○沓脱タケ子君 私は、本題に先立って
委員長に申し上げておきたいと思います。
大体、本日の
委員会は
委員長職権で開かれたとはいいながらわずか二時間足らず、それを早朝から三回にわたって細切れにするような運営、本
委員会といたしましては全く前例のない無定見な運営であると思うのです。こういうことは認めるわけにはいかないわけですから、強く抗議をしておきたいと思います。
本題に入りますが、私は、まず
エイズ予防法案は、
患者の
皆さん方、そして
医師、
研究者の
皆さん方、
関係者の納得が得られるところまでこれは
審議を尽くすべきであると思っておりました。ところが、不十分な
審議のままで結論を急ぐという
委員会運営、こういうやり方に対しても強い不満を表明しておきたいと思うのです。
日本の
エイズ問題を論ずるときに、
血友病患者の
感染者対策を抜きにしては語れないということは私も繰り返し主張してきたところでございます。本人に何の
責任もない
血友病患者を恐るべき
犠牲者にしたのは、まさに国と製薬企業の
責任である、このことが明日ではないかという立場で追及をしてまいったのであります。
それで、大変短い時間でございますから、私は国の
責任に属するところを二、三明らかにしておきたいと思うのです。
既に昨日の論議の中でも明らかにいたしましたように、
医薬品の有効性、安全性の確保のために与えられている薬事法の監督権限を、この
血液製剤に関しては何
一つ有効な法的対策をやってこなかったということはお認めのとおりでございます。きのうの
質問の中で薬務
局長はこう言われました。予見ができなかったのかという
質問に対して、当時予見ができなくて大変残念であったという
意味の御
答弁をなさいました。けさまた
大臣が、不可抗力とはいえというお言葉をお述べになりました。果たしてそうなんだろうか。私はこんな言葉を使われるということであれば黙っているわけにはいかないと思うわけでございます。
私
どもの手元にある文献、資料等を見ましても、予見はできたはずであります。ミドリ十字では、現須山社長は
研究部長のころ、五十七年にその
問題点を既に知っておったということさえも言われているではありませんか。私たちは、予見ができなかったとか不可抗力だ、こんなことは黙って認めるわけにはまいらない。
既に
昭和五十七年七月の時点にアメリカ防疫センターの週報では、
血友病患者に三人の
エイズ患者が出たこと、
血液製剤による伝播を示唆するということが提起されて、そうしてアメリカではFDA、NHFが合同会議を開いて
血液製剤の安全性に関する
検討を開始してきているのは御承知のとおりではありませんか。そして、FDAやNH
Fの合同会議を開いてこの安全性に関する
検討を開始した結果、八三年の三月二十四日にはアメリカのFDAでは勧告まで出している。
感染性の伝播の危険があるとわかっている製剤に分画してはならないということで製剤
メーカーに対してこういう勧告をしておったわけであります。
したがって、当然
我が国のように九〇%以上アメリカからの輸入血液を使っているという国では、
エイズが血液によって伝播するということを予見したら直ちに輸入血の禁止をやることが必要であったわけであります。ところが、国内ではそういうことはおやりにならないで、五十八年の八月になって
メーカーに加熱処理の
開発を要請する、そして片やハイリスクグループからとった血液でないという証明書を添付させるなどということしかやってこなかったわけであります。したがって、アメリカからの原料血の輸入を禁止して、既に輸入されている危険とされる血液から製造された非加熱製剤の販売を禁止することができていたら、今日
血友病患者にとってはこれほど大勢の
皆さん方が残酷な犠牲をこうむらなくても済んだわけでございます。
そういう
事態が明らかであるにもかかわらず、
大臣、不可抗力だったなどと絶対に言ってもらったら困る。薬務
局長も、予見できなくて残念であったなどということ、これは認めるわけにはまいらないと思いますよ。その点について簡潔にひとつ御
答弁をいただきたい。