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参考人(
清成忠男君)
清成でございます。
私に与えられました
テーマは、
地域経済社会における
地域産業の果たす役割ということでございまして、
地域産業をどのように強化するかということであろうかと思います。
最初に、事実といたしまして、
地域間の
格差が
拡大しておるということでございますが、これは周知の事実でございますので、この
格差の
拡大ということが具体的にいかなる
意味を持つかということを少し申し上げたいわけでございます。
先ほどさまざまな統計から、
昭和五十四年を転機として
地域間の
格差が
拡大しておると。これはさまざまな官庁統計を分析してみますと、大体一致してこういう傾向がございます。しかし、この
地域間の
格差の
拡大といいますのは、
東京圏とそれ以外の
地域との
格差の
拡大、こういう
特徴を持っているわけでございます。
ただ問題になりますのが、それでは一体
東京圏とは何かということであります。
東京圏は、ごく常識的に言えば
東京三百キロ圏であるというふうに考えられますし、それからまた部分的には
東京四百キロ圏、場合によってはそれ以上というふうに考えていいわけでございます。例えば、現在
産業の
ハイテク化ということが進んでおりますけれども、そうなりますと当然
情報機能が必要になる、創造活動が必要になるということになるわけであります。そうしますと、
企業の場合に
東京に本社
機能、なかんずく
情報機能が重要でございますけれども、
情報機能があると。この
情報機能とつかず離れずということで、大体
東京三十キロ圏から五十キロ圏のところに
研究所が張りつくということになるわけでございます。
昨今、この
研究所の増設ブームが大変活発でございます。大体
昭和五十年代の末から
研究所の
設立ブームが起こっておるわけでございますけれども、この大体四分の三ぐらいが
東京三十キロ圏から五十キロ圏ということになるわけであります。川崎市に大体百、横浜市に百、神奈川県全体ですと
研究所が三百を超えるということになります。埼玉県でももう既に百五十ぐらいの
集積がございます。筑波もそれを上回るといったような
状況でございまして、
研究所が圧倒的に
東京圏に集まる。こうなりますと、関西の大
企業も
研究所は
東京圏に持ってくる、あるいは広島のマツダは、広島の
研究所を廃止して横浜の港北区に持ってくる、あるいは新日鐵は千葉に全部
研究所を結集するということになるわけであります。
こういうぐあいに
情報拠点と連動しながら
研究開発拠点が
集積されてくる。そしてまた、
研究開発ということと試作、あるいは
製造工程というのは、またこれがつかず離れずでございますから、したがってその外側に
生産機能が張りつくということになるわけでございます。こうなりますと、
東京を基点とします高速道路沿いに工場が張りついていくということになるわけでございます。したがって、東北
自動車道あるいは関越、中央高速道、二四六、東名といったところにこの
ハイテクの工場が張りつくということになるわけでございます。
したがって、
東京圏一極
集中というのは、こういった
生産機能まで含めますと、もはや既に岩手
県から
東京の
生産圏に入ってしまうということになってまいりますし、場合によっては青森の県南部も
東京の
生産圏であるということが可能になっているわけであります。例えば、注文はファクシミリで注文する。そして図面であるとか、あるいは材料等は宅配便で送る、製品もまた宅配便で入るといったようなことになるわけであります。大変
生産単位が小さくなっておるということと、それから敏速性が要求されますから、こういった高速交通手段の発達ということが
東京圏の一極
集中を促しているわけです。したがって、
情報化あるいは新
幹線、高速道路、こういったようなものが使える
地域に新しい
産業が張りつくという、こういう現象になるわけであります。したがって、
東京圏一極
集中の持つ
意味というのは、一般に想像されていることよりもはるかに重いということであります。こういったことに国際
機能がこれに加わって張りつくということになるわけであります。
他方では不況
地域が大変
拡大し、また多様化しているということでございます。これも
内需拡大ということで若干問題が先送りになった感じがございますけれども、やはり構造的には問題は一向解決していないわけでございます。
〔
会長退席、
理事及川一夫君着席〕
この不況
地域といいましても、重厚長大型の
産業の
企業城下町、造船、
鉄鋼等でありますし、それからまた、輸出特化型地場
産業の産地、例えば
北陸の
繊維等がございますけれども、あるいは新潟の燕等これも大変多様でございます。このほか遠洋漁業の基地、例えば釧路、八戸、気仙沼あるいは銚子、三浦、こういったところも二百海里問題で、遠洋漁場は、むしろ二百海里とそれから円高ということで、この遠洋漁業が
輸入産業化しつつあるということになるわけでございます。そういうことで遠洋漁場の水産基地、これも不況
地域化が進んでおるわけでございます。このほか産炭地、これも第八次の合理化、それから従来から存在しております過疎
地域があるわけでございます。こういうぐあいに不況
地域が
拡大しております。
こういう不況
地域の問題は、一言で申しますと
生産機能が低下をしているということでございます。したがって域際収支、ちょうど貿易の考え方を導入してみますと、ある
地域と、それからそのほかの
地域の収支
状況を見てみますと、こういった域際収支というのは問題
地域においてはマイナスになる。これは傾向的に第一次
産業の比率は高い、そして第二次
産業の比率が低いということになるわけです。こうなりますと、
付加価値の低い農産物を
地域から輸出をする、そして
付加価値の高い
工業製品を
輸入するということになりますから、当然域際収支は大幅なマイナスになるわけでございます。このマイナスは、従来財政資金で支えてきているわけでございます。
〔
理事及川一夫君退席、
会長着席〕
むろん観光等第三次
産業が存在すれば、こういった域際収支のマイナス幅というのはその分だけ減るということになるわけでございますけれども、どちらにしましてもこうした問題
地域においては
生産機能が非常に弱くなっている、なかんずくこの
製造業の
生産機能が低下しているというところが問題になるわけでございます。しかも、こうした問題
地域というところには大体工場誘致の政策をとってもそこには工場が張りつかないということになるわけです。したがいまして、きょうの
テーマからしますと、こういう
地域においてこそ、
地域に
製造業を強化するといった、こういった
必要性が出てくるわけでございます。
次に、それでは一体
地域振興についてどういう枠組みで考えていくべきかということでございますけれども、これもここに来て大きく枠組みが変化しているというふうに理解できるわけであります。
つまり、グローバライゼーションの進展あるいは
情報化の進展、この二つが相乗的に作用し合って
東京圏一極
集中が起こっているというぐあいに理解できるわけであります。そうだとしますと、放置しておきますと、この
東京圏一極
集中というのは、進みこそすれなかなか
地方への分散は進まないということになるわけでございます。
そうして、こういった
経済のグローバライゼーションというのは従来から進んでおるわけでございますけれども、これが円高が加速していると、なかんずく、八五年九月以降の急速な円高がこうしたグローバライゼーションを加速化するということになるわけでございます。八五年九月までの大体六、七年間というのは、一ドルが二百四十円台あるいはその前後であったわけでありますけれども、今年度上半期を見ますとこれが大体百三十円、多分今年度平均でとってみますと百二十円台であろうと思います。そうしますと、たかだかこの三年の間に円レートが倍になってしまうということでありまして、こうなりますと、当然
日本に立地をするということは、例えば工業の場合にコスト高になるということになるわけでございまして、したがって円高が
日本経済を外に開くということになるわけであります。したがって、グローバライゼーションが急速に進むということになるわけであります。
つまり、一方では製品の
輸入がふえると、部品あるいは完成品の
開発輸入という形で、
日本で
日本の
企業が企画
開発したものを特に
アジアNIESにつくってもらうということにもなるわけでございますけれども、品質管理等の指導まで含めて大変良質の部品が入るという傾向になっているわけであります。こうしたことで急速に
輸入がふえると。しかも
輸入商品の種類というのも非常に幅が広くなる、多様化してくるということになるわけです。
他方ではこの円高、コスト高ということになってまいりますから、追加的に
設備投資を行う、工場を新設するといったような場合にはどうしても
海外立地サイクルということになってまいります。したがって
海外への直接
投資がふえるというようなことになり、こうしてますます
経済のグローバライゼーションが進むということになるわけであります。こうなりますと、先ほど申しましたように、一方では不況
地域が広がっていると。したがって、現在マクロ
経済という点から見れば大変
景気はいいわけでありますけれども、どうもツケが
東京圏以外、広域
東京圏以外の
地域にツケが回ると、こういう構造になっているんではないかということであります。
さて、こうなりますと、
地域経済の振興ということが、従来とどうも違った手法が必要になるだろうと、
つまり新しい切り口が必要になるのではないかということであります。一つはグローバルな
視点を導入するということであります。もはや
日本の各
地域というのは、単純に
日本の
地域というわけではなくてグローバルの中での
地域という、こういう
視点が必要になるわけであります。例えば北海道でありますとか、あるいは九州は、
日本の九州とかあるいは
日本の北海道という
視点ではもはやとらえ切れないということが起こっておるわけであります。
つまり、環太平洋の中の北海道でありますとか、あるいは環太平洋の中の九州といったような
視点が必要になるわけであります。あるいはもっと広くグローバルな中での
地域という、こういう
視点が必要になるわけであります。したがって、クローズドな
日本というものを前提にして
地域振興を考えてみても、もはや始まらないということであります。
それからもう一つは、なぜ
東京圏一極
集中が進むかということで、これが先ほどから申しておりますように、グローバライゼーションということと
情報化の進展ということが大
都市への
集中を実はもたらしているわけであります。したがって、大
都市集中という問題は
日本だけではございません。例えば、ヨーロッパにおきましてもEC統合ということで、九二年の市場統合に向けてボーダーレス化が進む、国境がなくなるということでございますから、したがって、政策的にも従来の拠点
都市を見直すということが起こっているわけであります。
例えばロンドンでありますとか、あるいはパリ、こういったところを見直すということが起
こっている。イギリスでもフランスでも、従来は
地方分散という政策が採用されていたわけであります。なかんずく
中央集権的なフランスにおきましては、さまざまな
機能がパリ及びその周辺に集まっておりますから、これを
地方に分散するということは、この四半世紀の政策であったわけでありますけれども、しかし、ここにきてEC統合をにらみながら、むしろパリの見直しということが起こっているわけであります。これはやはり
情報化の進展あるいはボーダーレス化ということで、ECの拠点としてのパリの
整備ということが問題になるわけであります。どうも昨今の客観的な情勢をよく考えますと、どうやらこの
情報化でありますとか、あるいはグローバライゼーションの進展ということは大
都市集中ということを加速化すると、こういうことになるのではないか。したがって、そうだとするならば、
地域振興の枠組みとしましては、大
都市とこういう
地域との
ネットワーク化あるいは連動ということをどう考えていくのかということになろうかと思います。
そこで、もう少しこの点を具体的に申しますと、三番目に、したがって、この既存の
地域振興政策がもはや限界に来ているんではないかということであります。例えば、一村一品運動を
支援するような政策の有効性が今大きく低下しているんではないかということであります。一村一品運動という、こういう表現は大分から発したわけでありますけれども、小さな町村を単位として
地域の
資源を活用しながら、マイナス的に
地域に
産業を興していくといったような動きを仮に一村一品運動というふうに呼んでみますと、こういうものを
支援する政策の有効性が今大きく低下しているんではないかということであります。
例えば、こういった動きの先駆けとして、あの有名な十勝ワインというのがございます。しかしながら、ワインといったようなものは、今グローバライゼーションが進む中で国際商品になっているわけであります。こうなりますと、例えば十勝ワインで、ECあるいはカリフォルニアのワインに対抗できるような品質のもの、中級
程度のものをとってみますと、十勝ワインですと大体一本二千円ぐらいということになるわけであります。これが現在、既にECワイン等でほぼ同質のものであれば六百円から七百円で
輸入されている。これが市場開放ということで関税、酒税が下がってくれば、多分もう五、六百円であろうと思いますね。五、六百円対二千円では、もういかんともしがたいということであります。したがって、一村一品運動ということでワインをつくってみても始まらないとか、あるいはブランデーをつくってみても始まらないということになってまいりますし、それから農産物の市場開放ということになってまいりますと、今度は農産物を加工したような一・五次
産業というものもいろんな
意味で
影響を受けてくるということであります。
こうなりますと、当然どこに
産業をつくり上げるにしましても、国際的に見たら比較優位
産業でなければならない。
つまり日本は大変もうコストが高いということでありますから、したがって、高いコストを吸収して国際的に競争力を持ち得る、
つまり比較優位
産業をつくっていかざるを得ないということになるわけでございます。このことは
産業の高
付加価値化ということでございますけれども、どうやって高
付加価値化するかということになりますと、当然そこでは創造活動が必要になります。この創造活動の前提としては、当然
情報が必要になる。例えば
技術情報も重要でありますけれども、それ以上に市場
情報が必要であるということになるわけであります。昨今ではもはや物は、
需要は一巡しております。したがいまして、既にもう顕在化しております
需要を満たすということで
産業をつくりましても、競争は激しくなるだけで成功はほとんど期待できないということになるわけであります。こうなりますと、当然潜在的に
消費者が持っている意向をどうやって掘り起こすか、それをどう商品化するかということになりますと、大
都市と連動しない限りこういう新しい
産業をつくるということはほとんど不可能であるということで、この面から一村一品運動
支援政策が限界に来ているということであります。
したがって、この一村一品運動を展開した大分県におきましても先月、一村一品株式
会社というのをつくり、しかもこれを
東京につくるといったようなことになっておるわけであります。あるいは熊本県も商品計画化センターというのを、これは県の出資でつくりまして、この支社を
東京に置くというようなことになっておりまして、いかに
東京をうまく使うかということであります。このほか、最近では各県で地場産品のアンテナショップを
東京につくろうと、こういったようなことがしきりに言われているわけでありまして、大
都市と運動しながら比較優位
産業を
地方につくるということになるわけでございます。この比較優位
産業ということになってまいりますと、当然国際的な
視点が入ってくる。結局、
アジアNIESとどのように競争できるかという問題が出てくるわけでございます。したがいまして、こういう政策にしましても、先ほど申しましたように、やはりグローバルな
視点ということが極めて重要になるというわけであります。
そこで最後に、こうなりますと、新しい
地域産業政策が必要になるということであります。
つまり産業政策の切り口を変えていくということであります。ここで、
地域産業政策という表現は従来
余り使われていなかったわけでございます。多分国の計画において
地域産業政策という表現が出てきましたのは、ことしの新
経済計画が初めてではないかというふうに思うわけであります。しかしながら、昨年来、
経済審議会の
地域・
産業部会で
議論をしております中で、
地域産業政策ということが話題になり、またこういう概念が
報告書の中にも登場するわけであります。しかしながら、
地域産業政策ということについて何らの定義もないということでありまして、大変不明瞭なまま
経済計画の方にのってしまったという感じがどうもするわけであります。
地域産業政策といいます場合に、政策主体として二つあるんではないか。国が政策主体となるような
地域産業政策、それからもう一つは、
地方自治体が政策主体となる
地域産業政策、この二つは類型を全く異にしているんではないかというぐあいに考えられるわけであります。通常、
地域産業政策と申しますと、もう国は手を出す必要がないという
意見が
地方自治体からは相当に強いわけであります。しかし、これは間違いでありまして、国が政策主体となる
地域産業政策といいますのは、
地域間で
資源配分の変更を加えるということ、
つまりマーケットメカニズム、市場
経済によって
資源を配分するということになってまいりますと当然偏りが出てくるということで、そのツケが
地域に回るということになってまいりますから、当然国が計画的にそれに介入するということが必要になってまいります。
したがって、
資源を
地域間でどのように配分するのかということは現在極めて重要になっているというふうに考えてもいいわけでありますし、それから、こうした国が主体となるような
地域産業政策のインフラ面ということになりますと、先ほどの
吉田参考人の社会資本のAのところが極めて重要になるということになってまいります。なかんずく、広域
首都圏とそれ以外の
地域との間で
資源をどう配分するかということは極めて重要であろう。こういう
意味では、先ほども御指摘がありましたけれども、
プロジェクト先行型から一たんプログラムに戻る必要があるんではないかということでありますけれども、もう少し細かい
地域を見ておりますと、どうやら私はもう少し前に戻った方がいいんではないか。例えば
日本の
国土をどうするかというグランドデザイン、このグランドデザインからプラン、それからプログラム、
プロジェクトという形で具体化されるわけで、どうも場合によっては、どうやらグランドデザインが必要なんではないかという感じがするわけであります。
この四全総を見ておりましても、もはや四全総がグローバライゼーションによって乗り越えられ
たんではないだろうか。多極分散といいましても、このグローバライゼーションの中で一体
地域はどうなのかと、こういう
視点は
余りまだ四全総にはなかったということであって、こういった新しい問題がもう既に出始めているんではないかということであります。こうした点から見ても、やはり国が政策主体となる
地域産業政策は非常に重要であるというぐあいに判断するわけであります。この場合に縦割りの是正ということが当然問題になってくるわけであります。これは先ほども
白根参考人が御指摘になったように、やはり生活環境重視型が
産業立地の上で非常に重要になるということから、したがって
地域を単位にさまざまな政策を統合していくといったようなことが当然必要になるということであります。
それから、
地方自治体が政策主体になるという場合には、当然
地域内で
産業間に
資源配分の変更を加えるとか、あるいはターゲットとする
産業を
地域に持っていくものを決めるということで
地域振興を行う。この場合に当然グローバルな
視点が必要になってくるだろうということであります。そして、国が政策主体になる場合でも、あるいは
地方自治体が政策主体になる場合であっても、どうやらグローバライゼーションということを前提にしますと、実は政策手段も従来とは違ったものが非常に効いてくるということなんです。
例えば関税政策といったようなことでありますけれども、大蔵省の関税政策といいますと、従来は
地域振興と何の関係もないだろうということになるわけです。しかしながら、関税政策によってフリーゾーンをつくる、このフリーゾーンによって
地域振興を図るということが効くわけであります。
つまり現在、環太平洋
地域の中で、特に
日本と
アジアNIESとの間で大変国際分業が錯綜しております。こうなりますと、例えば九州というものを見た場合に、環太平洋
地域における九州ということになりますと、
アジアNIESと例えば
東京をつなぐ大変重要な戦略拠点に九州はなるということであります。こうなりますと、九州でフリーゾーンの政策をどういうぐあいに使っていくかということが重要になってくるわけであります。しかし、フリーゾーンと申しましても、既に現在の制度で、例えば保税通関といったような制度を使いますと相当に効果があるということがわかっておりますから、さしあたりは既存の関税政策をうまく使っていくといったようなことを国も
地方自治体も運動しながら考えていくということが必要になるわけです。
それから、
地域産業政策で
地方自治体が政策主体になると申しましても、実は広域行政の
必要性が強まっている。
つまり、先ほど申しましたように、
東京圏というのが、もはや
東京三百キロ圏から四百キロ圏であるということになってまいりますと、実は
大阪の場合でも、政策次第では
大阪三百キロ圏の浮上ということは考えられるわけであります。あるいは福岡三百キロ圏とか札幌三百キロ圏ということは当然考えられるわけです。これはインフラの
整備次第でそうなるわけでありますけれども、しかし、現行のインフラを前提にしましても、もはや
経済圏というのは、各県という単位を越えてしまっているということが言えるわけであります。
こういう点から、
地域産業政策の場合には広域行政が必要である。その場合に、やはり国の縦割りを広域的にうまく統合していくということが必要であろうということと、それからもう一方では、
地域分権化が必要であるということであろうと思います。大変
中央集権的なフランスが、EC統合を前にして大変に今
地域分権化を進めているわけであります。
つまり地域分権化を図り、
地域が主体となって
地域産業政策を展開していくという、こういう要素がございませんと、
地域が劣化するというおそれがあるわけであります。したがって、フランスでも
地域の単位をやや広域化しながら分権化を進めているということになるわけであります。
日本の場合でも、
地域分権化を進める必要があるわけでありますけれども、これも先ほどの広域行政とのかかわりで、やはり新しい仕組みを考えていかざるを得ないんだろうというふうに思うわけであります。これは一つは国の省庁の内部での
地域分権化、例えば通産省でいいますと、
地方通産局に
権限を
委譲するということがあろうかと思います。
しかし、こうなりますと、当然縦割りという問題が生じてまいりますから、各省庁の
地方の出先を統合して、そして、そこに分権化を進めていくといったようなこと、そして、県の意向をそこに一体どれだけ反映させるかといったような、こういったような形になるんではないかというふうに思うわけでありますけれども、既存の行政制度を前提にしますと、なかなかこういった
地域分権化が進みにくいということでありますから、これはやはり時間をかけて、試行錯誤で修正をしていくということになるんではないかというふうに思うわけであります。
大体時間が参りましたので、以上で終わりにしたいと思います。