○下村泰君 厚生省が
調査してできて
文部省ができないと。ちょっとおかしいじゃないですか、これ。まあ、別にこれを今差し迫ってそれがないから審議をとめるなんてばかなことは申しませんけれども、この厚生省の方のは一般の
学校の方へ五四・九%、三万六千九百人行っているんですから、この
内容をちょっともしできることならば調べておいてください。お願いします。
そこで、
多様化という点から見た場合、障害を持った
生徒は本当にその
多様化からほど遠い、限られた世界にいるわけです。
地域によっては
普通高校、全日制に入るとこれは大変なニュースになるわけですよね、これこれこういう
子供がこういう状態でこういう
学校に入ったと。大学へ入ったらもっと大騒ぎになる。いろいろな
コースがあるというのはこれはいいことだと思いますけれども、問題はそれが本当にその人の意思によって
選択されているか、また、できる状態になっているかということ。
例えば、訪問
教育というのがありますね。これは高校ではないんですけれども、本当に最重度で
学校に通うことができない
生徒にとっては外との交わりを持つ数少ない
機会ということになります、訪問
教育は。全国に五千ないし六千人の児童
生徒が義務
教育課程の中で受けています。養護
学校の中でも実施しているのは四百五十五校だけ。それで、ある訪問教師が、以前受け持った小学一年の女の子のことが今も忘れられない。心臓が悪く寝たきりでしたが、自宅を訪ねるといつも笑顔を見せ、人形みたいな子でした。抱いたり絵本を見せるとにこにこ笑うんです。でも、昨年、六十二年六月亡くなってしまいました。大部分の
生徒が高校に進学している中で、なぜ心身障害児だけが差別されなければならないのですかと言われていた。奈良県の重度の脳性麻痺の
生徒は作詩までできるようになったのに、中学を卒業後は外の世界との接触もなくなり、心身ともに退行したと聞きます。これはよくあることなんですね。
これ、いつも私は申し上げますけれども、大臣、いつかここで申し上げましたけれども、アメリカから来たエアロビクスの女子の先生がおる。このエアロビクスの女子のコーチがたまたま私の部屋へ来てくれました。それで、脳性麻痺とか障害者とか、そういうふうに体の動かない方
たちの前でエアロビクスダンスを踊るんだと。そのとき私質問したんです。全然体の動かない、けいれんも起こさない、じっとしている障害者がおるんですよ。車いすがありますね。あの車いすが斜めになっている。だから、ベッドと同じですよ。板と同じ。そこへ寝たまま縛帯、いわゆる縛られておる。何にも動かない、目も動かない。そういう
子供の前でエアロビクスをやって何の効果があるんですかと聞いたんです。そうしますと、その
子供たちの前で動いて、例えば目がちょっとでも動いている物体を追う、目がちょろっとでも、あるいは
自分も何とかしてその動きについていこう、あるいはリズムに乗っていこうとするような気配、本当に気配がちょっとでも起きればそれはそれで成功なんだ、この障害者に対するエアロビクスというのは。ですから、あなたのおっしゃっていることは私にはわかりませんと逆に言われまして、えらい恥をかきました。
その方がとにかく障害者のみを集めてエアロビクスダンスを見せますと、本当に中には、脳性の子は
自分で思わない声を出しますからね、狂声みたいになります。そういう奇声を発する子もおる。それから、動かない体を動かすように意識して動作をする子もいるそうです。
子供ばかりじゃありません。大人の方もおります。そういうことを
伺いますと、なおのこと普通の状態、健常者の間へ入れておいてやりたいんですね。隔離するとどんどん退化していくんですよ。ですから、心身ともに退行していくというのはよくわかるんですよ。
こういうことを申し上げまして、私、この間実は名古屋の岩倉市へ行ってきまして、問題になっておりましたあの円ちゃんですね。その件について岩倉市まで行って
教育委員長とお話もしてきました。何とかひとつその接点を見つけたいと申しましたら私のしゃべった記事を愛知
教育大学のある先生が見て、接点なんかあり得ないと、その先生が。親は親として
自分の
子供が知恵おくれなんだということを認めるべきだ、知恵おくれと認めて、障害を認めて、その子にそれ以上の
負担をかけるなというような言い方の先生でした。これは愛知
教育大学の先生です。教授ですわ。人間にはそれぞれの
意見があります。それぞれの持っている持論というのもあります。ただ、私もこういう「あゆみの箱」というようなものの運動に関係して今日まで来まして、こういう障害者の方々とお話をし、おつき合いをしていて感ずることは、どんな障害の子でも、ある程度こっちが裸でぶつかっていきますと、何か反応があるんですよ。何か反応がある。決してないことはない。ですから、先ほどスローモーションカメラだと申し上げましたけれども、知恵おくれの
子供というのはまさにスローモーションカメラなんですね。
けさほどちょっとニュースを見ておりましたら、そのスローモーションカメラの対象になる知恵おくれのお子さん
たちが、すばらしいつむぎ織りですかね。つむぎ織りだと思いましたが、けさニュースでやっておりましたが、織物を一生懸命やっている。しかもそれが商品価値のあるぐらいのできばえなんですね。これからもその
子供たちのリハビリをさせながら、そういったものを、手仕事を身につけさせるというようなことを言っておりましたけれども。
文部大臣もそういう小児麻痺のお子さんとかにお会いになったことがあると思いますけれども、この方
たちと会話するのは物すごく疲れるんですよ。普通の方で三分で済む話を聞いているのに一時間かかりますからね。ちょっと例を挙げれば、わあおうええと、こういう感じですね。それでも本人はしゃべっておるんですよ。これ、長くおつき合いするとわかる。ある程度わかりますよ。一〇〇%までいかなくても八〇%わかるんです。そういうふうになれるんですね。ですから、そういう退化させない、前へ少しでも進めていくためには、こういうことが必要だと私は思うのです。
週二回、二時間ずつでは、義務
教育九年間合わせても全日
教育の一年余り。そのために授業時間の不足を理由に留年させている例もあるわけです。わずかな自治体では、独自にいろいろやっています。極めて少ないです。長期欠席、長期入院者の
実態もきちんと把握できていません。訪問
教育についてはいろいろ
意見もあります。それされも
選択できず放置されている。こういった
実態を大臣はどうお
考えになりますか。また、
文部省当局はどうお
考えになりますか。わずか数千人の
子供のために努力はできませんとおっしゃるのか。ただ、くれぐれも誤解のないように願いたいのは、基本は通学
教育であって、訪問
教育ではありません。できればそうするように
教育行政が、可能なことを可能な限りにすべきであるというふうに私は願うんですがいかがでしょうか。