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政府委員(日吉章君) 幾つかの点の
お尋ねがあったかと思いますが、
一つずつお答えを申し上げていきたいと思います。
まず、
防衛関係費の伸びにつきましての
お尋ねといいますか、御
指摘がございました。これは決め手になることではございませんが、
一つの考慮していただくべき考えとして考慮いただければと思いますが、
大臣からいつも申し上げておりますように、
防衛といいますものは国の存立の
基本にかかわるものでございます。したがいまして、それに要する
防衛力の整備といいますのは、ある
意味ではコンスタントに整備を図るべき性格を持っているのではないかと思います。
そういう
意味で、経済成長率等の高い時期におきましては相対的に伸び率は低く、経済成長率等が低くなりましたときには相対的に伸び率が高くなるというふうな性格を、
国際情勢等が非常に流動的に動けば別でございますが、それを一定と考えますと、そういう性格を本来的に持っているのではないかと思います。したがいまして、三十年をとった場合あるいは十年をとった場合というところで出てまいります
変化というのは、私が今申し上げましたような性格がある程度反映している面があるのではないか、こういうふうな感じがいたします。
二番目は、
防衛力整備が専守
防衛の
基本的な性格を逸脱してきている点があるのではないかという
お話をなさいました。
一つの例といたしまして洋上防空、シーレーン
防衛等を例示されまして御
指摘をされたわけでございますが、あくまでも私どもは洋上防空、シーレーン
防衛いずれも専守
防衛でございまして、
我が国船舶の海上交通の安全を確保する
観点からどういうふうに
防衛力を整備するかという私どもの考え方は全く変わっておりませんで、例えば航路帯を設けます場合にはおおむね千海里程度あるいは
我が国周辺の場合は数百海里において海上交通の安全を確保し得るための
防衛力整備を図るという考え方は大綱策定以前から、三次防とかそういう計画を立てておりましたころからたしか申し上げていたことだと思いまして、
基本的に変わっていないと思います。
ただ、諸外国の軍事技術の水準が非常に発達してまいりましたので、非常に航続距離の長い航空機あるいは長射程のミサイルあるいは非常にスピードの速い航空機とかそういうふうなものが出てまいりましたので、専守
防衛に徹すれば徹するほど、比喩は適切かどうかわかりませんが、専守
防衛に徹します動物はキリンにいたしましてもウサギにいたしましても、長い耳、長い首を持たないといけない、こういうふうな性格がありまして、私どもは専守
防衛に徹するがゆえに、このような諸外国の軍事技術水準の動向に敏感に対応する形でいろいろな装備を、防御的装備を備えなければならないのではないかと、かように考えている次第でございます。
それから三番目の
お尋ねは集団的自衛権につきましての
お尋ねでございましたが、
我が国は原則的には小規模限定侵略には独力で対処する
防衛力を整備いたしているわけでございますが、それを上回ります侵攻等に対しましては、
日米安保体制のもと米側の支援を受けて
我が国を守る体制をとっております。そういう
意味におきまして、日米間におきましては緊密なる、あるいは技術なりあるいは情報なりの交換等が行われてもそれは一向に差し支えない話ではないかと考えております。
ただ、あくまでも私どもは集団的自衛権に抵触いたしますような武力の行使を、
我が国みずからが侵略を受けないにもかかわらず、同盟
関係にあります米国のみが侵略を受けた場合、侵害を受けた場合に、
我が国がそれに支援をするというふうな考え方は毛頭持っていないことは、もう
委員も先刻御承知のことと思いますが、そういうふうな集団的自衛権は行使しないという
基本的考え方は堅持しつつ、
日米安保体制のもとで米側との緊密な連携体制を整えていけるということでございます。