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1988-12-24 第113回国会 参議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十二月二十四日(土曜日)    午前零時十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十六号   昭和六十三年十二月二十四日    午前零時十分開議  第一 内閣総理大臣大蔵大臣竹下登問責決議案野田哲君外一名発議)(前会の続)  第二 税制改革法案内閣提出衆議院送付)  第三 所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第四 消費税法案内閣提出衆議院送付)  第五 地方税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第六 消費譲与税法案内閣提出衆議院送付)  第七 地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一  一、自治大臣国家公安委員長梶山静六問責決議案内藤功君外一名発議)(委員会審査省略要求事件)  一、法務大臣林田悠紀夫君問責決議案千葉景子君外一名発議)(委員会審査省略要求事件)  一、日程第二より第七まで  一、税制問題等に関する調査特別委員長梶木又三君問責決議案福間知之君外一名発議)(委員会審査省略要求事件)      ─────・─────
  2. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより会議を開きます。  日程第一 内閣総理大臣大蔵大臣竹下登問責決議案野田哲君外一名発議)を前会に引き続き議題といたします。  これより内閣総理大臣大蔵大臣竹下登問責決議案採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本案賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  3. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに投票願います。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに投票願います。――直ちに投票願います。――直ちに投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに投票願います。――投票願います。――直ちに投票願います。――続いて投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに投票願います。――直ちに投票願います。――速やかに投票願います。――御投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに投票をお願いいたします。――まだ投票をなさらない諸君は速やかに御投票願います。速やかに願います。――速やかに願います。――速やかに投票願います。――速やかに投票ください。――速やかに御投票願います。――速やかに投票ください。――速やかに御投票願います。議運理事合意もありますので、投票をお早目にお願いいたします。――速やかに御投票願います。議運理事合意もありますので、投票を早くお願いいたします。――速やかに御投票を願います。議運理事合意もございますので、投票をお早めに願います。――速やかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――御投票願います。――投票をお願いいたします。――矢田部君、速やかに投票願います。――矢田部君、速やかに投票願います。――速やかに投票ください。(発言する者多し)御静粛に願います。速やかに御投票願います。(発言する者多し)御静粛に願います。速やかに投票願います。投票願います。――速やかに投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――直ちに御投票をお願いします。――上田君、速やかに投票願います。――速やかに投票ください。――速やかに投票願います。――速やかに投票ください。――速やかに投票ください。――速やかに投票願います。――直ちに投票願います。  投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  4. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票計算
  5. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百三十四票   白色票           九十八票   青色票          百三十六票  よって、内閣総理大臣大蔵大臣竹下登問責決議案は否決されました。(拍手)      ―――――・―――――   〔参照〕  賛成者白色票氏名      九十八名       青木 薪次君    赤桐  操君       秋山 長造君    穐山  篤君       一井 淳治君    糸久八重子君       稲村 稔夫君    上野 雄文君       小川 仁一君    小野  明君       及川 一夫君    大木 正吾君       大森  昭君    梶原 敬義君       粕谷 照美君    久保  亘君       久保田真苗君    小山 一平君       佐藤 三吾君    志苫  裕君       菅野 久光君    鈴木 和美君       田渕 勲二君    千葉 景子君       対馬 孝且君    中村  哲君       野田  哲君    浜本 万三君       福間 知之君    松前 達郎君       丸谷 金保君    村沢  牧君       本岡 昭次君    矢田部 理君       安恒 良一君    安永 英雄君       山口 哲夫君    山本 正和君       渡辺 四郎君    飯田 忠雄君       猪熊 重二君    及川 順郎君       太田 淳夫君    片上 公人君       刈田 貞子君    黒柳  明君       塩出 啓典君    多田 省吾君       高木健太郎君    高桑 栄松君       鶴岡  洋君    中西 珠子君       中野  明君    中野 鉄造君       馬場  富君    伏見 康治君       三木 忠雄君    峯山 昭範君       矢原 秀男君    和田 教美君       諫山  博君    市川 正一君       上田耕一郎君    小笠原貞子君       沓脱タケ子君    近藤 忠孝君       佐藤 昭夫君    下田 京子君       立木  洋君    内藤  功君       橋本  敦君    宮本 顕治君       山中 郁子君    吉井 英勝君       吉岡 吉典君    吉川 春子君       井上  計君    勝木 健司君       栗林 卓司君    小西 博行君       関  嘉彦君    田渕 哲也君       抜山 映子君    橋本孝一郎君       藤井 恒男君    柳澤 錬造君       山田  勇君    秋山  肇君       田  英夫君    野末 陳平君       青島 幸男君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    青木  茂君       木本平八郎君    平野  清君       西川  潔君    山田耕三郎君     ―――――――――――――  反対者青色票氏名      百三十六名       青木 幹雄君    井上 吉夫君       井上  孝君    井上  裕君       伊江 朝雄君    石井 一二君       石井 道子君    石原健太郎君       石本  茂君    板垣  正君       岩崎 純三君    岩本 政光君       上杉 光弘君    植木 光教君       浦田  勝君    遠藤  要君       遠藤 政夫君    小野 清子君       大河原太一郎君    大木  浩君       大島 友治君    大城 眞順君       大鷹 淑子君    大塚清次郎君       大浜 方栄君    岡田  広君       岡野  裕君    岡部 三郎君       長田 裕二君    加藤 武徳君       海江田鶴造君    梶木 又三君       梶原  清君    金丸 三郎君       亀長 友義君    川原新次郎君       河本嘉久蔵君    木宮 和彦君       木村 睦男君    北  修二君       久世 公堯君    工藤万砂美君       沓掛 哲男君    熊谷太三郎君       倉田 寛之君    小島 静馬君       古賀雷四郎君    後藤 正夫君       佐々木 満君    佐藤謙一郎君       斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君       斎藤 文夫君    坂野 重信君       坂元 親男君    沢田 一精君       山東 昭子君    志村 愛子君       志村 哲良君    嶋崎  均君       下稲葉耕吉君    下条進一郎君       陣内 孝雄君    杉山 令肇君       鈴木 省吾君    鈴木 貞敏君       世耕 政隆君    関口 恵造君       曽根田郁夫君    添田増太郎君       田沢 智治君    田代由紀男君       田中 正巳君    田辺 哲夫君       高木 正明君    高橋 清孝君       高平 公友君    竹山  裕君       谷川 寛三君    坪井 一宇君       出口 廣光君    寺内 弘子君       名尾 良孝君    中曽根弘文君       中西 一郎君    中村 太郎君       仲川 幸男君    永田 良雄君       永野 茂門君    成相 善十君       西村 尚治君    野沢 太三君       長谷 川信君    服部 安司君       初村滝一郎君    林 健太郎君       林  寛子君    林  ゆう君       林田悠紀夫君    原 文兵衛君       桧垣徳太郎君    平井 卓志君       福田 宏一君    藤井 孝男君       二木 秀夫君    降矢 敬義君       星  長治君    堀内 俊夫君       堀江 正夫君    真鍋 賢二君       前島英三郎君    前田 勲男君       増岡 康治君    松浦  功君       松浦 孝治君    松尾 官平君       松岡滿壽男君    水谷  力君       宮崎 秀樹君    宮澤  弘君       宮島  滉君    向山 一人君       村上 正邦君    最上  進君       守住 有信君    森田 重郎君       森山 眞弓君    矢野俊比古君       柳川 覺治君    山岡 賢次君       山崎 竜男君    山内 一郎君       山本 富雄君    吉川  博君       吉川 芳男君    吉村 眞事君      ─────・─────
  6. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) この際、お諮りいたします。  内藤功君外一名発議に係る自治大臣国家公安委員長梶山静六問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  よって、本案議題といたします。  まず、発議者趣旨説明を求めます。内藤功君。    〔内藤功登壇拍手
  8. 内藤功

    内藤功君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました自治大臣国家公安委員長梶山静六君に対する問責決議案提案理由説明を申し上げます。  まず、決議案の案文を朗読いたします。   本院は、自治大臣国家公安委員長梶山静六君を問責する。   右決議する。  梶山自治大臣は、消費税導入を前提とした消費譲与税法案など三法案所管大臣として、消費税導入先頭に立っております。  消費税大型間接税であり、その導入公約違反であることは紛れもない事実であります。中曽根前首相は、さきの国政選挙において、総理・総裁として大型間接税導入しないことを国民に約束し、その結果、三百議席を得たのであります。    〔議長退席、副議長着席梶山自治大臣議席もその一つであります。にもかかわらず、選挙の洗礼を受けることなく公約を破り捨てることは到底許されるものではありません。加えて、公約違反消費税導入先頭に立つなどは断じてあってはならないことであります。これが問責決議案提案する第一の理由であります。  第二に、消費税導入自治体財政住民生活に大きな影響を与え、地方自治確立という自治大臣の重要な責務に反するからであります。  すなわち、消費税導入によって、自治体財政歳出増は、政府の控え目な数字によりましても、普通会計で約六千億円も見込まれております。これに地方公営企業人件費扶助費などの間接的影響分を合わせた歳出増は、優に一兆円を超えるものとなるのであります。さらに、消費税導入とセットとなる税制改革では、地方税減収は二兆八百億円、国税三税の減収に伴う地方交付税減収は九千三百億円、合わせて三兆百億円もの地方財政減収になるのであります。これに対して、補てんのための財源は、消費譲与税が一兆九百億円、地方交付税は一兆四百億円、合計二兆千三百億円にすぎず、残り八千八百億円については何らの制度的な補てんの措置もとられていないのであります。  政府自然増収補てんすると言っておりますが、このような臨時的な、しかも地方独自の財源を当て込むことは、国の責任を全く放棄するものであり、まさに地方への負担押しつけそのものであります。地方財政の現状は、四年連続の補助金カット国保財政改悪影響を受け、今年度末には六十七兆円もの借金を背負い、財政運営危機ラインと言われる公債費負担比率二〇%を超える団体自治体総数の三分の一、一千八十二団体にも上っています。政府試算でも、歳入歳出合わせ一兆四千億円を超えるこのような負担増が、地方財政危機に一層拍車をかけることは明らかであります。このような税制改革を強行する人に自治大臣たるにふさわしい資格はないと言わざるを得ません。  憲法でうたわれた地方自治本旨を実現するためには、自主財源拡充強化が必要であることは言うまでもありません。自治省当局自身も、国民に身近なところで国民生活に密着した仕事を行っている地方団体財政基盤をより強固なものとするため、もっと地方財源拡充強化を図っていく必要があると言っているのであります。ところが、梶山自治大臣のやったことは、地方税源拡充強化どころか、従来の自治省の考え方にも反する地方税源削減縮小そのものであります。  すなわち、改正案では、電気税ガス税、さらには料理飲食等消費税の一部など地方の自主的な税源を廃止して、これを消費税に吸収し、そのかわりの財源補てんとしては、譲与税交付税、いわゆる依存財源で措置しております。この結果、歳入に占める地方自主財源比率は五三・三%から五〇・四%に下がり、逆に依存財源は四六・七%から四九・六%へと増大をし、財源的にも地方自主性後退国依存の方向が強化されることになるのであります。これでは、「ふるさと創生」どころか、地方自治体の活力を根本から奪うことになるではありませんか。これは自治大臣責務の放棄と言うほかありません。  このように、地方財政危機に一層の拍車をかけ、地方自治後退国家財政への一層の追随を強要する法案所管大臣として提案することは、「地方自治本旨の実現」を定めた自治省の任務にも反するものであり、梶山自治大臣がその長としてふさわしくないことは明らかであります。これが、自治大臣たる梶山静六君に対する問責決議案提案する第二の理由であります。  第三に、国家公安委員長としての責任はどうか。  今ほど警察がその存在を問われているときは過去にもありません。日本共産党緒方国際部長宅電話盗聴事件に代表される警備公安警察のあり方の問題、皇室警護の陰で水難に遭った少年を見殺しにした国民無視の本末転倒、遺失物をみずから着服横領し、事もあろうに派出所に届けた主婦を犯人扱いした事件留置場での女性暴行というあるまじき三島警察署事件等々、不祥事が続発したのであります。(「十分ですよ」と呼ぶ者あり)時間はまだあります。  この背景には、規律の緩みだけではなく、「個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を基調とする」と定めた警察法の精神をないがしろにした極端な警備公安警察への偏重、秘密主義、身内に甘いという構造的体質そのもの原因があります。しかるに、これらの不祥事件根本原因にはメスを入れず、個々の警察官と関係者だけの名目的な処分で事を済まそうというこれまでの方針を何ら変えようとしておりません。このような事態を容認してきた国家公安委員長梶山静六君の責任は、また極めて重大であります。  以上、梶山静六君が自治大臣並びに国家公安委員長たるにふさわしい資格が全くないことは明白であります。  何とぞ本決議案に対し各位の御賛同をいただくことをお願い申し上げて、提案理由説明を終わるものであります。(拍手)     ─────────────
  9. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。上野雄文君。    〔上野雄文登壇拍手
  10. 上野雄文

    上野雄文君 私は、日本社会党護憲共同を代表し、ただいま議題となりました自治大臣梶山静六君の問責決議案につきまして、賛成討論を行います。  公約違反消費税国会提出、横暴かつ異常な今臨時国会における強行採決などにより、国民世論調査によると竹下内閣の命運は既に尽きなければならないはずでありますし、梶山静六君も共同正犯とも言うべきでありますから、私は二つの点を強調したいと存じます。  第一には、その税制改革欺瞞性であります。  竹下内閣は、シャウプ税制の見直しを標榜し、シャウプ税制使節団報告に基づいてつくられた我が国の戦後民主主義税制を、今日の社会経済情勢の変化に合わないものというレッテルを張っています。しかし、そのシャウプ博士が強調した、国民が参加し、公正さが理解され、認識され、公開されてこそ本当の税制論議になるという論議の根幹を考えるとき、不整合であり不適格であるのは政府竹下内閣税制改革であると言うべきであります。  その一つとして、私は、株式譲渡益原則課税が問題となるたびに政府税調自民党皆さんが、それは困難だ、捕捉ができないなどと主張してきたのを覚えております。しかし、リクルート問題が出てきたところ、捕捉ができないどころか、皆さん自身やその秘書が、不公平税制の象徴であるこのキャピタルゲイン非課税を利用して、リクルートを通しての金もうけに走っていたではありませんか。  自民党本部に掲げられている垂れ幕には、「新税制みんな納得 公正社会」「税制改革自民党良心です」とあります。どこにみんな納得があり、どこに良心があるのでしょうか。リクルート疑惑徹底解明をして税制抜本改革に織り込んだ提案をして、国民の信頼と合意の形成を図るのがとるべき道ではありませんか。竹下総理がそれらは別問題だと言うなら、大型間接税に関する公約違反リクルート疑惑、この二つについて国民の信を問うべく国会を解散すべきです。  その二として、不公平税制の問題であります。株式譲渡益課税は、リクルート疑惑のような問題を再び起こさないためにも、カードか番号を使った総合課税に直ちに改善すべきです。低率の源泉分離課税でごまかし、しかもその税額の半分くらいは有価証券取引税の引き下げでまけてやるなどというインチキは許せません。第一、なぜ分離課税も払わない企業有価証券取引税まで引き下げるのでしょうか。土地税制は何も手がついておりません。法人土地取得資金の利子の損金算入の制限などともっともらしいことを言っておりますが、大手不動産業者はほとんど実害がないと言って喜んでいるではありませんか。  そして、大企業各種引当金など、優遇税制是正に至っては、昨年の政府税調改革案にも入っておりましたのに、今回はきれいに是正を見送っており、いつやるかもわからない引当金是正による増収額税制改革に伴う増減収試算に入れるなどという粉飾すら大蔵省、自治省はやっています。医師優遇税制もほとんど手がつけられず、最も肝心な事業税非課税是正が放置されたままであります。宗教法人などの公益法人課税もそのままです。当然政治家のパーティーなどに対する課税も入りません。国民の七割以上が政府改革案では不公平はなくならないとしています。  我々は、株、土地、大企業優遇是正などを初め二十四項目不公平是正を主張してきました。野党共同提案で十項目不公平税制是正要求もいたしましたが、竹下内閣は何ら耳を傾けようとしませんでした。  その三は、竹下内閣は長寿・福祉社会をより確実なものとして維持していくためには税制抜本改革が喫緊の課題としていますが、人口が高齢化していくことは厚生省などから予測値が示されていても、それに対する医療福祉年金などの姿、定年問題や女子雇用なども含めた雇用確保、余暇や文化活動のための基盤整備などについての政府自民党のビジョンが提案されているでしょうか。  年金医療保険だけをとってもまだ青写真すら示されていません。政府福祉に関して具体的に提示しているのは年金の六十五歳への支給開始年齢引き上げであり、あとは臨時的な金のばらまきだけでしかありません。国民が求めているのは社会保障制度確立であり、臨時のつかみ金のばらまきなどではありません。また、六十四年度において年金額引き上げが二・一%行われると言われていますが、来年は年金の再計算の年であり、過去五年間の賃金の引き上げ実態を見ればもっと引き上げて当然なのであります。政府竹下内閣福祉充実策はことごとく場当たり、その場しのぎの提起であります。  また、その四として、地方税財政の対策についてその不十分さを指摘しなければなりません。国の財政再建に名をかりまして、過去四年間にカットされた補助金の総額は五兆円にも達しようとしています。全国三千三百の自治体は、明年度予算編成を前にしてその全廃を念願しているのであります。さらにまた、今回の一連の消費税の問題をめぐって国の予算編成全体がおくれておりますから、地方自治体が、補助金カットの問題などが解決されないために、一体どのようにして予算を組んだらいいのか今苦しんでいるという実態にあることを忘れてはならないと思うわけであります。このような状況下での主務大臣としての梶山君のとるべき道はおのずから明らかではありませんか。  第二の大きな問責理由は、リクルート疑惑徹底解明について内閣疑惑隠ぺい工作に走り、梶山君がそれに加担しているからであります。  梶山君は、政治資金規制を所管するとともに、国家公安委員長として警察を督励し、リクルート疑惑解明に関し積極的な調査と資料の公表を行うべきところ、何らそのような努力の片りんすら見受けられませんでした。なぜか。梶山君が政治的に所属しておる自民党内グループ内に疑惑に関与している者が存在し、みずからを閣僚に迎えてくれた現内閣の長がリクルート疑惑に関与しているからにほかならないと思いたくなるのであります。  このような梶山君の姿勢は国民の到底容認するところではありません。リクルート疑惑解明には我が国の民主主義そのものがかかっております。これを隠ぺいし、消費税を強行導入し、総辞職もしなければ国会解散もしないという竹下内閣、それを積極的に支えている梶山君は、議会制民主主義の破壊者とも言うべき罪を犯しているのであります。  以上の理由をもちまして、私は、梶山君の問責決議案を全会一致で採択することが本院の良識を全うし、国民の政治への信頼を回復し、我が国の議会制民主主義が健全であることを世界に示す唯一の道であることを確信するものであることを強調し、賛成討論を終わります。(拍手
  11. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) 沓脱タケ子君。    〔沓脱タケ子君登壇拍手
  12. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま提案されている自治大臣並びに国家公安委員長たる梶山静六君に対する問責決議案賛成討論を行います。  賛成の第一の理由は、梶山自治大臣は、地方自治体と住民に大打撃を与えこそすれ、何一つメリットももたらさない公約違反、本院決議違反の消費税導入を柱とする税制改革先頭に立っているからであります。  歳入歳出合わせて一兆四千億円もの地方負担をもたらす消費税導入が、地方財政危機をより深刻な状況に陥れることは提案理由で述べられたとおりであります。特に、地方自治体の仕事は、福祉、教育、医療など国民生活に密着しており、消費税が一たび実施されればその影響ははかり知れないものがあるのは当然であります。保育所や老人ホーム、障害者施設など消費税が非課税とされている施設も例外ではありません。これらの施設の運営にかかる経費も消費税の直撃を受け、地方自治体負担あるいは利用者の料金値上げとなってはね返ってくるのであります。特に、消費税による影響に対して何の補てん措置も行われない無認可の保育所やあるいは障害者施設への影響は、一層深刻なのであります。  例えば、障害者が仕事や生きがいの場をつくるために必死に頑張って運営をしている無認可の共同作業所では、四十人規模で消費税負担が四十万円にもなると言われます。しかし、これらの施設に対して国は何らの手当てもしようとしていないのであります。こういう事態を見過ごして恥じない梶山君は自治大臣としてその資格に反すると考えるのは、単に私一人だけではないでしょう。  さらに、消費税は上下水道、交通などの公営企業にも影響を与え、地方の公共料金の引き上げをもたらすのは必至であります。  以上に述べたように、消費税導入は、今地方自治体で進められております福祉切り捨て、受益者負担地方行革を強力に推進するてこの役割を果たすことになるのであります。四年連続の補助金カットの中で、今ほど住民の健康及び福祉を保持することを任務とする地方自治体に対して、これを実行するにふさわしい財源が求められているときはないのであります。また、地方自治本旨からして、地方自治体がそれぞれの地域の実情に応じた独自の福祉、教育、医療等の仕事を行うのは当然のことであります。  ところが、梶山自治大臣のやったことは一体何でありましょうか。提案理由にも述べられておりますように、消費税導入のために巨額の地方負担をもたらし、電気税ガス税、料飲税の廃止等により地方自主財源を吸い上げ、地方財源拡充強化どころか、地方財源の削減縮小を行っているのであります。これでは地方自治本旨の実現を定めた自治省の長として、梶山静六君にその資格が全くないことはいよいよ明らかになるではありませんか。これが自治大臣たる梶山静六君に対する問責決議案賛成するゆえんであります。  さて、提案者は梶山静六君の国家公安委員長としての責務をも問うておられます。私も全く同感であります。国民は、今提案者が述べているように、国家公安委員長に、警備警察偏重の現在の警察制度を改め、警察の相次ぐ不祥事を根絶するために全容を明らかにして、個人責任にとどまらず組織的な問題点と責任を明確にし、警察官のモラルを高め、法を守らせ、真に国民に信頼される警察制度を確立するように警察庁を管理することを期待しているのであります。  しかるに、梶山国家公安委員長のもとでも、我が党の緒方国際部長宅電話盗聴事件に代表されるように、警備公安警察のあり方の問題、皇室警備の陰で水難少年を見殺しにした国民無視の本末転倒、あるいは落とし物をみずからの懐に入れ、あげくの果てに派出所に届けた主婦を犯人扱いにした猫ばば事件等々、不祥事が続発をしているのであります。つい最近でも、大阪府の枚方警察署で警察官による少年暴行事件が起こった問題等、指摘されたとおりであります。  これらの事件は、警察がいかに秘密のベールに包まれ、国民にとって危険な存在になっているかということを如実に示すものであります。これを正さずして国民の信頼をかち得ることは到底できないのであります。  この点で尼崎西署の癒着疑惑についても、その処置について大変注目をされておったのでありますが、国家公安委員長のその処置は、全く事件の組織的な腐敗のひどさに比べて余りにも軽い処分でお茶を濁そうとしているのであります。  こういうやり方については、これはまさに署長を先頭としての署ぐるみ、組織ぐるみの癒着事件だという点を明確にして、これの対処が望まれるわけでございます。  こういった背景には、規律の緩みだけではなしに、「個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を基調とする」と決めた警察法をないがしろにした警察の極端な警備警察偏重、反国民的な秘密主義、身内に甘いという構造的な体質そのものに原因があること、これは提案者が指摘されたとおりであります。このような事態を放置かつ容認してきた国家公安委員長梶山静六君の責任は極めて重大であります。  以上、梶山静六君が自治大臣並びに国家公安委員長としての職責を果たしていないことは明白であり、厳しくその責めを問うて、私の賛成討論を終わります。(拍手
  13. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  14. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) これより自治大臣国家公安委員長梶山静六問責決議案採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本案賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御役票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  15. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) まだ投票をなさらない諸君は速やかに御投票ください。――続いて御投票を願います。――おはようございます。夜も明けたようでございますが、まだ投票をなさらない諸君は、投票漏れのないように、引き続き御投票ください。  投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  16. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票計算
  17. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百十九票   白色票           八十三票   青色票          百三十六票  よって、自治大臣国家公安委員長梶山静六問責決議案は否決されました。(拍手)      ―――――・―――――   〔参照〕  賛成者白色票氏名      八十三名       青木 薪次君    赤桐  操君       秋山 長造君    穐山  篤君       一井 淳治君    糸久八重子君       稲村 稔夫君    上野 雄文君       小川 仁一君    小野  明君       及川 一夫君    大木 正吾君       大森  昭君    梶原 敬義君       粕谷 照美君    久保  亘君       久保田真苗君    小山 一平君       佐藤 三吾君    志苫  裕君       菅野 久光君    鈴木 和美君       田渕 勲二君    千葉 景子君       対馬 孝且君    野田  哲君       浜本 万三君    福間 知之君       松前 達郎君    丸谷 金保君       村沢  牧君    本岡 昭次君       矢田部 理君    安恒 良一君       安永 英雄君    山口 哲夫君       山本 正和君    渡辺 四郎君       猪熊 重二君    及川 順郎君       太田 淳夫君    片上 公人君       刈田 貞子君    黒柳  明君       塩出 啓典君    多田 省吾君       高木健太郎君    鶴岡  洋君       中野  明君    中野 鉄造君       馬場  富君    伏見 康治君       三木 忠雄君    峯山 昭範君       諫山  博君    市川 正一君       上田耕一郎君    小笠原貞子君       沓脱タケ子君    近藤 忠孝君       佐藤 昭夫君    下田 京子君       立木  洋君    内藤  功君       橋本  敦君    山中 郁子君       吉井 英勝君    吉岡 吉典君       吉川 春子君    勝木 健司君       小西 博行君    関  嘉彦君       田渕 哲也君    橋本孝一郎君       山田  勇君    秋山  肇君       田  英夫君    青島 幸男君       喜屋武眞榮君    下村  泰君       木本平八郎君    西川  潔君       山田耕三郎君     ―――――――――――――  反対者青色票氏名      百三十六名       青木 幹雄君    井上 吉夫君       井上  孝君    井上  裕君       伊江 朝雄君    石井 一二君       石井 道子君    石原健太郎君       石本  茂君    板垣  正君       岩崎 純三君    岩本 政光君       上杉 光弘君    植木 光教君       浦田  勝君    遠藤  要君       遠藤 政夫君    小野 清子君       大河原太一郎君    大木  浩君       大島 友治君    大城 眞順君       大塚清次郎君    大浜 方栄君       岡田  広君    岡野  裕君       岡部 三郎君    長田 裕二君       加藤 武徳君    海江田鶴造君       梶木 又三君    梶原  清君       金丸 三郎君    亀長 友義君       川原新次郎君    河本嘉久蔵君       木宮 和彦君    木村 睦男君       北  修二君    久世 公堯君       工藤万砂美君    沓掛 哲男君       熊谷太三郎君    倉田 寛之君       小島 静馬君    古賀雷四郎君       後藤 正夫君    佐々木 満君       佐藤謙一郎君    斎藤栄三郎君       斎藤 十朗君    斎藤 文夫君       坂野 重信君    坂元 親男君       沢田 一精君    山東 昭子君       志村 愛子君    志村 哲良君       嶋崎  均君    下稲葉耕吉君       下条進一郎君    陣内 孝雄君       杉山 令肇君    鈴木 省吾君       鈴木 貞敏君    世耕 政隆君       関口 恵造君    曽根田郁夫君       添田増太郎君    田沢 智治君       田代由紀男君    田中 正巳君       田辺 哲夫君    高木 正明君       高橋 清孝君    高平 公友君       竹山  裕君    谷川 寛三君       坪井 一宇君    出口 廣光君       寺内 弘子君    名尾 良孝君       中曽根弘文君    中西 一郎君       中村 太郎君    仲川 幸男君       永田 良雄君    永野 茂門君       成相 善十君    西村 尚治君       野沢 太三君    長谷 川信君       服部 安司君    初村滝一郎君       林 健太郎君    林  寛子君       林  ゆう君    林田悠紀夫君       原 文兵衛君    桧垣徳太郎君       平井 卓志君    福田 宏一君       藤井 孝男君    二木 秀夫君       降矢 敬義君    星  長治君       堀内 俊夫君    堀江 正夫君       真鍋 賢二君    前島英三郎君       前田 勲男君    増岡 康治君       松浦  功君    松浦 孝治君       松尾 官平君    松岡滿壽男君       水谷  力君    宮崎 秀樹君       宮澤  弘君    宮島  滉君       向山 一人君    村上 正邦君       最上  進君    守住 有信君       森田 重郎君    森山 眞弓君       矢野俊比古君    柳川 覺治君       山岡 賢次君    山崎 竜男君       山内 一郎君    山本 富雄君       吉川  博君    吉川 芳男君       吉村 眞事君    井上  計君      ─────・─────
  18. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) この際、お諮りいたします。  千葉景子君外一名発議に係る法務大臣林田悠紀夫君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。  よって、本案議題といたします。  まず、発議者趣旨説明を求めます。千葉景子君。    〔千葉景子登壇拍手
  20. 千葉景子

    千葉景子君 私は、日本社会党護憲共同を代表し、ただいま議題となりました法務大臣林田悠紀夫君問責決議案提案理由を御説明いたします。  今、臨時国会の主要な課題はリクルート疑惑の徹底的な究明をすることにあるはずです。それにもかかわらず、政府自民党は、リクルート疑惑の追及には臭い物にふたの姿勢に終始し、それのみならず、国民の大多数が強く反対している税制法案も衆議院に引き続き参議院税制問題等調査特別委員会において強行採決したことは暴挙と言うほかなく、議会制民主主義を根底から破壊しようとするものであり、到底許すことはできません。金権腐敗の体質とテレビ等に映し出されたあの強行採決の姿は、国民の政治への信頼を失い、これを回復するためには今後一体どれほどの時間と努力を必要とするか、はかり知れないものがございます。国民は、今怒り、そして政治に失望感を抱いています。  そもそもリクルートによるリクルートコスモス株のばらまきは、極めて大規模であり、政府中枢にある政治家関係者について見れば、例えば次のように大きく広がっております。中曽根前首相秘書名義で二万六千株、渡辺政調会長秘書名義で五千株、森喜朗元文相本人名義で三万株、安倍晋太郎君自民党幹事長秘書名義で一万七千株、宮澤喜一前大蔵大臣本人名義で一万株などなどです。  リクルート疑惑は、中曽根政権以来の構造的疑獄事件と言うべきものであり、宮澤大蔵大臣一人が辞任したからといって片づくものではありません。その真相はいまだ何ら解明されておらず、むしろ宮澤辞任によってリクルート疑惑の解明を終結させようとする意図が明白であり、さらにそれが税制法案強行採決へ向けた引き金になったと言わざるを得ないものです。  政権の中枢に及ぶ構造的汚職事件としての様相が次第に明らかになってきたリクルート疑惑の真相を究明することこそ、今、国会国民から期待されている重大な職責なのであります。  ところで、このようなリクルート疑惑の真相究明の努力がなされているさなか、林田法務大臣は十一月十八日の閣議後の記者会見で、衆議院リクルート問題調査特別委員会が公表したリクルートコスモス社の未公開株譲渡先リストについて、今までのところ提出資料に追加すべきものはない、これからも捜査は継続してやるが、法務・検察当局では今のところ政官界関係者であれ以上の名前は把握していないと述べたと伝えられます。結局、検察当局が捜査資料等の提出などの協力をすることを事実上拒否する態度に出たわけでございます。これはまさに意図的な疑惑隠しでもあり、真相究明を求める国民の願いを裏切る行為と言っても過言ではございません。  そもそも法務大臣は、この問題についての情報を最もよく知り得る立場にもあり、またその職務において不正を正すべき捜査機関、すなわち検察庁を指揮監督する立場にあり、このような責任を有するとともに、国民の信頼を背負った法務大臣の発言は極めて重いと言わなければなりません。  過去の疑獄事件などでも、法務大臣の発言は大変重要な意味を有しております。その意味では、内閣の一員とはいっても、その不正などに対しては厳正な態度をとるべき責任がございます。しかし、実際どうでしょうか。林田法務大臣の発言のあった同じ当日、十一月十八日の夜、田中角榮元総理の秘書早坂氏がリクルートコスモス株の譲渡を受けていたことが判明しました。また、さらにその後、江副証言からも、警察関係者までもが株譲渡を受けていたことが判明したではありませんか。すなわち、このように法務大臣の発言以降明らかになった事実を見ても、法務大臣はリクルート隠しに手をかしたと言わざるを得ないのであります。  また、リストの信憑性についても、国民に大きな疑いを抱かせる結果になったわけであります。  さらにその後、リクルートコスモス株譲渡疑惑一つであるNTT関連について、真藤会長の秘書名義で購入された株の売却益の一部が会長本人の秘密口座に入金されていたことまでもが判明いたしました。秘書が秘書がと株譲渡に無関係を主張していたことが根底から覆されたものであり、これは他の政界関係者についても本人の関与を疑わせることになったものにほかなりません。まさに、秘書や周辺の者を隠れみのにしながら政治家本人などが利益を享受するというのがリクルートコスモス株譲渡の今回の手法ではないかと疑わせるものであり、疑惑はますます根深いものと言って過言ではございません。  このような事態に反し、林田法務大臣の発言は、リクルート疑惑を小さな枠の中に押し込めて終結させるためのものであったと言わざるを得ません。法務大臣は一体いかなる根拠をもってこのような発言をなされたのでありましょうか。記者会見に当たり、どのような調査をされた上で発言をされたのでしょうか。検察庁は言うまでもなく強大な捜査権限を持っているわけであり、その検察庁が捜査継続中であるならば、その後の捜査進展の可能性を踏まえた発言をすべきであり、それをせずしてなされた発言はまことに軽率かつ無責任なものと言わざるを得ません。  さらに林田法務大臣は、税制法案関連につきましても、国民を裏切り、議会制民主政治を全く無視するような発言をしております。十月十七日の衆議院税制特別委員会において、みずからの公約の内容を問われた際、国民の理解と信頼の上に立つ税制改革を行い、その際に大型間接税には反対しますと書いた旨を述べておられます。だとすれば、法務大臣みずから今回の税制法案消費税には反対の態度をとるべきであり、もしそうなさらないとすれば、このような発言は国民の神経を逆なでし、国民を愚弄するものにほかなりません。それとも、今回の消費税は大型ではない間接税とでも言うのでしょうか。また、国民の理解と信頼の上に立つ税制改革とでもおっしゃるのでしょうか。  竹下内閣は、昨年秋に組閣して以来、わずか一年余の間に、奥野国土庁長官、瓦防衛庁長官そして宮澤大蔵大臣と三人もの閣僚が政治責任を追及され、辞任するに至りましたが、今回の林田法務大臣の一連の発言も決して無視できるものではなく、前者に劣らぬ重大な意味があり、その政治責任は免れるものではないところであります。  そしてさらに一つ指摘したい問題は、今回、このようなリクルート疑惑の陰にあって、いわゆる拘禁四法案が継続審議をされていることでございます。多くの法律家団体、市民団体などの反対の声を無視して、衆議院法務委員会における刑事施設法案の審議が強行されております。刑事施設法案など四法案は重大な人権侵害を内容とする極めて問題のある法案です。  その代表的なものが、世界的にも悪名高い代用監獄を恒久化しようという点でございます。代用監獄は、捜査権を持つ警察が被拘留者の身柄を拘束し、昼夜を問わず監視する中で取り調べを行うことから、虚偽の自白を生み、誤判の原因となるものであり、その結果つくり出された寃罪例は数多く存在しております。死刑確定者に対して再審無罪の判決があった事件は、林田法務大臣も十分承知のはずです。そのほかにも接見交通の問題など人権侵害は多々この法案の中に含まれております。  このような法案が、特に今国会では野党の反対を押し切って法務委員会の委員長職権による開会がなされ、審議されておりますが、これは法務委員会におけるこれまでのよき慣例を踏みにじるものであります。そして、衆議院法務委員長のこのような強硬な姿勢の背後には、林田法務大臣の法案成立へ向けた強い意向が働いていることは間違いないのであります。  リクルート解明が急務とされる中で、また……
  21. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) 簡単に願います。
  22. 千葉景子

    千葉景子君(続) 消費税税制問題に国民の関心が寄せられる裏で、このような法案を成立させんとすることも、決して見逃すことはできないものでありましょう。  これら一連の発言あるいは法案の強行が、法務大臣林田悠紀夫君問責決議案提案理由でございます。ぜひ皆様の御賛同をいただきますようにお願いを申し上げまして、提案理由とさせていただきます。(拍手)     ─────────────
  23. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。菅野久光君。    〔菅野久光君登壇拍手
  24. 菅野久光

    ○菅野久光君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました法務大臣林田悠紀夫君問責決議案に対して、賛成討論を行うものであります。  今国会に対する国民の期待は、不公平税制是正リクルート疑獄の徹底究明にあったということは、だれもが否定し得ない自明の理であります。しかしながら、竹下内閣は、消費税関連六法案の成立を至上命令としてこの国会に臨み、リクルート疑惑隠しに狂奔し、衆議院に続いて参議院においても、特別委員会での強行採決など議会制民主主義を踏みにじる許しがたい国会運営を続けてきたのであります。こうした竹下内閣の政治姿勢に対する国民の怒りは頂点に達し、各種世論調査に見る内閣支持率は最低水準にまで落ち込んでいるのであります。  リクルートコスモス社の未公開株の譲渡は広く政官界関係者に対して行われ、その広がりはとどまるところを知りません。リクルート疑惑が拡大していた本年七月二十一日、最高裁が殖産住宅事件に判決を下しました。この事件は、東証第二部への上場を目指していた殖産住宅相互株式会社が、上場の適否を審査すべき大蔵省と東京証券取引所の担当者に上場予定株を譲渡したというものであります。被告側は、株は買ったものであって、値上がりするか値下がりするかはわからないものであり、わいろとは言えないと主張しました。しかし最高裁は、上場前の非公開株は通常だれでも買えるものではないこと、上場されれば容易に値上がりが期待されることを指摘し、非公開株を購入し得た事実が利益の供与であると判断し、有罪を宣告しました。  この判決に関し、法学者や警察関係者も、上場予定株の譲渡が利益の供与であることは前々からわかっていたことで、有罪であるか否かは職務権限が関係していたか否かだけであると述べております。この判決によって、リクルート疑惑も、政治家の非公開株の取得は利益の供与であり、これに何らかの職務権限が絡めば汚職であるということが明確になったのであります。一方、民間人が政治家に対して何の見返りもなしに、公開予定の非公開株を譲渡するということはまずあり得ません。  そこで問題は、どの範囲の政官界人にリクルートコスモス株が渡り、その結果いかなる権限が行使されたかという点の解明であります。国民の今国会に対する期待はまさにこの点にあったにもかかわらず、政府は一貫してその期待を裏切ってまいりました。竹下内閣国民の期待を裏切るやり方は絶対に許されませんが、とりわけ、リクルート疑惑究明の当面の責任者である林田法務大臣のたび重なる実質的なリクルート隠しの発言は断じて看過することはできません。  具体的に指摘いたしますと、まず、林田法相は、国会の証人喚問に不当介入の発言を行ったことであります。十月二十一日の閣議後の記者会見で法相は、リクルート疑惑をめぐる国会の証人喚問について、捜査中の人が証人喚問されるのは捜査の支障になると述べ、国会での事態究明に横やりを入れ、疑惑隠しをねらったのであります。しかるに、法務省根來刑事局長は、証人喚問は何ら捜査の障害になるものではないと衆議院税制問題等調査特別委員会で答弁しており、結局、法相は自分の発言を修正せざるを得ない羽目に立たされたのであります。役人を指導監督すべき立場にある大臣が、役人の発言で自分の見解を改めるなどは大臣の資質に欠けると言われても仕方がないではありませんか。  もし法相の発言どおり事が運べば、リクルート疑惑解明のための衆参両院での証人喚問は行われなかったことになり、今日までに明らかにされたこの構造汚職は永久に迷宮入りに終わったことでしょう。そう考えただけでも法相、あなたの発言と、発言の奥に隠されたリクルート疑惑隠しの態度は、国民から指弾、糾弾されるのは当然であります。自分の発言に責任を感じる政治家であれば、問責決議を待つまでもなく、みずから出処進退を決断すべきであります。  次に、法相は十一月十八日の記者会見における発言で、衆議院リクルート特別委員会にリクルート社が提出したリクルートコスモス株譲渡先リストについてはこれ以上追加すべきものはないと公言いたしました。つまり、リクルート社提出の政官界向けの株式譲渡名簿は信憑性が高いという裏書きを法務大臣が行って、一件落着と世論の鎮静化をねらったのであります。結局、リクルート疑惑の追及がまさに本格化しようというやさきに、林田法相は積極的な幕引き役を演じ、疑惑隠しの急先鋒に立っていたと言って過言ではありません。これほど国民の意思を踏みにじり、愚弄した発言はありません。  そもそも法務大臣は具体的事件の捜査に口を差し挟まないというのが司法の独立、厳正な検察行政執行の鉄則であり、確立された大原則ではありませんか。法相の発言は、この原則を踏みにじり、検察陣の捜査活動に暗にブレーキをかけようとしたものと批判されても弁解の余地はありません。  しかも、法務大臣がこれ以上は存在しないと言明した直後に、株の譲渡を受けていた政官界関係者の名前が発覚するという全くの失態を演じてしまった点では、不見識であり、恥の上塗りと言わねばなりません。林田法相のこれ以上は存在しないという発言は、国会に証人喚問されたリクルート未公開株ばらまきの張本人である江副氏の、民間人の名前は御容赦願いたいとの発言とその後の野党やマスコミの究明で隠されていた名前が暴露されたのと、二重写しに国民の目には映ります。林田法相がリクルート疑惑隠しにぎゅうぎゅうとしていることは明白で、法相として不適任であります。  このような無責任な発言を繰り返し、公平中立であるべき検察行政をゆがめ、法の番人たる法務大臣の権威を失墜させた責任はまことに重大であります。本来なら任命権者である竹下総理が罷免すべき義務と責任があるのにこれを行わず放置しているので、立法府が法務大臣の責任を問い、問責するのはけだし当然であると言わねばなりません。  加えて、林田法務大臣の拘禁四法案に対する態度にも重大な問題があります。  提案趣旨にもありましたとおり、拘禁四法案は重大な人権侵害の疑いが顕著であり、その審議を強行しようとする林田法務大臣の責任は極めて重大であります。  司法制度の改正に当たっては、在野法曹の代表である日本弁護士連合会の合意を得るべきことは極めて当然のことであります。日弁連は、「拘禁二法案につき実現を求める諸点」と題する文書を本年十一月に明らかにしております。その中で法案の基本的問題点として次の諸点が解明されるべきことを求めております。  第一に、代用監獄廃止を法文上明示すること。漸減条項が附則に取り入れられているのみでは不十分である。代用監獄廃止までの期間を明示するか、または少なくとも当分の間のみ存置することを明示すること、及びその間の収容除外などの経過措置も明示することとしております。  第二に、管理運営上の理由で弁護人の接見制限を行わないこと。少なくとも留置施設では執務時間内の制限を撤廃し、刑事施設では通達内容を省令化では不十分なので法文化すること。接見妨害に対する司法的救済手続を設けること。弁護人あての信書も無検閲にすることとしております。  第三に、規律、秩序の強化を改めること。すなわち、第三者への実力規制撤廃、留置場での防声具、拘束台、保護室、徴罰の撤廃をすること。死刑確定者の処遇は現行法のままとすること。すなわち、刑事被告人に準ずる扱いとすること。施設運営協議会を法律上の組織とすること、法制審要綱から後退した内容を改めることとしております。  なお、日弁連では、この要求が受け入れられない場合には、意見交換会を再開し、抜本的に出直すことを求めております。  私は、以上述べた日弁連の見解は十分に尊重されるべきであると考えます。ここに述べられている意見を全く無視して今のままの拘禁四法案の成立を図ることは、政府のとるべき態度ではないと言わざるを得ません。  以上のような観点から、林田法相の政治的責任は非常に重大であります。  以上をもちまして、法務大臣林田悠紀夫君問責決議案に対する賛成討論といたします。(拍手
  25. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) 佐藤昭夫君。    〔佐藤昭夫君登壇拍手
  26. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、ただいま日本社会党護憲共同千葉景子議員より提案をされました林田法務大臣に対する問責決議案について、日本共産党を代表して、賛成討論を行います。  第一に、林田法務大臣は社会正義の実現と法の公正な執行を図るべき責任ある立場にありながら、リクルート疑惑の全容解明に一貫して消極的な態度をとり続けました。国会に対する捜査状況の報告、資料の提出も不十分きわまるもので、国会の国政調査権の行使を大きく妨げてまいりました。  今国会で大きな問題となったリクルート疑惑は、現在判明しているだけでも、その関与をしている人数、贈収賄の金額の点でも、田中、中曽根、竹下の三代の内閣にわたる、明治以来最大の疑獄事件であります。このような一大疑獄事件にもかかわらず、現在のところ強制捜査を行ったのは松原前社長室長だけであり、職務権限行使が明白な中曽根総理大臣や、高石前文部事務次官、加藤前労働事務次官などに何ら手をつけようとしていません。検察庁は、特捜チームと言いながら何をしているのか。法務大臣はむしろ疑獄究明にふたをしているのではないかとの国民の怒りが今日巻き起こっています。    〔副議長退席議長着席〕  不十分ながらも国会は、自民党などのあらゆる妨害と戦いつつ、リクルート事件の真相究明に努めてまいりました。リクルート事件については、膨大な基本資料を東京地方検察庁が押収しています。このような場合、捜査に支障を来すとか、個人の名誉を著しく損なうなど、特別の事情がない限り、検察官に対して一般的に指揮監督する立場にある法務大臣が、可能な限り国会の国政調査に協力すべきは当然のことであります。そうでなければ、強制捜査権を持つ検察庁が関係資料を押収してしまえば、国会の国政調査権に基づく政治家に対する政治的、道義的責任の究明は事実上妨げられる結果になるからであります。検察庁が捜査権に名をかりて国会の国政調査権の行使を困難にするようなことは絶対に許されません。  また、リクルート疑惑に関して、法務大臣は当然国会説明すべきことについても口を閉ざして語らず、政治家や秘書などが関与した契約書類まで捜査の支障になるはずはないのに国会に提出せず、国会の国政調査権の行使を困難にしてきました。とりわけ、中曽根総理や現職の竹下総理にかかわる疑惑を衆参両院で私を初め厳しく追及してまいりましたが、この点でも林田法務大臣の竹下弁護の態度はまことに許しがたいものであります。  こうして、林田悠紀夫法務大臣がリクルート事件にかかわった政治家の政治的、道義的責任追及の重要な意義を認識せず、国会における真相究明に事実上ふたをしたことは重大であります。このような林田悠紀夫君が、法務大臣としての資格に欠けることは明白と言わなければなりません。  第二に、我が党国際部長緒方靖夫宅電話盗聴事件について、刑事責任を追及せず、握りつぶしたことであります。  緒方宅電話盗聴事件が憲法を踏みにじり、電気通信事業法に違反する重大な犯罪であることは、国会でもしばしば明らかにされたことです。しかも、本件は、警察官による組織的犯行で、盗聴の実行犯人が神奈川県警警備課に属する現職警察官であったこと。さらに、本件に警察のトップクラスの関与があったことも、伊藤前検事総長の遺稿などで明らかにされております。  しかるに、検察庁は、警察官が盗聴した事実を認めながらこれを起訴猶予にし、検察審査会が不起訴不相当の議決をした後も、国民世論を無視して再び起訴猶予の処分を決定しました。このように、警察官による重大な権力犯罪が握りつぶされた背景に、警察という実力部隊の犯罪に検察庁がメスを入れることをためらう政治的配慮があったことは、伊藤前検事総長の遺稿を見ても容易に推察をされるところであります。  このような警察による権力犯罪の握りつぶしを容認した法務大臣の責任はまことに重大であり、こうした姿勢が、続発する警察官による犯罪や不祥事の背景ともなっているのであります。  続いて、最近、公安調査庁による我が党本部へ出入りする人々を長期にわたり盗み撮りをしていた不法、不当な事件が発覚をいたしました。しかし、我が党の抗議、追及に対して、公安調査庁はむしろ開き直りをしているのであり、まことに許すことができません。この点から見ても、林田悠紀夫君は法務大臣としての資格に全く欠けるものであります。  第三に、ここで強く指摘したいことは、林田悠紀夫君の(「時間だぞ」と呼ぶ者あり)――まだ時間じゃない。林田悠紀夫君政治家としての問題についてであります。  林田悠紀夫君は法務大臣である前に国会議員でありますが、林田悠紀夫君の参議院における議席は、提案者も触れられたように、さきの衆参同時選挙において本人の選挙公報で明確に述べられているごとく、大型間接税反対公約によって得られているのであります。ところが林田悠紀夫君は、閣議においてみずからの選挙公約を貫こうとはせず、唯々諾として公約違反消費税国会提出賛成したのであります。さらにまた、衆議院に続く参議院税制問題特別委員会における強行採決を目の当たりにしても、なお閣僚の一員にとどまっているのであります。みずからの選挙公約に忠実であろうとすれば、当然閣僚を辞任して国民にその信念を示すことこそが議会制民主主義を守る者としての当然の身の処し方ではないでしょうか。  法務大臣は法の番人であります。最も清廉かつ潔白であらねばならないのであります。この点からも私は、林田悠紀夫君は法務大臣としての適格性に欠けるものと断ぜざるを得ないのであります。  林田悠紀夫君は私と同じ……
  27. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 佐藤君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
  28. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君(続) 京都選挙区選出でありますが、その民主主義に対する態度は民主主義の伝統に輝く京都の恥と言うべきものであります。  私は、全国民と全京都府民の意思を代表し、林田法務大臣の悪業を断罪し、この問責決議案に全面的に賛成をして討論といたします。(拍手
  29. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  30. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより法務大臣林田悠紀夫君問責決議案採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本案賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  31. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 速やかに投票願います。――指名点呼を受けた方は、速やかにお立ちの上、御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御役票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御役票願います。――速やかに御投票願います。――御静粛に願います。速やかに御投票願います。――直ちに御投票願います。――御静粛に願います。速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――議員各位に申し上げます。各党議運理事の間で投票を早めるよう合意いたしておりますので、速やかに投票をお願いいたします。――速やかに御投票をお願いいたします。――速やかに投票に御協力願います。――速やかに御投票願います。――まだ投票なさらない諸君は速やかに御投票ください。――速やかに御投票願います。――御役票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに投票願います。――御投票に協力願います。――速やかに御投票に御協力願います。――速やかに御投票をお願いいたします。――速やかに御投票願います。――投票に御協力願います。――投票に御協力願います。――速やかに御投票願います。――御静粛に願います。――投票に御協力願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――投票ください。――上田君、登壇をお速めください。――お進みください。――速やかに投票に御協力願います。――速やかに投票ください。――登壇をお早く願います。――御静粛に願います。――上田君、速やかに登壇して御投票願います。――速やかにお願いたします。――登壇をお早く願います。――速やかに投票願います。――登壇をお早く願います。――速やかに御投票に御協力ください。――登壇をお早目に願います。お進みください。――速やかに御投票ください。――登壇をお速めください。――速やかに御投票願います。――上田君、ただいま行われております投票につきましては、自後制限をいたすこととなります。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票に御協力願います。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票に御協力願います。――速やかに御投票に御協力願います。――速やかに投票に御協力願います。――直ちに御投票願います。  投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票開鎖
  32. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票計算
  33. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百十一票   白色票           七十七票   青色票          百三十四票  よって、法務大臣林田悠紀夫君問責決議案は否決されました。(拍手)      ―――――・―――――   〔参照〕  賛成者白色票氏名      七十七名       青木 薪次君    赤桐  操君       秋山 長造君    穐山  篤君       一井 淳治君    糸久八重子君       稲村 稔夫君    上野 雄文君       小川 仁一君    小野  明君       及川 一夫君    大木 正吾君       大森  昭君    梶原 敬義君       粕谷 照美君    久保  亘君       久保田真苗君    小山 一平君       佐藤 三吾君    志苫  裕君       菅野 久光君    鈴木 和美君       田渕 勲二君    千葉 景子君       対馬 孝且君    野田  哲君       浜本 万三君    福間 知之君       松前 達郎君    丸谷 金保君       村沢  牧君    本岡 昭次君       矢田部 理君    安恒 良一君       安永 英雄君    山口 哲夫君       山本 正和君    渡辺 四郎君       猪熊 重二君    及川 順郎君       太田 淳夫君    片上 公人君       塩出 啓典君    多田 省吾君       高木健太郎君    高桑 栄松君       鶴岡  洋君    中西 珠子君       中野  明君    中野 鉄造君       馬場  富君    広中和歌子君       三木 忠雄君    峯山 昭範君       和田 教美君    諫山  博君       上田耕一郎君    沓脱タケ子君       近藤 忠孝君    佐藤 昭夫君       下田 京子君    立木  洋君       内藤  功君    橋本  敦君       山中 郁子君    吉井 英勝君       吉岡 吉典君    吉川 春子君       栗林 卓司君    橋本孝一郎君       藤井 恒男君    田  英夫君       青島 幸男君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    西川  潔君       山田耕三郎君     ―――――――――――――  反対者青色票氏名      百三十四名       青木 幹雄君    井上 吉夫君       井上  孝君    井上  裕君       伊江 朝雄君    石井 一二君       石井 道子君    石原健太郎君       石本  茂君    板垣  正君       岩崎 純三君    岩本 政光君       上杉 光弘君    植木 光教君       浦田  勝君    遠藤  要君       遠藤 政夫君    小野 清子君       大河原太一郎君    大木  浩君       大島 友治君    大城 眞順君       大塚清次郎君    大浜 方栄君       岡田  広君    岡野  裕君       岡部 三郎君    長田 裕二君       海江田鶴造君    梶木 又三君       梶原  清君    金丸 三郎君       亀長 友義君    川原新次郎君       河本嘉久蔵君    木宮 和彦君       木村 睦男君    北  修二君       久世 公堯君    工藤万砂美君       沓掛 哲男君    熊谷太三郎君       倉田 寛之君    小島 静馬君       古賀雷四郎君    後藤 正夫君       佐々木 満君    佐藤謙一郎君       斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君       斎藤 文夫君    坂野 重信君       坂元 親男君    沢田 一精君       山東 昭子君    志村 愛子君       志村 哲良君    嶋崎  均君       下稲葉耕吉君    下条進一郎君       陣内 孝雄君    杉山 令肇君       鈴木 省吾君    鈴木 貞敏君       世耕 政隆君    関口 恵造君       曽根田郁夫君    添田増太郎君       田沢 智治君    田代由紀男君       田中 正巳君    田辺 哲夫君       高木 正明君    高橋 清孝君       高平 公友君    竹山  裕君       谷川 寛三君    坪井 一宇君       出口 廣光君    寺内 弘子君       名尾 良孝君    中曽根弘文君       中西 一郎君    中村 太郎君       仲川 幸男君    永田 良雄君       永野 茂門君    成相 善十君       西村 尚治君    野沢 太三君       長谷 川信君    服部 安司君       初村滝一郎君    林 健太郎君       林  寛子君    林  ゆう君       原 文兵衛君    桧垣徳太郎君       平井 卓志君    福田 宏一君       藤井 孝男君    二木 秀夫君       降矢 敬義君    星  長治君       堀内 俊夫君    堀江 正夫君       真鍋 賢二君    前島英三郎君       前田 勲男君    増岡 康治君       松浦  功君    松浦 孝治君       松尾 官平君    松岡滿壽男君       水谷  力君    宮崎 秀樹君       宮澤  弘君    宮島  滉君       向山 一人君    村上 正邦君       最上  進君    守住 有信君       森田 重郎君    森山 眞弓君       矢野俊比古君    柳川 覺治君       山岡 賢次君    山崎 竜男君       山内 一郎君    山本 富雄君       吉川  博君    吉川 芳男君       吉村 眞事君    井上  計君      ─────・─────
  34. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 日程第二 税制改革法案  日程第三 所得税法等の一部を改正する法律案  日程第四 消費税法案  日程第五 地方税法の一部を改正する法律案  日程第六 消費譲与税法案  日程第七 地方交付税法の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上六案を一括して議題といたします。      ─────・─────
  35. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより税制問題等に関する調査特別委員長の報告を求めるのでありますが、福間知之君外一名から、委員会審査省略要求書を付して、税制問題等に関する調査特別委員長梶木又三君問責決議案が提出されておりますので、まず、本決議案についてお諮りいたします。  税制問題等に関する調査特別委員長梶木又三君問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  よって、本決議案議題といたします。  まず、発議者趣旨説明を求めます。福間知之君。    〔福間知之登壇拍手
  37. 福間知之

    福間知之君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、税制問題等に関する調査特別委員会委員長梶木又三君問責決議案提案理由説明いたします。  まず初めに、去る十二月二十一日、参議院税制問題等に関する調査特別委員会における強行採決時の速記録を紹介しましょう。喜屋武眞榮君が次の質問に入ろうとしたとき、速記録は次のようになっています。  ○斎藤文夫君 委員長……     〔発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕     〔委員長退席〕     午後六時五十九分  これが良識の府とされる我が参議院の会議録に記載された十二月二十一日の参議院税制問題等に関する調査特別委員会での一部始終であり、極めて異常なものであります。     〔議長退席、副議長着席〕 したがって、今梶木又三君が報告するところの委員会報告は、すべて梶木又三君が捏造し、でっち上げたものであり、会議録を見ても明らかなように、委員会では決して採決されておらず、委員会報告は無効であります。  まず、この点を冒頭に申し上げ、梶木又三君の問責理由説明いたします。  梶木君を委員長とする参議院税制問題等に関する調査特別委員会の審議に国民が熱いまなざしをもって期待したものは、参議院としての独自性の発揮でありました。それは、衆議院の税制問題等に関する調査特別委員会が、事もあろうに国家の根幹とされる税制法案をろくに審議もせず、数を頼んで暴力的採決を行ったことから、せめて参議院が良識の府としてこれをチェックしてくれるものと期待したからであり、また税制改革の前提としてリクルート疑惑を徹底究明することを強く期待したからでありました。  国民は、竹下総理が言うように、それはそれ、これはこれと税制リクルートを決して切り離しては考えておらず、竹下内閣税制改革法案提案者としての資格が果たしてあるのかを問いながら、消費税法案の徹底審議を通して悪税の実像を明らかにすることを求めておったのであります。  言うまでもなく、参議院の最も重要な意義は、衆議院の行き過ぎを是正し足らないところを補う機能にあります。衆議院で十月十六日に税制改革法案が、審議らしい審議もないまま、消費税実態が明らかにならないまま、リクルート疑惑が解明されないまま、不公平税制是正がなされないまま参議院に送られた時点から、国民は参議院の持つ独自性に大きな期待をかけたのです。  こうした国民の声に対して梶木又三税制問題等に関する調査特別委員会委員長が行った背信行為の第一は、十二月九日、まだ税制改革法案の審議も始まっていないのに、その法案採決するため、国会法によって不可欠の要件となっている公聴会を理不尽にも十二月十六日に開催することを委員長職権で裁定し、強行採決を行ったことであります。これは、リクルートコスモス未公開株の譲渡問題で疑惑を追及されていた宮澤副総理・大蔵大臣が十二月九日に辞任したことと引きかえに、リクルート疑惑にふたをしたものでありまして、まさに梶木委員長の国民に対する裏切りであります。  宮澤氏は辞任に際して、税制法案を成立させるために身を引くと述べましたが、これほど不誠実で国民を愚弄した話はありません。今、問題のリクルート疑惑は政界全体を覆い、国民の政治不信はその極に達しております。宮澤氏が辞任したことの政治的な意味を、竹下内閣に対する国民の批判が高まった結果と受けとめなければならないにもかかわらず、宮澤氏一人の不始末に矮小化し、かつこのことを悪用して独善的に対応した梶木又三君の責任はまことに重大と言わざるを得ません。  もともと税制問題等に関する調査特別委員会での野党各党の要求は、宮澤氏の辞任が先ではなく、六十一年九月三十日付のリクルートコスモス株売買約定書、十月十五日付の銀行口座への購入代金三千万円の払込証明書、十月三十一日付の売却代金五千二百万円余の銀行口座への入金証明書、この三つを税制問題等に関する調査特別委員会に提出することであり、梶木委員長も十分承知のことでありました。この三つの資料提出は、宮澤氏のみならず、リクルート疑惑全体の解明に不可欠なものであったのであります。  こうしたことを考えれば、委員長に疑惑解明の熱意があれば、当然、引き続き宮澤氏に対して、委員長職権を使ってでもこの三つの資料提出を求めるべきものであります。それが、宮澤氏辞任をきっかけにリクルート疑惑に終止符を打つように、税制改革法案の成立に向けて公聴会日程を独断で決定する暴挙を行ったことは断じて許すことができません。  第二の背信行為は、税制問題等に関する調査特別委員会において、委員の発言中にもかかわらず、唐突、しかも横暴な強行採決に踏み切ったことであります。議会制民主主義を守ろうとする我が国日本でこのような国会運営は、どのような場でも、どのような局面でも許されるものではありません。  税制改革は、国民全体の懐に響くばかりでなく、そのことを通して将来社会のありようを決める重要課題であるため、諸外国の例に見るように、少なくとも二年ないし三年間ぐらいの日時をかけて慎重な審議を重ね、しかも国民に信を問うことによって初めてなし得る課題です。リクルート疑惑で政治に対する不信が国民の中に深く広く浸透している折だけに、なおさらのこと、国民本位の民主的で慎重なプロセスを一歩一歩積み重ねることによってのみ、政治はもちろん、税制への信頼をも国民から得ることができるという重要な試金石であったのであります。強行採決によって一方的に決められた税制がどうして国民納得を得られましょうか。  消費税の実像がはっきりとせず、いわゆる八つの懸念は依然として解消されておりません。最も重視すべき逆進性は何ら解決せず、消費税税率三%の歯どめもなく、半年間の弾力的運用などとわけのわからない衆議院での修正も、不公正、不公平の懸念もぬぐい切れないままに終わってしまいました。大体、税負担者たる消費者が支払った税金を、納税義務者たる事業者がその税金を猫ばばしてもいいというような税法があっていいのでしょうか。  このように、法施行以前から欠陥が指摘されている税体系でありまするから、法施行後は、法律の無効やトラブルを訴える訴訟が恐らく山と積まれることは火を見るより明らかであります。  しかも、現実問題として、来年の四月一日からの実施には無理があることは衆目の一致するところであり、それをあえて強引に強行することは、いたずらに国民経済を混乱に陥れるのみであり、百害あって一利なしであります。  より重大なことは、消費税を取り込んだ税体系を急ぐ余り、不公平税制是正が妨げられ、今後も長く不公平は温存されてしまったことであります。梶木又三君は国会合意形成ができなかった税制でもうまく機能するものとお考えなのでしょうが、そう考えていること自体が税制問題等に関する調査特別委員会委員長の資格がないのではないかと言えるのであります。また、議会制民主主義を守ろうとしないこのような議会運営を当然のこととしている行為自体が、国民を政治不信に駆り立てる元凶でもあり、政治家としての資格も疑わざるを得ないのであります。  以上、簡単ではありますが、税制問題等調査特別委員会委員長梶木又三君の委員長不適格の見解を述べまして、決議案提案理由といたす次第であります。(拍手)     ─────────────
  38. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。山口哲夫君。    〔山口哲夫登壇拍手
  39. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました梶木又三税制問題等調査特別委員会委員長の問責決議案賛成討論を行うものであります。  まず第一に、梶木委員長に与えられた職責とは一体何であったのかという問題であります。  申すまでもなく、委員長は、委員会に所属するすべての委員に対し徹底した審議権を保障することでなければなりません。しかるに、審議期間を一週間も残して、しかも委員の発言中に強行採決を断行するとは言語道断。この一事をとっても、委員長は全く職責を果たさず、与党自民党の圧力に屈した無責任きわまりない委員長として問責決議に値すると断ぜざるを得ないのであります。  今回提案されたいわゆる税制法案、中でも消費税に関しては、あらゆる職業に、各界各層に多くの利害関係が伴うものであるだけに、参議院こそ良識の府の名に恥じないように、衆議院での不徹底な審議を改め、すべての委員があらゆる角度から徹底した審議を尽くすことを多くの国民は期待していたはずであります。また、公聴会にしても、できる限り多くの業界、団体、地域を代表する国民の意見を聴取してくれるであろうことを国民は希望していたはずであります。  しかるに、当委員会は、自民党税制調査会が業界説得のために開いたとさえ言われる意見聴取の何分の一、いや何十分の一にも満たない意見しか聴取しませんでした。すべての政党が参加する委員会が、一与党が聴取した業界の数より少ない声しか聞けなかったということについて、梶木委員長は、それでも委員長の職責を果たしたとでも考えているのでありましょうか。もしあるとするならば、それは、消費税関連法案を一日も早く通そうとする自民党の都合のみを考えた、党利党略に偏った委員長であり、自民党の圧力に屈しみずからの職務をあえて放棄した、無責任きわまりない行動であったことを、我が社会党は国民の名において糾弾しなければならないのであります。  また、参議院が衆議院のカーボンコピーとの陰口を言われている昨今、参議院の与野党で参議院の機能強化についてさまざまな試行、議論をしているところであります。まさに良識の府の名に恥じないあるべき姿を超党派で模索しているところであります。このような経過を一切無視して衆議院と同じ強行採決を行うという暴挙は、従来から一部にある参議院無用論に拍車をかけることになりかねず、議会制民主主義にとって憂うべき事態と言わなければなりません。この強行採決という一事を見ても梶木委員長の問責は当然のことであり、前回の選挙自民党を支持した多くの国民の方々からも大きな拍手をもってこの問責決議案が迎えられていることは火を見るより明らかであります。  あなたは、不測の事態を警戒して二十八日の会期末前に余裕を持って成立させたい、審議時間は既に総計九十時間を超え、税制法案審議に限っても五十九時間に上り、論議はし尽くされたと言っているようでありますが、あなたは言葉の使い方を間違えている。それは、わずか五十九時間しか審議をしていなかったと言わなければならないはずであります。ここにも、梶木委員長は国民的感覚を全く持たず、ただ自民党の御都合主義的感覚しか持ち合わせていないことをいみじくも暴露したと言えるのであります。  そもそも竹下総理は、シャウプ税制以来の大改革に政治生命をかけると言い続けてきました。そのような大改革ならば、なぜ今国会で拙速に処理しなければならないのでしょうか。民主主義国家と言われる諸外国においては、このような税制改革には二、三年もかけてすべての国民論議に参加する機会を保障していることは、我が党を初め多くの議員からも指摘されてきたところでありますし、マスコミからも忠告を受けてきたはずであります。  各種の世論調査を見ましても、六十数%以上の国民消費税反対しており、税制改革論議が不十分だとしているのは八十数%以上にまで及んでおります。このように新税への国民の本能的な警戒感がある中で、国民の批判を謙虚に受けとめるのが参議院の使命ではなかったでしょうか。  消費税については、法案国会に提出されたときから、簡易課税制度は新しい不公平を生まないか、低所得者ほど負担は高まらないか、帳簿方式で所得の捕捉は十分にできるのか、便乗値上げは起こらないか、税率引き上げに歯どめはあるのかなどなど、納税者が問いただしたい疑問は幾つもありました。  もともと消費税問題は、選挙による国民の審判は受けていないのであります。受けていないというよりは、導入しないと言って選挙を行ったのでありますから、国民をだまし討ちにしたと言うべきでありましょう。多くの国民消費税論議の前に、まず不公平税制の徹底審議を期待したのであります。梶木委員長はその不公平税制論議さえ十分には行わせてくれませんでした。このことでも、国民の期待を裏切った梶木委員長と委員長に強行採決を迫った自民党責任は極めて重大と言わねばなりません。  また、多くの国民徹底解明を求めているリクルート疑惑についても、委員長は極めて消極的であり、委員長みずから臭い物にはふたをしようとする意図がありありでした。竹下総理のようにそれはそれ、これはこれと単純に割り切ることはできないというのが国民の声でありました。  宮澤大蔵大臣の辞任の後、NTTの真藤会長がリクルート関連株の譲渡問題で引責辞任し、リクルート問題は一段と深刻な様相を呈してきております。政治の腐敗は国家を滅ぼすとまで言われてきました。リクルート問題は政官財界の癒着であり、そのことが政治の腐敗につながることを考えるとき、国民は検察当局の捜査だけでなく、国政調査権による国会での疑惑解明に強い期待を寄せているのであります。だからこそ、株譲渡問題で名前の出た竹下総理中曽根総理、安倍自民党幹事長らの秘書と政治家本人との関係、その政治的責任、道義的責任の問題解明が極めて重要なのであります。  梶木委員長は、証人喚問についてはすべて理事会で協議しますの一点張り、みずから国民の期待にこたえて国民に信頼される政治を確立しようとはせず、自民党多数の上にあぐらをかぎ、すべては数の力で証人喚問の要求を退けてきたのであります。まさに政治の腐敗に手をかしたと言われても弁明のしようはないはずであります。今回の強行採決国民の政治不信はますます増大することとなりましょうが、梶木委員長は、そのことについても重大な責任を感ずべきであります。  これは、リクルートコスモス未公開株の譲渡問題で疑惑を追及されていた宮澤副総理・大蔵大臣が十二月九日に辞任したことによってリクルート疑惑の区切りとなったと勝手に解釈した梶木委員長の無責任さは厳しく追及されなければなりません。  以上、問責決議の意図するところについてごく簡単に述べてまいりましたが、最後に、梶木委員長が議会制民主主義を踏み破り、事もあろうに、委員の発言中に自民党と示し合わせて強行採決に踏み切ろうとした一瞬の行為が、きのう来の延々二十二時間にわたる我々の抗議の問責決議の行動になってあらわれたことを、胸に手を当てて反省してみるべきではないでしょうか。  そして、もし梶木委員長に議会制民主主義をこれからでも守ろうとする一片の良心でもあるならば、法的にも無効と言える強行採決を白紙に戻し、いま一度、少なくとも二十八日までの残された三日間だけでも審議を重ねる意思を表明すべきことを忠告し、私の賛成討論を終わります。(拍手
  40. 瀬谷英行

    ○副議長瀬谷英行君) 吉井英勝君。    〔吉井英勝君登壇拍手
  41. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、ただいま提案されました税制問題等に関する調査特別委員長梶木又三君問責決議案に対し、賛成討論を行います。  第一に、自民党竹下内閣は、消費税についてもリクルート疑惑についてもほとんど審議が尽くされていない状態のもとで、去る二十一日、税制問題等に関する調査特別委員会で、委員の質疑中にもかかわらず突如として消費税等六法案採決なるものを単独で強行したのでありますが、かかる自民党の行為は、さきの衆院での強行採決に続いて日ごとに強まるリクルート疑惑、とりわけ竹下首相と中曽根前首相に直接かかわるリクルート疑惑について徹底究明せよ、そして公約違反消費税断固反対という圧倒的多数の国民世論を真っ向から踏みにじった議会制民主主義破壊の暴挙であります。この点で梶木又三君の責任は重大であります。  第二に、梶木又三君は、税制改革法案が十二月二十一日の参院税制問題等に関する調査特別委員会において、賛成多数をもって可決されたと強弁しているのであります。  二十一日の事態を見るならば、自民党梶木又三君の言うところの採決は無効であり、直ちに税制改革法案を委員会に差し戻すべきであります。梶木君が多数をもって可決されたと言う根拠は一体どこにあるのでしょうか。当日の会議録を見ても、自民党議員が叫んだ「委員長」という言葉だけで、あとは「発言する者多く、議場騒然、聴取不能」ということであり、質疑打ち切りの動議も税制改革法案採決されないまま「午後六時五十九分」「委員長退席」とあるだけであります。一体この会議録のどこに可決されたなどという根拠があるでありましょうか。  真実は明白であります。すなわち、自民党梶木君の言うところの採決は存在せず、無効であるということであります。黒を白と強弁してやまない梶木又三君の行為は、税制問題等に関する調査特別委員長としての職責をみずから放棄したものであるばかりか、その職権を乱用し、議員の質疑権を委員長みずから奪うものであります。このような傍若無人のやり方がまかり通るとするならば、それはまさに本院の自殺行為にほかなりません。委員長梶木君の本院の権威をも汚すかかる行為の責任はまことに重大きわまるものであり、もはや委員長としての資格も能力もないと断ぜざるを得ないのであります。直ちに辞任をするべきであります。  賛成理由の第三は、梶木又三君の委員長としての理事会、委員会運営についてであります。  二十一日の審議については、締めくくり総括ではなく一般質疑であることが十九日の委員会終了後の理事会で確認され、二十一日は喜屋武眞榮君までの質疑を行うこと。次いで委員会終了後理事懇談会を再開し、証人喚問やリクルート集中審議等の問題も含めて翌日以降の審議日程について協議するということが、昼の理事懇談会の席上、委員長自身の発言で合意されていたのであります。しかも、二十一日の委員会には、首相以下全大臣の出席はなく、喜屋武眞榮君の質疑には竹下首相・大蔵大臣と梶山自治大臣のみしか出席しておらず、自民党が締めくくり総括と強弁していた前提さえ整っていなかったのであります。  梶木又三君が委員長として、こうした理事会の合意さえもみずから進んでほごにし、また自民党議員の暴挙を容認し、税制法案を可決したとしていることは、委員長としての職権を乱用し、議会制民主主義を著しく踏みにじるものであり、到底委員長の地位にとどまり得ないものであります。    〔副議長退席議長着席〕  これだけではありません。梶木又三君は、税制問題等に関する調査特別委員会の運営に当たって、幾重にも理事会、理事懇談会での約束をほごにし、民主主義を踏みにじり、あくまで公約違反国会決議違反の消費税導入という自民党の意向に沿った運営を進んで行ってきました。十二月九日の公聴会開会日程の強行議決しかりであります。梶木又三君は、委員会において税制改革法案の審議日程の協議にさえ入っていない段階で、自民党に追随し、進んで公聴会の論議に踏み込み、さらに十二月九日には、委員長職権で税制問題等に関する調査特別委員会の理事会及び委員会開会の公報掲載を行い、かつ、公報掲載だけで委員会は実際には開会しないとの前日の約束を一方的に被って、社会党理事が欠席のまま、共産党理事及び議員の強い抗議を押し切って、開会しないと言った理事会開会を強行し、次いで、社会、共産両党委員欠席という異常な事態の中で委員会を強行開会し、公聴会開会日程を強行議決したのであります。  これは委員長としての職責を著しく逸脱し、誠心誠意公正かつ円満な運営に努めるとしたみずからの言葉にも反したものであり、議会制民主主義の諸原則に挑戦して税制改革法案強行採決のための条件づくりを目指した暴挙であり、断じて許すことはできません。  賛成理由の第四は、リクルート疑惑の徹底究明という圧倒的多数の国民の願いに対して、梶木君が税制問題等に関する調査特別委員長として国民の願いにこたえ得る立場にいながら、その職責を踏みにじり続けてきたことであります。  最近の世論調査でも、リクルート疑惑国会での解明が不十分との答えが八六%に達するなど、国民の圧倒的多数はリクルート疑惑国会での解明を強く求めているのであります。しかるに梶木君は、委員長としてその解明を進んで行うべき立場にありながら、リクルート疑惑解明に当たって各党から要求のあった証人喚問、資料の提出等について、理事会での協議を約束しておきながら、その約束を果たさぬまま委員会採決なるものを強行し、ほごにしてしまう。あるいは十二月六、七日の証人喚問の実施に当たり、現行の議院証言法どおりテレビ放映を実現せよという我が党を初めマスコミ各社などの当然至極の要求を踏みにじり、テレビ中継を禁止し、国民の知る権利を著しく侵害したのであります。  かかる委員長梶木君の行為は、リクルート疑惑にふたをしたまま、リクルート疑惑解明税制改革法案採決なるものを優先させたものであり、委員長としてその職責を全うすることをみずから拒んだのであります。  我が国税制史上最悪の不公平税制、すなわち消費税は断じて導入してはならないのであります。消費税法案選挙公約国会決議に明白に反している大型間接税そのものであるばかりか、それを作成、提案している人間がリクルート疑惑に汚れ切っているのであります。消費税法案など税制改革法案を廃案にし、リクルート疑惑の全容を徹底解明することこそが国民の負託を受けた本院議員のなすべきことであります。この国民の負託にこたえる上で、梶木君がこれ以上税制問題等に関する調査特別委員長としての職にとどまることは到底耐えがたいものであり、直ちにその職を解任すべきであります。  最後に、歴史は何を書き残してきたか、また書き残すかということであります。  今を去る二千年の昔、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスは国内消費税を創設いたしましたが、それは第一に消費に広く薄く課税したものであり、第二に常備軍の設置、すなわち軍拡財源づくりがねらいであり、第三に古来より常に喧騒の声を惹起してきたということが歴史書にも記されているのであります。これは歴史の事実であります。  まさに、今回の自民党竹下内閣消費税法案とその中身もねらいも一緒なら、燎原の火のごとく日ごとに高まる国民反対の世論も同じであります。そして、かの有名なローマ帝国皇帝暴君ネロでさえ国民の不満の強い消費税の廃止を考えたのでありますが、(発言する者多し)まだ時間があるのに騒ぐな。暴君ネロがやめようとした消費税自民党竹下内閣は今採決を強行しようとしているのであります。
  42. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 御静粛に願います。
  43. 吉井英勝

    ○吉井英勝君(続) かかる自民党竹下内閣の姿は、野蛮で非道であったローマ帝国の暴君ネロよりさらに国民を無視していると言わなければなりません。  あの消費税がローマ帝国の滅亡とともになくなったように、今回の消費税を含む税制改革法案を、国民の圧倒的多数の世論は、自民党竹下内閣とともに消し去ろうとしているのだということ、そしてまさにそのとき、税制改革法案の委員会での成立強行という蛮行を容認し、積極的にその役割を果たした……
  44. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 吉井君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
  45. 吉井英勝

    ○吉井英勝君(続) 梶木又三君が、暴君ネロの忠実な将軍にも匹敵する所業をなしたということで後世の人々によって厳しく糾弾されるであろうということを申し添え……
  46. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 吉井君、時間が超過いたしております。
  47. 吉井英勝

    ○吉井英勝君(続) 税制問題等に関する調査特別委員長梶木又三君問責決議案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手
  48. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  49. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより税制問題等に関する調査特別委員長梶木又三君問責決議案採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本案賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御役票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  50. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 速やかに御投票をお願いいたします。――速やかに御投票に御協力を願います。御投票願います。――スピードを速めてください。――御投票に御協力願います。――御投票に御協力願います。速やかに投票をお願いいたします。――速やかに御投票願います。――直ちに投票に御協力願います。――御投票に御協力願います。――まだ投票なさらない方は速やかに投票願います。――後がつかえておりますので、速やかに御投票をお願いいたします。――速やかに御投票願います。――直ちに投票をお願いします。――速やかに御投票願います。――速やかに御投票願います。――投票に御協力願います。――速やかに投票をお願いします。つかえておりますのでお遠く願います。――速やかに御投票願います。――議員各位に申し上げます。各党議運理事の間で投票を速めるよう合意に達しております。速やかに投票をお願いいたします。どうぞ投票に御協力のほどをお願いいたします。――速やかに投票願います。――続いて投票願います。――直ちに投票願います。――速やかに御投票に御協力願います。――投票に御協力願います。――速やかに御投票願います。――投票に御協力願います。――速やかに御投票願います。――静粛に願います。――速やかに御投票願います。――私語はやめてください。――速やかに投票願います。――直ちに投票願います。――御静粛に願います。  投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  51. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票計算
  52. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百二十四票   白色票           八十九票   青色票          百三十五票  よって、税制問題等に関する調査特別委員長梶木又三君問責決議案は否決されました。(拍手)      ―――――・―――――   〔参照〕  賛成者白色票氏名      八十九名       青木 薪次君    赤桐  操君       秋山 長造君    穐山  篤君       一井 淳治君    糸久八重子君       稲村 稔夫君    上野 雄文君       小川 仁一君    小野  明君       及川 一夫君    大木 正吾君       大森  昭君    梶原 敬義君       粕谷 照美君    久保  亘君       久保田真苗君    小山 一平君       佐藤 三吾君    志苫  裕君       菅野 久光君    鈴木 和美君       田渕 勲二君    高杉 廸忠君       千葉 景子君    対馬 孝且君       中村  哲君    野田  哲君       浜本 万三君    福間 知之君       松前 達郎君    丸谷 金保君       村沢  牧君    本岡 昭次君       矢田部 理君    安恒 良一君       安永 英雄君    山口 哲夫君       山本 正和君    渡辺 四郎君       飯田 忠雄君    及川 順郎君       太田 淳夫君    片上 公人君       刈田 貞子君    黒柳  明君       塩出 啓典君    多田 省吾君       高木健太郎君    高桑 栄松君       鶴岡  洋君    中西 珠子君       中野  明君    中野 鉄造君       馬場  富君    広中和歌子君       伏見 康治君    三木 忠雄君       峯山 昭範君    和田 教美君       諫山  博君    上田耕一郎君       沓脱タケ子君    近藤 忠孝君       佐藤 昭夫君    下田 京子君       立木  洋君    内藤  功君       橋本  敦君    山中 郁子君       吉井 英勝君    吉岡 吉典君       吉川 春子君    勝木 健司君       小西 博行君    関  嘉彦君       田渕 哲也君    橋本孝一郎君       柳澤 錬造君    田  英夫君       野末 陳平君    青島 幸男君       喜屋武眞榮君    下村  泰君       青木  茂君    木本平八郎君       平野  清君    西川  潔君       山田耕三郎君     ―――――――――――――  反対者青色票氏名      百三十五名       青木 幹雄君    井上 吉夫君       井上  孝君    井上  裕君       伊江 朝雄君    石井 一二君       石井 道子君    石原健太郎君       石本  茂君    板垣  正君       岩崎 純三君    岩本 政光君       上杉 光弘君    植木 光教君       浦田  勝君    遠藤  要君       遠藤 政夫君    小野 清子君       大河原太一郎君    大木  浩君       大島 友治君    大城 眞順君       大鷹 淑子君    大塚清次郎君       大浜 方栄君    岡田  広君       岡野  裕君    岡部 三郎君       長田 裕二君    加藤 武徳君       海江田鶴造君    梶木 又三君       梶原  清君    金丸 三郎君       亀長 友義君    川原新次郎君       河本嘉久蔵君    木宮 和彦君       木村 睦男君    北  修二君       久世 公堯君    工藤万砂美君       沓掛 哲男君    熊谷太三郎君       倉田 寛之君    小島 静馬君       古賀雷四郎君    後藤 正夫君       佐々木 満君    佐藤謙一郎君       斎藤栄三郎君    斎藤 十朗君       斎藤 文夫君    坂野 重信君       坂元 親男君    沢田 一精君       山東 昭子君    志村 愛子君       志村 哲良君    嶋崎  均君       下稲葉耕吉君    下条進一郎君       陣内 孝雄君    杉山 令肇君       鈴木 省吾君    鈴木 貞敏君       世耕 政隆君    関口 恵造君       曽根田郁夫君    添田増太郎君       田沢 智治君    田代由紀男君       田中 正巳君    田辺 哲夫君       高木 正明君    高橋 清孝君       高平 公友君    竹山  裕君       谷川 寛三君    坪井 一宇君       出口 廣光君    寺内 弘子君       名尾 良孝君    中曽根弘文君       中西 一郎君    中村 太郎君       仲川 幸男君    永田 良雄君       永野 茂門君    成相 善十君       西村 尚治君    野沢 太三君       長谷 川信君    服部 安司君       初村滝一郎君    林 健太郎君       林  寛子君    林  ゆう君       原 文兵衛君    桧垣徳太郎君       平井 卓志君    福田 宏一君       藤井 孝男君    二木 秀夫君       降矢 敬義君    星  長治君       堀内 俊夫君    堀江 正夫君       真鍋 賢二君    前島英三郎君       前田 勲男君    増岡 康治君       松浦  功君    松浦 孝治君       松尾 官平君    松岡滿壽男君       水谷  力君    宮崎 秀樹君       宮澤  弘君    宮島  滉君       向山 一人君    村上 正邦君       最上  進君    守住 有信君       森田 重郎君    森山 眞弓君       矢野俊比古君    柳川 覺治君       山岡 賢次君    山崎 竜男君       山内 一郎君    山本 富雄君       吉川  博君    吉川 芳男君       吉村 眞事君      ─────・─────
  53. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより日程第二ないし第七の六案に関し委員長の報告を求めます。税制問題等に関する調査特別委員長梶木又三君。    〔梶木又三君登壇拍手
  54. 梶木又三

    梶木又三君 ただいま議題となりました六法律案につきまして、税制問題等に関する調査特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  これら六法律案に係る今次の税制改革は、今後の高齢化社会の到来、経済社会の一層の国際化を展望しつつ、国民の税に対する不公平感を払拭するとともに、所得、消費、資産等の間で均衡のとれた安定的な税体系を構築することを目指して行われるものであります。  これら六法律案の内容につきましては、既に本会議において趣旨説明が行われておりますので、簡単に申し上げます。  まず、税制改革法案は、今次の税制改革の趣旨、基本理念及び方針を明らかにするとともに、簡潔にその全体像を示し、改革が包括的、一体的に行われることを目的とするものであります。  次に、所得税法等の一部を改正する法律案は、所得税について税率の累進構造の緩和、基礎控除等の引き上げ、有価証券譲渡益の原則課税等を行い、法人税について税率の引き下げ、法人土地取得に係る借入金利子の損金算入の制限等を行い、相続税について遺産に係る基礎控除の引き上げ等を行うことにより、これらの税の負担軽減合理化並びに税負担の公平の確保を図り、また、酒税について従価税率の廃止等簡素化を図り、同税及びたばこ消費税並びに印紙税について消費税との負担調整等を行うとともに、石油税について課税方式を恒久的に従量税化するほか、取引所税及び有価証券取引税について税率の引き下げ等を行おうとするものであります。  次に、消費税法案は、広く消費に負担を求めるため、消費税を創設することとし、国内において事業者が行う資産の譲渡等及び保税地域から引き取られる外国貨物を課税対象として、税率を百分の三とし、課税の累積を排除するための仕入れ税額控除について、帳簿上の記録等に基づき計算する方式を採用するとともに、中小零細事業者の事務負担等に配慮して、事業者免税点、限界控除及び簡易課税制度等についての規定を設けるほか、物品税、砂糖消費税、トランプ類税、入場税、通行税の五税目を廃止しようとするものであります。  次に、地方税法の一部を改正する法律案は、個人住民税につき、所得税の改正と同様の趣旨から負担の軽減合理化等所要の改正を行うこととするとともに、消費税の創設に伴い、料理飲食等消費税、娯楽施設利用税、道府県たばこ消費税、市町村たばこ消費税及び不動産取得税について負担の調整等を行うほか、電気税ガス税及び木材引取税の三税目を廃止しようとするものであります。  次に、消費譲与税法案は、消費税の収入額の五分の一相当額を消費譲与税として都道府県及び市町村に譲与しようとするものであります。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案は、地方交付税総額の安定的確保を図るため、新たに消費税地方交付税の対象税目に加えようとするものであります。  以上の六法律案は、去る七月二十九日国会に提出され、十一月十六日に衆議院から送付、同月二十一日の本会議及び本特別委員会において趣旨説明が行われました。  委員会におきましては、税制問題等に関する調査及び六法律案議題として、総理、関係大臣等に対して質疑を行うとともに、公聴会を開催したほか、参考人から意見を聴取いたしました。  特に、十二月六日及び七日には、リクルート問題等に関する件について証人から証言を聴取いたしました。  委員会における質疑については、今回の税制改革に対する強い国民的関心を背景に、各委員の質疑は終始熱心に行われ、またその対象も広範多岐にわたり、かつ詳細な論議が展開されました。  その主な事項について申し上げますと、所得、消費、資産等の課税上のバランスのあり方、不公平税制是正に対する政府の取り組み姿勢、税率構造フラット化等による所得再配分機能喪失の懸念、国際的視野に立った法人税制のあり方、早急に消費税導入を図ることの理由と背景、実質的負担者の立場及び納税義務者の立場から見た消費税の仕組み、税率引き上げの歯どめについての考え方、消費税の円滑かつ適正な転嫁の実現のための対策、消費税の執行に当たっての弾力的運営の具体的内容、消費税導入に伴う社会的弱者への対策、地方財政がこうむる減収補てんの方策、地方自主財源の減少に伴う地方自治後退の懸念等についてでありますが、その詳細は会議録に譲ります。  十二月二十一日、質疑終局の動議が提出され、多数をもって可決されました。  質疑を終わり、直ちに六法律案を一括して採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  55. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 六案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。矢原秀男君。    〔矢原秀男君登壇拍手
  56. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました税制改革法案に対して、反対討論を行うものであります。  まず初めに、衆議院に続き参議院税制問題等調査特別委員会において政府自民党強行採決に及んだことは、議会制民主主義を踏みにじる暴挙であり、断じて容認できません。今回の暴挙は、消費税の問題点を覆い隠し、リクルート疑惑の解明をあいまいにしようという意図が明白であります。  私どもは、議会制民主主義を守る立場から、政府自民党に厳重に抗議するとともに、税制改革法案採決について、これを撤回するよう強く要求をいたします。  我々は、今回の税制改革は、明白な公約違反であり、国民合意が得られていないと断ぜざるを得ません。これが反対する第一の理由であります。  政府自民党は、大型間接税導入するために、これまでにも選挙公約を初め政府統一見解、国会決議違反と国民を欺き、約束を踏みにじってまいりました。国民の大多数が消費税導入反対であることは、各種の世論調査において示されているところであります。我々には、税制改革について、審議を通じて理解を深める、また、十分な審議を経たとする総理の答弁がいかにも空虚に響くものを禁じ得ないのであります。また、税制改革法案を提出した大蔵大臣がリクルート疑惑で辞任しましたが、竹下総理は何の責任もとらないまま消費税を強行しようとしております。これでは政治不信は増大するばかりであります。  反対の第二の理由は、不公平税制是正について大きな課題を積み残していることであります。  我々は、国民の税に対する不公平感を払拭し、国民合意の長期的展望に立った税制確立するために、税制改革の趣旨、手順等を示した税制改革基本法を提唱し、税制改革の筋道を示してまいりました。不公平税制については、野党四党共同で主要な不公平税制項目に絞り、その具体的改正案政府に提示し、その是正に全力で取り組んできたのであります。その結果、不公平税制の一部については是正の着手を見ましたが、いまだ不十分であると言わざるを得ません。不公平税制を放置したまま消費税導入すれば、不公平は温存され、その不公平が拡大されることは必至であります。  国民生活に大きくかかわりのある税制改革は、時間をかけ、真剣かつ責任ある審議を通じて、まず不公平税制是正に取り組むことが何よりも必要であります。国民の期待にこたえ、公平な税制を目指す上で、総合課税制度の再構築は欠くことのできない条件であります。我々の粘り強い主張により、有価証券譲渡所得、利子所得の総合化、さらには、これを実効あるものにするための納税者番号制度の導入を含めて、総合課税の再構築という所得税改革の方向性が明らかとなったことは大いに評価できるものの、このために速やかな実施が急務であります。  私どもは、不公平の最たるものである土地問題を早急に是正する必要があるとかねてから主張してまいりました。四野党共同で土地対策緊急提言、土地基本法構想など具体策を示し、また、税制についても土地増価税の創設を初め多くの提案をいたしました。しかしながら、土地問題については後追い的、場当たり的な施策をとるにとどまり、抜本的な対策はいまだにとられていないのであります。しかも、今回の税制改革においては、所得、消費、資産の間のバランスのとれた税体系の構築と称しているにもかかわらず、土地に対しては税制面でも何ら具体策を講じていないのであります。  さらに、政治資金への課税公益法人課税医師優遇税制、みなし法人課税法人関連税制についても問題の先送りが行われております。  政府自民党は、不公平是正を求める国民の声に謙虚に耳を傾け、是正に全力を尽くすべきであります。  第三の反対理由としては、消費税について示された八つの懸念が全く解消されず、消費税導入は到底納得できるものではないことであります。  税率の歯どめについては法律的な措置が具体的に示されておりません。  政府自民党は、消費税導入の目的として高齢化社会への対応を挙げておりますが、この消費税がどのように高齢化社会に対応するのか、社会保障費との関連については極めてあいまいであり、なぜ消費税なのかという素朴な疑問に何ら答えようとしていないのであります。高齢化社会への対応というのであれば、まず受益と負担のあり方を含め、高齢化社会のビジョンを明確にすべきであります。  政府は「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」と題する福祉ビジョンを提出しましたが、高齢化社会ビジョンというにはほど遠い内容であります。また、ここでも施策と財源との関係については不明確であります。高齢化社会の支え方についての検討をせずして、歳出需要が増大するという一般論だけで消費税導入するというのでは財源あさりそのものであります。政府自民党が法律的措置を明確にしない限り、税率の歯どめの懸念は払拭できません。  また、総理は、逆進性については、その解消のため歳出面で対応するとしております。しかしながら、この逆進性は間接税そのものが持っている特性であり、決して中和できるものではありません。特に、年金生活者、生活保護世帯などを初めとして国民のすべてが負担しなければならないという大衆課税である消費税は、低所得者であればあるほど生活に影響を及ぼすものであります。低所得者層に対する心のこもった社会福祉対策の拡大が必要であります。  また、事務負担軽減については、帳簿方式、簡易課税制度の採用で対応したとしておりますけれども、これは税額計算を比較的容易にしたというものにすぎません。むしろ、帳簿方式であるためかえって会計処理の面で複雑となったとの声もあり、また、これまでの納税事務に新たな負担が加わり、事務負担は決して軽減されていないことは言うまでもありません。  第四の反対理由は、消費税導入を最優先する余り、新たな不公平、無用な混乱を招こうとしていることであります。  導入まで四カ月という極めて短期日、急ぎ足の導入については、国民のだれもが理解しがたいのであります。アメリカでは、付加価値税導入を検討した財務省報告において、法案通過後導入までに十八カ月は要するとして十分な準備期間を見ているのであります。少なくとも、それは納税者側に立った当然の措置でありましょう。無理な導入でいたずらに納税義務者を混乱させることは断じて容認できません。  我が党は、一昨日、ここに至って少なくとも消費税の施行を一年延期するよう政府自民党に申し入れを行いました。しかし、まことに遺憾ながら、耳を傾けようとしない政府自民党税制改革案は、公平・中立、簡素という基本理念とは逆に極めて複雑なものであります。事務手続の簡素化及び小規模事業者の負担軽減の理由で創設された簡易課税制度、限界控除制度は、この適用基準が著しく高いために、本来の趣旨を大きく逸脱し、消費者の支払った税金が税金とならずに事業者の利益となるという問題が生じているのであります。しかも、業種によってはマージン率が異なるため、簡易課税を選択できるものとできないものとの間に格差が生まれるという問題が生じるのであります。  また、簡易課税制度は、昭和二十三年から二十四年にかけて我が国で実施された取引高税と同様に、節税のため垂直方向での企業合併が行われることが予想されます。人件費の比率が高くマージンの高い業種にあっては、簡易課税制度の適用を受けるため、売上高五億円以下にするよう企業分割が予想され、経済への中立性が損なわれる税制であることを指摘しなければなりません。改めて施行一年延期を主張するものであります。  また、政府自民党は、消費税の転嫁のために転嫁カルテルを認めております。独占禁止法を改正してカルテルを認めることは、価格カルテルかどうか事実上チェックすることは不可能であり、カルテル体質を蔓延させかねません。消費税導入のために独占禁止法の本旨を骨抜きにすることはまさに本末転倒であります。  私ども公明党・国民会議は、政府自民党に対し、消費税法案は撤回するよう強く要求するとともに、不公平税制是正を徹底し、所得税、相続税減税を消費税とは切り離して実施するよう要求するものであります。  あわせて、私どもは証人喚問、リスト公開などリクルート疑惑の真相究明の突破口を開いてまいりましたが、国民の政治への信頼を回復するためにも、政府自民党に対し、参議院においてもリクルート特別委員会の設置等リクルート疑惑の解明に全力で取り組むことを再度要求するものであります。  最後に、公明党が国民の立場で要求した公的年金の完全自動物価スライド制の導入や在宅介護基金の創設等の消費税導入により生活を脅かされる社会的立場の弱い方々を守るための諸施策の完全な実行を求め、私の反対討論を終わります。(拍手
  57. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 平井卓志君。    〔平井卓志君登壇拍手
  58. 平井卓志

    ○平井卓志君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました税制改革関連六法案につき、賛成の意見を表明するものであります。  我が国の現行税制は、昭和二十四年のシャウプ勧告を原点とするものでありますが、我が国経済はその後の四十年間に驚異的な成長を遂げています。所得水準は飛躍的に上昇し、その平準化が進んでおります。また、国民生活が豊かになって、国民の嗜好もさまざまとなり、消費は多様化すると同時に、サービス化をしております。一方、他の先進国が経験してきたように、人口の高齢化が急速に進んでいるところであります。  このように我が国の社会経済は著しく変化してきておりますが、一方、我が国の税制はその動きに追いつけず、さまざまなゆがみを内包した時代おくれのものとなっております。すなわち、財政事情の悪化等により本格的な所得減税が行われてこなかった等から、税負担が勤労所得に偏り、また資産所得に対する課税が不十分なこともあって、サラリーマンを中心とした納税者の重税感、不公平感が高まってきております。  一方、消費課税は嗜好品等特定の物品にのみ高い税負担を課する形となっていることなどから、税負担にアンバランスが目立ち、また税体系全体に占めるウエートが低下しております。こうした個別消費税制度は先進国に例を見ないものであることから、制度の相違が対外的な摩擦の原因ともなっております。さらに、国際的に見て高い負担となっている法人税や、長期間見直しの行われていない相続税の見直しも必要となっているところであります。こうした税制の問題点をこのまま放置すれば、国民の税に対する信頼が失われることは必定であります。  税は国の根本を支えるものであり、国民の皆様に税を納めていただくことが不可欠である以上、公平感を持って納めていただくことができるような税の仕組みをつくることは政治の当然の責務であります。その意味で、私は所得、消費、資産等の間でバランスのとれた税体系を構築しようとする今回の改革案を高く評価し、全面的に賛成するものであります。  改革の基本的な考え方につきましては税制改革法案に示されているとおりでありますので、以下、具体的な内容について賛成理由を申し上げます。  第一に、所得税、住民税負担の軽減合理化についてであります。  所得税及び住民税の税率構造につきましては、最高税率を引き下げるとともに、その累進度を一層緩和し、また税率の段階を所得税は五段階に、住民税は三段階にそれぞれ大幅に簡素化することとされております。  また、基礎控除や配偶者控除等の人的控除の引き上げに加え、十六歳から二十二歳までの扶養親族については、一般の扶養控除にかえて割り増し控除を認めることとされております。  さらに、いわゆる寝たきり老人に係る控除額を引き上げるとともに、退職所得控除額について、勤続三十年で従来の千万円から千五百万円へと大幅な引き上げが図られているところであります。これらの措置によって働き盛りの中堅所得者層を中心とした重税感が大幅に緩和されることになり、評価できるものであると考えております。  第二に、税制に求められる大原則の一つである負担の公平の確保のための措置についてであります。  初めに、株式等のキャピタルゲイン課税についてでありますが、株式等の譲渡益課税については、これまでの原則非課税原則課税に改めることとし、具体的には申告分離課税方式を原則とし、上場株式等の譲渡益については、納税者の選択により源泉分離課税によることができることとされております。ただし、公開前に取得した株式等を公開後一年以内に譲渡した場合には、源泉分離課税の選択を認めないこととされております。また、株式等の譲渡益課税のあり方につきましては、利子所得課税のあり方の見直しとあわせて見直しを行うものとされたところであります。  次に、社会保険診療報酬の課税の特例についてであります。その年の社会保険診療報酬が五千万円を超える者には、この特例を適用しないこととされております。  さらに、法人の一定の土地取得に係る借入金利子の損金算入を、企業土地転がしによる地価高騰を防ぐ意味も含め、制限する措置であります。  これらの措置は、いずれも適正、公平な課税を実現し、税制全体に対する国民の信頼をより強固なものとするために必要な措置であり、極めて有意義なものであると考えます。  第三に、国際的視点に立った法人税制確立であります。  法人税の税率については、基本税率を段階的に三七・五%にまで引き下げ、中小法人に対する軽減税率等につきましても所要の措置を講ずることとされております。いわゆる経済の空洞化を生じさせないためにも、今回の法人税率等の引き下げ等はぜひとも必要な措置であります。  第四は、相続税等についてであります。  相続税につきましては、課税最低限を引き上げ、税率構造の見直しを行うとともに、配偶者の負担を軽減する等の負担の軽減合理化のための措置がとられております。また、不当な税負担回避行為についても必要な対応策がとられております。  さらに、事業用及び居住用の小規模宅地等についての特例につきましては、事業の継続や居住の安定に配慮し、その減額の割合を引き上げることとされております。  これらの措置は、昭和五十年以来の経済情勢の変化及び最近の地価高騰の状況を考慮し、最大限の努力を払った極めて適切な対応であります。  第五に、間接税制度の抜本的見直しについてであります。  現行間接税制度のさまざまな問題を根本的に解決し、安定的でしかも信頼感のある税制を構築するために、消費税法案提案されるとともに、既存間接税の抜本的見直しを行うこととされております。  この消費税は、消費に広く薄く負担を求めるため、非課税取引を土地の売買、金融、保険等その性格上対象となり得ないもののほか、医療、教育、社会福祉の一部などに限定して、原則としてすべての物品やサービスの売り上げを課税対象とするとともに、その税率は三%と極めて低い水準とされております。  また、この種の税になじみの薄い我が国の現状にかんがみ、仕入れ税額控除を帳簿等に基づいて行う帳簿方式を採用するとともに、中小事業者の事務負担に極力配慮する観点から、事業者免税点制度や簡易課税制度等を設けることとしており、簡素な仕組みとなっております。  これらの消費税の仕組みについては、今後の定着状況を十分勘案して必要な見直しを図られたいと存じます。  さらに、消費税地方への配分について、その収入額の一定割合を地方公共団体に譲与するとともに、地方交付税の対象税目とする措置を講じ、地方財政の運営に支障を来さないよう配慮することとされております。  こうした間接税制度の改革は、所得税、住民税の思い切った減税等と相まって、税体系全体を通ずる税負担の公平の確保を図るとともに、高齢化、国際化に対応する観点からも今こそ断行すべき必要不可欠な措置であると確信するものであります。  この際、政府に要望いたしますが、消費税はその円滑かつ適正な転嫁が極めて重要であります。今般、事業者及び国の転嫁に関する義務が明確化されたところでありますので、政府においてはこの趣旨をも十分に踏まえ、円滑な転嫁の実現のためには消費者及び事業者の理解と協力が不可欠であることを認識し、消費税の性格や仕組み等についての十分な広報を行うことはもとより、できる限りの措置を講ずるべきであります。  また、消費者の立場からは、便乗値上げがあってはならないことであり、この点についても政府として適切に対処する必要があります。  さらに、消費税導入後半年間は弾力的運営を行うものとする旨の規定が追加されたところでありますので、政府においてはこの趣旨に即し適切な運営を行うよう要望しておきたいと思います。  以上、今回の税制改革は、現行税制が抱えている各種の問題点を是正しより公平な税体系の確立を目指すとともに、二十一世紀を展望して国民福祉の充実に必要な安定的な歳入構造の構築を図るものとして評価できるものであることを申し述べ、私の賛成討論を終わります。(拍手
  59. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 柳澤錬造君。    〔柳澤錬造君登壇拍手
  60. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました税制改革関連六法案に対して、反対討論を行います。  まず冒頭に、去る二十一日夜の税特委における自民党強行採決は、まことに遺憾であり、異常であり、無効であり、議会制民主主義を踏みにじる暴挙であります。  その日まで参議院らしく整々粛々として連日まじめに審議を続けてきたにもかかわらず、あの強行採決によって良識の参議院に大きな汚点を残してしまいました。自民党には、あのような行動を制止し、与野党が話し合いで道筋をつくる良識ある指導者がいなかったのかと思うと、残念でなりませんでした。この行動によって民主主義政治を汚したことに対し、強い不満を表明しておきます。  さて、反対の第一は、なぜ消費税導入をそんなに急ぐのか、まだ審議が不十分であるということです。  政府は、この税制改革はシャウプ勧告以来の改革であると強調してきました。また、自民党税調でもこれをまとめるのに二百数十時間も論議をしたはずです。それを国会では、この法案が衆議院本会議趣旨説明されたのが九月二十二日であり、それから数えてまだ三カ月しか過ぎていません。  総理、今デノミを実施するとしたらどのくらいの期間をかけますか。デノミはお金の呼称を変えるだけで、税金がふえるのではありません。それでも、フランスの例を見ても二年間は準備期間としています。それをなぜそんなに急ぐのですか。実施が一年ぐらいおくれても十分審議を尽くして不合理な点は修正し、国民が理解し、納得してもらえる税制改革案とすべきであり、それを数の多数に頼んで何が何でも成立させようという態度は、総理竹下内閣など歴史の一こまにすぎないという謙虚な言葉を聞かされましても、実際は逆で、大平内閣は一般消費税で失敗した、中曽根内閣は売上税で失敗した、わしは断固としてこの消費税を成立させてみせると言っているように聞こえるのです。  反対の第二は、この消費税は問題点が多く、それらが解明されないままの欠陥法なのです。  年間売上高三千万円以下は非課税であり、三千万円以上六千万円以下は限界控除制度とし、五億円以下は簡易課税制度と、それぞれ認めておりますが、これらの関連は少しも明らかになっておりません。免税店で一万円の商品を買っても消費税はゼロ、デパートなら百円の商品を買っても三円の消費税が取られるのです。そうかと思えば、タクシーのごときは、五億円以上の大手企業も三千万以下の非課税企業も、全部消費税三%を上乗せしたタクシー料金に統一するというのです。  さらに、国民から見れば、この品物には幾らの消費税が含まれているのか全くわからないのです。その点をただすと、百三分の三で考えてもらいたいと言うのですが、日本は自由経済の国家であり、商品の価格は店によって全部違うのです。需要の多い商品は転嫁が可能でありますが、需要の少ない商品は転嫁することもできず、結局、事業者が自分で負担することになってしまい、これらをどう扱うのか、整理されていません。  反対の第三は、この消費税は目的と実際が違っていることです。  法案趣旨説明では、公平、中立、簡素を基本原則として、所得税を軽減して直間比率を改めることと、高齢化時代に備えるとして消費税導入すると言っていながら、その収入五兆四千億円は、その六割強の三兆四千億円を間接税の廃止に使い、四割の二兆一千億円は地方交付税消費譲与税として地方公共団体に配分することにしています。これで高齢化時代に備えることになるのでしょうか。  また、直接税が重いのでというのであれば、昨年度も六兆円からの自然増収があったはずであり、だったら、せめてその半分の三兆円ぐらいは所得税で減税をいたしますと政府から言うべきなんです。大蔵省というのは税金を取り立てることしか考えておらず、予算をオーバーして幾ら自然増収があっても、それを国民に返すことなど考えていないのであり、その感覚がこの消費税案です。  反対の第四は、この消費税は歴代自民党政権の放漫財政のしりぬぐいを国民にさせるものです。  あの第一次石油ショックのとき、民間企業では必死になって合理化をし、各家庭では収入減から支出を切り詰めて、大変な苦しみをして生き抜いてきたものです。  それに対して政府は何をしたのでしょうか。日本経済が高度成長をしておった昭和三十年代、四十年代の二十年間をGNP対比で国家予算を見てみますと、平均一二・六五%となっているのです。政府昭和五十一年以降この一二・六五%を歯どめとして予算編成をしていたならば、今の百五十九兆円もの膨大な国債残高などできず、せいぜい三十兆円ぐらいでありましょうに。そうすれば、本年度予算の国債費も十一兆五千百二十億など必要なく、二兆円もあれば足りるんです。したがって、九兆五千億も余ってしまうのですから、消費税の五兆四千億など全く必要としないのです。  これら歴代自民党政権の放漫財政の結果財政破綻を来したというのに、その責任についても何ら明確にせず、反省の言葉もなく、それでこのような消費税導入するというやり方は、羊頭狗肉のたぐいと言わざるを得ません。  最後に、政府国民のためにあるのです。国民政府のために税金を納めているのではありません。政治が国民のための政治を執行しておれば、国民は必要な税金を納めてくれます。それを相も変わらず税金を取り立てる立場の論理だけを主張していますが、もう少し税金を納める国民の立場になって考え、国民の声に耳を傾けて再検討すべきなんです。  あわせて、今やリクルート事件に関連して国民の政治不信は極めて強く、これに対してどのようにして国民の政治への信頼を回復させるか、これこそ税制改革以上の重要問題であり、内閣の命運をかけて取り組むべき課題であることを強く訴えて、私の反対討論を終わります。(拍手
  61. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  62. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) これより六案を一括して採決いたします。  六案に賛成諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  63. 土屋義彦

    議長土屋義彦君) 過半数と認めます。  よって、日程第二ないし第七の六案は可決されました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後六時散会