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国務大臣(竹下登君) まず、
答弁に入る前に、私がメモをとっておるということについての御意見がございました。
国会で
国民の代表の皆さん方に対する
答弁は、皆さん方の
国会の長年の慣例の蓄積の中で、
答弁漏れというのは最も避けなければなりません。したがって、私は、私の
答弁書にメモをいたしておるわけではございません。せっかくちょだいをいたしました原稿に対して、すべてこれを整理するために黒柳さんの原稿に対して私なりに線を引かしていただいたりしておりますので、その点は丁寧だと思ってお感じいただければ幸いでございます。
そこでまず、問題とされております
リクルートコスモスの株式の取引についてでございます。
御指摘のありました
政治家、その
関係者を含め、現行制度のもとにおきまして、それぞれその取引に当たった本人の
責任において行われたものであるといたしましても、また個々の取引がたとえ許された経済取引であるにいたしましても、
国民感情として割り切れないものがあるという批判については、これをしっかり受けとめなければなりません。李下に冠を正さずとの例えのとおり、私自身を含め、一人一人の
政治家が十分心していかなければならないと
考えております。
なお、同株式の公開に至るプロセスが投資家保護及び公正な証券取引の確保といった見地から適切な規制のもとに行われていたかという点につきましては、まず現行法の定めるところによって
調査検討を進めますとともに、
我が国経済
社会における健全かつ公正な証券取引の確保という観点から現行制度に欠けるところはないのか、各方面の意見を十分承った上、改善すべきはきちんと改善すべきであると思います。
次に、
リクルート株利益の
社会還元の御提言とでも申しましょうか、ございました。
その提言は提言といたしましても、当事者でない私自身がその処分について意見を述べることは差し控えさしていただきたいと思います。
それから、
新聞社に対しますリスト公開の要請がございました。
これは
社会の公器たる個々の
新聞社の判断にまつべきものであろうというふうに
考えております。
次の、
江副前
会長の
発言でございますが、正確な文脈を承知しておるわけではございませんけれども、御指摘のような
発言が報道されていたことは記憶にございます。その取引の
内容はそれぞれ異なった
内容でもございましょう。しかし、だから一概に
政治家だと決めつけるということについては、個々の事情の相違があることも
考えるべきだと思います。
また、私自身の問題であります。私の元
秘書の件につきましては、
新聞報道があった際本人から、自分の
責任で行った
個人取引であるとはいえ軽率でありましたとの釈明を受けております。
質問通告をお受けいたしましてから今まで
調査をいたしましたが、現段階でお尋ねの点
一つ一つにつきましてはまだ確認をいたしておりません。
次の問題は、捜査当局の関心の問題であります。これは
法務大臣からお答えを申し上げます。
潜水艦事故原因についてお答えいたします。
現在、
事故原因を速やかにかつ徹底的に究明すべく全力を傾注しているところであります。一日も早く
解明し、
事故防止に役立てたい、このように
考えます。
行動マニュアル提出の問題でございますが、防衛上の見地から制約はございますが、
国会の審議に際しては可能な限り資料を
提出してまいる、こういう
考えは昨日も述べたとおりでございます。
さて、航行安全対策であります。
自衛隊の艦船におきましても、
東京湾内等の交通のふくそうする海域におきましては、法令上は水先案内人を乗せる義務はございませんが、実質的に水先案内人に相当する訓練を経た隊員が常時乗っておるということが実情でございます。したがって、海上
自衛隊の艦船も海上交通安全法規を遵守して航行しなければならないことはもちろんであります。今回の
事故の例にもかんがみ、航行安全対策につきましては今後より一層徹底させてまいりたい、このように
考えます。
米原潜航行にもお触れになりました。
米軍艦船の航行に際しましては、海上交通
関係法令を遵守して安全確保に万全を期しているものと承知しております。
米側は、今回のような
事故があったことにもかんがみまして、改めて安全確保に万全を期するよう一層の徹底を図りたいとしているところであります。
政府としても、今後とも米軍艦船の航行安全の確保については一層留意してまいりたい、このように
考えます。
さて、税法にお触れになりました。
所信表明で述べましたとおり、現行
税制のゆがみを直して、
国民が納得できる公平で簡素な新しい
税制を実現することが現下の急務であると、このように確信をいたしました。したがって、この
臨時国会の召集をいたし、会期等をお決めいただいたところであります。
消費税を含む
税制改革を実現することが
政治の使命であると
考えまして、私の根限りの努力をもってこの課題に取り組んでまいります。したがって、
国民の代表たる皆様方に十分な御審議を心からお願い申し上げる次第であります。
さて、
増税なき
財政再建から触れて、
税制改革の手順についてお述べになりました。
たびたび申し上げておりますとおり、
行財政改革は
税制改革と車の両輪であります。引き続き財政のむだを省き、
行政改革を進めるための努力を続けてまいります。
負担の公平は、
税制に対する納税者の信頼の基礎となるものであります。今次
改革案では医師
税制につき思い切った見直しを行いました。有価証券
譲渡益を原則課税に改めるなど、
不公平税制の是正が盛り込まれております。なお、これらの点については十分御議論を賜りたい、このように
考えます。
税収動向につきましては、株式、土地取引の活発化等いろいろ
理由がございました。一生懸命やりましても、上にも下にもいわば
見通しの狂ったことが過去にもございます。いずれにしましても、多年にわたる論議を踏まえて、それこそ
改革を実現することが急務であると思います。
政治資金課税のあり方にもお触れになりました。
まさに
国会の場において御意見を拝聴すべき課題であるというふうに
考えております。
納税者番号制度につきましては、今
税制調査会の小委員会で検討をしていただいておるところでございます。その結果を見て
対応すべき課題であると思います。
消費税の諸問題について、八つについてお尋ねがございました。
転嫁があいまいで
事業者と
消費者の双方から批判があるとの指摘につきましては、
消費者や
事業者等に対し広範かつきめ細かい広報を行いますとともに、一定の要件のもとに表示方法や
転嫁方法に係る共同行為を認める旨の暫定的かつ
例外的な措置を認めるなどで適切に対処してまいります。
公平あるいは
逆進性の問題は、税体系全体として、また税の世界だけでなく歳出等も含めましてとらえるべきものであると
考えます。
さらに、いわゆる
不公平税制の是正は、今次の
税制改革において取り上げておるところでありますが、なお先ほど申しましたように十分な御議論をいただきたいと思います。
簡素の問題でございます。
帳簿方式や
簡易課税制度が、中小
事業者を
中心に納税事務を大幅に
簡素化することは明らかであります。また、このような制度のもとで、
消費者にとっては販売価格に三%の税が課せられているということに違いはないというふうに
考えます。
中立にもお触れになりました。
免税点制度が
価格形成の滑らかさに影響するという御指摘は、いわば
税制に関する基本的要請でありますところの簡素とそして
中立とのトレードオフの問題でありまして、今次
改革案はこれらの要請のよき調和点を求めたものではないか、このように
考えます。
法人負担を
個人が肩がわりするとの御指摘につきましては、所得、消費、資産等の均衡ある税体系の構築という観点から見まして、何ら非難されることではないと思っております。
なお、今次
税制改革が
内需拡大に資する、これは
疑いを持っておりません。
非課税に関して文教
関係にお触れになりましたが、
教育に係る経費について具体的にどのような
負担を求めることになるか、これは各設置者の判断にまつべきものでありまして、一概にこれを断定することはいかがかと思っております。
広く、薄く、公平にという観点から
消費税の
非課税取引は極力限定されておりますが、生活保護、在宅福祉など真に手を差し伸べるべき
方々に対しましては、これは先ほども申しましたように、財政面を含めて適切に対処したいと
考えます。
暫定的、
例外的カルテルに対する疑念でございます。
消費税の
転嫁方法の決定に係ります共同行為は、あくまでも
消費税の
税額部分についての上乗せに限って認めるものでございまして、本体価格は当然のこと、これは市場メカニズムで形成されるものであります。
便乗値上げあるいはカルテル等に対する懸念につきましては、これは厳正に各法規、法令、行政
指導等で対処してまいります。
なお、
税額別記の件については、今後十分に検討をお願いしたいと思います。
さて、その次のお尋ねは大変技術的な問題でございますが、一般的に売り上げが
仕入れを下回るときには
税額の還付が生じることなどから必ずしも合理的でないということはないと思います。
いずれにせよ、この問題については、御審議を速やかにそして十分に願うことによってそれぞれ懸念が中和、解消されるものである、このように
考えておるところであります。
次に、
外交問題にお触れになりました。
まず、カンボジア問題につきましての基本的な
考え方を申し上げます。
先般行われましたジャカルタ非公式会合におきまして、カンボジア四派とそしてベトナムを含む
関係当事者すべてが初めて一堂に会しまして、カンボジア問題の
政治解決について意見交換が行われ、
議長声明の発表にまでこぎつけましたこと自体は、私は積極的に評価すべきであると思っております。
また、実体面でも、四日間議論を尽くしたことで論点が絞られて、
和平達成へのモメンタムが高まったことは今後の
和平過程の進展を促す重要な成果であったというふうに思っております。
他方、
我が国は、従来よりカンボジア
和平の各過程において相応の
協力と
支援を行う用意がある旨を表明してきております。
今後、
和平プロセスが具体化する暁には、自由選挙実施の際の国際監視要員の派遣を含めた具体的貢献策について積極的検討を行ってまいる
考え方であります。
カンボジア問題解決後のインドシナ復興については、これは
我が国としても、従来より、その復興のため経済、
技術協力等を通じて可能な限り貢献していく方針を明らかにしてまいっておりますが、このような
協力の具体的あり方につきましては、それこそ解決の帰趨を見きわめた上で決めるべきものであるというふうに
考えておるところであります。
日ソ関係についての、これも基本的な
考え方を申し述べます。
ゴルバチョフ政権は、その成立後、内政、外政ともどもに従来とは異なるダイナミックな政策というものを表明し、あるいは展開しておられます。しかしながら、
ソ連の対日政策について、現在のところ領土問題等基本問題について変化は見られておりません。先般中曽根前
総理が訪ソされました際、
ゴルバチョフ書記長との会談におきまして、領土問題を含む
日ソ関係につき前
総理が述べられた率直な
見解に先方は耳を傾けておられたが、これらの問題について、されば先方からの
発言内容はどうであったかというと、現状において
ソ連の従来の立場を維持しておられると、こういうことでございます。
政府としては、真の相互理解に基づく安定した
日ソ関係を確立いたしますためには、北方領土問題を解決して平和条約を締結することが不可欠との基本方針を堅持いたしております。
我が国固有の領土であります北方領土について、四島一括返還、これを引き続き
ソ連側に強く求めていく
考えでありまして、
国境線の
確定論等この実現に至らないような諸提案を受け入れる立場にはございません。こうした基本的な方針を踏まえて、今後とも
政治対話の拡大強化を通じまして
日ソ関係進展のため努力をしてまいる所存でございます。
ゴルバチョフ書記長の訪日につきましては、前
総理と書記長との間で早期実現に努力する旨了解されたわけでございますが、依然として正式提案を今では待っておるという状況でございます。今後の
ソ連側の具体的
対応に注目をいたしております。
ただ、いずれにいたしましても、例えば領土問題で忌憚のない意見の交換をする、あるいは研究所等でスピーチを行う、またテレビ出演においてそれをノーカットで放映する、そういう条件というものが訪ソに当たって認められたということは、私は、そういういわゆるダイナミックな政策の展開というものの一つのあらわれではないかということに対して評価と
期待を持っておることも申し上げておきます。
次に、
イージスシステムの対
日売却、アメリカの上院要求等にお触れになりました。
アメリカ上院に
提出されております米国防予算歳出法案に、船体の建造を米国で行わない限り
イージスシステムを日本に
売却してはならない旨の条項が含まれていることは承知をいたしております。しかし、
我が国としては、このような条件が付されない形での購入を強く希望しておるところでありまして、米
政府も
我が国の立場を支持しておるという状況でございます。今後とも、
米議会の動向を見守りますとともに、
我が国が希望する形で
イージスシステムの購入がなされるように対処してまいるべきものというふうに
考えております。
さて、
自由化関連対策等について
決意を述べるということでございます。
先般の日米、日豪合意が
関係農家にとり極めて厳しい試練であることは私も十分
認識いたしております。今後、厳しい条件のもとで
我が国農業の存立を守りその体質強化を図っていくとの基本的
考え方にのっとりまして、所要の国内措置について最大限の努力を傾注してまいりたい、このように
考えます。
具体策といたしましては、牛肉については、国内肉用牛生産の振興合理化を推進するため肉用子牛の価格安定等に関する立法措置等について検討をいたしますとともに、当面懸念されております価格変動等に対処するための緊急対策についても、今まさに鋭意検討を進めておる段階でございます。
かんきつにつきましては、品質及び生産性の向上を通じ体質強化に努めますとともに、当面の需給、価格の安定等を図りますため、所要の具体的措置について鋭意検討を進めておるところでございます。
また、農産物十二品目につきましてもお触れになりました。
各品目ごとの生産、流通、消費等の実態を踏まえました国内措置につきまして、最大限の努力をこれまた続けてまいる所存であります。
いわゆる輸入食品の
検査問題であります。
食品の輸入件数の増加に伴いまして、その安全性の確保は極めて重要な課題であります。現在、全国各地の検疫所におきまして衛生上の
検査を実施しておりますが、今後とも輸入食品の
検査体制の充実に努力してまいる所存であります。
それから、米の包括
貿易法案についてお触れになりました。
米国のこの法案は、七月十四日に下院を通過して現在上院で審議中、そして、御指摘のとおり、いろいろな情報が今入っておるところでございますが、我が方はこれまで
米議会の包括
貿易法案の動向に強い関心を持って注視してきておりまして、この法案に対して、依然として多くの問題条項を含んでいることから、引き続き
米側に対して我が方の立場につき理解を得るべく働きかけていく
考え方であります。
我が方としては、レーガン政権が今後とも断固として保護主義と闘って、保護主義的色彩の強い法案が最終的には成立しないことを
期待しておるということであります。
整備新幹線にお触れになりました。
この問題は、国土の均衡ある発展、地域格差の是正等に資するプロジェクトとして、その推進について極めて強い要望があることは長い間承知しておるところであります。そこで、現下の財政事情から、また一方慎重な取り扱いも求められておるところであります。
こうした状況下にありまして、この取り扱いにつきましては、御指摘の点を含め、昨年末の
政府・与党間の申し合わせによりまして設置されましたいわゆる整備新幹線建設促進検討委員会、これで八月末までに結論を得べく検討を行っているところでございまして、その適切な検討結果が出ることを今
期待しておるという実情でございます。
それから、金融の
自由化から来る小口金利問題にお触れになりました。
預金金利の
自由化につきましては、信用秩序に配意をしながら前向きに進めていくこととしておりまして、金融情勢等を勘案しながら大口のものから順次段階的に今日に至ってまいりました。いわゆる小口預金金利についても、郵便貯金と民間とのトータルバランスの確保等の環境整備を図って、中小金融機関経営に与える影響をも考慮しながら、小口市場金利連動型預貯金を創設すべく引き続き努力をしてまいる、こういう過程にございます。
それから最後に、いま一つ郵貯の問題にお触れになりました。
行革審の意見書におきまして、「将来、金融
自由化が実現した段階においては、その経営形態及びその関連において財政投融資制度の在り方について検討を行う必要がある。」、こういう指摘を受けております。この指摘の趣旨を踏まえまして、将来においてどういうふうな状態であるか、現在、御承知のように郵便貯金が財政投融資資金の主要な原資となっている。こういう
現実も踏まえまして、非常に慎重な立場から検討をすべき課題であろうというふうに今のところ私なりに心の整理をいたしておるところでございます。
残余の
質問については各
閣僚からお答えをいたさせます。(
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〔
国務大臣宮澤喜一君
登壇、
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