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国務大臣(
竹下登君) まず、
質問に先立ちまして、
天皇陛下の御
病状に触れられ、その御快癒の速やかならんことを祈るとの御
発言がありました。私
どもも全く同じ気持ちであります。
さて、
お尋ねの点に入ります。
まず、問題がいろいろございました。いわゆる
米ソ首脳会談、そして
イラン・イラク問題、アフガニスタンからの撤兵、こういう一つの潮流というものは私
どもも十分認識しております。その間にいろいろな問題がございましょうとも、私ど
もとしたしましては私
どもの果たせる
役割をこれに十分果たしていくべきである、このような
基本的な
考え方に立っておるものでございます。したがいまして、これらの問題につきまして、私
ども、この流れの中で現実をよく見きわめながら
対応していかなければならない課題だと思っております。
次にまた、
ゴルバチョフ書記長の
演説にも
お触れになりました。先ほ
どもお答えいたしましたように、対
日関係に
改善の空気が見られる部分につきまして、大いに歓迎をするところであります。
七つの
提案につきまして、それぞれ読んでみますと、従来からの基調に大きな
変化が見られておるとは思いませんが、今後、より具体化していくことを心から期待いたしておるところであります。
次に、
防衛問題等について
お触れになりました。
まず、
米国における議会を中心とするいわゆる負担の分かち合い、すなわちバードンシェアリングの問題について
お触れになりました。私
どもも十分
関心を持っておるところであります。そこで、この二つのレポートにつきまして、米下院
軍事委員会の
防衛責任分担パネルより中間報告書が出されたことは承知いたしております。これは
米国議会における一つの
考え方を取りまとめられたものと受けとめておるところであります。
我が国としては、
世界の平和及び
繁栄に貢献するため、増大した国力にふさわしい
役割をみずから積極的に果たしていくということは当然の責務と
考えておるところであります。
御指摘の
米国防総省の研究なるものにつきましては、
我が国を潜在的脅威としてとらえた机上作戦演習が行われたということが報道されたこともございますが、そのような机上作戦演習が行われた事実はないというふうに私
どもは理解しております。
そこで、対日
防衛分担要求等についての
基本的な
考え方でありますが、
米国において、近年の
日米間の
経済情勢をも反映しまして、議会を中心に
我が国に一層の
防衛努力を求める
動きがありますことは十分承知しております。安保条約上、
我が国に対する武力攻撃が発生した場合に
我が国を
防衛する
立場にある
米国として、
我が国の
防衛努力について
関心あるいは期待が生じてくるというのはこれは自然な姿だと思います。
一方、
我が国は、
憲法及び
基本的な
防衛政策に従って節度ある
防衛力の整備に努めておるところ
であります。そしてまた、在
日米軍経費の負担につきましても可能な限りの
努力をして今日に至っておるところであります。これらはすべて
我が国の自主的判断に基づいて行っているものであるということが
基本でございます。したがって、この
防衛問題に対する分担要求、ちょっと
お触れになりましたが、あるいはそれ以外の経済
協力でございますとか、そういうことに対する
努力は今後とも続けていかなければならないと
考えておるところであります。
それから、アーミテージ国防次官補の
発言を引用なさいました。
そもそも、同氏の
我が国防衛費についての
発言の真意は、
我が国の着実な
防衛努力を高く評価して
米国内の理解を求めることを意図されたものではないかというふうに
考えております。
防衛費の定義、範囲、それはなかなか
国際比較することは難しい問題であることは従来も申し上げておるところでありますが、いずれにせよ最も重要なことは、
我が国の
防衛費はあくまでも
専守防衛等の
基本理念に従って、大綱の
もと、中期
防衛力整備計画の着実な実施を図っていくために必要な経費を計上して今日に至っておるということであります。今後とも、御指摘を体し、節度ある
防衛力の整備に努めてまいる
考え方であります。
したがいまして、現下の
国際社会の平和と安全が依然として力の均衡によって
維持されておるということは、これはまた冷厳な事実であります。こういう認識に立ちまして、
我が国は
憲法の
もと、
基本的な
防衛政策に従って、大綱に定めます
防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防の着実な実施に努めておるというのが現状でございます。
この際、シーレーン
防衛等につきまして、従来からの
防衛力整備の目標を前提にしておるものであることは言うまでもございません。
我が国が
憲法上保有し得る空母についても、現在これを保有する計画がないということは、いつも申し上げておるとおりであります。
最後に、
日本の
国際的平和への
対応のことに対して、御激励をも含めた
お尋ねがございました。
国際社会の平和と
繁栄は、
日本の生存と
発展の基礎であります。
我が国は、今や
国際秩序の主要な担い手の一人であるという認識の上に立って、
我が国の豊かさを
世界の平和と
繁栄のために率先して生かすことが必要である。具体的には、平和と
軍縮、これに対する貢献、そうしてまた経済問題に対する貢献、そうして途上国の安定、これが
世界全体の平和と
繁栄に寄与することは申すまでもないところでございますので、これらの点について積極的に取り組んでいきたいと思っております。
したがって、平和への
協力あるいは文化交流あるいは経済
協力、これらを
国際協力構想として発表いたしておりまして、これを着実に実行していくことが
我が国に課せられた使命であろうと、このように
考えておるところであります。
以上で
お答えを終わります。(
拍手)
〔
国務大臣田澤吉郎君
登壇、
拍手〕