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井上吉夫君 実は、質問申し上げております私
自身も経験がないくせに大蔵
大臣に失礼な質問をいたしましたけれ
ども、私は、それのよしあしよりも、今回の二転三転をいたしました大蔵
大臣の
答弁、そしてきょうお答えになりました
答弁を聞きながら、これはおっしゃいましたように、一番初めに
大臣の
秘書官の
服部氏が、本当は
自分が
リクルート社からの話があって
宮澤喜一の名を使って株を購入し、そしてそれを譲渡したと。その間の利益を得たものは全部
自分の口座に入れたというそのことを、今大変大事な二十一世紀を目指しての抜本的な税制の改革をしようとして、その所管
大臣にある
宮澤大蔵大臣にこのことが大変な迷惑をかけることになるということを懸念して、ついつい
服部秘書官の友人
河合氏の
名前を使って
大臣に
報告をしたところから出発し、いわば人の気持ちの弱さとでも申し上げましょうか、その後一連の話が二転三転するという最初の原因をそこにやっぱりつくったのではなかろうかなと、そういう感じがいたします。むしろきょうのいつもにないとつとつたる
答弁の中に、私は
宮澤大蔵大臣のきょうの
答弁のぎりぎりの
真実を感じたものであります。
さはさりながら、
国会における
答弁が二転三転したというそのことから
国民一般が受けた印象というものは、どうしても
宮澤大蔵大臣に抱いておりますクリーンなイメージと、財政経済に対する大変な権威者だというそういう
政治的能力も含めまして、大きなダメージを与えかねない一連のいきさつではなかったかなというぐあいに考えまして、大変残念でなりません。
同時に、いろんな質疑のやりとりの中で、
大臣はしばしば
服部氏という用語を使われました。私
どもまだ
政治経歴は短うございますけれ
ども、
自分のところの
秘書の
名前を呼ぶ場合に、私
どもは何々氏という言葉を使うことはほとんどありません。何々君か呼び捨てであります。そこに、今は既にその役目をやめられた人であるにしても、
宮澤大臣のいわば人柄を感じながら、そしてよほど
服部秘書官のことを信用しておられたんだなという、そのために、この問題に対するいきさつを問いかけたときに、それは本当かねということを何遍も問い直すということは、お互いこれまでつき合ってきた信頼関係を傷つけることになりかねないという配慮が働いたのではないかとすら思うのでありますけれ
ども、問題は、まさに公的な立場にあられる大蔵
大臣でありますから、このことが
国民全般に及ぼした
政治そのものなり、あるいはこのことがこの大事な税制改革議論にすら大きなインパクトになったという、そういうことについてもやっぱりしっかりと反省をしながらこれから先のもろもろのことに対処していかなきゃならぬのではなかろうかなと思うわけであります。
このことから、直接に公的立場にあられます大蔵
大臣にこのことと関連をしてお尋ねするわけでありますけれ
ども、この問題の一番の根本というのは、世の中というのはみんなやっぱり経済
行為であれ何であれ公平さを求めている。今度の税の問題であっても、一番大きなただ一つをとらえるならば、私は公平であるべきだというそのことではなかろうかなと思うんです。ましてや日本における証券
取引の現況は、言うまでもありませんが、先ほど総理もちょっと触れられましたように、既に我が国の証券市場は、東京証券
取引所上場
株式の時価総額はもう世界一だと言われておりますし、このことのさらに順調な拡大が日本経済を大きく支える欠かすことのできない要素ではなかろうかと、株自体の
取引の経験はないにいたしましても、私はそう思いますし、となりますと、ここで一番大事なのは
取引の公正さであり、そして市場の透明性の確保ということではなかろうかな、そういうぐあいに思うわけであります。
とりわけ、公開の際の株の
取引をめぐりまして一部の者が特別な利益を受けるということは、まさに一般投資家に大きな不公平感を与える。そのことを通して証券市場というものの発展に大変大きな障害になると思いますと同時に、先ほど来あらゆる問題に最も大事なのは公平性の確保ではないか、そういう立場から考えても、この
リクルート問題を契機にして、証券
取引についてもそのことを所管する大蔵
大臣としてこれを重大な教訓として、どういう点に留意しながら改善をし、そして、こういう問題が再び起こることのないような最大の歯どめというものをどういうぐあいに求めていくかというとらえ方、まさにそれは公人としての大蔵
大臣の大きな
責任ではないかなと思うんです。そのことについての大蔵
大臣の御見解をお伺いしたいと思います。