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1988-09-21 第113回国会 参議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年九月二十一日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第五号   昭和六十三年九月二十一日    午前十時開議  第一 国家公務員等任命に関する件     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、元議員木内四郎君逝去につき哀悼の件  一、検察官適格審査会委員及び同予備委員選挙  一、日程第一  一、米の自由化反対に関する決議案嶋崎均君外八名発議)(委員会審査省略要求事件)  一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案趣旨説明)      ─────・─────
  2. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第六十五番、選挙選出議員、福島県選出石原健太郎君。    〔石原健太郎起立拍手
  3. 藤田正明

    議長藤田正明君) 議長は、本院規則第三十条により、石原健太郎君を運輸委員に指名いたします。      ─────・─────
  4. 藤田正明

    議長藤田正明君) さき院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員木内四郎君は、去る八月三十一日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。  ここにその弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされ特に院議をもつて永年の功労を表彰せられさき議院運営委員長予算委員長等の要職に就かれまた国務大臣としての重任にあたられました元議員勲一等木内四郎君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます      ─────・─────
  5. 藤田正明

    議長藤田正明君) この際、欠員中の検察官適格審査会委員及び同予備委員各一名の選挙を行います。
  6. 鈴木和美

    鈴木和美君 検察官適格審査会委員及び同予備委員選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  7. 橋本敦

    橋本敦君 私は、ただいまの鈴木君の動議賛成します。
  8. 藤田正明

    議長藤田正明君) 鈴木君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、検察官適格審査会委員小野明君を、  同君予備委員吉川春子君を、 それぞれ指名いたします。      ─────・─────
  10. 藤田正明

    議長藤田正明君) 日程第一 国家公務員等任命に関する件  内閣から、電波監理審議会委員芦部信喜君を、  中央労働委員会委員青木勇之助君、石川吉右衞門君、市原昌三郎君、川口實君、北川俊夫君、神代和俊君、高梨昌君、萩澤清彦君、福田平君、舟橋尚道君、細野正君、山口俊夫君及び渡部吉隆君を 任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  まず、電波監理審議会委員中央労働委員会委員のうち青木勇之助君、石川吉右衛門君、市原昌三郎君、川口實君、北川俊夫君、神代和俊君、萩澤清彦君、福田平君、舟橋尚道君、細野正君、山口俊夫君及び渡部吉隆君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  11. 藤田正明

    議長藤田正明君) 総員起立と認めます。  よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。  次に、中央労働委員会委員のうち高梨昌君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  12. 藤田正明

    議長藤田正明君) 過半数と認めます。  よって、これに同意することに決しました。      ─────・─────
  13. 藤田正明

    議長藤田正明君) この際、お諮りいたします。  嶋崎均君外八名発議に係る米の自由化反対に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。  よって、本案議題といたします。  まず、発議者趣旨説明を求めます。嶋崎均君。    〔嶋崎均登壇拍手
  15. 嶋崎均

    嶋崎均君 ただいま議題となりました米の自由化反対に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党・国民連合を代表して、提案趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     米の自由化反対に関する決議案   本院は、第九十一回国会において国民生活の安定のため、食糧自給力強化を図り、我が国農業漁業発展生産力増強に向けて政府が万全の施策を講ずるべきことを決議し、また第百一回国会において、特に国民主食であり、かつ、我が国農業基幹作物である米の完全自給を図るため、食糧行政に万全を期すべきことを決議した。   米及び稲作は、我が国にとって食生活農業生産地域社会、国土保全等多方面において格別に重要な地位を占めているばかりでなく、日本文化とも密接な関係を有し、また、健全な我が国社会維持発展を支えるものとして、国民全体の重大関心事である。   このような重要な作物である米について、生産者の多大な努力により、全水田面積の三割に及ぶ厳しい生産調整による需給均衡政策内外価格差縮小をめざす合理化政策を懸命に進めているところである。   このような情勢下において、今般伝えられる米国内の我が国に対する自由化要求動きは、極めて遺憾であり、認められない。   よって政府は、二度にわたる本院の決議趣旨を体し、断固たる態度で臨むべきである。  右決議する。  以上であります。  申し上げるまでもなく、米は、我が国食生活が多様化した現在におきましてもやはり国民主食であり、我が国農業の伝統的な基幹作物であります。また、稲作は、農家経営地域社会の安定、国土の保全等多くの面において重要な役割を果たしているのであります。  本院は、このように重要な作物である米につきまして、既に食糧自給力強化に関する決議及び米の需給安定に関する決議を行い、米を初めとする食糧自給力強化に関する本院の姿勢を明らかにするとともに、政府に対して万全の対応措置を講ずるよう要請してきたところであります。  しかるに、今般伝えられます米国内の我が国に対する米自由化要求動きは、現在、全水田面積の三割にも及ぶ厳しい生産調整もとで、内外価格差縮小等国民の要請にこたえるべく懸命な生産性向上への努力を重ねている稲作農家に大きな不安を与えるとともに、国民主食である米の安定供給にも重大な影響を及ぼしかねないものであり、到底容認できるものではありません。  よって、本院といたしましても、改めて米の自由化反対姿勢内外に表明することが必要であると考え、本決議案提案するに至った次第であります。  何とぞ議員各位の御賛同を心からお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  16. 藤田正明

    議長藤田正明君) これより採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  17. 藤田正明

    議長藤田正明君) 総員起立と認めます。  よって、本案全会一致をもって可決されました。  ただいまの決議に対し、農林水産大臣から発言を求められました。佐藤農林水産大臣。    〔国務大臣佐藤隆登壇拍手
  18. 佐藤隆

    国務大臣佐藤隆君) ただいまの御決議に対しまして、所信を申し述べます。  我が国において格別に重要な地位を占める米及び稲作について、現在生産者の多大な努力により、消費者の御理解と御支援を得ながら、需給均衡努力合理化努力を懸命に行っているところであります。  政府といたしましては、このような情勢を踏まえ、ただいま採択されました御決議趣旨を体し、遺憾のないよう対処してまいりたいと考えております。(拍手)      ─────・─────
  19. 藤田正明

    議長藤田正明君) この際、日程に追加して、  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 藤田正明

    議長藤田正明君) 御異議ないと認めます。田澤国務大臣。    〔国務大臣田澤吉郎登壇拍手
  21. 田澤吉郎

    国務大臣田澤吉郎君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正を内容としております。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官定数海上自衛隊二百九十五人、航空自衛隊二百二十四人、統合幕僚会議四人、計五百二十三人増加するものであります。これらの増員は、海上自衛隊については艦艇航空機就役等に伴うものであり、航空自衛隊については 航空機就役等に伴うものであります。また、統合幕僚会議については日米防衛協力推進等のためのものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一に、航空自衛隊の効率的な隊務運営等を図るため、骨幹組織を整備するものであります。すなわち、航空自衛隊飛行教育集団輸送航空団保安管制気象団及び術科教育本部を廃止し、新たに航空支援集団航空教育集団及び航空開発実験集団を置くものであります。  第二に、予備自衛官の員数を陸上自衛隊千人、海上自衛隊三百人、航空自衛隊二百人、計千五百人増加するものであります。これらの増員自衛隊予備勢力を確保するためのものであります。  以上が防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案趣旨でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  22. 藤田正明

    議長藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。久保田真苗君。    〔久保田真苗登壇拍手
  23. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、ただいま提案されました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正案及び防衛問題並びに内外政治情勢につき、日本社会党護憲共同を代表して、総理大臣及び関係大臣質問いたします。  まず、天皇陛下の御病状が重篤と伝えられます。御病状の好転を願って、お見舞いを申し上げます。  さて、竹下首相総理大臣に就任されたちょうどその時期に、世界は大きな転換に向かって歩み始めました。米ソ中距離核ミサイル全廃条約の批准から、さらに戦略核の半減に向けて対話が進められ、米ソ和解を中心として、長年のイランイラク戦争を初め各地の地域紛争に停戦、和解の展望が開けております。国際連合調停役としての復活も注目されるところでございます。アジアにおいても、中ソ関係改善兆しが見られ、朝鮮半島におきましても南北対話中韓接近兆しがあらわれています。  経済面でも、米国の対共産圏貿易の増大、ココム規制緩和への動きといった緊張緩和への大勢の背景に、米ソ両国経済事情が反映しているとも言われますが、特にソ連政権内政外交での大胆な立て直し政策が作用していることは、各国がひとしく認め、評価するところとなっております。  今、この経済情勢変化を好機として緊張緩和軍縮を積極的に推進し、みずからも努力することが平和主義に立つ日本の道であると考えます。  総理は、朝鮮半島を初め対外政策のかじを今後どのようにとっていくおつもりか、所信を伺います。  九月十六日、クラスノヤルスク市でゴルバチョフ書記長内政外交に関する演説を行いました。書記長はその中で、日ソ関係正常化を希望し、通商、経済関係につき評価し、人的及び漁業の分野の諸問題、また信頼醸成を妨げている諸問題の解決を示唆しております。  特に、アジア太平洋地域安全強化のための七項目具体的提案は、国際的信頼醸成措置の欠けている日本周辺アジア地域の問題として真剣に吟味すべきものと思いますが、総理はどのように受けとめておられますか、御所見を伺います。  また、七項目には、日本に直接関係がある提案もあります。デタントに向け政府も前向きに対処すべきであると考えますが、外務大臣の御所見を伺います。  そこで、最近閣議を経て発表されました防衛白書についてです。  まず一読して残念に思うのは、相変わらずのソ連悪者論ソ連脅威論のレールを走る防衛庁の硬直した姿勢であります。自衛隊縄張り拡大予算獲得にはその方が好都合でしょう。しかし問題は、白書ソ連軍事力増強を理由に日本軍事力増強の必要を説き続け、その結果として、早期前方対処、すなわち日本の領域からますます遠く離れたところで自衛隊軍事活動が行われる危険性が増していることであります。  前年版白書に比べましても、要撃の範囲を無制限に拡大すること、あるいは先制攻撃否定のくだりを削除したこと、そして、政治による軍事の十分な把握という前年の記述を削除していることが気になります。防衛庁は一体何を考えているのでしょうか。日米共同作戦実務者レベルの手に握られていることと相まって、国民の目に見えないところで憲法原理原則を踏みにじる軍事行動を拡大することが懸念されます。防衛庁長官の明確な答弁を求めます。  このことは、アメリカの国防省の国防報告や「ソ連軍事力」に表明されているアメリカ前方展開戦略、すなわちできるだけ米本土から遠いところで戦い、米本国核攻撃から守ることと軌を一にしていると言わざるを得ません。そのために日本自衛隊を、日本防衛だけでなく、欧米をも救うため、極東ソ連軍をヨーロッパに移動させない目的のために、いわゆる第二戦線構想として極東で戦火を開くというようなことは日本では到底受け入れられないと考えますが、総理はどうお考えでしょうか。  次に、非核原則についてであります。  米海軍イージス艦バンカーヒル駆逐艦ファイフが先日横須賀に入り、ここを母港化いたしました。両艦はトマホーク発射装置を装備する艦で、核弾頭つきのミサイルは二千五百キロの射程を持ち、太平洋や黄海からソ連極東軍事基地を軽く射程内におさめると言われます。横須賀市議会が両艦の入港見合わせ意見書全会一致で採択し、神奈川県知事横須賀市長も、国是である非核原則厳正遵守とその状況の明確化外務大臣に要請されました。  政府が従来からとっている説明は、核持ち込み事前協議対象であり、米国から事前協議がない以上核は持ち込まれていないというものですが、このたびは従来のケースと違い、この両艦が横須賀を母港として常駐するというものですから、両艦の入港に際して政府は何らかの協議を受けたのではありませんか。  米側はこれまで、核の有無を一切公表しないのが米の核政策であると言っておりますが、事前協議という制度のもと日米間でそういう発言はあり得ないはずではありませんか。日本国民核抜きを信じるかどうか、それも重要ですが、さらに重要なのは、トマホーク攻撃目標とされる国がそれを信じるかどうかということです。有事に際して、相手国はこれらの艦をすべて核つきとみなして対処するほかないでしょう。  今や事前協議制を設けた意味すら失われ、米艦が実際に核を搭載していようがいまいが、横須賀核つき基地として扱われる運命に置かれ、国民はいつの間にかその危険を負わされる結果となっているのではありませんか。これは、日米間においても、政府国民との間においても許されない重大な違約なのではありませんか。政府バンカーヒルファイフ両艦の核の実態を明らかにすべきであります。総理及び外務大臣説明を求めます。  防衛庁昭和六十四年度の概算要求を決定しました。総額三兆九千二百七十二億円で、二千二百七十億円の増、率にして六・一三%増と相変わらずの突出です。これは、防衛費の増額も、陸海空自衛隊規模増強も望んでいない国民世論に反することは、本年の総理府調査でも明らかです。  さらに見逃すことができないのは、三兆円を超す後年度負担分の急増で、近いうちに防衛予算総額を追い越しかねない勢いです。陰の予算と言われる後年度負担増でさらに巨額の軍事費の先取りをするということは許されないばかりか、財政の硬直化拍手をかけることになります。予算をGNP一%以内、これを守って、後年度負担を大 幅に削減されるよう政府対処を求めます。ペルシャ湾においてイラン民間航空機を撃墜して多くの犠牲者を出し、アメリカ会計検査院から性能の誇大宣伝と決めつけられているイージス艦の導入をこの際見直していただきたいと思います。  次に、防衛二法です。  年中行事のように毎年なし崩しに安易な増員を続けることは、この際さっぱりと思いとどまっていただきたいのです。一般行政官増員が厳しく抑えられているのに比べて、余りにも甘い増員が際限なく続けられるということ、そのコントロールのなさは寒心にたえません。予備自衛官についても、規模役割が不透明のままで、毎年増員要求が出されるのは一体どういうわけでしょうか。消費税という大衆増税をもくろむ政府は、この際みずから軍縮への努力に全力を挙げ、このマンネリズムの二法案を撤回すべきではありませんか。総理及び防衛庁長官所信を伺います。  最後に一言申し上げます。  最近の政情は一般国民絶望感をすら与えております。お金が政治行政を腐敗させ、もはや回復は望めないという実感が広がってきております。総理府を初め通産省、防衛庁、税務署、畜産振興事業団国際協力事業団など、公務員等による汚職が続発し、自衛隊や現職の警察官による不祥事件も頻発するありさまです。  総理のおっしゃる「つかさつかさ」の尊重は、つかさつかさ責任をこそ明確に問うべきで、何々自衛隊一家、何々省一家、それあって国民なしのかばい合いの一家主義政府傘下に増長させることになっては大変だと思います。  しかし、このような風潮一大原因は、政治家政治にあるのではないでしょうか。民主主義原理原則をないがしろにしてやまない政治自浄能力を完全に失った政治が、私的利益を優先するたけだけしい風潮を公務の中にさえかき立てているのではないでしょうか。  リクルート疑惑審議に当たり、国会への証人喚問が停滞している中で、総理は、それは国会が決めることで、行政府の長である私は口を出さないと何度も答えておられます。残念ながらリクルート問題は、総理自身関係があるとも見られている。特別の事情にあるわけです。行政府の長でいらっしゃると同時に自民党総裁でもあられる総理がこのような答弁をなさることは、役人はもとより与党議員に対して幕引きを指示しておられるのに等しいのでございます。御自身に関連ありと見られるならば、なおさらのこと進んで国会での解明に真に協力なさるべきではないでしょうか。  政治自浄作用を回復することは国会責任であり、証人喚問資料調査国会職務遂行上必要なことでございます。今この問題にふたがされれば、一切の不祥事にはふたをするのがベストであるという、そういうやり方が政府全体を覆い尽くすに違いないと思います。総理の賢明な御対処をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  24. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、質問に先立ちまして、天皇陛下の御病気のお見舞いをお述べになりました。心から速やかなる御快癒をお祈り申し上げておるところでございます。  さて、お尋ねについてお答えをいたします。  まず、対外政策基本的考え方いかん、こういうことでございます。  世界の平和と繁栄日本の生存と発展の基礎でありまして、今や国際秩序の主要な担い手の一人となった我が国といたしましては、世界の平和と繁栄のために率先して協力していかなければならないと思っております。  こういう基本的考え方もとに、今、いわゆる国際情勢変化等についてもお触れになりましたが、平和と軍縮の促進、そして世界経済の健全な発展への貢献、さらには開発途上国の安定と発展への協力などを誠実に進めることによりまして、世界に貢献する日本の実現を目指していく考え方であります。  また、我が国といたしましては、朝鮮半島を含みます諸地域問題につきましても、その安定化のために可能な限りの努力をしていくことは当然のことであります。  さて、ゴルバチョフ書記長演説お触れになりました。  対日関係改善への意欲を示されたというふうに、私は率直にこれを歓迎いたしております。  いわゆる七項目についてもお触れになりましたが、今後ソ連アジア太平洋地域安全保障を高めるよう、具体的な行動をとられることを心から期待いたしておるところであります。  次に、米国軍事戦略にもお触れになりました。  政府といたしましては、米国安全保障政策基本紛争の抑止にあると考えております。こうした立場から、米国政府といたしましては、みずから防衛力整備のための努力を継続するとともに、価値観を等しくする諸国との安全保障面における協力関係維持発展を通じて、これら諸国との安全保障体制信頼性維持向上を図って、もって自由と民主主義を基調とする国際の平和及び安全の確保に努めておるものであるというふうに認識をいたしております。  なお、日米安保体制は、我が国の安全を確保いたしますとともに、極東における国際の平和と安全の維持に寄与するものであることは申すまでもありません。また、我が国防衛力整備が、憲法もと専守防衛等基本的な防衛政策に従って進められているものである点については、米国側も十分に理解いたしておるところであります。  次に、駆逐艦ファイフ及び巡洋艦バンカーヒル、これのいわゆる核搭載の問題についてお触れになりました。  トマホーク積載能力を有しておる艦船であると私どもも承知しております。従来より繰り返し説明しておるところでございますが、トマホーク積載能力を有することと現実にこれを装備することとは別個の問題であります。また、トマホークミサイルは、通常弾頭及び核弾頭の双方を装備できる核・非核両用兵器であるということであります。  いずれにしても、米国政府は、核持ち込み問題に対する我が国立場及び関心を、最高首脳レベルを含めて十分に理解いたしております。政府としては、核持ち込み事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことについてはいささかの疑いも持たないと、今日までの方針をそのまま確認いたしておるところであります。  さて、自衛官定数増等に具体的にお触れになりました。  平時から保有すべき防衛力の水準を定めました防衛計画大綱に従いまして、防衛力整備を進めてきておるところであります。今回の自衛官定数増は、こうした考え方もと、既に予算化されました艦艇航空機就役等に伴います要員を確保するためのものでございます。これを撤回する考えはございません。  最後に、リクルート問題等を含め、いわゆる政治自浄能力が失われたではないか、みずからその先頭に立つべきではないか、こういう御趣旨お尋ねでありました。  リクルート問題、これは行政面から調査する点もございます。また、既に告発を受けておりますので、そうした面からの対応もございます。が、しかしながら、やはりこの政治的道義的責任というものに対しては、これは私どもは絶えず、その対象に立ちながら、みずからの自浄能力を強めていかなければならないと思っております。  そこで、これについての証人喚問等の問題についての御意見がございましたが、これは長い間国会行政府の間のある意味において決まりのような形で申し上げております。私にいろいろな意見があるにいたしましても、その問題は国会自体でお決めになるべき問題である、このように考えておるところであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣田澤吉郎登壇拍手
  25. 田澤吉郎

    国務大臣田澤吉郎君) お答えいたします。  防衛白書については、六十三年版防衛白書については、本年が御承知のように中期防衛力整備計画の三年目に当たるのでございまして、したがいまして、その着実な推進状況を中心に、国際軍事情勢我が国防衛政策防衛庁における各種の検討課題などを取り上げ、国民の理解に資するよう、わかりやすい説明をしております。そのために、昨年版の白書と比べ、同じ内容であっても記述を平易にしたり、あるいはまた簡略化した部分もあるところであります。いずれにいたしましても、政府としましては、シビリアンコントロールの原則もと、今後とも節度ある防衛力の整備に全力を尽くしたいと考えております。  次に、防衛費についてでございますが、我が国防衛努力の現状に対して、基本的には国民の理解と支持が得られているものと確信をいたしております。  いずれにいたしましても、政府は現在、防衛計画の大綱に定める平時から保有すべき防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防衛力整備計画の着実な実施に努めているところであり、昨年一月の閣議決定に従い、今後とも節度ある防衛力の整備を行う方針に変わりはございません。  六十四年度の概算要求につきましても、このような方針のもとに後年度負担を含め所要の要求を行っているものでありますので、御理解をいただきたいと思うのでございます。  イージス艦の導入についてでございますが、イラン航空機撃墜事件においてもイージスシステムは設計どおりに機能したものと承知しております。イージス艦我が国の海上交通の安全確保にとっての近年の経空脅威の増大に効率的に対応するため必要であり、その導入を見直す考えはございません。  次に、自衛官定数増についてでありますが、先ほど総理からお答え申し上げたとおりでございます。既に予算化された艦艇航空機就役等に伴う要員を確保するためのものでありまして、いずれも厳格なスクラップ・アンド・ビルドを実施した上で必要な最小限度の所要を計上してきているものでありますので、今回の定数増についても撤回する考えはございません。  なお最後に、自衛隊は御承知のように我が国の独立と平和、そして国の安全を確保するという重要な役割を果たしているわけでございまして、したがいまして、この大任を果たすためには、私は自衛隊三十万の先頭に立って積極的にその推進をいたしてまいりたい。そのためには、やはり自衛隊はよき自衛隊員たる前によき社会人になるんだということで社会の、国民の信頼を得るように努力をしてまいりたいと思いますので、将来とも御理解と御指導のほどをお願い申し上げる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣宇野宗佑君登壇拍手
  26. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) ゴルバチョフ書記長の今次の演説に関しましては、総理からお話がございました。  若干補足させていただきますが、その演説の中で、両国関係に関する肯定的な傾向が来る政治的接触の間も継続されることを希望するといったようなこと等、対日関係改善の意欲を示されておりまするが、この点は率直に歓迎いたしたいと存じます。  他方、七項目提案の中には、核兵器の量の増強を行わない、また、米国のフィリピン基地のかわりにカムラン湾の補給基地放棄の用意があるなど、新しい提案も見受けられております。しかし、基本的には従来のソ連の主張に立脚した提案である、また、同地域の安全保障に関しましては内容にやや乏しく、さらに安全保障を高めるというふうな面が少ないような感じがいたします。しかしながら、こういう面に関しましても、今後いろいろの会談を通じまして語り合い、改善を図っていきたい、かように考えております。  なおかつ、バンカーヒルファイフ横須賀母港化の問題に関しまして、総理からも核の問題に関しましてはお答えがございましたから重複を避けたいと思います。この問題に関しまして、御理解を深めるために、経緯だけを申し上げておきたいと思います。  駆逐艦ファイフは本年九月末までに、また巡洋艦バンカーヒルについては本年中に横須賀に乗組員家族を居住させる計画が、米国からそれぞれ昨年の九月及び本年一月に発表されました。もちろん、日米安保条約及び関連取り決めに基づき、米国が艦船の乗組員家族を我が国に居住させること、同時にまた、艦船を施設、区域たる港に入港させることは何の問題もございません。したがいまして、この問題に関しましては、米国我が国に対しまして協議をしなければならないという立場ではないわけでございますが、しかし両艦につきましての今申し上げた計画に関しましては、事前に我が政府にも連絡があったということを申し添えておきます。(拍手)     ─────────────
  27. 藤田正明

    議長藤田正明君) 峯山昭範君。    〔峯山昭範君登壇拍手
  28. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま趣旨説明のありました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係大臣質問をいたします。  質問に先立ち、一昨日からの天皇陛下の御病状が一日も早く御快癒なさるよう、心からお祈り申し上げます。  さて、米ソによる歴史的な初めての核軍縮、INF全廃条約が締結された本年は、文字どおり米ソの雪解けを機軸に展開する大変革の時代と言っても過言ではありません。米ソのINF全廃条約締結を評して、米中接近にまさるとも劣らない第二次世界大戦後の快挙であるとか、東西対立の時代は終わり一つの軍拡時代がピークを越えたと言われております。大局的な見地からの、的を射た分析であると思います。  私は、この米ソによるINF全廃条約が締結された最大の原因の一つは、長年多額の軍事費の重圧にあえいできた両国国家経済の同時疲労、両大国の台所事情が火の車になったことにあると思います。今日までの度を超した軍拡による経済破綻、逼迫した経済的要因が、軍事中心から民生への資源配分を選択させ、軍縮への政策転換をなさしめ、新しいデタントをもたらしてきたと言えます。  昨年末のワシントンにおける会談に続いて、今年五月末のレーガン・ゴルバチョフ・モスクワ首脳会談、六月の第三回国運軍縮特別総会における世界的な軍縮の高まり、そしてアフガニスタンからのソ連軍の撤退開始、さらにはイラン・イラク紛争の八年ぶりの停戦など、INF全廃条約締結を契機として、十年来の世界問題、地域紛争が一挙に終息、平和軍縮の方向に進んできたことは歓迎すべき喜ばしいことであります。こうした現実のドラスチックな進展を知れば知るほど、世界軍事情勢はまさに大転換、大変容をしてきていると実感せざるを得ません。  しかし、昨今、我が国国会における防衛論議などの総理関係閣僚の答弁を聞いておりますと、こうした世界の潮流を当然知りながら、旧態依然の硬直した発言が目立ちます。INF全廃条約締結を初め、国連軍縮特別総会における軍縮の高まり、アフガニスタンからのソ連軍の撤退開始、八年ぶりのイラン・イラク紛争の停戦など、このように大変容してきた世界の平和軍縮の潮流を総理はどのように認識をされ評価をされておられるのか、この際、詳細にお聞かせ願いたいと思います。  また、去る十六日、ゴルバチョフ・ソ連書記長は、一、アジア太平洋地域の核兵器を増強しない、二、海空軍力の凍結と削減、三、フィリピンの米海軍基地放棄と引きかえにソ連のカムラン湾 基地の放棄、四、公海、国際空域における偶発事故防止のための関係国会議の開催など、アジア太平洋地域の安全のための平和七項目提案を行いました。  この項目の中には、対日正常化への積極的な提案も含まれており、当然、我が国の柔軟な対応が求められてくると思います。ゴルバチョフ書記長の平和七項目提案について、総理外務大臣の評価、具体的な感想をお聞かせいただきたいと思います。  このように世界の平和軍縮の機運が高まっているとき、先月、竹下内閣が初めて発表した昭和六十三年度防衛白書によると、世界の構造は力の均衡維持変化なしと述べつつ、ソ連軍事力増強変化は見られないとする旧態依然とした認識であります。  私は、防衛白書のこうした情勢分析に驚くとともに、今日大きく変容する世界の構造変化我が国政府はリアルに掌握し、正しく分析をしているのであろうかという疑念を強く持ちたくなります。今日の世界情勢認識と防衛白書の記述について、総理防衛庁長官の明確な御答弁を求めるものであります。  米ソ緊張緩和、雪解けにより地域紛争が終息をしていく世界の平和軍縮ムードの裏側で、昨今、我が国を取り巻く二つの不可思議な現象が目立っております。その一つは、米国の対日防衛分担要求が日増しに強まってきているということであり、もう一つは、米国防衛力増強に便乗、呼応するかのように、我が国自衛隊があらゆる面で拡大をしてきているということであります。  具体的事例は、去る八月五日、米国下院軍事委員会防衛分担特別部会における「日本・欧州における防衛分担についての中間報告」と、米国国防総省が独自に実施したという「日本の将来予測の戦略研究」の二つの対応に見ることができます。  特に後者は、第二次世界大戦以来初めてのことと言われ、経済力で世界のナンバーワンにのし上がった日本の将来に、米国が深刻な危惧を抱き始めたことを裏書きするものであるとさえ言われております。また、前者の「日本・欧州における防衛分担についての中間報告」では、数多くの専門家からの意見聴取と日本の実情視察に基づいて報告書がまとめられたと言われております。  この二つの日本レポートと研究について、竹下内閣はどのように情報徴収をし、また分析をなされているのか、詳細にお聞かせ願いたいと思います。  と同時に、この二つの日本報告について、竹下総理防衛庁長官はどのような見解をお持ちなのか、明確な答弁を求めます。  また、米国の一方的な対日防衛分担の強化が強まってきている現在こそ、対米防衛分担等、総体的なプログラムを持つ必要があるでしょうし、一方にはけじめをはっきりとさせていく必要があると思いますが、対日防衛分担要求問題について、総理外務大臣基本的かつ具体的な見解を求めるものであります。  さらに、もう一つの、米国防衛力増強に便乗、呼応するかのような我が国自衛隊の拡大は、昨今の大幅な円高差益による防衛費削減、縮小のまたとないチャンスでありながら、二年連続してGNP一%枠を突破し、正面装備の一段の拡充等、世界軍縮トレンドに逆行する軍備拡大の防衛予算等に如実に見られます。日本軍事大国ではないが軍事費大国であるとの批判があります。とともに、アメリカのアーミテージ国防次官補でさえ、日本はイギリス、ドイツ、フランスといった軍事費大国に肩を並べるまでの軍事費を拡大してきているとの評価さえ語るまでになりました。  総理、このような大幅な円高差益等により日本軍事費大国であるという指摘、アーミテージ氏の軍事費大国日本論について、どのような御見解をお持ちになっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。  私は、世界軍縮潮流のもと、現在、我が国防衛改革、軍縮を再考するまたとないチャンスであると思っております。こうしたとき、自衛隊における防衛費、装備、そしてシーレーン、洋上防空等の行動範囲の拡大が顕著であります。自衛隊の装備、行動範囲の拡大などから、我が国は空母さえ持つのではないかと言われております。こうした空母などの装備拡大及び行動範囲の拡大はさらに必要なのか、総理の御所見をお聞きしたいと思います。  中国の偉人、孫文は、「世界の潮流にとうとうと逆らうものは滅び、従うものは栄える」と述べております。米ソ首脳会談やゴルバチョフ・ソ連書記長の平和七項目提案など、昨今、他国指導者による積極的な平和攻勢が目立ちます。世界に誇る平和憲法を持つ日本総理として、我が国の積極的な国際的平和対応を期待したいと最後に要望して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  29. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、質問に先立ちまして、天皇陛下の御病状に触れられ、その御快癒の速やかならんことを祈るとの御発言がありました。私どもも全く同じ気持ちであります。  さて、お尋ねの点に入ります。  まず、問題がいろいろございました。いわゆる米ソ首脳会談、そしてイラン・イラク問題、アフガニスタンからの撤兵、こういう一つの潮流というものは私どもも十分認識しております。その間にいろいろな問題がございましょうとも、私どもとしたしましては私どもの果たせる役割をこれに十分果たしていくべきである、このような基本的な考え方に立っておるものでございます。したがいまして、これらの問題につきまして、私ども、この流れの中で現実をよく見きわめながら対応していかなければならない課題だと思っております。  次にまた、ゴルバチョフ書記長演説にもお触れになりました。先ほどもお答えいたしましたように、対日関係改善の空気が見られる部分につきまして、大いに歓迎をするところであります。  七つの提案につきまして、それぞれ読んでみますと、従来からの基調に大きな変化が見られておるとは思いませんが、今後、より具体化していくことを心から期待いたしておるところであります。  次に、防衛問題等についてお触れになりました。  まず、米国における議会を中心とするいわゆる負担の分かち合い、すなわちバードンシェアリングの問題についてお触れになりました。私どもも十分関心を持っておるところであります。そこで、この二つのレポートにつきまして、米下院軍事委員会の防衛責任分担パネルより中間報告書が出されたことは承知いたしております。これは米国議会における一つの考え方を取りまとめられたものと受けとめておるところであります。我が国としては、世界の平和及び繁栄に貢献するため、増大した国力にふさわしい役割をみずから積極的に果たしていくということは当然の責務と考えておるところであります。  御指摘の米国防総省の研究なるものにつきましては、我が国を潜在的脅威としてとらえた机上作戦演習が行われたということが報道されたこともございますが、そのような机上作戦演習が行われた事実はないというふうに私どもは理解しております。  そこで、対日防衛分担要求等についての基本的な考え方でありますが、米国において、近年の日米間の経済情勢をも反映しまして、議会を中心に我が国に一層の防衛努力を求める動きがありますことは十分承知しております。安保条約上、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に我が国防衛する立場にある米国として、我が国防衛努力について関心あるいは期待が生じてくるというのはこれは自然な姿だと思います。  一方、我が国は、憲法及び基本的な防衛政策に従って節度ある防衛力の整備に努めておるところ であります。そしてまた、在日米軍経費の負担につきましても可能な限りの努力をして今日に至っておるところであります。これらはすべて我が国の自主的判断に基づいて行っているものであるということが基本でございます。したがって、この防衛問題に対する分担要求、ちょっとお触れになりましたが、あるいはそれ以外の経済協力でございますとか、そういうことに対する努力は今後とも続けていかなければならないと考えておるところであります。  それから、アーミテージ国防次官補の発言を引用なさいました。  そもそも、同氏の我が国防衛費についての発言の真意は、我が国の着実な防衛努力を高く評価して米国内の理解を求めることを意図されたものではないかというふうに考えております。  防衛費の定義、範囲、それはなかなか国際比較することは難しい問題であることは従来も申し上げておるところでありますが、いずれにせよ最も重要なことは、我が国防衛費はあくまでも専守防衛等基本理念に従って、大綱のもと、中期防衛力整備計画の着実な実施を図っていくために必要な経費を計上して今日に至っておるということであります。今後とも、御指摘を体し、節度ある防衛力の整備に努めてまいる考え方であります。  したがいまして、現下の国際社会の平和と安全が依然として力の均衡によって維持されておるということは、これはまた冷厳な事実であります。こういう認識に立ちまして、我が国憲法もと基本的な防衛政策に従って、大綱に定めます防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防の着実な実施に努めておるというのが現状でございます。  この際、シーレーン防衛等につきまして、従来からの防衛力整備の目標を前提にしておるものであることは言うまでもございません。我が国憲法上保有し得る空母についても、現在これを保有する計画がないということは、いつも申し上げておるとおりであります。  最後に、日本国際的平和への対応のことに対して、御激励をも含めたお尋ねがございました。  国際社会の平和と繁栄は、日本の生存と発展の基礎であります。我が国は、今や国際秩序の主要な担い手の一人であるという認識の上に立って、我が国の豊かさを世界の平和と繁栄のために率先して生かすことが必要である。具体的には、平和と軍縮、これに対する貢献、そうしてまた経済問題に対する貢献、そうして途上国の安定、これが世界全体の平和と繁栄に寄与することは申すまでもないところでございますので、これらの点について積極的に取り組んでいきたいと思っております。  したがって、平和への協力あるいは文化交流あるいは経済協力、これらを国際協力構想として発表いたしておりまして、これを着実に実行していくことが我が国に課せられた使命であろうと、このように考えておるところであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣田澤吉郎登壇拍手
  30. 田澤吉郎

    国務大臣田澤吉郎君) お答えします。  まず、今日の世界情勢認識と防衛白書の記述につきましては、ただいま総理の御答弁のとおりでございますが、御指摘にもありましたように、国際情勢にはINF条約の締結等の動きはありますが、他方、海、空軍力を中心とした極東ソ連軍の質量両面にわたる増強とその行動の活発化という趨勢に変化が見られないのが実情でございます。  次に、米国内のレポートについてのお尋ねでございますが、米下院軍事委員会の中間報告については入手しておりますが、もう一つのものについては、その存在を含め防衛庁としては承知しておりません。  下院軍事委員会の中間報告について申し上げますれば、現在米国内において、同盟国とのバードンシエアリングの問題に関し、この中間報告を含めさまざまな議論が行われていることは御承知のとおりでございます。これらの議論には共通して、経済力が相対的に向上した我が国に対し、国際社会でより積極的な役割を果たしてほしいとの米国の期待がうかがわれるのでありますが、私としましては、個々具体的な点は別としましても、このような期待を米国が抱いているという点については理解できるところであります。  我が国防衛力整備については、このような米国側の期待を念頭に置きつつも、あくまでも自主的な判断に基づき行うとの方針に変わりはございません。引き続き中期防の着実な実施に努力してまいる所存でございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣宇野宗佑君登壇拍手
  31. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) ゴルバチョフ書記長演説に関しまして総理から詳しくお話がございました。  若干補足いたしますが、今後、日ソ間には外相会談、あるいはソビエトの議員の訪日、さらには首脳会談、そうしたことも予想されます。したがいまして、そうした政治的接触ということに関しまして、両国関係に関する肯定的な傾向が継続されることを希望すると、こういうような発言でございますから、そうした両国の関係改善の意欲、これに対しましては私も歓迎の意を表したい、かように存じております。  また、今峯山議員が申されましたカムラン湾とか、あるいはフィリピンの基地の関連する問題等々新しい提案も見受けられておりますけれども、従来からのソ連提案というものに立脚した発言が多い、また具体性に乏しい、そういう感じもいたしますが、しかし、今後両国の関係は大切でございますから、あらゆる接触を通じまして関係改善努力をいたしたい、さように心得ております。  また、米国の対日防衛分担金に関しましても総理から詳しくお話がございましたから、あえて重複を避けたいと思いますが、あくまでも日米関係というものは日本外交の基軸でございます。したがいまして、これを尊重するのは当然でございますから、防衛に関しましても、あくまで私たちは憲法を守りなおかつ防衛に関する基本的な政策、これに立脚いたしまして節度ある防衛努力を今後も続けていく。したがって、それはあくまで我が国としての自主的判断に基づくものである。そうした努力を今後も続ける。こういうふうに私たちは心得ております。  以上であります。(拍手)     ─────────────
  32. 藤田正明

    議長藤田正明君) 諫山博君。    〔諫山博君登壇拍手
  33. 諫山博

    ○諫山博君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について質問します。  今、世界の人々は、米ソによるINF全廃条約締結、イランイラク戦争の終結など、核廃絶と軍縮、平和実現の可能性に明るい希望を持ち始めています。ところが、竹下内閣は、既に世界第三位の軍事費の水準に達しながら、来年度も軍事費突出の予算を続けようとしています。竹下内閣最初の防衛白書でも、平和と安全が依然として核兵器を含む力の均衡に基づく抑止によって維持されていると、核抑止力論を殊さら強調しています。  先日、ニコシアで開かれた非同盟諸国外相会議の宣言は、核抑止力論は平和を守るどころか、核軍備は拡大する一方で、世界をかつてなく不安定で緊張した状況に追い込む根源となっていると痛烈に批判しました。  核抑止力論の具体化の一つは、核トマホークの問題であります。  陸の中距離核兵器の全廃が合意された後、海の中距離核兵器の規制が米ソ間の戦略核兵器半減交渉の焦点となっています。その際、査察問題の最大の障害となっているのは、核の存否を明らかにしないというアメリカ政府の政策であります。竹下内閣として、アメリカに対しこの政策の変更を 求めるつもりはありませんか。総理答弁を求めます。  核軍縮世界の流れに逆行して、政府はこのほど、射程二千五百キロもある核トマホークの装備確実と言われている米イージス巡洋艦バンカーヒル、米駆逐艦ファイフ横須賀を母港とすることを認めました。核トマホークが、横須賀を中心に我が国周辺海域で増大の一途をたどっています。これは、非核原則を空洞化し、太平洋地域において核兵器をふやし、核戦争の危機を一層増大させるものであります。主権国家として、核トマホークの有無をみずからの責任で検証することは、国民に対する責任であるにとどまらず、アジア太平洋地域の平和を愛する諸国民に対する責務でもあります。  この二艦船について核兵器搭載の有無を直ちに検証すべきだと思いますが、総理の明確な答弁を求めます。  二艦船の横須賀母港化と時を同じくして、今月二日、米軍の核攻撃機F16が岩手県の山中に墜落、炎上する事件が発生しました。墜落地点は国道三百四十号まで約三百メートル、五キロ北には小学校もあり、まかり間違えば大変な惨事になる可能性もありました。現場検証に赴いた警察官や地元住民が武装した米兵に追い返されるという事態も起きています。日本の空を我が物顔で飛び回り、国民の生命と安全が無視されているのを断じて許すことはできません。  これは、相手方レーダーをかいくぐってカムチャッカ半島、千島、サハリン、沿海州のソ連軍事施設、あるいは朝鮮半島への航空奇襲攻撃を想定した極めて危険なものです。  昨年十一月には、北海道日高地方の牧場で、競走馬が暴走してけがをしました。ことし八月二十五日には、三沢基地のF16が突然秋田空港の上を低空飛行して大問題になりました。県内全域にわたって低空飛行訓練が行われている秋田県では、秋田市を初め、県内自治体の八割を占める五十六市町村議会で、低空飛行の中止を求める決議を行いました。  総理並びに防衛庁長官、国土と国民に重大な被害を与え、我が国の主権を踏みにじり、我が国を核戦争に引き込む低空飛行、核攻撃訓練は直ちにやめさせるべきではありませんか。  また、F16そのものを撤去させるべきであります。既にスペインではF16を撤去させています。  以上二点について、総理並びに防衛庁長官の明確な答弁を求めます。  さて、今提案されている防衛二法改正案は、自衛隊増強し、日米共同作戦体制を一層強力に推し進めるものであります。今回の法改正で、自衛官定数を五百二十三人増員することにしています。これは新たに就役するF15戦闘機、護衛艦、P3C対潜哨戒機などに必要な自衛官を確保するものとなっていますが、増員される要員の配置計画を具体的に示してください。防衛庁長官答弁を求めます。  本改正案の目的は、航空自衛隊骨幹組織の再編強化によって日米共同作戦を効果的に進めることにあります。警察予備隊として発足した自衛隊を、組織の上でも日米共同作戦の一翼を担う本格的な軍隊として再編強化しようとするものです。防衛庁長官、違いますか。明確な答弁を求めます。  今回の法改正によって実現しようとしているのは、米軍を守るための体制の確立であります。米国防総省報告は、米空母機動部隊の主要な脅威はソ連のバックファイア爆撃機などの対艦ミサイル、さらに潜水艦であるとしています。この脅威を取り除くため、米軍は、OTHレーダー、早期警戒管制機、F15戦闘機、イージス艦、これらが一体となって空母を守るという縦深防御構想を持っています。このような米軍の構想に基づく軍備増強は、日米軍事同盟に基づき、我が国アメリカの引き起こす戦争に巻き込む以外の何物でもありません。総理答弁を求めます。  米核空母機動部隊を守るために毎年毎年最新鋭の装備を大量に購入し、そのために自衛官増員するなどというのは、これこそ核戦争準備と結びついた軍拡の道であります。昨年秋の国連総会では、日本政府賛成して、軍事費削減の決議が採択されました。国連では軍事費削減に賛成し、国内で軍備拡大を進めるというのは、国民を欺くばかりでなく、国際信義にも反するものではありませんか。総理の明快な答弁を求めます。  さらに、このような軍備増強路線が公約違反の消費税によって保障されようとしていることは極めて重大です。現に、防衛庁概算要求はことしも異常な突出ぶりを見せており、次期中期防の検討までも開始しようとしています。  消費税の導入を許さないことは、国民の生活を守るばかりでなく、日本の平和と安全のためにも極めて重要であります。九月十八日には、代々木公園が消費税に反対する十七万人によって埋められ、国会には消費税反対の署名が既に千六百万人分も寄せられています。天下の悪税消費税の導入は絶対にやめるべきです。どうしても導入したいというのであれば、国会を解散し、消費税導入を堂々と公約に掲げて国民に信を問うべきではありませんか。  我が党は国民とともにこのことを強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登登壇拍手
  34. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 最初のお尋ねは、海の中距離核兵器の問題でございます。  核装備SLCMに関しましては、その配備の制限及び効果的検証手段に関しまして、相互に受け入れ可能な解決策を見出すべく現在米ソ間で話し合いが行われておるところであります。したがって、この帰趨に注目をしておるところであります。我が国といたしましては、SLCM規制の問題を含めSTART交渉が東西間の安定強化に向けて進展することを期待しておるところでありまして、そのための米国努力を西側の一員として適切な形で支援してまいる、これが基本考えであります。  他方、今日の国際社会が依然として抑止と均衡を基盤としているということは否定できない現実であろうと思います。我が国としては、米国の戦略上の要請に基づく核の存在を肯定も否定もしないという政策の変更を申し入れるという考えは持っておりません。  それからファイフバンカーヒルの問題にお触れになりました。  先ほどもお答え申しましたが、トマホーク積載能力を有することと現実にこれを装備することとは別個の問題であります。また、通常弾頭核弾頭の双方を装備できる核・非核両用兵器であるということも申し上げたとおりであります。  いずれにせよ、安保条約上、艦船によるものを含め核兵器の持ち込みは事前協議対象となっておるものであります。したがって、累次説明いたしましておるとおり、核持ち込み事前協議が行われない以上米国による核持ち込みはない、これは相互信頼関係に立つ安保条約、お互いの国としてその考え方は当然のことであろうと思います。  それから米軍F16低空飛行問題にお触れになりました。  これは、我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与するという米軍の任務遂行上必要なものと理解しておるところであります。他方、米軍の飛行訓練に当たりましては、安全確保の徹底が図られるべきことは当然であります。したがって、今回の事故に際しても改めてその徹底方を米側に申し入れを行った、こういうところでございます。  三沢に配備されておりますF16は、日米安保条約の信頼性を高め、抑止力を強化し、我が国及び極東における平和と安全の維持に寄与するものと考えております。したがって、この撤去を求めるというような考えはございません。  イージス艦は、我が国の海上交通の安全確保にとって、近年の経空脅威の増大に効率的に対応す るため必要であるという考え方で導入するわけであります。また、OTHレーダーにつきましては、車守防衛を旨といたします我が国としては情報収集能力を強化するものとして有用ではないかという観点から、現在検討を進めておるものであります。  いずれにせよ、我が国防衛力というものは、その整備は自主的判断によって行っているものでありまして、縦深防御構想に基づくものだなどということは絶対にありません。  それから消費税防衛費関係お触れになりました。が、それに私は直接お答えする考えはございません。  いずれにいたしましても、我々は、今後、いわゆる日米安保条約というものを基調といたしまして、あくまでも自主的な立場に立って我が国防衛力というものに対応してまいりたい、このように考えておるところであります。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣田澤吉郎登壇拍手
  35. 田澤吉郎

    国務大臣田澤吉郎君) まず、F16の飛行訓練については、ただいま総理が御答弁されましたように、F16による航空訓練については、我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与するという米軍の任務遂行上必要なものと理解しており、その中止を求める考えはありません。  しかしながら、訓練に際しては事故防止について十分な配慮がなさるべきであると考えており、今回の事故に際しても、事故原因の究明と安全確保の徹底を申し入れたところであり、米側もこのことについては十分留意するものと考えております。  次に、自衛官定数増についてでありますが、今回の自衛官定数増は、既に予算化された艦艇あるいは航空機就役等に伴う要員を確保するためのものでありまして、いずれも業務の省力化、合理化等、厳格なスクラップ・アンド・ビルドを実施した上で必要な最小限の所要であります。  具体的には、艦艇航空機就役等に伴い新たに二千三百二十四人を配置し、その他の要員として新たに三百七十七人を配置するとともに、艦艇航空機の除籍等に伴い要員二千百七十八人を減じ、その差し引きの五百二十三人の定員増をお願いしているのでございます。  次に、自衛隊骨幹組織の整備についてでございますが、これは自衛力のより有効な機能発揮及びより効率的な隊務運営を図るために行うものであり、あくまでも我が国自衛のために整備するものであって、指摘は当たらないと、こう思います。  以上でございます。(拍手
  36. 藤田正明

    議長藤田正明君) ごらんのとおりに壇上で協議中でございますので、しばしお待ちください。——これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十八分散会