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1988-10-26 第113回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年十月二十六日(水曜日)    午後一時三分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         松前 達郎君     理 事                 沢田 一精君                 宮島  滉君                 飯田 忠雄君                 橋本孝一郎君     委 員                 遠藤 政夫君                大河原太一郎君                 沓掛 哲男君                 熊谷太三郎君                 山東 昭子君                 田辺 哲夫君                 森山 眞弓君                 小野  明君                 対馬 孝且君                 浜本 万三君                 馬場  富君                 小笠原貞子君    事務局側        第三特別調査室        長        高橋 利彰君    参考人        日本エネルギー        経済研究所常務        理事       富舘 孝夫君        電源開発株式会        社常務取締役   村井  了君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○産業資源エネルギーに関する調査  (国際化の中の資源エネルギー問題に関する件) ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 松前達郎

    会長松前達郎君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業資源エネルギーに関する調査のため、本日の調査会日本エネルギー経済研究所常務理事富舘孝夫君及び電源開発株式会社常務取締役村井了君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松前達郎

    会長松前達郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 松前達郎

    会長松前達郎君) 産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、国際化の中の資源エネルギー問題に関する件について、参考人から意見を聴取いたします。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。両参考人から忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  議事の進め方といたしましては、まず三十分程度それぞれ御意見をお述べいただきまして、その後一時間三十分程度委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  それでは、まず富舘参考人からお願いをいたします。よろしくお願いします。
  5. 富舘孝夫

    参考人富舘孝夫君) 日本エネルギー経済研究所富舘でございます。  この国際エネルギー情勢展望エネルギー協力の問題の二つについて三十分程度でということですので、大変恐縮ですけれども、主な問題点だけを簡単に御説明さしていただきます。  初めに、資料がお手元にあると思いますが、この資料に基づいて御説明さしていただきます。  まず、国際エネルギー情勢展望でございますけれども、短期的な展望といたしましては、御承知のように、先日OPEC価格監視委員会長期戦略委員会合同委員会を開きましたけれどもイラク協定復帰という表明はありましたが、具体的な結論までいかなかったわけです。もともと具体的な結論をすぐ出すということは無理だったわけですが、十一月二十一日に予定されている定例総会で、何らかの形で新しい協定の合意に達する可能性の方がやや高いと私たちは見ています。しかしながら、その協定そのものはかなり水増しされた、割り当て上限をかさ上げしたものになりそうですので、それが非常に硬直的で、来年の春の不需要期を迎えた、減産をしなくてはいけない時期にできそうもないということなどもありまして、必ずしも価格は高くはならない。当面は十二ドルから十五ドル前後で変動するのではないかと見ています。しかしながら、十ドル台前半の低い水準でかなり長い時間価格が低迷しておりますので、OPECはもとより、非OPECの国の影響が大変高まってきております。  そうしたことから来年の、価格低下圧力が毎年春かかってくるわけですが、それをしのいだところで新たにOPECも非OPEC価格安定化への努力を探るようになるのではないかと思っています。消費国におきましても、特にアメリカは新しい政権が発足いたしまして、アメリカとしても今のような低い水準ではいろいろと問題がございますので、十ドル台の後半ぐらいを目指してまず安定化さしたいということで、陰に陽にいろいろな動きが出てくるのではないかと思います。  そうした安定化への努力が進むかに見えますと、市場が反応してある程度価格も上がると。しかしながら、すぐにまたOPECの規律等々が崩れまして軟化に向かうという、いわゆる私どもOPECサイクルと呼んでいますが、そうした変動がここ当分の間は繰り返されるんではないか。少なくともOPECに対する生産所要量が、現在増産していますので、二千万バレル・パー・デー生産しておりますが、本来ならもう少し下の水準ですね。コンスタントに二千万をちょっと超す程度水準になるまでは十ドル台を中心変動すると見ております。これはまあ大体あと二、三年はかかるんではないかと思います。  そのほかの最近の特徴といたしましては、需要が大変堅調でございます。これは価格が低下しているということと、世界経済がわりと好調であるという両方の反映でございまして、石油も二%近く伸びています。特に日本アメリカでは相当高い、予想外石油需要伸びを示しています。また、西ヨーロッパも含めまして電力需要量消費量は非常に大幅に伸びているという状況であります。  それから、最近の情勢でもう一つ注目すべき動きは、いわゆる地球的規模の環境問題がクローズアップされてきております。これは特にアメリカで、またヨーロッパでもそれに次いで相当クローズアップされてきておりまして、内容といたしましては例の酸性雨ですね。これは化石燃料石炭天然ガス石油等を燃やしたときに出る硫黄酸化物窒素酸化物が原因と言われていますが、そうした酸性雨とかあるいは炭酸ガスがどうしても出てきますので、これがいっぱい放出されて大気中 にたまって温度が上がるという温室効果ですね、あるいはフロンガス等が使用されておりますので、そのフロンガスがオゾンを破壊して、放射線が直接地上に届きやすくなるというような問題点がございます。特に、CO2を中心に国際的なこの対策という問題が来年のアメリカの新政府の発足と同時に国際的に問題になってくるだろう、呼びかけがあるだろうと思います。我が国もこれに対応を迫られるのではないかということが問題点として指摘できると思います。  それから次に、長期的な展望でございますが、現在、ことしに入りまして特にそうなんですが、二つ見方が国際的には出されています。一つは、現在のような原油価格の低い水準需要もそれほど伸びない、供給はかなりふんだんにあるというような状況がかなり長く続くのではないかという見方でございます。もう一つは、九〇年代前半には価格が上昇するような時期が到来する。そういう意味では現在は階段踊り場みたいな時期で、九〇年代の初めから中ごろより少し前に次の階段を登っていく時期に到達するのではないかという二つ見方があるわけでございます。私ども日本エネルギー経済研究所、私も含めましての見方は、どちらかといえば後者の見方をとっております。  一つの例示的に言いますと、一九九五年に原油価格が現在のドル価格で一バレル二十二ドル、きょうあたりの相場ですと大体十三ドル前後でございます。今、特に底値をはっている感じでございます。OPEC原油中東原油はもうあと一ドル、二ドル低いというところにありますが、それが二〇〇〇年には二十五ドル、二〇一〇年には三十ドルぐらいになるだろうという見通しを立てております。踊り場から階段へ登る時期は、そういう意味で第一の見方よりも早く来ると見ておりますが、その次の階段の傾斜の角度がそれほど急ではないというように要約していいかと思います。  このような見方をする根拠でございますが、それは今のような石油需要伸び、これは一・五%から二%程度でございますが、これが続きますと、OPECに対する所要生産量が、一九九三、四年ごろに二千三百万バレルから二千四百万バレルに達する、二〇〇〇年には二千七、八百万バレルに達するというバランスになるわけでございます。そうしますと、イランイラク停戦後のイランにおける埋蔵量生産能力増設と、それからイラクにおける増設イランも若干増設するということを考慮に入れましても、サウジアラビアやクウェートやイラク、それからUAEの四カ国ぐらいを除く他のすべての加盟国能力いっぱいで生産するという時期に到達します。その四カ国もいろいろな財政上あるいは資源保存上の必要から、資源はあっても生産は政治的にある程度抑えられるという状況になってまいりますので、OPEC稼働率は全体として八〇%をかなり超える。現在は六〇%ちょっとでございます。二回の石油危機の場合も八〇%を超えたところで事件が起こって、価格がジャンプしてしまったわけです。そういうことが一つあります。  それから、一方最近の価格低迷、八六年の暴落以来新しい石油埋蔵量発見するための投資が低迷しております。その結果、非OPEC地域では、消費量よりも生産量の方がかなり下回る、余り発見されないという状況が続いておりまして、いわゆる可採年数、埋蔵量生産量の比率が相当落ちてきています。二十年ちょっとから現在では十七年を切るところまで来ています。こういう状態が続きますと、埋蔵量の回復を図るために、発見のための投資をしなくてはいけない。そのためには価格が上がっていくんだという期待がないと、お金が投資できないという状況が今後数年先に来ると考えられます。  それから、第二点の非OPECにおきましては、これから開発される新規発見量新規の油田の総コスト経済的な採算点コストは、大体二十ドルから二十五ドルの間が多いわけです。もっと安いのもありますけれども、半分以上はそういう水準だと見てよろしいかと思います。  第三点の石炭とかLNG代替エネルギーへの転換がこれから進んでまいりますけれども新規の炭鉱や新規LNGプロジェクト経済的採算点も十ドル台ではなかなか無理である。やっぱり二十から二十五ドルはかかるという事情にあります。したがいまして、OPEC側事情、非OPEC問題点代替エネルギー問題点、以上三つを総合して考えますと、一九九五年より少し前の時点で二十ドル台に乗って上昇の時期に入ると。現実の動きは、先ほど例示的に申しました価格上下変動があるわけですけれども水準としてそうなっていくだろうと見ているわけであります。  しかしながら、当面二〇〇〇年ぐらいまでをとりますと、二十五ドルを超しますと非OPEC石油供給新規代替エネルギー石炭供給がふえてまいりますので、戻されてしまうと考えられます。二〇一〇年ごろまでをとっても、恐らく長期コストがだんだん高くなってきますけれども、三十ドルを超せば、やはり戻されてしまうという感じで見ています。ただ、二〇一〇年あたりから先の話になりますと、この一ページの一番下にありますように、途上国エネルギー消費の増大とか環境問題の制約で重圧がかかってくるとか、あるいは原子力発電所の建設が、現在のような状況ですと供給制約が出てくるとかということで、需給関係に深刻な問題が出てくるおそれがあります。また、例えば共産圏の方でも中国が、これは今のままですと、二〇〇〇年になる前に石油輸入国になりそうだという事態も現実的なものになりつつあります。  以上が国際エネルギー情勢展望ですが、アジア太平洋地域中心とするエネルギー協力の問題に入ります前に、途上国の地位、位置を確かめておきたいと思います。  二ページに世界エネルギー需要ということで、現状と二〇〇〇年、それから二〇一〇年の表が掲載されておりますが、これはことしの七月にアメリカエネルギー省が発表した見通し数字でございます。このように先進国途上国に分け、しかもエネルギー種源別に分けている予測余りないわけで、特に最近のものとしては、これしかありませんので掲載いたしました。  三ページを見ていただきますと、その表から幾つかの問題点を引き出しています。  まず、この表では、経済成長につきまして、OECDが二・五%、途上国が三・七%、二〇一〇年までですが、そしてエネルギー需要OECDが一・二%、途上国が三%。エネルギー需要の対GNP弾性値OECDで〇・四八、途上国で〇・八一。人口増加、これは国連の推計ですが、〇・四%と二%という前提で計算されているわけです。  それから第二といたしまして、結果を見ますと、OECDエネルギー需要は一・二%、平均年率伸びというのはちょっと低いんではないか、やはり一・五%程度で、弾性値が〇・六%程度ではないかと私どもは考えています。ちなみに八三年から八七年の、八三年というのは例の五ドル値下げがあった年ですけれども、それから昨年までの先進国需要の実績は二・一%であります。  それからまた、途上国エネルギー需要の三%も低過ぎるんではないか、これは大体三・五から三・七%、弾性値として〇・九五から一の間ではないか、その方が現実的だと私たちは見ています。ちなみに八三年から八七年の需要は四%でございまして、これは経済成長をやや上回っていますし、それが少しふえている、上回り方が強くなる傾向さえ途上国の場合は見えています。一般に工業化が進んでまいりますと、エネルギー需要がふえまして、弾性値が一を上回る、ちょうど高度成長時代日本のような形になるわけですけれども、その後先進国で開発された省エネルギー技術等々をうまく適用していかないと、途上国でもそういう状況を免れることはできないということでございます。  そういうことで、四番目といたしまして、一人当たりエネルギー消費を見てみますと、現在、先進国に対しまして途上国の一人当たりエネルギー消費は約十分の一、十分の一をちょっと欠ける水準でございます。これがDOEの、アメリカエネルギー省見通し国連人口統計で計算しますと、二〇〇〇年でやはりそれほど変わらない、まだ十分の一以下であり、二〇一〇年でも十分の一以下であるということになります。絶対量としては、四百三十三石油換算キログラムから二〇一〇年には五百四十四石油換算キログラムにふえていますけれども先進国エネルギー消費ふえ方の方が絶対量から見ると相当大きいわけでございます。そういうことですので、エネルギー需要全体の伸びも、また一人当たりエネルギー消費量から見ましても、このアメリカDOE予測はかなり低い数字ではないかと判断しています。  今、私たち研究所で新しく国際的な長期需要見通しの作業を行っているところでございます。仮に二〇一〇年の途上国の一人当たり消費量を現在のスペイン、これは先進国の中でも非常に低い国ですが、スペインの半分程度、つまり年間千キログラムまで増加すると見ますと、その増分石油換算で約四千万バレル・パー・デー。その半分程度石油で賄われるとしますと、この新しい増分だけで現在のOPECの全生産量に匹敵するということでございます。つまり、今後途上国需要が潜在的に爆発する可能性が非常にあるんでありまして、それは非常に深刻な問題を将来投げかけるだろうということを御説明したいわけでございます。  それから、そういうことを背景にいたしまして、発展途上国エネルギー問題の特徴といたしましては、エネルギー需要増加率が高くて、石油の比重も高い。それから、輸入エネルギーに依存する国が多くて、貿易赤字や累積債務問題の激化をもたらす、将来ますます激化してくるということです。それから、各国を見ますと、経済計画エネルギー計画整合性がとれてないのがほとんどと言っても言い過ぎではないわけでございます。そういう状況から将来、エネルギー問題の対応がうまくいかない、エネルギー制約となって途上国経済計画の挫折、経済の混迷を招くおそれがありまして、これは世界経済日本経済へ大きなマイナス効果をもたらすのではないかと思います。現に、先ほどの表の中には入っておりませんけれども共産圏の方は入っておりませんが、お隣中国は、最近の過熱的な経済ブームを反映しまして深刻な電力不足石炭不足になっております。その結果として、経済成長を抑えなくてはいけないとかいうことが現実的な課題になっておりまして、私は、二、三年後には相当エネルギー電力石炭不足制約となって、中国経済混乱に陥るおそれが強いと考えております。もちろん、それは単にエネルギー貿易関係だけではなくて、プラント輸出その他、いろいろ日中間経済貿易関係に大きなマイナス混乱を持ち込むわけであります。  それから、最後の四ページでございますが、それでは日本国際協力の今後の方向、重視すべき課題は何かということに移りたいと思います。  まず、大きく分けて三つの点を御指摘したいと思いますが、まず第一は、途上国計画策定段階から我が国協力を推進していく必要があるのではないかということであります。先ほども触れましたが、経済計画エネルギー計画との整合性もないし、それぞれの計画も不十分なものであるというのが現状ですので、やはり整合性のあるエネルギー計画のマスタープランやその実施計画の作成、それから政策を実施していくことのノーハウ、こういうものに関する親密な協力を行う必要があるということ。特に、この面での協力を進めるためにはエネルギー関連データや情報の収集体制整備が大前提となる非常に重要な問題であります。具体的には、例えばデータバンクをつくったりデータ整備を進めてあげる。そして、それを使って需要予測需要分析あるいはエネルギー計画経済計画との整合性をチェックするとかいうことをできるように技術的トランスファーをやる。そして、それを国際的なオンラインシステムでつないでいくというふうなことが重要ではないかと考えております。  二番目といたしましては、途上国の特性に適合したエネルギー需給ベストミックスを検討して引き出して、それを達成するための協力を進めるということでございまして、例えば大都市への人口流入とか、農村地方の森林の破壊や国際収支の悪化問題というような基本的な課題とこのエネルギー協力エネルギー計画実施とが同時解決を目指すような方向で行われる必要があるということです。  具体的な例を幾つか若干挙げさしていただきますと、例えば太陽電池でございますが、我が国のように大規模集中方式による系統電源が発達している国はこの太陽電池はまだまだ経済性も悪いし、ニーズも少ないわけで、コストダウンを中心とする技術的なブレークスルーをこれから努力していかなくてはいけませんが、既に途上国では、特に離島とか農村僻地地方では、太陽電池がもう切実なニーズとなって、少しずつ実用化段階に入ってきております。そこでは我が国とは違ったコスト計算がいろいろあるわけでございます。そして、この太陽電池を使ったいろいろな電化計画あるいは農村生活向上計画実施していきたいと考えておりますので、途上国からの日本援助に対する期待は非常に熱烈たるものがあるわけでございます。将来は燃料電池とかコゼネレーションなども有効であろうと思われます。  それから、例えば石炭からのメタノールであります。これは、まあアジア太平洋地域途上国には石炭資源がいろいろあるわけでございますが、いっぱいある国もない国もありますし、それらが必ずしも十分利用されているわけではない。未利用の石炭資源があります。それらを活用して、石炭からメタノールを製造して自動車用燃料ガソリン代替とか、あるいは化学肥料をつくる等の原料に活用していこうということでございます。現にインドネシアの褐炭でございますが、品質余りよくないんですが、これからメタノールをつくるプロジェクト日本政府技術協力として現在相当大がかりなフィージビリティースタディーが進められて、最終段階にかかりつつあります。これは私ども研究所中心となってお手伝いしているわけであります。  それから、中国におきましても、中国は御承知のように最近、モーターバイクが中心ですが、もう自動車も相当ふえてきています。将来このモータリゼーションが爆発的に起こりますと、ガソリン供給が決定的に足りなくなりますので、中国はあちこちにいろんな石炭資源がありますので、これからメタノールをつくって自動車燃料に代替していくということが中国経済にとって非常に死活の問題の一つになってくるだろうと思います。あと余剰農作物等からバイオマスエタノールをつくるということも同様な効果があります。  それから、三つ目の例といたしまして無煙ブリケットブリケットというのは練炭とか豆炭のことですが、これも相当強力ではないかと思います。これは最近日本で開発された技術でございまして、これから本格的な実用化段階に進むものでございますけれども、どんな品質石炭からも製造可能で、煙が出ない燃料でありますので民生用、つまり農村の農家や商店等に使えるわけであります。この原料としては、石炭のほかに木材とか農作物かす等もまぜて使えるわけでございます。こうしたことは、こうした燃料を使うことによって農村における山林荒廃、ほっておきますと、石油危機以降東南アジアの国で見られましたように、灯油が高いので灯油をやめて、またまきに戻って、山林が荒れてしまうというような現象がタイやフィリピン、インドネシアでさえ起こっていますけれども、そうした方向とか、あるいはまた石油が安くなったとか所得が上がるということになりますと、また山林が荒廃して、もうまきが使えないということになりますと、灯油の方に 需要がシフトしまして激増してしまうというようなことが起きまして、これは国際的な石油需給バランスにも大きく影響しますけれども各国石油供給バランスを大きく崩して、非常に困った問題になるわけであります。そうした問題の解決に役立つわけでございまして、既にパキスタンで、やはりこれも私ども研究所も入りまして、日本政府技術援助としてプレ・フィージビリティー・スタディー、簡単なものを行っております。また、中国でもこういう問題に対処するために、近く最初の調査団が出発することになっております。  そのほか省エネルギー技術とか環境保全技術どもありまして、特に環境保全技術は最近世界的に注目されつつある酸性雨とか炭酸ガスの問題、これは例えば我が国におきましても、お隣中国韓国等からの影響もありますし、韓国中国自体でも国内問題としても相当深刻な問題になりますので、こうした面での技術開発我が国がリードして、トランスファーしていくことが大変重要な課題であります。  最後に、こうした方向でのエネルギー協力を大幅に促進することが必要だと思いますが、そしてしかも実効を上げていく必要があるということでございます。そうすることによりまして、我が国エネルギー供給の安定とそれから途上国ニーズにこたえるということでございますが、そうした協力を着実に、かつ今までよりも一層大幅に実施していくための主体となる人材、これは我が国の専門家等々と相手国の政府職員及び専門家、両方の人材の養成が必要ですし、それから、そうした協力を成功的に運び、かつ実用的なものとしてつくられた施設を継続的に運営し保守していくということも含めまして、諸ソフトウエアを重視する必要があるのではないか。何よりも現在のような待遇ではなかなかいい人が現地に派遣されない。派遣する場合には会社の相当の援助が必要であるし、また、帰ってきてからも必ずしも社会的にその人のプラスにならないというような状況は改めないと、絵にかいたもちになるおそれがある。幾ら経済協力計画を打ち出したとしても、実際にはそれがうまく消化されていかないということになりかねないし、下手をすると現地の反発を食ってしまって、マイナス効果をもたらすのではないかということでございます。  このような方向でのエネルギー協力は、ODAの増大が国際的に要請されますけれども、それに寄与する有力な手段であると同時に、現在、需給関係とか価格の低水準とか、政府の財政窮迫の状況のもとでいろんな新エネルギー供給技術や利用技術に対するRアンドDが非常に困難な状況に達していますし、場合によっては棚上げするというような状況にもなりかねないわけでございますが、そうした問題をODAと絡めまして、海外で実用化とかデモンストレーションの段階に移しながら継続して、持続してやっていけるし、それをやれば技術者の養成、確保も閉ざされないでできるということになるのではないかと思います。  以上でございます。
  6. 松前達郎

    会長松前達郎君) ありがとうございました。  続きまして、村井参考人お願いいたします。
  7. 村井了

    参考人村井了君) 村井でございます。よろしくお願いします。  最初に、日ごろ当社事業につきましては先生方にいろいろ御理解、御協力をいただいておりまして、順調に事業を進めておりますことを厚くお礼申し上げます。  本日は、今富舘さんから今後の石油を基調とするエネルギー情勢については御説明ございましたので、短時間でございますので、私はその代替エネルギーとしてやはり石炭の利用という問題を、特に当社としては四十八年以来これを手がけてまいりまして、特に海外炭の調達についていろいろな経験をしてまいりましたので、それを御参考までにいろいろ申し上げたいと思います。それを二十分ほど申し上げて、それから後段においてあと十分ほど、私どものやはり国内の電力開発の経験を生かしまして、御案内のように、発展途上国でかなりの電力中心とするインフラ開発に協力しておりますので、その経験と問題点を一言御参考までに申し上げたいと、こういうふうに予定しております。  まず、エネルギーの安全保障または安定調達という観点から、ただいま申し上げました石炭の外国からの調達ということについて、特に当社は過去十年大変な苦労をしてきておりますが、まず国際的に石炭市場の現状からちょっと簡単に御紹介いたしますと、お手元に資料がございますので詳細は省かしていただきますが、統計によりますと、一九八七年に生産されました石炭は全体で三十二億トンでございます。その中で国際取引、いわゆる貿易対象になりました石炭というのは約一割で、三億四千万トンでございます。石油生産量の約四〇%が国際取引を介して利用されている現状を考えますと、非常に比率が少のうございます。ここが一つ特徴だと思います。その三億四千万トンのうちの半分が、約一億六千三百万トン程度が製鉄におけるコークス利用の原料炭で占められておりまして、今申し上げました、いわゆる純粋の石油代替エネルギー効果という観点からいう発電用を主体に使用されております一般炭は、通称一般炭と言っておりますが、貿易量は約一億七千七百万トンでございます。本来石炭の貿易比率が小さい原因は、もう十分御承知と思いますが、石炭が本来採炭地を中心に消費されるという性質を歴史的に持っておりますし、またある意味石炭というのは非常にバルキーなカーゴでございまして、しかも固体で、石油に比してカロリーが低いということから非常にハンドリングが面倒である。それだけに長距離の輸送をやりますと、どうしても石油に比較しましていろんな意味で効率が悪いということから、主として石炭生産される地域において使われてきているという歴史的な経緯がこういう比率として現在出ていることと我々は理解しております。  ただ、今申し上げましたように、第二次オイルショック以降特に太平洋地域においては、私どもが海外の豊富にございます石炭を油のかわりに使う、しかもそれをかなりバルキーで、そういう燃料の非常に輸送に不利な点を克服して貿易商品として使ってきたということで、まだ歴史的に蓄積の低いのが、一つはまだ貿易量が小さい原因でございます。  ちなみに、石炭の輸出国でございますが、第一位はオーストラリアで八千九百万トン、年でございます。オーストラリアの世界の輸出量に占める比率は約二六%でございます。これに次ぎますのが八千四百万トンで、アメリカでございます。これは主として大西洋地域における取引と日本への原料炭の輸出が大きな大宗を占めております。あと南アフリカが四千四百万トン、約一三%。それからポーランドが三千六百万トン、これは大体ヨーロッパの大陸間の陸上輸送に貿易商品として使われております。また、カナダが二千七百万トン、こういうことで、今挙げました五カ国で全体の八三%を占めております。日本に対する現在の重要な供給国はオーストラリアでございまして、一九八七年度の輸入量は九千四百三十五万トン、その半分の四千七百二十五万トンをオーストラリアから輸入しております。また、特に一般炭の場合は、日本全体の現在の輸入量が二千五百万トン強でございますが、そのうち七〇%に相当する約千八百万トンという大きな数量をオーストラリアに依存している現状でございます。  特に、石炭の現在の一般炭に限りまして申し上げますと、いわゆるこれは油と違いまして、かなり自由な貿易マーケット商品であるという点に我々も着目したわけでございますが、過去六年間はほぼずっと値下がり傾向を続けてきておりましたが、本年度に入りまして若干需給がタイトになりまして、同時に日本でも経験しておりますが、豪州の石炭産業の構造改善に伴うストライキ等の発生がございまして、若干需給関係が逼迫しまして、本年度は少し値上がり傾向になっておるという現状でございます。  その他将来の産炭国として注目されますのはコ ロンビア、それからインドネシアのカリマンタン等の石炭が、一九九〇年ごろかなり太平洋地域に輸出商品として出てくる。同時に中国石炭が、今後中国の内陸の輸送問題を克服してどれぐらい貿易商品として一九九〇年代に出てくるか、これは特にこの一、二年の動向を注目する必要がある、こんなふうに理解しております。  続きまして、こういう石炭の、先ほど申し上げました趣旨による我々の調達の基本的な考え方、方針はどういう点にあるかということでございますが、先ほど御案内申し上げましたように、石炭は、ちょっと日本の地図を頭に置いていただくとわかりやすいんですが、先ほど御紹介した石炭生産国からの海上の輸送距離がほぼ日本は等距離にございます。これは偶然のことでございますが、ほぼ等距離にございます。それから、油と違いまして非常に地域に偏在しておりません。したがいまして、我々日本の国益という、それから企業の経済性という立場から考えますと、ほぼこの等距離にあるところからなるべく供給源を分散して、そして大きな船による、いわゆるスケールメリットを生かした輸送を考えて、日本着ベースで、どこの国から石炭を買ってもほぼ同じ値段であるという形に持っていくのが企業としての一つの戦略でもあり、また石油代替エネルギー源として、しかもかなり偏在しない自由な貿易商品を我々が石油代替エネルギーとして調達する一つの特色であろう、こんなふうに考えまして、なるべくそういう方向で調達することを考えております。  ただ、やはり実際には相手企業の経営体制、株主構成、それから相手国政府資源政策、それから労働組合の動向、それから国際市況等の要素をかなり研究いたしまして、分散化と同時に、経済的な調達を図っていくと同時に、ある国で突然供給ショートが起きても、すぐそれをほかでカバーできるという体制をしいていくことが最も理想的な方法でございます。そういうつもりでいろいろやっておるわけでございますが、先ほど御紹介いたしましたように、現時点では結果的にいろんな地理、地勢の関係等で一般炭につきましては豪州への依存比率が結果的に非常に高くなっているという現状でございます。  今度はどういう買い方かということでございますが、なるべく石炭を年に一回ずつある数量を決めまして買い付ける契約の方法、それから、五年ぐらいある会社から五十万トン引き取るという約束をしまして、価格を年々マーケットの状況を見ながら協議して決めていくという方法、こういう方法以外にもう一つどもが非常に真剣に検討いたしましたのは、やはり長期契約によって相手の国の炭鉱を我々自身、ユーザーが一緒にリスクをしょって出資をいたしまして、共同開発をやって、その石炭長期的に引き取るという方式でございます。  これは、当委員会の先生にもブレアソール炭鉱というのを見ていただいたようでございまして、このブレアソールに象徴されますのが私どもが考えました一つの調達方法でございます。先ほど御案内しました一年ごとに手当て買いをするのと、それから中間的な長期契約で、五年ぐらいの取り決めで買っていくのと、それからもう一つは、英語ではキャプティブマインと言っておりますが、もう完全に我々の発電所の使用をはっきり目的とした炭鉱の開発をやっていく。これを大体組み合わせていろいろやっていくということによって供給源の多様化を図ると同時に、非常なあるリスクに対するヘッジをしていくというのが、石油に見られない一つ代替エネルギーとしての海外からの石炭調達の特徴的な方式ではないかと、こんなふうに理解しておるわけでございます。  それで、時間の関係もございますので簡単に申し上げますが、最後の御案内しましたブレアソールのような開発方式というのは、理屈は非常に簡単なんでございますが、実際にやろうとするとどういう問題が出てくるかということなんでございますが、大体そういう石炭は、まあブレアソールは、私どもが着目したのは昭和四十八年でございますが、いろんな変遷がありまして、ここ六年前にようやく石炭が海へ出るようになったんでございますが、こういうところはいわゆる日本の地下掘りと違いまして、五百万トンとか一千万トンのスケールで、いわゆるオープンカットで、露天掘りで、大きな機械を入れて石炭を掘って、同時に、産炭地から港まで三百キロとか五百キロとかいう距離がございますので、そこに専用鉄道を敷きまして、それからさらに海岸に十万トンから二十万トンの船が入る港をつくりまして、それで今度はその大きな船で日本の発電所にいわゆるサイクル輸送をする。この方式が成り立たないとなかなか経済性も出ませんし、また供給の安定性も出てこないという面がございます。  ところが一方で、そういうために、我々もブレアソールにつきましては、五百万トンの生産量のうち三百万トン我々が引き取るという契約を担保にいたしまして国際的にテンダーをかけて、この契約を担保にいわゆるプロジェクトファイナンスということでお金を集める、同時に我々の参加しております、資本の比率に応じて日本の輸出入銀行から融資をしてもらいまして、ファイナンスをつくりまして、そして約三年ぐらいでございますが、三年ぐらいで炭鉱と鉄道と港を開発するというような方式をとるわけでございます。ところが、これは大変リスクがございまして、その時期にこちら側でそれだけの引き取り得る発電所ができておりませんと、石炭生産したが、契約どおりに石炭が引き取れないと。そうなりますと、今申し上げましたような形で大変な資本を投下しておりますので、石炭の輸出量が減るということは、それだけ資本費が石炭に、少ない石炭にかかってきてコストは上がる、それから石炭を開発した企業としては、プロジェクトファイナンスで契約を担保に金を借りておりますので、そのお金を返済条件どおり返せないというようなリスクが起きます。これはあらゆるプロジェクトで必ず起きるリスクでございますが、ここいらのやりくりについては、私どもとしては大変苦労いたしました。  それから、もう一つは、そのリスクを避けるために日本の資本比率を高くいたしまして、なるべく日本のお金を余計持っていって、日本の理由、我々の理由で若干石炭の引き取りが、発電所の遅延とか電力需給の関係で当初の予定より下がった場合は、日本の我々の企業の担保で、日本の銀行に若干融資の繰り延べサイクルをつくり直してもらって、なるべく向こうの企業にしわが寄らないように持っていくということによって、相手国政府との間も政治問題化しない、また地元の企業にもいろいろと迷惑をかけないという方式をとりたいわけで、これにかなり私どもも苦労したんでございますが、ここにまた一つ資源の安定供給という面からオーストラリアの、今度は、日本でもいろいろございますが、我々が持つ資本の比率についてどうしても制限がございまして、ある程度今申し上げたようなファイナンスを成立させるだけのシェアが取れない。  一方で、当時オイルダラー等がかなり余っているときでございますので、外国の巨大な石油資本とか、いろんな資本がそういう契約の有利性を見て、そのエクイティーを選好して買い集めに入ってくるというようなものと、実際に使う我々とのコンフリクトが現地において起きるというようなことで、ブレアソールについても当初我々は二〇%の資本比率で今のようなサイクルを完成さしたかったんですが、結果的に豪州のいわゆる資本政策にひっかかりまして、一〇%しか取れない。残りはアメリカ石油資本とシェアを分かち合うようなことになって、それを日本側がふやそうとすると豪州のガイドラインにひっかかるというような問題がございまして、やむを得ずそういう低い比率で我々もこれをスタートさしたんでございますが、その後心配したとおり、若干日本側の電力需要影響で当初の引き取りが下がりまして、非常に割高な石炭を我々が買わないと向こうの返済サイクルが回らないというような事態に逢着するというような経験をしております。  同時に、これが余り企業間でエキサイトしますと、どうしても今度は政治問題化いたしまして、資源の安定供給ということが、向こうから見ると資源への侵略であり、買い付け企業のわがままであるというようなことにとかく問題がすりかえられる場面もありますし、流れがちになってなかなかうまくいかないというような苦労も経験いたしました。  今後は、なるべくこの石炭産業といいますのは、やはり油とか原子力の産業と違って、かなり労働集約型の産業でございますし、海外において非常に雇用力の多い産業でもございますし、そこにまた意味がございますので、なるべく雇用の問題とか、それから相手国の資源政策とか資本政策に抵触しないで何とかお互いに協調しながらやっていける方法というのをそれぞれ国の事情、それから我々の買い付けの規模等によっていろいろさまざまケースはあると思いますが、今後とも石炭需要は御案内のようにふえていくわけでございますので、我々はそういう点について今後ともいろいろ緻密な策を立てて、いわゆる産炭国との間の協調関係、それから資源外交等に貢献するように努めていきたいと考えているわけでございますが、なかなか発想と現実のサイクルが非常に合わない、ある経過過程を我慢すればうまくいくんですが、トラブるとすぐ問題化するという中で、こういう問題を今後どう運んでいくかというのは常に資源調達といいますか、燃料調達の大変苦労するところでございます。  それから、時間の関係もございますので、先ほど申し上げました国際事業の方に一言言及さしていただきたいと思いますが、今当社がいろいろ国内の開発で経験してまいりました発電所の開発及び基幹送電線、変電所の開発等の経験を生かしまして、お手元に資料を差し上げておりますように、あらゆる発展途上国で我々の技術役務の提供ということを長い間やってまいりました。その中には向こうの国の電力会社のコンサルタントをやる仕事とか、それから向こうの国の政府の要請を受けて、JICAと組んで、こちらから専門家を派遣してプランをつくっていく方法とかいろいろございます。それらにつきましてはお手元の資料で、また後ほど御参考いただければ大変ありがたいんでございますが、最近は中国日本のプラントを買って、大連でございますが、発電所をつくりました。その発電所の運転のために当社から火力発電所の経験のある所長を出しまして、中国政府の要請で。中国の服務規律では非常に経済性が上がらないので、一遍所長を出して日本式のやり方で、人事権も渡すから思い切ってやってみてもらいたいというような御要請もございまして、人事権まで我々がリスクをしょうのは難しいので、こういうやり方でやりますというようなことで、発電所の所長を出してみるとかいうような方式をほかの国でもいろいろやっております。  ただ、これらの仕事は、好意的にある程度人を出して、その人件費と若干のオーバーヘッドを我々は協力費としてちょうだいする、もしくは無償援助の中からそういう追加を日本政府からちょうだいするというようなことで事業をやっておりますんですが、発展途上国の実際の電力化問題、エネルギーのインフラ問題というのは、もう少し大きな問題がございまして、御案内のように、なかなかその国が外貨不足で債務をしょえない、しかし膨大な資金が要るという中で、こういう問題をどうしていくかということは一つ問題がございまして、それらについて我々も大変苦慮したのでございますが、三年前にトルコ政府が一種のBOT方式というのを持ち出しまして、これは、従来はある国から政府借款を与えて、その政府借款をベースにその国が発電機を買い、発電所の工事をして、それに我々が技術協力をする、それから日本のメーカーなり外国のメーカーはプラントを売っていくというやり方だったのでございますが、この方式は、ある一つの企業グループが自分で発電所をつくり、発電機を持ち込む金を全部調達して、トルコへ来て発電所をつくってくれ。つくったら、トルコに十年か十五年後に渡してもらいたいが、それまでの間は、つくった人が自分で発電所を運営して電気を卸売してほしい。  その電気料金をある定額で決めた量だけ払うから、そのお金で調達してきたお金の返済に充ててほしい。それがゼロになったら、トルコ政府なりトルコの電力会社に発電所ごと引き渡してほしい。その間にその国の、もしくはその企業グループの発電所の建設、運転経験、経営組織というものをトルコの人に伝授して、そこで切りかえてほしい。これをBOT、ビルド・アンド・オペレーション・トランスファー方式と言っておりますが、こういう方式をトルコのオザール首相が四年前に提案いたしまして、今べクテルとかいろいろな外国のグループが応札しておりますが、私どももこのグループと入札みたいな形をとっておりますが、競争して何とかこれを実現して、今国際事業の拡大ということが国家としても問題になっておりますので、こういう形でひとつ事業を拡大する。そして我々の事業方式というものを向こうにトランスファーしていく。同時に我々も事業のリスクをしょって、ある程度のリターンはもらうという形でやってみたい、こんなふうに考えまして、現在これに我々も一生懸命取り組んでいるわけでございます。  こういう方式が今後それぞれの国の事情によりまして、東側社会、西側社会によっていろいろまたファイナンスの問題等も内容が変わりますが、こういうものがもう少し広がってまいりますと、大型のプロジェクトではございますが、発展途上国のいわゆる電力化というものに対して非常にうまくいく一つの方式ではないかということで、こういう事業の関係者は、国際的にこの帰趨に大変注目しているところでございます。  そういうような仕事も今後我々はやっていきたいと思っておりますが、二点、今後の燃料の調達について、国際的に理論的に安定する方式をどうやるかということでブレアソールの一例を申し上げましたし、今後の発展途上国電力化問題についてどういう方式があるかということについて、もちろん政府間の協力も必要でございますが、同時に若干民間的な創意工夫というものを相互に生かす方式として、今のような問題もテーマとして顕在化してきているという現状を御参考までに申し上げた次第でございます。  どうも御清聴ありがとうございました。
  8. 松前達郎

    会長松前達郎君) どうもありがとうございました。  以上で両参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は、会長の許可を得て順次御発言を願います。
  9. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 富舘参考人村井参考人のお二方から、大変貴重なエネルギーの今後の展望についてお聞かせいただいたことをまず感謝を申し上げたいと思います。  そこで、持ち時間が二十五分なものですから、片道二十五分じゃなくて往復二十五分ということなものですから、質問も簡潔にいたしますし、答弁もひとつできるだけ簡潔にお答えいただければ幸いだと思っています。  まず私は、今お聞きした中で、特に世界の原子力問題につきまして率直にお伺いしたいと思います。  私もことしの六月、アメリカあるいはメキシコ、ブラジルなどに行ってまいりました。国際的な趨勢として特にスイスあるいはイタリア、スウェーデンではもはや二十一世紀、二〇二〇年を目指して既に原発を廃棄をするという政策的方針が出されております。イタリアも国民投票で一定の制約を加えるということが上がっております。またアメリカでも、ことしの八月十三日に私お聞きしましたのは、アメリカ原子力規制委員会の発表を見ますと、その内容は、まさに安全性と放射性廃棄物の処理に関する検討、対策が出るまでは一時的に凍結をする、中止をする、つまり原発モラトリアム、一時停止ということを私はお聞きしました。そういう趨勢を考えていった場合、日本 のこれからの原子力政策が拡大の方向に行くべきなのか、むしろ縮小しながら代替エネルギーに切りかえていく。つまり一つは安全性の問題、一つ経済性の問題ということを考えなければならない今日的二十一世紀を展望した場合に、そこらあたりを考えるべきではないか、こういう考え方を私は持っておるんでありますが、この点富舘参考人に率直にお伺いをしたい、そういうふうに考えます。  それはどういうことかと申しますと、端的に申し上げた方がいいと思うんでありますが、通産省は、一九八五年の段階では電源別発電の単価で計算しておる。これは水力で言えば二十一円、石油が十七円、石炭が十四円、原子力が十三円という当時の単価が、一九八八年のを見ますと、水力が二十一円、石油が十円、石炭が十二円、LNGが十一円、原子力が十二円。最近の八八年の通産発表を見ますと、石油が十一円から十二円、石炭が十円から十一円、原子力は九円、こうなっているわけですね。これは、いわゆる耐用年数の計算の仕組みを変えた。つまり電源別単価から、いわゆる耐用年数が長ければ結果的に原子力が安くなる、こういう立て方なんでありますが、こういう経済性の問題を考えてみたとしても、これはまさに高レベル廃棄物が出るわけですから、廃棄物処理はまだ今検討されておりますけれども、これは単価にはほとんど入ってないわけですよ。言うならば、経済効率から見ても原子力のキロワットアワー当たりの単価というのは、むしろ上昇傾向になるのではないか。そういう認識に立っても、原子力発電所というのは、むしろ規制あるいは凍結という方向に行きながら代替エネルギーにかえていく、こういう考え方に立つべきではないか、こう思いますが、この点まず先生の見識ある御認識をいただければ幸いだと、こう思っておる次第でございます。  第二の問題でありますが、村井参考人から、大変石炭の国際的情勢を含めまして詳しくお聞きしました。日ごろまた石炭政策で何かと御指導をいただいております。  さて、最近の国際的なそれぞれの国の中で、特に我が国と非常に石炭政策が似ているのは西ドイツであります。私も七、八年前に行っておりますけれども、ルール炭田にも私も入っておりますが、問題認識は、やっぱり西ドイツの立て方というのは、自国の資源は自国で開発をすると、これはずっと伝統的に今日も守られているわけでございます。おおむね大体西ドイツでいいますと、今の段階でも自国の石炭は二〇%、全エネルギーの比率の中で維持しております。  そこで私は、日本の場合、先ほど村井参考人もおっしゃったように、現段階はもう既に御案内のとおり、一億三百九十万トン海外炭が入っているわけであります。これは七十年度に至りますと、御案内のとおり、言うまでもなく一億二千百万トン台になる。しかし、国内炭は相変わらず一千万トン、御案内のとおり第八次政策で、これも六十六年で八次政策は終わりと。したがって、今社会的な問題が起きているのは、相次ぐ閉山によって、北海道、九州は地域的に町ぐるみ閉山ということで、失業者はほうり出され、町は壊滅をする。だから単にエネルギー政策というのは経済合理主義であっていいか、ここが国の基本なんでありますが、同じ自由主義陣営でありながら、西ドイツの場合は、毅然としてやはり自国の資源というものを維持しながら、そしてセキュリティー、安全保障というものを考えながら政策を立てている。だからそういう流れを考えた場合に、やはり少なくとも一億二千万トンの海外炭が入って、十分の一にも満たない、これでいくと一般炭は六十六年度八百五十万トンになるわけですよ、今のところ。そうすると、第九次になり第十次という石炭政策は、もうまさに壊滅に等しいのではないか。これで国の資源政策は正しいのかと、こういう私は考え方を持っておるのでありますが、この点ひとつ村井参考人、また富舘参考人から、考え方なりそれなりの認識なりをお聞かせ願えれば幸いだと思っています。  また、大変原発にはいろいろ御努力を払われているのでありますが、何とか国内炭と海外炭のブレンドですね、村井さん非常に詳しく述べられておりますから多くを申し上げることはないのでありますけれども、私が常に当調査会で申し上げているのは、やっぱり海外炭と国内炭の販売ルールの一元化というようなことをいわゆる考えたらどうだと。当初これ、海外炭を入れるときの基本的な考え方は、今制度変わっちゃったけれども、当時はブレンドしながら、むしろ海外炭を入れることによって国内炭もそれだけ上がっていくんだよと、いわゆる生産数量が上がっていくんだと、それは全体数量が上がるんだからそれをブレンドして、私も炭鉱マンでありますからよくわかりますが、サルファの少ない炭質を選ぶとか、あるいはそういう電力に最もふさわしい炭をつくり上げる意味では、海外炭を入れることは、国内炭も自動的に上昇していくんだ、こういう方針の立て方が、これはしばしば当時の大臣も言ったことは事実でありまして、それはイコールにはなりません。それは私は承知していますけれども、それがどうも最近はやっぱり経済合理主義になってしまっている。この点は我々としては間違いを犯す、むしろそうあってはならないんではないかという私の考えでありますけれども、率直に考え方なり認識をお聞かせ願えれば幸いだと思います。  以上であります。
  10. 松前達郎

    会長松前達郎君) それでは富舘参考人からお願いします。
  11. 富舘孝夫

    参考人富舘孝夫君) それでは簡単にお答えいたしたいと思いますが、まず経済性の問題ですけれども、先ほどの先生のお話は通産省の計算でございます。私どもも毎年同じような計算をやっておりますけれども、八八年の数字は、ほぼ同じ結果になっています。  御指摘の廃棄物処理とそれから廃炉の問題がございますね、これから始まる問題ですけれども。そういうものを入れたらどうかということでございますが、いろいろなデータを集めて私ども計算してみますと、一円からかなり高く見積もっても二円程度なんですね、一キロワット当たり。そうしますと、九円に足しますと十円か十一円ということになりまして、現在の段階では原子力とLNG石油はほぼ同じであるということは確かに言えると思うんですね。やはり私は、初年度じゃなくて生涯の計算、生涯運転で計算しないと本当の経済性比較にならないと思いますので、生涯計算の方が正しいと思います。ただ、これは石油価格が最低、恐らく最低の時期ですね。日本着で十三ドル前後ですね、現在は。そういう最低の時期で計算したものでございます。  しかしながら、これから建設される発電所が実際に運転されるのは数年先から十数年先ですね。十年前後先という見通しですと、やはり先ほども私申し上げましたけれども、九〇年代には、九五年前後には必ず二十ドル台には乗っておるだろうと思うんですね。それから二〇〇〇年には二十五ドル前後、二十一世紀に入っても最初のころは三十ドル前後と。先ほど御紹介しましたDOEアメリカエネルギー省の報告は、二〇一〇年だと五十何ドルとか、二〇〇〇年で三十三ドル、二〇一〇年で五十三ドルという、現在のドル価値で見ているわけですね。これはちょっと高過ぎると思います。それは高いと思いますけれども、どうしても二十五ドル前後には二〇〇〇年ぐらいにはいっているだろうと思うんですね。そうしますと、今の燃料費が石油の場合今の二倍になるわけです。その場合には、やはり経済性からいっても原子力発電の方が安いであろうと思いますね。それが一点でございます。  それから、外国でいろいろ原発に対して厳しい流れが出ているというお話でございますけれども、確かにそういう傾向はあるわけでございますが、例えば、スウェーデンのような北欧では水力とか、需要の規模も小さいとかいろいろ選択の余地があるわけですね。イタリアの場合には、この間ENIの総裁が私ども研究所に来ましたので、いろいろ意見交換したのですが、確かに廃止 のような決定は出したけれども、それはその代替としてどういう燃料を使うかというところまでは決めてないと。これは将来原子力の復活も含めて考え得る余地が残されているんだという話をしました。ですから、今のところどうなるかわからないということです。  アメリカの場合は、先週も実はハワイでアメリカの民間の各エネルギー産業の代表者たちと国際会議をやってきたわけですけれども、そこでのお話やいろいろな現地の新聞等を見ますと、最近PAといいますか、パブリックアクセプタンス、世論が若干変わりつつあるというようなことを言っていましたね。それはなぜかといいますと、ことしの夏が非常に暑くて、御承知のように、特に東部を中心に酷暑でしたので、電力需要がぴんとはね上がりまして、一部停電騒ぎも含めた電力不足が出てきたということと、それから先ほども触れました環境問題が非常に厳しくなってきた。で、急には石炭をきれいに使えそうもないということもありまして、原子力に対する国民の見方が幾らか変わってきているというお話でございました。  したがいまして、確かに規制委員会等々は、やはり安全性とか廃棄物処理の問題をクリアしていかなくてはいけないという方向ですね。これはだれが大統領になってもそういう方向にはいくだろうと思うんですけれども、完全にモラトリアムの状況を続けながら、アメリカが現在年四%も伸びている電力需要に、ベースロードとしての発電所を環境規制のもとでどれだけ対応できるかということは非常に疑問だと思うんですね、私は。ですから、いずれもう少し安全性、アメリカでの安全性とか、廃棄物処理の問題が技術的にももっと進歩して、解決が徐々に行われていく過程で原子力を再選択するという動きが強まってくるのではないかと私自身は見ています。  そういうことですので、日本の場合は国際的に見ましても、もし原子力が日本を含めまして新設を一切やめてしまう、既設も減らしてしまうということになりますと、エネルギー需給バランスが非常に悪化してきて結局コストが上がってしまう、場合によっては需給ギャップが出る時期も訪れるということなんですね。例えばニューヨークの場合、御承知と思いますけれども、住民と州の決定で既にできた発電所をやめちゃいましたよね、取り壊しちゃった。そのかわり州と電力会社がそのコストを負担するということで、結果として電力料金が高くなってしまったわけですけれども、そういうことに対しても住民の考え方が若干変わってきたという要素もあるらしいですね。ですから、日本の場合は、私はアメリカヨーロッパに比べてかなり安全性の点等は進んでいると思いますので、やはり原子力発電は多様なエネルギーミックスの中の重要な一つであると思っていますし、十分その安全性や核処理、廃棄物処理の対策はやっていかなくてはいけないわけです。そういう意味では、私は何が何でも原発でという絶対的推進論者じゃございませんけれども、そういうことは厳しくやっていく必要はあると思います。原子力発電は、長期的に見て我が国における重要なエネルギーミックスの一つであると考えています。  技術的な問題については、ちょっと専門外なのでお答えしかねますけれども……。
  12. 松前達郎

    会長松前達郎君) それでは村井参考人お願いします。
  13. 村井了

    参考人村井了君) 今の対馬先生の御質問は、主として政策問願にかかわる問題でございますし、僣越でございますが、政策というのは、ある程度継続的な積み上げという中で政策効果というのがだんだん顕在化してきますので、今この時点の断面において、いろいろどうあるべきだったかという議論は過去の議論としてあると思うんですが、現状においては、今何か政策を切りかえれば、すぐ即効効果が上がるかどうかということについては、私ども政策担当者でございませんが、なかなか我々実務をやっている人間としては何といいますか、席改めての政策論でございましたら大いに論議したいんですが、こういうところで今後の御参考にということになると若干空論めいてくるような気もいたしますので……。  ただ、私どもは、御案内のように特に電源開発会社というのは、石炭政策を受けまして国内炭の消化については二十年以上いろいろおつき合いもし、ある時期にともに悩み、ともに苦労し、またあるときはいらいらしながらきたわけでございます。それで、そういう国内炭を使いこなす中から、我々はユーザーでございますが、ユーザーとして先ほど御案内申し上げました油のいわゆる脱オイル対策のために、当時は暴挙と言われた海外炭の輸入、それによって石油と同じコストを出すと、しかも環境問題もクリアするという発想を現実化し、これを太平洋地域に、香港、台湾、その他全部フォローをしていくということをしただけに、国内炭とのかかわりからこういう事業が生まれたということについては、我々自身は大変国内炭問題については、普通非常に熱い気持ちで対応しているんでございます。  まず、お答えとして一つ具体的なことから申し上げますと、先ほど海外炭と国内炭をミックスで使えないかというお話でございますが、当社の松島という発電所が百万キロでございます。これの年間の使用量が二百四十万トンでございます、七五%程度ですね。ここに先ほど申し上げましたように、我々は石炭の非常にバルキーな、油に比べて不利な輸送の非効率性を打破するために、先ほど申し上げたように、大きな船舶によるピストン輸送ということを考えまして、発電所に六万トン、十万トン近くの船をつけられるバースを置いて、アンローダーも置いて二日か三日で揚げられるような設備をつくっておるわけです。  これを一例を挙げますと、国内炭を仮に半分使うとすると、百二十万トン国内炭を使うとすると、現在先生の方が御承知でございますが、北海道ないし九州から持ってこれる国内の石炭の運搬船は五千トンでございます。百二十万トンの国内炭を使うために年間二百四十杯の船が、五千トンで二百四十杯でございますね、この船が毎日発電所に出入りしなければいけないという問題が出てくる。一方で、百二十万トンオーストラリアから持ってきますと、六万トンでたしか二十杯で済むわけでございますね。しかもバースは、六万トンの実際バースをつくっておりますので、そこに五千トンの船が一年に二百四十杯入ってくる。これでは実際問題発電所の運営が、値段の問題も当然ございますが、できないということで、やはり私どもとしては目的的に発電所を使い分ける。  御案内のように、磯子、高砂、竹原はそういうことのために、石炭政策のためにつくりまして、若干あれは油が安かったので、まず石炭政策というものが起きたんで、油に拮抗するために、その分だけ国が当社へ出資をなさいまして、発電所の資本費のコストを下げまして、石炭の割高な分を発電原価において石油と同じ競争力を出すという方式をとった発電所でございますので、こういうところで使いこなすのは、もともとそういう政策効果というのは発電所に入っておりますので、経済合理主義とおっしゃいますかもしれませんですが、一応他の競合燃料と同等の経済効果を発揮すると、ということは簡単に言うと、需要がつくということなんでございますね。  したがいまして、そういう目的的にやっぱり使い分けていくということで、何とかこの問題を支えていくというのがやっぱり現実的な問題ではないかと、やはり政策の問題がとにかく経済合理主義だけでいいのかどうかというのは、私見としては、私どもとしては常にあらゆる問題についていろいろ悩むところでございますが、実際問題やっぱり需要がつかないと生産が伴わないという原則だけは、これは現在の私どもの住んでいる環境においては現実でございますので、今申し上げましたような目的別にそれぞれ何とか経済性を発揮するように使いこなしていくということで、磯子、高砂等も最近電力会社とも相談しまして、非常に大量の修繕費を投じて、これは電力の負担で、もうちょっと長い間使えるようにしながら、今石炭 政策というものに対応しているという現状でございますので、そういう事情を御理解いただきまして、一方で我々は、やはり電気料金に余りしわを寄せることにも問題がございますので、確かに限られた条件だと思いますが、そういう中でそういう努力をしているということで御理解をいただければありがたいと思います。
  14. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 ありがとうございました。  終わります。
  15. 田辺哲夫

    ○田辺哲夫君 まず、村井参考人からお尋ねしたいと思います。  ブレアソール炭鉱についてでございますが、実はことしの六月末に当調査会におきまして視察に行ったわけでございます。その節は電源開発の皆様方に大変御高配をいただきまして、まずお礼を申し上げ、そしてそれを視察をいたしまして大変私どもは驚いた、こんな感慨でございます。私も露天掘りというのは前に中国の撫順炭鉱、これを見たこともございますが、その規模と比べましても、ブレアソールの炭鉱というものは非常に規模が大きく、また非常にすばらしい炭鉱である、このように感じたのでございます。  きょうのお話でも、昭和六十三年度に四百万トン日本の国に輸出しておる、そして将来は、昭和六十五年度末までに八百万トンぐらいにこれが伸びるのではないか、こういうことでございます。そういたしますと、オーストラリアから現在輸入しております量が四千七百万トン、その一〇%に当たるわけでございます、四百万トン。そうすると今、日本の国外からの総輸入量がさきの御説明だと九千四百万トンということでございますから、四百万トンが約五%、将来八百万トンになりますと、現時点でとらえますと約一〇%というような割合を占めるわけでございまして、我が国にとりまして大変重要な私は炭鉱である、このように感ずるわけでございます。  そこで、むしろ質問というよりも、この炭鉱を大切にしていただきまして、我が国石炭需要にこたえていただきたい、こんなお願いがあるわけでございます。  若干質問申し上げますと、昭和六十五年度末までに年八百万トンということでございますが、それ以後はどのような計画であるのか。それをもっとふやすのかふやさないのか。ふやすといたしますと、日本の総輸入量に占める割合がもっと大きくなるわけでございまして、大変な重要性を持つ、こういうことでございます。  もう一つの質問は、現在可採埋蔵量が二億トンということでございまして、これを五百万トンで割りますと四十年、将来千万トンぐらいやっていきますと二十年、こういうことでございまして、そのぐらいの年数しかこれがないことになるわけですが、現地へ行って聞きますと、あの付近をもっと調査するならば同じような炭層がいっぱいあるのではないか、こういう話を聞いたわけでございます。そこで電源開発といたしますと、この近辺でもっと調査して、これと同じような炭層を見つける御努力をなすっておるのかどうか。またそのようなお考えがあるのか。また現地のオーストラリアの国におきましても、州におきましてもどのようなお考えをお持ちなのか、こんな点をお聞きしたいと思います。むしろ質問より、この炭鉱を大切にしてもらいたいという期待の方が大きいわけでございます。  次に、富舘参考人にお尋ねいたしますが、現在国際的に石油生産消費量を比較いたしまして、消費の方が多い、新規生産が落ちておる、アンバランスである、こういうお話がございました。そして二〇〇〇年から二〇一〇年ごろになりますと、途上国石油をだんだん使うようになりまして、石油というものが非常に価値があり、また新しい生産というものが必要である、こんなお話がございました。そして大体二十ドルから二十五ドルぐらいが新規生産でも適当であろう、こういうことでございます。  そこで、地球的規模で、この程度コスト新規生産ということを考えます場合に、どの辺の場所にそういう適切な油層があるのか。今の中近東のあたりのみか、それともこのくらいのコスト新規生産できる場所がどこにあるのかというような点をお尋ねしたいと思います。  次に、石炭メタノールにつきましてお話がございました。未利用石炭資源の活用、インドネシアとか中国ではこれをやっておる、こういうことでございます。実は今申しました調査会におきまして、メルボルン近郊で褐炭の液化事業というものを今研究しておる、まだ実施にはなっておりませんが、今研究中でございまして、もう少したちますとこれが実際に活用されるという段階であると。これは通産省の外郭団体でございます新エネルギー総合開発機構、通常NEDOと言っておるようでございますが、ここが日本の企業に委託してやっておるわけでございますが、私どもこれを視察いたしまして、この褐炭というのが無尽蔵にここにもある、非常にこれも驚いたわけでございます。このオーストラリアの褐炭の液化事業、これが我が国資源エネルギーに対しましてどのような立場にあるだろうか。また政府といたしまして、これは予算の問題いろいろあるわけでございますが、どのような対応をするのが正しいのか。一つの場所での具体的問題で恐縮でございますが、これを視察してきましたので、非常に当調査会といたしまして関心がございますから、このオーストラリアの褐炭液化事業、この点をひとつ知っておりまする範囲でお願い申し上げたい。  以上、三点でございます。
  16. 松前達郎

    会長松前達郎君) それでは、まず村井参考人からお願いします。
  17. 村井了

    参考人村井了君) お答え申し上げます。  ブレアソールにつきましては深い御理解をいただいて、どうもありがとうございました。  今の八百万トン問題でございますが、確かに我々も株主でございますので、八百万トン問題がいつごろ拡張して、いつごろ国際マーケットに出したらいいかということではかなり二年にわたっていろんな討議がございまして、今御案内のような結論になっております。実は八百万トン全量日本へ参りませんで、これは非常に有名になりましたので、ヨーロッパのユーザーの方とかインドネシアの方に五百万トンとの差が多分売られていくんじゃないかと思うんです。我々ジョイントベンチャーのパートナーとしては、それが売れて、ブレアソール炭鉱が非常にいい経済性になることは大変歓迎するわけなんでございますが、一方で御質問ございましたように、これをなるべく日本で長く食い延ばそうと考えると、本当は日本需要に合わしてだけ持ってくるのはエゴと言われるかもしれないけれども、大変いい面もあるわけでございます。  したがって、あれ二億トンでございますが、実際二億七千万トンぐらいございまして、七千万トンは外国輸出しないで、オーストラリアの地元の発電所で使うというマークつきであの開発に同意した経緯がございます。これはいずれ条件が変わると思いますが、現在のところ、しばらくは八百万トン規模でやっていくのが一番いいんじゃないか。日本だけが独占することについても問題がございますし、先ほど御案内しましたように、それをコミットして、また需要が揺れますと企業にも迷惑をかけるし、逆にまた両国の政治問題化する可能性もございますので、買う方だけが分散化をしないで、売る方も分散化をある程度認めながら適正な規模でやっていくということだと、八百万トンないし一千万トンが規模としては一番いいんじゃないか。その理由は、ごらんいただいたと思いますが、あれだけ目的的な、一回たしか一万二、三千トンの貨車で引っ張って港へ持っていって、港ですぐ積み出す。あの規模をまた一千万トンなり千五百万トンとして拡大しますと、また資本投資が要りまして、それがうまく回らないと、またコストが高くなるというようなこともございますので、輸送余力から見ても、あの程度の規模が現在のところ適当なんではないかと考えております。  あの山は御案内のように、世界で幻の炭鉱と言われて、あれだけの経済性のあるものをだれがあ けるかということで昔から話題になっていたんですが、我々も十年かかって交渉して、幸い五年前にああいうところへこぎつけさせていただいたんですが、おっしゃるように、大事に使っていきたいと同時に相手の国、それからクインズランド政府にとってもハッピーなものであって、余りお互いにがたがたしないで負担にならないようにやっていくということになると、繰り返すようですが、あの程度の規模でしばらくやっていくということが必要だと思います。その後日本エネルギー事情に不幸にして何か急激な変化が起きれば、日本のリスク負担で拡大することはいつでも、二、三年のうちに時間をかければできるものと、こんなふうに理解して、今のような規模でいいんではないかと、こういうふうに申し上げておきます。  それから、後ろにまだあるかというお話でございますが、ございます。我々ブレアソールを開発するときから調査してございますので、剥土比率が一対一、三十メーターもあるものではございませんが、二十メーターとか、そういうものは百キロ後ろとか、そういうところにかなりございます。そういうものの権益を早目に手を打っておくかどうかという問題がございますが、これは我々ユーザーがじかにやるか、我々と一緒に苦労している商社に先行して手を打ってもらうか、そういうような問題が一つ工夫のポイントだと思いますが、まあ理屈を言いますと、若干保守的ですが、プレアソールがマインアウトしてなくなったときに、まだ鉄道と港湾が残っておりますから、それに次の炭鉱をつなげるというような発想も一番いいんではないか、こんなふうに考えておりますが、調査は十分してございます。  以上でございます。
  18. 松前達郎

    会長松前達郎君) 富舘参考人お願いします。
  19. 富舘孝夫

    参考人富舘孝夫君) 最初の油田のお話でございますけれども石油の消費が生産を上回っているということは、私の説明では非OPECOPEC以外の地域の新しく発見される埋蔵量が非OPEC地域での生産よりも少ないということですね。非OPEC諸国より生産されたものは全部消費されて、OPECからさらに融通しているわけです。ですから、そういうことは埋蔵量がだんだん減ってきているということになりますね。埋蔵量生産量の比率、いわゆる可採年数が落ちてきている。これが十五年を切るとかなり先行きが心配になりまして、アメリカは七年分を切っているんです、最近は。ということは、もう生産の減退期に入っている、生産がどんどん少なくなっていってしまうという状況なんです。  そういうことで、現在メジャーズを初め大石油会社が持っている優良な鉱区は、かなり投資をされて新しく埋蔵量発見されています。それから、MアンドAをかけて買収や合併をして、株が今安いですから、安い値段で会社を買収しますと、その会社が持っている埋蔵量が手に入りますから、これも安く手に入るわけですね。しかし、これは埋蔵量増加にはつながらないという問題がありまして、OPEC以外の国では埋蔵量がどんどん減ってきているということを申し上げておきます。  OPECは逆にふえていまして、これは非常にいろんな政治的な配慮もありまして、特にイラクイラン、それからあの辺の国が去年の後半に一挙に倍近く埋蔵量をふやした発表をしたわけです。これは戦争や地政学的な意味もありますけれどもOPEC生産協定で自分たちが有利な地位を占めようという意図もあるらしいんですね。そういうことで、OPEC埋蔵量がいっぱいあります。最近もふえています。そして生産コストも総コストで見まして、もう五ドル以下のが大部分ですね。ですから非常に安いわけです。ところが非OPECの方は、安いところもありますけれども、さっきの繰り返しになりますが、新規埋蔵量を開発しようとしますと、やっぱり二十ドル以下ではできない。この間も、つい十日ほど前もカナダのエネルギー省の次官補の人とお話ししたんですけれども、カナダは今一日当たり二十万バレルとか三十万バレルの油田を開発する新しいプロジェクトを進めているそうですが、どうしても二十ドルになってくれないと採算が合わないと言っているんですね。  日本が手がけているものでも、例えば渤海湾、これは石油発見されまして着々と生産の方へ進んでいるわけですけれども、これも経済計算しますと、十ドルぐらいでは難しい、まあ二十ドル台に乗ってくれれば何とかなるということですし、南シナ海あたりでも今のような低い値段ではなかなか探鉱が進まない。現に余り探鉱がされていません。そういうことなので、御質問の二十から二十五ドルの間ではどういうところにあるかということになりますと、そういう議論の対象になるのが非OPECの地域になるわけですね。そういうことでありますと、今の渤海でもカナダの地域でも、ある意味では南シナ海でも探鉱はかなり再び活発になるのではないかと思いますね。ただ、どこにあるかと言われますと、それがわかっていればだれでも行ってもうけることができる、百万長者になりますので、ちょっとそれはなかなか言いがたいことです。  それから、二番目の石炭メタノールの問題でございますけれども、オーストラリアの褐炭の液化のプロジェクトの初期の段階に私も主査をやって、経済性の評価をやったことがありますけれども、いろんな有利な条件を重ねて考えても、現在のドル価値で一バレル五十ドル前後かかるわけですね。  そういうことですので、アメリカのメジャーズあたりも、二、三百トンの大型パイロットプラントの技術までで打ち上げにして、それを温存しているわけです。日本の場合もとりあえず二百五十トンとかその程度のものを、大型のプラントまでは開発の時期を少し延ばしましたけれども、やろうということになっているんですが、その次のデモンストレーション段階の一日二千トンとか三千トンとか、いつ着手できるかということは、そこまでは世界的に言ってまだ未定なんですね。仮にそこまで大型化の技術、二百五十トンが二千五百トンと十倍になりますと、二百五十トンでうまくいったから、十倍になってもそのままできるという問題じゃなくて、いろんな新しい問題が起きるわけですが、やっぱり時間がかかるということです。それからコストも高いと。  ですから、オーストラリアの場合でも商業的な規模に到達するのは恐らく二十一世紀に入ってからになるんじゃないかと思うんですね。中国はこれからですが、インドネシアは、かなりフィージビリティースタディーが進んで来年終わるわけですけれども、その後また技術的なFSをやらなくてはいけないし、それから建設に移行していくということで、実際に運転されるのはやはり二〇〇〇年ちょっと越えるかもしれませんね。早くても二〇〇〇年前後であるということです。ですから、タイミングとコストの問題で、コストというのは経済性ですから、石油との関係とかそういう問題で、やはりある程度先の話だということが一つあると思うんですね。  しかしながら、例えばオーストラリアの褐炭からガソリンをつくって、液化してガソリンをつくって日本に持ってくるというのは経済性が当分合わないわけですが、例えばインドネシア中国で、自分が持っている石炭を活用して、メタノールなりをつくって自動車の代替燃料にするということは、また全然違う意味が出てきまして、両方の国とも、例えばインドネシアの場合には、このままいきますと原油の輸出がどんどん少なくなってしまって外貨が稼げなくなるから、メタノールをうまく利用して、ナフサとガソリンメタノールからつくると。それから中国の場合も同じでして、このまま経済が進んでいきますと、自動車ガソリンに回る燃料石油化学などの原料が物すごくふえてきて、結局もう行き詰まってしまいますので、それを打開するためにメタノールを国産でつくるという、外貨との関係ですけれども、メリットが出てくるわけですね。ですからその場合 でも、実際の市場にまとまって出てくるのは二十一世紀に入ってきてからではありますけれども、相当大きな意味を持っているわけです。  ですから、我が国といたしましては、当面日本の市場ではまだ先の話でもそういう技術を開発しておいて、国際的な観点から必要なところではどんどんそれを適用して援助を与えていくということがさしあたっては非常に大きな意味があるんではないかと思うんですが、二〇二〇年とか三〇年になりますと、これは完全に液体燃料の不足という事態が起きてきまして、相当高いコスト資源を利用していかなくてはならなくなりますので、これはまた本格的に石炭液化なんかも導入しなけりやならぬ時期が来るかもしれませんけれども、そのために備えておくという意味もあると思いますね。繰り返しになりますが、インドネシア中国みたいな途上国に対しては、もう少しそれが手前に差し迫っておりますので、日本としては非常に大きな重要な武器になると思います。
  20. 馬場富

    ○馬場富君 両参考人には大変きょうは御苦労さまでございます。  議題の国際化の中の資源エネルギー問題という点ですが、やはりエネルギーも自分の国だけでは解決しないという時代が来たという点でのこれは諸問題だと思いますが、私も十一年間商工とかこのエネルギー問題、まあ第一次、第二次オイルショックがあったために、我々の論議の焦点もやはりその点で今日までやってきたわけですけれども、その中で共通して考えられたのは、第一次、第二次ともに非常に石油危機であったと、そのために代替とか新エネルギーがかなり通産においても各方面においても研究されたが、結果としてはやはり石油にまさるエネルギーはないと。それはコストとそれから効率の点で、そういうことで新しいエネルギー代替エネルギー等についての進歩というのはなかなかできなかったというように私は理解しております。そういう点で先ほども話が出ましたけれども、いわゆる安全性とか、あるいは廃棄物の処理の問題等で問題はあったが、やはり原子力が伸びてきたということは言えると思うんですね、この位置づけの中にですね。  ここで、石油もかなり今、第一次オイルショックのときが一バレル二、三ドル、第二次オイルショックが三十六ドルと十倍ですね。それから今、国際価格は十八ドルですか、そんなところですが、実際はスポットは十ドルぐらいにきています。そういう状況からしてかなり安くなっておるが、先ほどの参考人の説明のように、いろんなほかの燃料との対比から、需給の問題からいけば、もう少し上がってくるんじゃないかという見通しも理解できます。  そこで私は、その観点からひとつ方向を転じまして、参考人がたまたま地球規模の環境問題の点を提案されましたが、私は、この委員会でも去年あたりから盛んにその点を当局にもやかましく言っておりますし、四、五年前からずうっとこのエネルギー中心にして、私は各方面の学者の方々と会うたびに言いましたことは、やはり炭酸ガスによる地球の汚染、そのために地球規模の破壊が起こりつつある。だから原子力の問題も問題だが、もう一つは燃やすという、化石燃料による地球破壊という問題もあるんだと。だから非常に結局、このエネルギーというのは地球規模で考えなきゃならない時代が来たと。エネルギーを使う者が、人間が生存する以上、この二つ問題点で私は非常に選択を迫られるときが来たんではないか。  ですから、そういう点でこの需給見通し一つ見てみましても、燃やさない燃料としたら原子力、それから水力と地熱、新エネルギーの中では小さい力かしりませんが太陽エネルギー、こんなところあたりだと思いますね。あとはみんな燃やす燃料なんですよ。そうしてくると、これは今大統領選でもアメリカで問題になってきていますけれども、僕は日本の国会にも火がつくと思うんですよ。そしてやはり自分たちの住む地球を守らなきゃならぬと。だから南極探検隊あたりが、もう氷のちょっと南極あたりの解けぐあい等見てもその温室効果というのはかなり起こっておる、温度が上がってきておると。そういうことからいったら、これも一つは大きい影響力がある。  先ほど参考人が、この問題については、フロンガスとそれから化石燃料によるとおっしゃいましたが、専門家から言っても、フロンガス影響というのはわりかた量が少ないのであって、やはり大きい温室効果影響力というのは化石燃料にある、燃やすということの燃料影響があるんだということが言われておるわけですけれども、私はここらあたりの問題をどのようにこれからエネルギーの考え方の中で持っていくべきかということを富舘参考人にまずお尋ねしたいということですね。  それから、国際協力が電源開発等でも行われておるという点で非常にいいことだと思いますが、私はことし南米と北米を視察に行ったんですよ。それで、地球規模に考えるという問題からいきますと、ブラジルには世界一の滝があるんですね。あそこにイタイプ発電所というのができました。これはもっとも水力ですから、地球汚染には関係のない燃料なんですね。それがあそこには、私の聞いた関係では、発電量が千二百六十万キロワットというんですね。日本の一般水力発電のあれが二千万キロワットですね、全部で。そうしますと、日本に匹敵するほどの電気量がその発電所一つでできると。それが実は発電所はつくったんだけれども、送電線やそういうもので全然使わずにおると。まあサンパウロなんか非常に電源が必要なところだけれども、送電線すら引くことができないんだというような状況下にある地球上の中で、それをお互いに経済協力し、あるいは考えていけば相当効果があるんではないかと。それで政府に聞いてみましたら、世銀の資金援助計画も考えられつつあるということですが、そういう点で電源開発等の技術協力もここに起こってくるんではないか、必要じゃないか。そういう点で、この二点について、富舘参考人村井参考人から御意見賜りたいと思います。
  21. 松前達郎

    会長松前達郎君) では富舘参考人お願いします。
  22. 富舘孝夫

    参考人富舘孝夫君) 特に炭酸ガスの問題は、ある意味ではかなり前から出ていたんですけれども、ここへ来まして急に大きな問題となってきました。特にアメリカがそうですし、ヨーロッパもそれに近いわけですが、そういうことで正直申し上げますと、私どもエネルギーの専門家もにわか勉強でいろいろやっていますし、また、フロンがどのくらい排出されるかという計算等も今行っているわけですけれども炭酸ガスによる地球規模の汚染という問題、温室効果、この問題はなかなかとらえがたいところがありまして、確かに問題なんですけれども、例えば、その発生源としてなかなか確定できない要素があるんですね。何といいましょうか、発電所や工場で化石燃料を燃やしたときとか、あるいは自動車とか家庭とか、そういうところで燃やした場合、そういう発生源ごとにもっと詰めてみなくてはいけないし、それから単に化石燃料以外の燃焼という場合も出てくるわけです。例えば、まきを燃しても出てくるわけですから。  そういう意味ではなかなか難しくてということが一つあるのと、もう一つは地球の超長期の周期的な温暖化と寒冷化の問題がありますね。一説によりますと、現在はだんだん寒い方に向かっていますので、その効果温室効果との関係がどうかとか、いろいろあります。ただ、確かに重要な問題ですので、少なくとも二〇三〇年とか二〇五〇年という時期には相当深刻になってくるというのが有力な見方ですから、そうなる前に今から、例えば二〇〇〇年に対してはどうしたらいいかとか、二〇一〇年ごろはどうしたらいいかということを国際的に議論を詰めていくべき問題なんだろうと思うんですね。これは炭酸ガスそのものを取り除くということはとてもできないし、それから全部取り除かなくても、燃やして排気ガスが出てくるときに、炭酸ガスを幾らかでも発生が少なく、完全燃焼するようなやり方とか、それを例え ば石こうみたいな中に閉じ込めるとか、いろいろありますけれども、これは非常に難しいのですね。ちょっと今技術的にもコスト的にも、議論する前の段階ではないかと思います。  それから、酸性雨の方の問題は、それに比べるとかなり解決の道はありまして、日本はもう世界の一番の先進国です、SO2にしろNOxにしろ、発電所や大きな工場からそれを取り除くということは。それから村井さんの御専門ですけれども石炭の流動床を使った新しい燃焼等でも相当それは効果があるわけです。  それで、ちょっとどのような対応をすればいいかということは、具体的には申しわけありませんがお答えできませんけれども一つ言えることは、必ず来年以降、国際的にその問題がクローズアップされて、日本にも対応を迫られるような、少なくとも議論をどうしていったらいいかとか、どういう研究をしたらいいかとか、どういう政策の方向があるかとか、どういう国際協力方向があるかとか、そういう議論を少なくとも国際的な場でやらなくてはいけない立場になってくるだろうということは確かだと思うんです。それに関連して、とにかく石炭が一番出すわけですよね、CO2を、炭素の成分が一番多いわけですから。アメリカでは、それに対して両大統領候補とも、今現行政府が手がけつつあるクリーン・コール・テクノロジー・プロジェクト、さしあたって二十五億ドルぐらいの予算を計上して、いろんな会社からプロジェクトを出させて、それに資金援助を与えようということをやっていますけれども、あれに両候補とも力を入れようとしていますので、恐らく来年から再来年にかけてクリーン・コール・テクノロジー開発ブームが起こるのではないかと思います。それが国際的にも波及すると思います。
  23. 松前達郎

    会長松前達郎君) 村井参考人お願いします。
  24. 村井了

    参考人村井了君) 今の馬場先生の御質問でございますが、御指摘のイタイプ発電所でございますが、これは御案内のように、ブラジルとパラグアイと両方が水利権の関係で電力を使う権利を持っているわけでございますが、実はパラグアイの方はもう私どもは二年以上前から、三年近くなると思いますが、あそこで送電線をもう少し効率的に引く技術協力をやっておりまして、現在会社の事務所もそういうための技術指導といいますか、工事管理の事務所をパラグアイに置いております。それで、パラグアイの電力会社と契約を結びましてそういう系統の、まあ送電系統の強化と申しますか、そういう事業を始めております。ブラジルの方はまだ実はあれしておりませんが、既にそういうことに取りかかっております。  それから、先ほど富舘さんに御質問の点に若干言及して恐縮なんでございますが、こういう発電所をつくるばかりじゃなくて、できたエネルギーを要するに効率的に使用するという問題は、やっぱり炭酸ガス問題については、ある程度エネルギーは出さなきゃしようがないんで、それがむだに使われないような効率的な対策をやるということから、これは水力でございますが、やはり送電線とか変電所の効率的な系統の強化ということも大変必要な事業だろうということから、今のパラグアイの協力もやっていくわけでございますが、同時に、今後私どもの海外協力事業としては、発電所だけでなくて、そういうこととか、それから私ども石炭を使っていて今非常にやっぱり同じような悩みを持っていますが、公害対策プラントをうんと経済的にやると同時に、発電機の効率をもっと上げる対策とかというようなこともあれだと思いますし、今富舘さんから御紹介のあったDOEプロジェクトにも私どもも、まだ決まっておりませんけれども、チャレンジしてみようということでいろいろ研究しているところでございます。
  25. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 最初に富舘参考人に伺います。  具体的に伺っていきたいと思うわけでございますけれども日本エネルギーの需給を見通した場合、その供給源の主流としては、依然石油石炭天然ガスなどの化石燃料になっておりますし、そのやっぱり大きなウエートを占めるのが石油というふうに考えられるわけです。しかも、日本エネルギーの輸入依存度が極めて高い中で、石油供給量と価格の安定的確保というものが求められていると思います。  政府、通産省の「一九九〇年代に向けての石油産業石油政策のあり方について」という報告の中で、「今後の国際石油情勢展望すると、世界的に石油供給の中東依存度が再び高まっていくことは必至の情勢にあり、」云々と書かれて、そして「一九九〇年代に向けて石油供給が不安定化していくおそれが高い。」と、こういうふうに見通しを立てておられます。  また、最近における特徴というものを国際的に見ましても、国際石油市場における投機性が非常に高まっていると言えると思うんです。先生が石油中心にいろいろ御発表になりました中で一つ、これは「東洋経済」の六十三年二月六日号に書かれているのを拝見いたしまして、このことが出ておりました。「投機的要因が強く働く。原油市況をリードしているのは、ニューヨークの先端市場におけるWTIの先物価格であるが、その取引は最近では一日一億二〇〇〇万バーレルという記録を出している。これは、自由世界需要の二倍以上、WTIの生産量の二〇〇倍に相当する異常な規模である。」ということが書かれておりました。このことに、先生もおっしゃっているように、今の国際石油市場における投機性というものが石油市場の安定化とは全く逆に、非常に無秩序で、そして投機が支配するという先物取引の市場に変わってきたと言えると思うんです。こういうことを考えますと、石油市場の安定化とは全く逆の形になっていくのではないかというのが、もうこれは深刻な問題として指摘されなければならないと私も読ませていただいて思ったんですけれども、先生もその辺のところをどういうふうに大事だというふうにとらえていらっしゃるか、第一問はそれについての御見解を伺いたいと思います。  それから第二の問題は、こういうことを押さえますと、我が国を含めた国際エネルギー機構、IEA、それからメジャーなどが推進してきた脱中東、OPEC依存の解消政策とそれに基づく非OPEC原油の台頭の結果だというふうにも言えるのではないかというふうに見られると思うんです。こんな情勢から今求められていることは、やっぱり基本的に大きな立場で言うならば、これは自主的、平和的な資源エネルギー外交を進めるという基本があって政策が出てくると思うんです。私たちはその点を考えている。産油国や資源エネルギー産出国などの経済発展に貢献するようなその原則としては、平等互恵の立場に立つ経済外交関係を確立していくということが、やっぱりいろいろな問題が出てくる現象に振り回されないで安定供給を確保するという、この問題が大きな問題になると思うんです。  それで、私として考えますのは、そういうためにもどうするかといえば、アメリカ主導で産油国と対決して加盟各国経済主権の侵害となっているIEAですね、この性格は。そういうものから日本は脱退すべきではないかという一つの点。それから第二番目としては、具体的に先般、イランイラク戦争のときに米軍のホルムズ海峡での哨戒活動に対する経費負担など、アメリカの中東戦略に日本が加担いたしました。こういうことはやるべきではない、エネルギー政策の上からもやるべきではないと二番目に言いたいと思うんです。それから三番目には、依然として大きな影響力を持っておりますメジャーや石油会社などの経済攪乱行為、さっき言った投機などもそれだと思うんですけれども、これを何らかの形で規制するということがこれからの問題として大事ではないかと、私どもはそういうふうに考えておりますが、先生としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。  それから三番目の問題として、ちょっといろいろ見せていただきましたが、日本エネルギー経済研究所七九年十二月十七日のこの資料、ずっと見せていただきました。そうしたら、ここのところ で価格見込みと石油輸入額という表が出ておりました。これで見ますと、一九九〇年半ばの標準原油価格は八十ドルというふうな見通しになっておりました。それから最高価格は百ドルになっています。日本向けのFOB価格では八十四ドルというふうに数字が出てますね。これは七九年末に発表されて、八八年の現在、九〇年半ばの見通しで、八十ドルだとか百ドルだとかというふうな見通しだったということは、先ほどの御説明では、九五年半ばで二十二ドルというふうにおっしゃいましたね。そうすると、もう物すごく違ってくるわけですね、この見通しと。この見通しの違いはどういうふうに考えたらいいのか。私素人でございますので、先生の方でお出しになったこれとの関係を教えていただければ幸いだと。この三点について先生には伺いたいと思うわけです。  それから、村井さんの方にお伺いしたいんですけれどもエネルギーの自主的供給基盤というのは、日本は非常に脆弱であるというところからいろいろな御苦労をなさっていると思うんでございますけれども、その意味から、やっぱり貴重な国内資源である国内炭の活用、振興を図るということが重要だと言わざるを得ないわけです。しかし、残念なことには全く事態は違う。毎年幾つもの山がつぶれていくということは御承知のとおりだと思うんです。  先ほどいろいろブレアソールの御苦労も伺いました。私たちは行ってみたときに、うあすごいな、こんなに安全でたくさん生産されれば安くていいななんてびっくり仰天したところだったんですけれども、きょういろいろ伺ったら、それなりのリスクがあって御苦労なすったということですけれども、それを伺っていて私はちょっと心配になった。例えば契約量というものを確保していかなきゃならないというのが一つの大きな御苦労だとおっしゃったけれども、いろいろ国内情勢を見ても原発が動き出す。そしてこっちは確保しなきゃならないということは、必然的に国内炭をつぶしてこっちを確保しなきゃならないところに、首を曲げていらっしゃるけれども、いかざるを得なくなってしまうんではないかと。そしてブレアソールもぱっとあれができたんじゃなくて、すごい資本を投下して、技術と資金力というのが投下された。  だけれども日本の国内炭というのは、そういう資金も投下されてない。技術的にも船がいっぱいごちゃごちゃ行って大変だなんというのも、これも解決という道では考えられていなかったということから考えまして、国益とさっきおっしゃったけれども、国益と企業との立場を考えなきゃならない。また電源開発という会社そのものは国策会社ですよね。だから安く石炭を買ってくればいいんだというだけではなくて、政策的にと先ほどもちょっとおっしゃったけれども、国内炭の振興と兼ね合わせてこの問題をどういうふうに整合性を持たせていくかということがやっぱり私は重要な問題として頭に入れておいていただかなければならない、そう思うわけです。  今度、九州の松浦火力は百万キロ二基というふうに計画伺いましたけれども、これは石炭使用量で言えば四百万トンくらいということになりますと、さあこれがどこから来るのかということで、国内炭の行方というものが大変心配されるわけなんです。だから、海外炭でそれだけの技術と資金というものを考えられたその目でもって国内炭も見ていただいて、そして何よりもエネルギーというのは一国の独立に関する問題ですね、食糧とエネルギーの自給自足というのが今の世界の国の問題として起こっていると思うんです。そういう自主、自分でこれを守るという立場だからこそ、国有化というような問題がヨーロッパ各国でも起きていると思うんですね。そうすると、大事なことは、エネルギーを商品一般として、ただ商品としての見方ではなくて、国としてのエネルギー政策というのが独立国としてはもう当然安定的に保証されなきゃならないということから自主平等な外交政策と、ずっとこうつなげていっての中から国策会社の責務というものとの関連が出てくるのではないか、そう思うんですけれども、いかがお考えになるでしょうか。  それから、最後に具体的にお願いしたいんですけれども、いろいろ資料をいただいたりいたしました。その中で電源開発が持っている水力発電が五十三地点ございます。それから火力が七地点ございますね。それでいろいろ私も勉強したいと思いますので、各電源の発電所が電力会社に売っている、売電というんですか、売っている価格をこの水力、火力の各発電所ごとに幾らで売っているということになるのか、その資料をぜひ出していただきたい、勉強の材料にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  26. 富舘孝夫

    参考人富舘孝夫君) 先生の最初の二つの質問でございますが、その御質問の前段の情勢分析といいましょうか、情勢把握につきましては私もほとんど同じに見ておりまして、大変鋭い御指摘だと思います。ただ、二番目の方に関連しまして幾つかの御提案あるいは御意見が出されましたが、そこについてはちょっと違う見方をしております。  やはり最近の国際石油市場の一番大きな特徴一つは、御指摘のように投機性が非常に強くなったということでありまして、それが現在のように高くなり過ぎた価格の反動として、下方修正の調整期に入ったときには行き過ぎた暴落をもたらしてしまう。その行き過ぎた暴落がまたマイナスの要素を積み重ねていって将来不安定性を、また新しい不安を生んでしまうということだろうと思うんですね。ですから、私も最近は何か石油の市場の分析をしたり、価格の分析をしているよりは株の予想をしているような感じでありまして、大変専門家としても心もとないんですが、だからといってそれをどうするというわけにはいきませんので、御指摘の情勢分析はそのとおりだと思います。  それから、二番目につきましても、やはりIEAとか各国の、日本政府も含めた政府の政策努力が相当の効果をもたらしているということも事実だと思いますけれども、もしそれがなければ非常に違う結果になっていたことは確かです。ただ、その前提としてやはりOPEC価格を引き上げ過ぎてしまったと、それのマーケットメカニズムによる調整ということがもう一つあるわけでして、現在のような低価格というのをもたらした要因は消費国の政策だけではないと思いますね。そういう意味では、石油危機の時代に対応として一生懸命投資をして、石油だけではなくて電力でもガスでも設備投資をして相当の能力をつくったわけですよね。能力はふえたけれども、省エネとか転換とかという政策の効果があらわれて、需要はかなり予想よりもはるかに低くなったということで、過剰能力石油やその他のエネルギーでもあるわけです。この八四年以降、正確には八三年以降ですが、エネルギーは増勢に転じていますけれども、現在はその八二年ごろまでにつくられた過剰能力を食いつぶす格好できているだけですね。そういうことがいずれ逆に供給不足を引き起こすという潜在的な可能性はあると思いますので、十分慎重に対応する必要があると思います。  そういうところからいいまして、やはり産油国との資源外交、協力関係をきちんと進めていく必要があるということもそのとおり大賛成ですが、それがIEAの脱退ということが有効な手段の一つであるかどうか、これは疑問だと思いますね。御承知のように、フランスは最初から入っていないわけですけれども、フランスの立場と日本の立場は違いますし、むしろ日本がIEAの中にいまして、場合によってはアメリカの行き過ぎを補正していくという役割も相当あるんではないかと思うんですが、そういう意味ではアメリカの中東戦略に引き回されるのは余りよくないと、これも御指摘のとおりだと私は思いますけれども、ただ、日本政府はそれなりに、私あたりから見まして努力はしているんではないかと思うんですね。  この間も先ほどちょっと話をしましたけれども、ハワイでの日米の民間のエネルギー協議で、アメリカ側に対して日本側からは、アメリカとし ては日本にもっと中東和平その他で役割を果たしてほしいという発言があったときに、それはアメリカの論理や政策はよく理解できるけれども、そのとおりの路線で日本は動くわけにはいかないんだと。日本イランともイラクとも仲よく外交を保持していくと。それは先進国の中では多分日本が唯一の国であるから、そういう立場を利用して日本ができることをやっていこうと。その結果として全体がいい方向にいくようにということを努力しているので理解してほしいということを日本側としては強力に訴えたわけですけれども、そういう立場はやはり評価していいんではないかと思います。  それから三番目の点、時間の関係で三番目の点ですけれども、思わぬ資料を御紹介いただきまして、ある意味では恥ずかしいところもありますけれども、見込みが外れたということで。ただ一つ言いわけじみたことになりますけれども、当時は相当の何といいましょうか、当時の条件が続くとすれば、石油需要も今後相当に伸びますし、OPECの力も維持されるだろうという見方であったわけですね。それプラスインフレ率が当時一〇%近くあったわけです。実質価格で言いますと、これは大したことないんですよ、八十ドルといっても。一〇%のインフレ率を掛けますと、名目で八十ドルとか百ドルになってしまうんですね。そうなった場合には日本の輸入代金ももう巨額な二、三千億ドルですか、になってしまうので、世界経済日本経済ももたないので、必ずその前に、そこへいく前に問題が起きるから対応しなくてはいけないという警告の意味が強かったんです。実際の経済はそういうふうにいきませんということは書き込まれてないわけですね。それはちょっと言いわけじみておりますけれども……。
  27. 松前達郎

    会長松前達郎君) それでは時間が大分経過しておりますので、次に村井参考人、簡潔にお願いします。
  28. 村井了

    参考人村井了君) お答えいたします。  一番先に、ブレアソールの契約カットが国内炭にしわが寄ったんではないかということなんでございますが、これはございません。むしろさっき申し上げましたように、ブレアソール以外に一年契約買い、五年契約買いということで外国から、ほかの国からも石炭を買っておりますので、ここへ全部出向きまして、そっちの契約を四割ぐらい切りました。国内炭についてはお調べいただければわかりますが、一トンたりともブレアソールの使用はやっておりません。御案内のように、もう私どもとしては、竹原それから高砂、磯子でずっと国内炭を専用にたいておる発電所を持っておりますが、ここの引き取り量は、むしろ減ったことは、たしかないと思います。  そういう点で、私は政策立案者じゃないんですが、政策を理解して大いにやらなきゃいけない立場の会社でもあるし担当者でもございますんで、そういう点の努力については、少なくとも電力会社に卸売する電気料金はむちゃくちゃに上がらない範囲において今申し上げたような努力をしておりますし、特に、ほかの国にブレアソールのためにカットをして迷惑をかけたということのオブリゲーションを今もしょっております。したがって、ここで摩擦を起こさないように、むしろ我々としては、年じゅう飛行機で飛んで外国へ行って、そういう人たちに理解してもらうということをやることによってショックを和らげていると、こういうことでございます。  それから、時間の関係もございますんで簡単に申し上げますが、そういうような事情で、先ほど対馬先生にも申し上げたように、やはり国内炭を使うなら国内炭を使う専用の発電所で約束したものを目いっぱいやっていくと、そのためのライフをむしろ苦労してでも延ばすということで今後の政策の動向に協力していくというのが当面我々の具体的な課題と、こういうふうに理解しております。  以上でございます。
  29. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 時間もございませんので、簡単に前置きを省略しまして、富舘先生にお尋ねしたいと思いますが、太平洋のコールフロー構想というのが考えられておりますけれども、これによる問題点というんですか、いろいろあると思いますが、たくさんあると思いますが、その主な問題、例えば資金の問題、技術の問題とか、あるいは環境保全とかあろうと思いますけれども、何が一番大きな問題点なのか、先生の方からお聞きしたい。
  30. 富舘孝夫

    参考人富舘孝夫君) 問題点といいますのは、マイナスという意味のですか。
  31. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 はい、いろいろ。
  32. 富舘孝夫

    参考人富舘孝夫君) これはコールフロー推進委員会の村井さんが副会長をやっていらっしゃいますので、むしろ村井さんの方からお答え願った方がいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  33. 村井了

    参考人村井了君) 今の問題点でございますが、幾つかございます。  一つは、太平洋コールフローというのは、御案内のように、太平洋地域においてもっと石炭の使用をふやそうと、それから利用拡大を図ろうというところに主として主眼があるわけでございますが、先ほどちょっと諸先生の御意見ございましたように、例えば具体的にフィリピン等では非常に何といいますか、効率が悪い褐炭があるんですが、そこへ外国の炭を入れてエネルギーコストを下げたらどうですかと、こういうふうに持っていくと。どんなに高くても、やっぱりまず外貨節約で国内炭を使いたいんだというような問題に対して、我々は、むしろ脱石油という観点からいうと、こっちの方が経済的ですと、こう言っても、これは国情によってまた問題が違う。そうすると、それだけの開発をする金を貸せと、こういうような問題になってくるだろう。これは相手の国としては当然のことなんですが、コールフロー委員会としてはどうしても問題点になる、こういうふうなことです。  それから、ある程度ことしは需給関係が逼迫しましたが、今まではどっちかというと、石炭の輸出側の方がオーバーフローになっていたものですから、今後インドネシアとかああいうところで中国とかを刺激して、余り無理やり輸出さして逆のパニックを起こしてもまずいと。また、日本がとれないのに、そういうものを余りやらせるのは問題ではないかというような誤解も国内でございました。これは先ほど申し上げたように、石炭の利用拡大を図るという意味で、こういう誤解は、国内の問題点としては現状では解決していると思うんです。  もう一つは、今度、当方で流動床というコンパクトなものを考えていますのであれですが、やはり石炭というのは、ある程度大量に使わないとメリットが出てこないですね、定量的に。そういうものが発展途上国の、特に太平洋地域というのはヨーロッパと違って点の存在でございますので、島が多いので、そういうところにかなり大容量の発電所を持っていくという意味での石炭利用拡大というのには問題があるので、もう少し小さい形で使えるようにすると。そうすると、どうしても油とかガスの方が便利だというふうなところをどうするか。  最後に、ある程度そうは言いながら、あっちこっち石炭ございますので、石炭を開発するための技術協力というのが、今後、日本の国内炭の開発のエンジニアがそういう面で協力するというような面が若干具体化してきております。  以上でございます。
  34. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 終わります。
  35. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 さっきね、村井さん、ブレアソールの石炭が国内炭鉱の山をつぶしているんではないかというふうにおとりになったけど、私は今までそうだとは言ってないの。今後原子力発電やなんか出てきて、それがブレアソールの炭鉱の契約量に影響して、今後そのおそれがないかということを心配して、いろいろと御苦労でございますという意味で言ったんですから、反対にとられたらちょっと困るから訂正してください。
  36. 村井了

    参考人村井了君) それから、先ほどの料金の 資料なんでございますけれども、これはちょっと会社の方としていろいろ各電力会社との契約もございましてですね。
  37. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 企業秘密。
  38. 村井了

    参考人村井了君) まあ、はっきり申し上げればそういうところです。
  39. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それはまた後で話し合いしましょう。
  40. 村井了

    参考人村井了君) はい。
  41. 松前達郎

    会長松前達郎君) ありがとうございました。  以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人に一言お礼を申し上げます。  本日は、お忙しい中を本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました貴重な御意見等につきましては、今後の調査参考にいたしたいと思います。調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  なお、本日、参考人から御提出いただきました参考資料のうち、発言内容把握のため必要と思われるものにつきましては本日の会議録の末尾に掲載さしていただきたく存じますので、御了承をいただきたいと思います。     ─────────────
  42. 松前達郎

    会長松前達郎君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  産業資源エネルギーに関する調査のため委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  43. 松前達郎

    会長松前達郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  44. 松前達郎

    会長松前達郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十四分散会