点から届出書を出せと、こういうことになっているわけでございますが、五十人未満の場合におきましては、これは別に届出書を出す必要がないということになっているわけでございます。そこで、五十人未満に該当するかどうかという事実を確認するための行政上の補助資料として届出書制度の運用の適正を期する、こういった観点から、実は法律の根拠によらずにいわば企業からとっている、そういう性格のものでございます。  したがいまして、これにつきましては罰則規定も何もございません。そういった意味で、企業からは非公表を前提として、いわば信頼関係に基づいてとっているといった性格のものでございます。そういったものにつきまして、これをお出しするということになりますと、これは罰則規定もないということもございまして、今後提出していただけるかどうか、あるいは提出してもらうにしましても、本当のことが書いてあるかどうかといったことについてその担保が得られないということになるわけでございます。あるいは、さらにその中におきましてはその引受人のプライバシーの問題、そういったものもございますので、こういった資料の提出につきましては差し控えさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  13. 及川順郎

    及川順郎君 通常一般論としての解釈では、今回の場合は私は通用しないのじゃないかと思うんですね。  私がきのう指摘しましたのは、贈賄とのかかわりの中で指摘した事項で、きのう私の質疑を続けるのをとめました。今、私が申し上げていることは、店頭公開直前に株を手に入れて、そして一カ月あるいは数カ月でこれを売買して巨額の利を得ている、これは利益供与の色彩というのは非常に大きいわけです。そういう意味で私は、今、七十六人の名簿の方に焦点が向けられておりますけれども第三者割り当ての四月分から流れているルートというのは非常に重要な意味を持つということで、この問題を指摘しておるわけでございます。もう一回答弁してください。
  14. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 私どもが行っております調査というのは、証券取引法の目的を達成するために、これが適正に行われているかどうかといったことを確認するために行っているものでございます。そういう意味におきましては、第三者割り当てにつきましては証券取引法上特に問題にされるようなことはなかったというふうに考えております。  それから、ただいまの御指摘でございますけれども証券業協会自主ルールとの関係で、公開直前一定期間前にその特別利害関係者等によりまして株式移動が行われた場合におきましては、特定の者に不当な利益を与えるといったふうなことを禁止する観点からこの移動を制限しておりまして、もしそういった事実があれば店頭登録は受け付けないと、こういう扱いにしているわけでございますが、そういった観点から、証券業協会におきまして特別利害関係者等によるところの株移動があったかどうかということの確認を求めたわけでございますが、そういった事実はなかったという報告を受けているわけでございますし、それから衆議院でもお答え申し上げたわけでございますけれども特別利害関係者等第三者割り当ての中に入っているかどうかといったことにつきましては、私どもがそのリストで確認した限りにおきましてはそれはなかった、つまり第三者割り当て先の中に特別利害関係者等はなかったという事実を確認いたしているわけでございます。  そういたしますと、今度は逆に、その特別利害関係者以外の者からのいわば相対による株式移動があったかどうかといったことでございますが、これはいわば証券取引法あるいは証券業協会自主ルールといったものに特に抵触するものでないとする限りにおきましては、私どもこれを特に調査し、あるいはこれを明らかにするという立場にはないと、こういうふうに考えているわけでございます。
  15. 及川順郎

    及川順郎君 これ以上やりとりしましてもすれ違いだけですから、これは先ほどの問題点の提起だけはしかと私は強調しておきたいと思っております。  次に、政治資金規正法関連におきまして、政治資金規正法における寄附についての関係条文を明らかにしていただきたいと思います。
  16. 浅野大三郎

    政府委員浅野三郎君) 政治資金規正法におきましては、寄附の定義を同法の第四条第三項に置いております。
  17. 及川順郎

    及川順郎君 内容を明らかにしてください。
  18. 浅野大三郎

    政府委員浅野三郎君) ただいま申しました第四条第三項におきまして、「金銭、物品その他の財産上の利益供与又は交付で、党費又は会費その他債務履行としてされるもの以外のものをいう」となっております。
  19. 及川順郎

    及川順郎君 今のこの条文に照らしますと、政治家に関する今回の株の譲渡益売却利益につきましては、これに定められている寄附に該当するのではないかという感じがするんですけれども、この辺の見解を伺いたいと思います。
  20. 浅野大三郎

    政府委員浅野三郎君) 具体的な問題につきましてはそれぞれの事実に基づいて判断する必要があるわけでございますが、一般論として申し上げさせていただきますならば、妥当な価格によりまして株式売買が行われておるといたしますと、そういう場合に単に値上り期待があるからといって寄附と認めることは困難ではないかというふうに考えております。
  21. 及川順郎

    及川順郎君 今回の事件では、純然たる個人の経済活動としてこれは評価される、あるいは通常株式売買として評価が行われたという状況とはちょっとケースが違うと思うんですね。初めから一定利益を与えるという意味を持っての株式譲渡、こういう状況が明らかなわけですから、これは単なる政治資金規正法に定められている債務履行とは言えないのではないか、そういう解釈が十分成り立つ。そういう点から考えますと、一定利益を与えるという意思に従ってこの寄附ということに該当すると解釈するのが法の理念にも合致するのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  22. 浅野大三郎

    政府委員浅野三郎君) 売買が行われました場合に、その対価が妥当のものかどうかということがポイントになると思います。例えば、非常にこれは極端な例で恐縮でございますけれども、一万円の物を百円で売るとか千円で売るとかと、そういうようなことになりますと、それは売買に名をかりて、実際はそれは贈与なり寄附なりしているんじゃないか、こう見られる場合もあると思いますが、ただ、その売買価格そのものが妥当でありますれば、そこに値上がり期待が仮にあったとしても、単にそれだけで寄附になるというところまで言うのは難しいのじゃないかというふうに思っております。
  23. 及川順郎

    及川順郎君 考え方はわかりました。  それでは、私は出席の各大臣に御協力いただきたい。これはもう名簿公開しないものですからこういうやり方でお伺いする以外にないわけですけれども、今回のリクルートコスモス事件に関しまして、リクルートコスモス公開前の株譲渡で、リクルート関係者から何らかの形で大臣日身あるいは秘書並びに家族を含む事務関係者を通じて働きかけのあった大臣はこの中にいらっしゃいますか。——名のり出がないということは、既に話題の出ている以外の方はいらっしゃらない、このように私は理解をしたい、このように思うわけでございます。  そこで、総理に私はお伺いしたいわけでございますが、今回のこのことをめぐりまして、やはり国民の目から見ますと、大変政治家に対する疑惑、政治家に対する非常にうまいことをやっているということの不信感、これは即政治不信につながってくる問題として非常に重要な意味を持ってくるんではないか、このように私は考えるわけでございますけれども、この事件が表ざたになりまして間もなくの一般紙に小倉税調会長は、政治家が株でもうけるチャンスが多いということが明らかになった、国民に、政治家がうまいことをやっていると思われてはと、事態を憂慮するコメントをされているというところもあるわけでございますが、私はそういうことも含めまして、政治家の道義的責任、これを今後具体的にどのような形でとろうとなさっているのか、その点を総理にお伺いしたいと思います。
  24. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今度の一連のリクルート問題につきまして、今、小倉税調会長の言葉をかりての御意見を交えての御質問でありますが、私自身もその考え方を決して否定するものではございません。  確かに、政治家というものは、私を含め、たくさんの人々に接し、したがって情報量と申しましょうか、これは非常に多い立場にあると思います。その周辺におる者、家族まで、どこまで情報源があるかは別としまして、周辺に働いておる者も大なり小なりその影響下にあると思うわけであります。  それだけに、やはり職業人としてももとよりでございますが、個人個人が政治倫理綱領というようなものをいつも反復しておるような気持ちで、国民の皆様方に政治不信につながるような行動をしてはならないと、常日ごろそれぞれ言い聞かして対応すべきものであるというふうに考えております。
  25. 及川順郎

    及川順郎君 リクルート問題につきまして、私は、今まで幾つかの視点を通じましてこれを議論してまいりましたが、いずれも満足のいく答弁が非常に少ない、しかも今、捜査中の事案もある。こういうことを考えますと、この予算委員会の時間に限りがございますので、私は委員長にお願いしたいわけでございますが、本件に関する問題究明のために調査特別委員会を法に基づきまして設置いたしまして、証人喚問、七十六名の名簿公開、きのう私が指摘いたしました公団上層幹部に対するこの事実の有無、また本日指摘しましたこと等を含めまして、ぜひ引き続き事態解明のために調査特別委員会でこの問題を検討していただきたい。このことをお願いいたしたいと思いますが、委員長よろしくお取り計らいをお願いしたいと思います。
  26. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまの問題につきましては、理事会で慎重に協議をしていただき、委員長といたしましては、各党の意見をよく承って対処したいと思いますので、御了解賜りたいと思います。
  27. 及川順郎

    及川順郎君 このリクルート問題処理は、税制改革論議へ移行する前提条件と私たち理解しておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  総務庁にお伺いしたいと思いますが、最近ここ数年のデータを見ますと、国民の資産格差、これがますます拡大傾向にあるデータが出ておりますけれども、最近の調査データからその実態、傾向について御説明をお願いしたいと思います。
  28. 田中宏樹

    政府委員田中宏樹君) 総務庁が実施しております貯蓄動向調査の結果によりますと、勤労者世帯の貯蓄について年間収入五分位の階級別に見ますと、昭和五十七年は、収入の最も低い第一階級の貯蓄現在高は二百八十六万円、収入の最も高い第五階級の貯蓄現在高は千百十一万円で、金額差は八百二十五万円、第一階級の貯蓄現在高に対する第五階級の貯蓄現在高の比率は三・八九倍であるのに対しまして、六十二年は、第一階級の貯蓄現在高は三百六十二万円、第五階級の貯蓄現在高は千五百八十六万円で、金額差は千二百二十四万円、比率は四・三八倍でございます。  次に、勤労者世帯におきます第一階級に対する第五階級の比率につきましてここ数年の傾向を見ますと、昭和五十七年三・八九倍、五十八年四・一六倍、五十九年四・〇七倍、六十年四・三四倍、六十一年四・六〇倍、六十二年四・三八倍となっておりまして、短期的に見る限りここ数年はやや拡大しましたが、六十二年は若干縮小しているというところでございます。  なお、勤労者世帯に一般世帯を加えました全世帯について見ますと、第一階級に対する第五階級の比率は、昭和五十七年では三・六〇倍、六十二年でも三・六二倍とほとんど差は見られないということになっております。
  29. 及川順郎

    及川順郎君 そうしたサラリーマンを中心にする状況と比べまして、株式フィーバーとなった最近の三年間の貯蓄増加額を見てみますと、サラリーマンに比べて法人経営者は五・七倍の伸びを示している。問題は、サラリーマンの世帯が伸び悩んでいる一方で、こうした高額所得者、つまり株や土地を持っている資産家が不労所得でやはり資産を拡大している、あるいはまた株を持って大もうけをしている、こういう状況が一般国民、サラリーマンからしてみると非常に不満の材料になっている。国民生活の資産を持つ者と持たざる者との格差がこのように拡大していくというのは、一面からはやはり政府の経済失政ではないかという指摘が強いわけですけれども、この点についての大蔵大臣と経企庁長官の所見を承りたいと思います。
  30. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) お答えさせていただきたいと思います。  所得階級間の、まあ何といいますか、資産の保有の格差というものにつきまして、四十年代から五十年代、いささかながらもおおむね緩やかな縮小傾向を示してきましたけれども、近年の動向を見ますると、五十年代に比べわずかに拡大しているという点、先ほど総務庁から御指摘のとおりだと思います。ただ、その前年度といいましょうか、年代数からはっきり申し上げますると、昭和五十七年以前ということになりまするか、三十六年から四十年ということになりまするとこの計数はちょっと違ってまいりまして、例えば先ほど言うた数値とはおよそかけ離れた九・九、一〇・三、九・三、六・二、五・一というようになりまして、そのときの格差の方がさらに拡大しておったということもこれまた事実ではないかと思うのでございます。  ただ、これは先生の御指摘のとおりでございまして、緩やかながらも拡大してきたことは事実でございますから、このような拡大というものは金融緩和のもとで生じたことだけは事実でございますけれども、金融緩和基調の維持というものは、同時に円レートの安定化でございますとか、景気の回復に大きく寄与したということも片方考えられるわけでございます。  他方、このような状況のもとで、投機的な活動が、内需中心の持続的成長を図る上で、ある意味において阻害要因とならないように済む細かな配慮が極めて必要であることもこれまた必要かと思うのでございます。緊急土地対策、特に土地の格差というものはもう御指摘のとおり大変なものでございますから、この要綱の着実な実施などを図っていきたいところでございます。  そういう意味で、今後とも主要国との、大きなグローバルな見地になりますけれども、協調的な経済政策を推進させていただいたり、あるいはまた為替レートの安定化を図りながら内需を中心としたインフレの伴わない持続的な成長、対外不均衡の一層の是正ということで、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努めていく所存であることを申し添えたいと思う次第でございます。
  31. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いろいろ複雑な要素がまざり合っておると思いますけれども、我が国が所得格差におきましては世界先進国の中で一番小さい国であるということは大勢的に間違っていないと思いますし、資産格差におきましても、これははっきり統計はございませんけれども、恐らくそれに近いであろうと思います。  ただ、この何年間か、それがやや逆の動きをしていたのではないかということは、統計的に見ても経済の運営から見ても、私はそういうことがあっただろうということは容易に考えられることであります。つまり、非常な不況になりまして、賃上げどころではない、雇用をどうやって確保するかということがお互いの最大関心事になったわけでございますから、この間にそういう逆の動きが出たということは事実であったろうと思われます。  それから、その間に、またしかし同時に金余りが出ましたものですから、持っている方はそういう金の運用をしたということも事実であったと思います。しかし、ここへ来まして経済の状況がかなり好転をいたしましたから、雇用の不安というものは随分除去されてまいりましたし、賃金上昇もことしの春闘は昨年より一ポイントは高かったように思われます。夏のボーナスもさようでございますから、その点は正常化しつつあると考えておりまして、また他方で、ここへ来まして設備投資、在庫投資が相当大きくなっておりますから、そういう意味での資金の流れというものは正常化しつつあるのではないかと考えてよろしいと思います。  ただ、この間に財テクという問題がかなり国民的な関心になりました。この点は、勤労階級であるから財テクをやらないというようなことと考えない方がいい。むしろ、勤労階級もいろんな意味で資産の運用をされるということは決して悪いことではなくて、ただそういういわゆる大衆投資家が損をされないように、思わない目に遭わないように十分保護をしていくというのが、私は証券行政一つの大事な目標ではないかと考えております。
  32. 及川順郎

    及川順郎君 この資産格差に対する認識というものが国民の側から見れば甘いのではないか、この事実はやはり否めないと思います。今回の税制改革の中で本当にこれを深刻に受けとめていれば、今回のようなこの資産優遇の税制改革、小手先だけのそういうものでは済まされないということが十分わかるわけでございまして、例えてみるならば、現在指摘されておりますリクルート問題を取り上げてみましても、一回は何百万、何千万あるいは億を超える株の売却益に対する課税の問題ということが、一般の人たちから見れば考えられないような状況にある。  それから、きのうも指摘されましたけれども店頭登録のとき江副氏が個人株二百八十万の売却で得た利益は百四十七億円を超える、こういう状況の中で、これも創業者利得ということで税金はゼロ。こういう資産課税に対する、これを通しての不公平な税制を改革するということこそ今一番取り組まなければならない問題ではないか、このように思うわけです。その点を省略しまして、とにかく初めに消費税ありきというような考え方、これは到底受け入れられるものではない。  そういう意味で、私たちは消費税の導入に対しては断固反対ですし、総理にこれは撤回していただきたいと思いますが、総理の見解を承りたいと思います。
  33. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今回の税制改革というものは、幾たびか申し上げますように、社会共通の経費を広く薄く負担をしていただこうという考え方が一つと、そして所得、消費、資産に対してそれぞれ国民のコンセンサスが得られるようなバランスのとれた税体系をしこうと、こういう考え方であるわけでございます。  御党の基本法を私なりに読ませていただいてみても、いわば税制改革の必要性を認め、そして第一次改革で、言ってみれば、なかんずく資産を中心とする不公平感のあるところから手をつけて、そして抜本改正の場合に第二次改革案というふうに進めていったらどうだと、大筋そういう手順法のように私はこれを読ませていただいたわけでございます。  したがって、そういう御党の考え方があることは私は承知をしておりますが、一方また考えてみますと、今次の税制改革というのは、昭和五十三年の政府税調の答申から始まって、いろんな歴史を経ながら、十年以上を費やして国民の皆さん方の不公平感というものが那辺にあるか、一概になかなかとらえにくい問題でございますけれども、そういうものを吟味して提案した法案でございますので、この提案を引っ込めるという考え方はございません。  この提案に沿って今のような御議論を賜って、さらに建設的な意見が醸成されていくことを私は心から期待をしておるところであります。
  34. 及川順郎

    及川順郎君 我が党が都内で無作為で行いましたアンケート調査、東京都民のこの感覚をずっと見ますと、消費税に反対、これは八九%、十人に約九人が反対である、不公平感に対する不満というのも十人のうち九人まで持っていると、国民の意識、東京都民の意識としてこういうことが明らかになっておるわけでございまして、やはり国民が望まないことを強行するということはいかがなものか。竹下内閣としてそれほど重荷を背負って悪名を後世に残すようなことはしないでもいいんじゃないか、私はこう思うわけでございます。  我が党も、今、総理がおっしゃいましたような基本法の考え方を発表いたしました。衆議院における質疑の中でこの問題等につきましての見解も明らかになりましたし、その関連で我が党の委員から、今回の税制改革の一つ理由になっております高齢化社会への将来への備えという問題に対して、それでは高齢化社会に対する将来のビジョンというものを確立しているのか、そしてそれにどのぐらい費用がかかって、しかるがゆえにこのために税制の改革がこれだけ必要なんだということがきちっと明らかにされていない。したがって、何も今急ぐ必要ないじゃないか。少なくとも二、三年あるいは三、四年かけて、そしてきちっとレールを敷いて、その間に不公平な税制の部分を改革して、しかる後に直間比率の見直し等も含めて税制改革をすべきではないかということを一貫して私たちは主張しているわけなんです。  したがって、私たちのそうした考え方を取り入れて、そして税制改革のレールの敷き直しをすべきではないかということを私は強く主張したいわけですけれども、総理にその点の考え方を再度伺いたいと思います。
  35. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まさに今お述べになったのが、税制改革そのものは、シャウプ勧告以来今日に至るまでいろんな矛盾が出てきた、その必要性は認める、しかしその手順としては、今おっしゃったように、まずは不公平税制の是正、そして経済状態等からいきますところの自然増収等もあるので、したがって、いわゆる勤労所得に関するものの減税、そうしたものを行った後、さて社会保障等のビジョンを示しながら、それに対しては一体社会共通の経費はいかにしてこれを補うべきかという手順法が御党の基本法の大体の骨子であるというふうに私は拝察をしております。そのほかに、いわゆる資産増価税のような問題もございますが、それは別といたしまして、そこでこの社会保障の手順、ビジョンを示せということに対する私どもの考え方でございますが、やっぱり精いっぱい示すべきだと思う。  かつて、御党を含む各党の代表者の皆さん方によって年金というものの議論をたしか一年ぐらいやっていただきまして、それがもとになって私は、基礎年金制度、いわゆる一階論、二階論というのができてきたと思っております。それに基づいて、国鉄共済の問題は一つ別でございますが、六十四年まではそれぞれの手当てがしてあるけれども、六十五年以後どうするか、あるいは七十年へ向かっての年金の一元化問題をどうするかということが今後の課題として年金の問題では残っております。  それからもう一つは、いわゆる高齢化を迎えたところの医療問題というものに対する青写真というものを描かにゃいかぬという御指摘がよくあることでございます。それぞれにつきまして、現行の制度、施策をそのままにしての青写真と申しますよりも単純仮定計算、ここまではお出しすることができた、しかし、もう少し詰めてみないかということで、政府部内でも今一生懸命でそういうものに対する資料提出の要求に基づいて作業を進めておりますが、給付と負担の問題というのは、最終的にはやはり国民自身が選択する問題でございますので、あらかじめ固定した考え方でもって一つの施策を提示するということにはおのずから限界があるのではないか。だから、今のような要請を踏まえて可能な範囲の努力したものを、資料提供の形か否かは別といたしまして、提供し、御議論をいただくということが大切ではなかろうか。  したがって、今のように比較的日然増収等の背景がある状態のときにこそ落ちついた議論ができて、税というものは、それは先哲が申しましたように、旧税は良税にして新税は悪税なり、しかしそれは収れんされていく段階にことごとく良税となっていくというなれの議論というものもございますけれども、私は、そういう感傷とか感情とかにとらわれない真っ当な議論をすれば、これだけの皆さん方、専門家の集まりでございますから、必ずりっぱな税制ができていくであろうということを、国民の一人としてもまた政治家としても心からこいねがっておるというのが私の偽らざる心境でございます。
  36. 及川順郎

    及川順郎君 だからこそ三、四年向こうへ送ったっていいじゃないですかということを私は申し上げたいわけでございます。  衆議院で我が党委員長指摘いたしましたけれども、六十年二月六日の政府統一見解、総理も大変苦労して、私どもよく理解できないような回答をしておりましたけれども、明らかにこれは統一見解に違反です。しかもその中では、「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方でやることはしない」と言っているわけですから、少なくともその後の選挙では国民はそれをやらないということで自民党に対する三百以上の議席を与えた。したがって、もしやるならば、明らかにそれを変更するならば、これはまず国民に信を問うてからやるべきであるという主張は、これは当を得ているし、道理にかなっていると私は思うんですね。現に、これもアンケート調査のデータによりますと、もし消費税を強行するなら、その前に国民に信を問えというのは七割方支持している。これに対して私は総理の答弁を求めません、また大事に大事にというような答弁が出てきたんでは、これは蒸し返しになりますので。その点を私は強調いたしまして、次の問題点に移りたいと思います。  経済動向につきまして、経済に対する政府の見通しは大変狂いっ放しに狂っておるわけでございますが、今回の上回った原因、それから現在の見通しに対する認識を改める考え方がないかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
  37. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) お答えさせていただきます。  まず、昭和六十二年度の経済につきましては、六十三年の一月の閣議決定の実績見込みで、数字を並べて恐縮でございますけれども、内需は五%程度、あるいは外需はマイナス一・三%程度の寄与度になりまして、全体で見ますると三・七%程度の実質経済成長率を見込んでおったというところでございます。  片方、実績を見ますると、内需は六%、外需はマイナス一%の寄与度によりまして、全体で四・九%の成長と相なったと発表したことは先生御案内のとおりでございます。これは、円高メリットの浸透でございますとか、あるいはまた昨年の緊急経済対策の効果に加えまして、我が国の産業の内需転換というものに重きを置いた構造調整の努力の、ある意味における予想外というよりは、思いがけない伸展と経済政策での国際協調の結果によって生まれたものである。為替市場の安定等により、内需が個人消費、住宅投資あるいは設備投資などのような方向で予想を上回ったということだけは紛れもない事実でございまして、片方、外需の寄与というものが、対外不均衡の是正過程を反映して、マイナスの結果に相なっているということもこれまたもう既に周知のとおりでございます。  このような意味で、六十二年度は実績見込みよりはかなり高い水準となりましたけれども、内需主導型の望ましい形での姿ではなかったのかなというのが私どもの判断なのでございます。  ただ、六十三年度の経済成長率につきましては、外需は引き続きマイナスの寄与度となる一方で、内需は個人消費や設備投資などを中心に大変好調を持続いたしまして、内需を中心とした着実な成長が持続するものと見込まれまして、政府経済見通しはまことに安定している、実質経済成長率三・八%の成長は十分可能ではないかということで考えておるわけでございます。  こういうような諸条件から、六十三年度の見通しについては、現段階では見通しを見直すというほどには実質的な実体経済面のデータが出そろっていないという点もございまして、見通しを訂正する考え方は目下ございません。
  38. 及川順郎

    及川順郎君 いずれにしても、実態に即さない数値というのはよくないと思いますので、これは私はよく考えを改めていただきたいと思います。  もう一点、大蔵大臣、税収の見込み違いも問題だと思うんですけれども、この点について御所見があれば承りたいと思います。
  39. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これはもう及川委員よく御承知のとおり、税収の弾性値というのは一・一とか二とかいうのが長年の数字でございますけれども、六十二年度は三・三というまことに異常なことになりました。税収見積もりを誤るということは、下へ間違えましても上へ間違えましても間違いには違いございませんで、これはもう御批判を甘受しなければならないところであります。今、私どもが非常に一生懸命探求しておりますのは、こういう大きな税収の見積もりが違ったことのうちで、どういうことが一遍限りの要因に基づくものであろうか、反復しないような要因はどういうものであろうかということと、それから日本経済がやはりいろんな意味で変わってきているのであろう。サービスの比重も高くなっておりますし、ハイテクというようなこともある、円高というような新しい事態もある、そういうものの中で税収見積もりというのを従来の手法に加えて何か考えてみるべきではないかといったようなことにつきまして、ただいま鋭意検討いたしております。
  40. 及川順郎

    及川順郎君 私は前回、区分の見直し、これを主張しましたけれども、その点に対しての考えを改める点はございませんか。
  41. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 前回も御指摘がございました税収の帰属を改めるべきではないかということでございます。これは、ちょうど昭和五十三年でございましたか、ああいう事情のもとに今の区分にいたしたわけでございます。  説明を申し上げますれば、これは、予算は債権発生主義でございますから、年度内に発生した、政府側からいえば債権、納税者からいえば債務でございますが、それはその年度の税収になるということは私は一貫した説明でよろしいんだと思っております。思っておりますが、これは五十三年度でございましたかにそういうふうに改めたという事情もおっしゃるとおりであって、今といたしましては、この新しい制度をそのまま続けていきたいと思っております一つ理由は、これを改めますとかなり大きなエクストラの歳入を必要とする。これは相当大きゅうございますものですから、なかなかそういうことが現実に考え得ない、そういう現実の問題もございまして、片方では発生主義で説明ができるということから、再度の御指摘にもかかわらず、今のようなことを続けさせていただきたいと思っております。  御指摘意味は、前回もそうでございましたが、よくわかっております。
  42. 及川順郎

    及川順郎君 同じような狂いが所得区分見直しをしなければ続くのではないか、私はこのことを指摘しておきたいと思います。  それから、次にマイナスシーリングの行き方ですね、これはもう限界にきているのではないか、いつまで続けるのかということを大蔵大臣に伺いたいと思います。
  43. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これは、前回も申し上げましたように、昭和六十五年度には特例公債を脱却したい、赤字公債はやめてしまいたいということで、私ども鋭意達成に努力をいたしておるところでございますが、そういう状況の中で、今度御提案いたしております税制の抜本改正は、実はネット減税になっておるという事情がございまして、この目標達成をよほど一生懸命やりませんと、それだけ難しくなってきているという気持ちがございまして、したがって、確かにマイナスシーリングというのはいろんな問題がございますことは御指摘のとおりと思いますが、投資的経費はともかく、そうでないものにつきましては、今の特例公債を何とかして六十五年度にはやめてしまいたいということとも相まちまして、投資的経費以外のものについては、なお厳しい態度で臨まざるを得ないというふうに考えております。
  44. 及川順郎

    及川順郎君 赤字公債の減額という借金減らしにつきましては、私は堂々とやるべきではないか。むしろ、それよりも重要視しなければならないことは、現在のマイナスシーリソグが起こすしわ寄せが国民生活関連のところへ非常にひずみを来している、いわゆる二極分化の状況が非常に出ているということですね。この点の方が非常に問題ではないかと思うわけです。  いつも言われておることでございますが、生活関連の方はぎゅっと締められている、一方、防衛費やODAの予算は突出し続けている、こういうしわ寄せですね、これはぜひ是正していかなきゃならぬじゃないか、こういう指摘が強いわけです。この点に対する総理の御見解を再度伺いたいと思います。
  45. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いわゆるシーリングというのは、昭和三十五年でございますか、からあったわけでございます。五〇%までのシーリング。私が最初大蔵大臣を務めさせていただいた昭和五十五年度予算でも、いわゆる一〇%まではよろしい。その後が七・五%になり、ゼロになり、それからマイナスシーリング、経常部門でございますけれども、そういうことになりました。その背景にあったのは、私は財政再建という問題がそこにやっぱり根っこには一番起因しておったと思うわけであります。そのときに、お亡くなりになりました土光さんの臨調は、いわゆる退路を断つということからして、解釈の問題は別としまして、増税なき財政再建、そういうことで、今度は歳出にやっぱりメスを入れなきゃいかぬというところが厳しいマイナスシーリング、こういうことになったと思うわけであります。  したがって、その中でいろんな工夫をいたしまして、末端の受益者と申しますか、国民の皆さん方自体にサービスそのものの低下をもたらさないように制度上のいろんな工夫をちょうだいしたわけです。それが地方と国との車の両輪説、あるいは貸しだ借りだという議論にもなりました。しかし、そういう苦悩を重ねながら積み上げていくのが私は予算だと思いますので、ガラガラポンにいたしまして、今からもう一遍、目をつむってガラガラポンにした中から優先順位をつけた予算を組むというのは、長い習慣の中で私はなかなか難しい。やはり一つの厳しい背景、環境の中でお互いが工夫をして議論していく中に、どうしても減らしてはならないものは当然そこにコンセンサスが得られていくだろうという経過をたどっていくというのが国会の議論というものではないかな、こういうふうにいつも感じておるところでございます。  重点傾斜配分という議論は、十分おっしゃる意味を理解しつつ、私なりの経験からそのようなことを申し上げたわけでございます。
  46. 及川順郎

    及川順郎君 自治大臣にお伺いしたいんですけれども、高率補助の引き下げ措置ですが、六十一年から三年間の時限措置となっておりますけれども、これは大蔵省とどういうぐあいにお話をつけるつもりですか。
  47. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 暫定期間終了後の補助負担率のあり方についての検討協議の方式等については、現在までのところ、関係省から相談を受けておりませんけれども、七月十五日の概算要求についての閣議了解においては、国庫補助負担率について今後予算編成過程においてその取り扱いを検討する旨を明記すること等により、問題の所在を明らかにしております。  年末の予算編成に向けて国庫補助負担率の復元に努めることにより、国としての責任が全うされ、国と地方の信頼関係が損なわれることのないように対処をしてまいりたいと考えております。
  48. 及川順郎

    及川順郎君 厚生大臣に伺いたいんですが、厚生年金国庫負担の分は合計二兆四千億円を超える貸しが国にあるわけですけれども、これは返済を要求いたしますか。
  49. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 御指摘の問題は、厚生年金の国庫負担繰り延べの総額であると存じますが、この問題につきましては、先般の概算要求基準の大臣折衝の際に、私から大蔵大臣に対しまして、来年度は繰り延べ措置を行わず、本来の姿に戻すことという内容の申し入れを行いました。本年末の予算編成までに相談することになっております。  また、繰り延べ分の返済の問題につきましては、同時に私から大蔵大臣に対しまして、早期の返済の検討をお願い申し上げたわけでございまして、今後ともその実現に向かいまして財政当局と相談してまいりたい、かように考えております。
  50. 及川順郎

    及川順郎君 厚生省の関連で伺いたいんですが、三月の予算委員会だったと思いますけれども、私は、現在社会保険庁から発送されております年金支払い通知はがきにつきまして、金額が丸見えということで、年金受給者のプライバシーを非常に損ねているということから、これを改善する要望を強く指摘しましたけれども、その後、具体的にどのように改善のための御努力をなさいましたでしょうか。
  51. 森仁美

    政府委員(森仁美君) 御指摘の問題につきまして、前回から私ども鋭意検討を続けてまいりました。そのポイントは、年金受給者がその通知書を手にしたときに、それ以外の方の目に触れているというような状態がないようにするということであろうと思っております。  いろいろ検討いたしましたが、今私どもの検討段階は、はがきを出しておりますが、そのはがきの必要な部分に特殊なシールを張りまして、それを受給者がはがして見ていただく。一たんはがしたシールはなかなか張れないということによりまして何とかうまい方法がないかということで、実地に検討をいたしておりますが、ただ残念ながら、まだ実用にはいましばらく、機械でありますとか、あるいは特殊な接着剤を用いますので、その接着剤の改良といった点が必要と考えております。
  52. 及川順郎

    及川順郎君 今の技術的な問題等につきまして、私もいろいろと聞き及んでおるところによりますと、十分改良の余地があって、実用化の見通しは明るい、こういうぐあいに聞いておりますけれども、厚生大臣からは前回、非常に前向きの御答弁をちょうだいしたんですが、来年度予算にぜひ具体化のための予算措置を要望する、こういう姿勢で臨んでいただきたいと思いますが、これはいかがですか。
  53. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 御指摘の点につきましては、技術的な面におきましてまだ多少改善の余地があるということでございますが、その状況を見まして適切に対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
  54. 及川順郎

    及川順郎君 年金受給者は長い間、やはり家庭のため、社会のため、大きく言えば国のために頑張ってこられた方ですから、それが年金を受給するようになってまで肩身の狭い思いをするということは政道の上からも許されることではない。これはもう全力を挙げて一日も早く実現できるようにお願いしたい、このように思っております。  運輸省の関係で私は伺いたいわけですけれども、けさのテレビにも出ておりましたけれども、首都圏の通勤ラッシュ時、これはもう大変な混みぐあい、通勤地獄とまで言われておりますけれども、主要幹線の実態の上からラッシュ時の乗車率はどのぐらいになっておりますか、お述べいただきたいと思います。
  55. 阿部雅昭

    政府委員(阿部雅昭君) 首都圏におきます通勤時の鉄道の最も混雑している区間を例にとってみますと、地下鉄では銀座線の赤坂見附と虎ノ門の駅の区間、これは混雑率、三年間で見ますと、六十年度二四二%、六十一年度二四一%、六十二年度二四〇%でございます。民鉄線では東急の新玉川線の池尻大橋と渋谷駅の間でございまして、二二五%、二二六%、二二五%という数字になっております。JR線で見てみますと、常磐の快速線、松戸駅と北千住駅の区間でございまして、混雑率二六八%、二七一%、二七九%でございますが、常磐快速線につきましては、本年二月までに混雑時の列車の十五両編成化ということができましたので、現在では混雑率が一九九%となっております。  以上、最も混雑している区間をとりましたが、首都圏全般を見てみますと、私鉄大手七社の平均では一九三、一九二、一九一となっておりますし、さらに地下鉄、JRを含めた首都圏全体の平均では二一二、二一〇、二〇六と、わずかずつではございますが、混雑率は緩和の方向にあるというふうに考えております。
  56. 及川順郎

    及川順郎君 通勤地獄の解消のためには総合的な運輸政策が必要だと思いますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  57. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) お説のとおりでございます。大都市、特に東京を中心にしましたメガロポリスの交通の、何といいましょうか、不便さ、非人間性というものを克服するには、運輸省だけではらちの明かない問題がたくさんございまして、政府全体が省庁をまたいで総合的な計画を持ってしなければ、しょせん百年河清を待つようなことで、多くの都民、市民に御迷惑をかけると思います。  そういう点で、新しい時代のための総合的な計画というものを運輸省が中心になりまして、これから考えていかなきゃならないと思っております。
  58. 及川順郎

    及川順郎君 過日、整備新幹線問題が検討されておりましたけれども、東海道新幹線が非常に全線的に平均的な老朽化が進んでいるというぐあいに聞いておりますけれども、この施設の耐用年数はどのぐらいに見ておりますか。
  59. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  東海道新幹線につきましては、トンネルとかコンクリート構造物とか、それから鉄鋼の構造物、そういったような施設につきましては、現在いろいろと保守をしっかりやっておりますので、状況はよく保たれておりますから、全く安全性には問題ないというところでございますが、御存じのとおり、開業以来二十三年ぐらいの間でございますが、全線にわたりまして継続的に高い密度で運行が行われているわけでございますから、これから長期的に考えて老朽化についての検討というようなことはやっていかなきゃならないかと思っております。  今の耐用年数の問題につきましては、とりあえず税法上の話としましてはただいま私が申し上げましたもの、例えばトンネルですと六十年とか、そういったような耐用年数でございます。
  60. 及川順郎

    及川順郎君 いずれにしても、東海道新幹線がもうリミットに来ているという状況を見まして、将来これにかわる中央新幹線構想が出ておりますけれども、これについての運輸大臣の御見解を承りたい。
  61. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 御承知のように、全国新幹線鉄道整備法の中に段階的に整備新幹線、そして計画新幹線という範疇があるわけでございますが、中央新幹線はそれから外れているわけでございます。しかし、この法律ができました時点に比べて、現今では東京の機麻痺するくらい集中が進んでおりまして、御案内のように、先回の国会で多極分散型の国土を形成促進する法律もつくったわけでございますけれども、私は、分散と申しましても、東北もあり四国、九州もありますが、やはり東京を東端とし、大阪、神戸を西端とし、名古屋を中心に据えたこの大きな一種のベルト地帯というものがこれから日本の、世界のコアになっていくということで、そういうことを勘案しますと、中央新幹線、でき得ればそれを高速で結ぶリニアといったものの構想がこれからますます現実性を帯びてくると思いますし、私たちも真剣にその可能性をこれから検討しなくてはならない、そういう次第だと思っております。
  62. 及川順郎

    及川順郎君 全国新幹線鉄道整備法から分離させまして、鉄道事業法ないしは鉄道軌道整備法によって計画するという考え方はいかがですか。
  63. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  御承知のとおり、全国新幹線鉄道整備法といいますのは、国土の総合的かつ普遍的な開発を図るための新幹線鉄道の整備ということで、国が主体的に役割を担うという形で考えている法律でございまして、みずから基本計画とか整備計画とかいうのをつくっていくということにしております。それから、それに従いまして建設の時期だとか方法とか、そういったようなことで各路線ごとの整合性を保っていくということを考えいる法律でございます。  したがいまして、現在の中央新幹線は全国新幹線鉄道整備法上の基本計画路線でございますから、そういう鉄道事業法の特別法としての法律に従った計画の実施でございますので、その法律外の形で考えていくということはいかがかと思っております。
  64. 及川順郎

    及川順郎君 この新幹線問題は、最後に総理にまとめて伺いたいと思うんです。  宮崎の実験センターは、旧国鉄から引き継ぎまして現在の状況になっておりますけれども、直線部分での実験は既にもう終わっている。これからやろうとしなければならないテーマは、トンネル内走行や急カーブ、急勾配のところが残されている。そういう状況の中で、その実験をするために必要だということで、東京—甲府間のリニア実験線の問題が今浮上している。北海道の札幌—千歳間の直線部分のところは、宮崎のリニア実験線によって既に実験済みですから、その部分は営業線で計画できるのではないか。  こういうリニア化の傾向というものは、やはり時代の要請になってきていると思うわけでございまして、今までの法律に縛られた考え方でこの時代の要請に立ちおくれたんでは、これは政治の責任というものは非常に大きくなってくる。今後の国土の総合的な発展という点から考えますと、東京—大阪間の中央新幹線構想も非常に大きな意味を持つわけでございまして、国土の将来の活性化、発展の視点から、この問題に対してどういう御所見を持っておられるか、この点をお伺いいたしまして、私の質問の締めくくりといたしたいと思います。
  65. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いわゆる国土の均衡ある総合的な発展、これは第四次全国総合開発計画、それから、先般両院を通過、成立させていただきました新しい法律等において明示しておるところでございますが、それを土台といたしまして、今おっしゃったような議論がほうはいとして盛り上がっておって、なかんずく、今具体的におっしゃった北海道の実用化問題でございますとか、あるいは中央新幹線、あるいはその一部を持つ実験段階の問題でございますとかいうことにつきましては、今、運輸当局が大変詰めた作業をしております。  私がお答えするよりも、むしろ運輸大臣からお答えした方がより正確であろうと思いますが、私もその詰めた作業に対して大変な関心を持たしていただいておるというのが、現状の私の心境でございます。
  66. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で及川順邸君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時十六分休憩      ─────・─────    午後一時三十三分開会
  67. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題といたします。  矢田部理君の質疑を行います。 矢田部君。
  68. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、社会党を初め野党の要求であります証人喚問問題、資料提出の課題などについて依然として内容のある返答がなされていないことを極めて遺憾に思っております。  また、昨日の総理及び大蔵大臣の久保委員に対する答弁などは、言葉だけが多くて中身は全く進んでいない、どう考えておられるのか、大変不信の気持ちも込めて幾つかの点について質問していきたいと思いますが、リクルートの疑惑解明は、少なくとも第一には、江副氏ないしリクルートコスモス発の株式がどのような流れ、いかなる回路で政治家とその周辺に到達をしたのか、この事実関係を明確にすることが大事だと思っております。そして二番目には、その流れがいかなる趣旨、目的で動いたのか、どんな背景があったのかが問われなければならないと思っております。  そこで、きょうは第一のテーマを、最初に幾つかの点について質問をしていきたいと考えております。  第一の株式の流れ、動きでありますが、二つないしは三つの動きが考えられます。その一つは、五十九年にコスモス株を七十六名の人たちに譲渡したとされております。これが五十九年コースとでも言うべきものでありましょう。二番目には、六十年に入りましてから二月と四月、二回にわたって第三者割り当て増資をいたしております。この第三者割り当てコース、これが二番目のコースであります。もう一つ考えるといたしますならば、江副氏を中心とする、あるいは江副氏直通のコースあるいはその他のコースというようなことが考えられるわけでありますが、最初に宮澤さんに伺いたいと思います。  宮澤大蔵大臣といいますか、政治家としての宮澤さんと言った方が適切かもしれませんが、その周辺にいつごろ、どんなコースで株式が渡ってきたのでしょうか、その経路についてまず御説明をいただきたいと思います。
  69. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 前にも申し上げたことでございますが、私はもちろんでございますが、私の秘書もじかにこの株の取引をした、あるいは勧誘を受けたということはございませんで、私の秘書に対しましてその知人でありますところの実業家、河合という人でございますが、このリクルートコスモス株式が有力者の間へ分けられているという話があるので、自分としてはいわばその取引をしたいので名前を貸してくれないかということを言いまして、これはまことにうかつなことであったと申しわけなく思いますが、まあ別段違法なことでないと考えて、どうぞと申したということでございます。したがって、その取引を行いました時期は私どもにわからなかったわけでございますが、この河合氏について聞きますと、昭和六十一年の九月ごろということと報告を受けております。
  70. 矢田部理

    ○矢田部理君 その河合氏なる人物は幾らで買われたのでしょうか。
  71. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 河合氏の話によりますと、一万株のものを五千万円余りで売った、そして利益は二千万円余りであったということを言っておるそうであります。
  72. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういたしますと、差し引き三千万程度で一万株を買われたということになりますか。
  73. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 河合氏の話によりますと、そのようなことでございます。
  74. 矢田部理

    ○矢田部理君 その一万株を購入するに当たって関与されたといいますか、購入をしたのは河合さんお一人でしょうか。
  75. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 河合氏一人というふうに承知しております。ほかの名前は存じません。
  76. 矢田部理

    ○矢田部理君 蔵相は、この問題が発覚をした最初の時期、報道によりますとノーコメントを十三回繰り返されたと。なぜノーコメントかと言われたらそれもノーコメントだと締めくくられたというお話でありますが、そのノーコメントを言われた日から数日たって後、報道によりますと七月十五日の日に記者会見をされて、調査の結果についてお話がございました。その話の内容はどんな御記憶ですか。
  77. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございます。この話が報道されましたときに、私はもとよりでございますけれども、実は秘書も思い当たりがなかった。これは無理でないと思いますのは、自分のしたことでなかったものでございますから思い当たりがない。しかし、そういう報道がしきりにあるということで、私も普通でございますとそういうことは全くないと言うことがむしろ普通であったのでございますけれども、報道がございますので、それは真相をわからせてからお答えをする方がいいであろうということで、あえてノーコメントと申しました。その意味は、積極的に否定をいたしたい気持ちでありましたけれども、何か事実関係があるかもしれないと、こう思ったからでございます。  それに対しまして、この河合という人でございますが、やがて、それは秘書とは親しい友人でございまして、実は自分がああいうことをあのときに言ったじゃないかと。それで、これは自分がやったことであって、事実はこうこうであったということを申してまいりました。そのことを私は記者会見でそのまま申しまして、秘書としては別段違法なことをしたわけではない、また秘書という気持ちからついついどうぞと言ったのであろうが、まことに申しわけないことをしたということを申しまして、ただいまのような事情を記者会見で話したと存じます。
  78. 矢田部理

    ○矢田部理君 その記者会見で、河合氏なる人物が買った時期はいつだとおっしゃいましたか。
  79. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その点につきましては不正確なところがございます。私は、記者会見、ここに資料がございますけれども、どうもそれは六十年の一月末ごろであったというふうに思うと河合氏が言っておりましたので、それをそのように申しましたが、これは後に誤りということがわかりまして、訂正をいたしております。
  80. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこが少しおかしくございませんか。私は先ほど五十九年コースと六十年の二月以降の第三者割り当てコースと二つを申し上げた。六十年の初めごろだということになりますれば、まだ第三者割り当てがない時期でありますから、どうしても五十九年コースの延長線上でとらえられる。それがまずいので、六十一年の九月ごろと先送りをして、結果的には竹下総理と時期が一致するわけでありますが、そういうことにしたのではありませんか。
  81. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この点は、どうして六十年一月ごろというふうに最初河合氏が記憶をしていたのか、最初の報道によりますとどうもそのころのことだというふうにいろいろ報道があって、そういうことでつい河合氏自身が時間の記憶を誤ったのであろうと思われます。  ただいまのお尋ねに対しまして私が思いますことは、ただいま申しましたように、河合氏の話では、これは取得価格は五千万の二千万でございますと三千円ぐらいになるはずでございますが、そういたしますと、その時期はやはり恐らくこの六十年一月ではなくて、後で記憶が誤ったと言って訂正してまいりました六十一年の九月という方が正確なのであろうと、こういうふうに思いまして、本人の言っておることが訂正されましたので、そのとおり衆議院にも本院にも申し上げてあるところでございます。
  82. 矢田部理

    ○矢田部理君 あのね、六十年の一月ですよ、最初記者会見で言われたのは。これは全紙が報道しています。河合さんも幾つかの週刊誌などなどで語っておられるのも、宮澤さんと同じ六十年の初めだと言っている、あるいは一月末だと言っておられる。全く一致しているんですよ。日にちや年月の点だけ申し上げますと、あるいは記憶違いということがあるかもしれませんけれども内容も六十年の初めの場合と六十一年の九月の場合では随分違ってまいります。それはおわかりでしょうか。
  83. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それはよくわかっておりまして、そういうふうな報道が最初になされたために記憶がついそれに引かれていったということであって、事実はもっと後であったということなんでございますが、それは検証いたしますと、ただいま申し上げましたように、もしその程度の株数で二千万円余りの利益があったといたしますと、五千円余りで売ったとしますと三千円余りで仕入れておらなければ勘定が合わないことになるわけでございますが、それはやはりその時点というのはもっと後の時点であって、六十年一月の時点が間違いだというのはここからもまず事実に徴してそのとおりであろうと、こう思いましたので、本人の言うとおりを申し上げております。
  84. 矢田部理

    ○矢田部理君 全く違いますね。河合さんが六十年の初めだと言っただけでなくて、内容について語っているわけです。出したお金は一千数百万だと。いいですか、そして一万株である、それを二人で出した。もともと建設会社の幹部の人が値上がりをする株があるから買えないかということで話が来たと、そこで、個人ではなかなか手に入らないらしい、政治家の人がかかわれば手に入るということで建設会社の幹部と二人で買ったということなのであります。  そうなりますと、二人で一万株買って千数百万ずつ三千万出して、そうして四千万利益が出た、五千数百万で売ったからでありましょう。それを二人で山分けして二千万円になったというので、宮澤さんの言われているのと事実が全く反するのであります。単に年度が違うだけではなくて、特にこの河合氏は自分でお金を幾ら出して、幾らもうかったか、幾らどうなったかということはこれは記憶違いのあろうはずのないことなのであります。宮澤さんかどちらかうそを言っている。
  85. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そのような河合氏の、これはたしか週刊誌であったと思いますけれども、話をされたのを私も後で読みましたが、きちんといろいろ聞いてみますと、これは国会に御報告申し上げることでございますので、私の秘書に河合氏が訂正をしてまいりましたことが正確である。金額から見ても、また時期から見ても、そのように考えております。
  86. 矢田部理

    ○矢田部理君 余り繰り返すことを避けたいと思いますが、幾ら河合さんでも一千数百万のお金を出したか三千万出したかぐらいの区別はつかない人ではないでしょう。建設会社の幹部と二人で組んでやったか自分一人でやったかなどということについて、記憶違いがあろうはずはないでしょう。おかしいですよ。六十年初めだ初めだと言うと、どうしても五十九年末の七十六名コース、この延長線上でとらえられて江副とのつながりが直でかかわることになるかもしれぬ。そのことをおそれて後に回したのと違いますか、少なくともそう理解しないと。ある一説によると、あの六十年の初めというのはまずいよとどなたかに注意をされて、竹下さんと調子を合わせたのだというこれは雑音もあります。  いずれにしたっておかしいのですよ。また、記憶違いをするような中身ではないです。もう一度答弁を求めます。
  87. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私は、どういう意図で、またどういう背景で河合氏がその週刊誌に語られたか存じません。それにつきましての真否を私は申し上げる立場にございませんが、私の当の秘書に報告してまいりましたことは真実を言ってこられたと思いますし、また、実際もし五千万円で処分をしまして二千万円の利益があったといたしますと、一株は三千円であると思われます。この株が三千円であった時期というのは五十九年の時期ではないのではないかというふうに推定せられますので、私は週刊誌の記事が間違いだというふうに申し上げることはいたしませんけれども、私の秘書から聞きました報告は誤りがないと存じます。
  88. 矢田部理

    ○矢田部理君 二人で買ったか一人で買ったかによって全く違うんです。二人で買ったと河合氏は建設会社の幹部の人との話も含めて言っているわけですから、この事実関係は直しようがない、単なる記憶違いではない、その点で間違っていると思います。  ところで、宮澤大蔵大臣、あなたは江副さんとは面識なりおつき合いはございますか。
  89. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 実は余り深い面識がございません。一つは、税制調査会の委員をしておられますので、私は、大蔵大臣といたしまして当然税制調査会という場ではお会いをしております。それから若い財界人が産業構造研究会と申しましたか、何カ月に一遍ずつ昼間集まって議論をする会合が過去に二度ぐらいあったと思いますが、その席上出てこられたことがございます。パーティーなどでお会いをすれば無論あいさつをいたしますけれども、その程度のおつき合いでございます。
  90. 矢田部理

    ○矢田部理君 売り手の側は河合氏ではだめだ、政治家でなければだめだということで宮澤さんのところに持ってきた。その受け手が言うならば秘書であり、時期によっては大蔵大臣そして大蔵大臣の秘書官であった服部さんということになるわけですね。  この服部さんは、宮澤さんの後援会などではどんな仕事をされてきましたか。
  91. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) これはもう私が三十年近く一緒に仕事をして助けてもらった人間でございますので、世の中の人が、私とは長い間の人であるというふうにお考えになられるのは当然でございます。
  92. 矢田部理

    ○矢田部理君 備後会という団体の会計責任者あるいはみどり会という政治団体の代表者など、会計も含めて中心的な役割を果たしてこられた服部さんの名前をかたったというよりもやはり宮澤事務所、大臣の言うとおりで六十一年の九月だということであるならば、これは大臣そのもの、これは一歩間違えば職務権限とのかかわりで言えば贈収賄と直で、今度は時期がそちらであるということならば、つながる可能性を持っている。特に、証券の発行とか流通とかについては監督する立場にあり、金融業も営んでいるわけでありますから、金融行政上も全体的な職務権限を持っている大蔵大臣のもとに株が近づいてきている。その売り込みなりないしは周辺で動いたということになりますと、これはただ道義的責任とか軽率とか、うかつであったでは済まされない問題じゃないでしょうか。その点はどんなふうに受けとめていますか。
  93. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは、昨日でございますか、申し上げましたとおり、秘書といいましても、やはり秘書の本体にだれがいるかということは世の中で当然知っておられることと考えるべきものでございますので、そういう意味で名前を貸したということはまことに軽はずみなことであった。今お話しのように、そこに請託等々があるかないかということは別にいたしまして、そういうことは無論ございませんけれども、またそれから私の秘書は別段利益を受けた、報酬を受けたわけでもございませんが、いかにもそのような誤解を受けやすい、これは監督者である私も申しわけないことだと考えておるところでございます。
  94. 矢田部理

    ○矢田部理君 後で問題にしますが、自民党の幹部の方々がすべて秘書のやったこと、子供たちがやったこと、秘書がだれかから頼まれてやったこと、これは国民の中にはなるほどそうだったのかと余り説得力を持ちません。むしろ言いにくいことを言わせていただくならば、大臣なり政治家のところに話があって、振り込み先がたまたま秘書だった、会計責任者だったというふうに考えるのが一般的なのでありまして、ましてだれか友人に頼まれて名前を貸したなどというのは少しく弁解に過ぎないかという疑問、疑惑を持つのも無理からぬところだと私は思っておるのでありまして、その辺についてどうしてもやっぱり解明をしなければなりません。  そして、そのためには、河合氏が言っている建設会社の幹部とは一体だれだったのか、その株はどこからもたらされてきたのか、どういう道筋でリクルートコスモスから宮澤大蔵大臣ないしは宮澤先生の周辺に到着をしたのか、これを説明する必要があるのではないでしょうか。名前を貸しただけ、第三者がやったこと、これでは、いかなる責任があるかはもう少し後で議論をしますが、社会的、道義的責任すらとったことにはなりませんよ。軽率だとかまずかったというのではなくて、やはりどういうコースで自分のところに、あるいは周辺に来たのかということを明らかにすべきではないでしょうか。
  95. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたとおり、この話を最初に聞き知りましたのは河合氏でございますし、そして河合氏が自分の責任において取引をした。これは先ほど仰せられました、多少解釈は違いますけれども、そういうことであるし、それについて私の秘書なりなんなりが別段利益を受けた、対価を得たというようなこともないということも申し上げたとおりでございます。でございますから、いわばそういう話を宮澤の名前を背景にして、何と申しますか、世間から聞いてこられて取引をされたというその河合氏、そういう人にどうぞと申しましたことは私はまことに軽率なことであったと存じますけれども、それから何かの直接の対価を得たとか利益を得たとかいうことでないことはひとつ御理解を賜っておきたいと存じます。  全体の問題としては、私は甚だどうも申しわけないことであったと感じております。
  96. 矢田部理

    ○矢田部理君 了解というわけにはいかないのでありまして、多くの矛盾や問題点があることをむしろ大蔵大臣自身が厳しく認識をすべきだというふうに考えております。  それじゃ、続いてと言ってはなんでありますが、竹下総理に伺います。総理の場合はどうだったのでしょうか。
  97. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私の場合は、報道機関の取材がございました、その取材に対して私はこのように答えましたという報告を受けたわけでございます。が、中身につきましてはそのときはわかりませんでした。本院の本会議かなんかで指摘されましたので、したがって本人に聞きましたところ、六十一年九月にある財界人からいただいて店頭登録後分売をした、その名前については、信頼関係にもございますので、それを申し上げることはしないと言って報道機関に申しましたという報告を受けたわけでございます。
  98. 矢田部理

    ○矢田部理君 総理は江副さんとはどんな御関係でございますか。
  99. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 先ほど大蔵大臣からお答えがあっておりましたが、私もその財界の方々の会合に講師として何回か呼ばれたことがございます。  それから、私自身の後援会であります会の木鶏会という会がございますが、それのメンバーの一人でもございます。
  100. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで、総理に対しても申し上げなければならぬのでありますが、どうも株式青木さんという元秘書あるいは竹下事務所の方のところに来たのではなくて、総理のところに送られてきた、あるいは青木さん名義で回ってきた。ただ、その支払いなり精算が最終的には青木さんの手元でやられたというふうな疑いもあるわけでありますが、総理が青木さんから聞いた話というのは確かに六十一年の九月なのでしょうか。
  101. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 六十一年九月に相手方からちょうだいしたと、こういう報告でございます。
  102. 矢田部理

    ○矢田部理君 その点も二つの点で疑問があるのであります。  青木さんが最初七月七日に新聞記者に語ったところによりますと、五十九年に引き受けた人の中にあると言われ、確かにそういうことがあったと思いますというふうに答えているんですね。これは五十九年だと、こう言っているわけです。  それからもう一つは、お金にかかわる話でありますが、購入代金は数百万円ほどだったというのであります。五十九年で数百万ということになりますと、当時七十六名コースは千二百円でありましたから五千株ぐらいが買い受けられる。したがって、その売り値が五千数百円で売ったとすれば二千万円程度の利益になっているというふうにも推定をされるのであります。  以上二つの点で、ただいま総理がお話しになったのと当初の段階で青木さんが新聞記者などに語られたこととの間に食い違いがあるのですが、どうしてこういう食い違いが出てきているのでしょうか。
  103. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) その記事、私、実は正確に記憶しておりませんが、六十一年の九月払い込んだ銀行口座等が明確になっておるということでございます。
  104. 矢田部理

    ○矢田部理君 銀行口座があるわけですか。それを出していただくとなおはっきりすると思いますが、それを希望すると同時に、この青木さんがある経済人から話があって株を買われたということでありますが、そのある経済人の名を言うのがどうしてある経済人に迷惑がかかるのでしょうか。これだけ世間がいろんな点で疑惑を持ち、政治に対する不信も強まっている折からでありますから、総理の言うように、いいことではないわなと思いつつも、一面では純粋の経済活動だとか株の単なる取引だとも言われておるわけでありますから、むしろ総理としては、そうであるならばなおさらのこと、どういう経路でだれから話があってこういうことだったのだと、状況をオープンにされた方がわかりやすいのではないでしょうか。  その点で、経済人の名を——だれでも問題があれば、ところで君、一体あれはだれから買ったんだね、どこから話があったんだねと聞くのが通常だと思うのですが、そういう点では、その点は恐らく総理の念頭にもあるだろうと思いますので、明確にされた方がいいんじゃないでしょうか。
  105. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今のおっしゃる意味は私もよくわかります。しかし、私も長い間政治家をやっておりまして、今総理大臣でございますので、したがって、なおその事の重きを考えなきゃいかぬなということをお話を承りながら思っておりました。  例えば私自身、本院の委員会におきまして平和相互銀行の問題について何かびょうぶの話がございまして、それで幹事長になりましてから一生懸命調べました、私個人で。そうしましたら、ある特定の文書、あえて怪文書とは申しませんが、それが回っておりまして、そうしたらその翌日、その方から内容証明が参りまして、私はこのような文書を一切出したことはございませんと。その方はまた立派な人でございまして、こういうことがあるものだから、これはやっぱり言われた私が不徳のいたすところだから私が我慢すべきものだというふうに、それ以来そういう人生に徹してやろうと思っております。  したがって、今回の問題も不徳は私にあると思っておりますので、ある意味においては二人の間は善意の第三者かもしれません。その方がだれであったかということを申すようなことはしないのが私なりの考え方に合うのかなと思って、長い政治体験の中で私なりに構築した竹下登の政治姿勢として守るべきことじゃないかなと。ただ、今言われて、なるほどな、当時は大蔵大臣であって、幹事長のとき一生懸命調べて、そうして時には先生方にもう一遍質問していただこうかと考えてみたこともあるのでございますが、そういうことをすべきものじゃないなと思いまして、今回総理大臣と言われましたから、なるほどその任の重きからすれば、今、矢田部委員のおっしゃるのも考えなきゃいかぬことかなと思っておりますが、今までの私の心根からいえば、そういうものは私自身ですべての不徳をおわびするということで過ごすべきだと思っております。
  106. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういう総理の癖が自民党全体に行き渡っているんでしょうか。宮澤さん、友人からの話で直接関係はない。中曽根さん、さる人からの話で第三者の好意である。安倍さん、証券業の人からである。渡辺さん、一度人の手に渡ったものを買ったと。そして、その第三者の名前はどなたもおっしゃらない。これが疑惑のむしろもとになっているんじゃありませんか。  総理が、振り込みだ、預金通帳までおありということであるならば、特に総理・総裁でありますから、一国の総理が余り疑惑の渦中で物を仕切るというのは決していいことじゃありません。ああなるほどそうだったのか、それならわかるという説明をし、オープンにすることの方が大事だと私は思うのですが、いかがですか。
  107. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 行政府の立場としての証取法その他に基づく行為、この問題は別といたしまして、政治的あるいは社会的、道義的責任という問題は、私は私の心の中で解明がついたならば、不徳はすべて私であるということを従来とも貫いてきておりますので、これからもそういう姿勢を貫いていこうと思っております。したがって、どこでも他人がどうであるというようなことは申さないのが私のこれは人生の生きざまでございますので、そう思っていただくしかないのかなと思います。
  108. 矢田部理

    ○矢田部理君 総理も大蔵大臣もなかなか先の話をされないので、少し私が突っ込んだ話をさせていただきたいと思います。  総理と大蔵大臣の国会におけるお話によりますと、六十年とか五十九年ではなくて六十一年の九月だというふうに言われるわけでありますので、六十一年の九月だということになりますと、先ほどから申し上げておりますように、最初の七十六名ないしはその延長線上での人たちではなしに第三者割り当てを受けた人たち、そこから流れてきている可能性が強いというふうに思われますが、この第三者割り当てというのはどんな趣旨でやられるのか、大蔵省がいいでしょうか、御説明をいただきたい。
  109. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) リクルートコスモス社からの話によりますと、店頭登録に先立ちまして、一つは安定株主対策、それからもう一つは、リクルートコスモス社が非常に借入金が大きかったということもございまして、自己資本の充実策、そういった二つのねらいで行われたというふうに聞いております。
  110. 矢田部理

    ○矢田部理君 お話しのように、安定株主ということでありますと、通常であればそれを第三者に売ることは一般的には考えられない。とりわけ、公開直前でありますから値上がりが予定をされている。値上がり確実な株をわざわざ何らの思惑なしに第三者に売ることはあり得ない、ほかの方に売ることは一般的には考えられないと思うのですが、いかがですか。
  111. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 証券取引法の建前から申しますと、株式店頭登録前におきまして会社の安定株主づくりのために第三者割り当て増資を行った、そういう例が多いわけでございますけれども、その後の株主の移動が法律的に一律に禁じられていると、こういうわけではございません。ただ、主要株主などの特別利害関係者等につきましては、公開前の株式移動がありまして、それによって不当な利得を得ることがあってはならない、こういった趣旨から店頭登録前の直前決算期から前一年以降については原則として株式移動を禁止している、こういうことでございます。
  112. 矢田部理

    ○矢田部理君 そこで、第三者株主を経て、時によっては宮澤さんの周辺あるいは総理の周辺に株がやってきたということになりますれば、一体その第三者とはだれであったのかということを詰めなければなりません。大蔵省は、午前中からの討議を承っておりますと、その第三者割り当ての株主の名簿を持っておられるようであります。そういう意味でもぜひ出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  113. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 午前中にも申し上げたところでございますけれども、その第三者割り当てに係る報告といったものにつきましては、これは募集行為類似の新株発行、すなわち五十名以上の不特定多数の者に対する募集または売り出しの場合には有価証券届出書が必要なわけでございますけれども、それ未満の場合にはこれは要らないということになっているわけでございますが、五十名未満のものである、届出書を必要とするものではないということを確認しておくといったことによりまして、いわゆる企業のディスクロージャー制度の円滑な運用を図りたい、こういった趣旨から私どもが受け取っているものでございまして、これは非公表が前提となっているものでございます。  仮に、この内容公開することといたしますと、これは罰則がございませんものですから、今後企業からこういうものを出していただくときに本当のことを書いていただけるのかどうか、あるいは最悪の場合には出さないで済ませようといったことになりますと、全体といたしまして今後のそういったディスクロージャー制度の運用に支障を来す、こういった問題にもなりますし、場合によりましては、その企業なりあるいはその株式を引き受けた者のプライバシーといった問題も生ずるおそれがございます。そういったふうな意味におきまして、内容公開することは差し控えさしていただいているということでございます。
  114. 矢田部理

    ○矢田部理君 第三者割り当て株主の名簿ごときものを出さないというのが私はどうしても解せない。多少提出者の問題はあるにしましても、これだけ重要な疑惑や政治倫理の問題がある場合には、従来からケース・バイ・ケースで少なくとも検討するというのが政府の態度でなければならぬわけでありますから、当予算委員会に入ってから、再三にわたって同僚議員などからも話があっても、依然として出さない。なぜ出さないんですか。証取法四条の届け出問題も、これほど簡単な調査はありませんよ。いまだにこれが決着がつかない。やろうと思えば二十六条を発動して、七十六名のリストであれ、今の第三者割り当て名簿であれ、十分とることも可能なのに、どうしても出さないというのは、大蔵省、何か事情があるんですか。歴代の大蔵大臣が、竹下さん、宮澤さん、そして渡辺さん、全部この問題に連座をしておる。というだけではなしに、大蔵省の次官クラスの人たちもリクルート社などと相当深い関係にあるんじゃありませんか。
  115. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 第三者割り当てに係る報告につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。  それから、届出書の問題に関連いたしまして証券取引法の第二十六条の検査権を発動してリストを提出したらどうか、こういうお尋ねでございますけれども、この検査権というのはそもそもが企業内容の開示制度の適正な運用を図るという観点で定められたものでございます。  端的に申しますと、企業内容のディスクロージャー制度というのは、株式を発行する会社に対しまして、その営業とかあるいは財務の内容、発行条件などを投資家に開示して適正な投資情報を提供する、そういうことによりまして投資家保護を図る、そういう目的のために届け出義務を課しているものでございます。したがって、仮に発行会社が届け出を怠った場合におきましても、問題とされるのは発行会社の行為でございまして、証券取引法の趣旨に照らせば、この株式を購入した投資家に責任があるわけでは決してないわけでございます。  そういった意味から、今回の調査はおきまして問題にしておりますのは、発行会社が五十名を超える売り出し行為を行ったかどうかといったふうなことでございまして、そういった意味では個人名まで調査する必要は必ずしもないということでございます。
  116. 矢田部理

    ○矢田部理君 大蔵省自身が何かやましいことや江副との深いつき合いがあるんじゃないかと聞いている。そんな一般論を聞いているんじゃない。  ここに登記簿謄本があります。元次官です。都内のマンションを買うに当たってファーストファイナンス社から市中金利よりもかなり安い金利で四千万の融資を受けている。こういうことがあるからこそ大蔵省は動きがとれないのじゃありませんか。
  117. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 私ども証券取引法を適正に執行するために必要な限度において調査をしているわけでございまして、それ以上でもそれ以下でもございません。(「質問に答えていないじゃないか」「今のは答弁じゃないよ」「聞いたことに答えろ」と呼ぶ者あり)
  118. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうぞ答えてください。
  119. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 私どもそういう事実は確認しておりませんが、いずれにいたしましても私ども行政というのは、私ども行政上の目的を達成するという観点から、ほかのことにかかわりなく適正にやっているつもりでございます。
  120. 矢田部理

    ○矢田部理君 昭和六十二年でありますが、住宅ローンの金利は都銀で平均、固定金利でありますが七・〇二%です。同じ時期に、ファーストファイナンスというのが、金貸し業、五〇%以上の金利を取れる業者です。土地にも随分金が出ておりますが、かなり高い金利でほかには貸し付けておる。これは一つ一つ挙げてもいいですが、にもかかわらず六%で貸しておる。四千万です。加えて、この差額どのぐらい利益が出るかということになれば、十年の場合で二百五十万ぐらい、二十年で六百万近く。こういう深いつき合いなり癒着があるから、いろんな面でそらぞらしい態度しかとれないんじゃありませんか。
  121. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのことは事実関係がわかりませんのでお答えを申し上げることを差し控えますけれども、お役所の行政がそういうことで曲げられる、影響されるということはないと政府委員が申し上げましたことは、私はそのとおりであると存じます。
  122. 矢田部理

    ○矢田部理君 いずれにしましても、第三者増資割り当ての名簿はそう秘匿性のあるものじゃないんですね。特に、たしか大平さんが総理のときだったでしょうか、その秘匿性のある文書と公益との関係についてはケース・バイ・ケースで裁くということになっているんですが、どうしても出せませんか、大蔵省として。
  123. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 繰り返すようでございますけれども、この文書は、そういう第三者増資に対する報告というものは、これは法令上の委任根拠を持っているわけではなくて行政上の必要性から、いわば法律的な意味では任意で提出するものでございます。したがって、仮にこれを公表することになりますと、今後発行会社がそれを出してくるときにそれが一々公開されるということになりますと、まず最悪の場合出してこないケースもあります。あるいは内容を偽ってくる場合がある。それに対して何らの罰則規定もございませんので、そういうことになりますと、私どものディスクロージャー制度の適正な運営に欠けるおそれが出てくる。そういったふうなことから提出は御容赦いただきたいというふうに考えております。
  124. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうしても出せないなら、私が出します。ちょっと配ってください。    〔資料配付〕
  125. 矢田部理

    ○矢田部理君 大蔵省に確認を求めたいと思いますが、一枚目は二月十五日付の第三者割り当ての取締役会の議事録、その抜粋、とりわけ割り当て先及び割り当て株数の中身であります。それから二枚目の小さ目の字で書いてありますのが、四月二十五日付の第三者増資割り当ての同様の内容のものであります。  内容がこのとおりであるかどうか確認できますか。
  126. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 先ほど申しましたように、この報告というのは公表しないことを前提として私どもが受け取っているものでございます。したがいまして、御指摘資料につきましてその真偽、内容等を確認することはそういう意味からも差し控えさせていただきたいと存じます。
  127. 矢田部理

    ○矢田部理君 名前があなた方と符合するかどうかだけ聞いているんです。事実確認だけです。できませんか。
  128. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) その点を含めまして、確認することは差し控えさせていただきたいということでございます。
  129. 矢田部理

    ○矢田部理君 法務省質問しますが、第三者割り当て増資をやった場合、これは商業登記事項ですね。その商業登記をする際には取締役会の議事録を添付するのが通常ですね。いかがでしょうか。
  130. 藤井正雄

    政府委員藤井正雄君) 第三者割り当てを行われまして増資がなされますと、発行済み株式総数と資本の額が変更いたしますので、その変更登記をする必要がございます。その際には取締役会議事録の添付が必要でございます。
  131. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういうものを登記所からとることはそう難しいことじゃないんです。にもかかわらず、どうして大蔵省は隠すんですか、いまだに明らかにしないんですか。  そこで、総理と大蔵大臣に伺いますが、この第三者割り当てによる株主名簿、株主の方々で、このコースから渡ってきたとすれば心当たりがあろうかと思うのですが、ごらんになってあるいはこの人かもしらぬ、こういう会社かもしらぬという心当たりはないでしょうか。
  132. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) どなたに答弁させますか。
  133. 矢田部理

    ○矢田部理君 お二人に。
  134. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今、御提示いただきました資料に基づいて、私がせんさくするだけの能力はありません。
  135. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 河合康文氏の場合、昨日も申し上げました事情で、申し上げないと言っておるそうでございますので、ちょっと私には判断の道がございません。
  136. 矢田部理

    ○矢田部理君 この資料を出した理由は、本来、他人資本ではなくて自己資本にしていく、あるいは安定株主をつくっていくということが第三者割り当て増資の趣旨でありますが、中身を見ると、決してそれに沿った人たちの集まりではないんですね。一部にはもちろんそういう人もおりますが、ペーパーカンパニーなんです。  例えば、二番目に書いてございますエターナルフォーチュンという会社。ある会社の役員の奥さんたちが名前を並べている会社でありますが、事務所もなければ事務員もいない。ほとんど仕事らしいことはしていない。電話をかけますと、公認会計士の事務所が出ます。会社の名前はありません。こういうところに実は二十万株も割り当てられている。既にこの中ではなくなった会社もあります。(「幽霊会社だ」と呼ぶ者あり)幽霊会社でしょう、これは。だけではなくて、証券局長が再三言っておる山一証券なんかも利害関係人、特別利害関係人がずばり出ております。同僚のことを言うのはなんでありますが、現職の参議院の自民党の方が会長をなさっている会社もございます。  加えて問題なのは、殖産住宅のときの例にちなんで申し上げますれば、中曽根さんに政治資金を調達するために、上場に当たって自分の子会社に百万株預けておいて、それで政治資金の調達を図ろうとしたというふうに言われておるわけでありますが、ここでも、自分の子会社ないしは関連会社、四社、五社ぐらいが江副さんの子会社ないしは関連会社ということになるわけでありまして、決して安定株主ではなくて、江副さんが考えれば十分この株式は操作できる態勢にあった。ですから、五十九年の直通コースだけではなしに、第三者を経たからといって決して江副さんとの関係が切れるわけではないということを私は言いたい。  説明をすればいろいろまだありますが、いずれにいたしましても、これらの点を明らかにするためには、どうしてもやっぱり江副氏に証人に出てもらう必要があります。総理や宮澤さんも先のことは言えない、それが私の長い経験だなどと言っているのではなくて、どうしてもここでおっしゃらないなら証人としてお出になって真実を明らかにする責任があるんではないでしょうか。私は、資料もごく一部を提出しましたが、大蔵省も本気になってもう少し資料を出して、この疑惑解明に積極的にやっぱり協力することが、政治の信を取り戻すために今極めて重要なのではないでしょうか。その点いかがでしょうか。
  137. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 私どもが現在調査しておりますのは、非公開株式売買それ自身は特段、証取法その他の制約がないわけでございますけれども、ただこれが五十人以上の募集または売り出しの場合には証取法のディスクロージャー制度の趣旨から見てどうであろうか、あるいは証券業協会自主ルールとの関係でどうであろうか、こういった点を調査しているわけでございます。  そこで、ただいま委員指摘の点で私ども答弁関連してお話ございましたので、ちょっと付言させていただきますと、先ほど申しましたように、行政上の参考としてとっております第三者割り当て内容につきまして個別に言及するわけにはまいらないわけでございますけれども一般論として言いますと、証券業協会のルールに規定する関係会社というのは、財務諸表規則に言いますところの関係会社、すなわち株式の過半数を所有する親会社、子会社及び株式の所有が二〇%以上五〇%以下で経営に重大な影響を与えることができる関連会社等ということになっておりまして、したがって、同一の企業集団でございましてもこの定義に該当しない会社は特別利害関係人等には含まれないということでございます。  それからまた、証券業協会のルールに規定する申請協会員というのは——当該証券会社のグループに属するいわゆるベンチャー企業というのは、これは投資目的のためにこれを保有するものでございまして、証券会社それ自体ではございませんので、これも特別利害関係人等には入らない。そういう意味で、私は、衆議院でお答え申しましたように、この第三者割り当ての中には特別利害関係人はないというふうに申したのはそういう趣旨を踏まえて申し上げたつもりでございます。
  138. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、私が知っておりますことを申し上げないのではなくて、知り得ないことでございますので申し上げていないということでございます。御理解を得たいと思います。
  139. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私のことで申しますならば、だれから譲渡を受けたかというようなことと、今御提示なさった名簿等との照合をして明らかにすべきではないかと。これは証券取引上の行政上の問題ではなく、私個人の問題であろうと思います。そういう調査は私はいつでもしておりますが、それはやはり申し上げるべきことではないといつも思っております。
  140. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  141. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を起こして。  ただいまの件につきましては、理事会において協議いたします。  矢田部理君の残余の質疑は後に譲ることといたします。     ─────────────
  142. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
  143. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、まず潜水艦衝突事件から始めます。  きょう合同慰霊式が行われました。私は、三十人の犠牲者に心から哀悼の意を表し、御遺族の方方にお悔やみを申し上げます。  瓦防衛庁長官、きょう事故再発防止策を決めて、報道によりますと辞任されるとのことでございますが、今回の重大な事故を振り返って、改めて問題の所在、教訓、どうお考えになっておられますか。
  144. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) ただいま合同葬から帰ったわけでございますが、御遺族の心中を察し、大変申しわけない、こうした気持ちでいっぱいでございますし、三十名の方々がお亡くなりになられたわけでございますので、心から御冥福をお祈り申し上げるものでございます。  今、委員指摘のことでございますが、早速再発防止対策の概要を取りまとめ、本日発表さしていただきました。  なお、政府の対策本部におきましての問題につきましても鋭意取り組んでおるところでございますが、御指摘のことから勘案いたしますと、通信系におきまして私どもは十分な対策を講じてまいらなきゃならぬ。さらにまた、潜水艦初め艦艇におきまして、人命救助のための対策等を講じてまいらなければならぬ。潜水艦自体は極めて救助に不向きなものでございますが、その人命救助のための装備をいかに考慮してまいらなきゃならぬか、これらの諸点もございますし、また教育面も含めまして広く反省をし、原点に立ち返って取り組んでまいらなきゃならぬ、こういうことで取り組みをいたしました対策案を本日申し上げたところでございます。
  145. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 海上保安庁、ずっと調べておられるようですが、「なだしお」の責任はもちろん極めて大きいんだけれども、私は、単に艦長個人の判断、行動に大問題があっただけでなくて、自衛隊の本質、軍事優先、人命軽視という構造的問題がやっぱりあると思わざるを得ません。  海上保安庁、「なだしお」についてはどういう法律違反の容疑で取り調べておりますか。
  146. 山田隆英

    政府委員(山田隆英君) 本件の捜査、現在海上保安庁で鋭意実施中でございますが、容疑といたしましては、業務上過失致死傷罪、業務上過失往来妨害罪等でございます。
  147. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 海上衝突予防法、海上交通安全法、船員法、こういうものの違反の容疑も大きいと思うんですが、人命を重視するという点で言うと、電波法にも違反して緊急の遭難通報さえ行わなかったという問題もあると思いますが、防衛庁、どうですか。
  148. 山本雅司

    政府委員山本雅司君) 「なだしお」は事故の後、直ちに事故及び遭難に関する通報を行っております。  ただ、この通報につきましては海上自衛隊の通信系を利用して行ったものでございます。したがいまして、この通報がいわゆる無線局の運用規則に適合しているかどうかという問題が、今、委員指摘のことだと存じますけれども、これにつきましては、電波法令を所管しております郵政省の方でいろいろ調査されて判断されていることというように私どもは了解しておるわけでございます。
  149. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 郵政省、どうですか。
  150. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) お答えを申し上げます。  御指摘の無線局の運用に対しましては、遊漁船の第一富士丸とそれから「なだしお」につきまして、その運用状況を今調査中でございますので、今のところ回答をすることができません。
  151. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも郵政大臣、そういういいかげんなことを言うのなら私も言わなきゃならぬけれども、あなたは七月三十一日、大阪の国際ホテルで、自民党の徳永府議のパーティーであいさつして、いざ出陣のとき湾内に漁船がいるようでは困ると、そう言ったそうじゃないですか。事実ですか。
  152. 中山正暉

    国務大臣(中山正暉君) そういうお話をした覚えはございません。日本にはいろいろな問題があるという話をしただけの話でございまして、私どもの自民党の府会議員の方の会でございますので、そういうお話を、これからの日本に関する税制改革の問題、いろいろ日本には問題があるということを申し上げたところでございます。
  153. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 我々のところにきちんと聞いた人からそういう通報まで来ているので……。  事故が構造的だったと私思いますのは、「なだしお」の後ろに千メートル離れて潜水艦「せとしお」がいたわけですね。防衛庁、どうですか、「せとしお」の艦長は事故を目撃したのではありませんか。
  154. 日吉章

    政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、衝突事故を起こしました「なだしお」の約千メートル後方に「せとしお」が航行していたのは事実でございます。事故当時、「せとしお」は浦賀水道を、南航路を南下してまいります船舶に注意しながら横断中でございまして、事故の全体は目撃していませんが、衝突直後と思われます「なだしお」と第一富士丸と思われます漁船を認めたという報告を私どもは受けております。  この後「せとしお」は、「なだしお」からの事故発生の通報を受けまして、直ちに救助態勢をとり現場に向かってございます。ただ、「なだしお」と同じく「せとしお」も潜水艦でございまして、動力を持った救命艇を持っておりませんものですから、スクリューによって遭難者を傷つけること等の危険がございますので、速力を落としまして現場に近づいたがために、現場に到着いたしましたときには既に他の船により救助作業が終わっておったという状況でございます。  ただ、「せとしお」の中におりました看護長及び補助者は、既に救助されておりました人の緊急医療措置に駆けつけております。  以上でございます。
  155. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 「せとしお」には第二潜水隊群司令も乗っていたんですね。「なだしお」の艦長は気も動転するということはあり得るけれども、「せとしお」の方は事故を目撃して、しかも一キロ後にいたんですね。で、十三人助けた第三松和丸というのは一キロ前にいた。それがUターンしてきているんですよ。ところがこの「せとしお」は一人も助けていない。  東京新聞の報道によると、「なだしお」の場合、飛び込んで助けろという命令を出したのに飛び込まなかったという報道があります。軍事命令には従うんだが、人命救助の命令には従わないというのが自衛隊なんですか。
  156. 日吉章

    政府委員(日吉章君) 「なだしお」及び「せとしお」、それぞれ潜水艦でございますが、その救難活動につきましていろいろ御批判をいただいてございますが、非常に不幸なことに、「なだしお」及び「せとしお」という潜水艦といいますものは、水上事故に対します救命態勢が非常に脆弱でございます。と申しますのは、繰り返しになりますけれども、潜水艦は非常に狭隘な艦艇でございますので、動力のついた救命艇というものを持ってございません。なおかつ、水上航行いたしますときには、大きなスクリューのある部分が外に出ている、あるいは水面下に大きな渦を巻いてスクリューが回るということになってございますので、通常の船でございますれば、直ちに動力つきの救命艇をおろしましてそれによって救助するわけでございますが、それができ得ませんものですから、みずから非常にのろのろと現場に近づかないといけないという問題がございます。幸いにして、助けていただきました第三松和丸という民間の小型タンカーでございますが、これも直ちに救命艇をおろしまして、その救命艇で救助していただいているわけでございます。  それから、「なだしお」及び「せとしお」の乗組員が飛び込んで救助しなかった、あるいは命令に従わなかったというふうなお話でございますけれども、衝突いたしました「なだしお」は三名の方を救助いたしておりますが、そのうち一名は、指揮官の命令により隊員が水中に飛び込みまして遭難者を救助いたしておりまして、新聞等での報道は、いかなる状況によりましてあのような報道がなされているのか、私どもとしては理解に苦しむところでございます。
  157. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 新聞報道だけではなくて、私よりもはるかに潜水艦のことを御存じの防衛庁の次官でさえそうしてほしかったと言ったじゃありませんか。  私は、構造的だと思うもっと大きな問題として、内閣による、また首相によるシビリアンコントロールの問題があると思うんですね。  総理は、七月二十八日の衆議院の連合審査の際に、我が党の中路議員の質問に答えて、「私は、そのつかさつかさ」、よくまあつかさつかさがお好きのようですが、「海上自衛隊の皆さんがとられた措置というものは法律、規則に基づいて正確」だと、こう言ったんですね。その後どうやら訂正されたようですけれども、総理があの時点でそういうことを言うのは、あの海幕長のとんでもない発言等等を合理化することになるんですよ。そういう東山海幕長など制服の報告をうのみにして、つかさつかさは正確にやったなどと総理があの時点で言ってしまうということは、シビリアンコントロールが一切働かなかったということを示すのであって、総理の責任と資格にかかわる問題だと私は思う。今どう反省されておられますか。
  158. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私も今お尋ねのことは記憶をいたしております。自衛隊員のとった措置というものは法令、規則に違反しているといったようなものではなく、つかさつかさという言葉を使いましたのは、その立場立場において精いっぱいの措置をとったというふうに報告を受け、私もそれを確信をしておる。あの場合、その責任のあるべき問題というのは、救助活動がまだ終わっておらなかった段階でございますが、それらの任務に精いっぱい当たっておるという現状でございます際に、私は今御指摘のあったような発言をしたわけでございます。したがって、このことはシビリアンコントロールの問題とは全く違う問題ではないか。  シビリアンコントロールというものが基本的には、今の上田さんの発言もシビリアンコントロールの一つだと私はいつも思うわけでありますが、安保条約を是認するか否認するか、その問題は別といたしまして、いやしくも自衛隊たるものが国民の信頼を損なうことがあってはならぬということで、絶えず私どもはシビリアンコントロールという立場からこれに当たっていかなければならぬということでありますので、あのときの私の発言は、シビリアンコントロールの問題とは私は別の問題であるというふうに思っております。
  159. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 東山海幕長が事故直後に「なだしお」には間違いがなかったと発言したが、あれは遺族の方や生き残った人々が一番怒っているんですよ。あなたは自衛隊の最高責任者でしょう。その人がそれを合理化するようなことを言うところに、シビリアンコントロールが働かなかった、そう私が認めざるを得ない大問題があったと思います。  次に、この事故の大きな問題は横須賀基地の存在なんですね。  横須賀基地はアメリカ海軍のハワイ以西の最大拠点ですが、御存じのように、横須賀にはアメリカの原子力艦船の寄港が多いんです。どのぐらい原子力艦船が横須賀に寄港しておりますか、外務省。
  160. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 昭和五十九年以降の数字を申させていただきますが、横須賀に入港した米原子力推進艦の寄港状況は、潜水艦四十隻、百二十六回、巡洋艦一隻、二回、空母一隻、一回の計百二十九回となっております。
  161. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 四年間で百二十九回でしょう。すごい数ですよね。  科学技術庁長官、もし米原子力艦船が浦賀水道で衝突事故を起こして原子炉事故が起きた場合、どの程度の放射能被害が起きるものと見られますか。
  162. 伊藤宗一郎

    国務大臣伊藤宗一郎君) 我が国に寄港する米国原子力軍艦の安全性につきましては、米国政府の声明及び覚書で明らかにされておりますが、それによりまして十分安全措置が講じられることになっておると承知をしております。  また、米国政府はその中で、万一の事故の場合にも原子力軍艦がその停泊地点の周辺の住民に対し、放射線その他の原子核による心配されるような危険をもたらすものではないと言明をしており、事故により周辺住民に影響を及ぼすような事態には至らないものと考えております。
  163. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そんなことを言うなら、北米局長、アメリカのニューヨーク、ボストン、ここは原子力艦船の入港をストップされているんじゃありませんか。
  164. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 存じません。
  165. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そういうことは知らない。ほかのことは知っておる。ここは市民運動でストップしているんですよ、危ないというのでね。  カリフォルニア大学のジャクソン・ディビス教授は、日本の市民団体の調査要求で、もし浦賀水道、横須賀で原子力艦船が事故を起こすと首都圏で七万七千人が死亡するという数字を最近明らかにしています。やっぱり米原子力艦船の寄港は直ちに中止すべきだと私は思いますけれども、首相どうですか、こういう決断を下せませんか。
  166. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これは日米安保条約、その地位協定等について認めておるものでございますので、今中止する考えはございません。
  167. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 横須賀は世界でただ一つ、アメリカの十五隻の航空母艦のうちミッドウェーの母港になっているところです。このミッドウェーの艦載機訓練で厚木、三宅島、今度は硫黄島と大被害を受けていますが、防衛庁、硫黄島でのNLPはいつまでの予定ですか。また、三宅島にNLP基地ができるまでの暫定基地と考えているんですか。また、厚木で半数の訓練、これはいつまでやる予定ですか、お答えください。
  168. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 先生御承知のように、厚木では現在航空母艦の艦載機の離発着訓練を行っております。これは、厚木の基地の周辺の状況から判断いたしましても負担が非常に大きくなっておりまして、米側もできるだけ厚木から近いところで代替基地をつくってほしいということはかねてから要望がございまして、我々はいろんな角度で検討した結果、三宅島が適切であると現在も考えておりまして調査等を行っておりますが、なかなかこれが時間がかかるという問題でございます。しかし、その間厚木をほっておくわけにはいきませんので、日米一緒になりまして、できるだけ厚木の負担を軽減したいというような趣旨で、三宅ができるまでの間、硫黄島で何とかNLPのかなりの部分を引き受けてくれないだろうかということで、現在米側と話をしている状況でございます。  いつまで硫黄島を使うのかということでございますけれども、これはいつまでというふうに申し上げることはできないわけでございまして、NLPが必要な限り、あるいは三宅ができるまでの間そういう必要性が生じてくるわけでございます。  NLPは、御承知のように確かに夜飛ぶわけでございまして、いろいろ御迷惑をおかけしておりますけれども、これは航空母艦のパイロットが航空母艦に着艦するためにはどうしても必要な技術でございまして、航空母艦のパイロットは、パイロットの技術は陸上におりましても失われませんけれども、航空母艦に着艦する技術というものは非常に短時間に失われる状況でございまして、これを回復するためにはどうしても必要な行為でございます。また、それができなければ航空母艦を展開する意味がないし、極端に言えば日米安保条約の本質にかかわる問題でございますので、どうか御理解をいただきたいと存じます。
  169. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、アメリカ本国でやればいいんですよ。サンジエゴの近くに広い航空基地がありますよ。  私は、ここに硫黄島帰島促進協議会の赤間会長から私あてに来た切々たる訴えの手紙を持っています。「荒れ果てた島を両親は飲まず食わずで作り上げ、私達の命もあの地に残してくれたのです」。ところが、「戦争に勝ったら又呼び戻す」と言われて私たちは「放り出されました。小笠原、父島、母島は帰され、硫黄島のみ取り残されております」、もう本当に情けない限りでございます。「国会へなぐり込みをかけたい気持ちでございます。永住できないとするならば、せめて自由に行き来できるように、戦死者のお骨だけでも一日も早く地下から掘り出してやりたいのです。先生、厚生大臣に強く私ら旧島民の意志を伝えてくださいますよう」というんですが、厚生大臣、こういう切々たる訴えにどうこたえられますか。
  170. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 硫黄島におきます遺骨の収集につきましては、昭和二十七年調査団を派遣いたしまして以来、今日まで延べ二十九回にわたりまして遺骨の調査、収集を実施してまいりました。その結果、これまでに収集いたしました遺骨は約六千九百柱でございます。また、これまでの調査によりまして、地表及び北部地区の埋没地下ごうの遺骨収集につきましてはほぼ終わっておりますので、これからは残されました南部地区の埋没地下ごうに重点を置きまして、できるだけ早く硫黄島の遺骨収集が終わりますように積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  171. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 横須賀基地には核持ち込みの疑惑という重大問題もあります。今回、アメリカの駆逐艦ファイフ、またバンカーヒル、これが近く入港ということになっておりますが、外務省、この二つの艦の性能、特徴はどういうものですか。
  172. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) これはいずれもが、従来家族を置いておりました二隻のフリゲート艦のかわりに入ってくるものでございますけれども、まずファイフについて申し上げますと、これは排水量が五千七百七十トン、それから速力が三十三ノット、乗員数が士官二十名、下士官、兵、三百名前後ということになっております。それから、バンカーヒルにつきましては、排水量が九千六百トン、速力三十ノット、乗員数が三百五十八名でございます。
  173. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 バンカーヒルは有名なエイジス艦ですが、この二艦はトマホーク積載可能艦でありませんか。
  174. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) いずれもが積載能力を有しております。
  175. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 トマホーク積載能力を持っている米海軍の軍艦はやはり核トマホークを持っていると見る必要がある。  八月九日、長崎の平和祈念式典で本島長崎市長の平和宣言、政府に主体性を持って核兵器の有無を検証せよと厳しく求めています。  首相、この被爆都市長崎の市長主唱のこの核兵器の有無検証という厳しい要請にどうこたえられますか。
  176. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私はそういうアピールがあるということは承知いたしております。しかし、現実の問題といたしましては、この問題については事前協議の対象であり、そして事前協議がない限りにおいて持ち込みはないという今日までの姿勢を堅持すべきものであると私自身に言い聞かしております。
  177. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 何ら真剣に答える態度はございません。  宇野外務大臣、INF条約締結に続いて戦略核半減条約、START交渉が米ソ間で始まっていますが、これについて日本政府の態度、見方、立場はどういうものですか。
  178. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 戦略核問題に関しまして、五〇%削減、米ソ間において話し合いがされまして一定の進展を見ておるということは、私たちといたしましても評価をいたしておかなければならないと思っていますが、検証そのほかの問題で困難を伴うということも事実であると私は思っております。したがいまして、両国におきましては引き続いてジュネーブでいろいろとその問題に関する協議が行われておるということでございますから、その進展を見守っておるところでございますが、願わくはやはり進展した方がいい、こういうふうに思っております。  我々といたしましては、やはり米ソのそうした重大な協議に関しましては、西側陣営の結束というものが一つの大きな進展に対する起点になっておったということを考えました場合、今後も西側陣営の一員といたしまして、米国のそうした交渉努力に対して大いに支援をしなければならない、これが日本政府の立場でございます。
  179. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 このSTART交渉の最大の障害の一つが、今言った核トマホーク、SLCM(海洋発射巡航ミサイル)の検証問題になっていますが、そう認識しておりますか。
  180. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 私の聞いているところでは、戦略核交渉、戦略核の五〇%削減、その中にICBMと、そして重爆撃機とSLBMと、こうなっておりますから、SLCMに関しましては、今のところそうした交渉の範囲の中、いわゆるSTARTの中には入っておらない、こういうふうに承っております。
  181. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 宇野さん、あなた勉強家だけれども、勉強しなきゃ。  これは去年のINF条約のときの米ソ共同声明ですよ。この中で、START交渉の中の課題に、SLCMについては、今言った戦略核弾頭の数には入れないけれども、ミサイルの上限設定、検証、これはやるということが書いてあるんですよ。外務省どうですか、大臣知らないから、局長、知っているでしょう。——知っているの。じゃ、言ってください。
  182. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) それはもう話題にはなっただろうけれども、非常に難しいということは米国は私に言っておりましたし、同時にまた、戦略核の五〇%削減という、そうした中には入っておらないと、私はこういうふうに申し上げておるわけであります。
  183. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これはまた詳しくやりますけれども、不破副議長がゴルバチョフ書記長と会談したとき、ゴルバチョフは、このSLCMの検証問題を解決しなければSTARTはこれはできないと、そこまで言ったんですよ。大問題なんです。  そこで、この米ソ首脳会談の帰りにカールッチ国防長官が日本に寄りましたね。そのときあなたは瓦防衛庁長官なんかと会って、核の存否は明らかにしないという原則を変えるなと言って懇願したでしょう。どうですか。
  184. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) そういう質問予告がありましたので、どこからそういうふうなことが出たんだろうかと、こういうふうに私は考えております。したがいまして、カールッチさんといろいろお話ししたことはこれはもう既に新聞にも出ておりますが、SLCMに関しまして、特に今おっしゃいましたことに関して話し合ったということは全くございません。
  185. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) ただいま外務大臣からもお答えがございましたが、上田委員指摘のようなことで私どもがそういうことを求めたという報道、さようなものは私も拝見いたしておりません。  ただ、私どもといたしましては、今外務大臣が御答弁になりました核搭載の有無を公表しないという政策を変更するといった報道があったので、この点につきまして事実であるかどうかということをお尋ねをいたしました。このことにつきましては、赤旗を見ましても実は書いてございます。
  186. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 赤旗の読者ですか。防衛庁長官もたまには赤旗を読んでくださっているので、閣僚の方々もいい新聞ですからどうぞ読んでいただきたい。  一端を漏らされましたが、この戦略核半減条約の交渉の最大の難関がSLCM、核トマホーク、この検証問題になっているんですよ。それに対して日本政府は、絶対検証されると困ると言ってやっているわけですよ、核の存否を明らかにするなと。つまりこのことは、唯一の被爆国の日本の政府がINF条約の次の戦略核半減条約の交渉の妨害者になっている。大変な問題なんですから、そのことを強く指摘しておきます。  首相は、こういう立場に立つ一番の根源をSSDIII(第三回国連軍縮総会)での演説で行われました。核兵器の抑止と均衡が必要だと。日本国民の悲願は核兵器の廃絶ではなくて究極的廃絶であるかのように述べたんですね。これは、我が党は繰り返し言っているんだけれども、究極的廃絶というのは、通常兵器もなくなるときまで核兵器は抑止力として必要だ、すべての兵器がなくなるときになくなるでしょう、今は要るという立場なんですよ。そういう立場なんですよ、あなた方は。どうですか。
  187. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私も、演説において究極的廃絶、こういうことを申しております。それが人類の悲願であろう。しかし、現実を直視してみるとき、その抑止力と均衡をとりつつの漸減、そうしたものが現実的な見方であるということをしっかりと申し述べたつもりでございます。
  188. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 世界が核軍縮の方向に行っているときに、世界でただ一つの被爆国の首相がこんなことを言っているのでは核兵器はなくならぬのですよ。だから我々は、こういう政府はもうやめさせて、本当に非核三原則を厳しく守る新しい政府をつくらなきゃならぬと、あなたの答弁を聞いて改めてそういう決意を固めた次第です。  それでは、次にリクルート問題に移ります。  まず、リクルートグループがなぜあんなことをやったのかということが原点として問題になります。そのためには、株式会社リクルートあるいはリクルートコスモス等々がどんな会社なのか、これを知る必要があります。  総務庁長官、江副さんは八七年八月五日、新行革審土地対策検討委員会の参与になりましたが、この委員会の任務、またこの中に東京中心の地価高騰問題の検討、これも入っているのではありませんか。お答えください。
  189. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) 土地対策検討委員会の設置につきましては、行革審におきまして六十二年の七月十三日に審議会として決定をされたものであります。地価等の土地対策に関して、専門的な調査、検討を行うために標記委員会を設置するということになっております。  委員会におきましては参与の依頼をいたしておりますが、委員会における調査、検討に当たらせるため、関係学識経験者を当審議会の参与として会長から委嘱するということで委嘱されております。
  190. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 地価高騰問題が入っているわけですね。  建設省は、リクルートコスモス社を、八六年、宅建業法違反に基づいて聴聞し処分していますが、その内容を説明してください。
  191. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 六十一年の二月十二日にリクルートコスモス社に対します監督処分を行っております。  この根拠は、宅地建物取引業法、いわゆる宅建業法でございますが、その処分の理由でございますけれども、三点ございまして、一つは、リクルートコスモス社は、実は六十年六月から九日の間にかけまして、日本橋あるいは新宿の物件の取引の中で代理人として関与したわけでございます。依頼者との間で代理人契約を結んだわけでございますけれども、他に媒介業者あるいは代理業者を立てるかどうか、これについての許否の事項を記載していなかった。こういった点が一点。それから、売買契約書に代理人として取引主任者をしまして記名押印させなきゃならぬわけですけれども、これをしてなかった。それからもう一つは、当該取引に関しまして建設大臣が定めます手数料の額、これを超えて徴収いたした、こういったことで指示処分にいたしたものでございます。
  192. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 手数料は何%、どのぐらい取っていましたか。
  193. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) リクルートコスモス社はいわゆる依頼人であります買い主の方から六%いただいていた経過がございまして、実は代理人としてのいただける手数料というものは、大臣告示では六%はいいわけでございますけれども、複数のいわゆる仲介業者が介在している場合には、それらすべて総合しましたものが六%でなきゃならぬ、こういった実は基準があるわけでございます。それを結果として逸脱していた、こういうことで処分いたしたものでございます。
  194. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 リクルートコスモスは地上げ屋の代理業をして、その地上げ屋から所定の二倍の手数料をピンはねしていたんですよ。これは大手不動産業者としては非常に例のない行為で、これは手数料違反、業務停止に値する行為だったのではないですか。
  195. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 手数料は、御承知のとおり、宅建業法の四十六条に基づきまして建設大臣が告示いたしているわけでございますけれども、この手数料は、正直言いまして四百万円以上の物件につきましてはおおむね六%プラス十二万円というのが代理人として受け取れる限度でございます。これを、この関係で四十七条の二号におきまして不当に高額の報酬を受けた場合、これは確かにおっしゃるように処分対象になります。この関係で申し上げますと、依頼主との関係でございますけれども、実は代理人契約というものを結んでいるわけでございますが、リクルートコスモス社においては、自分の社以外に媒介契約者を頼んでいたかどうかということをよく知らなかった、こういったことが実情としてあるわけでして、そういった意味で、先ほど申しましたように、他の業者が介在していたという関係の中で、合算したらその所定の額を超えてしまった、こういうことでございます。  私ども、そういった事情を勘案の上で、先ほど申しましたように、指示処分ということにしたわけでございます。
  196. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 手数料といっても四億五千万円取っているんですよ。すごいものですよ。  手数料違反で建設大臣免許の大手業者が違法行為で処分されたのは、この数年で初めてだというんですね。建設省は実は今は小さな声で言っているけれども、非常にこれを重視した。なぜなら、処分の二日後に全国の都道府県に通達を出しています。通達内容、何を出しましたか。
  197. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先ほどの処分のことで指示処分ということを申し上げましたけれども、その間におきましてリクルートコスモス社は、処分以前の段階でいろいろな報道等がなされた過程で、自主的に所定の率を超えたものを依頼主に返還していた、こういった実情も実はございます。そういったことを踏まえて、私ども指示処分にいたしたわけでございますが、先ほど来申していますような大臣告示というものが決められたのは実は四十五年でございますけれども、この告示の内容は終始変わらずに、一つの物件取引について複数の業者が介在した場合に、それを合計したものが所定の率の枠内であるように、こういう告示であるわけでございますけれども、なかなかこの辺の告示の読み方をめぐりましていろいろと業界等でも十分な徹底がなされてなかった、こういった向きもありました。  そういった中でこのリクルートコスモス事案があったわけでございまして、私ども、お話しのように、処分を行いました直後、六十一年の二月十四日に課長通達を出しまして、再度、この辺の周知徹底をしたわけでございます。より明確に、一つの物件について複数の業者が介在した場合に、その複数の業者すべての手数料を合算したものが所定の率の枠内でなきゃならぬ、こういったことを明確に指示したわけでございます。
  198. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この通達はこう書いてある。「最近、主として都心部における商業ビル用地等の買収に伴い」、宅建業者が業法に「定められた限度額を超える報酬を受領する事例が見受けられるが、このような行為は、法第四十六条第二項に違反しており、取引の公正を著しく害する」、全国の都道府県に通達したんです。  こういう事件を引き起こしたのがリクルートコスモスなんです。総理、どうです。当時の新聞は地価高騰の元凶と書いてある、リクルートコスモスを。その人物が土地臨調の地価高騰の対策をやる検討委員会の参与になった。あなたが任命したわけじゃないけれども、これは非常にいいことだと思いますか。首相、どうです。
  199. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 恐らく行革審会長の任命であろうと思いますが、これは行革審の会長として、そのときの判断としていい人選だということで人選されたものであろうというふうに私は思います。
  200. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうやら依然として弁護的発言です。  教育問題でも、リクルート社は違法まがいのことを次々に起こして社会的にも批判を浴びてきた会社です。  労働省、八〇年に日本リクルートセンターが会社訪問解禁日以前にさまざまな行為を行って問題になったと思いますが、その経過、それから労働省がどういう指導をしたか、説明してください。
  201. 岡部晃三

    政府委員(岡部晃三君) お答え申し上げます。  昭和五十五年十月でございますが、日本リクルートセンターにおきまして適性検査のモニターという形でアルバイトを、学生を集めまして、そこから自社のための学生を、いわゆる解禁日の事前選抜を行ったのではないかというふうな問題が朝日新聞社の報道で伝えられたところでございます。  これにつきましては、私ども労働省といたしまして、その通報があった直後に日本リクルートセンターの責任者から事情を聴取したわけでございまして、これは就職協定に違反しているという確証は得られなかったわけでございますが、就職情報誌産業の大手であるという立場に照らし、みずからが就職協定を遵守することはもちろん、事業の実施に当たりまして他の企業の就職協定違反につながることのないように、同社に対しまして強く指導を行ったところでございます。
  202. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 朝日は当時、系統的に追及しまして、大きな記事がずっと載っています。例えば、二十万人の学生名簿、これは全国の大学から求人用に集めたんですよ。一人当たり二十二円で英会話の訪問販売会社など四十七社に延べ八十五回売ってもうけたとか、こういうことを日本リクルートセンターはやっている。今、労働省が言ったように、青田買いに協力して口頭注意、こういうものを受けている。  中島文部大臣、あなたはリクルートに行って講演したことがあるんじゃないんですか。
  203. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) 一度だけございます。ことしの二月ごろだったと思います。
  204. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 文部大臣が四回リクルートで講演しています。森元文相もそうです。中島さんは一月二十二日、パレスホテル新春リクルートセミナーで「教育改革の最優先課題とその展望」という講演をしています。ここにリクルートの社内誌がありますが、そこに大きく書いてある。こういう就職問題その他、青田買いに協力しているようなところにあなたは講演に行っているんだけれども、こういう人が大学審議会の委員とか教育課程審議会の委員にふさわしいと思いますか。
  205. 中島源太郎

    国務大臣中島源太郎君) この江副氏につきましては、文部省関連では大学審議会の委員、それから教育課程審議会の委員、それぞれ六十年並びに六十二年に選任をされておられるわけでございます。これはそれぞれいわゆる第八条機関でございまして、その関係法令の規定に基づいて選任されたものと思っておりますので、その選任された時点ではそれぞれ適正に選任されたと、こう思っております。ただ、ことしの七月八日に御当人からそれぞれの委員辞任の届けを私あてにいただきまして、直ちに事務処理をいたしまして、七月十一日に任を免ずる発令をいたしておるわけでございます。  そういう意味では、審議会の途中におきまして委員辞任されるということは、これはいずれにしても遺憾なことでございますので、今後はより慎重に選任をすべきであろうと、このように考えております。
  206. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 地上げ屋のピンはねをやり、青田買い、これをやっているいかがわしい企業なんですな。きのうも問題になりましたが、現在リクルートグループ全体の債務は一兆七千億円に達しているのではないかとさえ言われている。こういういかがわしい企業の会長が重要な審議会の委員に四つもポストを占める。これはやっぱりわいろの効果が生まれているんじゃないかと国民が思うのは当然ですよ。  株をもらった議員のリクルート社とのつき合いの事例、これはリストを我々はつくりました。森文部大臣、講義に行っているでしょう。渡辺美智雄さん、店頭公開記念パーティーまで行っている。加藤六月農相、国有林野有効活用事例現地調査というんですけれども、林野庁、加藤六月農相はいつリクルートのあの安比のスキー場を見に行きましたか、答えてください。
  207. 松田堯

    政府委員松田堯君) 岩手県の安比地区におきまして安比総合開発株式会社、これはリクルートも入っておりますが、岩手県、地元町村、地元の放送関係会社等々十七団体で株式会社を第三セクターとしてつくりまして、森林の中におきます各種のスポーツ・レクリエーション施設等の事業の展開をしているところでございます。  御質問の点につきましては、当時第百八回国会におきまして、いわゆるリゾート法案の上程が予定されておりましたので、国有林野の積極的な活用が期待されている中で、既に国有林野を活用してリゾートを推進している優良な参考事例といたしまして安比高原スキー場を視察することといたしたものでございまして、六十二年の二月二十八日に現地に日帰りで視察をされておるところでございます。
  208. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 何に乗っていきましたか。
  209. 松田堯

    政府委員松田堯君) 秘書官、それから林野庁職員、合計八人で参った次第でございます。
  210. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 何に乗って行ったの。
  211. 松田堯

    政府委員松田堯君) 八人でヘリコプターで参った次第でございます。
  212. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 何。
  213. 松田堯

    政府委員松田堯君) 八人でヘリコプターで行った次第でございます。
  214. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 リゾート法は、私は建設委員だけれども、あれは建設委員会にかかっているんですよ。ヘリコプターに乗ってわざわざ行ったんですよ、国会開会中の二月二十八日に農水大臣が。国有林野有効活用事例。行ったのはスキー場ですよ、リクルートの。そういうことをやっている。それで、加藤さんは秘書と次女の名義で一万株、そうでしょう。それでもうけた翌年ですよ、やっていることは。やっぱり効果がいろいろあるということはこの事例を見ても明らかなんですね。  私は、首相、蔵相にかかわる疑惑も追及したいと思うのですが、その前に、この前八月五日の松本質問に対する角谷局長答弁で重大な誤りがあったので訂正を求めたいんですが、局長いかがですか。野間議員に対する答弁でも述べられました。
  215. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 八月五日の衆議院予算委員会におきまして松本委員が、五十九年五月から六十年四月及び六十年五月から六十一年四月の二事業年度における江副さんの持ち株についての減少理由についてお尋ねがございました。これに対して私は、六十年五月から六十一年四月の間のそれについてお答えしたわけでございます。この点は、八月九日の同委員会における野間委員の御質問における答弁でも申し上げたとおりでございます。  そこで、改めて江副さんの持ち株の減少数についてはっきりと申し上げたいと思いますが、まず第一に、六十年五月から六十一年四月までの間に江副氏所有のリクルートコスモス社の株式が四百七十五万三千株から四百五十五万八千株へ十九万五千株減少しております。この内容は、証券業協会自主ルールにおきまして、店頭登録の直前決算期の一年前以降、発行会社の役員あるいは大株主等の特別利害関係者等による株式移動を禁止していることの関係証券業協会において調査する、こういう中で確認されたわけでございます。この江副氏の所有株は、そのすべてが社員持ち株会の移動に係るものでございまして、一部二万一千株が退会によりまして個人名義に変わっているので、社員持ち株会としてのその間の株式増加数は十七万四千株にとどまっているということでございます。  次に、さらに御質問がございました五十九年五月から六十年四月までの間の江副氏所有の株式の増減につきましては、今申しました自主ルールの対象期間外でございますし、また証取法上特段問題もないことから、当方としては特段の調査を行っていないというふうに申し上げたわけでございまして、この点につきまして、松本委員に対しまして、もし誤解があるようでしたらそういうふうに御理解いただきたいというふうに、改めて野間委員の御質問を通じて申し上げたところでございます。  なお、お尋ねがございましたので、その後この点については証取法に触れるものであるかどうか改めて再度調査いたしたわけでございますが、江副氏の持っておりますリクルートコスモス社のこの期間における株式移動といったものは、リクルート関連企業の特定の役員への株式譲渡でございまして、特に証取法上問題にする点はなかったということをあわせて御報告させていただきたいと思います。
  216. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 角谷さん、今ちょっと新しいことを言ったんだけれども、ちょっと局長、そうすると、五十九年五月からの十九万七千株は特定の役員に渡ったわけですか。この中には、例えば七十六名に渡った可能性というのはありませんか。
  217. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 衆議院でお尋ねがございましてから改めて調査いたしましたが、特定の役員でございまして、七十六人とは関係がないと思います。
  218. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今の問題、我々は重視しているんですよ。松本さんがテレビで国民が見ている質問で、江副株が二つの期に二十万株ずつ合わせて四十万株減っていると言ったら、角谷さんが出てきて、調べたところあれは持ち株会へ全部行っているという答弁をしたわけだ。みんなそう思いましたよ。ところが、我々が営業報告書などを手に入れて調べたら、きちんと数字が出てきてそうじゃないことがわかって、野間さんが追及して初めて局長は前者については調べてなかったと、それで訂正しますと言ったんです。  危いですよね。我々が営業報告書なんかを手に入れなかったらあのまま通っているわけだ。局長も調べ直して、今ああいう新しい答弁もしているんだけれどもね。だから、本当に調べなければわからないんですよ、調べなければ。証券局がここへ出てきて何も問題ありませんありませんと言うと、ああ、そうですかそうですかと。裏づけはしないんだから、裏づけできる権限も持ってないんだから、捜査権もないんだから、アメリカの証券取引委員会のような捜査権限を持った委員会が日本にはないんですよね。だから、ちょっと紙をもらってきて調べて、こういうことでございますと答弁用のことをやっているだけじゃありませんか。どうですか。
  219. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 私ども調査いたしておりますのは、証券取引法上問題があるかどうかという点、それから二番目には、証券業協会自主ルールに違反する点があったかどうかという点、その点について調査しているわけでございます。  そこで、私が初め松本委員の御質問にお答え申し上げましたのは、証券業協会の取引ルールとの関係におきまして、店頭登録一定期間の前の株式譲渡はこれは株移動を制限されていると、こういったこととの関連でそういうことを頭に置いてお答え申し上げたということでございます。  したがいまして、株式移動の制限期間以前のことについては、証取法上特に募集または売り出しの行為がないということは確認していたわけでございますけれども、その点については改めて調査をしていなかったということにつきまして野間委員への御答弁で申し上げ、その後野間委員の御質問がございましたので、改めてその点について確認させていただいたということでございます。
  220. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 角谷さん一人を悪者にしても事態は進まないのですね。  首相は、きのうこの委員会の冒頭、久保委員質問に答えて、一つは、証取法四条の問題があると、もう一つ、首相自身も含めて政治家並びにその周辺にリクルートコスモスの非公開株が渡って、これについての政治的、道義的問題、これがあると、これについて国民が割り切れない気持ちを持っているとおっしゃいましたよね。ところが、証券局は第一の四条のことばかりやっているわけだ。これはいけませんよ。  もっとやらなきゃいかぬのだが、じゃ首相、あなたが言った政治的、道義的問題を、これを明らかにするのは国会でもあるし、また内閣自身も、あなた方も明らかにしなきゃならぬのでしょう。私はここをやらなきゃならぬ。それを明らかにするために証人喚問が必要だし、きのうから何回も問題になっている七十六名あるいは第三者割り当ての二十六社、三十七社のリスト資料をここに提出すべきだということをみんな言っているわけですよ。ちょっと資料を配付していただけませんか。    〔資料配付〕
  221. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それで私は、委員長、これはもうあの局長ばかり責めていたってああいう答弁ばかりなんだから、やっぱり内閣と国会がきちんとやらなきゃいかぬ。特にこれが問題になっている予算委員会として、委員会の決議として証人喚問問題とそれからこの資料提出問題、やっぱり決議として委員会がやれば、これはちゃんと国政調査権の発動になりますから、この問題を、委員長、ひとつ委員会として決議を行うという点をぜひお取り計らいいただきたいと思います。
  222. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまの件につきましては、理事会でよく協議をした上で取り扱いたいと思います。
  223. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 次に、竹下首相にお聞きしたいと思います。  江副会長が、当時会長だったんですが、八五年九月、中曽根総理によって政府税調特別委員に任命されました。当時竹下さんは大蔵大臣。松本質問への答弁に、上がってきたリストに結構だろうと言った記憶があると述べた。これは衆議院で楢崎委員が取り上げましたが、税調の政令で、政府税調の庶務は大蔵省主税局が自治省税務局とともに当たることになっている。任命権者は中曽根首相でも、推薦権は、大蔵大臣、当時あなたにあったんじゃありませんか。それを、当時地上げ問題が大問題になっているようなこういう会社をひょっとリストで結構だろうと言ったことの責任はどうですか。
  224. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 衆議院でございましたか、お答えしたとおりでございます。特別委員名簿が上がってまいりまして、結構だろうというふうに私が申したわけでございます。
  225. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほど矢田部委員が首相と青木秘書の問題について追及されました。首相は六十一年九月に二千株を取得したと答えられた。ところが青木秘書は、問題が最初に報道されたとき、これは朝日新聞七月七日付です、「五十九年末に」と、「確かに、そういうことがあったと思います」と言っております。時期が五十九年末か、それとも六十一年九月かと、一年九カ月ずれているんですね。これはなぜずれたんだろうと。私は、一つは竹下さんが大蔵大臣だった時期をずらそうとしたんじゃないかという疑いを持ちます。あなたは八六年七月まで大蔵大臣だった。九月にすると幹事長になる。そのために青木さんにずらさしたんじゃありませんか。いかがですか。
  226. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 全くそういう事実はございません。
  227. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 正直に答えてほしいんですね。  もう一つずらした理由は、リクルートからではないとしたんじゃありませんか。とにかく、青木さんは最初五十九年末と言った。このときはちょうど七十六名等々に広くばらまかれた時期ですから、千二百円で。これは江副さん自身が動いたわけだ。するとリクルートからになる。六十一年九月にすると、これは禁止の時期ですからね。リクルートから直接ではないということになるのかもしれない。こういうことは、やっぱりあなたの先ほどからの答弁をずっと聞いているだけじゃどうにもなりませんよ。  それで、まあ購入時期について、そうではないと首相は言うんだが、しかし、売却時期が店頭公開直後、店頭公開翌日に一斉に売られているんでしょう。これはもう言い逃れることのできない事実ですよ。青木さんは、公開時に必ずこれは高くなりますと、翌日売りなさいということを第三者経済人から言われたに違いないんです。もうリクルートのことに非常に詳しい人のはずですよ。青木さんは竹下事務所政策顧問という名刺を使っているそうですが、一体だれから、いつ、どういう説明を受けてリクルートコスモス株の譲渡を受けたのか。これをあなたは青木さんに、これまで聞いていなかったらもう一度聞いてみる義務と責任があると思いますが、聞く意思はありませんか。
  228. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 先ほども申しましたが、元来この種のことは、自分はきちんと整理してきておるつもりでございます。したがって、いろいろな御意見がございますが、自分なりにはきちんとした整理をいつもしております。
  229. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたなりに整理したって、言語明瞭意味不明瞭の方の整理では、これはわからないということですよ。  私は、この第三者経済人が江副氏本人ではないかということを疑っているんです。なぜなら、民社党の塚本委員長の秘書は、懇意の江副氏の秘書を通じて入手したと述べているからだ。譲渡の時期が首相秘書と同じ八六年九月です。民社党の塚本委員長の秘書は、江副さんの秘書から、青木秘書と同じ時期である六十一年九月にリクルートコスモスの非公開株を譲渡されたと言っているんだから。そうなると、青木秘書も江副氏あるいは江副氏の秘書か、これはインサイダー規制でも、国会議員も秘書も、特別関係者も秘書も同じようなものですよ。これは明らかにしなきゃならぬ。  それで、角谷局長にお伺いしますが、もし、これは六十一年九月といったら公開の一カ月前ですよ。そのときに江副氏の秘書からリクルートコスモスの株が塚本さんのところへ流れているんだから。こうすると、店頭公開店頭登録、これはやめなきゃいかぬのでしょう、証券業協会自主ルールでは。どうですか。
  230. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 江副さんとか大株主とか、証券業協会のルールでは特別利害関係人というものを決めておるわけでございますが、そういう者から公開の直前に株移動が行われたということであるといたしますと、これは証券業協会のルールに違反することになりまして、そういう店頭登録は受理しないという扱いになっているわけでございます。  ただ、この点につきましては、先ほど御答弁申しましたように、証券業協会を通じて調査いたしましたところ、江副さん個人の株式につきましては、先ほど申しましたように、株式移動制限期間中の移動というのは従業員持ち株会に対する移動でございまして、江副氏自身の持ち株というのは移動がないということでございます。
  231. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 局長、この塚本さんの秘書は江副氏の秘書からと、六十一年九月と言っているんだから、江副氏の秘書からというのは江副さんからということですよ。調査の必要はないですか。調査していただきたい。
  232. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 証券業協会を通じて調査した関係を申しますと、江副さんの分を含めまして、特別利害関係人等と目されている者からの株式移動の事実はないというふうな報告を受けております。したがいまして、その株式が仮にそういうことがあったといたしますと、それは特別利害関係人等以外の者からの、いわば相対による取引ではないかというふうな感じがいたしますけれども、こういったものについては特にルール上制限がございませんものですから、そういったことについて調査するというのはなかなか難しいことではないかというふうに考えております。
  233. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は今、竹下さんの青木秘書が六十一年九月に譲渡されたという第三者経済人なる者は、塚本さんの例を見ても、江副氏周辺ではないと言えない、そういう可能性があるということを私は出した。あなたは、私なりの何とかとおっしゃっているけれども、これだけ問題になっているこのリクルート疑惑について、首相として、第三者経済人の名前を明らかにする責任がありますよ。それもできないんだったら首相をもうやめた方がいい、そんなこともできないんなら。首相の資格以上にあなた個人の生きてきたやり方、これを大事にしたいんなら、首相の座を引いてそれを守ればいいんですよ。言いなさい。言うかやめるかだ。
  234. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私も静かに言っておりますから、大きな声をしないように。  いつも申し上げますように……
  235. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたの方だよ、そうやっているのは。
  236. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いや、そんなことはしませんから、あなたも大きい声をしないようにお願いをいたします。  いつも申し上げますように、私なりにきちんとした整理をしております。特別利害関係人から譲り受けたというような事実はないということを、私自身きちんと確認をいたしておるところでございます。
  237. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 関連質疑を許します。吉井英勝君。
  238. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 宮澤大蔵大臣に伺いますが、リクルートの江副氏とあなたはどういうおつき合いですか。
  239. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは先ほどもお答え申し上げましたが、江副さんは税制調査会の委員であられましたので、私が大蔵大臣に就任いたしましてから調査会でお会いをしております。それからもう一つ、産業構造研究会と申しましたか、そういうディスカッションのグループがございまして、私が時々講演を頼まれますが、その席へは一度ほど来られたことがあると思います。余り御懇意ではありませんで、パーティーでお目にかかればあいさつをするというようなことはございます。
  240. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 ここにリクルート社の「かもめ」という社内報があります。六月号ですが、これに江副氏会長就任披露パーティー、四月二十日、東京・ホテルオークラ平安の間、宮澤大蔵大臣出席となっていますね。あなたの政治資金パーティーでたまたま何千人かの中の一人としてお会いになったんじゃないですね。わざわざ江副氏のパーティーにあなたが行かれたということじゃないですか。どうですか。
  241. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そのパーティーへ参りました。あいさつをして帰りました。
  242. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 これは、自分のパーティーに来た一人じゃなくて、江副氏のパーティーに行ったということですから、特別の関係じゃないですか。どうですか。
  243. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 税調の委員でもあられるし、敬意を表しに行ったということで、別段他意はございません。
  244. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 江副氏は、あなたとはそういう特別の関係がやっぱりあるわけですよ。しかし、だからこそ江副氏は、政治家の家族や秘書については自分はつき合いがないんだということを言っていますね。だから当然江副氏にとって、秘書とかその友人に対して接触を持つとか非公開株を譲渡するというそういうところじゃなくて、あなた自身が重要なターゲットの一人であったと、こういうことになるんじゃないでしょうか。だから、リクルートコスモスの非公開株の譲渡については、当時あなたは話を聞いておられたんじゃないですか。
  245. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 何度も申し上げますとおり、秘書の友人の河合という人が、こういう話があるので名前を使わしてくれないかと言ったのでありまして、私の方からしたことではございません。
  246. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 これは、秘書なり秘書の友人のことであって、自分は関係ないとあくまでもおっしゃるわけですか。
  247. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございますけれども、秘書といえばやっぱり私が監督をする責任者でございますから、このことは軽率な判断であったということは恐縮をしております。
  248. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 私はここに「日本政治裁判史録」を持ってまいりました。これによると、政治家と秘書というのは「異心同体」——一心同体ということでありますね。小川鉄道大臣の汚職事件に関するこの戦前の大審院の判例以来、政治家と秘書というのは一心同体なんだということは判例の上で確立しているんじゃないですか。だから、あなたがおっしゃった秘書に対する監督が多少不行き届きであったとかそういう問題じゃなしに、まさに秘書とあなたとは一心同体なんだということ、そのことをはっきりさせなきゃならないし、したがって、あなたの弁解は通用しないということを申し上げておきたいと思います。  さて、大臣、あなたは、秘書の名義を借りたという河合氏がその非公開株を購入した時期については、七月十五日には新聞記者の皆さんにどうおっしゃいましたか。
  249. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それも先ほど申し上げたことでございますけれども、昭和六十年一月ごろというのが河合氏の記憶であると、そうでございましたので、そのとおり記者会見で申しましたけれども、それはその後間違いであるということがわかりまして、国会に対しましては六十一年の九月ごろというふうに訂正をして申し上げております。  何で六十年一月末ごろと言ったのだろうかと、これを推察いたしますと、ちょうどこのころの報道がその時期にというふうに何度も何度もそれをまくらに関係者に聞いておるものでございますから、本人がそういうふうについ考えたらしゅうございまして、いろいろ調べてみますと、これは間違いであったということでございます。
  250. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 七月なんかには十三回ノーコメントとおっしゃったんですね。七月の十五日及び十六日に、あなたと服部秘書と河合氏ですね、それぞれに記者会見で、すべて六十年の一月であったという点で一致しているわけですね、三人とも。なぜそれが二週間たった八月の初めの予算委員会になれば六十一年九月に変わったのか。なぜ変えたのかということですね。一年半以上おくらして、しかも、寒い時期の一月と暑さの残る九月ですよ。思い違いなど出るはずないですね。なぜ変えたのか伺いたいです。
  251. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その御質問はおかしいと思います。六十年一月末というのは、河合氏が言いましたから私がそれをそのまま申し、私の服部秘書はそれを聞いて私に報告しているのであって、何も三人が裏を合わせたというようなことではありません。
  252. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 口裏を合わせたなんて私言っておりませんので、余り御興奮をなされずに。  七月十六日の朝日の記事を持ってまいりましたけれども、河合氏は、「「有力政治家の秘書の名前を借りれば、リクルートから非公開株を入手できると思い、以前から知り合いの服部秘書名義で取引した」」、昭和六十年初め一万株を千数百万円で買い、昭和六十一年秋に売却し、約四千万円の利益を得た。これを山分けして、他の資金と合わせてロサンゼルスとハワイで不動産を購入したと述べていますね。こんなにはっきりしたことが思い違いとか間違いということはあり得ないんですが、どうですか。
  253. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは私にお答えをしろと言っても無理なことであります。
  254. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 じゃ、あなたが聞いたこと、しかし実際に河合氏が言っていることと食い違うわけじゃないですか。ちゃんとこれは河合氏を証人喚問しないことには解明できないんじゃないですか。どうですか。
  255. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 何度も申し上げておりますとおり、このことは河合という人がやったことでございますから、その事実関係については、河合氏の話を聞きまして、これを秘書から私に報告があって申し上げておるわけでございます。  それで、その六十年云々、一月でございますか、冬でございますが、これは当時、ごらんになるとわかりますけれども、報道がその時期であるというふうに、こう何となく背景として報道されておりまして、河合氏自身もそういうことがございましたから、その時日を、月日を誤って申し上げた、私どもにも誤って言ったということでありまして、これはその後間違いが判明いたしましたので、訂正して申し上げてあるわけでございます。
  256. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 七月十六日の河合氏の記者会見というのは極めて具体的です。思い違いが出るような話じゃないということを改めて指摘しておきたいと思いますが、なぜこんな筋の通らない話になってくるのか。  これは、河合氏が報告を訂正したのではなく、あなた自身が何とかしてリクルートから譲渡を受けたものではないようにしようとしたんじゃないか。それには、昭和六十年一月ではまずいから、国会答弁用に六十一年九月へ訂正させたとしか考えられないと思うんですが、いかがですか。
  257. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それも先ほどお答えいたしたことなのでございますけれども、この河合氏の話によりますと、一万株を五千万円余りで処分をして、二千万円余りの利益があったというふうに言っておることは申し上げました。といたしますと、その取得価格は三千円ということはやはりなるはずであって、その時期はまさにこの六十年の一月とかというところではないはずであって、それは河合氏が後で訂正いたしましたことがその点符号をいたしておると思います。
  258. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 金額問題につきましては、これは六十年一月に約千二百円で購入し、そして六十一年十月に五千数百円で売り抜けておれば四千万円でちゃんと合っているわけですよ。だから、数字の面で間違っているということはないわけです。  さらに、七月十五日の記者会見で服部秘書は、リクルート側から信用を高めるために、ああ、あいつかという人の名前にしたいと言ったらしいと新聞に書いてありますね。つまり、リクルートからの購入であったことも述べているわけですね。ですから大蔵大臣、だからこそあなたの名前が必要だったんじゃないですか。真実を明確にするために、あなたの秘書名義の株は一体だれから買ったものかということを明らかにしていただきた
  259. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) その点も昨日申し上げたのでございますが、株数、金額はわかっておりますが、だれからという点は、秘書の報告によりますと判明いたさなかったということであります。これは河合氏が事業を経営しておりますから、事業の上で関係の深い相手に河合氏が迷惑をかけたくないということと理解をしております。
  260. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 結局、真実は何かということを究明する上でも、だれから買った株かも明らかにされないし、そもそも今、大臣のお話は、この服部氏の話にしても又聞きだし、服部氏自身が河合氏からの又聞きという話ですから、これでは本当にきわめることはできない。  そこで、私は、河合氏の証人喚問が何としても必要だということを、このことを委員長に求めたいと思いますが、理事会協議していただきたいというふうに思います。
  261. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまの件につきましては、理事会においてお諮りして善処したいと思います。
  262. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今、私と吉井委員で首相と大蔵大臣、これは大変なポストの方ですよね、お二人のリクルート問題についてのクエスチョンマーク、これをお聞きしました。肝心なところでどうしてもお二人はおっしゃらない。六十一年の九月に青木秘書がだれからか。また、同じ六十一年の九月と宮澤さんはおっしゃるけれども、服部秘書の名義を貸した河合氏が一体だれからかと、これをおっしゃらない。宮澤さんは知らなくても、河合氏に、あれだけ迷惑をかけたんだから言えと言えば言うはずですよ。これを私は、先ほど言いましたように、リクルート側だと服部氏は言っているんだから、一回、服部秘書は。それから、塚本さんの秘書も江副さんの秘書からと言っているんだから、もし、六十一年九月に江副氏並びにその周辺から、首相や宮澤さんの秘書と知り合いという河合氏に流れたとしたら、これは店頭登録そのものの受け付けをやめるというほどの大問題なんですよ。ですから、私はあくまで首相に、青木秘書は一体第三者経済人だれからかと、これを言うことを強く要望します。  それが進まなきゃ、国会がこの問題、政治的、道義的責任を明らかにすることはできませんよ。私は幾らでも大きな声でこれを主張しますよ。これが進まないとできませんよ、質問は。当然です。あなたが国会に明らかにするのはあなたの義務ですよ。
  263. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 上田さん、立って発言をしてください。
  264. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) たびたびお答えすることでございますが、特別利害関係者でなく、そして自己責任においてきちんとしたものであるということを私なりの調査で確認する、これが一番大事なことであると私は思っております。
  265. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 具体的な氏名を言ってください。
  266. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 知りません。
  267. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 全く無責任だ、そんなのは。首相がそんなことを明らかにできないで一体何やろうというのだ。無責任過ぎるよ。
  268. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  269. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を始めて。
  270. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 納得いかないのですが、論点を変えてもう少しやってくれというので、竹下首相に問題の論点を変える。  首相は今、青木秘書が特別利害関係人からは受け取っていないと、そう言いましたよね。そうすると、ここで一つ問題が起きる。  先ほど矢田部委員第三者割り当ての二十六社、三十七社リストを配付されました。三十七社の中で二番目の会社、エターナルフォーチュン、これについて疑問を提示されました。私どももこのエターナルフォーチュンを調べています。一体このエターナルフォーチュン株式会社というのはあるのかどうか、まず大蔵省、確認できますか。
  271. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 私ども自身そういう会社については全く知りません。
  272. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この三十七社は、ずっと見ますと、京セラとかダイエーとかヤクルトとか朝日生命、いっぱいありますよ。わからぬ会社が幾つかあるんです。  最も怪しいのがエターナルフォーチュンで、これは二十万株ですよ。払込金額五億円です。一体この会社が払えるような状況なのかどうか。登記簿謄本を取り寄せてみました。新宿区西新宿八丁目十二番一号、行ってみるとマンション。先ほど矢田部さんは、電話をかけたら公認会計士が出てきたと言いましたけれども、マンションで、それで代表取締役が飯田操、杉並区永福四丁目二十番九号です。我々はこの飯田操さんに確かめてみました。まず、事務所は志賀公認会計事務所、同じ一室です。その奥さんに聞いてみても、そんな会社は知らないと言う。事務所でも知らぬと。それで記載されている飯田操という人物に聞いたが、この飯田操さん、代表取締役が全くそんなこと知らぬと言うんだ、エターナルフォーチュンというのは。幽霊会社ですよ、代表取締役として届けられている人物が知らないと言うんだから。置かれている事務所も住んでいる人も知らないと言う。幽霊会社でしょう。  そうすると、この二十万株は怪しいですよ、二十万株。江副周辺ですよ、これは。二十万株、第三者割り当てという形でこれが六十一年九月に流れていったかも知れぬ。だから竹下さんも安心して、青木秘書に飯田操からだといって聞かされているかも知れぬ、江副じゃないと。だれからかわからぬですよ、この二十万株がどこからどう流れていったか。大もとは江副会長という疑惑が強いんですよ。青木秘書からあなたは江副というのじゃない名前を聞いていて、ああ特別利害関係人じゃないなと安心したことを繰り返しているけれども、実際にはこのエターナルフォーチュンという幽霊会社二十万株、これが行っているのかもしれませんよ。  だから、どうしても具体的な名前を首相が言わなきゃいかぬですよ。これを言うことがこの問題の手がかりを明らかにしますよ。これおもしろいことになってきたですよ、竹下首相がかぎを握っているんだから。あなたが首相をやめて責任をとるか、それとも首相としてこれだけ国民が疑惑を持っている、ロッキード五億円の十倍ですよ、全体で五十億なんだ。江副会長は二百八十万株売って百五十億もうけて税金一銭も払ってないんだから。その手がかりをあなたが、第三者に迷惑がかかると。迷惑がかかるのは国民ですよ。さあ、言ってください。別の論点から私は追及しました。
  273. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 何回おっしゃいましても、私と元秘書の信頼関係の中で、私の調査をしたものにおいてそうした違法性はない、道義的、社会的責任は、いつも申し上げておりますが、そういうことを確認しておるということを申し上げることが一番正直だろうと思います。
  274. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だめだ、これは進めないです、これじゃ。これじゃ進まない。
  275. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 上田君、立って発言をしてください。
  276. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 委員長も余り大きな声を出さないで。  これでは委員長、一番問題が大事なところへ来たんだから、エターナルフォーチュンも調べなければいかぬ。大蔵省、調べてください。私は、竹下さんがあんないいかげんな答弁をしている以上、この問題は追及できない。
  277. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) 今御指摘の具体的な事実については、私ども存じ上げません。と同時に、六十年四月でございますかの第三者割り当てにつきましては、どうも払い込みはきちんと行われているようでございまして、特段その点について問題となるようなことはないように感じております。  一方、今の御指摘の問題につきましては、これは証券業協会自主ルール関連する問題でございまして、証券業協会一定の基準に従いまして特別利害関係人等という範囲を定めておるわけでございまして、その範囲で必要な調査を行って、そういう事実はなかったと。特別利害関係人等からの証券業協会のルールに触れるような取引はなかったという報告をいただいているわけでございます。  事柄の性格が、直接証券取引法に抵触するようなおそれがある場合は別といたしまして、個々の相対的な取引につきまして直接行政調査を行うということは、必ずしも私は適切なことではないというふうに考えております。
  278. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だめです、これは。
  279. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記をとめてください。    〔午後四時十二分速記中止〕    〔午後四時四十七分速記開始〕
  280. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 速記を起こして。  理事会協議の結果、上田君の残余の質疑は後に譲ることといたします。     ─────────────
  281. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、抜山映子君の質疑を行います。抜山映子君。(拍手)
  282. 抜山映子

    抜山映子君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、まず、税制改革につきまして総論的な質問をいたしたいと思います。  竹下総理は、大型間接税の七つの懸念を言われました。これは防御の態勢として大変巧妙なやり方で、あたかも消費税はこの七つの懸念を解消したものであるかのような錯覚を国民に与えておると思うのでございます。しかし、これを点検いたしますとほとんど解消されていない、このように思うのでございます。  そこで、まず最初に、逆進的な税の体系になる、中堅層の不公平感を増す、これが第二点、所得税のない人にも負担増になる、この三つが一番私は大きな問題点であると思うのでございます。この三つの懸念は解消されていないと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  283. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いわゆる大型という呼称によりまして国民一般に懸念を生んでおる、そこで六つの懸念というのを一度申し上げてみたわけでございます。最近、転嫁の問題を加えて七つの懸念と、こういうふうに申しておりますが、今、抜山委員の御指摘なさいました三つの懸念というのは、最終消費者が持つ典型的な懸念の三つであろうというふうに思うわけでございます。  逆進性があるではないか、こういうことでございます。本来持つ間接税というのは、これは累進性、逆進性の言葉からいえば当然逆進性があるということは、これは事実であらうと思うわけであります。これは現在でも、どんな高所得の方がたばこをお吸いになりましょうとも、どんな貧しい方がお吸いになりましょうとも、値段は一緒であるという意味の単純な逆進性というものがあるわけであります。したがって、そういう逆進性というものからきて、いわば税金を納めない者はどうなるんだ、そして非常に少なく納める人はどうなるんだ、それから中堅者はどうなるんだということがよく言われるわけであります。  まず、今まで間接税は納めていらっしゃいましても所得税を納めていらっしゃらない人、これはございます、確かに。これらの方々につきましては、やっぱり議論のうちでわかっていただくような努力をしなきゃならぬということからいたしまして、いわば税だけでもってこれを判断することなく、弱者に対するいわば歳出面での対応ということから、例えて申しますならば、生活保護基準の問題でございますとか、在宅福祉の問題でございますとか、歳出の面で税制の面と別な角度からこれに対応するということが一つ考えられるわけであります。  それから、独身貴族とか熟年こじきとかいろんな言葉がございますけれども、税の全体の体系からいいますと、比較的まだ被扶養者などのない間、ある程度納めて中堅になって、そうしてもろもろの控除が効いて、お互い老後になって今度は完全な消費者になってしまうというライフサイクルからすると、課税最低限の問題はいろいろ議論がございますけれども、我が国の場合は、世界で一番高い課税最低限であるというようなところからいたしまして、そして税率そのものを単純化いたしまして、ある所得の段階は同じ税率でもって納税をするということから、税制上の問題の中で対応できるという問題があるわけであります。消費税分をカバーするになお補うところの所得税減税等での対応の問題であります。  それから三番目の中堅の問題でございますが、これは例えて申しますと、ちょうど教育費の余計かかるようなお子さんたちを抱えておる中堅層ということを、我が国は、給与所得からいいますとかなり先進国の中でも高い所得でございますけれども、そういう中堅層の人が、言ってみれば、税率からいってもまた控除の問題等からいっても非常に重税感が多いではないか、こういう問題につきましてよく議論された教育減税というのがございました。耳ざわりのいい言葉でございます。私と多少世代が違いますが、私ども明治、大正はどうしても時に教育減税ということは非常にわかりやすい言葉でございますけれども、学校へ行かないで働いている人が、今でも九十四万ぐらいになりますと所得税、わずかでも納められるわけでございますから、自分よりできの悪い子供さんの親御さんが減税を受けられるというある種の矛盾ということをいつも感じてまいりました。したがって、今度の場合、十六歳から二十二歳の方々が被扶養者としていらっしゃるとき割り増し控除と、食い盛り控除とでも申しましょうか、育ち盛り控除とでも申しましょうか、そういう中で教育等の点についても対応ができるような仕組み、こういうようなことをこれから国会の議論を通じましたりして国民の皆様方と議論する中で解消していただける、あるいは中和していただける問題ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  284. 抜山映子

    抜山映子君 所得税のない人はほとんど年金生活者が多いわけでございます。総理はただいま、歳出の面で考慮すると言われましたが、年金の方はどうなるんですか。
  285. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) あるいは詳しくは年金問題というのは担当大臣からお答えすべきかとも思いますが、各党の年金の専門家の方がお寄りになりまして、いわゆる基礎年金を含めた年金改正というのを、ちょっと忘れましたが、数年前にやっったことがございます。そして、年金につきましても、いわゆる物価スライド条項でございましたか、そういうことが効いてきておるわけでございます。しかし、将来にわたって考えますときには、やはり年金の一元化問題、昭和七十年までに間に合わすということを言っておるわけでございますが、それに向かっての緻密な議論を積み重ねていって、負担と給付というもののバランスからいかにあるべきかということを、将来のビジョンとしてはなお論議を詰めていくべき問題であるというふうに考えております。
  286. 抜山映子

    抜山映子君 はっきりわからなかったんですけれども、年金はふえる傾向にはないわけですね、むしろ厳しくなるんじゃないんですか。
  287. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 年金に対します影響の御指摘でございますが、この問題につきましては、総理からも、真に手を差し伸べる必要のある方々に対しては手を差し伸べる、きめ細かく対処するという大方針があるわけでございまして、どのような現実に影響があるか、その結果を見きわめまして、審議会等の意見を聞きながら適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  288. 抜山映子

    抜山映子君 適切な対処ということでございましたので、これは適切に対処してレベルダウンをすることもある、こういうことをあいまいに言われたんだろうと思います。  ところで、総理は、教育費が中堅層に非常に高くかかる、それについては十六歳から二十二歳の者について特別の控除を今回認めたというようなことで胸を張っておられるわけでございますけれども、ちょっとこの表をごらんいただきたいのでございます。(図表掲示)  これは連合の白書の資料でございまして、特別な高額所得者を除きまして一般の勤労者の家計についての統計でございます。教育費の実収入に占める割合が、七五年から八六年の間を比較いたしますと、四十から四十四歳では一・八%から三・八%へと二倍にもなっておるわけでございますね。もちろん三十五から三十九の方もかなりアップしている。この教育費がどれだけ上がっているかと申しますと、これは一般の教育費でいきますと、教育費の負担は、この間平均三・六倍上昇しておるんです。特に補習の教育費の方は五・三倍も上昇している。先ほど申し上げましたように、四十から四十四と申しますと、まだ子供が十六から二十二になっていない方がかなりあるわけですね。ですから、総理がおっしゃるように、教育費の減税を受けられる方は十六からですから、そんなに完全に網羅されていない、こういうことが言えると思うのでございます。いかがですか。
  289. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) したがって、いわゆる教育費減税というのが毎年毎年の国会の際に議論に上がりまして、したがってそれの埋め合わせと申しますか、それは主として歳出の方でやりましょう、こういうことになって今日に至っておるわけでございます。それが、特定年齢層における割り増し控除というのが教育費に対する税制上での措置というものにたまたまそのころ合う、こういうことは言えると思うわけでありますが、さらに今、抜山委員おっしゃいました、まだ小学校へ行っているとかいうようなところに対しましては、そのときの所得所得、相対的なものでございますけれども、いわば課税最低限は上がってまいりますが、それからする次の段階に至るまでの、いわば税率の刻みが一定のところでずっと長らく続いていくというのが具体的にはそこのところに対応する部分になるのではなかろうかな、こういうふうに今、資料を持たないでの非常に大ざっぱな話をいたしましたが、そんな感じでお答えをいたしたわけでございます。
  290. 抜山映子

    抜山映子君 実は、教育費というのは、補習関係の教育費というものが十六歳以下で随分かかるんですね。ですから、政府のこの手当てでは不十分であることはもうはっきり言えると思うのでございます。  ところで、政府は、消費税の効果が家計にどう及ぶか、収入の幾らの人にはどういう影響を及ぼすか、そういう試算をなさいました。そのデータのベースをちょうだいいたしましたところ、これは総務庁統計局の家計調査、昭和六十一年度のデータをベースにされておられるということがわかったのでございます。  このベースでは、夫婦二人、そして子供が二人、妻は専業主婦である、こういう方の資料をベースとして計算しておるわけでございまして、共働きとか単身者とかそういうものを考えないで一つの試算をやっている。非常に恣意的であり、しかも国民の誤解を招く、このように思うのですが、いかがでしょうか。
  291. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 世帯の形態にはいろいろあるわけでございますが、その中でのもろもろのタイプをとりまして、モデル的な形を設定いたしましてお示しをしているわけでございます。また私ども、お一人で働いておられる標準世帯の場合、それから夫婦共働きの御家庭の場合、それぞれにつきましてもモデルを設定してお示しをいたしておるところでございます。
  292. 抜山映子

    抜山映子君 はっきりさせたいと思いますが、この総務庁の統計をベースに試算したものではないんですか。
  293. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 収入額に応じますところの消費支出額、こうしたものは総務庁の統計をとってございます。ただ、どのような家庭のモデルを設定いたしましてお示しをするか、それは必ずしもそこにございます標準世帯でございますとか、そういったものとは限ってございませんで、今回特に、先ほど総理からも申し述べられました中堅所得者の方々につきまして重点的に負担の軽減合理化を図っておる、そうした今回の改正の焦点に合わせてモデルをつくってお示ししているという点はございますので、すべてにつきまして総務庁の統計に合わせましてお示しをしているということではございません。しかし、基礎的なデータ等につきましては、そうした統計を活用させていただいているところでございます。
  294. 抜山映子

    抜山映子君 ところで、おわかりのように、共働きの家庭については余り減税にならないというような趣旨の御発言だったと思います。事実そのとおりでございまして、これは税制改革の家計負担への影響ということで、いろんな団体あるいは各党が試算をいたしております。  大蔵省の試算によりますと、二百七十四万円以下は増税であると、こういうように言っております。静岡大学の試算によりますと、八百五十五万円以下は増税になる、消費団体では六百五十万円以下は増税になる、このような計算が出ておるわけでございます。静岡大学の試算は、政府のデータよりもいろいろ細かいデータで、単身者ではどうか、共働きではどうかということで、いろいろモデルを想定して細かく計算したもので、こちらの方が親切で信頼性がある、このように思うわけでございますが、総理、いかがですか。
  295. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 私どもも共働きの世帯につきましてもお示しをしているところでございます。問題は、共働き世帯におきますところの主たる所得者ともう一人の方の所得者との収入の配分と申しますか、ウエートづけでございます。私ども、総務庁の消費実態調査等を基礎にいたしまして三・三倍ぐらいの開きがある、そういうふうな現在の全国消費実態調査を踏まえて分析をさせていただいております。  お示しの、例えば静岡大学グループでございますと、御夫婦の収入の比率は二対一ということでございます。いろいろな前提のとり方はあり得ると思いますけれども、私ども把握いたしておりますそうした実績からいたしますと、平均的な割合の三・三でございましても、やはり少し開きが少な過ぎる。実際の、主として共稼ぎをしておられる年齢と申しますか、収入階層ですともっと開きが大きいわけでございますが、私ども平均的なものをとりまして三・三対一ということでお示しをしておる。  したがいまして、私どものものが実態を離れているということはない、私どもの方が実態をむしろお示しをしているのではないかと思っているところでございます。
  296. 抜山映子

    抜山映子君 まあそれは水かけ論になりますから、私はあえて申し上げませんけれども、実は共働きの家庭は、不況産業の御家庭では御主人の収入が大変に減りましたので、むしろ苦しい御家庭が共働きになっているという実情があるわけでございます。  そして、消費税が導入されますと、この共働きの家庭が増税になる、中堅者を含めて増税になると。そして年金受給者、これは所得の低い人になると思いますが、年金受給者のほとんどがこれは増税になると。そして政府の試算でも、二百七十四万円以下の者は増税になると。これは大変に私は重大なことと思うのですが、総理の受けとめ方はいかがでしょうか。
  297. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 数字の点につきまして、前もって若干の御説明を、お答えをさせていただければと思うわけでございます。  今のお話のように、共働きというのはいろいろな動機がおありだと思われますけれども、実態からいたしますと、夫婦共働きというのはむしろ四十歳から五十歳代、このあたりに非常に比率は高いようでございます。それからまた平均的に見ますと、例えば共働き世帯と片働き世帯との間におきますところの消費性向等を見ますと、片働きの世帯の方がむしろ消費性向は高い、共働きの方が消費性向は低いというような実情もございますので、共働きの動機、それから、それによりますところの家計への影響というのは、いろいろな面から議論できるのではないかという感じがするわけでございます。  また、日本の所得税法は個人単位課税でございますので、同じ収入を得られるという場合におきましても、共働きの方が、合わせますと世帯としては収入が同じでも、所得税、住民税負担はむしろ八掛けぐらいの割合で低い負担になっているという実態もあるということも考えてみる価値があるのではないかと思っておるところでございます。
  298. 抜山映子

    抜山映子君 片働きが消費性向が高いというのは、片働きの方が収入の多い家庭が多いからではないかと思います。  そういうわけで、総括しますと、総理が示された最初の三つの懸念、こういうものは全く解消されていないじゃないか、こういうように結論せざるを得ないわけでございます。  そこで、今度は四番目のことでございますが、税率の引き上げが安易に行われるという懸念でございますが、この懸念は解消されたのでございましょうか、総理、お願いします。
  299. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) やっぱり消費者の立場に立った懸念の一つの、税率というものは一度入れたならば安易に上げられるじゃないかという懸念につきましては、当時からお話しておりますのは、最終的には国民のいわゆる負担と給付の問題になるわけでございますけれども抜山委員が懸念の中で考えていらっしゃるのは、ヨーロッパの付加価値税というものがだんだん上がってきたではないか、確かにその上がった段階では必ず、それが上がると同時に所得税の減税が行われながら今日の推移をたどっておるわけでございますので、そのことを否定するものでは私もございませんが、チェック機関というものに国会というものがあります。そうして、これまで今度の三%でお願いするということに長い議論を重ねたものが、私ども国会でこれを直ちに上げようと思いますというようなことでお許しをいただけるようなものではなかろうというふうにいつも考えておるところでございます。  ただ、未来永劫に、いわゆる消費税率というのは絶対に上げるべきものではないという議論をしますと、今度は後世の指導者の方の手足を縛ってはなりませんが、少なくとも今日、国会でこれだけの議論をしていただいてお決めいただく税制でございますから、租税法定主義の建前の大チェック機関は国会が果たしていただけるものだという考え方でございますから、この懸念についても私は中和していくべき性格のものではなかろうか。きょうも恐らく国民の皆様方、このお話を聞きながら、なるほどなとお感じになっている方もいらっしゃるだろうというふうに思っております。
  300. 抜山映子

    抜山映子君 ただいま総理は、国会があるから大丈夫だ、このように言われましたけれども、租税法定主義というのは実は憲法にちゃんと明記してございまして、これは当たり前なことをおっしゃったにすぎないのでございます。ですから、この租税法定主義がある以上これは当たり前のことで、何にもこれは安心だという結論にはならないと思います。いかがですか。
  301. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まず、租税法定主義が厳然としてあるということは、お互い国会に議席を持つ者として、一つの責任と誇りとを持っておっていいんじゃないかという大原則を私自身がいつもみずからの心に言い聞かしておるわけでございます。そうして、今度のこの三%の原案をつくるまでの間もろもろの議論をして、今たどり着いたこの御審議を賜ろうとしておる原案でございますので、それを軽々に私どもが変えるというような考えは全く持っていないということをまず私自身の考え方として申し上げておきます。
  302. 抜山映子

    抜山映子君 もろもろの議論があって、当初は五%という意見が出ていたのではありませんか。
  303. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 審議の過程でいろいろな議論があったことは事実でございます。
  304. 抜山映子

    抜山映子君 財政再建元年と銘打った五十六年度、この租税負担率が二三・〇%でございます。そして六十二年度は租税負担率が二五・八%になっている。そして昭和八十五年、これは政府の試算でございますが、租税負担率が二八・一%から二八・九%程度になろう、こういうように言われております。そうしますと、このために消費税を三%から上げることになるんじゃないんですか。
  305. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま仰せられました数字は、前国会の予算委員会におきまして御要求がありまして、政策としてではなく、このまま機械的に投影をしたときにどうなるかということの数字でございますので、政策意図を表明したものではございません。  私が申し上げたいと存じますのは、経済運営というものをどういうふうにやっていくかということは一つ大切な点であると考えております。もちろん歳出を削減していくということもどうしても大事なことでございますけれども、経済運営いかんによりまして、いわゆる租税の弾性値、これは増税という意味でなく、制度を変えるという意味でなく、弾性値とか自然増とかいろんなのがございますことは御承知のとおりでございますが、そのような経済成長全体がうまくいくことによって、自然増収なり弾性値が高くなるということは当然あることでございまして、したがいまして、将来の考え方といたしまして、歳出を削減するとともに、そのような経済運営をやることによって、今お話しの税率を上げなきゃならぬというような事態は回避しなければならないと考えております。
  306. 抜山映子

    抜山映子君 国会がチェックすると言われましたけれども、今、自民党が多数を占めている国会では、これは安易に上げることができるわけでございます。それに過去の例を見ましても、たばこの税金あるいは石油税にいたしましても、これは安易に上がっていったじゃありませんか。この点総理、いかがですか。
  307. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 昭和二十一年以来のこの傾向をずっと見てみますと、まあもっとも所得税を納める層の少ない時代がありました。一番間接税比率の大きかったのが、私が初めて国会に議席を持ちました昭和三十三年が五一%であったと思います。それから酒、たばこで当時やっぱり三分の一の税収は確保すべきだ、こういう主財源であった時代がございますが、経済成長の中でそれがだんだん比率としては少なくなってきたわけでございますので、その都度のいわゆる負担と給付の関係で上がってきたことはございますけれども、総体的に見ました場合、これらはかつての国税全体に占める比率から見ればうんと下がってきておるというのが現状でございますので、すべて固定して考えるわけにはいかない問題ではなかろうか。  ちょうど昭和五十九年の税制改正、減税のときでございましたが、最低税率を一一%にしましたら、今の委員の議論のように、だれも減税になるような案をつくってみると言われて、随分議論した結果一〇・五というのができて、それが今日残っておるという経過がございますので、これらは国会の議論の中で出てきた一〇・五だったんだなということを思いますから、ただ多数党が提案したものは全部そのまま通っていくというのじゃ議会制民主主義じゃございませんし、選挙で勝った方が四年間国会なしにやれと言うのと同じことになりますので、そんな考えは、議会制民主主義のもとに選ばれた者として持つべきでもございませんし、持ったこともございません。
  308. 抜山映子

    抜山映子君 要するに、税率の引き上げが一たん制度を導入すると容易になるという点はこれはもう間違いのないことであると思います。  ところで、次に、納税事務の負担が大きくなるという問題ですが、これはお考えになったんでしょう、簡易な方式をつくられました。要するにみなし方式をつくったわけでございます。ところが、これと相呼応して、反対に転嫁が難しいという問題が非常に出てきたわけですね。転嫁が難しいというのは総理の七つ目の懸念でございます。この点はいかがでしょうか。
  309. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 先ほどおっしゃった懸念が、言ってみれば消費者の持つ懸念であると。それで今おっしゃったのは、いろいろございますけれども、いわば消費税というものは当然のこととして価格に転嫁さるべきものであるから、納税者は、それぞれの商売人さんであったり事業者であるわけでございますが、いわゆる納税者の持つ懸念というのが、手続が面倒じゃないかという問題と、今転嫁ができるかなと、こういう問題がやっぱり一番の懸念ではないかというふうに思うわけでございます。  前者については、今おっしゃいました簡易税制、これとて議論がありますし、正確にやるならばやはりインボイス方式がいいじゃないかというような議論も得ながらこのようにしたわけでございますけれども、この価格転嫁の問題につきましては、消費税の仕組みの周知を図りましたり、あるいは法令面での手当てを含めて必要な施策を講じて、その環境づくりに努力していかなきゃならぬ。  例示をいたしますならば、消費者、事業者等に対する広範かつきめ細かいPRを行う。それから各業界に対する円滑かつ適正な転嫁のための指導を行う。あるいは一定の要件のもとに消費税の転嫁の方法等の決定に係るいわゆる共同行為でございます、これは中小企業に限るわけでございますけれども。独禁法の例外規定の暫定措置でございましたか、そういうことを行っていくというようなことも考えなきゃなりません。  それと同時に、転嫁ができるかなという側の裏腹として、便乗値上げとか不当な買いたたきとかがあるんじゃないかとかいう消費者側から持つ懸念もまたあるわけでございますが、そうしたことに対しては、ガイドラインを定めますとかあるいは監視体制を強化するとかいうようなことで対応していこうと。非常に大ざっぱな話をいたしましたが、そういう考え方でございます。    〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕
  310. 抜山映子

    抜山映子君 私が、特に中小企業の方からいろいろお話を聞きますと、例えば、片方で消費税の分を収益にめり込ませて安くやる、そうすると負けずにやらなければうちの企業はつぶれてしまう、そういう競争の中で転嫁はできない、これは死活の問題であるから、ぜひこの消費税というのは考えてほしい、こういうことを言われておるわけでございます。このあたりの、熾烈な競争の中で転嫁が行われなくなる、特に中小の企業ではそういう意見が強いんですが、この点総理はどのようにお考えでしょうか。
  311. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この点は、おっしゃいますとおり、私どもが一番大切に考えなければならない点でございます。したがいまして、御提案いたしました中で、いろいろ独禁法の関連であるとかいうようなことにつきまして、特に中小企業の方には特例を設けることを考えておりますことは御承知のとおりでございます。  要するに、業界、業態にもよることでございますが、今度は消費税というものが設けられることによって、一遍限り、あらゆるところといいますか、ほとんど例外なくそれだけの水準が上がるということをそのとおり考えていただけるかどうかということにかかるのだと私は思います。非常に強力なプライスリーダーのような人がいまして、おれはもう全部のみ込む、こう言ってしまいますと、周りの人は競争関係上自分ものみ込まなければならぬということになりかねないというのが御心配の趣旨でありまして、それはまさにそうでございますが、しかし、みんな消費税はうちはいただきませんというような運動をいたしますと、これは景表法違反でございますから、そういうことはないだろう。  でございますから、お願いをし、御説得をして、これは結局、そう言えばお互いに自分が余計な負担をすることになるわけでございますので、そういうようなことをどうぞプライスリーダーの方あるいはそのような業界でなさっていただかないようにということは、私ども行政上も十分努力をいたしたいと考えておりますが、制度的には先ほど申しましたようなことでそれを担保いたしたいと考えておるわけでございます。
  312. 抜山映子

    抜山映子君 悲しいかな、経済の競争の原理はそういうようにはいかないんですね。あそこの店が安く売っていると言えばこっちも頑張って安く売ろう、こういうことになるわけで、特に一般の商店街では、三ちゃんで営業しているそういうようなところでは、とてもじゃないけれども消費者に転嫁したのではやっていけない、こういう声が非常に強いことを特に申し上げたいと思います。  さて、最後に残った物価押し上げ、インフレになる、こういう点はどのように解消していただいておるんでしょうか。
  313. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この点は、まず片方で物品税等々かなり多くのものが今度は吸収されるということもございまして、経済企画庁によりますと、CPIに及ぼす影響は一・一であるという試算が出ております。これは今おっしゃいましたこととちょうど裏腹になるわけでございますので、消費者に対しましては、消費税の施行によって、一遍限りでございますが、そういう影響があることをわかっていただきたい。  それはしかし、間接税のかなりのものが、八つでございますか、吸収されるということによって、かなりの程度に緩和されると同時に、また、先ほどお話もございましたように、所得税等々、住民税等々の減税が他方でございますので、総合的にはプラスの効果があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  314. 抜山映子

    抜山映子君 実は、大企業の方は比較的に転嫁が容易である、場合によっては過剰転嫁もあるかもしれません。そういう意味でインフレの傾向が出てくるかもしれない。しかし、一般の弱体な中小では転嫁が困難である。こういうことで、決して矛盾して出てくるというわけではないのでございます。  こういうわけで、総理の言われました七つの懸念についてはほとんど解消されていない、こういうように断言できると思うのでございます。  ところで、私、一つ大変懸念していることがございまして、これは朝日新聞の六十三年の五月二日に出た「税制改革の底流」、この中で出てきた記事でございます。これは竹下総理がおっしゃったことでございます。「戦後税制による極端な平等化で上と下がくっつき過ぎたものだから、これを引き離すんだ」と、このように言われております。  私は、日本ほど所得の分配が平等な国はない、中堅層が非常に、一億総中流化と言われるような、このようなことが今の日本の繁栄、活性化を招いたんだと、このように考えておるわけでございますが、総理のお考えは、上と下を引き離す、こういうお考えなんでしょうか。
  315. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私は統計が好きでございまして、昭和五年からの統計をずっととっておりますが、現在、特に戦後、今おっしゃったような傾向になっておって、さらに努力と報酬の一致という活力が欲しいといたしましても、今おっしゃったような上と下を引き離すといったような考えを持ったこともなければ、話をしたこともございません。
  316. 抜山映子

    抜山映子君 これは朝日に出ておることですから、これが間違っておるとすればおかしなことでございますね。これ以上は申し上げないことにいたしましょう。  日本の社会が所得分配の上で非常に平等である、それが日本の活性化であるというこの私の気持ち、意見ですね、これについてはどうお考えでしょうか。
  317. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) それは恐らく万人そう思っているんじゃないかと思います。
  318. 抜山映子

    抜山映子君 そうだといたしますと、今度の消費税の導入は結果的にそうはならない。静岡大の試算にしても、消費団体の試算にしても、各党の試算にしても、そういう結果が出ておるわけでございます。この点についてもう一度御見解をはっきりさせてください。
  319. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 消費税は、いわゆる所得、資産、消費の間にバランスのとれた税制をつくろう、こういうことでございます。社会一般の歳出を広く薄く賄うという考え方を入れていこう、こういうことでございますから、今のような第何番目の懸念と申しますか、抜山懸念とでも申しましょうか、それは御懸念いただかなくて結構じゃないかなというふうに思っております。  そもそもが転嫁論というのは、本当はヨーロッパで議論しますと、それが前提とされた税制でございますから、転嫁論というのは行われたことがないという議論を聞きまして、不思議だなと思ってその後いろんな書物を読んでおりますけれども、その点についてはいわば習熟、なれることによって、私はそれが当然のことであって、だれしもその問題について懸念を持つ者はなくなっていくものだなというふうに感じております。
  320. 抜山映子

    抜山映子君 ヨーロッパではインボイスでやりますから、これは転嫁が容易なんです。ところが、総理の今度のお考えでは簡易納税方式をとられましたから転嫁が難しくなっているんです。いかがですか。
  321. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それはきちんと理論だけでお話しになりましたら、やはりそういう批判は私はあると思いますが、実は、御記憶のように、前回御提案をいたしましたときに税額票というようなものを考えまして、幾らかインボイスに似たような、しかし日本の風土に合うようなというものを考えていたそうといたしましたが、非課税のところで非常に難しい問題を起こしまして、どうも付加価値とかインボイスとかいうものが我が国の風土、物の考え方になれないということを前回勉強いたしましたものですから、多少理論的な精緻さを欠きましても簡易な方法がいいのではないかということで、こうさせていただいたわけでございます。
  322. 抜山映子

    抜山映子君 政府案の税制改革案は、不公平税制是正の視点が非常に欠けている。政府税調からかなり、みなし法人の問題にしても、赤字法人の問題にしても、後退しておるわけです。この不公平税制の是正をきちっとしていただかなければいけないと思いますが、この点はどのように措置なさるおつもりでしょうか。
  323. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 政府案におきましても、株式のキャピタルゲインでございますとか、あるいは法人の土地購入の際の利子の扱いでありますとか、またみなし法人につきましては、先年改めさしていただきましていろいろ努力をいたしておりますが、しかしその後、各党各界からどうも不公平税制についての切り込みが足りないという御批判が出ております。また、政府税調でも、実はそういう感じを持っておられる点もあったわけでございますので、片っ方で不公平税制と言えば、他方でそれは租税特別措置法等々の政策的考慮の結果生まれておるものでございますので、それにはそれなりのまた説明があるということから、御提案いたしましたものがなお微温であるという御批判がございます。  これにつきましては、国会におかれていろいろに御議論の場が出ましたら、私どもといたしましては、もとより国会の御意思に沿ってまいらなければならないと考えておるところでございます。    〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕
  324. 抜山映子

    抜山映子君 よくクロヨンと言われるのですけれども、サラリーマンの必要経費の控除、これは数年前に行われましたけれども、非常に限定されておりまして、通勤費だとか職務に必要な資格の取得だとか、そういうものに限られております。しかし、実際には例えば現場で働く人は、作業服にしても手袋にしても自分で買うわけですね。そういうものは当然必要経費にならなくちゃいけない。そういうものをこれから認めていただかなくてはいけないと思いますが、いかがでしょうか。
  325. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは、いわゆる給与所得控除というものの中にかなりそういう部分が入っておるというふうに私ども考えておるわけでございますが、昨年お決めいただきましたいわゆる特定の控除でございますが、これは税調なんかでは、最初かなり広く考えてみてはという御意見もあったようなんでございますけれども、実は現実の問題としますと、納税者から、あれはどうだこれはどうだという大変にいろんな問題が出てくるであろう、それは行政としてはちょっと処理できないではないかというようなこともございまして、ああいうことに限定をさせていただいた経緯がございまして、考え方としては、特定のものについては、やはりそれは納税者の御意見を伺って認めていかなきゃならぬということに考え方としてはなったわけでございます。
  326. 抜山映子

    抜山映子君 所得の捕捉をきちっとしていただきたい、これがもう圧倒的な国民の声でございます。これは所得と所得にかかわる所得税という入り口だけの問題じゃございませんで、実は福祉とか文教費関係の支出、例えば保育費、そういうようなところも所得によって高低が決まっておるわけです。所得の捕捉をきちっとしていただきたい、この点についてどう処置していただけますか。
  327. 水野勝

    政府委員(水野勝君) 納税環境の整備という御指摘であろうかと思うわけでございます。  この点につきましては、昭和五十九年に中小企業者の方々にお願いして、記帳制度を成立し実施させていただいているところでございますし、長年いろいろ御指摘のございました総収入金額報告書といった制度も制度化させていただいているところでございます。また今般の、ことしの改正におきましても、この総収入金額報告書の限度額を引き下げて適用範囲を広げさせていただきましたとか、加算税の税率の引き上げもまたお願いをいたしてございます。制度的にもろもろの御指摘のある点は工夫して実施させていただいてきているところでございます。  またもう一つ、この点は税の執行の問題でもあろうかと思いますけれども、この点につきましては国税庁挙げて努力をいたしておるところでございまして、いろいろ御指摘がございますが、それほど大きく捕捉が落ちているということでもないだろうと思います。しかし、これは一〇〇%確実なものになっているということを申し上げるつもりはございません。制度面、執行面含めまして、今後とも捕捉の点につきましては十分努力をいたしてまいりたいと考えているところでございます。
  328. 抜山映子

    抜山映子君 転嫁カルテルを認めるという方針のようでございますが、これは大変危険なことだと思うんですね。過剰転嫁が行われることになるかもしれない、またこういうカルテルは一たん定着しますともうなかなか解けない、こういう問題があります。いかがでしょう。
  329. 梅澤節男

    政府委員(梅澤節男君) お答えを申し上げます。  今回、政府から提案されております独占禁止法の適用につきまして、消費税の転嫁に当たりまして、それが適正かつ円滑に行われるという観点から実は特別の措置が講じられておるわけでございます。先ほどから御議論がございましたように、この転嫁カルテルと言われますものは、今回の特別措置の場合は、価格形成力の弱い中小事業者あるいはその組合に限定をいたしまして、しかもその期間を両三年に限定しておるということがございます。  それから、もとより事業者の立場からいたしますと、消費税相当分が円滑に転嫁できるのかどうかという不安がございます。一方、先ほどからも御議論がございますように、消費者の立場からいいますと、それが便乗値上げにならないかという問題がございまして、今回の政府から提案されております特別措置の内容は、実はこの二つの要請を二つながらに達成するということを目的としておるというふうに私どもは承知をいたしておるわけでございます。  そこで、問題でございますが、そういった観点でこの制度におきましては、中小企業に限定されました転嫁カルテルもいわゆる野方図に行われるということではございませんで、必ず事前に公正取引委員会に届け出をするということが要件になっております。なおかつ、この共同行為が便乗値上げ等の行為と認定されます場合は、この特別措置は適用されませんで、独占禁止法のカルテル違反に問われるということになっておるわけでございます。したがいまして、まず便乗値上げの予防をするという観点からいいますれば、今言いましたように、届け出の段階で恐らく事前の相談とか御指導を申し上げられるということはございますし、届け出がございますと、それによってその共同行為が適正に行われておるかトレースをできるということになるということでございます。  この種の政策カルテル、実は現在でも中小企業関係法を中心にいたしまして特別の法律で幾つかのカルテルがございます。政策カルテルにつきましては、ただいま委員が御指摘になりましたように、これを漫然と認めますと、カルテル体質を温存させ、市場競争原理に非常にマイナスの影響を与えるということは、これは競争政策上の通説になっておりまして、この点につきましては、今の委員の御指摘を私ども否定する気持ちはもちろんございませんし、むしろそういう懸念が今後生じないように、この期間といえどもこの共同行為が適正に行われますと同時に、この期間が終わりました後も、競争政策当局としては、ただいまおっしゃいましたような御懸念が生じないように、我々の与えられました使命と申しますか、独占禁止法を適正に運用するという行政の姿勢を堅持してまいらなければならないというふうに考えております。
  330. 抜山映子

    抜山映子君 転嫁が難しい簡易納税方式をつくったからここで転嫁カルテルを認める、これは本末転倒なんですね。転嫁は容易になるように考えなくちゃいけない、こういうように特に強調しておきたいと思います。  この消費税の中で大変いろいろ矛盾が多いのは、たくさんあるんですけれども、特に目立ちますのが消費税と石油税を併課する、これが大変奇妙なことのように思われるんですが、通産大臣の御意見を伺い、そして次に大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
  331. 田村元

    国務大臣(田村元君) 今度の消費税というのは、御承知のように、薄く広くということで非課税を原則として認めない。でありますから、定義上非課税というものを除いてはやはり課税ということになることはやむを得ないと思います。  でございますから、石油の併課ということもまたやむを得ないと考えておりますけれども、だからといって、現在石油にかかっております諸税というのは三兆円を上回っておりますから、これは大変なことでございます。さりとて、これを全部やめて消費税一本にするということは、政治上あるいは行政上あるいは社会上なかなか簡単なことではないということもございますので、私どもとしては、原油関税の取り扱い等を初めといたしまして、総合的な検討をして、負担が重くならないように今日検討しておるところでございます。
  332. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ただいま通産大臣が大変御丁寧にお答えいただいたのでございますが、御承知のように、この石油関連の諸税がいわゆる特定財源、道路でございますとか空港でございますとか石油代替エネルギーの財源になっておるという、そういう難しい問題が一つございまして、そういうこともあり、基本的には通産大臣のおっしゃいましたような考え方で併課をさせていただいたということでございます。  結果として、抜山委員の言われますように、かなり大きな負担になりつつあるということを私ども気がついていないわけではございませんで、その辺のことを今後総合的にどのように考えていくかという問題をやや後に残しておるかと存じますが、やり方としては、今、通産大臣の言われましたような考え方でやらしていただきました。
  333. 抜山映子

    抜山映子君 といいますと、ガスとか電気のように、単純併課ではなくて吸収することに向けてひとつ検討していただける、こういうように理解してよろしいですか。
  334. 田村元

    国務大臣(田村元君) この影響がこれ以上石油に実質的に及ばないように、懸命の努力を今いたしておるところでございます。
  335. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたようなこととの非常に複雑な関連がございますものですから、私どもとしても、今後どうやっていくのかということをいろいろ考えさせていただきたいと思っております。
  336. 抜山映子

    抜山映子君 大蔵大臣、大変税の御専門ですから申し上げますが、この消費税と石油に関する税は、タックス・オン・タックスといって非常に悪いタイプの税制になっているんですね。この点よく御認識でしょうが、いかがですか。
  337. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) それは気がついておりまして、同じことを申し上げて申しわけないのでございますけれども、ただ、いろんな意味で特定財源になって、かなり大きなものになってきておるという現実がございますものですから、それとの関連をいろいろ今後とも苦慮していかなきゃならないという、その点はひとつほかにない問題であるということを御理解いただきたいと思います。
  338. 抜山映子

    抜山映子君 実は石油産業、まあスタンド経営ですね。こういうのはほとんど一つしか持っていないで、しかも三ちゃん経営でやっているということで非常に脆弱な経済基盤の方が多いわけです。この点をぜひ考慮して、不公平な税制にならないように検討していただきたいと思いますが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  339. 田村元

    国務大臣(田村元君) このガソリンスタンドの問題等につきましては、おっしゃることも当然のことでございますが、同時に営業のあり方という別の角度からもいろいろと検討していかなきゃならぬ点が多々ございます。今のような、ややともすれば秩序を失うというような営業の姿であっては困るわけでございます。  そういう点も考慮いたしまして、私ども実は前前から取り組んではおりますけれども、特に今度の機会を一つの大きなチャンスとして総合的な検討をしたいというふうに考えております。
  340. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 今、抜山委員の言われましたことも実際現実でございますので、大変なことだと思いながら、通産大臣もああ言ってくださいますので、そういうこともひとつお願いをしつつと考えております。
  341. 抜山映子

    抜山映子君 ところで、もうリクルートの問題にやはり触れなくてはいけないと思います。  このリクルートの問題は、渡辺さんが国民のひがみだ、このように言われたそうでございますが、私は大変憤慨を覚えるものです。そういう問題ではなくて、総理とそして重要な閣僚が特定の企業からこれだけのものを受け取った。そういうことで、政治の政策決定に当たって、あるいは許認可の許可とかそういうことに当たって、特定の企業に有利なように判断するであろうと。本来、国民の視点に立ちあるいは経済とか社会の視点から決めなくちゃいけない政策事項を、閣僚の一部重要な関係者がもらった、こういうことについて私は構造的なものを感じるわけですね、構造的な腐敗を感じる。  そこで、名前を一々申し上げるのはかえって失礼かと思いまして、私、重要な閣僚と申し上げましたが、もらっていらっしゃらない方に嫌疑が及ぶようではいけませんので、ちゃんと申し上げます。総理、宮澤大蔵大臣、それから秘書、まあ秘書と大臣は一体であるという判例もあるようでございます。それから安倍幹事長、中曽根前総理、そして渡辺さんでございますか、そういうように重要な方がおもらいになったということで、非常に構造的な腐敗を感じるわけでございます。まあ、刑事上の問題にはならなくても、政治上の責任のとり方があると思いますが、総理いかがでしょうか。
  342. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) いわゆるリクルート問題について、政治家、閣僚では私と宮澤大蔵大臣の周辺にあっていろいろな議論がなされておることは事実でございます。大蔵大臣の場合、みずから、あるいは秘書のお方がそれの譲渡を受けたという事実はございません。私だけでございます。  これにつきましては、これがよしんば経済行為そのものであったといたしましても、やはり私ども大変情報の入りやすい立場にあるわけでございますので、政治家として基本的には倫理綱領というようなものに常日ごろ徹しておれば、当然我々の周辺もそれに影響を受けるべきものであるという意味において私自身が深く反省をしておると、こういうことでございます。
  343. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私の場合も、大変うかつなことで申しわけないと思っております。  なお、これはほかの閣僚のお方に関係のあることでございませんので、念のため申し上げておきます。
  344. 抜山映子

    抜山映子君 ところで、この取引のやり方でございますけれども、ローンを受けてそして取得したと、こういうのはどう考えても公正な取引とは言えないと思うんです。いかがですか。
  345. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) ローンを受けたということにつきましては、確かに御指摘のような側面に見える要素はあろうかと思いますけれども、私どもが事情聴取いたしましたことで結果として申し上げますと、一方におきましてリクルート社は決算対策といたしまして株式を売却したわけでございまして、リクルートコスモス社の決算期は十二月三十一日でございまして、しかも株式売却を決意いたしましたのは十二月中下旬でございますので、どうしても十二月三十一日までにお金を払い込んでもらう必要があるといった観点から、当面お金の用立てが間に合わなかった方々につきましてローンをあっせんしたというふうに聞いているわけでございまして、そういった側面もあろうかと思います。
  346. 抜山映子

    抜山映子君 公正な取引であったと言えないでしょうと申し上げたんです。この点についてイエスかノーか。
  347. 角谷正彦

    政府委員角谷正彦君) それが当然に利益を得るかどうかという点にかかってくると思うわけでございますが、その点は千二百円という価格そのものが果たしてどうであったかということにかかわるわけで、これは証券行政の立場から申し上げる事柄では本来ないわけでございますけれども、その時点におきましてリクルート社は、合併予定会社の土地を時価評価する等、一定の純資産方式によりまして株価を算定しておりまして、それ自身は、株価の算定としては実務上あるいは会計上認められた方法によって対応しているというふうに考えているわけでございます。
  348. 抜山映子

    抜山映子君 正面からお答えいただけないようなので、大変残念です。  もう時間も迫りましたので、本日のところはここらあたりで終わらせていただきたいと思います。
  349. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 抜山映子君の残余の質疑は後に譲ることといたします。  次回は来る八月三十一日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十六分散会