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1988-09-06 第113回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年九月六日(火曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員異動  七月二十八日     辞任         補欠選任      関  嘉彦君     柳澤 錬造君      宇都宮徳馬君     秋山  肇君  七月二十九日     辞任         補欠選任      秋山  肇君     宇都宮徳馬君  八月一日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     宮本 顕治君  八月二日     辞任         補欠選任      宮本 顕治君     吉川 春子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大城 眞順君     理 事                 板垣  正君                 名尾 良孝君                 永野 茂門君                 久保田真苗君     委 員                 岩上 二郎君                 大島 友治君                 大浜 方栄君                 岡田  広君                 古賀雷四郎君                 桧垣徳太郎君                 野田  哲君                 飯田 忠雄君                 峯山 昭範君                 吉川 春子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  高鳥  修君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  田澤 吉郎君    政府委員        内閣官房内閣広        報官室内閣広報        官        兼内閣総理大臣        官房広報室長   高田 朗雄君        人  事  官  佐野 弘吉君        人事院事務総局        管理局長     菅野  雄君        人事院事務総局        任用局長     森園 幸男君        人事院事務総局        給与局長     中島 忠能君        人事院事務総局        職員局長     川崎 正道君        内閣総理大臣官        房審議官     稲橋 一正君        内閣総理大臣官        房管理室長    文田 久雄君        公正取引委員会        事務局審査部長  植木 邦之君        総務庁長官官房        長        山田 馨司君        総務庁人事局長  勝又 博明君        総務庁行政管理        局長       百崎  英君        総務庁行政管理        局行政情報シス        テム参事官    重富吉之助君        総務庁行政監察        局長       山本 貞雄君        法務大臣官房審        議官       東條伸一郎君        外務省欧亜局長  都甲 岳洋君        外務省情報調査        局長       山下新太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        原   度君    説明員        法務省民事局第        一課長      永井 紀昭君        外務省アジア局        外務参事官    渋谷 治彦君        文部大臣官房人        事課長      奥田與志清君        厚生省保健医療        局管理課長    矢野 朝水君        厚生省援護局庶        務課長      新飯田 昇君        農林水産省畜産        局食肉鶏卵課長  太田 道士君        自治省行政局公        務員部公務員第        二課長      佐藤  信君    参考人        畜産振興事業団        理事長      今村 宣夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査  (一般職職員給与についての報告勧告国家公務員寒冷地手当の額についての勧告並びに一般職職員週休二日制及び勤務時間制度についての報告勧告に関する件)  (世界平和研究所への公務員の協力に関する件)  (輸入牛肉をめぐる談合疑惑に関する件)  (政府広報汚職に関する件)  (行政改革推進に関する件)  (個人情報の保護に関する件)  (戦地における遺骨収集に関する件)     ─────────────
  2. 大城眞順

    委員長大城眞順君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月二十八日、関嘉彦君が委員辞任され、その補欠として柳澤錬造君が選任されました。     ─────────────
  3. 大城眞順

    委員長大城眞順君) この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。田澤防衛庁長官
  4. 田澤吉郎

    国務大臣田澤吉郎君) このたび防衛庁長官を拝命いたしました田澤吉郎でございます。委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げます。  内外の諸情勢が厳しいこの重要な時期に、国家存立基本にかかわる国の防衛という大任を担うことになり、その責務の重大さを痛感いたしております。  私は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、日本国憲法に従い、国民の御理解もと、着実な防衛力整備実施日米安保体制信頼性向上に最善を尽くす所存であります。  また、先般の海上自衛隊潜水艦民間船舶衝突事故で多数の方々のとうとい生命が失われましたことに深く思いをいたし、このような痛ましい事故が二度と起こることのないよう万全の措置を講じ、今まで以上に国民に信頼される真に精強な自衛隊を育成していくため、全力を傾けてまいりたいと考えております。  本委員会におかれましては、多年にわたり防衛問題に真摯に取り組んでこられ、防衛行政推進に御尽力いただいてまいりましたが、今後ともなお一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。    ─────────────
  5. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 国家行政組織及び的家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本調査のため、本日の委員会畜産振興事業団役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 次に、一般職職員給与についての報告勧告国家公務員寒冷地手当の額についての勧告並びに一般職職員週休二日制及び勤務時間制度についての報告勧告に関し、人事院から説明を聴取いたします。佐野人事官
  8. 佐野弘吉

    政府委員佐野弘吉君) 御説明いたします。  人事院は、去る八月四日、国会と内閣に対し、公務員給与に関する報告及び勧告週休二日制等に関する報告及び勧告並びに寒冷地手当に関する勧告を提出いたしました。本日、早速勧告内容について御説明申し上げる機会を与えられましたことについて厚く御礼申し上げます。  以下、その概要を御説明いたします。  まず初めに、給与勧告内容について御説明いたします。  公務員給与改定に当たっては、人事院は従来から社会経済情勢動向、各方面の意向と意見等を踏まえながら、民間賃金との均衡を図ることを基本として臨んできております。本年も、民間賃金の精密な調査もとより、民間企業経営努力等についても幅広く調査するなどさまざまな角度から検討いたしました。  民間企業状況について見ると、変動著しい環境のもとで多様な経営努力が行われていることが認められる一方、賃金改定についてはほとんどの企業において実施されていることが確認されました。また、同じ一般職国家公務員である四現業の職員についても、国営企業労働委員会により民間賃金動向を重視した仲裁裁定が行われており、これらの事情をも含め総合的に勘案した結果、本年も従来どおり職員給与について民間賃金との均衡を図るための改定を行うことが必要であると認め、勧告いたしました。  本年も四月時点における官民給与を精密に調査し、相互の給与を厳密に比較いたしましたが、その結果、官民給与較差は、金額で六千四百七十円、率で二・三五%であることが判明しました。  この較差の配分につきましては、俸給は五千五百八十四円、二・〇三%、手当に五百三十九円、〇・二〇%、この改善手当へのはね返り三百四十七円、〇・一二%といたしております。  まず、俸給表については、民間初任給傾向等を考慮して初任給改善を図るとともに、若年層及び中堅層にも配慮しつつ全俸給表にわたって金額改定を行っております。  次に、手当につきましては、民間における支給状況等を考慮し、扶養手当及び住居手当の額について改善を行い、その他医師の初任給調整手当についても必要な改善を行っております。  具体的に申し上げますと、扶養手当について、配偶者に係る手当額を千円引き上げ月額一万六千円に、配偶者のいない職員扶養親族のうち一人目に係る手当額を五百円引き上げ月額一万五百円に、また、住居手当について、借家・借間居住者に係る最高支給限度額を三千円引き上げ月額二万一千円とするなどの改善を行っております。  なお、扶養手当については、子、孫及び弟妹について満十八歳に達した日以後その年度末まで支給できるよう改善することとしております。  特別給については、公務員の期末・勤勉手当年間平均支給月分民間ボーナス年間支給月分とがほぼ均衡しているので、四・九カ月分として据え置いております。  実施時期については、本年四月一日からとしております。なお、扶養手当のうち子、孫等年齢要件の緩和に係る部分については、来年四月一日からとしております。  本年は、このほか、寒冷地手当について、最近における灯油価格下落等を踏まえて、加算額について減額の改定をするよう勧告しております。なお、実施時期については、来年の基準日からといたしております。  次に、週休二日制及び勤務時間制度報告及び勧告内容について御説明いたします。  本年五月三十一日の閣議で行政機関における月二回の土曜閉庁導入が決定され、そのための準備が進められているところでありますが、今回の勧告は、この土曜閉庁導入対応する職員週休二日制の実施方法改定等内容とするものであります。  現在、国家公務員週休二日制は、四週間につき二の土曜日の勤務時間を勤務を要しない時間として職員ごとに指定して休みとするという、いわゆる開庁方式による四週六休制実施されておりますが、土曜閉庁実施に合わせて、四週六休制により休みとなる土曜日は日曜日と同様に勤務を要しない日とすることといたしております。なお、交代制勤務職員閉庁できない部門の職員については、必要に応じて弾力的な運用ができるようにすることが適当であると考えております。  また、職員休日数の確保や実勤務時間の短縮のため、さらに閉庁方式による四週六休制を円滑に実施するため、勤務を要しない日に勤務させる場合の振りかえ制度導入することといたしております。  実施時期につきましては、土曜閉庁実施にあわせて実施することといたしております。  また、今回の報告の中で、公務員完全週休二日制の実現についても言及しております。  週四十時間労働制を掲げた労働基準法の動きや本年五月に策定された経済運営五カ年計画における労働時間短縮目標等を考慮し、職員の資質の向上、健康の維持を図る観点から、職員週休二日制、勤務時間短縮行政サービスに配慮しながら積極的に推進する必要があることを述べております。  そして、職員完全週休二日制については、民間における週休二日制、労働時間短縮動向、来年二月から予定されている金融機関の完全土曜閉店等動向、さらには土曜閉庁国民生活への影響定着状況を見きわめつつ、国全体の労働時間短縮計画期間内における速やかな実現目標に、政府全体として計画的に条件整備に取り組む必要があるとの認識を示しております。これにあわせて、長時間の超過勤務について、これを縮減する必要があるとの認識を示し、各関係者改善のための一層の努力を求めております。  本院は、今回の勧告に当たっても、公務員勤務条件について、中央、地方を通じ広く各界との意見交換を行いましたが、表明された意見を見ますと、業務の合理化効率化サービス向上については一層徹底する必要がある旨指摘する意見が見られる一方、現行の民間準拠による給与決定方式については適切なものと評価し、また、公務員閉庁方式による週休二日制については積極的に推進すべきであるとの意見が多くありました。  以上、給与及び週休二日制等報告及び勧告概要を御説明申し上げました。  人事院勧告は、申し上げるまでもなく、労働基本権制約代償措置として行われるものであり、国家公務員法の定める情勢適応の原則に基づき行うものであります。  本院といたしましては、職員に対し適正な処遇を確保することは、職員の士気を高く保持し、職場の労使関係の安定に寄与するとともに、公務に必要な人材を確保し、ひいては将来にわたる国の行政運営の安定に資するものであると考えます。  内閣委員会の皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割及び職員行政の各分野において真摯に職務に精励している実情に深い御理解を賜り、何とぞこの勧告のとおり早急に実施していただくよう衷心よりお願いをいたすものでございます。  以上でございます。
  9. 大城眞順

    委員長大城眞順君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 久保田真苗

    久保田真苗君 給与勧告が出されました。これは民間賃金との均衡を図ることを基本としてやっていただいているのでございまして、私は、この点についてまず二、三御質問をしたいと思います。  それは、特別給支給についてでございます。つまり、ボーナス、一時金等が据え置きになっているわけでございます。  これは、ことしの上げ分で見ますと、公務員につきましては四・九カ月分となっておりますが、民間については四・九五カ月分というふうに出ております。六十二年分でございますね。  これは、最近の経済動向で見ますと、民間は景気の好転と相まって増額の傾向が認められるわけでございますけれども、なぜ公務員についてこの特別給が据え置かれたのか、その点をまず伺いたいと思います。
  11. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 人事院勧告をできるだけ早く行うという前提がございまして、従来からその作業を急いでおるわけでございます。人事院勧告早期に行うという前提から私たち作業をしておりますが、そういたしますと、前年の五月から本年の四月までを調査対象期間にして作業をいたしております。そういう前提作業をいたしまして、非常に急ぎましても八月の上旬に勧告するというのが実は作業日程からいってやっとでございます。  したがいまして、今先生がお話になりますように、民間特別給、いわゆるボーナス支給状況がいいという話が実はことしの春過ぎからいろいろ伝えられますけれども、ことしの春過ぎからの民間ボーナス支給状況というのは実はことしの調査対象にはなっておりません。したがいまして、来年の調査のときにそれを対象にいたしまして勧告の中で反映していく、こういう手順になりますので、その点は御了解いただきたいと思います。
  12. 久保田真苗

    久保田真苗君 昨年で申し上げますと、民間は対前年度比で一・八%増になっておりますね。そして昨年の冬のボーナスについて言いますと二・五%増になっておるわけでございます。ですから、私は、たとえ〇・一カ月分でも〇・〇五カ月分でも、このような昨年の実績というものがあります以上は、たとえわずかなものでも人事院はこれに対応すべきじゃないかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  13. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 調査対象期間というものについては、先生御了解といいますか、御理解いただけたんじゃないかと思いますけれども、結局、民間実情というものを先生数字を挙げてお話しになりましたけれども、その民間実情という先生がお挙げになりました数字の背景になっておる企業範囲というのも私たち調査をいたしております企業範囲と恐らく違っておるんじゃないか、その点もまず一つ先生頭の中に置いていただきたいと思います。  それから、第二番目の問題でございますけれども、従来から人事院におきましては現在の支給月数と〇・一月以上異なる数字が出た場合に勧告するという対応をしておりますけれども、本年も従来の考え方に従ってその対応をいたしたわけでございます。そして、小数点以下第二位の月数までどういうふうにするかということにつきましては、従来から切り上げる場合と切り下げる場合ということをそれぞれ区別いたしまして対応してきておりますので、私たちは従来の考え方に従いまして今回も勧告作業の取りまとめを行ったというふうに御理解いただきたいと思います。
  14. 久保田真苗

    久保田真苗君 コンマ以下のものは切り捨てるという、法律がそういうふうになっているわけでございますけれども、こういうことを積み重ねますとやはり官民較差が開いていく。そして開いた官民較差はいつのときかは積もり積もって是正されましょうけれども、その間に失われたものは返ってこないというこの点が、人事院勧告に関しては実施の上で公務員賃金の上から見ますと一つの大きい損失になるわけでございまして、私は、できるだけきめの細かい対応人事院にしていただきたいと思います。  今後の給与勧告に当たりましてはこういった点もぜひ配慮していただきたい、こう思っておりますけれども、この点についてはそういうことは考えられないのだ、こういうことになりますのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  15. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) ことしの勧告に当たりましては、今先生が御指摘になりましたように、小数点以下第二位の月数を切り捨てることになりましたが、昨年の場合には四・八八というのを小数点以下第二位の八を切り上げまして四・九という処理を実はいたしております。  そのように小数点以下第二位の月数というものを切り上げたり切り下げたりするというのは、公務員特別給性格といいますか、そういうものを考慮して、またそれが法律で定められておる、そういうようなどちらかというと安定的というか、できるだけ固定的にする、そういう性格もあるというので、私たちは従来から小数点以下第二位の月数というものの処理をしてきたわけでございます。  したがいまして、現在のところ、先生の御意見も御意見としてお聞かせいただきましたけれども、従来の処理の仕方をこれからも踏襲していくのかなということを考えております。
  16. 久保田真苗

    久保田真苗君 勧告に際して、社会経済情勢全般を踏まえて民間賃金との均衡を図るという趣旨からいえば、できるだけの御努力をしていただきたいということを希望しておきます。  次に、ことし、寒冷地手当につきまして加算額燃料手当を非常に大幅にダウンさせているわけなんでございますけれども、一気にこういう急激なダウンが図られるということは、やはりこれを受ける当事者にしますと相当の家計上の打撃があるものと思われますが、この点はいかがでございますか。
  17. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 先生お話しになりました寒冷地手当の中のいわゆる加算額暖房用燃料費というものを補うという、主としてそういう趣旨支給されておるものでございますが、これの改定につきましては、従来から暖房用燃料価格実効指数がどのように変動したかということを基準に考えてきております。  今回、暖房用燃料の主流をなしております灯油と、そして若干石炭が使われておりますのでそれをも考慮いたしましたその指数というのは、前回改定いたしました昭和五十五年を一〇〇にいたしますと、ことしの指数はおおむね五〇まで下がってきております。そこで、この五〇というものをもと加算額改定するというのも一つ考え方でございますが、ただ暖房用燃料の主流をなしております灯油というのは国際商品でございますので、その国際商品特殊性というものを考慮いたしまして、最近三カ年の指数平均をとりまして三七%という改定をしようじゃないかということを勧告したわけでございます。  その率が大幅か小幅かということにつきましてはいろいろ見方があろうかと思いますけれども、私たちは、その三カ年の指数平均をとったということと、それを実施する時期を来年の八月三十一日に支給する分から施行しようじゃないかという二つの点をも考慮いたしまして今回の勧告を取りまとめたわけでございますが、ただ私たちがいろいろな方に御説明申し上げておりますのは、昭和五十五年当時に購入することができた灯油の量というのは今回の改定後においても確保することができる、そういう改定内容になっておりますので、その点も先生の方ではよく御理解いただきたいというふうに思います。
  18. 久保田真苗

    久保田真苗君 一気に大幅なことをやって家計に混乱を来さないという御配慮をお願いしたいと思います。  次に、今度の人事院勧告についてですけれども、当然のことながらこれを速やかに実施していただきたい。もちろん、例年完全実施ということは、それは少なくとも当然だと思いますけれども、これについての総務庁長官及び官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  19. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 政府といたしましては、これまでも人事院勧告制度尊重基本姿勢に立って対処してきたところでございまして、今年度につきましても給与関係閣僚会議におきまして国政全般との関連を考慮しつつ、勧告完全実施に向けて現在検討いたしておるところでございまして、この会議を通じまして政府考え方を取りまとめてまいりたいと思いますが、御趣旨を体してまいりたいと思っております。
  20. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 給与関係を担当いたしております総務庁といたしましては、人勧制度基本的な趣旨を考えますときに、完全実施もとよりでありますが、できるだけ早期実施をしていただくようにということで、給与関係閣僚会議などにおいてそのように申し上げておるところであります。
  21. 久保田真苗

    久保田真苗君 既に四月一日から実施すべきものでございますから、ぜひひとつ速やかにこれが実施されますよう、法案提出等お取り運びをお願いしたいと思います。  次に、土曜閉庁の問題なんですが、これは土曜閉庁を取り入れることによって社会的にも経済的にもいろいろな影響がありまして、それに対する対応というものも全省的に求められているものだろうと思います。しかし、土曜閉庁の問題は、完全週休二日制を速やかに進める上からも非常に童要視しておりますので、関係の必要な法案がいつ出されるのか、六十四年の一月から実施ということになっているんでございますけれども、法案提出の見通しについて総務庁長官にお伺いしたいと思います。
  22. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 土曜閉庁、しかも月に二回の土曜日を休むということでありますが、この四週六休の土曜閉庁方式導入につきましては、中曽根内閣のときに昭和六十三年度中に導入することを目途として検討するということになっておったところであります。竹下内閣になりましてから、できるだけこれは前向きに対処しようではないかという閣僚会議のお話がございまして、総務庁といたしましては、できるならば年のかわり目からということで、昭和六十四年一月から実施ができたらというようなことで検討を進めてまいっておったところであります。  ただ、法案の準備に若干まだ手間取っておりまして、できるだけ最終的な詰めを急ぎまして、できれば今国会に提出をして御審議を仰ぎ、御承認を得て一月実施にこぎつけたいということで鋭意準備中であります。
  23. 久保田真苗

    久保田真苗君 このことは完全週休二日制を進める上から非常に大事なことなんですけれども、やはり日本が非常に長時間労働だということを是正しようというそういう決心を持って進んでいるわけでございまして、その機関車の役をやっていくのに三つの分野が必要だろうと、こう思うわけでございます。その一つ金融機関でございまして、その二つ目は国あるいは地方の行政機関でございます。その三つ目が学校だということなんですね。  それで、このうち金融機関につきましては来年二月から実施と決まっているそうでございますが、これについてはこのとおりに行われるというそういうことでよろしいんでございますね。
  24. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 私ども聞いておりますところでは、先生御指摘のように、金融機関等におきましては来年二月から完全土曜日閉店というふうに承知しております。
  25. 久保田真苗

    久保田真苗君 それから、ことしの五月に策定され、閣議決定をされている経済計画五カ年計画というのがございます。この中に、完全週休二日制を実現するよう努めるということが書かれておるんでございます。  ところで、人事院職員局長の諮問機関と言われます勤務時間問題研究会の報告によりますと、完全週休二日の六十五年中の実現目標とすると、そういう時期をこの中で明示しているのでございます。  しかし、今度の人事院報告では、その時期をなぜ明示なさらなかったのか、その点いかがでございましょうか。
  26. 佐野弘吉

    政府委員佐野弘吉君) ただいま委員の御指摘のとおりの経過がございまして、私ども、職員局長の手元における非公式なお答えでございましたけれども、慎重に院議をもって協議いたしましたわけでございます。  先ほど来出ておりますように、完全週休制へ向かうことはもう国内外の時代的な要請でございまして、その点の認識は十分に持ってはおります。しかし、金融機関における完全週休制閉店あるいは来年早々にも予定されております官庁における隔週の閉庁等の事柄がどのように社会的にあるいは国民生活の上に反応を示し、受け入れられるか、また公務における完全閉庁というものがどのように今後定着いたしていくか、その辺を慎重に見きわめる必要もあろうというふうに考えまして、せっかくそのような答申もいただいたわけでございますが、私どもとしては答申の意のあるところは十分に認識をいたしておりますが、ただいま私が触れましたような観点から、今言ったような時代の趨勢というものをもう一つ見きわめたいという考えもございまして、あえて六十五年という年月は明記することを避けました。  しかし、今回の報告にもございますように、経済審議会でございますかが一九九二年までに労働時間千八百時間あるいは完全週休制をこの計画期間内におけるなるべく早い機会に速やかに実施していきたいという文言をこの報告の中にも記したとおりでございまして、別段六十七年度まではやらないんだとかそういう意味でございませんで、できるだけ速やかに実現をしたいという認識と願望、期待をここに示しておると御理解を願いたいと思います。
  27. 久保田真苗

    久保田真苗君 人事官のおっしゃるように、種種の条件が整備されましたならば六十七年度中よりも早い時期に実施される可能性はある、そういうふうにお考えですか。
  28. 佐野弘吉

    政府委員佐野弘吉君) ただいま私が申し上げましたように、その点を明言するまでに至っておりません。  経済情勢の推移、変転等もございましょうし、あるいは今触れましたような完全に金融機関が閉店をするあるいは公務が月二回閉庁をするということが社会国民生活にどのように定着していくかということを慎重に見きわめたいという気持ちがございまして、今、六十七年度まではやらないとかあるいはそれ以前にやるとかいう点ではもう少し慎重を期したい、このように考えております。
  29. 久保田真苗

    久保田真苗君 できるだけ早い時期にこれを可能にしていただくように希望します。  次に、一つの問題点としまして、土曜閉庁ということになりますと、公務員にもございます非常勤職員ですね、特に時間制あるいは日給で支給される労働者の場合に減収になるのではないか、これが一つの問題だと思うんですが、この点につきましては人事院はどういうふうなお考えをお持ちでこの土曜閉庁をお進めでしょうか。
  30. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 土曜閉庁になれば臨時職員というのは働かないわけですから、日給月給の方はそれだけの賃金に当たらないというのはこれは仕方がないことだと思います。  ただ、その問題は別にいたしまして、一般の職員との対比でもう少し考えてみたらどうだという議論はあるかもわかりません。それにこたえるためには、少し基本にさかのぼって物事を考えておく必要があるんではないかというふうに思います。  一般の我々が四週六休制とかあるいは完全週休二日制になった場合に、時間当たりの単価が改定される、引き上げられる、こういうことが行われるわけですけれども、なぜ単価が引き上げられるのか、なぜ改定されるのか、そこをよく考えておく必要があるんじゃないかと思います。それは、我々の場合には、一定の期間、一週間でも一月でも一年でもいいんですが、一定の期間に処理する仕事の量というのが法律とか政令とかそういうものによって決まっておる。その決まっておる仕事を処理する勤務時間数というものが短くなれば時間当たりの単価というのが高くなるだろう、こういうことで単価を引き上げてくるんだというふうに思いますけれども、日給月給の方、先生のお話では非常勤の職員ですか、そういう方につきましては、やはり、一般の職員と同じように比較して単価を切り上げていくというのは、仕事の態様とかあるいは勤務時間の態様、そういうものから考えて少し無理があるんじゃないか、一般的にはそのように考えていくべきじゃないかというふうに私は思います。  先生がどういうようなお考えでこういう御質問をなさったかよく聞いてみなければなりませんけれども、やはり、一般的な考え方は私が申し上げたような考え方をとるべきじゃないかというふうに思います。
  31. 久保田真苗

    久保田真苗君 同じ非常勤職員でも、委員とか顧問とか参与とかこういう者は、それは余り問題はないんだろうと思います。ですけれども、問題は相当長期間にわたって常勤職員とほぼ同様の勤務を行っている者についてのことなんです、私が申し上げているのは。  この場合、各庁の長は常勤職員給与との権衡を考慮して給与支給していくという、そういう給与法上の定めがあるわけで、そういう点からいいますと、私は、常勤職員とほぼ同様にやっているという人の場合、ただ日給月給あるいは日給といったような形の上で収入に非常な損失をこうむるということについては、これは十分考えていただかなきゃならないんじゃないか、こういう問題を提起しているわけであります。  こういう状態の人についてはいかがなんでしょうか。
  32. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 常勤の職員と同じようなという言葉で表現されましたが、私が申し上げましたように、一定の期間に処理する仕事の量が客観的に何らかの法律とか政令、そういうものによって定まっておるというふうに考えていいのかどうかというところが一つの問題じゃないか、ポイントじゃないかというふうに思いますが、私も、今先生がお話になりましたような指摘に関連して、どういう職員がそういうものに該当するかすぐに思い出せませんけれども、一つの問題提起として私はきょうはお受け取りいたしたいというふうに思います。
  33. 久保田真苗

    久保田真苗君 じゃ、その点は、改めましてまたひとつお互いに検討していきたいと思います。  次に、年次有給休暇なんですが、公務員の場合、取得率が平均して六〇%と悪いんですね。  これがなぜこういうことになっているのかということなんですけれども、人事院、また官房長官としても、こういう取得率がこれ以上下がるようなことになっては大変でございますので、これを上げていくためにはどうしたらいいのか、御所見をこの際伺っておきたいと思います。
  34. 川崎正道

    政府委員(川崎正道君) 今委員からお話しございましたように、公務員の年次休暇の消化率は約六割、二十日間の年次休暇に対しまして約十二日という結果が出ております。この消化を促進するということは、委員御指摘のとおり非常に大事なことであろうというふうに我々も考えております。  したがいまして、政府におかれましても、今までに、例えば六十年の六月に事務次官会議、あるいは六十一年にも人事管理運営協議会、こういうところで申し合わせをされまして、年次休暇の消化促進に努めておられます。人事院といたしましても、機会のあるごとに各省庁に年次休暇の消化促進ということを話しておりまして、例えばいろいろな担当者の会合、あるいは監査などに赴きましたときに各省庁の方にできるだけ年次休暇の消化をしていただくように努力をしてきているところでございます。
  35. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) この年次休暇消化率の問題につきましては、総労働時間の短縮を図るためにも、現在推進しております週休二日制とともに年次休暇の使用促進に努める必要があるということは御指摘のとおりであり、政府としてもそのように考えておるところでございます。  そこで、今も御答弁が人事院からありましたが、政府といたしましても、事務次官会議等を通じまして、計画的な使用、夏季におけるまとめどりなどについて申し合わせを従前行ってきたところでございますが、今後とも機会あるごとにその使用促進に努めてまいりたい、このように考えております。
  36. 久保田真苗

    久保田真苗君 今回の人事院報告では単身赴任の問題に触れておられるわけです。この中で「単身赴任を減少させるための努力を行うことがが肝要」とありますけれども、これは具体的に言いますとどういう意味なのか、お聞かせいただきたいと思います。
  37. 菅野雄

    政府委員(菅野雄君) 単身赴任は、二重生活や帰宅旅費に伴う経済的負担、単身生活に起因する栄養の偏りや不規則な生活に伴う肉体的な負担のほか、家族とのきずなが希薄になるという深刻な問題をはらんでおるわけでございます。また、公務能率に及ぼす影響をも考慮すれば、まず単身赴任を減少させるための努力をするということが重要な問題であると認識いたしたわけでございます。  単身赴任を減少させるための方策といたしましては、各省庁において転勤を命ずる際に、例えば、転入学を配慮した異動時期にするとかあるいは適当な準備期間を与えるなど、これまでにも増して単身赴任につながる事態を避けるための人事管理上の配慮が必要ではないかと思う次第でございます。  人事院といたしましても、調査等を行いまして明らかになりました公務の単身赴任の実態、民間の単身赴任の対策、それぞれの省庁の人事管理上の工夫の例などを示しまして、総務庁を初め各省と協力しながら単身赴任を減少さしていくように努めたいと考えております。
  38. 久保田真苗

    久保田真苗君 人事管理上の配慮ということも場合によってこれは大いに考えていただかなきゃならないことだろうと思います。転勤が大変頻繁なんですね。一年あるいは二年末満でごろごろごろごろと地方から地方へ渡り歩くという転勤なんかが幼い子供を持っている場合にも平気で行われるという人事管理は、やはり、今後単身赴任がこれ以上ふえていくというようなことはおっしゃるようにいろいろな面でインパクトがございますので、そういう点につきましては十分御調査の上、今の人事管理のあり方というものについてはメスを加えていただくということをお願いしておきたいと思います。  次に、法案の提出について再度お伺いしたいんですが、今度の給与法の改正案につきましてもまた土曜閉庁法案につきましても、その提出が税制関連法案との関係でおくらされているというようなうわさが専らなんでございます。年々歳々、人事院勧告が他の法案との関係で人質にとられるというような事実は大変遺憾だと思うんです。何年か前に財政が非常に赤字になりましたときに、財政非常事態宣言というものが鈴木内閣の末期に出されまして公務員給与が凍結されるという、実にあり得べからざるような事態が起こったという事実もございます。今はそのような経済情勢ではないと思いますけれども、しかし人事院勧告公務員賃金でございまして、国としては使用者責任を持って完全に実施すべきもの、速やかに遅滞なく行うべきものでございます。こんなことを今さら申し上げるまでもなく、あるいは土曜閉庁は世界的にも注目をされている問題でして、いろいろな法案との兼ね合いでこれが人質にされていくというようなことは大変遺憾だと思います。  そんなことはもちろんないと思いますけれども、官房長官総務庁長官に、特に税制法案との絡みでおくらせるようなことがないようお約束いただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  39. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘の給与関係法案の国会提出の時期等につきましては、現在、勧告に対する政府としての取り扱い方針につきまして引き続き給与関係閣僚会議を開催し検討を進めておるところでございまして、現在その提出の時期につきましては申し上げかねますが、政府といたしましては、しばしば申し上げますように人勧の完全実施ということを目標にいたしまして現在閣僚会議推進いたしておりますので、できる限り早く提出いたしたいと、このように考えております。
  40. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 土曜閉庁法案の準備につきまして一番手間取っておりますことは、土曜日に期限が到来するものにつきましてこれを月曜まで延ばすといいましょうか、そういう期限の問題につきまして関係法令がたくさんございますので、それらの洗い出し、整理に実は遺漏なきを期したいということで検討を重ねておるところでございまして、それらが完全に済みますれば国会に提出をしたいというふうに考えておりまして、別に人質になっておるというような状況ではないと思っております。
  41. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういうことがあっては大変困りますので、よろしくお願いします。  次は、中曽根前総理がおつくりになっている世界平和研究所について幾つか御質問申し上げたいと思います。  この世界平和研究所、略称平和研は、中曽根前総理が二億円お出しになって総理府、防衛庁、外務省、大蔵省、通産省、そして経企庁という六つの省庁が共管をして認可し、六月二十八日に発足した財団法人だというふうに伺っております。  まず、官房長官にお伺いしたいのは、この財団法人の性格、目的、それから事業内容、役員等につきまして、官房長官は特にこの財団法人の性格などにつきましてはどういう御認識をお持ちでいらっしゃいますか。
  42. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今お尋ねのありました財団法人世界平和研究所でございますが、これは安全保障問題を中心に政治経済その他の分野における国際問題について調査研究し、総合的な政策を国の内外に向けて提言し、これらの研究に関する国際交流を促進し、人材の育成を図り、もって世界の平和と繁栄の維持及び強化に寄与することを目的にいたしまして設立されたものでございまして、この目的に沿った各種の事業を実施するものでありますが、これらの事業は、世界に貢献する日本を目指す我が国の国際的責務の一端を担おうとするものでありまして、極めて公益性の高いものである、このように判断をいたしまして、先般これを設立許可いたしたものでございます。
  43. 久保田真苗

    久保田真苗君 この法人のお話は、中曽根氏がまだ首相のころから出ているお話でございまして、総理大臣が竹下さんにかわられるとき、その禅譲のときに協力を約束されたものだというふうに報道されておりました。  ところで、その当時、竹下首相の方では、例えば半官半民というようなことで政府もここへ拠出をしていくという大きい基金の構想を持たれたというふうなことも伺いますし、これに対して中曽根氏の方は、これは純然たる独立した民間機関であると言っておられるというような、またそういったような中身の記者会見もしておられるわけです。  官房長官とされましてはどちらだというふうにお考えですか。もちろん、認可された以上は一定の認識を持って認可されたことと思いますけれども、これは純然たる民間の独立の機関ですか、それとも何らかの政府援助を前提とするものです
  44. 文田久雄

    政府委員(文田久雄君) 私から事務的にお答え申し上げたいと存じます。  先生御案内のとおり、公益法人と申しますのは、民間の活力を利用いたしまして、広く公益に資するという目的を持って設立されているものでございますので、この公益法人の性格から申しまして、先生お示しの官が関与し云々ということではありませんで、主たるものは民間の活力、民活ということに相なろうと存じます。
  45. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、これはいわゆる民法上の純然たる民間の独立の法人である、もちろんそういう認識で認可されておりますね。
  46. 文田久雄

    政府委員(文田久雄君) ただいま先生お示しのとおり、民法第三十四条によって設立許可されたものでございます。
  47. 久保田真苗

    久保田真苗君 ところで、先日、八月二十六日の東京新聞の小さい記事なんですけれども、それによりますと、この財団法人世界平和研究所へ外務省の田中信明さんとおっしゃるその当時欧亜局大洋州課長をしておられた方を初め、大蔵、通産、防衛、経企の各課長クラスで、いずれも各省庁を代表するエース格の人材の出向者が決まったという報道が出ておりました。  この報道についての真偽のほどをお尋ねいたします。
  48. 山下新太郎

    政府委員山下新太郎君) お答え申し上げます。  財団法人世界平和研究所につきましては、先ほどその性格につきまして官房長官からもいろいろ御説明のあったとおりでございまして、私どもの理解するところでは、この研究所は平和で繁栄した世界の実現に寄与しようとする考えに基づきまして、世界的な視野を持ち、国際的に開かれた国際問題の研究機関として設立するというものと承知いたしております。  ところで、外務省といたしましては、御承知のとおり、世界に貢献する日本ということ、それを実現することを外交政策の目標といたしておる次第でございまして、この観点から申しまして、この世界平和研究所の活動が日本の外交の政策の推進にとりまして有益なものになることを強く期待している次第でございます。  御指摘の東京新聞に出ました記事の外務省の職員でございますが、現在のところ、この九月に中曽根前総理が外遊されますけれどもその補佐と、それから外務省と平和研究所との連絡調整といったようなことに従事している次第でございますが、外務省といたしましては、この平和研究所に関します先ほど申し上げました認識を踏まえまして、今後この研究所の活動に広く関与さしていきたいというふうに考えております。  ただし、現実にいかなる身分で関与することになるかという点につきましては、先ほど御指摘のありました田中前大洋州課長でございますが、その担当するであろう職務等を具体的に検討いたしましてこれからさらにいかなる身分にするかということを決めていきたい、こう思っている次第でございます。
  49. 久保田真苗

    久保田真苗君 官房長官、これは、総理府からはお出しになるのですか、ならないのですか。  それから、外務省以外の他の省庁からはどうなんですか。
  50. 文田久雄

    政府委員(文田久雄君) 現在のところ、この法人の方から総理府の方に御要請はございません。  その余の省庁については、私の方で現在のところお聞きいたしていないところでございます。
  51. 久保田真苗

    久保田真苗君 外務省に伺います。  広くこの研究所に関与さしていきたい、こうおっしゃるんですけれども、具体的に、九月一日に大洋州課長から総務課の企画官になられました田中さんはこの平和研究所にどのようなかかわりを持った仕事をしていらっしゃるのか、その業務の内容を御説明ください。
  52. 山下新太郎

    政府委員山下新太郎君) 先ほど申し上げましたとおり、田中総務課企画官でございますが、現在の時点におきましてこの平和研究所の職員にはなっていないわけでございます。  総務課の企画官という性格から申しまして、簡単に申しますと、外務省全体の処理いたしております業務の調整と申しますか、そういう職務を担当するわけでございます。その観点から、先ほども触れましたけれども、今月の半ばに中曽根前総理が西欧においでになりますが、その関係での補佐をするということ、それから平和研究所の考えておられますところは先ほど申し上げたように私ども理解しているわけで、そのおやりになることは非常に意味がある、こう考えておるものでございますから、その研究所との連絡調整に当たっているというのが現在やっている仕事でございます。
  53. 久保田真苗

    久保田真苗君 この研究所が純然たる民間の独立の機関であるとしますと、なぜそこでおやりになることを外務省が調整する必要があるんでしょうか。
  54. 山下新太郎

    政府委員山下新太郎君) 私が申し上げましたのは、平和研における業務の調整ではございませんで、外務省と平和研究所との間の連絡及び調整ということでございます。
  55. 久保田真苗

    久保田真苗君 田中さんの仕事の内容はこの平和研との連絡調整、これがどのくらいのパーセントを占めるわけでございますか。
  56. 山下新太郎

    政府委員山下新太郎君) 私も、直接この田中企画官を監督いたしておりませんので詳細には存じませんですけれども、現在主としてやっておりますことは、私の聞いておりますところでは、九月十四日から十日間ほど外遊されるわけでございまして、そのための、補佐と申しますか、準備の関係の業務が非常に現時点では多いのではないかと思います。
  57. 久保田真苗

    久保田真苗君 平和研のお仕事をなさる中曽根さんの補佐をなさる、こういう意味ですか。
  58. 山下新太郎

    政府委員山下新太郎君) 中曽根前総理が訪欧されますのは、私の理解しているところでは、世界平和研究所の会長という資格で外遊されるということではないというふうに認識いたしております。政治家として中曽根前総理が、例えば、先般訪ソされましてゴルバチョフ書記長と会談された次第でございますけれども、そのような同じ立場から、ヨーロッパへおいでになりまして、例えばコール首相とかサッチャー首相と会談を予定しておられるわけでございます。  このような会談というのは、言うまでもなく、外交上極めて重要なことだと私ども認識いたしておりまして、その補佐をすることは、何と申しますか、外務省職員としての公務だというふうに考えている次第でございます。
  59. 久保田真苗

    久保田真苗君 さっき平和研における身分についてはこれから具体的に検討するんだとおっしゃいましたけれども、平和研において身分を取得されるということがあるわけですか。
  60. 山下新太郎

    政府委員山下新太郎君) 平和研における身分という趣旨で実は申し上げたつもりではなかったので、もしおっしゃるように御理解されたといたしますと舌足らずで申しわけなかったと思います。  私が申し上げました趣旨は、平和研に派遣するということになりました場合に田中企画官が外務省との関係でいかなる身分になるのかという、その趣旨でございます。外務省職員として行くのかあるいは休職という形になるのかといったようなことについて、それを身分という形で申し上げたつもりでございます。
  61. 久保田真苗

    久保田真苗君 報道によりますと、例えば研究所の主任研究員になるというような報道もございますんですけれども、私、人事院に伺いたいんです。そういうことが外務省の職員の身分として可能でしょうか。
  62. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 外務省の職員が公務としていかなる範囲で仕事ができるかということでございますので、一義的には外務省が判断するところでございますが、一般の法人格を持っております団体の職員といいますか、そういう立場で専らそこでの仕事に従事するということですと、一般論といたしましては公務員としての公務活動ではないというふうに考えます。
  63. 久保田真苗

    久保田真苗君 もし、外務省の身分を持ったまま平和研で何らかの別の身分を取得されるということになりますと、これは、いわゆる国家公務員の兼業というケースになるわけでございましょう。
  64. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 一般的に、今お尋ねのようなケースにつきましては研究休職というような道に近いわけでございますが、私ども研究休職制度というのを持ってございますけれども、これは幾つかの要件がございます。  まず、御承知のとおり、休職と申しますのは、身分は保有するけれども国の公務には従事しないという身分状態でございますので、それの一環といたしましての研究休職につきましては、相手先の団体の性格でございますとか従事します業務の内容とかにつきまして人事院規則をもちまして一定の条件を付しているということでございます。
  65. 久保田真苗

    久保田真苗君 今研究休職のことをおっしゃいましたけれども、ですから休職になるか、あるいは、今の身分を保有したまま、名目だけでなく今の企画官の仕事にありながら兼業をするという場合とあると思うのです。  この場合、私がまず申し上げておきたいのは、これは人事院規則並びに総務庁の通達によりまして今のこの外務省のケースについて言えば、兼業はできませんね。そこを私はまず伺いたい。
  66. 川崎正道

    政府委員(川崎正道君) 兼業につきましては、国家公務員法で一定の制限がございます。したがいまして、今回の場合にそれが該当するかどうかにつきましては、個別のケースとして別途また検討を要することであろうと思います。
  67. 久保田真苗

    久保田真苗君 総務庁にお伺いしたいんです。  総務庁からこういう人事局の通達というのが出ていますね。「職員の兼業の許可について」。これで見ますと、一つは、国家公務員の職務専念義務が免除される場合には相当厳しい制約がありまして、勤務時間についての給与を減額するとか、それから勤務時間を割く場合には兼業許可申請書にその時間数を明記することとか、それから実際に勤務時間を割くときにはその都度機関の長の承認を受けるとか、そういうことが書いてあるんです。そういたしますと、これは相当な制約が一般的に言ってもあるわけです。ところが、次の許可基準について見ますと、今度のこの平和研究所に対して、外務省は明らかにここを認可したところの主務官庁でありますから、その主務官庁から兼業の許可を与えるということは、これは許可しない取り扱いとするというのが総務庁の御方針だと思います。  この点について、総務庁あるいは人事院でも結構ですが、そのことを御確認いただきたいと思います。
  68. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 先生御指摘の世界平和研究所の件につきましては、私ども具体的な内容を承知しておりませんので共体的な形でのコメントはできませんが、一般論として申し上げれば、兼業の許可は、兼業時間数が短い、したがって年次休暇で対処できる、あるいはその間の得られる報酬は高くない、このような条件が満たされる限りで認められるというふうに考えております。
  69. 久保田真苗

    久保田真苗君 ともかく、この平和研究所には主務官庁が六つもございまして、そういうところから実際に兼業許可が与えられるということはまず非常に難しいだろうと思うのでございます。  そこで問題なのは、兼業の許可を申請しないで、現実に企画官なり何々官なり職員の身分でありながら事実上そこの仕事をやっていく、こういうことは、やっぱり主務官庁がその認可した財団法人に関して職員の身分をそのような形で現に持っていながらやるということは、この通達の趣旨からいっても非常に難しいんじゃないかと私は思います。ですから、私は、まずその企画官のお仕事というものをもっと詳しく伺いたいんです。  ただ、今直接にはわかりにくいとおっしゃるんですが、こういうことはきちんとしませんと、今のこの六官庁からあるいは五官庁からこの平和研に対してどんどん人材を、国家公務員を派遣していくなどということがおっ取り刀で行われているということ自体がかなり問題なんじゃないか、こう思うわけです。でございますから、私はこの辺の混同を外務省がなさらないようにお願いしたいと思いますけれども、その点はどうなんでしょうか。
  70. 山下新太郎

    政府委員山下新太郎君) 先ほども申し上げましたように、現実に世界平和研究所におきましていかなる業務を分担するかということをまず明確にいたしまして、その上でもし必要があれば先ほどから御指摘のような措置をとるということは当然であろうかと思います。  具体的には、例えば、休職ということも可能だと聞いておりますし、あるいは退職という形もあり得るかと思っております。いずれにいたしましても、担当する乗務の具体的内容等を十分検討いたしまして身分的な点ははっきりさせたい、こう思っております。
  71. 久保田真苗

    久保田真苗君 官房長官に伺いたいんですけれども、総理府は認可の官庁なんですけれども、他の省庁と比べて総理府は一体どういう役割をお持ちなんですか、主務官庁としては。
  72. 文田久雄

    政府委員(文田久雄君) 私どもがこの法人の設立許可をいたしました事由をお尋ねかと存じますが、久保田先生御案内のとおり、総理府の所掌業務と申しますのは、御案内のとおり内政審議室あるいは外政審議室、それから安全保障室、さらに広報室、私どもの管理室とこの公益法人たる世界平和研の業務との関連性が認められますので、これを設立を許可した、こういうことであります。
  73. 久保田真苗

    久保田真苗君 つまり、総理府の場合は、この六つの主務官庁のうちの窓口官庁になるわけですか。
  74. 文田久雄

    政府委員(文田久雄君) 先生お示しのとおり、六つという数に上るものですから、いろいろ設立許可に当たりましての様式とかその統一を要しますので、この点に関しましては私ども総理府が一応取りまとめの話し合いを持ちまして対応いたしております。
  75. 久保田真苗

    久保田真苗君 さっき身分的な問題としては、例えば休職とか退職とかというようなお言葉を外務省から伺ったんですけれども、一つは、退職の場合にはそれは全然問題がないと思うんですけれども、実際に研究休職というようなものについて、この研究休職を与えるには一定の条件があると思うんですが、この研究所がそれに該当するものなのかどうか、人事院からお示しいただきたいと思うんです。
  76. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 研究所とかその他の公共的な施設に職員を研究休職で新規に派遣するというような場合は、関係の省庁から人事院に協議があるようになっておりますが、現在のところまだそういう協議がございませんので、協議がありましたならば、寄附行為とかその他諸資料に基づきまして判断をいたしたいというふうに思います。
  77. 久保田真苗

    久保田真苗君 この研究所は、先ほど伺ってお答えがなかったんですけれども、もちろん中曽根前総理が主宰しておられるわけですけれども、いわゆる自民党の議員さんがたくさん並んでいらっしゃる、こういうものなんですね。そしてまた、自民党の議員さんの中で参加希望者も非常に多いんだと伺うんです。  財団という名前は取っているんですけれども、そういう法人に対して国家公務員を官庁の方が派遣していくということ自体が、政治的な行為にならないんでしょうか。公務員の政治的中立からして問題になるのではありませんか。
  78. 川崎正道

    政府委員(川崎正道君) 公務員の政治的行為につきましては、委員御指摘のとおり、国家公務員法並びに人事院規則で一定の制限が課されております。公務員は政治的に中立であらねばならないということで、政治的目的を持った政治的行為については制限がございます。  具体的には、人事院規則一四ー七というのがございまして、その規則に個別に政治的目的あるいは政治的行為というものが列挙されておりまして、それに該当する場合は公務員としてはそういう政治的行為をしてはならない、こういう取り決めになっておりますが、具体的にどのような行為がその政治的行為に該当するかは個別のケースごとに判断をしなければならないということになっております。
  79. 久保田真苗

    久保田真苗君 この研究所が研究休職の対象になるようないわゆる研究所として人事院が指定される、そういうものであり得るためには、例えば政治的な団体であってもよろしいわけでしょうか。
  80. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 研究休職制度は、まず職員の身分状態からいいますと、先ほど申し上げましたとおり、公務員としての身分を保有しながら職務に従事しない、その間職務系列外に置かれるという身分状態でございます。  研究休職制度は、職員がいろんな職務外活動といいますか公務外活動をいたします場合には、かなり長期にわたりますと、職務専念義務がございますから一般的にはやめていくということに相なろうと思いますけれども、職務復帰後に公務遂行上極めて有益な学術に関する調査研究等に従事する、もちろん一定の要件を備えた公共性の高い団体においてということでございますが、そういう場合にはやめることなく身分を保有したまま一定期間職務系列外に置く、こういうことでございますので、今お尋ねの団体の性格あるいは研究内容、研究体制、そういうことを総合的に判断をいたしまして、研究休職の要件に該当するかどうかということで採用が決まる、こういうことでございます。
  81. 久保田真苗

    久保田真苗君 研究休職で系列外に外れて、身分、官職を保有したまま休職に入った場合、その人には政治的な行為は制限されるのかされないのか、伺います。
  82. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 公務員の政治的行為につきましては、身分に着目した服務上の制限でございますので、公務に従事しようがしまいがひとしく政治的行為の制限を受けます。
  83. 久保田真苗

    久保田真苗君 公務員の政治的な中立という観点からすればそれは当然なことで、中曽根さんの平和研がどういうことを研究なさろうとそれは官庁との関係に問題があるということなんでして、政治的な団体であるかないかという認定は実地を見なければわからないとおっしゃいますけれども、例えば、研究の内容が憲法の改正に関することあるいは平和主義に関することあるいは大統領的な首相として議院内閣制のあり方に関すること、こういうことで今の憲法の内容に触れるものであったときに、そういう結論であるというようなときに、それでも各官庁が職員の出向を初めいろいろな援助をするということが可能でしょうか。
  84. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 先ほど申し上げましたとおり、研究休職で派遣をされましてどういう仕事に従事する場合にこれが研究休職たり得るかということでございますが、学術に関する事項の調査、研究、指導というふうに人事院規則で定めておりますので、今申しました要件に該当するかどうかという判断になるわけでございます。
  85. 久保田真苗

    久保田真苗君 官房長官、要するに、もうざっくばらんに申し上げますと、ここに自民党の議員さんが理事に少なくとも五人いらっしゃるんですよ。そのうちのお一人が自民党の最高顧問、もう一人が総務会長、もう一人が参議院議員会長なんですね。そういう方が理事としてここに入っていらっしゃるというような状態の研究所が政治的なものでないと、そういうことが言い切れるのかどうか。それは官房長官はどういう御認識でしょうか。
  86. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 委員御指摘のように、この平和研につきましては、いわゆる政治家あるいは国会議員と申し上げてよろしいかと思いますが、六名おられますが、役員、理事二十九名、監事二名のうちの六名でございまして、この平和研の目的とするところは、冒頭、私、御答弁申し上げたとおりでございまして、この研究所はあくまでも研究を旨とすることでございまして、特定の政治活動をいたす趣旨ではないことは当然のことだろうと思いますので、この目的に合致してこの研究所が法人として活動いたしていくということでありますればそれは当然のことではなかろうかというふうに考えております。  個々の方々、特に公務員がこれにどういう形で協力するかということは、先ほど質疑応答をお聞きいたしておりまして、外務省の例が申されましたが、それは個々の例に即して人事院におかれましてもそれぞれ規則等がございますのでそれに当てはめながら適否は考慮されるべきものだろうと思いますので、私、今の段階ではそのことについて申し上げる立場にない、このように考えております。
  87. 久保田真苗

    久保田真苗君 今の段階ではとおっしゃるのは、つまりこの研究所は六月二十八日に発足したばかりのものでして、実際にこれという実績、そういうものを判断する材料がないんですね。そういう意味で今直ちに判断できないと、こうおっしゃるわけでございますか。
  88. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 再度でございますけれども、この研究所はその目的に即して活動されることでございましょうし、認可いたしました政府のそれぞれの省庁におかれましては、その趣旨をもってこの研究所がその果たすべき役割を果たしていかれるということを心から期待をしておるところでもございます。したがいまして、その機関におきましてそれぞれどういう方が協力されるかにつきましては、現段階では具体的例が指し示されておりませんので、私としては、その判断をいたすべき材料と申しますか、具体例を持ちませんので申し上げることはできない、こう申し上げておることでございます。
  89. 久保田真苗

    久保田真苗君 今判断できないで結構なんでございます。だけれども、私が申し上げたいのは、これは民間の独立機関でございますからけじめをつけていただきたいということなんですね。その研究所がどういう研究をなさるかということは、それはその研究所独自の判断でなさると思うんです。問題は国家公務員との関係なんです。国家公務員が、あるいは現職のまま、あるいは研究休職という待遇上も非常に特典のある方法によってこの研究所に五省庁も六省庁もから派遣されていくなどということについて、その筋のけじめをはっきりつけていただきたいということを、官房長官お立ちになるそうでございますからこれはお願いしておきます。  次に、畜産振興事業団をめぐる談合疑惑の問題を取り上げたいと思います。  いろいろございます。畜産振興事業団の冷凍輸入牛肉の買い入れで談合疑惑が表面化しているということなんです。つまり、指定の三十六商社の落札のシェアがいろいろな輸入冷凍牛肉につきまして六十年度以降ほとんど一定で談合があったことがうかがわれると、こういうことなんです。  まず、農水省に伺いたいんですが、先月、八月三十一日に佐藤農水大臣が事業団の今村理事長に三つの点を指示したというふうに伺っております。それは、一つはこのことの事実関係調査、それから三十六社への注意の喚起、それから公正取引委員会調査に対する協力、その三点について指示されたと言われております。  そこで、きょうまでの調査を当然なすっていると思いますけれども、今村理事長にこの明らかになった調査結果を御説明いただきたいのでございます。
  90. 太田道士

    説明員(太田道士君) ただいま先生からお話がございましたとおり、八月三十日に畜産振興事業団の冷凍輸入牛肉の買い入れ問題につきまして商社間で談合があるのではないか、そういう疑いがあるという報道がなされたことは事実でございます。それに対しまして大臣から、局長を通じまして事業団の方に指示が出されております。  それは、事業団において報道の真偽につき調査をすること。二点といたしまして、このような報道がされたことに関しまして疑惑を招くことのないよう改めて事業団から指定商社に対して注意を喚起すること。それから、本件に関しまして公正取引委員会による調査が開始された場合には事業団はこれに協力することという三点の指示が出されておるわけでございます。  これらの指示に基づきまして、事業団におきましては現在のところ事実関係を鋭意調査中であるという状況でございます。  また、指定商社に対しましては、八月の三十一日に担当理事から、それぞれの商社の責任ある者を招集いたしまして、こういう疑惑を持たれることのないように注意を喚起したところでございます。  なお、本件に関しまして公正取引委員会による調査が開始された場合には事業団がこれに協力するという態勢をとることは私どもも当然のことではないかというように考えておるところでございます。いまだ公取の方からは特段の連絡はないという状況でございます。
  91. 久保田真苗

    久保田真苗君 もう何日かたっておりますけれども、事実関係の確認については今調査中ということでございますけれども、今までに若干の事実は判明していますか。
  92. 今村宣夫

    参考人(今村宣夫君) 農林水産大臣から真偽のほどを調査をせよということで、私ども鋭意現在調査を進めておるところでございます。  現在までにどこまで調査が進んでいるかというお話でございますが、私どもとしましては、年に十回ないし十二回の入札をやっておりますが、その入札ごとに一体応札の状況がどうなっておるか、それから落札の状況につきまして価格でありますとか数量というものがどういう動きを示しておるかということを調査をいたしております。  一例を申し上げますと、買い入れ入札の検証といたしまして、品目別の応札率がどうなっておるか。これは、品目別に事業団の買い入れ数量を仮に一〇〇といたしますと、入札数量はどういうふうに動いておるかということでございます。この場合、最大をとりますと三七七%ぐらい動いて最小は八九%ぐらいで相当の振れがございます。さらに、同一品目につきましても、テンダーごとに応札率が変動をいたしておるということが見られるわけでございます。さらにまた、各テンダーの商社別の応札シェアがどうなっているか、こういうことを見てみますとこれにもばらつきが見られるということで、各入札ごとに価格、数量について談合が行われるとすれば、そういう大きなといいますか、そういう振れが出てこないのではないかと思いますが、さらにこれらの点について鋭意調査を進めていきたいと考えておるところでございます。
  93. 久保田真苗

    久保田真苗君 公取委にお伺いします。  今度の談合疑惑について公取委としては独禁法違反、やみカルテルの疑いがあると重大な関心をお持ちで情報収集を始めたというようなことを伺っていますけれども、公取委としては今これにどういう対応をなさり、また何か今までのお知りになった事情について見解があればお話しいただきたい。
  94. 植木邦之

    政府委員(植木邦之君) お答えいたします。  先般、私、本院の予算委員会でたしか先生今おっしゃいましたような御答弁を申し上げました。本件につきましては、現在、私どもの方は実態把握の作業に着手している段階でございます。  その結果を判断いたしまして、独占禁止法違反ということで調査する必要があるんだということになりましたら適切に対応していきたいと考えておりますが、現在その段階でございます。
  95. 久保田真苗

    久保田真苗君 例えば、朝日新聞に出ておりますこの各社の三十六社のシェアとかそういったものについて、これは落札が極めて一定しているというようなことから当然談合があるだろうという疑いなんですけれども、こういったような資料は公取委としてはもうお集めになったわけでございますか。
  96. 植木邦之

    政府委員(植木邦之君) 先ほど実態の把握の作業に着手したと申し上げましたが、そのようなことを集めていっているところでございます。
  97. 久保田真苗

    久保田真苗君 談合疑惑のある三十六社が、畜産振興事業団が買い入れる冷凍牛肉の各品目、いろいろな品目がありますね、これについて、買い入れ予定量を幾つかの社に割り振っている、あるいは各社の合計の落札量が一定の割合になるように調整し合っている、そういうことはこの朝日の調査によります冷凍牛肉落札シェアで見ますとまさにそういう調整が行われているんじゃないかという感じがいたします。  私、畜産振興事業団の方からこの落札シェアをいただこうと思ったんですけれども、まだこういうものがいただけない。そういう段階になっていないというお話なんですが、畜産振興事業団としましては、この落札シェアがこういうふうに出ていることに対してこれと違うデータをお出しになるのか、あるいはこのデータをお認めになるのか、それは大体においてどうなんですか。
  98. 太田道士

    説明員(太田道士君) ただいま先生から資料要求があることを私どもも十分承知してございます。出せる資料につきましてはお届けしておるはずでございますが、ただ価格の数字につきましてはかなり過去に月別にさかのぼるというようなことで、現在作業をさしておる段階でございます。  もう一つ、各商社別の問題になりますと企業秘密にかかわる問題も一つございますので、その辺との関係もございまして私どもとしては従来からこれを積極的にお出しするということはしておらないということで御了解いただきたいと思います。
  99. 久保田真苗

    久保田真苗君 それはちょっと了解できないんですね。  なぜかといいますと、こういった落札シェアの一覧というものは、当然畜産振興事業団がいろいろな肉類の価格の問題について一元的な輸入をなさって、そしてその割り当てについていろんな調整をしていらっしゃるわけですから、そういうものは常に公明正大に出せるお立場になきゃならないと思うんです。こういった談合の疑惑というものが背景にあるということになりますと、牛肉が非常に高値であって日本人は非常に高い牛肉を食べさせられているということが何年も前から問題になっているわけですけれども、国民に対して畜産振興事業団という責任を負っている特殊法人のことでございますから、こういうシェアが出たのに対して、畜産振興事業団は直ちにこれがうそなのか本当なのか、そして畜産振興事業団の方の手持ちの資料で見たらばどうなのかという説明、そんな単純なことはできなくちゃならないことだと私は思いますんですよ。
  100. 太田道士

    説明員(太田道士君) 個別の企業の問題もございますが、全体的に、例えば応札がどうなっておってそれから落札がどうなっているかといった全体的な資料はお出しできるかと思います。  ただ、現在、私どもとしては調査をしておるわけでございまして、事業団で調査を進めておるわけでございますから、この調査が進んでいった段階では、私どもとしてはどういう形での取りまとめになるかということは現在のところ予測はまだ立っておりませんけれども、当然この調査結果というものを何らかの形でやはり世の中に出していくという必要性はあるだろうというふうには考えておるところでございます。
  101. 久保田真苗

    久保田真苗君 企業秘密とかなんとかおっしゃいますけれども、これは通常の場合じゃないんですよ。三十六社が談合しているという疑惑なんです。そういうところの企業秘密がなぜ守られなきゃならないんですか。その反対に国民は全く高い牛肉を食べさせられている。  私自身も、二年ぐらい前に、牛肉の値段を下げてほしいということを申し上げました。その当時、農水大臣が強力に価格を下げる指導をしているんだというお話だったんですけれども、その後も一向に下がりませんですね。こういう談合が背景にあったんではこれは下がりっこありはしません、幾ら流通機構の方だけにメスを入れたって。  そうなりますと、やっぱり、これは畜産振興事業団として、農水省としてはこれはどうなのだ、こういうことはあるのかないのか、あるとすればこれは重大な責任なんでして、そういう解明をちゃんとしてみせる必要があると思うんですね。  その点はお認めになりますね。
  102. 太田道士

    説明員(太田道士君) 現在鋭意検討しておりまして、私どもとしては、調査結果につきましてはやはりしかるべき形で世の中に出していくという必要性はあるというふうには考えております。  ただ、今先生がおっしゃいました、牛肉が非常に下がっていないというお話がございますけれども、実は、円高差益還元以降、輸入牛肉につきましては総務庁の小売物価統計では約二四、五%下がっておるということでございますので、その辺ちょっとつけ加えさせていただきます。
  103. 久保田真苗

    久保田真苗君 総務庁の方は、この問題について行政監察をするというそういう報道がありましたけれども、実際はどうなんですか。  ことしの一月ごろ、六十三年度の監察対象として畜産振興事業団等を監察する、そういう報道がございました。それは、去年の汚職とかさらに続いてこの談合疑惑というものが出てくる中で当然だと思うんですけれども、その状況と、もし進捗しているのであればそれについて伺いたいと思います。
  104. 山本貞雄

    政府委員(山本貞雄君) 御案内のとおり、牛肉につきましては、日米交渉等によりまして昭和六十六年度から輸入が自由化されるわけでございまして、先般これに対応いたしますために輸入自由化対策が決定されたわけでございますが、しかしながら、さらに今後基本的な課題といたしまして国産牛の生産性の向上あるいは牛肉流通の合理化等々を進めてまいる必要があるわけでございます。したがいまして、ことしの十月から牛肉を中心といたしまする畜産行政監察を行うことといたしております。  なお、御指摘の問題につきましては、先ほど来御説明がございますように、既に農水大臣等が調査を御指示なさる等々、関係機関において対応が進められておると承知いたしております。  なお、畜産振興事業団輸入牛肉の買い入れ制度昭和六十五年度をもって廃止されることとなるわけでございますが、それまでの間におきまして行政運営改善を要する点があるか否か、この点につきましてはその際あわせて調査検討を行う、このような予定にいたしております。
  105. 久保田真苗

    久保田真苗君 確かに、牛肉が自由化されますと、今あるいろいろな問題の相当部分はそれによって解消されるだろうと思います。しかし、それまでの三年間これを放置しておくということもまたできないわけですし、当然こういった談合の問題になりますと、それじゃ自由化されたからといって直ちにその効果があらわれるかどうかということも疑問になってきたわけですね。でございますから、この談合につきましては当然公取委がおやりになることではあるんですけれども、総務庁の方も監察を牛肉に対してなさるという決心をなすったわけですから、それがまだこれからだというお話で私は大変失望しているわけです。ぜひやっていただきたいと、こう思います。  それで、公取委に伺いたいのは、事業団が入札ごとに各社に入札限度枠というのを与えていらっしゃる、この入札限度枠というのは落札シェアにそれを調整していくというそういう役割を演じていると思いますけれども、この点はいかがですか。
  106. 植木邦之

    政府委員(植木邦之君) 御指摘の問題でございますけれども、畜産振興事業団は、先生も当然御承知のとおり、国の機関として畜産関連の輸入とかいうようなことをやっているわけでございます。その畜産振興事業団さんがおやりになっている制度の問題というのが、直接私どもの独占禁止法には関連してまいらないことでございますけれども、今先生がおっしゃいましたどういうような影響を持っているのか、そういう関連性につきましては実態の把握に努めてまいらなきゃいかぬと、そのように考えております。
  107. 久保田真苗

    久保田真苗君 農水省に伺います。  この入札限度枠というのは、これは別に根拠はないわけですね。例えば法的根拠というようなものはないわけですね。
  108. 太田道士

    説明員(太田道士君) 端的に申し上げますと、特段法的根拠があるというわけではございません。  ただ、この入札限度枠というものを設定しておるのは、過去に経緯がございまして、たしか昭和五十二年から五十四年ぐらいまで豪州が輸出規制をした経過がございます。そういう相手国が輸出規制ということでございますので、要するに、国内の買い入れを行う社が海外に参ります場合に非常に高いものをつかまされる危険性が非常に強い、競って過度の競争をした場合にそういう危険性が非常に強いというようなこともございまして、そのときを契機に入札限度枠という形での設定をしたわけでございます。やはり秩序ある輸入をしていくということを考えますと、一つの入札限度枠の範囲で当然適正競争が行われるものであるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、要するにそういう中で各商社が輸入の入札に対応しているというふうに御理解いただきたいと、こういうように思います。
  109. 久保田真苗

    久保田真苗君 昭和五十二年にあった豪州の原因というのはもうなくなっているわけですね。その後もこの入札限度枠がずっと続いてきたということが、結局、利権の構造となって新規参入する会社を排除していると、こういうことになるんだろうと思います。そういう意味からいいますと、私は、これは、確かにやはり公取委の方で新規の参入を排除する、こういう一種のいわば行政指導とも言うべきものが自由競争を著しく阻害している原因だと思いますので、この点についてはその影響をお調べくださるということでございますけれども、ぜひその辺の中身を明らかにしていただきたいとお願いしておきます。  それで、もう一つ談合疑惑が新しく出てまいりました。つまり、レストラン用のハンバーグにする肉、ボンレスビーフCL90というのがございます。これの入札を一社だけが過去二年半の間に無競争で独占的に受注していると、そういう報道があるんですね。  その事実関係をひとつ事業団の方から明らかにしてください。
  110. 今村宣夫

    参考人(今村宣夫君) ボンレスビーフCL90といいますのは、御存じのように赤身の非常に勝った肉でございまして加工用に使われておるわけでございます。この品目の買い入れを私どもが始めました五十八年当時でございますが、そのときにはたしか三カ国から輸入をして六社が加わっていたと聞いておりますが、その後、こういう肉につきましての価格競争がいろいろございまして特定の一社しか落札できなかったということで、次第にこの品目を応札いたします商社が減少いたしまして応札が一社だけになっておるという状況にございます。したがって、談合によってこの一社だけになったということではございませんで、やはりその当初からの競争によりましてこういう結果になったというふうに私どもは理解をいたしておるところでございます。  なお、六十三年度は複数の商社によります応札が行われておりまして、落札も複数商社という形に相なっております。
  111. 久保田真苗

    久保田真苗君 一般の競争入札では、応札が一社だけのときは競争が不成立とみなして入札をやり直すのが普通だと聞いているんですね。ところが、事業団では、二年半以上にもわたって、札をあけてみて応札がないということだとするとそれだけでそこで入札を成立させているんですね。これはもちろん事実なんでしょうね。そして、それで適当だと、こう思っていらっしゃるのかどうか。  その御見解を事業団からもまた監督される農水省からも伺っておきたいと思います。
  112. 太田道士

    説明員(太田道士君) ただいま一社の応札につきましての経過を理事長からお話があったわけでございますが、私どもとしては、準政府機関として弾力的な食肉供給の役割を果たしておるということから考えますと、やはり国内での供給を的確に行っていく必要があるということからまいりますと、一つの全体的な入札が行われるわけでございますが、そういう一つの部位につきましてたまたま一商社しか応札しなかったということだけでこの入札がおかしいというふうに私どもは考えておりません。やはり一つの必要な部位を国内に供給するためには、場合によりましては、応札がない場合には一つの方途として随意契約をしてでも国内に持ってくるという必要性があるわけでございまして、結果的にたまたまそういうことがあるということは一つの注意を喚起しておくことではあるかもしれませんけれども、事業団のそういう運営目的からいけば、そういう必要性から見て必ずしもそれが不適切であるということにはならないというふうに考えております。
  113. 久保田真苗

    久保田真苗君 理事長認識を伺いまして、それからちょっと時間が途中になっちゃうんですけれども公取委から。  牛肉というのはまさにもうかるビジネスなんですよ。それなのに応札がない。三十六社が指定されていて応札がない。だからそれはしようがないんだ、引き受けてもらえるところに引き受けさせるんだというのは余りにも国民の利益を無視し過ぎていると思うんですね。公取委の対応を伺って終わりにしたいと思います。
  114. 今村宣夫

    参考人(今村宣夫君) 事業団としてはどう考えておるのかというお話でございますので私からお答えいたしますが、一社だけしか応札がないというふうなことでございますと、通常随契によるかあるいは指名のやり直しということでございますが、しかし畜産振興事業団が相手にいたしておりますのは三十六商社でございますから、その品目につきまして一社だけということになりますと、ほかのを探してくるといいましても相手をしておりますのは三十六社しかないわけでございますから、ほかの相手を探してくるということがなかなかできないという状況にございます。  したがいまして、私どもの扱いとしては、そういう特定の部位について一社だけという場合がございましてもそこに落として、再入札あるいは三十六社以外から探してくるということができない状況にあることを御理解いただきたいと思います。
  115. 植木邦之

    政府委員(植木邦之君) 先生十分御承知のことを申し上げるようで恐縮でございますけれども、先ほど実態把握の作業を始めたということでございます。  それで、独占禁止法と申しますのは、談合という話で新聞に出ておりますけれども、カルテルをやっている、カルテルというのは同業者が集まっていろんなことを取り決めているということでございまして、その中で、この一社だけ落としているというのはどういう意味を持っているのかということを私どもは判断するわけでございますので、その辺の検討を進めてまいりたいと思っております。
  116. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょうは官房長官を初め防衛庁長官にも御質問をしたいと思っておりましたが、衆議院の内閣委員会も始まったそうでございますので、防衛庁長官の質問は次回に譲りたいと思います。それから、官房長官もまだお見えになっておりませんし、また途中でお帰りになるそうでございますので、途中で問題を変えて質問さしていただきたいと思います。  そこで初めに、総務庁長官、いらっしゃいますのでお伺いをいたします。  これは質問通告の中にありません。が、実は、私、昨日の、例のリクルートコスモス社の、社民連の楢崎議員が公開したあの事件は、これはもうびっくり仰天であります。私ども、この問題は非常に重要な問題であると認識をいたしております。そこで、私はこの委員会に入る前に大臣のインタビューをテレビで見てまいりました。そういうこともございましたので、大臣のお考えを一つ、二つお伺いしておきたいと思います。  私は、今度の国会は税制国会とかいろいろなことが言われておりますけれども、税制改革というのは非常に大事な問題であると認識をいたしております。その中でも、国民にどう理解を得るかということは大変大事な問題であると思いますし、何といいましょうか、大変な不信を起こしておりますこのリクルートの問題も何とかその不信を解消しなければいけない、そのための努力を我々はしなくちゃいけないと、こう思っているわけであります。  大臣はこの税制改革に関する国民とのかかわり合いについて、私の考えは今申し上げましたが、大臣のお考えを初めにお伺いしておきたいと思います。
  117. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 政府は、ただいま税制改革関連六法案を提出しているところでありますが、国民の皆様方はそれに先立って不公平の是正等についてあるいはまたさらには税制改革の前にまず行政改革を徹底的にやれとかいろいろな御要請があることはよく承知しているところであります。  そういうふうな重要な案件を抱えた国会を前にしてリクルートコスモスのような問題が発生をいたして国民の皆様方にいろいろと疑念を持たれていることは極めて遺憾なことである、このように思っております。
  118. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣は先ほどのインタビューで、今回の楢崎議員のやった行為について、あれはFBIのおとり捜査になるんじゃないか、こういうふうにおっしゃっておりました。今でもそうお考えでございますか。
  119. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 実は、閣議後の記者会見というのがいつもございまして、そこで閣議の模様をお話しするわけであります。閣議の際に例の楢崎議員の問題について何か話がなかったかという質問がございましたので、何ら全くございませんでしたということを申し上げたわけであります。  その後で、私も全く事実関係はどうなっているのかわからない、しかしいろいろなことがあるもんだねということで、実は、驚きの表現の一つとして、何と申しますか、端的に申しますと随分腕がいいものだなあとこういうことをばっとこう捕まえるのに驚嘆をしたわけでありまして、そういう意味も含めて申したわけでありまして、決して他意はないつもりであります。
  120. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、先ほど大臣がおっしゃいましたように、私は、国民理解をどう得るかという問題とそれから国民の不信をどう払拭するかという問題、これは非常に大事な問題であります。そのために、大臣が先ほどもおっしゃいましたように、税制改革、今の消費税のような問題を解決してしまうと先ほど大臣がおっしゃった不公平がそのまま存続されてしまうんじゃないか、そういうふうな不信が一つ。それからもう一つは、大臣が先ほどおっしゃった行革そのものがおざなりになってしまうんじゃないか、そういうような問題。三つ目には、今のリクルートコスモスのようないわゆる一部の人がぬれ手でアワをつかむような利益を得てそこら辺には十分課税がされないままこういうことが行われるのは遺憾ではないかと、こういう不信があるわけですね。  その中でも、特に今大きな問題になってまいりましたこのリクルートコスモスの問題は、今回の事件の是非は別にいたしましても、いずれにしてもやはり国会で、参議院、衆議院両方の予算委員会でも問題になりました証人喚問の問題とか資料要求の問題、そこら辺の問題は十分解決する必要がある、私はこういう認識でおりますのですが、大臣はどういうお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  121. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 証人喚問の問題等につきましては国会でお決めになることでございますので、私の方から、総理がいつも言っておられることでありますが、ただいま行政府の一員という立場にありまして、証人喚問が適当であるとか適当でないとかということを申し上げる立場にないというふうに思っております。  いずれにいたしましても、国民の皆様方から疑惑、疑念を持たれないような姿勢というものは必要であろうというふうに思っております。
  122. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官がお見えになりましたので、時間の関係で早く退席されるそうでございますので、先にお伺いしたいと思います。  これは質問通告の中にはございませんでしたが、例の楢崎議員の昨日のリクルートコスモスの問題であります。長官もう十分御存じだと思いますが、私どももびっくり仰天をいたしているわけでございますが、この問題に対して長官はどういうふうにお考えでございましょうか。
  123. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 楢崎議員が昨日記者会見をされましてリクルート問題に関して御発言のありましたことは承知をいたしておりますが、その内容の詳細にわたりましてすべてを承知いたしておるわけでございません。したがいまして、政府ということでございますので、これに関してどのように対応するかというようなことにつきましては、大変恐縮でございますけれども、申し述べることを差し控えさせていただきたいと思います。
  124. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題は、先ほどからも申し上げておりますように、国民理解をどう得るかということ、そして国民の不信をどう払拭するかということ、そういうような問題を解決するためには大変大事な問題であると思っております。したがって、しかるべき資料を提出するなり、あるいは証人なりが国会に来ていただいて解決していただきたいということだけ、これは私の希望として申し上げておきたいと思います。  そこで、まず官房長官にお伺いをいたします。  これは、当参議院におきましては決算委員会やいろんなところで随分議論になりました例の政府の広報汚職の問題であります。  これは、その都度質問もいろいろ出ましたので、きょうは詳細に突っ込むつもりはございませんが、その後の新聞報道によりますと、総務庁交通安全対策室長さんが退職をされまして、そのときに、その退職の理由の中に本人がおっしゃっているわけでございますが、交通安全室長の名誉と身の潔白を守るためにやめる、こういうふうに本人はおっしゃっているようであります。これは一体どういうことなのか、これは官房長官お聞き及びかどうかわかりませんが、一遍そこら辺のところを御説明願います。まあ総務庁長官でも結構でございます。
  125. 山田馨司

    政府委員(山田馨司君) ただいまのお尋ねの件は、本年の六月三十日に原田交通安全対策室長の疑惑なるものにつきまして報道がありまして、その内容といたしましては、一つ昭和五十一年ごろに、これは総理府の交通安全対策室の参事官補に在職中のことでございますが、サンコーの社長から百数十万円を受け取ったということ、それからもう一つは交通安全対策室長に就任いたしました昨年の秋に同じ社長から数十万円を受け取ったという、二つの疑いがあるという点が報道されたわけでございます。  当庁におきまして早速本人から事実関係をただしましたところ、今申し上げました前者の方の昭和五十一年ごろのことにつきましては全くの事実無根であるということで全面的に否定しておりまして、また二つ目の昨年秋の件につきましても、金は持ってきたけれども直ちに返しているということで、報道の内容は事実無根であって自分は潔白であるということを主張しておったわけでございます。しかし、このような疑惑が広く報道されましたために交通安全対策室長としての職務遂行に支障が生じるおそれがあるということで、この際辞職したいという申し出がありまして、この辞職願いを承認したものでございます。
  126. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そういうふうな新聞報道がありまして、本人に対するいわゆる処分とかそういうのは全くなしでこれは退職をされたわけでございますか。
  127. 山田馨司

    政府委員(山田馨司君) そのとおりでございます。
  128. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは官房長官総務庁長官にお伺いしたいのですが、いずれにしましても、今回の事件、いろいろと起きました。  それで、総理府の中には政府広報取扱業者等審査委員会というようなものを設けてその再発防止をいろいろと検討し、またやっていらっしゃるそうでございますが、これは、中身としてどういうふうなことが出てきたのか、どういうことを決めていらっしゃるのかというのが一つ。これは総理府ですね。  それから、総務庁ではこの問題に対して内部のいろんな問題についてどういうふうに処理をしていらっしゃるか。それぞれお答えいただきたいと思います。
  129. 稲橋一正

    政府委員(稲橋一正君) お尋ねでございますが、総理府といたしましては、総理府の事件の発生直後におっしゃるとおり業務適正化委員会を設けまして鋭意検討、討議を行いまして、去る六月三十日に今後の対策といたしまして「政府広報の適正な実施体制の確立等について」の決定をいたしました。  この内容は四つほどございまして、政府広報の実施に当たっては適切な業者選定と適切な条件のもとでの契約を行うというのが一点でございます。そのために、総理府の中に政府広報取扱業者等審査委員会、これは広報室あるいは会計課の範囲を超えた職員をもって構成するものでございますが設けまして、取扱業者、契約関係等について審査を行うということでございます。  次が、政府広報にかかわる関係団体への指導、監査の強化、契約事務処理体制の充実等を図りまして、政府広報予算の執行体制のチェックを図るということでございます。  それから、毎年定めます政府広報の基本計画等につきまして各界有識者の意見聴取等を行うとともに、外部の専門家によりまして業務の研修等の充実を図る。これが三つ目でございます。  最後に、綱紀保持のために研修等の充実を図るとともに、服務規律の確保に努める。もう一 つは、職員が同一ポストに原則として三年以上在職しないように配慮するなどの人事配置の適正に努めるということでございます。  その中のもう一つの、先生お尋ねのございます審査委員会でございますが、これは、政府取扱業者の選定に関する事項といたしまして、業者の適格性というのですか、適正な業者選定基準をつくっていこう、こういったような関係、それから過去の広報の契約関係につきまして随契と競争入札といろいろございますが、その随契の部分はどういう部分がなっておるかといったようなものにつきまして洗い直しを行っているということで、現在作業を進めているところでございます。
  130. 山田馨司

    政府委員(山田馨司君) 総務庁におきましても、従来からそういう契約に関して疑惑を招くことのないようできるだけ随意契約を廃して競争入札の形をとるようにしております。  昨年の秋の件につきましても、交通安全対策室のポスターを従来の随意契約から企画競争の形に変えようという過程で起こった問題でありまして、今後ともポスター等の発注等につきましてもできるだけ競争入札の方法をとるようにしたいと考えております。
  131. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官、いずれにしましても大事な問題でございますので、こういう問題が二度と起きないように後ほど御決意のほどをお伺いしておきたいと思います。  そこで、官房長官時間でございますので、二点ほど御答弁をいただきたいと思います。  これは先ほどもお話ございましたが、官房長官がお帰りになった後、総務庁長官人事院等も含めていろいろやりたいと思っておりますが、今回の給与勧告に関連をいたしまして、これは当然のことでございますが、完全実施の問題について一言官房長官のお考えをお伺いしておきたいと思います。  それからもう一つは、行革の問題ですね。これは先ほど総務庁長官と議論をいたしておりまして出てくることでございますが、税制改革や何やいろんな問題の中に行革という問題がなおざりにされるんじゃないかということが出てまいります。そういうような中で、中曽根内閣から竹下内閣になって行革がちょっとなおざりにされているんじゃないか、そういうような雰囲気があるわけです。具体的には後ほど総務庁長官にお伺いしたいと思っておりますが、やはり、行革に取り組む竹下内閣の姿勢というのが私たちの目から見ておりましても非常に弱いように見えます。  そこで、行革に対する基本的な考え方官房長官のお考えとして御答弁いただいておきたいと思います。
  132. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 第一点の人事院勧告に対しての政府対応でございますが、しばしば申し上げておりますように、この制度そのものが労働基本権制約代償措置としてでき上がっていることでございますし、ここ数年、政府としても完全実施ということで人事院勧告をそのまま受けてまいりましたことでございますので、その方向に向かって努力をいたしていきたいと思っております。いずれにいたしましても、政府としては、公務員が公僕であり国民の税によって賄われているということでございますので、そういった点で従来から閣僚会議を数度開きまして厳正にかつ国政全般状況を判断しながら対応してきたことでございます。第一回は開きました。したがいまして、関係閣僚の御意見も十分拝聴しながらできる限り早期に結論を得るよう努力をいたしていきたい、こう考えております。  第二点の行革の問題でございますが、この事柄につきましても、竹下内閣発足以来竹下総理も、従来からの行革路線というものの旗をおろすということがあってはならないということでございまして、しばしば申し上げておりますように、荷車を坂の上に押し上げて手を離したらガラガラと落ちてくるようなことがあってはいけない、こういうことで、従来にも増して行革はこれを徹底的に推進していくという立場で対処いたしておるところでございます。そういった意味で、従来の臨調あるいは旧行革審からいろいろと御提言をちょうだいいたしておりますが、これを着実に実行していくということで対処していきたいと思っております。  しかし、峯山委員御指摘のように、いささかこの意欲が減退しているんではないかというような見方をされる向きのあることも承知をいたしておりますが、行革につきまして、従来、いわゆる三公社の民営化というようなことで、いわば世間の目から見ましてもまことによくその実態が知れる問題につきましては中曽根内閣の時代に対処してきたことでございまして、現在、これから行っていかなければならないという問題につきましては、一般的にいわゆる大目玉といいますか、そういうものは必ずしも指摘をされることでなくてむしろ着実に一つ一つ地道にやっていく、こういうことでございますので委員御指摘のような見解も出ようかと思いますけれども、決してそういうことでないということにつきましてぜひ御理解をいただくと同時に、内閣としても全力で従来の路線を踏襲、徹底いたしてまいりますことをお誓いいたす次第でございます。
  133. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 官房長官、結構です。  総務庁長官にお伺いをいたします。  総務庁長官、中曽根行革の一環といたしまして従来の行政管理庁というのかなくなりまして総務庁になったわけです。それで、そこら辺のところから行政改革に関する姿勢も弱くなったんじゃないかなという感じがまずするわけです。  そこで、今官房長官にも行革に対する基本的なことはお伺いいたしましたが、特に行政改革を主管していらっしゃる総務庁長官としては行政改革に対してどうお考えなのか、これを一遍お伺いしたいと思います。  といいますのは、いろいろとあるんですけれども、中曽根内閣での三公社の民営化というお話を今官房長官はされましたが、中曽根内閣でそういうふうにやったのを今度は竹下内閣一つずつ片っ端から崩していくんじゃないか、そういう心配も実はしているわけですよ。そういうことも含めて今後の行革に対する基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。
  134. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 中曽根内閣のときに大変行政改革に熱心に取り組まれまして、いわば目玉商品というような形で今の国鉄の改革でありますとかあるいはまたNTT、さらには専売事業等々の改革など、幾つかのことが行われたわけでありますが、竹下内閣におきましても行革の精神は堅持をするということで一生懸命に取り組んでいるところであります。  ただ、当面、とりあえず竹下内閣が発足をいたしましてから、当庁といたしましては、例の土地問題というのが大きな一つの課題でございましたのでそれを一つ片づける、それから、ただいま規制緩和という問題について年内にこの結論を得るべく全力投球で取り組んでいる、そういうふうな事情もございます。しかしながら、例えば昭和六十三年度における定員削減の問題でありますとか、あるいは機構のいろいろな要求に対しましては厳しくスクラップ・アンド・ビルドを徹底するとか、そういうようなことできちっと対応してまいっておるつもりであります。  今後におきましても、さらに中央と地方との権限の問題など数多くの課題が残されておりますので、これらにつきまして誠心誠意各省庁の協力を得ながら取り組んでまいりたい、このように考えておるところであります。
  135. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 昭和六十四年度の概算要求が先月の末で締め切られたわけでございますが、来年度の予算編成、これは最近の景気の拡大、物価と為替の安定というようなことから近来にない環境でスタートをした、そういうふうに私ども見ておるわけでございます。  先日の新聞報道によりますと、厳しいシーリングの中でも六十三年度予算に対しまして全体で一三%増ということでトータルでは六十四兆円というような、これはもう大変な予算になっているわけでございますが、これからいろんな切り込み作業があるんだろうと私は思うんですが、この概算要求に対する長官の考え、見解を初めにお伺いしておきたいと思います。
  136. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 一部の新聞に概算要求が非常に高い伸び率で要求されておるというようなことについての報道があったようでありますが、最終的な数字については、たしか九日あたりに一応こうしたことについての大蔵省のまとめが出るのではないかという話がありますが、今のところまだ私ども承知いたしておりません。  しかし、増加内容として考えられることは、国債費の大幅増加というのが最大の要因ではないかと思われます。その他、地方交付税の増加等がかなり増加要因になっているのではないかと思われます。いずれにいたしましても、総務庁といたしましては、一切聖域を置かずにきちっと対処していきたいというふうに考えております。
  137. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣がおっしゃいますように、国債の中身を見ますと、六十三年度末の国債発行残高が百五十八兆円、そしてその利払い償還費が十一兆二千四百三億円、詳細は私も見ておりません、新聞報道でございますがそういうふうになるそうでございまして、六十三年度に比べまして四一%の増加になるんだそうですね。  こういうふうな中身等をあれこれ検討いたしてみましても、これはもう概算要求の段階で相当硬直化が進んでおる、私どもこういうふうに見るわけでございますが、ここら辺のところもあわせて大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  138. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 本来これは大蔵大臣がお答えすべきことではないかと思うわけでありますけれども、いずれにいたしましても、行革審等の意見具申もございますので、マイナスシーリング等につきましては従来の方針を堅持して厳しい査定をやっていただくということが行政改革上要請されているところでありますので、そうした趣旨を貫いていくように当庁としても努力をしたいと思っております。
  139. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は当然それを承知の上で質問をしているわけでございますが、特にこういうふうな予算編成あるいは予算要求、そういうような中にありまして私どもが一番心配をいたしますのは、特に先般から問題になっております整備新幹線の問題にかかわりが出てくるわけであります。  確かに最近の日本の経済財政状況というのは、あの六十年九月のG5以降大変な円高を乗り越えまして景気も非常に好調、そして税収もふえておる。そういうふうな中にありまして、やっぱり、みんなそれぞれの省庁も気が緩んでいるんじゃないか。それはいわゆる当時の行革審の答申等とのかかわりは一体どうなっているのか、こういう心配がありますのでその前段として今御質問をしたわけでございます。  この行革審の答申と、整備新幹線のいわゆる先般自民党さんで検討したあるいは決められた報道が新聞にも出ておるわけでございますが、そこら辺のかかわりを大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。
  140. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 整備新幹線の問題につきましては、行革審から意見が出されておることは御承知のとおりであります。行革審の意見の一番基礎になっておりますのは六十一年六月十日の旧行革審の最終答申というものでありまして、「整備新幹線計画については、国鉄改革の考え方に沿って国鉄の分割・民営化後の新会社等の判断を尊重するとともに、行財政改革の観点から財源問題・収支見通し等前提条件を慎重に検討の上その取扱いを決定する。」というのが旧行革審の最終答申であります。その後、幾つかの経緯がございますが、六十二年七月十四日の報告、これにちょっと加わっておりますのは「二十一世紀に向けての高速交通手段として地域住民の要望が極めて強いが、」云々という言葉が加わっておるという状況であります。  これらは、旧行革審の答申を踏まえて内閣及び党における整備促進検討委員会において慎重に検討をしてきている、ところでございまして、一つは、せっかく分割・民営化された国鉄の経営に悪影響を絶対に及ぼさないということが大前提にございます。それから、整備新幹線の建設によってさらに新たなる負担をJRにしょわせることを絶対にしないということがもう一つの条件であります。さらに、行革審答申等において指摘されておりますように、JRの意見を尊重して決めるということであります。  これらを踏まえていろいろ検討をいたしました結果、先般、八月三十一日夜半過ぎでありますが、一応着工の順位等についての案をまとめたという段階でありますが、財源問題についてはまだ全く決着がついておりません。したがいまして、これからさらに予算編成時にかけて検討をしなければならない、そういう状況であります。
  141. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、この整備新幹線に反対というわけじゃない。反対というわけじゃないが、実際問題として、着工順位を先に決めて、財源対策やそういうようなものが先送りにされておる。そういうようなことになってまいりますと、行革の担当大臣としては行革の趣旨というものを非常に大事にしないといけない、そういう立場にあるわけですね。そこら辺のところを踏まえてしっかり頑張っていただかないといけないし、そこら辺のところをどういうふうに処理していくかということは非常に大事な問題だと私は思います。  そういうような意味で、竹下内閣としてもさきに決められたこの行革の方針がなし崩しにされるなんということは非常に困るわけでございまして、そこら辺のところをこれからどう取り組んでいくかというのは非常に重要なテーマだと私は思います。そういうような意味で申し上げているわけでございますが、この問題、将来どういうふうにお考えなのか、大臣のお考えをもう一回お伺いしておきたいと思います。
  142. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 整備新幹線につきましてはただいま申し上げましたような大前提があるわけでありますから、一つは、JRの経営破綻を来すようなことのないような線区について建設が進められることは結構であるけれども、JRの経営に破綻を来すような線区については、これはやっぱりなかなか着工することは難しいのではないかというふうに考えられることが一つであります。  それからもう一つは、仮にJRの経営に破綻を来さないといたしましても、国家財政に破綻を来すようなことではこれは当然困るわけでありますので、それらも両方しっかりとにらみ合わせながら、今とりあえずは第一着工順位として高崎—長野間のうち高崎—軽井沢間について六十四年度着工するという方針だけは決まったわけでありますが、財源問題については全く今申し上げましたように未決定でございますので、そうした前提条件のもとに果たしてどのようなことが考えられるかということについて、私自身も今いろいろな試案を考えてはおりますけれども、十分ひとつ関係各省庁において調整を図らなければならないというふうに思っております。
  143. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に、これも一言大臣にお伺いしておきたいと思います。  この間の連休に大臣ヨーロッパへ行ってこられたそうでございますが、聞くところによりますと、特にイギリスを初めヨーロッパ諸国を回られまして、主としてプライバシー保護についていろんな角度から勉強をされてきたようにお伺いをいたしておりますが、その目的と成果等を含めまして大臣のお考えを初めにお伺いしておきたいと思います。
  144. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 個人情報保護法案につきましては、実は、当庁といたしましては十年来の懸案でございましてかねがね勉強いたしてきたところでありますが、時代の要請と申しましょうか、コンピューター処理をされた情報の数量が非常に急激にふえつつあるということもございまして、これらについての適正な管理を行う必要があるではないかということでようやく法案をまとめるに至ったわけであります。  この法案の御審議を煩わすに際しまして、早くから実施をしておりますところの実施状況などについて勉強してみたいというふうに思いまして、一番早く実は個人情報保護法を制定いたしましたのは西ドイツのヘッセン州でありますが、これは州法でありますけれども、そこに参りまして担当者からいろいろ実施状況などについての説明を受けました。さらにまた、欧州各国で実施しているところ、あるいはイタリーなどは法案は提出したけれども審議未了廃案になりまして出し直しということで、いかなるゆえに廃案になりまたどのような検討が行われているかというようなことにつきまして子細に状況説明を聞き、またこちらの疑問に思っておりますことにつきまして質問もし意見を交換してきたところでありまして、大変勉強になったというふうに思っております。
  145. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 個人情報保護法という法律、私どもは本質的にはこういう法案は賛成なんですけれども、今度出た法案については、私どもも先般から随分検討いたしておりますが、やはりいろんな問題がいっぱいある。また、それだけではなしに、私どもいろんなところからレクチャーもお伺いいたしました。日本弁護士会を初めいろいろなところからの御意見もお伺いいたしました。それぞれ、開示の方法とかまた範囲とか、いろんな問題でも問題があるやにお伺いいたしております。  そこで、大臣、ヨーロッパへ行っていろんな国の皆さん方の御意見を聞き、国の状況もお伺いいたしまして、先般出された法案はやっぱり出し直した方がええことないかというようなところはございませんでしたか。
  146. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 弁護士会その他いろいろな方面から寄せられております御意見につきましては、私も一々勉強させていただいております。  基本的に一つ理解をいただきたいと思いますことは、弁護士会などが非常に強調しておられますことは、要するにプライバシー保護ということで、個人情報全体について網をかぶせるという感じで物をお考えになっておるようであります。ところが、その個人情報全体、プライバシー全体ということになりますと、どうも総務庁の守備範囲を大分逸脱してしまいます。私的な分野について私どもが直ちに網をかぶせるということは、残念ながら今の状況においてはちょっと難しい、そういう状況にあります。でありますから、いろいろな角度からごらんになれば御不満があるかもしれませんが、私どもが提案をいたしておりますのは、いわゆるプライバシー保護のうちで公的な国が持っております個人の情報についてのしかも電算処理をされたものについてのみということでございますので、したがってこれは今の日本の役所の権限、機構等からいって、当庁が当面できる範囲はそこまでかなということで考えたところであります。  なお、地方自治団体等におきましても随分個人情報保護の条例を制定したところも多うございますので、こうした措置に対する必要性についての国民の皆様方の御理解はかなり広まっているのではないかというふうに思われます。  不備なところにつきましては今後さらに勉強させていただくつもりでございますので、一日も早く御審議をいただきたいというふうに思っております。
  147. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、給与の問題についてお伺いをいたします。  これは官房長官がいなくなりましたので総務庁長官にお答えをいただきたいのでありますが、人事院もことしで創立四十周年になるんだそうですね。そして、この勧告の後ろの方にありますが、  この間、公務の民主的かつ能率的な運営を国民に保障するという法の基本理念の実現に努めてきており、人事院勧告制度をはじめとする公務員制度は、国民理解と支持の下に行政運営の安定等に大きな役割を果たしてきた。 こういうふうにありまして、人事院といたしましても、  今後とも、国民の信頼と期待にこたえるため、各方面の意見に真剣に耳を傾けながら、長期的展望に立って公務員制度の一層の整備、改善に取り組んでいく所存である。 こういうふうに人事院が書いておられますが、政府としては人事院制度そのものに対してどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。  最近は人勧も完全実施するという方向になってまいりましたが、その途中では人勧なんか要らないのじゃないかという議論も随分あったわけです。俸給表そのものもいろいろなところで、何というか、勧告に基づかないで、いわゆるはしょったりいろいろなことをやってきたわけです。そういうような議論も随分ありました。  そういうことを踏まえまして総務庁長官としての、本当は政府としての姿勢をお伺いしたいのでございますが、人事院に対する基本的な考え方、これをまずしょっぱなにお伺いしておきたいと思います。
  148. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 人事院勧告につきましては、ただいま委員御指摘のように、あるときは凍結あるいは見送りというようないろいろな経緯もございましたが、基本的にはやはり私どもは完全実施をすべきものというふうに考えて対処をしてきたつもりであります。  人事院勧告制度そのものにつきましては、政府にとりましては大変ありがたい制度であると率直に言って思います。人事院においていろいろと御調査の結果勧告をされる、それを尊重しながら決めていくということによって労使関係につきましても非常に安定した形で推移をしてきておるわけでありまして、これは最大限尊重してやっていくことが今の置かれた状況の中ではベストであるというふうに考えておりまして、今後ともそのように対処をしていきたいと思っております。
  149. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ここで人事院からも一言お伺いしておきたいと思います。  人事院としまして、特にことしの勧告に当たって、先ほど概要説明はお伺いしましたが、特にこの点は一遍わかっていただきたい、聞いておいていただきたいということがございましたら、一言おっしゃっていただければと思います。
  150. 佐野弘吉

    政府委員佐野弘吉君) ただいま御議論になりましたように、申すまでもなく、国家公務員法人事院公務員諸君の労働権の代替機能を厳粛に履行いたしておる機関でございます。公務員諸君といえども勤労者であり労働者でございますので、その生活を確保いたすことは当然のことでございまして、過去において抑制ないし凍結があった事態は非常に残念なことだと私も思っております。  幸いにいたしまして、当今、政府並びに国会の十全なる御理解もと完全実施がやや定着してきたかというような環境を見出してこられたことに私も人事官の一人として非常に安堵をいたしておるところでございます。  ことしの勧告におきましては、申すまでもなく、昨年一・四七という極めて低率な給与勧告もいろいろの御議論ございましたがすんなり御了承をいただき、引き続き本年も二・三五という必ずしも高率でない給与改善について御了解を得て、速やかに官民較差を埋めるというふうにしていただきたいということを強調したいと思います。  またもう一点、あるいは後ほど御議論があろうかと思いますが、公務員の勤労条件の中で、かつて明治以降なかった例えば代休制度というようなものを取り入れることによりまして土曜閉庁の完全なる遂行、あるいは労働時間というものを将来の目標設定になっております千八百時間に近づけるために土曜閉庁というものを取り入れるというような事態が近づきつつありますし、また報告の中で申し上げておりますように、土曜閉庁あるいはただいま実施しております四週六休制というものは、近い将来における完全週休二日制への中間的形態であるということについて深い御理解を得たい、このように考えております。
  151. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今回の勧告は、給与勧告とそれから週休二日制の問題と寒冷地手当、この三点に絞られているわけでございますが、これは先ほどからいろいろとお話もございましたし、官房長官から先ほど御答弁をいただきましたが、これは完全実施ということだろうと私は思うんですが、総務庁長官から、この勧告の取り扱いについて、これからのいわゆるスケジュールとあわせましてどういうようなことになるのか、お伺いしておきたいと思います。
  152. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) まず、給与の方の扱いでありますが、勧告をいただきました翌日、直ちに給与関係閣僚会議を開きました。その際に、私の方からは早期完全実施ということを強く要請をいたしたところでありますが、財政担当をいたしております大蔵大臣の方からは諸般の情勢を慎重に考慮してみたいというような発言がありまして、直ちには承認を得られなかったわけであります。今月の中下旬中にもう一回閣僚会議をお願いしたいなと実は考えておりまして、従来ですと三回ないし四回やっておるようでありますので、今月中に結論を得られるかどうかにつきましてはまだ定かではございませんが、私どもといたしましてはできるだけ早期完全実施の方向で推進をしていきたいというふうに考えております。  それから、月二回の閉庁を含む週休二日制の問題につきましては、ただいま当庁で鋭意作業を取り進めておるところであります。  最大の問題点になっておりますのは、土曜日に期限が到来するいろいろな申請等の手続についてその日が休みである場合にこれを月曜日に繰り越すということにしなければならないわけでありますが、届け出等についての法令に定めるところが非常に多いものですからこれに遺漏のないように十分検討しなければならないということで検討を重ねておるところでありまして、私どもといたしましては今国会でぜひ御審議を賜りたいというふうに思っておりまして、何とか今国会はお出しするようにしたいということで今努力しているところであります。
  153. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今国会中というのは、週休二日の問題ですね。  前段の給与の問題なんですけれども、実は今までのいろんな取り扱いを見てみますと、昨年は十月二十二日、それから一昨年は十月二十一日、その前の六十年は十一月八日、それぞれ完全実施の閣議決定を行っているわけであります。ことしは、たまたま現在臨時国会開会中なんですよね。そういうふうな意味でも、先ほど大臣から今月の中下旬に閣僚会議というお話がございましたが、できるだけこれは今国会中に何とかならないかと、そういうふうな考え方があるわけです。竹下内閣が発足して初めての人勧でもありますし、特に従来の例にとらわれないで早く法案として出していただいて、あるいは閣議決定も早くしていただいてやっていただきたいという思いがするわけであります。  それで大臣、従来はいろんな問題がありまして、特にGNP一%防衛費の問題がありまして、人勧を完全実施した場合の防衛庁分が幾らになるかということでその分でGNP一%を突破するかせぬかという議論が随分ありまして、そういうふうな差しさわりが随分あったわけであります。ことしはそういう点がどっちかというと多少ないわけでありますね。そういうふうな意味では、今国会中に閣議決定をしていただいてできるだけ早く実施する、その可能性はあるわけですね。今までにないいろんな条件ですから。そこら辺のところを大臣、これはぜひそうしていただきたいと私は思うのでありますが、大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  154. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 私どもといたしましては、先刻来申し上げておりますように、早期実施ということで努力をしたいと思っておりますが、財政当局は、税収は好調であるとはいえ大幅減税先行もこれありというようなことを申しておりまして、なかなかすぐにうんと言ってはくれない状況にあります。しかし、御趣旨を体しまして私どもとしては最善の努力をしたいと思っております。
  155. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは人事院にお伺いしたいのでありますが、毎年私は思うんですが、民間調査の方法、これは、毎回、企業規模百人以上、事業所規模五十人以上である全国の四万の民間事業所の中から抽出をいたしまして七千七百の事業所のそれぞれの調査をやる、これは大変な作業だと私は思うんですけれども、その調査のあり方、あるいはここら辺のところがやっぱり民間状況を掌握するのには一番いいのかどうかという問題が一つ。  それからもう一つは、参考のためにということで小規模事業所だったですか、の調査もしているとお伺いしているわけでございますが、小規模事業所を含めた場合にどういうふうなことになるのか、そこら辺の状況についてお伺いしておきたいと思います。
  156. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 現在の調査の方法が最善かどうかというお尋ねでございますが、調査実施しておる私たちの立場からいいますと、民間給与の実態を把握して国家公務員給与に反映させる、そして国民の御納得を得るということを考えますと、やはり今程度の調査はしなければならないだろう、そしてそれをできるだけ正確に行って国家公務員給与と比較して勧告していくということで私たちはいいんじゃないかというふうに考えております。  もう一つの、小規模調査の話でございますけれども、これにつきましても議論が出ました当時から調査をいたしておりますけれども、やはり何といいましても、小規模事業所というのは賃金決定の基準がないとかあるいはまた中途採用者が占める比率が従業員の中で高いというようないろいろな要素がございまして、国家公務員給与と比較してそして国家公務員給与のあり方を議論するには資料の点からいってやや問題があるんじゃないかというふうに現在私たちは考えております。しかし、私たち調査に行きましたときにそれ相応の対応をしてくれる事業所もございますので、私たちは今直ちにその小規模事業所というものの調査をやめようというふうには考えておりませんが、現在の段階の考え方といたしましては、国家公務員給与との比較においてこれを議論するには若干無理があるなという感じを実は持っております。
  157. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、初任給ですけれども、民間がことしみたいな非常に景気がいいとき、ことしの公務員のいわゆる応募状況とかそれはどういうふうになっておりますか。初任給の問題について多少は配慮しておりますけれども、本当に優秀な公務員を採用するという点からいくと、初任給については相当配慮をしないといけないんじゃないかと思うんですが、この辺の事情はどうですか。
  158. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 国家公務員の採用というのは民間企業との競争関係に立っておるという御指摘でございます。特に、I種の採用者につきましては民間の大きな企業との競争関係において採用がなされるという実情にあることは先生の御指摘なさるとおりでございます。そこで私たちは、I種の初任給につきましては民間企業初任給とほぼ肩を並べるように改善をいたしております。  問題は高校卒のIII種の方だと思いますけれども、これにつきましては、国家公務員のIII種の初任給民間初任給というのは実は若干差がございます。国家公務員の方が低うございます。ただ、そのときに考えておかなければなりませんのは、高卒を採用する企業というのは民間では毎年同一企業が採用していないということでございます。数年前は武富士とかいわゆるサラ金企業が高校卒をたくさん採用いたしましたし、あるいは最近では情報関係の日本アイ・ビー・エムとかそういうような企業がたくさん採用いたしておりますし、去年、ことしあたりでは金融・保険関係が採用するということで、毎年、言うなれば景気のいい企業が高校卒を採用している。その初任給国家公務員を比較するということを行いまして常に民間の高校卒の初任給国家公務員初任給を合わせるということになりますと、常に景気のいい企業の高校卒の初任給国家公務員初任給を合わせるということにもなりかねませんので、そこは実は私たちの方も多角的な検討を行いながら考えていかなければなりません。本年におきましても、一般の国家公務員のアップ率よりも若干高いアップ率をもちましてその初任給改定しておるところでございます。  先生の御指摘もございますので、今後の作業の参考にさせていただきたいというふうに思います。
  159. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 聞くところによりますと、ことしは応募人員も昨年の半分だというんですね。それではやはりいろいろ問題もあるんじゃないかと私は心配をしているわけであります。  ちょっと時間がありませんので次の問題に移りますが、週休二日制の問題。  大臣から先ほど答弁ございましたので、また先ほど同僚委員の方からもいろいろ質問がございましたので、がっちりはしょってやりたいと思うんですが、特に国立学校の問題、それから国立病院の問題ですね。これは、土日閉庁したり学校をあれしたりするわけにいかぬわけですね。そこら辺のところの検討がどういうふうになっているのか、あわせてこれは文部省、厚生省にお伺いしておきたいと思います。  それからもう一つは、特に直接住民とのかかわり合いの深い窓口業務の多い地方公共団体の閉庁方式、これは大体どういうふうになるのか、これは自治省にお伺いしておきたいと思います。  それから、もう一遍に言ってしまいますが、最後にもう一点、完全週休二日制のめど、これはどういうふうになっているのか。資料によりますと、私は、初めは昭和六十五年までに実現するというふうになっていたと思うんですが、それが最近六十七年というふうに延びているようにも思うんですが、これは当然そこら辺のいきさつはあると思うんですが、そこら辺の事情もあわせて御説明いただきたいと思います。
  160. 佐野弘吉

    政府委員佐野弘吉君) 先ほども同様な御質問がございましてお答えしたところでございますが、職員局長の私的諮問委員会で大勢としては六十五年完全週休二日制をしたらどうかという御意見がございまして、私どももよく承知をいたしておるところでございます。それらの答申等を見ながら、私どもも完全週休制へのめどをいかように取り運ぶか慎重に審議をいたしました。六十五年ということは人事院の外でも御承知になっておるところでございまして、ただいまの御質問の核心はその点にあるように思います。私どもは、慎重に考えました結果、経済運営審議会で六十七年まで本年から五カ年の計画期間として千八百時間、完全週休制へのめどをつけると。また、労働基準法の改正の趣旨もそこにあるように承知をいたしております。  しかし、御承知のように、来年早々土曜閉庁が画期的な措置として取り入れられるわけでございますし、また全国の金融機関等において完全週休閉店という状態が生み出されるわけでございますので、私どもは、例えば公務における土曜閉庁がどのように国民、社会一般から受け入れられるか、皆様から大した苦情もなく定着していくのかどうか、あるいは金融機関等における完全閉店というものがどのような影響をもたらしていくのだろうか、あるいはこうした事態というものが非常に複雑な日本の産業経済社会の中で週休二日制を完全に推進していく、労働時間も西欧的水準に近づけていくというような情勢が加速していくんではないかという期待も実は持っておるわけでございますが、そうした情勢の推移を十分に見きわめながら、しかし少なくとも経済運営審議会で言う六十七年、あるいは労働省の労働時間短縮計画で言う同様のこの目標に対しまして、少なくともどんなことがあってもそこまでには完全週休制を実施いたしておくと。しかし、人事院といたしましては、今私がるる申し上げましたような情勢を見きわめまして、もし可能ならばそれ以前にも実施に移したいという期待と願望を今回の報告の中で計画期間内のなるべく早い機会にという文言で我我の気持ちを表明いたしておるところでございます。御了解を願いたいと思います。
  161. 奥田與志清

    説明員奥田與志清君) 国立学校の教職員の四週六休制実施状況でございますけれども、いわゆる基本形を原則にいたしております。ただ、国立大学の附属学校につきましては、先生御案内のように、いわゆる月曜日から土曜日まで教育課程が組まれているというふうな教育課程の関係を考慮いたしまして、現在のところ夏休み等の休業期間中にまとめどり方式でとっていただくということで国民の御理解、御納得をいただいて実施をいたしております。また、土曜日に授業あるいは診療等を行います、したがいまして土曜日に休んでいただくことが難しいそういうふうな教職員につきましては、土曜日以外の日に指定して休んでいただくといった弾力的な方法を現在とっております。  そこで、今後のことでございますけれども、これまた先生御案内かと思いますけれども、小中高等学校等につきましては、昨年の十二月に教育課程審議会の答申をもらっておりまして、いわゆる学校五日制、この問題につきまして今後検討を進めるという御指摘もいただいておりますので、この検討状況を踏まえながら今後検討するということでございますし、また大学につきましても、大学等の教育課程につきまして大学審議会におきまして現在検討を進めております。こういう状況を踏まえて今後対応を考えてまいりたいというふうに考えております。
  162. 矢野朝水

    説明員(矢野朝水君) 国立病院・療養所の四週六休でございますけれども、これはいろいろ創意工夫をいたしまして今実施しているところでございます。  それから、閉庁問題でございますけれども、これは入院部門、外来部門両方あるわけですけれども、入院部門につきましては、これは閉庁ということは考えられないわけでございます。それで外来部門につきまして閉庁するかどうか、こういう問題につきましては、実は地域の医療供給体制をどうするのか、こういう難しい問題がございますので、今後ともさらに検討していきたいと思っております。
  163. 佐藤信

    説明員(佐藤信君) 地方公務員についてお答えいたします。  まず、土曜閉庁方式前提となります地方公共団体における四週六休制導入状況でございますが、ことしの八月一日現在の調査によりますと、四週六休制実施あるいは試行している団体は合わせて約七割、六九・四%の団体ということになっております。四週六休制導入を行っている団体は月ごとに増加を見ているという状況でございます。  そこで、地方公共団体における土曜閉庁導入でございますが、国家公務員と同様に積極的にこれを導入すべきものというふうに考えているところでございますが、先ほどお話がございましたように、地方公共団体では住民に密着した行政を多く抱えているということもございまして、法的な措置のあり方でございますとか開閉庁の振り分け、閉庁する場合の行政サービスのあり方といったような問題についてはいろいろと検討すべき点があるというふうに考えておりますが、現在、閉庁の根拠となります法的措置については立案作業を進めているところでございますし、開閉庁の振り分けだとか行政サービスのあり方については自治省の方に学識経験者によります地方公共団体の土曜閉庁に関する研究会を開催して御検討をいただいているという状況にございます。また、各地方団体に対しまして、住民の立場に立った行政サービスの運動を推進するといったようなことで行政サービスの一層の改善向上を図るということを指導する一方、具体的に土曜閉庁方式導入するというふうにした場合に各団体においてどんな問題が考えられるかというようなことを今から検討しておくようにというような土曜閉庁に向けての必要な条件整備にも努めるよう指導いたしているという段階でございます。  今後とも、国家公務員、国の行政機関と余りおくれることなく地方公共団体にも土曜閉庁方式導入されますように、随時各地方公共団体に対しまして必要かつ適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
  164. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 終わります。
  165. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 午後四時三十五分まで休憩いたします。    午後四時十一分休憩      ─────・─────    午後四時三十七分開会
  166. 大城眞順

    委員長大城眞順君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  167. 吉川春子

    吉川春子君 今年度の人事院勧告した二・三五%の給与の引き上げ率は、公務員の生活改善につながるものではなくて極めて不十分なものと言わざるを得ません。  私の試算によりますと、一人世帯、十八歳、一級二号俸の場合に税金、共済掛金額の負担は七千六百七十二円の増になります。また、マル優の廃止によりその利子は一万二千二百七十六円も取られます。また、四人世帯の場合は、二人の子供を保育園に預けたりするとこれらに加えて保育料の値上がり等により実質の手取り増は一カ月に直すと四千八百円にすぎません。単身者の場合は七千六百七十二円、こういう少額にすぎないんです。  そのほか、地価高騰による家賃の値上げや教育費やもろもろの物価の上昇などを考えると実質的にはマイナスになってしまうんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  168. 中島忠能

    政府委員中島忠能君) 御質問の件につきましては事前に通告いただいておりませんので詳しい資料は手元に持っておりませんが、お話しになるように、社会保険料等については若干の負担の増があるかもわかりません。  ただ、私たち給与勧告いたします場合に、やはり基本的には民間企業のサラリーマンの給与というものを調査いたしましてそれをもと勧告するという基本的な考え方で臨んでおりますので、そうして私たちは今度の二・三五%というものを出したわけでございます。したがいまして、私たち勧告したその内容に従って給与をアップしていただくということになりますと民間企業のサラリーマンとほぼ同じアップになるということでございます。そして私たちは、その結果が国民の皆さん方に御了解いただける結果だというふうに思います。
  169. 吉川春子

    吉川春子君 通告してないわけないでしょう。人勧の目的というのは生活の向上とかいろいろなものが含まれるわけですから、要するに、これぐらいの低率の人勧では改善にならないと、そういう質問なんですから、ちゃんと通告してあるわけです。  私たちは、とにかく今局長も一部認められたように、ほかのいろいろな物価上昇その他のことを考えますと完全実施ということはもう当然のことでありますけれども、即生活の改善にはつながらないんじゃないかと、こういうことを指摘しておきたいと思います。  それで、労働時間の短縮の問題についてですけれども、今回の人勧では、豊かな国民生活実現するため労働時間の短縮を強く打ち出し、また完全週休二日制に対しては積極的に推進していく必要があると、こういうふうに言っています。社会全体の労働時間の短縮週休二日制への関心の高まりあるいは公務部門の果たす役割を挙げて、実現のための施策を計画的に講ずる必要を報告しています。  政府はさきの閣議決定におきまして、土曜閉庁方式導入に当たって現行の予算はふやさず、人員もふやさず、サービスは低下させずと、こういう方向を出されたようですけれども、現状のままでは、完全週休二日制はおろか四週六休などを行うにしても、土曜日の事務量というのがそのままふえることになるんじゃないですか。
  170. 勝又博明

    政府委員(勝又博明君) 国家公務員週休二日制につきましては、民間企業におきましては時短を進めるために生産性向上の懸命な努力が行われるというようなことあるいは中小企業における週休二日制の普及率がまだ低位にとどまっているというようなことなどを考慮いたしまして、従来から予算定員の増を伴うことなく実施することといたしておるわけでございます。本年四月からの四週六休制につきましてもこのような方針に沿いまして各般の工夫を行いつつ実施したところでございまして、現在までのところ格別の問題は生じていないというふうに考えております。  また、現在導入の準備を進めております月二回の土曜閉庁につきましては、この四週六休制の枠の中での閉庁方式でございますので週平均勤務時間の短縮を伴うものではございませんので、追加的な定員の必要があるものとは考えておりません。  なお、今後、完全週休二日制の実現ということは大事な検討課題ではございますが、さらに時間短縮を進めるに当たりましては行政事務の簡素効率化を一層進めますとともに、勤務編成のあり方についてもなお一層の工夫ある報告の必要があるのではないかと考えております。
  171. 吉川春子

    吉川春子君 その事務の簡素効率化ということを行ってもそれだけでは解決しない分野が出てくるんじゃないかということを私は質問しているわけです。例えば、首都圏では、土地の利用の急増、地価高騰などにより登記所の事務量はふえる一方ですね。  そこで伺いますけれども、千葉法務席の事務量は、去年とことしと比べてどうですか。
  172. 永井紀昭

    説明員(永井紀昭君) 御指摘がありましたとおり、全国的に大都市及びその周辺部で非常に登記事件が激増しております。  昨年度の千葉局管内の登記申請事件数は約百十万件でございまして、これはその前年に比較いたしまして約一三%の増となっております。それから、いわゆる謄抄本の交付でありますとか閲覧の事件は二千六百三十三万件でございまして、これは前年比一九・五%の増となっております。
  173. 吉川春子

    吉川春子君 登記所については今でも週休二日制とか四週五休とかそういうものに関係なしに物すごくふえていて大変な状況でありまして、この委員会でも私指摘しましたけれども、その事務を適正に処理するためあるいはサービスを低下させないためには、どうしても人員の確保が必要な部門なんですね。  厚生省に伺いますけれども、国立病院の四週六休制導入に伴って人員の増加がどうしても必要になると、こういうことがあったんじゃないんですか。
  174. 矢野朝水

    説明員(矢野朝水君) 国立病院・療養所の四週六休の実施でございますけれども、これに当たりましては、事務事業の見直しをするあるいは予約制をとるとか機械化を進める、こういったさまざまな創意工夫をいたしまして実施に踏み切ったわけです。  ただ、どうしてもローテーションが組めない例えばボイラー技士ですとか調理員とかこういった方々につきましては若干賃金職員対応したと、こういう経緯もございます。
  175. 吉川春子

    吉川春子君 もうそういうふうに対応しなければ四週六休はできないわけですね。それは当然のことだと思うんですが、さらに四国においては、四週六休体制の実施に当たり困難があるので増員の措置についても強い要求があったと聞いていますが、厚生省御存じですか。
  176. 矢野朝水

    説明員(矢野朝水君) 四国地方医務局の支局長と組合の間でこれは二百五十一名の増員が必要だと、こういう確認書を取り交わしたということは聞いております。  ただ、この二百五十一人の中身が何かということで私ども確認しましたところ、これは連続して二日続けて休む、例えば土、日続けて休みとかあるいは交代制勤務でやっておりますので月曜、火曜続けて休む、こういった場合に二百五十一名必要だと、こういうことでございました。ところが、実際四週六休を実施する際には、勤務を要しない時間の指定基準というのが出ておりまして、これにつきましては弾力的にやれる、つまり八週間で十六時間ですか、こういったことで弾力的に実施できる、こういうことになっておりますので、私どもは人事院の承認を受けましてそういう弾力的なやり方で四週六休を実施しておるわけで、そういう意味におきましてはこういった増員は必要ないと考えております。
  177. 吉川春子

    吉川春子君 まさか増員が全く必要ないというふうにおっしゃったんじゃないでしょうね。  病院においては看護婦さんあるいはボイラー技士その他の職員が不可欠に必要で、四週六休体制あるいは将来の週休二日ということになればサービスを低下させるかあるいは労働者の重労働と、そういうことになるわけですね。これは、四週六休試行後の全医労の実態調査でも、増員がない中での実施は、一つは病棟の日勤人員の減少、例えばおむつ交換の回数が減るとか入浴の回数が減るとか、そういうところに影響が出てくるわけで、あるいはまた労働者にとっては超勤の増加、年休・生休の消化率の低下とか、あるいは患者さんにとっては外来の待ち時間の増加など患者サービス労働条件の低下を来さなければできない、こういうような実情報告もあるわけですね。こういうことを考えますと、やはり四週六休あるいは週休二日などについては、定員の増加ということなしにはこれは非常に難しいんだ、やはりどうしても定員増が必要だということを私は申し上げたいんです。  大臣にお伺いいたしますけれども、要するに、四週六休あるいは週休二日を行うことによってそれがサービスの低下や今以上の労働の強化につながらないためには人員の問題、どういう形にしろ人手をふやすということも考えなければできないんじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  178. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) ただいまの四週六休につきましては、先ほど人事局長が御答弁申し上げましたように、現在のところ支障なく本格実施という段階に入っておるというふうに報告を受けております。  さらに、閉庁方式の問題につきましても、現行の予算定員の範囲内で対処をするということでやってきておるわけでありますが、今後におきましてさらに業務量の増加等があります場合にはそれはそれなりに各省庁からの要求というものが今後六十四年度予算編成に際しましてそれぞれ出てまいるわけでありますので、これらにつきましては、十分行革の精神を踏まえてそれぞれ検討、査定をさせていただくということで対処をしていくべきものと、このように考えております。
  179. 吉川春子

    吉川春子君 私は、定員の問題についても弾力的にすべきだということを強く要求しておきます。  官房長官がお見えになりました。  私は、総理府汚職の問題についてきょうは伺いたいと思いますが、それに先立ちまして、リクルートコスモスの社長室長が楢崎議員にわいろの申し出をした、こういう問題が明らかになったことについてまず伺いたいと思いますけれども、私はとんでもない会社だと思うんですね。  松原社長室長は五百万円で疑惑解明にふたをして国会の審議権を買収しようとしたわけですけれども、この行為について官房長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  180. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 昨日の楢崎議員の記者会見での発表ぶりについては承知をいたしておりますが、その内容等についてまだ十分承知をいたしておりませんので、そのことについて政府としてコメントすることは差し控えさしていただきたいと存じます。
  181. 吉川春子

    吉川春子君 政府としてのコメントというよりは官房長官の御自身のお考えを伺いたいんですが、五百万円で国会の審議権を買おうとするようなこの行為についてはどうお考えですか。
  182. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 申し上げましたように、そのように楢崎議員が記者会見で申されていることは承知をいたしておりますが、政府の立場でございますので、その事実に基づいて諸般の手続がとられるということでありますればそれに対しての対応は行われるものと思いますけれども、まだそのことの事実関係の詳細について私が自分自身掌握しておるわけでございませんので、大変恐縮ですが答弁は差し控えさしていただきたいと存じます。
  183. 吉川春子

    吉川春子君 お金で国会の審議権を買う、こういうことはよくないですね、一般論ですが。
  184. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お金で審議権を買うということはどういうことか、もう少し御説明いただければありがたいと思います。
  185. 吉川春子

    吉川春子君 新聞をお読みになっていないんですか。一斉に出ていますでしょう。お金を渡せば審議権を買えるなどということは国会に対する侮辱じゃないですか。  そういうような行為についてどうかと、政府対応を聞いているんではなくて、官房長官のお考えを伺っているんです。もう一度どうぞ。
  186. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 一般論的にそういうことはあり得べからざることだと思います。
  187. 吉川春子

    吉川春子君 この買収工作も、松原社長室長の個人的な判断でなされたものではなくて、江副元会長の意向も含めたリクルートの組織的な犯罪的な行為だというふうに私は思うんですけれども、長官はいかがですか。
  188. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) その点につきましても、事実関係を承知しておりませんので御答弁は差し控えさしていただきます。
  189. 吉川春子

    吉川春子君 事実関係をはっきりさせるために証人喚問がやっぱり必要じゃないですか。御存じないんでしょう、詳しいことは。だから、そのためにもリストの提出とか証人喚問とか必要になってくると思うんです、はっきりさせるために。  いかがですか。
  190. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これもしばしば申し上げていることですが、証人喚問ということにつきましては、これは政府が招致することではございませんで、院で御決定をされて、院の御判断に基づいて対応されることでございますので、政府としては院のこの動向についてとやかく申し上げることはいたすべきものでない、こう思っております。
  191. 吉川春子

    吉川春子君 その御答弁は確かにしばしば伺いましたが、私が質問しておりますのは、事実がはっきりしないと今官房長官がおっしゃるから、こういう重大な問題について事実がはっきりしないならばそれは証人喚問をやった方が事実がはっきりするんじゃないですかと、こういうふうに申し上げたんですが、いかがですか。お考えをお聞かせください。
  192. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これもしばしば総理も、先ほど総務庁長官も申されましたように、院の対応につきまして政府として行政府の立場から判断ないし考え方を申し述べることは、院と行政府との間の一般的ルールから申し上げてもこれはなすべきことではないというふうに考えております。
  193. 吉川春子

    吉川春子君 国会にいろいろと意見を言えとかそういうことではなくて、これだけ重要な問題がまた持ち上がったわけですから、はっきりさせるためには証人喚問という方法があるじゃないか、それではっきりするんじゃないかというふうに申し上げたんですけれども、答弁がありませんね。  それで、引き続き総理府広報汚職問題についてお伺いいたしますが、総理府は来年度の予算概算要求の中で日本ビデオ・ネットワークに発注している分とサンコーに発注しているタクシーの後部ガラスの広告について断念したというふうに報道されていますけれども、その理由は何でしょうか。汚職事件の反省によるものですか。
  194. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) お答えを申し上げます。  サンコーのタクシーリア広告並びに日本ビデオ・ネットワークにつきましては、問題が起きましたときに契約をその段階で取りやめておりますが、明年度の予算につきましては、媒体としてはなお非常に効果のあるものだというふうに考えておりますけれども、適当な受け皿がない。同じものに発注するということはできないし、それじゃ代替する同種の業者で適当なものがあるかということを考えてみたわけでございますが、それはちょっと見つからないということでございまして取りやめたということでございます。
  195. 吉川春子

    吉川春子君 汚職事件の反省によるものなんですね。  そして、この二社は指名業者、登録業者から外したということですか。
  196. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) 登録業者から現段階でもう外れております。
  197. 吉川春子

    吉川春子君 広研についてはどうするんですか。これも指名業者からもう外していますか。
  198. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) 広研につきましても同様の内部的手続をとって外しております。
  199. 吉川春子

    吉川春子君 そうすると、スポーツ紙に出している広告その他も広研を通してはやめるということですね。
  200. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) そのとおりでございます。
  201. 吉川春子

    吉川春子君 フジテレビで放映している「ホームジャーナル」についてはどうするんですか。これもやめるべきじゃないですか。
  202. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) フジテレビにつきましては、「ホームジャーナル」について総理府とフジテレビが直接契約をしておったものでございまして、いわゆる株式会社広研が契約の中には介入しておらないわけでございます。したがって、現在フジテレビとの当該契約を破棄するというふうには考えておりません。
  203. 吉川春子

    吉川春子君 そうしますと、広研はどうして総理府広報番組について手数料をもらっていたんですか。
  204. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) この問題につきましては、私どもは、今ほどお答え申し上げましたように、フジテレビと総理府とが直接の契約をいたしております。したがって、広研とフジテレビとの関係というのは局と広研との関係ということでございまして、私どもとしては契約の中身には全く入っていない問題でございます。
  205. 吉川春子

    吉川春子君 法務省お見えですか。  今回の汚職事件で起訴された総理府幹部職員鈴木蕃と広告代理店広研の遠山、西田に関する公訴事実について説明してください。簡単でいいです。
  206. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) 鈴木元参事官に対する公訴事実の概要を申し上げますと、被告人は、五十八年十一月から六十一年六月まで、総理府の内閣総理大臣官房参事官として総理府が発注する政府広報の実施等統括管理する職務に従事していたものでございますが、その職務に関し、株式会社広研代表取締役遠山三郎、それから同社東京支社長西田励らから、五十九年十月から六十二年十月までの間、前後十八回にわたりゴルフ、クラブなどにおきまして合計百六万円余相当の遊興飲食等の接待などの供与を受けて収賄した、これが公訴事実でございます。  それから、遠山三郎及び西田励に対する公訴事実の概要でございますが、遠山三郎被告人につきましては二つございます。一つは、株式会社日本ビデオ・ネットワークの河本、それからサンコーの福沢という人と共謀の上、総理府内閣総理大臣官房参事官をいたしておりました橋本哲曙被告人に対して合計百三十三万円余相当のわいろを供与したという事実。それからもう一つは、遠山被告人と西田励被告人が共謀の上、先ほど申し上げましたように鈴木元参事官に対しまして十四回にわたり合計八十九万二千六百円余の飲食等の供与をして贈賄した、こういう事実になっております。
  207. 吉川春子

    吉川春子君 法務省からいただいた資料によりますと、被告人鈴木は、総理府が発注するテレビ等による政府広報の企画、立案、実施等に関し、便宜有利な取り計らいを受けたこと等の謝礼の趣旨もとに接待等されるものであることを知りながら収賄したと、こういうことですね。確認だけでいいです。
  208. 東條伸一郎

    政府委員東條伸一郎君) 公訴事実によりますと、総理府が発注するテレビ等による政府広報の企画、立案、実施等に関し、便宜有利な取り計らいを受けたこと等の謝礼の趣旨もとにと、こうなっております。
  209. 吉川春子

    吉川春子君 ちゃんと総理府の幹部がそのことで収賄を受けているんですから、それを総理府が知らなかったなどとここで答弁なさるのはうそになるんじゃないですか。
  210. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) お答えいたします。  フジテレビとの関係におきまして政府の提供する広報番組につきましての制作なりあるいは企画なりという問題については、私どもは、広研は何も役割を果たしていなかったというふうに考えております。  ただ、問題は、何と申しますか、番組を制作し放映していく過程の中でいろいろ庶務的な業務とでもいいますか、これはそんな正確な名前があるわけではございませんけれども、俗に言ういわゆる庶務的な業務、例えばネットを張っておる各局から実際に契約どおりの放送をしたかどうかといったような結果をきちんと集めて報告をするなどというような仕事がございますが、そういうものについては中でその手伝いをしておるといいますか、庶務的業務をやっておるというようなことについては担当者は承知していたんだろうというふうに思います。
  211. 吉川春子

    吉川春子君 それで毎年二億四千万円もの手数料を受け取っていたと、そういうことを総理府は御存じだったんじゃないんですか。
  212. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) それは全く存じておりません。  なお、ただいま二億四千万という数字をおっしゃいましたけれども、それについても私どもは全く存じておりません。ちなみに、「ホームジャーナル」というのをお願いしておるわけでございますが、これについてフジテレビと年間契約をしておる六十二年度の金額について申しますと、これが二億二千五百万円ということでございますので、報道の数字というのは私どもとしては存知しないところでございます。
  213. 吉川春子

    吉川春子君 一紙だけじゃなくて、各社がその金額を報道しているわけですね。  で、総理府から広研に取締役社長として天下りといいますか、行った方がおられるんじゃないですか。
  214. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) 広研に社長として天下った者がいるなどということ……
  215. 吉川春子

    吉川春子君 取締役です。
  216. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) 取締役社長でございますか、それは聞いておりません。
  217. 吉川春子

    吉川春子君 全然御存じないですか。新聞等にも報道されたのに、そういうことを調べてみなかったんですか。隠さないで言ってください、わかっているわけだから。私の方から名前言わせないで。
  218. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) ちょっと役職がわかりませんが、東京支社の職員に就職している者がいるそうでございます。
  219. 吉川春子

    吉川春子君 それはどなたですか。職員じゃないですよ、取締役ですよ、謄本によると。
  220. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) 申しわけございませんが、ちょっとわかりかねますので、後刻調べて御報告いたします。
  221. 吉川春子

    吉川春子君 それじゃ、後刻調べて教えてください。  広研の、この会社の謄本によりますと、堀内孝次郎さんという人が取締役。もっともことしの七月やめてますがね。その人が、大蔵省の職員録によりますと、これは会計課の課長補佐をやっていらしたんですね。広研との間にそういう癒着が非常にあってこういうことがあったと思うんですけれども、広研がどういう役割を果たしていたかということがおわかりにならない、どれだけ手数料を取っていたかもわからない。そういうことはちゃんと調べて報告していただけませんか。
  222. 高田朗雄

    政府委員(高田朗雄君) この問題につきましては、フジテレビと広研との関係というふうに考えますので、全く企業内の問題でございますので私どもとしても把握いたしておりません。
  223. 吉川春子

    吉川春子君 官房長官にお伺いいたします。  「ホームジャーナル」という政府広報番組を今のお話だと二億何千万かで発注していたと。報道によると、広研は「ホームジャーナル」について年間二億三千万か四千万の手数料を取っていた、こういうことが報道されているわけですね。しかも、起訴事実にはテレビ番組のそういうものに関してわいろを受け取ったというふうになっているわけですから、この「ホームジャーナル」という番組自体がわいろで汚れている番組なんですね。それを調べないで、よくわからないなどといってそういう番組を続けるということは、広報のイメージとしても非常に悪いんじゃないですか。こういう点についてはっきり調査し、しかもこういう「ホームジャーナル」のような汚職絡みの広報番組というのはやめるべきだということを大臣に要求いたしますが、いかがですか。
  224. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 事件そのものはまことに遺憾のきわみでありまして、それに対しては適切に対処したところでございますが、さりながら、その報道されておられる番組そのものの是非とは直接かかわり合いなかろうかと思います。その番組そのものが総理府としても適切な政府広報を実施しておるということであるとすれば、それは継続すべきものだろうと思います。しかし、今御指摘ございました、いろいろ数字のことも言われました。その点については、応答を聞いておりましたがいささか勘定が合わないお話のように実は聞こえましたが、それはそれといたしましても、政府としては番組そのものの価値ということを前提としてその番組を今後放映するかどうかほついての基準にいたすべきものだというふうに考えます。
  225. 吉川春子

    吉川春子君 広研の贈賄、そういうものと全く関係がない、潔白なんだ、そういうことをちゃんとお調べになる必要があると思います。これだけ言われているわけですからね。  その点は調べてみるということについてはどうですか。
  226. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) その点については、事件として既に処理をされておるわけでございまして、厳正な捜査によって結論を既に得ているものだというふうに考えております。したがいまして、どの点をどう調査せよということなのか私ちょっとわかりかねますので、できましたらいま一度よろしくお願いいたします。
  227. 吉川春子

    吉川春子君 検察庁、そして起訴ですから裁判ということでそっちの方はいっているんですけれども、「ホームジャーナル」という番組について総理府は御存じないとおっしゃるわけですね。広研が入っていたということは知らないと言う。しかし、広研はその番組に絡んでわいろを受け取ったという起訴事実によって起訴されているわけですね。だから、それでどれぐらい手数料を取っていたのかということも、今言ったように大きな差があるわけです。そういうようなことをはっきり調べて、これは刑事問題としてのレベルではなくて、政府が広報をやる以上そういう疑惑を残してはならないというそういう行政レベルできちっと調査なさる必要があると思うんです。だから、検察庁はこういう問題について調査するとかなんとかということじゃありませんから、広報番組を発注している政府自身がちゃんと調査なさるべきだと。報道によれば、フジテレビも東京地検からの取り調べを受けたということもあるわけです。  その点、もう一度官房長官にきちっとそういうものについて疑いを晴らす上で総理府として調査していただきたいということをはっきり要求しますのと、もう一つは、時間の関係で続けて申し上げますけれども、政経文化研究会というのがあります。  この政経文化研究会というのは、かなり報道されていますけれども、旧田中派の二日会に対して五十七年から六十一年までの間に五千七百三十五万円も政治献金をしているんですね。この会の代表が今問題になっております広研の遠山、会計責任者は西田、こういうことなんです。だから、そういうところが政治家に対して多額の政治献金をやっている、一方では広報に絡んで汚職をする、こういうような事件の絡みになっているんです。この問題については引き続き質問したいと思いますけれども、こういう政治家絡み、政治家の団体絡みといいますか、そういう問題もありますのできちっと総理府としては疑いを晴らすように調査をして、その結果を明らかにしていただきたい、そういう要望です。
  228. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御意見としては承りましたが、総理府としては、部内に機関を設けて今日まで厳正に調査を進めてきた結果、既に結論を得て、それぞれ担当者につきましても厳正な処分を行ったところでございますので、現段階におきましては調査といいましても部内で十分それを実施したものだという確信を得ているものでございます。
  229. 吉川春子

    吉川春子君 納得できないで終わります。
  230. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 私は、きょうは戦地における遺骨収集の問題で若干お聞きをしてまいりたいと思うんです。  最初に厚生省の方に。  戦地で亡くなった人たちの数というのは大変なものなんですけれども、その遺骨収集で今日までに政府がかけたお金というものはおよそどのぐらいお使いになり、またこれで正確に把握することもできないわけですけれども大体どの程度の遺骨収集が進んだというふうにお考えになっているのか、そこのところをお聞かせいただきたいんです。
  231. 新飯田昇

    説明員(新飯田昇君) お答え申し上げます。  さきの大戦におきまして主要戦地となった地域におきます戦没者の遺骨収集は、講和条約発効後の昭和二十七年度から開始いたしました。国外にありましては相手国政府と相手方国民理解と協力を得ながら、現在までに合わせて百八十六回にわたる調査、収集団を派遣してまいりました。その結果、これまでに約百二十一万柱の御遺骨を日本に送還をしたところでございます。  なお、これらの地域における戦没者数はおよそ二百四十万人となっております。  遺骨収集関係の予算額についてでございますが、昭和四十二年度から昭和六十三年度までの総計で約二十五億六千万円になっております。昭和四十一年以前につきましては十三回調査、収集団を派遣しておりますが、この間につきましては、予算の分類上、予算額を算出することは困難な状況でございます。
  232. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 特にその中で南方の激戦地であったラバウルとかガダルカナル、ニューギニアの辺についての遺骨収集は何割程度というか、どの程度の収集が終わったというふうに判断なさっているか、そこのところをお聞きしたいんです。
  233. 新飯田昇

    説明員(新飯田昇君) お答え申し上げます。  お尋ねの三地域につきまして、ラバウルあるいはガダルカナル、ニューギニアは南方激戦地の代表的な地区であろうかと思いますが、この三地域につきましてはいずれも昭和二十九年度に遺骨収集を開始しております。  ラバウルの場合ですと、これまでは六次にわたる遺骨収集で約三千柱の御遺骨を送還しております。  また、ガダルカナルでは、十次にわたる遺骨収集で約一万二千六百柱の御遺骨を収集しております。  また、パプアニューギニアにおきましては、六次にわたる遺骨収集で約一万五千九百柱の御遺骨を収集しているところです。  なお、今申し上げましたこれら三地域における戦没者数の概数でございますけれども、ラバウルを含むニューブリテン島におきまして約一万三千五百人でございます。  ガダルカナル島におきましては、戦没者数が約二万二千人でございます。  パプアニューギニア、東部ニューギニアにおきましては、戦没者数は約十二万七千六百人ということになっております。
  234. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そこで、今度は外務省の方にお聞きをしていくんですけれども、今の数字からいくとかなり残っていることになるんですけれども、本年の六月二十日に二十名の慰霊団がガダルカナル島に参っているんです。  その日は、いろいろホテルの手続やお金をチェンジしたりそういうことをしておったものですから、十分時間がなくて、あそこのあのオースチン山に建てられている慰霊碑にお参りだけして終わっておりまして、翌日二日目に、あそこのソロモンの首都のホニアラから西方面に向かって、特に激戦地であったボネギ川のほとりで慰霊式をやったんですが、その慰霊式をやっているときに現地住民がビニール袋に入った遺骨を持ってきてくれた。それで大変感謝して受け取って、その慰霊団の人たちもその遺骨を持ってホテルに帰って、みんなして一つ一つきれいに水で洗っておさめた。  それで、次の三日目の日の朝に、今度は島の東側の方に行くので、大使館の方に電話をして、この遺骨を預かってほしいというお願いをしたところが、大使館の方では、焼いたものならば預かるけれども生のものは預かれないと言って断ったというんです。この書記官は若い書記官だったから無理もないだろうと思うんです。それで代理大使の方に、慰霊団の人たちもきょう東側へ行ったら翌朝もう帰国するんだし、それから自分もまたニュージョージア島に一戻るし、そうすると焼骨している時間がないので何とか預かってくれないかと言って頼んだときに、そこのホニアラの代理大使が電話で言ったことは、生骨は衛生的に問題があるのでそんなもの預かれない、こう代理大使が言ったというんです。では大使館でもって焼いてもらえないかということを頼んだら、代理大使は、そんなことは大使館の仕事ではないと、そういう返事をしたというんです。ホニアラの代理大使というのは、名前は控えますけれども、年齢も五十九歳で、戦争の経験のない人でもない。  外務省の出先機関がそういう態度をとることについてどういうふうなお考えをお持ちなのかということをお聞きしたいんです。
  235. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。  私ども、遺骨の収集につきましては、第二次世界大戦の犠牲になられた方々の遺骨ということでもあり、これについては全面的に御協力を申し上げるという姿勢で従来来ているわけでございますけれども、御指摘の点につきまして私ども調査いたしましたけれども、遺憾ながらそのような事実があったということは承知いたしております。私ども、そういうことで、本件につきまして、現地におきましてそのような適切でない対応があったということを非常に申しわけなく存じている次第でございます。  ただ、その臨時代理大使の方におきましても、基本的な日本政府のそういう姿勢というものを踏まえて、実は、その後、自分の過ちを認め、お預かりをするということで御連絡を申し上げたけれども、結局日本政府のこのような基本的な姿勢というものを初めの行き違いから十分に代表団の方方にお伝えすることができず、結果的は非常に御迷惑をおかけしたという事例が生じたことを承知しております。  この件につきまして、私ども非常に遺憾に思っておりますし、私どもといたしましては、今後とも在外公館のすべての機構を通じまして、機能を挙げましてこのような事例が繰り返されないように、また遺骨収集という民族のいわば古傷というものについて、私どもとしても全面的な御協力を申し上げるという姿勢を貫いていきたいと思っておりますので、そのように御了解いただければというふうに存じております。
  236. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 局長の方からそういう御答弁をいただいたのでこれ以上深く申し上げようとも思いませんけれども、私は時々ここでも言うんだけれども、やはり、お国のために命をささげてそれで亡くなったそういう人たちに対して、政府はどういう考え方を持って対処しているのか、そこに問題点というか、認識のずれというかがあると思う。私は、ホニアラのこの代理大使のそういう言動というものは絶対許すわけにはいかない。  私自身があのラバウルの海軍航空隊にいたんです。海軍におった者ならわかりますけれども、しかも甲板下士官をやっていたんです。それで、あの戦争をやっておっても、ラバウルで亡くなった人たちについてはみんなだびに付して、それを遺骨箱に入れて、そうして日本の国の家族のところへ送り届けるようにしておった。もちろん、戦争が激しくなって全然内地と輸送がきかなくなってからは、もうそれはどうにもなりませんから遺骨にしたまま戦争が終わるまで持っていたわけだけれども。ただ、海軍航空隊でさえ、ガダルカナルへ攻撃に行ってそうして落とされて戦死をした人たちがたくさんおるんです。そういう人たちなんかについては、その遺体がないんだから、それで結局遺品を整理したときにその人が一番自分の肌につけていたものを一つ遺骨箱に入れて、そして国の家族に送り返していたんです。ですから、その人たちの家族には遺骨を送ることができなかったんです。それが今でもたくさんああいう形で残っているわけでしょう。だから、そういう点からいくならば、今になってこれがだれの骨だなんてわかりはしないんだけれども、少なくとも私は、あの異国の地でもって戦死をして生命を落とした人たちのそういうことについて、できるだけのことをすべきじゃないかということを思うわけですよ。  ですから、今お話がありましたように、もうこういうことは二度とないようにということですが、これはラバウルやニューギニアだけじゃないニューギニアなんかは、今のお話を聞いてもほんのまだわずかでしょう。それで、これはまた大陸の方もあることだし、戦争のあった地域の出先の外交機関、大使館なり領事館なりそういうところでもって今お話をしたようなことなんかが起きないように、外務省は、ぜひとも、指示というか、通達というか、そういう点については徹底さしてやっていただきたいし、その点についてだけはきちんと約束してください。いかがです。
  237. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 先ほどから政府の真意は、外務省としての基本的な態度は申し上げたわけでございます。  私どもといたしましても、きょうのこの委員会におきます御審議を踏まえまして、この御審議の経過も記録を付して各公館に今後とも一層配慮をするように通達を出したい、このように考えております。
  238. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 それで、今度は厚生省の方へまたお聞きするんですが、先ほども説明がありましたように、特にニューギニアなんかは戦死者が十二万七千六百人ぐらいで一万五千九百柱収集というふうな形で、ごくわずかなわけですね。六次しか行っていないわけだ。ラバウルも同じですけれども。  もう戦争が終わって四十年以上もたっていてこういう話をすること自体が本当に情けないことだと思うんだけれども、これから先どういうぐあいに遺骨収集とかそういうことについて進めようとしているのか、厚生省のお考えをお聞きしたいんです。
  239. 新飯田昇

    説明員(新飯田昇君) お答え申し上げます。  さきの大戦におきます戦没者の遺骨収集政府派遣団によって実施することを基本としてきております。海外戦没者の御遺骨の中には、相手国の事情によりまして遺骨収集は望めない地域がございます。また、海没した遺骨等も含まれております。現在収集可能な地域におきましても、ジャングルや山岳地帯の奥深くまで入り込む必要があるなど、作業が極めて困難となりつつある現状にございます。ただ、今後とも確度の高い情報がもたらされた地域につきましては、引き続いて実施してまいる所存でございます。  御指摘の東部ニューギニアの場合につきましては、私ども、最近に至りまして確度の高い情報がもたらされておりますので、ちょうど一年ほど前から今年度の実施を予定しておりました。間もなく、九月から十月にかけまして遺骨収集団を派遣するつもりでございます。  遺骨収集につきましては、最近では毎年度おおむね五地域実施してきております。今年度、昭和六十三年度におきましても、フィリピン、それから今申し上げた東部ニューギニアを含めましたソロモン諸島、マリアナ、トラック諸島等を含めまして、五地域について実施することとしております。
  240. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 先ほどの御答弁の中で、まあ昔の方はわかりにくいからだけれども、昭和四十二年から六十三年の間で二十五億円のお金をかけて遺骨収集をいたしました、これだけという御答弁だったわけです。今のお話を聞いていても、五地域に行かれると言うが、それは一年間ででしょう。一年間に五地域や十地域ぐらいのところをやっていて、それでまだこれだけの相当な遺骨が残っている。それこそ百年もかかることになるんじゃないか。これからといったって、もう本当に四十何年もたっているんです。それほどお金がないわけでもない。総理なんかも、あっちこっち時々ぽっぽっと行って、この間も八千百億ですか、あれはもちろん借款だけれども、簡単にすぐそうやってお金をばらまくんですから、少なくともお国のために死んだ人たちのそういうことについて厚生省の方でももう少しお金をかけて、民間のそういう人たちにもお願いをして協力をしていただいて、もう少し積極的に遺骨収集をして、そういうことなんか早いところピリオドを打って、もうこれでおしまいなんだと言えるようなそういう形をぜひ考えていただきたい。  そして官房長官、今までずっとこのことをお聞きになっておりましてどういうお気持ちになられたか、その辺お聞かせをいただきたいんです。
  241. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほど来先生の御質疑また政府側の答弁を拝聴いたしておりまして、改めて今次戦争において北辺南溟の地に倒れた我が国将兵、民間の方々の数の余りに多きことでありますと同時に、その御遺骨の収集、百五十万柱ということでありますが、なお残された多くの御遺骨が祖国に帰れずにおられるということについては、御遺族のお気持ちと同時に本人のお気持ちを察すると大変余りあるものがあると思っております。  したがいまして、政府としてもできる限りの努力を重ねて未収集御遺骨について対応しなければならないと思っておりますが、私も専門ではありませんが、それぞれ想定される各地区にと言われましても、なかなか最近の状況の中で資金を投下、投資したからといってそれが可能であるかどうかについてはこれは具体的に専門的な厚生省のお考えを間かなきゃなりませんが、いずれにいたしましても、委員の御指摘のお気持ちはやはりたっといことだと思いますので、政府としてもさらに努力を傾注していかなきゃならないというふうに考えます。
  242. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 これは厚生省の方にもお願いしておくし官房長官にもお聞きをいただきたいんですけれども、厚生省の所管といっても、その中での何か片手間の仕事ではなくて、もう少し力を入れてやっていただきたい。そうしてあのときの戦争に参加した人たちがどんな思いをして苦しんで亡くなったかということに思いをはせたら、遺骨を持ってきたからといって遺族に渡すわけにはいかないとか、もうだれのだかわからないわけだけれども、少なくともそういうことがなくなるようにしていただきたいと思うんです。  それで官房長官、この前も私一度申し上げたんだけれども、もう一度きょう申し上げて、はっきり検討すると約束してほしいと思うことは、お国のために命をささげた人たちに対して国家としてきちんと慰霊祭をやるということを御検討していただけませんか。  きのうも質問をとりに来た人がそうなんですけれども、私がそう言うと、いや、八月十五日にやっていますと。私から言わせれば、そこに政府の中の認識の違いというか何というか、があると思う。私は、毎年八月十五日は武道館に行って戦没者の慰霊祭に出席しますけれども、あれはあの武道館に戦死した人たちを祭っているわけじゃないわけです。私は靖国神社のことをどうこう言っているんじゃないんです。やっぱり日本人が自分らの親なり何なりそういうような者についてお参りにいこうと思ったらいつでも行けるような、外国から来た人たちが日本の国家のためにそうやって戦死した人たちをお参りする。外国へ行けば皆さん方だってみんな無名戦士の墓へ参拝なさると思うんですよ。そういうことを日本でも、国のために死んだんですから国家としてその人たちの祭りをするということについてきちんとやるべきであって、そういうことをここでもってすぐ官房長官にお約束をと言っても無理なことですから、ただそういうことを検討するということぐらいの御返事をきょうはお聞きしたいと思うんですけれども、官房長官いかがですか。
  243. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お尋ねの、事の本旨は理解しているつもりでございますが、政府として責任を持って答弁せよ、こう言われますと、政府としては、昨日もお伺いしたそうでございますが、やはり八月十五日の日を戦没者を追悼し平和を祈念する日と定めて政府の主催で追悼式を実施しております。また、海外から遺骨収集等によりまして持ち帰られた遺骨を千鳥ヶ淵戦没者墓苑におさめ、毎年春に拝礼式を実施しているほか、先ほどもお話がありました各主要戦地に慰霊巡拝を実施いたしておりまして、政府としてはこうした式典を挙行することにより政府としての気持ちを込めて対処いたしておるというふうに考えております。  しかしながら、今柳澤委員御指摘のように、諸外国へ参りますれば、すべての戦役に携わった方方ないし無名戦士の墓という形で国民すべてあるいは諸外国から参られた代表も参拝をする場所のあることも事実でございまして、今後また柳澤委員の御指導をいただきながらいかなるものが望ましいかということにつきましては勉強させていただきたいと思っております。
  244. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 私の御指導だとか勉強させていただくなんて、官房長官、そんなに謙虚にならなくていいんでして、むしろ本気になって考えていただきたいし、そういうことをすることが私は二度と戦争をしないで本当に平和な国家として生きる道なんだと思うんです。そのためには、やはり戦争で苦しんで命を落としていった人たちのことにいつも思いをはせて、ああいうふうなことは二度と起きちゃいかぬというふうに考えることだと思うんです。  それで、官房長官、あの戦争で日本がアジアやその他いろいろのところへ出かけていってあれだけの大変な被害を与えた。そしてそれぞれの国が日本なんかと違ってきちんと慰霊碑をつくっている。恐らく官房長官もフィリピンのマニラのあそこにも行かれたと思うんです。十字架が延々と続いて戦死をした人たちを祭っているわけです。  日本の国は、外国にそういう形で犠牲といいますか被害を与えて、たくさんの人たちを殺したと言っちゃ何ですけれども、亡くなったわけだけれども、そういう外国の戦死者の墓地に日本の政府の代表が行かれて、本当に御迷惑をかけた、申しわけないことをしたと言って、そういうおわびの気持ちでもって政府として何かおやりになったことはあるんですか。
  245. 渋谷治彦

    説明員(渋谷治彦君) 我が国との戦争で亡くなりました外国人の方々につきましては、もちろん、我が国としては御冥福を祈るという立場でございますけれども、各国の慰霊式に我が国の代表が参加するあるいは代表を派遣するというお考えにつきましては、相手国の政府の立場あるいは相手国の国民感情もございますので、統一的にやるということはしておりません。その国々の事情を考えましてケース・バイ・ケースに処理しております。
  246. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 私の言い方が悪かったのかもしれませんが、外国の慰霊式とか慰霊祭に行けと言っているんじゃないんです。  あなたはマニラの郊外のあの墓地も知らぬからそういう答えが出てくるのだと思うが、本当にあそこへ行ってみると十字架が延々と並んでいる。そしてあそこには何もフィリピンの国民だけじゃない、ちゃんとアメリカの兵隊も亡くなった人たちはみんな名前をあそこに刻んでいますよ。だから、私は、そういうところへこちらが戦争をしかけていって、そういう犠牲を与え被害を与えそして命を落とさせたんだから、本当にそういうところへ政府を代表した人たちが行って、そして頭を下げて、二度とこういうことはいたしませんと言って心からわびるという、そういうことが私は必要だと思う。  しかも、ハワイなんかへ行かれたって、御存じないことは私はないと思う。ハワイは、日本から行ってあそこで戦死した人たちまでちゃんと墓地をつくってある。アメリカの兵隊とは場所は分けているけれども、日本の兵隊の戦死した人たちの墓を全部つくってくれて、そしてアメリカでもって祭ってくれているわけでしょう。だったらせめて、そこまでしてくれているんだから、日本軍のために戦死をしたアメリカの兵隊たちのところへ行ってそして参拝をして、こういうことは二度と起こしませんと言って、そういうおわびぐらいのことをする。私は、政府を代表して行って、そういうことをやったようなことがないと思うから今聞いているんだけれども、私はそれぐらいのことをやっぱりするべきだと思う。ただ日本の国会の中でもって歴代の総理がみんな、経済大国になっても軍事大国にはなりませんなんて、そんなことをよくいけしゃあしゃあと言っているのを聞くんだけれども、そんなことよりかも、それぞれの国でみんなそうやってその国で死んだ人たちは祭っているんですから、その人たちの前へ行って頭を下げておわびの参拝をするぐらいのことはしてくださいよ。そういうことをしないから、自分の国の軍人として戦争で亡くなった方に対してもまともな慰霊祭をひとつやろうという気になれないのも、私はそれに共通していると思うんです。  ですから、官房長官、これ以上申し上げませんから、そういうことについて本当にお考えをいただいて善処をしていただきたいということをお願いをするんですが、いかがですか。
  247. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほども御答弁申し上げました中にありますが、各国とも、国のためにとうとい命をささげられた方々をお祭りしての、いわゆる無名戦士の墓等が存在するわけでございまして、事戦争ということに相なりますれば時に敵味方ということに相なりまして、したがって我が国にとりましてはあるいは敵方であったところもあるかもしれません。しかしながら、既に死者となられ、またそうした方々もみずから祖国を信じて眠っておられることに対しては、常々、我が国を代表して総理がそうした国々を訪問した折には、過去のいきさつを十分念頭に置きながら、英霊としてそれぞれの祖国に殉じた方々に対しましては必ず花輪をささげ、こうべを垂れて慰霊の気持ちをあらわしてくることが今日まで必ずあったというふうに思っております。  政府を代表してといいますか、国民を代表しての総理のこうした態度の表明がやはり今先生のおっしゃられることはなるのではないかというふうに私考えますので、今後とも恐らくそれぞれの地域に参りましたときには国を代表してそうした方方に対する慰霊の気持ちをあらわし、それぞれ歴史的にもおのずと異なる国々だとは思いますけれども、それぞれの国に対して命をささげられた方方のたっとい精神には慰霊の気持ちを持って対処を従前いたしてきたことであろうと思いますし、今後も同機の対応、態度をとられることは当然だというふうに考えております。
  248. 大城眞順

    委員長大城眞順君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四十九分散会